JP2016015256A - 導電性粒子、接合用組成物、接合構造体及び接合構造体の製造方法 - Google Patents

導電性粒子、接合用組成物、接合構造体及び接合構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて用いられ、上記金属原子含有粒子を焼結させることにより接合対象部材を接合して、接合構造体を得たときに、接合部分にボイドを生じ難くして接合信頼性を高めることができ、かつ放熱性を高めることができる導電性粒子を提供する。【解決手段】本発明に係る導電性粒子21は、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて、上記金属原子含有粒子を焼結させて用いられる。導電性粒子21は、基材粒子22と、基材粒子22の表面22a上に配置された導電層23とを備える。基材粒子22の熱分解温度は200℃以上である。導電性粒子21を10%圧縮したときの圧縮弾性率は300N/mm2以上、3500N/mm2以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて、上記金属原子含有粒子を焼結させて用いられる導電性粒子に関する。また、本発明は、上記導電性粒子を用いた接合用組成物、接合構造体及び接合構造体の製造方法に関する。
インバータ等に用いられるパワー半導体装置の一つである非絶縁型半導体装置において、半導体素子を固定する部材は半導体装置の電極の一つでもある。例えば、パワートランジスタを固定部材上にSn−Pb系はんだ付け材を用いて搭載した半導体装置では、固定部材(ベース材)はパワートランジスタのコレクタ電極部となる。このコレクタ電極部では、半導体装置の稼動時に数アンペア以上の電流が流れ、トランジスタチップは発熱する。この発熱に起因する特性の不安定化及び寿命の低下を避けるためには、はんだ付け部の放熱性、耐熱性を十分に確保する必要がある。このはんだ付け部の放熱性及び耐熱性を十分に確保するためには、放熱性に優れた材料を用いる必要がある。
絶縁型半導体装置においても、半導体素子を安全かつ安定に動作させるためには、半導体装置の動作時に発生する熱を半導体装置の外部へ効率よく放散させる必要がある。また、この場合に、はんだ付け部の接合信頼性を確保する必要もある。
高い放熱性と高い接合信頼性とを有する接合材料として、下記の特許文献1では、粒子状銀化合物を含む導電性接着剤が開示されている。しかしながら、この導電性接着剤を用いた場合の接合は、バインダー樹脂である熱硬化性樹脂が硬化した硬化物による接合であるため、接合界面における金属結合による接合と比較すると、放熱性及び接合信頼性が低くなるという問題がある。
一方で、金属粒子の粒径が100nm以下のサイズまで小さくなり、構成原子数が少なくなると、粒子の体積に対する表面積比が急激に増大し、融点又は焼結温度がバルク状態に比較して大幅に低下することが知られている。この低温焼結機能を利用し、有機物で表面が被覆された平均粒径100nm以下の金属粒子を接合材料として用い、加熱により有機物を分解させて金属粒子同士を焼結させることで接合を行う方法が知られている。この接合方法では、接合後の金属粒子がバルク金属へと変化するのと同時に接合界面では金属結合による接合が得られるため、耐熱性と接合信頼性と放熱性とが非常に高くなる。このような接合を行うための接合材料は、例えば、下記の特許文献2に開示されている。
特許文献2では、平均粒径が1nm以上、50μm以下である粒子であって、金属酸化物、金属炭酸塩及びカルボン酸金属塩の粒子から選ばれる1種以上の金属粒子前駆体と、有機物である還元剤とを含む接合用材料が開示されている。該接合用材料中における全質量部において、上記金属粒子前駆体の含有量は、50質量部を超え、99質量部以下である。
また、下記の特許文献3には、金属原子含有粒子を含む接合主材料と、粒子径のCV値が10%以下である導電性粒子とを含有する接合材料が開示されている。上記接合主材料として、平均粒子径が1nm以上、100nm以下である銀粒子又は平均粒子径が1nm以上、100nm以下である銅粒子を含む接合主材料であるか、又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である酸化銀粒子又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である酸化銅粒子と還元剤とを含む接合主材料が挙げられている。
特開2003−309352号公報 特開2008−178911号公報 特開2013−055046号公報
従来の接合材料では、第1,第2の接合対象部材の接合後に、該第1,第2の接合対象部材の接合部分にボイドが生じやすいという問題がある。このため、接合信頼性が低くなるという問題がある。さらに、接合後に、放熱性が充分に高くならないことがある。
本発明の目的は、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて用いられ、上記金属原子含有粒子を焼結させることにより接合対象部材を接合して、接合構造体を得たときに、接合部分にボイドを生じ難くして接合信頼性を高めることができ、かつ放熱性を高めることができる導電性粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記導電性粒子を用いた接合用組成物、接合構造体及び接合構造体の製造方法を提供する。
本発明の広い局面によれば、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて、前記金属原子含有粒子を焼結させて用いられる導電性粒子であって、基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備え、前記基材粒子の熱分解温度が200℃以上であり、前記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が300N/mm以上、3500N/mm以下である、導電性粒子が提供される。
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記基材粒子がシリコーン粒子である。
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電層が銅層を有する。
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された銅層と、前記銅層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備えるか、又は、前記基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された銅層とを備え、かつ前記銅層の外側の表面が防錆処理されている。
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記第2の導電層が、ニッケル、金、銀又は錫を含む。
本発明に係る導電性粒子が分散される前記接合材料が、平均粒子径が1nm以上、100nm以下である銀粒子又は平均粒子径が1nm以上、100nm以下である銅粒子を含む接合材料であるか、又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である酸化銀粒子又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である酸化銅粒子と還元剤とを含む接合材料であることが好ましい。本発明に係る導電性粒子が分散される前記接合材料に含まれる前記金属原子含有粒子が、400℃未満の加熱で焼結することが好ましい。
本発明の広い局面によれば、上述した導電性粒子と、金属原子含有粒子を含む接合材料とを含有する、接合用組成物が提供される。
本発明の広い局面によれば、第1の接合対象部材と、第2の接合対象部材と、前記第1,第2の接合対象部材を接合している接合部とを備え、前記接合部が、上述した導電性粒子と、金属原子含有粒子を含む接合材料とを含む接合用組成物を用いて形成されており、前記接合部が、前記接合用組成物を加熱して、前記金属原子含有粒子を焼結させることにより形成されており、前記金属原子含有粒子が焼結した焼結物によって、前記第1,第2の接合対象部材が接合されており、前記第1,第2の接合対象部材間に、前記導電性粒子が配置されている、接合構造体が提供される。
本発明の広い局面によれば、第1,第2の接合対象部材間に、上述した導電性粒子と、金属原子含有粒子を含む接合材料とを含む接合用組成物を配置する工程と、前記接合用組成物を加熱して、前記金属原子含有粒子を焼結させることによって、接合部を形成して、前記第1,第2の接合対象部材を接合する工程とを備え、前記金属原子含有粒子が焼結した焼結物によって、前記第1,第2の接合対象部材を接合し、前記第1,第2の接合対象部材間に、前記導電性粒子を配置する、接合構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る導電性粒子では、基材粒子の表面上に導電層が配置されており、上記基材粒子の熱分解温度が200℃以上であり、上記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が300N/mm以上、3500N/mm以下であるので、本発明に係る導電性粒子を、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散させた接合用組成物を用いて、上記金属原子含有粒子を焼結させることにより接合対象部材を接合して、接合構造体を得たときに、接合部分にボイドを生じ難くして接合信頼性を高めることができ、かつ放熱性を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。 図4は、図1に示す導電性粒子を含む接合用組成物を用いた接合構造体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る導電性粒子は、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて、前記金属原子含有粒子を焼結させて用いられる。本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える。上記基材粒子の熱分解温度は200℃以上である。本発明に係る導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は300N/mm以上、3500N/mm以下である。
このような導電性粒子を、金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散して接合用組成物を得る。得られた接合用組成物を用いて、上記金属原子含有粒子を焼結させることにより接合対象部材を接合して、接合構造体を得る。この得られた接合構造体において、接合部分にボイドを生じ難くすることができ、接合信頼性を高めることができる。さらに、得られた接合構造体の放熱性を高めることができる。さらに、接合対象部材間に配置された導電性粒子によって、第1,第2の接合対象部材間の間隔を高精度に制御することもできる。上記接合構造体では、上記接合用組成物により接合部が形成される。接合対象部材間の間隔を高精度に制御することによって、部分的に接合部の厚みが薄くなるのを抑制できる結果、上記接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。
さらに、上記接合用組成物を用いて接合対象部材を接合する際には、一般に、圧着が行われる。本発明に係る導電性粒子を含む接合用組成物を用いて第1,第2の接合対象部材を接合すれば、比較的低い圧力で圧着を行ったとしても、ボイドの発生を抑えつつ、接合部と第1,第2の接合対象部材との接合信頼性を高めることができる。さらに、本発明に係る導電性粒子を含む接合用組成物を用いて接合対象部材を接合すれば、導電層に割れを生じ難くすることができる。このため、接合信頼性及び導通信頼性が効果的に高くなる。
上記基材粒子の上記熱分解温度は200℃以上である。上記熱分解温度は好ましくは250℃以上である。上記熱分解温度が上記下限以上であると、接合信頼性及び導通信頼性がより一層良好になる。上記熱分解温度の上限は特に限定されない。上記熱分解温度は600℃以下であってもよい。
上記熱分解温度は、示差熱熱重量同時測定装置(セイコーII社製「TG/DTA320」)を用いて、測定可能である。測定結果における重量が10%減少した温度を熱分解温度とする。
上記導電性粒子の上記10%K値は300N/mm以上、3500N/mm以下である。上記10%K値は好ましくは500/mm以上、好ましくは3000N/mm以下である。上記10%K値が上記下限以上であると、接合部の厚み均一性がより一層良好になる。上記10%K値が上記上限以下であると、ボイドの抑制効果がより一層良好になる。上記導電性粒子の10%K値は、上記基材粒子の選択により適宜調整可能である。
上記導電性粒子における上記圧縮弾性率(10%K値)は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で導電性粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
10%K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
上記圧縮弾性率は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を模式的に断面図で示す。
図1に示すように、導電性粒子21は、基材粒子22と、基材粒子22の表面22a上に配置された導電層23とを有する。導電層23は、基材粒子22の表面22a上に積層されている。導電層23は、基材粒子22の表面22aを被覆している。導電層23は単層である。導電層23は銅層であることが好ましい。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を模式的に断面図で示す。
図2に示す導電性粒子31は、基材粒子22と、基材粒子22の表面22a上に配置された導電層32とを有する。導電層32は、基材粒子22の表面22a上に積層されている。導電層32は、基材粒子22の表面22aを被覆している。導電層32は多層であり、2層の積層構造を有する。導電層32は、内層である第1の導電層32Aと、外層である第2の導電層32Bとを含む。導電性粒子31は、基材粒子22と、基材粒子22の表面22a上に配置された第1の導電層32Aと、第1の導電層32Aの外側の表面上に配置された第2の導電層32Bとを有する。外層である第2の導電層32Bは、内層である第1の導電層32Aの外側の表面上に配置されており、第1の導電層32Aの外側の表面を被覆している。第1の導電層32Aは銅層であることが好ましい。第2の導電層32Bは、ニッケル、金、銀又は錫を含むことが好ましい。導電性粒子31において、基材粒子22にかえて、コアシェル型の基材粒子を用いてもよい。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を模式的に断面図で示す。
図3に示すように、導電性粒子41は、コアシェル型の基材粒子42と、基材粒子42の表面42a上に配置された導電層23とを有する。基材粒子42は、コア42Aと、コア42Aの表面上に配置されたシェル42Bとを有する。導電層23は、基材粒子42の表面42a上及びシェル42Bの外表面上に積層されている。導電層23は、基材粒子42の表面42a及びシェル42Bの外表面を被覆している。導電層23は単層である。導電層23は銅層であることが好ましい。基材粒子42は、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。コア42Aが有機コアであってもよい。シェル42Bが無機シェルであってもよい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する導電性粒子である。接合部の柔軟性を高め、導電性粒子の柔軟性を高め、導電性粒子を適度に圧縮変形させることを可能にし、さらに接合構造体の耐衝撃性をより一層高める観点から、上記導電性粒子は、基材粒子を備え、かつ上記基材粒子は、シリコーン粒子であることが好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が用いられる。エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、接合に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができる。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
樹脂粒子の組成に関しては、耐熱性が良いことから、4官能又は3官能の(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンの共重合体、シリコーン樹脂が適している。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア、カーボンブラック、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛及びダイヤモンド等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼結させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記導電層を形成するための金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、カドミウム、ビスマス、タリウム、タングステン、モリブデン、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金及び錫−鉛−銀合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、また合金でもよい。
上記基材粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の粒子径は、8μm以上、200μm以下である。上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは10μm以上、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。上記導電性粒子の粒子径は、60μm以下であってもよい。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、接合対象部材の接合信頼性がより一層高くなり、接合対象部材間の間隔のばらつきがより一層小さくなる。また、導電性粒子の粒子径が上記下限以上であると、第1,第2の接合対象部材間に配置される接合部の厚みをより一層厚くすることができ、該接合部による放熱性及び接合信頼性をより一層高めることができる。上記導電性粒子の粒子径が上記上限以下であると、電極間の間隔をより一層小さくすることができ、接合構造体の小型化及び薄型化に対応できる。上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。なお、上記樹脂粒子及び上記有機コアの粒子径に関しても、樹脂粒子及び上記有機コアが真球状である場合には、直径を示し、樹脂粒子及び上記有機コアが真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記導電層全体の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上、好ましくは5000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは300nm以下である。導電層全体の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性を十分に高めることができ、導電層の過度のひび割れを抑制できる。導電層の割れを抑制できる結果、接合部の厚みをより一層均一にできるので、接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。導電層全体の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電層との熱膨張率の差による界面の応力が緩和され、基材粒子から導電層が剥離し難くなる。
上記基材粒子の粒子径の導電層全体の厚みに対する比(基材粒子の粒子径/導電層全体の厚み)は、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、好ましくは3000以下、より好ましくは500以下である。上記導電層全体の厚みは、上記導電層全体の平均厚みである。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層である導電層及び上記第2の導電層の厚みは、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記最外層である導電層及び上記第2の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層である導電層及び上記第2の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が充分に高くなる。
上記導電層は、銅層を有することが好ましい。上記第1の導電層は銅層であることが好ましい。上記導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された銅層とを備えることが好ましい。銅層は、基材粒子と接していることが好ましい。上記導電層が銅層を有する場合には、放熱性がより一層良好になる。耐腐食性を高める観点から、上記銅層の外側の表面が防錆処理されていることが好ましい。
放熱性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された銅層と、銅層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備えるか、又は、上記導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された銅層とを備え、かつ銅層の外側の表面が防錆処理されていることが好ましい。上記導電層は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された銅層と、銅層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備えていてもよい。上記導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された銅層とを備え、かつ銅層の外側の表面が防錆処理されていることが好ましい。導電性、放熱性及び耐腐食性などをより一層高める観点から、上記第2の導電層は、ニッケル、金、銀又は錫を含むことが好ましい。
上記防錆処理に用いる材料としては、ベンゾトリアゾール化合物等が挙げられる。該ベンゾトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ]メチル−1H−ベンゾトリアゾール及び1−[N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ]メチル−1H−メチルベンゾトリアゾール等が挙げられる。なかでも、耐腐食性をより一層高め、より一層優れた防錆効果を得ることから、ベンゾトリアゾール化合物を用いて防錆処理することが好ましく、ベンゾトリアゾールを用いて防錆処理することがより好ましい。
上記導電層の外側の表面は、銅層であるか、又はニッケル、金、銀又は錫を含む第2の導電層であることが好ましい。上記導電層の外側の表面は、ニッケル、金、銀又は錫を含む第2の導電層であることがより好ましい。上記導電層の外側の表面が、銅や、ニッケル、金、銀又は錫を含むと、導電性及び放熱性がより一層良好になる。
上記導電層の外表面は、400℃で溶融しないことが好ましい。上記導電性粒子の表面及び上記導電層の外表面は、上記接合対象部材の接合時に溶融しないことが好ましい。上記導電性粒子の表面及び上記導電層の外表面は、上記金属原子含有粒子の焼結温度で溶融しないことが好ましい。この場合には、接合後に上記導電性粒子が変形するのを抑制できる。このため、接合後に第1,第2の接合対象部材間の間隔をより一層高精度に制御することができる。さらに、接合部の厚みをより一層均一にできるので、接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。
上記導電層の融点は、上記金属原子含有粒子の焼結温度よりも高いことが好ましい。上記導電層の融点は、上記金属原子含有粒子の焼結温度よりも5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましく、20℃以上高いことが更に好ましく、50℃以上高いことが特に好ましい。
上記金属原子含有粒子が焼結する温度は、導電性粒子の表面が溶融する温度よりも低いことが好ましい。上記金属原子含有粒子が焼結する温度は、導電性粒子の表面が溶融する温度よりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。上記金属原子含有粒子が焼結する温度と、導電性粒子の表面が溶融する温度とが上記関係を満足すると、上記金属原子含有粒子の焼結時に上記導電性粒子が変形するのを抑制できる。このため、接合後に第1,第2の接合対象部材間の間隔をより一層高精度に制御することができる。さらに、接合部の厚みをより一層均一にできるので、接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。
上記導電性粒子の粒子径のCV値(粒度分布の変動係数)は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。上記CV値が上記上限以下であると、接合後に第1,第2の接合対象部材間の間隔をより一層高精度に制御することができる。さらに、接合部の厚みをより一層均一にできるので、接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。
上記CV値は下記式で表される。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:平均粒子径
上記接合用組成物100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上であると、第1,第2の接合対象部材間に、導電性粒子を十分に存在させることができ、導電性粒子によって、第1,第2の接合対象部材間の間隔が部分的に狭くなるのをより一層抑制できる。このため、接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制することもできる。
上記接合材料に含まれている上記金属原子含有粒子としては、金属粒子及び金属化合物粒子等が挙げられる。上記金属化合物粒子は、金属原子と、該金属原子以外の原子とを含む。上記金属化合物粒子の具体例としては、金属酸化物粒子、金属の炭酸塩粒子、金属のカルボン酸塩粒子及び金属の錯体粒子等が挙げられる。上記金属化合物粒子は、金属酸化物粒子であることが好ましい。例えば、上記金属酸化物粒子は、還元剤の存在下で接合時の加熱で金属粒子となった後に焼結する。上記金属酸化物粒子は、金属粒子の前駆体である。上記金属のカルボン酸塩粒子としては、金属の酢酸塩粒子等が挙げられる。
上記金属原子含有粒子を含む接合材料は、平均粒子径が1nm以上、100nm以下である金属粒子を含む接合材料であるか、又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である金属酸化物粒子と還元剤とを含む接合材料であることが好ましい。このような接合材料を用いると、接合時の加熱で、上記金属原子含有粒子同士を良好に焼結させることができる。上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、好ましくは5μm以下である。上記金属原子含有粒子の粒子径は、金属原子含有粒子が真球状である場合には、直径を示し、金属原子含有粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記金属粒子及び上記金属酸化物粒子を構成する金属としては、銀、銅及び金等が挙げられる。なかでも、銀又は銅が好ましく、銀が特に好ましい。従って、上記金属粒子は、好ましくは銀粒子又は銅粒子であり、より好ましくは銀粒子である。上記金属酸化物粒子は、好ましくは酸化銀粒子又は酸化銅粒子であり、より好ましくは酸化銀粒子である。銀粒子及び酸化銀粒子を用いた場合には、接合後に残渣が少なく、体積減少率も非常に小さい。該酸化銀粒子における酸化銀としては、AgO及びAgOが挙げられる。
上記金属原子含有粒子は、400℃未満の加熱で焼結することが好ましい。上記金属原子含有粒子が焼結する温度(焼結温度)は、より好ましくは350℃以下、好ましくは300℃以上である。上記金属原子含有粒子が焼結する温度が上記上限以下であると、焼結を効率的に行うことができ、更に焼結に必要なエネルギーを低減し、かつ環境負荷を小さくすることができる。
上記接合材料100重量%中、上記金属原子含有粒子の含有量は、好ましく10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、100重量%以下、好ましくは99重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記接合材料の全量が、上記金属原子含有粒子であってもよい。上記金属原子含有粒子の含有量が上記下限以上であると、上記金属原子含有粒子をより一層緻密に焼結させることができる。この結果、接合部における放熱性及び耐熱性も高くなる。
上記金属原子含有粒子が金属酸化物粒子である場合に、還元剤が用いられることが好ましい。上記還元剤としては、アルコール類(アルコール性水酸基を有する化合物)、カルボン酸類(カルボキシ基を有する化合物)及びアミン類(アミノ基を有する化合物)等が挙げられる。上記還元剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アルコール類としては、アルキルアルコールが挙げられる。上記アルコール類の具体例としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びイコシルアルコール等が挙げられる。また、上記アルコール類としては、1級アルコール型化合物に限られず、2級アルコール型化合物、3級アルコール型化合物、アルカンジオール及び環状構造を有するアルコール化合物も使用可能である。さらに、上記アルコール類として、エチレングリコール及びトリエチレングリコールなど多数のアルコール基を有する化合物を用いてもよい。また、上記アルコール類として、クエン酸、アスコルビン酸及びグルコースなどの化合物を用いてもよい。
上記カルボン酸類としては、アルキルカルボン酸等が挙げられる。上記カルボン酸類の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸及びイコサン酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸類は、1級カルボン酸型化合物に限られず、2級カルボン酸型化合物、3級カルボン酸型化合物、ジカルボン酸及び環状構造を有するカルボキシル化合物も使用可能である。
上記アミン類としては、アルキルアミン等が挙げられる。上記アミン類の具体例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン及びイコデシルアミン等が挙げられる。また、上記アミン類は分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有するアミン類としては、2−エチルヘキシルアミン及び1,5−ジメチルヘキシルアミン等が挙げられる。上記アミン類は、1級アミン型化合物に限られず、2級アミン型化合物、3級アミン型化合物及び環状構造を有するアミン化合物も使用可能である。
さらに、上記還元剤は、アルデヒド基、エステル基、スルホニル基又はケトン基などを有する有機物であってもよく、カルボン酸金属塩などの有機物であってもよい。カルボン酸金属塩は金属粒子の前駆体としても用いられる一方で、有機物を含有しているために、金属酸化物粒子の還元剤としても用いられる。
上記金属原子含有粒子の焼結温度(接合温度)よりも低い融点を有する還元剤を用いると、接合時に凝集し、接合部にボイドが生じやすくなる傾向がある。カルボン酸金属塩の使用により、該カルボン酸金属塩は接合時の加熱により融解しないため、ボイドが生じるのを抑制できる。なお、カルボン酸金属塩以外にも有機物を含有する金属化合物を還元剤として用いてもよい。
上記還元剤が用いられる場合には、上記接合材料100重量%中、上記還元剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。上記還元剤の含有量が上記下限以上であると、上記金属原子含有粒子をより一層緻密に焼結させることができる。この結果、接合部における放熱性及び耐熱性も高くなる。
上記接合用組成物100重量%中、上記接合材料の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下、より一層好ましくは99.5重量%以下、更に好ましくは99重量%以下、特に好ましくは90重量%以下、最も好ましくは80重量%以下である。
上記接合用組成物がペーストである場合に、該ペーストに用いられるバインダーは特に限定されない。上記バインダーは、上記金属原子含有粒子が焼結する際に、消失することが好ましい。上記バインダーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記バインダーの具体例としては、溶媒としては、脂肪族系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、パラフィン系溶媒及び石油系溶媒等が挙げられる。
上記脂肪族系溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサン等が挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、アセトン及びメチルエチルケトン等が挙げられる。上記芳香族系溶媒としては、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸イソプロピル等が挙げられる。上記エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサン等が挙げられる。上記アルコール系溶媒としては、エタノール及びブタノール等が挙げられる。上記パラフィン系溶媒としては、パラフィン油及びナフテン油等が挙げられる。上記石油系溶媒としては、ミネラルターペン及びナフサ等が挙げられる。
図4に、図1に示す導電性粒子21を含む接合用組成物を用いた接合構造体を模式的に断面図で示す。
図4に示す接合構造体1は、第1の接合対象部材2と、第2の接合対象部材3,4と、第1の接合対象部材2と第2の接合対象部材3,4とを接合している接合部5,6とを備える。接合部5,6は、金属原子含有粒子を含む接合材料と、導電性粒子21とを含む接合用組成物を用いて形成されている。
第1の接合対象部材2の第1の表面2a(一方の表面)側に接合部5及び第2の接合対象部材3が配置されている。接合部5は、第1の接合対象部材2と第2の接合対象部材3とを接合している。
第1の接合対象部材2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2b(他方の表面)側に接合部6及び第2の接合対象部材4が配置されている。接合部6は、第1の接合対象部材2と第2の接合対象部材4とを接合している。
第1の接合対象部材2と第2の接合対象部材3,4との間にそれぞれ、導電性粒子21が配置されている。接合部5は焼結物11を含み、接合部6は焼結物12を含む。焼結物11,12は、上記金属原子含有粒子を含む接合材料が焼結した焼結物である。第1の接合対象部材2と第2の接合対象部材3,4との間に、焼結物11,12が配置されている。焼結物11,12によって、第1の接合対象部材2と第2の接合対象部材3,4とが接合されている。
第2の接合対象部材3の接合部5側とは反対の表面に、ヒートシンク7が配置されている。第2の接合対象部材4の接合部6側とは反対側の表面に、ヒートシンク8が配置されている。従って、接合構造体1は、ヒートシンク7、第2の接合対象部材3、接合部5、第1の接合対象部材2、接合部6、第2の接合対象部材4及びヒートシンク8がこの順で積層された部分を有する。
第1の接合対象部材2としては、インバータ、コンバータ等に用いられるパワー半導体素子等が挙げられる。このような第1の接合対象部材2を備える接合構造体1では、接合構造体1の使用時に、第1の接合対象部材2において大きな熱量が発生しやすい。従って、第1の接合対象部材2から発生した熱量を、ヒートシンク7,8などに効率的に放散させる必要がある。このため、第1の接合対象部材2とヒートシンク7,8との間に配置されている接合部5,6には、高い放熱性が求められる。
第2の接合対象部材3,4としては、セラミック、プラスチックなどにより形成された基板等が挙げられる。
接合部5,6は、上記接合用組成物を加熱して、上記金属原子含有粒子を焼結させることにより形成されている。
接合部5,6の平均厚みをTとしたときに、接合後における導電性粒子21の接合部5,6の厚み方向における平均直径は好ましくは0.6T以上、より好ましくは0.8T以上、更に好ましくは0.9T以上、特に好ましくは0.95T以上、好ましくは1T以下である。このような厚みの関係を満足すると、第1,第2の接合対象部材間の間隔を高精度に制御できる。接合部5,6の平均厚みと接合後の導電性粒子21の平均直径とは等しくてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(接合材料(金属原子含有粒子))
(1)平均粒子径15nmである銀粒子
(2)平均粒子径12nmである銅粒子
(3)平均粒子径が5μmである酸化銀(AgO)粒子
(4)平均粒子径が6μmである酸化銅(CuO)粒子
(5)平均粒子径1nmである銀粒子
(6)平均粒子径100nmである銀粒子
(7)平均粒子径1μmである銅粒子
(8)平均粒子径100nmである銅粒子
(9)平均粒子径1nmである酸化銀(AgO)粒子
(10)平均粒子径50μmである酸化銀(AgO)粒子
(11)平均粒子径1nmである酸化銅(CuO)粒子
(12)平均粒子径50μmである酸化銅(CuO)粒子
(導電性粒子)
以下の実施例及び比較例において、導電性粒子の粒子径は以下の方法により求めた。
導電性粒子について、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製「S−3500N」)にて3000倍の粒子画像を撮影し、得られた画像中の粒子50個の粒子径をノギスで測定し、個数平均を求めて導電性粒子の粒子径を求めた。
(1)導電性粒子A(平均粒子径10μm、ジビニルベンゼン及びイソボルニルアクリレートにより形成された樹脂粒子(熱分解温度250℃)の表面に厚み300nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値3100N/mm
(2)導電性粒子B(平均粒子径10μm、ジビニルベンゼン及びイソボルニルアクリレートにより形成された樹脂粒子(熱分解温度250℃)の表面に厚み600nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値3100N/mm
(3)導電性粒子C(平均粒子径10μm、シリコーンにより形成された樹脂粒子(熱分解温度520℃)の表面に厚み300nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値450N/mm
(4)導電性粒子D(平均粒子径10μm、シリコーンにより形成された樹脂粒子(熱分解温度520℃)の表面に厚み600nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値450N/mm
(5)導電性粒子E(平均粒子径10μm、シリコーンにより形成された樹脂粒子(熱分解温度520℃)の表面に厚み300nmの銅−パラジウム合金層が形成されている、CV値4%、10%K値450N/mm
(6)導電性粒子F(平均粒子径10μm、シリコーンにより形成された樹脂粒子(熱分解温度520℃)の表面に厚み300nmのニッケル層と該ニッケル層の表面に厚み300nmの銀層とが形成されている、CV値4%、10%K値450N/mm
(7)導電性粒子G(平均粒子径10μm、シリコーンにより形成された樹脂粒子(熱分解温度520℃)の表面に厚み3nmの銀層が形成されている、CV値12%、10%K値450N/mm
(8)導電性粒子H(平均粒子径10μm、エチレングリコールジアクリレートにより形成された樹脂粒子(熱分解温度220℃)の表面に厚み300nmの銀層が形成されている、CV値10%、10%K値2100N/mm
(9)導電性粒子1(平均粒子径10μm、ジビニルベンゼンにより形成された樹脂粒子(熱分解温度360℃)の表面に厚み300nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値4800N/mm
(10)導電性粒子2(平均粒子径10μm、エチレングリコールジアクリレート及びメチルメタクリレートにより形成された樹脂粒子(熱分解温度160℃)の表面に厚み300nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値2900N/mm
(11)導電性粒子3(平均粒子径10μm、エチレングリコールジアクリレート及びオクチルアクリレートにより形成された樹脂粒子(熱分解温度140℃)の表面に厚み300nmの銀層が形成されている、CV値4%、10%K値1200N/mm
(還元剤)
(1)エタノール
(2)ブタン酸
(溶媒)
(1)トルエン
(2)酢酸エチル
(実施例1)
平均粒子径15nmである銀粒子を40重量部と、導電性粒子A1重量部と、溶媒であるトルエン40重量部とを配合し、混合して、接合用組成物を得た。
(実施例2〜19及び比較例1〜5)
配合成分の種類及び含有量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、接合用組成物を得た。
(評価)
(0)接合構造体の作製
第1の接合対象部材として、パワー半導体素子を用意した。第2の接合対象部材として、窒化アルミニウム基板を用意した。
第2の接合対象部材上に、接合用組成物を、約30μmの厚みとなるように塗布し、接合用組成物層を形成した。その後、接合用組成物層上に、上記第1の接合対象部材を積層して、積層体を得た。得られた積層体を3MPaの圧力をかけて300℃で10分加熱することにより、接合用組成物に含まれている上記金属原子含有粒子を焼結させて、焼結物と導電性粒子とを含む接合部を形成し、該焼結物により上記第1,第2の接合対象部材を接合して、接合構造体を得た。
(1)ボイドの発生状態ばらつき
得られた接合構造体の断面観察を行い、はんだシートにより形成された接合部に、ボイドが発生しているか否かを観察した。ボイドの発生状態を下記の基準で判定した。
[ボイドの発生状態ばらつきの判定基準]
○○:ボイドが発生していない
○:ボイドが発生しているものの、ボイドの最大径が2.5μm以下
△:ボイドが発生しているものの、ボイドの最大径が2.5μmを超え、5μm以下
×:ボイドが発生しており、ボイドの最大径が5μmを超える
(2)厚みばらつき
得られた接合構造体の端部をSEMで観察して、接合部の最小厚みと最大厚みとを評価した。厚みばらつきを下記の基準で判定した。なお、厚みばらつきが小さいほど、接合部の放熱性が部分的に低くなるのを抑制できる傾向がある。
[厚みばらつきの判定基準]
○○:最大厚みが最小厚みの1.2倍未満
○:最大厚みが最小厚みの1.2倍以上、1.5倍未満
×:最大厚みが最小厚みの1.5倍以上
(3)放熱性
熱抵抗測定装置により得られた接合構造体の熱抵抗を測定することにより、放熱性を評価した。放熱性を下記の基準で判定した。
[放熱性の判定基準]
○○:0.10℃/W未満
○:0.10℃/W以上、0.30℃/W未満
×:0.30℃/W以上
(4)接合強度
得られた接合構造体の剪断強度を測定することにより、接合強度を評価した。接合強度を下記の基準で判定した。
[接合強度の判定基準]
○○:10MPa以上
○:5MPa以上、10MPa未満
×:5MPa未満
(5)接合信頼性
得られた接合構造体を250℃で500時間放置した後、接合強度と同様の方法にて剪断強度を測定し、接合信頼性を評価した。接合信頼性を下記の基準で判定した。
[接合信頼性の判定基準]
○○:剪断強度が接合強度の0.90倍以上
○:剪断強度が接合強度の0.60倍以上、0.90倍未満
×:剪断強度が接合強度の0.60倍未満
(6)接合部の平均厚みと導電性粒子の平均直径との関係
得られた接合構造体の断面を観察して、接合部の平均厚みTと、接合後における上記導電性粒子の上記接合部の厚み方向における平均直径とを評価した。
(7)導電性粒子の圧縮弾性率(10%K値)
導電性粒子の10%K値を、23℃の条件で、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
結果を下記の表1に示す。なお、上記(2)厚みばらつきの評価において、得られた接合構造体の断面の厚みばらつきも評価したところ、実施例及び比較例の厚みばらつきの判定結果は表1に示す結果と同じであった。
Figure 2016015256
1…接合構造体
2…第1の接合対象部材
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3,4…第2の接合対象部材
5,6…接合部
7,8…ヒートシンク
11,12…焼結物
21…導電性粒子
22…基材粒子
22a…表面
23…導電層
31…導電性粒子
32…導電層
32A…第1の導電層
32B…第2の導電層
41…導電性粒子
42…基材粒子
42A…コア
42B…シェル
42a…表面

Claims (10)

  1. 金属原子含有粒子を含む接合材料中に分散されて、前記金属原子含有粒子を焼結させて用いられる導電性粒子であって、
    基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備え、
    前記基材粒子の熱分解温度が200℃以上であり、
    前記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が300N/mm以上、3500N/mm以下である、導電性粒子。
  2. 前記基材粒子がシリコーン粒子である、請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 前記導電層が銅層を有する、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
  4. 前記基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された銅層と、前記銅層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備えるか、又は、
    前記基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された銅層とを備え、かつ前記銅層の外側の表面が防錆処理されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  5. 前記第2の導電層が、ニッケル、金、銀又は錫を含む、請求項4に記載の導電性粒子。
  6. 前記接合材料が、平均粒子径が1nm以上、100nm以下である銀粒子又は平均粒子径が1nm以上、100nm以下である銅粒子を含む接合材料であるか、又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である酸化銀粒子又は平均粒子径が1nm以上、50μm以下である酸化銅粒子と還元剤とを含む接合材料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  7. 前記金属原子含有粒子が、400℃未満の加熱で焼結する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性粒子と、金属原子含有粒子を含む接合材料とを含有する、接合用組成物。
  9. 第1の接合対象部材と、
    第2の接合対象部材と、
    前記第1,第2の接合対象部材を接合している接合部とを備え、
    前記接合部が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性粒子と、金属原子含有粒子を含む接合材料とを含む接合用組成物を用いて形成されており、
    前記接合部が、前記接合用組成物を加熱して、前記金属原子含有粒子を焼結させることにより形成されており、
    前記金属原子含有粒子が焼結した焼結物によって、前記第1,第2の接合対象部材が接合されており、前記第1,第2の接合対象部材間に、前記導電性粒子が配置されている、接合構造体。
  10. 第1,第2の接合対象部材間に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性粒子と、金属原子含有粒子を含む接合材料とを含む接合用組成物を配置する工程と、
    前記接合用組成物を加熱して、前記金属原子含有粒子を焼結させることによって、接合部を形成して、前記第1,第2の接合対象部材を接合する工程とを備え、
    前記金属原子含有粒子が焼結した焼結物によって、前記第1,第2の接合対象部材を接合し、前記第1,第2の接合対象部材間に、前記導電性粒子を配置する、接合構造体の製造方法。
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