以下、図面を参照しながら、本発明に係る電子デバイス用接着剤及び電子デバイスの接着方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
[電子デバイス用接着剤]
本実施形態に係る電子デバイス用接着剤は、静電気緩和粒子を含有する。また、本実施形態に係る電子デバイス用接着剤は、接着剤成分を更に含有することできる。なお、本明細書における「電子デバイス」とは、ハードディスク用磁気記録ヘッド、並びに、メモリ及びCPU等の半導体チップといったデバイスを包含するものである。
図1は、電子デバイス用接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、電子デバイス用接着剤1は、静電気緩和粒子2と接着剤成分3とを含有するフィルム状の接着剤である。電子デバイス用接着剤1はフィルム状であるため、形状の同じデバイス及び回路基板を大量に接着する際の自動化が容易となる。
また、本実施形態に係る電子デバイス用接着剤は、静電気緩和粒子と接着剤成分とを含有する液状の接着剤であってもよい。電子デバイス用接着剤が液状である場合、接着するデバイス及び回路基板の形状の制約が少ないため、多品種を接着する場合に好適に使用できる。
本実施形態に係る静電気緩和粒子は、静電気による放電及び通電を緩和する粒子である。より具体的には、本実施形態に係る静電気緩和粒子は、電子デバイス用接着剤に含有されるものであり、該電子デバイス用接着剤を介して電子デバイスを電子部材に接着したときに、電子デバイス等に滞留する静電気の放電及び通電を緩和する機能を有する粒子である。なお、本明細書における「電子部材」とは、本明細書における電子デバイス、及び該電子デバイスを実装する回路基板を包含するものである。
静電気緩和粒子2の抵抗(粒子一つの抵抗)は、静電気による放電及び通電をより緩和しやすくできる点から、10Ω以上107Ω以下であることが好ましく、100Ω以上106Ω以下であることがより好ましく、1000Ω以上105Ω以下であることが更に好ましい。また、静電気緩和粒子2の抵抗は、静電気電圧、並びに接合する電子デバイス及び電子部材の耐電圧に応じて選定されることが好ましい。具体的には、静電気電圧が1KV以上の場合には、静電気緩和粒子2の抵抗は、105Ω以上であることが好ましく、106Ω以上であることがより好ましい。静電気電圧が100〜1KVの場合には、静電気緩和粒子2の抵抗は104Ω以上106Ω以下であることが好ましい。静電気電圧が10〜100Vの場合には、静電気緩和粒子2の抵抗は100Ω以上104Ω以下であることが好ましい。静電気電圧が10V以下の場合には、静電気緩和粒子2の抵抗は10Ω以上104Ω以下であることが好ましい。
静電気緩和粒子2の抵抗は、公知の方法を用いて測定することができ、例えば、微小圧縮試験機(PCT−200型、株式会社島津製作所製)を用いて、微小圧縮試験機の圧子とステンレステーブルとに金線を接合して圧子とステンレステーブルとの間の抵抗を測定できるようにした後、圧子が静電気緩和粒子に接触してから1μm押し込んだ位置での抵抗を測定すればよい。
また、静電気緩和粒子2としては、無変形の粒子の抵抗に比して、粒子に圧力を加えて粒子の直径が無変形時の直径の50%となるように扁平させたときの粒子の抵抗が1/100以下となる粒子を好適に用いることができる。
静電気緩和粒子2の平均粒径(直径)は、接合する電極表面の凹凸の影響を受けにくくできる点から、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが更に好ましい。平均粒径の上限は、用途により異なるが例えば100μmである。なお、静電気緩和粒子2の平均粒径は、例えばレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径D50)として測定することができる。
静電気緩和粒子2としては、上述の機能を有する粒子あれば特に制限されないが、酸化被膜を有する粒子、複合粒子等を用いることができる。
図2は、静電気緩和粒子2の一実施形態である酸化被膜を有する粒子を示す模式断面図である。図2に示すように、酸化被膜を有する粒子2aは、核体4と、核体4の外表面に酸化被膜5とを有している。
核体4としては、ニッケル、鉄、銅等の金属粒子、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂粒子を用いることができる。そして、上記の核体4の外表面にニッケル、銅、銀等の金属めっき膜を形成した粒子を、恒温恒湿槽で処理することによって金属めっき膜を酸化させて酸化被膜5とすることができる。または、核体4としてニッケル、鉄、銅等の金属粒子を用い、核体4を上記と同様に恒温恒湿槽で処理することによって核体4の外表面を酸化させて酸化被膜5を形成することもできる。
酸化被膜5を形成する際の恒温恒湿槽の温度及び湿度、並びに恒温恒湿槽での処理時間を適宜調整することで、所望の抵抗等の特性を有する静電気緩和粒子を得ることができる。例えば恒温恒湿槽での処理時間が長時間であるほど高抵抗となる傾向にある。
また、酸化被膜5の膜厚が厚いほど酸化被膜を有する粒子2aの抵抗が高くなる傾向にある。酸化被膜5の膜厚は、静電気による放電及び通電をより緩和しやすくできる点から、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることが更に好ましい。また、酸化被膜5の膜厚は、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。これにより、酸化被膜5が、静電気緩和粒子の変形に伴って生じる核体又は粒子内部の未酸化金属の変形に追随しやすくなり、酸化被膜5の割れ及びそれに伴う粒子内部の未酸化金属の露出が抑制される。なお、酸化被膜5の膜厚は、例えばエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて測定することができる。
酸化被膜を有する粒子2aとしては、電子デバイスの接続又は接着の際に酸化被膜を有する粒子2aによる電子デバイスの破損を抑制できる点、及び酸化被膜を有する粒子2aの粒径を制御しやすい点から、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂粒子から構成される核体4と、核体4の外表面にニッケル、銅、銀等の金属めっき膜を酸化させた酸化被膜5とを有する粒子であることが好ましい。
図3は、静電気緩和粒子2の他の実施形態である複合粒子を示す模式断面図である。図3に示すように、複合粒子2bは、バインダ6と導電性微粉末7とを含んでいる。
バインダ6としては、絶縁性のものであれば特に制限されないが、スチレン−ブタジエン系ゴム、ポリブタジエン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム等のゴム;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ジビニルベンゼン重合樹脂;ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジビニルベンゼン−メタクリル酸エステル共重合体等のジビニルベンゼン系共重合樹脂;ポリアルキレンテレフタレート樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド樹脂;フェノールホルムアルデヒド樹脂;メラミンホルムアルデヒド樹脂;ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂;尿素ホルムアルデヒド樹脂などを用いることができる。バインダ6としては、上記のものを1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
バインダ6は、粒子状であることが好ましく、単層構造、多層構造(コアシェル構造等)及び中空構造のいずれの粒子状であってもよい。バインダ6が粒子状である場合、バインダ6の平均粒径は、50nm〜700nmであることが好ましい。
導電性微粉末7としては、例えば炭素系導電材料、金属微粉末を用いることができる。導電性微粉末7は、複合粒子2bへの分散性の観点からは、炭素系導電材料であることが好ましく、炭素系導電材料の中でも導電性が高い、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、又は中空シェル構造を有するケッチェンブラックであることがより好ましい。また、導電性微粉末7は、導電性の観点からは、金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン等の金属微粉末であることが好ましい。導電性微粉末7としては、上記のものを1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
導電性微粉末7の形状は、特に制限されないが、例えば球状、針状、鱗片状とすることができる。また、導電性微粉末7は、多孔質性の球状、針状、鱗片状であってもよい。導電性微粉末7の平均粒径は、複合粒子2bの平均粒径の0.0002〜0.6倍であることが好ましい。また、複合粒子2b中の導電性微粉末7の含有量は、複合粒子2bの真比重から求められる体積総量に対し、20〜99体積%であることが好ましく、40〜80体積%であることがより好ましい。
上述したようなバインダ6と導電性微粉末7とを含む複合粒子2bは、公知の方法(例えば特開2013−229240号公報を参照)を用いて製造することができるが、例えば、バインダ6と導電性微粉末7とを水に分散させて分散液とした後、その分散液をスプレードライヤー装置によって噴霧することで製造することができる。
電子デバイス用接着剤においては、静電気緩和粒子2として上述した静電気緩和粒子を1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
静電気緩和粒子2の含有量は、静電気緩和粒子2の粒径、及び接合する電子デバイス又は回路の仕様により適宜選定されるが、電子デバイス用接着剤1に対する密度で、0.05〜50体積%であることが好ましく、0.5〜30体積%であることがより好ましい。含有量が0.05体積%以上であると、接着剤全体にわたって静電気を緩和しやすくなり、また、電極間の電位差を緩和する場合には静電気緩和粒子が電極間に捕捉されやすくなる。また、含有量が50体積%以下であると、接着剤の接着力及び絶縁性を確保しやすくなる。
接着剤成分3としては、静電気緩和粒子2を劣化させる等の悪影響を及ぼさないものであれば、一般的な接着剤成分を用いることができる。このような接着剤成分としては、例えば、熱硬化性の接着剤組成物、光硬化性の接着剤組成物が挙げられる。より具体的には、例えば、(1)エポキシ樹脂及び(2)エポキシ樹脂の硬化剤を含有する接着剤組成物、(3)ラジカル重合性物質及び(4)加熱又は光によって遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する接着剤組成物、上記(1)及び(2)の成分を含む接着剤組成物と上記(3)及び(4)の成分を含む接着剤組成物との混合組成物が挙げられる。
上記の成分(1)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。また、アクリロイル基又はメタクリロイル基をエポキシ樹脂の側鎖に付加させてもよい。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記の成分(2)の硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させることができるものであれば特に制限はなく、例えば、アニオン重合性の触媒型硬化剤、カチオン重合性の触媒型硬化剤、重付加型の硬化剤が挙げられる。これらのうち、速硬化性において優れ、化学当量的な考慮が不要である点からは、アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤が好ましい。
上記アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤としては、例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ジアミノマレオニトリル、メラミン及びその誘導体、ポリアミンの塩、ジシアンジアミドが挙げられ、これらの変成物を使用することもできる。
上記重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン類、ポリメルカプタン、ポリフェノール、酸無水物が挙げられる。
アニオン重合型の触媒型硬化剤として、例えば、第3級アミン類、イミダゾール類を用いた場合、エポキシ樹脂は160℃〜200℃程度で数10秒〜数時間程度の加熱により硬化する。このため、接着剤組成物の可使時間(ポットライフ)が比較的長くなるので好ましい。
また、カチオン重合型の触媒型硬化剤としては、エネルギー線照射によりエポキシ樹脂を硬化させる感光性オニウム塩(芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が主として用いられる)も好適に使用することができる。また、エネルギー線照射以外に加熱によって活性化しエポキシ樹脂を硬化させるカチオン重合型の触媒型硬化剤として、例えば、脂肪族スルホニウム塩がある。この種の硬化剤は、速硬化性という特徴を有することから好ましい。
これらのエポキシ樹脂の硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質、ニッケル、銅等の金属薄膜、ケイ酸カルシウム等の無機物などで被覆してマイクロカプセル化した潜在性硬化剤は、接着剤組成物の可使時間を延長できるため好ましい。
これらの硬化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記の成分(2)の硬化剤の配合量は、電子デバイス同士の接続時間を例えば25秒以下といった短時間にする場合、充分な反応率を得るためにエポキシ樹脂と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、2〜20質量部であることがより好ましい。なお、接続時間を限定しない場合の硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.1〜2質量部であることがより好ましい。
上記の成分(3)ラジカル重合性物質としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、アクリレート(対応するメタクリレートも含む。以下同じ。)化合物、マレイミド化合物、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂が挙げられる。これらラジカル重合性物質は、モノマー又はオリゴマーの状態で用いてもよく、モノマーとオリゴマーとを併用することも可能である。また、必要により、ラジカル重合性物質と共に、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を適宜用いてもよい。また、耐熱性の向上の観点から、アクリレート化合物等のラジカル重合性物質がジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基、トリアジン環等の置換基を少なくとも1種有することが好ましい。
上記アクリレート化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートが挙げられる。
上記マレイミド化合物としては、例えば、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するものである。このようなマレイミド化合物としては、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン)、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。
上記シトラコンイミド樹脂としては、例えば、分子中にシトラコンイミド基を少なくとも1個有するシトラコンイミド化合物を重合させてなるものである。このようなシトラコンイミド化合物としては、例えば、フェニルシトラコンイミド、1−メチル−2,4−ビスシトラコンイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−p−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。
上記ナジイミド樹脂としては、例えば、分子中にナジイミド基を少なくとも1個有しているナジイミド化合物を重合してなるものである。このようなナジイミド化合物としては、例えば、フェニルナジイミド、1−メチル−2,4−ビスナジイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスナジイミド、N,N’−p−フェニレンビスナジイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスナジイミド、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−ナジイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。
また、上記ラジカル重合性物質と下記化学式(I)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質とを併用することが好ましい。この場合、金属等の無機物表面に対する接着強度が向上するため、回路電極同士の接着に好適である。
化学式(I)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質は、例えば、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得ることができる。化学式(I)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質の具体例としては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
上記化学式(I)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質の配合量は、ラジカル重合性物質と必要により配合するフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
また、上記ラジカル重合性物質は、アリルアクリレートと併用することもできる。この場合、アリルアクリレートの配合量は、ラジカル重合性物質と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
これらのラジカル重合性物質は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記した成分(4)の加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤としては、例えば、加熱又は紫外線等の電磁波の照射により分解して遊離ラジカルを発生する硬化剤であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、過酸化化合物、アゾ系化合物が挙げられる。このような硬化剤は、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定される。高反応性とポットライフの向上の観点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。
加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤として、より具体的には、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が好ましく、高反応性が得られるパーオキシエステルがより好ましい。
上記パーオキシエステルとしては、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノデート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテートが挙げられる。
上記ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイドが挙げられる。
上記ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドが挙げられる。
上記シリルパーオキサイドとしては、例えば、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイドが挙げられる。
上記ジアシルパーオキサイドとしては、例えば、イソブチルパーオキサイド、2,4―ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。
上記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートが挙げられる。
上記パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1―(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカンが挙げられる。
また、回路電極の腐食を抑えるという観点から、硬化剤は、硬化剤中に含有される塩素イオン及び有機酸の濃度が5000ppm以下であることが好ましい。また、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。
これらの加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤には、例えば、分解促進剤、抑制剤を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化し、潜在性を付与してもよい。マイクロカプセル化した硬化剤は、可使時間が延長されるために好ましい。
上記加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤の配合量は、接続時間を25秒以下とする場合、充分な反応率を得るためにラジカル重合性物質と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、2〜10質量部であることが好ましく、4〜8質量部であることがより好ましい。なお、接続時間を限定しない場合の硬化剤の配合量は、ラジカル重合性物質と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。
これらの加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上述した接着剤組成物には、必要に応じて、フィルム形成材を添加してもよい。フィルム形成材とは、例えば、液状物を固形化し、構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取扱いを容易とし、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械的特性等を付与するものであり、通常の状態(常温常圧下)でフィルムとしての取扱いができるものである。これらフィルム形成材としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらの中でも、接着性、相溶性、耐熱性、機械的強度等が優れることから、フェノキシ樹脂が好ましい。
上記フェノキシ樹脂は、例えば、2官能フェノール類とエピハロヒドリンとを高分子化するまで反応させたり、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類とを重付加させたりすることにより得られる樹脂である。具体的には、例えば、2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとをアルカリ金属水酸化物等の触媒の存在下、非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、フェノキシ樹脂としては、樹脂の機械的特性及び熱的特性の観点からは、特に2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類との配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1とし、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下、沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で、反応固形分が50質量部以下の条件で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。
上記2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテルが挙げられる。
上記2官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基を有するものであり、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類が挙げられる。これらフェノキシ樹脂は、ラジカル重合性の官能基、又はその他の反応性化合物により変性(例えば、エポキシ変性)されていてもよい。
上記フィルム形成材の配合量は、(1)エポキシ樹脂及び(2)エポキシ樹脂の硬化剤を含有する接着剤組成物に配合させる場合、回路接続時の樹脂流動性の観点からエポキシ樹脂とフィルム形成材との合計100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、20〜70質量部であることがより好ましい。
また、上記フィルム形成材の配合量は、(3)ラジカル重合性物質及び(3)加熱又は光によって遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する接着剤組成物に配合させる場合、回路接続時の樹脂流動性の観点からラジカル重合性物質とフィルム形成材との合計100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、20〜70質量部であることがより好ましい。
これらのフィルム形成材は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上述した接着剤組成物は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアクリロニトリルのうち少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体を更に含んでいてもよい。応力緩和の観点からは、グリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートをモノマー成分として含む共重合体系アクリルゴムが好ましい。これらのアクリルゴムの重量平均分子量は、接着剤の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
本実施形態に係る電子デバイス用接着剤は、導電性粒子を更に含有していてもよい。図4は、電子デバイス用接着剤の他の実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、電子デバイス用接着剤11は、静電気緩和粒子2と導電性粒子8と接着剤成分3とを含有するフィルム状の接着剤である。なお、本実施形態に係る電子デバイス用接着剤は、静電気緩和粒子と導電性粒子と接着剤成分とを含有する液状の接着剤であってもよい。
導電性粒子8としては、公知の導電性粒子を用いることができるが、例えば、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子、又は、カーボン、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電粒子をAu、Ag、Pt、Ni等の金属で被覆した粒子を用いることができる。導電性粒子8として金属粒子を用いる場合には、粒子表面の酸化を抑制するために粒子表面を貴金属で被覆したものを用いることが好ましい。金属粒子又は非導電粒子を貴金属で被覆する場合の被覆層の厚さは、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
導電性粒子8の抵抗(粒子一つの抵抗)は、低いほど好ましく、具体的には、5Ω以下であることが好ましく、1Ω以下であることがより好ましく、0.5Ω以下であることが更に好ましい。抵抗が5Ω以下であると、接合した電子デバイスの動作不良を抑制しやすくなる。
また、導電性粒子8の平均粒径(直径)は、500nm〜50μmであることが好ましい。また、電子デバイス用接着剤11において、導電性粒子8の平均粒径は、静電気緩和粒子2の平均粒径より小さいことが好ましい。具体的には、導電性粒子8の平均粒径(直径)は、静電気緩和粒子2の平均粒径(直径)に対して、0.9倍以下であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましく、0.5倍以下であることが更に好ましい。これにより、電子デバイスを例えば回路基板に接続する際、静電気緩和粒子2が導電性粒子8より先に電子デバイス及び回路基板に接触することとなり、静電気による放電及び通電をより緩和しやすくなる。
導電性粒子8の含有量は、接合する電子デバイス又は回路の仕様により適宜選定されるが、電子デバイス用接着剤11に対する密度で、0.05〜50体積%であることが好ましく、0.5〜30体積%であることがより好ましい。含有量が0.05体積%以上であると、電極間を接合する場合に導電性粒子が電極間に捕捉されやすくなる。また、含有量が50体積%以下であると、接着剤の接着力及び絶縁性を確保しやすくなる。
上述した電子デバイス用接着剤は、電子デバイスと電子部材との接着等に好適に用いることができる。
[電子デバイスの接着方法]
図5は、電子デバイスの接着方法の一実施形態を示す模式断面図である。図5は、電子デバイス用接着剤11を介して、電子デバイス21(例えば半導体チップ21a)と回路基板(電子部材)22とを接着することにより、電子デバイス21を回路基板(電子部材)22に接続する接着方法(回路接続方法)を示している。なお、電子デバイス用接着剤としては、以下で説明する接着方法を実行できるものであれば特に制限はないが、静電気緩和粒子を含有する電子デバイス用接着剤を用いることが好ましく、静電気緩和粒子と導電性粒子とを含有する電子デバイス用接着剤を用いることがより好ましい。
この電子デバイスの接着方法では、まず、図5(a)に示すように、半導体チップ21aと回路基板22とを互いに対向するように配置し、更に静電気緩和粒子2と導電性粒子8と接着剤成分3とを含有するフィルム状の電子デバイス用接着剤11を半導体チップ21aと回路基板22との間に介在させる。この場合、静電気緩和粒子2としては、特に制限されないが、最終的に導電性粒子8を介して半導体チップ21aと回路基板22とを接続した際に確実に導通を確保できる点から、複合粒子2bを用いることが好ましい。
続いて、図5(b)に示すように、半導体チップ21a及び回路基板22のそれぞれに対して、半導体チップ21aと回路基板22との対向方向(矢印A及びBで示す方向)に加圧する。このとき、加圧すると共に加熱することが好ましい。加圧条件は、例えば半導体チップ21aに対して0.5MPa〜7MPaとすることができる。また、加熱条件は、接着剤成分によって適宜選定されるが、例えば50℃〜250℃で2秒〜600秒加熱とすることができる。そして、加圧を続けると、まず、図5(c)に示すように、静電気緩和粒子2が半導体チップ21a及び回路基板22のいずれにも接触する。更に加圧を続けると、図5(d)に示すように、静電気緩和粒子2は扁平し、半導体チップ21aと回路基板22とが、導電性粒子8を介して互いに電気的に接続する。
ここで、図5に示した電子デバイスの接着方法における半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗の変化について説明する。図6は、図5に示した電子デバイスの接着方法における半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗の変化を示す模式図である。なお、半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗とは、半導体チップ21aと回路基板22とにおいて互いに略対向する位置間の抵抗を意味する。
図6に示すように、加圧を開始した時点(図5(b)の時点)から所定の期間(絶縁期間Ta)では、半導体チップ21aと回路基板22とは絶縁状態となっており、半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗は非常に大きくなっている(例えば108Ω以上)。
そして、加圧を続けていき、静電気緩和粒子2が半導体チップ21a及び回路基板22のいずれにも接触すると(図5(c))、まず、半導体チップ21a又は回路基板22に滞留していた静電気の放電及び通電によって、半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗が急峻に低下する(第1の急峻期間Tb1)。第1の急峻期間Tb1は、例えば10−7〜10−2秒間となっている。
続いて、半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗が第1の急峻期間Tb1に比べて非常に緩やかに低下し、半導体チップ21a又は回路基板22に滞留していた静電気の放電及び通電が緩和される(緩和期間Tc)。緩和期間Tcは、静電気の放電及び通電をより緩和することができる点から、10−5秒間以上であることが好ましく、10−3秒間以上であることがより好ましく、10−2秒間以上であることが更に好ましい。また、緩和期間Tcの上限は、特に制限されないが、例えば10秒間以下である。そして、緩和期間Tcを経ることによって、静電気の放電及び通電が緩和し、半導体チップ21aと回路基板22とが互いに等電位となる。
続いて、静電気緩和粒子2は扁平し、半導体チップ21aと回路基板22とが、導電性粒子8を介して互いに電気的に接続すると(図5(d))、半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗が急峻に低下する第2の急峻期間Tb2を経て、最終的に半導体チップ21aと回路基板22との間の抵抗がR(Rは例えば10Ω以下)となる(導通期間Td)。
このように、本実施形態に係る電子デバイスの接着方法では、電子デバイス21と回路基板22との間の抵抗の低下が相対的に緩やかになるように(第1の急峻期間Tb1から緩和期間Tcへ)変化する変化点Pが少なくとも一つ存在するように接着する。なお、変化点Pは、緩和期間Tcにおける単位時間当たりの抵抗の低下率が、第1の急峻期間Tb1における単位時間当たりの抵抗の低下率に対して、好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.1倍以下、更に好ましくは0.01倍以下となるように変化する点である。
変化点Pは、静電気の放電及び通電を十分に緩和できる点から、電子デバイス21と回路基板22との間の抵抗が10Ω以上である期間に存在する。上記と同様の観点から、変化点Pは、電子デバイス21と回路基板22との間の抵抗が好ましくは10Ω以上107Ω以下、より好ましくは100Ω以上106Ω以下、更に好ましくは1000Ω以上105Ω以下である期間に存在する。また、変化点Pは、電子デバイス21と回路基板22との間の静電気電圧が10V以下の場合には、電子デバイス21と回路基板22との間の抵抗が10Ω以上10000Ω以下である期間に存在することが特に好ましく、静電気電圧が10〜100Vの場合には、抵抗が100Ω以上105Ω以下である期間に存在することが特に好ましく、静電気電圧が100〜1000Vの場合には、抵抗が1000Ω以上106Ω以下である期間に存在することが特に好ましく、静電気電圧が1000V以上の場合には、抵抗が104Ω以上107Ω以下である期間に存在することが特に好ましい。
上述した電子デバイスの接着方法では、半導体チップ21a(電子デバイス21)と回路基板22との間の抵抗が図6に示した変化をするように、半導体チップ21a(電子デバイス21)を回路基板22に接続するが、変形例として、半導体チップ21a(電子デバイス21)と回路基板22との間の抵抗が図7に示した変化をするように、半導体チップ21a(電子デバイス21)を回路基板22に接続してもよい。
具体的には、この変形例では、例えば、電子デバイス用接着剤として、第1の静電気緩和粒子と第2の静電気緩和粒子と導電性粒子と接着剤成分とを含有する電子デバイス用接着剤を用いる。ここで、第1の静電気緩和粒子の粒径は第2の静電気緩和粒子の粒径より大きく、第1の静電気緩和粒子の抵抗は第2の静電気緩和粒子の抵抗より大きいとする。
この場合、電子デバイスを回路基板に接続するために加圧すると、まず、第1の静電気緩和粒子が電子デバイス及び回路基板のいずれにも接触する。このとき、電子デバイスと回路基板との間の抵抗は、非常に大きい値(絶縁期間Ta)から急峻に低下し(第1の急峻期間Tb1)、その後緩やかに低下する(第1の緩和期間Tc1)。そして、加圧を続けると、第2の静電気緩和粒子が電子デバイス及び回路基板のいずれにも接触する。このとき、第2の静電気緩和粒子の抵抗が第1の静電気緩和粒子の抵抗よりも小さいため、電子デバイスと回路基板との間の抵抗は、また急峻に低下することとなり(第2の急峻期間Tb2)、その後緩やかに低下する(第2の緩和期間Tc2)。続いて、第1の静電気緩和粒子及び第2の静電気緩和粒子が扁平し、電子デバイスと回路基板とが導電性粒子を介して電気的に接続する。このとき、電子デバイスと回路基板との間の抵抗は、急峻に低下し(第3の急峻期間Tb3)、その後例えば10Ω以下となる(導通期間Td)。
このように、変形例では、電子デバイスと回路基板との間の抵抗の低下が緩やかになるように変化する変化点が二つ存在する(変化点P1及びP2)。変化点P1は、第1の急峻期間Tb1から第1の緩和期間Tc1へ変化する点であり、変化点P2は、第2の急峻期間Tb2から第2の緩和期間Tc2へ変化する点である。この変形例においても、静電気の放電及び通電を緩和することが可能となる。
ここで、比較のために、静電気緩和粒子を含有しない(すなわち、導電性粒子及び接着剤成分のみを含有する)接着剤を用いた場合の電子デバイスと回路基板との間の抵抗の変化を示す模式図を図8に示した。この場合、電子デバイスを回路基板に接続するために加圧すると、静電気の放電及び通電が緩和されていない状態で、導電性粒子が電子デバイス及び回路基板のいずれにも接触して両者を電気的に接続するため、電子デバイスと回路基板との間の抵抗は、非常に大きい値(絶縁期間Ta)から急峻に低下し(急峻期間Tb)、例えば10Ω以下となる(導通期間Td)。したがって、短い急峻期間Tbにおける電子デバイスと回路基板との間の電流が大きくなるため、電子デバイス又は回路基板がダメージを受けてしまう。
図9は、電子デバイスの接着方法の他の実施形態を示す模式断面図である。図9は、電子デバイス用接着剤1を介して、電子デバイス21(例えば半導体チップ21a)と、電子部材として電子デバイス21(例えばリードフレーム21b)とを接着する方法(例えばダイボンディング)を示している。
この電子デバイスの接着方法では、まず、図9(a)に示すように、半導体チップ21aとリードフレーム21bとが互いに対向するように配置し、更に静電気緩和粒子2と接着剤成分3とを含有するフィルム状の電子デバイス用接着剤1を半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間に介在させる。この場合、静電気緩和粒子2としては、特に制限されないが、半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗を確保するために、酸化被膜を有する粒子2aを用いることが好ましい。
続いて、図9(b)に示すように、半導体チップ21a及びリードフレーム21bのそれぞれに対して、半導体チップ21aとリードフレーム21bとの対向方向(矢印A及びBで示す方向)に加圧する。このとき、加圧すると共に加熱することが好ましい。加圧条件は、半導体チップ21aに対して0.5MPa〜7MPaとすることができる。また、加熱条件は、接着剤成分によって適宜選定されるが、例えば50℃〜250℃で2秒〜600秒加熱することができる。そして、加圧を続けると、図9(c)に示すように、静電気緩和粒子2が半導体チップ21a及びリードフレーム21bのいずれにも接触した状態で、半導体チップ21aとリードフレーム21bとが互いに接着する。
ここで、図9に示した電子デバイスの接着方法における半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗の変化について説明する。図10は、図9に示した電子デバイスの接着方法における半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗の変化を示す模式図である。なお、半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗とは、半導体チップ21aとリードフレーム21bとにおいて互いに略対向する位置間の抵抗を意味する。
図10に示すように、加圧を開始した時点(図9(b)の時点)から所定の期間(絶縁期間Te)では、半導体チップ21aとリードフレーム21bとは絶縁状態となっており、半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗は非常に大きくなっている(例えば108Ω以上)。
そして、加圧を続けていき、静電気緩和粒子2が半導体チップ21a及びリードフレーム21bのいずれにも接触すると(図9(c))、まず、半導体チップ21a又はリードフレーム21bに滞留していた静電気の放電及び通電によって、半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗が急峻に低下する(急峻期間Tf)。急峻期間Tfは、例えば10−7〜10−2秒間となっている。
続いて、半導体チップ21aとリードフレーム21bとの間の抵抗が急峻期間Tfに比べて非常に緩やかに低下し、半導体チップ21a又はリードフレーム21bに滞留していた静電気の放電及び通電が緩和される(緩和期間Tg)。10−5秒間以上であることが好ましく、10−3秒間以上であることがより好ましく、10−2秒間以上であることが更に好ましい。また、緩和期間Tcの上限は、特に制限されないが、例えば10秒間以下である。そして、緩和期間Tgを経ることによって、静電気の放電及び通電が緩和し、半導体チップ21aとリードフレーム21bとが互いに等電位となる。
このように、本実施形態に係る電子デバイスの接着方法では、電子デバイス21,21間の抵抗の低下が相対的に緩やかになるように(急峻期間Tfから緩和期間Tgへ)変化する変化点Qが少なくとも一つ存在するように接着する。なお、変化点Qは、緩和期間Tgにおける単位時間当たりの抵抗の低下率が、急峻期間Tfにおける単位時間当たりの抵抗の低下率に対して、好ましくは0.1倍以下、より好ましくは0.05倍以下、更に好ましくは0.01倍以下となるように変化する点である。
また、変化点Qは、静電気の放電及び通電を十分に緩和できる点から、電子デバイス21,21間の抵抗が好ましくは10Ω以上107Ω以下、より好ましくは100Ω以上106Ω以下、更に好ましくは1000Ω以上105Ω以下である期間に存在する。また、変化点Qは、電子デバイス21,21間の静電気電圧が10V以下の場合には、電子デバイス21,21間の抵抗が10Ω以上10000Ω以下である期間に存在することが特に好ましく、静電気電圧が10〜100Vの場合には、抵抗が100Ω以上105Ω以下である期間に存在することが特に好ましく、静電気電圧が100〜1000Vの場合には、抵抗が1000Ω以上106Ω以下である期間に存在することが特に好ましく、静電気電圧が1000V以上の場合には、抵抗が104Ω以上107Ω以下である期間に存在することが特に好ましい。
一方、静電気緩和粒子を含有しない接着剤を用いた場合、電子デバイス同士を接着させても両者は等電位とならない。したがって、接着後の工程(例えばワイヤボンディングによって電子デバイス同士を電気的に接続する工程)において、電子デバイスに滞留していた静電気の放電及び通電によって、電子デバイスがダメージを受けてしまう。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、以下のとおり、静電気緩和粒子1〜5を作製した。
[静電気緩和粒子の作製]
(静電気緩和粒子1の作製)
平均粒径9.5μmのポリスチレン粒子にNiめっきを施し、平均粒径10μmの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子を85℃−85%RHの恒温恒湿槽で12時間処理することによってNiめっきを酸化させ、静電気緩和粒子1を得た。
(静電気緩和粒子2の作製)
平均粒径10μmのニッケル微粉末(株式会社高純度化学研究所製:NIE04PB(商品名))を85℃−85%RHの恒温恒湿槽で24時間処理して、静電気緩和粒子2を得た。
(静電気緩和粒子3の作製)
(1)材料の調製
バインダであるゴム粒子(日本ゼオン株式会社製ラテックスゴム、商品名:Nipol LX430(スチレン・ブタジエンゴム、平均粒径:150nm、Tg:12℃、ゴム固形分:48%))305g(ゴム成分:48g)と、炭素系導電性微粉末材料(ライオン株式会社製水分散系ケッチェンブラック、商品名:ライオンペーストW−311N(平均一次粒径:40nm、水分散粒径:400nm以下、ケッチェンブラック含有量8.1%))321g(ゴム固形分量/ケッチェンブラック量の比率が質量換算で85/15)と、純水300gとを配合した。得られた配合物を、攪拌羽根をセットしたモータで1時間攪拌混合し(室温:25℃)、水分散型の複合粒子用材料を調製した。
(2)静電気緩和粒子の作製
スプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、商品名:NL−5)を使用し、噴霧エア圧力:0.2MPa、乾燥装置入り口温度:200℃、出口温度:90℃、材料処理量:2.3kg/時間の条件にて、上記(1)で調製した水分散型の複合粒子用材料を噴霧し、ゴム粒子及び炭素系導電性微粉末から構成される静電気緩和粒子を得た。得られた粒子を分級して平均粒径9.9μmの静電気緩和粒子3を得た。
(静電気緩和粒子4の作製)
平均粒径5μmのポリスチレン粒子を用いた以外は静電気緩和粒子1と同様にして静電気緩和粒子4を得た。得られた静電気緩和粒子4の平均粒径は、5.2μmであった。
(静電気緩和粒子5の作製)
85℃−85%RHの恒温恒湿槽で6時間処理した以外は静電気緩和粒子1と同様にして静電気緩和粒子5を得た。
[静電気緩和粒子の抵抗測定]
得られた静電気緩和粒子1〜5の抵抗を測定した。具体的には、微小圧縮試験機(PCT−200型、株式会社島津製作所製)を用いて、微小圧縮試験機の圧子とステンレステーブルに金線を接合して圧子とステンレステーブルとの間の抵抗を測定できるようにした後に、圧子が粒子に接触してから1μm押し込んだ位置での静電気緩和粒子の抵抗を測定した。なお、測定は、各静電気緩和粒子3個ずつについて行った。結果を表1に示す。
[電子デバイス用接着剤の作製]
(実施例1)
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45000)50gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液とした。このフェノキシ樹脂溶液(フェノキシ樹脂の固形重量で20g)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂30gと、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤としてイミダゾール変性体からなる核の表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤30gとを配合した。更に、静電気緩和粒子1を、最終的に得られるフィルム状の電子デバイス用接着剤の厚み20μmで密度2000個/mm2となるように配合した。続いて、塗工装置を用いて、片面を表面処理した厚み80μmのPETフィルムの処理面に、静電気緩和粒子1を配合した配合物を塗布し、70℃、10分の熱風乾燥により、厚みが20μmのフィルム状の電子デバイス用接着剤1を得た。
(実施例2)
静電気緩和粒子として静電気緩和粒子2を用いた以外は実施例1と同様に電子デバイス用接着剤2を得た。
(実施例3)
静電気緩和粒子として静電気緩和粒子3を用いた以外は実施例1と同様に電子デバイス用接着剤3を得た。
(実施例4)
静電気緩和粒子として静電気緩和粒子4を用いた以外は実施例1と同様に電子デバイス用接着剤4を得た。
(実施例5)
静電気緩和粒子として静電気緩和粒子5を用いた以外は実施例1と同様に電子デバイス用接着剤5を得た。
(実施例6)
静電気緩和粒子4を作製するのに用いた平均粒径5μmのポリスチレン粒子にNiめっきを施した導電性粒子を、電子デバイス用接着剤フィルムの厚み20umで密度4000個/mm2となるように更に配合した以外は実施例3と同様に電子デバイス用接着剤6を得た。なお、導電性粒子の平均粒径は5.2μmであり、導電性粒子の抵抗は0.5Ωであった。
(比較例1)
静電気緩和粒子1を配合しなかった以外は実施例1と同様にして比較接着剤1を得た。
(比較例2)
静電気緩和粒子1を配合しなかった以外は実施例6と同様にして比較接着剤2を得た。
[等電位時間の測定]
図11(a)に示す回路を構成し、同図に示す圧着機において、以下のとおり接続構造体を作製した。
図11(b)に示すようにポリイミドフィルム31、接着剤(図示せず)及び厚み18μmの銅箔の電極32からなる3層構成を有し、電極32のライン幅が50μm、ピッチが100μmであるフレキシブル回路板(FPC)33と、厚み1.1mmのガラス上にインジュウム−錫酸化物(ITO)が蒸着により形成されたITO基板34(表面抵抗<20Ω/□)との間に、接着剤35として上記電子デバイス用接着剤1〜6及び比較接着剤1〜2のそれぞれを介在させ、加熱・加圧ヘッド36を用いて矢印Cで示す方向に180℃、3MPaで10秒間加熱加圧して、幅1mmにわたりフレキシブル回路板33とITO基板34とが接続した接続構造体を得た。このとき、あらかじめITO基板34と接着剤35の一面側(PETフィルムが貼付されていない側)とを貼り付け、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続した後、PETフィルムを剥離して接着剤35の他面側とFPC33とを接続した。
そして、上記の加熱加圧時に、FPC33の隣接電極32,32をそれぞれ配線37によって図11(a)に示す回路に接続し、隣接電極32,32間に10Vの電位差を印加した。このときのFPC33の隣接電極32,32間の電位差をオシロスコープで計測し、電位差が10Vから0Vとなるまでの時間を等電位時間として測定した。結果を表2に示す。また、実施例3については、隣接電極32,32間の電位差の測定結果を図12に示し、比較例2については、当該測定結果の概略及び詳細をそれぞれ図12及び13に示す。なお、比較例1の比較接着剤1を用いた場合は、等電位にならなかったため、等電位時間は測定できなかった。
図12から分かるように、実施例3では、隣接電極32,32間の電位差(すなわちフレキシブル回路板33とITO基板34と間の抵抗)の低下が相対的に緩やかになるように変化する変化点が見られた。なお、このときのフレキシブル回路板33とITO基板34との間の抵抗は、約1000Ωであった。また、実施例1〜2及び4〜6においても、フレキシブル回路板33とITO基板34と間の抵抗が10Ω以上である期間に、隣接電極32,32間の電位差(すなわちフレキシブル回路板33とITO基板34と間の抵抗)の低下が相対的に緩やかになるように変化する変化点が見られた。
実施例1〜6における等電位時間は、比較例2における等電位時間よりも長くなった。したがって、電子デバイス用接着剤1〜6を実際の電子デバイスの接着に用いた場合には、比較例2の比較接着剤1を用いた場合に比べて、電子デバイスに流れる電流が小さくなるため、デバイスが受けるダメージを低減できるといえる。また、静電気緩和粒子の抵抗が大きいほど、等電位時間(緩和時間)が長くなることがわかった。また、静電気緩和粒子を含有しない比較接着剤1を用いた場合には、隣接回路間は等電位にならなかった。