JP2005197089A - 回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法 - Google Patents

回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 対向する回路電極間の接続抵抗を低減し、且つ安定化することができると共に、隣り合う回路電極間で絶縁性を十分に向上できる回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の回路部材の接続構造10は、回路基板21,31の主面21a,31a上に複数の回路電極22,32が形成された回路部材20,30を備える。回路電極22,32が対向するように回路部材20,30同士を接続する回路接続部材60は、本発明の回路接続材料の硬化物からなる。本発明の回路接続材料は、接着剤組成物及び、導電粒子51の表面51aの一部が絶縁性微粒子52により被覆された被覆粒子50を含有しており、絶縁性微粒子52の質量が導電粒子51の質量の2/1000〜26/1000である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法に関する。
液晶表示用ガラスパネルには、COG(Chip-On-Glass)実装又はCOF(Chip-On-Flex)実装等によって液晶駆動用ICが実装される。COG実装では、導電粒子を含む回路接続材料を用いて液晶駆動用ICを直接ガラスパネル上に接合する。COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに液晶駆動用ICを接合し、導電粒子を含む回路接続材料を用いてそれらをガラスパネルに接合する。
ところが、近年の液晶表示の高精細化に伴い、液晶駆動用ICの回路電極である金バンプは狭ピッチ化、狭面積化しており、そのため、回路接続材料中の導電粒子が隣り合う回路電極間に流出して、ショートを発生させるといった問題がある。また、隣り合う回路電極間に導電粒子が流出すると、金バンプとガラスパネルとの間に捕捉される回路接続材料中の導電粒子数が減少し、対向する回路電極間の接続抵抗が上昇し接続不良を起こすといった問題がある。
そこで、これらの問題を解決する方法として、回路接続材料の少なくとも片面に絶縁性の接着層を形成することで、COG実装又はCOF実装における接合品質の低下を防ぐ方法(例えば、特許文献1参照)や、導電粒子の全表面を絶縁性の皮膜で被覆する方法(例えば、特許文献2参照)が開発されている。
特開平8−279371号公報 特許第2794009号公報(図2)
しかしながら、回路接続部材の片面に絶縁性の接着層を形成する方法では、バンプ面積が3000μm未満であって、安定した接続抵抗を得るために導電粒子数を増やす場合には、隣り合う回路電極間の絶縁性について未だ改良の余地がある。また、導電粒子の全表面を絶縁性の皮膜で被覆する方法では、対向する回路電極間の接続抵抗が上昇し、安定した電気抵抗が得られないという問題がある。
そこで、本発明は、対向する回路電極間の接続抵抗を低減し、且つ安定化することができると共に、隣り合う回路電極間で絶縁性を十分に向上できる回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の回路接続材料は、第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材とを、第一及び第二の回路電極を対向させた状態で接続するための回路接続材料であって、接着剤組成物及び、導電粒子の表面の一部が絶縁性微粒子により被覆された被覆粒子を含有しており、絶縁性微粒子の質量は、導電粒子の質量の2/1000〜26/1000である。
この回路接続材料を、第一及び第二の回路部材の間に介在させ、第一及び第二の回路部材を介して加熱及び加圧し、硬化処理して、回路部材の接続構造を得ると、得られる回路部材の接続構造において、対向する回路電極間の接続抵抗が十分に低減され、且つ安定化されると共に、隣り合う回路電極間の絶縁性が十分に向上する。
ここで、絶縁性微粒子の質量が導電粒子の質量の2/1000未満であると、導電粒子が絶縁性微粒子によって十分に被覆されなくなる。このため、隣り合う回路電極間の絶縁性、すなわち回路基板の面方向における絶縁性が不十分となってしまう。一方、絶縁性微粒子の質量が導電粒子の質量の26/1000を超えると、絶縁性微粒子が過剰に導電粒子を被覆することとなる。このため、導電粒子が、対向する回路電極同士を接続しても、回路基板の厚み方向における接続抵抗が増大してしまう。
また、本発明の回路接続材料は、第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材と、を、第一及び第二の回路電極を対向させた状態で接続するための回路接続材料であって、接着剤組成物及び、導電粒子の表面の一部が絶縁性微粒子により被覆された被覆粒子を含有しており、導電粒子は、高分子化合物からなる核体を有しており、絶縁性微粒子の質量は、核体の質量の7/1000〜86/1000である。
この回路接続材料を、第一及び第二の回路部材の間に介在させ、第一及び第二の回路部材を介して加熱及び加圧し、硬化処理して、回路部材の接続構造を得ると、得られる回路部材の接続構造において、対向する回路電極間の接続抵抗が十分に低減され、且つ安定化されると共に、隣り合う回路電極間の絶縁性が十分に向上する。
ここで、絶縁性微粒子の質量が核体の質量の7/1000未満であると、導電粒子が絶縁性微粒子によって十分に被覆されなくなる。このため、隣り合う回路電極間の絶縁性、すなわち回路基板の面方向における絶縁性が不十分となってしまう。一方、絶縁性微粒子の質量が核体の質量の86/1000を超えると、絶縁性微粒子が過剰に導電粒子を被覆することとなる。このため、導電粒子が、対向する回路電極同士を接続しても、回路基板の厚み方向における接続抵抗が増大してしまう。
また、絶縁性微粒子の平均粒径は、導電粒子の平均粒径の1/40〜1/10であると好ましい。
絶縁性微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、平均粒径が当該範囲を外れた場合に比べて、導電粒子の表面が多数の絶縁性微粒子により覆われ易くなり、このような回路接続材料を用いて回路部材の接続構造を製造すると、隣り合う回路電極間の絶縁性、すなわち回路基板の面方向における絶縁性を更に向上できる。
また、絶縁性微粒子は、ラジカル重合性物質の重合物からなると好ましい。この場合、絶縁性微粒子が導電粒子の表面に付着しやすくなるので、このような回路接続材料を用いて回路部材の接続構造を製造すると、隣り合う回路電極間の絶縁性、すなわち回路基板の面方向における絶縁性を更に向上できる。
また、接着剤組成物は、ラジカル重合性物質と、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤と、を含有すると好ましい。このような接着剤組成物を含む回路接続材料によって、第一及び第二の回路部材は加熱時に容易に接続される。
また、上記回路接続材料は、フェノキシ樹脂からなるフィルム形成材を更に含有すると好ましい。これにより、回路接続材料をフィルム状に加工することが可能となる。また、回路接続材料が裂ける、割れる、或いはべたつく等の問題が生じにくく、回路接続材料の取扱いが容易になる。
また、フェノキシ樹脂は、分子内に多環芳香族化合物に起因する分子構造を含有すると好ましい。これにより、接着性、相溶性、耐熱性、機械強度等に優れた回路接続材料が得られる。
また、多環芳香族化合物は、フルオレンであると好ましい。
また、本発明のフィルム状回路接続材料は、本発明の回路接続材料をフィルム状に形成してなることを特徴とする。これにより、回路接続材料が裂ける、割れる、或いはべたつく等の問題が生じにくく、回路接続材料の取扱いが容易になる。
また、本発明の回路部材の接続構造は、第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材と、第一の回路基板の主面と第二の回路基板の主面との間に設けられ、第一及び第二の回路電極を相互に対向させた状態で第一及び第二の回路部材同士を接続する回路接続部材と、を備えた回路部材の接続構造であって、回路接続部材は、本発明の回路接続材料の硬化物からなり、第一の回路電極と第二の回路電極とが、被覆粒子を介して電気的に接続されている。
このような回路部材の接続構造では、対向する回路電極間の接続抵抗を十分に低減し、且つ安定化できると共に、隣り合う回路電極間の絶縁性が十分に向上する。
また、隣り合う回路電極間に50Vの直流電圧を印加した場合に、隣り合う回路電極間の抵抗値が10Ω以上であると好ましい。
このような回路部材の接続構造によれば、その動作時において隣り合う回路電極間の絶縁性、すなわち回路基板の面方向における絶縁性が極めて高いため、隣り合う回路電極間のショートを十分に防止することが可能となる。
また、第一及び第二の回路部材のうち少なくとも一方がICチップであると好ましい。
また、第一の回路電極と第二の回路電極との間の接続抵抗が1Ω以下であると好ましい。このような回路部材の接続構造では、対向する回路電極間の接続抵抗、すなわち回路基板の厚み方向における接続抵抗が十分に低減される。
また、上記回路部材の接続構造は、第一及び第二の回路電極のうち少なくとも一方が、金、銀、錫、白金族の金属及びインジウム錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種で構成される電極表面層を有すると好ましい。
また、上記回路部材の接続構造は、第一及び第二の回路部材のうち少なくとも一方が、窒化シリコン、シリコーン化合物及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種で構成される基板表面層を有すると好ましい。これにより、基板表面層が上記材料で構成されていない場合に比べて、回路部材と回路接続部材との接着強度が更に向上する。
また、本発明の回路部材の接続構造の製造方法は、第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材との間に、第一の回路電極と第二の回路電極とを対向させた状態で、本発明の回路接続材料を介在させる工程と、回路接続材料を加熱及び加圧により硬化させる工程と、を備える。
この製造方法を用いれば、対向する回路電極間の接続抵抗が十分に低減され、且つ安定化されると共に、隣り合う回路電極間の絶縁性が十分に向上した回路部材の接続構造を得ることができる。
本発明によれば、COG実装又はCOF実装において、対向する回路電極間で低抵抗の電気接続が安定的に得られ、且つ、隣り合う回路電極間でショート発生率を抑制できる回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、隣り合う回路電極間、すなわちバンプ間距離の狭い駆動用ICに対しても、接続信頼性の高い回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の回路接続材料、これを用いたフィルム状回路接続材料、回路部材の接続構造及びその製造方法の実施形態について説明する。なお、全図面中、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
(回路部材の接続構造)
図1は、本発明の回路部材の接続構造(以下、「接続構造」という)の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の接続構造10は、相互に対向する回路部材20(第一の回路部材)と回路部材30(第二の回路部材)とを備えており、回路部材20と回路部材30との間には、これらを接続する回路接続部材60が設けられている。
回路部材20は、回路基板21(第一の回路基板)と、回路基板21の主面21a上に形成された複数の回路電極22(第一の回路電極)とを備える。複数の回路電極22は、例えばストライプ状に配置される。一方、回路部材30は、回路基板31(第二の回路基板)と、回路基板31の主面31a上に形成された複数の回路電極32(第二の回路電極)とを備える。複数の回路電極32も、例えばストライプ状に配置される。
回路部材20,30の具体例としては、半導体チップ、抵抗体チップ若しくはコンデンサチップ等のチップ部品又はプリント基板等の基板が挙げられる。接続構造10の接続形態としては、ICチップとチップ搭載基板との接続、電気回路相互の接続、COG実装又はCOF実装におけるICチップとガラス基板又はフレキシブルテープとの接続等もある。
特に、回路部材20,30のうち少なくとも一方がICチップであると好ましい。
回路電極22は、回路基板21の主面21a上に形成される電極部23と、電極部23上に形成される電極表面層24とから構成されており、回路電極32も、回路基板31の主面31a上に形成される電極部33と、電極部33上に形成される電極表面層34とから構成されている。ここで、電極表面層24,34はそれぞれ金、銀、錫、白金族の金属若しくはインジウム錫酸化物(ITO)又はこれらの二種以上の組み合わせで構成されていると好ましい。
回路部材30は、回路基板31及び回路電極32上に基板表面層35を有する。ここで、基板表面層35は窒化シリコン、シリコーン化合物若しくはポリイミド樹脂又はこれらの二種以上の組み合わせで構成されていると好ましい。基板表面層35は、回路基板31及び回路電極32をコーティングするか、又は回路基板31及び回路電極32に付着している。この基板表面層35により、回路部材30と回路接続部材60との接着強度が向上する。
特に、回路部材30がフレキシブルテープの場合、基板表面層35はポリイミド樹脂等の有機絶縁物質から構成されると好ましい。また、回路基板31がガラス基板の場合、基板表面層35は窒化シリコン、シリコーン化合物、ポリイミド樹脂若しくはシリコーン樹脂又はこれらの二種以上の組み合わせで構成されると好ましい。
回路接続部材60は、回路基板21の主面21aと回路基板31の主面31aとの間に設けられており、回路電極22,32を対向させた状態で回路部材20,30同士を接続している。また、回路接続部材60は、絶縁部材40と被覆粒子50とを備えている。被覆粒子50は、回路電極22と回路電極32とを電気的に接続するためのものであり、導電粒子51と導電粒子51の表面51aの一部を被覆する絶縁性微粒子52とで構成されている。ここで、絶縁性微粒子52の質量は、導電粒子51の質量の2/1000〜26/1000である。
このような接続構造10によれば、対向する回路電極22,32間の接続抵抗が十分に低減され且つ安定化されると共に、隣り合う回路電極22,32間の絶縁性も十分に向上される。
絶縁性微粒子52の質量が導電粒子51の質量の2/1000未満であると、導電粒子51が絶縁性微粒子52によって十分に被覆されなくなる。このため、隣り合う回路電極22,32間の絶縁性、すなわち回路基板21,31の面方向における絶縁性が不十分となってしまう。一方、絶縁性微粒子52の質量が導電粒子51の質量の26/1000を超えると、絶縁性微粒子52が過剰に導電粒子51を被覆することとなる。このため、導電粒子51が、対向する回路電極22,32同士を接続しても、回路基板21,31の厚み方向における接続抵抗が増大してしまう。
接続構造10においては、隣り合う回路電極22,32間に50Vの直流電圧を印加した場合に、隣り合う回路電極22,32間の抵抗値が10Ω以上であることが好ましい。このような接続構造10では、その動作時において隣り合う回路電極22,32間の絶縁性、すなわち回路基板21,31の面方向における絶縁性が極めて高いため、隣り合う回路電極22,32間のショートを十分に防止することが可能となる。
また、接続構造10においては、回路電極22と回路電極32との間の接続抵抗が1Ω以下であることが好ましい。このような接続構造10では、対向する回路電極22,32間の接続抵抗、すなわち回路基板21,31の厚み方向における接続抵抗が十分に低減される。
また、被覆粒子50においては、絶縁性微粒子52の平均粒径dは、導電粒子51の平均粒径dの1/40〜1/10であると好ましい。平均粒径d及びdは、各種顕微鏡によって観察される絶縁性微粒子52及び導電粒子51の長径を、各粒子10個以上についてそれぞれ測定して得られる測定値の平均値とする。また、観察に用いる顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡を好適に使用できる。
絶縁性微粒子52の平均粒径dが上記範囲内にあれば、平均粒径dが当該範囲を外れた場合に比べて、導電粒子51の表面51aが多数の絶縁性微粒子52により覆われ易くなり、このような接続構造10では、隣り合う回路電極22,32間の絶縁性、すなわち回路基板21,31の面方向における絶縁性を更に向上できる。
導電粒子51としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等からなる金属粒子又はカーボン等からなる粒子等が挙げられる。導電粒子51は、熱溶融金属粒子であると好ましい。この場合、回路電極22,32同士を接続する際の加熱及び加圧により導電粒子51が変形し易いので、導電粒子51と回路電極22,32との接触面積が増加し、接続信頼性が向上する。
絶縁性微粒子52は、ラジカル重合性物質の重合物からなると好ましい。この場合、絶縁性微粒子52が導電粒子51の表面51aに付着しやすくなるので、このような接続構造10では、隣り合う回路電極22,32間の絶縁性、すなわち回路基板21,31の面方向における絶縁性を更に向上できる。
ラジカル重合性物質は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、このようなラジカル重合性物質としては、アクリレート(対応するメタクリレートも含む。以下同じ)化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合性物質はモノマー又はオリゴマーの状態で用いてもよく、また、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
アクリレート化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要によりハドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を用いてもよい。また、耐熱性を向上させる点からは、アクリレート化合物がジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基を有することが好ましい。
マレイミド化合物は、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するものであり、このようなマレイミド化合物としては、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、図2に示すように、導電粒子51は、核体51xと、核体51xの表面を被覆するように形成された外層51yとを備えるものであってもよい。なお、図2は、被覆粒子の一例を示す断面図である。図1の導電粒子51を図2の導電粒子51に置換してもよい。
核体51xは高分子化合物からなり、当該高分子化合物としては、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の各種プラスチック類、スチレンブタジエンゴムやシリコーンゴム等の各種ゴム類等が好適に用いられる。また、これらを主成分として、架橋剤、硬化剤、老化防止剤等の各種添加剤を用いることもできる。この場合、回路電極22,32同士を接続する際の加熱及び加圧により導電粒子51が変形し易いので、導電粒子51と回路電極22,32との接触面積が増加し、接続信頼性が向上する。
ここで、絶縁性微粒子52の質量は、核体51xの質量の7/1000〜86/1000である。絶縁性微粒子52の質量が核体51xの質量の7/1000未満であると、導電粒子51が絶縁性微粒子52によって十分に被覆されなくなる。このため、隣り合う回路電極22,32間の絶縁性、すなわち回路基板21,31の面方向における絶縁性が不十分となってしまう。一方、絶縁性微粒子52の質量が核体51xの質量の86/1000を超えると、絶縁性微粒子52が過剰に導電粒子51を被覆することとなる。このため、導電粒子51が、対向する回路電極22,32同士を接続しても、回路基板21,31の厚み方向における接続抵抗が増大してしまう。
また、核体51xは非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等からなるとしてもよい。この場合であっても、回路電極22,32同士を接続する際の加熱及び加圧により導電粒子51が変形し易いので、導電粒子51と回路電極22,32との接触面積が増加し、接続信頼性が向上する。
外層51yは、十分なポットライフ(可使時間)を得るために、Ni、Cu等の遷移金属類からなるのではなく、Au、Ag、白金族等の貴金属類からなると好ましく、Auからなるとより好ましい。
貴金属類の外層51yの厚みは、100オングストローム以上であると好ましい。この場合、回路電極22,32間で良好な接続抵抗を得ることができる。また、Ni等の遷移金属からなる核体51x表面に貴金属類の外層51yを形成する場合、貴金属類の外層51yの厚みは、300オングストローム以上であると好ましい。貴金属類の外層51yの厚みが300オングストローム未満であると、例えば導電粒子51を混合分散する際に外層51yに欠損等が生じる。この欠陥等が生じた場所に、酸化還元作用による遊離ラジカルが発生し、回路接続材料の保存性を低下させてしまうおそれがある。そして、外層51yの厚みが厚くなると外層51yの効果が飽和してくるので、外層51yの厚みは1マイクロメートル以下であると好ましい。
なお、本発明における導電粒子51の質量に対する絶縁性微粒子52の質量の比(質量比A)の値、及び、核体51xの質量に対する絶縁性微粒子52の質量の比(質量比B)の値は、熱分解ガスクロマトグラフィーによって測定される値を用いる。熱分解ガスクロマトグラフィーは、各種プラスチックやゴム材料の定性分析及びそれらの共重合体やブレンド物の組成定量等に使用できることが知られている(寒川喜三郎、大栗直毅 編著、「熱分解ガスクロマトグラフィー入門」、P121−P176、技報堂出版株式会社、参照)。
本発明者らは、質量比A及び質量比Bの値を測定する方法として、熱分解ガスクロマトグラフィーを用いた結果、良好な定量性が得られることを見出した。したがって、本発明では、質量比A及び質量比Bの値は、熱分解ガスクロマトグラフィーの検量線法によって求めた値を用いるものとする。その際、用いられる検量線は、導電粒子51と同一の材料、核体51xと同一の材料、又は絶縁性微粒子52と同一の材料を用いて作成された検量線に限定されるものでは無く、同様の種類のプラスチック類、ゴム類、ラジカル重合系物質の重合物を代用して作成された検量線であっても良い。
質量比A及び質量比Bの値の測定で使用される熱分解ガスクロマトグラフィーのピークは、特に、限定されるものでは無く、導電粒子51、核体51x及び絶縁性微粒子52に由来する熱分解成分のピークを用いることができる。それらの熱分解成分のうち、プラスチック類、ゴム類、ラジカル重合性物質を構成する主モノマーの熱分解成分のピークを用いると、質量比A及び質量比Bの値の定量性が向上するので好ましい。
(回路接続材料)
上記回路接続部材60は、回路接続材料の硬化物からなる。ここで、回路接続材料について説明する。この回路接続材料は、被覆粒子及び接着剤組成物を含有している。
<被覆粒子>
ここで、被覆粒子は上記被覆粒子50と同一の構成である。被覆粒子50を構成する導電粒子51は、接着剤組成物100体積部に対して0.1〜30体積部添加することが好ましく、その添加量は用途により使い分ける。なお、過剰な導電粒子51による隣接回路電極の短絡等を防止するためには、0.1〜10体積部添加することがより好ましい。
<接着剤組成物>
接着剤組成物は、ラジカル重合性物質と、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤と、を含有すると好ましい。このような接着剤組成物を含む回路接続材料によって、回路部材20,30は加熱時に容易に接続される。
ラジカル重合性物質としては、絶縁性微粒子52に使用されるラジカル重合性物質と同様のものが例示できる。ラジカル重合性物質はモノマー又はオリゴマーの状態で用いてもよく、また、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、加熱により分解して遊離ラジカルを発生する硬化剤であり、このような硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。このような硬化剤は、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定される。これらの中でも、反応性を高め、ポットライフを向上させることが可能となることから、半減期10時間の温度が40℃以上で、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上で、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。
硬化剤の配合量は、接続時間を10秒以下とする場合、十分な反応率を得るために、ラジカル重合性物質と必要により配合されるフィルム形成材との和100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
硬化剤の配合量が0.1重量部未満では、十分な反応率を得ることができず、良好な接着強度又は小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。硬化剤の配合量が30重量部を超えると、接着剤組成物の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、接着剤組成物のポットライフが短くなる傾向にある。
より具体的には、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤として、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられる。また、回路電極22,32の腐食を抑えるという観点からは、硬化剤は、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸の濃度が5000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。このような硬化剤は、具体的には、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドから選定され、高反応性が得られるパーオキシエステルから選定されることがより好ましい。上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4―ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノデート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1―(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
これらの硬化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、ポットライフが延長されるために好ましい。
また、上記回路接続材料は、フェノキシ樹脂からなるフィルム形成材を更に含有すると好ましい。これにより、回路接続材料をフィルム状に加工することが可能となる。また、回路接続材料が裂ける、割れる、或いはべたつく等の問題が生じにくく、通常の状態(常温常圧)で回路接続材料の取扱いが容易になる。さらに、フィルム状回路接続材料が、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する層と被覆粒子を含有する層の2層以上に分割されていると、ポットライフが向上する。
<フィルム形成材>
フィルム形成材とは、液状物を固形化し構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取扱いを容易とし、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械的特性等を付与するものであり、通常の状態(常温常圧)でフィルムとしての取扱いができるものである。フィルム形成材としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、接着性、相溶性、耐熱性、機械的強度に優れることからフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂は、2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂である。フェノキシ樹脂は、例えば2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとをアルカリ金属水酸化物等の触媒の存在下、非反応性溶媒中40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、フェノキシ樹脂としては、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1とし、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒存在下、沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で、反応固形分が50重量部以下の条件で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。
2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。2官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基を持つものであり、このような2官能フェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類等が挙げられる。
また、フェノキシ樹脂は、その分子内に多環芳香族化合物に起因する分子構造を含有すると好ましい。これにより、接着性、相溶性、耐熱性、機械強度等に優れた回路接続材料が得られる。
多環芳香族化合物としては、例えばナフタレン、ビフェニル、アセナフテン、フルオレン、ジベンゾフラン、アントラセン、フェナンスレン等のジヒドロキシ化合物等が挙げられる。ここで、多環芳香族化合物はフルオレンであると好ましい。さらに、多環芳香族化合物は、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンであると特に好ましい。
なお、フェノキシ樹脂は、ラジカル重合性の官能基により変性されていてもよい。また、フェノキシ樹脂は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
<その他の含有成分>
本実施形態の回路接続材料は、更に、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種をモノマー成分とした重合体又は共重合体を含んでもよい。ここで、応力緩和に優れることから、グリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムを併用することが好ましい。これらアクリルゴムの分子量(重量平均分子量)は、接着剤の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
また、本実施形態の回路接続材料には、更に、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、難燃化剤、色素、チキソトロピック剤、カップリング剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
回路接続材料に充填剤を含有させる場合、接続信頼性等が向上するので好ましい。充填剤は、その最大径が導電粒子51の平均粒径未満であれば使用できる。充填剤の配合量は、接着剤組成物100体積部に対して5〜60体積部であることが好ましい。配合量が60体積部を超えると、接続信頼性向上効果が飽和する傾向があり、他方、5体積部未満では充填剤添加の効果が不充分となる傾向がある。
カップリング剤としては、ケチミン、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基又はイソシアネート基を含有する化合物が、接着性が向上するので好ましい。
具体的には、アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ケチミンを有するシランカップリング剤として、上記のアミノ基を有するシランカップリング剤に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物を反応させて得られたものが挙げられる。
次に、上記接続構造10の製造方法について、図1、図3及び図4を用いて説明する。図3は、接続構造10の製造に使用するフィルム状の回路接続材料を示す断面図、図4は、接続構造10の製造方法の一工程を示す断面図である。
(回路部材の接続構造の製造方法)
まず、回路部材20,30を準備する。一方、フィルム状に成形してなるフィルム状回路接続材料61を準備する(図3参照)。次に、回路部材20と回路部材30との間に、上述した回路接続材料をフィルム状に成形してなるフィルム状回路接続材料61を介在させる。具体的には、例えば回路部材30上にフィルム状回路接続材料61を載せ、続いてフィルム状回路接続材料61上に回路部材20を載せる。このとき、回路電極22及び回路電極32が相互に対向するように、回路部材20及び回路部材30を配置する。ここで、フィルム状回路接続材料61はフィルム状であるため取扱いが容易である。このため、このフィルム状回路接続材料61を回路部材20,30間に容易に介在させることができ、回路部材20,30の接続作業を容易にすることができる。
次に、回路部材20,30を介してフィルム状回路接続材料61を加熱しながら図4の矢印A及びB方向に加熱及び加圧して硬化処理を施し(図4参照)、回路部材20,30の間に回路接続部材60を形成する(図1参照)。硬化処理は、一般的な方法により行うことが可能であり、その方法は接着剤組成物により適宜選択される。なお、加熱及び加圧の際に、回路部材20,30のいずれか一方の側から光を照射して、回路電極22,23の位置合わせを行ってもよい。
このようにして接続構造10を製造すると、対向する回路電極22,32間の接続抵抗が十分に低減され、且つ安定化されると共に、隣り合う回路電極22,32間の絶縁性が十分に向上された接続構造10を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、接続構造10において回路電極22,32がいずれも電極表面層24,34を有するとしたが、回路電極22,32のいずれか一方が電極表面層を有するとしてもよい。また、回路電極22,32のいずれもが電極表面層を有しなくてもよい。
また、上記実施形態では、接続構造10において回路部材30が基板表面層35を有するとしたが、回路部材20のみが基板表面層を有するとしてもよい。また、回路部材20,30がいずれも基板表面層を有するとしてもよい。さらに、回路部材20,30がいずれも基板表面層を有しないとしてもよい。
また、上記実施形態では、フィルム状回路接続材料61を用いて接続構造10を製造しているが、フィルム状回路接続材料61に限られずフィルム形成材を含まない回路接続材料を用いてもよい。この場合でも、回路接続材料を溶媒に溶解させ、その溶液を回路部材20,30のいずれかに塗布して乾燥させれば、回路部材20,30間に回路接続材料を介在させることができる。
また、上記実施形態では、回路接続材料が導電粒子51を含有するとしたが、導電粒子51を含有していなくてもよい。この場合であっても、対向する回路電極22,32が各々直接接触することにより電気的な接続が得られる。なお、導電粒子51を含有する場合には、導電粒子51を含有しない場合に比べて、より安定な電気的接続が得られる。
以下、本発明の内容を、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)被覆粒子の作製
まず、平均粒径5μmの架橋ポリスチレン粒子(PSt)の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を無電解めっきで設け、さらに、そのニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けることによって、導電粒子51に相当するめっきプラスチック粒子(PSt−M)を得た。このめっきプラスチック粒子の表面の一部を、絶縁性微粒子52に相当するメタクリル酸メチルの重合物、すなわちポリメタクリル酸メチル(PMMA)により被覆し、平均粒径0.2μmの絶縁性微粒子で被覆された平均粒径5.2μmの被覆粒子Aを得た。被覆粒子Aは、導電粒子の表面の20%が被覆されており、被覆後の比重が被覆前の比重に対して98/100となるように被覆されている。なお、平均粒径は、走査型電子顕微鏡による観察で得られた測定値から算出されたものである。
(2)熱分解ガスクロマトグラフィー測定
まず、質量比A(導電粒子の質量に対する絶縁性微粒子の質量の比)についての検量線を作成するために熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った。測定結果において、めっきプラスチック粒子(PSt−M)の熱分解成分のピークとして、スチレン(St)のピーク面積IStを用いた。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の熱分解成分のピークとして、メタクリル酸メチル(MMA)のピーク面積IMMAを用いた。これらより、ピーク面積比(IMMA/ISt)を算出した。
また、めっきプラスチック粒子(PSt−M)の質量WPSt−Mは導電粒子51の質量に相当し、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の質量WPMMAは絶縁性微粒子52の質量に相当する。これらより、質量比A(WPMMA/WPSt−M)を算出した。そして、ピーク面積比(IMMA/ISt)と質量比A(WPMMA/WPSt−M)との関係について、図5に示す検量線を作成した。図5の検量線は、良好な直線性を有していた。
次に、質量比B(核体の質量に対する絶縁性微粒子の質量の比)についての検量線を作成するために熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った。測定結果において、架橋ポリスチレン粒子(PSt)の熱分解成分のピークとして、スチレン(St)のピーク面積IStを用いた。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の熱分解成分のピークとして、メタクリル酸メチル(MMA)のピーク面積IMMAを用いた。これらより、ピーク面積比(IMMA/ISt)を算出した。
また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の質量WPMMAは絶縁性微粒子52の質量に相当し、架橋ポリスチレン粒子(PSt)の質量WPStは核体51xの質量に相当する。これらより、質量比B(WPMMA/WPSt)を算出した。そして、ピーク面積比(IMMA/ISt)と質量比B(WPMMA/WPSt)との関係について、図6に示す検量線を作成した。図6の検量線は、良好な直線性を有していた。
そして、被覆粒子Aについて、表1に示す測定条件で熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行い、ピーク面積比(IMMA/ISt)を算出した。そして、このピーク面積比に基づき、質量比Aを図5の検量線から算出した結果、質量比Aは9/1000であり、質量比Bを図6の検量線から算出した結果、質量比Bは29/1000であった(表2参照)。
Figure 2005197089
Figure 2005197089
(3)回路接続材料の作製
まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAとからガラス転移温度が80℃のフェノキシ樹脂を合成した。このフェノキシ樹脂50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液とした。そして、固形分重量比でフェノキシ樹脂60g、ジシクロペンテニルジアルコールジアクリレート39g、リン酸エステル型アクリレート1g、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート5gとなるように溶液を調整した。
次に、被覆粒子Aを、上記溶液に5体積%配合分散させて、溶液を調整した。そして、この溶液を、片面を表面処理した厚み80μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で10分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚みが10μmの第1フィルム状材料を得た。
また、固形分重量比でフェノキシ樹脂60g、ジシクロペンテニルジアルコールジアクリレート39g、リン酸エステル型アクリレート1g、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート5gとなるように別の溶液を調整した。この溶液を、片面を表面処理した厚み80μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で10分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚みが10μmで接着剤組成物からなる第2フィルム状材料を得た。
上記第1フィルム状材料及び上記第2フィルム状材料をラミネーターにて貼り合わせ、二層構成のフィルム状回路接続材料を得た。
(4)回路部材の接続構造の作製
まず、第一の回路部材として、バンプ面積50μm×50μm、ピッチ100μm、高さ20μmの金バンプを配置したICチップを準備した。次に、第二の回路部材として、厚み1.1mmのガラス基板上にインジウム錫酸化物(ITO)の回路を蒸着により形成したITO基板(表面抵抗<20Ω/□)を準備した。
そして、ICチップとITO基板との間に上記フィルム状回路接続材料を介在させ、ICチップ、フィルム状回路接続材料及びITO基板を石英ガラスと加圧ヘッドとで挟み、200℃、100MPaで10秒間加熱及び加圧した。このようにして、フィルム状回路接続材料を介してICチップとITO基板とを接続した。このとき、ITO基板上にあらかじめフィルム状回路接続材料の一方の接着面を70℃、0.5MPaで5秒間加熱及び加圧して貼り付けた。その後、PETフィルムを剥離して、フィルム状回路接続材料の他方の接着面をICチップと接続した。以上のようにして、回路部材の接続構造Aを作製した。
(実施例2)
(1)被覆粒子の作製
まず、平均粒径5μmの架橋ポリスチレン粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を無電解めっきで設け、さらに、そのニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けることによって、導電粒子51に相当するめっきプラスチック粒子(PSt−M)を得た。このめっきプラスチック粒子の表面の一部を、絶縁性微粒子52に相当するポリメタクリル酸メチル(PMMA)により被覆し、平均粒径0.2μmの絶縁性微粒子で被覆された平均粒径5.2μmの被覆粒子Bを得た。被覆粒子Bは、導電粒子の表面の40%が被覆されており、被覆後の比重が被覆前の比重に対して97/100となるように、導電粒子が絶縁性微粒子によって被覆されている。なお、平均粒径は、走査型電子顕微鏡による観察で得られた測定値から算出されたものである。また、被覆率については、実施例1と同様に測定した。
(2)熱分解ガスクロマトグラフィー測定
被覆粒子Bについて、表1に示す測定条件で熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った。質量比Aを図5の検量線から算出した結果、質量比Aは18/1000であり、質量比Bを図6の検量線から算出した結果、質量比Bは58/1000であった(表2参照)。
(3)回路接続材料の作製
まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と9、9‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとからガラス転移温度が80℃のフェノキシ樹脂を合成した。このフェノキシ樹脂50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液とした。そして、固形分重量比でフェノキシ樹脂60g、ジシクロペンテニルジアルコールジアクリレート39g、リン酸エステル型アクリレート1g、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート5gとなるように溶液を調整した。
次に、被覆粒子Bを、上記溶液に5体積%配合分散させて、溶液を調整した。そして、この溶液を、片面を表面処理した厚み80μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で10分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚みが10μmの第1フィルム状材料を得た。
また、固形分重量比でフェノキシ樹脂60g、ジシクロペンテニルジアルコールジアクリレート39g、リン酸エステル型アクリレート1g、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート5gとなるように別の溶液を調整した。この溶液を、片面を表面処理した厚み80μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で10分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚みが10μmで接着剤組成物からなる第2フィルム状材料を得た。
上記第1フィルム状材料及び上記第2フィルム状材料をラミネーターにて貼り合わせ、二層構成のフィルム状回路接続材料を得た。
(4)回路部材の接続構造の作製
上記フィルム状回路接続材料を用い、実施例1と同様にして回路部材の接続構造Bを作製した。
(実施例3)
(1)被覆粒子の作製
被覆粒子Cとして、積水化学株式会社製のAUL−704GDを用いた。被覆粒子Cの核体51xはポリアクリル酸エステル系のプラスチックからなり、導電粒子51の平均粒径は4μmである。絶縁性微粒子52はポリメタクリル酸メチル(PMMA)から構成されており、その平均粒径は0.2μmである。
(2)熱分解ガスクロマトグラフィー測定
まず、質量比Aについての検量線を作成するために熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った。測定に際しては、ポリアクリル酸エステル系のプラスチックからなる核体51yを有する導電粒子51として、積水化学株式会社製のAUL−704(PAc−M)を用いた。
測定結果において、AUL−704(PAc−M)の熱分解成分のピークとして、アクリル酸エステル(Ac)のピーク面積IAcを用いた。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の熱分解成分のピークとして、メタクリル酸メチル(MMA)のピーク面積IMMAを用いた。これらより、ピーク面積比(IMMA/ISt)を算出した。
また、AUL−704(PAc−M)の質量WPAc−Mは導電粒子51の質量に相当し、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の質量WPMMAは絶縁性微粒子52の質量に相当する。これらより、質量比A(WPMMA/WPAc−M)を算出した。そして、ピーク面積比(IMMA/ISt)と質量比A(WPMMA/WPAc−M)との関係について、図7に示す検量線を作成した。図7の検量線は、良好な直線性を有していた。
次に、質量比Bについての検量線を作成するために熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った。測定に際しては、ポリアクリル酸エステル粒子である積水化学株式会社製のLP−704(PAc)を用いた。
測定結果において、LP−704(PAc)の熱分解成分のピークとして、アクリル酸エステル(Ac)のピーク面積IAcを用いた。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の熱分解成分のピークとして、メタクリル酸メチル(MMA)のピーク面積IMMAを用いた。これらより、ピーク面積比(IMMA/IAc)を算出した。
また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の質量WPMMAは絶縁性微粒子52の質量に相当し、LP−704(PAc)の質量WPAcは核体51xの質量に相当する。これらより、質量比B(WPMMA/WPAc)を算出した。そして、ピーク面積比(IMMA/IAc)と質量比B(WPMMA/WPAc)との関係について、図8に示す検量線を作成した。図8の検量線は、良好な直線性を有していた。
そして、被覆粒子Cについて、表1に示す測定条件で熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った結果、図9に示すパイログラムが得られた。アクリル酸エステル(Ac)とメタクリル酸メチル(MMA)のピーク面積比(IMMA/IAC)は、1.90であった。この値を用いて、質量比Aを図7の検量線から算出した結果、質量比Aは11/1000であり、質量比Bを図8の検量線から算出した結果、質量比Bは34/1000であった(表2参照)。
(3)回路接続材料の作製
実施例1における被覆粒子Aの代わりに被覆粒子Cを用いた他は、実施例1と同様にして、二層構成のフィルム状回路接続材料を得た。
(4)回路部材の接続構造の作製
上記フィルム状回路接続材料を用い、実施例1と同様にして回路部材の接続構造Cを作製した。
(比較例1)
(1)導電粒子の作製
表面が絶縁性微粒子で被覆されていない導電粒子を用いた。すなわち、導電粒子の被覆率は0%である。
(2)熱分解ガスクロマトグラフィー測定
質量比A及び質量比Bの算出結果を表2に示す。
(3)回路接続材料の作製
実施例1における被覆粒子Aの代わりに、絶縁性微粒子で被覆されていない導電粒子を用いた他は、実施例1と同様にして、二層構成のフィルム状回路接続材料を得た。
(4)回路部材の接続構造の作製
上記フィルム状回路接続材料を用い、実施例1と同様にして回路部材の接続構造Dを作製した。
(比較例2)
(1)被覆粒子の作製
まず、平均粒径5μmの架橋ポリスチレン粒子(PSt)の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を無電解めっきで設け、さらに、そのニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けることによって、めっきプラスチック粒子(PSt−M)を得た。このめっきプラスチック粒子の表面の一部を、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)により被覆し、平均粒径0.2μmの絶縁性微粒子で被覆された平均粒径5.2μmの被覆粒子Eを得た。なお、平均粒径は、走査型電子顕微鏡による観察で得られた測定値から算出されたものである。
(2)熱分解ガスクロマトグラフィー測定
被覆粒子Eについて、表1に示す測定条件で熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った。質量比Aを図5の検量線から算出した結果、質量比Aは30/1000であり、質量比Bを図6の検量線から算出した結果、質量比Bは101/1000であった(表2参照)。
(3)回路接続材料の作製
実施例1における被覆粒子Aの代わりに被覆粒子Eを用いた他は、実施例1と同様にして、二層構成のフィルム状回路接続材料を得た。
(4)回路部材の接続構造の作製
上記フィルム状回路接続材料を用い、実施例1と同様にして回路部材の接続構造Eを作製した。
(対向する回路電極間の接続抵抗の測定)
回路部材の接続構造A〜Eについて、初期(接続直後)の接続抵抗と、−40℃で30分及び100℃で30分の温度サイクル槽中に500サイクル保持した後の接続抵抗を、2端子測定法を用いマルチメータで測定した。結果を表3に示す。ここで、接続抵抗とは対向する回路電極間の抵抗を意味する。
(隣り合う回路電極間の絶縁抵抗の測定)
回路部材の接続構造A〜Eについて、直流(DC)50Vの電圧を1分間印加した後の絶縁抵抗を、2端子測定法を用いマルチメータで測定した。結果を表3に示す。ここで、絶縁抵抗とは隣り合う回路電極間の抵抗を意味する。
Figure 2005197089
実施例1〜3の回路部材の接続構造A〜Cでは、初期、温度サイクル後のいずれにおいても接続抵抗は十分低く抑えられており、絶縁抵抗も十分高くなっていた。
これに対し、比較例1の回路部材の接続構造Dでは、接続構造A〜Cに比べて絶縁抵抗が低くなっていた。また、比較例2の回路部材の接続構造Eでは、初期、温度サイクル後のいずれにおいても、接続構造A〜Cに比べて接続抵抗が高くなっていた。
以上より、本発明の回路接続材料を用いて回路部材の接続構造を製造した場合には、得られる回路部材の接続構造において、対向する回路電極間の接続抵抗を十分に低減し、且つ安定化できると共に、隣り合う回路電極間の絶縁性を十分に向上できることが確認された。
本発明の回路部材の接続構造の一実施形態を示す断面図である。 本発明の回路接続材料に用いられる被覆粒子の一例を示す断面図である。 本発明のフィルム状回路接続材料の一実施形態を示す断面図である。 本発明の回路部材の接続構造の製造方法の一工程を示す断面図である。 本発明の実施例1,2及び比較例2における質量比Aを求めるための検量線を示すグラフである。 本発明の実施例1,2及び比較例2における質量比Bを求めるための検量線を示すグラフである。 本発明の実施例3における質量比Aを求めるための検量線を示すグラフである。 本発明の実施例3における質量比Bを求めるための検量線を示すグラフである。 本発明の実施例3における被覆粒子Cについて、熱分解ガスクロマトグラフィー測定を行った結果得られたパイログラムである。
符号の説明
10…回路部材の接続構造、20…回路部材(第一の回路部材)、21…回路基板(第一の回路基板)、21a…主面、22…回路電極(第一の回路電極)、24,34…電極表面層、30…回路部材(第二の回路部材)、31…回路基板(第二の回路基板)、31…a主面、32…回路電極(第二の回路電極)、35…基板表面層、50…被覆粒子、51…導電粒子、51x…核体、51y…外層、51a…表面、52…絶縁性微粒子、60…回路接続部材、61…フィルム状回路接続材料。

Claims (16)

  1. 第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、
    第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材と、
    を、前記第一及び第二の回路電極を対向させた状態で接続するための回路接続材料であって、
    接着剤組成物及び、導電粒子の表面の一部が絶縁性微粒子により被覆された被覆粒子を含有しており、
    前記絶縁性微粒子の質量は、前記導電粒子の質量の2/1000〜26/1000である回路接続材料。
  2. 第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、
    第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材と、
    を、前記第一及び第二の回路電極を対向させた状態で接続するための回路接続材料であって、
    接着剤組成物及び、導電粒子の表面の一部が絶縁性微粒子により被覆された被覆粒子を含有しており、
    前記導電粒子は、高分子化合物からなる核体を有しており、
    前記絶縁性微粒子の質量は、前記核体の質量の7/1000〜86/1000である回路接続材料。
  3. 前記絶縁性微粒子の平均粒径は、前記導電粒子の平均粒径の1/40〜1/10であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路接続材料。
  4. 前記絶縁性微粒子は、ラジカル重合性物質の重合物からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  5. 前記接着剤組成物は、ラジカル重合性物質と、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤と、を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  6. フェノキシ樹脂からなるフィルム形成材を更に含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  7. 前記フェノキシ樹脂は、分子内に多環芳香族化合物に起因する分子構造を含有することを特徴とする請求項6に記載の回路接続材料。
  8. 前記多環芳香族化合物は、フルオレンであることを特徴とする請求項7に記載の回路接続材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路接続材料をフィルム状に形成してなることを特徴とするフィルム状回路接続材料。
  10. 第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、
    第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材と、
    前記第一の回路基板の前記主面と前記第二の回路基板の前記主面との間に設けられ、前記第一及び第二の回路電極を相互に対向させた状態で前記第一及び第二の回路部材同士を接続する回路接続部材と、
    を備えた回路部材の接続構造であって、
    前記回路接続部材は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路接続材料の硬化物からなり、
    前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とが、前記被覆粒子を介して電気的に接続されている回路部材の接続構造。
  11. 隣り合う前記回路電極間に50Vの直流電圧を印加した場合に、隣り合う前記回路電極間の抵抗値が10Ω以上であることを特徴とする請求項10に記載の回路部材の接続構造。
  12. 前記第一及び第二の回路部材のうち少なくとも一方がICチップであることを特徴とする請求項10又は11に記載の回路部材の接続構造。
  13. 前記第一の回路電極と前記第二の回路電極との間の接続抵抗が1Ω以下であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の回路部材の接続構造。
  14. 前記第一及び第二の回路電極のうち少なくとも一方が、金、銀、錫、白金族の金属及びインジウム錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種で構成される電極表面層を有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の回路部材の接続構造。
  15. 前記第一及び第二の回路部材のうち少なくとも一方が、窒化シリコン、シリコーン化合物及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種で構成される基板表面層を有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の回路部材の接続構造。
  16. 第一の回路基板の主面上に複数の第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、第二の回路基板の主面上に複数の第二の回路電極が形成された第二の回路部材との間に、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とを対向させた状態で、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路接続材料を介在させる工程と、
    前記回路接続材料を加熱及び加圧により硬化させる工程と、
    を備えた回路部材の接続構造の製造方法。
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