以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む導電材料を用いる。上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、導電部を少なくとも表面に有する導電性粒子と、該導電性粒子の表面上に配置された複数の絶縁性粒子とを有する。また、本発明に係る接続構造体の製造方法では、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材とを用いる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記第1の電極と上記第2の電極との間に上記絶縁性粒子付き導電性粒子が位置するように、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置する工程と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを熱圧着させることで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を上記導電材料により形成して、かつ上記第1の電極と上記第2の電極とを上記導電性粒子により電気的に接続して、接続構造体を得る工程とを備える。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記熱圧着時に、上記第2の電極と上記導電性粒子との間に位置する上記絶縁性粒子を、上記第2の電極に埋め込ませて、上記第2の電極に上記絶縁性粒子が埋め込まれている接続構造体を得る。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した構成を備えているので、特に上記第2の電極に上記絶縁性粒子が埋め込まれているので、得られる接続構造体において、落下又は振動などの衝撃に対して、並びに冷熱サイクルなどの温度変化に対して、電極間の接続信頼性を高めることができる。例えば、接続構造体に落下又は振動などの衝撃が加わったり、接続構造体が高温下又は低温下に晒されたりしても、第1,第2の電極間の接続抵抗を低く維持することができ、接続不良の発生を抑えることができる。
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。上記接続部は、絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む導電材料を用いて形成されている。上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、導電部を少なくとも表面に有する導電性粒子と、上記導電性粒子の表面上に配置された複数の絶縁性粒子とを有する。
本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。本発明に係る接続構造体では、上記第2の電極に上記絶縁性粒子が埋め込まれている。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した構成を備えているので、特に上記第2の電極に上記絶縁性粒子が埋め込まれているので、接続構造体において、落下又は振動などの衝撃に対して、並びに冷熱サイクルなどの温度変化に対して、電極間の接続信頼性を高めることができる。例えば、接続構造体に落下又は振動などの衝撃が加わったり、接続構造体が高温下又は低温下に晒されたりしても、第1,第2の電極間の接続抵抗を低く維持することができ、接続不良の発生を抑えることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
先ず、接続構造体の製造に用いられる絶縁性粒子付き導電性粒子について説明する。
図4は、後に説明する図1,図2に示す接続構造体に用いられる絶縁性粒子付き導電性粒子を示す断面図である。
図4に示す絶縁性粒子付き導電性粒子21は、導電性粒子22と、導電性粒子22の表面上に配置された複数の絶縁性粒子23とを備える。導電性粒子22の表面に、絶縁性粒子23が付着している。絶縁性粒子23は、絶縁性を有する材料により形成されている。
導電性粒子22は、基材粒子31と、基材粒子31の表面上に配置された導電部32とを有する。導電性粒子22では、導電部32は導電層である。導電部32は、基材粒子31の表面を覆っている。導電性粒子22は、基材粒子31の表面が導電部32により被覆された被覆粒子である。導電性粒子22は表面に導電部32を有する。導電性粒子22は、少なくとも表面に導電部を有していればよい。導電性粒子22のように、中心部が導電部32とは異なる基材粒子31であってもよい。導電性粒子の全体が、導電部であってもよい。
絶縁性粒子付き導電性粒子21は、導電性の表面に突起21aを有する。導電性粒子22は表面に突起22aを有する。導電部32は表面(導電層の外表面)に突起32aを有する。
導電性粒子22は、基材粒子31の表面上に複数の芯物質33を有する。導電部32は、基材粒子31と芯物質33とを被覆している。芯物質33を導電部32が被覆していることにより、導電性粒子22は表面に複数の突起22aを有する。芯物質33により導電部32の表面が隆起されており、複数の突起22aが形成されている。
図5に、絶縁性粒子付き導電性粒子の第1の変形例を示す。
図5に示す絶縁性粒子付き導電性粒子41は、導電性粒子42と、導電性粒子42の表面上に配置された複数の絶縁性粒子23とを備える。絶縁性粒子付き導電性粒子21と絶縁性粒子付き導電性粒子41とでは、芯物質33の有無のみが相違している。
絶縁性粒子付き導電性粒子41は、導電性の表面に突起41aを有する。導電性粒子42は表面に突起42aを有する。導電部32Aは表面(導電層の外表面)に突起32Aaを有する。
導電性粒子42は、基材粒子31と、基材粒子31の表面上に配置された導電部32Aとを有する。導電部32Aは導電層である。導電性粒子42は、導電性粒子22のように芯物質を有さない。導電部32Aは、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。従って、導電部32Aは表面(導電層の外表面)に突起32Aaを有する。複数の突起42a,32Aaを除く部分が、導電部32Aの上記第1の部分である。複数の突起42a,32Aaは、導電部32Aの厚みが厚い上記第2の部分である。
絶縁性粒子付き導電性粒子41のように、突起42a,32Aaを形成するために、必ずしも芯物質を用いなくてもよい。
図6に、絶縁性粒子付き導電性粒子の第2の変形例を示す。
図6に示す絶縁性粒子付き導電性粒子51は、導電性粒子52と、導電性粒子52の表面上に配置された複数の絶縁性粒子23とを備える。
導電性粒子52は、基材粒子31と、基材粒子31の表面上に配置された導電部32Bとを有する。導電部32Bは導電層である。導電部32Bは、基材粒子31の表面上に配置された第1の導電部32Bxと、第1の導電部32Bxの表面上に配置された第2の導電部32Byとを有する。
絶縁性粒子付き導電性粒子51は、導電性の表面に突起51aを有する。導電性粒子52は表面に突起52aを有する。導電部32Bは表面(導電層の外表面)に突起32Baを有する。
導電性粒子52は、第1の導電部32Bxの表面上に複数の芯物質33を有する。第2の導電部32Byは、第1の導電部32Bxと芯物質33とを被覆している。基材粒子31と芯物質33とは間隔を隔てて配置されている。基材粒子31と芯物質33との間には、第1の導電部32Bxが存在する。芯物質33を第2の導電部32Byが被覆していることにより、導電性粒子52は導電部32Bの表面に、複数の突起52aを有する。芯物質33により導電部32B及び第2の導電部32Byの表面が隆起されており、複数の突起32Baが形成されている。
絶縁性粒子付き導電性粒子51のように、導電部32Bは、多層構造を有していてもよい。さらに、突起52a,32Baを形成するために、芯物質33を内層の第1の導電部32Bx上に配置して、外層の第2の導電部32Byにより芯物質33及び第1の導電部32Bxを被覆してもよい。
図7に、絶縁性粒子付き導電性粒子の第3の変形例を示す。
図7に示す絶縁性粒子付き導電性粒子61は、導電性粒子62と、導電性粒子62の表面上に配置された複数の絶縁性粒子23とを備える。
導電性粒子62は、基材粒子31と、基材粒子31の表面上に配置された導電部32Cとを有する。導電部32Cは導電層である。導電性粒子62は芯物質を有さない。
絶縁性粒子付き導電性粒子61は導電性の表面に突起を有さない。導電性粒子62は表面に突起を有さない。このように、上記絶縁性粒子付き導電性粒子は導電性の表面に突起を有していなくてもよい。上記導電性粒子は表面に突起を有していなくてもよい。但し、第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませる観点、並びに導電性粒子及び電極の表面上の酸化被膜を効果的に排除して、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、表面に突起を有することが好ましい。
上記のような絶縁性粒子付き導電性粒子21,41,51,61等を用いて、本発明に係る接続構造体が作製される。但し、導電部を少なくとも表面に有する導電性粒子と、上記導電性粒子の表面上に配置された複数の絶縁性粒子とを有する絶縁性粒子付き導電性粒子であれば、絶縁性粒子付き導電性粒子21,41,51,61以外の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いてもよい。
次に、図1,2を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る接続構造体について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る接続構造体を模式的に示す断面図である。図2には、図1に示す接続構造体における第1,第2の電極と、絶縁性粒子付き導電性粒子との接続部分を拡大して示す断面図である。
図1,2に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、絶縁性粒子付き導電性粒子21と、バインダー樹脂11とを含む導電材料を用いて形成されている。絶縁性粒子付き導電性粒子21にかえて、絶縁性粒子付き導電性粒子41,51,61などの他の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いてもよい。
図2に示すように、接続構造体1では、絶縁性粒子23が、第2の電極3aに埋め込まれている。絶縁性粒子23が第2の電極3aに埋め込まれていることによって、落下又は振動などの衝撃に対して、並びに冷熱サイクルなどの温度変化に対して、接続構造体1における第1,第2の電極2a,3a間の接続信頼性を高めることができる。
なお、図2に示すように、接続構造体1では、絶縁性粒子23は、第1の電極2aに埋め込まれていない。
図1に示す接続構造体1は、具体的には、例えば、図3(a)及び(b)に示す状態を経て、以下のようにして得ることができる。
図3(a)に示すように、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。また、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子21とバインダー樹脂11とを含む導電材料を用意する。次に、第1の接続対象部材2の第1の電極2a側の表面上に、上記導電材料を用いて、導電材料層4Aを配置する。このとき、第1の電極2a上に、1つ又は複数の絶縁性粒子付き導電性粒子21が配置されていることが好ましい。ここでは、上記導電材料として、導電ペーストを用いているので、導電ペーストの配置は、導電ペーストの塗布により行われている。
次に、図3(b)に示すように、導電材料層4Aの第1の接続対象部材2側とは反対の表面上に、第2の電極3aを表面に有する第2の接続対象部材3を、第2の電極3a側から配置する。すなわち、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3との間に、導電材料層4Aを配置する。また、第1の電極2aと第2の電極3aとが対向するように、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に絶縁性粒子付き導電性粒子21が位置するように、上記導電材料を配置する。
第2の接続対象部材3を配置する際、又は配置した後、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを熱圧着させる。それによって、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4を、導電材料層4Aにより形成する。本実施形態では、第2の電極3aに、絶縁性粒子付き導電性粒子21における絶縁性粒子23を埋め込ませる。本実施形態では、第1の電極2aに、絶縁性粒子23を埋め込ませていないが、第1の電極2aにも、絶縁性粒子23を埋め込ませてもよい。
また、第1の電極2aと第2の電極3aとを絶縁性粒子付き導電性粒子21における導電性粒子22及び導電部32と接触させることにより、第1の電極2aと第2の電極3aとを電気的に接続できる。
上記熱圧着時に、導電材料層4Aは加熱及び加圧される。なお、上記バインダー樹脂が熱硬化性を有する場合には、上記接続部において、上記バインダー樹脂が硬化した状態となる。上記バインダー樹脂が熱硬化性を有することが好ましく、上記導電材料層を加熱することにより上記導電材料層を硬化させて、上記接続部を形成することが好ましい。接続部4は、硬化したバインダー樹脂を含むことが好ましい。また、加圧によって上記第1の電極と上記第2の電極とで上記絶縁性粒子付き導電性粒子を圧縮することにより、上記第1,第2の電極と上記導電性粒子との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。
上記バインダー樹脂が熱硬化性を有する場合に、上記導電材料層を硬化させる際の加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上、特に好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
また、上記熱圧着時の加圧の圧力は、好ましくは9.8×104以上、好ましくは4.9×106Pa以下である。
上記のようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。
上記絶縁性粒子付き導電性粒子では、導電性粒子と絶縁性粒子とが強固に付着していることが好ましい。導電性粒子と絶縁性粒子とが強固に付着していることによって、第2の電極に絶縁性粒子がより一層容易に埋め込まれやすくなる。
上記絶縁性粒子付き導電性粒子に関しては、エタノール100重量部に、上記絶縁性粒子付き導電性粒子3重量部を添加した絶縁性粒子付き導電性粒子含有液を20℃及び40kHzの条件で5分間超音波処理したときに、後述する式(1)により求められる絶縁性粒子の残存率が50%以上であることが好ましい。絶縁性粒子の残存率は、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%を超え、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。上記絶縁性粒子の残存率が上記下限以上であると、第2の電極に絶縁性粒子がより一層容易に埋め込まれやすくなる。
また、上記導電性粒子の表面積全体に占める上記絶縁性粒子により被覆されている部分の面積である被覆率は好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。上記被覆率が上記下限以上であると、第2の電極に絶縁性粒子がより一層容易に埋め込まれやすくなる。さらに、隣接する導電性粒子がより一層接触し難くなる。上記被覆率は好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。上記被覆率が上記上限以下であると、導電性粒子と第2の電極との接触面積がより一層大きくなる。
上記絶縁性粒子の残存率、並びに上記導電性粒子の表面積全体に占める上記絶縁性粒子により被覆されている部分の面積である被覆率は、以下のようにして求められる。
下記の超音波処理前に、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察により100個の絶縁性粒子付き導電性粒子を観察し、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子の被覆率X1(%)(付着率X1(%)ともいう)を求める。上記被覆率は、導電性粒子の表面積全体に占める絶縁性粒子により被覆されている部分の面積(投影面積)である。
具体的には、図8に示すように、上記被覆率は、絶縁性粒子付き導電性粒子Aを一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した場合、絶縁性粒子付き導電性粒子Aの導電部の外表面(外周縁)の円内に存在する絶縁性粒子B1を1個、絶縁性粒子付き導電性粒子Aの導電部の外表面(外周縁)の円周上に存在する絶縁性粒子B2を0.5個とカウントし、絶縁性粒子付き導電性粒子Aの投影面積に対する絶縁性粒子の投影面積の割合で示す。すなわち、上記被覆率は下記式(2)で表される。
被覆率(%)=(((円内の絶縁性粒子の数)×1+(円周上の絶縁性粒子の数)×0.5)×絶縁性粒子の投影面積)/(絶縁性粒子付き導電性粒子の投影面積)×100 ・・・式(2)
次に、エタノール100重量部に、上記絶縁性粒子付き導電性粒子3重量部を添加し、絶縁性粒子付き導電性粒子含有液を得る。この絶縁性粒子付き導電性粒子含有液を400Wの超音波洗浄機で20℃及び38kHz又は40kHzの条件で5分間撹拌しながら、超音波処理する。超音波処理後に、SEMでの観察により100個の絶縁性粒子付き導電性粒子を観察し、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子の表面積全体に占める絶縁性粒子により被覆されている部分の投影面積である被覆率X2(%)(付着率X2(%)ともいう)を求める。絶縁性粒子の残存率は、被覆率X1と被覆率X2とから、下記式(1)により表される値である。
絶縁性粒子の残存率(%)=(超音波処理後の被覆率X2/超音波処理前の被覆率X1)×100 ・・・式(1)
電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子付き導電性粒子の粒子径のCV値(変動係数)は、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下である。上記絶縁性粒子付き導電性粒子の粒子径のCV値は下記式により算出される。
絶縁性粒子付き導電性粒子の粒子径のCV値(%)=絶縁性粒子付き導電性粒子の粒子径の標準偏差/絶縁性粒子付き導電性粒子の平均粒子径×100
上記絶縁性粒子付き導電性粒子を100℃で10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)に関しては、好ましくは3000N/mm2以上、より好ましくは5000N/mm2以上、好ましくは10000N/mm2以下、より好ましくは8000N/mm2以下である。上記10%K値が上記下限以上であると、第2の電極に絶縁性粒子がより一層容易に埋め込まれやすくなる。上記10%K値が上記上限以下であると、導電性粒子と第1,第2の電極との接触面積がより一層大きくなり、導通信頼性がより一層高くなる。なお、上記10%K値を測定する温度を100℃に設定しているのは、実際の圧着工程における10%圧縮状態が100℃付近で達成されることが多く、また10%圧縮状態が100℃付近で達成されることが望ましいためである。上記導電性粒子の100℃での10%K値が上記範囲内であれば、導電材料の汎用性に優れる。
100℃での圧縮弾性率(10%K値)は、以下のようにして測定される。
微小圧縮試験機の粒子を配置するステージを100℃に保持した状態で、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、圧縮速度0.33mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で絶縁性粒子付き導電性粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
10%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:絶縁性粒子付き導電性粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:絶縁性粒子付き導電性粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:絶縁性粒子付き導電性粒子の半径(mm)
上記圧縮弾性率は、絶縁性粒子付き導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、絶縁性粒子付き導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませる観点からは、上記絶縁性粒子のビッカース硬度が、上記第2の電極のビッカース硬度よりも高いことが好ましい。上記絶縁性粒子のビッカース硬度と上記第2の電極のビッカース硬度との差の絶対値は好ましくは700以上、より好ましくは900以上である。上記絶縁性粒子のビッカース硬度と上記第2の電極のビッカース硬度との差の絶対値の上限は特に限定されない。上記絶縁性粒子のビッカース硬度と上記第2の電極のビッカース硬度との差の絶対値は、例えば3000以下である。
第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませる観点からは、上記導電性粒子の表面に位置する上記導電部のビッカース硬度が、上記第2の電極のビッカース硬度よりも高いことが好ましい。上記導電性粒子の表面に位置する上記導電部のビッカース硬度と上記第2の電極のビッカース硬度との差の絶対値は好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。上記導電性粒子の表面に位置する上記導電部のビッカース硬度と上記第2の電極のビッカース硬度との差の絶対値の上限は特に限定されない。上記導電性粒子の表面に位置する上記導電部のビッカース硬度と上記第2の電極のビッカース硬度との差の絶対値は、例えば1000以下である。
落下又は振動などの衝撃に対して、並びに冷熱サイクルなどの温度変化に対して、電極間の接続信頼性をより一層高める観点からは、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり、上記第2の電極に埋め込まれている上記絶縁性粒子の数は好ましくは1個以上、より好ましくは3個以上である。1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり、上記第2の電極に埋め込まれている上記絶縁性粒子の数の上限は特に限定されない。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり、上記第2の電極に埋め込まれている上記絶縁性粒子の数は例えば10個以下である。
以下、絶縁性粒子付き導電性粒子、導電材料及び接続構造体の他の詳細を説明する。
(絶縁性粒子付き導電性粒子の他の詳細)
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子の材料として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成可能である。また、基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子が得られる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が狭くなる。
上記基材粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の平均粒子径が0.1〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。電極間の間隔をより一層小さくしたり、導電部の厚みを厚くしても、より一層小さい導電性粒子を得たりする観点からは、上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは3μm以下である。
上記平均粒子径は数平均粒子径を示す。該平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定可能である。
上記導電部の厚み(複数の導電部がある場合には、複数の導電部全体の厚み)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。上記導電部の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。上記導電部の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と金属層との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から金属層が剥離し難くなる。
上記基材粒子の表面上に上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきにより上記導電部を形成する方法、並びに電気めっきにより上記導電部を形成する方法等が挙げられる。
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部の材料である金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、導電性の表面に突起を有することが好ましく、上記導電性粒子は表面に突起を有することが好ましい。上記突起は複数であることが好ましい。上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部の外表面に突起を容易に形成可能である。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電性の突起を有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、電極間に絶縁性粒子付き導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、突起によって、導電性粒子と電極との間のバインダー樹脂が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質の材料である金属は、上記導電部の材料である金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質を構成する金属は、ニッケルを含むことが好ましい。また、上記金属の酸化物としては、アルミナ、シリカ及びジルコニア等が挙げられる。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子における上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μmを超え、特に好ましくは0.125μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。特に、上記導電性粒子における上記突起の平均高さが0.125μm以上であると、導電性粒子の配置精度及び電極間の接続信頼性がより一層良好になる。特に、上記導電性粒子における上記突起の平均高さが0.3μm以下であると、導電性粒子の配置精度及び電極間の接続信頼性がより一層良好になる。
上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、絶縁性粒子を有する。このため、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡が生じ難くなる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡が生じ難くなる。
上記絶縁性粒子の材料としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。
上記絶縁性粒子は、不飽和二重結合を有する単量体の一種又は二種以上を(共)重合した樹脂粒子であってもよい。上記不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル類;塩化ビニル;スチレン、ジビニルベゼン等のスチレン系化合物、アクリロニトリル等が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸エステル類が好適に用いられる。
さらに、上記絶縁性粒子の材料としては、金属を除く無機化合物が挙げられる。上記無機化合物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。第2の電極に上記絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませる観点からは、上記絶縁性粒子の材料は、シリカであることが好ましい。
第2の電極に上記絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませる観点からは、上記絶縁性粒子は、金属粒子を除く無機粒子であることが好ましい。なかでも、上記絶縁性粒子は、シリカ粒子であることが好ましい。
さらに、上記絶縁性粒子の材料としては、無機化合物と有機化合物とのハイブリット粒子、無機粒子上に有機化合物がコーティングされた粒子、並びに有機粒子上に無機物がコーティングされた粒子等が挙げられる。なかでも、上記絶縁性粒子は、シリカ粒子上に有機化合物をコーティングされた粒子であることが好ましい。上記有機化合物は有機ポリマーであることが好ましい。
上記導電部の表面に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、ファンデルワールス力又は静電気力によるヘテロ凝集法により、導電部上に絶縁性粒子を付着させ、さらに必要に応じて化学結合させる方法が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、上記絶縁性粒子が脱離し難いことから、上記導電部の表面に、化学結合を介して上記絶縁性粒子を付着させる方法が好ましい。
導電部の表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記絶縁性粒子の平均粒子径は、上記導電性粒子の粒子径の1/5以下であることが好ましい。この場合には、上記絶縁性粒子の平均粒子径が大きすぎず、上記導電性粒子による電気的接続がより一層確実に果たされる。上記絶縁性粒子の平均粒子径が上記導電性粒子の粒子径の1/5以下である場合には、ヘテロ凝集法により上記絶縁性粒子を付着させる際に、上記導電性粒子の表面上に上記絶縁性粒子が効率よく吸着可能である。第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませ、衝撃及び冷熱衝撃に対する接続信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径は、上記導電性粒子の粒子径の好ましくは1/5以下、より好ましくは1/8以下である。第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませ、衝撃及び冷熱衝撃に対する接続信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径は、上記導電性粒子の粒子径の好ましくは1/100以上、より好ましくは1/30以上である。また、上記絶縁性粒子の平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。上記絶縁性粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、第2の電極に上記絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませることができる。さらに、隣接する導電性粒子間の距離が電子のホッピング距離よりも大きくなり、リークが起こり難くなる。上記絶縁性粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、熱圧着する際に必要な圧力及び熱量が小さくなる。第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませ、衝撃及び冷熱衝撃に対する接続信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径は、最も好ましくは400nm以下である。第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませ、衝撃及び冷熱衝撃に対する接続信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径は、特に好ましくは100nm以上、最も好ましくは175nm以上である。冷熱衝撃に対する接続信頼性をより一層高める観点からは、上記絶縁性粒子の平均粒子径は、最も好ましくは190nm以上である。
上記絶縁性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。絶縁性粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
上記絶縁性粒子の粒子径のCV値は、20%以下であることが好ましい。CV値が20%以下であると、上記絶縁性粒子による被覆部の厚さが均一になり、電極間で熱圧着する際に均一に圧力をかけやすくなり、導通不良が生じ難くなる。なお、上記絶縁性粒子の粒子径のCV値は、下記式により算出される。
絶縁性粒子の粒子径のCV値(%)=絶縁性粒子の粒子径の標準偏差/絶縁性粒子の平均粒子径×100
粒子径分布は、導電性粒子の表面上に絶縁性粒子を配置する前は、粒度分布計等で測定可能である。粒子径分布は、導電性粒子の表面上に絶縁性粒子を配置した後は、SEM写真の画像解析等で測定可能である。
上記絶縁性粒子は、ヘテロ凝集によって導電性粒子の表面上に付着させるために、極性官能基を有することが好ましい。該極性官能基としては、例えば、アンモニウム基、スルホニウム基、リン酸基及びヒドロキシシリル基等が挙げられる。上記極性官能基は、上記極性官能基と不飽和二重結合とを有する単量体を共重合することによって導入可能である。
上記アンモニウム基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、及びN,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。上記スルホニウム基を有する単量体としては、メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩等が挙げられる。上記リン酸基を有する単量体としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。上記ヒドロキシシリル基を有する単量体としては、ビニルトリヒドロキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリヒドロキシシラン等が挙げられる。
上記絶縁性粒子の表面に極性官能基を導入する別の方法としては、上記不飽和二重結合を有する単量体を重合する際の開始剤として、極性基を有するラジカル開始剤を用いる方法が挙げられる。上記ラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシ−ブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)及びこれらの塩等が挙げられる。
(導電材料)
上記導電材料は、上述した絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。該異方性導電材料には、上下の電極間を導通するための導電材料が含まれる。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は、回路接続用導電材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂又は湿気硬化性樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記絶縁性粒子付き導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記絶縁性粒子付き導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルムとして使用され得る。上記導電材料が導電フィルムである場合には、絶縁性粒子付き導電性粒子を含む導電フィルムに、及び絶縁性粒子付き導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
接続構造体における接続部にボイドが発生するのを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、導電ペーストであり、かつペースト状の状態で接続対象部材の上面に塗工されることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは90.99重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体の他の詳細)
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
第2の電極に絶縁性粒子をより一層容易に埋め込ませる観点からは、上記第2の電極の上記導電性粒子により電気的に接続される表面の材料が、錫又は金であることが好ましく、金であることがより好ましい。上記第2の電極の上記導電性粒子により電気的に接続される表面の材料が、金である場合に、本発明の効果が顕著に得られる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)絶縁性粒子付き導電性粒子
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆されており、かつニッケルめっき層の表面に複数の突起(平均高さ150nm)を有する導電性粒子と、該導電性粒子の表面上に付着している複数のシリカ粒子(平均粒子径200nm)とを有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用意した。
上記導電性粒子に関しては、ニッケルめっき層のビッカース硬度は630、シリカ粒子のビッカース硬度は1020であった。ビッカース硬度に関しては、同成分のシート状物を作製し、フィッシャー社製「フィッシャースコープH100C」を使用して測定した。
この絶縁性粒子付き導電性粒子における上記絶縁性粒子の残存率は75%であった。また、上記導電性粒子の表面積全体に占める上記絶縁性粒子により被覆されている部分の面積である被覆率は65%であった。また、上記絶縁性粒子付き導電性粒子の100℃での10%K値は5680N/mm2であった。
(2)導電材料の作製
フェノキシ樹脂であるPKHC(InChem社製)30重量部と、熱硬化性化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製「TD−2106」)25重量部と、熱カチオン硬化剤(三新化学社製「SI−60」)1重量部と、シランカップリング剤1重量部と、上記絶縁性粒子付き導電性粒子10重量部とを、トルエンに分散し固形分40重量%の樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をポリエチレンテレフタレート上にコーターで塗布し、溶媒を乾燥することで、厚み20μmの異方性導電フィルムを得た。
(3)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのTi−Al−Tiの複層電極パターンを上面に有する透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが15μm/15μmの金バンプ電極パターンを下面に有する半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。上記半導体チップにおける金バンプのビッカース硬度は180であった。
仮圧着機を用いて、上記透明ガラス基板上のチップ搭載部分に、得られた異方性導電フィルムを仮圧着し、貼り付けた。次に、上記半導体チップを電極同士が対向するように積層した後、異方性導電フィルムの温度が180℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せて、3MPaの圧力をかけて熱圧着を行い、異方性導電フィルム中のバインダー樹脂を硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体の電極部分の断面を観察した。この結果、半導体チップの金バンプに絶縁性粒子が埋め込まれており、導電性粒子のニッケルめっき層が金バンプに接触していることが確認された。また、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり3.6個の絶縁性粒子が金バンプに埋め込まれていた。透明ガラス基板の電極には、絶縁性粒子が埋め込まれていなかったが、導電性粒子におけるニッケルめっき層が電極に接触していた。
なお、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たりの金バンプに埋め込まれている絶縁性粒子数は、金バンプに圧着されている5個の導電性粒子において、導電性粒子と金バンプとが接触している部分の断面をFIBによって0.1μmずつ削りながらSEMで撮影して、金バンプに埋め込まれている絶縁性粒子をカウントし、平均をとることで求めた。
(実施例2)
(1)絶縁性粒子付き導電性粒子
実施例1の絶縁性粒子付き導電性粒子を用意した。
(2)導電材料の作製
熱硬化性化合物であるレゾルシノールグリシジルエーテル30重量部と、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)5重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・オルネクス社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーであるシリカ(平均粒子径0.25μm)20重量部とを配合し、さらに上記絶縁性粒子付き導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。
得られた配合物を、ナイロン製のろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量が10重量%である異方性導電ペーストを得た。
(3)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのTi−Al−Tiの複層電極パターンを上面に有する透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが15μm/15μmの金バンプ電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上のチップ搭載部分に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、波長365nmのLEDランプを用いて、照射エネルギーが2000mJ/cm2となるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が180℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて熱圧着を行い、異方性導電ペースト層を硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体の電極部分の断面を観察した。この結果、半導体チップの金バンプに絶縁性粒子が埋め込まれており、導電性粒子のニッケルめっき層が金バンプに接触していることが確認された。また、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり4.2個の絶縁性粒子が金バンプ電極に埋め込まれていた。透明ガラス基板の電極には、絶縁性粒子が埋め込まれていなかったが、導電性粒子におけるニッケルめっき層は、透明ガラス基板の電極に接触していた。
(実施例3)
導電性粒子の表面上に付着している複数のシリカ粒子の平均粒子径を200nmから450nmに変更した以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続構造体の電極部分の断面を観察すると、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり1.2個の絶縁性粒子が金バンプ電極に埋め込まれていた。
(実施例4)
導電性粒子の表面上に付着している複数のシリカ粒子の平均粒子径を200nmから50nmに変更した以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続構造体の電極部分の断面を観察すると、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり8.8個の絶縁性粒子が金バンプ電極に埋め込まれていた。
(実施例5)
シリカ粒子の表面をシランカップリング処理して、シリカ粒子の表面にビニル基を付与した後、メタクリル酸メチルを反応させることにより、表面にメタクリル酸メチルを主成分とした高分子化合物がコーティングされたコアシェル型の粒子を得た。このコアシェル粒子はコア部分のシリカ粒子の粒径が180nm、シェル部分の高分子化合物の厚みは20nmであった。また、コアシェル粒子のビッカース硬度については、シェル部分が薄膜であるのでコア部分の硬度と同等と考えられる。
導電性粒子の表面上に付着している複数のシリカ粒子を、上記コアシェル型の粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。得られた接続構造体の電極部分の断面を観察すると、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり3.4個の絶縁性粒子が金バンプ電極に埋め込まれていた。
(実施例6)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.08μm)により被覆されており、さらに最外層に金めっき層(厚み0.03μm)が被覆され、かつめっき層の表面に複数の突起(平均高さ150nm)を有する導電性粒子と、該導電性粒子の表面上に付着している複数のシリカ粒子(平均粒子径200nm)とを有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用意した。
上記導電性粒子に関しては、金めっき層のビッカース硬度は200、シリカ粒子のビッカース硬度は1020であった。ビッカース硬度に関しては、同成分のシート状物を作製し、フィッシャー社製「フィッシャースコープH100C」を使用して測定した。
さらに、L/Sが15μm/15μmの銅バンプにスズめっき層を被覆した電極パターンを下面に有する半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。スズめっき層のビッカース硬度は30であった。
上記の絶縁性粒子付き導電性粒子及び第2の接続対象部材を用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。得られた接続構造体の電極部分の断面を観察すると、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり4.1個の絶縁性粒子がスズめっきバンプ電極に埋め込まれていた。
(実施例7)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径2μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.08μm)により被覆されており、かつニッケルめっき層の表面に複数の突起(平均高さ150nm)を有する導電性粒子と、該導電性粒子の表面上に付着している複数のシリカ粒子(平均粒子径150nm)とを有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用意した。この絶縁性粒子付き導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。得られた接続構造体の電極部分の断面を観察すると、1つの絶縁性粒子付き導電性粒子当たり3.7個の絶縁性粒子が金めっきバンプ電極に埋め込まれていた。
(比較例1)
導電性粒子の表面上にシリカ粒子を付着させなかったこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続構造体の電極部分の断面を観察すると、金バンプに絶縁性粒子は埋め込まれていなかった。
(比較例2)
導電性粒子の表面上にシリカ粒子の代わりに絶縁性粒子を付着させたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を作製した。ここで用いた絶縁性粒子は、メタクリル酸メチルを主成分とし、表面にP−OH基及びグリシジル基を有する有機高分子絶縁性粒子である。絶縁性粒子の平均粒径は200nmであった。得られた接続構造体では、接続構造体の電極部分の断面を観察すると、金バンプに絶縁性粒子は埋め込まれていなかった。
(評価)
(1)衝撃に対する接続信頼性
得られた接続構造体において、チップと基板との電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。その後、高さ10cmから100gの重りをチップ上に垂直に5回落とした後に接続抵抗を4端子法で測定し、初期に導通していた100電極中における導通不良となった電極の割合を計算することにより、衝撃に対する接続信頼性を評価した。衝撃に対する接続信頼性を下記の基準で判定した。
[衝撃に対する接続信頼性の判定基準]
○○:導通不良となった電極の割合が1%未満
○:導通不良となった電極の割合が1%以上、5%未満
△:導通不良となった電極の割合が5%以上、10%未満
×:導通不良となった電極の割合が10%以上
(2)冷熱衝撃に対する接続信頼性
得られた接続構造体において、チップと基板との電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。その後、−45℃〜125℃、保持時間30分の熱サイクル試験機に接続構造体を入れた。1000サイクル経過後に接続抵抗を4端子法で測定し、初期に導通していた100電極中における導通不良となった電極の割合を計算することにより、接続構造体における導通信頼性を評価した。接続構造体における導通信頼性を下記の基準で判定した。
[接続構造体における導通信頼性の判定基準]
○○:導通不良となった電極の割合が1%未満
○:導通不良となった電極の割合が1%以上、5%未満
△:導通不良となった電極の割合が5%以上、10%未満
×:導通不良となった電極の割合が10%以上
結果を下記の表1に示す。