以下、本発明の詳細を説明する。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、複数の導電性粒子と、複数のフィラーと、バインダー樹脂とを含む。本発明に係る導電材料では、上記導電材料を、150℃及び10秒間の加熱条件、かつ、3MPaの加圧条件で加熱及び加圧して、上記導電材料の硬化物を得たときに、上記硬化物中で、上記フィラーが偏在している。本発明に係る導電材料では、上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記導電性粒子の表面から外側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/2の距離までの領域に存在する上記フィラーの個数の割合が、70%以上である。
本発明に係る導電材料では、上記硬化物中に含まれるフィラーは、導電性粒子に近い位置で比較的密に存在しており、導電性粒子から遠い位置で比較的疎に存在している。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていてもよく、上記導電性粒子の表面上に配置されていなくてもよい。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていることが好ましい。なお、導電性粒子から遠い位置(例えば、導電性粒子からかなり離れた位置)では、上記硬化物中に含まれるフィラーは存在していなくてもよい。
本発明に係る導電材料では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生を効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力を効果的に高めることができる。
異方性導電材料を用いて、基板上の電極間を電気的に接続することで接続構造体を得ることができる。この接続構造体の作製において、接続対象部材の材質の違い、及び接続部の熱履歴等により、接続対象部材や接続部に応力が加わることがある。この応力によって、接続対象部材や接続部にクラックや反りが生じることがある。
接続対象部材や接続部におけるクラックや反りの発生を防止する方法としては、シリコーン粒子等の応力緩和粒子を接続部に添加して内部応力を緩和する方法等が挙げられる。しかしながら、応力緩和粒子を用いてクラックや反りの発生を防止するためには、応力緩和粒子を接続部に比較的多く添加する必要がある。応力緩和粒子を接続部に比較的多く添加すると、接続部の表面上にも応力緩和粒子が配置されることになり、接続部の表面上におけるバインダー樹脂の割合が相対的に減少する。接続部の接着力は接続部の表面上におけるバインダー樹脂により発現されるので、接続部の表面上におけるバインダー樹脂の割合が相対的に減少すると、接続部の接着力が低下し、接続部と接続対象部材とを接着することが困難なことがある。従来の異方性導電材料では、接続部におけるクラックや反りの発生を防止することと、接続部の接着力を高めることとの双方を両立させることは困難である。
本発明者らは、特定の導電材料を用いることで、接続部におけるクラックや反りの発生を防止することと、接続部の接着力を高めることとの双方を両立させることができることを見出した。本発明では、応力緩和効果を発現するフィラーを接続部に比較的多く添加することができ、かつ、該フィラーが接続部の表面上に配置されることを抑制することができる。結果として、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生を効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力を効果的に高めることができる。
本発明では、上記のような効果を得るために、特定の導電材料を用いることは大きく寄与する。
本発明に係る導電材料は、複数の導電性粒子と、複数のフィラーと、バインダー樹脂とを含む。上記導電材料を、150℃及び10秒間の加熱条件、かつ、3MPaの加圧条件で加熱及び加圧して、上記導電材料の硬化物を得たときに、上記硬化物中で、上記フィラーは導電性粒子の周囲に偏在している。
上記硬化物の形状は特に限定されない。上記硬化物の形状は、直方体形状であってもよく、直方体形状以外の形状であってもよい。上記硬化物の高さ方向の厚みは、均一であることが好ましい。上記の偏在状態を判断するために用いる上記硬化物を得る場合に、縦1mm~100mm、横0.5mm~50mm、高さ1mm~200mmの硬化物を得ることが好ましい。特に、縦5mm~20mm、横1mm~10mm、高さ50mm~150mmの直方体形状の硬化物を得ることが好ましく、縦10mm、横5mm、高さ100mmの直方体形状の硬化物を得ることがより好ましい。
なお、本発明に係る導電材料の実際の使用時(例えば、導電材料を用いて接続構造体を作製する時等)には、上記導電材料の硬化条件は、150℃及び10秒間の加熱条件、かつ、3MPaの加圧条件で加熱及び加圧するという条件でなくてもよい。
本発明に係る導電材料では、上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記導電性粒子の表面から外側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/2の距離までの領域(第1の領域、R1)に存在する上記フィラーの個数の割合は、70%以上である。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合は、75%以下であってもよい。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合の上限は特に限定されない。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合は、95%以下であってもよい。上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合は、上記第1の領域(R1)に、上記フィラーの少なくとも一部が含まれているフィラーの個数の割合である。上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合が、上記下限以上であると、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。上記第1の領域(R1)は、図6において、導電性粒子1の外表面と破線L1との間の領域である。導電性粒子1の外表面と破線L1との距離は、導電性粒子1の粒子径の1/2である。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合は、導電材料の硬化物を走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することにより算出することができる。具体的には、導電材料の硬化物をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記硬化物の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記硬化物の切断面中にある上記第1の領域(R1)のフィラーの個数、及び上記第1の領域(R1)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの割合を算出することができる。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合を70%以上にする方法としては以下の方法等が挙げられる。導電性粒子の表面上にフィラーをハイブリダイザー等で付着させたフィラー付き導電性粒子を作製し、該フィラー付き導電性粒子を用いて導電材料及び導電材料の硬化物を作製する方法。導電性粒子とフィラーとをバインダー樹脂中で混錬し、外部から磁場をかけることで導電性粒子とフィラーとの間に引力を生じさせる方法。磁性等の相互作用性を有する導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子の表面及びフィラーの表面に化学結合又は配位結合等の結合を生じさせる官能基を導入し、バインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子にフィラーを化学結合又は分子間引力により付着させた後、フィラーが付着した導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる方法。
上記硬化物の厚み方向の一方側の表面を第1の表面とし、上記硬化物の厚み方向の他方側の表面を第2の表面とする。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記硬化物の表面(一方側の表面、第1の表面)から内側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第2の領域、R2)に存在する上記フィラーの個数の割合は、好ましくは50%未満、より好ましくは20%以下である。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第2の領域(R2)に存在する上記フィラーの個数の割合の下限は特に限定されない。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第2の領域(R2)に存在する上記フィラーの個数の割合は、5%以上であってもよい。上記第2の領域(R2)に存在する上記フィラーの個数の割合は、上記第2の領域(R2)に、上記フィラーの少なくとも一部が含まれているフィラーの個数の割合である。上記第2の領域(R2)に存在する上記フィラーの個数の割合が、上記上限以下であると、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。上記第2の領域(R2)は、図6において、第1の表面51aと破線L2との間の領域である。第1の表面51aと破線L2との距離は、導電性粒子1の粒子径の1/5である。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記硬化物の表面(他方側の表面、第2の表面)から内側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第3の領域、R3)に存在する上記フィラーの個数の割合は、好ましくは50%未満、より好ましくは20%以下である。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合の下限は特に限定されない。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合は、5%以上であってもよい。上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合は、上記第3の領域(R3)に、上記フィラーの少なくとも一部が含まれているフィラーの個数の割合である。上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合が、上記上限以下であると、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。上記第3の領域(R3)は、図6において、第2の表面51bと破線L3との間の領域である。第2の表面51bと破線L3との距離は、導電性粒子1の粒子径の1/5である。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第2の領域(R2)又は上記第3の領域(R3)における上記フィラーの個数を上記の好ましい範囲に制御する方法としては、以下の方法等が挙げられる。導電性粒子の表面上にフィラーをハイブリダイザー等で付着させたフィラー付き導電性粒子を作製し、該フィラー付き導電性粒子を用いて導電材料及び導電材料の硬化物を作製する方法。磁性等の相互作用性を有する導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子の表面及びフィラーの表面に化学結合又は配位結合等の結合を生じさせる官能基を導入し、バインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子にフィラーを化学結合又は分子間引力により付着させた後、フィラーが付着した導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる方法。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第2の領域(R2)又は上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合は、導電材料の硬化物を走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することにより算出することができる。具体的には、導電材料の硬化物をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記硬化物の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記硬化物の切断面中にある上記第2の領域(R2)のフィラーの個数及び上記第2の領域(R2)以外の領域のフィラーの個数、又は、上記硬化物の切断面中にある上記第3の領域(R3)のフィラーの個数及び上記第3の領域(R3)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出することができる。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第2の領域(R2)又は上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合を上記の好ましい範囲に制御する方法としては以下の方法等が挙げられる。導電性粒子の表面上にフィラーを付着させたフィラー付き導電性粒子を作製し、該フィラー付き導電性粒子を用いて導電材料及び導電材料の硬化物を作製する方法。磁性等の相互作用性を有する導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子の表面及びフィラーの表面に化学結合又は配位結合等の結合を生じさせる官能基を導入し、バインダー樹脂と共に混錬する方法。
上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは1000MPa以上、より好ましくは1200MPa以上であり、好ましくは6000MPa以下、より好ましくは2500MPa以下である。上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。
上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「RSA3」)により測定できる。上記動的粘弾性測定装置による測定は、上記硬化物を縦10mm、横1mm~10mm、高さ15mm~50mmの大きさに切り出した測定サンプルを用いて、周波数10Hz、ひずみ1%、温度-10℃~210℃、及び昇温速度5℃/minの条件で行う。測定結果から、25℃における貯蔵弾性率を算出する。
上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは5Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは1000Pa・s以下、より好ましくは500Pa・s以下である。上記導電材料の25℃での粘度(η25)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る導電材料の硬化物について、具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料の硬化物を模式的に示す断面図である。
図1に示す導電材料の硬化物51は、導電性粒子1と、フィラー3と、硬化物部52とを備える。硬化物51は、導電材料を、150℃及び10秒間の加熱条件、かつ、3MPaの加圧条件で加熱及び加圧することで得られる。硬化物51中で、フィラー3は偏在している。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていてもよく、配置されていなくてもよい。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていることが好ましい。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に付着していることが好ましい。上記フィラーと上記導電性粒子とは、上記導電性粒子の表面上に上記フィラーが配置されたフィラー付き導電性粒子の形態で上記導電材料中に含まれていることが好ましい。上記フィラーと上記導電性粒子とは、上記フィラー付き導電性粒子の形態で上記硬化物中に存在していることが好ましい。上記フィラー付き導電性粒子を含む導電材料を用いることで、上記フィラーを比較的多く添加しても、上記フィラーを上記導電性粒子の周囲に偏在させることができ、上記硬化物の表面上に配置される上記フィラーの割合を低下させることができる。
上記フィラーは、上述した第1の領域(R1)以外の領域に存在していてもよい。上記フィラーは、上述した第2の領域(R2)以外の領域、かつ、上述した第3の領域(R3)以外の領域に存在することが好ましい。なお、図1では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
次に、上記導電材料に含まれている導電性粒子(フィラー付き導電性粒子)について、以下説明する。
図2は、本発明に係る導電材料に用いられるフィラー付き導電性粒子を示す断面図である。
図2に示すフィラー付き導電性粒子1は、導電性粒子2と、導電性粒子2の表面上に配置された複数のフィラー3とを備える。フィラー3は、絶縁性を有する材料により形成されていることが好ましい。
導電性粒子2は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部12とを有する。フィラー付き導電性粒子1においては、導電部12は導電層である。導電部12は、基材粒子11の表面を覆っている。導電性粒子2は、基材粒子11の表面が導電部12により被覆された被覆粒子である。導電性粒子2は表面に導電部12を有する。上記導電性粒子では、上記導電部が上記基材粒子の表面の全体を覆っていてもよく、上記導電部が上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよい。
フィラー3は、導電性粒子2の表面上に配置されている。複数のフィラー3は、導電性粒子2の表面に接触しており、導電性粒子2の表面に付着している。複数のフィラー3は、導電性粒子2における導電部12の外表面に接触しており、導電部12の外表面に付着している。
図3は、フィラー付き導電性粒子の第1の変形例を示す断面図である。
図3に示すフィラー付き導電性粒子1Aは、導電性粒子2Aと、導電性粒子2Aの表面上に配置された複数のフィラー3とを備える。
フィラー付き導電性粒子1とフィラー付き導電性粒子1Aとでは、導電性粒子2と導電性粒子2Aとが異なる。
導電性粒子2Aは、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部12Aと、複数の芯物質13Aとを有する。導電部12Aは導電層である。導電部12Aは、基材粒子11に接している。導電部12Aは、基材粒子11の表面を覆っている。導電性粒子2Aは、基材粒子11の表面が導電部12Aにより被覆された被覆粒子である。導電性粒子2Aは表面に導電部12Aを有する。
導電性粒子2Aは、導電部12Aの外表面に、複数の突起14Aを有する。導電部12Aは外表面に、複数の突起14Aを有する。複数の芯物質13Aが、基材粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質13Aは、導電部12A内に埋め込まれている。芯物質13Aは、突起14Aの内側に配置されている。導電部12Aは、複数の芯物質13Aを被覆している。複数の芯物質13Aにより、導電部12Aの外表面が隆起されており、突起14Aが形成されている。
図4は、フィラー付き導電性粒子の第2の変形例を示す断面図である。
図4に示すフィラー付き導電性粒子1Bは、導電性粒子2Bと、導電性粒子2Bの表面上に配置された複数のフィラー3を備える。
フィラー付き導電性粒子1Aとフィラー付き導電性粒子1Bとでは、導電性粒子2Aと導電性粒子2Bとが異なる。
導電性粒子2Bは、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部12Bとを有する。導電性粒子2Bは、芯物質を有さない。
導電性粒子2Aと導電性粒子2Bとでは、芯物質の有無が異なり、結果として導電部が異なっている。フィラー付き導電性粒子1Aでは、芯物質13Aが用いられ、かつ芯物質13Aを被覆するように導電部12Aが形成されているのに対し、フィラー付き導電性粒子1Bでは、芯物質は用いられておらず、導電部12Bが形成されている。
導電部12Bは、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。導電性粒子2Bは、導電部12Bの外表面に、複数の突起14Bを有する。導電部12Bは外表面に、複数の突起14Bを有する。複数の突起14Bを除く部分が、導電部12Bの上記第1の部分である。複数の突起14Bは、導電部12Bの厚みが厚い上記第2の部分である。
以下、上記導電材料に含まれる各成分を説明する。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有していることが好ましい。上記導電部は、単層構造であってもよく、2層以上の複層構造であってもよい。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。導電性粒子の粒子径は、例えば、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各導電性粒子の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
導電性粒子において、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察する方法により、上記導電性粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子を観察する。各導電性粒子の円相当径を計測し、それらを算術平均して導電性粒子の粒子径とする。
上記導電性粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。上記導電性粒子の粒子径の変動係数が、上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の粒子径の平均値
上記導電性粒子の形状は特に限定されない。上記導電性粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高めることができる。
基材粒子:
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、無機粒子を除く基材粒子であってもよい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記樹脂粒子の材料として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、及びポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、及びブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、及びクロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、並びに、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、及びビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとを示す。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は、金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアの材料としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。
上記無機シェルの材料としては、上述した基材粒子の材料として挙げた無機物が挙げられる。上記無機シェルの材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは0.8μm以上であり、好ましくは49.8μm以下、より好ましくは49.6μm以下である。上記基材粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。さらに基材粒子の表面に導電部を形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。
上記基材粒子の粒子径は、0.9μm以上49.9μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が、0.9μm以上49.9μm以下の範囲内であると、基材粒子の表面に導電部を形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。
上記基材粒子の粒子径は、数平均粒子径を示す。上記基材粒子の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。基材粒子の粒子径は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求めることが好ましい。導電性粒子において、上記基材粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の基材粒子を観察する。各導電性粒子における基材粒子の円相当径を粒子径として計測し、それらを算術平均して基材粒子の粒子径とする。
導電部:
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部を構成する金属は、特に限定されない。上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムがより好ましい。
また、導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記導電部及び上記導電部の外表面部分はニッケルを含むことが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より一層好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、フィラーを配置できる。
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層を構成する金属は、金、ニッケル、パラジウム、銅又は錫と銀とを含む合金であることが好ましく、金であることがより好ましい。最外層を構成する金属がこれらの好ましい金属である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層を構成する金属が金である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。上記導電部を形成する方法は、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を十分に変形させることができる。
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗を十分に低くすることができる。
上記導電部の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
芯物質:
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、電極間の接続時に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間のフィラーを効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部(第1の導電部又は第2の導電部等)を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いずに、基材粒子に無電解めっきにより導電部を形成した後、導電部の表面上に突起状にめっきを析出させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等を用いてもよい。
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。付着させる芯物質の量を制御する観点からは、基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法は、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法であることが好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記芯物質が金属であることが好ましい。
上記金属は特に限定されない。上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫-鉛合金、錫-銅合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記金属は、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の粒子径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の粒子径が、上記下限以上及び上限以下であると、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができる。
上記芯物質の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。芯物質の粒子径は、例えば、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各芯物質の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
導電性粒子において、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察する方法により、上記芯物質の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を20万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の芯物質を観察する。各導電性粒子における芯物質の円相当径を計測し、それらを算術平均して導電性粒子の芯物質の粒子径とする。
フィラー:
上記導電材料は、複数のフィラーを含む。上記フィラーは、応力緩和フィラーであることが好ましく、応力緩和粒子であることが好ましい。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていることが好ましい。上記導電性粒子の表面上に上記フィラーが配置されたフィラー付き導電性粒子を含む導電材料を接続部の材料に用いると、接続部におけるクラックや反りの発生を効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力を効果的に高めることができる。具体的には、上記フィラー付き導電性粒子を含む導電材料を接続部の材料に用いることで、上記フィラーを接続部に比較的多く添加しても、上記フィラーを上記導電性粒子の周囲に偏在させることができ、接続部の表面上に配置される上記フィラーの割合を低下させることができる。結果として、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生を効果的に防止することと、接続部の接着力を効果的に高めることができることとの双方を両立させることができる。
また、上記フィラーは、絶縁性を有することが好ましく、絶縁性を有する材料により形成されていることが好ましい。この場合には、上記フィラー付き導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数のフィラー付き導電性粒子が接触したときに、複数の電極間にフィラーが存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極でフィラー付き導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間のフィラーを容易に排除できる。さらに、導電部の外表面に複数の突起を有する導電性粒子である場合には、導電性粒子の導電部と電極との間のフィラーをより一層容易に排除できる。
上記フィラーの粒子径は、上記導電性粒子の粒子径及び上記導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記フィラーの粒子径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは2000nm以下、より好ましくは800nm以下である。上記フィラーの粒子径が、上記下限を満足すると、上記フィラー付き導電性粒子が導電材料中に分散されたときに、複数の上記フィラー付き導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。上記フィラーの粒子径が、上記上限を満足すると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間のフィラーを排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。上記フィラーの粒子径が、上記下限及び上記上限を満足すると、電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記フィラーの粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記フィラーの粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。上記フィラーの粒子径は、任意のフィラー50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求めることが好ましい。上記フィラー付き導電性粒子において、上記フィラーの粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
フィラー付き導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散したフィラー付き導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、フィラー付き導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個のフィラー付き導電性粒子を無作為に選択し、各フィラー付き導電性粒子のフィラーを観察する。各フィラー付き導電性粒子におけるフィラーの円相当径を粒子径として計測し、それらを算術平均してフィラーの粒子径とする。
上記導電性粒子の粒子径の、上記フィラーの粒子径に対する比(導電性粒子の粒子径/フィラーの粒子径)は、好ましくは3.75以上、より好ましくは8.3以上であり、好ましくは120以下、より好ましくは25以下である。上記比(導電性粒子の粒子径/フィラーの粒子径)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記フィラーの25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは500MPa以上、より好ましくは1000MPa以上であり、好ましくは1700MPa以下、より好ましくは1500MPa以下である。上記フィラーの25℃における貯蔵弾性率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。
上記フィラーの25℃における貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「RSA3」)により測定できる。上記動的粘弾性測定装置による測定は、長さ10mm、幅1mm~10mm、厚み15mm~50mmの測定サンプルを用いて、周波数10Hz、ひずみ1%、温度-10℃~210℃、及び昇温速度5℃/minの条件で行う。測定結果から、25℃における貯蔵弾性率を算出する。なお、上記測定サンプルは、上記フィラーと同じ原料を用いて作製する。
上記フィラーの材料としては、絶縁性の樹脂等が挙げられる。上記絶縁性の樹脂としては、基材粒子として用いることが可能な樹脂粒子の材料等が挙げられる。上記フィラーは、上述した樹脂粒子であってもよい。
上記フィラーの材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。また、重合度の調整には連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、チオールや四塩化炭素等を挙げることができる。
上記導電性粒子の表面上に上記フィラーを配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電性粒子の表面上に上記フィラーを配置する方法は、物理的方法であることが好ましい。
上記導電性粒子の外表面、及び上記フィラーの外表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。上記導電性粒子の外表面と上記絶縁性粒子の外表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。上記導電性粒子の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介してフィラーの外表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記フィラー付き導電性粒子では、粒子径の異なる2種以上のフィラーを併用してもよい。粒子径の異なる2種以上のフィラーを併用することにより、粒子径の大きいフィラーにより被覆された隙間に、粒子径の小さいフィラーが入り込み、導電性粒子の表面上にフィラーをより一層効率的に配置することができる。
上記フィラーの粒子径の変動係数(CV値)は、20%以下であることが好ましい。上記フィラーの粒子径の変動係数が、上記上限以下であると、得られるフィラー付き導電性粒子のフィラーの厚みがより一層均一となり、導電接続の際に均一に圧力をより一層容易に付与することができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:フィラーの粒子径の標準偏差
Dn:フィラーの粒子径の平均値
上記フィラーの形状は特に限定されない。上記フィラーの形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは45重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記フィラーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。
(バインダー樹脂)
上記導電材料は、バインダー樹脂を含む。上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ、特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層高めることができる。
(接続構造体)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材を接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、複数の導電性粒子と、複数のフィラーと、バインダー樹脂とを含む導電材料である。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されている。本発明に係る接続構造体では、上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記導電性粒子の表面から外側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/2の距離までの領域に存在する上記フィラーの個数の割合が、70%以上である。
本発明に係る接続構造体では、上記の構成が備えられているので、接続部におけるクラックや反りの発生を効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力を効果的に高めることができる。
異方性導電材料を用いて、基板上の電極間を電気的に接続することで接続構造体を得ることができる。この接続構造体の作製において、接続対象部材の材質の違い、及び接続部の熱履歴等により、接続対象部材や接続部に応力が加わることがある。この応力によって、接続対象部材や接続部にクラックや反りが生じることがある。
接続対象部材や接続部におけるクラックや反りの発生を防止する方法としては、シリコーン粒子等の応力緩和粒子を接続部に添加して内部応力を緩和する方法等が挙げられる。しかしながら、応力緩和粒子を用いてクラックや反りの発生を防止するためには、応力緩和粒子を接続部に比較的多く添加する必要がある。応力緩和粒子を接続部に比較的多く添加すると、接続部の表面上にも応力緩和粒子が配置されることになり、接続部の表面上におけるバインダー樹脂の割合が相対的に減少する。接続部の接着力は接続部の表面上におけるバインダー樹脂により発現されるので、接続部の表面上におけるバインダー樹脂の割合が相対的に減少すると、接続部の接着力が低下し、接続部と接続対象部材とを接着することが困難なことがある。従来の異方性導電材料では、接続部におけるクラックや反りの発生を防止することと、接続部の接着力を高めることとの双方を両立させることは困難である。
本発明者らは、特定の導電材料を用いることで、接続部におけるクラックや反りの発生を防止することと、接続部の接着力を高めることとの双方を両立させることができることを見出した。本発明では、応力緩和効果を発現するフィラーを接続部に比較的多く添加することができ、かつ、該フィラーが接続部の表面上に配置されることを抑制することができる。結果として、電極間を電気的に接続して接続構造体を得た場合に、接続部におけるクラックや反りの発生を効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力を効果的に高めることができる。
本発明では、上記のような効果を得るために、特定の導電材料を用いることは大きく寄与する。
本発明に係る接続構造体では、上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記導電性粒子の表面から外側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/2の距離までの領域(第4の領域、R4)に存在する上記フィラーの個数の割合は、70%以上である。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合は、75%以下であってもよい。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合の上限は特に限定されない。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合は、96%以下であってもよい。上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合は、上記第4の領域(R4)に、上記フィラーの少なくとも一部が含まれているフィラーの個数の割合である。上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合が、上記下限以上であると、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。上記第4の領域(R4)は、図7において、導電性粒子1の外表面と破線L4との間の領域である。導電性粒子1の外表面と破線L4との距離は、導電性粒子1の粒子径の1/2である。
上記接続部(硬化物)中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合は、接続構造体における接続部を走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することにより算出することができる。具体的には、接続構造体における接続部をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記接続部の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記接続部の切断面中にある上記第4の領域(R4)のフィラーの個数、及び上記第4の領域(R4)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出することができる。
上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合を70%以上にする方法としては、上述した導電材料(フィラー付き導電性粒子を含む導電材料)を用いて、接続構造体を作製する方法等が挙げられる。
具体的には、上記接続部(硬化物)中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合を70%以上にする方法としては以下の方法等が挙げられる。導電性粒子の表面上にフィラーをハイブリダイザー等で付着させたフィラー付き導電性粒子を作製し、該フィラー付き導電性粒子を用いて導電材料及び導電材料の硬化物を作製する方法。導電性粒子とフィラーとをバインダー樹脂中で混錬し、外部から磁場をかけることで導電性粒子とフィラーとの間に引力を生じさせる方法。磁性等の相互作用性を有する導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子の表面及びフィラーの表面に化学結合又は配位結合等の結合を生じさせる官能基を導入し、バインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子にフィラーを化学結合又は分子間引力により付着させた後、フィラーが付着した導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる方法。
上記接続部の厚み方向の一方側の表面を第1の表面とし、上記接続部の厚み方向の他方側の表面を第2の表面とする。
上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記接続部の表面(一方側の表面、第1の表面)から内側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第5の領域、R5)に存在する上記フィラーの個数の割合は、好ましくは50%未満、より好ましくは20%以下である。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第5の領域(R5)に存在する上記フィラーの個数の割合の下限は特に限定されない。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第5の領域(R5)に存在する上記フィラーの個数の割合は、5%以上であってもよい。上記第5の領域(R5)に存在する上記フィラーの個数は、上記第5の領域(R5)に、上記フィラーの少なくとも一部が含まれているフィラーの個数の割合である。上記第5の領域(R5)に存在する上記フィラーの個数が、上記上限以下であると、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。上記第5の領域(R5)は、図7において、第1の表面84aと破線L5との間の領域である。第1の表面84aと破線L5との距離は、導電性粒子1の粒子径の1/5である。
上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中、上記接続部の表面(他方側の表面、第2の表面)から内側に向かって、上記導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第6の領域、R6)に存在する上記フィラーの個数の割合は、好ましくは50%未満、より好ましくは20%以下である。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第6の領域(R6)に存在する上記フィラーの個数の割合の下限は特に限定されない。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第6の領域(R6)に存在する上記フィラーの個数の割合は、5%以上であってもよい。上記第6の領域(R6)に存在する上記フィラーの個数の割合は、上記第6の領域(R6)に、上記フィラーの少なくとも一部が含まれているフィラーの個数の割合である。上記第6の領域(R6)に存在する上記フィラーの個数の割合が、上記上限以下であると、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。上記第6の領域(R6)は、図7において、第2の表面84bと破線L6との間の領域である。第2の表面84bと破線L6との距離は、導電性粒子1の粒子径の1/5である。
上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第5の領域(R5)又は上記第6の領域(R6)に存在する上記フィラーの個数の割合は、接続構造体における接続部を走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて観察することにより算出することができる。具体的には、接続構造体における接続部をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記接続部の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記接続部の切断面中にある上記第5の領域(R5)のフィラーの個数及び上記第5の領域(R5)以外の領域のフィラーの個数、又は、上記接続部の切断面中にある上記第6の領域(R6)のフィラーの個数及び上記第6の領域(R6)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出することができる。
上記接続部(硬化物)中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第5の領域(R5)又は上記第6の領域(R6)における上記フィラーの個数を上記の好ましい範囲に制御する方法としては、上述した導電材料(フィラー付き導電性粒子を含む導電材料)を用いて、接続構造体を作製する方法等が挙げられる。
具体的には、上記接続部(硬化物)中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第5の領域(R5)又は上記第6の領域(R6)における上記フィラーの個数を上記の好ましい範囲に制御する方法としては、以下の補法が挙げられる。導電性粒子の表面上にフィラーをハイブリダイザー等で付着させたフィラー付き導電性粒子を作製し、該フィラー付き導電性粒子を用いて導電材料及び導電材料の硬化物を作製する方法。磁性等の相互作用性を有する導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子の表面及びフィラーの表面に化学結合又は配位結合等の結合を生じさせる官能基を導入し、バインダー樹脂と共に混錬する方法。導電性粒子にフィラーを化学結合又は分子間引力により付着させた後、フィラーが付着した導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる方法。導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂中に混錬してシートにした後、シートの表面に他のシートを載せて硬化させる方法。特に、導電性粒子及びフィラーをバインダー樹脂中に混錬してシートにした後、シートの表面に他のシートを載せて硬化させる方法を、上記の他の方法と組み合わせることで、上記の形態をより効果的に達成することができる。
上記接続部の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは1000MPa以上、より好ましくは1200MPa以上であり、好ましくは6000MPa以下、より好ましくは2500MPa以下である。上記接続部の25℃における貯蔵弾性率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、接続部におけるクラックや反りの発生をより一層効果的に防止することができ、かつ、接続部の接着力をより一層効果的に高めることができる。
上記接続部の25℃における貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「RSA3」)により測定できる。上記動的粘弾性測定装置による測定は、上記接続部を長さ10mm、幅1mm~10mm、厚み15mm~50mmの大きさに切り出した測定サンプルを用いて、周波数10Hz、ひずみ1%、温度-10℃~210℃、及び昇温速度5℃/minの条件で行う。測定結果から、25℃における貯蔵弾性率を算出する。
図5は、本発明に係る導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図5に示す接続構造体81は、第1の接続対象部材82と、第2の接続対象部材83と、第1の接続対象部材82及び第2の接続対象部材83を接続している接続部84とを備える。接続部84は、導電性粒子1とフィラー3とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていてもよく、配置されていなくてもよい。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に配置されていることが好ましい。上記フィラーは、上記導電性粒子の表面上に付着していることが好ましい。上記フィラーと上記導電性粒子とは、上記導電性粒子の表面上に上記フィラーが配置されたフィラー付き導電性粒子の形態で上記導電材料中に含まれていることが好ましい。上記フィラー付き導電性粒子を含む導電材料を接続部の材料に用いることで、上記フィラーを接続部に比較的多く添加しても、上記フィラーを上記導電性粒子の周囲に偏在させることができ、接続部の表面上に配置される上記フィラーの割合を低下させることができる。
接続部84は、複数のフィラー付き導電性粒子を含む導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。上記フィラーは、上述した第4の領域(R4)以外の領域に存在していてもよい。上記フィラーは、上述した第5の領域(R5)以外の領域、かつ、上述した第6の領域(R6)以外の領域に存在することが好ましい。なお、図5では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子1A又は1Bを用いてもよい。
第1の接続対象部材82は表面(上面)に、複数の第1の電極82aを有する。第2の接続対象部材83は表面(下面)に、複数の第2の電極83aを有する。第1の電極82aと第2の電極83aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1接続対象部材82及び第2の接続対象部材83が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記熱圧着の圧力は好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記熱圧着の加熱の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。上記熱圧着の圧力及び温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電接続時にフィラー付き導電性粒子の表面からフィラーが容易に脱離でき、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
上記積層体を加熱及び加圧する際に、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記フィラーを排除することができる。例えば、上記加熱及び加圧の際には、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記フィラーが、上記フィラー付き導電性粒子の表面から容易に脱離する。なお、上記加熱及び加圧の際には、上記フィラー付き導電性粒子の表面から一部の上記フィラーが脱離して、上記導電部の表面が部分的に露出することがある。上記導電部の表面が露出した部分が、上記第1電極及び上記第2の電極に接触することにより、上記導電性粒子を介して第1の電極と第2の電極とを電気的に接続することができる。
上記第1接続対象部材及び第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1接続対象部材及び第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1接続対象部材及び第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
テトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベンゼンとの共重合樹脂により形成された樹脂粒子(基材粒子)(粒子径3.00μm)を用意した。パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、基材粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子を取り出した。次いで、基材粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(平均粒子径0.15μm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を含む懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.35mol/L、ジメチルアミンボラン1.38mol/L及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を70℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子の表面に導電部(ニッケル-ボロン層、厚み0.15μm)が形成された導電性粒子(粒子径3.30μm)を得た。
(2)フィラーの作製
4つ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた1000mLセパラブルフラスコに、下記の組成物を入れた後、上記組成物を固形分が10重量%となるように蒸留水を添加して、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下50℃で5時間重合を行った。上記組成物は、メタクリル酸グリシジル45mmol、メタクリル酸メチル380mmol、ジメタクリル酸エチレングリコール13mmol、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレート0.5mmol、及び2,2’-アゾビス{2-[N-(2-カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}1mmolを含む。反応終了後、凍結乾燥して、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレートに由来するP-OH基を表面に有するフィラー(粒子径360nm)を得た。
(3)フィラー付き導電性粒子の作製
上記で得られたフィラーを超音波照射下で蒸留水に分散させ、フィラーの10重量%水分散液を得た。得られた導電性粒子10gを蒸留水500mLに分散させ、フィラーの10重量%水分散液1gを添加し、室温で8時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、フィラー付き導電性粒子を得た。
(4)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られたフィラー付き導電性粒子7重量部と、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂25重量部と、フルオレン型エポキシ樹脂4重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂30重量部と、SI-60L(三新化学工業社製)とを配合して、3分間脱泡及び攪拌することで、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。得られた導電材料100重量%中、導電性粒子の含有量は10.0重量%であり、フィラーの含有量は0.5重量%であった。
(5)接続構造体の作製
L/Sが10μm/10μmであるIZO電極パターン(第1の電極、電極表面の金属のビッカース硬度100Hv)が上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが10μm/10μmであるAu電極パターン(第2の電極、電極表面の金属のビッカース硬度50Hv)が下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が100℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、60MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を100℃で硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例2~6及び比較例1~3)
導電材料100重量%中の導電性粒子の含有量及びフィラーの含有量を、下記の表1に示す値となるように、フィラー付き導電性粒子の作製工程及び導電材料(異方性導電ペースト)の作製工程を変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子、フィラー、フィラー付き導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例7)
導電材料の作製の際に、導電材料の組成中のフルオレン型エポキシ樹脂の配合量を4重量部から10重量部に変更し、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の配合量を30重量部から60重量部に変更した。さらに、導電材料100重量%中の導電性粒子の含有量及びフィラーの含有量を、下記の表1に示す値となるように、フィラー付き導電性粒子の作製工程及び導電材料(異方性導電ペースト)の作製工程を変更した。上記の変更をしたこと以外は、実施例3と同様にして、導電性粒子、フィラー、フィラー付き導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例8)
導電材料の作製の際に、導電材料の組成中のフルオレン型エポキシ樹脂の配合量を4重量部から15重量部に変更し、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の配合量を30重量部から70重量部に変更した。さらに、導電材料100重量%中の導電性粒子の含有量及びフィラーの含有量を、下記の表1に示す値となるように、フィラー付き導電性粒子の作製工程及び導電材料(異方性導電ペースト)の作製工程を変更した。上記の変更をしたこと以外は、実施例3と同様にして、導電性粒子、フィラー、フィラー付き導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(評価)
(1)フィラーの個数の割合
得られた導電材料を、150℃及び10秒間の加熱条件、かつ、3MPaの加圧条件で加熱及び加圧して、厚みが均一な導電材料の硬化物を得た。得られた硬化物を用いて、硬化物中に含まれるフィラーの全個数100%中の導電性粒子の表面から外側に向かって、導電性粒子の粒子径の1/2の距離までの領域(第1の領域、R1)に存在するフィラーの個数の割合を算出した。また、硬化物中に含まれるフィラーの全個数100%中、硬化物の表面(一方側の表面、第1の表面)から内側に向かって、導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第2の領域、R2)に存在する上記フィラーの個数の割合を算出した。また、硬化物中に含まれるフィラーの全個数100%中、硬化物の表面(他方側の表面、第2の表面)から内側に向かって、導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第3の領域、R3)に存在する上記フィラーの個数の割合を算出した。
上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第1の領域(R1)に存在する上記フィラーの個数の割合を、導電材料の硬化物を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより算出した。具体的には、導電材料の硬化物をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記硬化物の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記硬化物の切断面中にある上記第1の領域(R1)のフィラーの個数、及び上記第1の領域(R1)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出した。上記硬化物中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第2の領域(R2)又は上記第3の領域(R3)に存在する上記フィラーの個数の割合を、導電材料の硬化物を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより算出した。具体的には、導電材料の硬化物をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記硬化物の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記硬化物の切断面中にある上記第2の領域(R2)のフィラーの個数及び上記第2の領域(R2)以外の領域のフィラーの個数、並びに、上記硬化物の切断面中にある上記第3の領域(R3)のフィラーの個数及び上記第3の領域(R3)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出した。
また、得られた接続構造体を用いて、接続部中に含まれるフィラーの全個数100%中、導電性粒子の表面から外側に向かって、導電性粒子の粒子径の1/2の距離までの領域(第4の領域、R4)に存在するフィラーの個数の割合を算出した。また、接続部中に含まれるフィラーの全個数100%中、接続部の表面(一方側の表面、第1の表面)から内側に向かって、導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第5の領域、R5)に存在するフィラーの個数の割合を算出した。また、接続部中に含まれるフィラーの全個数100%中、接続部の表面(他方側の表面、第2の表面)から内側に向かって、導電性粒子の粒子径の1/5の距離までの領域(第6の領域、R6)に存在するフィラーの個数の割合を算出した。
上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第4の領域(R4)に存在する上記フィラーの個数の割合を、接続構造体における接続部を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより算出した。具体的には、接続構造体における接続部をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記接続部の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記接続部の切断面中にある上記第4の領域(R4)のフィラーの個数、及び上記第4の領域(R4)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出した。上記接続部中に含まれる上記フィラーの全個数100%中の上記第5の領域(R5)又は上記第6の領域(R6)に存在する上記フィラーの個数の割合を、接続構造体における接続部を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより算出した。具体的には、接続構造体における接続部をクロスセクションポリッシャー(CP)等で切断し、上記接続部の断面を走査型電子顕微鏡により観察する。上記接続部の切断面中にある上記第5の領域(R5)のフィラーの個数及び上記第5の領域(R5)以外の領域のフィラーの個数、並びに、上記接続部の切断面中にある上記第6の領域(R6)のフィラーの個数及び上記第6の領域(R6)以外の領域のフィラーの個数を計測することにより、上記フィラーの個数の割合を算出した。
(2)25℃における貯蔵弾性率
得られたフィラーと同じ原料を用いて、長さ10mm、幅1mm~10mm、厚み15mm~50mmの測定サンプルAを作製した。上記測定サンプルAを、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「RSA3」)を用いて、周波数10Hz、ひずみ1%、温度-10℃~210℃、及び昇温速度5℃/minの条件で測定した。測定結果から、フィラーの25℃における貯蔵弾性率を算出した。
得られた導電材料を、150℃及び10秒間の加熱条件、かつ、3MPaの加圧条件で加熱及び加圧して、導電材料の硬化物を得た。得られた硬化物を長さ10mm、幅1mm~10mm、厚み15mm~50mmの大きさに切り出し、測定サンプルBを作製した。上記測定サンプルBを、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「RSA3」)を用いて、周波数10Hz、ひずみ1%、温度-10℃~210℃、及び昇温速度5℃/minの条件で測定した。測定結果から、硬化物の25℃における貯蔵弾性率を算出した。
得られた接続構造体の接続部を長さ10mm、幅1mm~10mm、厚み15mm~50mmの大きさに切り出し、測定サンプルCを作製した。上記測定サンプルCを、動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「RSA3」)を用いて、周波数10Hz、ひずみ1%、温度-10℃~210℃、及び昇温速度5℃/minの条件で測定した。測定結果から、接続部の25℃における貯蔵弾性率を算出した。なお、接続構造体の接続部を厚み15mm~50mmの大きさに切り出すことが困難な場合には、適宜、切り出し可能な厚みに変更してもよい。
(3)接着力(ダイシェア強度)
得られた接続構造体を、ダイシェアテスター(アークテック社製「DAGE 4000」)を用いて、300μm/秒の速度で、25℃でのダイシェア強度を評価した。接着力(ダイシェア強度)を下記の基準で判定した。
[接着力(ダイシェア強度)の判定基準]
○○○:ダイシェア強度が800N以上
○○:ダイシェア強度が600N以上800N未満
○:ダイシェア強度が400N以上600N未満
×:ダイシェア強度が400N未満
(4)反り
得られた接続構造体を用いて、第1の接続対象部材に反りが発生しているか否かを目視で確認した。反りを下記の基準で判定した。
[反りの判定基準]
○○○:反りが発生していない
○○:反りが僅かに発生している
○:反りが発生している(○○の評価結果よりは反りが大きい、実使用上問題なし)
×:反りが発生している(実使用に影響あり)
(5)クラック
得られた接続構造体を用いて、接続部、第1の接続対象部材又は第2の接続対象部材にクラックが発生しているか否かを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて確認した。クラックを下記の基準で判定した。
[クラックの判定基準]
○○○:クラックが発生していない
○○:クラックが僅かに発生している
○:クラックが発生している(○○の評価結果よりはクラックが多い、実使用上問題なし)
×:クラックが発生している(実使用に影響あり)
結果を下記の表1に示す。