JP2016006825A - 超電導磁場発生装置、超電導磁場発生方法及び核磁気共鳴装置 - Google Patents

超電導磁場発生装置、超電導磁場発生方法及び核磁気共鳴装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 円筒形状の超電導体の内部空間(ボア)内の磁場強度の均一性をより高めることができる超電導磁場発生装置を提供すること。
【解決手段】 超電導磁場発生装置100は、同軸配置された円筒形状の外側超電導体2及び内側超電導体3をを有する。内側超電導体3の軸方向における臨界電流密度(Jcz1)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ1)の比(Jcθ1/Jcz1)が、外側超電導体2の軸方向における臨界電流密度(Jcz2)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ2)の比(Jcθ2/Jcz2)よりも、1に近くなるように、内側超電導体3が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超電導磁場発生装置、超電導磁場発生方法、及び核磁気共鳴装置に関する。
核磁気共鳴(NMR)は、強い磁場中に置かれた試料に電磁波を印加したときに発生する原子核スピン(磁気モーメント)のエネルギーの共鳴現象である。核磁気共鳴装置(NMR装置)は、斯かる共鳴現象を利用して試料の構造を解析する機器である。磁場強度が大きい程、NMR信号の感度と分解能が高くなるため、NMR装置には強い磁場を発生するための磁場発生装置が備えられる。
強磁場を発生する磁場発生装置として、超電導体を着磁させることにより磁場を発生する超電導磁場発生装置が開発されている。また、超電導磁場発生装置に備えられる超電導体としては、超電導遷移温度が高く、且つ冷却が比較的容易な高温超電導体が好ましく用いられる。
NMR装置によって試料の分子構造を解析するに当たり、試料が磁場中に置かれる。このとき場所によって磁場強度のばらつきが大きいと、得られるNMRスペクトルがブロードとなり、試料の分子構造を適切に識別することができない。よって、NMR装置に用いられる超電導磁場発生装置は、強磁場を発生することができ、且つ試料の測定空間の磁場強度が均一な磁場(均一磁場)を形成することができるように構成されているのが好ましい。
なお、高分解能NMR測定のためには、1ppm以下の磁場の均一性が要求される。1ppm以下の極めて均一性が高い磁場は、通常、超電導磁場発生装置に複数のシムコイル(磁場補正コイル)を追加することにより達成され得る。言い換えれば、超電導磁場発生装置により発生させられる磁場の均一性は、最低でも、シムコイルによる補正が可能なppmオーダーでなければならない。
NMR装置に用いられる超電導磁場発生装置に備えられる超電導体は、例えば円筒形状に形成される。この場合、円筒形状の超電導体の内周空間(ボア)内に、磁束が軸方向に通る磁場が発生するように、外部磁場発生装置により磁場(印加磁場)が超電導体に印加される。そして、磁場を印加したまま超電導体を超電導遷移温度以下の温度にまで冷却する。冷却完了後、外部磁場発生装置により発生されている印加磁場を取り除く。すると、印加磁場を維持するように超電導体が着磁され、超電導体内に超電導電流が誘起される。こうして超電導体内に超電導電流が流れることにより、超電導体のボア内に、軸方向に磁束が通る磁場(捕捉磁場)が形成される。捕捉磁場が形成されている超電導体のボア内には試料が置かれる空間(室温ボア空間)が形成される。室温ボア空間に配置された試料に電磁波を与えることにより、試料から微弱な電磁波が発せられる。この電磁波を検出することで、NMRスペクトルが得られる。
試料の分析精度を向上させるため、円筒形状の超電導体のボア内に形成される捕捉磁場は、図21に示すように軸対称な磁場強度分布(すなわち円筒形状の超電導体の中心軸に垂直ないずれの方向から見ても同一な磁場強度分布)であって、中央部分(試料が置かれる空間)の磁場強度が均一であるのがよい。こうした捕捉磁場を得るためには、着磁された超電導体内を流れる超電導電流が、円筒形状の超電導体の中心軸を中心として周方向に流れる円電流でなければならない。つまり、超電導体の軸方向に直交する断面により表されるリング形状と同心円状の超電導電流ループが超電導体内に形成されることが、超電導体のボア内に軸対象な磁場強度分布であって中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を形成するために必要である。ところが、使用する超電導体の材料組織或いは超電導特性が不均一である場合、そのことによって超電導電流ループが同心円形状とは異なる歪な形状に形成される。すなわち超電導電流ループが乱れる。超電導電流ループが乱れた場合、超電導体のボア内の磁場の軸対称性が崩れるとともに均一性が悪化するため、磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を超電導体のボア内に形成することはできない。よって、超電導体の材料組織及び超電導特性は均一であるのがよい。
ところで、高温超電導体として、溶融法により作製されたRE−Ba−Cu−O系(REはYを含む希土類元素)の超電導バルクが良く知られている。しかしながら、このような超電導バルクは、超電導電流ループを乱す以下のような特性(以下、不均一特性と言う)を有する。
(1)超電導バルクは、超電導体上に載置された種結晶から単結晶成長させることにより作製されるため、結晶成長境界を有する。例えば、超電導体上に結晶構造のc面が接するように載置された種結晶から結晶成長させて超電導バルクを作製した場合、上から見て種結晶を中心に十字状に結晶成長するため、十字状の結晶成長境界が超電導バルクに形成される。このようにして形成された超電導バルクを着磁した場合、超電導バルク内に形成される超電導電流ループの形状が、隣接する結晶成長境界をつなぐような四角形状となる。つまり、超電導電流が結晶成長境界部分で外側に膨らむように流れることによって超電導電流ループが乱れ、同心円状の超電導電流ループが形成されない。その結果、超電導体のボア内に形成される捕捉磁場の軸対称性が崩れるとともに均一性が悪化する。
(2)高温超電導体としての超電導バルクは、単結晶の超電導相内に非超電導相が微細に分散しているような組織構造を有する。非超電導相は強力な磁場を捕捉するピン止め点を形成するが、非超電導相のサイズや分布にばらつきがあり、そのようなばらつきによって超電導バルク内に形成される超電導電流ループが乱れる。
(3)超電導バルクは、空孔、不要な析出物、マイクロクラックの存在、結晶性の乱れ等の、材料組織の不均一性を有する。斯かる材料組織の不均一性により、超電導バルク内に形成される超電導電流ループが乱れる。
(4)超電導バルクは、超電導特性(超電導遷移温度Tc、臨界電流密度Jc等)の局所的なばらつきを有する。これによっても、超電導電流ループが乱れる。
従って、超電導磁場発生装置に備えられる高温超電導体に超電導バルクを使用する場合、上記した不均一特性によって超電導電流ループが乱れるため、印加磁場が均一であっても、円筒形状の超電導体のボア内に均一な捕捉磁場を形成することが難しい。
特許文献1は、円筒形状で磁化率の大きい超電導バルクの両端面に円筒形状で磁化率の小さい超電導バルクを同軸状に配設することにより構成された円筒形状の超電導体を有する超電導磁場発生装置を開示する。特許文献1に開示された超電導磁場発生装置によれば、超電導バルクの磁化率と形状を一定の条件を満たすように設計することにより、超電導体の軸方向における磁場強度が均一な捕捉磁場を超電導体のボア内に形成することができる。
特許文献2は、円筒形状の超電導バルクからなる超電導体の周囲に配置された補正コイルを有する超電導磁場発生装置を開示する。特許文献2に開示された超電導磁場発生装置によれば、超電導体に磁場を印加して着磁する際に補正コイルで印加磁場を補正することにより、超電導体の軸方向における磁場強度が均一な捕捉磁場を超電導体のボア内に形成することができる。
特許文献3は、円筒形状であって軸方向における中央部分の内径が端部分の内径よりも大きくなるように形成された超電導体を有する超電導磁場発生装置を開示する。特許文献3に開示された超電導磁場発生装置によれば、円筒形状の超電導体の軸方向における中央部分の内径を端部分の内径よりも大きくしたことにより、超電導体の磁化により生じる不均一な磁場を相殺するような磁場が超電導体のボア内に流れる。こうして不均一な磁場が除去されることにより、超電導体の軸方向における磁場強度が均一な捕捉磁場を超電導体のボア内に形成することができる。
特開2008−034692号公報 特開2009−156719号公報 特開2014−053479号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1乃至3に記載された超電導磁場発生装置によれば、超電導体のボア内の軸方向における磁場強度の均一性を高めることができるものの、周方向における磁場強度の均一性を高めることは、原理的にできない。このため、超電導体のボア内、特にボアの中央部分に形成される試料の測定空間(室温ボア空間)の磁場強度を十分に均一にすることができない。そこで、本発明は、円筒形状の超電導体の内周空間(ボア)内の磁場強度の均一性をより高めることができる超電導磁場発生装置、超電導磁場発生方法及び、そのような超電導磁場発生装置が用いられる核磁気共鳴装置を提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、高温超電導材料により円筒形状に形成され、超電導遷移温度以下の温度に冷却された状態で印加磁場を捕捉することにより、捕捉磁場を発生する外側超電導体と、高温超電導材料により円筒形状に形成され、外側超電導体の内周側に外側超電導体と同軸的に配置された内側超電導体と、を有する超電導体と、外側超電導体と内側超電導体をそれぞれ超電導遷移温度以下の温度に冷却する冷却装置と、を備え、内側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz1)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ1)の比(Jcθ1/Jcz1)が、外側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz2)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ2)の比(Jcθ2/Jcz2)よりも、1に近くなるように、内側超電導体が形成されている、超電導磁場発生装置を提供する。ここで、円筒形状の超電導体(外側超電導体及び内側超電導体)の軸方向における臨界電流密度とは、超電導体内をその軸方向に沿って流れる超電導電流の臨界電流密度を意味し、周方向における臨界電流密度とは、超電導体内をその周方向に沿って流れる超電導電流の臨界電流密度を意味し、径方向における臨界電流密度とは、超電導体内をその径方向に沿って流れる超電導電流の臨界電流密度を意味する。
円筒形状の超電導体に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcは、軸方向における臨界電流密度Jczと、径方向における臨界電流密度Jcrと、周方向における臨界電流密度Jcθとによって、表される。ここで、軸方向における臨界電流密度Jczに対する周方向における臨界電流密度Jcθの比(Jcθ/Jcz)は、円筒周面内における臨界電流密度の均一性を表す。比(Jcθ/Jcz)が1に近いほど、円筒周面内における臨界電流密度の均一性が高いことを示す。
本発明に係る超電導磁場発生装置は、円筒形状の外側超電導体と、その内周側に同軸配置された円筒形状の内側超電導体とを備え、且つ、内側超電導体を流れる超電導電流の臨界電流密度に関する比(Jcθ1/Jcz1)が、外側超電導体を流れる超電導電流の臨界電流密度に関する比(Jcθ2/Jcz2)よりも1に近くなるように、外側超電導体と内側超電導体が構成されている。つまり、内側超電導体の円筒周面内における臨界電流密度の均一性が、外側超電導体の円筒周面内における臨界電流密度の均一性よりも高い。
円筒周面内における臨界電流密度の均一性が高い場合、超電導電流は、円筒周面内にて、任意の位置に、任意な形状の超電導電流ループを描くことができる。例えば、中心軸に対して傾斜するように中心軸周りを周方向に沿って流れる超電導電流により形成される超電導電流ループ、或いは、中心軸の周りを回ることなく周方向における一部の領域のみを流れる超電導電流により形成される超電導電流ループを形成することができる。また、任意の形状の超電導電流ループを円筒周面内に形成することができる。
従って、円筒周面内における臨界電流密度の均一性が高い内側超電導体の任意位置にて任意形状の超電導電流ループが形成されることにより、任意の方向に磁束が通る任意の強度の磁場が形成され得る。
このような内側超電導体の特性を利用して、不均一な捕捉磁場を補正することができる。具体的に言うと、超電導体のボア内に磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分の磁場強度が均一な磁場が印加された外側超電導体及び内側超電導体を超電導遷移温度以下の温度にまで冷却し、その状態で印加磁場を取り除くと、外側超電導体内に超電導電流が誘起される。すなわち外側超電導体が着磁される。外側超電導体内における超電導電流の誘起により外側超電導体に超電導電流ループが形成される。外側超電導体に超電導電流ループが形成されることによって捕捉磁場が形成される。また、外側超電導体の不均一特性に起因して外側超電導体内に形成される超電導電流ループが乱れた場合、超電導体(内側超電導体)のボア内に形成される捕捉磁場の軸対称性が崩れるとともに均一性が悪化する。しかし、本来捕捉磁場は、印加磁場を再現するように形成されるため、外側超電導体に超電導電流ループが形成されることにより再現された捕捉磁場が印加磁場と異なる場合、その差分の磁場に応じて内側超電導体内に超電導電流が誘起される。ここで、上述したように、内側超電導体は、その円筒周面内にて自由に超電導電流を流すことができ、それにより任意の方向に磁束が通る任意の強度の磁場を形成することができる。つまり、差分の磁場がどのような磁場であっても、その磁場に応じた磁場が形成されるように、内側超電導体内の円筒周面内の任意の位置にて任意形状の超電導電流ループが形成される。その結果、不均一な捕捉磁場が補われ、超電導体(内側超電導体)のボア内に形成される捕捉磁場の軸対称性及び均一性が保たれる。よって、本発明によれば、外側超電導体に超電導バルクを用いた場合であっても、超電導体の軸方向、周方向及び径方向における磁場強度の均一性が高い捕捉磁場、すなわち、従来よりも一層均一性が高い捕捉磁場を、超電導体(内側超電導体)のボア内に形成することができる。
本発明において、高温超電導材料とは、超電導遷移温度が約25K以上の第2種超電導体としての超電導特性を発揮するような材料であり、RE−Ba−Cu−O(REはYを含む希土類元素)系、Bi−Sr−Ca−Cu−O系、Hg−Ba−Ca−Cu−O系、Fe系、MgB2等の材料を例示できる。また、このような高温超電導材料を用いて超電導体を作製した場合、その内部にはピン止め点としての効果を発揮し得る析出相(非超電導相)、不純物、格子欠陥、粒界などが分散配置している。
本発明において、外側超電導体は、超電導バルク、すなわち塊状の超電導体であるのが良い。特に、RE−Ba−Cu−O系超電導バルクを用いる場合、一旦超電導材料を溶解させてから結晶成長させた溶融成長体により外側超電導体を構成することができる。また、外側超電導体は、薄膜又は厚膜を軸方向に積層することにより形成されていてもよい。一方、内側超電導体は、上記した特徴を有するのであれば、超電導バルクでもよく、また、超電導薄膜や厚膜でもよい。
本発明において、内側超電導体に流れる超電導電流の臨界電流密度に関し、軸方向における臨界電流密度Jcz1に対する周方向における臨界電流密度Jcθ1の比(Jcθ1/Jcz1)は、0.5以上であり且つ2以下であるのがよい。比(Jcθ1/Jcz1)が上記した範囲であれば、内側超電導体の円筒周面内における臨界電流密度の均一性が高い。従って、外側超電導体に形成される超電導電流ループの乱れに応じて、内側超電導体の円筒周面内の任意位置にて、任意形状の超電導ループが形成される。その結果、超電導体(内側超電導体)のボア内に、磁場強度分布が軸対称であり且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を形成することができる。
この場合、外側超電導体及び内側超電導体が、層状の結晶構造を持つ高温超電導体により形成されており、外側超電導体の結晶構造の層に垂直な方向が外側超電導体の軸方向に一致し、内側超電導体の結晶構造の層に垂直な方向が内側超電導体の径方向に一致するとよい。層に垂直な方向がc軸方向である(つまり、c軸方向を積層方向とする層状の)結晶構造を持つ場合、臨界電流密度は、結晶構造のc軸の方向に低く、c軸の方向に垂直な面内で高い。また、c軸の方向に垂直な面内における臨界電流密度は比較的均一である。従って、内側超電導体の結晶構造のc軸の方向が内側超電導体の径方向に一致する場合、径方向に垂直な面内、すなわち円筒周面内における臨界電流密度が均一にされる。よって、内側超電導体の円筒周面内の任意位置にて任意形状の超電導ループが形成され得る。
冷却装置は、外側超電導体の内周空間内に同軸的に配設された円筒部を有する円筒基材を備えるのがよい。そして、内側超電導体は、円筒部から冷熱を受けとることによって冷却されるように構成されているとよい。この場合、内側超電導体は、円筒基材の円筒部に形成されているとよい。これによれば、円筒基材を介して内側超電導体を均一に冷却することができる。円筒基材は、熱伝導率が高く、且つ非磁性の金属(アルミニウム、銅等)やサファイア(アルミナ単結晶)により形成されるとよい。
冷却装置は、外側超電導体の一方の端面に対面配置されるコールドヘッドを備え、円筒基材は、円筒部の外周面から径外方に放射状に延設された固定部を有し、固定部が外側超電導体の一方の端面とコールドヘッドとに挟まれることにより、円筒基材がコールドヘッドにより冷却されるとともにコールドヘッドに固定されるとよい。これによれば、コールドヘッド及び円筒基材を介して、外側超電導体及び内側超電導体がほぼ同じ温度に冷却される。
また、内側超電導体は、円筒部の外周面上又は内周面上に膜状に形成されてなるのがよい。内側超電導体を膜状(薄膜状或いは厚膜状)に形成することにより、材料の均一性を高めることができる。
内側超電導体は、膜状に形成された超電導体であって円筒部の外周面上又は内周面上に周方向に沿って巻かれることにより円筒形状に形成されるとともに周方向における両端部が付き合わされている第1内側超電導層と、膜状に形成された超電導体であって第1超電導層上に周方向に沿って巻かれることにより円筒形状に形成されるとともに周方向における両端部が付き合わされている第2内側超電導層とを有するのがよい。そして、第1内側超電導層の周方向における両端部及びその間の領域と、第2内側超電導層の周方向における両端部及びその間の領域が、周方向において異なった位置に配置するように、第1内側超電導体層の周方向における両端部の位置及び第2内側超電導体層の周方向における両端部の位置が定められているとよい。なお、第1超電導体層の両端は接触していてもよく、第2超電導体層の両端は接触していてもよい。
これによれば、複数の膜状の超電導体を円筒基材の円筒部に巻きつけることによって、簡単に円筒形状の内側超電導体を形成することができる。また、内側超電導体に形成される超電導電流ループのうち、第1内側超電導層の周方向における両端部を跨ぐような超電導電流ループは第1内側超電導体に形成することができないが、このような超電導電流ループは第2内側超電導層に形成され得る。同様に、内側超電導体に形成される超電導電流ループのうち、第2内側超電導層の周方向における両端部を跨ぐような超電導電流ループは第2内側超電導層に形成することができないが、このような超電導電流ループは第1内側超電導層に形成され得る。このように、第1内側超電導層には形成することができない領域に形成されるべき超電導電流ループが第2内側超電導層に形成され、第2内側超電導層には形成することができない領域に形成されるべき超電導電流ループは第1内側超電導層に形成される。こうして第1内側超電導層と第2内側超電導層が、互いに補い合うように超電導電流ループを形成するため、内側超電導体の軸の周りを還流するループを除き、任意の位置にて任意の形状の超電導電流ループを形成することができる。
また、内側超電導体は、膜状に形成されるとともに、円筒部の外周面上又は内周面上に周方向に一回りよりも長く巻きつけられていてもよい。これによれば、一枚の膜状の超電導体を円筒基材の円筒部に巻きつけることによって、より簡単に円筒形状の内側超電導体を形成することができる。また、内側超電導体の巻き始め位置に位置する端部が、その上に被せられる部分に覆われる。このため、巻き始め位置に位置する端部を跨ぐような超電導電流ループはその上に被せられる部分に形成される。さらに、内側超電導体の巻き終わり位置に位置する端部は、その下に既に巻かれている部分の上に位置する。このため、巻き終わり位置に位置する端部を跨ぐような超電導電流ループはその下に巻かれている部分に形成される。このように、内側超電導層の端部(巻き始め端部、巻き終わり端部)を跨ぐように形成される超電導電流ループであっても形成することができるように内側超電導体が一回りよりも長く円筒部に巻きつけられているので、内側超電導体の任意の位置にて任意の形状の超電導電流ループを形成することができる。
また、内側超電導体は、膜状に形成されるとともに円筒基材の円筒部の軸方向長さよりも短い幅を有する第1内側超電導薄帯及び第2内側超電導薄帯を有するのがよい。第1内側超電導薄帯は、円筒部の外周面上又は内周面上に、円筒部の軸方向を併進方向として螺旋状に巻かれ、第2内側超電導薄帯は、円筒部の外周面上又は内周面上に螺旋状に巻かれた第1内側超電導薄帯上に、円筒部の軸方向を併進方向として螺旋状に巻かれる。そして、円筒部の外周面上又は内周面上に螺旋状に巻かれている第1内側超電導薄帯の側縁の位置と、第1内側超電導薄帯上に螺旋状に巻かれている第2内側超電導薄帯の側縁の位置とが一致しないように、第1内側超電導薄帯及び第2内側超電導薄帯が螺旋状に巻かれる。この場合、第1内側超電導薄帯の側縁の位置と第2内側超電導薄帯の側縁の位置が、円筒部の軸方向にずれているとよい。
これによれば、円筒基材の円筒部に複数の超電導薄帯を螺旋状に巻きつけることによって、簡便に内側超電導体を形成することができる。また、超電導薄帯を円筒部に螺旋状に巻きつけた場合、巻きつけた超電導薄帯の側縁が円筒部の周面上に螺旋形状を描く。このとき、第1内側超電導薄帯の側縁の位置と第2内側超電導薄帯の側縁の位置が一致しないように(重ならないように)、第1内側超電導薄帯と第2内側超電導薄帯が螺旋状に巻かれている。従って、一方の超電導薄帯の側縁を跨ぐような超電導電流ループは他方の超電導薄帯に形成される。このためテープ(超電導薄帯)の幅の範囲内で任意の位置にて任意形状の超電導電流ループを内側超電導体に形成することができる。
また、超電導体に磁場が印加されているときにおける内側超電導体の超電導遷移温度Tciは、外側超電導体の超電導遷移温度Tco以上であるのがよい。超電導体は、印加磁場の影響を受けて磁化されることにより不均一磁場を発生し、その不均一磁場の大きさは冷却する温度によって変化する。ここで、温度Tciが温度Tco未満である場合、温度Tcoの直上の温度にまで温度が低下したときに印加磁場が均一に調整されたとしても、温度Tcoから温度Tciにまで温度が低下する間に外側超電導体から生じる不均一磁場の変化によって、印加磁場が乱される。こうして乱されて不均一にされた印加磁場が、その後に温度Tci以下に冷却されて超電導状態にされた内側超電導体に捕捉される。内側超電導体に不均一磁場が捕捉された場合、十分に捕捉磁場の均一性を維持することができない虞がある。これに対し、温度Tciが温度Tco以上であれば、先に内側超電導体が超電導状態にされるため、温度Tciから温度Tcoにまで低下する間に外側超電導体から生じる不均一磁場が変化したとしても、既に超電導状態である内側超電導体に超電導電流が流れることで、相殺される。このため、より一層、捕捉磁場の均一性を高めることができる。
また、本発明は、高温超電導材料により円筒形状に形成された外側超電導体と、高温超電導材料により円筒形状に形成され、外側超電導体の内周側に外側超電導体と同軸的に配置された内側超電導体と、を有する超電導体を用いて磁場を発生する超電導磁場発生方法であって、外側超電導体及び内側超電導体の軸方向に沿って内側超電導体の内周空間に磁束が通るように、外側超電導体及び内側超電導体に磁場を印加する磁場印加工程と、磁場印加工程にて磁場が印加された外側超電導体及び内側超電導体を、外側超電導体の超電導遷移温度Tcoと内側超電導体の超電導遷移温度Tciのうちいずれか低い方の温度以下の目標温度まで冷却する冷却工程と、目標温度に冷却されている外側超電導体及び内側超電導体に印加されている磁場を取り除くことにより、印加されていた磁場を超電導体に捕捉させる磁場捕捉工程と、を含み、内側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz1)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ1)の比(Jcθ1/Jcz1)の大きさが、外側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz2)と周方向における臨界電流密度(Jcθ2)との比(Jcθ2/Jcz2)の大きさよりも、より1に近くなるように、内側超電導体が形成されている、超電導磁場発生方法を提供する。
本発明に係る超電導磁場発生方法は、上記した本発明に係る超電導磁場発生装置にて示した作用効果と同様の作用効果を奏する。従って、本発明によれば、磁場強度分布が軸対称であり、且つ、中央部分における均一性が高い捕捉磁場を超電導体(内側超電導体)のボア内に形成することができる。
この場合、冷却工程の実施中に実施される工程であって、外側超電導体の超電導遷移温度Tcoと内側超電導体の超電導遷移温度Tciのうちのいずれか高い温度よりも僅かに高い温度である超電導直前温度Tsまで内側超電導体及び外側超電導体が冷却されたときに、内側超電導体の内周空間(ボア)に、内側超電導体の軸方向及び径方向における磁場強度が均一な磁場空間が形成されるように、外側超電導体及び内側超電導体に印加されている磁場を調整する磁場調整工程をさらに含むとよい。これによれば、超電導体の温度が超電導状態にされる直前の温度まで低下したときにボア内(特に室温ボア内)の磁場強度が均一になるように印加磁場を調整することにより、それまでに生じていた不均一磁場が除去される。このため、印加磁場が除去されたときに捕捉される捕捉磁場の均一性をより一層高めることができる。
また、本発明は、上記した本発明に係る超電導発生装置を備える核磁気共鳴装置を提供する。これによれば、試料が置かれる空間に形成される磁場の均一性を高めることができるため、試料の分子構造の解析精度を向上させることができる。
第1実施形態に係る超電導磁場発生装置を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。 核磁気共鳴装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態に係る超電導磁場発生装置により超電導体のボア内に捕捉磁場が発生している場合に外側超電導体に流れている超電導電流を模式的に示す図である。 第1実施形態において、内側超電導体に形成される補正電流ループを模式的に示す図である。 第2実施形態に係る超電導磁場発生装置を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。 第2実施形態に係る円筒基材の斜視図である。 第2実施形態に係る超電導磁場発生装置が捕捉磁場を発生している場合に内側超電導体に形成される補正電流ループを示す図である。 第3実施形態に係る超電導磁場発生装置を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。 第3実施形態に係る円筒基材の斜視図である。 第3実施形態に係る内側超電導体が巻きつけられた円筒基材を示す。 第3実施形態に係る超電導磁場発生装置が捕捉磁場を発生している場合に内側超電導体に形成される補正電流ループを示す図である。 第4実施形態に係る複数の膜状の超電導体により構成される内側超電導体が巻きつけられた円筒基材を示す図である。 第4実施形態に係る内側超電導体に形成される補正電流ループを示す図である。 第5実施形態に係る内側超電導体が、円筒基材に巻きつけられている状態を示す図である。 巻きつけ状態である第1超電導薄帯と第2超電導薄帯とを別々に示す図である。 第6実施形態に係る超電導磁場発生装置を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。 第6実施形態に係る磁場発生装置にて発生された捕捉磁場の均一性と、比較例に係る超電導磁場発生装置にて発生された捕捉磁場の均一性を、印加磁場の均一性とともに示すグラフである。 第7実施形態に係る超電導磁場発生装置を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。 第7実施形態に係る円筒基材の概略斜視図である。 第8実施形態に係る超電導磁場発生装置を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。 超電導体のボア内に形成される捕捉磁場であって、磁場強度分布が軸対称であり且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る超電導磁場発生装置100を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。図1に示すように、超電導磁場発生装置100は、超電導体1と、ホルダ4と、冷却装置5と、コールドヘッド6と、真空断熱容器7と、外部磁場発生コイル8(外部磁場発生装置)とを備える。
冷却装置5は、高温超電導体の超電導遷移温度Tc(例えば90K)以下の低温、例えば50K程度の低温を生成できるものであればどのようなものであってもよい。冷却装置5として、パルス管冷凍機、GM冷凍機、スターリング冷凍機を例示することができる。冷却装置5は、冷凍サイクル運転の実施によって冷熱を発生するものであるのが好ましいが、液体窒素のような、高温超電導体の超電導遷移温度Tc以下の温度を提供することができる物質であってもよい。
コールドヘッド6は、例えば銅等の、熱伝導率が高く且つ非磁性の材質により形成される。コールドヘッド6は、柱状の接続部61及び平板状のステージ部62とを有する。接続部61の一方の端部が冷却装置5の低温生成部分に接触される。例えば、冷却装置5がパルス管冷凍機である場合、接続部61は蓄冷管の低温端部に接触され、冷却装置5がGM冷凍機である場合、接続部61は膨張空間を画成するシリンダ部分に接触される。図1において、接続部61は冷却装置5の上側に設けられる。接続部61の上端(他方の端部)に平板状のステージ部62が連続的に形成される。
ステージ部62上に、超電導体1及びホルダ4が載置される。超電導体1は、図1に示すように外側超電導体2と内側超電導体3を備える。外側超電導体2は、複数のリング形状の超電導バルク2aを軸方向に沿って積み重ねることによって円筒形状に形成される。なお、一つの超電導バルクによって円筒形状の外側超電導体2を構成してもよい。円筒形状の外側超電導体2の一方の端面がコールドヘッド6のステージ部62上に載置される。
外側超電導体2の内周側に内側超電導体3が配設される。内側超電導体3も外側超電導体2と同様に円筒形状に形成される。円筒形状の内側超電導体3の一方の端面がステージ部62上に載置される。内側超電導体3は外側超電導体2の内周側に同軸的に配置される。つまり、外側超電導体2の中心軸と内側超電導体3の中心軸は一致する。この場合、内側超電導体3の外周面は外側超電導体2の内周面に接触していてもよく、接触していなくてもよい。
外側超電導体2及び内側超電導体3は第2種超電導体であり、高温超電導材料により形成される。本実施形態においては、外側超電導体2は、RE−Ba−Cu−O(REはYを含む希土類元素)系超電導体であり、周知の溶融法により形成される。外側超電導体2は、c軸方向を積層方向(層に垂直な方向)とする層状の結晶構造を持つ高温超電導体であり、結晶構造のc軸の方向が外側超電導体2の軸方向に一致するように種結晶から結晶成長させることにより形成される。内側超電導体3はc軸方向を積層方向(層に垂直な方向)とする層状の結晶構造を持つ高温超電導体であり、結晶構造のc軸の方向が内側超電導体3の径方向に一致するように形成される。
ホルダ4は、外側超電導体2の外径とほぼ同じ内径を有する円筒状の本体部41と、本体部41の図1において下端から径外方に放射状に延設されることによりリング状に形成された固定部42と、本体部41の図1において上端から径内方に放射状に延設されることによりリング状に形成された端面部43とを有し、概して有底筒形状を呈する。ホルダ4の本体部41の内周空間内に超電導体1(外側超電導体2及び内側超電導体3)が配設される。ホルダ4の固定部42がステージ部62に接続されることによって、ホルダ4がステージ部62上に固定される。ホルダ4がステージ部62上に固定された状態においては、外側超電導体2の外周面がホルダ4の本体部41の内周面に接触するとともに、外側超電導体2の図1において上側の端面及び内側超電導体3の図1において上側の端面がホルダ4の端面部43の下面に接触する。このようにして外側超電導体2及び内側超電導体3がホルダ4に保持される。ホルダ4もコールドヘッド6と同様に、銅、アルミニウム等の熱伝導率が高く且つ非磁性の材質により形成される。
真空断熱容器7は、ホルダ4の本体部41の外径よりも大きい内径を有する円筒形状の本体部71と、本体部71の図1において下端から径外方に放射状に延設されることによりリング状に形成された固定部72と、本体部71の図1において上端から径内方に放射状に延設されることによりリング状に形成されたカバー部73とを有する。本体部71の内周空間内に、コールドヘッド6、ホルダ4、及び超電導体1が収納される。また、固定部72が冷却装置5に気密的に固定される。
図1に示すように、真空断熱容器7のカバー部73の内周壁に囲まれた円形の開口から円筒容器9が真空断熱容器7の内周空間内に挿入されている。円筒容器9は、有底筒状の容器部91と、容器部91の開口端から径外方に放射状に延設された蓋部92とを有し、蓋部92が真空断熱容器7のカバー部73の図1において上面に載置される。そして、容器部91が超電導体1のボア(内周空間)に進入している。つまり、容器部91は超電導体1のボア内に配設される。容器部91内の空間に、例えばNMR装置にて分析される試料が載置される。容器部91内の空間は、超電導体1のボアのほぼ中央に設けられる。この空間を、室温ボア空間と呼ぶ。
また、容器部91の図1において上側部分の外周面とリング状のカバー部73の内周面との隙間が図示しない封止手段により気密的に封止される。これによりカバー部73に形成された開口が塞がれる。また、上述のように真空断熱容器7の固定部72は冷却装置5に気密的に固定されている。従って、真空断熱容器7、冷却装置5及び円筒容器9とによって密閉空間が冷却装置5の図1において上方に形成される。この密閉空間内に、コールドヘッド6、超電導体1(外側超電導体2、内側超電導体3)、及びホルダ4が配設される。真空断熱容器7は、アルミニウム合金等の非磁性材料で形成される。
また、図1に示すように、真空断熱容器7の外周を囲むように、外部磁場発生コイル8が設けられている。外部磁場発生コイル8に通電することにより磁場が発生する。外部磁場発生コイル8への通電により発生した磁場を、以下、印加磁場と呼ぶ場合もある。印加磁場は少なくとも外部磁場発生コイル8の内周空間内に形成される。従って、外部磁場発生コイル8の作動によって、超電導体1に磁場が印加される。このとき、超電導体1のボア内、具体的には内側超電導体3の内周空間内に、外側超電導体2及び内側超電導体3の軸方向に沿って磁束が通るような磁場が形成される。
上記構成の超電導磁場発生装置100の作動について説明する。まず、図示しない排気装置を用いて密閉空間の内部を排気して、密閉空間内の気圧が真空状態(例えば0.1Pa以下)となるように減圧する。その後、外部磁場発生コイル8を作動させることにより印加磁場を発生させる。この場合において、上述したように、超電導体1のボア内の空間には、外側超電導体2及び内側超電導体3の軸方向に沿って磁束が通過するような磁場が形成される。また、超電導体1(内側超電導体3)のボア内の空間に、磁場強度分布が軸対称であって、且つ、室温ボア空間内の磁場強度が径方向及び軸方向に均一に分布するように、磁場が印加される(磁場印加工程)。
外部磁場発生コイル8の作動によって超電導体1に磁場が印加された状態のまま、冷却装置5を作動させる。これによりコールドヘッド6が冷却され、さらにコールドヘッド6のステージ部62に載置されている外側超電導体2及び内側超電導体3が、それぞれの超電導遷移温度以下の温度にまで冷却される(冷却工程)。
冷却工程の途中であり、外側超電導体2の超電導遷移温度Tcoと内側超電導体3の超電導遷移温度Tciのうちいずれか高い温度よりも僅かに高い温度(超電導直前温度Ts>Tco,Tci)まで、外側超電導体2及び内側超電導体3が冷却されたときに、外部磁場発生コイル8を制御して、室温ボア空間内に、超電導体1の軸方向及び径方向における磁場強度分布が均一な均一磁場が形成されるように、印加磁場を調整する(磁場調整工程)。この磁場調整工程により、それまでに超電導体1に生じていた磁化の変化が印加磁場に与える影響が打ち消される。
冷却装置5による冷却により外側超電導体2の温度及び内側超電導体3の温度がそれぞれの超電導遷移温度以下の温度にまで低下した場合、外側超電導体2及び内側超電導体3が超電導状態にされる。このとき、すなわち外側超電導体2の温度及び内側超電導体3の温度が超電導遷移温度以下であるときに、外部磁場発生コイル8の作動を停止して、印加磁場を取り除く。すると、印加磁場の除去に伴う磁場強度の変化を受けて、磁場の状態を復元するように外側超電導体2内に超電導電流が誘起される。このようにして誘起された超電導電流が外側超電導体2内を流れることにより磁場が発生する。すなわち外側超電導体2が着磁される。外側超電導体2の着磁により発生する磁場は、基本的には、外部磁場発生コイル8の作動により発生していた印加磁場と同じ磁場である。つまり、外側超電導体2に超電導電流が流れることにより、外側超電導体2が、外部磁場発生コイル8の作動により発生していた印加磁場を捕捉する(磁場捕捉工程)。外側超電導体2が印加磁場を捕捉することにより超電導体1のボア内に磁場が発生する。磁場の捕捉によって発生した磁場を、捕捉磁場と呼ぶこともある。
次に、超電導磁場発生装置100にて発生した捕捉磁場を利用した核磁気共鳴装置について簡単に説明する。図2は、核磁気共鳴装置110の概略構成を示す図である。核磁気共鳴装置110は、超電導磁場発生装置100と、検出コイル120と、分析手段130とを備える。検出コイル120は、超電導体1のボア内に配設された円筒容器9の容器部91内(室温ボア空間内)に配設される。検出コイル120の内周側に、測定すべき試料Pが配設される。また、分析手段130は、高周波発生装置131、パルスプログラマ(送信器)132、高周波増幅器133、プリアンプ(信号増幅器)134、位相検波器135、アナログ−デジタル(A/D)変換器136、及びコンピュータ137を備える。
超電導磁場発生装置100を作動させると、上述のようにして、超電導体1のボア内に捕捉磁場が形成される。次に、図示しないシムコイルにより捕捉磁場を調整することにより、捕捉磁場の磁場強度の均一性が高められる。このとき室温ボア空間内の磁場強度の均一性が1ppm以下となるように、捕捉磁場がシムコイルにより調整される。そして、磁場強度の均一性が高められた室温ボア空間内に試料Pが置かれる。この状態において、高周波発生装置131を作動させる。すると、高周波発生装置131により発生された高周波パルスがパルスプログラマ132及び高周波増幅器133を経て検出コイル120に通電され、試料Pにパルス電磁波(ラジオ波)が照射される。磁場中に置かれた試料Pにラジオ波を照射させた場合に起きる核磁気共鳴により、試料Pのまわりに設けられた検出コイル120に微小電流が流れる。この微小電流を表す信号(NMR信号)が、プリアンプ134、位相検波器135、A/D変換器136を経てコンピュータ137に受け渡される。コンピュータ137は、受け渡されたNMR信号に基づいてNMRスペクトルを算出する。得られたNMRスペクトルから試料Pの分子構造が解析される。
後述するように、本実施形態に係る超電導磁場発生装置100を用いた場合、室温ボア空間内に生じる捕捉磁場の均一性は高い。従って、検出コイル120により検出された微小電流から得られるNMRスペクトルのピークは明瞭である。よって、試料Pの分子構造の解析精度が向上する。
次に、超電導磁場発生装置100により捕捉磁場が発生しているときに外側超電導体2に流れる超電導電流について説明する。図3は、超電導磁場発生装置100の作動により超電導体1のボア内に捕捉磁場が発生している場合に外側超電導体2に流れている超電導電流を模式的に示す図である。上述したように、印加磁場は、超電導体1のボア内の空間に、外側超電導体2及び内側超電導体3の軸方向に沿って磁束が流れるように形成されていたので、捕捉磁場も同じように磁束が流れるように形成される。このような捕捉磁場は、外側超電導体2の中心軸周りを周方向に沿って超電導電流が流れ続けることにより維持される。このとき超電導電流は、外側超電導体2の中心軸の周りを回る円形の超電導電流ループを形成する。円形の超電導電流ループが形成されることにより、超電導体1のボア内を軸方向に磁束が流れるような捕捉磁場が形成される。
なお、一般に、超電導電流は、円筒形状の超電導体の径外方から流れ始める。超電導電流が大きくなるにつれて、超電導電流が超電導体の径内方にも流れるようになる。また、超電導電流の大きさは捕捉磁場の大きさに比例する。従って、捕捉磁場が非常に大きい場合には、捕捉磁場を形成するための超電導電流は、外側超電導体2のみならず内側超電導体3にも流れる。しかしながら、本実施形態では、印加磁場と同じ大きさの捕捉磁場は、理論的には外側超電導体2のみに超電導電流が流れることにより形成され得るように構成される。すなわち、印加磁場は、外側超電導体2に理論的に最大の超電導電流を流すことができる場合に形成される磁場の大きさよりも小さく設定される。
外部磁場発生コイル8によって、超電導体1のボア内に、磁場強度分布が軸対称であり且つ中央部分(室温ボア空間)における磁場強度が均一であるような磁場が印加されていた場合、そのような印加磁場と同一の捕捉磁場を得るために外側超電導体2に形成される超電導電流ループは、外側超電導体2の中心軸に垂直な断面内で、中心軸を中心として外側超電導体2の周方向に沿って外側超電導体2の外周形状(或いは内周形状)と同心の円を描く。図3に、このような理想的な超電導電流ループRが示される。
外側超電導体2の材料特性及び超電導特性が完全に均一であれば、図3に示すような理想的な超電導電流ループRが形成されるはずである。しかし、外側超電導体2は超電導バルクにより形成されているので、上述した不均一特性を有し、電流が流れやすい部分と流れにくい部分が存在する。超電導電流は電流の流れ難い部分を避けて流れるために、超電導体が不均一特性を有する場合、超電導電流ループが上記した同心状の円ではなく歪な形状に形成される可能性が高い。すなわち、超電導電流ループが乱れる可能性が高い。従って、超電導体1のボア内に形成されていた印加磁場が、軸対称分布であり且つ中央部分(室温ボア部分)の磁場強度が均一である場合であっても、外側超電導体2の持つ不均一特性のために、実際に外側超電導体2に形成される超電導電流ループは乱れる。図3に点線で、乱れた超電導電流ループR’が示される。乱れた超電導電流ループにより得られる磁場は不均一である。このため捕捉磁場の軸対称性及び均一性が損なわれる。
本実施形態においては、外側超電導体2の内側に内側超電導体3が同軸的に設けられている。そして、外側超電導体2に形成される超電導電流ループの乱れによって捕捉磁場の軸対称性及び均一性が損なわれた場合、捕捉磁場を補正するための超電導電流(補正電流)のループが内側超電導体3に形成される。内側超電導体3にこのような補正電流ループが形成されることによって、外側超電導体2に形成された乱れた超電導電流ループにより形成された不均一な捕捉磁場を均一な捕捉磁場に戻すような磁場が形成される。その結果、捕捉磁場の軸対称性及び均一性が保たれる。よって、磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分における磁場強度が均一な捕捉磁場が、超電導体1のボア内に形成される。
図4は、内側超電導体3に形成される補正電流ループを模式的に示す図である。図4に示すように、補正電流ループL1,L2,L3は、外側超電導体2に形成される超電導電流ループの乱れに応じて形成されるため、その形状は様々に変化する。また、外側超電導体2に形成される超電導電流ループの乱れは三次元的に変化するため、内側超電導体3に形成される補正電流ループの形状も三次元的に変化する。例えば、補正電流ループL1のように、中心軸に対して傾斜するように中心軸周りを周方向に沿って流れる超電導電流により形成される補正電流ループ、或いは、補正電流ループL2、L3のように、内側超電導体3の中心軸を回るのではなく、円筒周面内にて周方向における一部の領域のみを流れる超電導電流により形成される補正電流ループが形成され得る。すなわち、内側超電導体3には、その円筒周面内の任意の位置にて、任意形状の補正電流ループが形成される。
内側超電導体3の円筒周面の任意位置に任意形状の補正電流ループが形成される理由について説明する。円筒形状の超電導体の臨界電流密度Jcは、軸方向における臨界電流密度Jczと、径方向における臨界電流密度Jcrと、周方向における臨界電流密度Jcθとによって表される。また、ある点において、Jczの方向、Jcrの方向、Jcθの方向は、直交する。従って、JczとJcrとによって、Jcθに直交する面が定義され、JcrとJcθとによって、Jczに直交する面が定義され、JcθとJczとによって、Jcrに直交する面が定義される。Jcrに直交する面は、円筒周面である。すなわち、JcθとJczとにより円筒周面が定義される。ここで、円筒周面とは、円筒形状の超電導体の外周面及び内周面に平行な面、つまり、軸方向から見た場合に円筒形状の超電導体の外周及び内周を形成する円と一致する円或いは同心の円を形成する面である。
また、内側超電導体3は、上述したように、その結晶構造のc軸の方向が径方向に一致するように形成されている。一般に、c軸方向を積層方向(層に垂直な方向)とする層状の結晶構造を持つ超電導体において、c軸方向における臨界電流密度は低く、c軸方向に直交する方向における臨界電流密度は高い。さらに、c軸方向に直交する面内における臨界電流密度はほぼ等しい。このことから、内側超電導体3においては、径方向における臨界電流密度Jcr1が低く、軸方向における臨界電流密度Jcz1及び周方向における臨界電流密度Jcθ1が高く、且つ、Jcz1とJcθ1はほぼ等しいと言える。つまり、Jcθ1≒Jcz1>Jcr1という関係が成立する。
なお、外側超電導体2の結晶構造のc軸の方向は、上述したように外側超電導体2の軸方向に一致する。そのため、外側超電導体2の軸方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcz2は、外側超電導体2の径方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcr2及び周方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcθ2よりも小さい。また、Jcr2とJcθ2はほぼ等しい。つまり、Jcr2≒Jcθ2>Jcz2という関係が成立する。
円筒形状の超電導体の円筒周面における臨界電流密度の均一性は、軸方向における臨界電流密度Jczに対する周方向における臨界電流密度Jcθの比(Jcθ/Jcz)により表すことができ、比(Jcθ/Jcz)が1に近ければ近いほど、円筒周面における臨界電流密度は均一であるということができる。ここで、内側超電導体3においては、Jcz1とJcθ1はほぼ等しいから、比(Jcθ1/Jcz1)は1に近い。一方、外側超電導体2においては、Jcz2はJcθ2よりも小さいから、比(Jcθ2/Jcz2)は1よりかなり大きい。つまり、内側超電導体3の臨界電流密度についての比(Jcθ1/Jcz1)の大きさは、外側超電導体2の臨界電流密度についての比(Jcθ2/Jcz2)の大きさよりも、1に近い。要するに、内側超電導体3の円筒周面における臨界電流密度の均一性の度合いは、外側超電導体2の円筒周面における臨界電流密度の均一性の度合いよりも高い。
面内における臨界電流密度が均一である場合、その面内に超電導電流が流れ易い。すなわち、内側超電導体3の円筒周面内に超電導電流が流れ易い。よって、内側超電導体3の円筒周面内の任意の位置に、任意の形状の超電導電流ループ(補正電流ループ)が形成されるのである。
内側超電導体3の円筒周面内の任意位置に任意形状の補正電流ループが形成されることによって、超電導体1のボア内に、磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を形成することができる理由について言及する。超電導体1のボア内に形成されていた印加磁場の磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分における印加磁場の磁場強度が均一であった場合、外側超電導体2内には、その印加磁場と同一の捕捉磁場が形成されるように超電導ループが形成されるはずである。しかし、外側超電導体2の不均一特性に起因して印加磁場と同一の磁場を形成できないような超電導ループが外側超電導体2内に形成された場合、印加磁場と捕捉磁場との差分の磁場が、内側超電導体3に形成される補正電流ループによって捕捉される。ここで、上述したように、内側超電導体3は、その円筒周面内にて任意の位置にて任意の形状の超電導電流ループ(補正電流ループ)を形成することができ、それにより任意の方向に磁束が通る任意の強度の磁場を形成することができる。つまり、差分の磁場がどのような磁場であっても、その磁場に応じた磁場が形成されるように、内側超電導体3内の円筒周面内の任意の位置にて任意形状の超電導電流ループ(補正電流ループ)が形成される。その結果、不均一な捕捉磁場が補われて捕捉磁場の軸対称性及び均一性が保たれる。このため、超電導体1のボア内に、磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を形成することができる。よって、超電導体1のボアの中央部分に配置した室温ボア空間に、軸方向に及び径方向に沿って磁場強度が均一な捕捉磁場を形成することができる。
内側超電導体3についての比(Jcθ1/Jcz1)は、0.5以上であり、2以下であるのがよい。比(Jcθ1/Jcz1)が0.5以上且つ2以下であれば、内側超電導体3の円筒周面内の任意の位置に任意の形状の補正電流ループが形成され得る。よって、内側超電導体3の円筒周面内にて補正電流ループが形成されることにより、超電導体1のボア内に、磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場が形成される。
また、本実施形態において、上述したように円筒形状の外側超電導体2の結晶構造のc軸の方向は軸方向に一致し、一方、円筒形状の内側超電導体3の結晶構造のc軸の方向は径方向に一致している。また、印加磁場の方向(磁束の流れる方向)は超電導体1の軸方向である。つまり、外側超電導体2には、c軸方向に磁束が流れるように磁場が印加され、内側超電導体3には、c軸方向に垂直に磁束が流れるように磁場が印加される。ここで、超電導体は、磁場の印加によって臨界電流密度が低下するという性質を持つが、さらに、超電導体は、磁場の印加方向によって臨界電流密度の低下量が変化するという性質をも持つ。c軸方向に垂直に磁束が流れるように磁場が印加された場合における臨界電流密度の低下量は、c軸方向に磁束が流れるように磁場が印加された場合における臨界電流密度の低下量よりも少ない。すなわち、内側超電導体3における臨界電流密度の低下量は、外側超電導体2における臨界電流密度の低下量よりも小さい。従って、外側超電導体2と内側超電導体3が同じ材料組成である場合であっても、c軸方向の違いにより、内側超電導体3の臨界電流密度が外側超電導体2の臨界電流密度よりも大きくなる。このように、内側超電導体3の臨界電流密度が大きいので、臨界電流密度によって補正電流ループの大きさが制限されることを防止することができる。よって、外側超電導体2に形成される超電導ループの乱れに応じた適切な補正電流ループを内側超電導体3に形成することができ、その結果、より一層確実に、磁場強度分布が軸対称であって且つ中央部分の磁場強度が均一な捕捉磁場を形成することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係る超電導磁場発生装置200を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。この超電導磁場発生装置200は、円筒基材10を備えていること、及び、円筒基材10の外表面に内側超電導体3が形成されていることを除き、第1実施形態に係る超電導磁場発生装置100と基本的には同一である。従って、第1実施形態にて示した図1の超電導磁場発生装置100の構成と同一の構成については同一の符号で示してそれらの説明は省略する。
図5に示すように、円筒基材10がコールドヘッド6のステージ部62上に載置される。図6に円筒基材10の斜視図を示す。図6に示すように、円筒基材10は、中空の円筒部10aと、円筒部10aの一方の端部から径外方に放射状に延設されることによりリング状に形成された鍔部10b(固定部)とを有する。円筒基材10は、非磁性であり、且つ熱伝導率の高い材質により形成される。例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、或いはサファイア(アルミナ単結晶)により円筒基材10が形成される。
鍔部10bが図5に示すようにステージ部62上に載置され、円筒部10aがステージ部62から図5において上方に延設される。円筒部10aの外径は、外側超電導体2の内径よりも小さい。また、鍔部10bの直径は、外側超電導体2の外径にほぼ等しい。そして、鍔部10b上に外側超電導体2が載置される。これにより、鍔部10bは、外側超電導体2の一方の端面とコールドヘッド6のステージ部62とに挟まれる。この状態で、鍔部10bがコールドヘッド6に固定される。このとき、外側超電導体2の内周面と円筒部10aの外周面が対面するように、円筒部10aが外側超電導体2の内周側に配置する。また、外側超電導体2の中心軸と円筒部10aの中心軸が一致する。すなわち外側超電導体2と円筒部10aが同軸配置する。
円筒基材10の円筒部10aの外周面に、膜状(薄膜状或いは厚膜状)の内側超電導体3が全周に亘り形成される。従って、内側超電導体3は、円筒部10aの外周形状に沿った円筒形状を呈する。内側超電導体3は、その厚さが均一になるように、円筒部10aの外周面に形成される。
円筒部10aの軸方向における長さは、外側超電導体2の軸方向における長さと等しい。そして、円筒基材10の鍔部10bに載置された外側超電導体2及び、円筒基材10の円筒部10aの外周面上に形成された内側超電導体3が、ホルダ4に保持される。このとき外側超電導体2と内側超電導体3は同軸配置される。また、鍔部10bを介して外側超電導体2の一方の端面とコールドヘッド6のステージ部62の上面が対面配置される。
内側超電導体3は、例えば真空成膜法や液相法によって形成されたRE−Ba−Cu−O系(REはYを含む希土類元素)の超電導体薄膜或いは厚膜であり、結晶構造のc軸の方向が厚さ方向(径方向)に一致し、さらにc軸方向に層をなすように形成される。従って、内側超電導体3の周方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcθ1と軸方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcz1はほぼ等しく(Jcθ1≒Jcz1)、それ故に円筒周面内における臨界電流密度Jcの異方性は小さく、均一性が高い。つまり、比(Jcθ1/Jcz1)が1に近い。また、外側超電導体2は、上記第1実施形態と同様に、溶融法により形成され、結晶構造のc軸の方向は円筒形状の外側超電導体2の軸方向に一致し、さらにc軸方向に層をなすように形成される。従って、外側超電導体2の径方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcr2と周方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcθ2は大きいが、軸方向に流れる超電導電流の臨界電流密度Jcz2は小さい。よって、比(Jcθ2/Jcz2)は1よりもかなり大きい。すなわち、本実施形態においても、比(Jcθ1/Jcz1)は、比(Jcθ2/Jcz2)よりも、1に近い。
上記構成の超電導磁場発生装置200の基本的作動は、第1実施形態に係る超電導磁場発生装置100の作動と同じであるので、その詳細な説明は省略する。図7は、超電導磁場発生装置200が捕捉磁場を発生している場合に内側超電導体3に形成される補正電流ループを示す図である。図7に示すように、円筒基材10の円筒部10aの外周面上に形成された円筒形状の内側超電導体3には、外側超電導体2に形成された超電導電流ループの乱れ、すなわち外側超電導体2に形成された超電導電流ループにより形成される捕捉磁場の不均一性に応じて、補正電流ループL1,L2,L3がその円筒周面内に形成される。補正電流ループL1,L2,L3が形成されることによって、捕捉磁場の不均一性が補正される結果、捕捉磁場の均一性が保たれる。よって、超電導体1のボア内に、磁場強度分布が軸対称であり且つ中央部分(室温ボア空間内)の磁場強度が均一な捕捉磁場を形成することができる。
本実施形態においては、超電導体1を冷却する際に、外側超電導体2及び内側超電導体3が同一の円筒基材10を介して冷却される。従って、外側超電導体2と内側超電導体3をほぼ同じ温度に冷却できる。また、内側超電導体3は円筒基材10の円筒部10aの外周面に形成されているので、円筒部10aから内側超電導体3の全領域が均一に冷却される。ここで、臨界電流密度は温度によっても変化する。従って、内側超電導体3の円筒周面の温度分布が不均一であると、臨界電流密度の均一性が損なわれる。この点、本実施形態では、上述のように円筒基材10の円筒部10aから冷熱を受け取ることによって内側超電導体3の全領域が均一に冷却される。よって、内側超電導体3の円筒周面の臨界電流密度の均一性をより高めることができる。
また、容器部91内の空間(室温ボア空間)は、超電導体1のボア内の空間のうち、冷却されていない空間である。上記第1実施形態によれば、室温ボアからの輻射熱が内側超電導体3に伝達されて内側超電導体3の冷却効率が低下する虞がある。この点、本実施形態によれば、内側超電導体3と室温ボア空間との間に円筒基材10の円筒部10aが介在する。このため、内側超電導体3の冷却中に、室温ボア空間からの輻射熱が円筒部10aによって遮られる。すなわち、室温ボア空間からの熱輻射の影響を受けることなく内側超電導体3を冷却することができる。よって、内側超電導体3の冷却効率が向上する。
(変形例)
上記第2実施形態に係る超電導磁場発生装置200において、外側超電導体2をRE−Ba−Cu−O系の超電導バルクにより形成し、内側超電導体3をBi−Sr−Ca−Cu−O系の超電導薄膜により形成した。この場合、外側超電導体2の超電導遷移温度Tcoが約92Kであり、内側超電導体3の超電導遷移温度Tciが約110Kである。つまり、TcoはTciよりも高い。従って、冷却工程において、先に内側超電導体3が超電導状態にされ、その後に外側超電導体2が超電導状態にされる。
超電導体は、通常の物質と同様に、その構成元素と結晶構造に基づく磁性を持っており、磁場中に置かれると磁化される。また、磁化の大きさは、超電導体の冷却温度の変化に伴い変化する。こうした磁化の変化が印加磁場の均一性を乱す。上記第1及び第2実施形態では、磁場調整工程にて、超電導直前温度Tsにまで超電導体1が冷却された時点で印加磁場が調整されることにより、それまでに発生した磁化の変化によって不均一性が増した印加磁場が、均一になるように調整されている。
ところが、TcoがTciよりも高い場合、つまり、内側超電導体3が外側超電導体2よりも後に超電導状態にされる場合、内側超電導体3が超電導状態にされる前であって外側超電導体2の温度がTcoからTciまで低下する間(厳密にはTsからTciまで低下する間)に、外側超電導体2の磁化の大きさが変化する。こうした磁化の大きさの変化によって、せっかく均一に調整した印加磁場が乱される。従って、その後に超電導状態にされる内側超電導体3は、乱された磁場、すなわち不均一な磁場を捕捉することになる。
これに対し、本変形例では、内側超電導体3の超電導遷移温度Tciが外側超電導体2の超電導遷移温度Tcoよりも高くなるように、それぞれの材料組成が定められている。すなわち材料組成の違いによって、TciがTcoよりも高くされる。TciがTcoよりも高い場合、つまり、内側超電導体3が外側超電導体2よりも先に超電導状態にされる場合、内側超電導体3が超電導状態にされた時点以降における外側超電導体2の磁化の変化による印加磁場の乱れは、内側超電導体3に超電導電流が流れることにより打ち消される。よって、外側超電導体2の温度がTciからTcoまで低下する間に生じた外側超電導体2の磁化の変化による印加磁場への影響が打ち消される。このため、より均一な磁場が捕捉される。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る超電導磁場発生装置300を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。この超電導磁場発生装置300は、第2実施形態にて示した円筒基材の形状が若干変更されていること、及び、円筒基材に内側超電導体3が接着固定されていることを除き、第2実施形態に係る超電導磁場発生装置200と基本的には同一である。従って、第2実施形態にて示した図5の超電導磁場発生装置200の構成と同一の構成については同一の符号で示してそれらの説明は省略する。
図9は、本実施形態に係る超電導磁場発生装置300に用いられる円筒基材11の斜視図である。図9に示すように、円筒基材11は、第2実施形態にて示した円筒基材10と同様に、円筒部11a及び鍔部11bを有する。円筒部11aは、軸方向における中央部分の外径が両端部分の外径よりも小さく形成された段付円筒形状に形成される。外径が小さい中央部分11cに、内側超電導体3が接着固定される。
また、本実施形態における内側超電導体3は、一般に、超電導テープ線材、若しくは、超電導薄帯と言われるもので、ハステロイ等の金属薄帯の表面に真空成膜法や液相法により成膜される。このような超電導薄帯は、本実施形態においては厚さが一定の幅広の膜状に形成されており、円筒部11aの中央部分11cの外周面に周方向に沿って巻きつけられる。このとき、膜状の内側超電導体(超電導薄帯)3の巻きつけ方向(周方向)における巻き始めの端部がその上に巻きつけられる内側超電導体3によって覆い隠されるように、周方向に沿って1周より多く、内側超電導体3が巻きつけられる。なお、本実施形態及び、後述する第4、第5実施形態においては、内側超電導体3として超電導薄帯が用いられている。
図10は、内側超電導体3が巻きつけられた円筒基材11を示し、図10(a)が、円筒基材11の円筒部11aの中心軸を通る平面で内側超電導体3が巻きつけられた円筒基材11を切断した断面図、図10(b)が図10(a)のA−A断面図である。図10(b)に示すように、本実施形態においては、膜状の内側超電導体3が、円筒部11aの周方向に二回りするように円筒部11aの中央部分11cの外周面に巻きつけられる。従って、内側超電導体3の巻き始めの端部S1は、その上に巻きつけられる内側超電導体3で覆われる。また、内側超電導体3の巻き終わりの端部S2は、その下に既に巻きつけられている部分の上に位置する。このようにして円筒部11aに巻きつけられた内側超電導体3は、円筒形状を呈する。また、巻きつけられた内側超電導体3は、熱伝導性の高い含浸剤或いは接着材で円筒部11aに接着固定される。
上記構成を有する本実施形態に係る超電導磁場発生装置300の基本的作動は、第1実施形態に係る超電導磁場発生装置100の作動と同じであるので、その詳細な説明は省略する。図11は、超電導磁場発生装置300が捕捉磁場を発生している場合に内側超電導体3に形成される補正電流ループを示す図である。図11に示すように、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cの外周面に巻きつけられた円筒形状の内側超電導体3には、外側超電導体2に形成された超電導電流ループの乱れに応じて、補正電流ループL1,L2,L3が形成される。補正電流ループL1,L2,L3が形成されることによって、捕捉磁場の均一性が保たれる。
本実施形態においては、円筒基材11の円筒部11aに一枚の幅広の膜状の内側超電導体(超電導薄帯)3を巻きつけるといった簡便な工程により、円筒基材11の外周面に内側超電導体3を形成することができる。また、内側超電導体3が円筒部11aに周方向に一回りよりも長く巻きつけられているため、内側超電導体3の巻き始め位置に位置する端部S1が、その上に被せられる部分に覆われる。このため、巻き始め位置に位置する端部S1を跨ぐような超電導電流ループはその上に被せられる部分に形成される。また、内側超電導体3の巻き終わり位置に位置する端部S2は、その下に既に巻かれている部分の上に位置する。このため、巻き終わり位置に位置する端部S2を跨ぐような超電導電流ループはその下に巻かれている部分に形成される。このように、内側超電導体3の端部(巻き始め端部S1、巻き終わり端部S2)を跨ぐように形成される超電導電流ループであっても形成することができるように内側超電導体3が構成されているので、内側超電導体3の任意の位置にて任意の形状の超電導電流ループを形成することができる。なお、本実施形態及び、後述する第4、第5、第6実施形態においては、内側超電導体3は、円筒基材11の円筒部11aの外径が小さい中央部分11cに配置されるが、上述の効果はこの配置に限定されるものではない。内側超電導体3は、実施形態3の図5に示すごとく、円筒部11aの軸方向の全長に亘って配置され、その軸方向長さが外側超電導体2の軸方向長さと同じ長さであるように構成されていてよい。さらに、内側超電導体3の軸方向長さは、外側超電導体2の軸方向長さよりも長くてもよい。
(第4実施形態例)
上記第3実施形態では、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cの外周面に、周方向に一回りよりも長く、膜状の内側超電導体(超電導薄帯)3を巻きつけた例を示したが、周方向に丁度一回り、或いは一回りよりも短く巻きつけられた複数の膜状の超電導体(超電導薄帯)により内側超電導体3を構成することもできる。図12は、複数の膜状の超電導体により構成される内側超電導体が巻きつけられた円筒基材11を示す図であり、図12(a)が、円筒部11aの中心軸を通る平面で本実施形態に係る内側超電導体3が巻きつけられた円筒基材11を切断した断面図、図12(b)が図12(a)のB−B断面図である。
図12に示すように、内側超電導体3は、膜状の第1内側超電導層(超電導薄帯)31と膜状の第2内側超電導層(超電導薄帯)32とを有する。また、図12(b)に良く示すように、第1内側超電導層31は、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cの外周面に周方向に沿って巻きつけられる。第1内側超電導層31の巻きつけ方向(周方向)における長さは、円筒部11aの中央部分11cの周方向長さと同じか、僅かに短い。このため、第1内側超電導層31の巻きつけ方向における端部と端部が位置G1にて付き合わされる。また、第2内側超電導層32は、円筒部11aの中央部分11cに巻きつけられている第1内側超電導層31の周りに周方向に沿って巻きつけられる。第2内側超電導層32の巻きつけ方向(周方向)における長さは第1内側超電導層31の周方向長さにほぼ等しい。このため、第2内側超電導層32の巻きつけ方向における端部と端部が位置G2にて付き合わされる。ここで、位置G1と位置G2が、円筒部11aの周方向における異なった位置に形成されるように、具体的には、円筒部11aの径方向に沿って位置G1と位置G2が重複しないように、それぞれの内側超電導層31,32が巻きつけられている。すなわち、第1内側超電導層31の周方向における両端部及びその間の領域(位置G1)と、第2内側超電導層32の周方向における両端部及びその間の領域(位置G2)が、周方向において異なった位置に配置している。
図13は、上記のようにして円筒部11aに巻きつけられた内側超電導体3に形成される補正電流ループを示す図である。図13中、補正電流ループL4は、第2内側超電導層32の周方向における両端部が付き合わされる位置G2を跨ぐ位置に形成される。このような位置にある補正電流ループL4は第2内側超電導層32に形成することはできないが、第1内側超電導層31に形成することができる。第1内側超電導層31には、補正電流ループL4が形成されるべき部位に、両端部が付き合わされたような組織的に不連続な部分が形成されていないからである。また、図13中の補正電流ループL5は、第1内側超電導層31の周方向における両端部が付き合わされる位置G1を跨ぐよう位置に形成される。このような位置にある補正電流ループL5は、第1内側超電導層31に形成することはできないが、第2内側超電導層32に形成することができる。第2内側超電導層32には、補正電流ループL5が形成されるべき部位に、両端部が付き合わされたような組織的に不連続な部分が形成されていないからである。
このように、第1内側超電導層31には形成することができない領域に形成されるべき補正電流ループが第2内側超電導層32に形成され、第2内側超電導層32には形成することができない領域に形成されるべき補正電流ループは第1内側超電導層31に形成される。こうして第1内側超電導層31と第2内側超電導層32が、互いに補い合うように補正電流ループを形成するため、内側超電導体3の任意の位置にて任意の形状の超電導電流ループを形成することができる。
(第5実施形態)
上記第3実施形態及び第4実施形態例では、幅広の膜状の超電導体(超電導薄帯)により内側超電導体3を構成した例を示したが、幅広の膜状の超電導体の製造は難しい。そこで、幅の狭い超電導薄帯(超電導テープ線材)により内側超電導体3を形成する例について説明する。
図14は、本実施形態に係る内側超電導体3が、円筒基材11に巻きつけられている状態を示す図である。内側超電導体3は、第1内側超電導薄帯33と第2内側超電導薄帯34とにより構成される。第1内側超電導薄帯33の幅及び第2内側超電導薄帯34の幅は、いずれも、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cの幅(軸方向長さ)よりも短い。第1内側超電導薄帯33の幅及び第2内側超電導薄帯34の幅は広いほど良い。
第1内側超電導薄帯33は、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cの外周面に巻きつけられる。この場合において、第1内側超電導薄帯33は、併進方向が円筒部11aの軸方向となるように、螺旋状に中央部分11cの外周面に巻きつけられる。また、第2内側超電導薄帯34は、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cに螺旋状に巻きつけられた第1内側超電導薄帯33の外周面上に巻きつけられる。この場合において、第2内側超電導薄帯34は、併進方向が円筒部11aの軸方向となるように、螺旋状に第1内側超電導薄帯33に巻きつけられる。なお、螺旋状に巻きつけられた第1超電導薄帯33及び第2超電導薄帯34の併進方向における両端部は、円筒基材11の中央部分11cの軸方向端部に沿うように、斜めに切断されている。
図15は、巻きつけ状態である第1内側超電導薄帯33と第2内側超電導薄帯34とを別々に示す図であり、図15(a)が第1内側超電導薄帯33を示し、図15(b)が第2内側超電導薄帯34を示している。図15(a)からわかるように、第1内側超電導薄帯33は螺旋状に巻かれおり、軸方向に隣接する側縁どうしが隙間なく付き合わされる。このため隣接する側縁と側縁との境界線B1が螺旋状に形成される。また、図15(b)からわかるように、第2内側超電導薄帯34も螺旋状に巻かれており、軸方向に隣接する側縁どうしが隙間なく付き合わされる。このため隣接する側縁と側縁との境界線B2が螺旋状に形成される。
また、図15(a)と図15(b)とを比較してわかるように、第1内側超電導薄帯33に形成される螺旋状の境界線B1の形成位置(すなわち第1内側超電導薄帯33の側縁の位置)と、第2内側超電導薄帯34に形成される螺旋状の境界線B2の形成位置(すなわち第2内側超電導薄帯34の側縁の位置)が、一致しないように、境界線B1と境界線B2が円筒部11aの軸方向にずらされている。従って、第2内側超電導薄帯34の側縁によって形成される境界線B2を跨ぐような補正電流ループL6は第1内側超電導薄帯33に形成され、第1内側超電導薄帯33の側縁によって形成される境界線B1を跨ぐような補正電流ループL7は第2内側超電導薄帯34に形成される。
このように、それぞれの側縁の位置が異なる位置に形成されるように、複数の幅の狭い超電導薄帯を螺旋状に巻きつけて内側超電導体3を構成することで、一方の側縁を跨ぐ位置に形成されるべき補正電流ループが他方の超電導薄帯に形成される。つまり、誘起される補正電流ループは、必ず、いずれかの超電導薄帯に形成される。このため、内側超電導体3の任意の位置にて任意の形状の補正電流ループを内側超電導体3に形成することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。図16は、第6実施形態に係る超電導磁場発生装置600を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。この超電導磁場発生装置600は、外側超電導体2及び内側超電導体3の構造を除き、基本的には第3実施形態に係る超電導磁場発生装置300と同一である。従って、第3実施形態にて示した図8の超電導磁場発生装置300の構成と同一の構成については同一の符号で示してそれらの説明は省略する。
本実施形態に係る超電導磁場発生装置600に備えられる外側超電導体2は、6個のリング状の超電導バルク2aを積み重ねることにより構成される。また、6個の超電導バルク2aのうち、図16において最も上側に配設される超電導バルク及び最も下側に配設される超電導バルクの内径は、その間に配設される4個の超電導バルクの内径よりも小さい。したがって、外側超電導体2は、軸方向における中央部分の内径が大きく、両端部分の内径が小さい円筒形状に形成される。このため、外側超電導体2の内周側であって軸方向における中間部分に、具体的には外側超電導体2の両端側を構成する超電導バルク間に、拡径された空間Sが形成される。
また、内側超電導体3として、上記第5実施形態における第1内側超電導薄帯33及び第2内側超電導薄帯34を用いた。これらの超電導薄帯は、上記第5実施形態で説明したように、円筒基材11の円筒部11aの中央部分11cに螺旋状に巻かれている。また、それぞれの超電導薄帯は、それぞれの側縁が円筒基材11の円筒部11aの軸方向にずれるように、つまり、それぞれの超電導薄帯の側縁の位置が一致しないように、円筒部11aの中央部分11cの外周面上に螺旋状に巻きつけられている。このようにして2つの超電導薄帯が円筒部11aに螺旋状に巻きつけられることにより構成される内側超電導体3は、円筒形状である。また、内側超電導体3は、外側超電導体2の内周側に外側超電導体2と同軸配置している。
外側超電導体2を構成する超電導バルクは、Eu−Ba−Cu−O系超電導体であり、溶融法により形成される。外側超電導体2の超電導遷移温度は約92Kである。また、内側超電導体3は、Gd−Ba−Cu−O系の超電導薄帯であり、真空成膜法により形成される。内側超電導体3の超電導遷移温度も約92Kである。また、本実施形態においても、外側超電導体2の結晶構造のc軸の方向は外側超電導体2の軸方向に一致しており、且つc軸方向に層をなすように外側超電導体2が形成される。また、内側超電導体3の結晶構造のc軸の方向は内側超電導体3の径方向に一致しており、且つ、c軸方向に層をなすように内側超電導体3が形成される。従って、内側超電導体3の軸方向における臨界電流密度Jcz1に対する周方向における臨界電流密度Jcθ1の比(Jcθ1/Jcz1)は、外側超電導体2の軸方向における臨界電流密度Jcz2に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ2)の比(Jcθ2/Jcz2)よりも、1に近い。
上記構成の超電導磁場発生装置600において、まず、外側超電導体2及び内側超電導体3が収納された密閉空間を減圧し、その後、外部磁場発生コイル8を作動させて印加磁場を発生させた。このとき円筒形状の超電導体1の軸方向に沿って磁束が通るように磁場を印加した。そして、外部磁場発生コイル8によって磁場を印加したまま、冷却装置5を作動させて外側超電導体2及び内側超電導体3を冷却した。また、外側超電導体2及び内側超電導体3が、それぞれの超電導遷移温度のうちいずれか高い方の温度(本例では、外側超電導体2の超電導遷移温度と内側超電導体3の超電導遷移温度はいずれも約92Kであるので、92K)よりも僅かに高い温度(超電導直前温度Ts)まで冷却されたとき(例えば100Kまで冷却されたとき)に、超電導体1のボア内に、磁場強度が4.7Tであって、軸方向及び径方向に均一な磁場が形成されるように、外部磁場発生コイル8を制御した(磁場調整工程)。そして、強度4.7Tの磁場を維持した状態で、さらに外側超電導体2及び内側超電導体3を冷却し、これらの温度を50Kまで低下させた。
ここで、外側超電導体2の超電導遷移温度と内側超電導体3の超電導遷移温度は、ゼロ磁場である場合(磁場が印加されていない場合)、ほぼ同じ(約92K)である。しかし、4.7Tの磁場中では、超電導遷移温度が低下する。超電導遷移温度の低下の度合いは、結晶構造のc軸の方向に依存する。すなわち、c軸方向が印加磁場の磁束の通過方向である場合、超電導遷移温度の低下率は大きいが、c軸方向が印加磁場の磁束の通過方向に垂直である場合、超電導遷移温度の低下率は小さい。本実施形態においては、外側超電導体2の結晶構造のc軸の方向は印加磁場の磁束の通過方向であり、内側超電導体3の結晶構造のc軸の方向は印加磁場の磁束の通過方向に垂直な方向である。従って、印加磁場による外側超電導体2の超電導遷移温度の低下率は大きく、内側超電導体3の超電導遷移温度の低下率は小さい。よって、4.7Tの磁場が印加されている状態においては、外側超電導体2の超電導遷移温度Tcoは、内側超電導体3の超電導遷移温度Tciよりも低い。つまり、本実施形態においては、材料組成の違いではなく、c軸方向の違いによって、印加磁場中における内側超電導体3の超電導遷移温度Tciが外側超電導体の超電導遷移温度Tcoよりも高くされている。その結果、内側超電導体3が先に超電導状態にされ、その後に外側超電導体2が超電導状態にされる。
そして、外側超電導体2の温度及び内側超電導体3の温度を50Kに維持したまま、印加磁場を取り除く。これにより外側超電導体2に超電導電流が誘起されて、印加磁場が捕捉される。このため捕捉磁場が形成される。また、内側超電導体3に補正電流が流れる。この補正電流によって、捕捉磁場の均一性が保たれる。そのため、均一な捕捉磁場が超電導体1のボア内に形成される。
(内側超電導体による磁場均一性の向上効果の検証)
内側超電導体3に補正電流が流れることにより捕捉磁場の均一性が向上することを検証するために、第6実施形態に係る超電導磁場発生装置600から内側超電導体3を除いた比較例に係る超電導磁場発生装置を用いて、上記と同様の条件下で外側超電導体2に磁場を捕捉させた。そして、第6実施形態に係る超電導磁場発生装置600の室温ボア空間内に形成された捕捉磁場の均一性と比較例に係る超電導磁場発生装置の室温ボア空間内に形成された捕捉磁場の均一性を調べた。図17は、第6実施形態に係る超電導磁場発生装置600の室温ボア空間内に形成された捕捉磁場の均一性と、比較例に係る超電導磁場発生装置の室温ボア空間内に形成された捕捉磁場の均一性を、印加磁場の均一性とともに示すグラフである。グラフの縦軸の磁場均一性は、例えば室温ボア空間の中心位置における磁場強度と、中心位置から所定距離離間した室温ボア空間内の位置における磁場強度との差により表すことができる。
図17からわかるように、印加磁場の均一性は、第6実施形態に係る超電導磁場発生装置600を用いた場合も比較例に係る超電導磁場発生装置を用いた場合もほぼ同じである。しかし、比較例に係る超電導磁場発生装置を用いた場合に得られる捕捉磁場の均一性は、印加磁場の均一性と比較して非常に悪い。これに対し、第6実施形態に係る超電導磁場発生装置600を用いた場合に得られる捕捉磁場の均一性は、印加磁場の均一性とさほど変わらない。このことから、内側超電導体3に補正電流ループが流れることによって、均一な捕捉磁場を形成できることが検証された。
ところで、外側超電導体2は、冷却中に印加磁場の影響を受けて磁化されることにより不均一磁場を発生する虞がある。また、このように発生する磁場は冷却温度によって変化する。従って、内側超電導体3の超電導遷移温度Tciが外側超電導体2の超電導遷移温度Tco未満である場合、冷却温度が温度Tcoから温度Tciにまで低下する間に外側超電導体2から生じる不均一磁場の変化により印加磁場が乱される。こうして乱されて不均一にされた印加磁場が、その後に温度Tci以下に冷却されて超電導状態にされる内側超電導体3に捕捉される。内側超電導体3に乱れた不均一な磁場が捕捉された場合、十分に捕捉磁場の均一性を維持することができない。これに対し、本実施形態においては、上述したように、c軸方向の違いによって、4.7Tの印加磁場中における内側超電導体3の超電導遷移温度Tciが外側超電導体2の超電導遷移温度Tcoよりも高くされており、それ故に、先に内側超電導体3が超電導状態にされる。よって、温度Tciから温度Tcoにまで低下する間に起きる外側超電導体2の磁化の大きさの変化に起因する印加磁場の乱れは、既に超電導状態である内側超電導体3に超電導電流が流れることで、相殺される。このため、外側超電導体2の磁化の大きさの変化に起因する捕捉磁場の不均一性をも内側超電導体3により補正される。その結果、より一層、捕捉磁場の均一性を高めることができる。
また、本実施形態においては、外側超電導体2の軸方向における中央部分に拡径された空間Sが形成されている。このため、外側超電導体2の磁化により発生する不均一磁場は、外側超電導体2を構成する超電導バルクのうち軸方向における一方の端側に配設された超電導バルクと他方の端側に配設された超電導バルクとの間に磁場が形成されることによって相殺される。したがって、より一層、捕捉磁場の均一性を高めることができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態に係る超電導磁場発生装置700は、円筒基材12が外側超電導体2に保持されていること、及び、円筒容器9の容器部91内の空間(室温ボア空間)が広くされていること、を除き、上記第6実施形態にて示した超電導磁場発生装置の構成と同一である。従って、第6実施形態にて示した図16の超電導磁場発生装置600の構成と同一の構成については同一の符号で示してそれらの説明は省略する。
図18は、第7実施形態に係る超電導磁場発生装置700を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。図18に示すように、超電導磁場発生装置700は円筒基材12を備える。図19に、円筒基材12の概略斜視図を示す。図19に示すように、円筒基材12は、筒状に形成された円筒部12aと、円筒部12aの外周面の軸方向における中央位置から円筒部12aの径外方に放射状に延設されることによりリング形状に形成された接続部12bとを有する。
外側超電導体2は、6個のリング状の超電導バルク2aが軸方向に沿って積み重ねられることにより円筒形状に構成される。また、円筒基材12の接続部12bは、外側超電導体2を構成する6個のリング状の超電導バルクのうち、上半分の3個の超電導バルクと下半分の3個の超電導バルクとの間に挟まれている。そして、ホルダ4の固定部42がコールドヘッド6のステージ部62に固定されることによって、6個の超電導バルクよりなる外側超電導体2と接続部12bがともにコールドヘッド6に固定される。このようにして、円筒基材12が外側超電導体3に保持される。
また、外側超電導体2を構成する6個のリング状の超電導バルク2aのうち、最も下側に配設される超電導バルク及び最も上側に配設される超電導バルクの内径は、その間に配設される超電導バルクの内径よりも小さい。そのため、上記第6実施形態と同様に、外側超電導体2の最も上側に配設される超電導バルクと最も下側に配設される超電導バルクとの間に、拡径された空間Sが形成される。この拡径された空間S内に円筒基材12の円筒部12aが配設される。
内側超電導体3は、円筒基材12の円筒部12aの内周壁に形成される。従って、内側超電導体3は円筒形状に形成される。内側超電導体3は、例えば真空成膜法によって、円筒部12aの内周壁に全面に亘り形成される。このとき、外側超電導体2と内側超電導体3は同軸配置する。それ以外の構成は、第6実施形態に示す構成と同一であるので、その説明は省略する。また、本実施形態に係る超電導磁場発生装置700の作動も、第6実施形態に示す超電導磁場発生装置600の作動と同一であるので、その説明も省略する。
本実施形態に係る超電導磁場発生装置700によれば、円筒基材12の円筒部12a及び円筒部12aの内周壁に形成された内側超電導体3が、外側超電導体2の軸方向における一方の端側の超電導バルクと他方の端側の超電導バルクとの間に形成される拡径された空間S内に配設されている。そのため、外側超電導体2の内周側に円筒基材及び内側超電導体3を配設する場合に比較して、超電導体1のボアの径、及び室温ボア空間の径(すなわち円筒容器9の容器部91の径)を大きくすることができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。図20は、第8実施形態に係る超電導磁場発生装置800を上下方向に沿った中心線を含む平面で切断した断面を表す概略図である。図20に示すように、超電導磁場発生装置800に備えられる外側超電導体2は、上記第6実施形態と同様に、6個のリング状の超電導バルク2aを積み重ねることにより円筒形状に形成される。また、外側超電導体2を構成する両端の超電導バルク間に、拡径された空間Sが形成される。拡径された空間S内に、シムコイル15が配設される。シムコイル15は、外部から通電されることにより磁場を発生する。シムコイル15から発せられる磁場により、捕捉磁場が例えば1ppm以下の均一磁場強度分布を持つように補正される。
また、本実施形態においては、円筒基材が、上側円筒基材13と下側円筒基材14とに分割されている。上側円筒基材13は円筒部13a及び円筒部13aの一方の端部から径外方に放射状に延設されることによりリング状に形成された固定部13bとを有し、固定部13bが外側超電導体2の上端とホルダ4の端面部43との間に挟まれた状態でホルダ4に固定される。下側円筒基材14は円筒部14a及び円筒部14aの一方の端部から径外方に放射状に延設されることによりリング状に形成された固定部14bとを有し、固定部14bが外側超電導体2の下端とコールドヘッド6のステージ部62との間に挟まれた状態でステージ部62に固定される。
上側円筒基材13の円筒部13aの軸方向長さは、外側超電導体2を構成する超電導バルク2aのうち最も上側の超電導バルクの軸方向長さよりも長い。また、下側円筒基材14の円筒部14aの軸方向長さは、外側超電導体2を構成する超電導バルク2aのうち最も下側の超電導バルクの軸方向長さよりも長い。上側円筒基材13の円筒部13aの外周面及び下側円筒基材14の円筒部14aの外周面に、それぞれ内側超電導体3が形成される。上側円筒基材13の円筒部13aの先端(下端)と下側円筒基材14の円筒部14aの先端(上端)との間に、シムコイル15が配置している。従って、外側超電導体2の内周側には、軸方向に沿って、上側から、内側超電導体3、シムコイル15、内側超電導体3が、この順に配設されていることになる。それぞれの円筒部13a,14aに形成された内側超電導体3は円筒形状であり、外側超電導体2と同軸的に配設している。
それ以外の構成は、上記第6実施形態と同様であるので、第6実施形態にて説明した図16に示す超電導磁場発生装置600の構成と同一部分については同一の符号で示してその説明を省略する。また、本実施形態に係る超電導磁場発生装置800の作動も上記第6実施形態に示す超電導磁場発生装置600の作動と同一であるのでその説明も省略する。
本実施形態によれば、外側超電導体2の軸方向における中央部分に拡径された空間Sが形成されている。さらに、円筒基材13,14が図20において上下に分割して形成されているため、外側超電導体2の軸方向における中央部分には円筒基材及び円筒基材に形成された内側超電導体が配設されていない。このため、外側超電導体2の軸方向における中央部分に広いスペースが形成され、この広いスペース内にシムコイル15を配置することができる。よって、室温ボア空間内(円筒容器9の容器部91内)にシムコイル15を配設しなくてもよい。その結果、室温ボア空間を広くすることができる。
1…超電導体、2…外側超電導体、2a…超電導バルク、3…内側超電導体、31…第1内側超電導層、32…第2内側超電導層、33…第1内側超電導薄帯、34…第2内側超電導薄帯、4…ホルダ、5…冷却装置、6…コールドヘッド、7…真空断熱容器、8…外部磁場発生コイル(外部磁場発生装置)、9…円筒容器、91…容器部、92…蓋部、10,11,12…円筒基材、10a,11a,12a,13a,14a…円筒部、10b,11b…鍔部(固定部)、11c…中央部分、12b…接続部、13…上側円筒基材
13b,14b…固定部、14…下側円筒基材、15…シムコイル、100,200,300,600,700,800…超電導磁場発生装置、110…核磁気共鳴装置、120…検出コイル、130…分析手段

Claims (13)

  1. 高温超電導材料により円筒形状に形成され、超電導遷移温度以下の温度に冷却された状態で印加磁場を捕捉することにより、捕捉磁場を発生する外側超電導体と、高温超電導材料により円筒形状に形成され、前記外側超電導体の内周側に前記外側超電導体と同軸的に配置された内側超電導体と、を有する超電導体と、
    前記外側超電導体と前記内側超電導体をそれぞれ超電導遷移温度以下の温度に冷却する冷却装置と、
    を備え、
    前記内側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz1)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ1)の比(Jcθ1/Jcz1)が、前記外側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz2)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ2)の比(Jcθ2/Jcz2)よりも、1に近くなるように、前記内側超電導体が形成されている、超電導磁場発生装置。
  2. 請求項1に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記比(Jcθ1/Jcz1)が、0.5以上であり且つ2以下である、超電導磁場発生装置。
  3. 請求項1又は2に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記外側超電導体及び前記内側超電導体が、層状の結晶構造を持つ高温超電導体により形成されており、前記外側超電導体の結晶構造の層に垂直な方向が前記外側超電導体の軸方向に一致し、前記内側超電導体の結晶構造の層に垂直な方向が前記内側超電導体の径方向に一致する、超電導磁場発生装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記冷却装置は、前記外側超電導体の内周空間内に同軸的に配設された円筒部を有する円筒基材を備え、
    前記内側超電導体は、前記円筒部から冷熱を受けとることによって冷却されるように構成される、超電導磁場発生装置。
  5. 請求項4に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記冷却装置は、前記外側超電導体の一方の端面に対面配置されるコールドヘッドを備え、
    前記円筒基材は、前記円筒部の外周面から径外方に放射状に延設された固定部を有し、
    前記固定部が前記外側超伝導体の一方の端面と前記コールドヘッドとに挟まれることにより、前記円筒基材が前記コールドヘッドにより冷却されるとともに前記コールドヘッドに固定される、超電導磁場発生装置。
  6. 請求項4又は5に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記内側超電導体は、前記円筒部の外周面上又は内周面上に膜状に形成されてなる、超電導磁場発生装置。
  7. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記内側超電導体は、膜状に形成された超電導体であって前記円筒部の外周面上又は内周面上に周方向に沿って巻かれることにより円筒形状に形成されるとともに周方向における両端部が付き合わされている第1内側超電導層と、膜状に形成された超電導体であって前記第1超電導層上に周方向に沿って巻かれることにより円筒形状に形成されるとともに周方向における両端部が付き合わされている第2内側超電導層とを有し、
    前記第1内側超電導層の周方向における両端部及びその間の領域と、前記第2内側超電導層の周方向における両端部及びその間の領域が、周方向において異なった位置に配置するように、前記第1内側超電導層の周方向における両端部の位置及び前記第2内側超電導層の周方向における両端部の位置が定められている、超電導磁場発生装置。
  8. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記内側超電導体は、膜状に形成されるとともに、前記円筒部の外周面上又は内周面上に周方向に一回りよりも長く巻きつけられている、超電導磁場発生装置。
  9. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記内側超電導体は、膜状に形成されるとともに前記円筒部の軸方向長さよりも短い幅を有する第1内側超電導薄帯及び第2内側超電導薄帯を有し、
    前記第1内側超電導薄帯は、前記円筒部の外周面上又は内周面上に、前記円筒部の軸方向を併進方向として螺旋状に巻かれ、
    前記第2内側超電導薄帯は、前記円筒部の外周面上又は内周面上に螺旋状に巻かれた前記第1内側超電導薄帯上に、前記円筒部の軸方向を併進方向として螺旋状に巻かれ、
    前記円筒部の外周面上又は内周面上に螺旋状に巻かれている前記第1内側超電導薄帯の側縁の位置と、前記第1内側超電導薄帯上に螺旋状に巻かれている前記第2内側超電導薄帯の側縁の位置とが一致しないように、前記第1内側超電導薄帯及び前記第2内側超電導薄帯が螺旋状に巻かれている、超電導磁場発生装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超電導磁場発生装置において、
    前記超電導体に磁場が印加されているときにおける前記内側超電導体の超電導遷移温度Tciは、前記外側超電導体の超電導遷移温度Tco以上である、超電導磁場発生装置。
  11. 高温超電導材料により円筒形状に形成された外側超電導体と、高温超電導材料により円筒形状に形成され、前記外側超電導体の内周側に前記外側超電導体と同軸的に配置された内側超電導体と、を有する超電導体を用いて磁場を発生する超電導磁場発生方法であって、
    前記外側超電導体及び前記内側超電導体の軸方向に沿って前記内側超電導体の内周空間に磁束が通るように、前記外側超電導体及び前記内側超電導体に磁場を印加する磁場印加工程と、
    前記磁場印加工程にて磁場が印加された前記外側超電導体及び前記内側超電導体を、前記外側超電導体の超電導遷移温度Tcoと前記内側超電導体の超電導遷移温度Tciのうちいずれか低い方の温度以下の目標温度まで冷却する冷却工程と、
    前記目標温度に冷却されている前記外側超電導体及び前記内側超電導体に印加されている磁場を取り除くことにより、印加されていた磁場を前記超電導体に捕捉させる磁場捕捉工程と、
    を含み、
    前記内側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz1)に対する周方向における臨界電流密度(Jcθ1)の比(Jcθ1/Jcz1)の大きさが、前記外側超電導体の軸方向における臨界電流密度(Jcz2)と周方向における臨界電流密度(Jcθ2)との比(Jcθ2/Jcz2)の大きさよりも、より1に近くなるように、前記内側超電導体が形成されている、超電導磁場発生方法。
  12. 請求項11に記載の超電導磁場発生方法において、
    前記冷却工程の実施中に実施される工程であって、前記外側超電導体の超電導遷移温度Tcoと前記内側超電導体の超電導遷移温度Tciのうちのいずれか高い温度よりも僅かに高い温度である超電導直前温度Tsまで前記内側超電導体及び前記外側超電導体が冷却されたときに、前記内側超電導の内周空間に、前記内側超電導体の軸方向及び径方向における磁場強度が均一な磁場空間が形成されるように、前記外側超電導体及び前記内側超電導体に印加されている磁場を調整する磁場調整工程をさらに含む、超電導磁場発生方法。
  13. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超電導発生装置を備える核磁気共鳴装置。
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