JP2020056791A - 核磁気共鳴用磁場発生装置及び核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法 - Google Patents

核磁気共鳴用磁場発生装置及び核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供する。【解決手段】本発明に係る核磁気共鳴用磁場発生装置は、単結晶状のREBa2Cu3Oy相にRE2BaCuO5相が分散した組織を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、磁石ユニットを内部に収容する収容槽と、を備え、磁石ユニットは、複数の酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸かつ同軸方向に積層された積層体を含み、収容槽は、磁石ユニットの内周面に沿って設けられる筒状の収容槽内壁と、磁石ユニットの外表面に沿って設けられる収容槽外壁とで形成され、積層体の最外層の酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、積層体の最外層以外の第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、収容槽内壁における第2酸化物超電導バルク体の内周面側に位置する部分の外径よりも小さい。【選択図】図2

Description

本発明は、核磁気共鳴用磁場発生装置及び核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法に関する。
NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)装置(以下、「NMR装置」とも呼称する。)は、強磁場を発生し、この強磁場中に配置された試料に電磁波を照射して試料中の原子核の核スピンを共鳴させ、この共鳴時に試料に吸収されるエネルギーをNMR信号として検出することで、試料の分子構造や物理的・化学的物性などの情報を得ることに用いられる分析装置である。
NMR装置の磁場発生源である超電導マグネットとして、単結晶状の酸化物超電導材料をバルク化した酸化物超電導バルク体が用いられることがある。例えば、REBaCuで表される組成を有し、REとして所定の希土類元素を含む単結晶状の結晶相中に、REBaCuOで表される組成を有し、REとして所定の希土類元素を含む結晶相が分散した酸化物超電導材料は、高い臨界電流密度Jcを有する。そのため、酸化物超電導材料は、磁場中で冷却されることで励磁され、強力な磁場を発生することが可能な酸化物超電導バルクマグネットとして使用可能である。
酸化物超電導バルクマグネットは、非常に強力な磁場を狭い空間に発生できるという特長を有する。そのため、酸化物超電導バルクマグネットを小型NMR装置又は小型MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)装置等の磁石部材への応用開発が進められている。酸化物超電導バルクマグネットをこれらの装置に応用することで、装置の高性能化や小型化、軽量化等が期待されている。
例えば、特許文献1には、リング形状の酸化物超電導バルク体を複数積層して得られた酸化物超電導バルクユニットを備える卓上NMR装置が開示されている。
また、例えば、非特許文献1にはリング形状の酸化物超電導バルク体を複数積層して得られた酸化物超電導バルクユニットの両端部に位置する酸化物超電導バルク体の内径が、他の酸化物超電導バルク体の内径より小さい酸化物超電導バルクユニットが開示されている。
例えば、特許文献2〜特許文献5には、酸化物超電導バルクマグネット及び酸化物超電導バルクマグネットを囲む外壁の態様が規定されたNMR装置が開示されている。
例えば、特許文献6には、酸化物超電導バルクユニットの一部に超電導テープ線材を用いたNMR装置が開示されている。この超電導テープ線材は、外部から通電されるものではない。また、特許文献6の図20には、シムコイルが配置された超電導磁場発生装置が記載されている。
例えば、特許文献7及び特許文献8には、円柱状の酸化物超電導バルクマグネット及び酸化物超電導バルクマグネットを囲む外壁の態様が規定されたNMR装置が開示されている。
特許文献2〜特許文献8に記載の酸化物超電導バルクユニットの内周は、同一径となっている。
例えば、非特許文献2には、種々のリング状酸化物超電導バルク体を用いた小型NMR用磁石ユニットの開発状況が紹介されている。
特開2014−53479号公報 特開2002−6021号公報 特開2007−129158号公報 特開2008−34692号公報 特開2009−156719号公報 特開2016−6825号公報 国際公開第2018/021506号 国際公開第2018/021507号
H.Fujishiro, et al., "New proposal of mechanical reinforcement structures to annular REBaCuO bulk magnet for compact and cryogen-free NMR spectromrter", Physica C: Superconductivity and its applications, 550(2018), p52-56 仲村高志、「特集:小型NMR用円筒状超伝導バルク磁石の開発と信号検出」、低温工学、公益社団法人低温工学・超電導学会、2017年1月、52巻、1号、p.3〜43
ところで、近年開発が進められている小型NMR装置は、リング状の酸化物超電導バルクマグネットの内側に、分析試料が挿入される室温空間(ボア空間)が設けられる。この室温空間には、試料管、電磁波の送受信コイルが挿入されるため、極力広いボア空間を確保することが設計上求められる。また、小型MRIの応用では、このボア空間の大きさによって、対象となる被写体の大きさの上限が決まるため、広いボア空間を確保することは、極めて重要である。
また、従来のNMR装置では、冷媒を使用して冷却した酸化物超電導バルクユニットを着磁して、均一性に優れた磁場を発する酸化物超電導バルクマグネットを得ていた。しかし、近年、利便性に優れることから、冷媒に代えて冷凍機を使用して酸化物超電導バルクユニットを冷却する方法が注目されている。しかしながら、冷凍機を使用して酸化物超電導バルクユニットを冷却して着磁する磁場発生装置では、NMR装置に適用可能な程度の均一性を有する磁場を着磁することは困難である。また、不均一な磁場を均一化するために、補正コイルを使用する方法があるが、小型NMR装置に備えられる酸化物超電導バルクユニットの中心軸側の空間が狭いため、この空間に補正コイルを配置することは困難であった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供することにある。
上記課題の解決のため、本発明者らは、鋭意検討した結果、リング状の酸化物超電導バルク体が中心軸方向に複数積層した積層体を含む磁石ユニットと、磁石ユニットを内部に収容する収容槽と、を備え、積層体の最外層に配置された酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の酸化物超電導バルク体の内径を、前記積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、前記収容槽内壁における前記第2酸化物超電導バルク体の内周面側に位置する部分の外径よりも小さくすることで、磁場発生装置に、より広いボア空間を設けることができることを見出し、さらに検討した結果、本発明に至った。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 単結晶状のREBaCu相にREBaCuO相が分散した組織(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。)を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、
前記磁石ユニットを内部に収容する収容槽と、
を備え、
前記磁石ユニットは、複数の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸に、かつ同軸方向に積層された積層体を含み、
前記収容槽は、前記磁石ユニットの内周面に沿って設けられる筒状の収容槽内壁と、前記磁石ユニットの外表面に沿って設けられる収容槽外壁と、により形成され、
前記積層体の最外層に配置された前記酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、前記積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、前記収容槽内壁における前記第2酸化物超電導バルク体の内周面側に位置する部分の外径よりも小さい、核磁気共鳴用磁場発生装置。
(2) 前記収容槽の内部には、ヘリウムガスが充填されている、(1)に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
(3) 前記収容槽を囲む外槽と、
前記収容槽内壁よりも前記積層体の中心軸側に、前記積層体と同軸に配置される円筒状の試料収容槽と、を更に備え、
前記収容槽と前記外槽と前記試料収容槽とで囲まれる空間には、断熱層が配置される、(1)又は(2)に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
(4) 前記収容槽内壁と前記試料収容槽との間に配置されたリング状のコイルを更に備える、(3)に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
(5) 前記磁石ユニットの下面と接するコールドヘッドを有する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
(6) 前記収容槽において、前記磁石ユニットの周囲に、前記磁石ユニットを保冷する保冷層が更に配置される、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
(7) 前記保冷層はヘリウムガスである、(6)に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
(8) 単結晶状のREBaCu相にREBaCuO相が分散した組織(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。)を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、
前記磁石ユニットに含まれる、複数の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸に、かつ同軸方向に積層された積層体の中空部に配置された円筒状の試料収容槽と、
前記試料収容槽における前記磁石ユニット側の面に配置されたリング状のコイルと、
を備え、
前記積層体の最外層に配置された前記酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、前記積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、前記コイルの外径よりも小さい、核磁気共鳴用磁場発生装置。
(9) (1)〜(7)のいずれか1項に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法であって、
前記第1酸化物超電導バルク体以外の複数の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれを、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物をコールドヘッドに載置するステップと、
前記磁石中間物の内周面に沿った前記収容槽内壁を設けるステップと、
前記磁石中間物の上端に、前記第1酸化物超電導バルク体を、前記磁石中間物と同軸に、かつ同軸方向に配置して前記磁石ユニットを得るステップと、
前記磁石ユニットの外表面を囲む収容槽外壁を設けるステップと、
を含む、核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法。
(10) (8)に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法であって、
前記第1酸化物超電導バルク体以外の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれを、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物をコールドヘッドに載置するステップと、
前記第1酸化物超電導バルク体の内径が、前記コイルの外径よりも小さくなるように、前記試料収容槽を配置するステップと、
前記磁石中間物の中空部に、前記磁石中間物側の面に前記コイルを備える円筒状の収容槽内壁を設けるステップと、
を含む、核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法。
本発明によれば、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る核磁気共鳴用磁場発生装置が適用され得る核磁気共鳴装置の概略構成の一例を示す部分断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る核磁気共鳴装置を中心軸を含む平面で切断した部分断面図である。 同実施形態に係る核磁気共鳴装置の製造方法を説明するための説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る核磁気共鳴装置を中心軸を含む平面で切断した部分断面図である。 同実施形態に係る核磁気共鳴装置の製造方法を説明するための説明図である。 支持部材の変形例を説明するための、磁場発生装置の部分断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、図中の各構成要素の比率、寸法は、実際の各構成要素の比率、寸法を表すものではない。
<1.背景>
まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者らが本発明をするに至った経緯について説明する。
冷却装置を用いた従来の磁場発生装置では、酸化物超電導バルクユニット(磁石ユニットと呼称することもある。)が捕捉する磁場(捕捉磁場)の均一性が低下する。その原因の一つに、酸化物超電導バルク材料を構成する希土類(RE)元素の磁性があると考えられ、小さな磁化率を有するEuを用いたEu系の酸化物超電導バルク材料が使用されている。しかしながら、NMR分析に必要な高品質のNMR信号を得るためには、捕捉した磁場の分布を補正する必要がある。また、比較的不均一な磁場を捕捉して、その不均一な磁場を温度調整によって補正する場合でも、より均一性の高い磁場分布を得るために、捕捉した磁場を補正することが望ましい。
捕捉した磁場を補正するために、例えば、補正コイルを酸化物超電導バルクユニットの内部に設け、補正コイルを外部から通電して、補正コイルが発生する磁場を調整する。これにより、解析に必要な領域の磁場均一性を向上させることが可能となる。補正コイルには、酸化物超電導バルク体の中心軸方向、及びこれと垂直なX−Y平面内の磁場を補正することが求められる。補正コイルには、必要に応じて、各方向のゼロ次補正コイル、一次補正コイル、二次補正コイル、三次補正コイル等、複数の補正コイルが用いられる。そして、これらの補正コイルは、酸化物超電導バルクユニットの内部に、例えば、積層して、配置される必要がある。そのため、酸化物超電導バルクユニットの中空空間は、補正コイルを配置するために、できるだけ広い空間を有することが望まれる。
現在開発が進められている小型NMR装置では、酸化物超電導バルクユニットの中心軸側の室温空間には、試料管、電磁波の送受信コイルを挿入する必要があり、極力広い室温空間を確保することが求められる。また、特に小型MRIへの磁場発生装置の応用では、この室温空間の大きさによって、対象となる被写体の大きさの上限が決まるため、広い室温空間を確保することは、極めて重要な事柄である。
本発明者らは、鋭意検討した結果、広い室温空間を確保するため、酸化物超電導バルクユニットの中空空間を磁場補正コイル等の収納スペースとして有効に活用する方法を見出すに至った。
<2.第1の実施形態>
続いて、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係るNMR用磁場発生装置が適用され得るNMR装置10の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る核磁気共鳴用磁場発生装置が適用され得る核磁気共鳴装置の概略構成の一例を示す部分断面図である。図2は、本実施形態に係る核磁気共鳴装置を中心軸を含む平面で切断した部分断面図である。
なお、本実施形態に係るNMR用磁場発生装置が適用されるNMR装置は、ここで説明するNMR装置10に限定されるものではない。
NMR装置10は、磁場中に配置された試料に電磁波を照射して試料中の原子核の核スピンを共鳴させ、この共鳴時に吸収されるエネルギーをNMR信号として検出することで、試料の分子構造や物理的・化学的物性などの情報を得ることに用いられる分析装置である。NMR装置10は、図1に示すように、磁場発生装置100、制御装置200、高周波発生装置300、及び検出コイル400を備える。磁場発生装置100は、本発明に係るNMR用磁場発生装置の一実施形態に係るものである。
本実施形態に係る磁場発生装置100は、NMR分析に用いられる磁場を発生させる。磁場発生装置100は、単結晶状のREBaCu相にREBaCuO相が分散した組織(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。)を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、磁石ユニットを内部に収容する収容槽と、を備え、磁石ユニットは、複数の酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸に、かつ同軸方向に積層された積層体を含み、収容槽は、磁石ユニットの内周面に沿って設けられる筒状の収容槽内壁と、磁石ユニットの外表面に沿って設けられる収容槽外壁と、により形成され、積層体の最外層に配置された酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、収容槽内壁における第2酸化物超電導バルク体の内周面側に位置する部分の外径よりも小さい。磁場発生装置100では、例えば、収容槽内壁の中心軸側の空間を減圧して断熱層として利用することができる。また、磁場発生装置100では、例えば、磁石ユニットの中心軸側の空間に、磁場を補正するためのコイルを配置することができる。このように、磁場発生装置100では、磁石ユニットの中心軸側の空間を有効に活用することができる。その結果、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供することが可能となる。以下、本実施形態に係る磁場発生装置100について、詳細に説明する。
磁場発生装置100は、図1に示すように、磁石ユニット1100、断熱容器1200、冷却装置1300、及び着磁用磁場発生コイル1400を備える。
磁石ユニット1100は、冷却装置1300のコールドヘッド1310上に載置された状態で、断熱容器1200内に配置される。すなわち、磁石ユニット1100は、コールドヘッド1310に隣接して配置されている。これにより、磁石ユニット1100は、コールドヘッド1310と熱的に接続され、冷却装置1300により冷却可能となる。
本実施形態に係る磁石ユニット1100は、図2に示すように、リング状の複数の酸化物超電導バルク体1111が積層された積層体1110と、支持部材1120と、を有する。積層体1110は、複数の酸化物超電導バルク体1111を、同軸に、かつ同軸方向に積層されて形成されている。例えば、磁石ユニット1100は、直径60mm、厚さ(中心軸方向の長さ)20mm程度のリング状の酸化物超電導バルク体1111を6個から8個程度を中心軸方向に同軸に積層された積層体1110を含むことで、磁石ユニット1100の中空の空間に、強磁場で、かつ、均一な磁場を形成することが可能となる。その結果、NMR分析において、良好なNMR信号を得ることが可能となる。
磁石ユニット1100において、積層された複数の酸化物超電導バルク体1111のうち、積層体1110の最外層に配置された酸化物超電導バルク体1112(第1酸化物超電導バルク体)の内径IQ1は、図2に示すように、酸化物超電導バルク体1113(第2酸化物超電導バルク体)の内径IQ2よりも小さい。内径IQ1を内径IQ2よりも小さくすることで、酸化物超電導バルク体1111の磁化により生じる不均一な磁場を相殺するような磁場が、磁石ユニット1100のボア空間1260に形成される。
酸化物超電導バルク体1111は、リング状(筒状)をなし、後述する酸化物超電導バルク材料で構成される。酸化物超電導バルク体1111は、例えば、円筒状又は矩形環状、六角環状等の多角環状とすることができる。酸化物超電導バルク体1111は、好ましくは、円筒状である。酸化物超電導バルク体1111を円筒状とすることで、より均一な磁場をボア空間に形成することが可能となると考えられる。
酸化物超電導バルク体1111において、中心軸方向(高さ方向)に、酸化物超電導バルク材料のいわゆるab面が積層している。
酸化物超電導バルク体1112の内径IQ1は、酸化物超電導バルク体1113(第2酸化物超電導バルク体)の内周面側に位置する収容槽内壁1221の外径Oよりも小さい。内径IQ1を外径Oより小さくすることで、磁石ユニット1100の中空部における、収容槽内壁1221より中心軸側の空間を有効に活用することができる。内径IQ1と外径Oとの差は、好ましくは、3mm以上である。内径IQ1と外径Oとの差を3mm以上とすることで、収容槽内壁1221の厚さ(中心軸に垂直な方向の長さ)を、保冷層1210の圧力と断熱層1230の圧力の差によって収容槽内壁1221にかかる圧力に耐え得る厚さにすることが可能となる。また、内径IQ1と外径Oとの差を3mm以上とすることで、試料収容槽1250の厚さを、断熱層1230の圧力とボア空間1260の圧力との差によって試料収容槽1250にかかる圧力に耐え得る厚さにすることが可能となる。内径IQ1と外径Oとの差は、さらに好ましくは、6mm以上である。内径IQ1と外径Oとの差を6mm以上とすることで、不均一な磁場を十分に均一にすることが可能な大きさ又は数量の補正コイル1410を配置することができ、また、磁石ユニット1100の中心軸側に位置する断熱層1230を十分に大きくすることが可能となる。内径IQ1と外径Oとの差は、好ましくは、80mm以下である。
なお、積層された複数の酸化物超電導バルク体1111は、例えば、はんだ、樹脂、又はグリース等で隣接した酸化物超電導バルク体1111と接着することができる。
ここで、酸化物超電導バルク体1111を構成する酸化物超電導バルク材料について説明する。酸化物超電導バルク材料は、単結晶状のREBaCu相(123相)に非超電導相であるREBaCuO相(211相)が分散した組織を有する。ここで、REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。単結晶状の123相に211相が微細分散した組織は、所謂QMG(登録商標)材料と呼ばれる。123相を構成するRE、及び211相を構成するREは、互いに異なる元素であってもよい。ただし、La、Nd、Sm、Eu又はGdの少なくともいずれかを含む123相は、RE:Ba:Cu=1:2:3の化学量論組成から外れ、REが配置される位置(REサイト)に存在するREの一部がBaで置換される場合がある。また、非超電導相である211相においても、La及びNdは、Y、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuとは異なり、211相を構成する金属元素の比が非化学量論的組成となる場合があり、また、211相の結晶構造が異なる場合があることが知られている。なお、ここでいう、「単結晶状」とは、完全な単結晶のみを指すのではなく、単結晶中に小傾角粒界等のような実用に差し支えない欠陥が存在するものも包含するものとする。
上述した、BaによるREの置換は、酸化物超電導バルク材料の臨界温度を低下させる傾向がある。また、より酸素分圧の小さい環境においては、BaによるREの置換が抑制される傾向にある。
123相は、以下に示すような、211相と、BaとCuとの複合酸化物からなる液相との包晶反応により生成する。
211相+液相(BaとCuの複合酸化物)→123相
そして、この包晶反応によって123相が生成する温度である生成温度Tは、RE元素のイオン半径にほぼ関連し、イオン半径が小さいREが含有されるほど、生成温度Tは低くなる。また、上記の包晶反応時の酸素分圧が低いほど生成温度Tは低下する。また、123相及び211相を構成する元素としてAgが更に含有されることで、生成温度Tは低下する傾向にある。
単結晶状の123相に211相が微細分散した組織は、123相が結晶成長する際、未反応の211相からなる粒子が123相中に取り残されるためにできる。すなわち、酸化物超電導バルク材料は、以下に示す反応により生成する。
211相+液相(BaとCuの複合酸化物)→123相+211相
123相への211相の微細分散は、臨界電流密度J向上の観点から極めて重要である。上記した元素に加え、Pt、Rh又はCeの少なくともいずれかが原料の一つとして用いられることで、半溶融状態(211相と液相とからなる状態)において、211相の粒成長が抑制される。その結果、酸化物超電導バルク材料中に、粒径が約1μm程度の211相が分散する。Pt、Rh又はCeの少なくともいずれか一つの元素は、微細化効果が現れる量が含有されることが好ましい。また、Pt、Rh又はCeの含有量は、材料コストを考慮して定められることが好ましい。Ptの含有量は、酸化物超電導バルク材料の質量に対して、好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは、0.4質量%以上0.8質量%以下である。Rhの含有量は、酸化物超電導バルク材料の質量に対して、好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下であり、更に好ましくは、0.05質量%以上0.4質量%以下である。Ceの含有量は、酸化物超電導バルク材料の質量に対して、好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは、0.1質量%以上0.3質量%以下である。また、Pt、Rh又はCeのうちの複数を用いる場合、含有されるPt、Rh又はCeの合計量は、酸化物超電導バルク材料の質量に対して、好ましくは、0.1質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは、0.2質量%以上1.5質量%以下である。123相に211相が微細分散した酸化物超電導バルク材料において、Pt、Rh及びCeの一部は123相中に固溶し、Pt、Rh及びCeのうち、123相に固溶しなかった残分は、BaやCuとの複合酸化物を形成し、酸化物超電導バルク材料中に点在することになる。
酸化物超電導バルク材料が超電導マグネットとして機能するためには、酸化物超電導バルク材料は、磁場中において高い臨界電流密度Jcを有する必要がある。酸化物超電導バルク材料が磁場中で高い臨界電流密度を有するには、123相は、超電導的に弱結合となる大傾角粒界を含まない単結晶状である必要がある。更に高いJc特性を有するためには、磁束の動きを止めるためのピンニングセンターが必要となる。このピンニングセンターとして機能するものが微細分散した211相である。211相は、より細かく多数分散していることが好ましい。先に述べたように、Pt、RhやCeは、この211相の微細化を促進する作用を有する。また、211相等の非超電導相は、劈開し易い123相中に微細分散することによって、超電導体を機械的に強化し、バルク材料として成り立たす重要な働きをも担っている。なお、例えば、BaCeO、BaSiO、BaGeO、BaSnO等の化合物がピンニングセンターとして機能する可能性が知られている。そのため、酸化物超電導バルク材料には、BaCeO、BaSiO、BaGeO、BaSnOから選択される1又は2以上が含まれていてもよい。
ここで、酸化物超電導バルク材料における123相に対する211相の割合は、臨界電流密度(J)の特性及び機械強度の観点から、好ましくは、5体積%以上35体積%以下であり、さらに好ましくは、15体積%以上30体積%以下である。更に、酸化物超電導バルク材料は、上記の元素に加えてAgを更に含有することもできる。酸化物超電導バルク材料がAgを含む場合、酸化物超電導バルク材料は、Agの含有量に応じて、例えば、粒径が1〜500μm程度のAg又はAg化合物を0体積%超25体積%以下含むことができる。
なお、酸化物超電導バルク材料には、一般に、50〜500μm程度のボイド(気泡)が5〜20体積%程度存在する。
酸化物超電導バルク材料は、123相の種結晶を用いて、結晶方位を制御した状態で、123相を単結晶成長させることで製造される。結晶の成長速度は温度条件に依存し、生成温度Tと結晶成長時の雰囲気温度との差が大きい場合、結晶の成長速度は大きくなる。しかし、生成温度Tと結晶成長時の雰囲気温度との差が大きい場合、123相が多結晶になりやすい。大型の単結晶状酸化物超電導バルク材料を製造する場合、多結晶化を抑制しながら結晶成長させることが重要となる。そのため、一般に、製造しようとする単結晶状酸化物超電導バルク材料のサイズが大きくなるに従い、単結晶状酸化物超電導バルク材料の製造は難しくなる。
酸化物超電導バルク材料が良好な超電導特性を示すには、123相の酸素量が重要であり、酸素量は、REBaCuにおいて、y=6.8〜7.1である。結晶成長後の材料は、酸素欠損量が0.5程度、すなわちyが6.5程度であり、半導体的な抵抗率の温度変化を示す。このような結晶成長後の材料を、REに応じて623K〜873Kの温度で100時間程度、酸素雰囲気中においてアニールすることにより、酸素が結晶成長後の材料に取り込まれ、酸素欠損量は、0.2以下、すなわちyは6.8以上となる。その結果、アニール後の材料は良好な超電導特性を示し、酸化部超電導バルク材料となる。なお、アニール後の123相中には双晶構造が生成するが、本明細書においては、このような双晶構造も含め、「単結晶状」と称する。ここまで、酸化物超電導バルク材料について説明した。
なお、本明細書における「酸化物超電導バルク体」とは、超電導体の特性を発現するための酸化物の微細組織を有する酸化物超電導バルク材料を一部又は全部に含む超電導バルク体を意味する。例えば、当該「超電導バルク体」は、全体が酸化物超電導材料からなるバルク体(すなわち「バルク体」)、及び酸化物超電導バルク材料と非超伝導バルク材料との組み合わせからなる積層物をも含み得る。
さらに、超電導バルク体は、後述する酸化物超電導バルク材料と非超電導バルク材料とが積層した積層物を含むことに加え、リング状の超電導バルク体の内周部に非超電導バルク材料が配置された構造を有する超電導バルク体を含む。この場合、酸化物超電導バルク体の内径とは、リング状の超電導バルク体の内周部に配置された非超電導バルク材料の内径を意味する。
なお、酸化物超電導バルク体1111は、その表面において銀等の導電性材料による皮膜が形成されていてもよい。これにより、隣接する酸化物超電導バルク体1111同士又は酸化物超電導バルク体1111と支持部材1120とをはんだにより接着する際に、はんだが酸化物超電導バルク体1111の表面に付着しやすくなり、接着性が向上し、電気的な接触抵抗が低下する。また、導電性材料による皮膜が形成される場合、成膜後に酸化物超電導バルク体1111には酸素アニール処理が施されることが好ましい。これにより、皮膜と酸化物超電導バルク体1111との間の密着性が向上し、電気的な接触抵抗がより一層低下する。この結果、クエンチと呼ばれる、超電導状態から常電導状態に急激に転移する現象による酸化物超電導バルク体1111の破壊をより確実に防止することができる。
引き続き、磁石ユニット1100の構成について説明する。支持部材1120は、積層体1110を物理的に補強する。支持部材1120は、図2に示すように、積層体1110の外周面側に設けられる。磁石ユニット1100の外周面側に設けられた支持部材1120は、図2に示すように、その一端がコールドヘッド1310に熱的に接続される。これにより、支持部材1120がコールドヘッド1310によって冷却されることにより、磁石ユニット1100は、磁石ユニット1100の外周側からより効率的に冷却されることが可能となる。
支持部材1120の形状は、積層体1110を補強することができれば特段制限されないが、例えば、積層体1110の形状に応じた形状の中空部を有するリング状(筒状)とすることができる。
図2に示すように、支持部材1120がリング状である場合、複数の支持部材1120のそれぞれに、酸化物超電導バルク体1111それぞれが嵌め込まれている。しかしながら、本発明は図示の態様に限定されず、例えば、支持部材は一体成型されたものであってもよい。
支持部材1120と酸化物超電導バルク体1111とは、例えば、はんだ、樹脂、又はグリース等で接着することができる。また、複数の支持部材1120が用いられる場合、それぞれの支持部材1120の間は、例えば、はんだ、樹脂、又はグリース等で接着することができる。
なお、超電導マグネットの室温ボアでの着磁を考慮すると、酸化物超電導バルク体1112の外周面側に位置する部分の支持部材1120の外径と、酸化物超電導バルク体1113の外周面側に位置する部分の支持部材1120の外径とは等しいことが好ましい。より好ましくは、支持部材1120の外径は、積層体1110の中心軸方向に一定である。
支持部材1120の素材としては、例えば、高強度、非磁性であり、酸化物超電導バルク体1111より熱収縮率が大きい材料を使用することができる。また、支持部材1120の素材としては、好ましくは、熱伝導率が高い材料を使用することができる。支持部材1120には、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス、又は炭素繊維強化プラスチック等を用いることが好ましい。
断熱容器1200は、磁石ユニット1100及びコールドヘッド1310を収容し、断熱容器1200の外部から磁石ユニット1100への熱の移動を抑制する。断熱容器1200は、その上面から容器に収容された磁石ユニット1100の中空部に向かって形成される凹部を有している。この凹部に、分析試料P及び検出コイル400は配置される。
断熱容器1200は、収容槽1220と、外槽1240と、試料収容槽1250と、を有する。
収容槽1220は、磁石ユニット1100の内周面に沿って設けられる筒状の収容槽内壁1221と、磁石ユニット1100の外表面に沿って設けられる収容槽外壁1222とによって構成され、磁石ユニット1100を収容する。収容槽内壁1221と収容槽外壁1222とにより形成される空間は下方において開口しており、収容槽外壁1222の下端は、コールドヘッド1310に接続されている。これにより、コールドヘッド1310が磁石ユニット1100の下面と接触する。また、収容槽外壁1222は、その上面の中央部に開口を有しており、収容槽内壁1221は、当該開口の縁部に接続されている。したがって、収容槽内壁1221の中心軸側には、筒状の大きな空間が形成される。
収容槽1220が磁石ユニット1100を収容している空間は、保冷層1210として機能することができる。保冷層1210は、磁石ユニット1100と収容槽1220との間に形成される空間において充填された冷媒により構成される。保冷層1210により、磁石ユニット1100の温度を均一に保つことが可能となる。具体的には、保冷層1210によって、磁石ユニット1100は、例えば、数10K程度に保持される。このように、保冷層1210は、磁石ユニット1100の周囲に配置され、磁石ユニット1100を保冷する。保冷層1210には、酸化物超電導バルク材料の臨界温度に応じた冷媒を含むことができ、例えば、Ar、Ne、He、及びHから選択される1種又は2種以上を含むことができる。このような冷媒により、磁石ユニット1100の温度を超電導特性が発現する温度に均一化することが可能となる。保冷層1210に含まれる冷媒は、好ましくは、Heである。
収容槽1220の素材としては、例えば、非磁性材料を使用することができ、具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス等を使用することができる。
外槽1240は、収容槽1220及びコールドヘッド1310を上部から覆うことにより、収容槽1220及びコールドヘッド1310を収容するように配置される。外槽1240は、その上面の中央部に開口を有している。当該開口の面積は、収容槽外壁1222の上面中央部の開口の面積よりも小さい。また、外槽1240の上面中央部の開口と、収容槽外壁1222の上面中央部の開口と同軸に配置される。
試料収容槽1250は、円筒状であり、収容槽内壁1221の内側に、積層体1110と同軸に配置される。試料収容槽1250は、その上端が外槽1240の上面中央部の開口の縁部と接続されており、外槽1240の上面中央部の開口から、収容槽内壁1221の中心軸側の空間に配置されている。試料収容槽1250は、磁場発生装置100の外部空間を開口端とする有底の筒であり、その内部にボア空間1260を有する。そして、ボア空間1260において、分析試料P又は検出コイル400を収容可能である。また、外槽1240と試料収容槽1250とにより形成される空間は下方において冷却装置1300に接続される。
収容槽1220と、外槽1240と、試料収容槽1250と、冷却装置1300とにより形成される空間は、断熱層1230として機能することができる。断熱層1230は、磁場発生装置100の外側から磁石ユニット1100への熱の伝達を抑制する。断熱層1230は、収容槽内壁1221と試料収容槽1250との間にも配置されることになり、これにより、ボア空間1260から磁石ユニット1100への熱の伝達を遮断する。
断熱層1230は、減圧状態であり、例えば、10−5Paオーダーの真空度に保持されていることが好ましい。また、断熱層1230には、アルミ箔とスペーサーの積層体から構成されるスーパーインシュレーション等が挿入されることが好ましい。断熱層1230に、例えば、スーパーインシュレーションが挿入されることで、輻射熱を遮蔽することが可能となる。
外槽1240及び試料収容槽1250の素材としては、例えば、非磁性材料を使用することができ、具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス等を使用することができる。試料収容槽1250の素材が非金属材料の場合、試料に電磁波を照射するための検出コイル400やNMR信号を吸収するためのアンテナ等を、収容槽内壁1221と試料収容槽1250との間の空間に配置することも可能となる。
補正コイル1410は、リング状の通電可能なコイルであり、磁石ユニット1100を着磁する際の磁場分布の補正に用いられる。補正コイル1410は、試料収容槽1250に取り付けられており、収容槽内壁1221と、試料収容槽1250との間の空間に配置される。そのため、より内径の大きい試料収容槽1250を配置することができ、その結果、ボア空間1260をより広くすることが可能となる。補正コイル1410は、例えば、試料収容槽1250の磁石ユニット1100側の面に取り付けられる。補正コイル1410には、必要に応じて、ゼロ次補正コイル、一次補正コイル、二次補正コイル、三次補正コイル等、複数の補正コイルが用いられる。
補正コイル1410は、中心軸方向、又はこれと垂直なX−Y平面内の磁場を補正する。磁場の中心軸方向(Z軸方向)成分を補正する補正コイル1410は、試料収容槽1250の磁石ユニット1100側の円筒面に巻かれることが多く、例えば、リング状の形状を有することが多い。一方、磁場のZ軸方向と垂直な平面内において互いに直交するX軸方向成分又はY軸方向成分を補正する補正コイル1410は、試料収容槽1250の磁石ユニット1100側の円筒面上に閉ループをなすことが多い。よって、補正コイル1410は、複数のリング状の通電可能なコイルから構成されてもよい。この場合、磁場のZ軸方向成分を補正するコイルは必須であるため、磁場のZ軸方向成分を補正するコイルと磁場のX軸方向成分又はY軸方向成分を補正するコイルの双方を使用する場合であっても、巻き枠も含めて全体としてリング状になる。従って、複数のコイルで構成された補正コイル1410もリング状となる。
均一な磁場となる領域における磁場強度のばらつきがppmオーダーとなるような超電導マグネットを磁石ユニット1100に用いた場合でも、この超電導マグネットが捕捉した磁場は、超電導マグネット周辺の構造部材の磁化率、又は当該構造部材の温度変化等によって、歪みが生じ、磁場が不均一になることがある。補正コイル1410は、不均一になった磁場を、元のppmオーダーの均一磁場にすることができる。一方で、補正コイル1410は通電により発熱する。この熱は、試料収容槽1250を介して外に放出することが望ましい。そのため、補正コイル1410は、試料収容槽1250に高熱伝導部材で接続されていることが望ましい。これにより、補正コイル1410の熱が断熱容器1200の外部に放出される。その結果、補正コイル1410に生じた熱による磁石ユニット1100の温度上昇が抑制されて磁場の歪みが抑制されるため、捕捉磁場をより均一にすることが可能となる。高熱伝導部材には、例えば、アピエゾングリースを使用することができる。
また、補正コイル1410が収容槽内壁1221と、試料収容槽1250との間の断熱層1230に配置されることで、磁石ユニット1100の中心軸側に位置する広い中空空間が有効に活用される。
また、磁石ユニット1100が発する磁場を均一にする方法の一つとして、磁石ユニット1100に不均一な分布を有する磁場を捕捉させた後に、磁石ユニット1100の内径又は温度調整を行うことで捕捉磁場を均一にする方法がある。この方法では、磁石ユニット1100が捕捉した磁場を補正コイル1410で均一化することが重要となる。磁場を均一化するには、大きなサイズの補正コイル1410を用いることが有利である。磁場発生装置100は、収容槽内壁1221の中心軸側の空間を広く利用することが可能であるため、大きなサイズの補正コイル1410を当該空間に配置することができる。その結果、磁場発生装置100が発する磁場は、均一性に優れた磁場となる。更に、大きなサイズの補正コイル1410により、均一な磁場分布となる領域をより広くすることが可能になり、NMR分析に利用可能な均一磁場の領域が拡大するため、分析試料が挿入されるボア空間1260をより広くすることが可能となる。
補正コイル1410の素材としては、特段制限されず、既存の導体を使用することができ、例えば、銅、銅合金、又はアルミニウム等の線材を使用することができる。なお、補正コイル1410は、本発明に係るコイルの一態様に係るものである。
冷却装置1300は、コールドヘッド(低温部)1310を介して磁石ユニット1100を冷却する。冷却装置1300は、磁石ユニット1100を構成する酸化物超電導バルク体1111の超電導遷移温度Tc以下の温度まで磁石ユニット1100を冷却することができれば特段制限されず、例えば、GM冷凍機(Gifford−McMahon cooler)、パルスチューブ冷凍機等を用いることができる。冷却装置1300は、温度制御装置(図示せず。)によって制御される。コールドヘッド1310は、収容槽1220が磁石ユニット1100を収容している空間に冷媒を充填するための孔(図示せず。)を有することができる。当該孔は、封止部材により封止可能である。
着磁用磁場発生コイル1400は、磁石ユニット1100に対して磁場を印加する。着磁用磁場発生コイル1400は、例えば、図1に示すように、断熱容器1200の外側に、磁石ユニット1100を囲むように設けられる。着磁用磁場発生コイル1400が通電することにより磁場(印加磁場)が発生し、磁石ユニット1100に磁場が印加される。
着磁用磁場発生コイル1400には、例えば、金属系低温超電導線材や酸化物系超電導線材、鉄系超電導線材を用いることができる。金属系低温超電導線材としては、例えば、ニオブ―チタン合金線材や、ニオブ3―スズ化合物線材を用いることができる。酸化物系超電導線材としては、例えば、ビスマス系超電導線材やRE系超電導線材等を用いることができる。
制御装置200は、分析試料Pへの電磁波の照射の制御、電磁波照射により生じる核磁気共鳴によって検出コイル400に流れる信号電流のNMR信号への変換、NMR信号の増幅、増幅されたNMR信号に基づくNMRスペクトルを生成する。
高周波発生装置300は、高周波パルスを発生し、検出コイル400から分析試料Pに対してパルス電磁波を照射する。
検出コイル400は、断熱容器1200の凹部に配設される。検出コイル400の中心軸側に分析試料Pは配置される。検出コイル400は、高周波発生装置300により発生した高周波パルスを通電し、分析試料Pにパルス電磁波を照射する。また、磁石ユニット1100が発生する磁場中に配置された分析試料Pにパルス電磁波が照射されると、核磁気共鳴が起こり、検出コイル400に分析試料Pの構造に応じた信号電流が流れる。検出コイル400は、この信号電流を制御装置200に伝達する。なお、検出コイル400は、図1に図示した態様に限られず、先立って説明したように、試料収容槽1250の素材が非金属材料の場合は、収容槽内壁1221と試料収容槽1250との間の空間に配置することもできる。
ここまで、本発明の一実施形態に係るNMR用磁場発生装置が適用され得るNMR装置10の構成について説明した。ここでNMR装置10の動作について説明する。NMR装置10の動作には、磁石ユニット1100を着磁する着磁ステップと、着磁された磁石ユニット1100が発生する磁場を利用して試料を分析する分析ステップとを含む。
着磁ステップでは、着磁用磁場発生コイル1400に電流を流し、印加磁場を発生させ、所定の磁場強度となるまで磁場強度を高める。所定の強度の印加磁場が発生した後、冷却装置1300によって磁石ユニット1100を超電導転移温度(Tc)以下の所定の温度(着磁温度)に冷却する。そして、磁石ユニット1100が着磁温度まで冷却された後、着磁用磁場発生コイル1400の印加磁場を徐々に減らし、最終的に着磁用磁場発生コイル1400への通電を停止して印加磁場を消滅させる。これにより、磁石ユニット1100に印加磁場が着磁する。
なお、着磁完了前には、冷却装置1300を用いて、磁石ユニット1100の温度を着磁温度からさらに所定の温度まで下げることが好ましい。着磁ステップ終了前に磁石ユニット1100の温度を着磁温度未満に下げることで、磁石ユニット1100に捕捉された磁束が低下するフラックスクリープを抑制することができ、磁石ユニット1100に複写された磁場分布を安定化させることが可能となる。
磁石ユニット1100により発生する磁場は、NMR分析に十分な磁場強度であり、かつ、凹部において優れた均一性を有する。
分析ステップでは、均一で高強度の磁場分布となった断熱容器1200の凹部に分析試料Pを配置する。次いで、高周波発生装置300を作動させて高周波パルスを発生させ、検出コイル400から分析試料Pに向けてパルス電磁波を照射する。すると核磁気共鳴が起こり、分析試料Pの構造に応じた信号電流が検出コイル400に流れる。制御装置200は、この信号電流をNMR信号に変換、増幅し、NMRスペクトルを生成する。そして、ユーザによって、NMRスペクトルから分析試料Pの構造が解析される。ここまで、本発明の一実施形態に係るNMR用磁場発生装置が使用され得るNMR装置10の動作について説明した。
(磁場発生装置100の製造方法)
続いて、図3を参照して、本実施形態に係るNMR用磁場発生装置の製造方法を説明する。図3は、本実施形態に係る核磁気共鳴装置の製造方法を説明するための説明図である。
本実施形態に係るNMR用磁場発生装置の製造方法は、複数の酸化物超電導バルク体1113を、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物1130をコールドヘッド1310に載置するステップと、補正コイル1410が取り付けられた試料収容槽1250を内包し、磁石中間物1130の内周面に沿った収容槽内壁1221を設けるステップと、磁石中間物1130の上端に、酸化物超電導バルク体1112を、磁石中間物1130と同軸に、かつ同軸方向に配置して磁石ユニット1100を得るステップと、磁石ユニット1100の外表面を囲む収容槽外壁1222を設けるステップと、を含む。以下に、磁場発生装置100の製造方法の一例を詳細に説明する。
まず、図3左に示すように、複数の酸化物超電導バルク体1113を、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物1130をコールドヘッド1310に載置する。磁石中間物1130は、積層された複数の酸化物超電導バルク体1113、及び酸化物超電導バルク体1113の外周面に配置された支持部材1120を含む。しかしながら、本発明は、図示の態様に限定されず、例えば、支持部材1120は、酸化物超電導バルク体1113の外周面には配置されなくてもよい。
磁石中間物1130とコールドヘッド1310とは、例えば、グリースを塗布して接着することができる。
続いて、図3左から2番目に示すように、磁石中間物1130の中心軸側の空間に収容槽内壁1221を配置する。このとき、収容槽内壁1221は、その中心軸側に、試料収容槽1250を内包している。試料収容槽1250の外周には、補正コイル1410が取り付けられている。試料収容槽1250の外周及び補正コイル1410の外周には、スーパーインシュレーション等の断熱材が巻かれていることが望ましい。
続いて、図3右から2番目に示すように、磁石中間物1130の上端に、外周面に支持部材1120が配置された酸化物超電導バルク体1112を、磁石中間物1130と同軸、かつ同軸方向に配置し、磁石ユニット1100とする。次いで、磁石ユニット1100の外表面を囲む収容槽外壁1222を設ける。収容槽外壁1222の上面中央部の開口の縁部と収容槽内壁1221とを、例えば、インジュームシール及び半田で接続し、収容槽1220を製造する。収容槽1220が磁石ユニット1100を収容している空間には、保冷層1210として酸化物超電導バルク材料の臨界温度に応じた冷媒をコールドヘッド1310の孔を介して充填することが好ましい。
続いて、図3右に示すように、収容槽1220を囲むように外槽1240を配置し、試料収容槽1250を、収容槽内壁1221よりも中心軸側に、積層体1110と同軸に配置する。外槽1240の下端を、冷却装置1300に接続する。そして、外槽1240と試料収容槽1250とを、インジュームシール及び半田等で接続する。
収容槽1220と、外槽1240と、試料収容槽1250とで囲まれる空間に配置される断熱層1230には、スーパーインシュレーターを挿入し、輻射熱の侵入を抑制することが好ましい。
そして、着磁用磁場発生コイル1400を、磁石ユニット1100を囲むように設置する。以上により、磁場発生装置100は、製造される。
なお、本発明は、図示の態様に限定されず、支持部材1120は、例えば、酸化物超電導バルク体1112又は酸化物超電導バルク体1113の外周面には個別に嵌め込まれた状態で配置されなくてもよく、一体化されていてもよい。
本実施形態に係る磁場発生装置100によれば、酸化物超電導バルク体1112の内径を、酸化物超電導バルク体1113の内径よりも小さく、かつ、収容槽内壁1221における酸化物超電導バルク体1113の内周面側に位置する部分の外径よりも小さくすることで、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供することが可能となる。
<3.第2の実施形態>
(磁場発生装置100Aの構成)
続いて、図4を参照して、第2の実施形態に係るNMR用磁場発生装置の構成について説明する。図4は、本実施形態に係る核磁気共鳴装置を中心軸を含む平面で切断した部分断面図である。
本実施形態に係る磁場発生装置100Aは、単結晶状のREBaCu相にREBaCuO相が分散した組織(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。)を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、磁石ユニットに含まれる、複数の酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸に、かつ同軸方向に積層された積層体の中空部に配置された円筒状の試料収容槽と、試料収容槽における磁石ユニット側の面に配置されたリング状のコイルと、を備え、積層体の最外層に配置された酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、コイルの外径よりも小さい。
本実施形態に係るNMR用磁場発生装置100Aは、磁石ユニット1100、断熱容器1200、冷却装置1300、及び磁場発生コイル1400を備える点で第1の実施形態に係る磁場発生装置100と共通するが、断熱容器1200が、収容槽1220及び保冷層1210を備えていない点で異なる。以下に、第1の実施形態との差異を中心に説明し、同様の点については適宜説明を省略する。
本実施形態に係る断熱容器1200は、外槽1240A、及び試料収容槽1250Aを備える。外槽1240Aと試料収容槽1250Aとにより形成される空間には補正コイル1410Aが配置される。
外槽1240Aは、磁石ユニット1100及びコールドヘッド1310を収容するように配置されている。
試料収容槽1250Aは、積層体1110と同軸に配置される。試料収容槽1250Aは、外槽1240Aの上面中央部の開口から、磁石ユニット1100の中空部に配置されている。
外槽1240Aと、試料収容槽1250Aと、冷却装置1300とにより形成される空間は、断熱層1230Aとして機能する。断熱層1230Aは、磁石ユニット1100の中心軸側にも広く配置されるため、ボア空間1260から磁石ユニット1100へ伝わる熱の遮断効果を向上させることが可能となる。
補正コイル1410Aは、磁石ユニット1100の内周面と試料収容槽1250Aの間の断熱層1230Aに、酸化物超電導バルク体1112の内径が補正コイル1410Aの外径より小さくなるように配置される。すなわち、酸化物超電導バルク体1112の内径IQ1は、積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体1113の内径よりも小さく、かつ、補正コイル1410Aの外径Dよりも小さい。
(磁場発生装置100Aの製造方法)
続いて、図5を参照して、本実施形態に係る磁場発生装置100Aの製造方法を説明する。図5は、本実施形態に係る核磁気共鳴装置の製造方法を説明するための説明図である。
本実施形態に係るNMR用磁場発生装置の製造方法は、複数の酸化物超電導バルク体1113を、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物1130をコールドヘッド1310に載置するステップと、補正コイル1410Aが取り付けられた試料収容槽1250Aを配置するステップと、磁石中間物1130の上端に、酸化物超電導バルク体1112を、磁石中間物1130と同軸に、かつ同軸方向に配置して磁石ユニット1100を得るステップと、磁石ユニット1100の外表面を囲む外槽1240Aを設けるステップと、を含む。以下に、磁場発生装置100Aの製造方法を詳細に説明する。
まず、図5左に示すように、複数の酸化物超電導バルク体1113を、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物1130をコールドヘッド1310に載置する。磁石中間物1130は、積層された複数の酸化物超電導バルク体1113、及び酸化物超電導バルク体1113の外周面に配置された支持部材1120を含む。しかしながら、本発明は、図示の態様に限定されず、例えば、支持部材1120は、酸化物超電導バルク体1113の外周面には個別に嵌め込まれた状態で配置されなくてもよく、一体化されていてもよい。
磁石中間物1130とコールドヘッド1310とは、例えば、グリースを塗布して接着することができる。
続いて、図5左から2番目に示すように、磁石中間物1130の中心軸側に補正コイル1410Aを外周面に取り付けた試料収容槽1250Aを挿入する。
続いて、図5右から2番目に示すように、磁石中間物1130の上端に、外周面に支持部材1120が配置された酸化物超電導バルク体1112を、磁石中間物1130と同軸、かつ同軸方向に配置し、磁石ユニット1100とする。
続いて、図5右に示すように、磁石ユニット1100を囲むように外槽1240Aを配置する。そして、外槽1240Aと試料収容槽1250Aとを、インジュームシール及び半田等で接続する。
外槽1240Aと、試料収容槽1250Aとで囲まれる空間に配置される断熱層1230Aには、スーパーインシュレーターを挿入し、輻射熱の侵入を抑制することが好ましい。
そして、磁石ユニット1100を囲むように着磁用磁場発生コイル1400を設置し、着磁用磁場発生コイル1400を着磁する。以上により、磁場発生装置100Aは、製造される。
なお、本発明は、図示の態様に限定されず、支持部材1120は、例えば、酸化物超電導バルク体1112又は酸化物超電導バルク体1113のそれぞれの外周面には個別に嵌め込まれて状態で配置されなくてもよく、一体化されていてもよい。
なお、ここまで、本実施形態に係る磁石ユニット1100の構造に関し、酸化物超電導バルク体1112が本実施形態に係る磁石中間物1130の一端に配置される場合を説明したが、酸化物超電導バルク体1112は、本実施形態に係る磁石中間物1130の両端に設けられてもよい。
本実施形態に係る磁場発生装置100Aによれば、酸化物超電導バルク体1112の内径を、酸化物超電導バルク体1113の内径よりも小さく、かつ、補正コイル1410の外径よりも小さくすることで、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供することが可能となる。
<4.変形例>
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、支持部材1120が、積層体1110の外周面側に設けられる場合を説明したが、本発明に係る支持部材は、図示の態様に限定されない。図6を参照して、支持部材の別の態様を説明する。図6は、支持部材の変形例を説明するための、磁場発生装置の部分断面図である。支持部材は、例えば、磁石ユニット1100の外表面側の端面を覆うように延長されることができる。例えば、図6では、支持部材1120Aが、酸化物超電導バルク体1112の端面及び酸化物超電導バルク体1112の周囲に設けられる支持部材1120の端面を覆うように設けられている。また、支持部材は、積層体1110の最外層に位置する酸化物超電導バルク体の内周面側に設けられることができる。例えば、図6では、支持部材1120Bが、酸化物超電導バルク体1112の内周面側及び支持部材1120Aの内周面側に設けられている。このとき、支持部材1120Bの内径IQ3は、酸化物超電導バルク体1113の内径IQ2よりも小さく、かつ、収容槽内壁1221における酸化物超電導バルク体1113の内周面側に位置する部分の外径Oよりも小さい。積層体1110の最外層に位置する酸化物超電導バルク体1112は、他の酸化物超電導バルク体1113に比べ、着磁過程において大きな電磁気力が作用するため、破損しやすい。そのため、支持部材1120Aが、磁石ユニット1100の外表面側の端面を覆うように延長され、又は、積層体1110の最外層に位置する酸化物超電導バルク体1112の内周面側に設けられることで、積層体1110の最外層に位置する酸化物超電導バルク体1112の内周面の割れを防止することが可能となる。なお、ここでいう端面は、筒状の酸化物超電導バルク体1112における中心軸方向の端部に位置する面である。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一例であって、本発明が、下記の例に限定されるものではない。
<第1の実施例>
REとしてEuを用い、外径が64mmであり、内径が28mmであり、高さが20mmであるリング状の酸化物超電導バルク体を作製した。支持部材として、外径80mmであり、内径が64mmであり、高さが20mmであるアルミニウム合金リングを用いた。つまり、使用したアルミニウム合金リングの肉厚は8mmであった。このアルミニウム合金リングの内周面に真空グリースを塗布して、作製した酸化物超電導バルク体をアルミニウム合金リングに嵌め、第1嵌合体を作製した。この第1嵌合体を2つ製造した。
また、REとしてEuを用い、外径が64mmであり、内径が40mmであり、高さが20mmであるリング状の酸化物超電導バルク体を作製した。外径80mmであり、内径が64mmであり、高さが20mmであるアルミニウム合金リングの内周面に真空グリースを塗布して、作製した酸化物超電導バルク体をアルミニウム合金リングに嵌め、第2嵌合体を作製した。この第2嵌合体を6つ製造した。
第1嵌合体の酸化物超電導バルク体の組織及び第2嵌合体の酸化物超電導バルク体の組織は、いずれも、123相と211相とがモル比で3:1で構成されており、平均粒径が1μm程度の211相が123相中に分散した組織であった。
第1嵌合体の1つを冷却装置のコールドヘッド上に配置し、その上に第2嵌合体を6つ、それぞれを同軸に、かつ、同軸方向に積層し、磁石中間物を得た。次いで、6つの第2嵌合体で形成される中空の空間に、補正コイルが外周に取り付けられた試料収容槽を内包した収容槽内壁を挿入した。
この時、補正コイルの外径は32mmであり、また、試料収容槽の内径は20mmであり、径方向に厚さ4.5mmの補正コイルを形成することができた。また、補正コイルの周囲及び試料収容槽の周囲は、スーパーインシュレーションを巻きつけた状態にあった。一方、挿入した収容槽内壁の第2嵌合体の内周に沿った部分の外径は、36mmであり、当該部分以外の収容槽内壁の外径は、26mmとした。次に、第1嵌合体を、磁石中間物の上面に、磁石中間物と同軸に1つ積層し、磁石ユニットを得た。その後、磁石ユニットを囲むように収容槽外壁を配置し、収容槽内壁と収容槽外壁とを、磁石ユニットの上方で、インジュームシール及び半田により接続した。この後、試料収容槽にコールドヘッドの孔を介してマグネットの外部から細いパイプを通してヘリウムガスを充填した。そして、収容槽を囲むように外槽を配置し、外槽の下端を冷却装置に接続した。次いで、外槽と試料収容槽の間の断熱層にスーパーインシュレーションを挿入し、外槽と試料収容槽を磁石ユニットの上で半田により接続した。その後、断熱層が高真空になるよう真空引きを行った。これにより、試料収容槽の内部のボア空間の直径を20mmとすることができた。続いて、外槽の外周に、着磁用磁場発生コイルを配置し、磁場発生装置を製造した。この磁場発生装置を使用して、磁石ユニットを着磁し、補正コイルで磁石ユニットの捕捉磁場を調整した。その結果、磁場強度のばらつきがppmオーダーという、優れた均一度を有する磁場を発生させることができた。このように、広いボア空間を有し、NMRに適用可能な磁場発生装置を製造することができた。
比較例として、上記と同様に作製した第1嵌合体及び第2嵌合体を使用して、同様に磁場発生装置を製造した。ただし、このときの収容槽内壁の外径を均一とし、第2嵌合体の内周に沿った部分及びそれ以外の外径を26mmとした。収容槽内壁の外径を26mmとしたことから、補正コイルの巻き数は制限され、20mmの内径を有する試料収容槽の外周に形成できた補正コイルの径方向の厚さは、0.5mmであった。続いて、外槽の外周に着磁用磁場発生コイルを配置し、磁場発生装置を製造した。この磁場発生装置を使用して、磁石ユニットを着磁し、補正コイルで磁石ユニットの捕捉磁場を調整したが、補正コイルの厚さが0.5mmと薄く、言い換えると補正コイルの巻き数が少なかったために補正コイルの磁場が不足し、磁場強度のばらつきが百ppmオーダーとなり、本発明の例に比べ不均一な磁場となった。
上記のように、第2嵌合体の内周近傍の空間を有効に活用することで、試料収容槽の内部のボア空間の直径が20mmと大きく、また、均一な磁場を発生することが可能な、NMRに適用可能な磁場発生装置を製造することができた。
<第2の実施例>
REとしてGdを用い、外径が70mmであり、内径が36mmであり、高さが5mmであるリング状の酸化物超電導バルク体を作製した。さらに、このリング状の酸化物超電導バルク体の表面にAg製膜処理を行った後、酸素アニール処理を行った。酸化物超電導バルク体の外周面側に配置される第1支持部材として、外径74mmであり、内径が70mmであり、高さが5mmであるSUS316L製ステンレスリングを用いた。第1支持部材に使用したステンレスリングの肉厚は2mmであった。また、酸化物超電導バルク体の内周面側に配置される第2支持部材として、外径36mmであり、内径が34mmであり、高さが5mmであるSUS316L製ステンレスリングを用いた。第2支持部材に使用したステンレスリングの肉厚は1mmであった。第1支持部材の内周面及び第2支持部材の外周面に予め半田を塗布した後、第1支持部材及び第2支持部材を、それぞれ上記酸化物超電導バルク体の外側及び内側に嵌めて半田付けし、第1嵌合体を作製した。この第1嵌合体を4つ製造した。
次に、外径74mmであり、内径が34mmであり、高さが1mmのSUS316L製ステンレスリングを5枚作製し、4つの第1嵌合体と積層し半田付け処理を行い、第1嵌合積層体とした。
さらに、外径90mmであり、内径が74mmであり、高さが25mmであるSUS316L製ステンレスリングを最外周補強リングとし、また、外径34mmであり、内径が32mmであり、高さが25mmであるSUS316L製ステンレスリングを最内周補強リングとした。第1嵌合積層体の内側に最内周補強リングを配置し、第1嵌合積層体の外側に最外周補強リングを配置して、半田付け処理を行い第2嵌合積層体を作製した。このようにして、第2嵌合積層体を2つ作製した。
また、REとしてEuを用い、外径が70mmであり、内径が46mmであり、高さが20mmであるリング状の酸化物超電導バルク体を作製した。外径90mmであり、内径が70mmであり、高さが20mmであるアルミニウム合金リングの内周面に樹脂(スタイキャスト)を塗布して、作製した酸化物超電導バルク体をアルミニウム合金リングに嵌め、樹脂を固化させることで、第2嵌合体を作製した。この第2嵌合体を6つ製造した。
第1嵌合体の酸化物超電導バルク体の組織及び第2嵌合体の酸化物超電導バルク体の組織は、いずれも、123相と211相とがモル比で3:1で構成されており、平均粒径が1μm程度の211相が123相中に分散した組織であった。
第2嵌合積層体の1つを冷却装置のコールドヘッド上に配置し、その上に第2嵌合体を6つ、それぞれを同軸に、かつ、同軸方向に積層し、磁石中間物を得た。次いで、6つの第2嵌合体で形成される中空の空間に、補正コイルが外周に取り付けられた純アルミニウム製の試料収容槽を内包した収容槽内壁を挿入した。補正コイルは純アルミニウム製のボビン上に巻いて形成され、ボビンと試料収容槽との間に生じた極僅かな隙間には、アピエゾングリース塗ることで補正コイルの発熱を外部に効率よく放出できるようにした。この時、補正コイルの外径は38mmであり、また、試料収容槽の内径は24mmであり、中心軸の径方向に厚さ4.0mmの補正コイルを形成することができた。また、補正コイルの周囲及び試料収容槽の周囲は、スーパーインシュレーションを巻きつけた状態にあった。一方、挿入した収容槽内壁の第2嵌合体の内周に沿った部分の外径は、42mmであり、当該部分以外の収容槽内壁の外径は、30mmとした。次に、もう1つの第2嵌合積層体を、磁石中間物の上面に、磁石中間物と同軸に1つ積層し、磁石ユニットを得た。その後、収容槽外壁を磁石ユニットを囲むよう配置し、収容槽内壁と収容槽外壁とを、磁石ユニットの上方で、インジュームシール及び半田により接続した。次いで、第一の実施例と同様に収容槽へのヘリウムガスの充填及び断熱層の真空引きを行った。そして、収容槽を囲むように外槽を配置し、外槽の下端を冷却装置に接続した。これにより、試料収容槽の内部のボア空間の直径を24mmとすることができた。続いて、外槽の外周に、着磁用磁場発生コイルを配置し、磁場発生装置を製造した。この磁場発生装置を使用して、磁石ユニットを着磁し、補正コイルで磁石ユニットの捕捉磁場を調整した。その結果、磁場強度のばらつきがppmオーダーという、優れた均一度を有する磁場を発生させることができた。このように、広いボア空間を有し、NMRに適用可能な磁場発生装置を製造することができた。
比較例として、上記と同様に作製した第2嵌合積層体及び第2嵌合体を使用して、上記と同様に磁場発生装置を製造した。ただし、このときの収容槽内壁の外径を均一とし、収容槽内壁の第2嵌合体の内周に沿った部分及びそれ以外の外径を30mmとした。収容槽内壁の外径を30mmとしたことから、補正コイルの巻き数は制限され、24mmの内径を有する試料収容槽の外周に形成できた補正コイルの径方向の厚さは、0.5mmであった。続いて、外槽の外周に着磁用磁場発生コイルを配置し、磁場発生装置を製造した。この磁場発生装置を使用して、上記と同様に磁石ユニットを着磁し、補正コイルで磁石ユニットの捕捉磁場を調整したが、補正コイルの厚さが0.5mmと薄く、言い換えると補正コイルの巻き数が少なかったために補正コイルの磁場が不足し、磁場強度のばらつきが百ppmオーダーとなり、本発明の例に比べ不均一な磁場となった。
上記のように、第2嵌合体の内周近傍の空間を有効に活用することで、試料収容槽の内部のボア空間の直径が24mmとより大きく、また、均一な磁場を発生することが可能な、NMRに適用可能な磁場発生装置を製造することができた。
<第3の実施例>
REとしてEuを用い、外径が62mmであり、内径が24mmであり、高さが20mmであるリング状の酸化物超電導バルク体を作製した。支持部材として、外径80mmであり、内径が62mmであり、高さが20mmであるアルミニウム合金リングを用いた。つまり、使用したアルミニウム合金リングの肉厚は9mmであった。このアルミニウム合金リングの内周面に真空グリースを塗布して、作製した酸化物超電導バルク体をアルミニウム合金リングに嵌め、第1嵌合体を作製した。この第1嵌合体を2つ製造した。
また、REとしてEuを用い、外径が62mmであり、内径が38mmであり、高さが20mmであるリング状の酸化物超電導バルク体を作製した。外径80mmであり、内径が62mmであり、高さが20mmであるアルミニウム合金リングの内周面に真空グリースを塗布して、作製した酸化物超電導バルク体をアルミニウム合金リングに嵌め、第2嵌合体を作製した。この第2嵌合体を6つ製造した。
第1嵌合体の酸化物超電導バルク体の組織及び第2嵌合体の酸化物超電導バルク体の組織は、いずれも、123相と211相とがモル比で3:1で構成されており、平均粒径が1μm程度の211相が123相中に分散した組織であった。
第1嵌合体の1つを冷却装置のコールドヘッド上に配置し、その上に第2嵌合体を6つ、それぞれを同軸に、かつ、同軸方向に積層し、磁石中間物を得た。次いで、第2嵌合体の中空の空間に、補正コイルが取り付けられた純アルミニウム製の試料収容槽を挿入した。補正コイルは無酸素銅製のボビン上に巻いて形成され、さらにボビンと試料収容槽との間に生じた極僅かな隙間には、アピエゾングリース塗ることでコイルの発熱を外部に効率よく放出できるようにした。この時、補正コイルの外径は34mmであり、また、試料収容槽の内径は20mmであり、径方向に厚さ5.0mmの補正コイルを形成することができた。また、補正コイルの周囲及び試料収容槽の周囲は、スーパーインシュレーションを巻きつけた状態にあった。次に、第1嵌合体を、磁石中間物の上面に、磁石中間物と同軸に1つ積層し、磁石ユニットを得た。その後、磁石ユニットを囲むように外槽を配置し、試料収容槽と外槽とを、磁石ユニットの上方で、インジュームシール及び半田により接続した。そして、外槽の下端を冷却装置に接続した。その後、収容槽と、外槽と、試料収容槽と、冷却装置とにより形成される空間である断熱層の真空引きを実施例1及び実施例2と同様に行った。これにより、試料収容槽の内部のボア空間の直径を20mmとすることができた。
続いて、外槽の外周に、着磁用磁場発生コイルを配置し、磁場発生装置を製造した。この磁場発生装置を使用して、磁石ユニットを着磁し、補正コイルで磁石ユニットの捕捉磁場を調整することで、磁場強度のばらつきがppmオーダーという、優れた均一度を有する磁場を発生させることができた。このように、広いボア空間を有し、NMRに適用可能な磁場発生装置を製造することができた。
比較例として、上記と同様に作製した第1嵌合体及び第2嵌合体を使用して、上記と同様に磁場発生装置を製造した。ただし、このときの補正コイルの第2嵌合体の内周に沿った部分の外径は、23.5mmとした。補正コイルの外径を23.5mmとしたことから、補正コイルの巻き数は制限され、20mmの内径を有する試料収容槽の外周に形成できた補正コイルの径方向の厚さは、1.0mmであった。続いて、外槽の外周に着磁用磁場発生コイルを配置し、磁場発生装置を製造した。磁場発生装置を使用して、上記と同様に磁石ユニットを着磁し、補正コイルで磁石ユニットの捕捉磁場を調整したが、補正コイルの厚さが1.0mmと薄かったため、言い換えると、補正コイルの巻き数が少なかったために補正コイルの磁場が不足し、磁場強度のばらつきが数百ppmオーダーとなり、本発明の例に比べ不均一な磁場となった。
上記のように、第2嵌合体の内周近傍の空間を有効に活用することで、試料収容槽の内部のボア空間の直径が24mmであり、また、均一な磁場を発生することが可能な、NMRに適用可能な磁場発生装置を製造することができた。
以上、本発明によれば、より広いボア空間を有する核磁気共鳴用磁場発生装置を提供することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 NMR装置
100、100a 磁場発生装置
200 制御装置
300 高周波発生装置
400 検出コイル
1100 磁石ユニット
1111、1112、1113 酸化物超電導バルク体
1120 支持部材
1200 断熱容器
1210 保冷層
1220 収容槽
1221 収容槽内壁
1222 収容槽外壁
1230、1230A 断熱層
1240、1240A 外槽
1250、1250A 試料収容槽
1260 ボア空間
1300 冷却装置
1310 コールドヘッド
1400 着磁用磁場発生コイル
1410、1410A 補正コイル

Claims (10)

  1. 単結晶状のREBaCu相にREBaCuO相が分散した組織(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。)を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、
    前記磁石ユニットを内部に収容する収容槽と、
    を備え、前記磁石ユニットは、複数の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸に、かつ同軸方向に積層された積層体を含み、
    前記収容槽は、前記磁石ユニットの内周面に沿って設けられる筒状の収容槽内壁と、前記磁石ユニットの外表面に沿って設けられる収容槽外壁と、により形成され、
    前記積層体の最外層に配置された前記酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、前記積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、前記収容槽内壁における前記第2酸化物超電導バルク体の内周面側に位置する部分の外径よりも小さい、核磁気共鳴用磁場発生装置。
  2. 前記収容槽の内部には、ヘリウムガスが充填されている、請求項1に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
  3. 前記収容槽を囲む外槽と、
    前記収容槽内壁よりも前記積層体の中心軸側に、前記積層体と同軸に配置される円筒状の試料収容槽と、を更に備え、
    前記収容槽と前記外槽と前記試料収容槽とで囲まれる空間には、断熱層が配置される、請求項1又は2に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
  4. 前記収容槽内壁と前記試料収容槽との間に配置されたリング状のコイルを更に備える、請求項3に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
  5. 前記磁石ユニットの下面と接するコールドヘッドを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
  6. 前記収容槽において、前記磁石ユニットの周囲に、前記磁石ユニットを保冷する保冷層が更に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
  7. 前記保冷層はヘリウムガスである、請求項6に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置。
  8. 単結晶状のREBaCu相にREBaCuO相が分散した組織(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.1を満たす。)を有し、かつ、リング状である、複数の酸化物超電導バルク体を含む磁石ユニットと、
    前記磁石ユニットに含まれる、複数の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれが、同軸に、かつ同軸方向に積層された積層体の中空部に配置された円筒状の試料収容槽と、
    前記試料収容槽における前記磁石ユニット側の面に配置されたリング状のコイルと、
    を備え、
    前記積層体の最外層に配置された前記酸化物超電導バルク体のうちの少なくとも一方の第1酸化物超電導バルク体の内径は、前記積層体の最外層以外に配置された第2酸化物超電導バルク体の内径よりも小さく、かつ、前記コイルの外径よりも小さい、核磁気共鳴用磁場発生装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法であって、
    前記第1酸化物超電導バルク体以外の複数の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれを、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物をコールドヘッドに載置するステップと、
    前記磁石中間物の内周面に沿った前記収容槽内壁を設けるステップと、
    前記磁石中間物の上端に、前記第1酸化物超電導バルク体を、前記磁石中間物と同軸に、かつ同軸方向に配置して前記磁石ユニットを得るステップと、
    前記磁石ユニットの外表面を囲む収容槽外壁を設けるステップと、
    を含む、核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法。
  10. 請求項8に記載の核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法であって、
    前記第1酸化物超電導バルク体以外の前記酸化物超電導バルク体のそれぞれを、同軸に、かつ同軸方向に積層した磁石中間物をコールドヘッドに載置するステップと、
    前記第1酸化物超電導バルク体の内径が、前記コイルの外径よりも小さくなるように、前記試料収容槽を配置するステップと、
    前記磁石中間物の中空部に、前記磁石中間物側の面に前記コイルを備える円筒状の収容槽内壁を設けるステップと、
    を含む、核磁気共鳴用磁場発生装置の製造方法。
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