JP2013074082A - 永久電流スイッチ、およびそれを備える伝導冷却型超電導マグネット装置 - Google Patents

永久電流スイッチ、およびそれを備える伝導冷却型超電導マグネット装置 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却能力に限りがある冷凍機を用いた伝導冷却型超電導マグネット装置にも十分適用することができる永久電流スイッチを提供すること。
【解決手段】基板18aの上に緩衝層18b(中間層)を介して平板状に形成されたY系超電導体層18cを有するテープ形状のY系線材18と、Y系線材18に対して当該Y系線材18の厚み方向に磁場を印加するための相互に対向配置された一対の永久磁石17と、一対の永久磁石17による磁場の印加・非印加を切り換える切換手段(14、15)と、を備える永久電流スイッチ13である。また、切換手段(14、15)は、Y系線材18の厚み方向からY系線材18を間に挟む位置に一対の永久磁石17を移動させる機械的切換手段とされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久電流スイッチ、およびそれを備える伝導冷却型超電導マグネット装置に関する。
永久電流スイッチは、超電導マグネットを構成する超電導コイルの電気回路に組み込んで永久電流モードを実現させるためのものである。永久電流スイッチとして、例えば特許文献1、2に記載されたものがある。
特許文献1に記載の永久電流スイッチは、超電導コイル、ヒーターを備える永久電流スイッチである。永久電流スイッチを構成する超電導コイルを冷却して超電導状態とすることで、永久電流スイッチは、「ON」の状態(電気抵抗ゼロで電流が流れる状態)となり、超電導コイルを臨界温度以上の温度までヒーターで加熱して常電導状態とすることで、永久電流スイッチは、「OFF」の状態(高抵抗状態)となる。この超電導コイルを構成する超電導線材としてNbTiなどからなる断面円形の超電導線材が特許文献1に例示されている。
特許文献2に記載の永久電流スイッチも同様に、超電導コイル、ヒーターを備える。また、特許文献2には、この永久電流スイッチを具備してなる超電導マグネット装置も記載されている。この超電導マグネット装置では、超電導マグネットおよび永久電流スイッチを構成する超電導コイルを液体ヘリウムで冷却している。
特開2006−287142号公報 特開2011−114090号公報
超電導マグネット装置には、特許文献2に記載されているような液体ヘリウム冷却形式の装置以外に、冷凍機で超電導マグネットを冷却する形式の伝導冷却型超電導マグネット装置がある。
この伝導冷却型超電導マグネット装置に、ヒーター(加熱)を必要とする永久電流スイッチを適用するのには問題がある。伝導冷却型超電導マグネット装置において、超電導マグネットを構成する本体コイル(超電導コイル)を冷却している冷凍機の冷却能力は限られている。永久電流スイッチを「OFF」状態にしようとして永久電流スイッチを加熱すると、この熱が本体コイルに伝播することで本体コイルの温度上昇を招き、本体コイルがクエンチしてしまう。
また、伝導冷却型超電導マグネット装置を、多くのチャンネルの超電導シムを備えた高均一度伝導冷却型超電導マグネット装置とする場合に、ヒーター(加熱)を必要とする永久電流スイッチを適用するのは問題がより大きい。それぞれのチャンネルに、ヒーターを備える永久電流スイッチを設けることとなり、それぞれのヒーターの加熱量の合計が、冷凍機の冷却能力を上回ってしまうからである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷却能力に限りがある冷凍機を用いた伝導冷却型超電導マグネット装置にも十分適用することができる永久電流スイッチを提供することである。
本発明は、平板状に形成された高温超電導体層を有するテープ形状の高温超電導材と、前記高温超電導材に対して、当該高温超電導材の厚み方向に磁場を印加するための磁場印加手段と、前記磁場印加手段による前記厚み方向への磁場の印加・非印加を切り換える切換手段と、を備えることを特徴とする、永久電流スイッチである。
本発明の永久電流スイッチは、冷却能力に限りがある冷凍機を用いた伝導冷却型超電導マグネット装置にも十分適用することができる。
本発明の一実施形態に係る伝導冷却型超電導マグネット装置を示す図である。 図1のS部拡大図である。 図1に示したY系超伝導線材の構造を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、冷凍機で超電導マグネットを冷却する形式の伝導冷却型超電導マグネット装置に本発明に係る永久電流スイッチを適用した例を示したが、液体ヘリウム冷却形式の超電導マグネット装置にも本発明に係る永久電流スイッチを適用することができる。
(超電導マグネット装置の構成)
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る伝導冷却型超電導マグネット装置1(以下、「超電導マグネット装置1」と呼ぶ)を示す一部断面図であり、図1(b)は、超電導マグネット装置1を構成する超電導コイル2に電流を流すための電気回路図である。図1に示すように、超電導マグネット装置1は、超電導マグネット19と、超電導マグネット19を収容する輻射シールド4(冷却容器)と、超電導マグネット19が収容された輻射シールド4を収容する真空容器5と、真空容器5の上部に取り付けられた冷凍機3と、永久電流モードを実現するための永久電流スイッチ13とを備えている。
(超電導マグネット)
超電導マグネット19は、巻枠9と、巻枠9に超電導線材が螺旋状に巻回されてなる超電導コイル2とを有している。巻枠9は非磁性材であるアルミニウム材、ステンレス材などからなる。超電導コイル2を構成する超電導線材は、ニオブ・スズ(NbSn)超電導線材、ニオブ・チタン(NbTi)超電導線材などである。
(真空容器)
真空容器5は、その内部を高真空に保持され、超電導マグネット19や輻射シールド4への熱侵入を抑制する容器である。真空容器5は、その上部を密閉するエンドプレート5aを有している。真空容器5の材質としては、アルミニウム材、ステンレス材が挙げられる。また、真空容器5の外面は常温(300K程度)にさらされる。
真空容器5のエンドプレート5aには銅材で形成された電極ピン8(電極)が取り付けられている。電極ピン8は、陽極ピンと陰極ピンとからなり、これら電極ピン8には、超電導コイル2を励磁するための励磁電源50(図1(b)参照)が接続される。
(輻射シールド)
輻射シールド4は、シールド本体4aと、シールド本体4aの上部開口に取り付けられたプレート4bとを有している。輻射シールド4(プレート4b)の材質としては、アルミニウム材、銅材が挙げられる。
(冷凍機)
冷凍機3は、二段蓄冷式冷凍機(二段式冷凍機)であり、駆動部12と、駆動部12の下に配置されたシリンダ11を有している。シリンダ11は、上部の第1シリンダ11aと、下部の第2シリンダ11bとを有している。第1シリンダ11aの下端部には第1冷却端部12a(第1冷却ステージ)が設けられ、第2シリンダ11bの下端部には第1冷却端部12aよりも温度が低くなる第2冷却端部12b(第2冷却ステージ)が設けられている。第1冷却端部12aおよび第2冷却端部12bは、いずれもフランジ状の形態とされている。第1冷却端部12aは、輻射シールド4のプレート4bに対してボルトなどの固定手段により取り付けられ、第2冷却端部12bは、伝熱部材16(伝熱プレート)に対してボルトなどの固定手段により取り付けられている。この伝熱部材16は、超電導マグネット19の外周において超電導コイル2に対して熱的に接続されている。具体的には、例えば、伝熱部材16は、超電導マグネット19の巻枠9に固定されることで、巻枠9を介して超電導コイル2に対して熱的に接続される。駆動部12にはヘリウムガスが供給され、供給されたヘリウムガスは、第1シリンダ11aの下部および第2シリンダ11bの下部に噴出する。冷凍機3は、第1冷却端部12aおよび第2冷却端部12bを介して、輻射シールド4および超電導マグネット19をそれぞれ約40Kおよび約4Kに冷却するものである。なお、熱的に接続されるとは、熱は伝導するが電気は絶縁状態(電気は流れない状態)で接続されることをいう。
(電流リード)
電極ピン8と超電導コイル2とは、筒状または平板状の酸化物超電導電流リード7(以下、「酸化物電流リード7」と呼ぶ)を介して導線10、6で結線されている。導線10は、電極ピン8と酸化物電流リード7とを接続する高温側の電流リード線であって、例えば、銅線である。導線6は、酸化物電流リード7と超電導コイル2とを接続する低温側の電流リード線であって、通常、超電導コイル2を構成している超電導線の延長である。
酸化物電流リード7は、超電導マグネット19への熱侵入を抑制しつつ超電導マグネット19に電流を導入するための電流リード体であって、Bi系(ビスマス系)、Y系(イットリウム系)といった高温超電導材料(酸化物超電導材料)からなる。酸化物電流リード7は、輻射シールド4の内部であって、冷凍機3の第1冷却端部12aと第2冷却端部12bとの間に配置されている。
高温側の電流リード線である導線10は、プレート4bを介して第1冷却端部12aに熱的に接続されている。また、低温側の電流リード線である導線6(超電導コイル2を構成している超電導線の延長)は、伝熱部材16を介して第2冷却端部12bに熱的に接続されている。
(永久電流スイッチ)
図1〜図3に示すように、永久電流スイッチ13は、テープ形状のY系線材18(Y系超伝導線材)と、Y系線材18の厚み方向に磁場を印加するための一対の永久磁石17と、永久磁石17によるY系線材18の厚み方向への磁場の印加・非印加を切り換えるための切換手段(14、15)とを備えている。
[テープ形状の高温超電導材]
Y系線材18は、テープ形状の高温超電導材の一つである。図3にY系線材18の構造を例示したように、Y系線材18は、基板18a(金属の平板)の上に、緩衝層18b(中間層)、Y系超電導体層18c(高温超電導体層)、安定化層18dがこの順で形成されてなるテープ形状の酸化物系超伝導線材である。Y系超電導体層18c(高温超電導体層)は、緩衝層18bを介して基板18aの上に形成されている。このように、「高温超電導体層が基板の上に形成されている」とは、高温超電導体層が基板の上に直接形成されている態様だけでなく、高温超電導体層が中間層を介して基板の上に形成されている態様をも含む。基板18aは、ハステロイ(登録商標)(Hastelloy)、Ni−Alloyなどからなり、緩衝層18bは、YSZ、MgO、CeO2などからなる。また、Y系超電導体層18cは、ReBCO、YBCO、NdBCO、SmBCOなどからなり、安定化層18dは、MgまたはSi添加Ag合金、CuNi合金などからなる。基板18aの厚みは200μm以下であり、緩衝層18b、Y系超電導体層18c、および安定化層18dの厚みは、それぞれ、3μm未満、1〜10μm、および50〜100μmである。Y系線材18の幅は、1mm〜15mm程度である。このように、Y系超電導体層18cは、平板状(換言すれば膜状)に形成されている。
ここで、緩衝層18b、Y系超電導体層18cは、いずれも、結晶がc軸配向した層である(後述するBi系超電導体層に関しても同様)。線材の長手方向をa軸方向、線材の幅方向をb軸方向とすると、c軸方向は、a軸方向およびb軸方向に直交する方向である。c軸配向しているとは、それぞれの結晶面に垂直な方向が全て同じ方向(c軸方向)を向いていることをいう。c軸配向の結果、Y系超電導体層18cは、Y系超電導体層18cに対して平行な(a、b面内)方向には電気を流しやすいが、垂直な方向(c軸方向)には電気を流し難いという、大きな異方性を有する超電導体層である(後述するBi系超電導体層に関しても同様)。そのため、超電導状態のY系超電導体層18c(Y系線材18)の厚み方向(c軸方向)に磁場を印加すると、超電導状態が破れて常電導状態となり、その結果、Y系超電導体層18c(Y系線材18)は高抵抗化する。一方、Y系超電導体層18cに平行な方向の磁場に対しては、Y系超電導体層18cの超電導状態が保持される。
例えば、幅1mmのY系線材18を40Kの温度に保って、Y系線材18(Y系超電導体層18c)の結晶面に垂直に(Y系線材18の厚み方向に)2Tの磁場を印加すると、Y系線材18は超電導状態を保てずに常電導状態となり高抵抗化する。一方、磁場の方向が、Y系線材18に平行(Y系線材18の厚み方向に対して直交する方向)である場合は、Y系線材18の超電導状態が保持され、少なくとも200A程度の電流を抵抗ゼロで流すことができる(Bi系超伝導線材に関しても同様)。
異方性を有するテープ形状のY系線材18の製法を例示しておく。Y系線材18では基板18aの上に緩衝層18bを成膜し、その上にY系超電導体層18cを成膜している。緩衝層18bは、基板18a中の成分が超伝導体中に拡散するのを防ぐために使われるものであるが、Y系線材18ではこの緩衝層18bを配向させることでよりc軸配向したY系超電導体層18cとするこができる。Y系線材18の製法(成膜方法)の一つに、IBAD-PLD法と呼ばれる製法がある。IBAD-PLD法では緩衝層18bの成膜にIBAD法を、Y系超電導体層18cの成膜にPLD法を用いている。
IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法は、基板18a上に緩衝層18bを成膜する際に、基板18aに対して特定の方向よりイオンビームを照射することで、緩衝層18bの結晶を単結晶のように全面にわたってc軸配向させる手法である。
PLD(Pulsed Laser Deposition:レーザー蒸着法)法は、ターゲット(超伝導体の塊)にパルスレーザーを断続的に照射し、その表面を急激に加熱し光化学反応を起こさせることで成分を爆発的に気化させ、飛散した分子をターゲットと対向して配置した基板18aの上に堆積させることによって薄膜を得る手法である。
図1、2に示すように、Y系線材18は輻射シールド4の内部に配置されており、Y系線材18の長手方向(図3でa軸方向と示す)の両端には導線22の一端が接続され、導線22の他端は導線6に接続されている。これにより、図1(a)に示すようにY系線材18は超電導コイル2に並列に接続される。導線22は、例えば、銅線を並列に添わせたY系、Bi系などの超電導線材であり、Y系、Bi系などの超電導線材と銅線とから構成される。
Y系線材18は、高熱伝導電気絶縁シート19を介して銅板20の上に固定されている。高熱伝導電気絶縁シート19としては、窒化アルミニウム製シート、カプトン(登録商標)シートなどが挙げられる。銅板20は、支持構造材23にて巻枠9の上端に固定されている。支持構造材23は、例えば、板材を折り曲げたり、接合したりしたものであり、その材料は、アルミニウム材、ステンレス材などの非磁性材である。また、銅板20は、銅線21にて、輻射シールド4のプレート4bに接続されている。銅線21は、冷凍機3の第1冷却端部12a(第1冷却ステージ)の冷熱を銅板20に伝えるためのものである。これにより、銅板20は約40Kの温度となる。
このように、Y系線材18は、高熱伝導電気絶縁シート19、銅板20、銅線21、およびプレート4bを介して、冷凍機3の第1冷却端部12a(第1冷却ステージ)に熱的に接続されている。なお、Y系線材18の温度は、30K〜60K程度に保持されることが好ましい。Y系線材18の温度が20K以下となると、2T程度の磁場印加では、Y系線材18は常電導転移しないからである。
なお、平板状(換言すれば膜状)に形成された高温超電導体層を有するテープ形状の高温超電導材(スイッチ用高温超電導材)として、本実施形態では、「線材」を例示しているが、必ずしも「線材」である必要はない。また、平板状に形成された高温超電導体層を有するテープ形状の高温超電導材として、平板状(換言すれば膜状)に形成されたBi系超電導体層を有するテープ形状のBi系線材(Bi系超伝導線材)を用いるのも好ましい。
異方性を有するテープ形状のBi系線材の製法を例示しておく。ビスマス系複合酸化物粉末を、例えば、MgやSiを添加したAg合金(Mg、Si添加Ag合金)パイプに詰め、その後、塑性加工してテープ形状とし、これを焼結してBi系線材を得る。焼結プロセスにおいて、Bi系超電導体層は、テープ面に平行に平板状の結晶が成長する。すなわちテープ面に垂直な方向にc軸が向いた“c軸配向”した線材が得られる。
なお、スイッチ用高温超電導材としてテープ形状のBi系線材を使用する場合には、Bi系超電導体層を包み込む(被覆する)形で用いる金属として、上記したMg添加Ag合金またはSi添加Ag合金を用いることが好ましい。前述したY系の場合と対比すると、Bi系線材における被覆金属は、Y系における“基板、緩衝層、安定化層”の3層分の役割を兼ね備えたものである。また、Bi系超電導体層を包み込む形で用いる金属として純Agが用いられている線材の場合には、純Ag被覆を除去した線材を用いることが好ましい。純Ag被覆Bi系線材を、過酸化水素水とアンモニア水の混合液に数分浸漬すると、Bi系超伝導体層の特性を損なうことなく、純Ag被覆だけを除去することができる。
Bi系超電導体層を包み込む形で用いる金属(被覆金属)としてMgやSi添加Ag合金を用いたり、純Ag被覆の場合にはその純Ag被覆を除去することで、Bi系超電導体層が常電導化したときに当該Bi系超電導体層を包み込む金属層の方を低抵抗で電流がバイパスしてしまうことを防止することができる。その結果、Bi系線材を確実に高抵抗(永久電流スイッチ:「OFF」の状態)に切り換えることができる。
また、Y系線材18として、それ自体が電気絶縁被覆されていないものを例示しているが、ポリイミド、ポリエステルなどの電気絶縁用テープで全体が覆われた線材であってもよい。さらには、安定化層が線材の両側に存在する場合や、線材全体を取り囲む場合もある。電気絶縁用テープなどで全体(周囲)が覆われた高温超電導線材を用いる場合は、高熱伝導電気絶縁シート19を省略してもよい。
[磁場印加手段]
一対の永久磁石17は、相互に対向配置された一対の永久磁石であって、Y系線材18に対して、その厚み方向に磁場を印加するための磁場印加手段である。一対の永久磁石17は、後述する切換手段(14、15)のうちの第2駆動手段15に固定されている。第2駆動手段15を構成するプレート15cの上面に一方の永久磁石17aが固定され、第2駆動手段15を構成するプレート15dの下面に他方の永久磁石17bが固定されている。永久磁石17aの下面側は例えばN極とされ、永久磁石17bの上面側は例えばS極とされる。なお、N極とS極とが対向していればよく、すなわち、永久磁石17aの下面側がS極とされ、永久磁石17bの上面側がN極とされていてもよい。一対の永久磁石17は、切換手段(14、15)によってテープ形状のY系線材18をその上下から挟む位置に移動させられることで、Y系線材18に対してその厚み方向に磁場を印加する。一対の永久磁石17は輻射シールド4の内部に配置されている。なお、永久磁石17として例えばNd系の永久磁石を用いることができ、このNd系の永久磁石によれば、温度にもよるが、0.7T以上程度の磁場の印加が可能である。
[切換手段]
切換手段(14、15)は、永久磁石17を水平方向に回転移動させるための第1駆動手段14および第2駆動手段15を具備してなる機械的切換手段である。切換手段(14、15)は非磁性材であるアルミニウム材、ステンレス材などからなる。
第1駆動手段14は、棒状部材14aと棒状部材14aの下部に固定された歯車14bとを有する。棒状部材14aは、その軸方向と鉛直方向とが一致するように、真空容器5のエンドプレート5aに、回転可能に取り付けられている。棒状部材14aの上端部は、外部に突出し、大気(外気)にさらされる。
第2駆動手段15は、棒状部材15aと棒状部材15aの上部に固定された歯車15bとを有する。棒状部材15aは、その軸方向と鉛直方向とが一致するようにかつ歯車15bと歯車14bとが噛み合うように、輻射シールド4のシールド本体4aを構成する上部プレートに、回転可能に取り付けられている。棒状部材15aの下部には、棒状部材15aから延在するように棒状部材15aに対して垂直にプレート15c・15dが固定されている。プレート15cとプレート15dとは、Y系線材18、高熱伝導電気絶縁シート19、銅板20、および支持構造材23を、隙間をあけて挟めるように所定の間隔をあけて配置されている。
第1駆動手段14を手動または自動でその軸まわりに回転させることで、歯車14bに噛み合う第2駆動手段15もその軸まわりに回転する。これにより、一対の永久磁石17は、棒状部材15aを中心にして水平方向に回転移動する。
なお、本実施形態では、一対の永久磁石17を棒状部材15aを中心にして水平方向に回転移動させる機械的切換手段を示したが、回転移動させる向きは水平方向以外の方向、例えば、鉛直方向であってもよい。また、回転移動ではなく、平行移動であってもよい。さらには、Y系線材18まわりに一対の永久磁石17を回転させて、Y系線材18の厚み方向に磁場を印加したりY系線材18に対して平行に磁場を印加したりして、Y系線材18の超電導状態と常電導状態とを切り換えるように構成された機械的切換手段であってもよい。さらには、一対の永久磁石17を移動させるのではなく、Y系線材18を移動させる機械的切換手段であってもよい。すなわち、Y系線材18の厚み方向から一対の永久磁石17でY系線材18を間に挟む位置に一対の永久磁石17を移動させる、およびY系線材18の厚み方向から一対の永久磁石17でY系線材18を間に挟む位置にY系線材18を移動させる、のうちの少なくともいずれかの機能を有する機械的切換手段であればよい。
さらには、本実施形態では、機械的な切換手段(14、15)を用いているが、電気的な切換手段を用いてもよい。この場合、磁場印加手段として例えば電磁石を用い、切換手段は、例えば、電磁石の励磁を制御する制御回路となる。制御回路により、電磁石を励磁することで、Y系線材18の厚み方向に磁場を印加し、電磁石の励磁を停止することで、磁場を非印加とする。
<マグネット励磁>
超電導コイル2を励磁するとき、冷凍機3を動作させて超電導コイル2を冷却し超電導状態とし、励磁電源50を電極ピン8に接続して励磁電源50から超電導コイル2へ電流を導入する。このとき、一対の永久磁石17は、テープ形状のY系線材18をその上下から(その厚み方向から)挟む位置(図1(a))にされている。これにより、Y系線材18の厚み方向(Y系超電導体層18cに対して垂直な方向)に永久磁石17から磁場が印加されている状態となっているので、Y系線材18は常電導状態、すなわち高抵抗状態となっており、励磁電源50からの電流は、Y系線材18(永久電流スイッチ13)に流れず、超電導コイル2へ流れる(永久電流スイッチ:「OFF」の状態)。なお、Y系線材18は冷凍機3により冷却されている。
<永久電流モード>
超電導コイル2の励磁が完了すると、第1駆動手段14を手動または自動でその軸まわりに回転させることで、対向配置された一対の永久磁石17を、例えば90度、水平方向に回転移動させてY系線材18から遠ざける。これにより、Y系線材18は超電導状態(電気抵抗ゼロで電流が流れる状態)となり(永久電流スイッチ:「ON」の状態)、Y系線材18と超電導コイル2とで閉回路が形成され、この状態で励磁電源50からの供給電流を徐々に下げていくと、閉回路には一定電流が流れ続け永久電流モードとなる。供給電流をゼロにした後、励磁電源50と電極ピン8との接続は解除される(励磁電源50は外される)。
<マグネット停止>
永久電流スイッチをONにしたまま、永久電流が流れている状態で励磁電源50を接続し、閉回路に流れている電流値に等しくなるまで励磁電源50からの供給電流を増やしていく。等しくなった段階で、第1駆動手段14を手動または自動でその軸まわりに回転させて、一対の永久磁石17を、Y系線材18をその上下から挟む位置(図1(a))に回転移動させる。これにより、Y系線材18の厚み方向に磁場が印加され、Y系線材18の超電導状態が破れて常電導状態(高抵抗状態)となり、永久電流スイッチはOFFとなる。次に励磁電源50からの通電電流を徐々に下げていく。ゼロアンペアまで下げることでマグネットの発生磁場をゼロにできる。なお、永久電流運転状態のマグネットの磁場を緊急に消失させたいときは、第1駆動手段14を手動または自動でその軸まわりに回転させて、一対の永久磁石17を、Y系線材18をその上下から挟む位置(図1(a))に回転移動させ永久電流スイッチをOFFとしてもよい。超電導コイル2を流れる電流がY系線材18で減衰して電流はゼロとなる。
(作用・効果)
前記したように、平板状に形成された高温超電導体層を有するテープ形状の高温超電導材は、大きな異方性を有する。本発明では、この大きな異方性に着目し、高温超電導材の厚み方向への磁場の印加・非印加を切り換えることで、超電導状態(永久電流スイッチ)の「ON」、「OFF」を行っている。この構成によると、ヒーター(加熱)を用いずとも確実に永久電流スイッチを「ON」、「OFF」することができ、かつヒーター(加熱)を用いないので、超電導コイル2への熱侵入はほとんどない。超電導コイル2への熱侵入がほとんどないので、装置(冷凍機)の冷却能力を低く抑えることができる。すなわち、本発明に係る永久電流スイッチは、冷却能力に限りがある冷凍機を用いた伝導冷却型超電導マグネット装置にも十分適用することができ、本体コイル(超電導コイル2)をクエンチさせることなく安定動作させることができる。
本実施形態では、磁場印加手段として相互に対向配置された一対の永久磁石17を用い、切換手段として、Y系線材18の厚み方向から当該Y系線材18を間に挟む位置に一対の永久磁石17を移動させる機械的切換手段(14、15)を用いている。一方で、前記したように、磁場印加手段として例えば電磁石を用い、切換手段としてその制御回路(電気的切換手段)を用いてもよい。本実施形態のように、一対の永久磁石および上記したような機械的切換手段を用いることで、電磁石および制御回路(電気的切換手段)を用いる場合に比して、超電導コイル2への熱侵入をより抑制することができる。機械的に印加磁場の方向を切り換える場合に発熱は伴わないが、電気的切換手段を必要とする電磁石は、励磁により発熱するからである。
また、巻枠9の上端面から支持をとって、輻射シールド4のシールド本体4aを構成する上部プレートと巻枠9との間に、永久電流スイッチ13の主要部(Y系線材18(高温超電導材)および一対の永久磁石17(磁場印加手段))を配置し、真空容器5のエンドプレート5aから第1駆動手段14の一部を突出させる構造とすることで、切換手段の操作性に優れるとともに輻射シールド4内のスペースを有効に活用できる。また、装置の径方向寸法を増大させずに済む。
また、平板状に形成する高温超電導体層をY系超伝導体層とすることで、磁場の印加有無によって、ゼロ抵抗と高抵抗状態との切り換えを確実に行い得る。Y系超伝導体は、その臨界温度が約90Kであり、かつ異方性が高い。40K程度の温度の場所に配置すると、膜の厚み方向に2T程度の磁場を印加することで常電導化し、且つ高抵抗状態になる。磁場の印加有無によって、ゼロ抵抗と高抵抗の切り換えができる。Bi系超伝導体層の場合もY系の場合と同様である。Bi系超伝導体は臨界温度約110Kであるが、異方性が大きく、40K程度の場所に配置すると、配向した超伝導体の結晶面に垂直な方向に2T程度の磁場を印加することで常電導状態にすることができる。なお、被覆金属材料をMg添加Ag合金またはSi添加Ag合金とするか、被覆金属材料を化学処理して剥離しておくことで常電導化したときの抵抗値を高くできる。すなわち、磁場印加によってゼロ抵抗と高抵抗の切換をより確実に行い得る。
また、永久電流スイッチ13を構成するY系線材18および永久磁石17(磁場印加手段)が輻射シールド4の内部に配置されていることで、Y系線材18の冷却効率が高い。すなわち、装置(冷凍機)の冷却能力を低く抑えることができる。
さらには、前記したように、Y系線材18は、高熱伝導電気絶縁シート19、銅板20、銅線21、およびプレート4bを介して、冷凍機3の第1冷却端部12a(第1冷却ステージ)に熱的に接続されている。本実施形態では、このようにしてY系線材18の冷却効率がより高められており、装置(冷凍機)の冷却能力をより低く抑えることができている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
1:伝導冷却型超電導マグネット装置
2:超電導コイル
3:冷凍機(二段式冷凍機)
4:輻射シールド(冷却容器)
5:真空容器
13:永久電流スイッチ
14:第1駆動手段(切換手段)
15:第2駆動手段(切換手段)
17:永久磁石(磁場印加手段)
18:Y系線材(テープ形状の高温超電導材)
18a:基板
18c:Y系超電導体層(高温超電導体層)
19:超電導マグネット

Claims (6)

  1. 平板状に形成された高温超電導体層を有するテープ形状の高温超電導材と、
    前記高温超電導材に対して、当該高温超電導材の厚み方向に磁場を印加するための磁場印加手段と、
    前記磁場印加手段による前記厚み方向への磁場の印加・非印加を切り換える切換手段と、
    を備えることを特徴とする、永久電流スイッチ。
  2. 請求項1に記載の永久電流スイッチにおいて、
    前記磁場印加手段は、相互に対向配置された一対の永久磁石であり、
    前記切換手段は、前記厚み方向から前記一対の永久磁石で前記高温超電導材を間に挟む位置に当該一対の永久磁石を移動させる、および前記厚み方向から前記一対の永久磁石で前記高温超電導材を間に挟む位置に当該高温超電導材を移動させる、のうちの少なくともいずれかの機械的切換手段であることを特徴とする、永久電流スイッチ。
  3. 請求項1または2に記載の永久電流スイッチにおいて、
    前記高温超電導体層は、Y系超電導体層またはBi系超電導体層であることを特徴とする、永久電流スイッチ。
  4. 超電導コイルを有する超電導マグネットと、
    前記超電導マグネットを収容する冷却容器と、
    前記冷却容器を収容する真空容器と、
    前記真空容器に取り付けられた二段式冷凍機と、
    を備える伝導冷却型超電導マグネット装置において、
    請求項1〜3のいずれかに記載の永久電流スイッチを構成する前記高温超電導材が前記超電導コイルに並列に接続されていることを特徴とする、伝導冷却型超電導マグネット装置。
  5. 請求項4に記載の伝導冷却型超電導マグネット装置において、
    前記永久電流スイッチを構成する前記高温超電導材および前記磁場印加手段が前記冷却容器の内部に配置されていることを特徴とする、伝導冷却型超電導マグネット装置。
  6. 請求項4または5に記載の伝導冷却型超電導マグネット装置において、
    前記永久電流スイッチを構成する前記高温超電導材が、前記二段式冷凍機の第1冷却ステージに熱的に接続されていることを特徴とする、伝導冷却型超電導マグネット装置。
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