JP2014053479A - 超電導体、超電導磁石、超電導磁場発生装置及び核磁気共鳴装置 - Google Patents

超電導体、超電導磁石、超電導磁場発生装置及び核磁気共鳴装置 Download PDF

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Abstract

【課題】超電導体の筒内の空間に均一な磁場を広範囲に発生させることができる超電導体、超電導磁石、超電導磁場発生装置及びこれらを利用した核磁気共鳴装置を提供する。
【解決手段】超電導体1は、外形の軸芯と同軸芯の内側空間部1aを備えた筒形状を有し、内側空間部1aは、軸芯に沿った方向で中央に位置する中央空間部分2aと、軸芯に沿った方向で中央空間部分2aの両側に位置する端空間部分3aとを含んでいる。超電導体1は単一材料からなり、中央空間部分2aの軸芯に垂直な方向の内側寸法は端空間部分3aの軸芯に垂直な方向の内側寸法よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導体、超電導磁石、超電導磁場発生装置及び核磁気共鳴装置に関する。
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)は磁気モーメントを有する原子核を含む物質を磁場の中に置き、これに所定の電磁波を印加したときにおこる共鳴現象である。核磁気共鳴装置は、この現象を利用して物質内部の磁場を測定し、物質の構造の分析、同定を行う装置である。核磁気共鳴装置において、対象物質を載置する空間で必要とされる磁場には、1ppm以下の高い磁場均一性が要求され、通常は超電導マグネットに補正コイルを追加することにより目標の磁場均一性を実現している。
従来、マグネットには金属系超電導線材を用いた超電導コイルが用いられてきたが、高温超電導体が発見されて以降、バルク(塊)状の超電導体を着磁して磁場を捕捉させた超電導バルク磁石を用いて小型の核磁気共鳴用マグネットを実現する研究が進められている。この研究では、補正コイルによる磁場補正が可能となるレベルの均一磁場空間を超電導バルク磁石で実現することが重要な課題のひとつとなっている。
特許文献1においては、円筒形状の高温超伝導体を着磁してその中空部に磁場を発生させ、その磁場内に試料と検出コイルを配置して核磁気共鳴信号を検出する核磁気共鳴装置が開示されている。高温超伝導体の着磁は、超伝導コイルにより発生させた均一な磁場中に高温超伝導体を挿入し、冷凍機により超伝導体を超伝導転移温度以下に冷却して高温超伝導体に磁場を捕捉させることにより行う。磁場の捕捉後には、超伝導コイルによる磁場を消磁する。
特許文献2においては、円筒形状で磁化率の大きい超電導固体の両側に円筒形状で磁化率の小さい超電導固体を同軸で積層して構成した超電導磁場発生素子を用いた超電導磁場発生装置とその着磁方法、核磁気共鳴装置が開示されている。この超電導磁場発生装置においては、超電導固体の磁化率と形状を一定の条件を満たすように設定して積層することにより、超電導磁場発生素子の中央部付近に均一な磁場空間を形成できる。
特許文献3においては、円筒状の超電導体の周囲に補正コイルを配置した超電導磁場発生装置と着磁方法、核磁気共鳴装置が開示されている。この超電導磁場発生装置においては、超電導体に磁場を印加して着磁する際に補正コイルで印加磁場を補正することにより、超電導体の中央部に均一な磁場空間を形成することができる。
特開2002−006021号公報 特開2008−034692号公報 特開2009−156719号公報
特許文献1に開示された核磁気共鳴装置では、着磁により円筒形状の高温超伝導体に捕捉される磁場を利用している。実際は、高温超伝導体だけでは均一な磁場を得ることは難しく、高温超伝導体の円筒内の空間に補正コイルを配置する必要がある。しかし、円筒内の空間は狭いので、均一磁場の実現に必要な大きさ、数の補正コイルを配置することが難しいという問題があった。補正コイルを配置するには、超伝導体の軸方向長さを長くして補正コイルを配置する空間を確保する必要があるが、核磁気共鳴装置のマグネットの小型化に逆行するものであり、コスト的にも不利であった。さらに、円筒内の空間に補正コイルを配置すると、該空間の室温部分(室温ボア)が狭くなり、一度に測定できる試料の量が少なくなって測定時間が長くなるという問題もあった。
特許文献2に開示された超電導磁場発生装置では、着磁した後に磁場分布を補正するのではなく、着磁の時点で超電導固体に如何に均一な磁場を印加して捕捉させるかについて工夫を行っている。しかし、この構成では、異なる磁化率を有する複数種類の超電導固体を準備する必要があり、コストは割高になる。また、バルク磁石用途で現在主流となっているRE−Ba−Cu−O(REは、Yを含む希土類元素である)系超電導体では、比透磁率の小さな材料として、Y−Ba−Cu−O、Sm−Ba−Cu−O、Eu−Ba−Cu−O等があるが、これらのRE−Ba−Cu−O系超電導体では、捕捉磁場性能を決める臨界電流密度が小さい、高い臨界電流密度を得るためには合成時に雰囲気制御が必要で高コスト、原材料の希土類元素が他の希土類元素に比べ高い等の問題があった。それ以外にも、円筒内の空間に別途補正コイルを配置すると、測定試料を配置する空間が狭くなるという問題もあった。
特許文献3に開示された超電導磁場発生装置では、着磁の際に超電導体の磁化による印加磁場の乱れをコイルに通電して発生させた磁場により補正するため、超電導体以外に着磁用の補正コイルが必要である。このため、構造が複雑でコスト的に割高になる、補正コイルの発熱対策に余分な冷却エネルギー(冷凍機の冷凍能力)が必要になる等の問題がある。さらに、着磁後には磁場の均一性をさらに高めるために円筒空間に別の補正コイルが必要となり、測定試料を配置する空間が狭くなるという問題もあった。
上記問題に鑑み、本発明は、超電導体の筒内の空間に均一な磁場を広範囲に発生させることができる超電導体、超電導磁石、超電導磁場発生装置及びこれらを利用した核磁気共鳴装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る超電導体の特徴構成は、外形の軸芯と同軸芯の内側空間部を備えた筒形状を有し、前記内側空間部は、前記軸芯に沿った方向で中央に位置する中央空間部分と、前記軸芯に沿った方向で前記中央空間部分の両側に位置する端空間部分とを含み、前記中央空間部分の前記軸芯に垂直な方向の内側寸法は前記端空間部分の前記軸芯に垂直な方向の内側寸法よりも大きい、単一材料からなる点にある。
このような特徴構成とすれば、着磁の際、超電導体の磁化による印加磁場の乱れを抑制することができ、印加した磁場の分布を中央空間部分にそのまま捕捉することができる。例えば、軸芯方向に沿って一定の勾配をもつ分布の磁場を印加して着磁すれば中央空間部分に印加磁場と同じ一定勾配の磁場分布が忠実に捕捉され、均一な磁場を印加すれば中央空間部分に均一な磁場分布を得ることができる。
本発明に係る超電導体においては、前記外形は円柱形状であり、前記中央空間部分及び前記端空間部分は共に円柱形状であり、前記中央空間部分の前記内側寸法及び前記端空間部分の前記内側寸法は共に前記円柱形状の内径であり、2つの前記端空間部分の内径は等しいと好適である。
このような構成とすれば、外形及び内側空間部がいずれも円柱形状であるので、複雑な加工をすることなく、所望の超電導体を得ることができる。
本発明に係る超電導体においては、前記中央空間部分は前記軸芯に沿う長さが内径以上であると好適である。
中央空間部分の軸芯に沿う長さが内径以上である方が、均一磁場の領域を拡大することができる。
本発明に係る超電導体においては、前記内側空間部は、前記中央空間部分の前記軸芯に交差する第1面及び第2面と2つの前記端空間部分の前記軸芯の方向に沿う側面とが交わる第1角部と、前記第1面及び前記第2面と前記中央空間部分の前記軸芯の方向に沿う側面とが交わる第2角部を有し、前記第1角部及び前記第2角部の少なくとも一方の角部に面取りが施されていると好適である。
このような構成とすれば、着磁の際の応力集中による超電導体の割れを防止することができる。
本発明に係る超電導体においては、前記端空間部分及び前記軸芯に垂直な方向で前記端空間部分の外側にある端中実部分を含む端部分と、前記中央空間部分及び前記軸芯に垂直な方向で前記中央空間部分の外側にある中央中実部分を含む中央部分とを前記軸芯の方向に沿って積層して構成されていると好適である。
このような構成とすれば、内径が異なる2種類の円筒形状の超電導体を同軸芯で積層して構成されているので、複雑な加工をすることなく中央空間部分を形成することができる。また、内径の異なる超電導体を積層することで、着磁による応力分布の不均一性が小さくなり、超電導体の割れを防止することができる。
本発明に係る超電導体においては、前記外形の直径をD、前記軸芯の方向に沿う長さをHとし、前記中央空間部分の内径をd、前記軸芯の方向に沿う長さをhとしたときに、(h/d)/(H/D)≧0.5の関係を満たすと好適である。
このような構成とすれば、中央空間部分に均一な磁場空間を得ることができる。
本発明に係る超電導体においては、前記外形の直径をD、前記軸芯の方向に沿う長さをHとし、前記中央空間部分の内径をd、前記軸芯の方向に沿う長さをhとしたときに、(h/d)/(H/D)≧0.75の関係を満たすと好適である。
このような構成とすれば、中央空間部分により広く均一な磁場空間を得ることができる。
本発明に係る超電導磁石の特徴構成は、上記超電導体を前記軸芯の方向に沿って着磁する点にある。
このような特徴構成とすれば、超電導体を磁化する際に印加磁場の分布を乱すことなくそのままの分布で磁場を捕捉できる超電導磁石を実現することができる。例えば、勾配のある磁場で着磁すれば中央空間部分に同じ勾配の磁場分布が得られ、均一な磁場で着磁すれば中央空間部分に広範囲に均一な磁場分布が得られる。
本発明に係る超電導磁場発生装置の特徴構成は、上記超電導体と、前記超電導体を冷却する冷却部と、前記超電導体を収容する収容部とを備えた点にある。
このような特徴構成とすれば、超電導体を磁化する際に印加磁場の分布を乱すことなくそのままの分布で磁場を捕捉できる超電導磁石を実現することができる。例えば、勾配のある磁場で着磁すれば中央空間部分に同じ勾配の磁場分布が得られ、均一な磁場で着磁すれば中央空間部分に広範囲に均一な磁場分布が得られる。冷却装置としては、GM(Gifford-McMahon)冷凍機、スターリング冷凍機、パルス管冷凍機等の蓄冷型冷凍機を用いることができる。核磁気共鳴用のマグネットを冷却するために用いる場合は、振動の少ないパルス管冷凍機が好ましい。
本発明に係る超電導磁場発生装置においては、補正コイルをさらに備え、前記補正コイルは、前記軸芯の方向に沿って見たときに前記中央空間部分のうち前記端空間部分と重なっていない部分に配置されていると好適である。
このような構成とすれば、補正コイルに通電することにより、着磁の際に超電導体に捕捉される磁場分布を補正したり、着磁後に超電導体が発生する磁場の分布を補正したりすることができる。すなわち、分布に勾配のある磁場で着磁した場合には着磁後に中央空間部分に発生する磁場の勾配を調整できるし、均一な分布の磁場で着磁した場合には中央空間部分に発生する磁場の均一性をさらに高めることができる。また、軸芯方向に沿って見たときに中央空間部分のうち端空間部分と重なっていない部分に補正コイルを配置しているので、内側空間部の軸芯方向全体に亘って端空間部分に相当する空間を測定試料配置のための空間として確保することができる。
本発明に係る核磁気共鳴装置の特徴構成は、上記超電導磁場発生装置を構成部品として備える点にある。
このような特徴構成とすれば、均一な磁場を広範囲に発生し、広い試料空間(室温ボア)もつコンパクトな核磁気共鳴装置を得ることができる。
第1実施形態に係る超電導体の形状を表す縦断面図である。 第2実施形態に係る超電導体の形状を表す縦断面図である。 第3実施形態に係る超電導体の形状を表す縦断面図である。 第4実施形態に係る超電導体の形状を表す縦断面図である。 第5実施形態に係る超電導体の形状を表す縦断面図である。 第6実施形態に係る超電導体の形状を表す縦断面図である。 第1実施形態に係る超電導体を用いた超電導磁場発生装置の概略構造を表す縦断面図である。 超電導磁場発生装置の変形例1の概略構造を表す縦断面図である。 超電導磁場発生装置の変形例2の概略構造を表す縦断面図である。 超電導磁場発生装置の変形例3の概略構造を表す縦断面図である。 第1実施形態に係る超電導体を用いた核磁気共鳴装置の概略構成を表す構成図である。 従来の超電導体の形状を表す縦断面図である。 従来の超電導体を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果である。 実施例1に係る超電導体を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果である。 実施例2に係る超電導体を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果である。 実施例3に係る超電導体を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果である。 実施形態1に係る超電導体を用いて中央空間部分の内径を変化させたときに、均一磁場が得られる中央空間部分の高さを磁場解析により求めたときの解析結果である。
1.第1実施形態に係る超電導体及び超電導磁石
〔超電導体〕
以下、本発明に係る超電導体の第1実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1に、本実施形態に係る超電導体1の形状を表す縦断面図を示す。超電導体1の外形は円柱形状で、その中央に同軸芯で円柱形状の貫通孔が開口され、内側空間部1aが形成されている。
内側空間部1aは、中央に配置され内径の大きい中央空間部分2aと、中央空間部分2aの軸芯方向で両側に配置され内径の小さい端空間部分3aとが連通している。中央空間部分2aの内径及び端空間部分3aの内径は、共に特許請求の範囲に記載された内側寸法に相当する。中央空間部分2aの軸芯に交差する2つの面を第1面2b及び第2面2eと称し、軸芯方向に沿う面を側面2cと称する。端空間部分3aの軸芯方向に沿う面を側面3cと称する。中央空間部分2aと端空間部分3aの境界であって、第1面2b及び第2面2eと側面3cとが交わる2箇所の角部を第1角部4と称する。中央空間部分2aにおいて、第1面2b及び第2面2eと側面2cとが交わる2箇所の角部を第2角部5と称する。中央空間部分2aの径方向外側の中実部分を中央中実部分2dと称し、端空間部分3aの径方向外側の中実部分を端中実部分3dと称する。このように、中央空間部分2aの内径が端空間部分3aの内径より大きくなっているので、中央空間部分2aの軸方向に亘って端空間部分3aの内径を維持したまま中央空間部分2aに補正コイル18を配置することができる。補正コイル18についての詳細は後述する。
超電導体1は、中央空間部分2aと中央中実部分2dからなる中央部分2と、端空間部分3aと端中実部分3dからなる端部分3とを積層して構成されている。このように、超電導体1を積層によって形成することにより、超電導体1を一体で形成したときに複雑な加工で端部より内径の大きい中央空間部分2aを形成する必要がなく、内径の異なる2種類の円筒形状の超電導体を形成するだけでよいので、安価に超電導体1を得ることができる。
超電導体1は、酸化物超電導体であり、その主成分がRE−Ba−Cu−O(REは、Y,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Er,Yb,Dy,Hoのうちの一種以上)で表される組成を有する。超電導体1は、溶融法により製造される。溶融法とは、超電導体1の原材料を固めた成形体を部分溶融状態に加熱し、種結晶を使用して徐冷凝固させ、結晶方位が配向した超電導体1を製造する方法である。溶融法によって製造された超電導体1は、強いピン止め効果を持ち高い臨界電流密度Jcを示し、大きな磁場を捕捉可能である。
超電導体1の比透磁率μrは1.0001以上である。一般には、比透磁率μrが小さいほど磁場Bの均一性が高くなり且つ均一磁場空間も広くなる。しかし、中央空間部分2aの内径を端空間部分3aの内径より大きくすれば、超電導体1の比透磁率μrが1.0001以上であっても磁場Bの均一性が高くなり且つ均一磁場空間も広がる。比透磁率μrが大きいほど中央空間部分2aの内径を端空間部分3aの内径より大きくした効果が顕著に現れるので、超電導体1の比透磁率μrが1.001以上であってもよい。
〔超電導磁石〕
溶融法で製造した超電導体1は、磁場中で冷却されたり低温状態で磁場を印加されたりすると、ピン止め効果により磁場を捕捉して超電導磁石として機能する。着磁方法としては、例えば、磁場中冷却(FC:Field Cooling)法がある。FC法は、磁場を印加したまま超電導体1を超電導転移温度以下まで冷却し、その後、超電導体1を冷却したまま印加磁場をゼロにして着磁する方法である。これにより、超電導体1は磁場を捕捉して着磁され、超電導磁石となる。このとき、超電導体1の中央中実部分2dと端中実部分3dの外周に近い領域(破線よりも外周側の灰色の領域)に外周に沿って超電導電流が誘起される。図1では、軸芯の右側では紙面手前から奥に向かって超電導電流が流れ、軸芯の左側では紙面奥から手前に向かって超電導電流が流れる。また、超電導電流により、内側空間部1aには図1の下から上に向かって軸芯方向に沿って磁場Bが発生する。
中央空間部分2aを有する超電導体1に磁場を軸芯方向に沿って印加すると、超電導体1を磁化する際に印加磁場の分布を乱すことなくそのままの分布で磁場を捕捉できる超電導磁石を実現することができる。例えば、軸芯方向に沿って一定の勾配をもつ分布の磁場を印加して着磁すれば中央空間部分2aに印加磁場と同じ一定勾配の磁場分布が忠実に捕捉され、均一な磁場を印加すれば中央空間部分2aに均一な磁場分布を得ることができる。
2.その他の実施形態に係る超電導体
図2に、第2実施形態に係る超電導体1の形状を表す縦断面図を示す。本実施形態に係る超電導体1は、中央空間部分2aの第1面2b及び第2面2eと側面2cが交差する第2角部5に面取りCが施されている点が第1実施形態と異なり、その他の点については第1実施形態と同様である。このような構成とすれば、着磁の際の応力集中による超電導体1の割れを防止することができる。なお、面取りCとは、角部においてC面取り及びこれに準ずる角部の角度を抑制する構造を含むものとする。
図3に、第3実施形態に係る超電導体1の形状を表す縦断面図を示す。本実施形態に係る超電導体1は、中央空間部分2aの第1面2b及び第2面2eと側面2cが交差する第2角部5に面取りRが施されている点が第1実施形態と異なり、その他の点については第1実施形態と同様である。このような構成とすれば、着磁の際の応力集中による超電導体1の割れを防止することができる。なお、面取りRとは、角部においてR面取り及びこれに準ずる角部の角度を抑制する構造を含むものとする。
図4に、第4実施形態に係る超電導体1の形状を表す縦断面図を示す。本実施形態に係る超電導体1は、中央空間部分2aと端空間部分3aが交差する第1角部4に面取りCが施されている点が第1実施形態と異なり、その他の点については第1実施形態と同様である。このような構成とすれば、着磁の際の応力集中による超電導体1の割れを防止することができる。
図5に、第5実施形態に係る超電導体1の形状を表す縦断面図を示す。本実施形態に係る超電導体1は、第1角部4と第2角部5の両方に面取りCが施されている点が第1実施形態と異なり、その他の点については第1実施形態と同様である。このような構成とすれば、着磁の際の応力集中による超電導体1の割れを防止することができる。
図6に、第6実施形態に係る超電導体1の形状を表す縦断面図を示す。本実施形態に係る超電導体1は、第1角部4と第2角部5の両方に面取りRが施されている点が第1実施形態と異なり、その他の点については第1実施形態と同様である。このような構成とすれば、着磁の際の応力集中による超電導体1の割れを防止することができる。
第1角部4と第2角部5における面取りCと面取りRの形成は、上記の実施形態に限られるものではない。例えば第1角部4に面取りCを施し第2角部5に面取りRを施すなど、可能な限り自由に組み合わせることができる。
なお、上記の実施形態においては、中央空間部分2aは単一内径の円柱形状であったが、これに限られるものではない。例えば、中央空間部分2aをその内径が多段になるように構成してもよい。例えば、2段階の内径を有する円柱で中央空間部分2aを構成するときは、内径の最も大きい円柱を中央に配置し、軸芯方向上下にそれより内径が小さくかつ端空間部分3aの内径より大きい内径を有する円柱を配置するのがよい。
3.超電導磁場発生装置
〔基本構造〕
図7に第1実施形態に係る超電導体1を用いた超電導磁場発生装置10の概略構造を表す縦断面図を示す。超電導磁場発生装置10は、超電導体1と、超電導体1を覆う試料ホルダ11と、冷却装置12(冷却部の一例)と、コールドヘッド13と、真空断熱容器14(収容部の一例)を備えている。
超電導体1は、2個の端部分3の間に2個の中央部分2が積層されて構成されている。試料ホルダ11は、有底筒状を有しており、底部の中央には開口があり、その内径は端空間部分3aの内径に等しい。試料ホルダ11の内部空間は超電導体1が隙間なく挿入可能な内径と深さを有している。試料ホルダ11はアルミ等の磁化率の小さい金属材料でできている。
冷却装置12は超電導体1を超電導転移温度以下に冷却する装置で、その上部にコールドヘッド13が繋がっている。冷却装置12によりコールドヘッド13が冷却される。コールドヘッド13の上部は平坦になっており、そこに試料ホルダ11に挿入された超電導体1を載置することにより、超電導体1は冷却される。
真空断熱容器14は、その内部空間に、超電導体1・試料ホルダ11・コールドヘッド13を収容している。真空断熱容器14の上面は開口を有している。該開口は蓋部16により密閉されている。蓋部16の中央からは、真空断熱容器14の内部に向かい且つ内側空間部1aに嵌入するように有底の筒状容器15が延在している。筒状容器15の蓋部16側は開口しており、真空断熱容器14の外部の大気と連通することにより、筒状容器15の内部には大気の室温空間である室温ボア15aが形成されている。筒状容器15,蓋部16は一体的に且つ真空断熱容器14と同じ材質で形成されている。試料は、筒状容器15の開口から内部に投入されて保持される。このため、超電導体1の内側空間部1aにおける磁場Bはできるだけ均一であることが望ましい。真空断熱容器14の開口端は冷却装置12に密接している。その結果、内部空間は断熱且つ高真空に維持されている。
超電導磁場発生装置10は、冷却装置12からコールドヘッド13や試料ホルダ11を介して超電導体1を超電導転移温度以下に冷却した状態で、不図示の外部磁場印加装置から印加される外部磁場により超電導体1を着磁する。超電導体1が外部磁場を捕捉した後、外部磁場を取り除いて、内側空間部1aに超電導磁場Bを発生させる。超電導体1を均一な磁場で着磁することにより、室温ボア15aに均一な磁場空間が形成される。
超電導磁場Bを発生させるために超電導体1を用いるので、超電導体1の磁化で印加磁場の分布を乱すことなくそのままの分布で磁場を捕捉できる超電導磁場発生装置10を実現することができる。例えば、勾配のある磁場で着磁すれば中央空間部分2aに同じ勾配の磁場空間が得られ、均一な磁場で着磁すれば、中央空間部分2aに広範囲に均一な磁場空間が得られる。冷却装置12としては、GM(Gifford-McMahon)冷凍機、スターリング冷凍機、パルス管冷凍機等の蓄冷型冷凍機を用いることができる。核磁気共鳴用のマグネットとして用いる場合には、振動の少ないパルス管冷凍機が好ましい。
〔変形例1〕
図8に、超電導磁場発生装置10の変形例1の概略構造を表す縦断面図である。本変形例に係る超電導磁場発生装置10は、中央空間部分2aの内、端空間部分3aの内径より大きい部分に断熱材17に囲まれた補正コイル18を配置した点が基本構造と異なり、その他の点については基本構造と同様である。補正コイル18が追加されているので、超電導体1への着磁の際に補正コイル18に通電することにより、超電導体1に捕捉される磁場分布を補正したり、着磁後に超電導体1が発生する磁場Bの分布を補正したりすることができる。例えば、分布に勾配のある磁場で着磁した場合には着磁後に中央空間部分2aに発生する磁場Bの勾配を調整でき、均一な分布の磁場で着磁した場合には中央空間部分2aに発生する磁場Bの均一性をさらに高めることができる。
補正コイル18が中央空間部分2aの内、端空間部分3aの内径より大きい部分に配置されるので、補正コイル18がない基本構造と同じ室温ボア15aの内径を確保したまま磁場Bの補正が可能となる。また、補正コイル18が断熱材17を介して超電導体1の中央空間部分2aに保持されるので、補正コイル18への通電による発熱によって、超電導体1の温度が上昇して超電導体1に捕捉された磁場Bの分布が変化してしまうことがない。
〔変形例2〕
図9に、超電導磁場発生装置10の変形例2の概略構造を表す縦断面図である。本変形例に係る超電導磁場発生装置10は、中央空間部分2aの内、端空間部分3aの内径より大きい部分に超電導線でできた補正コイル18を配置した点が基本構造と異なり、その他の点については基本構造と同様である。
補正コイル18は、コールドヘッド13から内側空間部1aと筒状容器15の間の空間に向けて延在した円筒状の伝熱材19の先端に取り付けられている。超電導体1が着磁のために超電導転移温度以下に冷却されると、コールドヘッド13から伝熱材19を通じて補正コイル18も超電導転移温度以下に冷却されるので電気抵抗がゼロになり通電による発熱がなくなる。従って、超電導体1の温度が上昇して超電導体1に捕捉された磁場Bの分布が変化してしまうことがない。
〔変形例3〕
図10に、超電導磁場発生装置10の変形例3の概略構造を表す縦断面図である。本変形例に係る超電導磁場発生装置10は、中央空間部分2aの内、端空間部分3aの内径より大きい部分に伝熱材19に囲まれた補正コイル18を配置した点が基本構造と異なり、その他の点については基本構造と同様である。補正コイル18は、超電導線により形成されている。
超電導体1が着磁のために超電導転移温度以下に冷却されると、超電導体1から伝熱材19を通じて補正コイル18も超電導転移温度以下に冷却されるので電気抵抗がゼロになり通電による発熱がなくなる。従って、超電導体1の温度が上昇して超電導体1に捕捉された磁場Bの分布が変化してしまうことがない。
4.核磁気共鳴装置
図11に、第1実施形態に係る超電導体1を用いた核磁気共鳴装置100の概略構成を表す構成図を示す。核磁気共鳴装置100は、超電導磁場発生装置10と分析手段130とを備えている。超電導磁場発生装置10の冷却装置12は圧縮機120に接続されており、真空断熱容器14は真空ポンプ140に接続されている。破線で示すMは印加時のみ使用する超電導マグネット(外部磁場印加装置)である。また、分析手段130は、高周波発生装置131、パルスプログラマ(送信器)132、高周波増幅器133、プリアンプ(信号増幅器)134、位相検波器(受信器)135、アナログデジタル変換器136、コンピュータ137、検出コイル138などからなる。
このように、核磁気共鳴装置100は補正可能な均一磁場Bを発生する超電導磁場発生装置10を備えているので、均一な磁場Bを広範囲に発生し、広い室温ボア15aを有するコンパクトな核磁気共鳴装置100を得ることができる。
5.超電導体を用いて超電導磁場を発生させたときの内側空間部の磁場分布
〔実施例1〕
次に、第1実施形態に係る超電導体1を用いて超電導磁場を発生させたときの内側空間部1aの磁場分布を実施例1として説明する。超電導体1の磁場分布について説明する前に、従来の超電導体1Aの磁場分布について説明する。図12に、従来の超電導体1Aの形状を表す縦断面図を示す。超電導体1Aは中央部分2を有しておらず、軸芯方向に沿って内径が一定な円筒形状である。すなわち、内側空間部1aは、端空間部分3aの内径と同じ大きさの内径のみで構成されている。
超電導体1Aの外径D1は60mm、内径D2は28mm、高さHは120mm、臨界電流密度Jcは6×108A/m2、比透磁率μrは1.01である。着磁磁場は5Tの均一磁場である。臨界電流密度Jcと比透磁率μrは、40Kに冷却したGd−Ba−Cu−O系超電導体を想定している。主要なRE−Ba−Cu−O系超電導体としては、Y−Ba−Cu−O(μr≒1.0001)、Sm−Ba−Cu−O(μr≒1.0003)、Eu−Ba−Cu−O(μr≒1.001)、Gd−Ba−Cu−O(μr≒1.01)があるが、Y−Ba−Cu−O、Sm−Ba−Cu−O、Eu−Ba−Cu−Oは、発明が解決しようとする課題で述べたように、捕捉磁場性能を決める臨界電流密度Jcが小さい、高い臨界電流密度Jcを得るためには合成時に雰囲気制御が必要で高コスト、原材料の希土類元素が他の希土類元素に比べ高い等の問題点がある。Gd−Ba−Cu−Oは比透磁率μrが大きいが、超電導特性に優れ、比較的安価な超電導体である。
図13に、超電導体1Aを用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を、有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果を示す。超電導体1Aの軸芯をz軸、高さHの中点の半径方向をr軸とし、z軸とr軸との交点、すなわち内側空間部1aの中心を原点として(r,z)=(0,0)と定義した。図13〜図16では、内側空間部1aで発生する磁場Bの分布を、(r,z)=(0,0)での印加磁場B0=5Tからのずれの割合△B/B0(ppm)のマップで示した。図13〜図16における表示範囲は、r=0〜13mm、z=−18〜18mmである。実際の磁場分布は、図13〜図16のそれぞれと、図13〜図16のそれぞれをz軸に線対称に反転表示させた図とを合成したものである。
図13に示すように、磁場分布は、直径約4.7mm×高さ2.2mmの円柱内(内側の破線L1で囲まれた領域内)が磁場均一性±1ppmエリア、直径7.7mm×高さ4.5mmの円柱内(外側の破線L2で囲まれた領域内)が磁場均一性±3ppmエリアとなっており、均一な磁場Bで着磁しても、超電導体1Aが磁化されたことにより印加磁場が乱されるため、磁場Bの均一領域が狭いことがわかる。核磁気共鳴装置100において試料を精度よく測定するためには、磁場Bの均一性が±1ppm以内であることが必要であり、一度に測定する試料の量を増やすためには、±1ppmエリアが広い方が望ましい。
図14に、実施例1に係る超電導体1を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を、有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果を示す。実施例1に係る超電導体1の外径D1は60mm、端空間部分3aの内径D2は28mm、中央空間部分2aの内径dは36mm、高さHは120mm、中央空間部分2aの高さhは44mm、臨界電流密度Jcは6×108A/m2、比透磁率μrは1.01である。着磁磁場は5Tの均一磁場である。臨界電流密度Jcと比透磁率μrは、40Kに冷却したGd−Ba−Cu−O系超電導体を想定している。すなわち、中央空間部分2aのd,h以外の条件は、超電導体1Aと同じである。
図14に示すように、磁場分布は、直径約11.3mm×高さ7.5mmの回転楕円体内(内側の破線L1で囲まれた領域内)が磁場均一性±1ppmエリア、直径14.8mm×高さ10.0mmの回転楕円体内(外側の破線L2で囲まれた領域内)が磁場均一性±3ppmエリアとなっている。超電導体1Aの磁場分布と比べると、超電導体1の±1ppmエリアは径方向で約2.4倍、軸方向で約3.4倍に広がっていることがわかる。
このように、内側空間部1aのうち中央空間部分2aの内径を大きくすることにより、超電導体1が磁化されることによる印加磁場の乱れが抑制され、磁場Bの均一領域が拡大したことがわかる。たとえ、比透磁率μrが大きなGd−Ba−Cu−O系超電導体を用いても、超電導体1の内側空間部1aの広範囲に均一な磁場Bを発生させることができる。
〔実施例2〕
図15に、実施例2に係る超電導体1を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を、有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果を示す。実施例2に係る超電導体1は、実施例1に対し中央空間部分2aの高さhを74mmにしたものであり、それ以外の条件は実施例1と同じである。
図15に示すように、磁場分布は、直径約31.5mm×高さ17.1mmの円柱内(破線L1で囲まれた領域内)が磁場均一性±1ppmエリアとなっている。実施例1に係る超電導体1の磁場分布と比べると、±1ppmエリアは径方向で約2.8倍、軸方向で約2.3倍に広がっていることがわかる。従来の超電導体1Aに対しては、径方向で約6.7倍、軸方向で約7.8倍に広がっている。これより、中央空間部分2aの高さが高い方が、均一磁場の領域が拡大することがわかる。
〔実施例3〕
図16に、実施例3に係る超電導体1を用いて超電導磁場を発生させたときの磁場分布を、有限要素法による磁場解析により求めたときの解析結果を示す。実施例3に係る超電導体1は図2に示す形状を有しており、中央空間部分2aの第1面2b及び第2面2eと側面2cが交差する第2角部5に3mmの面取りCが施されている点が実施例2と異なる。それ以外の条件は実施例2と同じである。
図16に示すように、磁場分布は、直径約32.2mm×高さ18.0mmの円柱内(破線L1で囲まれた領域内)が磁場均一性±1ppmエリアとなっている。これは、面取りCのない実施例2に係る超電導体1の磁場分布とほぼ同等の磁場均一性が得られることがわかる。
面取りCの代わりに図3に示すような面取りRを形成したときにも実施例3と同等の磁場均一性が得られる。
6.均一磁場を得るための、中央空間部分の内径と高さとの関係
図17に、外径D1と高さHを実施例1,2と同じ(D1を60mm,Hを120mm)にし、端空間部分3aの内径D2を24mmと28mmに設定した2種類の超電導体1において、それぞれの超電導体1で中央空間部分2aの内径dを変化させたときに、±1ppm以内の均一磁場が得られる中央空間部分2aの高さhを磁場解析により求めた結果を示す。図17のグラフにおいて、横軸はr=d/2、縦軸はz=h/2としている。他の条件は、実施例1,2と同じである。
図17におけるr=12mmでz軸に平行な破線及びr=14mmでz軸に平行な実線は、2種類の内径D2の位置を表す。また、(r,z)=(12,56)からr軸に平行に始まる階段状の破線はD2が24mmの場合の超電導電流が流れる境界を表し、(r,z)=(14,54)からr軸に平行に始まる階段状の実線はD2が28mmの場合の超電導電流が流れる境界を表す。これは、図1〜図4において破線で示される、超電導電流が誘起される境界に相当する。
磁場解析の結果、D2=24mm,D2=28mmのいずれの超電導体1においても、中央空間部分2aの内径dを変化させたときに均一磁場が得られる中央空間部分2aの高さhは、D2が28mmの超電導体1においてdが32mm(r=16)となる場合を除いて2箇所あることがわかった。D2が28mmの超電導体1のdが32mm(r=16)の場合は、均一磁場が得られる中央空間部分2aの高さhは1箇所(hは50mm(z=25))である。高さhのうち、高い方の長さをh1とし、低い方の長さh2と称する。図17では、D2が24mmのときのh1を白丸、h2を白三角でプロットし、D2が28mmのときのh1を黒丸、h2を黒三角でプロットし、それぞれを実線で結んでいる。これより、h1の方がh2より均一磁場空間が広くなることがわかった。また、D2が24mm,28mmのいずれの場合でも、中央空間部分2aの内径dが大きくなるとh1は大きくなるが、h2はほとんど変化しないことがわかった。さらに、h1同士,h2同士で比較すると、D2が24mmから28mmに大きくなると、h1は小さくなり、h2は大きくなることがわかった。
図17に示すように、2点鎖線で(h/d)/(H/D1)=0.5,0.75,1.0の3本の直線を引いたときに、h1は、おおよそ(h/d)/(H/D1)≧0.75の範囲にあり、h2は、おおよそ0.5≦(h/d)/(H/D1)≦0.75の範囲にあることがわかった。
中央空間部分2aの内径dと高さhの上限は、超電導電流が流れる領域の境界までで、それ以上になると超電導電流領域が削られるため、磁場Bの均一性が悪くなる。また、超電導体1の外径D1に対して高さHが小さくなる、端空間部分3aの内径D2が大きくなる、又は臨界電流密度Jcが小さくなると、比透磁率μrの大小に関係なく、着磁後の発生磁場分布が印加磁場分布からずれるようになる。従って、(Jc×H)/(D1×D2)が大きいほど好ましい。
本発明は、超電導体、超電導磁石、超電導磁場発生装置及び核磁気共鳴装置に用いることが可能である。
1 超電導体
1A 超電導体
1a 内側空間部
2 中央部分
2a 中央空間部分
2d 中央中実部分
3 端部分
3a 端空間部分
3d 端中実部分
10 超電導磁場発生装置
12 冷却装置(冷却部)
14 真空断熱容器(収容部)
18 補正コイル
100 核磁気共鳴装置

Claims (11)

  1. 外形の軸芯と同軸芯の内側空間部を備えた筒形状を有し、
    前記内側空間部は、前記軸芯に沿った方向で中央に位置する中央空間部分と、前記軸芯に沿った方向で前記中央空間部分の両側に位置する端空間部分とを含み、
    前記中央空間部分の前記軸芯に垂直な方向の内側寸法は前記端空間部分の前記軸芯に垂直な方向の内側寸法よりも大きい、単一材料からなる超電導体。
  2. 前記外形は円柱形状であり、
    前記中央空間部分及び前記端空間部分は共に円柱形状であり、
    前記中央空間部分の前記内側寸法及び前記端空間部分の前記内側寸法は共に前記円柱形状の内径であり、
    2つの前記端空間部分の内径は等しいことを特徴とする請求項1に記載の超電導体。
  3. 前記中央空間部分は、前記軸芯に沿う長さが内径以上である請求項2に記載の超電導体。
  4. 前記内側空間部は、前記中央空間部分の前記軸芯に交差する第1面及び第2面と2つの前記端空間部分の前記軸芯の方向に沿う側面とが交わる第1角部と、前記第1面及び前記第2面と前記中央空間部分の前記軸芯の方向に沿う側面とが交わる第2角部を有し、前記第1角部及び前記第2角部の少なくとも一方の角部に面取りが施されている請求項2又は3に記載の超電導体。
  5. 前記端空間部分及び前記軸芯に垂直な方向で前記端空間部分の外側にある端中実部分を含む端部分と、前記中央空間部分及び前記軸芯に垂直な方向で前記中央空間部分の外側にある中央中実部分を含む中央部分とを前記軸芯の方向に沿って積層して構成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超電導体。
  6. 前記外形の直径をD、前記軸芯の方向に沿う長さをHとし、前記中央空間部分の内径をd、前記軸芯の方向に沿う長さをhとしたときに、
    (h/d)/(H/D)≧0.5
    の関係を満たす請求項2乃至5のいずれか一項に記載の超電導体。
  7. 前記外形の直径をD、前記軸芯の方向に沿う長さをHとし、前記中央空間部分の内径をd、前記軸芯の方向に沿う長さをhとしたときに、
    (h/d)/(H/D)≧0.75
    の関係を満たす請求項2乃至5のいずれか一項に記載の超電導体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超電導体を前記軸芯の方向に沿って着磁してなる超電導磁石。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超電導体と、
    前記超電導体を冷却する冷却部と、
    前記超電導体を収容する収容部と、を備えた超電導磁場発生装置。
  10. 補正コイルをさらに備え、
    前記補正コイルは、前記軸芯の方向に沿って見たときに前記中央空間部分のうち前記端空間部分と重なっていない部分に配置されている請求項9に記載の超電導磁場発生装置。
  11. 請求項9又は10に記載の超電導磁場発生装置を構成部品として備える核磁気共鳴装置。
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