JP2020129685A - バルクマグネット構造体、これを用いたnmr用マグネットシステム、およびバルクマグネット構造体の着磁方法 - Google Patents

バルクマグネット構造体、これを用いたnmr用マグネットシステム、およびバルクマグネット構造体の着磁方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不均一な印加磁場によりバルクマグネット構造体に対して均一性の高い磁場を着磁する。【解決手段】少なくとも1つのリング状酸化物超電導バルク体を有し、かつ、リング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体を積層して構成され、当該バルクマグネット構造体の外周面を覆う少なくとも1つの外周補強リングが嵌合されたバルクマグネット構造体を、温度制御装置により超電導状態を維持した状態で、バルクマグネット構造体への印加磁場の強度を減じる基本着磁工程を含み、基本着磁工程の後、バルクマグネット構造体の軸方向における少なくとも一部の領域の磁場分布が着磁前の印加磁場分布よりも均一となる磁場均一化領域となるように温度制御装置または磁場発生装置のうち少なくともいずれか一方を制御して、バルクマグネット構造体を着磁する。【選択図】図3B

Description

本発明は、バルクマグネット構造体およびその着磁方法に関し、より詳細には、不均一な静磁場を用いて着磁し、より均一な磁場を得るバルクマグネット構造体、これを用いたNMR用マグネットシステム、およびバルクマグネット構造体の着磁方法に関する。
単結晶状のREBaCu7−x(REは、希土類元素)相中にREBaCuO相が分散した酸化物超電導バルク体(所謂QMG(登録商標)バルク体)は、高い臨界電流密度(以下、「J」と示すこともある。)を有するために、磁場中の冷却やパルス着磁により励磁され、強力な磁場を発生できる超電導バルクマグネットとして使用可能である。
強磁場を必要とする応用分野として、例えばNMR(Nuclear Magnetic Resonance)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)がある。いずれに使用される超電導バルクマグネットにも数Tの強磁場とppmオーダーの高い均一性とが必要とされる。
酸化物超電導バルク体を用いたNMR応用に関しては、例えば特許文献1〜6および非特許文献1、2に記載された小型(例えば卓上)NMRへの応用が挙げられる。これらの小型NMR応用の基本的な技術思想は、次のようなものである。着磁用マグネットとして使用される従来のNMR用超電導マグネットは、超電導線材を使用し、比較的大型であり、ppmオーダーの高均一性を有し、かつ、高強度の磁場を発生することができる。従来のNMR用超電導マグネットの室温ボアの内部には複数個のリング状酸化物超電導バルク体が積層されてなるバルクマグネット構造体が配置される。このバルクマグネット構造体を高均一磁場中で超電導状態に冷却し、印加磁場を取り除くことにより、従来のNMR用超電導マグネットにより発生した均一磁場がバルクマグネット構造体に複写(コピー)される。
このような小型NMRへの応用では、通常、ワイドボア(室温ボア径89mm)のNMR用超電導マグネットが用いられる。これに合わせて、外径60mm程度、内径30mm程度のリング状酸化物超電導バルク体が組み合わせられて使用される。このときの着磁温度は、40K程度とかなり低温で、十分に高い臨界電流密度(Jc)が得られる条件で着磁が行われている。これは、リング状酸化物超電導バルク体の断面内の超電導電流が断面全体を流れる状態(フル着磁状態)ではなく、部分的にしか超電導電流が流れていない状態(非フル着磁状態)とすることで、余裕をもってNMR用超電導マグネット内の強磁場をコピーできるようにしている。さらに、着磁後は、リング状酸化物超電導バルク体内にコピーした磁場の時間的な安定性を確保するために、着磁温度からさらに冷却して小型NMR用のマグネットとしている。
ここで、特許文献1〜6および非特許文献1、2の着磁方法に着目すると、例えば特許文献1には、リング状酸化物超電導バルク体を積層したバルクマグネットを有するNMRシステムにおける、パルス着磁または静磁場着磁による着磁方法が開示されている。特許文献2には、リング状酸化物超電導バルク体を積層したバルクマグネットを有するNMRシステムにおいて、中央部分の磁場強度分布が上に凸または下に凸のいずれかの磁場分布を有するようにして着磁する着磁方法が開示されている。磁場分布が上に凸の場合、その頂点で磁場強度はピークとなり、磁場分布が下に凸の場合、その頂点で磁場強度は極小となる。
また、特許文献3および非特許文献1には、均一な静磁を印加し着磁する着磁方法が記載されている。かかる着磁方法では、円筒形状で磁化率の大きい超電導バルクの両端面に円筒形状で磁化率の小さい超電導バルクを同軸状に配設することにより構成された円筒形状の超電導体を有する超電導磁場発生装置を用いている。例えば特許文献3に開示された超電導磁場発生装置によれば、超電導バルクの磁化率と形状を一定の条件を満たすように設計することにより、超電導体の軸方向における磁場強度が均一な捕捉磁場を、超電導体のボア内に形成することができるとされている。
特許文献4には、円筒形状の超電導バルクからなる超電導体の周囲に配置された補正コイルを有する超電導磁場発生装置が開示されている。かかる超電導磁場発生装置によれば、超電導体に磁場を印加して着磁する際に補正コイルで印加磁場を補正することにより、超電導体の軸方向における磁場強度が均一な捕捉磁場を、超電導体のボア内に形成することができるとされている。
特許文献5には、円筒形状であって軸方向における中央部分の内径が端部分の内径よりも大きくなるように形成された超電導体を有する超電導磁場発生装置が開示されている。かかる超電導磁場発生装置によれば、円筒形状の超電導体の軸方向における中央部分の内径を端部分の内径よりも大きくしたことにより、超電導体の磁化により生じる不均一な磁場を相殺するような磁場が超電導体のボア内に流れる。特許文献5では、こうして不均一な磁場が除去されることにより、超電導体の軸方向における磁場強度が均一な捕捉磁場を超電導体のボア内に形成することができるとされている。特許文献5での着磁は、均一な磁場中に高温超伝導体を挿入し、超伝導転移温度以下に冷却して高温超伝導体に磁場を捕捉させることにより行われる。また、特許文献5は、高温超伝導体だけでは均一な磁場を得ることは難しく、高温超伝導体の円筒内の空間に補正コイルを配置する必要がある、と開示している。
特許文献6および非特許文献2には、リング状酸化物超電導バルク体を積層したバルクマグネットの内側に高い臨界電流密度Jcを有するテープ線材を螺旋状に巻き付けた筒を挿入することで、軸方向に対して垂直な磁場成分を打ち消し均一な磁場を得る着磁方法が開示されている。
一方、小型NMRへの応用においては、バルクマグネット構造体のコンパクトな空間に非常に強力な磁場を閉じ込めることになる。このため、超電導バルク体内部に大きな電磁応力が作用することになる。この電磁応力は、閉じ込められた磁場が広がるように作用するのでフープ応力とも呼ばれる。5〜10T級の強磁場の場合には、電磁応力が超電導バルク体の自身の材料機械強度を超えることもあり、その結果、超電導バルク体が破損するおそれがある。超電導バルク体が破損すると、超電導バルク体は強磁場を発生することができなくなる。
このような電磁力による超電導バルク体の破損を防止するために、例えば特許文献7には、超電導バルクマグネットを、円柱状の超電導バルク体とこれを囲む金属リングにより構成することが開示されている。このような構成にすることにより、冷却時に金属リングによる圧縮応力が超電導バルク体に加わり、その圧縮応力が電磁応力を軽減する効果を有するため、超電導バルク体の割れを抑制することができる。このように、特許文献7には、円柱状の超電導バルク体の破損が防止できることが示されている。
また、超電導バルク体の破損を防止するための超電導バルク体の他の構成例として、例えば特許文献8には、六角形の超電導バルク体を7個組み合わせて、その周囲に繊維強化樹脂等からなる補強部材配置し、さらにその外周にはステンレスやアルミ等の金属からなる支持部材が配置された超電導磁場発生素子が開示されている。特許文献9には、結晶軸のc軸方向の厚さが0.3〜15mmのリング状バルク超電導体を積層した酸化物超電導バルクマグネットが開示されている。特許文献10には、外周および内周が補強された複数のリング状超電導体を積層した超電導バルク磁石が開示されている。特許文献11には、半径方向に多重リング構造を有する超電導体を積層した超電導バルク磁石が開示されている。特許文献12には、一つのバルク体の外周および上下面が補強されたバルク磁石が開示されている。
特開2002−006021号公報 特開2007−129158号公報 特開2008−034692号公報 特開2009−156719号公報 特開2014−053479号公報 特開2016−6825号公報 特開平11−335120号公報 特開平11−284238号公報 特開平10−310497号公報 特開2014−75522号公報 国際公開第2011/071071号 特開2014−146760号公報
仲村高志等:低温工学 46巻3号 2011年 Hiroyuki Fujishiro et al; Supercond. Sci. Technol. 28(2015)095018
しかし、これらの特許文献1〜12および非特許文献1、2には、不均一な静磁場を着磁し均一に着磁できるバルクマグネット構造体およびその着磁方法は記載されていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、不均一な印加磁場を用いてもより均一性の高い磁場を着磁可能なバルクマグネット構造体およびその着磁方法を提供する。この着磁方法に必要な構造および高い磁場強度条件下でも、超電導バルク体の破損を防止できるバルクマグネット構造体、さらに、これによりNMR用の磁場の均一性がバルクマグネット構造体、およびこれを用いたNMR用マグネットシステムを提供することを目的とする。
発明者らは鋭意検討の結果、

不均一な静磁場に応じて、バルクマグネット構造体の内径を軸方向に変化させれば、着磁後の磁場を均一にできることを見出した。バルクマグネット構造体は、一般にリング状酸化物超電導バルク体を重ねて構成されるため、異なる内径のリング状酸化物超電導バルク体を組み合わせることで、適切な内径の軸方向の分布を有するバルクマグネット構造体を得ることができる。
バルクマグネット構造体の内径の軸方向の変化は少なくとも一つの前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径を、当該酸化物超電導バルク体に隣接する前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きくすることで実現できる。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のリング状酸化物超電導バルク体と、複数積層されたリング状酸化物超電導バルク体の外周面を覆うように嵌合された少なくとも1つの外周補強リングと、を備え、少なくとも一つのリング状酸化物超電導バルク体の内周径は、当該酸化物超電導バルク体に隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きい、バルクマグネット構造体が提供される。
リング状酸化物超電導バルク体のうち積層方向中央部に位置する中央酸化物超電導バルク体の内周径は、当該中央酸化物超電導バルク体に隣接する前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きくてもよい。
隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きいリング状酸化物超電導バルク体の積層方向(Z軸方向)高さが10mmから30mmであってもよい。
バルクマグネット構造体には、さらに円柱状酸化物超電導バルク体を積層させてもよい。
バルクマグネット構造体の積層方向端部のうちいずれか一方には、円柱状酸化物超電導バルク体が配置されてもよい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のリング状酸化物超電導バルク体と、複数積層されたリング状酸化物超電導バルク体の外周面を覆うように嵌合された少なくとも1つの外周補強リングと、を備え、少なくとも一つのリング状酸化物超電導バルク体は、リング状酸化物超電導バルク体と第1平面リングとが交互に配置された積層体からなる、バルクマグネット構造体が提供される。
少なくとも一つのリング状酸化物超電導バルク体の内周径は、当該酸化物超電導バルク体に隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きくてもよい。
リング状酸化物超電導バルク体のうち積層方向中央部に位置する中央酸化物超電導バルク体の内周径は、当該中央酸化物超電導バルク体に隣接する前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きくてもよい。
隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きいリング状酸化物超電導バルク体の積層方向(Z軸方向)高さが10mmから30mmであってもよい。
バルクマグネット構造体には、さらに円柱状酸化物超電導バルク体を積層させてもよい。
バルクマグネット構造体の積層方向端部のうちいずれか一方には、円柱状酸化物超電導バルク体が配置されてもよい。
第1平面リングと積層体を構成するリング状酸化物超電導バルク体の厚さは5mm以下とするのがよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の酸化物超電導バルク体と、複数積層された酸化物超電導バルク体の外周面を覆うように嵌合された少なくとも1つの外周補強リングと、を備え、複数の酸化物超電導バルク体は、少なくとも1つのリング状酸化物超電導バルク体を含み、かつ、リング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体を積層して構成され、バルクマグネット構造体を構成する酸化物超電導バルク体のうち少なくとも1つは、リング状酸化物超電導バルク体と第2平面リングとが交互に配置された積層体からなり、第2平面リングは金属から形成されるバルクマグネット構造体が提供される。
少なくとも一つのリング状酸化物超電導バルク体の内周径は、当該酸化物超電導バルク体に隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きくてもよい。
リング状酸化物超電導バルク体のうち積層方向中央部に位置する中央酸化物超電導バルク体の内周径は、当該中央酸化物超電導バルク体に隣接する前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きくてもよい。
隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きいリング状酸化物超電導バルク体の積層方向(Z軸方向)高さが10mmから30mmであってもよい。
バルクマグネット構造体には、さらに円柱状酸化物超電導バルク体を積層させてもよい。
バルクマグネット構造体の積層方向端部のうちいずれか一方には、円柱状酸化物超電導バルク体が配置されてもよい。
ここで、第2平面リングと積層体を構成するリング状酸化物超電導バルク体の厚さは10mm以下とするのがよい。
また、酸化物超電導バルク体と外周補強リングとの間に、第2外周補強リングを備えてもよい。
リング状酸化物超電導バルク体は、内部に内周補強リングを備えてもよい。
リング状酸化物超電導バルク体と内周補強リングとの間に、第2内周補強リングを備えてもよい。
第2平面リング、外周補強リング、第2外周補強リング、内周補強リング及び第2内周補強リングのうち少なくともいずれか1つは、熱伝導率が20W/(m・K)以上、または、室温での引っ張り強度が80MPa以上の材質から形成してもよい。
リング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体は、結晶軸のc軸方向がリング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体の内周軸に略一致し、かつ、結晶軸のa軸方向がリング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体同士で所定の角度範囲内でずらして積層されてもよい。
バルクマグネット構造体を構成する酸化物超電導バルク体のうち、少なくとも1つのリング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体は、内周軸が一致する多重リング構造を有してもよい。
少なくとも一つの前記リング状酸化物超電導バルク体は、前記リング状酸化物超電導バルク体と第1平面リングとが交互に配置された積層体からなっていてもよい。
酸化物超電導バルク体は、単結晶状のREBaCu中にREBaCuO(REは希土類元素から選ばれる1種又は2種以上の元素。6.8≦y≦7.1)が分散された組織を有する酸化物を含んでもよい。
なお、上記のバルクマグネット構造体に関する特定事項は、本発明の種々の観点において、特に不都合の生じない範囲で適宜組み合わせてもよい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、真空容器内に収容された上述のいずれかのバルクマグネット構造体と、バルクマグネット構造体を冷却する冷却装置と、バルクマグネット構造体の温度を調整する温度制御装置と、を含む、NMR用マグネットシステムが提供される。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、バルクマグネット構造体の着磁方法であって、バルクマグネット構造体は、少なくとも1つのリング状酸化物超電導バルク体を有し、かつ、リング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体を積層して構成され、バルクマグネット構造体の温度を調整する温度制御装置およびバルクマグネット構造体に磁場を印加する磁場発生装置により、バルクマグネット構造体の超電導状態が維持されている状態で、磁場発生装置により、バルクマグネット構造体に印加される印加磁場の強度を減じる基本着磁工程を含み、基本着磁工程の後、バルクマグネット構造体の軸方向における少なくとも一部の領域の磁場分布が着磁前の印加磁場分布よりも均一となる磁場均一化領域となるように、温度制御装置または磁場発生装置のうち少なくともいずれか一方を制御して、バルクマグネット構造体を着磁する、バルクマグネット構造体の着磁方法が提供される。
バルクマグネット構造体の軸方向において所定の間隔を有する任意の領域の磁場分布より得られる、当該領域における平均磁場強度に対する最大磁場強度と最小磁場強度との差分の割合を、磁場の均一性を表す均一性評価指標としたとき、磁場均一化領域における着磁前の印加磁場分布の均一性評価指標は100ppm以上としてもよい。
バルクマグネット構造体の軸方向において所定の間隔を有する任意の領域の磁場分布より得られる、当該領域における平均磁場強度に対する最大磁場強度と最小磁場強度との差分の割合を、磁場の均一性を表す均一性評価指標としたとき、磁場均一化領域における着磁前の印加磁場分布の均一性評価指標は100ppm以上であり、着磁後の領域に対応するバルクマグネット構造体の磁場分布の均一性評価指標は、着磁前の印加磁場分布の均一性評価指標よりも小さく、かつ、100ppm未満としてもよい。均一性評価指標は小さいほど均一性が高いため、下限値は小さいほど好ましい。ただし、均一性評価指標を0にするには、非常に高精度の設計、施工、操作が必要となる。現実的な用途およびその費用対効果に応じて、均一性評価指標(下限値)を調整してもよく、例えば、2ppm以上、4ppm以上、6ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上、25ppm以上、30ppm以上、35ppm以上、40ppm以上、45ppm以上、50ppm以上としてもよい。
また、上記バルクマグネット構造体の着磁方法は、基本着磁工程の後、バルクマグネット構造体の温度を保持または所定の温度まで昇温し、磁場均一化領域の磁場分布の均一性を向上させる第1温度調整工程と、第1温度調整工程の後、バルクマグネット構造体を降温する第2温度調整工程と、を含んでもよい。
ここで、磁場発生装置による着磁前のバルクマグネット構造体の軸方向における印加磁場分布は、磁場中心部で上に凸または下に凸であり、第1温度調整工程において、少なくともバルクマグネット構造体の中央部分に配置されたリング状酸化物超電導バルク体の超電導電流分布を変化させる。
第1温度調整工程において、バルクマグネット構造体の中央部分に配置されたリング状酸化物超電導バルク体を、当該リング状酸化物超電導バルク体全体に超電導電流が流れるフル着磁状態にする。
また、磁場発生装置による着磁前のバルクマグネット構造体の軸方向における印加磁場分布は、磁場中心部で上に凸または下に凸であり、バルクマグネット構造体の中央部分には、リング状酸化物超電導バルク体と第1平面リングとが交互に積層された積層体が配置されてもよい。
ここで、第1平面リングと積層体を構成するリング状酸化物超電導バルク体の厚さは5mm以下であってもよい。
また、磁場発生装置による着磁前のバルクマグネット構造体の軸方向における印加磁場分布は、磁場中心部または磁場中心部を挟む中心隣接部で上に凸または下に凸であり、バルクマグネット構造体を構成する酸化物超電導バルク体のうち少なくとも1つは、リング状酸化物超電導バルク体と第2平面リングとの積層体からなり、第2平面リングは金属から形成してもよい。
ここで、第2平面リングと積層体を構成するリング状酸化物超電導バルク体の厚さは10mm以下であってもよい。
上記バルクマグネット構造体はNMR用マグネットであってもよい。
上記バルクマグネット構造体の着磁方法で着磁するバルクマグネット構造体が上述のいずれかに記載のバルクマグネット構造体であってもよい。
以上説明したように本発明によれば、不均一な印加磁場を用いても均一性の高い磁場を着磁することができるバルクマグネット構造体、及び、その着磁方法が得られる。
本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体を着磁するための着磁システムの概略構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法に関し、バルクマグネット構造体に印加される不均一な印加磁場分布の一例と、着磁後のバルクマグネット構造体内の均一化された磁場分布の一例を示す説明図である。 従来の小型NMR用のバルクマグネット構造体の着磁に用いられる着磁方法の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法を示す説明図である。 リング状酸化物超電導バルク体の外観図および断面図を示す説明図である。 着磁条件1での酸化物超電導バルク体の電流分布及び磁場分布の概念図である。 着磁条件2での酸化物超電導バルク体の電流分布及び磁場分布の概念図である。 着磁条件3での酸化物超電導バルク体の電流分布及び磁場分布の概念図である。 本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の一構成例を示す概略断面図である。 図6のバルクマグネット構造体の基本着磁工程後の温度を上昇させたときの磁場分布の一例を示す説明図である。 同実施形態に係るバルクマグネット構造体の他の構成例を示す概略断面図である。 同実施形態に係るバルクマグネット構造体の他の構成例を示す概略断面図である。 第1の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の一例を示す概略分解斜視図である。 第2の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の一例を示す概略分解斜視図である。 図11Aに示すバルクマグネットの部分断面図である。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の変形例であって、バルクマグネットの中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の他の変形例であって、バルクマグネットの中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 第3の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の一例を示す概略分解斜視図である。 第4の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の一例を示す概略分解斜視図である。 第5の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の一例を示す概略分解斜視図である。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の変形例であって、バルクマグネットの中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の他の変形例であって、バルクマグネットの中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の他の変形例であって、バルクマグネットの中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の他の変形例であって、バルクマグネットの中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 第6の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の他の構成例であって、中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 第同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の他の構成例であって、中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。 リング状バルク体の結晶学的方位の揺らぎを示す説明図である。 第8の形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体の一例を示す概略分解斜視図である。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体のリング状バルク体の一構成例であって、リング状バルク体の平面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体のリング状バルク体の他の構成例であって、リング状バルク体の平面図を示す。 同形態に係るリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体のリング状バルク体の他の構成例であって、リング状バルク体の平面図を示す。 実施例1において、着磁の各工程におけるバルクマグネット構造体の中心軸上の磁場分布の測定結果を示す説明図である。 実施例3において着磁対象としたバルクマグネット構造体の構成を示す概略断面図である。 実施例4において着磁対象としたバルクマグネット構造体の構成を示す概略断面図である。 実施例4において、バルクマグネット構造体の端部に配置する2個のバルクマグネットの構成を示す概略断面図である。 実施例5において着磁対象としたバルクマグネット構造体の構成を示す概略断面図である。 実施例5において一端側に設けられる円板状のバルクマグネットの構成を示す概略断面図である。 図21Aに示したバルクマグネット構造体を着磁するための着磁システムの概略構成を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本発明の実施形態で用いる酸化物超電導バルク体に関して説明する。本実施形態で用いる酸化物超電導バルク体は、単結晶状のREBaCu7−x中にREBaCuO相(211相)等に代表される非超電導相が微細分散した組織を有するもの(所謂QMG(登録商標)材料)であってもよい。ここで、単結晶状というのは、完璧な単結晶でなく、小傾角粒界等の実用に差し支えない欠陥を有するものも包含するという意味である。REBaCu7−x相(123相)及びREBaCuO相(211相)におけるREは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる希土類元素及びそれらの組み合わせで、La、Nd、Sm、Eu、Gdを含む123相は1:2:3の化学量論組成から外れ、REのサイトにBaが一部置換した状態になることもある。また、非超電導相である211相においても、La、Ndは、Y、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luとは幾分異なり、金属元素の比が非化学量論的組成であったり、結晶構造が異なっていることが知られている。
前述のBa元素の置換は、臨界温度を低下させる傾向がある。また、より酸素分圧の小さい環境においては、Ba元素の置換が抑制される傾向にある。
123相は、211相とBaとCuとの複合酸化物からなる液相との包晶反応、
211相+液相(BaとCuの複合酸化物) → 123相
によりできる。そして、この包晶反応により、123相ができる温度(Tf:123相生成温度)は、ほぼRE元素のイオン半径に関連し、イオン半径の減少に伴いTfも低くなる。また、低酸素雰囲気及びAg添加に伴い、Tfは低下する傾向にある。
単結晶状の123相中に211相が微細分散した材料は、123相が結晶成長する際、未反応の211粒が123相中に取り残されるためにできる。すなわち、酸化物超電導バルク体は、
211相+液相(BaとCuの複合酸化物) → 123相+211相
で示される反応によりできる。
酸化物超電導バルク体中の211相の微細分散は、Jc向上の観点から極めて重要である。Pt、Rh又はCeの少なくとも一つを微量添加することで、半溶融状態(211相と液相からなる状態)での211相の粒成長を抑制し、結果的に材料中の211相が約1μm程度に微細化される。添加量は、微細化効果が現れる量及び材料コストの観点から、Ptで0.2〜2.0質量%、Rhで0.01〜0.5質量%、Ceで0.5〜2.0質量%が望ましい。添加されたPt、Rh、Ceは123相中に一部固溶する。また、固溶できなかった元素は、BaやCuとの複合酸化物を形成し、材料中に点在することになる。
また、マグネットを構成するバルク酸化物超電導体は、磁場中においても高い臨界電流密度(Jc)を有する必要がある。この条件を満たすには、超電導的に弱結合となる大傾角粒界を含まない単結晶状の123相である必要がある。さらに高いJc特性を有するためには、磁束の動きを止めるためのピンニングセンターが必要となる。このピンニングセンターとして機能するものが微細分散した211相であり、より細かく多数分散していることが望ましい。先に述べたように、Pt、RhやCeは、この211相の微細化を促進する働きがある。また、ピンニングサイトとして、BaCeO、BaSiO、BaGeO、BaSnO等の可能性が知られている。また、211相等の非超電導相は、劈開し易い123相中に微細分散することによって、超電導体を機械的に強化し、バルク材料として成り立たす重要な働きをも担っている。
123相中の211相の割合は、Jc特性及び機械強度の観点から、5〜35体積%が望ましい。また、材料中には、50〜500μm程度のボイド(気泡)を5〜20体積%含むことが一般的であり、さらにAg添加した場合、添加量によって1〜500μm程度のAg又はAg化合物を0体積%超25体積%以下含む。
また、結晶成長後の材料の酸素欠損量(x)は、0.5程度で半導体的な抵抗率の温度変化を示す。これを各RE系により350℃〜600℃で100時間程度、酸素雰囲気中においてアニールすることにより酸素が材料中に取り込まれ、酸素欠損量(x)は0.2以下となり、良好な超電導特性を示す。この時、超電導相中には双晶構造ができる。しかしながら、この点を含めここでは単結晶状と呼ぶことにする。
次に、本実施形態に係るバルクマグネット構造体を着磁するための装置と着磁方法についての概念を説明する。
[着磁システム構成]
図1は、本実施形態に係るバルクマグネット構造体を着磁するための着磁システム1の概略構成を示す説明図である。本実施形態に係る着磁システム1は、図1に示すように、磁場発生装置5と、内部にバルクマグネット構造体100が収容される真空断熱容器10と、冷却装置20と、温度制御装置30とを含んで構成される。
磁場発生装置5は、バルクマグネット構造体50に磁場を与えるための印加磁場(外部磁場)を発生する装置である。磁場発生装置5には筒状の超電導マグネット7が収容されており、その中空部分に真空断熱容器10を配置可能となっている。真空断熱容器10には、バルクマグネット構造体50が収容される。
バルクマグネット構造体50は、冷却装置20のコールドヘッド21上に載置された状態で、真空断熱容器10内に配置されている。これにより、バルクマグネット構造体50は、冷却装置20と熱的に接続され、冷却装置20により冷却可能な状態とされている。また、コールドヘッド21には、バルクマグネット構造体50の温度を上昇させるためのヒーター23が設けられている。さらに、真空断熱容器10内には、容器内温度を測定する1または複数の温度センサ(図示せず。)を設置してもよい。温度センサは、例えば、真空断熱容器10上部や、バルクマグネット構造体50が載置されるコールドヘッド21付近に設置してもよい。
冷却装置20は、バルクマグネット構造体50を冷却する装置である。冷却装置20としては、例えば液体ヘリウムまたは液体ネオン等の冷媒や、GM冷凍機(Gifford-McMahon cooler)、パルスチューブ冷凍機等を用いることができる。冷却装置20は、温度制御装置30により制御され駆動する。温度制御装置30は、着磁の各工程に応じてバルクマグネット構造体50の温度が所望の温度となるように冷却装置20を制御する。
[着磁方法の概要]
図1に示した着磁システム1を用いてバルクマグネット構造体を着磁するにあたり、例えばNMR、MRIへ適用するバルクマグネット構造体には、数Tの強磁場とppmオーダーの高い均一性とが必要とされる。しかし、従来のNMR/MRI用のマグネットではない比較的安価で一般的な磁場発生装置5によってバルクマグネット構造体に印加される印加磁場の分布は、図2左側に示すように、バルクマグネット構造体の軸方向(Z方向)において均一ではない。例えば、磁場強度のピークを中心として当該ピークを含む軸方向10mmの範囲内において、磁場強度に500ppm程度のずれがある場合もある。このような印加磁場によってバルクマグネット構造体を従来の着磁方法により着磁すると、バルクマグネット構造体の磁場分布も同様の分布となり、不均一な磁場がバルクマグネット構造体に複写されてしまうことになる。
ここで、磁場分布の均一性評価指標としては、ある領域における平均磁場強度に対する最大磁場強度と最小磁場強度との差分の割合を、ppmで表示したものを用いる。MRI用マグネットでは、磁場分布を均一化したい領域(すなわち、磁場均一化領域)において、印加磁場分布の均一性評価指標としてppmオーダー程度と高い磁場均一度を要求されることが多い。これに対して、NMRやMRIの高均一度の磁場発生を主な目的としない磁場発生装置が発生可能な磁場の均一度は比較的不均一であり、磁場均一化領域において要求される磁場均一度は、印加磁場分布の均一性評価指標として100ppm以上であることが多い。そのため、上記磁場均一化領域における着磁前の印加磁場分布の均一性評価指標が100ppm以上となるような比較的安価な磁場発生装置を用いて本発明の着磁方法を適用した場合にメリットは大きく、好ましい。さらに、このような比較的安価な磁場発生装置を用いて、着磁後のバルクマグネット構造体の磁場分布の均一性評価指標を100ppm未満とするとより好ましく、50ppm以下とするとさらにより好ましい。しかしながら、100ppm以下の高い均一度を有する印加磁場分布で着磁した場合においても、より高い均一度を得るための着磁方法であるため、本着磁方法は、高い有効性を発揮することは言うまでもない。
なお、ある点の磁場強度は、ホール素子、または、高感度の磁場測定装置(例えば、テスラメーター(Metrolab社製))、及びNMR信号の半値幅等に基づき、概ね求めることができる。また、最大磁場強度及び最小磁場強度は、ある領域における最も高い磁場強度値、及び、最も低い磁場強度値であり、平均磁場強度は、最大磁場強度と最小磁場強度の平均値である。
本発明に係るバルクマグネット構造体の着磁方法では、外部の磁場発生装置5により発生する印加磁場の分布は変更することなく不均一な静磁場を用いてバルクマグネット構造体を着磁し、より均一な磁場を得ることを目的とする。例えば図2右側に示すように、印加磁場により着磁されたバルクマグネット構造体内の磁場分布のピークを印加磁場のピークよりも小さくする(例えば、1/5程度以下とする)ことで、軸方向における所定の範囲内でのバルクマグネット構造体の磁場分布を均一にする。
本実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法について、図3A〜図5Cに基づき、以下、より具体的に説明する。ここで、図3Aは、従来の小型NMR用のバルクマグネット構造体の着磁に用いられる着磁方法の一例を示す説明図である。図3Bは、本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法を示す説明図である。図4は、リング状酸化物超電導バルク体の外観図および断面図を示す説明図である。図5A〜図5Cは、着磁条件1〜3での酸化物超電導バルク体の電流分布及び磁場分布の概念図である。なお、以下においては、リング状酸化物超電導バルク体を、「リング状バルク体」ともいう。
まず、図3A及び図3Bに基づき、従来のバルクマグネット構造体の着磁方法と本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法とを比較して説明する。なお、図3A及び図3Bにおいて、実線は温度制御装置により制御されるバルクマグネット構造体の温度を示し、破線は磁場発生装置により発生する印加磁場の磁場強度を示す。
従来のバルクマグネット構造体の着磁方法は、図3Aに示すように、まず、着磁前工程として、磁場発生装置によりバルクマグネット構造体に印加する印加磁場を発生させ、所定の磁場強度となるまで磁場強度を高めていく。そして、所定の印加磁場が形成されると、温度制御装置は、バルクマグネット構造体の冷却を開始し、超電導転移温度(Tc)以下の所定の温度(着磁温度)となるようにする。そして、着磁温度まで冷却されると、磁場発生装置は印加磁場を徐々に減らし、バルクマグネット構造体の着磁処理を行う。この磁場発生装置による減磁(すなわち、バルクマグネット構造体の着磁処理)が開始されるまでの状態を着磁前状態とする。
印加磁場を減磁してバルクマグネット構造体に超電導電流が流れる領域を増大させる着磁工程の終了前には、バルクマグネット構造体内に捕捉された磁束が低下するフラックスクリープを抑制するため、温度制御装置により、着磁温度からさらに所定の温度まで温度を下げて、バルクマグネット構造体に複写された磁場分布を安定化させる。フラックスクリープ抑制のために所定の温度まで温度を下げた以降の状態を着磁後状態とする。
図3Aに示した着磁方法において、バルクマグネット構造体に図2左側のような印加磁場を印加すると、同様の磁場分布がバルクマグネット構造体に複写され、不均一な磁場分布となる。そこで、本実施形態に係る着磁方法では、図3Bに示すように、減磁後にバルクマグネット構造体を一旦昇温あるいは目標とする着磁温度よりも高い所定の温度を保持する工程を行い、その後、フラックスクリープ抑制のための冷却工程を実施することで、バルクマグネット構造体の少なくとも一部の軸方向範囲の磁場分布を均一化する。
ここで、本実施形態に係る着磁方法における着磁状態について、図4及び図5A〜図5Cを用いて説明する。ここでは、例えば図4に示すようなリング状の酸化物超電導バルク体70についての着磁状態を、いくつかの着磁条件で考える。図5A〜図5Cは、それぞれの着磁条件において、常伝導状態のバルクマグネット構造体に印加されていた磁場を超電導状態とした後冷却し、その後、印加磁場を取り除く基本的な着磁工程でのバルクマグネット構造体内の着磁状態を示している。図5A〜図5Cには、図4に示した軸方向及び半径方向での酸化物超電導バルク体70の断面72を用いて、超電導電流が流れていない領域72aと超電導電流が流れている領域72bとを示しており、合わせてその断面での臨界電流密度分布及び磁場分布を示している。
(着磁条件1:T=T、B=B
まず、着磁条件1として、常伝導状態のリング状酸化物超電導バルク体を磁場B中に置き、超電導転移温度(Tc)以下の温度Tsに冷却した後、印加磁場を徐々に減らすようにした。このときの酸化物超電導バルク体内の超電導電流の分布および磁場分布を図5Aに示す。状態Aは減磁前の状態であり、酸化物超電導バルク体内には超電導電流は流れていない。印加磁場を徐々に低下させると、状態Bに示すように、リング状酸化物超電導バルク体内には、臨界電流密度Jc(Ts)の値を有する超電導電流が流れる領域72bが外周部分から現れる。さらに印加磁場を低下させた後、印加磁場をゼロとすると、状態Cに示すように、臨界電流密度Jc(Ts)値を有する超電導電流が流れる領域72bがさらに内側に広がる。着磁条件1では、状態Cに示すように、印加磁場がゼロになったときにも酸化物超電導バルク体断面の内側に超電導電流が流れていない領域72aが存在する。このような状態を、以下、「非フル着磁状態」と称する。
(着磁条件2:T=T(T>T)、B=B
次に、着磁条件2は、印加磁場は着磁条件1と同一であるが、酸化物超電導バルク体を着磁条件1での温度Tよりも高い温度Tとした。着磁条件1に対し温度が高く、臨界電流密度Jcが低い着磁条件2では、図5Bに示すように、減磁前の状態である状態Aでは、着磁条件1と同様、酸化物超電導バルク体内には超電導電流は流れていない。印加磁場を徐々に低下させると、状態Bに示すように、リング状酸化物超電導バルク体内には、臨界電流密度Jc(Ts)の値を有する超電導電流が流れる領域72bが外周部分から現れる。このとき、着磁条件1よりも早く内側まで超電導電流が流れる領域72bが現れる。そして、さらに印加磁場を低下させた後、印加磁場をゼロとした状態Cでは、酸化物超電導バルク体の断面全体に超電導電流が流れるようになる。このような状態を、以下、「フル着磁状態」と称する。
(着磁条件3:T=T、B=B(B>B))
一方、着磁条件3は、着磁温度は着磁条件1と同一であるが、印加磁場を着磁条件1よりも高くした。このような着磁条件では、図5Cに示すように、減磁前の状態である状態Aでは、着磁条件1、2と同様、酸化物超電導バルク体内には超電導電流は流れていない。印加磁場を徐々に低下させると、状態Bに示すように、リング状酸化物超電導バルク体内には、臨界電流密度Jc(Ts)の値を有する超電導電流が流れる領域72bが外周部分から現れる。このとき、着磁条件2と同様、着磁条件1よりも早く内側まで超電導電流が流れる領域72bが現れる。そして、さらに印加磁場を低下させた後、印加磁場をゼロとした状態Cでは、酸化物超電導バルク体の断面全体に超電導電流が流れ、フル着磁状態となっている。
また、酸化物超電導バルク体断面内の磁束密度の勾配に着目すると、図5B及び図5Cより、磁束密度の勾配は臨界電流密度Jcに比例することがわかる。図5A〜図5Cでは、臨界電流密度Jcは温度に対し一定(すなわち、変化しない)ものとして3つの着磁条件を示したが、実際には、対数的に時間と共に低下する。そのため、リング状酸化物超電導バルク体内に捕捉された磁束は、時間と共に低下することになる。このように時間と共に徐々に低下する現象はクリープと呼ばれている。しかしながら、着磁条件1のように非フル着磁状態になっている場合は、クリープにより臨界電流密度Jcが低下していく場合においても、臨界電流密度Jcが低下する分、まだ超電導電流が流れていない領域に超電導電流が流れるようになる。そのため、酸化物超電導バルク体内部の磁束は、電流分布が変化する分、極僅かに低下するに留まる。一方、着磁条件2、3の場合では、クリープによって臨界電流密度Jcが低下した分がすべて酸化物超電導バルク体内の磁束密度の変化に繋がり、磁場のクリープが大きく表れる。
さらに、図5A〜図5Cでは、軸方向に十分に長いリング状酸化物超電導バルク体の概念図を示したが、実際の長さは有限であるため、軸方向の端部に位置するバルクマグネットの一方は、隣接するバルクマグネットが存在しない。このため、急激に磁場が低下するとともに、磁場勾配が大きくなるため、大きな臨界電流が流れ、その分、臨界電流が流れる領域が内周側に流れるようになる。その結果、酸化物超電導バルク体断面内の臨界電流密度Jc分布は上下の端部でより内側に入り込んだ分布になり、また、上下の端部で捕捉された磁場強度も低下する。
そこで、上述の知見に鑑み、本実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法では、不均一な印加磁場分布を用いて酸化物超電導バルク体を着磁する際に、バルクマグネット構造体の軸方向における少なくとも一部の領域の磁場分布が着磁前の印加磁場分布よりも均一となる磁場均一化領域となるように、温度制御装置または磁場発生装置のうち少なくともいずれか一方を制御して、バルクマグネット構造体を着磁する。上述のように、着磁は、超電導状態において印加磁場を変化させることによって誘導された超電導電流により超電導バルク体が磁化されることであり、超電導バルク体を磁石(マグネット)として機能させるための工程である。ここでは、この着磁工程を基本着磁工程と呼ぶことにする。
酸化物超電導バルク体を着磁する不均一な印加磁場分布は、例えば、図2左側に示したように、軸方向中心部に印加磁場分布のピークを有し、ピーク位置を中心に挟んだ約10mmの範囲において、約500ppmの磁場強度の差がある。なお、この印加磁場分布は、概ね同心円筒状に巻かれた巻線の対称軸(Z軸)上の分布である。印加磁場は、一般に、高均一性を必要とするNMR用の超電導マグネット以外の超電導マグネット(汎用実験用等)のマグネットによって発生される。
一方、従来の小型NMRへの応用においては、NMR用の超電導マグネットによるppmオーダーの均一性の印加磁場中でバルクマグネット構造体は着磁されていた。したがって、高均一性の印加磁場(概ねppmオーダーの均一性の磁場)が、バルクマグネット構造体中にコピーされる。しかし、本実施形態によれば、不均一な印加磁場分布中において、温度制御装置または磁場発生装置のうち少なくともいずれか一方を制御して、バルクマグネット構造体の軸方向における少なくとも一部の領域の磁場分布を、着磁前の印加磁場分布よりも均一とすることができる。例えば図2右側に示すように、軸方向中心部の磁場強度のピークが小さくなり、磁場均一性を大幅に改善することが可能である。このように、着磁前の不均一な印加磁場分布に対し、着磁後のバルクマグネット構造体内の磁場分布が大きく改善することが可能となるバルクマグネット構造体およびその着磁方法を提供することが本発明の本質である。
一般に、所望の磁場空間を発生させるためのマグネット(例えば、実験用、NMR用、MRI用等のマグネット)は、磁場強度、磁場の空間均一度及び磁場均一空間の体積が重要な指標となる。NMR用やMRI用のマグネットは、一般的な実験用マグネットに比べ、高い磁場均一性が要求される。また、一般にMRI用マグネットは、NMR用マグネットに比べ、測定対象が大型になるため広い磁場均一空間が求められるが、測定手法の違いから、均一度は一桁程度低い値でもよい。一般に汎用の実験用のマグネットは、高い均一度を要求されない分、安価になる。
これらのマグネットはいずれも極力、高磁場、高均一度、大空間の磁場が得られるように設計される。このような思想で設計されるマグネットは、一般に同心円状にコイルを巻き極力、対称性(軸対称性、軸の二方向に対する対称性)を高めた構造を取る。このような構造とした場合、軸方向をx方向、半径方向をy方向として表される磁場分布y=f(x)は、マグネットの中心位置において、基本的に微分値(dy/dx)がゼロとなる極値を持つ。すなわち、有限の体積を有するマグネットは、上に凸または下に凸のいずれかの磁場分布を有する。磁場分布が上に凸の場合、磁場強度はピークとなり、磁場分布が下に凸の場合、磁場強度は極小値をとる。
ここで、本発明では、バルクマグネット構造体に転写される着磁前の不均一な印加磁場分布を均一な磁場分布に変化させる必要がある。そのため、本発明では、バルクマグネット構造体を、例えば図6、図8及び図9に示すように、磁場分布を均一化したい領域(磁場均一化領域)に対応するリング状バルク体の内径が、他のリング状バルク体の内径よりも大きくなるように構成する。この磁場分布を均一化したい領域(磁場均一化領域)に対応するリング状バルク体は、バルクマグネット構造体の積層方向中央部分に位置してもよい。なお、本明細書にて、リング状酸化物超電導バルク体のうち積層方向中央部とはリング状酸化物超電導バルク体のうち測定部に相当する部位と読み替えてもよい。
(構成A)
例えば、図6に示すバルクマグネット構造体50Aは、複数のリング状バルク体51a〜51gからなるリング状バルク体部51Aと、各リング状バルク体51a〜51gの外周にそれぞれ嵌合された複数の外周補強リング53a〜53gからなる外周補強リング部53とを含んでなる。バルクマグネット構造体50Aは、各リング状バルク体51a〜51gの中心軸を揃えて積層し構成されている。各リング状バルク体51a〜51gは、外径は同一であるが、内径は軸方向中心に向かうほど大きくなるように(すなわち、半径方向の厚みが小さくなるように)積層されている。具体的には、軸方向の両端に位置するリング状バルク体51a、51gの内径が最小であり、中央部のリング状バルク体51dの内径が最大となっている。図6においては、リング状バルク体51b、51c、51e、51fの内径は、最大内径よりも小さく、最小内径より大きく設定されている。本発明の一態様による着磁方法においては、リング状バルク体に大きな電磁気力が作用し得る。例えば、リング状バルク体を膨らませようとする周方向への引っ張り力(フープ力)等のリング状バルク体に破壊をもたらす応力が働く。そのため、本発明の一態様によるバルクマグネット構造体は、外周補強リングを備える。外周補強リングを備えることにより、リング状バルク体に大きな電磁気力(応力)が作用した場合でも、リング状バルク体が破壊することを防ぐことができる。
このような図6に示すバルクマグネット構造体50Aでは、内径が最大の中央部のリング状バルク体51d付近で磁場分布を均一にするように、図3Bに示したような工程で着磁が行われる。すなわち、図6に示した複数のリング状バルク体51a〜51gからなるリング状バルク体部51Aを含むバルクマグネット構造体50Aを断熱真空容器内のコールドヘッド上に載置し、まず、十分に低温で着磁し、バルクマグネット構造体全体の磁場分布がほとんど変化しない非フル着磁状態にする。次に、バルクマグネット構造体を徐々に昇温し、少なくとも半径方向の厚みが小さい中央部のリング状バルク体51dだけをフル着磁状態にし、その後、フラックスクリープ抑制する冷却を実施する。これにより、フル着磁状態とされた軸方向中央部のリング状バルク体の高すぎる磁束密度を低下させ、磁束密度を均一化することができる。ここで、もし、図6に示す51dの内径が、51b、51c、51e、51fと同じであった場合(すなわち、51bから51fまでの軸方向の高さが80mm)では、図7の状態Dとなり、磁場の均一化は起こらない。状態Bのようにうまく均一化が起こる51dのZ軸方向の厚さ(高さ)は、印加する磁場分布の形状に依存する。51d等の各リング状バルク体のZ軸方向の厚さ(高さ)は、10mmから30mmであってもよい。この範囲であれば本発明により容易に均一磁場を得ることが可能である。
NMR分光に用いられる試料管の軸方向の長さは、20mm程度が一般的であり、この領域の磁場の均一度が重要であり、51d等の各リング状バルク体のZ軸方向の厚さが10mmから30mmの場合、より、効果的に均一化できる。また、例として、図6の51dの内径とその両隣の51c、および51eとの内径の差は、寸法精度の観点から、1mm以上であることが望ましい。
なお、特許文献5の対応特許(特許第6090557号)公報では、
「円柱形状となる外形の軸芯と同軸芯の内側空間部を備えた筒形状を有する超電導体であって、
前記内側空間部は、前記軸芯に沿った方向で中央に位置する中央空間部分と、前記軸芯に沿った方向で前記中央空間部分の両側に位置する端空間部分とを含み、
前記中央空間部分の前記軸芯に垂直な方向の内側寸法は前記端空間部分の前記軸芯に垂直な方向の内側寸法よりも大きい、構成であり、
前記内側空間部は、前記中央空間部分の前記軸芯に直交する姿勢で交差する第1面及び第2面と2つの前記端空間部分の前記軸芯の方向に沿う側面とが交わる第1角部と、前記第1面及び前記第2面と前記中央空間部分の前記軸芯の方向に沿う側面とが交わる第2角部を有し、
前記第2角部は、前記超電導体の内部で超電導電流が流れる領域より内側で、超電導電流が流れない領域に位置している超電導体。」が開示されている。この超電導体では、超電導体の全体で、非フル着磁の状態であって、フル着磁状態のリング状バルク体が存在していない。
特許文献5の第2角部は、本発明に係る図6の51dの内周角部に相当するが、51dの内周角部は、フル着磁状態であり、すなわち超電導電流が流れる領域である。言い換えると、本願発明の一態様では「前記第2角部は、前記超電導体の内部で超電導電流が流れる領域の境界(外側)で、超電導電流が流れる領域(境界)に位置している超電導体」が得られる。
例えば、図6のバルクマグネット構造体50Aの基本着磁工程後の温度を上昇させたときの磁場分布の一例を図7に示す。図7では、状態A、状態B、状態Cの順により高い温度まで昇温させている。図7の状態Aでは、すべてのリング状バルク体51a〜51gにおいて超電導電流が流れていない領域72aが存在していたが、さらに昇温すると、状態Bに示すように、まず、最も半径方向の厚みの小さいリング状バルク体51dが全体に超電導電流が流れる領域72bとなり、フル着磁状態となる。そして、さらに昇温すると、状態Cに示すように、リング状バルク体51dの次に半径方向の厚みの小さいリング状バルク体51b、51c、51e、51fまでフル着磁状態となる。
図7の状態A〜Cの中央領域(ここではリング状バルク体51c〜51eの軸方向領域とする。)における磁場強度の分布をみると、図7下側に示すように、状態A、状態B、状態Cの順に磁場強度のピークが下がり、当該領域において磁場分布が均一化されるようになっている。このように、基本着磁工程の後、着磁温度から所定の温度まで昇温することで、軸方向の所定の領域における磁場強度分布にすることができる。なお、図7の状態Dは、上述のとおり、図6に示す51dの内径が、51b、51c、51e、51fと同じであり、51bから51fまでの軸方向の高さが80mmであった場合であり、この場合では磁場の均一化は起こらない。
(構成B)
図6に示した構成Aでは、バルクマグネット構造体50Aの軸方向中央部の高すぎる磁束密度を低下させるために、当該領域に半径方向の厚みの小さいリング状バルク体を配置したが、他の構成として、例えば軸方向中央部のリング状バルク体を、軸方向の厚みが小さいリング状バルク体と第1平面リングとを交互に積層して構成することで、中央部分の磁束を低下させることもできる。つまり、第1平面リングは、バルクマグネット構造体の積層方向軸方向中央部のリング状バルク体に採用してもよい。
具体的には、図8に示すように、バルクマグネット構造体50Bは、複数のリング状バルク体51a〜51c、51e〜51g及びリング状バルク体と第1平面リングとからなる積層体(以下、単に「積層体」ともいう。)51dからなるリング状バルク体部51Bと、各リング状バルク体51a〜51c、51e〜51g及び積層体51dの外周にそれぞれ嵌合された複数の外周補強リング53a〜53gからなる外周補強リング部53とを含んでなる。バルクマグネット構造体50Bは、各リング状バルク体51a〜51c、51e〜51g及び積層体51dの中心軸を揃えて積層し構成されている。各リング状バルク体51a〜51c、51e〜51g及び積層体51dは、外径は同一であるが、内径は軸方向中心に向かうほど大きくなるように(すなわち、半径方向の厚みが小さくなるように)積層されている。具体的には、軸方向の両端に位置するリング状バルク体51a、51gの内径が最小であり、中央部の積層体51dの内径が最大となっている。図8においては、リング状バルク体51b、51c、51e、51fの内径は、最大内径よりも小さく、最小内径より大きく設定されている。
積層体51dは、軸方向の厚みが小さいリング状バルク体51d1と第1平面リング51d2とが交互に積層して構成されている。このとき、積層体51dの軸方向両端にはリング状バルク体51d1が位置するようにする。積層体51dには、中央部分の磁束密度を維持しようとして超電導電流がリング状バルク体51d1の断面内に流れるが、第1平面リング51d2が存在する分、中央部分の磁場を維持できる電流量が少なくなる。このため、昇温時、積層体51dに隣接するリング状バルク体に比べて、早い段階でフル着磁状態に達する。したがって、徐々に昇温することによって、中央部の高すぎる磁束密度を低下させ磁束密度を均一化することが可能になる。
すなわち、バルクマグネット構造体50Bの軸方向の少なくとも一部に、比較的薄いリング状バルク体51d1と第1平面リング51d2とを交互に積層した積層体51dを設けることにより、実質的に当該積層構造を有するバルクマグネット構造体50Bの平均的な臨界電流を低下させ、周辺のバルクマグネットに比べて早い段階でフル着磁状態に達するようにすることができる。なお、バルクマグネット構造体50Bの軸方向中心部に均一性が優れた領域を形成するためには、薄いリング状バルク体と第1平面リングとを積層して、これらを含む51dの臨界電流を制御する場合、リング状バルク体と第1平面リングとの厚さは、電流分布の均一性の観点から、それぞれ薄い方が望ましい。第1平面リングの厚さは、リング状バルク体に比べ比較的調整が容易であるが、リング状バルク体に関しては、加工歩留まり及び加工性の観点から、直径(外径)にも依存するが、リング状バルク体51d1の厚さは5mm以下が望ましく、さらに望ましくは2mm以下であり0.3mm以上である。リング状バルク体51d1の厚さが0.3mm以下となると割れやすくなり、リング状バルク体の特性の不均一が起きやすくなるためである。第1平面リングは、第1平面リングを含むバルクマグネット中のリング状バルク体と第1平面リングとの割合を調整し、このバルクマグネットの超電導体の断面積を調整するものである。このため、リング状バルク体の厚さに対応して厚さは5mm以下が望ましく、さらに望ましくは2mm以下である。また、第1平面リングは超電導体ではない材料から構成されてもよく、後述する第2平面リングと同様の構成を採用してもよい。
(構成C)
また、均一な強磁場を必要とするNMRおよびMRIへ応用する場合には、リング状バルク体に大きな電磁気力が作用する。例えば、リング状バルク体を膨らませようとする周方向への引っ張り力(フープ力)等のリング状バルク体に破壊をもたらす応力が働く。そのため、従来の外周補強リングでの補強では、不十分な場合がある。そこで、バルクマグネット構造体において最も大きな応力が作用する軸方向両端のリング状バルク体を、軸方向の厚みが小さいリング状バルク体と第2平面リングとを交互に積層して構成し補強してもよい。つまり、第2平面リングは、バルクマグネット構造体の積層方向軸方向の両端のリング状バルク体に採用してもよい。
例えば図9に示すように、バルクマグネット構造体50Cは、複数のリング状バルク体51b〜51f及び積層体51a、51gからなるリング状バルク体部51Cと、各リング状バルク体51b〜51f及び積層体51a、51gの外周にそれぞれ嵌合された複数の外周補強リング53a〜53gからなる外周補強リング部53とを含んでなる。バルクマグネット構造体50Cは、リング状バルク体51b〜51f及び積層体51a、51gの中心軸を揃えて積層し構成されている。各リング状バルク体51b〜51f及び積層体51a、51gは、外径は同一であるが、内径は軸方向中心に向かうほど大きくなるように(すなわち、半径方向の厚みが小さくなるように)積層されている。具体的には、軸方向の両端に位置する積層体51a、51gの内径が最小であり、中央部のリング状バルク体51dの内径が最大となっている。図9においては、リング状バルク体51b、51c、51e、51fの内径は、最大内径よりも小さく、最小内径より大きく設定されている。
積層体51a、51gは、軸方向の厚みが小さいリング状バルク体51a1、51g1と第2平面リング51a2、51g2とが交互に積層して構成されている。このとき、積層体51a、51gの軸方向両端にはリング状バルク体51a1、51g1が位置するようにする。これは、積層体51a、51gが配置されるバルクマグネット構造体50Cの軸方向両端は、最も大きな応力が作用する部分であり、この中でも、特に、これらの内表面部分及び軸方向両端表面付近に大きな応力が作用する。このため、少なくともバルクマグネット構造体の端部に配置するバルクマグネットは十分な機械的強度を有することが望ましい。そこで、積層体51a、51gの軸方向両端にはリング状バルク体51a1、51g1が位置することが望ましい。また、さらに高い機械強度を得るために、軸方向両端に以外に配置されているリング状バルク体も、軸方向の厚みが小さいリング状バルク体と第2平面リングが交互に積層された積層体を用いることが望ましい。
以下、図9に示したバルクマグネット構造体50Cを構成する積層体51a、51g、さらにリング状バルク体51b〜51fのいずれかを軸方向の厚みが小さいリング状バルク体と第2平面リングとを交互に配置したときの積層体の具体的構成例を、図10〜図17Dに基づき説明する。
(第1の形態)
まず、図10に基づいて、積層体の第1の形態を説明する。図10は、第1の形態に係る積層体の一例を示す概略分解斜視図である。
本実施形態に係るバルクマグネット100は、円板の中央部に貫通孔を有するリング状バルク体110と、円板の中央部に貫通孔を有するリング形状の第2平面リング120と、外周補強リング130とからなる。本実施形態では、リング状バルク体110として、3つのリング状バルク体112、114、116が設けられており、第2平面リング120として、2つの第2平面リング122、124が設けられている。リング状バルク体110と第2平面リング120とは、バルクマグネットのリングの中心軸線方向に、交互に積層される。例えば、超電導バルク体112、114の間に第2平面リング122が配置され、リング状バルク体114、116の間に第2平面リング124が配置されている。積層されたリング状バルク体110と第2平面リング120とは結合または接着され、その外周に中空の金属製の外周補強リング130が嵌合される。こうして中央が貫通した、バルクマグネットが形成される。
中心軸線方向に積層されたリング状バルク体110と第2平面リング120との結合または接着は、例えば樹脂またはグリース等で行ってもよく、より望ましくは、より強固な結合力が得られる半田付けで行うのがよい。半田付けの場合、リング状バルク体110の表面にAg薄膜をスパッタ処理等により製膜し、さらに100℃〜500℃でアニール処理することが望ましい。これにより、Ag薄膜とリング状バルク体表面とがよくなじむ。半田自身にも熱伝導性を向上さる働きがあるため、半田付け処理は、熱伝導性を向上させバルクマグネット全体の温度を均一化させる観点からも望ましい。
また、このとき、電磁気的な応力に対しての補強方法として、第2平面リング120としては、半田付けが可能なアルミ合金、Ni基合金、ニクロム、ステンレス等の金属が望ましい。さらには、線膨脹係数がリング状バルク体110と比較的近く、室温からの冷却の際に僅かにリング状バルク体110に圧縮応力を作用させるニクロムがさらに望ましい。一方、クエンチによる破壊防止の観点からは、第2平面リング120として、高熱伝導度および高電気伝導度を有する銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金、銀、銀合金等の金属が望ましい。なおこれらの金属は半田付けが可能である。さらには、無酸素銅、アルミニウム、銀が熱伝導度および電気伝導度の観点から望ましい。また、半田等で結合する際、気泡の巻き込み等を抑制し半田を均一に浸透させるため、細孔を有する第2平面リング120を用いることは有効である。
このような金属からなる第2平面リング120による補強により、全体としての熱伝導率化により、バルクマグネットとしての熱的安定性が増し、クエンチが発生しにくくなり、より低温領域すなわち高臨界電流密度Jc領域での高磁場着磁が可能となる。銅、アルミニウム、銀等の金属は、電気伝導度も高いことから、局所的に超電導特性を劣化させる揺籃が発生した場合、超電導電流を迂回させる作用が期待でき、クエンチ抑制効果があると考えられる。また、このとき、クエンチ抑制効果を高めるためには、リング状バルク体と高電気伝導の第2平面リングとの界面の接触抵抗が小さいことが望ましく、リング状バルク体の表面に銀皮膜を形成した後、半田等で接合することが望ましい。
バルクマグネットの実際上の設計では、金属からなる第2平面リング120を挿入する分、超電導材料の割合が減少するため、目的とする使用条件に合わせて、第2平面リング120の割合を決定すればよい。また、上記の観点から、第2平面リング120を、強度が高い金属と熱伝導率が高い金属とを複数それぞれの割合を決めて、組み合わせて構成することが望ましい。
また、リング状バルク体110の常温引っ張り強度は60MPa程度であり、また、第2平面リング120をリング状バルク体110に貼り付けるための半田の常温引っ張り強度は、通常80MPa未満である。このことから、常温引っ張り強度が80MPa以上の第2平面リング120は、補強部材として有効である。そのため、第2平面リング120の強度は、常温引っ張り強度が80MPa以上であることが好ましい。さらに、熱伝導度が高い金属の熱伝導率としては、超電導材料内で発生した熱の伝達、吸収の観点から、20K〜70Kの温度領域で20W/(m・K)以上が望ましく、さらに望ましくは、100W/(m・K)以上が望ましい。また、第2平面リング120として、複数の種類の第2平面リングがリング状バルク体110の間に配置されている場合、当該第2平面リングのうち少なくとも1つが20W/(m・K)以上の熱伝導率を有していればよい。
また、外周補強リング130についても、クエンチ抑制効果を高めるために、高い熱伝導率を有する材質から形成してもよい。この場合、外周補強リング130には、例えば、高い熱伝導率を有する銅、アルミニウム、銀等の金属を主成分として含む材質を用いることができる。高い熱伝導率を有する外周補強リング130の熱伝導率は、超電導材料内で発生した熱の伝達・吸収の観点から、冷凍機冷却等により安定して強磁場を発生できる20K〜70Kの温度領域で20W/(m・K)以上が望ましく、さらに望ましくは、100W/(m・K)以上が望ましい。
また、外周補強リング130は、同心円状に複数のリングを配置して構成することも可能である。すなわち、対向するリングの周面同士を接するようにして全体として1つの外周補強リングを構成する。この場合、外周補強リングを構成するリングのうち少なくとも1つが20W/(m・K)以上の熱伝導率を有していればよい。
第2平面リング120および外周補強リング130の加工は、一般的な機械加工法で加工される。各リング形状のリング状バルク体110の内外周の中心軸は、発生磁場強度向上および均一性(または対称性)向上のため必要である。また、各リング状バルク体110の外周の直径および内周の直径は、設計事項であり、必ずしも一致させる必要はない。例えば、NMRまたはMRI用のバルクマグネットの場合、中心付近に磁場均一性を高めるためのシムコイル等を配置する必要が生じる場合がある。その際には、中心付近の内径を大きくし、シムコイル等を配置し易くすることが望ましい。また、外周の直径に関しても、中心部の磁場強度を増したり、均一性を向上させるため、外周部の直径を変化させ目的とする磁場強度や均一性を調整することは、有効である。
外周補強リング130の形状(外周および内周)は、リング状バルク体110の外周面が外周補強リング130の内周面に密着していればよい。また、図10には3枚のリング状バルク体からなるバルクマグネットの例を示したが、本発明の要旨は、比較的強度が低いリング状バルク体と相対的に高強度の第2平面リングとの複合材料化による高強度化であるため、より多く多層化することで複合化の効果が発揮される。リング状バルク体の厚さは、直径(外径)にも依存するが、10mm以下が望ましく、さらに望ましくは6mm以下であり、1mm以上である。バルクマグネット構造体中の端部に配置されるバルクマグネットの厚さとしては、概ね30mm以下であり、リング状バルク体の厚さが1mm以下となると、酸化物超電導体の結晶性の揺らぎによる超電導特性の劣化が起こる。また、バルクマグネット構造体中の端部に配置されるバルクマグネットの厚さとしては、概ね30mm以下であり、使用されるリング状バルク体の厚さはリング状バルク体の枚数は、3枚以上が望ましく、さらに望ましくは5枚以上である。第2平面リングは、第2平面リングを含むバルクマグネット中の第2平面リングとリング状バルク体との割合を調整し、このバルクマグネットの強度を調整するものである。これより、必要とされる強度に応じて厚さを調整すればよく、2mm以下が望ましく、さらに望ましくは1mm以下である。
以上、本実施形態に係る第1の積層体について説明した。本実施形態によれば、少なくとも積層されたリング状バルク体110の間に、第2平面リング120が配置される。特に引っ張り応力に対し、比較的低強度であるリング状バルク体110と第2平面リング120とを交互に積層させて複合材料化することで、その強度を高めることができる。さらに、第2平面リング120および外周補強リング130として熱伝導率の高い材料を用いることで、クエンチの発生も抑制できる。これにより、高い磁場強度条件下でも、リング状バルク体110の破損を防止することができ、バルクマグネット内部において十分な総磁束量を得ることができ、さらに、磁場の均一性が優れたバルクマグネット構造体を提供することができる。
(第2の形態)
次に、図11A〜図11Cに基づいて、第2の形態に係るvを説明する。図11Aは、第2の形態に係る積層体の一例を示す概略分解斜視図である。図11Bは、図11Aに示すバルクマグネット200の部分断面図である。図11Cは、第2の積層体の変形例であって、バルクマグネット200の中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。
第2の積層体200は、第1の積層体と比較して、中心軸線方向の端部に、第2平面リング220が設けられる点で相違する。図11Aに示すように、バルクマグネット200は、リング状バルク体210と、第2平面リング220と、外周補強リング230とからなる。本実施形態では、リング状バルク体210として、3つのリング状バルク体212、214、216が設けられており、第2平面リング220として、4つの第2平面リング221、223、225、227が設けられている。リング状バルク体210と第2平面リング220とは、リングの中心軸線方向に、交互に積層される。例えば図11Aに示すように、リング状バルク体212、214の間に第2平面リング223が配置され、リング状バルク体214、216の間に第2平面リング225が配置されている。
また、リング状バルク体212には、第2平面リング223が配置された側と反対側の面に第2平面リング221が設けられる。同様に、リング状バルク体216には、第2平面リング225が配置された側と反対側の面に第2平面リング227が設けられる。このとき、最端部の第2平面リング221およびもう一方の最端部の第2平面リング227と、外周補強リング230との位置関係は、図11Bに示すように、第2平面リング221、227が外周補強リング230内に収まるようにしてもよい。あるいは、図11Cに示すように、第2平面リング221、227の外径を外周補強リング230の外径と略同一として、外周補強リング230の端面を第2平面リング221、227で覆うようにしてもよい。
積層されたリング状バルク体210と第2平面リング220とは結合または接着され、その外周に中空の金属製の外周補強リング230が嵌合される。こうして中央が貫通したバルクマグネットが形成される。なお、中心軸線方向に積層されたリング状バルク体210と第2平面リング220との結合または接着は、第1の積層体の場合と同様に行ってもよい。
また、図11A〜図11Cでは、バルクマグネット200の中心軸線方向の両端部に、第2平面リング221、227を設ける例を示したが、必ずしも両端部に第2平面リング221、227を配置する必要はない。例えば図11Aの最上面にのみ第2平面リング221を配置したバルクマグネットの下に、図11Aの最下面にのみ補強部材227を配置したバルクマグネットを配置することによって、全体として最上面および最下面の両方に第2平面リング221、227を配置したバルクマグネットを構成してもよい。
以上、積層体の第2の形態について説明した。本実施形態によれば、積層されたリング状バルク体210の間および中心軸線方向の端部に、第2平面リング220が配置される。このようなリング状バルク体210と第2平面リング220とを交互に積層させて複合材料化することで、その強度を高めることができる。さらに、第2平面リング220および外周補強リング230として熱伝導度の高い材料を用いることで、クエンチの発生も抑制できる。これにより、高い磁場強度条件下でも、リング状バルク体210の破損を防止することができ、バルクマグネット内部において十分な総磁束量を得ることができ、さらに、磁場の均一性が優れたバルクマグネット構造体200を提供することができる。
なお、図11A〜図11Cでは、1つの外周補強リング230を設けた場合を示したが、本発明はかかる例に限定されず、例えば図11Dに示すように、3つのリング状バルク体212、214、216に対応して分割された3つの外周補強リング321、232、233を設けてもよい。このとき第2平面リング221、223、225、227は、外周補強リング321、232、233と外径が揃うように、リング状バルク体212、214、216よりも半径方向に延設される。
(第3の形態)
次に、図12に基づいて、第3の形態に係る積層体を説明する。図12は、第3の形態に係る積層体の一例を示す概略分解斜視図である。
第3の形態に係る積層体であるバルクマグネット300は、図12に示すように、リング状バルク体310と、第2平面リング320と、外周補強リング330とからなる。本実施形態では、リング状バルク体310として、3つのリング状バルク体312、314、316が設けられており、第2平面リング320として、4つの第2平面リング321、323、325、327が設けられている。
リング状バルク体310と第2平面リング320とは、リングの中心軸線方向に、交互に積層される。例えば図12に示すように、リング状バルク体312、314の間に第2平面リング323が配置され、リング状バルク体314、316の間に第2平面リング325が配置されている。また、リング状バルク体312には、第2平面リング323が配置された側と反対側の面に第2平面リング321が設けられる。同様に、リング状バルク体316には、第2平面リング325が配置された側と反対側の面に第2平面リング327が設けられる。なお、中心軸線方向に積層されたリング状バルク体310と第2平面リング320との結合または接着は、第1の形態に係る積層体と同様に行ってもよい。
本実施形態に係るバルクマグネット300は、第2の形態に係る積層体と比較して、図12の最上面または最下面の第2平面リング321、327のうち少なくともいずれか一方の厚みが、他の第2平面リング323、325の厚さに比べ厚くなっている。これは、着磁過程においてバルクマグネット300の上面および下面の表面に最大応力がかかるためであり、この部分を十分に補強する必要がある。本実施形態に係るバルクマグネット300のように、バルクマグネット300の最上面または最下面の補強部材321、327の厚みを大きくすることで、最大応力に耐え得る十分な強度を確保することができる。
なお、第2の形態に係る積層体と同様、例えば図12の最上面にのみ第2平面リング321を配置したバルクマグネットおよび図12の最下面にのみ補強部材327を配置したバルクマグネットをバルクマグネット構造体に配置することによって、バルクマグネット構造体全体として最上面および最下面の両方に第2平面リング321、327を配置したバルクマグネット構造体を構成してもよい。
(第4の形態)
次に、図13に基づいて、第4の形態に係る積層体を説明する。図13は、第4の形態に係る積層体の一例を示す概略分解斜視図である。
第4の形態に係る積層体であるバルクマグネット400は、リング状バルク体410と、第2平面リング420と、外周補強リング430とからなる。第4の積層体では、リング状バルク体410として、4つのリング状バルク体412、414、416、418が設けられており、第2平面リング420として、5つの第2平面リング421、423、425、427、429が設けられている。
第4の積層体であるバルクマグネット400は、第1〜第3の積層体と比較して、第2平面リング420の内径がリング状バルク体410の内径より小さくなっている。リング状バルク体410の内周面は、着磁過程において応力が集中する部分である。バルクマグネット400に割れが発生する場合、この部分から発生することが多い。第2平面リング420の内径を小さくすることにより、リング状バルク体410の内周面からの亀裂の発生を抑制する効果を高めることができる。また、第2平面リング420の内径は、その上下の各リング状バルク体410の内径が異なる場合は、より小さい方の内径より小さくする必要がある。亀裂の起点となる部分を補強することによって亀裂に対する補強効果を高めることができる。リング状バルク体410の亀裂の起点は内周面にあり、特に上面あるいは下面と内周面との交点線部分を補強することが望ましい。したがって、第2平面リング420の内径を、内径が小さい方のリング状バルク体410より小さくすることで、内径が小さいリング状バルク体410を補強することができる。さらに、第2平面リング420および外周補強リング430として熱伝導度の高い材料を用いることで、クエンチの発生も抑制できる。
(第5の形態)
次に、図14A〜図14Eに基づいて、第5の形態に係る積層体を説明する。図14Aは、第5の形態に係る積層体の一例を示す概略分解斜視図である。図14B〜図14Eは、第5の形態に係る積層体の変形例であって、バルクマグネット500の中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。
第5の積層体であるバルクマグネット500は、リング状バルク体510と、第2平面リング520と、外周補強リング530と、内周補強リング540とからなる。図14Aに示す例では、リング状バルク体510として、2つのリング状バルク体512、514が設けられており、第2平面リング520として、3つの第2平面リング521、523、525が設けられている。また、内周補強リング540として、2つの内周補強リング542、544が設けられている。
第5の積層体であるバルクマグネット500は、第1〜第4の積層体と比較して、リング状バルク体510の内周面を補強するための内周補強リング540が、リング状バルク体510の内周面に結合または接着されている点で相違する。内周補強リング540は、第2平面リング520とも結合または接着しているため、線膨脹係数がリング状バルク体510より大きな素材である場合にも、リング状バルク体510および第2平面リング520の内周面と強固に結合することができる。したがって、これらの内周面を補強することができ、割れを抑制する効果を有する。
さらに、第2平面リング520、内周補強リング540および外周補強リング530として熱伝導度の高い材料を用いることで、クエンチの発生も抑制できる。このとき、第2平面リング520および外周補強リング530は、上記第1の積層体と同様に構成することができる。また、内周補強リング540についても、クエンチ抑制効果を高めるために、例えば、高い熱伝導率を有する銅、アルミニウム、銀等の金属を主成分として含む材質を用いることができる。高い熱伝導率を有する内周補強リング540の熱伝導率は、超電導材料内で発生した熱の伝達・吸収の観点から、冷凍機冷却等により安定して強磁場を発生できる20K〜70Kの温度領域で20W/(m・K)以上が望ましく、さらに望ましくは、100W/(m・K)以上が望ましい。また、内周補強リング540は、同心円状に複数のリングを配置して構成することも可能である。すなわち、対向するリングの周面同士を接するようにして全体として1つの内周補強リングを構成する。この場合、内周補強リングを構成するリングのうち少なくとも1つが20W/(m・K)以上の熱伝導率を有していればよい。
また、このとき、リング状バルク体510の内周面と内周補強リング540の外周面とを密着させることが望ましい。また、内周補強リング540と第2平面リング520との基本的な位置関係としては、例えば図14Bに示すように、リング状バルク体510および第2平面リング520の内径を同一にして、1つの内周補強リング541を設けてもよい。
あるいは、図14Cに示すように、第2平面リング520の内径をリング状バルク体510の内径よりも僅かに小さくし、各リング状バルク体512、514、516の内周面にそれぞれ内周補強リング541、543、545を設け、各第2平面リング521、523、525の内径と内周補強リング541、543、545の内径とを同一とするようにしてもよい。内周補強リング540の肉厚が第2平面リング520の肉厚に対して大きい場合には、強度の観点から図14Cに示す構成であることが望ましい。これにより、内周補強リング540と第2平面リング520との接触面積を大きくすることができ、内周補強リング540と第2平面リング520との接続部分の強度を高めることができる。また、リング状バルク体510の内周径が異なる場合には、作業性の観点から、図14Dに示すように内周補強リング540が内周補強リング541、543、545のように分割されている方が望ましい。
なお、図14A〜図14Dでは、1つの外周補強リング530を設けた場合を示したが、本発明はかかる例に限定されず、例えば図14Eに示すように、3つのリング状バルク体512、514、516に対応して分割された3つの外周補強リング531、532、533を設けてもよい。このとき第2平面リング521、523、525、527は、外周補強リング531、532、533と外径が揃うように、リング状バルク体512、514、516よりも半径方向に延設される。
(第6の形態)
次に、図15A〜図15Cに基づいて、第6の形態に係る積層体を説明する。図15A〜図15Cは、第6の形態に係る積層体600の中心軸線に沿って切断したときの部分断面図を示す。
第6の形態に係る積層体であるバルクマグネット600は、リング状バルク体610と、第2平面リング620と、外周補強リング6300と、第2外周補強リング6310と、内周補強リング6400と、第2内周補強リング6410とからなる。図15Aに示す例では、リング状バルク体610として、5つのリング状バルク体611〜615が設けられており、第2平面リング620として、6つの第2平面リング621〜626が設けられている。
第6の積層体であるバルクマグネット600は、第1〜第5の積層体と比較して、第2平面リング620の外周端部が第2外周補強リングと外周補強リングとで結合されている点、及び、第2平面リング620の内周端部が第2内周補強リングと内周補強リングとで結合されている点で相違する。ここで、第2外周補強リング、外周補強リング、第2内周補強リング及び内周補強リングは、金属を使用できるため、金属の第2平面リングと半田等により強固に接続することが可能である。したがって、二重構造を有する第2内周補強リング、内周補強リング、第2外周補強リング、外周補強リングにより側面および上下面の二方向からリング状バルク体611〜615を強固に結合することができる。この効果によりリング状バルク体610は、周囲の第2平面リング、第2内周補強リング、第2外周補強リングと強固に結合することができ、割れを抑制する顕著な効果を有する。
さらに、第2平面リング620、二重構造の第2内周補強リング6410、内周補強リング6400および二重構造の外周補強リング6300、第2外周補強リング6310として熱伝導度の高い材料を用いることで、クエンチの発生も抑制できる。このとき、第2平面リング620および外周補強リング6300、第2外周補強リング6310は、上記第1の積層体と同様に構成することができる。また、第2内周補強リング6410、内周補強リング6400についても、クエンチ抑制効果を高めるために、例えば、高い熱伝導率を有する銅、アルミニウム、銀等の金属を主成分として含む材質を用いることができる。高い熱伝導率を有する第2内周補強リング6410、内周補強リング6400の熱伝導率は、超電導材料内で発生した熱の伝達・吸収の観点から、冷凍機冷却等により安定して強磁場を発生できる20K〜70Kの温度領域で20W/(m・K)以上が望ましく、さらに望ましくは、100W/(m・K)以上が望ましい。
また、第2内周補強リング6410、内周補強リング6400は、同心円状に複数のリングを配置して構成することも可能である。すなわち、対向するリングの周面同士を接するようにして全体として1つの第2内周補強リング6410、内周補強リング6400を構成する。この場合、第2内周補強リング6410、内周補強リング6400を構成する素材のうち少なくとも1つが20W/(m・K)以上の熱伝導率を有していればよい。
図15Bに、図15Aの変形例として、外周のみ二重リング構造による第2平面リングの外周端部の側面および上下面からの結合した場合の一例を示す。設計上、内径を確保する必要がある場合等、第2平面リングの内周端部は内周補強リング内による上下面からのみ結合する場合も考えられるためである。また、同様に、図15Cに内周のみ二重リング構造による第2平面リングの内周端部の側面および上下面からの結合した場合の一例を示す。設計上、外径の制約をある場合等、第2平面リングの外周端部は外周補強リングによる上下面からのみ結合する場合も考えられるためである。
(第7の形態)
次に、図16に基づいて、第7の形態に係る積層体を説明する。図16は、リング状バルク体610の結晶学的方位の揺らぎを示す説明図である。
リング状バルク体610は単結晶材料であることから、結晶方位の異方性が捕捉磁束密度分布の乱れ(軸対称性からのズレ)として現れる。この結晶方位の異方性を平均化するために、リング状バルク体610の結晶方位をずらしながらリング状バルク体610を積層してもよい。
複数のリング状バルク体610を積層する際、相対的な結晶軸に関し、c軸方向が各リングの内周軸と略一致するように配置すると同時にa軸の方位をずらすことが望ましい。単結晶状のREBaCu中にREBaCuOが微細分散されたリング状バルク体610は、一般に単結晶状のREBaCuの結晶方位に揺らぎを有している。c軸方向の揺らぎの大きさは、±15°程度あり、ここでいうc軸方向が各リングの内周軸と略一致するとは、単結方位のずれが±15°程度あることを意味する。a軸をずらす角度は積層枚数にもよるが、180°、90°等、4回対称にならない角度が望ましい。
このように、リング状バルク体610の結晶方位をずらしながらリング状バルク体610を積層することで、結晶方位の異方性を平均化することができる。
(第8の形態)
次に、図17A〜図17Dに基づいて、第8の形態に係る積層体を説明する。図17Aは、第8の形態に係る積層体の一例を示す概略分解斜視図である。図17B〜図17Dは、第8の形態に係る積層体のリング状バルク体710の一構成例であって、リング状バルク体710の平面図を示す。
第8の形態に係る積層体であるバルクマグネット700は、第1〜第7の積層体と比較して、酸化物超電導バルク体710が径方向に多重リング構造を有する点で相違する。多重リング構造とは、径方向に単一のリングではなく、複数のリングが同心円状に配置された構造をいう。例えば図17Bに示すように、リング状バルク体710は、内径および外径の異なる、径方向の幅が略同一であるリング状バルク体710a〜710eを、径方向に所定の隙間713を設けて同心円状に配置した五重リング構造としてもよい。
また、例えば図17Cに示すように、リング状バルク体710は、内径および外径の異なるリング状バルク体710a〜710cを、径方向に所定の隙間713を設けて同心円状に配置した四重リング構造としてもよい。このとき、リング状バルク体710cの径方向の幅が、他のリング状バルク体710a、710bの径方向の幅よりも大きくともよい。各リングの幅は設計事項である。
このような多重リング構造のリング状バルク体710を積層することによって、リング状バルク体710は、4回対称性を伴う結晶成長により超電導電流分布にも4回対称性が僅かに反映される傾向があるが、同心円の多重リング形状とすることで、着磁によって誘起される超電導電流の流路を軸対称に近づけるという作用が生ずる。この効果により、捕捉した磁場の均一性が向上する。このような特性を有するバルクマグネット700は、特に高い磁場均一性が求められるNMRやMRI応用に適している。
また、リング状バルク体710は、例えば図17Dに示すように、1つのリングに、同心円の円弧形状の隙間713を形成し、同一円周上にある隙間713の周方向に複数の継ぎ目715を設けるようにしてもよい。これにより、バルクマグネット700の組み立て作業を簡便にすることができる。
(構成D)
本発明に係るバルクマグネット構造体の他の構成として、例えば図9に示した構成Cのバルクマグネット構造体のうち、少なくとも一端側のリング状バルク体と第2平面リングが交互に積層された積層体をリング状ではなく、円柱状に形成してもよい。すなわち、円柱状酸化物超電導バルク体と円柱状の平面補強板とを交互に積層させた積層体を構成する。これにより、より高い機械強度を得ることが可能となる。
なお、円柱状に製造するのは一端側の積層体だけでなく、当該積層体側の1または複数のバルク体も円柱状としてもよい。ただし、磁場分布を均一化したい領域(磁場均一化領域)に対応するバルク体についてはリング状バルク体とする。また、円柱状に製造する一端側の部材は、円柱状酸化物超電導バルク体と円柱状の平面補強板とを交互に積層させた積層体であってもよく、円柱状酸化物超電導バルク体のみから構成してもよい。このようなバルクマグネット構造体は、例えば後述する図21Aに示すように構成することができる。
(実施例1)
実施例1では、上述した本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法により、図6に示したバルクマグネット構造体50Aを着磁した。具体的には、磁場発生装置として、室温ボア径150mmの超電導マグネット(JASTEC製 10T150)を約5Tに励磁し、着磁のための印加磁場とした。このときの印加磁場の分布は図2左側に示すような形状であった。すなわち、印加磁場の磁場強度がピークとなる位置を中心として、両側約10mmの区間で、500ppm程度の不均一な磁場分布を有していることが確認された。
一方、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散された外径60mm、内径28mm、厚さ20mmのリング状バルク体を作製した。また、同様の組織を有する外径60mm、内径36mm、厚さ20mmのリング状バルク体を2個、外径60mm、内径36mm、厚さ10mmのリング状バルク体を2個、外径60mm、内径44mm、厚さ20mmのリング状バルク体を1個作製し、各リング状バルク体にアルミ合金(A5104)製の外径80mm、内径60mmの外周補強リングを嵌め込み、図6に示すように積層してバルクマグネット構造体を作製した。このとき、アルミ製の外周補強リングとリング状バルク体との隙間にグリースを入れ、これらを接着した。
得られたバルクマグネット構造体は、冷却装置のコールドヘッド上に固定され、真空断熱容器のカバーを装着した後、100Kに冷却した。そして、バルクマグネット構造体の中心が図2左側に示した印加磁場の中心位置に一致するように、冷却装置のコールドヘッド部分を超電導マグネットの室温ボアに挿入した。その後、超電導マグネットの中心磁場が約5Tとなるよう通電し、超電導マグネットを励磁した。
超電導マグネットの励磁完了後、バルクマグネット構造体を30Kに冷却し、温度が安定した後、超電導マグネットの印加磁場を0.05T/分でゼロ磁場まで減磁し、着磁を行った(基本着磁工程)。着磁後、バルクマグネット構造体が固定された冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットのボアから引き抜き、バルクマグネット構造体の中心軸上の磁場分布を測定した。その結果を図18にA線で示す。A線で示す磁場分布は、図2左側に示した印加磁場分布と極めてよく一致していることが確認できる。
次に、冷却装置の温度制御を行う温度制御装置を用い、バルクマグネット構造体を60Kに昇温し、温度が安定した状態で、中心軸上の磁場分布を測定した。その結果を図18にB線で示している。測定結果より、僅かに磁場強度が低下している様子が確認されたので、約1時間後に再度測定したところ、図18にC線で示すように、磁場分布の中心にあった磁場強度のピークがなくなり、磁場分布は均一化されていた。これはフラックスクリープの影響によるものと考える。当該結果から、フラックスクリープによる磁場強度の低下を防止するため、素早く30Kにまで冷却し、温度が30Kで安定した状態で再度軸方向中心部の磁場分布を測定した。その結果を図18にD線で示す。図18より、印加磁場の中心の両側約10mmの区間における磁場強度の差が110ppm以内にまで均一化していることが確認できた。
このような着磁方法により、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散されたリング状バルク体を複数個が積層された構造を有するバルクマグネット構造体を、印加磁場の中心の両側約10mmの区間において500ppmの均一性を有する外部磁部分布中で着磁することによって、バルクマグネット構造体内の同区間における磁場強度の差を110ppm以内にまで均一化できることが確認できた。
(実施例2)
実施例2では、上述した本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法により、図8に示したバルクマグネット構造体50Bを着磁した。具体的には、磁場発生装置として、室温ボア径150mmの超電導マグネット(JASTEC製 10T150)を約5Tに励磁し、着磁のための印加磁場とした。このときの印加磁場の分布は、実施例1と同様、図2左側に示すような形状であった。
一方、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散された外径60mm、内径28mm、厚さ20mmのリング状バルク体を2個作製した。また、同様の組織を有する外径60mm、内径36mm、厚さ20mmのリング状バルク体を2個、外径60mm、内径36mm、厚さ10mmのリング状バルク体を2個作製し、各リング状バルク体の表面に銀成膜処理を行った。そして、各リング状バルク体にアルミ合金(A5104)製の外径80mm、内径60mm、高さ20mmまたは10mmの外周補強リング中に半田接合し、リング状バルク体を嵌め込んだ。
さらに、同様に作製した外径60mm、内径44mm、厚さ2mmのリングを8枚作製し、表面に銀成膜処理を行い、7枚の外径60mm、内径44mm、厚さ0.5mmのNiCrリング板を第1平面リングとしてリング状バルク体と交互に積層し、外径80mm、内径60mm、高さ20mmのアルミ合金(A5104)製の外周補強リング中に配置した。このとき、アルミ合金製外周補強リング、リング状バルク体、NiCr製の第1平面リングとは、半田によりそれぞれ接着した。
これらのアルミ合金製外周補強リングを用い半田接続した各バルクマグネットを図8に示すように積層し、バルクマグネット構造体を作製した。
積層して得られたバルクマグネット構造体は、冷却装置のコールドヘッド上に固定され、真空断熱容器のカバーを装着した後、100Kに冷却した。そして、バルクマグネット構造体の中心が印加磁場の中心位置に一致するように、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットの室温ボアに挿入した。その後、マグネットの中心磁場が約5Tとなるよう通電し、マグネットを励磁した。
マグネットの励磁完了後、バルクマグネット構造体を25Kに冷却し、温度が安定した後、マグネットの印加磁場を0.05T/分でゼロ磁場まで減磁し、着磁を行った(基本着磁工程)。着磁後、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットのボアから引き抜き、バルクマグネット構造体の中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場分布に対し、僅かに磁場中心部で磁場強度がピークを有する度合いが低くなり、着磁によって極僅かに均一化していることがわかった。
次に冷却装置の温度制御を行う温度制御装置を用い、バルクマグネット構造体を56Kに昇温し、温度が安定した状態で、中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、僅かに磁場強度が低下している様子が確認できたので、約1時間後に再度測定したところ、フラックスクリープの影響により、磁場中心部で磁場強度が低下し磁場分布が均一化していた。そこで、フラックスクリープによる磁場強度の低下を防止するため、素早く30Kにまで冷却し、温度が30Kで安定した状態で再度軸方向中心部の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場の中心の両側約10mmの区間における磁場強度の差が85ppm以内にまで均一化していることが確認できた。
このような着磁方法により、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散されたリング状バルク体を複数個が積層された構造を有し、かつ、第1平面リングを介して積層されたバルクマグネットを有するバルクマグネット構造体を、印加磁場の中心の両側約10mmの区間において500ppmの均一性を有する外部磁部分布中で着磁することによって、バルクマグネット構造体内の同区間における磁場強度の差を85ppm以内にまで均一化できることが確認できた。
(実施例3)
実施例3では、上述した本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法により、図19に示すリング状バルク体部51Dを有するバルクマグネット構造体50Dを着磁した。具体的には、磁場発生装置として、室温ボア径150mmの超電導マグネット(JASTEC製 10T150)を約6Tに励磁し、着磁のための印加磁場とした。このときの印加磁場の分布は、実施例1と同様、図2左側に示すような形状であった。
図19に示すリング状バルク体部51Dの作製にあたり、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散された外径60mm、内径28mm、厚さ2mmのリング状バルク体を14枚作製した。これらは、図19のリング状バルク体51a1、51f1に相当する。また、同様の組織を有する外径60mm、内径36mm、厚さ20mmのリング状バルク体を2個、外径60mm、内径44mm、厚さ20mmのリング状バルク体を2個作製した。これらは、図19のリング状バルク体51b、51e、及び、中央部のリング状バルク体51c、51dにそれぞれ相当する。また、それぞれのリング状バルク体の表面に銀成膜処理を行った。
次に、外径60mm、内径28mm、厚さ2mmのリング状バルク体を用いて、補強されたバルクマグネットを作製した。バルクマグネットの作製にあたり、外径が異なる2種類の第2平面リングとして、外径60mm、内径27.8mm、厚さ0.6mmのSUS316L板を12枚と、外径80mm、内径27.8mm、厚さ0.8mmのSUS316L板を4枚作製した。なお、図19においては、概略を示しているため、外径の異なる2種類の第2平面リングは同一形状で表され、第2平面リング51a2、51f2として示している。
また、外径80mm、内径60mm、高さ18.5mmのアルミ合金(A5104)製の外周補強リングを2個作製し、この外周補強リング中に厚さ2.0mmのリング状バルク体51a1、51f1を7枚と、外径60mmの第2平面リング51a2、51f2を6枚とを交互に積層し、さらに外径80mm、内径27.8mm、厚さ0.8mmのSUS316L板からなる第2平面リングをこれらの両端に配置することで、2組の積層体51a、51fを作製した。外周補強リングは、図19の外周補強リング53a、53fに相当する。外径80mmの第2平面リングは、外周補強リング53a、53fの両端面も覆うように配置した。そして、一つのアルミ合金(A5104)製の外周補強リング中のリング状バルク体とSUS316L製の第2平面リングとを半田により接着した。このようにしてバルクマグネット構造体50Dの両端部に配置するバルクマグネットを2個作製した。
一方、外径60mm、内径36mm、厚さ20mmの2個のリング状バルク体51b、51eおよび、外径60mm、内径44mm、厚さ20mmの2個のリング状バルク体51c、51dについては、それぞれ外径80mm、内径60mm、高さ20.0mmのアルミ合金(A5104)製の外周補強リング53b、53c、53d、53e中に半田接合により配置し、4個のバルクマグネットを作製した。
このようにして得られた6個のバルクマグネットを、図19に示すように積層して、リング状バルク体部51Dを有するバルクマグネット構造体50Dを作製した。
積層して得られたバルクマグネット構造体50Dは、冷却装置のコールドヘッド上に固定され、真空断熱容器のカバーを装着した後、100Kに冷却した。バルクマグネット構造体50Dの中心が印加磁場の中心位置に一致するように、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットの室温ボアに挿入した。その後、マグネットの中心磁場が約6Tとなるよう通電し、マグネットを励磁した。マグネットの励磁完了後、バルクマグネット構造体50Dを25Kに冷却し、温度が安定した後、マグネットの印加磁場を0.05T/分でゼロ磁場まで減磁し、着磁を行った。着磁後、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットのボアから引き抜き、バルクマグネット構造体50Dの中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場分布に対し、ほぼ同レベルの磁場分布が得られていることが分かった。
次に冷却装置の温度制御を行う温度制御装置30を用い、バルクマグネット構造体50Dを52Kに昇温し、温度が安定した状態で、中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、僅かに磁場強度が低下している様子が確認できたので、約1時間後に再度測定したところ、フラックスクリープの影響により、磁場中心部で磁場強度が低下し、磁場分布が均一化していた。そこで、フラックスクリープによる磁場強度の低下を防止するため、素早く30Kにまで冷却し、温度が30Kで安定した状態で再度軸方向中心部の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場の中心の両側約10mmの区間における磁場強度の差が45ppm以内にまで均一化していることが確認できた。
このような着磁方法により、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散されたリング状バルク体を複数個が積層された構造を有し、かつ、バルクマグネット構造体50Dの端部に第2平面リングを用いて補強されたバルクマグネットを配置することによって、6Tの強磁中においても、割れることなく、印加磁場の中心の両側約10mmの区間において500ppmの均一性を有する外部磁部分布中で着磁することによって、バルクマグネット構造体50D内の同区間における磁場強度の差を45ppmにまで均一化できることが確認できた。
(実施例4)
実施例4では、上述した本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法により、図20Aに示したバルクマグネット構造体50Eを着磁した。具体的には、磁場発生装置として、室温ボア径150mmの超電導マグネット(JASTEC製 10T150)を約7Tに励磁し、着磁のための印加磁場とした。このときの印加磁場の分布は、実施例1と同様、図2左側に示すような形状であった。
単結晶状のEuBaCu中にEuBaCuOが微細分散された外径60mm、内径29mm、厚さ2mmのリング状バルク体を14枚作製した。また、同様の組織を有する外径60mm、内径35mm、厚さ15mmのリング状バルク体を4個、外径60mm、内径44mm、厚さ2mmのリング状バルク体を8枚作製し、また、それぞれのリング状バルク体の表面に銀成膜処理を行った。
次に、外径60mm、内径29mm、厚さ2mmのリング状バルク体を用いて、補強されたバルクマグネットを作製した。バルクマグネットの作製にあたり、第2平面リングとして、外径64mm、内径26mm、厚さ0.5mmのSUS316L板を16枚作製した。また、外周補強リングとして外径80mm、内径64mm、高さ19mmのSUS316L製のリングを2個作製し、第2外周補強リングとして、外径64mm、内径60mm、高さ2mmのCu製のリングを14個作製した。さらに、第2内周補強リングとして、外径29mm、内径26mm、高さ2mmのSUS316L製のリングを14個作製し、内周補強リングとして、外径26mm、内径24mm、高さ19mmのアルミ合金(A5104)製のリングを2個作製した。このとき、1つのSUS316L製の外周補強リング中のCu製の第2外周補強リング、リング状バルク体、SUS316L製の第2平面リング、SUS316L製の第2内周補強リング、アルミ合金(A5104)製の内周補強リングを、半田によりそれぞれ接着した。
これらを図20Aのように配置することで、バルクマグネット構造体50Eの端部に配置する2個のバルクマグネットを作製した。図20Bに示したバルクマグネット構造体50Eの端部に配置する2個のバルクマグネット800は、図20Aの積層体51aと外周補強リング53aとからなるバルクマグネット、及び、積層体51gと外周補強リング53gとからなるバルクマグネットを詳細に示したものである。かかるバルクマグネット800は、外径60mm、内径29mm、厚さ2mmのリング状バルク体810、第2平面リング820、830、外周補強リング841、第2外周補強リング843、内周補強リング851、及び、第2内周補強リング853から構成されている。
さらに、図20Aに示す外径60mm、内径44mm、厚さ2mmのリング51d1の8枚に関しては、表面に銀成膜処理を行い、9枚の外径60mm、内径43.5mm、厚さ0.45mmのNiCrリング板を第1平面リング51d2と交互に積層してリング状バルク体51dとし、外径80mm、内径60mm、高さ20mmのアルミ合金(A5104)製の外周補強リング53d中に配置した。このとき、リング51d1とNiCr製の第1平面リング、アルミ合金製外周補強リング53dとリング状バルク体51dとは、半田によりそれぞれ接着した。
また、外径60mm、内径35mm、厚さ15mmの4個のリング状バルク体51b、51c、51e、51fについては、それぞれ外径80mm、内径60mm、高さ15.0mmのアルミ合金(A5104)製の外周補強リング53b、53c、53e、53f中に半田接合により配置し、4個のバルクマグネットを作製した。
このようにして得られた7個のバルクマグネットを、図20Aに示すように積層し、バルクマグネット構造体50Eを作製した。
積層して得られたバルクマグネット構造体50Eは、冷却装置のコールドヘッド上に固定され、真空断熱容器のカバーを装着した後、100Kに冷却した。バルクマグネット構造体50Eの中心が印加磁場の中心位置に一致するように、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットの室温ボアに挿入した。その後、マグネットの中心磁場が約7Tとなるよう通電し、マグネットを励磁した。マグネットの励磁完了後、バルクマグネット構造体50Eを25Kに冷却し、温度が安定した後、マグネットの印加磁場を0.05T/分でゼロ磁場まで減磁し、着磁を行った。着磁後、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットのボアから引き抜き、バルクマグネット構造体50Eの中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場分布に対し、ほぼ同レベルの磁場分布が得られていることが分かった。
次に冷却装置の温度制御を行う温度制御装置を用い、バルクマグネット構造体50Eを51Kに昇温し、温度が安定した状態で、中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、僅かに磁場強度が低下している様子が確認できたので、約1時間後に再度測定したところ、フラックスクリープの影響により、磁場中心部で磁場強度が低下し、磁場分布が均一化していた。そこで、フラックスクリープによる磁場強度の低下を防止するため、素早く35Kにまで冷却し、温度が35Kで安定した状態で再度軸方向中心部の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場の中心の両側約10mmの区間における磁場強度の差が50ppm以内にまで均一化していることが確認できた。
このような着磁方法により、単結晶状のEuBaCu中にEuBaCuOが微細分散されたリング状バルク体を複数個が積層された構造を有し、かつ、バルクマグネット構造体50Eの端部に第2平面リングを用いて補強されたバルクマグネットを配置することによって、7Tの強磁中においても、割れることなく、印加磁場の中心の両側約10mmの区間において500ppmの均一性を有する外部磁部分布中で着磁することによって、バルクマグネット構造体50E内の同区間における磁場強度の差を50ppmにまで均一化できることが確認できた。
(実施例5)
実施例5では、上述した本発明の一実施形態に係るバルクマグネット構造体の着磁方法により、図21Aに示すバルクマグネット構造体50Fを着磁した。具体的には、図21Cに示すような、磁場発生装置5と、内部にバルクマグネット構造体50Fが収容される真空断熱容器10Bと、冷却装置20と、温度制御装置30とを含んで構成される着磁システム1Bを用いて着磁を行った。図21Cに示す着磁システム1Bは、図1に示した着磁システム1と構成は同一である。バルクマグネット構造体50Fは、図21Cに示すように、円柱状のバルクマグネット側がコールドヘッド21と接触するように載置される。磁場発生装置として、室温ボア径150mmの超電導マグネット(JASTEC製 10T150)を約6Tに励磁し、着磁のための印加磁場とした。このときの印加磁場の分布は、実施例1と同様、図2左側に示すような形状であった。
単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散された外径60mm、内径29mm、厚さ2mmのリング状バルク体を7枚作製した。また、同様の組織を有する外径60mm、内径35mm、厚さ10mmのリング状バルク体を1個、また、同様の組織を有する外径60mm、内径35mm、厚さ20mmのリング状バルク体を2個作製した。さらに、同様の組織を有する外径60mm、厚さ10mmの円柱状酸化物超電導バルク体を1個作製した。
また、外径60mm、内径44mm、厚さ2mmのリング状バルク体を8枚作製し、また、それぞれのリング状バルク体の表面に銀成膜処理を行った。さらに同様の組織を有する外径60mm、厚さ2mmの円柱状酸化物超電導バルク体を7枚作製した。
次に、外径60mm、内径29mm、厚さ2mmのリング状バルク体を用いて、補強されたバルクマグネットを作製した。バルクマグネットの作製にあたり、第2平面リングとして、外径64mm、内径26mm、厚さ0.5mmのSUS314板を8枚作製した。また、外周補強リングとして外径80mm、内径64mm、高さ19mmのSUS314製のリングを1個作製し、第2外周補強リングとして、外径64mm、内径60mm、高さ2mmのCu製のリングを7個作製した。さらに、第2内周補強リングとして、外径29mm、内径26mm、高さ2mmのSUS314製のリングを7個作製し、内周補強リングとして、外径26mm、内径24mm、高さ19mmのアルミ合金(A5104)製のリングを1個作製した。このとき、1つのSUS314製の外周補強リング中のCu製の第2外周補強リング、リング状バルク体、SUS314製の第2平面リング、SUS314製の第2内周補強リング、アルミ合金(A5104)製の内周補強リングを半田によりそれぞれ接着した。このようにバルクマグネット構造体の端部に配置する1個のバルクマグネットを作製した。
また、外径60mm、厚さ2mmの円柱状酸化物超電導バルク体を用いて、補強されたバルクマグネットを作製した。バルクマグネットの作製にあたり、平面補強板として、外径64mm、厚さ0.5mmのSUS314板を8枚作製した。また、外周補強リングとして外径80mm、内径64mm、高さ19mmのSUS314製のリングを1個作製した。また、第2外周補強リングとして、外径64mm、内径60mm、高さ2mmのCu製のリングを7個作製した。
これらを図21Bのように配置することで、バルクマグネット構造体の端部に配置する1個の円柱状のバルクマグネットを作製した。図21Bに示したバルクマグネット構造体の一側の端部に配置する円柱状のバルクマグネット900は、図21Aの積層体51aと外周補強リング53aとからなるバルクマグネットを詳細に示したものである。かかるバルクマグネット900は、外径60mm、厚さ2mmの円柱状酸化物超電導バルク体910、平面補強板920、外周補強リング931、第2外周補強リング933から構成されている。
さらに、図21Aに示す外径60mm、内径42mm、厚さ2mmのリング51d1の8枚に関しては、表面に銀成膜処理を行い、9枚の外径60mm、内径43.5mm、厚さ0.45mmのSUS316リング板を第1平面リング51d2と交互に積層してリング状バルク体51dとし、外径80mm、内径60mm、高さ20mmのアルミ合金(A5104)製の外周補強リング53d中に配置した。このとき、リング51d1とNiCr製の第1平面リング51d2、アルミ合金製の外周補強リング53dとリング状バルク体51dとは、半田によりそれぞれ接着した。
このようにして得られた7個のバルクマグネットを、図21Aに示すように積層し、バルクマグネット構造体50Fを作製した。
積層して得られたバルクマグネット構造体50Fは、図21Cに示した冷却装置20のコールドヘッド21上に固定され、真空断熱容器10Bのカバーを装着した後、100Kに冷却した。バルクマグネット構造体50Fの中心が印加磁場の中心位置に一致するように、冷却装置20のコールドヘッド21部分をマグネットの室温ボアに挿入した。その後、マグネットの中心磁場が約6Tとなるよう通電し、マグネットを励磁した。マグネットの励磁完了後、バルクマグネット構造体50Fを25Kに冷却し、温度が安定した後、マグネットの印加磁場を0.05T/分でゼロ磁場まで減磁し、着磁を行った。着磁後、冷却装置のコールドヘッド部分をマグネットのボアから引き抜き、バルクマグネット構造体50Fの中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場分布に対し、ほぼ同レベルの磁場分布が得られていることが分かった。
次に冷却装置20の温度制御を行う温度制御装置30を用い、バルクマグネット構造体50Fを53Kに昇温し、温度が安定した状態で、中心軸上の磁場分布を測定した。その結果、僅かに磁場強度が低下している様子が確認できたので、約1時間後に再度測定したところ、フラックスクリープの影響により、磁場中心部で磁場強度が低下し、磁場分布が均一化していた。そこで、フラックスクリープによる磁場強度の低下を防止するため、素早く30Kにまで冷却し、温度が30Kで安定した状態で再度軸方向中心部の磁場分布を測定した。その結果、印加磁場の中心の両側約10mmの区間における磁場強度の差が80ppm以内にまで均一化していることが確認できた。
このような着磁方法により、単結晶状のGdBaCu中にGdBaCuOが微細分散されたリング状バルク体および円柱状酸化物超電導バルク体を複数個が積層された構造を有し、かつ、バルクマグネット構造体50Fの端部に第2平面リングを用いて補強されたバルクマグネットを配置することによって、6Tの強磁中においても、割れることなく、印加磁場の中心の両側約10mmの区間において500ppmの均一性を有する外部磁部分布中で着磁することによって、バルクマグネット構造体50F内の同区間における磁場強度の差を80ppmにまで均一化できることが確認できた。
なお、図21Aに示した実施例5のバルクマグネット構造体50Fは、上述したように、図21Cに示すような磁場発生装置5と、内部にバルクマグネット構造体100が収容される真空断熱容器10Bと、冷却装置20と、温度制御装置30とを含んで構成される着磁システム1Bにより着磁される。この際、コールドヘッド21上には、円柱状酸化物超電導バルク体を用いて構成された補強されたバルクマグネットが接触するようにバルクマグネット構造体50Fは配置される。また、本発明において円柱状酸化物超電導バルク体の位置は特に限定されないが、NMR等にて使用する際には、図21Cに示すように、試料挿入側はリング状バルク体とし、これと反対側のコールドヘッド21側に円柱状酸化物超電導バルク体を配置するのが好ましい。
(比較例1)
外周補強リングを用いずにバルクマグネット構造体を構成した点を除いて、実施例1と同様の条件で、着磁し、磁場分布を測定した。その結果、少なくとも中央部の51dに割れが発生し、中央部の捕捉磁束密度は、2T程度にまでで低下した。この結果から外周補強リングなしでは、5Tレベルの強磁場を捕捉することすら困難であることが確かめられた。
(比較例2)
図6の中央の51dの内径を51cおよび51eと同一にした点を除いて、実施例1と同様の条件で、着磁し、磁場分布を測定した。その結果、マグネット構造体の積層方向の中心から軸方向に10mmの範囲内の空間で、磁場均一性は500ppmであり、中心部分での磁場の均一化は見られなかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
50A、50B、50C、50D、50E、50F バルクマグネット構造体
51d 積層体
51d2 第1平面リング
100、200、300、400、500、600、700 バルクマグネット
110、210、310、410、510、610、710 リング状酸化物超電導バルク体
120、220、320、420、520、620 第2平面リング
130、230、330、430、530、6300 外周補強リング
540、6400 内周補強リング
6310 第2外周補強リング
6410 第2内周補強リング
910 円柱状酸化物超電導バルク体
920 平面補強板

Claims (15)

  1. 複数のリング状酸化物超電導バルク体と、
    複数積層された前記リング状酸化物超電導バルク体の外周面を覆うように嵌合された少なくとも1つの外周補強リングと、
    を備え、
    少なくとも一つの前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径は、当該酸化物超電導バルク体に隣接する前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きい、バルクマグネット構造体。
  2. 複数のリング状酸化物超電導バルク体と、
    複数積層された前記リング状酸化物超電導バルク体の外周面を覆うように嵌合された少なくとも1つの外周補強リングと、
    を備え、
    少なくとも一つの前記リング状酸化物超電導バルク体は、前記リング状酸化物超電導バルク体と第1平面リングとが交互に配置された積層体からなる、バルクマグネット構造体。
  3. 複数の酸化物超電導バルク体と、
    複数積層された前記酸化物超電導バルク体の外周面を覆うように嵌合された少なくとも1つの外周補強リングと、
    を備え、
    複数の前記酸化物超電導バルク体は、少なくとも1つのリング状酸化物超電導バルク体を含み、かつ、前記リング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体を積層して構成され、
    バルクマグネット構造体を構成する前記酸化物超電導バルク体のうち少なくとも1つは、前記リング状酸化物超電導バルク体と第2平面リングとが交互に配置された積層体からなり、
    前記第2平面リングは、金属からなる、バルクマグネット構造体。
  4. 前記リング状酸化物超電導バルク体のうち積層方向中央部に位置する中央酸化物超電導バルク体の内周径は、当該中央酸化物超電導バルク体に隣接する前記リング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  5. 前記隣接するリング状酸化物超電導バルク体の内周径よりも大きいリング状酸化物超電導バルク体の積層方向(Z軸方向)高さが10mmから30mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  6. バルクマグネット構造体の積層方向端部のうちいずれか一方には、円柱状酸化物超電導バルク体が配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  7. 前記第2平面リングと積層体を構成する前記リング状酸化物超電導バルク体の厚さは10mm以下である、請求項3〜6のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  8. 前記酸化物超電導バルク体と前記外周補強リングとの間に、第2外周補強リングを備える、請求項3〜7のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  9. 前記リング状酸化物超電導バルク体は、内部に内周補強リングを備え、前記リング状酸化物超電導バルク体と前記内周補強リングとの間に、第2内周補強リングを備える請求項3〜8のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  10. 前記酸化物超電導バルク体は、単結晶状のREBaCu中にREBaCuO(REは希土類元素から選ばれる1種又は2種以上の元素。6.8≦y≦7.1)が分散された組織を有する酸化物を含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体。
  11. バルクマグネット構造体の着磁方法であって、
    前記バルクマグネット構造体は、少なくとも1つのリング状酸化物超電導バルク体を有し、かつ、前記リング状酸化物超電導バルク体または円柱状酸化物超電導バルク体を積層して構成され、
    前記バルクマグネット構造体の温度を調整する温度制御装置および前記バルクマグネット構造体に磁場を印加する磁場発生装置により、前記バルクマグネット構造体の超電導状態が維持されている状態で、前記磁場発生装置により、前記バルクマグネット構造体に印加される印加磁場の強度を減じる基本着磁工程を含み、
    当該基本着磁工程の後、前記バルクマグネット構造体の軸方向における少なくとも一部の領域の磁場分布が着磁前の印加磁場分布よりも均一となる磁場均一化領域となるように、前記温度制御装置または前記磁場発生装置のうち少なくともいずれか一方を制御して、前記バルクマグネット構造体を着磁する、バルクマグネット構造体の着磁方法。
  12. 前記基本着磁工程の後、前記バルクマグネット構造体の温度を保持または所定の温度まで昇温し、前記磁場均一化領域の磁場分布の均一性を向上させる第1温度調整工程と、
    前記第1温度調整工程の後、前記バルクマグネット構造体を降温する第2温度調整工程と、
    を含む、請求項11に記載のバルクマグネット構造体の着磁方法。
  13. 前記磁場発生装置による着磁前の前記バルクマグネット構造体の軸方向における印加磁場分布は、磁場中心部で上に凸または下に凸であり、
    前記第1温度調整工程において、少なくとも前記バルクマグネット構造体の中央部分に配置された前記リング状酸化物超電導バルク体の超電導電流分布を変化させる、請求項12に記載のバルクマグネット構造体の着磁方法。
  14. 前記第1温度調整工程において、前記バルクマグネット構造体の中央部分に配置された前記リング状酸化物超電導バルク体を、当該リング状酸化物超電導バルク体全体に超電導電流が流れるフル着磁状態にする、請求項13に記載のバルクマグネット構造体の着磁方法。
  15. 真空容器内に収容された前記請求項1〜10のいずれか1項に記載のバルクマグネット構造体と、
    前記バルクマグネット構造体を冷却する冷却装置と、
    前記バルクマグネット構造体の温度を調整する温度制御装置と、
    を含む、NMR用マグネットシステム。
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