JP6119851B2 - 酸化物超電導バルクマグネット - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物超電導バルクマグネットに関するものである。
REBa2Cu3O7-x(REは、希土類元素またはそれらの組み合わせを示す。)相中にRE2BaCuO5相が分散した酸化物超電導材料は、高い臨界電流密度(Jc)を有する。このため、磁場中の冷却やパルス着磁により励磁され、酸化物超電導バルク(塊)状で使用可能である。例えば、特許文献1には、このような酸化物超電導材料(酸化物超電導バルクマグネット)を超電導モーター等に使用できる超電導磁場発生装置が開示されている。
非特許文献1には、磁場中の冷却により着磁した直径36mmの円柱形Sm系超電導バルクマグネットが、最大1.5T程度の磁場を発生できることが開示されている。
非特許文献2には、Y系バルク超電導材料を用い、パルス着磁と磁場中冷却による着磁とを比較検討していることが開示されている。
非特許文献3には、超電導マグネット中で直径約60mmのバルク超電導材料を用い、40Kにおいて約4.5Tの磁場を発生できることが開示されている。
このようにRE(希土類元素)系バルク超電導材料のパルス着磁に関しては、特許文献1において磁束跳躍をともなうパルス着磁が開示され、また、非特許文献2、非特許文献3等においては冷却方法も含めた着磁方法が開示されている。
最近では、特許文献4において、低磁場で高い臨界電流密度(Jc)特性を有するリング状のバルク超電導体(REIIBa2Cu3O7-x)の内側に、高磁場で高いJc特性を有する円柱状のバルク超電導体(REIBa2Cu3O7-x)を配置することにより、低磁界から高磁界まで大きな捕捉磁界を得られる超電導バルクマグネットが開示されている。なお、この超電導バルクマグネットの着磁は、静磁場下で行われている。
特許文献5には、組成の異なる(即ち、超電導特性の異なる)二種類または三種類のRE(希土類元素)系超電導バルクマグネットを配置することにより、低磁界から高磁界まで大きな捕捉磁界が得られる超電導バルクマグネットが開示されている。(特許文献5の図1、図5及び図8参照)。具体的には、臨界電流密度特性の異なる二種類(または三種類)の超電導バルクマグネットを用い、周辺部に低磁場で大きい臨界電流密度を有するマグネットを配置し、磁場強度が高くなる中心部には高磁場で高い電流密度を有するマグネットを配置する。これにより、全体として強い磁場発生が可能になる。着磁方法として、静磁場着磁法及びパルス着磁法が記載されている。
特許文献6に記載された酸化物超電導材料は、原料を節約し、かつ、軽量化のために複数個の中空酸化物超電導バルクマグネットを複合化したものである。この超電導バルクマグネットの着磁に関しては、液体窒素中に浸漬して超電導状態にし、外部から磁界を印加して超電導体に磁束線をトラップさせて永久磁石とする方法、即ち、静磁場着磁方法が記載されている。
特許文献7には、パルス着磁時の発熱による特性低下を解消するため、超電導体の間に冷媒の流路を設け、パルス着磁時の捕捉磁束特性を改善することが開示されている。
特許文献8には、リング状の超電導バルクマグネットを入れ子状に配置することにより、パルス着磁時の電流パス(電流経路)を制御し、同心円状に近い均一な着磁を可能にすることが開示されている。
特許文献9には、特許文献8と同様の目的で、継ぎ目を一箇所以上有する多重リング状の超電導バルク板を積層することによって電流パスを制限し、パルス着磁によって均一な捕捉磁場分布が得られることが開示されている。
以上のように、RE系(RE-Ba-Cu-O系)酸化物超電導バルクマグネットでは、酸化物超電導バルクマグネットの構成や着磁方法および外周リング補強等によるフープ力による割れの防止によって、磁場強度の向上が図られている。
特開平6−20837号公報 特開平6−168823号公報 特開平10−12429号公報 特開2001−358007号公報 特開平9−255333号公報 特開平7−211538号公報 特開2006−319000号公報 特開2011−142303号公報 特開2011−199298号公報 特開平11−284238号公報 特開平11−335120号公報 特開2000−178025号公報 特開2001−10879号公報 特開平7−182934号公報
生田他;日本応用磁気学会誌 Vol.23, No.4-1,(1999)p.885 Y,Itoh et al., Jpn J. Appl. Phys., Vol34、 5574(1995) 森田他;日本応用磁気学会誌 Vol19, No3. (1995)p.744 成木他;低温工学 40巻7号 2005年 手嶋他:低温工学 46巻3号 2011年 H.Ikutaら,Advances in superconductivity XII p658 T.Yamada ; Physica C392-396 (2003)623-627
REBa2Cu3O7-x相(123相)中にRE2BaCuO5相(211相)が分散した酸化物超電導バルクマグネットは、着磁することによって超電導状態で永久磁石のような磁場発生源として機能する。発生する磁場の強度は、超電導バルクマグネットの大きさおよび臨界電流密度に概ね比例する。例えば、図3に示すような円柱状の超電導バルクマグネットの場合、静磁場着磁で高い磁場強度が着磁することによって、円柱表面の中心の磁場強度は、直径(D)と臨界電流密度(Jc)とに比例する。臨界電流密度Jcは、超電導バルクマグネットの冷却温度によって変化し、一般に低温であるほど高い臨界電流密度Jcを有する。例えば、直径45mm、厚さ15mmの銀添加Gd系バルク超電導材であって、その外周部分をステンレスリングで補強することによって、77Kで1.8T、70Kで3.8T、60Kでは、7.0Tの磁場発生が報告されている(非特許文献5)。すなわち、より低温での着磁によって、より高強度の磁場を発生する超電導バルクマグネットとすることができる。
従来、この様な円柱状又はリング状の超電導バルクマグネットの外周に室温状態で金属リングを嵌めこみ、着磁温度に冷却し、熱膨張係数の違いを利用することにより、超電導バルクマグネットに捕捉した磁場によって発生するフープ力を抑え込み、超電導バルクマグネットの割れを防止していた。この方法により直径30mm以上の比較的大型で磁束密度が6〜9T程度の超電導バルクマグネットの報告がなされている。しかし、このレベルの磁場強度においても、超電導バルクマグネットの割れの報告もある(非特許文献6および7)。特に直径50mmを超える大型の超電導バルクマグネットの低温領域(特に20〜50K)における割れ防止のための補強技術は未完成の状態にあった。
特許文献10には、円柱状の超電導バルクマグネットの外周に金属リングを配置し、超電導バルクマグネットとリングとの間に樹脂を充填する方法が開示されている。
特許文献11には、高い寸法精度で超電導バルクマグネットの外周径と金属補強リングの内周径とを加工し、リングと超電導バルクマグネットとの間の僅かな隙間に樹脂を充填する方法が開示されている。
特許文献12及び13には、超電導バルクマグネット中のミクロなクラックに樹脂を含浸させた上で、超電導バルクマグネットの周囲に補強用の樹脂を配置する方法が開示されている。
特許文献14には、角型の外周支持用高強度材料をリング状の超電導バルクマグネットの外周部に配置する方法が開示されている。特に特許文献14の図2には、リング状超電導バルクマグネットの内部全体に内周支持用高強度材料が配置された超電導バルクマグネットが開示されている。
これらの補強法であっても、直径50mm以上の比較的大型の超電導バルクマグネットが50K未満の低温領域でフル着磁(超電導バルクマグネット全体が臨界状態に着磁された状態)の場合、5T以上の高強度磁場の発生に対しては不十分である。現時点では再現性よく安定した補強方法は得られていない。これは、もともと酸化物超電導バルクマグネットの強度は70MPa程度と低いため、外周補強だけでは不十分であるからである。
より具体的には、円柱状またはリング状の超電導バルクマグネットをフル着磁した場合、マグネット表面の磁場強度部分布は、図3(a)に示すようになる。つまり、円柱形状では、図3(b)に示すようにほぼ表面の中心にピークを有する三角錐の形状になる。図4(a)に示すようなリング形状の場合は、図4(b)に示すように内周に対応する部分が上面となった円錐台状の分布になる。そして、それぞれの場合、最大引っ張り応力が作用する位置は、円柱の場合は中心であり、リング状の場合はリングの内周側面(内周部)になる。そして、割れが発生する場合、それぞれの最大応力となる位置が割れの起点となることが多い。例えば、円柱形状の場合、外周から金属リングにより圧縮応力が加わり、中心部ではその圧縮応力が弱まるため、フープ力が最大となる中心が割れの起点となる。すなわち、外周に配置した金属リングからの圧縮応力が同じ場合、円柱の径が大きくなればなるほど中心部に及ぼす金属リングからの応力は小さくなる。
特許文献10には、超電導バルクマグネットの周囲に配置された支持部材による種々の形状の超電導バルクマグネットの補強方法が示されている。が、高強度の金属リングにより外周補強されたリング状の超電導バルクマグネット、およびその内側に中心コア材が入れ子状に配置・補強された超電導バルクマグネットについては何も開示されていない。また、リング状超電導バルクマグネットを内周側から補強する方法に関しても、何も示唆されていない。
特許文献11にも、円柱または円筒状の超電導バルクマグネットの周囲を高強度の金属リングにより補強する方法は開示されているが、高強度の金属リングにより外周補強されたリング状の超電導バルクマグネット、および中心コア材が入れ子状に配置・補強された超電導バルクマグネットについては何も開示されていない。また、リング状超電導バルクマグネットを内周側から補強する方法に関しても、何も示唆されていない。
特許文献12及び13には、樹脂含浸層および樹脂含浸された布の密着被覆層により補強され、腐食劣化に対して強い酸化物超電導体に関して開示されている。しかし、外周に高強度の金属リング補強されたリング超電導バルクマグネット、および中心コア材が入れ子状に配置・補強された超電導バルクマグネットについては何も開示されていない。また、リング状超電導バルクマグネットを内周側から補強する方法に関しても、何も示唆されていない。
特許文献14には、貫通路を有する超電導バルクマグネットの周囲を高強度材料で覆ったことを特徴とする超電導バルクマグネットが開示されている。しかし、高強度の金属リングにより外周補強されたリング超電導バルクマグネット、および中心コア材が入れ子状に配置・補強された超電導バルクマグネットについては何も開示されていない。また、リング状超電導バルクマグネットを内周から補強する方法に関しては、特許文献14の図2に内周部をすべて埋める高強度補強材による補強方法が開示されている。しかし、有効に使用可能な内部磁場空間が得られるように、リング状補強材によって補強することに関しては何も示唆されていない。
特許文献8には、入れ子状に配置したリング超電導バルクマグネットおよび中心コア材の隙間に半田を注入して一体化した超電導バルクマグネットが開示されている。しかし、高強度の金属リングにより外周補強されたリング状の超電導バルクマグネット、および中心コア材が入れ子状に配置され、補強された超電導バルクマグネットについては何も開示されていない。また、リング状超電導バルクマグネットを高強度の金属リングにより内周側から補強する方法に関しても、何も示唆されていない。
特許文献9には、リング形状に近い継ぎ目を有する同心円状リングの隙間に半田を埋め一体化した超電導バルクマグネットが開示されている。しかし、各超電導バルクマグネットは継ぎ目を有するため、金属リングによる補強は困難である。すなわち高強度の金属リングにより外周補強されたリング状の超電導バルクマグネット、および中心コア材が入れ子状に配置され、補強された超電導バルクマグネットについては何も開示されていない。また、リング状の超電導バルクマグネットを金属リングにより内周側から補強する方法に関しても、何も示唆されていない。
非特許文献4のFig.1(b)に、直径48mm、内径24mm、高さ21mmのリング状超電導バルクマグネットのリング内部に、外径24mm、肉厚1.0mmのアルミニウムリングおよび直径22mmの円柱状バルク試料を挿入し、隙間の全周にエポキシ樹脂を充填した超電導バルクマグネットが記載されている。そして、このマグネットは、従来の外周リングのみを施したもの(Fig.1(a)参照)に比べ割れやすいことが示されている。しかしながら、外周を補強されたリング状超電導バルクマグネットまたは外周と内周とを補強されたリング状超電導バルクマグネットを入れ子状に配置し隙間の一部のみに樹脂、グリース、半田を充填した超電導バルクマグネットに関しては一切開示されていない。
この様にこれらの特許文献8〜14に記載された補強法は、直径50mm以上の比較的大型材の超電導バルクマグネットが50K未満の低温領域でフル着磁(超電導バルクマグネット全体が臨界状態に着磁された状態)する場合や、5T以上の高強度磁場の発生する場合には不十分であり、再現性よく安定した補強方法は得られていない。これは、もともと超電導バルクマグネットの強度はせいぜい70MPa程度と低いため、外周補強だけでは不十分であるためである。
本発明は、REBa2Cu3O7-x相中にRE2BaCuO5相が分散した酸化物超電導バルクマグネットであって、大型(特に直径50mm以上)であっても着磁時(温度50K未満で5T以上の磁場発生時)であっても割れない酸化物超電導バルクマグネットを提供することを目的(課題)とする。なお、本明細書において、REBa2Cu3O7-x相中にRE2BaCuO5相が分散した酸化物超電導バルクマグネットのことを単に超電導バルクマグネットと呼ぶ。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、以下の知見を得た。
即ち、リング状の超電導バルクマグネットの場合、外周部及び内周部を補強材で補強することによって、最大応力が発生する内周部を補強し、より高い磁場を超電導バルクマグネット内部に捕捉できることを見出した。これは捕捉磁場によってリング状の超電導バルクマグネットの内周部にはリングを引き裂く方向の応力が加わるものの、内周部に補強材を直接挿入することにより、このリングを引き裂く方向の応力に対して補強できるからである。
実際には、一個のリング状超電導バルクマグネットの内周面を補強する場合、精密な加工技術を要することや加工の労力およびコストが必要になる可能性がある。さらに、内周に嵌める補強材の厚さ分だけ磁場空間が小さくなるため、このような補強方法は考えられていなかったものと思われる。
一方、円柱およびリング状超電導バルクマグネットの軸方向には大きな応力が発生しないため、平面部分(外周面および内周面以外の面)には補強材を配置する必要はない。補強材を積層又はギャップを設けて配置すると有効な磁場空間が狭くなるため、むしろ、軸方向には補強材がない方が望ましい。
また、複数のリング状超電導バルクマグネットを入れ子状に組み合わせた場合、各リング状超電導バルクマグネットおよび中心コア部分の超電導バルクマグネットに補強材を配置して補強することによって、最大応力となる中心部を効果的に補強できることを知見した。
円柱状の超電導バルクマグネットを、例えば、外周リング部と中心コア部とに加工しそれぞれに金属リングを施して補強することは、精密な加工技術を要する。さらに、中心コア部に嵌める補強リングの厚さ分、超電導材料の実効的な径を小さくすることもあり、これまで本発明のような補強方法は考えられていなかったものと思われる。
本発明はこれらの知見により成されたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)REBa 2 Cu 3 O 7-x 相中にRE 2 BaCuO 5 相が分散したリング状の酸化物超電導バルクマグネットであって、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの外周部にリング状の補強材が配置され、かつ、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの内周部にリング状の補強材が配置され、かつ、前記外周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数と、リング状の酸化物超電導バルクマグネットの線膨張係数と、前記内周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数とが、以下の関係である場合を除き、さらに、前記外周部に配置されたリング状の補強材と前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの隙間には、樹脂、グリース、半田の少なくとも1種が、少なくとも隙間の一部に充填されており、かつ、前記内周部に配置されたリング状の補強材と前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの隙間には、樹脂、グリース、半田の少なくとも1種が、少なくとも隙間の一部に充填されていることを特徴とする(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
外周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数 > リング状の酸化物超電導バルクマグネットの線膨張係数 > 内周部に配置された(リング状の)補強材の線膨張係数
ただし、REは希土類元素またはそれらの組み合わせを示し、xは酸素欠損量を示し、0<x≦0.2の関係を満たす。
(2)前記酸化物超電導バルクマグネットは、着磁により5T以上の磁束密度を発生でき、外径が50mm以上の酸化物超電導バルクマグネットであることを特徴とする(1)に記載の(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
(3)室温から77Kへ冷却した時の前記外周部の補強材の熱収縮率が0.16%以上であり、さらに、前記内周部の補強材の熱収縮率が−0.09%以上、0.39%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
(4)室温から77Kへ冷却した時の前記内周部の補強材熱収縮率が−0.05%以上、0.30%以下であることを特徴とする(3)に記載の(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の(リング状の)酸化物超電導バルクマグネットの内側に、円柱状の酸化物超電導バルクマグネット、又は、リング状の補強材が外周部に配置された円柱状の酸化物超電導バルクマグネットが配置され組み合わせて構成され、
前記内周部に配置されたリング状の補強材と前記円柱状の酸化物超電導バルクマグネットとの隙間には、又は、前記内周部に配置されたリング状の補強材と前記円柱状の酸化物超電導バルクマグネットの外周部の補強材との隙間には、樹脂、グリース、または半田の少なくとも1種が、少なくとも隙間の一部に充填されていることを特徴とする(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のリング状の酸化物超電導バルクマグネットの内側に、リング状の補強材を外周部および内周部に配置したリング状の酸化物超電導バルクマグネットを1または2以上を配置し組み合わせて構成されていることを特徴とする(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
(7)前記内周部の補強材に雌ネジ加工が施され、かつ、これに対向して配置されたリング状の酸化物超電導バルクマグネットの外周部の補強材に雄ネジ加工が施され、前記ネジ加工が施された内周部の補強材と外周部の補強材とがネジにより結合されていることを特徴とする(6)に記載の(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット。
(8)前記内周部の補強材と、これに対向して内側に配置されたリング状の酸化物超電導バルクマグネットの外周部の補強材との隙間の少なくとも一部に、樹脂、グリース、または半田のうち少なくともいずれかが充填されていることを特徴とする(6)に記載の(リング状の)酸化物超電導バルクマグネット
本発明によれば、着磁により、高磁場を安定に発生することができる酸化物超電導バルクマグネットを提供できる。また、割れクラックが発生しにくいため、対称性・均一性に優れた着磁が可能な酸化物超電導バルクマグネットを提供できる。さらに、入れ子状に超電導体が配置されているためパルス着磁法によっても高磁界を発生する酸化物超電導バルクマグネットをより簡便に実現し得ることから、通常の永久磁石では得られない高磁界を
利用でき、その工業的効果は甚大である。
コアの円柱状超電導バルクマグネットおよびリング状超電導バルクマグネットそれぞれに金属補強材が補強された状態で冷却した場合の応力の分布を示す図である。 円柱状超電導バルクマグネットの外周にのみリング状の金属補強材が補強された状態で冷却した場合の応力の分布を示す図である。 円柱状超電導バルクマグネットの形状と捕捉磁場分布との関係を示す図である。図3(a)は円柱状超電導バルクマグネットの電流パスを示す概念図である。図3(b)は円柱状超電導バルクマグネットの上面の磁場強度分布を示す概念図である。 リング状超電導バルクマグネットの形状と捕捉磁場分布との関係を示す図である。図4(a)はリング状超電導バルクマグネットの形態を示す概念図である。図4(b)はリング状超電導バルクマグネットの上面の磁場強度分布を示す概念図である。 実施例1で作製した試料AB及び試料Cの構造を示す図である。図5(a)は試料ABを、図5(b)は試料Cの構造を示すを示す概念図である。 実施例2で作製した試料D、試料E及び試料Fの構造を示す図である。図6(a)は試料Dを、図6(b)は試料Eを、図6(c)は試料Fの構造を示す概念図である。 実施例3で作製した試料HG及び試料Iの構造を示す図である。図7(a)は試料HGを、図7(b)は試料Iの構造を示す概念図である。 実施例4で作製した試料KJ及び試料Lの構造を示す図である。図8(a)は試料KJを、図8(b)は試料Lの構造を示す概念図である。
超電導バルクマグネットの割れを防ぐための効果的な補強方法は、最も大きな応力が作用する部分の近傍を補強することである。例えば、全体形状が円柱状の超電導バルクマグネットの場合、図1に示すように、外周部以外に内部に組み込まれた円柱状超電導バルク体の外周部を補強することが有効である。同一外径の円柱状バルク材では、図2に示すように中心部は外周部の補強材からの圧縮応力が小さくなり補強効果が低下する(図1、2中の矢印は外周部補強材による応力の大きさを概念的に表す)。また、図3に示すように円柱状の超電導バルクマグネットを十分大きな磁場で着磁した場合、応力の最大点は中心となる(図3(b))。そのため、より中心部分に近い部分を図1のように補強することは極めて有効である。また、例えば、全体形状がリング状の超電導バルク体の場合、十分な磁場で着磁した時の最大応力点は、図4に示すように内周部(内周面(内周表面ともいう))になる(図4(b))。したがって、内周部を補強材等により補強することは極めて有効である。
以上のことから本発明者らは、着磁により5T以上の磁束密度を発生できる外径が50mm以上の、RE-E-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネットを高効率に補強するにはどのような補強構造を取るべきかを鋭意検討した。その結果、従来は外周部にのみリング状の高強度金属を補強していたのに対して、最大応力点となるリング状酸化物超電導バルクマグネットの内周部を補強材で直接補強することを見出した。さらに、外周を補強したリング状酸化物超電導バルクマグネットを入れ子状に組み合わせて配置することによって、円柱状の超電導バルクマグネットを形成し、最大応力点となる中心部を効率良く補強できることも見出した。
本発明で用いるRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネットは、超電導体相である。単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(123相)(以下本明細書において、単に「123相」と呼ぶ場合がある。)中に、非超電導相であるRE2BaCuO5相(211相)(以下本明細書において、単に「211相」と呼ぶ場合がある。)が微細分散した組織を有するものである。ここで、単結晶状というのは、完璧な単結晶でなく、小傾角粒界等の実用に差支えない欠陥を有するものも包含するという意味である。いわゆる疑単結晶である。
また、単結晶状(擬単結晶)としているのは、単結晶の123相中に211相が微細に(例えば、1μm程度に)分散した結晶相であるからである。REBa2Cu3O7-x相(123相)及びRE2BaCuO5相(211相)における”RE”は、希土類元素を示し、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる希土類元素又はそれらの組み合わせである。また、La、Nd、Sm、Eu、Gdを含む123相は1:2:3の化学量論組成から外れ、REのサイトにBaが一部置換した状態になることもある。このBaが一部置換したものも、本発明のREBa2Cu3O7-x相(123相)に含まれるものとする。
また、非超電導相であるRE2BaCuO5相(211相)においても、La、Ndは、Y、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luとは幾分異なり、金属元素の比が非化学量論的組成であったり、結晶構造が異なっていたりすることが知られている。しかし、その場合も本発明のRE2BaCuO5相(211相)に含まれるものとする。
また、REBa2Cu3O7-x相のxは、酸素欠損量であり、0<x≦0.2の関係を満たす。酸素欠損量xがこのような範囲にあると、REBa2Cu3O7-x相が超電導体として超電導性を示すからである。
前述のBa元素の置換は、臨界温度を低下させる傾向がある。また、より酸素分圧の小さい環境においては、Ba元素の置換が抑制される傾向にあることから、大気中よりはむしろ、アルゴン又は窒素中に酸素を微量混合した0.1〜1%酸素雰囲気内で、結晶成長を行うことが望ましい。また、RE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネット中に銀を含有することにより、機械的強度及びJc特性が増加する傾向があるため、銀を5〜20質量%含有することがより望ましい。この時123相は1:2:3の化学量論組成から外れ、CuのサイトにAgが一部置換した状態になることもあるが、本発明の123相に含まれるものとする。
123相は、211相とBaとCuとの複合酸化物からなる液相との包晶反応によりできる。すなわち、211相+液相(BaとCuとの複合酸化物)→123相という反応である。そして、この包晶反応により、123相ができる温度(Tf:123相生成温度)は、ほぼRE元素のイオン半径に関連し、イオン半径の減少に伴いTfも低くなる。また、低酸素雰囲気及び銀添加に伴い、Tfは低下する傾向にある。
単結晶状の123相中に211相が微細分散した酸化物超電導バルクマグネットは、123相が結晶成長する際、未反応の211粒が123相中に取り残されるためにできる。
すなわち、前記酸化物超電導バルクマグネットは、211相+液相(BaとCuの複合酸化物)→123相+211相で示される反応によりできる。前記酸化物超電導バルクマグネット中の211相の微細分散は、臨界電流密度(Jc)向上の観点から極めて重要である。Pt、Rh又はCeの少なくとも一つを微量添加することにより、半溶融状態(211相と液相からなる状態)での211相の粒成長を抑制し、結果的に材料中の211相を約1μm以下に微細化する。添加量は、微細化効果が現れる量及び材料コストの観点から、Ptで0.2〜2.0質量%、Rhで0.01〜0.5質量%、Ceで0.5〜2.0質量%が望ましい。添加されたPt、Rh、Ceは123相中に一部固溶する。また、固溶できなかった元素は、BaやCuとの複合酸化物を形成し、材料中に点在することになる。
また、前記酸化物超電導バルクマグネットは、磁場中においても高い臨界電流密度(Jc)を有する必要がある。この条件を満たすには、超電導的に弱結合となる大傾角粒界を含まない単結晶状の123相が有効である。さらに高いJc特性を有するためには、磁束の動きを止めるためのピンニングセンターが有効である。
このピンニングセンターとして機能するものが微細分散した211相であり、より細かく多数分散していることが望ましい。また、211相等の非超電導相は、劈開し易い123相中に微細分散することによって、超電導体を機械的に強化し、超電導バルクマグネットとして成り立たす重要な働きをも担っている。
123相中の211相の割合は、Jc特性及び機械強度の観点から、5〜35体積%が好ましい。また、前記酸化物超電導バルクマグネット中には、50〜500μm程度のボイド(気泡)を5〜20体積%含むことが一般的であり、さらに銀添加した場合、添加量によって10〜500μm程度の銀又は銀化合物を0体積%超25体積%以下の場合を含む。
また、結晶成長後の前記酸化物超電導バルクマグネットの酸素欠損量は、0.5程度で半導体的な抵抗率の温度変化を示す。これを各RE系により350℃〜600℃で100時間程度、酸素雰囲気中においてアニールすることにより酸素が材料中に取り込まれ、酸素欠損量は0.2以下となり、良好な超電導特性を示す。
上記超電導材料からなるリング状酸化物超電導バルクマグネットをフル着磁した場合、図4(b)に示すように応力最大点はリングの内周部(内周表面)になる。しかしながら従来は、図2に示すように外周部(外周表面)の金属22だけで補強していたため、円柱状の酸化物超電導バルクマグネット21の外周部の補強材から受ける応力は、中心部で弱くなっていた。
したがって、この内周部(内周表面)をリング状の高強度の補強材を配置し、直接補強することにより、リング状酸化物超電導バルクマグネットの強度は向上する。そこで、図1に示すように、リング状酸化物超電導バルクマグネット1の外周部に配置したリング状の高強度の補強材2で補強するとともに、内周部にも配置したリング状の高強度の補強材3で補強することにより、応力が集中する中心部を十分に補強できるようになる。そのため、着磁により高磁場を発生させてもリング状酸化物超電導バルクマグネットが前記応力により割れることがなくなる。また、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの外周部と前記外周部に配置したリング状の補強材2との隙間、及び、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの内周部と内周部に配置したリング状の補強材3との隙間に、それぞれ樹脂、グリース、半田等の少なくとも1種類を充填させ、補強材を固定することにより、さらに補強効果を発揮することができる。
外径が50mm未満のリング状酸化物超電導バルクマグネットで、着磁により5T未満の磁束密度を発生させる場合、内周部に集中する応力が必ずしも大きくないため、内周部に補強材を設けることは必ずしも必要ではない。しかし、外径が50mm以上のリング状酸化物超電導バルクマグネットで、着磁により5T以上の磁束密度を発生させる場合、内周部に集中する応力が無視できなくなる。そこで、本発明は着磁により5T以上の磁束密度を発生できる外径が50mm以上のリング状酸化物超電導バルクマグネットに適用することが好ましい。
リング状酸化物超電導バルクマグネットの外周部を補強する補強材の室温から77Kへ冷却した時の熱収縮率は、超電導材料の熱収縮率が約0.16%であることから0.16%以上であることが好ましい。
リング状酸化物超電導バルクマグネットの内周部を補強材で補強する場合、補強材の室温から77Kへ冷却した時の熱収縮率は、マグネットの内径が10mm以上の場合、−0.09%以上、0.39%以下であることが好ましい。内周部を補強するリング状の高強度の補強材としては、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などが挙げられる。もちろん金属を用いてもよい。
前記内周部の補強材の熱収縮率が−0.09%より小さい場合、酸化物超電導バルクマグネットと補強材の熱収縮率の差が大きくなり、補強材と超電導バルクマグネットとの間に隙間が生じる。そのため、補強効果が著しく低減し、割れ易くなるため好ましくない。また、反対に前記内周部の補強材の熱収縮率が0.39%超の場合も酸化物超電導バルクマグネットの内周部と補強材の熱収縮率の差が大きくなり、補強材と酸化物超電導バルクマグネットとの間に隙間が生じやすくなり、補強効果が著しく低減し、割れ易くなるため好ましくない。
また、リング状酸化物超電導バルクマグネットの内径が25mm以上の場合は、補強材とマグネットとの界面の長さが大きくなるため、上記と同様の理由から、内周部の補強材の室温から77Kへ冷却した時の熱収縮率が−0.05%以上、0.30%以下であるとより好ましい。
外周部と内周部とに補強材を配置し、補強した前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの内側に、外周部と内周部に補強材を配置して補強されたリング状酸化物超電導バルクマグネットを入れ子状(同心円状)に配置し組み合わせることができる。これにより、発生磁場強度、磁束密度をさらに高めるとともに、全体の強度を高め、確実に割れを防止できる。入れ子状に配置するマグネットは1個でもよいが、必要に応じて複数にしてもよい。リング状酸化物超電導バルクマグネットを入れ子状に組み合わせる場合、マグネットの外周部の補強材の室温から77Kへ冷却した時の熱収縮率も、同様に0.16%以上であることが好ましい。
また、外周部を補強する補強材と、酸化物超電導バルクマグネットのとの隙間には、樹脂、グリース又は半田の少なくとも1種類が、少なくとも隙間の一部に充填されていればよい。この場合、隙間の総体積(総容積)の30%以下に樹脂、グリース又は半田を充填するのが好ましい。30%超の場合、外側のリング状マグネットにかかる応力と内側のマグネットにかかる応力との干渉が大きくなり、割れが発生しやすくなる。樹脂としては、酸化物超電導バルクマグネットを製作後、半永久的に固定する場合には、硬化性樹脂が好ましい。また、入れ子に配置した各マグネットを取り外し可能にするには、グリース又は半田を使用するのが好ましい。
外周部の補強材とリング状酸化物超電導バルクマグネットとの間には、全周に均一に樹脂、グリースまたは半田の少なくとも1種を充填し、各リング状酸化物超電導バルクマグネットに均等に圧縮応力をかけることが好ましい。外周部の補強材の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等が挙げられる。パルス着磁中には、良導体中には大きな遮蔽電流が流れるため、比抵抗の高いステンレス鋼等の合金系材料がより好ましい。また、補強材により半永久的に固定する場合は、硬化性樹脂により固定することが好ましい。また、補強材を取り外し可能にするには、半田または、グリースにより固定してもよい。半田を用いた場合はその融点まで加熱することにより取り外しが可能になり、グリース類を用いた場合は常温で取り外しが可能になる。
半田で固定する場合は、用いる半田の融点で補強材および酸化物超電導体が固定されるため、高融点半田を使用した場合は、低融点半田を使用した場合に比べ超電導状態で使用する冷却温度での圧縮応力は大きくなる。このように用いる半田融点を調整することで冷却時の圧縮応力を制御でき、着磁時のローレンツ力とのバランスが取れるよう適宜調整が可能となる。半田の組成は、主にSn,Bi,Pb,Cd,In,Ag,Cu,等の合金からなり、それらの融点は、Bi(44.7),Sn(22.6),Sn(8.3),Cd(5.3),In(19.1)の組成比(質量比)を有する半田では比較的融点が低く、46.7℃である。また、Sn(96.5),Ag(3.5)の共晶組成の半田では比較的融点が高く221℃である。また、PbやCd等の毒性の強い元素を含まないものがより好ましい。さらに、半田の場合、樹脂やグリースに比べ熱伝導率が高く、酸化物超電導バルクマグネット内の温度を均一に保ちやすくなる。
外周部と内周部をリング状の補強材で補強したマグネットと、その内側に、外周部と内周部をリング状の補強材で補強したマグネットとを入れ子状に組み合わせる際に、外側マグネットの内周部の補強材に雌ネジ加工(または雄ネジ加工)を施し、かつ、内側マグネットの外周部の補強材に雄ネジ加工(または雌ネジ加工)を施し、両者をネジによって結合してもよい。着磁状態での酸化物超電導バルクマグネットの軸方向の応力は比較的小さいが、それぞれの軸のずれ等により力が発生するため、ネジ溝により結合することが好ましい。ネジ溝加工は、補強材に凹凸加工を行うことになるが、主に円周方向であるため、応力集中が起きにくい。また、雄ネジと雌ネジとの間には隙間または遊びがあり、それぞれのマグネット間の応力の授受を概ね断ち切ることができるので好ましい。そのため、強度設計(補強設計)が比較的容易となるので好ましい。
外周部と内周部をリング状の補強材で補強したマグネットと、その内側に、外周部と内周部をリング状の補強材で補強したマグネットとを入れ子状に組み合わせる際に、外側マグネットの内周部の補強材と、内側マグネットの外周部の補強材との隙間の一部に、樹脂、グリース又は半田を充填すると、着磁の際に発生する応力を緩和できるため好ましい。この場合、隙間の総体積(容積)の30%以下に樹脂、グリース又は半田を充填するのが好ましい。30%超の場合、外側マグネットにかかる応力とその内側マグネットにかかる応力との干渉が大きくなり割れが発生しやすくなる。組合せによる酸化物超電導バルクマグネットを製作後、半永久的に固定する場合には、硬化性樹脂を充填することが好ましい。また、入れ子に配置した各リング状酸化物超電導バルクマグネットを取り外し可能にする場合には、グリース又は半田を使用するのが好ましい。
次に、補強材により外周部と内周部が補強されたリング状酸化物超電導バルクマグネットを複数入れ子状に配置し組み合されたマグネットの場合は、補強材の肉厚を位置により変えるようにしてもよい。特に、外側から、より大きな磁場応力が発生する内側になるほど、肉厚を厚くすることが好ましい。
入れ子に配置するRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネットは、それぞれREの成分元素が同じものを組み合せでもいい。さらに、REの成分元素が異なる複数種のRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネットを組み合せて入れ子に配置してもよい。RE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネットのJc特性を考慮して、REの組成を変えることにより、酸化物超電導バルクマグネット全体として特性を向上させるように設計することができる。
入れ子に配置する酸化物超電導バルクマグネットの形状は、これまで、円柱状またはリング状の例を示したが、パルス着磁中の磁束の移動を制限できる隙間を有する形状であればよい。すなわち、各用途に適した酸化物超電導バルクマグネットとして所望の磁場分布が得られるよう適宜形状を選択すればよい。例えば、酸化物超電導バルクマグネットの上下面の形状は、三角、四角、五角、六角、七角、八角等の多角の形状から円の形状、矩形の形状、楕円の形状、レーストラックの形状等にすることができる。これらの場合、酸化物超電導バルクマグネットの外径は、各形状の最短外径に対応するものとする。
実用性の観点から、マグネットの少なくとも1つが、六角形以上の多角形から円までの形状を有するリング状酸化物超電導バルクマグネット、又は、上面及び底面がレーストラックの形状を有するリング状酸化物超電導バルクマグネットであるのがより好ましい。このような形状であると、容易に製造(加工、組み立て)でき、さらにより強い磁場で、より均一な磁場が得られる。このような多角の形状については、加工及び組み立ての容易さと、得られる磁場の性能のバランスとから、六角形、または八角形が更に好ましい。
また、リング状酸化物超電導バルクマグネットの中心部に、外周部を補強した酸化物超電導バルクマグネット(例えば円柱形状)を装着して一体の酸化物超電導バルクマグネットとしてもよい。この場合は発生磁場強度、磁束密度をさらに高めることができる。リング状マグネットと円柱状マグネットとの装着は、円柱状マグネットの外周部の補強材とリング状マグネットの内周部との隙間の一部に樹脂、グリース又は半田を充填させることにより、着磁の際に発生する応力を緩和できるため好ましい。また、前述したのと同様に、リング状マグネット内周部の補強材に雌ネジ加工(または雄ネジ加工)を施し、かつ、円柱状マグネットの外周部の補強材に雄ネジ加工(または雌ネジ加工)を施し、両者をネジによって結合してもよい。
本発明では、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットは、上述のように、RE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルクマグネット、即ち、REBa2Cu3O7-x相中にRE2BaCuO5相が分散した酸化物超電導バルクマグネットである。が、前記酸化物超電導バルクマグネット中のREBa2Cu3O7-x相のa−b面に比較的大きな超電導電流を流せるので、該a−b面に対し、直角に磁束が貫くような配置で着磁することが好ましい。そのためには、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの回転対称軸が、REBa2Cu3O7-x結晶のc軸と一致することが好ましい。
また、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの回転対称軸に対して垂直(入れ子の階層方向)に隣接する各酸化物超電導バルクマグネットのREBa2Cu3O7-x結晶のa軸が、それぞれ、ずらして入れ子に配置するのが、より均一な磁場が得られるので、より好ましい。
本発明の酸化物超電導バルクマグネットは、所望の磁場分布を発生できる着磁性能に優れた磁石特性を示す。このことから、本発明の酸化物超電導バルクマグネットを用いた酸化物超電導磁石システムは、システム全体として高い磁場をより低いエネルギー投入量で簡便に発生できるシステムであり、経済性・環境調和性に優れたシステムとすることができる。
(実施例1)
純度99.9%の各試薬RE2O3(REはGd)、BaO2、CuOをGd:Ba:Cuの金属元素のモル比が10:14:20(即ち、最終組織の123相:211相のモル比が3:1)になるように混合した。さらに、Ptを0.5質量%、Ag2Oを15質量%添加した混合粉を作製した。各混合粉は、一旦900℃で8時間仮焼した。仮焼粉は、内径72mmの円筒状金型中に充填し、厚さ約33mmの円盤状に成形した。また、Sm2O3及びYb2O3を用いて、上記成形体と同様の方法により、厚さ4mmのSm系及びYb系円盤状成形体を作製した。さらに、各成形体について等方静水圧プレスにより約100MPaで圧縮加工した。
これらをアルミナ製支持材の上に、Sm系、Yb系、Gd-Dy系成型体(前駆体)の順番で下から重ね、炉内に配置した。これらの前駆体は、大気中において700℃まで15時間、1040℃まで160時間、さらに1170℃まで1時間で昇温し、30分保持した後、1030℃まで1時間で降温し、1時間保持した。その間、予め作製しておいたSm系の種結晶を用い、種結晶を半溶融状態の前駆体上に乗せた。種結晶の方位は、c軸が円盤状の前駆体の法線になるように、劈開面を前駆体の上に乗せた。その後、大気中において1000〜985℃まで250時間かけて冷却し、結晶の成長を行った。さらに、室温まで約35時間かけて冷却し、外径約54mm、厚さ約24mmのGd系の酸化物超電導材料を得た。また同様の方法で同様のGd系の酸化物超電導材料を更に2個作製し、合計3個(後述する試料A、試料Bおよび試料C用)の試料を作製した。これらの材料は、REBa2Cu3O7-x相中に1μm程度のRE2BaCuO5相および50〜500μmの銀が分散した組織を有していた。
そして、これらの3個の試料を酸素アニール後にそれぞれ加工して、試料Aは、外径50.0mm、内径27.1mm、厚さ15.0mmに加工した。また、試料Bは、外径25.0mm、15.0mmの円柱状に加工した。試料Cは比較材として、外径50.0mm、厚さ15.0mmに加工した。
その後、試料Bの外周に外径27.0mm、内径25.1mm、肉厚:0.95mmのSUS316L製リング(以下、単にSUS316Lリングと呼ぶ)を外周部補強材として配置し、このSUS316Lリングと試料Bとを、エポキシ樹脂により全周を接着した。また、試料Aの外周に外径51.6mm、内径50.1mm、肉厚0.75mmのSUS316Lリングを外周部補強材として配置し、同様にエポキシ樹脂により全周を接着した。そして、外周部に金属リング補強を施した試料Aの中に試料Bを配置し、試料Aと、試料Bの外周補強材との隙間の八分の一、中心角度にして45°相当分にグリースを充填し一体化した。この一体化した試料を試料ABとする。
また、試料Cの外周に外径51.6mm、肉厚0.75mmのSUS316Lリングを外周部補強材として配置し、同様にエポキシ樹脂により全周を接着した。図5に試料AB(図5(a))および試料C(図5(b))の構造を示す。
これらの試料ABおよび試料Cに関し、表面の捕捉磁束密度を測定するため、ホール素子を各試料の表面中心を通る線状に5個を10mm間隔で張り付けた。この時、3番目のホール素子は試料の中心になるようにした。まず、70Kでの着磁は、室温で6.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により70Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、試料ABは、3番目のホール素子が最大値を示し、3.95Tであった。また、試料Cは同様に3.98Tであった。
次に60Kで着磁を行った。室温で10.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により60Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、試料ABは、3番目のホール素子が最大値を示し、6.90Tであった。また、試料Cは同様に6.95Tであった。
次に同様に、室温で14Tの磁場を印加し、50Kに冷却、外部磁場をゼロにした時の捕捉磁束密度は、試料ABは、3番目のホール素子が最大値を示し、10.22Tであった。また試料Cは、1番目のホール素子が1.35T、2番目のホール素子が2.75T、3番目のホール素子が0.35T、4番目のホール素子が3.02T、5番目のホール素子が1.35T、であり、中心部で捕捉磁束密度が低下していた。実験後、試料Cを冷凍機から取り出して表面を確認したところ、中心近傍を通過する直線状の割れが確認できた。
これらの比較実験から、リング状の補強材で外周部を補強した超電導バルクマグネットを入れ子状に配置した超電導バルクマグネット(本発明例の試料AB)は、外周部のみを補強した超電導バルクマグネット(比較例の試料C)に比べて割れることなく10Tを超える高い磁束密度を捕捉(発生)できることが明らかになった。
(実施例2)
純度99.9%の各試薬RE2O3(REはGdおよびDy)、BaO2、CuOをGd:Dy:Ba:Cuの金属元素のモル比が8:2:14:20(即ち、最終組織の123相:211相のモル比が3:1)になるように混合した。さらに、Ptを0.4質量%、Ag2Oを18質量%添加した混合粉を作製した。各混合粉は、一旦880℃で8時間仮焼した。仮焼粉は、内径82mmの円筒状金型中に充填し、厚さ約33mmの円盤状に成形した。また、Sm2O3及びYb2O3を用いて、上記成形体と同様の方法により、厚さ4mmのSm系とYb系円盤状成形体を作製した。さらに、各成形体について等方静水圧プレスにより約100MPaで圧縮加工した。
これらをアルミナ製支持材の上に、Sm系、Yb系、Gd-Dy系成型体(前駆体)の順番で下から重ね、炉内に配置した。これらの前駆体は、大気中において700℃まで15時間、1040℃まで160時間、さらに1170℃まで1時間で昇温し、30分保持した後、1030℃まで1時間で降温し、1時間保持した。その間、予め作製しておいたSm系の種結晶を用い、種結晶を半溶融状態の前駆体上に乗せた。種結晶の方位は、c軸が円盤状の前駆体の法線になるように、劈開面を前駆体の上に乗せた。その後、大気中において995〜980℃まで300時間かけて冷却し、結晶の成長を行った。さらに、室温まで約35時間かけて冷却し、外径約63mm、厚さ約35mmのGd-Dy系の酸化物超電導材料を得た。また同様の方法で同様のGd-Dy系の酸化物超電導材料を更に2個作製し、合計3個(後述する試料D、試料Eおよび試料F用)の試料を作製した。これらの材料は、REBa2Cu3O7-x相中に1μm程度のRE2BaCuO5相および50〜500μmの銀が分散した組織を有していた。これらの試料を酸素気流中でアニールした後、外径60.0mm、内径30.1mm、厚さ20.0mmのリング形状に加工した。
リング形状に加工した各試料D、E、Fに対し、外周部に肉厚2.0mmの無酸素銅製金属リング(外径64.0mm、内径60.1mm)を補強材として配置し、半田により全周を接合した。
さらに試料Dには内周部に補強材として肉厚1.0mmのSUS316Lリング(外径30.0mm、内径28.0mm、高さ20.0mm)を嵌めエポキシ樹脂で全周を接着した。この時使用したSUS316Lの室温から77Kへ冷却した時の熱収縮は実測の結果、0.25%であった。試料Eには補強材としてガラス繊維(又はガラス繊維の布)が同心円状に巻かれたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)のパイプから切り出した肉厚2.0mm(外径30.0mm、内径26.0mm、高さ20.0mm)のリングを嵌めこみ、グリースにより全周を接着固定した。この時使用したGFRPの繊維方向の室温から77Kへ冷却した時の熱収縮は0.1%であった。試料Fは比較材であり、その内周部には補強を行わなかった。
図6に試料D(図6(a))、試料E(図6(b))及び試料F(図6(c))の構造を示す。
試料D、試料Eおよび試料Fに関し、試料内の捕捉磁束密度を測定するため、ホール素子を試料中心位置にホール素子を配置した。まず、70Kでの着磁は室温で4.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により70Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、各試料は、約2.75Tで、ほぼ同じ値であった。同様に60K、50Kで捕捉磁場試験を行った。60Kでは、6.0Tの外部磁場中で冷却を行ったところ、それぞれ約4.7Tでほぼ同じ値を示した。50Kでは8.0Tの外部磁場中で冷却を行ったところ約6.8Tとほぼ同じ値を示した。しかしながら、40Kにおいては、10Tの外部磁場中で冷却し、捕捉磁場実験を行ったところ、本願発明の試料D及び試料Eは、8.9Tの高い捕捉磁束密度が得られたのに対し、内周部を補強していない試料Fのホール素子の値は、0.12Tであった。実験後、冷凍機から試料を取り出し、割れの有無を確認したところ、試料F内に磁気力によりと思われる割れが確認された。
これらの比較実験から、リング状超電導バルクマグネットに対して、内周部を補強した超電導バルクマグネット(本発明例の試料Dおよび試料E)は、内周部を補強していないリング状超電導バルクマグネット(比較例の試料F)に比べて割れることなく8Tを超える高い磁束密度を捕捉(発生)できることが明らかになった。
(実施例3)
純度99.9%の各試薬RE2O3(REはY)、BaO2、CuOをGd:Ba:Cuの金属元素のモル比が9:12:17(即ち、最終組織の123相:211相のモル比が5:2)になるように混合した。さらに、BaCeO3を1.0質量%、Ag2Oを15質量%添加した混合粉を作製した。各混合粉は、一旦900℃で8時間仮焼した。仮焼粉は、内径85mmの円筒状金型中に充填し、厚さ約35mmの円盤状に成形した。また、Sm2O3及びYb2O3を用いて、上記成形体と同様の方法により、厚さ4mmのSm系及びYb系円盤状成形体を作製した。さらに、各成形体について等方静水圧プレスにより約100MPaで圧縮加工した。
これらをアルミナ製支持材の上に、Sm系、Yb系、Y系成型体(前駆体)の順番で下から重ね、炉内に配置した。これらの前駆体は、大気中において700℃まで15時間、1040℃まで160時間、さらに1170℃まで1時間で昇温し、30分保持した後、1030℃まで1時間で降温し、1時間保持した。その間、予め作製しておいたSm-Nd系の種結晶を用い、種結晶を半溶融状態の前駆体上に乗せた。種結晶の方位は、c軸が円盤状の前駆体の法線になるように、劈開面を前駆体の上に乗せた。その後、大気中において970〜955℃まで280時間かけて冷却し、結晶の成長を行った。さらに、室温まで約35時間かけて冷却し、外径約67mm、厚さ約25mmのY系の酸化物超電導材料を得た。また同様の方法で同様のY系の酸化物超電導材料を更に2個作製し、合計3個(後述する試料H、試料Gおよび試料I用)の試料を作製した。これらの材料は、REBa2Cu3O7-x相中に1μm程度のRE2BaCuO5相および50〜500μmの銀が分散した組織を有していた。
そして、これらの3個の試料を酸素アニール後に、試料Gは、外径65.0mm、内径36.1mm、厚さ20.0mmに、試料Hは、外径30.0mm、厚さ20.0mmの円柱状に加工した。試料Iは比較材として、外径65.0mm、厚さ20.0mmに加工した。
試料Hの外周部に補強材として、外径約33.5mm、内径30.1mm、肉厚:約1.5mmであって外周部(外周側になる面)に雄ネジ加工を施したSUS316Lリングを配置し、このSUS316Lリングと試料Hとを、エポキシ樹脂により全周を接着した。また、試料Gの内周部に補強材として、外径36.0mm、内径約32.5mm、肉厚約1.5mmであって、内周部(内周側になる面)に雌ネジ加工を施したGFRPリングを配置し、同様にエポキシ樹脂により全周を接着した。さらに、外周部に外径67.0mm、肉厚1.0mmのSUS316Lリングで補強を施した試料Gの中に試料Hを配置し、試料Gと試料Hとをネジ溝で結合し一体化した。この一体化した試料を試料HGとする。また、試料Iの外周部に補強材として、外径67.0mm、肉厚1.0mmのSUS316Lリングを配置し、同様にエポキシ樹脂により全周を接着した。図7に試料HG(図7(a))および試料F(図7(b))の構造を示す。
これらの試料HGおよび試料Iに関し、表面の捕捉磁束密度を測定するため、ホール素子を各試料の表面中心を通る線状に5個を10mm間隔で張り付けた。この時、3番目のホール素子は試料の中心になるようにした。まず、70Kでの着磁は室温で6.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により70Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、試料HGは、3番目のホール素子が最大値を示し、5.15Tであった。また、試料Iは同様に5.12Tであった。
次に60Kで着磁を行った。室温で10.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により60Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、試料HGは、3番目のホール素子が最大値を示し、8.95Tであった。また試料Iは、1番目のホール素子が2.5T、2番目のホール素子が3.5T、3番目のホール素子が0.23T、4番目のホール素子が3.2T、5番目のホール素子が1.8T、であり、中心部で捕捉磁束密度が低下していた。実験後、試料Iを冷凍機から取り出して表面を確認したところ、中心近傍を通過する直線状の割れが確認できた。
これらの比較実験から、リング状の金属補強材で補強した超電導バルクマグネットを入れ子状に配置した超電導バルクマグネット(本発明例の試料HG)は、外周部のみを金属リング補強した超電導バルクマグネット(比較例の試料I)に比べて割れることなく10T級の高い磁束密度を捕捉(発生)できることが明らかになった。
(実施例4)
純度99.9%の各試薬RE2O3(REはY)、BaO2、CuOをGd:Ba:Cuの金属元素のモル比が9:12:17(即ち、最終組織の123相:211相のモル比が5:2)になるように混合した。さらに、BaCeO3を1.0質量%、Ag2Oを15質量%添加した混合粉を作製した。各混合粉は、一旦900℃で8時間仮焼した。仮焼粉は、内径110mmの円筒状金型中に充填し、厚さ約40mmの円盤状に成形した。また、Sm2O3及びYb2O3を用いて、上記成形体と同様の方法により、厚さ4mmのSm系及びYb系円盤状成形体を作製した。さらに、各成形体について等方静水圧プレスにより約100MPaで圧縮加工した。
これらをアルミナ製支持材の上に、Sm系、Yb系、Gd-Dy系成型体(前駆体)の順番で下から重ね、炉内に配置した。これらの前駆体は、大気中において700℃まで15時間、1040℃まで160時間、さらに1170℃まで1時間で昇温し、30分保持した後、1030℃まで1時間で降温し、1時間保持した。その間、予め作製しておいたSm-Nd系の種結晶を用い、種結晶を半溶融状態の前駆体上に乗せた。種結晶の方位は、c軸が円盤状の前駆体の法線になるように、劈開面を前駆体の上に乗せた。その後、大気中において970〜955℃まで320時間かけて冷却し、結晶の成長を行った。さらに、室温まで約35時間かけて冷却し、外径約85mm、厚さ約30mmのY系の酸化物超電導材料を得た。また同様の方法で同様のY系の酸化物超電導材料を更に2個作製し、合計3個(後述する試料K、試料Jおよび試料L用)の試料を作製した。これらの材料は、YBa2Cu3O7-x相中に1μm程度のY2BaCuO5相および50〜500μmの銀が分散した組織を有していた。
そして、これらの3個の試料を酸素アニール後にそれぞれ加工して、試料Jは、外径79.9mm、内径58.1mm、厚さ25.0mmに加工した。また、試料Kは、外径51.9mm、内径30.1mm、厚さ25.0mmの円柱状に加工した。試料Lは比較材として、外径79.9mm、内径30.1mm、厚さ25.0mmに加工した。
試料Kの外周に補強材として、外径約55.9mm、内径52.1mm、肉厚:約2.0mmであって外周部に雄ネジ加工を施したSUS316Lリングを配置し、SUS316Lリングと試料Kとを、エポキシ樹脂により全周を接着した。また、試料Kの内周部に補強材として、外径29.9mm、内径28.0mm、肉厚約1.0mmのGFRPリングをエポキシ樹脂により全周接着した。また、試料Jの内周部に補強材として、外径57.9mm、内径約53.9mm、肉厚約2.0mmであって雌ネジ加工を施したGFRPリングを配置し、同様にエポキシ樹脂により全周を接着した。さらに、外周部に外径82.0mm、内径79.9mm、肉厚1.0mmのSUS316Lリングで補強を施した試料Jの中に試料Kを配置し、試料Jと試料Kをネジ溝で結合し一体化した。この一体化した試料を試料KJとする。また、試料Lの外周部に外径78.0mm、内径80.1mm、肉厚1.0mmのSUS316Lリングを配置し、同様にエポキシ樹脂により全周を接着した。図8に試料KJ(図8(a))および試料L(図8(b))の構造を示す。
これらの試料KJおよび試料Lに関し、表面の捕捉磁束密度を測定するため、ホール素子を各試料の表面中心を通る線状に5個を17mm間隔で張り付けた。この時、3番目のホール素子は試料の中心になるようにした。まず、70Kでの着磁は室温で5.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により70Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、試料KJは、3番目のホール素子が最大値を示し、2.8Tであった。また、試料Lは同様に3.0Tであった。
次に55Kで着磁を行った。室温で8.0Tの磁場中に配置し、冷凍機により55Kに冷却した後、0.2T/分の減磁レートで外部磁場をゼロにした。この時、試料KJは、3番目のホール素子が最大値を示し、5.5Tであった。また試料Lは、1番目のホール素子が1.6T、2番目のホール素子が2.7T、3番目のホール素子が−0.21T、4番目のホール素子が2.5T、5番目のホール素子が1.0T、であり、中心部で捕捉磁束密度が低下していた。実験後、試料Lを冷凍機から取り出して確認したところ、中心近傍から直線状の割れが確認できた。
これらの比較実験から、外周部を金属リングおよび内周部をGFRP製のリングで補強した超電導バルクマグネットを入れ子状に配置した超電導バルクマグネット(本発明例の試料KJ)は、外周部のみを金属リングで補強した超電導バルクマグネット(比較例の試料L)に比べて割れることなく高い磁束密度を捕捉(発生)できることが明らかになった。
なお、本発明に係る実施形態は、本明細書に記載したいずれの実施形態にも限定されない。
本発明は、比較的大型で高磁束密度を発生する酸化物超電導バルクマグネットに利用することができる。これにより、通常の永久磁石では得られない高磁界を、再現性・信頼性高く得ることができる。
1 リング状の酸化物超電導バルクマグネット
2 補強材
3 補強材
21 円柱状酸化物超電導バルクマグネット
22 補強材

Claims (8)

  1. REBa 2 Cu 3 O 7-x 相中にRE 2 BaCuO 5 相が分散したリング状の酸化物超電導バルクマグネットであって、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの外周部にリング状の補強材が配置され、かつ、前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの内周部にリング状の補強材が配置され、かつ前記外周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数と、リング状の酸化物超電導バルクマグネットの線膨張係数と、前記内周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数とが、以下の関係である場合を除き、さらに、前記外周部に配置されたリング状の補強材と前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの隙間には、樹脂、グリース、半田の少なくとも1種が、少なくとも隙間の一部に充填されており、かつ、前記内周部に配置されたリング状の補強材と前記リング状酸化物超電導バルクマグネットの隙間には、樹脂、グリース、半田の少なくとも1種が、少なくとも隙間の一部に充填されていることを特徴とする酸化物超電導バルクマグネット。
    外周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数 > リング状の酸化物超電導バルクマグネットの線膨張係数 > 内周部に配置されたリング状の補強材の線膨張係数
    ただし、REは希土類元素またはそれらの組み合わせを示し、xは酸素欠損量を示し、0<x≦0.2の関係を満たす。
  2. 前記酸化物超電導バルクマグネットは、着磁により5T以上の磁束密度を発生でき、外径が50mm以上の酸化物超電導バルクマグネットであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導バルクマグネット。
  3. 室温から77Kへ冷却した時の前記外周部の補強材の熱収縮率が0.16%以上であり、さらに、前記内周部の補強材の熱収縮率が−0.09%以上、0.39%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導バルクマグネット。
  4. 室温から77Kへ冷却した時の前記内周部の補強材熱収縮率が−0.05%以上、0.30%以下であることを特徴とする請求項3に記載の酸化物超電導バルクマグネット。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリング状の酸化物超電導バルクマグネットの内側に、円柱状の酸化物超電導バルクマグネット、又は、リング状の補強材が外周部に配置された円柱状の酸化物超電導バルクマグネットが配置され組み合わせて構成され、
    前記内周部に配置されたリング状の補強材と前記円柱状の酸化物超電導バルクマグネットとの隙間には、又は、前記内周部に配置されたリング状の補強材と前記円柱状の酸化物超電導バルクマグネットの外周部の補強材との隙間には、樹脂、グリース、または半田の少なくとも1種が、少なくとも隙間の一部に充填されていることを特徴とする酸化物超電導バルクマグネット。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリング状の酸化物超電導バルクマグネットの内側に、リング状の補強材を外周部および内周部に配置したリング状の酸化物超電導バルクマグネットを1または2以上を配置し組み合わせて構成されていることを特徴とする酸化物超電導バルクマグネット。
  7. 前記内周部の補強材に雌ネジ加工が施され、かつ、これに対向して配置されたリング状の酸化物超電導バルクマグネットの外周部の補強材に雄ネジ加工が施され、前記ネジ加工が施された内周部の補強材と外周部の補強材とがネジにより結合されていることを特徴とする請求項6に記載の酸化物超電導バルクマグネット。
  8. 前記内周部の補強材と、これに対向して内側に配置されたリング状の酸化物超電導バルクマグネットの外周部の補強材との隙間の少なくとも一部に、樹脂、グリース、または半田のうち少なくともいずれかが充填されていることを特徴とする請求項6に記載の酸化物超電導バルクマグネット。
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