JP6955192B2 - 超電導磁場発生素子 - Google Patents

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Description

本発明は、超電導磁場発生素子に関する。
バルク超電導体を用いて構成される超電導磁場発生素子は、永久磁石により発生される磁場よりもはるかに大きな磁場を発生する。例えば、Re−Ba−Cu−O系(Reは希土類元素のうちの1種又は2種以上)の高温超電導材料からなるバルク超電導体を用いて構成される超電導磁場発生素子は、10T以上の磁場を発生することができる。
超電導遷移温度以下に冷却したバルク超電導体に磁場を捕捉させた場合、バルク超電導体内を円電流が流れる。また、磁場を捕捉したバルク超電導体には、その内部を流れる円電流と捕捉磁場とに基づく電磁力が作用する。この電磁力は、バルク超電導体の中心から外方に向かう方向に作用する。従って、バルク超電導体が円筒形状或いは円柱形状に形成されている場合、電磁力は、バルク超電導体の中心軸から径外方に向かう方向に作用する。このため、バルク超電導体はその径を大きくしようとして膨張し、斯かる膨張力によって、周方向に引き裂かれるように引張応力がバルク超電導体に作用する。そして、引張応力がバルク超電導体の機械的強度を上回るとき、バルク超電導体が割れる。
上記した引張応力に起因したバルク超電導体の破損を防止するため、引張応力(膨張力)に対抗する圧縮応力をバルク超電導体に与えることによってバルク超電導体が補強されるように構成された超電導磁場発生素子が開発されている。例えば、特許文献1は、円柱形状のバルク超電導体を、それよりも熱収縮率の大きい金属により構成される補強リングの内部に硬化樹脂層を介して室温で埋め込むことにより構成される超電導磁場発生素子を開示する。この構成によれば、円柱形状のバルク超電導体の外周面が、樹脂層を介して金属製の補強リングに覆われる。このような超電導磁場発生素子をバルク超電導体の超電導遷移温度以下の温度にまで冷却すると、バルク超電導体の熱収縮率と補強リングの熱収縮率との差に起因して、補強リングがバルク超電導体を締め付ける。このためバルク超電導体の外周に圧力が加わり、結果としてバルク超電導体の内部に圧縮応力が作用する。この圧縮応力と、着磁の際にバルク超電導体に発生する引張応力(膨張力)とを相殺させることにより、バルク超電導体に作用する正味の応力が低減される。このため、バルク超電導体の割れが効果的に防止でき、それ故に、より高い磁場を、バルク超電導体に着磁させることができる。
特許文献2は、円柱形状又は円筒形状のバルク超電導体の外周面に加え、上端面又は下端面の少なくとも一方に、補強部材が設けられた超電導磁場発生素子を開示する。この構成によれば、バルク超電導体の外周面のみならず、上端面又は下端面の少なくとも一方にも補強部材が設けられているために、バルク超電導体に与える圧縮応力が増加し、その結果、補強効果が高められる。
特許第4012311号明細書 特開2014−146760号公報
(発明が解決しようとする課題)
バルク超電導体を着磁するための一般的な方法である磁場中冷却法は、超電導遷移温度よりも高い温度下でバルク超電導体に所定の磁場を印加した状態で、超電導遷移温度以下の所定温度(以下、着磁温度と呼ぶ)まで超電導磁場発生素子を冷却する冷却工程と、超電導磁場発生素子の温度を着磁温度に維持したまま、印加磁場を0まで下げる減磁工程と、を含む。
磁場中冷却法を用いて熱収縮率の大きい補強リングが外周側面に接着された円筒形状のバルク超電導体を着磁する場合、冷却工程にて超電導磁場発生素子を室温から着磁温度(例えば50K)まで冷却したときに、補強リングの熱収縮によりバルク超電導体に圧縮応力が作用する。また、減磁工程にてバルク超電導体に着磁させたときにバルク超電導体に引張応力が作用する。冷却工程にて生じた圧縮応力によって減磁工程にて生じた引張応力が打ち消されることによって、バルク超電導体が補強される。
しかしながら、冷却工程においては、円筒形状のバルク超電導体及び補強リングは、径方向のみならず、軸方向にも収縮する。従って、軸方向への熱収縮が圧縮応力に及ぼす影響を精査する必要がある。本発明者等は、三次元の有限要素解析法により、補強リングの内周面の全面がバルク超電導体の外周面の全面に接着されてなる超電導磁場発生素子を室温から着磁温度(例えば50K)まで冷却した場合にバルク超電導体に作用する応力を解析した。その結果、バルク超電導体の軸方向における中央付近には、径方向に補強リングが収縮することで生じる大きな圧縮応力が作用するが、バルク超電導体の軸方向における両端付近では、補強リングの収縮に基づく圧縮応力が低下し、場合によってはバルク超電導体に引張応力が作用することが判明した。このような場合、補強のために配した補強リングが、バルク超電導体の両端付近では逆に引張応力に対するバルク超電導体の強度を低下するように作用することとなり、十分にバルク超電導体を補強することができない。
本発明は、円筒形状のバルク超電導体の着磁の際にバルク超電導体の端面付近における補強効果が従来に比して高められた超電導磁場発生素子を提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明に係る超電導磁場発生素子(1,1A,1B,1C)は、円筒形状のバルク超電導体(2,21,22)と、バルク超電導体の外周面(2a)にその内周面(3Sb)が接触するように、バルク超電導体に対して同軸的に配設された、バルク超電導体よりも大きい熱収縮率を有する円筒形状の補強リング(3,31,32)と、を備える。そして、補強リングは、円筒形状に形成されるとともにバルク超電導体の外周面に対面接触する内周面(3Sb)を有する補強部分(3S)と、補強部分と同径であり且つ同軸の円筒形状に形成されるとともに補強部分の軸方向における一方端或いは両端から軸方向に延設される余剰部分(3U,3L)と、を有し、余剰部分の内周空間は中空の空間である。なお、上記において、「同径」とは、内径及び外径が同じであることを意味する。
本発明によれば、補強リングの軸方向長さが補強リングの内周側に同軸配置されるバルク超電導体の軸方向長さよりも長い。そのため、補強リングは、バルク超電導体の外周面に対面接触する内周面を有する補強部分と、上記補強部分の軸方向における一方端或いは両端から軸方向に延設される余剰部分を備えることになる。そのような余剰部分を補強リングに設けることにより、冷却工程の実施の際に、バルク超電導体の端部であって余剰部分が設けられた側に近い端部付近に加えられる補強リングからの圧縮応力の低下を抑制することができる。その結果、バルク超電導体の着磁の際にバルク超電導体の端面付近においてもバルク超電導体を補強することが可能となる。
また、本発明に係る超電導磁場発生素子は、補強リングの補強部分の内周面とバルク超電導体の外周面との間に配設された緩衝層(4)を備えるとよい。そして、補強部分の内周面が、緩衝層を介してバルク超電導体の外周面に対面接触すると良い。バルク超電導体の外周面は一般的に粗く、そのためバルク超電導体の外周面には微小な凹凸が形成される。従って、バルク超電導体の外周面と補強リングの補強部分の内周面とを直接接触させようとしても、バルク超電導体の外周面の微小な凹凸によって、補強リングの補強部分の内周面が部分的にバルク超電導体の外周面に接触しない。この場合、バルク超電導体の外周面に圧縮応力が作用していない部分が存在することになるので、十分にバルク超電導体を補強することができない。この点に関し、本発明によれば、補強部分の内周面とバルク超電導体の外周面との間に緩衝層を介在させることにより、補強リングの補強部分の内周面の全面とバルク超電導体の外周面の全面とを接触させることができる。こうして補強部分の内周面の全面とバルク超電導体の外周面の全面とを接触させることにより、バルク超電導体の外周面の全面に補強リングから圧縮応力を加えることができる。よって、バルク超電導体を十分に補強することができる。
上記において、「緩衝層」とは、補強部分の内周面とバルク超電導体の外周面とを全面接触させることができるような層状の部材である。このような緩衝層は、例えば弾性力を有する部材により構成することができる。この場合、緩衝層が弾性変形してバルク超電導体の外周面に密着する。このため、補強部分の内周面とバルク超電導体の外周面とを間接的に全面接触させることができる。また、緩衝層は、流動性を有する部材により構成することもできる。この場合、緩衝層がバルク超電導体の外周面を流動することによりバルク超電導体の外周面の凹部を埋める。このため、補強部分の内周面とバルク超電導体の外周面とを、直接的或いは凹部を埋めた緩衝層を介して間接的に、全面接触させることができる。緩衝層として、常温で流動性を有する材料により構成される層、例えばグリース層やエポキシ系の接着層、或は弾性力を有するフッ素樹脂等からなる樹脂層を、例示することができる。
また、余剰部分の軸方向長さは、バルク超電導体を着磁したときに、バルク超電導体の端部であって補強リングの余剰部分が設けられている側に近い端部が、バルク超電導体を着磁する際に生じる引張応力によって破壊されない程度の長さに設定されているとよい。これによれば、バルク超電導体の端部であって補強リングの余剰部分が設けられている側に近い端部が、バルク超電導体の着磁の際に生じる引張応力によって破壊されることが防止される。
また、余剰部分の軸方向長さは、室温にてバルク超電導体の軸方向長さの1/4以上の長さであると良い。換言すれば、余剰部分の軸方向長さは、室温にて、バルク超電導体の軸方向長さと同じ長さである補強部分の軸方向長さの1/4以上の長さであるとよい。余剰部分の軸方向長さがバルク超電導体の軸方向長さ(補強部分の軸方向長さ)の1/4以上の長さであれば、冷却時に十分にバルク超電導体の軸方向端部(余剰部分が設けられている側に近い端部)を補強することができるとともに、バルク超電導体の着磁の際に生じる引張応力によって当該端部が破壊されることが効果的に防止される。
実施形態に係る超電導磁場発生素子の概略斜視図である。 バルク超電導体の概略斜視図である。 補強リングの概略斜視図である。 実施形態に係る超電導磁場発生素子の平面図である。 図4のV−V断面図である。 実施例モデルについての応力σθ coolの計算結果を示すグラフである。 比較例モデルについての応力σθ coolの計算結果を示すグラフである。 応力σθ FCMの径方向分布を示す図である。 実施例モデルについての応力σθの計算結果を示すグラフである。 比較例モデルについての応力σθの計算結果を示すグラフである。 変形例1に係る超電導磁場発生素子の断面図である。 変形例2に係る超電導磁場発生素子の断面図である。 変形例3に係る超電導磁場発生素子の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る超電導磁場発生素子1の概略斜視図である。図1に示すように、超電導磁場発生素子1は、バルク超電導体2と、補強リング3とを備え、概ね円筒形状に形成される。
図2は、バルク超電導体2の概略斜視図である。図2に示すように、バルク超電導体2は、中央に円柱状の凹部(ボア)Bが形成された円筒形状を呈しており、外周面2a、内周面2b、一方の端面であるリング状の上端面2c、及び他方の端面であるリング状の下端面2dを有する。バルク超電導体2は、主に溶融法により作製した塊状の高温超電導成形体である。このバルク超電導体2を構成する高温超電導材料として、例えば、イットリウム系(Y−Ba−Cu−O系)、サマリウム系(Sm−Ba−Cu−O系)、ユーロピウム系(Eu−Ba−Cu−O系)等の高温超電導材料が例示される。
図3は、補強リング3の概略斜視図である。図3に示すように、補強リング3は円筒形状を呈しており、外周面3a、内周面3b、一方の端面であるリング状の上端面3c及び他方の端面であるリング状の下端面3dを有する。補強リング3は、バルク超電導体2の熱収縮率よりも大きい熱収縮率を有する材料で構成される。本実施形態において、補強リング3は、アルミニウム合金により構成される。
図4は、超電導磁場発生素子1の平面図であり、図5は、図4のV−V断面図である。図5は、円筒形状の超電導磁場発生素子1をその軸線を通る平面で切断した断面図である。図4及び図5に示すように、円筒形状のバルク超電導体2は、円筒形状の補強リング3の内側に補強リング3と同軸的に配設される。従って、組み付け状態では、バルク超電導体2の外径は、補強リング3の内径よりもわずかに小さい。また、図5に良く示すように、補強リング3の軸方向長さL3は、バルク超電導体2の軸方向長さL2よりも長い。従って、補強リング3は、バルク超電導体2に対面する部分と対面しない部分を有する。
図5に示すように、補強リング3は、上側余剰部分3U、補強部分3S、及び下側余剰部分3Lを有する。上側余剰部分3U、補強部分3S、下側余剰部分3Lは、それぞれ同径(同一の内径及び同一の外径)の円筒形状に形成されるとともに軸方向に沿って同軸配置する。これらの部分により一つの円筒形状の補強リング3が構成される。
上側余剰部分3Uは、補強部分3Sの軸方向における一方端である図5において上端か軸方向(上方)に延設され、下側余剰部分3Lは、補強部分3Sの軸方向における他方端である図5において下端から軸方向(下方)に延設される。従って、図5において、補強リング3の上方から下方にかけて、上側余剰部分3U、補強部分3S、下側余剰部分3Lが、この順に形成されていることになる。
補強部分3Sの軸方向長さは、バルク超電導体2の軸方向長さL2に等しい。この補強部分3Sの内周側に、バルク超電導体2が同軸的に配設される。従って、補強リング3の内周面3bのうち補強部分3Sの内周面3Sbの全面がバルク超電導体2の外周面2aの全面に対面する。
また、本実施形態において、補強リング3の内径は、室温において、バルク超電導体2の外径よりも僅かに大きい。従って、組み付け時にバルク超電導体2を補強リング3の補強部分3Sの内周側に同軸的に配設したときに、対面配置しているバルク超電導体2の外周面2aと補強リング3の補強部分3Sの内周面3Sbとの間に微小幅を有するリング状の隙間が形成される。このリング状の隙間内に、緩衝層4を構成するエポキシ系の接着剤が充填される。緩衝層4の充填時には、緩衝層4は流動状態であり、そのため緩衝層4はバルク超電導体2の外周面2a上を流動して、外周面2aに形成される微小な凹部を埋めるとともに、バルク超電導体2の外周面2a及び補強部分3Sの内周面3Sbに密着する。従って、補強部分3Sの内周面3Sbの全面が、緩衝層4を介して間接的に、バルク超電導体2の外周面2aに対面接触する。また、緩衝層4が充填された後に固化することにより、補強部分3Sの内周面3Sbがバルク超電導体2の外周面2aに接着される。これにより、補強リング3がバルク超電導体2に固定される。
補強リング3の上側余剰部分3Uは、バルク超電導体2が内部に配置された補強部分3Sの軸方向における一方端(上端)から軸方向(上方)に延設されているから、上側余剰部分3Uはバルク超電導体2には対面せず、バルク超電導体2の上方空間に対面することになる。また、補強リング3の下側余剰部分3Lは、補強部分3Sの軸方向における他方端(下端)から軸方向(下方)に延設されているから、下側余剰部分3Lはバルク超電導体2には対面せず、バルク超電導体2の下方空間に対面することになる。つまり、バルク超電導体2は、補強リング3の軸方向における中央部分(補強部分3S)の内側に配設され、バルク超電導体2の上端面2cよりも上方の空間が補強リング3の一方端側の部分(上側余剰部分3U)により囲まれ、バルク超電導体2の下端面2dよりも下方の空間が補強リング3の他方端側の部分(下側余剰部分3L)により囲まれる。
室温状態における上側余剰部分3Uの軸方向長さ及び下側余剰部分3Lの軸方向長さは、少なくとも、超電導磁場発生素子1を着磁温度(例えば50K)にまで冷却した場合においても、これらの部分が存在するように設定される。
上側余剰部分3Uの軸方向長さと下側余剰部分3Lの軸方向長さは異なっていても良いし、等しくても良い。また、室温状態における上側余剰部分3Uの軸方向長さと下側余剰部分3Lの軸方向長さの和は、室温状態における補強部分3Sの軸方向長さ(すなわちバルク超電導体2の軸方向長さL2)の0.5倍以上であるとよい。従って、室温状態において、補強リング3の軸方向長さL3は、バルク超電導体2の軸方向長さL2の1.5倍以上であるとよい。より好ましくは、上側余剰部分3Uの軸方向長さ及び下側余剰部分3Lの軸方向長さは、それぞれ、室温状態において、補強部分3Sの軸方向長さ(すなわちバルク超電導体2の軸方向長さL2)の1/4以上の長さであるとよい。
上記構成の超電導磁場発生素子1は、例えばNMR装置(核磁気共鳴装置)に利用することができる。NMR装置では、均一な高磁場が室温の試料空間で必要となるため、穴の開いたバルク超電導体2を冷凍機等に固定して冷却できるようにし、穴の内部に室温空間ができるような真空断熱容器を用いた磁極を構成する。この磁極のバルク超電導体2を均一な高磁場中に置いて保持したまま、超電導遷移温度より低い温度まで冷却し、その後外部の均一な高磁場を0まで下げることによりバルク超電導体2が着磁され、磁極内の室温空間にNMR装置で必要な均一磁場が発生される。
超電導磁場発生素子1のバルク超電導体2を着磁する場合、例えば、着磁に用いる超電導マグネットの室温ボア内に、冷凍機等で冷却できるようにした超電導磁場発生素子1を挿入する。次いで、着磁に用いる超電導マグネットを励磁し、超電導磁場発生素子1に外部磁場を印加する。この外部磁場の大きさは例えば10Tである。その後、冷凍機等で超電導磁場発生素子1をバルク超電導体2の超電導遷移温度以下の所定の着磁温度、例えば、50K程度に冷却する(冷却工程)。冷却完了後、バルク超電導体2の温度を着磁温度に維持したまま、印加した外部磁場の強度を低下させ、最終的に外部磁場を除去する(減磁工程)。このときバルク超電導体2が磁場を捕捉する。これにより、バルク超電導体2が着磁される。このような着磁方法は、FC(磁場中冷却法)と呼ばれる着磁方法である。しかしながら、着磁方法は、FC以外の方法、例えば、ZFC(ゼロ磁場中冷却法)或いはPFM(パルス着磁法)でもよい。
バルク超電導体2を着磁する際に、いずれの着磁方法によっても、冷却工程にて超電導磁場発生素子1がバルク超電導体2の超電導遷移温度以下の温度にまで冷却される。この冷却により、バルク超電導体2及び補強リング3が熱収縮する。ここで、補強リング3の熱収縮率はバルク超電導体2の熱収縮率よりも大きい。従って、冷却工程の実行時に補強リング3がバルク超電導体2よりも径方向に大きく熱収縮することによって、補強リング3によってバルク超電導体2が締め付けられる。斯かる締め付け力が、圧縮応力としてバルク超電導体2に作用する。
また、減磁工程にてバルク超電導体2が着磁すると、バルク超電導体2の内部に円電流(超電導電流)が流れる。この円電流と自身が発生する磁力に起因する電磁力に基づく引張応力がバルク超電導体2に作用する。この電磁力に基づく引張応力に対抗するように、冷却により生じた圧縮応力がバルク超電導体2に作用するために、引張応力が打ち消される。このようにしてバルク超電導体2の破壊の原因となる電磁力に基づく引張応力が冷却時に生じた圧縮応力により打ち消されるため、バルク超電導体2が補強される。こうしてバルク超電導体2が補強されるために、バルク超電導体2を破損させることなくより強い磁力をバルク超電導体2に発生させることができる。
ところで、冷却工程にて超電導磁場発生素子1を着磁温度まで冷却した場合、バルク超電導体2及び補強リング3は、径方向及び軸方向に収縮する。上述した圧縮応力は、補強リング3が径方向に収縮することにより生じるが、補強リング3が軸方向にも収縮することにより、冷却時に補強リング3からバルク超電導体2に及ぼす圧縮応力の大きさが軸方向に沿って変化することが、発明者等の研究により判明した。
具体的には、冷却工程にて、バルク超電導体2の軸方向における中央付近で強い圧縮応力が作用するが、軸方向における両端付近では、圧縮応力が低下する。特に、バルク超電導体2の軸方向長さと補強リング3の軸方向長さが等しい場合、冷却工程の完了時に、バルク超電導体2の両端部分に圧縮応力とは逆の方向に作用する応力、すなわち引張応力が大きく作用することもある。つまり、本来圧縮応力をバルク超電導体2に付与すべき補強リング3が、バルク超電導体2の両端付近においては大きな引張応力をバルク超電導体2に付与することになる。この場合、バルク超電導体2の軸方向における両端付近にて、バルク超電導体2が割れる可能性がある。
これに対し、本実施形態においては、補強リング3の軸方向長さがバルク超電導体2の軸方向長さよりも長くなるように、補強リング3が構成される。また、補強リング3は、バルク超電導体2の外周面2aに対面接触する内周面3Sbを有する補強部分3Sと、補強部分3Sの軸方向における一方端(上端)及び他方端(下端)から延設される余剰部分(上側余剰部分3U、下側余剰部分3L)とを有するように構成される。つまり、補強リング3は、バルク超電導体2の外周面2aとの対面部分(補強部分3S)及び対面部分の軸方向端部から軸方向における外方に延設された余剰部分(上側余剰部分3U及び下側余剰部分3L)を有する。
補強リング3に上記した余剰部分を設けることにより、余剰部分を設けない構成と比較して、バルク超電導体2の両端部分における圧縮応力の低下が抑制される。このため、バルク超電導体2の軸方向における端部付近での補強効果の低下が抑えられる。換言すれば、バルク超電導体2の軸方向における端部付近での補強効果が高められる。よって、バルク超電導体2の端部付近での割れの発生を効果的に防止することができる。
(実施例)
外径64mm、内径40mm、高さ20mmの円筒状のバルク超電導体と、外径74mm、内径64mm、高さ30mmのアルミニウム合金製の円筒状の補強リングとからなり、補強リングの内周側にバルク超電導体が同軸的に配設された円筒形状の超電導磁場発生素子の三次元形状モデル(実施例モデル)を作成した。作成した実施例モデルにおいては、補強リングの軸方向長さはバルク超電導体の軸方向長さの1.5倍である。また、バルク超電導体の軸方向における中心位置と、補強リングの軸方向における中心位置は、軸方向において一致する。従って、補強リングは、バルク超電導体の外周面との対面部分と、その対面部分から軸方向における一方に延設された余剰部分と、その対面部分から軸方向における他方に延設された余剰部分を有する。各余剰部分の軸方向長さは、対面部分の軸方向長さ(すなわちバルク超電導体の軸方向長さ)の1/4である。
作成した実施例モデルについて、バルク超電導体の外周面の全面が補強リングの対面部分の内周面の全面に拘束されるという条件下で実施例モデルに表される超電導磁場発生素子を室温(300K)から50Kまで冷却したときに、冷却による熱収縮に起因してバルク超電導体の内部に発生する周方向における応力σθ coolを、有限要素法を用いて計算した。応力σθ coolの計算にあたり、バルク超電導体を室温(300K)から50Kまで冷却したときの熱収縮率を0.13%、補強リングを室温(300K)から50Kまで冷却したときの熱収縮率を0.37%、バルク超電導体のポアソン比を0.33、補強リングのポアソン比を0.34、バルク超電導体のヤング率を100GPa、補強リングのヤング率を78GPaに、それぞれ設定した。
(比較例)
外形64mm、内径40mm、高さ20mmの円筒状のバルク超電導体と、外径74mm、内径64mm、高さ20mmのアルミニウム合金製の円筒状の補強リングとからなり、補強リングの内周側にバルク超電導体が同軸的に配設された円筒形状の超電導磁場発生素子の三次元形状モデル(比較例モデル)を作成した。比較例モデルにおいては、補強リングの軸方向長さがバルク超電導体の軸方向長さに等しい。また、補強リングの内周面の全面が、バルク超電導体の外周面と対面する。つまり、比較例モデルにおいては、実施例モデルに設けられている余剰部分が設けられていない。
作成した比較例モデルについて、バルク超電導体の外周面の全面が補強リングの内周面の全面に拘束されるという条件下で比較例モデルに係る超電導磁場発生素子を室温(300K)から50Kまで冷却したときに、冷却による熱収縮に起因してバルク超電導体の内部に発生する周方向における応力σθ coolを、有限要素法を用いて計算した。応力σθ coolの計算に用いたバルク超電導体及び補強リングの熱収縮量、ポアソン比、ヤング率の各設定値は、実施例モデルにおいて応力σθ coolの計算に用いた各設定値と同一である。
なお、実施例モデル及び比較例モデルにおける応力σθ coolの計算に用いたソフトウェアは、株式会社フォトン製のPHOTO−Seriesである。
図6は、実施例モデルについての応力σθ coolの計算結果を示すグラフであり、図7は、比較例モデルについての応力σθ coolの計算結果を示すグラフである。図6及び図7のグラフ横軸が、計算に用いた形状モデルにより表される超電導磁場発生素子の軸中心からの距離である径方向距離r[mm]であり、縦軸が応力σθ cool[MPa]である。また、正の応力σθ coolが引張応力を表し、負の応力σθ coolが圧縮応力を表す。図6及び図7に示されるグラフは、応力σθ coolの径方向分布を表す。
また、図6及び図7には、バルク超電導体(超電導磁場発生素子)の複数個所(6か所)の軸方向位置における応力σθ coolの径方向分布が、それぞれの軸方向位置に対応したグラフにより示されている。図6及び図7中のグラフAが、バルク超電導体の軸方向における中央位置(Z=0mm)における応力σθ coolの径方向分布を表し、グラフBが、中央位置から軸方向に2mm離れた位置(Z=2mm)における応力σθ coolの径方向分布を表し、グラフCが、中央位置から軸方向に4mm離れた位置(Z=4mm)における応力σθ coolの径方向分布を表し、グラフDが、中央位置から軸方向に6mm離れた位置(Z=6mm)における応力σθ coolの径方向分布を表し、グラフEが、中央位置から軸方向に8mm離れた位置(Z=8mm)における応力σθ coolの径方向分布を表し、グラフFが、中央位置から軸方向に9.9mm離れた位置(Z=9.9mm)、すなわちバルク超電導体の両端位置における応力σθ coolの径方向分布を表す。
また、図6及び図7に示されるグラフの横軸の径方向距離rが20mm未満の領域は、超電導磁場発生素子の内周空間が占める領域である。この領域には超電導磁場発生素子を構成する部材が存在しないので、応力σθ coolは0である。また、図6及び図7に示されるグラフの横軸の径方向距離rが32mm以上の領域は、超電導磁場発生素子の補強リングが占める領域である。この領域においては、補強リングに作用する応力が発生する。補強リングには、バルク超電導体を圧縮する力の反力としての引張応力が作用する。従って、図6及び図7に示すように、補強リングに作用する応力σθ coolは正の値を示す。
そして、図6及び図7に示されるグラフの横軸の径方向距離rが20mm以上且つ31mm以下の領域が、超電導磁場発生素子のバルク超電導体が占める領域である。なお、径方向距離r=32mmの位置は、バルク超電導体の外周と補強リングの内周との境界位置である。本計算において、この境界位置での応力σθ coolは、補強リングに作用する応力として計算した。以下、バルク超電導体に作用する応力σθ cool(すなわち20mm≦r≦31mmの領域における応力σθ cool)について考察する。
まず、実施例モデルに係るバルク超電導体に作用する応力σθ coolについて、図6を参照しながら考察する。図6に示すように、径方向距離r=20mmの位置において、軸方向のいずれの位置においても等しい圧縮応力(応力σθ cool=−90MPa)が作用している。また、バルク超電導体の軸方向における中央位置(Z=0mm)及び中央位置に近い領域、具体的には、0≦Z≦6mmの領域においては、径方向距離rが増加するほど(すなわちバルク超電導体の内周側から外周側に向かうほど)、圧縮応力が増加する(応力σθ coolが負方向に増加する)傾向にある。また、バルク超電導体の軸方向における中央位置から軸方向に8mm離れた位置(Z=8mm)においては、径方向距離r=20〜28mmの領域において、径方向距離rが増加するほど圧縮応力が減少し、径方向距離r=28〜31mmの領域において、径方向距離rが増加するほど圧縮応力が増加する傾向にある。また、バルク超電導体の軸方向における両端位置(Z=9.9mm)においては、径方向距離r=20〜30mmの領域において、径方向距離rが増加するほど圧縮応力が減少し、径方向距離r=30〜31mmの領域においては、径方向距離rが増加するほど圧縮応力が増加する傾向にある。
また、同一の径方向距離rで比較した場合、バルク超電導体の軸方向における中央位置から遠ざかるほど(すなわちZが増加するほど)、圧縮応力が小さくなる。つまり、バルク超電導体の軸方向の中央位置から端部に向かうほど、圧縮応力が低下する。従って、バルク超電導体内部で最も圧縮応力が小さい部分は、バルク超電導体の両端位置(Z=9.9mm)の外周付近(r=30mm)である。計算上では、Z=9.9mm、r=30mmの位置にて、応力σθ coolが正となっており、わずかな引張応力がバルク超電導体の両端位置且つ外周寄りの部分に作用していることがわかる。しかしながら、バルク超電導体の両端位置且つ外周寄りの部分に作用する引張応力の大きさは数MPa程度と小さい。
次に、比較例モデルに係るバルク超電導体に作用する応力について、図7を参照しながら考察する。図7に示すように、各軸方向位置(Z=0mm,2mm,4mm,6mm,8mm,9.9mm)における応力σθ coolの径方向分布の傾向は、図6に示す実施例モデルに係るバルク超電導体に作用する応力σθ coolの径方向分布の傾向とほとんど同じである。また、径方向距離r=20mmの位置において、軸方向のいずれの位置においても、実施例モデルと同様に、一定の圧縮応力が作用している。しかしながら、比較例モデルにおいて、径方向距離r=20mmの位置に作用する圧縮応力の大きさは、約50MPa(応力σθ cool=−50MPa)であり、実施例モデルにおいて径方向距離r=20mmの位置に作用する圧縮応力(応力σθ cool=−90MPa)よりも小さい。そのため、圧縮応力が最も小さくなるバルク超電導体の両端位置且つ外周寄りの位置(Z=9.9mm、r=30mm)においては、約40MPa程度の大きな引張応力が作用している。
以上のことから、実施例モデルのように補強リングに余剰部分を設けることにより、バルク超電導体の軸方向端部に作用する圧縮応力の低下を抑制でき、或いは、引張応力に転じた場合であっても引張応力の大きさをできるだけ小さくすることができる。また、補強リングの余剰部分の軸方向長さが、バルク超電導体の軸方向長さ(補強部分の軸方向長さ)の1/4以上の長さであれば、冷却時に十分にバルク超電導体の軸方向端部(余剰部分が設けられている側に近い端部)の引張応力を十分に低減でき、当該端部を補強することができるとともに、バルク超電導体の着磁の際に生じる引張応力による当該端部の破壊を効果的に防止することができる。
次に、上記と同様の三次元形状モデルを用いて、減磁工程にてバルク超電導体に作用する引張応力を計算した。この場合において、バルク超電導体に印加する外部磁場の強さを9.4Tと仮定し、減磁工程にてバルク超電導体に印加した磁場を9.4Tから0Tまで減磁する過程を10ステップ(0.94Tずつ)に分け、各ステップにて生じる電磁力に起因する周方向における引張応力(応力σθ FCM)を計算した。図8は、応力σθ FCMの計算結果を示すグラフである。図8のグラフの横軸が径方向距離rであり、縦軸が応力σθ FCMである。図8に示すように、減磁工程にてバルク超電導体内に引張応力が生じる。この引張応力は、径方向距離r=20mmの位置、すなわちバルク超電導体の内周面にて最も大きく、内周面から外周面に向かうにつれて、引張応力が低下する。さらに、上記したように減磁工程を10ステップに分けた場合、第3ステップ或いは第4ステップにて生じる引張応力が、最も大きい。
バルク超電導体を着磁する際にバルク超電導体に周方向に作用する正味の応力は、冷却工程にて生じる応力σθ coolと減磁工程にて生じる応力σθ FCMとの合力である。そこで、実施例モデル及び比較例モデルに表される超電導磁場発生素子のバルク超電導体を着磁する際に周方向に作用する応力σθを上記合力(=σθ cool+σθ FCM)として計算した。図9は、実施例モデルに表される超電導磁場発生素子のバルク超電導体を着磁する際に周方向に作用する応力σθの計算結果を示す図であり、図10は、比較例モデルに表される超電導磁場発生素子を着磁する際に周方向に作用する応力σθの計算結果を示す図である。
図9及び図10中のグラフAが、バルク超電導体の軸方向の中央位置(Z=0mm)における応力σθの径方向分布を表し、グラフBが、中央位置から軸方向に2mm離れた位置(Z=2mm)における応力σθの径方向分布を表し、グラフCが、中央位置から軸方向に4mm離れた位置(Z=4mm)における応力σθの径方向分布を表し、グラフDが、中央位置から軸方向に6mm離れた位置(Z=6mm)における応力σθの径方向分布を表し、グラフEが、中央位置から軸方向に8mm離れた位置(Z=8mm)における応力σθの径方向分布を表し、グラフFが、中央位置から軸方向に9.9mm離れた位置(Z=9.9mm)、すなわちバルク超電導体の両端位置における応力σθの径方向分布を表す。
また、図5及び図6と同様に、図9及び図10に示されるグラフの横軸の径方向距離rが20mm以上且つ31mm以下の領域が、バルク超電導体に作用する応力σθを表す。
図9に示すように、実施例モデルに係るバルク超電導体の軸方向における両端位置(Z=9.9mm)であって且つ外周寄りの部分に最も大きい引張応力が作用する。同様に、図10に示すように、比較例モデルに係るバルク超電導体の軸方向における両端位置(Z=9.9mm)であって且つ外周寄りの部分に最も大きい引張応力が作用する。しかしながら、実施例モデルに係るバルク超電導体に作用する最大引張応力は61MPaであるのに対し、比較例モデルに係るバルク超電導体に作用する最大引張応力は93MPaである。
このように、補強リングに余剰部分を設けることで、バルク超電導体の着磁の際にバルク超電導体に作用する引張応力が低減される。換言すれば、補強リングに余剰部分を設けることで、余剰部分を設けない構成と比較して、バルク超電導体の両端部分における圧縮応力の低下が抑制され、バルク超電導体の両端部分における補強効果が高められる。このため、バルク超電導体の破損を防止しつつ、より大きい磁場をバルク超電導体に着磁させることができる。
(変形例1)
次に、変形例1に係る超電導磁場発生素子1Aについて説明する。変形例1に係る超電導磁場発生素子1Aも、実施形態に係る超電導磁場発生素子1と同様に、概ね円筒形状に形成される。また、上記実施形態に係る超電導磁場発生素子1の補強リング3は、補強部分3S、上側余剰部分3U、及び下側余剰部分3Lを有するのに対し、本例に係る超電導磁場発生素子の補強リング3は、補強部分3S及び上側余剰部分3Uを有するものの、下側余剰部分3Lを有しない。
図11は、変形例1に係る超電導磁場発生素子1Aをその中心軸線を通る平面で切断した断面図である。図11に示すように、超電導磁場発生素子1Aは、円筒形状のバルク超電導体2と、バルク超電導体2の外周に配された円筒形状の補強リング3を備える。バルク超電導体2と補強リング3は、同軸的に配設されている。
補強リング3の軸方向長さL3は、バルク超電導体2の軸方向長さL2よりも長い。また、補強リング3は、補強部分3S及び上側余剰部分3Uを有する。補強部分3Sの内周面3Sbがバルク超電導体2の外周面2aに対面接触する。上側余剰部分3Uは、補強部分3Sの一方の軸方向端部(図11において上端)から軸方向(上方向)に延設される。なお、上述したように、補強リング3には、上記実施形態で説明した下側余剰部分3Lが設けられていない。つまり、補強部分3Sの一方の軸方向端部側のみに余剰部分が設けられる。その他の構造については上記実施形態に係る超電導磁場発生素子1の構造と同一であるので、それらの説明は省略する。
このような構成の超電導磁場発生素子1Aおいても、室温から着磁温度(例えば50K)まで冷却した際に、バルク超電導体2の一方の端部(上端部)付近にて補強リング3から受ける圧縮応力の低下を抑えることができる。よって、バルク超電導体2の端面付近における補強効果が高められる。
(変形例2)
次に、変形例2に係る超電導磁場発生素子について説明する。この例に係る超電導磁場発生素子も、円筒形状に形成される。図12は、変形例2に係る円筒形状の超電導磁場発生素子1Bをその中心軸を通る平面で切断した断面図である。図12に示すように超電導磁場発生素子1Bは、2つのバルク超電導体(第一バルク超電導体21、第二バルク超電導体22)と、2つの補強リング(第一補強リング31、第二補強リング32)とを有する。
第一バルク超電導体21と第二バルク超電導体22は、同一の内径及び外径を有する円筒形状を呈しており、軸方向に沿って同軸的に積層配置される。
第一補強リング31及び第二補強リング32は、同一の内径及び外径を有する円筒形状を呈し、軸方向に沿って同軸的に積層配置される。第一補強リング31は、第一バルク超電導体21の外周に同軸的に配され、第二補強リング32は第二バルク超電導体22の外周に同軸的に配される。
第一補強リング31の軸方向長さL31は第一バルク超電導体21の軸方向長さL21よりも長く、第二補強リング32の軸方向長さL32は第二バルク超電導体22の軸方向長さL22よりも長い。また、第一補強リング31は、補強部分3S及び上側余剰部分3Uを有し、第二補強リング32は、補強部分3S及び下側余剰部分3Lを有する。第一補強リング31の補強部分3Sは第一バルク超電導体21の外周面に対面する内周面3Sbを有し、第二補強リング32の補強部分3Sは第二バルク超電導体22の外周面に対面する内周面3Sbを有する。
第一補強リング31の上側余剰部分3Uは、第一補強リング31の補強部分3Sの軸方向における上端から上方に延設され、第二補強リング32の下側余剰部分3Lは、第二補強リング32の補強部分3Sの軸方向における下端から下方に延設される。また、第一補強リング31の補強部分3Sの下端面と第二補強リング32の補強部分3Sの上端面が互いに突き合わされた状態で対面する。このような本例に係る超電導磁場発生素子1Bの構成は、上記実施形態に係る超電導磁場発生素子1の構成を、その軸方向における中間位置で二分したような構成と言える。
このような超電導磁場発生素子1Bの構成においても、冷却工程の実施時における、第一バルク超電導体21の一方の端部(上端部)付近にて第一補強リング31から受ける圧縮応力の低下、及び、第二バルク超電導体22の他方の端部(下端部)付近にて第二補強リング32から受ける圧縮応力の低下、を抑えることができる。よって、それぞれのバルク超電導体(21,22)の端面付近における補強効果が高められる。
(変形例3)
次に、変形例3に係る超電導磁場発生素子について説明する。この例に係る超電導磁場発生素子も、円筒形状に形成される。図13は、変形例3に係る超電導磁場発生素子1Cをその中心軸を通る平面で切断した断面図である。図13に示すように超電導磁場発生素子1Cは、3つのバルク超電導体(第一バルク超電導体21、第二バルク超電導体22、第三バルク超電導体23)と、3つの補強リング(第一補強リング31、第二補強リング32、第三補強リング33)とを有する。
それぞれのバルク超電導体(21,22,23)は、同一の内径及び外径を有する円筒形状を呈しており、軸方向に沿って同軸的に積層配置される。図13においては、上方から下方にかけて、第一バルク超電導体21、第三バルク超電導体23、第二バルク超電導体22が、この順で、積層される。
それぞれの補強リング(31,32,33)は、同一の内径及び外径を有する円筒形状を呈しており、軸方向に沿って同軸的に積層配置される。図13においては、上方から下方にかけて、第一補強リング31、第三補強リング33、第二補強リング32が、この順で、積層される。第一補強リング31は、第一バルク超電導体21の外周に同軸的に配され、第二補強リング32は第二バルク超電導体22の外周に同軸的に配され、第三補強リング33は、第三バルク超電導体23の外周に同軸的に配される。
第一補強リング31の軸方向長さL31は第一バルク超電導体21の軸方向長さL21よりも長く、第二補強リング32の軸方向長さL32は第二バルク超電導体22の軸方向長さL22よりも長い。また、第一補強リング31は、補強部分3S及び上側余剰部分3Uを有し、第二補強リング32は、補強部分3S及び下側余剰部分3Lを有する。第一補強リング31の補強部分3Sは第一バルク超電導体21の外周面に対面する内周面3Sbを有し、第二補強リング32の補強部分3Sは第二バルク超電導体22の外周面に対面する内周面3Sbを有する。
第一補強リング31の上側余剰部分3Uは、第一補強リング31の補強部分3Sの軸方向における上端から上方に延設され、第二補強リング32の下側余剰部分3Lは、第二補強リング32の補強部分3Sの軸方向における下端から下方に延設される。
また、第三補強リング33の軸方向長さは、第三バルク超電導体23の軸方向長さと等しい。そして、第三補強リング33の内周面の全面が、第三バルク超電導体23の外周面の全面に対面する。つまり、第三補強リング33は、バルク超電導体の外周面に対面する内周面を有する補強部分のみにより構成され、第三補強リング33に余剰部分は設けられていない。
第一補強リング31の補強部分3Sの下端面と第三補強リング33の上端面が互いに突き合わされた状態で対面し、第二補強リング32の補強部分3Sの上端面と第三補強リング33の下端面が互いに付き合わされた状態で対面する。このような本例に係る超電導磁場発生素子1Cの構成は、上記実施形態に係る超電導磁場発生素子1の構成を、その軸方向に沿って三分割したような構成と言える。
このような超電導磁場発生素子1Cの構成においても、冷却工程の実施時における、第一バルク超電導体21の一方の端部(上端部)付近にて第一補強リング31から受ける圧縮応力の低下、及び、第二バルク超電導体22の他方の端部(下端部)付近にて第二補強リング32から受ける圧縮応力の低下、を抑えることができる。よって、第一バルク超電導体21及び第二バルク超電導体22の端面付近における補強効果が高められる。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるべきものではない。例えば、超電導磁場発生素子が備える補強リングが備える余剰部分の軸方向長さは、超電導磁場発生素子の冷却時に圧縮応力の低下が抑制される範囲において、任意に設定することができる。また、補強リングが備える余剰部分の軸方向長さは、超電導磁場発生素子のバルク超電導体を着磁したときに、バルク超電導体の端部であって補強リングの余剰部分が設けられている側に近い端部が、バルク超電導体の着磁の際に生じる引張応力によって破壊されない程度の長さの範囲において、適宜設定することができる。補強リングの軸方向長さをこのような範囲内の長さに設定することにより、バルク超電導体の着磁の際におけるバルク超電導体の端部での破損を防止できる。また、上記実施形態では、補強リングの材質がアルミニウム合金である例を示したが、熱収縮率が内部のバルク超電導体の熱収縮率よりも大きい材料であれば、アルミニウム合金以外の材料により補強リングを形成してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1,1A,1B,1C…超電導磁場発生素子、2…バルク超電導体、21…第一バルク超電導体、22…第二バルク超電導体、23…第三バルク超電導体、2a…外周面、2b…内周面、3…補強リング、31…第一補強リング、32…第二補強リング、33…第三補強リング、3S…補強部分、3Sb…内周面、3U…上側余剰部分、3L…下側余剰部分、3a…外周面、3b…内周面、4…緩衝層

Claims (4)

  1. 円筒形状のバルク超電導体と、
    前記バルク超電導体の外周面にその内周面が接触するように、前記バルク超電導体に対して同軸的に配設された、前記バルク超電導体よりも大きい熱収縮率を有する円筒形状の補強リングと、を備え、
    前記補強リングは、円筒形状に形成されるとともに前記バルク超電導体の外周面に対面接触する内周面を有する補強部分と、前記補強部分と同径であり且つ同軸の円筒形状に形成されるとともに前記補強部分の軸方向における一方端或いは両端から軸方向に延設される余剰部分と、を有し、
    前記余剰部分の内周空間は中空の空間である、超電導磁場発生素子。
  2. 請求項に記載の超電導磁場発生素子において、
    前記補強部分の内周面と前記バルク超電導体の外周面との間に配設された緩衝層を備え、前記補強部分の内周面が、前記緩衝層を介して前記バルク超電導体の外周面に対面接触する、超電導磁場発生素子。
  3. 請求項1又は2に記載の超電導磁場発生素子において、
    前記余剰部分の軸方向長さは、前記バルク超電導体を着磁したときに、前記バルク超電導体の端部であって前記補強リングの前記余剰部分が設けられている側に近い端部が、前記バルク超電導体を着磁する際に生じる引張応力によって破壊されない程度の長さに設定されている、超電導磁場発生素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超電導磁場発生素子において、
    前記余剰部分の軸方向長さは、室温にて前記バルク超電導体の軸方向長さの1/4以上の長さである、超電導磁場発生素子。
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