JP7127463B2 - 酸化物超電導バルク導体 - Google Patents

酸化物超電導バルク導体 Download PDF

Info

Publication number
JP7127463B2
JP7127463B2 JP2018187670A JP2018187670A JP7127463B2 JP 7127463 B2 JP7127463 B2 JP 7127463B2 JP 2018187670 A JP2018187670 A JP 2018187670A JP 2018187670 A JP2018187670 A JP 2018187670A JP 7127463 B2 JP7127463 B2 JP 7127463B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide superconducting
superconducting bulk
bulk body
reinforcing member
conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018187670A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020055711A (ja
Inventor
英一 手嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018187670A priority Critical patent/JP7127463B2/ja
Publication of JP2020055711A publication Critical patent/JP2020055711A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7127463B2 publication Critical patent/JP7127463B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

本発明は、酸化物超電導バルク体を利用した酸化物超電導バルク導体に関する。
電気を通す導体として、現在、銅が最も多く使用されている。これは、室温での比抵抗が銀とほぼ同程度で他の物質に比べ最も低く、かつ比較的安価であることによる。導体の比抵抗を下げる方法には、導体を冷却する方法がある。銅の場合、液体窒素温度(77K)に冷却すると、比抵抗は、室温での比抵抗に対して約1/7の約2.5×10-9Ωmとなる。銅の導体としての形態は、線状あるいはテープ状の線材と、板状あるいは棒状のブスバー(導体棒)がある。銅製線材は、ケーブルや電磁石のコイル、同期モータの界磁巻線等に用いられる。一方、銅製ブスバーは、配電盤や制御盤の分岐導体、誘導モータの導体等に用いられる。大容量の電流用の導体としては、銅線よりも銅ブスバーの方が効率的な場合が多い。
超電導材料は、臨界温度T以下に冷却する必要はあるものの、電気抵抗がほぼゼロであり、理想的な導体である。金属系超電導材料は、臨界温度Tが低く、極低温への冷却の必要性から広く普及するに至っていない。そのため、臨界温度Tが液体窒素温度以上と高く、冷却の負担が比較的小さい酸化物超電導材料が実用化されると、酸化物超電導材料が広く普及することが期待される。酸化物超電導体の材料形態としては、線材と塊状のバルク体がある。酸化物超電導線材は、銅製線材が用いられている応用分野に適用することができる。一方、酸化物超電導バルク材料から板状あるいは棒状の導体を切り出せば、銅製ブスバーが用いられている応用分野に適用することができる。ここでは、酸化物超電導バルク材料から板状あるいは棒状に切り出した酸化物超電導バルク体が利用された導体のことを酸化物超電導バルク導体と呼ぶことにする。
酸化物超電導バルク導体に用いる酸化物超電導バルク材料としては、臨界温度Tが高く、大電流を流せる超電導バルク材料、すなわち臨界電流密度Jが高い超電導バルク材料が望ましい。RE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素である。)の臨界温度Tは、90K程度と高い。しかしながら、酸化物の一般的な製法である焼結法で作製されるRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体のバルク材料は、多数の結晶粒からなる多結晶状の超電導バルク材料であり、酸化物超電導バルク材料が多結晶である場合には、内部に存在する多数の結晶粒界が超電導電流を阻害するため、臨界電流密度Jは77Kで1.0×10A/cm以下であり、低い値となる。
臨界電流密度Jを改善するために、例えば、以下の特許文献1で開示されているような、溶融結晶成長プロセスが開発されている。このような溶融結晶成長プロセスを適用することにより、結晶方位の揃ったREBaCu(式中のyは、6.8≦y≦7.1を満足する。)中にREBaCuOが微細分散した組織を有する、酸化物超電導バルク材料を得ることができる。内部に微細分散したREBaCuO相は、磁力線をピン止めする機能を有する。かかる酸化物超電導バルク材料は、温度が77Kである1Tの磁場中において、臨界電流密度Jが1.0×10A/cm以上という、磁場中でも高い特性を示す。ここで、「結晶方位の揃った」とは、内部に大傾角粒界を含まない単結晶状であることと同義である。
特開平2-153803号公報
上述したように、酸化物超電導バルク材料から板状あるいは棒状にバルク体を切り出せば、銅製ブスバーのような導体を製造することは可能である。しかしながら、酸化物超電導材料は脆性材料であり、細長く切り出された酸化物超電導バルク体は、そのままでは破損しやすいという問題があった。更に、細長く切り出された酸化物超電導バルク体を高強度の部材と半田や樹脂等で接着して単純に一体化し、酸化物超電導バルク導体としたとしても、反りや剥離の問題があった。すなわち、酸化物超電導バルク体の片面だけに高強度部材を接着して一体化し、酸化物超電導バルク導体とした場合には、冷却時に酸化物超電導バルク体と高強度部材間の長手方向の熱収縮率の差が原因で酸化物超電導バルク体に反りが生じる。一方、酸化物超電導バルク体の両面に高強度部材を接着して一体化し、酸化物超電導バルク導体とした場合には、熱収縮率の差による反りは相殺されるが、酸化物超電導バルク体と高強度部材間の接着面で剥離が生じやすい。このような反りや剥離の問題は、酸化物超電導バルク体と熱収縮率が同じ高強度部材を使用すれば解決できる可能性はあるが、汎用的な部材でない場合には、高価になり現実的ではない。
そこで、本発明では、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、RE-Ba-Cu-O(REは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素)の組成を含む希土類系酸化物超電導バルク体を利用した酸化物超電導バルク導体において、臨界温度T以下に冷却しても破損しにくい酸化物超電導バルク導体を提供することを目的とする。
本発明の酸化物超電導バルク導体は、以下のとおりである。
(1)組成式がREBaCu(式中のREは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.2を満足する。)で表され、結晶方位の揃ったREBaCu相中に、組成式がREBaCuOで表されるREBaCuO相が分散した組織を有すると共に、棒状又は板状の形状を有する酸化物超電導バルク体と、前記酸化物超電導バルク体の長手方向の少なくとも一面に重ねられる1以上の補強部材と、前記酸化物超電導バルク体に前記補強部材が重ねられた方向に、前記酸化物超電導バルク体と前記補強部材とを固定する剥離防止部材とを、備え、前記剥離防止部材は、前記酸化物超電導バルク体と前記補強部材とが重ねられた積層体の周囲を囲む環を有する、又は、当該環の一部が省略されたコの字構造を有しており、前記剥離防止部材の中空部に前記積層体が嵌め込まれていることを特徴とする、酸化物超電導バルク導体。
(2)前記酸化物超電導バルク体の長手方向の面のうち、前記補強部材が重ねられた前記面とは反対側の面に、重ねて設置された補強部材を更に有することを特徴とする、(1)に記載の酸化物超電導バルク導体。
(3)前記酸化物超電導バルク体は、前記酸化物超電導バルク体の長手方向に複数備えられ、前記複数備えられた酸化物超電導バルク体の両面に、片側それぞれ1つずつの前記補強部材が重ねられ、複数の前記剥離防止部材によって固定されていることを特徴とする、(2)に記載の酸化物超電導バルク導体。
)前記補強部材は、電気的良導体の金属板であり、前記金属板と接着する前記酸化物超電導バルク体は、その表面に銀被膜を有しており、前記酸化物超電導バルク体と前記金属板とは、半田あるいは銀ペーストにて接着されていることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の酸化物超電導バルク導体。
)前記酸化物超電導バルク体の厚さが100μm以上であることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の酸化物超電導バルク導体。
本発明によれば、RE-Ba-Cu-Oの組成からなる希土類系酸化物超電導バルク導体において、臨界温度T以下に冷却しても破損しにくい酸化物超電導バルク導体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の一例を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の別の例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の一例を示す概念図である。 ブスバー導体接続の従来例を示した概念図である。 ブスバー導体接続の本実施形態例を示した概念図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の別の例を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の別の例を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体における剥離防止部材の別の例を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の別の例を示す概念図である。 本発明の実施例1における酸化物超電導バルク材料の捕捉磁場分布の測定結果を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図中の各構成要素の比率、寸法は、実際の各構成要素の比率、寸法を表すものではない。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
<超電導バルク体の概要について>
本実施形態で用いる結晶方位の揃った酸化物超電導バルク体(以下、「超電導バルク体」ともいう。)は、RE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体である。より詳細には、本実施形態で用いる結晶方位の揃った酸化物超電導バルク体は、単結晶状のREBaCu7-x相(123相)中に、REBaCuO相(211相)等に代表される非超電導相が分散した組織を有するものである(以下、「QMG材料」ともいう。)。特に、本実施形態に係る酸化物超電導バルク体は、直径20μm以下の非超電導相が微細分散した組織を有するものであることが望ましい。ここで、「結晶方位の揃った」とは、超電導電流が大幅に低下する粒界である大傾角粒界を内部に含まない単結晶状であることを意味する。また、「単結晶状」とは、完全な単結晶のみを指すのではなく、単結晶中に小傾角粒界等のような実用に差し支えない欠陥が存在するものも包含するものとする。大傾角粒界とは、例えば、粒界を挟んで隣り合う領域の結晶方位の角度が15°よりも大きい粒界をいう。また、小傾角粒界とは、例えば、粒界を挟んで隣り合う領域の結晶方位の角度が15°以下である粒界をいう。123相及び211相における構成元素REは、Y及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種以上から選択される。ただし、希土類元素としてCe、Pr、Pm及びTbを含有する場合には、超電導体とはならないため、Ce、Pr、Pm及びTbは、上記REからは除外される。すなわち、123相及び211相における構成元素REは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる希土類元素、Y及びこれら元素の組み合わせから選択される。ただし、La、Nd、Sm、Eu、又はGdの少なくともいずれかを含む123相は、1:2:3の化学量論組成から外れ、REのサイトにBaが一部置換した状態になることもある。また、非超電導相である211相においても、La、Ndは、Y、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luとは幾分異なり、金属元素の比が非化学量論的組成であったり、結晶構造が異なったりすることが知られている。
前述のBa元素の置換は、臨界温度を低下させる傾向がある。また、より酸素分圧の小さい環境においては、Ba元素の置換が抑制される傾向にある。
このような単結晶状の酸化物超電導バルク体は、セラミックスの一般的な製法である焼結法ではなく、以下で詳述するような、焼結温度よりも高い溶融温度以上に成形体を昇温して半溶融状態にした後、徐冷中に結晶成長させるという、溶融結晶成長法で製造される。
123相は、以下に示すような、211相と、BaとCuとの複合酸化物からなる液相との包晶反応により生成する。
211相+液相(BaとCuの複合酸化物)→123相
そして、この包晶反応により、123相が生成する温度(Tf:123相生成温度)は、ほぼRE元素のイオン半径に関連し、RE元素のイオン半径の減少に伴いTfも低くなる。また、低酸素雰囲気及びAg添加に伴い、Tfは低下する傾向にある。
単結晶状の123相中に211相が微細分散した材料は、123相が結晶成長する際、未反応の211粒が123相中に取り残されるためにできる。即ち、上記バルク材は、以下に示す反応により生成する。
211相+液相(BaとCuの複合酸化物)→123相+211相
QMG材料中の211相の微細分散は、臨界電流密度J向上の観点から、極めて重要である。QMG材料中には、上記のような構成元素に加えて、Pt、Rh又はCeの少なくとも一つを微量に含有することも可能である。Pt、Rh又はCeの少なくとも一つを微量に含有することで、半溶融状態(すなわち、211相と液相とからなる状態)での211相の粒成長が抑制され、結果的に、QMG材料中の211相の粒径を約1μm程度に微細化することができる。これらの元素の含有量は、微細化効果が現れる量が含有されることが好ましい。また、材料コストの観点から、これらの元素の含有量は、例えば、それぞれ、Pt:0.2~2.0質量%、Rh:0.01~0.5質量%、Ce:0.5~2.0質量%であることが好ましい。より好ましくは、Ptの含有量は、0.4~0.8質量%、Rhの含有量は、0.05~0.4質量%、及びCeの含有量は、0.1~0.3質量%である。また、Pt、Rh又はCeのうちの複数を用いる場合、含有されるPt、Rh又はCeの合計量は、酸化物超電導バルク材料の質量に対して、好ましくは、0.1質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは、0.2質量%以上1.5質量%以下である。QMG材料が含有するPt、Rh及びCeは、123相中に一部固溶する。また、QMG材料が含有するPt、Rh及びCeのうち、固溶できなかった残分は、BaやCuとの複合酸化物を形成し、材料中に点在することになる。QMG材料は、バルク体全体として、4回回転対称性の結晶構造を有している。
ここで、123相中の211相の割合は、臨界電流密度Jの特性及び機械強度の観点から、例えば、5~35体積%であることが望ましい。更に好ましくは、15体積%以上30体積%以下である。また、超電導バルク体中には、50~500μm程度のボイド(気泡)が5~20体積%程度存在することが一般的である。更に、超電導バルク体中に、上記のような元素に加えてAgを更に添加することも可能である。Agを更に添加した場合、超電導バルク体は、Agの添加量に応じて、粒径が1~500μm程度のAg又はAg化合物を0体積%超25体積%以下含むようになる。
また、結晶成長後のバルク体は、酸素欠損量(x)が0.5~0.8程度となることで、半導体的あるいは絶縁材料的な抵抗率の温度変化を示す。このような結晶成長後のバルク体を、各RE系に応じて623K~873Kの温度で100時間程度、酸素雰囲気中においてアニールすることにより、酸素が超電導バルク体中に取り込まれ、酸素欠損量(x)は、0.2以下、すなわち酸素量y(=7-x)は、6.8以上となり、良好な超電導特性を示す。このとき、超電導相中には、双晶構造が生成する。しかしながら、このような双晶構造も含め、本明細書においては、「単結晶状」と称することとする。
また、かかる酸化物超電導バルク体を、酸化物超電導バルク導体として利用するには、結晶成長後の酸化物超電導バルク体を、棒状又は板状といった所定の形状に加工した上で、上記のような酸化物超電導バルク体の酸素アニールを行うことが求められる。
<本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の詳細な説明>
以下では、本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体について、図に沿って説明する。
図1は、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の一例を示す概念図である。本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体1は、組成式がREBaCu(式中のREは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素、6.8≦y≦7.2)で表され、結晶方位の揃ったREBaCu相中に、組成式がREBaCuOで表されるREBaCuO相が分散した組織から細長く板状又は棒状に切り出された酸化物超電導バルク体10の長手方向(x軸方向)の少なくとも一面に1以上の補強部材20が重ねて配置されている。酸化物超電導バルク導体1に用いられる酸化物超電導バルク体10としては、細長く板状又は棒状に切り出されたものであれば断面形状に特に制限を設けるものではないが、断面形状が矩形状、四角形状の方が補強部材20との重ね合せが容易であり好ましい。更に、酸化物超電導バルク導体1は、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とを、重ねられた方向(z軸方向)に固定する剥離防止部材30を備えている。すなわち、剥離防止部材30は、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とを、補強部材20が重ねられた面に垂直な方向に固定する。剥離防止部材30は、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とが重ねられた積層体の周囲を囲む環を有している。そして、剥離防止部材30の中空部に当該積層体が嵌め込まれる。酸化物超電導バルク体10は、脆性材料で細長い形状であるにもかかわらず、少なくとも一面に重ねられた高強度の補強部材20とともに、剥離防止部材30で両面を固定されているため破損しにくい。更に、剥離防止部材30は、重ねられた方向には酸化物超電導バルク体10及び補強部材20を固定しているが、長手方向には固定していないので、酸化物超電導バルク体10と補強部材20の長手方向の熱収縮率が異なっていても、冷却時に長手方向に酸化物超電導バルク体10と補強部材20が互いに少しずれるだけであり、反りや剥離が起こり難い。ここで酸化物超電導バルク導体1に用いられる酸化物超電導バルク体10の厚さは、好ましくは、100μm以上である。酸化物超電導材料の導体としては、同じ材料系のものをテープ状の金属基材上に形成した超電導テープ線材もあるが、超電導部分の厚さは1μm程度であり、酸化物超電導バルク導体の超電導部分の厚さが酸化物超電導バルク体10の厚さと全く異なるため、その性質や挙動も大きく異なる。また、酸化物超電導バルク体10から100μmよりも薄く導体を切り出すことは困難であり、初めから金属基材上に形成される酸化物超電導テープ線材とは異なるものである。
図2は、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の別の一例を示す概念図である。図2では、酸化物超電導バルク体10の長手方向の向かい合う両面に補強部材20が重ねて配置されている。更に、酸化物超電導バルク導体1Aは、酸化物超電導バルク体10と補強部材20を、重ねられた方向に固定する剥離防止部材30を備えている。酸化物超電導バルク体10は、脆性材料で細長い形状であるにもかかわらず、高強度の補強部材20と剥離防止部材30で両面を固定されているため、片面補強の場合よりも破損しにくい。更に、剥離防止部材30は、重ねられた方向には酸化物超電導バルク体10及び補強部材20を固定しているが、長手方向には固定していないので、酸化物超電導バルク10体と補強部材20の長手方向の熱収縮率が異なっていても、冷却時に長手方向に酸化物超電導バルク体10と補強部材20が互いに少しずれるだけであり、反りや剥離が起こり難い。
補強部材20としては、銅や銅合金、アルミ、アルミ合金などの金属、あるいはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの機械的に高強度の部材であればよい。酸化物超電導バルク体10は、脆性材料で細長い形状であるにもかかわらず、高強度の補強部材20と剥離防止部材30で固定されているため、破損しにくい。更に、剥離防止部材30は、重ねられた方向には酸化物超電導バルク体10及び補強部材20を固定しているが、長手方向には固定していないので、酸化物超電導バルク体10と補強部材20の長手方向の熱収縮率が異なっていても、冷却時に長手方向に酸化物超電導バルク体10と補強部材20が互いに少しずれるだけであり、反りや剥離が起こり難く、酸化物超電導バルク体10が破損することもない。補強部材20の厚さについて制約を設けるものではないが、薄すぎると補強の効果が小さくなるので、補強部材20の厚さとしては0.5mm以上が好ましい。また、厚すぎると導体として嵩張るので、補強部材20の厚さとしては、酸化物超電導バルク体10の厚さの2倍以下が好ましい。
図1や図2の説明において、これまでは、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とは、特に接着されておらず、剥離防止部材30でのみ固定されていた例を挙げていたが、酸化物超電導バルク体10と補強部材20の間を半田や樹脂等で接着して一体化してもよい。図1のように、酸化物超電導バルク体10の片側のみに補強部材20を重ね、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とを接着して一体化した場合には、互いにずれが生じないために、酸化物超電導バルク体10と補強部材20の熱収縮率差による冷却時の反りは剥離防止部材30で固定しても防ぐことはできない。しかし、酸化物超電導バルク体10と補強部材20の間の反りに起因した剥離は防止できる。図2のように、酸化物超電導バルク体10の両側のそれぞれに補強部材20を重ね、酸化物超伝導バルク体10と補強部材20とを接着して一体化した場合には、互いにずれることがなくても酸化物超電導バルク体10と補強部材20の熱収縮率差による冷却時の反りは起こりにくく、逆に酸化物超電導バルク体10と補強部材20との間の剥離が起こり易くなる。しかしながら、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とは、剥離防止部材30によって、重ねられた方向に固定されているため、効果的に剥離を防止できる。更に、補強部材20を銅やアルミ等の電気の良導体とし、半田付けや銀ペースト等で酸化物超電導バルク体10と接着一体化すると、酸化物超電導バルク体10と補強部材20との間は電気的に接続される。これにより、万が一、酸化物超電導バルク体10が破損した際にも、電気の良導体である補強部材20が電流のバイパス機能を有することなる。その結果、酸化物超電導バルク体10が破損した場合にも、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体は、導体としての機能を完全に失うことはない。したがって、酸化物超電導バルク導体に接続されている機器を保護する機能が増すという効果が得られる。酸化物超電導バルク体10と補強部材20の間を半田付けする際には、酸化物超電導バルク体10の表面に銀被膜を設けた方が、電気的な接触抵抗が著しく低下するので好ましい。ここで電気の良導体とは、銅やアルミと同程度の電気抵抗率を有するもので、室温付近では1×10-7Ωm以下のものが好ましい。
剥離防止部材30としては、酸化物超電導バルク体10と補強部材20を、重ねられた方向に固定するものであればよく、その形成方法及び形状は限定されない。図3~図9に、両側に補強部材を設けた酸化物超電導バルク導体の長手方向から見た剥離防止部材の例を示す。図3は、剥離防止部材が一体成型された例である。図4は、複数の剥離防止部材の部品を組み合わせて中空構造にした例である。図3に示した、一体ものの中空構造の剥離防止部材30に酸化物超電導バルク体10や補強部材20を嵌め込む場合に比べて、図4に示したように、剥離防止部材30Aを、剥離防止部材部品301及び剥離防止部材部品302を含む組み合わせ構造にすることによって嵌め込みが容易になる。複数の剥離防止部材部品を組み合わせる場合には、例えば、図5に示すように、例えば、ボルト303で剥離防止部材部品301及び剥離防止部材部品302を固定して剥離防止部材30Bとしてもよく、あるいは図6に示すように、半田や樹脂等の接着剤304で接着してもよい。図7は、剥離防止部材30Cがコの字構造の例である。すなわち、剥離防止部材30Cは、環の一部が省略された構造となっている。コの字構造の剥離防止部材30Cの場合には、長手方向に隣り合う剥離防止部材30Cを互いに逆向きに嵌め合わせることによって、剥離防止部材30Cから酸化物超電導バルク体10や補強部材20を外れにくくすることができる。図8に示した剥離防止部材30Dは、コの字構造の剥離防止部材305に堰306を設けて酸化物超電導バルク体10や補強部材20が剥離防止部材30Dから外れにくくした例である。図9は、薄いテープ状の剥離防止部材307を巻き付けた例である。
剥離防止部材30の熱収縮率としては、酸化物超電導バルク体10と補強部材20が重ねられた方向の全体の熱収縮率と同じか、あるいはそれより大きい方が、冷却時に酸化物超電導バルク体10と補強部材20とに圧縮応力が作用することで固定力が増すので好ましい。1つの酸化物超電導バルク導体1での剥離防止部材30の数量について限定するものではないが、例えば、図1のように、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とが重ねられた積層体の両端付近にそれぞれ1か所ずつ計2箇所は設けた方が好ましい。1つの酸化物超電導バルク導体となる積層体の長さが長い場合には、中央部にも剥離防止部材30を設けるなど適宜数量を増やせばよい。剥離防止部材30としては、銅や銅合金、アルミ、アルミ合金などの金属、あるいはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの機械的に高強度の部材であればよいが、テープ状の剥離防止部材の場合には薄い金属や樹脂のテープであっても多層巻にすることによって高強度にすることができる。剥離防止部材30は、酸化物超電導バルク体10や補強部材20と半田や樹脂等で接着してもよいが、酸化物超電導バルク体10と補強部材20とが互いに接着されていない場合には、酸化物超電導バルク体10の長手方向の面、又は補強部材20の長手方向の面のどちらか一方のみと固定した方が、冷却時に酸化物超電導バルク体10と補強部材20とが互いにずれることが可能となるので好ましい。
続いて、図10及び図11を参照して、ブスバー導体接続の従来例と本発明例とを比較する、図10は、従来の銅ブスバー導体2で銅端子Aと銅端子Bを結んだ場合であり、図11は、本発明に係る酸化物超電導バルク導体1で銅端子Aと銅端子Bとを結んだ場合である。どちらの場合も、銅端子A及び銅端子Bとは半田付などで電気的に接続されるが、本発明に係る酸化物超電導バルク導体1の場合には、例えば、酸化物超電導バルク体10と銅端子A及び銅端子Bとが半田付される。この場合、剥離防止部材30は、半田付け面を避ける位置に取り付けられることになる。図10の従来の銅ブスバー導体2で銅端子Aと銅端子Bとを結んだ場合に比べて、図11の本発明のように酸化物超電導バルク導体1で銅端子Aと銅端子Bとを結んだ場合の方が、酸化物超電導バルク導体1の電気抵抗が銅ブスバー導体2の電気抵抗と比較して小さいため、同一電流を流すときには、全体的にコンパクトにすることが可能となり、更に、通電時のジュール発熱が大幅に低減する。
図12は、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の別の例を示す概念図である。図12では、酸化物超電導バルク導体1Eの長手方向の向かい合う両面に補強部材が重ねて配置されているが、図2の例と異なり、片側の補強部材20Aが短くなっている。このような構造にすることによって、図11のように、A地点とB地点の銅端子の間を酸化物超電導バルク導体1Eで接続する場合に、A地点とB地点の銅端子と酸化物超電導バルク体10とを直接半田付けすることができる。図12では、片側の補強部材20Aが短くなって、酸化物超電導バルク体10の端部の片面が外部端子に直接接続できるようになっていたが、両側の補強部材が短くなっていて、酸化物超電導バルク体10の端部の両面が直接外部端子に接続できる構造にしてもよい。また、図2のような両側の補強部材20の長さが同じである酸化物超電導バルク導体1Aの場合であっても、補強部材20が電気良導体であって、かつ酸化物超電導バルク体10と補強部材20とが半田等で電気的に接続されていれば、補強部材20を介して酸化物超電導バルク導体1AをA地点とB地点の銅端子に接続してもよい。
図13は、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体1の別の例を示す概念図である。図13では、酸化物超電導バルク体10Aと補強部材20Bの一部に剥離防止部材30の大きさに合わせて凹み部を設けており、剥離防止部材30を当該凹み部に嵌合することで、剥離防止部材30が出っ張らない構造になっている。図14では、補強部材20Cの長さを酸化物超電導バルク体10より短くし、酸化物超電導バルク体10の断端部にコの字形状の剥離防止部材30Dを設けており、剥離防止部材30が出っ張らない構造になっている。図14のような、剥離防止部材30Dがコの字形状の場合においても、補強部材20Cと剥離防止部材30Dとが一部重なる構造になっているため、図13と同様に、補強部材20Cが酸化物超電導バルク体10から剥離することを防止することができる。
図15は、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の別の例を示す概念図である。図15では、複数の酸化物超電導バルク体10のZ軸方向の両面に、片側それぞれ1つずつの補強部材20が重ねられ、複数の剥離防止部材30によって固定されている。実用的な酸化物超電導バルク導体1Hの長さは、数cm~1m程度であり、銅やFRP(繊維強化プラスチック)等の補強部材30は、工業的に一体ものの製造は可能である。一方、高い臨界電流密度Jを有する酸化物超電導バルク体10は、結晶成長工程によって製造されるために、長さは10cm程度であり、長尺な酸化物超電導バルク導体1Hとするためには、複数個の酸化物超電導バルク体10を使用することになる。その場合には、図15のように、それぞれの酸化物超電導バルク体10に少なくとも1個の剥離防止部材30を設けた方が十分に固定されるので好ましい。
以上、本発明の実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の種々の例について説明した。
なお、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体は、図1~図15に示した例に限定されない。すなわち、酸化物超電導バルク体と、酸化物超電導バルク体の長手方向の少なくとも一面に補強部材が重ねて設置され、酸化物超電導バルク体と補強部材を重ねられた方向に固定する剥離防止部材を備えている酸化物超電導バルク導体であれば、酸化物超電導バルク導体の態様は特に限定されない。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一例であって、本発明が、下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図16を用いて、本実施形態に係る酸化物超電導バルク導体の有効性について説明する。図16(a)は、補強部材がない棒状の酸化物超電導バルク体のみの酸化物超電導バルク導体である。図16(b)は、片側に補強部材を設けた酸化物超電導バルク導体であり、図16(c)は、片側に補強部材を設けた酸化物超電導バルク導体である。図16(b)と(c)ともに剥離防止部材がないために、酸化物超電導バルク体と補強部材は半田付けで一体化している。図16(d)は、片側補強部材に剥離防止部材を設けた酸化物超電導バルク導体であり、図16(e)は、両側補強部材に剥離防止部材を設けた酸化物超電導バルク導体である。図ともに剥離防止部材があるために、酸化物超電導バルク体と補強部材は一体化していない。ここで、図16(a)に示した酸化物超電導バルク導体を試料A、図16(b)に示した酸化物超電導バルク導体を試料B、図16(c)に示した酸化物超電導バルク導体を試料C、図16(d)に示した酸化物超電導バルク導体を試料D、図16(e)に示した酸化物超電導バルク導体を試料Eと呼ぶ。
まず、試料A~試料Eを構成する棒状の酸化物超電導バルク体を切り出す母材である酸化物超電導バルク体の製造方法について述べる。市販されている純度99.9質量%のガドリニウム(Gd)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Gd:Ba:Cu=1.6:2.3:3.3のモル比で秤量し、それに酸化セリウムを1質量%及び酸化銀を銀換算で10質量%加えた。この秤量粉を2時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで8時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉を円板形状に成形した。この成形体を1423Kまで加熱して溶融状態にし、30分間保持した後、降温途中で種付けを行い、1278K~1252Kの温度領域を100時間かけて徐冷して結晶成長させ、直径60mm、高さ20mmの単結晶状の酸化物超電導バルク体を得た。そして、この直径60mmの単結晶状の酸化物超電導バルク体から、長さ50mm×幅3mm×厚さ1mmの細長い棒状試料を、結晶のc軸が1mm長の辺と平行になるように切り出した。細長い棒状試料は、表面に銀を2μm程度の厚さで成膜した後、酸素気流中において673Kで100時間熱処理した。
試料Aについては、この細長い棒状試料を酸化物超電導バルク導体とした。試料Bについては、酸化物超電導バルク体の片側に長さ50mm×幅3mm×厚さ1mmの銅板を補強部材として半田付けで接着した。試料Cについては、酸化物超電導バルク体の両側に長さ50mm×幅3mm×厚さ1mmの銅板を補強部材として半田付けで接着した。試料Dについては、酸化物超電導バルク体の片側に補強部材である銅板を重ねたものを、3mm×2mmの中空サイズを有する銅製の剥離防止部材2個に嵌め合わせた。試料Eについては、酸化物超電導バルク体の両側に銅板を補強部材として重ねたものを、3mm×3mmの中空サイズを有する銅製の剥離防止部材2個に嵌め合わせた。試料Dと試料Eは、上述したように、剥離防止部材があるために、酸化物超電導バルク体と補強部材は一体化していない(接着していない)。また、本実施例では、剥離防止部材は嵌め合わせただけで、特に接着は行っていない。
試料A~Eを各5個ずつ準備して、室温から液体窒素温度への冷却試験を10回繰り返した。試料Aについては、冷却繰り返し試験の取扱い中に5個中1個が破損したが、補強部材がある試料B~Eについては、冷却繰り返し試験の取扱い中に酸化物超電導バルク導体が破損することはなかった。試料Bについては、冷却時に酸化物超電導バルク体と補強部材との長手方向の熱収縮率の差によって反りが生じた。1回目の冷却では試料全体が反るだけで、剥離は見られなかったが、冷却を10回繰り返した後では、5個中4個に酸化物超電導バルク体と補強部材間に剥離が生じた。試料Cについては、試料全体の反りはなかったが、1回目の冷却後に5個中2個に酸化物超電導バルク体と補強部材間に剥離が生じた。5回目の冷却後には5個全ての試料に剥離が生じ、冷却を繰り返すにつれて剥離具合が大きくなった。試料Dについては、冷却しても試料全体の反りや剥離は生じず、10回冷却後も特に異常はなかった。試料Eについては、冷却しても試料全体の反りや剥離は生じず、10回冷却後も特に異常はなかった。
従って、本結果から、酸化物超電導バルク導体を、酸化物超電導バルク体の長手方向の少なくとも一面に補強部材が重ねて設置され、酸化物超電導バルク体と補強部材とが重ねられた方向に、酸化物超電導バルク体と補強部材とを固定する剥離防止部材を備えている構成にすることにより、RE-Ba-Cu-Oの組成を含む希土類系酸化物超電導バルク導体において、臨界温度T以下に冷却しても破損しにくい酸化物超電導バルク導体を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 酸化物超電導バルク導体
2 銅ブスバー
10、10A 酸化物超電導バルク体
20、20A、20B、20C 補強部材
30、30A、30B、30C、30D、305、307 剥離防止部材
301、302 剥離防止部材部品
303 ボルト
304 接着剤
306 堰

Claims (5)

  1. 組成式がREBaCu(式中のREは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、yは、6.8≦y≦7.2を満足する。)で表され、結晶方位の揃ったREBaCu相中に、組成式がREBaCuOで表されるREBaCuO相が分散した組織を有すると共に、棒状又は板状の形状を有する酸化物超電導バルク体と、
    前記酸化物超電導バルク体の長手方向の少なくとも一面に重ねられる1以上の補強部材と、
    前記酸化物超電導バルク体に前記補強部材が重ねられた方向に、前記酸化物超電導バルク体と前記補強部材とを固定する剥離防止部材と、を備え
    前記剥離防止部材は、前記酸化物超電導バルク体と前記補強部材とが重ねられた積層体の周囲を囲む環を有する、又は、当該環の一部が省略されたコの字構造を有しており、前記剥離防止部材の中空部に前記積層体が嵌め込まれていることを特徴とする、酸化物超電導バルク導体。
  2. 前記酸化物超電導バルク体の長手方向の面のうち、前記補強部材が重ねられた前記面とは反対側の面に、重ねて設置された補強部材を更に有することを特徴とする、請求項1に記載の酸化物超電導バルク導体。
  3. 前記酸化物超電導バルク体は、前記酸化物超電導バルク体の長手方向に複数備えられ、
    前記複数備えられた酸化物超電導バルク体の両面に、片側それぞれ1つずつの前記補強部材が重ねられ、
    複数の前記剥離防止部材によって固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の酸化物超電導バルク導体。
  4. 前記補強部材は、電気的良導体の金属板であり、
    前記金属板と接着する前記酸化物超電導バルク体は、その表面に銀被膜を有しており、
    前記酸化物超電導バルク体と前記金属板とは、半田あるいは銀ペーストにて接着されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化物超電導バルク導体。
  5. 前記酸化物超電導バルク体の厚さが100μm以上であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の酸化物超電導バルク導体。
JP2018187670A 2018-10-02 2018-10-02 酸化物超電導バルク導体 Active JP7127463B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018187670A JP7127463B2 (ja) 2018-10-02 2018-10-02 酸化物超電導バルク導体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018187670A JP7127463B2 (ja) 2018-10-02 2018-10-02 酸化物超電導バルク導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020055711A JP2020055711A (ja) 2020-04-09
JP7127463B2 true JP7127463B2 (ja) 2022-08-30

Family

ID=70106368

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018187670A Active JP7127463B2 (ja) 2018-10-02 2018-10-02 酸化物超電導バルク導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7127463B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005011702A (ja) 2003-06-19 2005-01-13 Fujikura Ltd 超電導テープ線材及びその製造装置並びにその製造方法
WO2013153973A1 (ja) 2012-04-10 2013-10-17 住友電気工業株式会社 補強材付き酸化物超電導線材
JP2017011204A (ja) 2015-06-25 2017-01-12 新日鐵住金株式会社 超電導通電素子

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005011702A (ja) 2003-06-19 2005-01-13 Fujikura Ltd 超電導テープ線材及びその製造装置並びにその製造方法
WO2013153973A1 (ja) 2012-04-10 2013-10-17 住友電気工業株式会社 補強材付き酸化物超電導線材
JP2017011204A (ja) 2015-06-25 2017-01-12 新日鐵住金株式会社 超電導通電素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020055711A (ja) 2020-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7138581B2 (en) Low resistance conductor, processes of production thereof, and electrical members using same
JP2754564B2 (ja) 超電導性複合体の製造方法
EP2544198B1 (en) Electrode unit joining structure for superconducting wire material, superconducting wire material, and superconducting coil
JP6178779B2 (ja) 超電導線材の接続構造体および超電導線材の接続構造体の製造方法
JP6119851B2 (ja) 酸化物超電導バルクマグネット
JP4653555B2 (ja) 酸化物超伝導磁石材料及び酸化物超伝導磁石システム
WO1995024047A1 (fr) Aimant supraconducteur et son procede de production
JP5675232B2 (ja) 超電導電流リード
JP7127463B2 (ja) 酸化物超電導バルク導体
RU2597211C1 (ru) Провод из оксидного сверхпроводника
JP7335501B2 (ja) 酸化物超電導バルク導体及び通電素子
JP7277721B2 (ja) 酸化物超電導バルク導体、及び、その製造方法
JP4612311B2 (ja) 酸化物超電導体電流リード
JP2012064323A (ja) 超電導電流リード
JP2018035015A (ja) 超電導バルク接合体および超電導バルク接合体の製造方法
JP4414617B2 (ja) 低抵抗導体、その製造方法、電流リード、電力供給用ケーブル、コイル、磁場発生装置、変圧器及び交流電源
JP4903729B2 (ja) 酸化物超伝導マグネット及びその製造方法、並びに冷却方法
JP3831307B2 (ja) 低抵抗導体およびその製造方法
JP2018127381A (ja) 超電導バルク接合体の製造方法
JP6707164B1 (ja) 超電導線材の接続構造体及び超電導線材
US10748691B2 (en) Oxide superconducting bulk magnet
JP2003173718A (ja) 低抵抗複合導体およびその製造方法
JPH10188696A (ja) 酸化物超電導線材及びその接合方法
JPH05319824A (ja) 酸化物超電導体積層体の製造方法
Dey et al. Effect of magnetic field, thermal cycling and bending strain on critical current density of multifilamentary Bi-2223/Ag tape and fabrication of a pancake coil

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190208

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20190419

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190426

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220801

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7127463

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151