JP4176971B2 - 磁気分離方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水質浄化や固液分離等を目的とした磁気分離装置に関し、特に磁気反発作用を利用することにより濃縮、分離できる磁気分離方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の浄化技術には磁気分離技術があり,この種の固液分離技術を応用した海,河川、貯水池等の水を浄化する連続水浄化装置として特開昭59ー371号公報がある。これには赤潮の処理方法が開示されている。赤潮の原水に強磁性体微粒子を添加して攪拌し、磁気フィルタに通水し、磁性体微粒子とともに赤潮プランクトンを捕捉分離するものである。この装置では処理する原水に、磁気分離工程への前処理として、原水取水後に,例えば四酸酸化鉄等の磁性粉と凝縮剤の硫酸バン土やポリ塩化アルミニュウムを加えて攪拌すると、原水中の固形浮遊物や藻類、菌類、微生物は、凝縮剤によって磁性フロックと結合しコロイド状の多数の磁性を持った磁性フロックの集合体となる。この磁性凝集体(磁性フロック)が磁気分離部(磁気フィルタ)を通過する際に分離部に吸引されることを利用して、原水中から分離するものである。
【0003】
上記のような、従来の磁気分離装置の基本運転は、次のように行われる。貯水池等から取水した原水は、大きなゴミを取るために導水に設けられたフィルタを通して、ポンプで原水貯槽に一旦貯えられる。そしてこの原水に、薬剤調整装置から、四酸酸化鉄の磁性粉とポリ塩化アルミニュウムや硫酸鉄等の凝集剤を、導管を介して加えられる。その後、モータ駆動による攪拌槽内の攪拌機で攪拌され、磁性フロックを含む前処理水となる。前処理水は、導水管を通り磁気分離容器内に流入する。
【0004】
磁気分離容器では、空心コイルに直流電源装置から直流電流を流す。これにより直流電流に比例した磁場が、円筒状の磁気分離容器内に発生する。均一化された磁場によって高勾配磁気フィルタの磁性細線充填物は磁化される。しかし、磁気分離容器内の磁場は、磁化された磁性細線充填物のために磁場に乱れが生じ、局部的に磁束の疎密ができる。そして磁性細線に近づくに連れて、磁気勾配が大きくなる。すなわち正の磁場勾配となる部分が多数の磁性細線上に発生する。磁性フロックを含んだ前処理水を、下方から上向に向けて送水すると、原水中の磁性フロックは充填物の磁性細線表面に上記の正の磁場勾配空間が生成される。したがって、磁性細線に近づくにしたがい大きくなる磁気力で、磁性細線表面上の磁性フロックが捕捉され、浄化された原水は処理水として弁、導水管を通り処理水槽に一旦貯えられ、導水管を通じて貯水池に戻される。
【0005】
磁性フロックが、一定量の高勾配磁気フィルタにより捕捉された後、磁気分離の性能を回復させるために、前記磁気フィルタの逆洗が行われる。逆洗は、先ず前処理水の送水を止め、次に、直流電源を切り、磁場を無くした後高勾配磁気フィルタの上部から(分離する場合とは逆方向から)弁を通じて処理水を所定の量逆流させる。このとき、空気タンクから弁、導管を通じて空気を供給しエヤーバブリングを行いながら磁性細線表面に付着した磁性フロックを洗浄除去し、洗浄水を逆洗処理水槽に蓄える。この洗浄水は別途逆洗処理水槽から運び出され、埋め立て地等に廃棄あるいは焼却される。この後、再び前記空心コイルに直流電源装置から直流電流を流し、磁気分離運転が行われる。
【0006】
また、特開平2−307548号公報がある。これは、超電導相粉末の臨界温度以下の環境で選別する装置に関し、旋回流を形成し磁場内でマイスナー効果を生ずる超電導相粉末を多く含む粉末を選別する装置が開示されている。
【0007】
また、細胞や蛋白質の分離、すなわち蛋白質の分離精製において、従来は密度差を利用した遠心分離装置による分離、精製や、電気泳動法による分離、精製が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、高勾配磁気フィルタを洗浄する運転工程が不可欠となり、実質浄化運転時間が増大し、運転効率が低下する問題がある。また、例えば糸状の藻類等の細長い物体が絡み,逆洗では容易に除去することができない。これらがフィルタに蓄積した場合,高勾配磁気フィルを磁気分離部から撤去して洗浄し,新しいフィルタと交換する必要が生じる。したがって、交換時間の間は浄化運転ができない。このような場合、運転効率が低下し、また交換のためのコストがかかる問題がある。
【0009】
また上記の細胞や蛋白質等の遠心力による分離方法では、大きな遠心力により分離するので、細胞や蛋白質が破壊されてしまう問題がある。また、電気泳動法による分離、精製では、電極間に数百Vの電圧をかけ電位差による蛋白質の荷電状態の差を利用して分離する方法である。したがって、このとき、電極間に数10mAの電流が流れる。この電流により泳動部にジュール熱が発生し、蛋白質を含む溶液が加熱され、熱対流が生じて分離精度を低下させる問題がある。
【0010】
本発明の目的は、水質浄化処理において、高勾配磁気フィルタを使用せずに、容易に浄化運転ができる磁気分離浄化方法であり、また、細胞や蛋白質等を破壊することなく、高精度で分離できる磁気分離方法および装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の手段によって解決することができる。
【0012】
本発明は、磁性もしくは反磁性あるいは非磁性を持つ被除去物を含む被処理流体に,磁性体と凝集剤または被除去物との化学反応により磁性物体を生じる添加物を添加した被処理流体の被除去物を分離する方法において、前記磁気分離のための超電導状態となる温度の下で着磁された超電導バルク体よりなり超電導状態に冷却保持される磁場発生手段により磁場を発生させ、前記被処理流体を前記磁場発生手段が生成する正の磁気勾配空間該正の磁気勾配空間の外周部に形成される負の磁気勾配空間を構成する流路に導入し、前記正及び負の磁気勾配空間を通過するものと通過しないものとに分離する磁気分離方法ある。
【0013】
また、前記負及び正の磁気勾配空間を通過できない被除去物除が滞留している前記流路部から排出し、前記被除去物を分離すること、また、複数の被除去物が前記負及び正の磁気勾配空間において受ける反発力あるいは吸引力の大きさに応じて分離をう磁気分離方法にある。
【0014】
本発明は、磁性、反磁性及び非磁性物のいずれかを持つ被除去物を含む被処理流体に、磁性体と凝集剤又は前記被除去物との化学反応により磁性物体を生じる添加物とを添加し、前記被処理流体より前記被除去物を分離する磁気分離装置であって、正の磁気勾配空間及び該正の磁気勾配空間の外周部に負の磁気勾配空間を生成する超電導状態となる温度の下で着磁された超電導バルク体よりなる磁場発生手段と、前記超電導バルク体を超電導状態に冷却保持する冷凍機と、前記被処理流体を該磁場発生手段が生成する正の磁気勾配空間及び負の磁気勾配空間を通過させるための被処理流体流路と、前記流路から被除去物を排出する排出路、とを備えた磁気分離装置にある。
【0015】
また、被処理流体流路をシリコン基盤上に構成したマイクロチップであること、シリコン基盤上に設けた被処理流体流路が整流板を有する流路であること、あるいはる板整流板を有する折り返し流路であること、に特徴がある。
【0016】
また、前記磁場発生手段が生成する正の磁気勾配空間の影響により、被除去物が受ける磁気力の大きさに応じて分離する複数の分離排出流路を備え、複数の被分離物を分離選別して排出すること、また、被処理流体流路を前記磁気発生手段が生成する正の磁気勾配空間内で構成した折り返し流路を備えたこと、被処理流体流路を前記磁気発生手段が生成する正の磁気勾配空間内で螺旋状に構成した被処理流体流路を備えたこと、前記被分離物に紫外線照射し発光強度を計測する計測手段と、計測結果を数値解析する解析手段を有する磁気分離装置であることに特徴がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1、図2、図3、図4および図5により説明する。図2は磁気分離装置14の拡大斜視図を示している。図3は図2の(あるいは図1に示した)磁気分離装置14の拡大側面図(断面)を示している。また、図4は図2(あるいは図1)の磁気分離装置14を上部から見た断面図、図5は図4のX−X断面図である。
【0018】
図1により全体構成について説明する。被処理水である原水を,例えば貯水池1から導管2により取水する。大きなゴミなどを除去するためのフィルタ3を通して、ポンプ4で原水貯留槽5に汲み上げる。
【0019】
この原水6に、シーディング剤調整装置7から四酸酸化鉄等の磁性粉とpH調整剤、ポリ塩化アルミニウムや塩化鉄や硫酸第二鉄等の水溶液等のアルミニュウムイオンや鉄イオンを提供する凝集剤や高分子補強剤等を、導管8を通じて加え、攪拌槽9でモータ10により回転駆動される攪拌翼11で攪拌して、数百ミクロンメートル〜数ミリメートル程度の大きさの磁性フロックを含む被処理水12を生成する。このように生成した被処理水12を矢印Aで示すように導管13を通じて磁気分離装置14に通水し、磁性フロックの分離をおこなう。
【0020】
磁気分離装置14で処理された水は矢印Bで示したように配管25を介して貯水池1に戻される。そして分離物は矢印Cで示したように、排出配管42を経由してスラッジ槽に送られる。また流路45により堆肥化槽44に移送される。図1で21は例えば高温超電導バルク体により生成された正の磁気勾配空間の断面部分、22は同様にリング状に生成される負の磁気勾配空間の断面部分を表している。
【0021】
図2、図3により磁気分離装置14の構造を説明する。図2は磁気分離装置14の外観を表わす斜視図を示している。19(19a、19b)は真空断熱槽であって、この中に例えば高温超電導バルク体15(図の例では、15a、15b)が収められている。17(図の例では、17a、17b)は冷凍機部分を表している。磁場発生手段としてイットリウム系やサマリュウム系のBCuO材料からなる円盤状の高温超電導バルク体15a、15bを用い、これを補強および熱伝導体からなる銅やステンレスとの複合体からなる保持体16a、16bで囲み、これをパルス管式やギフォード・マクマホン式やスターリング式冷凍機や熱音響式冷凍機やペルチェ素子を用いた電子冷凍機等の冷凍機17a、17bの冷却ステージ18a、18bと熱的に一体化し、高温超電導バルク体15a、15bおよび保持体16a、16bを温度50K以下に冷却し、温度を維持する。
【0022】
低温部は真空断熱槽19a、19b内に設置され断熱し、保持体16a、16bは複数本のガラス繊維入りエポキシ樹脂製の断熱支持円筒体20a、20bで真空断熱槽19a、19bの常温壁から離れて支持されている。対向する高温超電導バルク体15a、15bを冷凍機で超電導温度以下に冷却した後に、外部から着磁用円筒電磁石コイル(図示せず)を使用し、内部に対向する高温超電導バルク体15aと15bをできるだけ近づけてセットして着磁して、その後対向する高温超電導バルク体15a,15bを離し、着磁用円筒電磁石コイルを取り去る。
【0023】
さらに所定の隙間を確保して対向させることにより、対向する高温超電導バルク体15a、15bの面内に大きな磁場が発生し、この部分に正の磁気勾配空間21が形成される。一方、高温超電導バルク体15a、15bの外周部、すなわち正の磁気勾配空間21の外周部にはこれを取り巻くようにリング状の負の磁気勾配空間22が形成される。前記隙間に前処理水の流体流路23aを配置する。矢印Aの方向から流入した前処理水中の磁性フロックは、負の磁気勾配空間22で反発力を受け流路内の部位、図5の23bに集積する。しかし、水は正の磁気勾配空間21及び負の磁気勾配空間22に阻害されずに通過し浄化され、矢印Bで示すように配管25を通って浄化済みの水として、貯水池1に戻される。
【0024】
一方、図5において、磁性フロックは部位23bに集積・濃縮され、弁24a、24bで引き抜き流量を調整しながら、矢印Cのように配管42a,42bから磁気分離装置外に排出される。排出された濃縮スラッジは図1の配管42(42a、42b)を通してスラッジ槽43に貯められる。スラッジはトラック等で処分場や焼却場に運搬される。また、後段に堆肥化槽44を設け、スラッジを堆肥化槽44に流路45を通じて移送し、コンポスト化する。堆肥化した後は、堆肥を粉状に破砕し、肥料中の磁性粉や生成磁性物質を他の磁石分離装置で回収して再利用しても良い。
【0025】
本実施例により、磁性フロックは負の磁気勾配空間22で磁気反発力を受け、水のみ通過して浄化水を得ることができるので、従来のような磁気フィルタを設けることなく、浄化することができる。さらに、連続的に高濃度の磁性フロックスラリーを排出できるので、高勾配磁気フィルタを洗浄する運転工程が不要となる。また、前処理水中の藻等がフィルタにからまり閉塞するようなトラブルの発生もない。そして、実質浄化運転時間が長くなり、運転効率を向上させることができる効果がある。
【0026】
また、被処理水に磁性粉を添加せず、凝集剤のポリ硫酸鉄やポリマー等の凝集補助剤を加え、攪拌して生成したフロックでは、水酸化鉄を含んでおり、小さな磁化率を有しているので、負の磁気勾配空間にこのフロックを含む前処理水を通過させると、フロックはこの空間で磁気反発力を受ける。しかし、水は通過するから浄化水を得ることができる。また、フロックは負の磁気勾配空間の境界空間に停留し濃縮してくるので、同様にこの境界空間に排出管口を挿入することにより、連続的に高濃度のフロックスラリーを排出することができる。磁性粉を使用しない分運転コストの低減をはかることができる。
【0027】
上記実施例は高勾配磁気フィルタを用いることなく、被除去物を原水から連続的に分離できる。したがって、高勾配磁気フィルタを洗浄する運転工程が不要となり、実質的な浄化運転時間を減少することなく、運転効率の向上をはかることができる。
【0028】
上述したように、超電導バルク体を超電導発生温度以下に冷却する過程で外部から着磁すると、超電導バルク体の着磁方向に正の磁気勾配空間と負の磁気勾配空間が発生する。この負の磁気勾配空間に被除去物となる磁性粉と凝集剤等から成る磁性フロックを含む前処理水を通過させると、磁性フロックはこの空間で磁気反発力を受け、水のみ通過するので、浄化水を得ることができる。一方、磁性フロックは負の磁気勾配空間の境界空間に停留し濃縮してくるので、この境界空間に排出管口を挿入することにより、連続的に高濃度の磁性フロックスラリーを排出することが可能となる。
【0029】
図6〜図8に本発明の他の実施例を示す。図8は図7のY−Y断面矢視図である。これらが図3〜図5と異なる点は、高温超電導バルク体15を1つ使用し、流路26の上下側(矢印A)から被処理水を流入させ、正の磁気勾配空間部分21を通過した浄化水を配管25から流出させるようにしたことにある。本実施例によれば、被処理水の流入流路を増やし、処理量を増加させることができる効果がある。
【0030】
図8に示すように、磁気勾配部分を通過できない被分離物は、流路26の集積部位23bに停留することになり、これを排出配管42a〜42dでスラッジ槽43へ導くように構成している。
【0031】
図9の(A)、(B)は、さらに本発明の他の実施例を示す。本実施例は、原水中のプランクトンのみを除去する場合を示したものである。プランクトンの一部を構成する蛋白質は反磁性を有している。いま、図9の(A)に示すように、流路27にプランクトンを含む原水を、前処理を行わず未処理のままで矢印Aから流入させる。そして、原水を正の磁気勾配空間を通過させると、プランクトンはこの空間で磁気反発力を受けるが、水は通過し浄化される。そして正の磁気勾配空間を通過した水は配管25a、25bから得られる(矢印B)。一方、プランクトンは正の磁気勾配空間の境界空間に停留し濃縮されてくるので、例えば円筒流路28のリング状部位29e、29fに集積、濃縮され、この部位に排出管口42e、42fを放射状に設けることにより、連続的に、高濃度のプランクトンを排出することができる(矢印C)。
【0032】
本実施例では、原水中のプランクトンを磁性粉や凝集剤等の薬剤用機器、例えば、薬剤タンクや薬剤の供給、攪拌制御装置等の機器を用いることなく直接分離できる特徴がある。したがって、分離装置のコストを低減することができるとともに、運転コストも低減できる効果がある。
【0033】
なお、本発明に関する上記の実施例では、被分離物として湖沼・河川の汚濁物やリンやプランクトンを対象にした場合について示した。しかし、本実施例は被分離物が血液中で、磁性をもっている赤血球や反磁性の特性をもつ蛋白質成分についても、適用することができる。また、薬品製造過程での蛋白質の、分離、濃縮等においても利用することができる特徴がある。
【0034】
また、上記の実施例では、一段(単段)の磁気分離装置について記載したが、一段の冷凍機で冷却できる複数の高温超電導バルク体15を配置して、処理量の増加を図ることもできる。例えば図9の(B)に示すように、複数の高温超電導バルク体a〜hで、一つの磁気バルク体を構成する方法であってもよい。また、複数段の磁気分離装置を設け、磁気勾配が異なる高温超電導バルク体15を配置し、磁気率の違い等で蛋白質を異種分離することも可能である。また、高温超電導バルク体15の形状も角型や濃縮集積する空間を選択的に確保できる変形型であっても同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、細胞やプランクトンを構成する蛋白質は反磁性を有しているため正の磁気勾配空間で磁気反発力を受け、磁気反発力の違いで複数の蛋白質を成分ごとに分離することができる。
【0036】
この結果、高勾配磁気フィルタを用いることなく被除去物を原水から連続的に分離できるので高勾配磁気フィルタを洗浄する運転工程が不要となり、実質浄化運転時間が減少させずに運転効率の低下を防止することができる。
【0037】
また、例えば糸状の藻類等の細長い物体が流入しても詰まることがなく、高勾配磁気フィルを磁気分離部から撤去して洗浄し,新しいフィルタと交換する等による、実質浄化運転時間が減少せずに運転効率の低下を防止でき、交換コストが不要となる効果がある。
【0038】
また、原水中のプランクトンを磁性粉、または磁性粉および凝集剤等の薬剤を用いることなく直接分離でき、薬剤タンクやこの供給・攪拌制御装置等の機器が不要となり、装置のコストを低減することができ、運転コストも低減できる効果がある。
【0039】
また、細胞やプランクトンを構成する蛋白質は反磁性を有しているため正の磁気勾配空間で磁気反発力を受け、磁気反発力の違いで複数の蛋白質を成分ごとに分離できる。また、このとき細胞や蛋白質は破壊されることはない。そしてこの分離方法では、ジュール熱が発生しないので、熱対流が発生せず、精度良く分離精製できる特徴がある。
【0040】
図10〜図12に、さらに本発明の他の実施例を示す。これは、蛋白質等の高分子物質の磁性もしくは反磁性を利用し、高分子物質分離に応用した装置の例である。図10はその場合の断面図を示している。図11は、図10のX−Xの断面矢視図であり、図12は図10のY−Y断面矢視図である。角型の高温超電導バルク体30を複数個、図では3個(30a、30b、30c)から構成し、例えば銅製の熱伝導体31に直列に埋め込んで、エポキシ樹脂等の接着剤で両者の隙間を接着した場合の例である。熱伝導体31の端部は、例えばパルス管冷凍機等の低温冷凍機32の低温ステージ33と熱的に一体化され、真空断熱容器34、35内に配置されている。
【0041】
真空断熱容器34と35は、Oリング36ORで大気との気密構造をとるようにしている。角型の高温超電導バルク体30(30a、30b、30c)はすでに外部磁界により面垂直方向(矢印W方向)に着磁された状態を示している。分離する複数の分子量の高分子物質溶液は、破線の矢印の方向から分離容器36の上方に設けられたノズル37から流入する。水やアルコール等の分離媒体は、分離容器36の上方に設けられたノズル38から、実線の矢印の方向から分離容器36に、遅い速度で流入する。
【0042】
流入した複数の高分子物質を含む溶液は、分離媒体中を浮遊しながら高温超電導バルク体30(30a〜30c)が形成する磁界中を下方に遅い速度で流下する。高分子物質は磁界中でそれぞれの磁化率の大きさにしたがって、高温超電導バルク体30(30a〜30c)からの磁気吸引力もしくは磁気反発力を受ける。磁気吸引力を受けると高分子物質は高温超電導バルク体30側に破線矢印に示すように移動し、分離容器36下方のノズル群のうち、ノズル39から、矢印Aのように流れ出る。
【0043】
また、磁気反発力を受ける高分子物質は、高温超電導バルク体30(30a〜30c)側と反対方向に破線矢印に示すように移動し、分離容器36の下方に設けられたノズル群の中の、ノズル40から矢印Eのように流出するから、分離がおこなわれる。磁化率の違いに応じて磁気反発力も異なるから、その反発力の違いに応じて、ノズル群のノズル39〜40の間に配置したそれぞれのノズルから、分離流出させることができる。
【0044】
本実施例によれば、高温超電導バルク体30(30a〜30c)が発生する磁界は磁界が大きくかつW方向の磁気勾配が大きいため、高分子物質の磁化率が小さくても大きな磁気吸引力もしくは磁気反発力を作用させることができる。したがって、複数の高分子物質別毎に精度良く分離することができる。また、磁界および磁気勾配は、高分子物質および分離媒体に発熱現象を起こさせることがないので、熱対流現象が発生することもなく、分離精度の向上をはかることができる。
【0045】
図13は、さらに本発明の他の実施例を示す。この図は蛋白質等の高分子物質の磁性もしくは反磁性を利用した、高分子物質分離装置の断面図を示している。本構造が図10、図11、図12などの他の実施例と異なる点は、角型の高温超電導バルク体30(単数あるいは複数のバルク)が発生する磁界中に、複数の分離容器を配置したことにある。図では2個の分離容器41a、41bを配置し、分離する複数の分子量の高分子物質溶液は破線の矢印の方向から分離容器41aの上方のノズル43から流入する。水やアルコール等の分離媒体は分離容器41aの上方から分離容器41aに遅い速度で流入する。分離容器41a下方の分離ノズル群39aは、分離容器41b下方の分離ノズル群39bとそれぞれ連通している。
【0046】
そして、分離容器41b内でさらに分離が進み、分離容器41b上方の分離ノズル群46から更に精度良く分離されて流出する。本実施例によれば、分離流路長を実質的に長くとることができるため、高温超電導バルク体30からの磁気吸引力もしくは磁気反発力による分離精度が高まる特徴がある。また、さらに効率よく複数の分子量の高分子物質を分離することができる効果がある。
【0047】
図14にさらに本発明の他の実施例を示す。この図は、蛋白質等の高分子物質の磁性もしくは反磁性を利用した、高分子物質分離装置の断面図を示す。本実施例の構造が、図10〜図12などの他の実施例と異なる点は、角型の高温超電導バルク体30(図13などと同様に30a〜30cの3個のバルク体を表している)の両面(両側)に、W方向に発生する磁界を形成していること、その両側に分離容器を複数個(図では2個の分離容器36,47)配置していることにある。分離する複数の分子量の高分子物質溶液は、分離容器36の上方のノズル37から、破線の矢印で示した方向から流入させる。水やアルコール等の分離媒体は分離容器36の上方のノズル38から、実線の矢印で示した方向から分離容器36に遅い速度で流入させる。
【0048】
流入した複数の高分子物質を含む溶液は、分離媒体中を浮遊しながら高温超電導バルク体30(30a〜30c)が形成する磁界中を下方に遅い速度で流下する。高分子物質は磁界中でそれぞれの磁化率の大きさにしたがって、図10の場合と同様に分離される。そして分離容器36の、下方のノズル群のノズル39から40のそれぞれのノズルから流出する。そのあと、分離容器47の下方のノズル群48から49の接続ノズルに導入され、破線の矢印AおよびEのように、それぞれのノズルから移動して分離容器47内に流入するように構成にしている。
【0049】
分離容器47で、さらに分離が進み、精度良く分離されて分離容器47の上方に設けられた分離ノズル群50〜51(A〜E)から分離流出する。本実施例によれば、分離流路長さを実質的に長くとることができる特徴がある。すなわち、高温超電導バルク体30の両面の磁界を利用する構成になっているために、この例では例えば図10の場合に比較して2倍の分離流路長をとることができる特徴がある。これにより、磁気吸引力もしくは磁気反発力による分離精度が高まり、さらに効率よく複数の分子量の高分子物質を分離することができる効果がある。また、装置自体もコンパクトに構成することができる。
【0050】
図15はさらに本発明の他の実施例を示す。図は、蛋白質等の高分子物質の磁性もしくは反磁性を利用した、高分子物質分離装置の断面図を示している。本構造が図10〜図12などの他の実施例と異なる点は、2組の角型の高温超電導バルク体30(図では30d〜30f、30g〜30iの2組)を配置し、2組の高温超電導バルク体30(30d〜30i)間のW方向に発生する磁界を利用したことにある。すなわち、この実施例は、2組のW方向の磁界の間に分離容器36を配置したことにある。
【0051】
図では、分離容器は1個配置した場合であるが、複数個配置するものであってもよい。図では1個の場合であるが、この構造では、2組の高温超電導バルク体30(30d〜30f、と30g〜30i)の間にW方向に発生する磁界及びW方向の磁気勾配がさらに大きくなり、分離する複数の分子量の高分子物質に作用する磁気吸引力もしくは磁気反発力がさらに大きくなる。したがって、分離精度がより高まり、効率よく複数の分子量の高分子物質を分離することができる効果がある。
【0052】
また、図16、17はさらに本発明の他の実施例を示している。図17は図16のX−X断面図である。本構造では、4組の高温超電導バルク体30A〜30Dすなわち、30A(30a1〜30a4)、30B(30b1〜30b4)、30C(30c1〜30c4)、30D(30d1〜30d4)の4組を円筒放射状に配置し、その外側の磁界中に、円筒上の分離容器57を配置し、分離容器57内に螺旋状の流路61を形成したものである。高温超電導バルク体30(30A〜30D)は銅製の熱伝導体52(52A〜52D)に接着剤で埋め込まれている。
【0053】
そして、4組の熱伝導体(前記実施例の31と同様の)で熱伝導率が大きい例えば銅製の熱伝導体53を介して、熱伝導体54に熱的に一体化される。その端部は、低温冷凍機32の低温ステージ33と熱的に一体化され、真空断熱容器55、56内に配置される。分離する複数の分子量の高分子物質溶液は破線の矢印の方向から、分離容器57の上方のノズル58により、水やアルコール等の分離媒体は分離容器57のノズル59により分離容器57に遅い速度で流入する。
【0054】
流入した複数の高分子物質を含む溶液は分離媒体中を浮遊しながら高温超電導バルク体30(30A〜30D)が形成する磁界中を、螺旋状の隔壁60間に形成された螺旋状の流路61内を、下方に遅い速度で流下する。高分子物質は磁界中でそれぞれの磁化率の大きさにしたがって、高温超電導バルク体30からの磁気吸引力もしくは磁気反発力を受ける。
【0055】
磁気吸引力を受ける物質あるいは反発力が小さい高分子物質は、高温超電導バルク体30(30A〜30D)側に移動し、分離容器57の下方の、ノズル群のうちノズル62から矢印Aのように流出する。また、磁気反発力を受ける場合高分子物質は高温超電導バルク体30側と反対方向に破線矢印に示すように移動し、ノズル63から矢印Dのように流出し分離される。磁化率の違いによって、ノズル群のノズル62〜ノズル63(A〜D)の間に配置したノズルからそれぞれ流出する。
【0056】
本構造によれば、螺旋状流路を構成しているので、分離流路長をさらに長くできる特徴がある。このため、高温超電導バルク体30(30A〜30D)からの磁気吸引力もしくは磁気反発力による分離精度が高まり、更に効率よく複数の分子量の高分子物質を分離することができる効果がある。
【0057】
また、図18、図19はさらに本発明の他の実施例を示している。図19は、被除去物に紫外線照射し発光強度を計測する計測手段を有する装置と、図18のX−X断面図である。本構造では、マイクロチップ73をシリコン製基盤に溝流路64、65を形成している。例えばエッチング加工や微粒子のブラスト加工等で製作した場合を示している。それぞれの流路に流入口66、67、72、流出口68、69を設ける。図19でいうと流路65の上部には、ガラス等の透明体の蓋70が一体化して設けられている。
【0058】
流入口72からマイクロチップ73内に所定量流入した溶液(例えば遺伝子物質を含む溶液)は、流入口66からマイクロチップ73内に流入した移送溶液に含まれて、高温超電導バルク体30(30a、30b)の磁界内に設置した流路64を、高温超電導バルク体30(30a)側に移動する。この時、遺伝子物質を含む溶液中の、高分子物質は磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほど移動方向にかかるブレーキ力が大きいから、遅く移動する。流出口68を出た溶液は、大半の部分が磁界外にある配管71を通り、流入口67から流路65に流入し、高温超電導バルク体30(30b)側に移動するが同様に高分子のものは磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほどブレーキ力が大きく遅く移動する。
【0059】
このようにして、所定流量の溶液を流すと、流路64、65中に反磁性の差で物質が存在する部位が定まる。そして、蓋70の外側から紫外線等を照射することで発光強度の大小により、それぞれの物質の識別が可能となり、遺伝子物質の組成が計測できる。図19の91は前記紫外線等の照射計測手段、90は前記照射手段により照射した結果、得られたデータの数値解析装置でありマイコン等で構成される。また計測結果や、計測データの解析結果、あるいは計測組成データなどを表示装置92に表示し、観測することができる。計測後は、移送溶液のみを流し流路内を洗浄し、次の計測の、遺伝子物質を含む溶液を流入口72からマイクロチップ73内に所定量流入し、同じ計測操作を繰り返すことができる。
【0060】
本実施例によれば、微細な複数流路を形成することができるから、マイクロチップ73の長さを短くしても全流路長を長く確保することができるので、流路を高温超電導バルク体30により近づけることができる。また、高磁界、高磁気勾配の空間のもとでタンパク質を分離することができることはもちろんであるが、分離精度をさらに向上させることができる。
【0061】
図20、図21はさらに本発明の他の実施例を示す。図21は図20のX−X断面図である。本構造では、マイクロチップ73をシリコン製基盤74に溝の流路75、76をエッチング加工で製作し、それぞれの流路に流入口78、79、72、流出口80、81を設ける。図面上流路の上部は、図19と同様にガラス等の透明体の蓋70を一体化する。流入口72a、72bからマイクロチップ73内に所定量流入した2種類の別々の遺伝子物質を含む溶液は、それぞれの流入口78、79からマイクロチップ73内に流入した移送溶液に含まれて、流路75、76に流入し、高温超電導バルク体30(30a、30b)側に移動する。この時、遺伝子物質を含む溶液中の高分子のものは磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほどブレーキ力が大きく遅く移動する。
【0062】
このようにして、所定流量溶液を流すと、流路75、76中に反磁性の差で物質が存在する部位が定まり、蓋70の外側から紫外線等を照射することで発光強度の大小により、それぞれの物質の識別が可能となり、遺伝子物質の組成が計測できる。この計測あるいは計測データ解析、表示は前記図19の場合と同じである。本実施例によれば、微細な複数流路を構成できるので、マイクロチップ73に隔離された複数の流路を形成することができる。したがって、複数種の遺伝子物質を同時に計測することができ、計測効率が大幅に向上する効果がある。
【0063】
図22はさらに本発明の他の実施例を示す。本構造では、マイクロチップ82をシリコン製基盤83に溝の連続流路84、85、86をエッチング加工で製作し、流入口87、72、流出口88を設ける。図面上流路の上部は、前記実施例と同じように、ガラス等の透明体の蓋で一体化する。流入口72からマイクロチップ82内に所定量流入した遺伝子物質を含む溶液は、流入口87からマイクロチップ82内に流入した移送溶液に含まれて、まず流路84に流入し、高温超電導バルク体30側に移動する。この時、遺伝子物質を含む溶液中の高分子のものは磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほどブレーキ力が大きく遅く移動する。次に、整流板群89で偏流が生じないように狭い流路86に流入し、流速を大きくすることにより磁界による遺伝子物質の移動遅延がないようにする。
【0064】
次に、整流板群89を通り、流路85に流入する。ここで、再び遺伝子物質を含む溶液中の高分子のものは磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほどブレーキ力が大きく遅く移動する。所定流量溶液を流すと、流路84、85中に反磁性の差で物質が存在する部位が定まり、蓋の外側から紫外線等を照射することで発光強度の大小により、それぞれの物質の識別が可能となり、遺伝子物質の組成が計測できる。これらの計測あるいは計測データの解析、あるいはその表示観測については前記図19の場合と同じである。
【0065】
本実施例によれば、流路84から流路85への移動中の流速を大きくできるので、同一基盤上で、流路4、85間を移動する流体への磁界の影響を小さくして連続流路を形成でき、図18に示すような配管71が不要となり、マイクロチップもコストを大幅に低減できる効果が生じる。
【0066】
図23にさらに本発明の他の実施例を示す。本構造では、マイクロチップ90をシリコン製基盤91に溝の連続流路92、93、94をエッチング加工で製作し、流入口95、72、流出口96を設ける。図面上流路の上部は、ガラス等の透明体の蓋を一体化する。流入口72からマイクロチップ90内に所定量流入した遺伝子物質を含む溶液は、流入口95からマイクロチップ90内に流入した移送溶液に含まれて、まず流路92に流入し、高温超電導バルク体30側に移動する。この時、遺伝子物質を含む溶液中の高分子のものは磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほどブレーキ力が大きく遅く移動する。次に、整流板群89で偏流が生じないように、外周部の磁界が極めて小さい空間に設置した流路94に流入し、磁界による遺伝子物質の移動遅延がないようにする。次に、整流板群89を通り、流路93に流入する。
【0067】
ここで、再び遺伝子物質を含む溶液中の高分子のものは磁気反発力を受け、反磁性が大きい物質ほどブレーキ力が大きく遅く移動する。所定流量溶液を流すと、流路92、93中に反磁性の差で物質が存在する部位が定まり、蓋の外側から紫外線等を照射することで発光強度の大小により、それぞれの物質の識別が可能となり、遺伝子物質の組成の計測、あるいは計測データの解析をおこなうことができる。
【0068】
具体的には図19の場合と同じである。本実施例によれば、流路92から流路93への流路中の磁界の影響を小さくできるので、同一基盤上で、連続流路を形成でき、図19に示すような配管71が不要となり、マイクロチップもコストを大幅に低減できる効果が生じる。
【0069】
以上の実施例において、細胞および蛋白質として、動物の血液成分やウイルスやバクテリア、遺伝子DNA等がありこれらの分離にも適用できる。また、分離部にはマイクロセル等の微細な分離流路を有する場合にも有効にその効果を生じる。
【0070】
以上の実施例では磁場発生手段として超電導バルク体を使用した場合について説明したが、正の磁気勾配を利用する場合については、超電導コイル式磁石を適用しても同様な効果が生じる。
【0071】
また、上記磁気分離装置は、冷凍機で冷却された高温超電導バルク体が装脱着自由にしてバルク体への着磁磁界強度を変更できる様にし、磁気分離部および分離後の被計測体を、紫外線等を利用して計測する計測手段や、パーソナルコンプータ等で計測結果を計算解析する解析手段と組み合わせた遺伝子解析装置に適用できる。
【0072】
高勾配磁気フィルタを用いることなく被除去物を原水から連続的に分離できるので高勾配磁気フィルタを洗浄する運転工程が不要となり、実質浄化運転時間が減少させずに運転効率の低下を防止できる効果がある。
【0073】
また、細胞やプランクトンを構成する蛋白質は反磁性を有しているため正の磁気勾配空間で磁気反発力を受け、磁気反発力の違いで複数の蛋白質を成分ごとに分離し、このとき細胞や蛋白質を破壊せず、ジュール熱が発生しないので熱対流が無く制度良く分離精製することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば磁場発生手段が形成する正の磁気勾配空間及び負の磁気勾配空間において、被除去物が受ける磁気力により分離を行うので、破壊されやすい被分離物をも破壊することなく、高勾配磁気フィルタを使用せずに、容易に浄化運転ができる分離精度の向上と分離効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の、磁気分離装置の全体構成図を示している。
【図2】図1における本発明の、磁気分離装置部の立体斜視図である。
【図3】本発明の実施例の、磁気分離装置部の断面図である。
【図4】本発明の実施例図3の、上部から見た磁気分離装置の断面図である。
【図5】前記図4のX−X断面矢視図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図7】図6における本発明の他の実施例についての、上面断面図を示している。
【図8】図7における本発明の他の実施例についての、Y−Y断面矢視図である。
【図9】本発明の他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図10】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図11】図10のX−X断面図である。
【図12】図10のY−Y断面図である。
【図13】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図14】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図15】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図16】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図17】図16のX−X断面図である。
【図18】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図19】図18のX−X断面図である。
【図20】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図21】図20のX−X断面図である。
【図22】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【図23】本発明の、さらに他の実施例としての磁気分離装置部の断面図である。
【符号の説明】
1…貯水池、2,8,13…導管、3…フィルタ、4…ポンプ、5…原水貯留槽、6…原水、7…シーディング剤調整装置、9…攪拌槽、10…モータ、11…攪拌翼、12…フロックを含む処理水、14…磁気分離装置、15, 15a , 15b…高温超電導バルク体、16 , 16b…保持体、17,17a,17b…冷凍機、18…冷却ステージ、19,19a,19b…真空断熱槽、20…円筒体、21…正の磁気勾配空間、22…負の磁気勾配空間、23a…流体流路、23b…部位(集積部位)、25…配管(戻り)、28…円筒流路、29,29a,29b…円筒流路のリング状部位、30,30a,30b,30c…高温超電導バルク体、31…熱伝動体、32,32a,32b…低温冷凍機、33,33a,33b…低温ステージ、34,34a,34b,35…真空断熱容器、36OR…Oリング、36, 1a,41b,47, 57…分離容器、37,38, 58 , 59…ノズル、39,39a,39b,40 , 50 , 51 , 62 , 63…ノズル(分離)、42,42a〜42d…配管(排出)、43…スラッジ槽、44…堆肥化槽、45…流路、73,82,90…マイクロチップ、, 91…シリコン基盤、64,65…流路、66,67,72, 78 , 79 , 87…流入口、68,69, 80 , 81 , 88…流出口、70…透明体の蓋、71…配管、89整流板

Claims (11)

  1. 磁性、反磁性及び非磁性物のいずれかを持つ被除去物を含む被処理流体に、磁性体と凝集剤又は前記被除去物との化学反応により磁性物体を生じる添加物とを添加し、前記被処理流体より前記被除去物を分離する方法において、前記被処理流体を、超電導状態となる温度の下で着磁された超電導バルク体よりなり超電導状態に冷却保持される磁場発生手段によって生成される正の磁気勾配空間及び該正の磁気勾配空間の外周部に形成される負の磁気勾配空間を構成する流路に導入し、前記正又は負の磁気勾配空間を通過するものと通過しないものとに分離することを特徴とする磁気分離方法。
  2. 請求項1において、前記負又は正の磁気勾配空間を通過できない前記被除去物を該被除去物が滞留している部分に設けられた前記流路の排出路から排出し、前記被除去物を分離することを特徴とする磁気分離方法。
  3. 請求項1において、前記被除去物が前記負又は正の磁気勾配空間において受ける反発力又は吸引力の大きさに応じて複数種に前記分離することを特徴とする磁気分離方法。
  4. 磁性、反磁性及び非磁性物のいずれかを持つ被除去物を含む被処理流体に、磁性体と凝集剤又は前記被除去物との化学反応により磁性物体を生じる添加物とを添加し、前記被処理流体より前記被除去物を分離する磁気分離装置であって、正の磁気勾配空間及び該正の磁気勾配空間の外周部に負の磁気勾配空間を生成する超電導状態となる温度の下で着磁された超電導バルク体よりなる磁場発生手段と、前記超電導バルク体を超電導状態に冷却保持する冷凍機と、前記正及び負の磁気勾配空間内に前記被処理流体を導入する被処理流体流路と、前記流路から前記分離された前記被除去物を排出する排出路と、を備えたことを特徴とする磁気分離装置。
  5. 請求項4において、前記被除去物が前記負又は正の磁気勾配空間において受ける反発力又は吸引力の大きさに応じて前記分離する複数の前記排出路を備え、前記被除去物を複数種に分離選別して排出することを特徴とする磁気分離装置。
  6. 請求項5において、前記被処理流体流路は、前記正の磁気勾配空間内に折り返し流路を有することを特徴とする磁気分離装置。
  7. 請求項5において、前記被処理流体流路は、前記正の磁気勾配空間内に螺旋状に構成されていることを特徴とする磁気分離装置。
  8. 請求項5において、前記被処理流体流路は、シリコン基盤上に形成されていることを特徴とする磁気分離装置。
  9. 請求項8において、前記被処理流体流路は、整流板を有する流路又は整流板を有する折り返し流路であることを特徴とする磁気分離装置。
  10. 磁性、反磁性及び非磁性物のいずれかを持つ被除去物を含む被処理流体に、磁性体と凝集剤又は前記被除去物との化学反応により磁性物体を生じる添加物とを添加し、前記被処理流体より前記被除去物を分離する磁気分離装置であって、正の磁気勾配空間及び該正の磁気勾配空間の外周部に負の磁気勾配空間を生成する超電導状態となる温度の下で着磁された超電導バルク体よりなる磁場発生手段と、前記超電導バルク体を超電導状態に冷却保持する冷凍機と、前記正及び負の磁気勾配空間内に前記被処理流体を導入する被処理流体流路と、該流路から磁気力を受ける大小により前記前記被分離物を複数に分離して排出する排出路と、前記被除去物に紫外線照射し発光強度を計測する計測手段とを備えたことを特徴とする磁気分離装置。
  11. 磁性又は反磁性を持つ被除去物を有する被処理流体、被除去物に該被除去物に対して電気的又は化学的な反応で磁性又は反磁性物体を生じる添加物を添加し磁性又は反磁性を生じさせた被処理流体、非磁性の被除去物を含む流体に磁性体を添加した被処理流体のいずれかより前記被被除去物を分離する磁気分離装置であって、正の磁気勾配空間及び該正の磁気勾配空間の外周部に負の磁気勾配空間を生成する超電導状態となる温度の下で着磁された超電導バルク体よりなる磁場発生手段と、前記超電導バルク体を超電導状態に冷却保持する冷凍機と、前記正及び負の磁気勾配空間内に前記被処理流体を導入する被処理流体流路と、該流路から磁気力を受ける大小により前記被除去物を複数に分離して排出する排出路と、前記被除去物に紫外線照射し発光強度を計測する計測手段と、前記計測の結果得られたデータを数値解析する解析手段とを備え、前記磁場発生手段は前記被処理流体流路に脱着自在に設けられていることを特徴とする磁気分離装置。
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