JPH05267889A - センサー用磁気シールド体 - Google Patents

センサー用磁気シールド体

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JPH05267889A
JPH05267889A JP4096979A JP9697992A JPH05267889A JP H05267889 A JPH05267889 A JP H05267889A JP 4096979 A JP4096979 A JP 4096979A JP 9697992 A JP9697992 A JP 9697992A JP H05267889 A JPH05267889 A JP H05267889A
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sensor
magnetic shield
magnetic
magnetic field
hollow
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JP4096979A
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English (en)
Inventor
Takao Sugioka
孝雄 杉岡
Hiroaki Toda
博章 戸田
Yoshiro Saji
吉郎 佐治
Tetsuo Takagi
鉄雄 高木
Masaru Inoue
勝 井上
Kohei Otani
光平 大谷
Manabu Sato
学 佐藤
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Koatsu Gas Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Koatsu Gas Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超低温域での温度測定において、強磁界中で
の温度センサーには、磁場により測定誤差が生じるの
で、磁界を遮蔽する必要がある。超伝導体の反磁性を利
用して、外部磁界を完全に遮蔽し且つ被測定外部流体か
らの伝熱を確保した磁気シールド体を構成することを目
的とする。 【構成】 超伝導体層と常電導金属層との積層体からな
る中空体として、中空体を貫通して開口した中空部を有
しており、この中空部に温度センサーを内装して、中空
体外側の外部磁場を遮蔽し且つ当該中空部を流体の流通
空間とした磁気シールド体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁場中で使用される
温度計等計測用センサーに及ぼす周辺磁界の影響を除く
ための磁気シールド体に関する。
【0002】
【従来の技術】超低温領域での計測には、研究用として
も、また、工業用としても、温度計測、歪・応力測定が
重要で、強磁界中で実施される場合が多々あるが、これ
らの測定素子は周辺の磁場の影響を多少とも受けるもの
がある。
【0003】超低温測温用の温度素子として、抵抗温度
計、半導体温度計や熱電対温度計があり、これらは温度
変化による電気抵抗変化や異種合金間の熱起電力の変化
を利用するので、外部磁界の印加によって直接又は間接
に影響を受けて測定誤差の原因となる。また歪測定用の
抵抗薄膜によるストレインゲージは、磁場依存性が大き
くて、磁場中では使用できない。
【0004】もっとも、Au・Fe−Ag熱電対やスト
レインゲージの中には温度依存性の少ないものもある
が、1〜3Tの強磁場中では、数%の測定誤差を生じる
のが普通である。比較的磁場依存性の小さいストレイン
ゲージ等の測定センサーでは、磁場による測定誤差を無
視して、使用されているのが現状であった。
【0005】超低温用温度センサーに関して、既に、温
度センサーの周囲の一部又は全部を超電導体で覆った強
磁界用温度センサーが提案されており(特開平3−27
3122号)、超電導体は、臨界温度以下に冷却されて
超電導状態となって、マイスナー効果により反磁性を示
し、超電体の内部空間には、外部磁束は侵入できないの
で、超電導体で被覆された温度センサーは外部磁場の影
響が除去できるとされている。
【0006】本出願人は、既に超電導体を利用した磁気
遮蔽体について、超電導体薄層と常電導金属薄層とを多
層に積重ねた積層体とすることにより、磁気遮蔽能力を
著しく改善した磁気遮蔽体を提案した(特開昭63−2
33577号、特開平1−295498号)。また、こ
のような積層体が巻回されて形成された円筒体や、円環
状の積層体を多数積重ねて形成された円筒体も提案し、
外部磁界を遮蔽して円筒体の中空部をほぼ零磁界になし
得ることも知られている(特開平1−302799号、
特開平2−97098号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】超低温で使用される測
温センサーは、測温しようとする液体または気体と接触
して、流体の測温センサーへの熱伝導性が良好である必
要がある。超低温用センサーは測温範囲が比較的狭くゲ
ルマニウム抵抗温度計を例に挙げれば0.05〜5K用
や0.5〜20K用などが利用されており、温度計の精
度も1mK程度が要求さるものもある。
【0008】従って、磁場環境中での測温においては、
温度センサーは、完全零磁界になるような磁気遮蔽の状
態で上記温度精度が満たされるような流体との良好な熱
伝導性が要求されるのである。
【0009】上記の従来の強磁界用温度センサーは、一
端封じの超電導体管の端部内側に温度センサーを収容固
定して密封して、磁気を完全に遮蔽したものである。し
かしながら、超電導体は、超電導電子が結晶格子と有効
にエネルギー交換するような相互作用がないので熱を伝
導することができない。即ち、超電導体は熱絶縁体であ
るので、超電導体にその周囲を囲繞された温度センサー
は、熱的に孤立しており、測温しようとする流体の温度
を測定することができず、或いは、応答速度が著しく低
下し、測温誤差は極めて大きくなる。
【0010】さらに、強磁界中で液体ヘリウム等の流体
に浸漬冷却された構造物の表面の貼設するストレインゲ
ージでは、構造物の表面が流体により所定温度に冷却さ
れ、かつ、ストレインゲージの周辺磁気の影響を遮蔽す
るために、単にストレインゲージを超電導体で完全囲繞
するのは構造上困難であった。超電導体で完全に覆うと
すると、流体が構造物表面を冷却できないから、ストレ
インゲージや構造物の冷却が事実上不可能であるからで
ある。
【0011】また、温度素子の超電導体の封入管は、磁
気冷凍機などの超電導マグネット近傍での1000G〜
数Tの強磁場中で使用される場合には、磁気は超電導体
の管壁を透過してしまう。強磁界を遮蔽するには、本出
願人が提案したような、超電導体層と熱伝導性の常電導
体層との積層体を利用するが、温度計としての機能精度
を害することなく、その遮蔽体の構造を検討する必要が
ある。特に変動磁場における磁気遮蔽を完全にする必要
があった。
【0012】また、上記温度センサーや歪センサーが、
強力な変動磁界あるいは交番磁界中で使用する場合に
は、超電導体が不安定となって常電導体に転位し、磁気
遮蔽能力が完全に消失し、局部的な不安定過程で超電導
体が発熱する結果、測定温度誤差を生ずるので、従来
は、特に変動磁場中では、温度測定は不可能であった。
【0013】本発明は、上記問題に鑑み、超低温領域で
測定に供される温度センサーや歪センサーの周辺強磁場
による誤差を少なくして、かつ、変動磁場であっても、
精度よく測定可能なセンサー用磁気シールド体を提供し
ようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のセンサー用磁気
シールド体は、超電導体層と常電導金属層との積層体か
ら成る中空体であって、その中空体に貫通して開口した
中空部を有するものであって、当該中空体の中空部に計
測用センサーを、当該中空部の内壁面との間に流体流通
空間を設けて内装し、環境磁界の当該センサーへの浸透
を遮蔽するようにしたセンサー用磁気シールド体であ
る。
【0015】本発明のシールド体は、超電導体層と常電
導金属層とが積層されて巻回されて、又は、環状若しく
は筒状の超電導体層と常電導金属層とが同軸状に積層さ
れて、成る中空体が採用される。このような中空体は、
超電導体及び常電導性金属の環状の板若しくは箔を交互
に積層して成る中空体や、超電導体及び常電導性金属の
板若しくは箔を巻回して、又は超電導体及び常電導性金
属の同心状管体を交互に挿入して成る中空体が含まれ
る。上記積層体から形成された中空体は、中空体には中
空部に通ずる複数の、特に多数の、開口部が設けられて
いる。
【0016】また、本発明のシールド体は、両端部が開
口した筒体が好ましく採用され、特に筒体自体に1若し
くは2以上の開口部が設けられているのが好ましい。さ
らに、当該筒体が外筒と内筒から成り、その一方が環状
の板・箔の積層体で、かつ他方が板・箔の巻回体である
二筒構造のものが好適に採用される。
【0017】以上の磁気シールド体を形成する超電導体
としては、NbTi、Nb3 Sn、Nb3 Al、Nb3
(Al,Ge)およびV3 Ga等の金属系超電導体、N
bN、NbCおよびNbN、TiN等の化合物超電導
体、およびY−Ba−Cu−O系、Bi−Sr−Ca−
Cu−O系、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系、T
l−Sr−Ca−Cu−O系およびSr−X−Cu−O
系(X=Be又はランタニド金属)等の酸化物超電導体
が使用される。また、シールド体を形成する常電導性金
属には、Cu、Al、非磁性ステンレス鋼など熱伝導度
と電気伝導度の高い金属又は合金が選ばれる。
【0018】本発明の磁気シールド体は、超電導体層と
常電導金属層との間に、特に、常電導金属層相互間に、
常電導金属より使用温度下で電導率の小さい抵抗層又は
絶縁層を介在させたものが、適宜採用される。抵抗層又
は絶縁層としては、CuNi合金、AlN、銅酸化物、
アルミナ、低温用真空グリース、エポキシ系やポリイミ
ド系等の合成樹脂接着剤硬化体、マイラ、ナイロン或い
はテフロン等の合成樹脂フィルム・薄板、その他マイカ
板などがある。絶縁層超電導体層と常電導金属層とを接
着させる絶縁性接着剤の硬化層であってもよい。
【0019】
【作用】本発明のセンサー用磁気シールド体は、超電導
体層と常電導性金属層とから成る積層体で、中空状に形
成されている。超電導体層は、臨界温度以下の低温に冷
却されて、超電導状態になり、外部磁場の浸透に対して
は浸透磁界を相殺するような超電導電流が層内に流れ
て、その外部磁場の中空部への透過を阻止する。
【0020】超電導体層が厚い程、磁気遮蔽量は大きく
なり、大きな外部磁界を完全に遮蔽できるが、他方、超
電導体は不安定になって超電導性を失う現象が発生しや
すくなる。この不安定現象は、磁束が超電導体層の周縁
部に浸透し易く、浸透した磁束は、更に内側に流動しな
がら、局部的に熱を発生させ、超電導体層の面域に磁束
流動が頻発して、この磁束が超電導体層の面域中央部に
急速かつ連鎖的に移行する現象である。この現象はフラ
ックスジャンプと称されるが、このフラックスジャンプ
が発生すると多量の発熱によって超電導体は常電導体に
転移して、外部磁気を容易に透過してしまう。
【0021】温度センサー等を囲繞して磁気侵入を遮蔽
する超電導体にフラックスジャンプが発生すれば、磁気
透過による誤差とともに、フラックスジャンプの発熱に
よるセンサーの加温によっても誤差を生じる。
【0022】本発明においては、超電導体層を、常電導
体金属層を介在させて積層体とするので、超電導体層を
薄層として超伝導体の熱容量を小さくし、磁束流動時の
発熱を常電導体の良伝熱性金属層に伝熱冷却し、シール
ド体外に放熱するので、フラックスジャンプにまで発展
する虞れは極めて少ない。また超電導体薄層一層当たり
の磁気遮蔽量が小さくても、超電導体層の多層から成る
積層体とするので、積層体の磁気遮蔽量は超電導体の層
数につき概ね加算則が成立し、所望の外部強磁場を完全
に遮蔽するように層数及び層厚を定めることができる。
【0023】本発明の磁気シールド体は、このような積
層体によって中空体に成形されているから、中空体の中
空部は、外部磁界が浸透せず、完全零磁界に安定に維持
されており、中空部を測定空間として利用される。
【0024】本発明の積層体の中空体は、センサーを収
容する中空部を有しており、中空体には中空部と外部と
を連通する開口部あるいは連通孔が設けられているの
で、外部の流体、例えば液体ヘリウムや気体ヘリウム
は、その開口部や連通孔を流通し、中空部内のセンサー
周りの流体温度は、外部流体温度と等しくなり、温度セ
ンサーである場合は、外部流体の温度を測定でき、歪セ
ンサーであるときは、歪センサーを貼設した試験部材や
構造部材を中空部に貫通して、歪センサー部を完全零磁
界中で測定することができる。
【0025】積層体に開口部が設けられていても、外部
磁界は、中空部内には浸透しない。開口部周縁の超電導
体に、開口部を貫通すべき磁束を打消すような超電導電
流が流れるからである。もっとも、開口面積が大きい場
合には、開口部の超電導体層厚み総和を大きくすること
によって、容易に磁束浸透の遮蔽を行うことができる。
【0026】以上のように、本発明は、超電導体層と常
電導性金属層とを積層した中空状積層体であって、この
積層体には中空部に連通する開口部が設けられているか
ら、中空部を完全零磁界に保持してかつ外部流体の流入
が容易となり、センサーに温度センサーを使用して測温
誤差を極めて小さくすることができるのである。また、
積層体の開口部から中空部に、歪応力測定用の歪センサ
ーを貼設した試験材や構造部材を貫通して、歪センサー
部を完全零磁界の下で所望の温度に調整した状態で歪測
定をすることができる。
【0027】超電導体層と常電導性金属層との間に、又
は常電導層の相互間に、特に絶縁層または当該常電導性
金属の電導率より低い電算率を有する抵抗体層を介在さ
せたときは、抵抗体層は、近接する超電導体層間に流れ
る電流を遮断して、超電導体層で発生したフラックスジ
ャンプが他の超電導体層に進展するのを防止する。ま
た、超電導体間に介在された常電導性金属層に過大な電
流が流れるのを阻止するので、金属層自体の僅かな発熱
を阻止し、磁気シールド体の温度上昇を阻止する。
【0028】
【実施例】本発明の実施例を、図面に基づき、以下に説
明する。
【0029】図1(A)は、温度センサー用に供される
円筒状の磁気シールド体の断面図を示すが、磁気シール
ド体1は、超電導体層41、例えばNb−Ti合金の箔
と、常電導性金属層42、例えばAl箔との積層体で両
端を開口した筒体が形成されている。磁気シールド体1
の中空部10内には、温度センサー2が挿入され、当該
センサー2のリード線23が非磁性のシース管6により
保護され、その外周には、同様の積層体からなる磁気シ
ールド管1’によって被覆されている。
【0030】磁気シールド体1の中空部10と温度セン
サー2との間の適当な空間を設け、外部流体の流通路8
が形成されている。この状態で、外部磁界9は、磁気シ
ールド体1に遮蔽されており、積層体4の磁気遮蔽量以
下の磁界に対しては、開口部7,7があっても、中空部
10内は零磁界となる。
【0031】図1(C)は、同心管状の超伝導体41と
常電導性金属42とから成る積層体を示し、また同
(D)は、超伝導体層41と常電導性金属層42との2
層シートを巻回してなる積層体を示している。いずれ
も、筒体軸芯に垂直方向からの磁界に対しては、優れた
磁気遮蔽量を表すが、同図(C)の同心管状の積層体4
は軸心方向からの磁界に対して開口部7の超伝導体41
が超伝導電流の閉回路を形成するので磁気遮蔽量が大き
く、他方、同図(D)の巻回状の積層体4は筒体軸心方
向の磁界の磁気遮蔽量が小さい。
【0032】図2(A)に示す磁気シールド体1は、円
筒状であるが、積層体4は、同図(C)に示すように、
薄肉円環状の超伝導体層41と常電導体層42と交互に
多層に積層して構成されたもので、このような円環状の
積層体は特に、円筒軸心方向の磁界に対して、優れた磁
気遮蔽を発現する。
【0033】図3(A)に示す磁気シールド体1は、上
述の、円環状の積層体を内筒4aとし、その外側に、巻
回状の積層体を外筒4bとして、円筒体を構成したもの
で、筒体軸心に垂直な磁界91も平行な磁界92にも優
れた遮蔽能力を示す。
【0034】図4(A)は、固定式の具体的な磁気シー
ルド体の実施例の断面図を示す。磁気シールド体1は、
円環状板を多数積層して成る筒体を形成しているが、当
該シールド体は、その中空部の一端にフランジ32が固
定された支持管31が挿通されており、支持管31の他
端の外周面に他のフランジ33の中空部が装入され、両
フランジ33、32がボルト4により、シールド体の両
端面を挟着して、磁気シールド体1が固定されている。
【0035】支持管31内には、中空部を有するセンサ
ー固定具5、5が内装固定されて、センサー21のリー
ド線23のシース管6が当該センサー固定具の中空部に
挿通固定され、センサー21は支持管31内に、即ち、
磁気シールド体1の中空部に固定されている。
【0036】当該磁気シールド体1は、Nb−Ti合金
の円環板と金属Cuの円環板とを交互に積層したもの
や、円環状Cu基板上にNb−Ti合金をスパッタリン
グその他蒸着法により薄層に形成したものを多数積層し
た積層体が利用される。
【0037】このような中空状の円環状積層体は、その
積層面に垂直な方向の強力な磁界に対して、すぐれた磁
気遮蔽を発揮するから、磁力線方向に開口部7を向けて
装置の適当部位に固定される。磁気シールド体を装置に
固定するのは、磁気シールド体1の設置位置に磁界勾配
があるようなときには、磁気シールド体には強力な磁気
力が作用するからである。
【0038】支持管31、フランジ31、32、ボルト
34は、非磁性のステンレス鋼その他Al合金などが使
用できるが、外部磁界が静止せず変動磁界であるとき
は、誘導渦電流による発熱を防止するためこれらの部材
は合成樹脂(例えば繊維強化樹脂)が使用される。
【0039】センサー固定具5、5は、前後に貫通する
開口部が設けられ、支持管31内は、一端から他端に貫
通する流通路が設けられているから、測温雰囲気又は液
体例えば液体ヘリウムの流通が可能でセンサー21周囲
の流体温度は、外部流体の温度と実質的に等しくなって
いる。
【0040】図4(B)には、図4(A)の磁気シール
ド体1と同様構造ではあるが、円筒状の磁気シールド体
1を短縮し、かつ、温度センサー21のリード線23を
被覆保護するシース管6の外周に、リード線磁気遮蔽用
の磁気シールド管1´が被着され、センサー21及び当
該磁気シールド管1´が固定部材5、5によって磁気シ
ールド体1の中空部内に着脱可能に係止固定されてい
る。
【0041】フランジ部32、33を含む構成部材は、
磁気シールド体1、磁気シールド管1´を除き、アルミ
ニウム又は硬質合成樹脂、例えば繊維強化樹脂で形成さ
れ、フランジ33と支持管31とは、その接合部で溶
接、ろう接または接着されて、磁気シールド体1が簡便
に固定されるので、全体として軽量化・小型化されてい
る。このような、磁気シールド体付き温度センサーは、
磁気シールド管1´をもって垂下固定することが容易と
なる。
【0042】上記リード線23用の磁気シールド管1´
は、前述のような同軸状又は巻回状の超電導性磁気遮蔽
体によって形成されるので、センサー2とともに、リー
ド線23も同時に磁気の侵入が防止できる。
【0043】図4は、測定位置の移動調整可能な小型・
軽量の磁気シールド体1に、温度センサーを固定した実
施例を図示している。
【0044】図5(A)には、磁気シールド体は、円環
板状の積層体を内筒12とし、その外側に、巻回状の積
層体を外筒11として、嵌め合わせて、単一の円筒とな
し、外筒の両端部11aを加圧縮径して、その変形部が
内筒12の両端面を挟圧保持している。
【0045】本例では、当該磁気遮蔽体の筒周壁に、小
孔を周壁外面から中空部に貫通する小孔をせん孔し、当
該小孔に、センサー2からのリード線23が挿通された
磁気シールド管1´を挿通して、当該センサー2を中空
部内に固定するように、磁気シールド管1´と当該外筒
11の接合部18がろう接もしくは接着されている。
【0046】磁気シールド体1の中空部を磁気シールド
管1´が占有しないので、中空部を貫通する流体の流れ
8を阻害せず、温度センサー2の周囲温度は、磁気シー
ルド体外側の温度と均一とすることが容易である。
【0047】図5(B)は、有底の中空円筒状の磁気シ
ールド体1に温度センサー2を組み込んだ磁気シールド
体の斜視図を示すが、本図において、磁気シールド体1
の下底11bには、開口部7を有し、側部11cにも開
口部7bを有し、また上底11aには、リード線23に
対する磁気遮蔽用の磁気シールド管1´が貫通して、そ
の接合部18は、かしめ固定あるいはろう接されてい
る。
【0048】このような磁気シールド体1は、超電導体
層として例えばNb−Ti合金と、常電導性金属として
例えば金属アルミニウムとを積層した積層板を圧延によ
り形成し、その積層板をプレス加工による深絞りによっ
て筒状に成形、次いで所望の開口部7、7aが設けられ
る。
【0049】積層板からの成形であるから、筒体の積層
面は筒表面と平行で、かつ、開口部周縁の超電導体層に
は、超電導電流の閉回路を構成するから、あらゆる方向
の磁場を遮蔽し、かつ、開口部から外部流体が中空部内
に容易に流入することができる。
【0050】そこで、磁気シールド管1´内にシース管
6が挿通されて中空部内に固定された温度センサー2
は、外部磁場が遮蔽された状態で外部流体温度を正確に
測定することができる。
【0051】図6は、図4に示したのと同様の磁気シー
ルド体1を使用して、試験用柱状の構造部材61に貼設
した抵抗式ストレインゲージ22を磁気遮蔽する磁気シ
ールド体1の断面図である。
【0052】磁気シールド体1の中空部10をもって柱
状部材61及び当該ストレインゲージ22を囲繞して、
本図ではボルトにより締付固定されたフランジ35によ
って垂下固定されている。ただし、磁気シールド体1
は、図4(A)の如く、試験部材とは別個に固定される
のが好ましい。
【0053】次に円筒状の磁気シールド体による磁気遮
蔽能力を試験した。
【0054】センサーとして、温度センサーを想定した
とき、磁気シールド体の円筒内径は10mmとし、長さ
300mm、外径20mmの筒体を次の要領で作った。
【0055】超電導層は、Nb−Ti合金と常電導金属
層とは、金属Cuを採用し、厚み60μmの金属アルミ
ニウム箔を基板として、スパッタリング法を用いて、N
b−Ti合金層0.4μmと金属銅層0.8μmを交互
に全層50層にわたって蒸着して、全厚90μmの単位
積層板を得て、これから内径10mm、外径20mmの
リングを切り出して単位積層リングとした。
【0056】次いで、縁縁層として厚み10μmのポリ
エチレンテレフタレート・フィルムを同様形状のリング
としてこの縁縁リングと、上記の単位積層リングとを交
互に積層して、長さ300mの円筒体を形成し、図4
(A)に示すような構造の磁気シールド体とした。
【0057】磁気遮蔽能力の試験は、液体ヘリウム中に
浸漬され冷却された超電導コイルの内径65mmの中空
部の内部に、上記円筒状の磁気シールド体を固定し、当
該磁気シールド体の中空部内には、その中心軸上に端部
より10mm入った点を基点にして、さらに70mm間
隔で定用ホール素子を計5個所配置した。測定中は、磁
気シールド体とホール素子は、共に4.2Kの液体ヘリ
ウムの冷却下にある。
【0058】あらかじめ、磁気シールド体と除去して上
記ホール素子を所定位置に配置した状態で、超電導コイ
ルに電流を流し、電流と各ホール素子による外部磁界強
度との関係を算出した。
【0059】次いで、磁気シールド体を所定位置に固定
して、同様に超電導コイルの電流を増加させながら、外
部磁界強度0〜3Tの範囲で計10回励磁と消磁を繰り
返して、ホール素子による磁界強度を測定した。
【0060】試験結果を、図7及び図8に示したが、図
7は、測定の上記基点での外部磁界と磁気シールド体内
部の磁界の関係を示し、外部磁界3Tであっても、磁気
シールド体の中空部は零磁界が得られている。外部磁界
が3T以上になると、磁気シールド体内部への磁気浸透
が生じる。この傾向は、シールド体円筒の端部より10
mmの内側基点と中央部とでは、差は認められない。
【0061】図8は、0〜3Tの強界強度の範囲で、励
磁と消磁とを繰り返した場合の内部磁界の変化を示す
が、変動磁界であっても、3Tまでの強磁界を完全に遮
蔽する能力がある。
【0062】また外部磁界3T一定で長時間保持した場
合の磁束侵入径時変化を調べたが、磁気遮蔽率は、10
時間に渡って、常に100%であった。このことは本発
明の磁気シールド体が極めて安定であることを示してい
る。
【0063】次に図4(A)に示す構造の磁気シールド
体を使用して、磁気シールド体の中空部内に温度センサ
ーを挿入固定して、外部磁場に対する温度センサー出力
の影響を調べた。
【0064】磁気遮蔽能力が試験に使用したのと同じ磁
気シールド体を使用し、温度センサーとを、超電コイル
中空部内に配置して、磁界強度を0と2Tとの間に変化
させたとき、液体ヘリウム温度を2.0〜4.2Kの範
囲内で温度センサーの出力変化を調べた。液体ヘリウム
温度はカーボン抵抗温度計で測定し、また比較例は、磁
気シールド体を使用しなかったときのセンサーの出力変
化とした。
【0065】図9は、温度センサーがカーボン温度抵抗
計であるときの出力変化率△R/R(%)を、温度との
関係で示している。図より明らかな如く、磁気シールド
体の内部での温度測定は、2Tまでの外部磁界の変化に
対して全く誤差を生じないことがわかる(図中曲線
a)。
【0066】次に、磁気シールド体は超電導体として、
YBa2 Cu3 7 酸化物の外径15mm、内径5m
m、厚み2mmの円環板で、円形状のアルミニウム円環
板とを交互に積層して、51mm高さの筒体とし、図4
(A)に示す構造とした。
【0067】図10は、温度センサーに白金抵抗温度計
を使用し、ヘリウムガス温度を20〜80Kの範囲に調
整して、同様のセンサー出力変化率△R/R(%)を示
している。この図から磁気シールド体を使用しないとき
は、白金抵抗温度計は低温になる程、磁場印加による依
存性が大きくなるが(図中b曲線)、他方、磁気シール
ド体の中空部では、磁場依存性は検出できなくなる(図
中a曲線)。
【0068】
【発明の効果】本発明の磁気シールド体は、超電導体層
と常電導性金属層との積層体の中空部に、当該中空部に
貫通する開口部から、センサー及びセンサーと固定接続
部材を挿通配置することが容易にでき、且つ当該センサ
ーによって、外部磁場を完全に遮蔽した零磁界の安定し
た状態で測定に供することができ、センサーに及ぼす強
磁界の影響を完全に除去して、測定精度を向上させるこ
とが可能となる。
【0069】センサーが温度センサーであるときは、中
空部に貫通する開口部から外部流体が流通するので、外
部温度を正確に測定することができる。超電導体による
磁気遮蔽でありながら超電導体の熱絶縁性を回避するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る筒状磁気シールド体の断
面図(A)、部分詳細図(B)、及び磁気シールド体の
斜視図(C,D)。
【図2】他の実施例の筒状磁気シールド体の断面図
(A)、部分詳細図(B)、及び磁気シールド体の斜視
図(C)。
【図3】他の実施例の筒状磁気シールド体の断面図
(A)、部分詳細図(B)。
【図4】温度センサー用磁気シールド体の縦断面図
(A,B)。
【図5】他の実施例の温度センサー用磁気シールド体の
縦断面図(A,B)。
【図6】構造部材に貼設した歪センサー用磁気シールド
体の縦断面図(A)。
【図7】外部視界に置かれた筒状磁気遮蔽体の中空部に
おける磁気遮蔽を示す図。
【図8】変動外部磁界(B)と、筒状磁気遮蔽体の中空
部における磁界(A)を示す図。
【図9】温度センサーの強磁界中及び磁気シールド体中
空部内での出力変動を示す図。
【図10】温度センサーの強磁界中及び磁気シールド体
中空部内での出力変動を示す図。
【符号の説明】
1 磁気シールド体 10 中空部 2 センサー 21 温度センサー 22 歪センサー 26 ジョセフソン素子部 23 リード線 4 積層体 41 超電導層 42 常電導性金属層 5 センサー支持体 6 シース管 7 開口部 8 流体 9 磁力線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 鉄雄 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工業 株式会社内 (72)発明者 井上 勝 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工業 株式会社内 (72)発明者 大谷 光平 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工業 株式会社内 (72)発明者 佐藤 学 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工業 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導体層と常電導金属層との積層体か
    ら成る中空体であって、当該中空体を貫通して開口した
    中空部を有して成り、 当該中空体の中空部に、計測用センサーを内装して、中
    空体外側の環境磁界の当該センサーへの透過を遮蔽する
    ようにしたセンサー用磁気シールド体。
  2. 【請求項2】 上記中空体が、両端部に開口した中空部
    を有する筒体である請求項1記載の磁気シールド体。
  3. 【請求項3】 上記中空体が、超電導体層と常電導金属
    層とが積層されて巻回されて、又は、環状若しくは筒状
    の超電導体層と常電導金属層とが同軸状に積層されて、
    成る請求項1又は2記載の磁気シールド体。
  4. 【請求項4】 上記の常電導金属層相互間に、電気的絶
    縁層が介在されて成る請求項1、2又は3記載の磁気シ
    ールド体。
  5. 【請求項5】 上記計測用センサーが温度センサーであ
    って、当該中空部が流体の流通路とされている請求項1
    又は2記載の磁気シールド体。
  6. 【請求項6】 上記計測用センサーが歪測定素子であっ
    て、当該中空部に当該測定素子が貼着された構造部材が
    挿通されるようにした請求項1又は2記載の磁気シール
    ド体。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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