JP4411512B2 - 超電導磁場発生装置、その励磁方法、超電導磁場発生装置を用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具 - Google Patents

超電導磁場発生装置、その励磁方法、超電導磁場発生装置を用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具 Download PDF

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Description

本発明は着磁装置、磁気分離装置、磁場プレス機、核磁気共鳴装置、発電機、モータ、スパッタリング成膜装置等のように強磁場を必要とする装置に利用可能な超電導磁場発生装置と、その励磁方法と、超電導磁場発生装置をスパッタガンとして用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具に関する。
溶融凝固法により作製したバルク状(塊状)の超電導体を例にとって従来技術について説明する。溶融凝固法により作製したY系等のバルク状(塊状)の超電導体は、磁場を印加して着磁することで従来の永久磁石をはるかに凌ぐテスラ級の磁場を発生する強力な磁石となることから、この超電導バルク磁石を形成する超電導体をマグネトロンスパッタリング成膜装置のスパッタガンとして用いる応用が検討されている。例えば、特開平10−72667号公報には、超電導体をパルス磁場で着磁して超電導バルク磁石とし、これをスパッタガンとして用いるマグネトロンスパッタリング成膜装置が本出願人により開示されている。また、特開2002−146529号公報には、複数の超電導バルク磁石となる超電導体をスパッタガンとして用いるマグネトロンスパッタリング成膜装置が本出願人により開示されている。
特開平10−72667号公報 特開2002−146529号公報
更に、超電導磁場発生装置の開発の一環として、図11〜図13に示す超電導磁場発生装置を組み付けると共に、磁気回路を形成するヨークを減圧チャンバ側に固定したマグネトロンスパッタリング成膜装置が本出願人により先行例として開発されている(本出願時に未公知)。このものによれば、磁気回路を形成するヨークを減圧チャンバ側に固定しているため、超電導体から発せられる磁場の分布形状をヨークによって補正することができる。
ここで、図11は先行例(本出願時に未公知)にかかる超電導磁場発生装置1Xを示す。図12はこの超電導磁場発生装置1Xをスパッタリング成膜装置200Xに取り付ける前の状態を示す。図13はこの超電導磁場発生装置1Xをスパッタリング成膜装置200Xに取り付けた後の状態を示す。前述したように図11〜図13は本出願時に未公知のものである。
このものによれば、図11に示すように、高真空状態に維持された断熱容器3X内に超電導体2X及び下ヨーク63Xが収納されており、これらが冷凍機のコールドヘッド41Xに固定されている。超電導体2Xの励磁にあたり、超電導体2Xが収容された断熱容器3Xを超電導マグネット100Xのボアの中に挿入する。そして超電導マグネット100Xに所望の磁場を印加した状態で、超電導体2Xを超電導遷移温度以下に冷却して磁場を捕捉させた後、印加した磁場をゼロにし、その後、超電導体2Xが収容された断熱容器3Xを超電導マグネット100Xのボアから取出す。これにより超電導体2Xが着磁される。超電導体2Xによれば、超電導体2Xの下面に下ヨーク63Xが設けられているものの、超電導体2Xの外周囲にリングヨークが設けられていないため、磁力線67mは超電導体2Xの前方に広がり、その磁場はかなり広く放射している。
上記した先行例によれば、図12及び図13に示すように、強磁性体としてのリングヨーク61Xがスパッタリング成膜装置200Xの減圧チャンバ204X側に予め固定されている。そして超電導磁場発生装置1Xをスパッタリング成膜装置200Xに組み付けるにあたり、超電導体2Xを励磁した超電導磁場発生装置1Xを、冷凍部43Xと共に、図12に示すように、スパッタリング成膜装置200Xへの組付箇所の下に配置する。次に、断熱容器3Xと共に超電導体2Xを、図13に示すように昇降部48X(ジャッキ)で持ち上げ、リングヨーク61Xの内側に挿入する。この結果、リングヨーク61Xが超電導体2Xの外周囲に配置される。
このように超電導磁場発生装置1Xを組み付ける際に、減圧チャンバ204Xにリングヨーク61Xが固定されているため、減圧チャンバ204Xのリングヨーク61Xと超電導体2Xとが吸引し合って、リングヨーク61Xに対する超電導体2Xの軸ずれを起こさないように、スパッタリング成膜装置側200Xには、着脱機構としてダンパ210Xやガイド211Xが設けられている。
しかしながらこの先行例によれば、前述したように、スパッタリング成膜装置200X側にリングヨーク61Xが固定されている。このため超電導磁場発生装置1Xをスパッタリング成膜装置200Xに組み付ける際に、スパッタリング成膜装置200Xに固定されているリングヨーク61Xと超電導磁場発生装置1Xの超電導体2Xとが磁力で吸引し合う。このため組付の際に、リングヨーク61Xと超電導磁場発生装置1Xの超電導体2Xとが磁力で吸引し合って衝突しないように、前述したごとく頑丈な着脱機構(ダンパ210X及びガイド211X)が必要とされ、装置が複雑で大規模になる。
また、超電導磁場発生装置1Xをスパッタリング成膜装置200Xに組み付けるまでは、図11に示すように、その超電導体2Xを収容した断熱容器3Xが露出状態とされる。このため、超電導体2Xの強磁場による磁力線67mがその周囲に広く放射されており、鉄製の工具や器具が断熱容器3X内の超電導体2Xに向けて飛んでくっつくおそれがある。
更に、成膜対象物208Xをもつスパッタリング成膜装置200Xのターゲット206Xを交換する際には、ターゲット206Xを磁力から開放する為に、超電導磁場発生装置1Xを降下させる必要があるが、この交換の際に毎回、リングヨーク61Xと超電導体2Xとが互いに引き離されるため、超電導体2Xの磁場分布が変化する。このため交換頻度が増加すると、超電導体2Xの磁力や磁場分布の変化回数が増加し、結果として、超電導体2Xの磁力や磁場分布が次第に減衰し、超電導磁場発生装置1Xとしての本来の性能が低下するおそれがある。
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、着脱が容易であり、更に、交換頻度が増加したとしても、超電導体の磁力や磁場分布の変化を抑え、超電導磁場発生装置としての本来の性能の低下を抑えるのに有利な超電導磁場発生装置、その励磁方法、及び、超電導磁場発生装置を用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具を提供することを課題とする。
様相1の発明に係る超電導磁場発生装置は、超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、超電導体を冷却する冷却装置と、超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
強磁性体は、少なくとも一部が超電導体の周囲に配置されており、且つ、超電導体とその周囲に配置された強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成し、超電導体の周囲の強磁性体は、断熱容器の外側において断熱容器に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
超電導体の発せられる磁場は、その着磁方向はもとよりその周囲にも戻るという形で強磁場が放射されている。本発明によれば、強磁性体を用いて超電導体から発せられる磁場の分布を補正すると共に、超電導体の少なくとも周囲に強磁性体を配置して磁気回路を構成することにより、磁場の放射方向を特定の方向に制御、あるいは、磁場の及ぶ範囲を磁極近傍に制限している。したがって、超電導体の周囲に強磁性体がなく超電導体が剥き出しになっている場合に比較して磁場の放射を抑制でき、安全であり、また、強磁場利用装置への装着が容易である。
また、発生する磁場が強磁性体により所望の磁場分布形状に整えられるので、スパッタリング成膜装置等の強磁場利用装置に、超電導磁場発生装置をコンパクトな一つの部品として取付けてそのまま利用することができる。
さらに、図11〜図13に示す先行技術に係るスパッタリング成膜装置等の強磁場利用機器に対して超電導磁場発生装置を着脱する際に、強磁場利用機器側の強磁性体と超電導体とを互いに引き離す必要がない。このため、超電導磁場発生装置の着脱の毎に、超電導体の磁力や磁場分布が変化するおそれが少なく、超電導体の本来の能力を発揮するのに有利となる。
上記した冷却装置は、無冷媒で冷却が可能な冷凍機、有冷媒で冷却が可能な冷凍機を例示することができ、具体的にはGM冷凍機、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機などを例示することができる。上記した強磁性体としては、飽和磁束密度または残留磁束密度の大きいものが好ましい。具体的には、パーメンジュール(Fe−Co−V系)、電磁軟鉄(Fe)、珪素鋼板(Fe−Si系)、センダスト(Fe−Si−Al系)などの高透磁率材料を用いることができる。更には、上記した強磁性体としては、Nd−Fe−B系、Sm−Co系などの永久磁石材料を用いることができる。
超電導体の周囲に配置されている強磁性体が高透磁率材料である場合には、高透磁率材料はヨークとして機能することができ、一般的には、超電導体による磁場で超電導体とは逆向きに磁化される。したがって、超電導体と周囲の強磁性体が面する空間(断熱容器の外部の磁極前方)には、超電導体の磁極から出てこれの半径方向に広がり、超電導体の周囲に配置されている強磁性体(例えばヨーク)に入るような磁場分布が形成される。
また、上記超電導体の周囲の強磁性体が永久磁石材料である場合には、永久磁石材料が最初に磁化された方向により、外部に形成される磁場の分布形状は異なる。即ち、永久磁石材料の磁化の方向が超電導体と逆である場合には、上述した高透磁率材料の場合に似た磁場分布となる。一方、永久磁石材料が超電導体と同じ方向に磁化された場合には、超電導体とその周囲に配置されている強磁性体の両方から前方に磁場が放射され、一つの大きな単磁極からの磁場分布となる。
また、超電導体の周囲の強磁性体は、断熱容器の外部において断熱容器に対して着脱可能に取り付けられている。超電導磁場発生装置から磁場を発生させるためには、超電導体を予め着磁する必要がある。一般的な着磁方法としては、超電導体を収容した断熱容器をリング形状の超電導マグネットのボアに挿入し、静磁場を超電導体に印加して超電導体を着磁する方法、あるいは、超電導体を収容した断熱容器の周囲に着磁コイルを配置し、コンデンサ等で構成されるパルス電源からこれにパルス電流を通電することにより発生するパルス磁場により超電導体を着磁する方法等が挙げられる。この点様相に係る本発明によれば、超電導体の周囲の強磁性体は、断熱容器の外部において断熱容器に対して着脱可能に取り付けられているため、超電導体の着磁に必要のない周囲の強磁性体を超電導体に対して取り外して超電導体の着磁を行えるので、ボア径の小さい超電導マグネットや、内径の小さいコイルとそれに応じた小容量のパルス電源など、着磁に必要な装置が小型で済むというメリットがある。
次に、様相の発明に係る超電導磁場発生装置によれば、強磁性体を保持可能な着脱補助部材が設けられており、断熱容器の壁をガイドとして着脱補助部材を相対移動させることにより、着脱補助部材は、強磁性体が超電導体の周囲に配置されるように強磁性体を着脱可能に取り付けることを特徴とするものである。超電導体の周囲に配置されている強磁性体を分離して超電導体を着磁した場合には、着磁後に再度、超電導体の周囲に強磁性体を取付ける必要がある。この場合、着磁された超電導体と、超電導体の周囲の強磁性体との間には大きな磁気吸引力または磁気反発力が働くため、取付操作の途中において、超電導体に対して強磁性体が偏るように位置変位し、強磁性体が断熱容器にうまく取り付かないおそれがある。この点様相に係る本発明によれば、着脱補助部材が設けられており、断熱容器の外壁をガイドにして着脱補助部材を移動させ、強磁性体を超電導体に対して着脱できるので、取付・取外しの操作を確実かつ安全にできる。
次に、様相3の発明にかかる超電導磁場発生装置によれば、超電導体の周囲の強磁性体は、前記断熱容器と一体にされて前記断熱容器の前記収容室の一部を形成し、前記超電導体と直接対向配置されていることを特徴とするものである。この場合、強磁性体は断熱容器と一体にされているため、超電導体の周囲の強磁性体を着脱するための機構が不要である。また、強磁性体は断熱容器と一体にされているため、超電導体の周囲の強磁性体をより超電導体の周囲に近付けることができるので、磁場発生部をよりコンパクトにすることができる。
次に、様相4の発明にかかる超電導磁場発生装置によれば、リングヨークである超電導体の周囲の強磁性体は、断熱容器の内部に収容され、前記超電導体と直接対向配置されていることを特徴とするものである。この場合、強磁性体は、断熱容器の内部に収容されているため、周囲の強磁性体を超電導体に対して着脱するための機構が不要である。また、強磁性体は断熱容器の内部に収容されているため、周囲の強磁性体をより超電導体に近付けることができるので、磁場発生部をよりコンパクトにすることができる。さらに、断熱容器の構造を簡単にすることができる。
次に、様相の発明にかかる超電導磁場発生装置は、超電導体の周囲の強磁性体は、冷却装置により冷却される構造を有することを特徴とするものである。一般的に、強磁性体は冷却されると、その飽和磁化や残留磁束密度等の磁気特性が向上し、磁性体としての性能が向上する。この点本発明では、超電導体の周囲の強磁性体は、冷却装置により外部の温度以下に冷却されるので、外部の温度と同じである場合に比較して、強磁性体の磁気特性が向上し、磁気回路を構成するのに必要な強磁性体の体積が少なくて済む。また、強磁性体が同じ体積であれば、強磁性体の磁場が強くなり、磁場発生装置としての性能が向上する利点が得られる。
次に、様相の発明にかかる超電導磁場発生装置によれば、超電導体は、溶融凝固法により作製されており、その主成分がRE−Ba−Cu−O(REはY,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Er,Yb,Dy,Hoのうちの1種以上)で表されるものである。超電導体の構成材料を一旦融点以上に加熱して溶融し再び凝固させる溶融凝固法で、RE−Ba−Cu−O系超電導体を合成することができる。この場合、超電導体において結晶粒が粗大で、かつ、超電導となる母相に絶縁相が微細に分散した組織を有することができる。このように微細に分散した絶縁相が磁場のピン止め点として働くため、捕捉磁場の大きい超電導体が得られ、磁場発生装置としての性能が向上する利点が得られる。
次に、様相の発明にかかる超電導磁場発生装置によれば、超電導体は、Ag,Au,Pt,Rh,Ceの少なくとも1種類を含むことができる。ここで、Ag,Auは超電導相と反応せずに超電導母相内に析出し、そして、超電導遷移温度などの超電導特性を損なうことなく、セラミックスであるRE−Ba−Cu−O系超電導体の機械的強度を向上させることができる。従って、磁場発生装置としての信頼性が向上する。また、Pt,Rh,Ceを含有したRE−Ba−Cu−O系超電導体は、母相である超電導相に絶縁相がより微細に分散しており、より強いピン止め力を示す。従って、超電導体の捕捉磁場が増加し磁場発生装置としての性能が向上する。
次に、様相の発明にかかる超電導磁場発生装置によれば、強磁場利用装置に着脱可能に組み付けられる。この場合、強磁場利用装置から外した状態の超電導磁場発生装置の超電導体を着磁させるのに有利となる。
次に、様相の発明に係る超電導磁場発生装置の励磁方法は、超電導磁場発生装置の超電導体を励磁する方法であって、超電導体の周囲の強磁性体を超電導体から外した状態において超電導体を着磁した後、周囲の強磁性体を超電導体の周囲に取付けることを特徴とするものである。本発明によれば、超電導体の着磁に必要のない周囲の強磁性体を取り外して超電導体の着磁を行うことができる。このためボア径の小さい超電導マグネットや、内径の小さいコイルとそれに応じた小容量のパルス電源など、着磁に必要な装置が小型で済むというメリットがある。また、強磁性体は超電導体の周囲から離間するため、超電導体を着磁する際に超電導体に印加する磁場の影響を、強磁性体が受けることを少なく、あるいは無くすることができ、超電導体の磁化の方向を超電導体の着磁方向とは独立に選ぶことが可能である。
次に、様相10の発明に係る超電導磁場発生装置の励磁方法は、リングヨークである超電導体の周囲の強磁性体を超電導体の周囲に直接対向させて配置したまま当該周囲の強磁性体と共に超電導体を着磁することを特徴とするものである。本発明によれば、超電導体の周囲の強磁性体を取付けたまま超電導体を着磁するので、着磁後に、強磁性体を超電導体の周囲に取付ける必要がなく簡単である。また、超電導体の着磁と同時に所望の磁場分布を形成できるので、安定した磁場分布を再現性良く実現することができる。
次に、様相11の発明のスパッタリング成膜装置は、薄膜原料を含むターゲットを保持するターゲットホルダと成膜対象物を保持する成膜対象物ホルダとを有する減圧チャンバと、ターゲット表面の近傍にプラズマを集中させる磁場を発生させるスパッタガンとを具備しており、ターゲットから放出される薄膜原料を成膜対象物の表面に被着させて成膜対象物に薄膜を形成するスパッタリング成膜装置において、スパッタガンは、請求項1〜請求項のうちのいずれか一項からなる超電導磁場発生装置を有することを特徴とするものである。
上述したように、請求項1〜請求項の発明による超電導磁場発生装置は、漏れ磁場が少なく、発生する磁場が所望の分布形状に整えられたコンパクトな一つの部品となっている。したがって、スパッタガンの装着を簡便で且つ安全に行うことができ、従って保守管理が容易なスパッタリング成膜装置が実現することができる。また、スパッタガンの性能が安定した信頼性の高いスパッタリング成膜装置とすることができる。スパッタリング成膜装置に取付けられるスパッタガンの台数は1台に限るものではなく、複数の種類のターゲットを具備する、いわゆる多元スパッタリング成膜装置にも適用でき、複数台のスパッタガンをスパッタリング成膜装置に取付けることができる。また、複数のターゲットが対向して構成される対向型スパッタリング成膜装置にも適用できる。
次に、様相12の発明の強磁性体着脱治具は、超電導磁場発生装置の断熱容器に強磁性体の少なくとも一部を取り付けるための強磁性体着脱治具であって、
案内部と、案内部に沿って移動することにより超電導磁場発生装置の断熱容器に対して接近または離間可能な可動体と、断熱容器に対して接近または離間する方向に可動体を案内部に沿って移動させる駆動部とで構成されており、
可動体は、強磁性体の少なくとも一部を着脱可能に保持可能であり、断熱容器への可動体の接近に伴い強磁性体を超電導体の周囲に配置させると共に、断熱容器から可動体の離間に伴い強磁性体を超電導体の周囲から離脱させることを特徴とするものである。
この強磁性体着脱治具によれば、可動体は、強磁性体を保持した状態で、超電導磁場発生装置の断熱容器に対して接近または離間可能とされている。強磁性体を可動体に保持した状態で、取付作業者または制御装置等により駆動部が一方向に操作されると、強磁性体を保持した可動体が断熱容器に対して接近する方向に移動する。この結果、可動体に保持されている強磁性体の少なくとも一部は、超電導体の周囲に配置される。また、取付作業者または制御装置等により駆動部が他方向に操作されると、強磁性体を保持した可動体が断熱容器に対して離間する方向に移動する。この結果、超電導体の周囲に配置されている強磁性体の少なくとも一部は、超電導体から離間される。
本発明によれば、着脱が容易であり、更に、超電導体の磁力や磁場分布の変化を抑え、超電導磁場発生装置としての本来の性能の低下を抑えるのに有利な超電導磁場発生装置とその励磁方法、及び、超電導磁場発生装置を用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具を提供することができる。
以下、発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明する。
図1は本実施例に係る超電導磁場発生装置1を示す。図1に示すように、超電導磁場発生装置1は、超電導遷移温度以下で磁場を捕捉することにより外部に磁場を発する超電導バルク磁石となる超電導体2と、超電導体2を密閉状態に収容する収容室30をもつ筒形状の断熱容器3と、超電導体2を低温に冷却する冷却装置4と、超電導体2から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体6とを有する。
冷却装置4は超電導体2を超電導臨界温度以下に冷却するものであり、断熱容器3の収容室30に収容され且つ低温となる寒冷部であるコールドヘッド41と、コールドヘッド41を冷却する冷凍部43とを有する。冷凍部43は、GM冷凍機、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機などで形成されている。
断熱容器3は金属製であり、収容室30を区画する円筒形状の外壁34と、上面となるように先端側に形成された端壁35とをもつ。収容室30の内部は、図示しない真空排気装置により大気圧以下に真空排気され、いわゆる魔法瓶のように真空により断熱がとられている。超電導体2は、断熱容器3の端壁35に対面するように、収容室30の一端側つまり断熱容器3の上部側に配置されている。超電導体2は、溶融した後に凝固させる溶融凝固法によりバルク円盤状に作製されており、その主成分がRE−Ba−Cu−Oで表される。ここで、REはY,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Er,Yb,Dy,Hoのうちの1種以上を意味する。超電導体2は、Ag,Au,Pt,Rh,Ceのうちの少なくとも1種類を含むことができる。
強磁性体6は、超電導体2の外周囲に同軸的に配置されているリングヨーク61と、超電導体2の下面に同軸的に配置されている第2ヨークとしての下ヨーク63とで形成されている。従ってリングヨーク61の内周面61iは、リング状の真空の隙間65を介して超電導体2の外周面2pをリング形状に包囲している。隙間65は、常温雰囲気に面する外周面61pをもつリングヨーク61と低温側の超電導体2とを熱的に遮るため、超電導体2の低温を維持し易い。リングヨーク61の外周面61pは、超電導体2の外周面2pに背向している。
図1に示すように、リングヨーク61は、超電導体2の外周囲に配置されるように、断熱容器3の上部に溶接などで一体化されている。この結果、リングヨーク61の内周面61iは断熱容器3の収容室30に対面しており、断熱容器3の収容室30の一部を形成している。また、図1に示すように、リングヨーク61の先端面61fと断熱容器3の端壁35とは、相手材に接触または接近できるように同一面状、あるいはほぼ同一面状とされている。下ヨーク63は超電導体2の一端面側(下面側)に接触して同軸的に配置されている。下ヨーク63は、真空排気された断熱容器3の収容室30に超電導体2と共に収容されている。
リングヨーク61及び下ヨーク63を形成する強磁性体6の材料としては、飽和磁束密度または残留磁束密度の大きいものが好ましく、具体的には、パーメンジュール(Fe−Co−V系)、電磁軟鉄(Fe)、珪素鋼板(Fe−Si系)、センダスト(Fe−Si−Al系)などの高透磁率材料を例示することができる。従って、超電導体2の周囲に配置されているリングヨーク61として高透磁率材料で形成することができる。高透磁率材料は磁力線を透過させるヨークとして機能することができる。
リングヨーク61の先端面61fは一般的には、超電導体2による磁場で超電導体2の先端面2fの磁極とは逆の磁極に磁化される。したがって、超電導体2の磁極からの磁力線はリングヨーク61を透過する。この結果、超電導体2の先端面2fとリングヨーク61の先端面61fが面する空間MA(断熱容器3の外部の磁極前方,矢印Y1方向)には、超電導体2の磁極から出てこれの半径方向に広がり、リングヨーク61の先端面61fからリングヨーク61の内部、下ヨーク63の内部に入るように閉ループ状の磁気回路67をもつ磁場分布が形成される。この結果、本実施例によれば、超電導体2とその周囲に配置された強磁性体6の部分とが面する空間MAに、磁場分布が形成されるように磁気回路67が構成される。即ち、リングヨーク61及び下ヨーク63は、超電導体2から発せられる磁場の分布形状を補正するものである。
なお、図1に示すように、リングヨーク61の内周面61iと超電導体2の外周面2pとの間には、着磁コイル等の他の部材が介在していない。このため、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pに任意に接近させたり、あるいは、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pから任意に離間させたりすることができる。この結果、超電導体2に対してリングヨーク61を配置する自由度を高めることができる利点が得られる。なお、上記した着磁コイルは導線を多重にリング状に巻回しているため、径方向サイズが増加しがちである。
本実施例によれば、超電導体2の励磁は、リングヨーク61が断熱容器3に保持された状態で、超電導体2を収容する断熱容器3の一端部(上端部)をリング形状の超電導マグネット100(図1参照)のボアに挿入した状態で実施される。超電導マグネット100により超電導体2を励磁している間は、超電導体2及びリングヨーク61は、超電導マグネット100により印加した磁場の方向に磁化される。しかし超電導マグネット100による印加磁場をゼロにすると、超電導体2から発する磁場によりリングヨーク61は、磁場を印加していた場合と逆向きに磁化される。結果として、リングヨーク61の先端面61fの極性は、超電導体2の先端面2fの磁極の極性と反対となる。これにより図1に示すように、超電導体2、リングヨーク61、下ヨーク63を透過する閉ループの磁場分布が形成される。
本実施例によれば、リングヨーク61は断熱容器3に一体的に取り付けられているため、超電導体2を着磁した後に、リングヨーク61を断熱容器3に後から嵌める必要がなく、磁極としての立ち上げ操作が簡単となる利点が得られる。更に、リングヨーク61は断熱容器3に一体的に取り付けられているため、磁極構造がコンパクトとなる。
また図1に示すように、超電導体2の外周囲にリングヨーク61が配置されているため、超電導体2の磁力線は、リングヨーク61に向かうように径外方向に補正され易くなる。この結果、リングヨーク61と超電導体2の下面(他端面)側の下ヨーク63と超電導体2とを透過する閉ループ状の磁気回路67が構成されている。故に、超電導体2の磁場の放射方向は、超電導体2の先端面2fとリングヨーク61の先端面61fの面する方向、つまり上側に制限されると共に、超電導体2の強磁場が及ぶ範囲も超電導体2の磁極近傍に制限される。
加えて本実施例によれば、リングヨーク61は、スパッタリング成膜装置等の強磁場利用装置に保持されているのではなく、超電導磁場発生装置1に保持されている。このため超電導磁場発生装置1をスパッタリング成膜装置等の強磁場利用装置へ組み付ける際にも、上記した先行例とは異なり、スパッタリング成膜装置等の強磁場利用装置と超電導磁場発生装置1との間において余分な磁力が働くことを抑制することができる。このため、特別な着脱機構が不要となる利点が得られる。更に超電導磁場発生装置1を一つの部品という形でスパッタリング成膜装置等の強磁場利用装置に簡便に組み付け得る。
図2は本発明の実施例2の超電導磁場発生装置1を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様な構成、作用効果を奏する。共通する機能を奏する部位には共通の符号を付する。以下、実施例1と異なる点を中心として説明する。本実施例によれば、図2に示すように、リングヨーク61は、超電導体2の外周面2pに配置されるように超電導体2と共に断熱容器3の収容室30内に配置されている。リングヨーク61は、下ヨーク63と一体的に形成されており、強磁性体6を形成している。つまり、強磁性体6は、超電導体2の外周囲に配置されているリングヨーク61と、超電導体2の下面に配置されている下ヨーク63とで一体的に形成されている。
図2に示すように、リングヨーク61の内周面61iは超電導体2の外周面2pをリング状の真空の隙間65を介して包囲している。リングヨーク61の外周面61pは断熱容器3の内周面3iにリング状の真空の隙間66を介して包囲されている。このようにリングヨーク61は超電導体2及び下ヨーク63と共に断熱容器3の収容室30の先端側に収容されているため、リングヨーク61は超電導体2及び下ヨーク63と共にコールドヘッド41で室温以下(一般的には超電導体2の遷移温度以下)に冷却される。
図2に示すように常温雰囲気に面する外周面3pをもつ断熱容器3とリングヨーク61との間には、真空の隙間66が形成されている。リングヨーク61と超電導体2との間には隙間65が形成されている。故に、リングヨーク61ひいては超電導体2を低温に維持するのに有利となる。
なお本実施例によれば、図2に示すように、リングヨーク61の内周面61iと超電導体2の外周面2pとの間には、隙間65が形成されているものの、着磁コイル等の他の部材が介在していない。このため、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pに任意に接近させたり、あるいは、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pから任意に離間させたりすることができ、超電導体2に対してリングヨーク61を配置する自由度を高めることができる利点が得られる。
超電導体2の励磁方法は基本的には実施例1と同様とすることができる。即ち、超電導体2の励磁は、リングヨーク61が断熱容器3内に保持された状態で、超電導体2を収容する断熱容器3の一端部(上端部)をリング形状の超電導マグネット100(図1参照)のボアに挿入した状態で実施される。超電導マグネット100により超電導体2を励磁している間は、超電導体2及びリングヨーク61は、超電導マグネット100により印加した磁場の方向に磁化される。しかし超電導マグネット100による印加磁場をゼロにすると、超電導体2から発する磁場によりリングヨーク61は、磁場を印加していた場合と逆向きに磁化される。結果として、リングヨーク61の先端面61fの極性は、超電導体2の先端面2fの磁極の極性と反対となる。これにより図2に示すように、超電導体2、リングヨーク61、下ヨーク63を透過する閉ループの磁気回路67が形成される。
本実施例によれば、図2に示すように、リングヨーク61は超電導体2と共に断熱容器3の収容室30に収容されているため、リングヨーク61を超電導体2の径方向において超電導体2に近付け易くなるため、超電導磁場発生装置1の磁極がよりコンパクトになる利点が得られる。更に、リングヨーク61が断熱容器3の収容室30内に超電導体2と共に配置されているため、断熱容器3の構造が簡単となる利点が得られる。
更にまたリングヨーク61が断熱容器3の収容室30に収容されているため、軟磁性材料で形成されたリングヨーク61も積極的に冷却されるので、リングヨーク61の磁気特性が向上する。故に、磁気回路67を構成するのに必要な強磁性体6である強磁性体6の占める体積が少なくて済む利点が得られる。また、強磁性体6が同じ体積であれば、外部に発生する磁場が強くなる利点が得られる。
図3〜図5は本発明の実施例3の超電導磁場発生装置1を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様な構成、作用効果を奏する。共通する機能を奏する部位には共通の符号を付する。以下、実施例1と異なる点を中心として説明する。本実施例によれば、図3に示すように、リングヨーク61は、超電導体2の外周面2pに配置されているが、断熱容器3に対して着脱可能とされている。図3に示すように、断熱容器3は円筒形状の金属製をなす。断熱容器3は、収容室30を区画する円筒形状の外壁34と、上面となる端壁35と、径外方向に延設された鍔部36とをもつ。図3に示すように、断熱容器3の外周側には金属製の着脱補助部材7が同軸的に配置されている。着脱補助部材7は、断熱容器3の外周側を包囲する円筒形状の筒状部71と、リングヨーク61の軸端面61uに対面するように径外方向に延設された鍔部72bと、鍔部36に対面する鍔部72cとをもつ。超電導体2の先端面2fが 断熱容器3の端壁35に対面するように、超電導体2は断熱容器3の先端側つまり断熱容器3の上部側に配置されている。
なお、図3に示すように、リングヨーク61の内周面61iと超電導体2の外周面2pとの間には、着磁コイル等の他の部材が介在していない。このため、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pに接近させたり、あるいは、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pから離間させたりすることができ、超電導体2に対してリングヨーク61を配置する自由度を高めることができる。、
図4,図5は超電導体2を励磁した後に、リングヨーク61をこれが超電導体2の外周側に位置するように断熱容器3に取り付ける形態を示す。図4はリングヨーク61を断熱容器3に取り付ける前の状態を示す。図5はリングヨーク61を断熱容器3に取り付けた後の状態を示す。
本実施例によれば、図4,図5に示すように、リングヨーク61を断熱容器3に取り付けるための治具であるリングヨーク着脱治具8が設けられている。図4に示すように、リングヨーク着脱治具8は冷凍部43の設置部43mに着脱可能に設置可能である。このリングヨーク着脱治具8は、案内部としての複数の支柱80と、複数の支柱80を連結する連結部81と、連結部81に形成されている雌ねじ孔82に螺進退可能に螺合された雄ねじ83aを有する可動体としての軸状部材83と、軸状部材83を回転操作させる駆動部としてのハンドル84と、軸状部材83の先端部(下端部)に保持された可動体としてのリングヨーク取付部85とを備えている。
図4に示すように、リングヨーク取付部85の内側に位置するように、リングヨーク61は着脱補助部材7の上側の鍔部72bに同軸的に載置された状態で、第2取付具としての第2ねじ87により着脱可能に着脱補助部材7に取り付けられている。ここで、着脱補助部材7のうち、断熱容器3と対面する筒状部71の内壁には、O−リング等の複数個の弾性部74が着脱補助部材7の軸長方向に沿って間隔を隔てて保持されている。各弾性部74は着脱補助部材7の内周面を連続的に1周するようなリング形状をなしているが、着脱補助部材7の内周面を間隔を隔てて断続的に1周するようなリング状に配置されていても良い。弾性部74は、樹脂やゴムなどの有機系高分子材料で形成することができる。
まず、リングヨーク61を断熱容器3に取付けるには、図4に示すように、リングヨーク61を着脱補助部材7の鍔部72bに載置し、第2取付具としての第2ねじ87で着脱補助部材7に固定する。リングヨーク61がついた着脱補助部材7をリングヨーク取付部85に第1ねじ86により固定する。次に、図4に示すように、リングヨーク着脱治具8を矢印Y2方向に降下させて、もしくは、水平方向にスライドさせて、冷凍部43の設置部43mに固定する。この状態では、図4に示すように、着脱補助部材7は断熱容器3の先端部から離間しており、断熱容器3の上方に配置されている。次に、リングヨーク着脱治具8のハンドル84を取付作業者等が回転操作することにより、軸状部材83をこれの軸長方向に沿って移動させ、矢印Y2方向(下方向)に低速で降下させ、リングヨーク61を保持する着脱補助部材7を低速で下に降ろす。この結果、着脱補助部材7が断熱容器3の外周に次第に嵌まるようになる。この場合、着脱補助部材7の内面側の弾性部74が緩衝機能を果たすと共に、断熱容器3の外壁34がガイドになり、故に、リングヨーク61を保持する着脱補助部材7が断熱容器3の外周側に嵌合し、真っ直ぐに装着される。この結果、図5に示すように、リングヨーク取付部85のリングヨーク61は超電導体2の外周面側に配置される。ここで、軸状部材83の雄ねじ83a及び雌ねじ孔82は、ハンドル84の回転運動を軸状部材83の直進移動に低速で変換する変換機構として機能することができる。
超電導体2を保持する着脱補助部材7の鍔部72cが、図5に示すように、断熱容器3の鍔部36まで達したら、第3取付具としての第3ねじ88を締結し、着脱補助部材7を冷凍部43側に固定する。次に、第1ねじ86を外してリングヨーク着脱治具8のリングヨーク取付部85と着脱補助部材7とを分離可能とする。この状態では、リングヨーク61が超電導体2の外周囲に配置されている(図5参照)。
更に第1ねじ86を取り外して着脱補助部材7とリングヨーク取付部85とを分離可能とした状態で、ハンドル84を逆回転させることにより軸状部材83をこれの軸長方向に沿って移動させ、矢印Y1方向に(上方向)上昇させる。これにより超電導体2の外周面側にリングヨーク61を残したまま、リングヨーク着脱治具8のリングヨーク取付部85が軸状部材83と共に超電導体2から矢印Y1方向に離間する。このようにしてリングヨーク61を超電導体2の外周囲に着脱可能に取り付けることができる。その後、リングヨーク着脱治具8を冷凍部43から取り外せば良い。
なお、超電導体2の外周囲に配置されているリングヨーク61を、超電導体2を収容する断熱容器3から取り外すときには、逆の操作を行えば良い。即ち、リングヨーク61が保持されていないリングヨーク着脱治具8のリングヨーク取付部85を矢印Y2方向に降下させて超電導体2の外周側に配置させる。次に、第1ねじ86により着脱補助部材7の鍔部72bとリングヨーク取付部85とを連結する。次に第3ねじ88を取り外す。この状態では、リングヨーク61と着脱補助部材7は断熱容器3から分離され、リングヨーク着脱治具8に接続されている。次に、ハンドル84を操作することにより軸状部材83をリングヨーク61と共に超電導体2から離間するように移動させて矢印Y1方向に上昇させれば良い。
本実施例によれば、着脱補助部材7の筒状部71は基本的には断熱容器3の外壁と同軸的な相似形をなしており、その内壁には複数の弾性部74が保持されている。このため、着脱補助部材7は断熱容器3の外壁34をガイドとして着脱方向にスライドできるようにようになっている。このためリングヨーク61を超電導体2の外周囲に同軸的に配置させるのに有利となる。
本実施例によれば、超電導体2の励磁は、超電導体2を収容する断熱容器3からリングヨーク61を外した状態で、実施例1,2の場合と同様に行なうことができる。即ち、超電導体2を着磁した後、前述したようにリングヨーク着脱治具8を用いてリングヨーク61を、超電導体2の外周囲に位置するように断熱容器3の外周側に取付けることができる。
このように本実施例によれば、リングヨーク61を外した状態で超電導体2を着磁できるため、着磁に用いるリング形状の超電導マグネット100(図1参照)のサイズが小型で済む利点が得られる。更に、リングヨーク着脱治具8は、リングヨーク61を保持する前記した着脱補助部材7を具備しているので、リングヨーク61を安全に着脱することができる。
更に本実施例によれば、超電導体2を着磁した後に、強磁性体6であるリングヨーク61を、超電導体2を収容する断熱容器3の外周囲に取付けるので、リングヨーク61は着磁による磁場の影響を受けない。
図6は本発明の実施例4の超電導磁場発生装置1を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様な構成、作用効果を奏する。共通する機能を奏する部位には共通の符号を付する。以下、実施例1と異なる点を中心として説明する。本実施例によれば、図6に示すように、強磁性体6は超電導体2の外周囲に配置されており、リング形状の永久磁石64と、リング形状の永久磁石64に同軸的に隣設するリングヨーク61と、超電導体2の下面側の下ヨーク63とで構成されている。リングヨーク61及び永久磁石64は、超電導体2を収容する断熱容器3の外周側となるように、リングヨーク着脱治具8の着脱補助部材7の鍔部72bに設置されている。
図7は別例を示す。この場合、永久磁石64がない状態で断熱容器3内の超電導体2を着磁する。着磁後に、超電導体2を収容した断熱容器3の先端部にリング形状の永久磁石64を同軸的に嵌める。超電導体2の先端面2fの極性と、永久磁石64の先端面64fの極性とは同極とされている。このように超電導体2の先端面2fの極性と永久磁石64の先端面64fの極性とが同極であれば、超電導体2からの磁場を前方遠くまで飛ばすことができる。
図8は本発明の実施例5の超電導磁場発生装置1を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様な構成、作用効果を奏する。共通する機能を奏する部位には共通の符号を付する。以下、実施例1と異なる点を中心として説明する。本実施例によれば、図8に示すように、リングヨーク着脱治具8Cは冷凍部43の設置部43mに着脱可能である。リングヨーク着脱治具8Cは、互いに並設された案内部としての複数の支柱80と、複数の支柱80を連結する盤状の連結部81,90と、連結部81の下方に配置された支柱80の軸長方向に沿って昇降可能な可動体としての着脱ステージ89と、連結部81に保持され着脱ステージ89の雌ねじ孔89xに螺進退可能に螺合された雄ねじ83aを有する軸状部材83と、軸状部材83を回転操作させることにより着脱ステージ89を昇降可能な駆動部としてのハンドル84とを備えている。着脱ステージ89は、着脱補助部材7の鍔部72bを着脱可能に係合するU字形状の係合孔89tをもつ。また下側の連結部90にも、U字形状の切り欠き部90tが形成されており、リングヨーク着脱治具8Cは、冷凍機43の設置部43mに着脱可能となっている。
図8に示すように、着脱補助部材7の上部の鍔部72bの上面には、強磁性体6であるリングヨーク61が固定されている。そして、着脱補助部材7の鍔部72bをリングヨーク着脱治具8の着脱ステージ89に着脱可能に載置し、着脱補助部材7と着脱ステージ89とを図略のねじで固定する。その後、ハンドル84を回転操作させて軸状部材83を回転させることにより、着脱ステージ89を軸状部材83の軸長方向に沿って移動させて矢印Y2方向に低速で降下させ、着脱ステージ89及び着脱補助部材7と共にリングヨーク61を低速で矢印Y2方向に降下させる。この結果、断熱容器3のうち超電導体2を収容した部分の外周囲に、リングヨーク61を配置させることができる。
なお、断熱容器3のうち超電導体2を収容した部分の外周囲からリングヨーク61を外すときには、ハンドル84を逆方向に回転操作させて軸状部材83を逆方向に回転させることにより、着脱ステージ89をリングヨーク61と共に軸状部材83の軸長方向に沿って移動させて矢印Y1方向に低速で上昇させればよい。
図8に示すように、断熱容器3の下部には冷却装置4が設けられている。冷却装置4は冷凍部43を有する。冷却装置4の下部には、走行車輪48rをもつ昇降部48が設けられている。昇降部48は、超電導体2を収容する断熱容器3を矢印Y1,Y2方向に昇降させるものであり、ジャッキで構成されている。
(適用例)
図9及び図10は、図3に示す実施例3の超電導磁場発生装置1をマグネトロンスパッタリング成膜装置200に組み付けた適用例を示す。図9は超電導磁場発生装置1をスパッタリング成膜装置200に組み付ける前の状態を示す。図10は超電導磁場発生装置1をスパッタリング成膜装置200に取り付けた後の状態を示す。超電導磁場発生装置1は、超電導遷移温度以下で磁場を補足することにより外部に磁場を発する超電導体2と、超電導体2を収容する収容室30をもつ断熱容器3と、超電導体2を冷却する冷凍部43をもつ冷却装置4と、超電導体2から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体6とを有する。
強磁性体6は、リングヨーク61と下ヨーク63とで形成されており、超電導磁場発生装置1に取り付けられている。冷却装置4は断熱容器3の下部に設けられており、冷却装置4の下部に昇降部48が設けられている。昇降部48は、超電導体2を収容する断熱容器3を矢印Y1,Y2方向に昇降させるものであり、ジャッキで構成されている。
図9に示すように、リングヨーク61の内周面61iと超電導体2の外周面2pとの間には、断熱容器3の壁部分が存在するものの、着磁コイル等の他の部材が介在していない。このため、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pに接近させたり、あるいは、リングヨーク61の内周面61iをこれの径方向において超電導体2の外周面2pから離間させたりすることができ、超電導体2に対してリングヨーク61を配置する自由度を高めることができる。
図9に示すように、スパッタリング成膜装置200は、基台202と、基台202の上側に設置され図略のポンプにより減圧状態(例えば10-4〜10-5Torr程度)に維持される成膜室203をもつ減圧チャンバ204と、磁場の作用でターゲット206の表面の近傍にプラズマを集中させるスパッタガンとなる超電導磁場発生装置1を具備する。減圧チャンバ204は、薄膜原料を含むターゲット206を保持するように成膜室203の下部に設けられたターゲットホルダ207と、成膜対象物208を保持するように成膜室203の上部に設けられた成膜対象物ホルダ209とを有する。ターゲット206の下方には挿入空間212が形成されている。
上記した超電導磁場発生装置1をスパッタリング成膜装置200に組み付けるときには、図9に示すように、超電導バルク磁石とされた超電導体2をもつ超電導磁場発生装置1を、減圧チャンバ204の挿入空間212の下方に配置する。次に、超電導磁場発生装置1の昇降部48を上昇作動させて断熱容器3を超電導体2と共に矢印Y1方向に上昇させ、図10に示すように断熱容器3の先端端である端壁35を挿入空間212に挿入し、断熱容器3の端壁35をターゲットホルダ207に接近または接触させる。このようにすれば、超電導体2で形成された超電導バルク磁石の磁気回路67が成膜室203のうちターゲット206の付近に形成される。
成膜時には、先ず、図略の真空排気装置により、成膜室を不純物ガスが残留しないように高真空(例えば10-6Torr台)に排気する。次に、真空排気をしながら図略のガス導入ポートからスパッタガスを導入し、例えば数ミリTorrのスパッタガスの雰囲気にする。この状態で、ターゲット206と成膜対象物208との間に所定の電圧(例えば数KV)を印加する。この場合、一般的には、ターゲット206をマイナスとし、成膜対象物208をプラスとなるように電圧を印加させる。これにより成膜室203内においてプラズマ放電を発生させる。プラズマ中68の電子は磁場によって運動をしながら、スパッタガス分子(一般的にはアルゴンであるが、これに限定されるものではない)をイオン化する。このプラズマ状のスパッタガスイオンは、ターゲット206の表面において集束されるため、加速されてターゲット206の表面に衝突する。これによりターゲット206の表面よりターゲット物質をスパッタさせて、成膜対象物208の表面に堆積させ、大きな成膜速度で薄膜を成膜対象物208に形成することができる。この場合、超電導体2の強磁場によりプラズマ68をターゲット206付近に集中させることができる利点が得られる。このため成膜室203において高真空での放電が可能となり、成膜速度の向上を図ることができ、薄膜中の不純物が低減し、薄膜の成膜品質の向上、生産性の向上を図ることができる。なおターゲット206をマイナスとし、成膜対象物208をプラスとなるように電圧を印加させるとしているが、これに限らず、ターゲット206と成膜対象物208との間に交流電圧を印加することにしても良い。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、例えば、超電導磁場発生装置はスパッタリング成膜装置に限らず、磁気分離装置、磁場プレス機、核磁気共鳴装置、発電機、モータ等の強磁場利用装置にも適用できる等、必要に応じて適宜変更して実施できるものである。
(その他)上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)各請求項において、超電導体の先端面の極性と、超電導体の周囲に配置されている強磁性体の先端面の極性とは、異極であることを特徴とする
超電導磁場発生装置、その励磁方法、超電導磁場発生装置を用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具。超電導体の磁場を径方向に集中させるのに有利となる。
(付記項1)各請求項において、超電導体の先端面の極性と、超電導体の周囲に配置されている強磁性体の先端面の極性とは、同極であることを特徴とする
超電導磁場発生装置、その励磁方法、超電導磁場発生装置を用いたスパッタリング成膜装置、強磁性体着脱治具。超電導体の磁場を超電導体の先端面の前方に放射させるのに有利となり、一つの大きな単磁極からの磁場分布が得られる。
本発明は着磁装置、磁気分離装置、磁場プレス機、核磁気共鳴装置、発電機、モータ、スパッタリング成膜装置等のように強磁場を必要とする強磁場利用分野に利用することができる。
実施例1に係り、超電導体の外周囲に配置されたリングヨークをもつ超電導磁場発生装置の断面図である。 実施例2に係り、超電導体の外周囲に配置されたリングヨークをもつ超電導磁場発生装置の断面図である。 実施例3に係り、超電導体の外周囲に配置されたリングヨークをもつ超電導磁場発生装置の断面図である。 実施例3に係り、超電導磁場発生装置にリングヨークを取り付ける前の状態を示す断面図である。 実施例3に係り、超電導磁場発生装置にリングヨークを取り付けた後の状態を示す断面図である。 実施例4に係り、超電導体の外周囲に配置されたリング状の永久磁石及びリングヨークをもつ超電導磁場発生装置の断面図である。 実施例4の別例に係り、超電導体の外周囲に配置されたリング状の永久磁石及びリングヨークをもつ超電導磁場発生装置の断面図である。 実施例5に係り、リングヨーク着脱治具を用いて超電導磁場発生装置にリングヨークを取り付ける状態を示す斜視図である。 適用例に係り、超電導体の外周囲に配置されたリングヨークをもつ超電導磁場発生装置をマグネトロンスパッタリング成膜装置に組み付ける前の状態を示す断面図である。 適用例に係り、超電導体の外周囲に配置されたリングヨークをもつ超電導磁場発生装置をマグネトロンスパッタリング成膜装置に組み付けた後の状態を示す断面図である。 先行例(本出願時に未公知)に係り、超電導磁場発生装置の断面図である。 上記先行例に係り、リングヨークをもつマグネトロンスパッタリング成膜装置に超電導磁場発生装置を組み付ける前の状態を示す断面図である。 上記先行例に係り、リングヨークをもつマグネトロンスパッタリング成膜装置に超電導磁場発生装置を組み付けた後の状態を示す断面図である。
符号の説明
図中、1は超電導磁場発生装置、2は超電導体、3は断熱容器、30は収容室、4は冷却装置、41はコールドヘッド、43は冷凍部、48は昇降部、6は強磁性体、61はリングヨーク、63は下ヨーク、64は永久磁石、67は磁気回路、7は着脱補助部材、84はハンドル(駆動部)、200はスパッタリング成膜装置、203は成膜室、206はターゲット、207はターゲットホルダ、208は成膜対象物、209は成膜対象物ホルダを示す。

Claims (12)

  1. 超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、
    前記超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、
    前記超電導体を冷却する冷却装置と、
    前記超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
    前記強磁性体は、少なくとも一部が前記超電導体の周囲に配置されており、
    且つ、前記超電導体とその周囲に配置された前記強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成し、
    前記超電導体の周囲の強磁性体は、前記断熱容器の外側において前記断熱容器に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする超電導磁場発生装置。
  2. 請求項1において、前記強磁性体を保持可能な着脱補助部材が設けられており、前記断熱容器の壁をガイドとして前記着脱補助部材を相対移動させることにより、前記着脱補助部材は、前記強磁性体が前記超電導体の周囲に配置されるように前記強磁性体を着脱可能に取り付けることを特徴とする超電導磁場発生装置。
  3. 超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、
    前記超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、
    前記超電導体を冷却する冷却装置と、
    前記超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
    前記強磁性体は、少なくとも一部が前記超電導体の周囲に配置されており、
    且つ、前記超電導体とその周囲に配置された前記強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成し、
    前記超電導体の周囲の強磁性体は、前記断熱容器と一体にされて前記断熱容器の前記収容室の一部を形成し、前記超電導体と直接対向配置されていることを特徴とする超電導磁場発生装置。
  4. 超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、
    前記超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、
    前記超電導体を冷却する冷却装置と、
    前記超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
    前記強磁性体は、前記超電導体の周囲に配置されるリングヨークである周囲の強磁性体と前記超電導体の下面に配置される下ヨークとを有し、
    且つ、前記超電導体とその周囲に配置された前記強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成し、
    前記超電導体の周囲の強磁性体は、前記断熱容器の内部に収容され、前記超電導体と直接対向配置されていることを特徴とする超電導磁場発生装置。
  5. 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記超電導体の周囲の強磁性体は、前記冷却装置により冷却される構造を有することを特徴とする超電導磁場発生装置。
  6. 請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項において、前記超電導体は、溶融凝固法により作製されており、その主成分がRE−Ba−Cu−O(REはY,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Er,Yb,Dy,Hoのうちの1種以上)で表されることを特徴とする超電導磁場発生装置。
  7. 請求項6において、前記超電導体は、Ag,Au,Pt,Rh,Ceのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする超電導磁場発生装置。
  8. 請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項において、強磁場利用装置に着脱可能に組み付けられることを特徴とする超電導磁場発生装置。
  9. 超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、
    前記超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、
    前記超電導体を冷却する冷却装置と、
    前記超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
    前記強磁性体は、少なくとも一部が前記超電導体の周囲に配置されており、
    且つ、前記超電導体とその周囲に配置された前記強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成している超電導磁場発生装置の前記超電導体を励磁する方法であって、
    前記超電導体の周囲の強磁性体を前記超電導体から外した状態において前記超電導体を着磁した後、前記周囲の強磁性体を前記超電導体の周囲に取付けることを特徴とする超電導磁場発生装置の励磁方法。
  10. 超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、
    前記超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、
    前記超電導体を冷却する冷却装置と、
    前記超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
    前記強磁性体は、前記超電導体の周囲に配置されるリングヨークである周囲の強磁性体と前記超電導体の下面に配置される下ヨークとを有し、
    且つ、前記超電導体とその周囲に配置された前記強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成している超電導磁場発生装置の前記超電導体を励磁する方法であって、
    前記超電導体の周囲の強磁性体を前記超電導体の周囲に直接対向させて配置したまま前記周囲の強磁性体と共に前記超電導体を着磁することを特徴とする超電導磁場発生装置の励磁方法。
  11. 薄膜原料を含むターゲットを保持するターゲットホルダと成膜対象物を保持する成膜対象物ホルダとを有する減圧チャンバと、
    前記ターゲットの表面の近傍にプラズマを集中させる磁場を発生させるスパッタガンとを具備しており、
    前記ターゲットから放出される薄膜原料を前記成膜対象物の表面に被着させて前記成膜対象物に薄膜を形成するスパッタリング装置において、
    前記スパッタガンは、請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項からなる超電導磁場発生装置を有することを特徴とするスパッタリング成膜装置。
  12. 超電導遷移温度以下で外部に磁場を発する超電導体と、
    前記超電導体を収容する収容室をもつ断熱容器と、
    前記超電導体を冷却する冷却装置と、
    前記超電導体から発せられる磁場の分布形状を補正する強磁性体とを具備し、
    前記強磁性体は、少なくとも一部が前記超電導体の周囲に配置されており、
    且つ、前記超電導体とその周囲に配置された前記強磁性体の部分とが面する空間に、磁場分布が形成されるように磁気回路を構成している超電導磁場発生装置の前記断熱容器に前記強磁性体の少なくとも一部を着脱可能に取り付けるための強磁性体着脱治具であって、
    案内部と、前記案内部に沿って移動することにより前記超電導磁場発生装置の前記断熱容器に対して接近または離間可能な可動体と、前記断熱容器に対して接近または離間する方向に前記可動体を前記案内部に沿って移動させる駆動部とで構成されており、
    前記可動体は、前記強磁性体の少なくとも一部を着脱可能に保持可能であり、前記断熱容器への前記可動体の接近に伴い前記強磁性体を前記超電導体の周囲に配置させると共に、前記断熱容器からの前記可動体の離間に伴い前記強磁性体を前記超電導体の周囲から離脱させることを特徴とする強磁性体着脱治具。
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