JP2002146529A - マグネトロンスパッタリング装置およびマグネトロンスパッタリングによる薄膜形成方法 - Google Patents

マグネトロンスパッタリング装置およびマグネトロンスパッタリングによる薄膜形成方法

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JP2002146529A
JP2002146529A JP2000338503A JP2000338503A JP2002146529A JP 2002146529 A JP2002146529 A JP 2002146529A JP 2000338503 A JP2000338503 A JP 2000338503A JP 2000338503 A JP2000338503 A JP 2000338503A JP 2002146529 A JP2002146529 A JP 2002146529A
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magnetron sputtering
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magnetic poles
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JP2000338503A
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Tetsuo Oka
徹雄 岡
Yoshitaka Ito
佳孝 伊藤
Yosuke Yanagi
陽介 柳
Masaaki Yoshikawa
雅章 吉川
Uichiro Mizutani
宇一郎 水谷
Hiroshi Ikuta
博志 生田
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜速度が大きく、また、特性に優れた薄膜
を形成することのできるマグネトロンスパッタリング装
置およびマグネトロンスパッタリングによる薄膜形成方
法を提供する。 【解決手段】 マグネトロンスパッタリング装置および
マグネトロンスパッタリングによる薄膜形成方法を、磁
極11にバルク超伝導体を着磁して得られる超伝導磁極
を用い、2つの磁極11を離間対向して配置し、その磁
極間に、それぞれの磁極11の有する磁力の相互作用に
よる強い磁場を作り出し、この磁場中に薄膜原料を含む
ターゲット20を存置させてスパッタリングを行うよう
に構成する。強くかつ広い分布を有する磁場を形成する
ことが容易で、その磁場の中にターゲットを置くこと
で、スパッタリングに適したプラズマをターゲットの表
面に効果的に集中させることがでる。その結果、成膜速
度が大きく、また、特性に優れた薄膜を形成することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネトロンスパ
ッタリングにより薄膜を形成するための装置、および、
マグネトロンスパッタリングにより薄膜を形成する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネトロンスパッタリングによる薄膜
形成方法は、薄膜原料を含んでなるターゲットを磁場中
に配置し、その磁場の作用でターゲット表面にプラズマ
を集中させてスパッタリングを行い、放出される薄膜原
料を基材表面に被着させて薄膜を形成する方法である。
各種分野の薄膜製造に用いられ、特に、電子機器の表示
画面等に使われる液晶の透明導電膜、例えば、インジウ
ム錫酸化物(ITO)の薄膜の形成等に好んで用いられ
ている。
【0003】マグネトロンスパッタリングによる薄膜形
成方法における上記磁場の形成については、例えば、特
開平4−116159号公報に示すように、板状のター
ゲットの背面に近接して永久磁石を配設し、この磁石に
よってターゲット表面に平行な磁場を形成するのが一般
的である。
【0004】マグネトロンスパッタリングによる薄膜形
成方法の特徴はその成膜速度の速さにある。ターゲット
上に形成された磁場が強いほど、ターゲット表面近傍に
高密度にプラズマが集中し、より多くの薄膜原料を放出
することが可能となり、成膜速度が向上するというメリ
ットがある。
【0005】しかし、上記従来の方法によれば、ターゲ
ットを通過してその表面まで漏れてくる磁場は弱く、マ
グネトロンとして有効に使うためにはターゲットの厚さ
を薄くする必要があった。特に磁性体原料からなるター
ゲットの場合は、磁場がシールドされるために表面に漏
れ出る磁場が極端に少なくなり、マグネトロンの効果は
得られにくく、極力薄くして磁場を通りやすくする必要
があった。
【0006】また、磁場を強くするメリットは、成膜速
度の向上以外に、その薄膜の自体の特性が向上すること
にもある。例えば、ITOなどの透明導電膜の成膜に利
用する場合、基板へのプラズマダメージを軽減できるこ
とから、その薄膜の電気抵抗率を下げ光透過率を上げる
といった膜質の向上が期待できる。また、マグネトロン
スパッタリングはアルゴンガス等のスパッタリングガス
雰囲気で行われることから、高密度にプラズマが集中す
る場合には、スパッタリングガス濃度を低くつまり低圧
下でのスパッタリングが可能となり、成膜過程での薄膜
内へのスパッタリングガスの混入を抑制することがで
き、この点からもさらなる膜質の向上が期待できる。
【0007】ターゲット表面に形成される磁場を強くす
るための技術として、例えば、特開平2−22468号
公報、特開平5−93269号公報等に示すように、タ
ーゲットの背面に近接して配設される永久磁石の磁極の
周囲にY−Ba−Cu−O系高温超伝導体を配置し、こ
の超伝導体のマイスナー効果により磁場を遮蔽して集中
させ、ターゲット表面に形成される磁場の強化をねらっ
た技術が検討された。
【0008】ところが、ギャップのない磁路中で永久磁
石が発生する磁場は最大1T(テスラ)である。永久磁
石を使う限り、マグネトロンのようにターゲット表面の
広い空間を通る磁場の最大値は、ターゲット表面に垂直
な方向で0.4T、プラズマの集中に有効である平行方
向では2T以下であると考えられる。上記技術のように
超伝導体で永久磁石を被覆し、磁場を強化しようとして
も、永久磁石の磁場は小さいため、磁場を絞れば磁場放
射の開口面積が小さくなってしまう。このため、広い空
間に強い磁場を得ることができない。また、なによりも
ターゲット背面に磁極が配設されているため、そのター
ゲットを介して表面にまで漏れ出る磁力によってターゲ
ット表面に磁場の形成しなければならず、磁場の形成に
おけるターゲットの影響は大きく、その点でも画期的な
磁場の強化は為し得ていない。
【0009】また、別の観点から磁場の強化を図る技術
として、例えば、特開平10−72667号公報に示す
ように、超伝導体を磁気遮蔽ではなく、それそのものを
永久磁石として利用するマグネトロンガンが提案されて
いる。バルク超伝導体を着磁して磁石として用いること
で、永久磁石では達成できない強磁場が得られ、これを
マグネトロンに応用することによってターゲット表面で
の磁場強化をねらい、成膜速度を上げることによるの生
産性の向上や、低ガス圧中での放電により、例えばIT
O薄膜の形成においては、高導電率、高い光透過率を達
成することに成功している。
【0010】この技術では、後に詳しく説明する図13
に模式的に示すように、ターゲットの背面に磁極が近接
するようにバルク超伝導体を着磁した磁石を配置し、さ
らにこの磁極の周囲にその磁極を中心とした環状のヨー
クを配置し、そのバルク超伝導体磁石とヨークとで磁気
回路を形成し、ターゲット表面にプラズマを集中させる
磁場を形成している。
【0011】超伝導磁極の場合、磁極表面からその磁極
の軸方向に5mmの位置での磁束密度の絶対値は、実測
で1.4Tを超える更に強磁場が得られている。このよ
うにバルク超伝導体による磁場は強すぎるため、上記技
術の場合、対極となるヨークに吸収される磁力線は飽和
してしまう。その結果、ヨークに吸収されるよりもター
ゲット上方に発散する磁力線が多いことがわかった。し
たがって、この技術ではターゲット表面近傍において、
ターゲット面に平行な方向の磁場の領域が小さく、ま
た、上方向に発散する磁力線に沿って、折角集中したプ
ラズマがターゲット表面から離れる方向に漏れ出すとい
う欠点を有していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記従来
技術に関する検討を始めとするマグネトロンスパッタリ
ング装置についての研究、実験を重ねた結果、マグネト
ロンスパッタリング装置において、ターゲット表面に効
果的にプラズマを集中させ得る磁場は、強い磁場であ
り、また、ターゲット表面に略平行な磁場領域が広い磁
場であると考えた。そして本発明者は、従来の技術が磁
場を発生させる磁極をターゲットの背面側にのみ配設し
ている点に着目し、従来技術と異なる着想の下、ターゲ
ット表面において強い磁場を広い領域で形成させ得ると
の知見を得た。
【0013】本発明は、この知見に基づくものであり、
磁場を形成する磁極に強力な磁場を得ることができる超
伝導磁石を用いた上で、その磁石とターゲットとの位置
関係を適正化することにより、強くまた広い領域の磁場
をターゲット表面に形成してプラズマ集中を効果的に行
うことで、成膜速度が大きく、また、特性に優れた薄膜
を形成することのできるマグネトロンスパッタリング装
置およびマグネトロンスパッタリングによる薄膜形成方
法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】(1)本発明のマグネト
ロンスパッタリング装置は、薄膜原料を含んでなるター
ゲットを磁場中に配置し、その磁場の作用でターゲット
表面にプラズマを集中させてスパッタリングを行い、放
出される薄膜原料を基材表面に被着させて薄膜を形成す
るマグネトロンスパッタリング装置であって、ターゲッ
トを挟んでそれぞれ配設され対向する2つの磁極を有
し、その磁極の少なくとも1つはバルク超伝導体を着磁
して得られる超伝導磁極であることを特徴とする(請求
項1に対応)。
【0015】つまり、本発明のマグネトロンスパッタリ
ング装置は、強い磁力を得ることができる磁極として後
に詳しく説明する超伝導磁極を採用し、超伝導磁極どう
しあるいは超伝導磁極と通常の磁石の磁極とからなる2
つの磁極を離間対向して配置し、それらの磁極間に、そ
れぞれの磁極の有する磁力の相互作用による強い磁場を
作り出し、この磁場中に薄膜原料を含むターゲットを存
置させてスパッタリングを行うマグネトロンスパッタリ
ング装置である。従来は、ターゲットの背面側にのみ磁
極を配していたが、本装置では、ターゲットの両側に磁
極を配置しているところで大きく相違する装置となって
いる。
【0016】ターゲットを挟んで配設される2つの磁極
の極性の異同、磁力の強さ、間隔等の条件を変更するこ
とにより、種々の磁場を形成することができる。また、
ターゲットが配置される位置、向き、ターゲットの数量
等の条件も種々設定できる。これらの条件の組み合わせ
により、ターゲット表面に形成される磁場をコントロー
ルし、容易に、プラズマ集中に好適な強さおよび領域を
有する磁場とすることができる。また、磁場のコントロ
ールが容易に行えることから、装置の目的および用途に
応じた柔軟性の高い装置となる。対向する2つの磁極
は、2つの磁石を配置することによるものでもよく、ま
た、1つの磁石のそれぞれの磁極であってもよい。
【0017】(2)本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置では、磁場を形成する磁極の少なくとも1つはバ
ルク超伝導体を着磁して得られる超伝導磁極を用いる。
より強力な磁場を形成するという観点からすれば、2つ
の磁極とも超伝導磁極であることが望ましい。一方の磁
極にのみ超伝導磁極を用いる場合、他方の磁極は有効な
磁場を形成できるものである限り、どのような磁石の磁
極であってもよく、例えば、永久磁石、電磁石のいずれ
でものであっても構わない。一方の磁極にのみ超伝導磁
極を用いる態様では、磁場形成において、その超伝導磁
極が強磁力発生源たる磁極として機能し、他方の磁極は
超伝導磁極が発生する磁力をサポートあるいはアジャス
トするための磁極として機能することになる。
【0018】本発明者が所定の条件で行った実験によれ
ば、ターゲット表面の磁場の強さと基材表面に形成され
る薄膜の成膜速度との関係は、図1のようになる。図1
は、磁場の強さを変化させた場合の、NiCo薄膜およ
びITO薄膜の成膜速度を示している。いずれの薄膜
も、ターゲット表面の磁場の強さを上げることによっ
て、その成膜速度が向上する。従来から一般的に用いら
れてきた永久磁石では、ターゲット表面におけるその表
面に平行な磁場の強さは0.17T程度が限界となって
いる。これに対し、超伝導磁石によれば、さらに強い磁
場を形成できることになる。この点を考慮して、上述の
ように、本発明のマグネトロンスパッタリング装置で
は、超伝導磁極を採用している。
【0019】超伝導磁極は、バルク超伝導体を着磁して
得られるものであり、そのバルク超伝導体は、その種類
を特に限定するものでなく、強い磁場を形成できる磁石
となるものである限り、既に公知の種々のものを用いる
ことができる。本装置においては、バルク超伝導体は、
RE−Ba−Cu−O系(REはY、Sm、Nd、Y
b、La、Gd、Eu、Erのうちから選ばれる1種以
上)の物質であって、組成式REBa2Cu3y(6≦
y<7)で表されるマトリクス中に組成式RE2BaC
uO5で表される粒子および組成式RE4Ba2Cu210
で表される粒子の少なくともいずれか1種の粒子が微細
に分散した組織を有する擬似単結晶または粗大結晶の集
合体であることが望ましい(請求項12に対応)。マト
リクスを形成するREBa2Cu3yは、磁場をかける
ことで、1Tを超える磁束密度の磁極を得られる起磁体
となる。マトリクス中に微細に分散するRE2BaCu
5およびRE4Ba2Cu210は、ピン止め効果による
磁場の捕捉を充分に確保するように機能する。
【0020】上記バルク超伝導体は、銀および白金の少
なくとも一方を含むことが望ましい。銀および白金は、
バルク超伝導体の機械的強度の向上、分散粒子の微細化
という機能を果たす。この場合、バルク超伝導体中の銀
の含有量は、50重量%以下とするのが好ましく、ま
た、白金の含有量は、5重量%以下とすることが好まし
い。この好適範囲を超えて銀を多く含有する場合は、そ
の好適範囲のものと比べて、臨界電流密度の低下による
磁力の低下をもたらし、また、白金を多く含有する場合
は、著しいコスト高となる。なお、上記バルク超伝導体
は、疑似単結晶または粗大結晶のものを得るために、溶
融法によって合成することが望ましい。
【0021】組成、結晶構造等を調整した上記バルク超
伝導体は、バルク表面で最大10Tの磁場を捕捉して疑
似永久磁石のように振る舞うことで、本発明のマグネト
ロンスパッタリング装置の磁極を構成するための起磁体
として極めて好適である。なお、バルク超伝導体は、よ
り強い磁力を得るために、結晶のc軸がその着磁されて
磁石となった場合の軸方向に略配向したものであること
が望ましい。
【0022】バルク超伝導体は、超伝導遷移温度以下に
冷却して着磁させる。上記バルク超伝導体の場合、超伝
導遷移温度は約90Kである。冷却には、この遷移温度
を下回る温度にまで安定して冷却できる手段を用いるこ
とが望ましい。具体的には、、液体窒素、液体水素、液
体ヘリウム、液体アルゴン、窒素ガス、水素ガス、ヘリ
ウムガスを冷媒として、これらをバルク超伝導体の収納
された容器内に導入してバルク超伝導体を冷却する構成
の手段を採用することができる。あるいは、スターリン
グサイクル冷凍機、ソルベーサイクル冷凍機、パルス管
冷凍機、GMサイクル冷凍機の1種あるいはこれらの組
み合わせによって構成される冷凍機の冷凍部分にバルク
超伝導体を直接あるいは軟磁性ヨークあるいは伝熱体を
介して接触させることによって、そのバルク超伝導体を
冷却する構成の手段を採用することもできる。さらに、
冷凍手段としてスターリングサイクル冷凍機、ソルベー
サイクル冷凍機、パルス管冷凍機、GMサイクル冷凍機
の1種あるいはこれらの組み合わせによって構成される
冷凍機の冷凍部分によって冷却された液体窒素、液体水
素、液体ヘリウム、液体アルゴン、窒素ガス、水素ガ
ス、ヘリウムガスを冷媒として、これらをバルク超伝導
体の収納された容器内に導入してバルク超伝導体を冷却
する構成とすることもできる。これらの方法によって、
液体ヘリウムによって得られる4.2Kから超伝導遷移
温度までの温度領域で安定した温度環境をバルク超伝導
体に与えることができる。
【0023】バルク超伝導体を励磁して擬似永久磁石と
するための手段は、特に限定するものでなく、静磁場あ
るいはパルス磁場によって着磁する手段を採用すればよ
い。静磁場を用いて着磁する方法には、バルク超伝導体
を静磁場中に存置した状態で冷却して励磁する磁場中冷
却法と、冷却のあとに準静的に磁場を与えて励磁するゼ
ロ磁場冷却法があり、いずれの方法を実施できる手段で
あってもよい。これらの手段では、最大10T程度の超
伝導磁石を必要とし、設備が大型化することが難点であ
る。
【0024】これに対し、パルス着磁法は、小型の着磁
コイルにパルス電流を流し、最大10T程度の磁場を瞬
時に発生して励磁するため、この方法による手段を採用
する場合、装置に組み込まれたバルク超伝導体を励磁す
るときには、マグネトロンスパッタリング装置が小型安
価になるメリットがある。具体的には、バルク超伝導体
周囲に、その中心軸を同じとしてソレノイド状の着磁コ
イルを近接して配し、このコイルにパルス電流を流すこ
とによって生じるパルス磁場で該バルク超伝導体を着磁
するという手段を採用することができる。
【0025】(3)本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置は、ターゲット挟んで対向して配設される2つの
磁極の極性の異同と、配置されるターゲットの位置およ
び数量との組み合わせ等によって種々の態様の装置が存
在する。以下に、それらの代表的な態様について、両磁
極が超伝導磁極である場合を例示した概念図を用いて説
明する。
【0026】(A)2つの磁極が同極に帯磁している場
合 本発明のマグネトロンスパッタリング装置では、2つの
磁極が同極に帯磁している態様で実施することができる
(請求項2に対応)。2つに磁極が同極に帯磁している
場合は、この2つの磁極によって、図2(a)に示すよ
うな磁場が形成される。磁極11から発生する磁場は対
向する磁極11からの磁場によって磁力線の発散が抑え
られ、両極を結ぶ線に交叉する方向に向きを変える。同
じ強さの磁極を対向させた場合にはその磁極間の中間点
では全ての磁力線が両極を結ぶ線に略直角になる。
【0027】そこで、本発明のマグネトロンスパッタリ
ング装置では、ターゲットをその表面が2つの磁極を結
ぶ線に略直角なるように配置して実施することができる
(請求項3に対応)。図2(b)に示すように、両磁極
11間に、両極を結ぶ線に直角にターゲット20を配置
した場合、両磁極11の間の磁場空間でのターゲットに
平行な方向の磁場強度は著しく増加する。例えば、磁極
を上記バルク超伝導体磁石のものとする場合、測定され
た磁場強度は6Tを超えるものとなる。
【0028】このように磁極を対向して配置することに
よって、各磁極からの磁場強度は単に加算されるより遙
かに強化されて、その範囲が広がる。互いの磁場が影響
しあうことによって初めて、マグネトロンスパッタリン
グに極めて有効な磁場分布を得ることができるのであ
り、従来技術のようにターゲットの片側にのみ磁極を配
設する場合の磁場とは、比類できないほどの効果的な磁
場となる。この磁場分布により、ターゲット近傍へのプ
ラズマの集中が強くなり、成膜速度の著しい向上が達成
され、また、プラズマダメージが軽減されることで、優
れた膜質の薄膜を得ることができる。さらに、プラズマ
の集中は、より低ガス圧でのスパッタリングを可能に
し、膜へのスパッタリングガスの混入を減少させること
ができ、その点でも形成された成膜はその膜質の良好な
ものとなる。さらにまた、強磁場の範囲が広がることに
よりターゲットの利用可能な表面積が増加するため、タ
ーゲットの有効利用率が向上する。
【0029】また、本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置では、ターゲットは、それぞれの磁極に近接して
2つ配置され、その表面が互いに対向するような態様で
実施することができる(請求項4に対応)。マグネトロ
ンスパッタリングによる薄膜形成では、スパッタリング
による作用でターゲットが高温に晒されるため、ターゲ
ットを冷却する必要がある。図2(c)に示すような本
態様の場合、それぞれの磁極11に近接してターゲット
20を2つ配置していることから、対向する表面のみに
プラズマを集中させることができ、背面に冷却手段を効
果的に設けることができるため、装置の構造を簡略化で
きる。また、2つのターゲットに分散してプラズマが集
中するため、ターゲットの浸食による消耗が遅く、長時
間の成膜が可能になる。
【0030】さらに、本発明のマグネトロンスパッタリ
ング装置では、2つの磁極の少なくとも一方の磁極に対
して、その磁極との間で磁気回路を形成するヨークが併
設されている態様で実施することができる(請求項5に
対応)。図2(a)〜(c)に示すように、磁極から発
生する磁場は対向する磁極からの磁場によって磁力線の
発散が抑えられ、両極を結ぶ線に交叉する方向に向きを
変える。このため、ターゲット表面に集中しようとする
プラズマは、向きを変えた磁力線の方向に少なからず漏
れる傾向にある。図2(d)に示すように、ヨーク13
を併設した本態様の場合は、磁極11から延び出る磁力
線の少なくとも一部がこのヨーク13に吸収され、より
狭い範囲に磁場を閉じこめることができ、この結果、タ
ーゲット20の表面でプラズマをより高密度に集中でき
る。また外へのプラズマの漏れが少なく、近接して配置
した基板に対してもプラズマダメージが少ないというメ
リットもある。
【0031】ヨークは、軟磁性体で形成することができ
る。併設するヨークの数、形状、大きさ等は、形成しよ
うとする磁場に応じて適切なものとすればよい。また、
磁極の背面とヨークの背面とを連結することにより、磁
極背面においても確実な磁気回路を形成することがで
き、漏れ出る磁極による装置への影響を小さくすること
もできる。例えば、上記バルク超伝導体磁石を用いる場
合、その断熱のためバルク超伝導体を真空容器内部に配
設する。このような場合、ヨークはバルク超伝導体と一
緒に真空容器内部に配設してもよく、真空容器外部にバ
ルク超伝導体とは別に配置しても良い。ターゲットが小
径の場合に真空容器内部にヨークを配置すると効果的で
ある。
【0032】ヨークは、そのヨークとの間で磁気回路を
形成する磁極を中心にして環状にすることもできる(請
求項6に対応)。つまり、磁極を結ぶ線に略直角にター
ゲットを配置する場合にあっては、そのターゲットの中
央部に近接して磁極が配設され、ターゲット周辺部に近
接して環状のヨークが配設されている態様である。この
態様の場合、ターゲット表面の広範囲の部分にプラズマ
集中させることができ、ターゲットの利用率が高まる。
また、ターゲットが広範囲に浸食消耗することでターゲ
ットの寿命を比較的長くすることが可能となる。
【0033】環状のヨークは、連続したものでなくて
も、小さなヨークが磁極の周りに環状に配設されている
態様であってもよい。また、環状とは、円環状に限らず
多角形等の環状をも含むことを意味し、さらに、磁極の
中心と環の中心とが一致する態様に限定するものでもな
い。
【0034】また、本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置では、2つの磁極の少なくとも一方の磁極に対し
て、その磁極と異極に帯磁しその磁極との間で磁気回路
を形成する補助磁極が併設されている態様で実施するこ
とができる(請求項7に対応)。つまり、図2(e)に
示すように、上記ヨークに代えて、異極に帯磁する補助
磁極16を併設する態様である。軟磁性ヨークよりも磁
場の吸収が強力にできるため、プラズマをより狭い範囲
に閉じこめて集中させることができる。
【0035】補助磁極は、通常の永久磁石、電磁石等の
他、上述したバルク超伝導体磁石をも用いることができ
る。磁極の種類、磁極の強さ等、あるいは、形成させる
磁場に応じて、補助磁極の種類、強さ等を決定すればよ
い。また、補助磁極の数は、磁極を挟んであるいは磁極
の周りに複数は位置するものであってもよく、磁極1つ
に対して補助磁極1つという態様であってもよい。な
お、磁極と補助磁極とをその背面でヨークで連結する態
様とすることもでき、このような態様の場合は、より確
実な磁気回路が形成され、ターゲット表面においてより
効果的な磁場の形成が可能となる。
【0036】同じ磁力の磁極と補助磁極とを1つずつ併
設する場合、いずれが磁極であっていずれが補助磁極で
あるかの区別がつかなくなるが、このような態様を排除
するものではない。かかる態様の場合であって、その背
面をヨークで繋ぐ態様の場合は、かなり狭い範囲にプラ
ズマを閉じこめることが可能な磁場を形成することがで
き、小型のターゲットを用いるのに適したマグネトロン
スパッタリング装置を構成できる。
【0037】(B)2つの磁極が異極に帯磁している場
合 本発明のマグネトロンスパッタリング装置では、2つの
磁極は、一方の磁極が他方の磁極に対して異極に帯磁し
ている態様で実施することができる(請求項8に対
応)。2つの磁極が異極に帯磁している場合、一方の磁
極から発生する磁場は対向する磁極からの磁場によって
磁力線の発散が抑えられ、それぞれの磁極を結ぶ方向の
磁場強度を増加させる。この強度増加を利用すること
で、ターゲット表面における高密度のプラズマの集中が
可能となり、上記同極に帯磁させた場合と同様、成膜速
度の向上、膜質の向上を図ることができる。
【0038】両磁極による磁場の形状、つまり磁力線の
形状は、図3(a)に示すように、磁極11を結ぶ線の
方向に磁力が流れる磁場を形成する。バルク超伝導体磁
石等の場合、強く着磁すると磁極の中央表面部が極めて
強いという磁力分布を有することになり、この場合、図
3(b)に示すように、磁極11から延び出た磁力線は
広がろうとする傾向を示し、これによって、2つの磁極
11による磁場には両磁極を結ぶ線に交叉する方向への
強い磁場成分も存在し得ることになる。このような磁場
の特性を考慮した上で、その磁場中の適切な位置にター
ゲットを配置すればよい。
【0039】本発明のマグネトロンスパッタリング装置
は、ターゲットをその表面が2つの磁極を結ぶ線と略平
行になるように配置する態様で実施することができる
(請求項9に対応)。この態様は、図3(c)に示すよ
うに、2つの磁極11を結ぶ線の方向に強い磁場が形成
されている空間にターゲット20を配置するものであ
る。また、本発明のマグネトロンスパッタリング装置
は、ターゲットをその表面が2つの磁極を結ぶ線に略直
角なるように配置する態様で実施することもできる(請
求項10に対応)。この態様は、図3(d)に示すよう
に、2つの磁極11を結ぶ線に交叉する方向に強い磁場
が形成されている空間にターゲット20を配置するもの
である。磁場の特性を考慮してターゲットを配置するこ
とにより、上述した、成膜速度の向上、膜質の向上効果
が得られることになる。
【0040】また、ターゲットをその表面が2つの磁極
を結ぶ線に略直角なるように配置する場合、ターゲット
を、それぞれの磁極に近接して2つ配置し、その表面が
互いに対向するように配置する態様で実施することがで
きる(請求項11に対応)。図3(e)に示す本態様の
場合、2つの磁極11を同極に帯磁させるときと同様、
それぞれの磁極11に近接してターゲット20を2つ配
置していることから、対向する表面のみにプラズマを集
中させることができ、背面に冷却手段を効果的に設ける
ことができるため、装置の構造を簡略化できるというメ
リットがある。また、2つのターゲット20に分散して
プラズマが集中するため、ターゲットの浸食による消耗
が遅く、長時間の成膜が可能になる。
【0041】(4)マグネトロンスパッタリングによる
薄膜形成は、ターゲットの消耗を伴う。磁場中のターゲ
ットは、その表面のプラズマ集中する部分が浸食するよ
うに消耗する。一般的に、ターゲットは、磁場の形成に
影響を与えないという理由から、比較的薄い板状のもの
が用いられる。したがって、上記いずれの態様で実施し
ても、大なり小なりターゲットの部分的消耗は避けられ
ない。ターゲットの部分的消耗は、ターゲットの利用率
を下げるばかりでなく、そのターゲットの寿命を短くす
ることから、1つのターゲットによる成膜時間が短くな
り、頻繁なターゲット交換を余儀なくさせられる。
【0042】そこで本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置では、磁極とターゲットとを相対移動させる相対
移動デバイスを備えて構成することもできる(請求項1
3に対応)。ターゲット表面に形成される磁場が一定の
状態を保ちつつ、ターゲット表面の略全体をその磁場が
あたかも走査するように、ターゲットおよび磁極の少な
くとも一方を移動させる態様とする場合には、ターゲッ
トの利用率が向上し、また、より大面積のターゲットの
利用が可能で、頻繁な取り替えなしに継続的な薄膜形成
を行うことができる。ターゲット材料のロスおよび作業
ロスの軽減、ひいては、成膜コストの低減を図ることが
できる。具体的には、例えば、板状のターゲットを使用
する場合、その板表面方向にターゲットと磁極とが相対
移動するよう行えばよい。
【0043】なお、本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置では、磁極とターゲットとの相対移動の方向は、
上述したターゲット表面を磁場が走査するような方向に
限定するものではない。ターゲットの利用率の向上等を
目的とする以外に、例えば、磁場の微妙な変化への対
応、形成される磁場の強度の変更等を目的とする場合に
は、そのその相対移動の方向は、目的に応じた任意の方
向に選択することが可能である。また、相対移動は、連
続するものであってもよく、一定の期間的間隔を置いて
一定距離だけ寸動を繰り返すようなものであってもよ
い。さらに、時間的にも移動距離的にも任意に行い得る
ものであってもよい。なお、相対移動には、磁極を固定
しターゲットを移動させる態様、ターゲットを固定し磁
極を移動させる態様、磁極およびターゲットの両者を移
動させる態様が含まれる。
【0044】また、例えば、ターゲットを一定の断面を
もつ棒状に形成し、その端面においてプラズマを集中さ
せ、ターゲットの消耗に応じる量だけそのターゲットの
軸方向に移動させて、ターゲットのその端面の磁場が一
定になるように相対移動させることもできる。つまり、
別のものに置換えて表現すれば、あたかもアーク溶接の
溶接棒(消耗電極)のような動きである。本発明のマグ
ネトロンスパッタリング装置においては、このようなタ
ーゲットおよび磁極の移動を相対移動の概念から排除す
るものではない。
【0045】(5)以上、本発明のマグネトロンスパッ
タリング装置について説明したが、本発明は、上記装置
として把握される他、薄膜形成方法として把握すること
も可能である。すなわち、本発明は、薄膜原料を含んで
なるターゲットを該ターゲットを挟んで配設される磁極
によって生じる磁場中に配置し、その磁場の作用でター
ゲット表面にプラズマを集中させてスパッタリングを行
い、放出される薄膜原料を基材表面に被着させて薄膜を
形成することを特徴とするマグネトロンスパッタリング
よる薄膜形成方法(請求項14に対応)とすることもで
きる。
【0046】この薄膜形成方法によれば、成膜速度が大
きく、また、特性に優れた薄膜を形成することができ
る。なお、本発明の薄膜形成方法は、上記装置における
各請求項に対応する特徴部を始めとし、上記装置の説明
において説明したすべての特徴部を任意に取り入れた態
様で実施することが可能である。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態につい
て、そのいくつかを例示し、それぞれを図面を用いて詳
しく説明する。
【0048】〈第1実施形態〉本実施形態のマグネトロ
ンスパッタリング装置は、磁極にバルク超伝導体を用
い、ターゲットを挟んで対向する2つの磁極を同極に帯
磁させた態様のマグネトロンスパッタリング装置であ
る。図4に、本装置を模式的に示す。本マグネトロンス
パッタリング装置は、バルク超伝導体10をその内部に
含み対向するマグネトロンガン部1と、それぞれのマグ
ネトロンガン部1の先端に位置しそれぞれターゲット2
0を支持する2つのターゲット部2と、ターゲット部2
から離隔して配置され薄膜が形成される基材30を保持
する基材部3とを、主要構成部分として含んで構成され
る。
【0049】それぞれのマグネトロンガン部1は、バル
ク超伝導体10が、冷却時にバルク超伝導体10からの
熱を伝達する伝熱体12に、軟磁性体からなるヨーク1
3を介して保持されており、これらがガン容器14に収
納されている。ターゲット部2に近接するバルク超伝導
体10の先端部が、本装置における磁極11となる。さ
らにマグネトロンガン部1の後部には、冷凍機6の冷凍
機本体60が配設されており、伝熱体12に冷凍機6の
冷凍体61が接設し、冷凍機本体60は連結管62で圧
縮機63に繋がっている。なお、圧縮機63は2つ設置
されているが、1つの圧縮機で2つの冷凍機を駆動する
ように構成することも可能である。
【0050】ちなみに、バルク超伝導体10は、溶融法
で合成したSm−Ba−Cu−O系のもので、SmBa
2Cu36.9で表されるマトリクス中にSm2BaCuO
5で表される粒子が微細に分散した組織をもつ擬似単結
晶合体であり、銀および白金をそれぞれ15重量%、
0.5重量%含み、結晶のc軸がその軸方向にほぼ配向
した構造をもつものを用いている。
【0051】ターゲット部2は、薄膜材料を含む板状の
ターゲット20と、それを保持しかつ冷却するための冷
却支持体21とからなり、冷却支持体21の内部にはタ
ーゲット20の冷却を目的とした冷却水が冷却水導入口
22を通して循環するような構造となっている。なお、
冷却水を循環させるポンプ、配管等は、本図においては
省略してある。さらに冷却支持体21には、ターゲット
20に与える高周波電力あるいは直流電力のための電源
40が電源線41を介して繋がれ、この電力によりター
ゲット20は、それぞれプラズマ放電における陽極と陰
極とになる。
【0052】冷却支持体21はその背面がガン容器14
に固着されており、この結果、ターゲット20は、磁極
11に近接して配置されるようになっている。また、マ
グネトロンガン部1およびターゲット部2は対向して1
対配設されており、したがって、本装置は、両磁極11
を結ぶ線に略直角にターゲット20の表面が配置される
態様となる。
【0053】マグネトロンガン部1のガン容器14に
は、配管42が挿設され、この配管42は真空ポンプシ
ステム43に繋っている。真空ポンプシステム43はタ
ーボ分子ポンプ、油拡散ポンプ、油回転ポンプなどの真
空ポンプを組み合わせて構成することができ、ガン容器
14の内部を真空に保つことで、バルク超伝導体10を
断熱状態に保っている。
【0054】バルク超伝導体の冷却は、本図のように、
冷凍体61に固体伝熱で接触させて冷却しても良いが、
それのみならず、気体あるいは液体の冷媒を介して行う
方法を採用することも可能である。すなわちガン容器内
に断熱容器を設置してその中に外部の貯槽より冷媒を導
くことによって冷却するものである。あるいは、冷凍機
で冷却された冷媒を循環する構造としてもよい。この場
合は、図に示す伝熱体12を冷却容器としその中にバル
ク超伝導体をガス媒体と共に格納してもよく、スパッタ
リングガン外部で冷却された冷媒をガン容器内に真空断
熱を保って設置された冷却容器内に導いてもよい。これ
らの冷却手段は、本実施形態の装置のみならず、後に説
明する他の実施形態のいずれの装置にも適応できる。な
お、ここでいう冷媒には、液体窒素、液体水素、液体ヘ
リウム、液体アルゴン、窒素ガス、水素ガス、ヘリウム
ガスのいずれかを使用することができる。
【0055】バルク超伝導体10の着磁は、ガン容器1
4の外部に配設された着磁コイル50によって行われ
る。まず、マグネトロンガン部1の内部は、真空ポンプ
システム43を用いて減圧され、真空度で0.133P
a(10-3Torr)以下となり、内在するバルク超伝
導体10は真空断熱状態に置かれる。実機において使用
したポンプはターボ分子ポンプと直結型油回転ポンプ
で、これらを直列に接続して、両極側のマグネトロンガ
ン部1を同時に減圧する。次に冷凍機6の圧縮機63を
運転して冷却を開始する。冷凍機はGM型で100V電
源で駆動され、圧縮機の冷却は空冷方式である。約2時
間の冷却によってバルク超伝導体10の設置された冷凍
体61は30Kに到達するものとなっている。次いで、
着磁コイル50にパルス電流が流され、バルク超伝導体
10を着磁する。本実施形態の装置では、それぞれの磁
極が同極に着磁される。コンデンサは120mFの容量
を持ち、最大1000Vの印加電圧で最大7T、パルス
幅10ミリ秒のパルス磁場を印加し、バルク超伝導体1
0の磁極11の表面で最大2.9Tの磁場を捕捉でき
る。バルク超伝導体10への磁場侵入はそのピン止め力
によって遮蔽されるため、複数回の着磁操作を行うこと
で、より強磁場の捕捉が可能となる。パルス着磁の完了
後に着磁コイル50は取り去ることができる。
【0056】それぞれの磁極11からターゲット20を
通過して放射される磁力線(黒矢印)は、対向する磁極
11からの磁場の影響を受けて磁極11を結ぶ線に略直
角な方向にその向き変えるとともに押しつぶされて、そ
の方向の磁場を増加しかつ広く分布する。
【0057】この装置は、図示していないが密閉容器を
有し、マグネトロンガン部1、ターゲット部2および基
材部3はいずれもその密閉容器内に配置されている。密
閉容器内には真空にした後にスパッタリングガスとして
アルゴンガスが流入されており、スパッタリングはアル
ゴンガス雰囲気下で行われる。
【0058】スパッタリングは、ターゲット20の間に
プラズマ放電させることによって行う。発生したプラズ
マは、磁場の作用によりターゲッ20ト表面に集中する
(黒点を散在して示す領域)。イオン化したアルゴンの
ターゲット表面への衝突によってターゲットを構成する
薄膜材料のスパッタ原子が、放射方向(例えば、白抜き
矢印で示す方向)に沿ってターゲット20で挟まれた空
間外へ放射される。
【0059】ターゲット20に離間して配設される基材
部3は、薄膜がその表面に形成される基材30と、その
基材30を背面から保持する保持体31とから構成され
ている。本実施形態の装置では、保持体31は、回転可
能な状態に設置されていることで、基材30の表面に均
一な薄膜が形成されるのを補助している。放射されたス
パッタ原子は基材30に到達し、その表面に薄膜32が
成膜される。
【0060】本実施形態の装置では、プラズマ内に発生
する電子およびプラズマイオンは、両磁極を結ぶ線に略
直角なつまりターゲットに平行な面内に分布する磁力線
によって円運動してターゲット表面近傍に集中する。し
たがって、ターゲット表面のプラズマの密度は高いもの
となる。この結果、薄膜の成膜速度は向上し、しかも、
両磁極を結ぶ線に略直角な方向の磁場の領域が広いた
め、ターゲットの利用効率が向上する。また、スパッタ
リングガスの少ない低圧でも安定なプラズマを持続する
ことができることで、基材に対するプラズマダメージや
アルゴンガスの混入が抑制され、ITOなどの透明導電
膜、配線膜、強磁性体膜、誘電体膜などの膜質の向上に
効果がある。さらに、磁場が強化されたことで、強磁性
体であるターゲットの場合でも、その厚さを従来よりも
厚くすることが可能であり、生産性、ターゲット交換の
操作性、ターゲット利用率の向上等の効果がある。
【0061】なお、スパッタ原子の放射方向はターゲッ
ト20で挟まれた空間外へ放射されるだけでなく、他に
ターゲットの中央部領域へも放射される、図示したよう
に、この領域に基材を配設することによっても、その基
材表面に薄膜が形成される。ターゲット間のこの位置に
は、例えば、金属や樹脂のフィルムあるいは線、棒、管
等を基材として配設可能であり、プラズマに近接して曝
されるために耐熱性に優れる必要はあるが、成膜は極め
て高速で生産性に優れ、しかも薄膜の膜の密着性にも優
れる。
【0062】〈第2実施形態〉本実施形態のマグネトロ
ンスパッタリング装置は、上記第1実施形態の装置と同
様、磁極にバルク超伝導体を用い、ターゲットを挟んで
対向する2つの磁極を同極に帯磁させた態様のものであ
るが、上記第1実施形態の装置と異なり、それぞれの磁
極にヨークが併設された態様のマグネトロンスパッタリ
ング装置である。図5に、本装置を模式的に示す。
【0063】本マグネトロンスパッタリング装置は、上
記第1実施形態の装置と同様に、バルク超伝導体10を
その内部に含み対向するマグネトロンガン部1と、それ
ぞれのマグネトロンガン部1の先端に位置しそれぞれタ
ーゲット20を支持する2つのターゲット部2と、ター
ゲット部2から離隔して配置され薄膜が形成される基材
30を保持する基材部3とを、主要構成部分として含ん
で構成される。マグネトロンガン部1の構成を除き、他
の部分の構成は上記第1実施形態の装置と略同様の構成
であるため、その説明は省略する。
【0064】本装置では、マグネトロンガン部1は、バ
ルク超伝導体10と、軟性体からなるヨーク13とをそ
の内部に含んで構成されている。ヨーク13は、円環状
をなす対極部13aと略円盤状をなす連結部13bとか
らなり、対極部13aは、バルク超伝導体10と同軸的
にかつその周囲を取り囲むように配置され、連結部13
bは、バルク超伝導体10の背面と対極部13aの背面
とを連結している。なお、バルク超伝導体10を着磁す
るための着磁コイル50は、マグネトロンガン部1の内
部であって、バルクバルク超伝導体10とヨーク13の
対極部13aとの間の空間に配設されている。
【0065】本実施形態の装置の場合、バルク超伝導体
10のターゲット部2に近接する先端部が、本装置にお
ける磁極11となり、この磁極11の磁極先端面と略同
一平面内にヨーク13の対極部13aの先端面が位置す
ることで、この磁極11に対してヨーク13が併設され
た態様となっている。そして、このバルク超伝導体10
が着磁された際、磁極11とヨーク13とは、磁気的に
連結して磁気回路を構成する。
【0066】本実施形態の装置では、磁極11から発生
する磁場を示す磁力線は、対向するもう一つの磁極11
からの磁場に影響されて押さえ付けられ、さらに、磁極
11にヨーク13が併設されることにより、磁極11か
ら延出する磁力線はその一部がヨーク13に吸収され、
ターゲット20の周辺部より磁場が漏れることが抑制さ
れている。したがって、プラズマはターゲット20の表
面近傍に押さえ付けられるのと同時にターゲット表面に
閉じこめられることとなり、プラズマの密度が更に高ま
る。その結果、成膜速度およびターゲット利用率がさら
に向上し、低圧成膜の安定性が増すために膜質もさらに
向上する。
【0067】本実施形態の装置の場合、基材部3は、タ
ーゲット20の表面の延長上の領域に、対向して配置さ
れているが、基材部3は平板状である必要はなく、例え
ば、2つの磁極11を結ぶ線を中心しターゲット20を
取り囲むような筒状のものとし、その内面に基材30を
配置するような態様とすることもできる。このような筒
状の基材部という態様は、本実施形態の装置だけでな
く、上記第1実施形態の装置を始め他の実施形態の装置
にも充分に採用できる態様である。
【0068】強磁場によって集中したプラズマに曝され
るターゲットの表面は浸食が激しい。この浸食によるタ
ーゲットの部分的消耗を回避するため、本装置では、タ
ーゲットを磁極に対し移動するデバイス、つまり本発明
の装置における相対移動デバイスを備えている。図6
に、バルク超伝導体の軸方向から見た本実施形態の装置
を、ターゲットと磁極に関して模式的に示す。
【0069】本装置では、ターゲット20の表面の浸食
は、磁極11とヨーク13との間に位置する領域がもっ
とも激しく、その領域から磁極11の中心に向かうおよ
び中心から離れるにつれ浸食は少なくなる。したがっ
て、ターゲット20と磁極11との相対位置が固定され
る場合は、その部分の消耗は著しいものとなる。
【0070】本実施形態の装置における相対移動デバイ
ス7は、ターゲット20の表面が同一面内になるよう
に、言い換えれば、磁極を結ぶ線に直角な方向にターゲ
ット20を移動させるものである。そのため、ターゲッ
ト20は、その移動方向に長い形状をしている。相対移
動デバイス7は、そのターゲット20を支持するホルダ
71と、ホルダ71に付設される2つの移動子72と、
移動子72が沿って移動するレール73と、レール73
に平行に配設され略全長にわたって雄ネジが形成された
回転軸74と、回転軸74を回転させるモータ75とを
含んで構成され、また、移動子72には雌ネジが形成さ
れ回転軸74に螺合しており、モータ75を駆動させる
ことにより、ターゲット20は磁極に対して移動する機
構となっている。ターゲット20が移動することによっ
て、磁場の強い領域に集中したプラズマは、ターゲット
20の表面をあたかも走査するように移動する。
【0071】このような相対移動デバイスを有する本実
施形態の装置では、ターゲットの利用可能な表面積が増
加するため、ターゲットの有効利用率が向上する。ま
た、頻繁なターゲットの取り替え無しに大量の薄膜生成
が可能となることから、生産性が飛躍的に向上する。こ
のような相対移動デバイスは、上記第1実施形態の装置
を始めとし、他の実施形態の装置においても有効な手段
となる。
【0072】〈第3実施形態〉本実施形態のマグネトロ
ンスパッタリング装置は、上記第1実施形態および第2
実施形態の装置と同様、磁極にバルク超伝導体を用い、
ターゲットを挟んで対向する2つの磁極を同極に帯磁さ
せた態様のものであるが、上記第2実施形態の装置と異
なり、それぞれの磁極に補助磁極が併設された態様のマ
グネトロンスパッタリング装置である。図7に、本装置
を模式的に示す。
【0073】本マグネトロンスパッタリング装置は、上
記第1実施形態および第2実施形態の装置と同様に、バ
ルク超伝導体10をその内部に含み対向するマグネトロ
ンガン部1と、それぞれのマグネトロンガン部1の先端
に位置しそれぞれターゲット20を支持する2つのター
ゲット部2と、ターゲット部2から離隔して配置され薄
膜が形成される基材30を保持する基材部3とを、主要
構成部分として含んで構成される。マグネトロンガン部
1の構成を除き、他の部分の構成は上記第1実施形態お
よび第2実施形態の装置と略同様の構成であるため、そ
の説明は省略する。
【0074】本実施形態の装置では、マグネトロンガン
部1は、並列に配置された3つのバルク超伝導体10を
その内部に含んで構成されている。そしてそれぞれのバ
ルク超伝導体10は、その背面が軟磁性体からなるヨー
ク13によって連結されている。また、それぞれのバル
ク超伝導体10の周囲には、それぞれを着磁する着磁コ
イル50が配設されている。本装置では、中央のバルク
超伝導体10に対して、それを挟む2つのバルク超伝導
体10は異極に着磁される。
【0075】本実施形態の装置の場合、中央のバルク超
伝導体10のターゲット部2に近接する先端部が、本装
置における磁極11となり、これと異極に帯磁する他の
2つのバルク超伝導体10のターゲット部2に近接する
先端部が、本装置における補助磁極16となる。したが
って、本装置では、磁極11に対して2つの補助磁極1
6が併設された態様となっている。そして、これらのバ
ルク超伝導体10が着磁された際、磁極11と補助磁極
16とは、磁気的に連結して磁気回路を構成することに
なる。
【0076】本実施形態の装置では、磁極11から発生
する磁場を示す磁力線は、対向するもう一つの磁極11
からの磁場に影響されて押さえ付けられ、さらに、磁極
11に補助磁極16が併設されることにより、磁極11
から延出する磁力線はその殆どが補助磁極16に吸収さ
れ、ターゲット20の周辺部より磁場が漏れることが抑
制される。上記第2実施形態の装置において併設したヨ
ークと比較して、帯磁している補助磁極は磁力線を吸収
する効率に優れる。したがって、磁場の漏れ出しを抑制
する効果が大きく、プラズマはターゲット20の表面近
傍に押さえ付けられるのと同時にターゲット表面に極め
て効果的に閉じこめられることとなり、プラズマの密度
は著しい高まりを呈する。その結果、成膜速度、ターゲ
ット利用率などの生産性がより一層向上し、低圧成膜の
安定性がさらに増すために膜質もより一層向上する。
【0077】プラズマの集中度合が極めて高い本実施形
態の装置では、そのプラズマに曝されるターゲットの表
面は浸食が極めて激しく、ターゲットの部分的消耗は著
しい。この著しいターゲットの部分的消耗を回避するた
め、本装置においても、ターゲットを磁極に対し移動さ
せる相対移動デバイスを備えている。図8に、バルク超
伝導体の軸方向から見た本実施形態の装置を、ターゲッ
トと磁極に関して模式的に示す。
【0078】本装置では、ターゲット20の表面の浸食
は、磁極11と補助磁極16との間に位置する領域が最
も激しい。したがって、ターゲット20と磁極11との
相対位置が固定される場合は、その部分の消耗は極めて
著しいものとなる。本実施形態の装置における相対移動
デバイス7は、ターゲット20の表面が同一面内になる
ように、言い換えれば、磁極を結ぶ線に直角な方向にタ
ーゲット20を移動させるものである。相対移動デバイ
ス7は、上記第2実施形態の装置とは異なるが、そのタ
ーゲット20を支持するホルダ71と、ホルダ71を移
動させることでターゲット20を移動させる移動ユニッ
ト76とから構成される。ターゲット20が移動するこ
とによって、磁力な磁場が形成される領域に高密度に集
中したプラズマは、ターゲット20の表面をあたかも走
査するように移動する。したがって、上記第2実施形態
の装置の場合と同様、ターゲットの有効利用率の向上、
成膜における生産性の向上が図られることになる。
【0079】図9に、バルク超伝導体の軸方向から見た
本実施形態の変形態様となる装置を、ターゲットと磁極
に関して模式的に示す。本変形態様の装置では、上記実
施形態の装置と異なり、バルク超伝導体はその断面が角
形であり、磁極11および補助磁極16が角型をなして
いる。このような角型の磁極11および補助磁極16で
あっても、磁場の漏れ出しを抑制する効果、およびそれ
に伴うプラズマの高密度化の効果は、同様に充分に得ら
れる。本変形態様のでも、ホルダ71と移動ユニット7
6とからなる相対移動デバイス7を付設しており、ター
ゲットの有効利用率の向上、成膜における生産性の向上
が図られる。
【0080】〈第4実施形態〉本実施形態のマグネトロ
ンスパッタリング装置は、磁極にバルク超伝導体を用
い、ターゲットを挟んで対向する2つの磁極を異極に帯
磁させた態様の装置である。図10に、本装置を模式的
に示す。本マグネトロンスパッタリング装置は、バルク
超伝導体10をその内部に含み対向するマグネトロンガ
ン部1と、それぞれのマグネトロンガン部1の先端に位
置しそれぞれターゲット20を支持する2つのターゲッ
ト部2と、ターゲット部2から離隔して配置され薄膜が
形成される基材30を保持する基材部3とを、主要構成
部分として含んで構成される。本装置は、2つの磁極1
1を異極に着磁する必要から、片側のバルク超伝導体1
0を着磁させる着磁コイル50の一方が上記第1実施形
態の装置のそれと極性の異なるものとなっている。他の
構成要素は、上記第1実施形態の装置と略同様の構成と
なっていることから、装置の詳しい説明については省略
する。
【0081】対向する1対の磁極11を異極に着磁した
場合、磁極11から発生する磁場は対向する磁極からの
磁場によって磁力線の発散が抑えられ、両磁極を結ぶ線
の方向、つまりターゲット面に垂直な方向の磁場強度を
増加させる。例えば、バルク超伝導体を着磁して得られ
る磁極の場合、その磁極に垂直な方向の磁場はそのギャ
ップが10mmのときにその中央で2Tを超える。特に
バルク超伝導体磁極は中央表面部が強力であるという特
有の磁場分布をすることから、磁極表面から短い距離を
離れた位置においても、磁束はかなりの広がりをみせ
る。このこと考慮すると、本実施形態の装置のように、
磁極11に近接しかつ磁極11の軸に直角(両磁極を結
ぶ線に直角)にターゲット20を配置すれば、ターゲッ
ト20の周辺部分では磁極軸に交叉する方向への強い磁
場成分が存在することになり、ターゲット20表面への
プラズマの集中が達成される。
【0082】したがって、本実施形態の装置のように、
異極に帯磁して対向する磁極間に、それらの磁極を結ぶ
線に直角にターゲットが位置する場合も、ターゲット表
面のプラズマの集中により、成膜速度およびターゲット
利用率が向上し、成膜された薄膜の膜質が向上すること
になる。
【0083】なお、上記第1実施形態の装置の場合もそ
うであるが、本実施形態の装置では、着磁コイル50が
マグネトロンガン部1の外部に配設されており、スパッ
タリングにより着磁コイル50は悪影響を受ける。した
がって、着磁コイルがマグネトロンガン部の外部に設け
られている態様の場合、例えば、図に示すように、着磁
後に着磁コイル50を後退させる等の手段を設け、着磁
コイルへのスパッタリングによる影響を避けることが望
ましい。
【0084】〈第5実施形態〉本実施形態のマグネトロ
ンスパッタリング装置は、上記第4実施形態の装置と同
様、磁極にバルク超伝導体を用い、ターゲットを挟んで
対向する2つの磁極を異極に帯磁させた態様の装置であ
る。本実施形態の装置では、上記第4実施形態の装置が
ターゲットを2つの磁極を結ぶ線に直角に配置している
のに対し、ターゲットを2つの磁極を結ぶ線に平行に配
置している。
【0085】図11に、本装置を模式的に示す。本マグ
ネトロンスパッタリング装置は、バルク超伝導体10を
その内部に含み対向するマグネトロンガン部1と、それ
ぞれのマグネトロンガン部1の先端に挟まれた空間に位
置しターゲット20を支持するターゲット部2と、ター
ゲット部20と離隔して対向配置され薄膜が形成される
基材30を保持する基材部3とを、主要構成部分として
含んで構成される。殆どの構成要素は、上記第4実施形
態の装置と略同様の構成となっていることから、本装置
の詳しい説明については省略する。
【0086】本実施形態の装置では、ターゲット20
は、異極に帯磁した2つの磁極11の間に、両磁極11
を結ぶ線(磁極の軸線)に平行に配置されている。異極
に帯磁した2つの磁極11による磁場は、その軸線付近
では軸線に略平行にかつ強力に形成されている。したが
って、この軸心付近の磁場中にターゲット20の表面が
配置される本実施形態の装置では、ターゲット20の表
面にプラズマが高密度に集中することになる。この集中
するプラズマの作用により、上述したそれぞれの実施形
態の装置の場合と同様に、成膜速度およびターゲット利
用率が向上し、成膜された薄膜の膜質が向上することに
なる。
【0087】〈他の実施形態の許容〉以上、本発明のマ
グネトロンスパッタリング装置およびマグネトロンスパ
ッタリングによる薄膜形成方法の実施形態ついて、その
装置の実施形態を中心に説明したが、上述した実施形態
は一実施形態にすぎず、本発明のマグネトロンスパッタ
リング装置およびマグネトロンスパッタリングによる薄
膜形成方法は、上記実施形態を始めとして、当業者の知
識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実
施することができる。
【0088】
【実施例】以下に、本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置において形成される磁場の測定を、実施例とし
て、実機にて行った。また、比較のため、ターゲットの
片側にのみ1つの磁極を配設した従来装置による磁場の
測定を、比較例として、おこなった。そして、本発明の
マグネトロンスパッタリング装置において形成される磁
場が、マグネトロンスパッタリングによる薄膜形成に適
した磁場、つまり、強い磁場であってかつ広範囲に分布
する磁場であることを確認した。これらについて本実施
例の項にて説明する。
【0089】〈実施例〉実施例として磁場測定を行った
マグネトロンスパッタリング装置は、図4に模式的に上
記第1実施形態に基づく本発明のマグネトロンスパッタ
リング装置である。装置の詳しい説明は、上述してある
ため、ここでは省略する。ちなみに、バルク超導電体の
直径つまり磁極の直径はいずれも36mmφ、両磁極の
磁極間距離は20mmであり、着磁の結果得られた磁極
表面における磁極軸方向の磁束密度は磁極表面の中心が
最も高く、その値はいずれの磁極も2Tであった。
【0090】磁場の測定は、ターゲット部および基材部
を取り外しかつプラズマ放電をさせずに行い、両磁極の
中間点にあたる双方の磁極から10mm離れた磁極軸に
垂直な面(磁極面に平行な面)内において、磁極の半径
方向(磁極軸に垂直であり磁極軸から離れる方向)の磁
束密度を、種々の点で測定するものとした。この測定の
結果得られた本装置における磁場分布を図12に示す。
【0091】〈比較例〉比較例として磁場測定を行った
マグネトロンスパッタリング装置は、磁極を対向させて
いない従来の装置である。図13に、この装置を模式的
に示す。本装置は、着磁されることにより先端が磁極1
1となるバルク超伝導体10をその内部に含むマグネト
ロンガン部1と、マグネトロンガン部1の先端に位置し
ターゲット20を支持するターゲット部2と、図示して
いないが、ターゲット部2と離隔して対向配置され薄膜
が形成される基材を保持する基材部と、マグネトロンガ
ン部1の先端部外周に配設され磁極11とで磁気回路を
形成し軟磁性体からなる円環状のヨーク80と、ヨーク
80の外周に配設されバルク超伝導体10を着磁するた
めの着磁コイル50とを、主要構成要素として含んで構
成される。マグネトロンガン部1およびターゲット部2
の構成は、ヨーク80を除けば、上記第1実施形態の装
置における片側の構成と略同様である。したがって、マ
グネトロンガン部1、ターゲット部2等の構成要素につ
いての細かな説明は、ここでは省略する。
【0092】本装置のバルク超導電体は、上記第1施形
態の装置のものと同じ物質からなり、その直径つまり磁
極の直径は36mmφであり実施例の場合と同じとし
た。また、実施例の場合と同様に、着磁の結果得られた
磁極表面における磁極軸方向の磁束密度は磁極表面の中
心が最も高く、その値は2Tであった。
【0093】磁場の測定は、ターゲット部および基材部
を取り外しかつプラズマ放電をさせずに行い、磁極から
10mm離れた磁極軸に垂直な面(磁極面に平行な面)
内において、磁極の半径方向(磁極軸に垂直であり磁極
軸から離れる方向)の磁束密度を、種々の点で測定する
ものとした。この測定の結果得られた本装置における磁
場分布を図14に示す。
【0094】〈磁場の評価〉図14に示す磁極が対向し
ていない従来装置の磁場分布によれば、0.6Tを超え
る磁場が測定されている。しかし、この0.6Tを超え
る強い磁場の領域は、磁極軸を中心とする最大幅で5m
m程度のドーナッツ状の領域にしか過ぎない。これに対
し、図12に示す磁極が対向する本発明の装置の磁場分
布によれば、0.6Tを超える強い磁場の領域は、磁極
軸を中心とする10mm以上の幅を有するドーナッツ状
を成していることがわかる。
【0095】この結果から、従来装置では、上述したよ
うに、併設されたヨークに吸収される磁力線は飽和し
て、ヨークに吸収されずにターゲット上方に発散する磁
力線が多く、このことに起因して、磁極が対向していな
い従来装置の磁場分布では強い磁場の領域が小さくなる
ことが容易に確認できる。逆に、本発明の装置では、そ
れぞれの磁極から延出する磁力線が、対向する磁極から
の磁場の影響を受けて2つの磁極を結ぶ線に略直角な方
向にその向き変えるとともに押しつぶされる。このよう
な対向する2つの磁極による相互作用の結果、本発明の
マグネトロンスパッタリング装置では、強い磁場が広い
領域にわたって形成されることが確認できる。強くかつ
広い領域に分布する磁場中にターゲットを配置してプラ
ズマを発生させれば、そのプラズマは、ターゲット表面
に高密度にかつ広い範囲に集中しする。したがって、成
膜速度、形成される薄膜の膜質に優れたマグネトロンス
パッタリング装置とするためには、対向する2つの磁極
による磁場が好適であることが確認できる。
【0096】
【発明の効果】本発明のマグネトロンスパッタリング装
置は、2つの磁極を離間対向して配置し、その磁極間
に、それぞれの磁極の有する磁力の相互作用による強い
磁場を作り出し、この磁場中に薄膜原料を含むターゲッ
トを存置させてスパッタリングを行う装置である。この
ように構成された本発明のマグネトロンスパッタリング
装置は、強くかつ広い分布を有する磁場を形成すること
が容易で、スパッタリングに適したプラズマを効果的に
集中させることのできる装置となる。その結果、本発明
のマグネトロンスパッタリング装置は、成膜速度が速
く、膜質の良好な薄膜を得ることのできる装置となる。
【0097】また、本発明のマグネトロンスパッタリン
グによる薄膜形成方法は、簡単に言えば上記本発明の装
置を用いて薄膜を形成する方法であり、上記装置につい
て述べた作用により、本発明のマグネトロンスパッタリ
ングによる薄膜形成方法は、成膜速度が速く、膜質の良
好な薄膜を得ることができる方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ターゲット表面の磁場の強さと基材表面に形
成される薄膜の成膜速度との関係を示す。
【図2】 2つの磁極が同極に帯磁している本発明のマ
グネトロンスパッタリング装置において、磁場の形成さ
れる様子および磁極とターゲットの位置との関係の種々
の態様を概念的に示す。
【図3】 2つの磁極が異極に帯磁している本発明のマ
グネトロンスパッタリング装置において、磁場の形成さ
れる様子および磁極とターゲットの位置との関係の種々
の態様を概念的に示す。
【図4】 2つの磁極が同極に帯磁する本発明の第1実
施形態であるマグネトロンスパッタリング装置を模式的
に示す。
【図5】 2つの磁極が同極に帯磁しかつヨークが併設
された本発明の第2実施形態であるマグネトロンスパッ
タリング装置を模式的に示す。
【図6】 磁極の軸方向から見た第2実施形態のマグネ
トロンスパッタリング装置を、ターゲットと磁極に関し
て模式的に示す。
【図7】 2つの磁極が同極に帯磁しかつ補助磁極が併
設された本発明の第3実施形態であるマグネトロンスパ
ッタリング装置を模式的に示す。
【図8】 磁極の軸方向から見た第3実施形態のマグネ
トロンスパッタリング装置を、ターゲットと磁極に関し
て模式的に示す。
【図9】 磁極の軸方向から見た第3実施形態の変形態
様であるマグネトロンスパッタリング装置を、ターゲッ
トと磁極に関して模式的に示す。
【図10】 2つの磁極が異極に帯磁しかつターゲット
が磁極を結ぶ線に直角に配置される本発明の第4実施形
態であるマグネトロンスパッタリング装置を模式的に示
す。
【図11】 2つの磁極が異極に帯磁しかつターゲット
が磁極を結ぶ線に平行に配置される本発明の第5実施形
態であるマグネトロンスパッタリング装置を模式的に示
す。
【図12】 実施例として行った本発明のマグネトロン
スパッタリング装置で形成される磁場の測定によって得
られた磁場分布を示す。
【図13】 従来のマグネトロンスパッタリング装置を
模式的に示す。
【図14】 実施例として行った従来のマグネトロンス
パッタリング装置で形成される磁場の測定によって得ら
れた磁場分布を示す。
【符号の説明】
1:マグネトロンガン部 10:バルク超伝導体 11:磁極 12:伝熱体 13:ヨーク 14:ガン容器 16:補助磁極 2:ターゲット部 20:ターゲット 21:冷却支持体 22:冷却水導入口 3:基材部 30:基材 31:保持体 4: 40:電源 41:電源線 42:配管 43:真空ポンプシステム 5: 50:着磁コイル 6:冷凍機 60:冷凍機本体 61:冷凍体 62:連結管 63:圧縮機 7:相対移動デバイス 71:ホルダ 72:移動子 73:レール 74:回転軸 75:モータ 76:移動ユニット 8: 80:ヨーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳 陽介 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社イムラ材料開発研究所内 (72)発明者 吉川 雅章 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社イムラ材料開発研究所内 (72)発明者 水谷 宇一郎 愛知県名古屋市千種区不老町 名古屋大学 内 (72)発明者 生田 博志 愛知県名古屋市千種区不老町 名古屋大学 内 Fターム(参考) 4G047 JA03 JB03 JC02 KE05 4K029 BA50 BC09 CA05 DC32 DC40 DC42 DC43 DC46

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜原料を含んでなるターゲットを磁場
    中に配置し、その磁場の作用でターゲット表面にプラズ
    マを集中させてスパッタリングを行い、放出される薄膜
    原料を基材表面に被着させて薄膜を形成するマグネトロ
    ンスパッタリング装置であって、 ターゲットを挟んでそれぞれ配設され対向する2つの磁
    極を有し、その磁極の少なくとも1つはバルク超伝導体
    を着磁して得られる超伝導磁極であることを特徴とする
    マグネトロンスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記2つの磁極は同極に帯磁している請
    求項1に記載のマグネトロンスパッタリング装置
  3. 【請求項3】 前記ターゲットはその表面が前記2つの
    磁極を結ぶ線に略直角なるように配置されている請求項
    2に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 前記ターゲットは、それぞれの前記磁極
    に近接して2つ配置され、その表面が互いに対向する請
    求項3に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  5. 【請求項5】 前記2つの磁極の少なくとも一方の磁極
    に対して、その磁極との間で磁気回路を形成するヨーク
    が併設されている請求項2ないし請求項4のいずれかに
    記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  6. 【請求項6】 前記ヨークは、そのヨークとの間で磁気
    回路を形成する前記磁極を中心にして環状に形成されて
    いる請求項5に記載のマグネトロンスパッタリング装
    置。
  7. 【請求項7】 前記2つの磁極の少なくとも一方の磁極
    に対して、その磁極と異極に帯磁しその磁極との間で磁
    気回路を形成する補助磁極が併設されている請求項2な
    いし請求項4のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ
    リング装置。
  8. 【請求項8】 前記2つの磁極は、一方の磁極が他方の
    磁極に対して異極に帯磁している請求項1に記載のマグ
    ネトロンスパッタリング装置。
  9. 【請求項9】 前記ターゲットはその表面が前記2つの
    磁極を結ぶ線と略平行になるように配置されている請求
    項8に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  10. 【請求項10】 前記ターゲットはその表面が前記2つ
    の磁極を結ぶ線に略直角になるように配置されている請
    求項8に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  11. 【請求項11】 前記ターゲットは、それぞれの前記磁
    極に近接して2つ配置され、その表面が互いに対向する
    請求項10に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  12. 【請求項12】 前記バルク超伝導体は、RE−Ba−
    Cu−O系(REはY、Sm、Nd、Yb、La、G
    d、Eu、Erのうちから選ばれる1種以上)の物質で
    あって、組成式REBa2Cu3y(6≦y<7)で表
    されるマトリクス中に組成式RE2BaCuO5で表され
    る粒子および組成式RE4Ba2Cu210で表される粒
    子の少なくともいずれか1種の粒子が微細に分散した組
    織を有する擬似単結晶または粗大結晶の集合体である請
    求項1ないし請求項11のいずれかに記載のマグネトロ
    ンスパッタリング装置。
  13. 【請求項13】 前記磁極と前記ターゲットとを相対移
    動させる相対移動デバイスを備える請求項1ないし請求
    項12のいずれかに記載のマグネトロンスパッタリング
    装置。
  14. 【請求項14】 薄膜原料を含んでなるターゲットをそ
    のターゲットを挟んで配設される磁極によって生じる磁
    場中に配置し、その磁場の作用でそのターゲット表面に
    プラズマを集中させてスパッタリングを行い、放出され
    る薄膜原料を基材表面に被着させて薄膜を形成すること
    を特徴とするマグネトロンスパッタリングよる薄膜形成
    方法。
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