JPH09272973A - 低圧力放電スパッタ装置 - Google Patents

低圧力放電スパッタ装置

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JPH09272973A
JPH09272973A JP8284896A JP8284896A JPH09272973A JP H09272973 A JPH09272973 A JP H09272973A JP 8284896 A JP8284896 A JP 8284896A JP 8284896 A JP8284896 A JP 8284896A JP H09272973 A JPH09272973 A JP H09272973A
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cathode
magnet
magnetic field
pressure discharge
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JP8284896A
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Kazuo Hirata
和男 平田
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Original Assignee
Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 10-2以下の圧力で安心して大電流放電が可
能なスパッタ装置を提供する。 【解決手段】 カソード部23に内部電磁石と外部電磁
石とを有するマグネトロンスパッタリング方式のスパッ
タ装置において、シャッター22を、カソード上に載置
されたターゲット表面の、該ターゲット表面に対する最
大平行磁場強度が得られる位置の垂直上方であって、そ
の平行磁場強度が10ガウス以下になる位置よりもさら
に離れた位置に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧力放電スパッ
タ装置に関し、特に、プレナー型マグネトロンカソード
を有し、低圧力下で大電流放電が可能な低圧力放電スパ
ッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、大規模生産に利用されるプレナー
型マグネトロンスパッタ方式による、低圧力スパッタ技
術が注目されている。これは、通常のスパッタ圧力
(0.4〜0.8Pa)より低い圧力(10-2Pa以
下)でスパッタを行うことにより、膜中へ侵入する不純
物(Ar、N2 、O2 等)の減少による膜質改善や、ス
パッタ粒子の膜への垂直入射成分が増加することによる
ホールやトレンチなどの埋め込みや段差への被覆性の改
善が期待できるからである。そして、このような低圧力
スパッタを実現するために、種々の低圧力用マグネトロ
ンカソードと、スパッタ方法とが提案されている。
【0003】例えば、日本真空(株)の松浦等は、Sput
tering&Plasma Processes 予稿集Vol.9 No.3, 1994.
9.12,P1において、誘導結合型RFプラズマ支援低圧力
用マグネトロンカソードを報告している。このカソード
では、マグネトロンカソード本体に、RFヘリカルアン
テナを取り付け、このアンテナにRF電力を投入してタ
ーゲット上に高密度なプラズマを形成するとともに、タ
ーゲットにDCまたはRF電力を投入して、5×10-2
Paという低圧力での放電維持を実現している。しかし
ながら、このカソードでは、RFヘリカルアンテナによ
るプラズマとマグネトロンカソード上のプラズマとのイ
ンピーダンスマッチングが取りにくく、アンテナ及びカ
ソードに大電流を投入することができない。このため、
成膜速度が低いという欠点がある。例えば、Alターゲ
ットを用いた場合、スパッタ圧力5×10-2Paで、タ
ーゲット・基板間距離が140mmのとき、30nm/min程
度である。また、RFヘリカルアンテナが、カソードと
基板の間に配置されるので、アンテナ表面がスパッタさ
れ、形成される膜中に不純物として混入するという欠点
もある。
【0004】また、同じ日本真空(株)の樫本等は、タ
ーゲット・基板間の距離を120mm〜300mmと長くし
て、スパッタ圧力を3×10-1Pa前後から5×10-2
Pa前後へと低下させることで、低圧力放電維持ができ
ることを、SEMIテクノロジーシンポジウム94講演
予稿集、1994.11.30-12.2,P219、に報告している。
【0005】しかしながら、この方法においても、例え
ば、直径12センチのTiターゲットを用いて、ターゲ
ット・基板間の距離を140mm、圧力5×10-2Paと
した場合に140nm/minの成膜速度が得られるにすぎ
ず、成膜速度が遅いという欠点がある。これは、ターゲ
ット・基板間の距離を大きくするほど遅くなる。また、
この方法では、どの様なカソードを用いたのか不明(前
記予稿集には新開発の低圧放電カソードを用いると記載
されている)である。
【0006】また、東京理科大学の麻蒔教授等は、従来
型のプレナー型マグネトロンスパッタ装置の永久磁石を
改良してターゲットエロージョン中心部のターゲットに
対して平行な磁束密度を数百ガウスから数千ガウスに
し、印加電圧を−6.8kV程度の高電圧にすることに
より、放電電流が10-3A程度で、圧力が10-3Pa台
の低圧放電維持を実現できることを報告している(月間
「IONICS」第20巻第9号、1994年9月号、P37
、J.Vac.Sci.Technol.A10(6),Nov/Dec 1992 P3430 、
及びJpn.J.Appl.Phys.Vol32(1993)P902 )。
【0007】しかしながら、この方法は、Alターゲッ
トを用いた場合、圧力2.5×10-3Paで、成膜速度
が0.8nm/minと、極めて低いという欠点がある。
【0008】さらにまた、前記麻蒔教授等は、ターゲッ
トにIC配線材料として有望な銅を用い、直径120mm
のカソードに約6kW(約700V,8A)の電力を投
入して、スパッタガスの導入を停止して、セルフスパッ
タが実現できることを報告している。ここで、セルフス
パッタとは、ターゲットから飛び出したスパッタ粒子
が、プラズマ中の荷電粒子(電子等)と衝突して正イオ
ンになり、スパッタガス導入を停止した後でも、イオン
化したスパッタ粒子の働きにより放電を維持する現象で
ある。このセルフスパッタによれば、約2×10-3Pa
の低圧力下で、数μm/minの高成膜速度を得ることがで
きる。
【0009】しかしながら、この方法では、ターゲット
材料がスパッタ率の高い材料、あるいはイオン化し易い
材料(例えば、金、銀、鉛、真鍮、カドミウム、アルミ
ブロンズ、タンタル、及びステンレス等)に限定される
という欠点がある。また、ターゲットに非常に高い電力
を投入するので、ターゲットの温度が非常に上昇すると
いう欠点もある。さらに、この方法では、成膜速度を制
御することが困難であるという欠点もある。
【0010】以上のように、現在様々な低圧力スパッタ
技術が提案されているが、いずれも、成膜速度が遅い、
あるいは速くても制御できない等の欠点を有しており、
低圧力で大電流放電が可能なカソードの実現が望まれて
いる。そして、これらの欠点を解消できるのではないか
と期待される低圧力用マグネトロンカソードが、特開平
7−3450号公報や、特開平7−166348号公報
に記載されている。
【0011】特開平7−3450号公報に記載された低
圧力用マグネトロンカソードは、カソード内部に、ター
ゲット上に閉ループを形成する磁場手段を有し、カソー
ド外周部に補助永久磁石(あるいは電磁石)を配置する
ことで、低圧力時にターゲット上のプラズマが広がるこ
とを防止して、約2.7×10-2Paの低圧力放電維持
を実現している。
【0012】また、特開平7−166348号公報に記
載された低圧力用マグネトロンカソードは、カソード内
部に、ターゲット上に閉ループを形成する磁場手段を有
し、カソード外周部に補助電磁石を配置することで、約
1.5×10-2Paの低圧力放電維持を実現している。
ここでは、有効カソード領域(磁力線が2回カソード度
交わる領域)をカソード全領域の80%以上とすること
により上記のような低圧力放電維持を実現している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−3450号公報や、特開平7−166348号公報
に記載された低圧力用マグネトロンカソードを用いて
も、低圧力において放電を維持できない場合があること
を本発明者は見いだした。また、これらの低圧力用マグ
ネトロンカソードを用いると10-2Pa台での放電維持
が可能となるが、それ以下、即ち、10-3Pa台以下の
圧力での放電維持は困難である。
【0014】本発明は、10-2以下の圧力で安定して大
電流放電が可能なスパッタ装置を提供することを目的と
する。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ターゲ
ットを載置するカソードと、カソード内に配置され前記
ターゲット上に閉ループ状の磁力線を形成する第1の磁
石と、前記カソードの周囲に配置され前記第1の磁石が
形成する磁力線を前記ターゲットの中心へ閉じ込める第
2の磁石とを備えたマグネトロンスパッタリング方式の
低圧力放電スパッタ装置において、前記ターゲットから
のスパッタ粒子を制御する制御部材を、前記ターゲット
表面の、該ターゲット表面に対する最大平行磁場強度が
得られる位置の垂直上方であって、その平行磁場強度が
10ガウス以下になる位置よりもさらに離れた位置に設
けたことを特徴とする低圧力放電スパッタ装置が得られ
る。ここで、制御部材とは、シャッターや、コリメータ
ーを指す。
【0016】また、本発明によれば、ターゲットを載置
する裏板を有するカソードと、カソード内に配置され前
記ターゲット上に閉ループ状の磁力線を形成する第1の
磁石と、前記カソードの周囲に配置され前記第1の磁石
が形成する磁力線を前記ターゲットの中心へ閉じ込める
第2の磁石と、前記裏板の周辺部を前記ターゲットの表
面側から覆うカソードシールドとを備えたマグネトロン
スパッタリング方式の低圧力放電スパッタ装置におい
て、前記カソードシールドの内周端が、前記第1の磁石
の外周側磁極の外周面よりも外側に位置するようにした
ことを特徴とする低圧力放電スパッタ装置が得られる。
【0017】さらに、本発明によれば、ターゲットを載
置するカソードと、カソード内に配置され前記ターゲッ
ト上に閉ループ状の磁力線を形成する第1の磁石と、前
記カソードの周囲に配置され前記第1の磁石が形成する
磁力線を前記ターゲットの中心へ閉じ込める第2の磁石
とを備えたマグネトロンスパッタリング方式の低圧力放
電スパッタ装置において、前記ターゲットの表面上であ
って、垂直磁場強度が零になる位置での平行磁場強度が
200ガウス以上となるように、前記第1の磁石及び前
記第2の磁石を構成したことを特徴とする低圧力放電ス
パッタ装置。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1に本発明の低圧力放電
スパッタ装置の一実施の形態を示す。図1のスパッタ装
置は、真空容器11と、真空容器11にメインバルブ1
2を介して連結されたメインポンプ(クライオポンプ)
13と、真空容器11に荒引きバルブ14を介して連結
された油回転ポンプ15と、真空容器11に連結された
ロードロック室16と、真空容器11に接続されたガス
導入制御系17と、真空容器11に取り付けられた真空
計18と、DC電源19とを有している。
【0019】また、真空容器11の内部には、基板20
を保持するための基板ホルダー21、回転及び上下移動
により基板20を覆うシャッタ−22、及び基板ホルダ
ー21に対向して配置されたカソード部23が配設され
ている。DC電源19は、このカソード部23に接続さ
れる。
【0020】真空容器11の内部は、油回転ポンプ15
で真空排気した後、クライオポンプ13で真空排気を行
うことにより、内部圧力を5×10-5Pa以下に保つこ
とができる。また、ロードロック室16には、図示しな
い真空ポンプが連結されており、真空容器11内を大気
圧にすることなく、図示しない基板交換機構により基板
20を基板ホルダー21に保持させることができる。
【0021】ガス導入制御系17からは、スパッタガス
(例えば、Arガス、N2 ガス、O2 ガス、またはこれ
らの混合ガス)が真空容器11内に導入される。このと
き、真空計18の検出値に応じて流量を制御することが
できる。
【0022】図2に、カソード部23の拡大図を示す。
このカソード部23は、プレナー型マグネトロンカソー
ドであって、カソードボディ231と、その内部に収め
られた山型ヨーク232、さらに山型ヨーク232の内
部に配置された内部電磁磁石233と、カソードボディ
231の外周部に配置された外部電磁石234を有して
いる。また、カソードボディ231の上部には、冷却水
路235を形成され、裏板236が取り付けられてい
る。ターゲット237は、この裏板236上に設置され
る。さらに、真空容器11のフランジ238には、カソ
ード部23と電気的に絶縁されたカソードシールド23
9が、裏板236がスパッタされるのを防止するよう
に、ターゲット237の外周に端部を近接させて取り付
けられている。
【0023】このようなスパッタ装置において、内部電
磁石233に図示しない電源から励磁電流I1 を流し、
外部電磁石234に別の図示しない電源から励磁電流I
1 とは逆向きの励磁電流I2 を流し、真空容器11にス
パッタガスを導入して内部圧力を10-2Pa〜10-1
aとして、カソード部23に−200V以下の電圧を印
加すると、スパッタ放電が確認できる。
【0024】このとき、ターゲット237上には、内部
電磁石233による閉ループ状(閉塞)の磁力線が形成
される。また、内部電磁石233による磁力線のうち発
散しようとする磁力線の一部は、外部電磁石234の働
きによりターゲット237の中心方向へと閉じ込められ
る。
【0025】詳述すると、内部電磁石233は、図2に
示すように、山型ヨーク232の中心側磁極がS極で、
外周側磁極がN極になるように、電流の方向及びコイル
の巻き方が設定されており、この内部電磁石233が形
成する閉塞磁力線31は(ターゲットの上方では)外周
磁極から中心磁極へと向かう。この閉塞磁力線31に対
して、外部電磁石234が形成する磁力線32を重畳す
ると、前記閉塞磁力線31はターゲット237の中心方
向に圧縮されるとともに、発散していた磁力線33の一
部もターゲット237の中心方向へと閉じ込められ、タ
ーゲット237からかなり離れた位置(ターゲットの上
方)を通る磁力線も閉塞磁力線31となる。なお、図2
には、閉塞磁力線31により閉じ込められたプラズマ3
4も示してある。
【0026】図3に、図2のカソード部23による、磁
力線分布の実測データと、ヨークと磁石の形状から求め
た磁力線分布のシミュレーション結果を示す(上段)。
ここで、比較のため、外部電磁石234に電流を印加し
ない場合(下段)の結果も示す。
【0027】測定は、ターゲットサイズを100mm(直
径)とし、内部電磁石233の励磁電流I1 を1.4A
とし、外部電磁石励磁電流I2 /内部電磁石励磁電流I
1 =0.3として行った。なお、実測データは、カソー
ド全域について、シミュレーションは、カソードの
(右)半分について行った。
【0028】図3の実測データ(左欄)を比較すると、
2 /I1 =0.3の方(上段)が閉ループをはっきり
と確認できる。また、シミュレーションでは、I2 /I
1 =0.3の方は、中心磁極から出た磁力線がターゲッ
ト上で、全てきれいな閉ループを形成するが、I2 /I
1 =0の方では、中心磁極から出た磁力線の一部はター
ゲット上で閉ループを形成するが、多くはターゲット外
に発散する。また、実測、シミュレーションいずれの場
合も、I2 /I1 =0.3の方が、I2 /I1=0に比
べて、ターゲットからかなり離れた位置まで、閉ループ
を形成している。
【0029】一般に、低圧力では、ターゲット上のプラ
ズマが広がることが知られている。その理由は明らかで
はないが、プラズマ中の電子がターゲット表面上での閉
ループ状の磁力線の外側軌道に移動するためのに起きる
現象と考えられている。したがって、外部電磁石234
を励磁したときに得られる磁力線分布により、外側軌道
に移動した電子を確実にトラップすることができ、低圧
力放電維持を実現できる。
【0030】前述のI2 /I1 =0.3の場合は、低圧
力で広がろうとするプラズマを外部電磁石による磁力線
でターゲット上に良く押さえ込んでいるので、低い放電
維持圧力を達成できる。
【0031】図3の上段に示すような閉塞磁力線分布
は、永久磁石を用いても実現できる。図4乃至図8は、
永久磁石を用いた場合のカソード部23の拡大図であ
る。ただし、磁石の配置関係が明確になるように、図2
に比べ簡略化してある。
【0032】即ち、図4に示すように、内部電磁石23
3に代えて内部永久磁石41を用いてもよい。また、図
5に示すように、内部永久磁石51をカソードボディ
(図示せず)内で回転させる様にしてもよい。
【0033】また、外部永久磁石は、図6乃至図8に示
すように配置することもできる。ここで、図6乃至図8
のカソード部に使用される外部永久磁石61、71、及
び81は、図示しない上下機構に取り付けられており、
図の上下方向(矢印で示す方向)に移動可能である。こ
の移動機構により外部永久磁石61、71、及び81を
上下に移動させ、閉塞磁力線分布を最適化することによ
り、低い放電圧力を達成できる。
【0034】また、図5及び図8の内部永久磁石を回転
させる回転機構(図示せず)は、内部永久磁石を22rp
m の速度で回転させる。これにより、閉ループ状の磁力
線を、約3秒でターゲット表面の約99%の領域上に発
生させることができる。
【0035】図9に、図1の装置における、ターゲット
上の垂直磁場強度が零になる位置での平行磁場強度と、
放電開始圧力及び放電維持最低圧力を示す。図9から明
らかなように、ターゲット上の平行磁場強度が200ガ
ウスよりも大きければ、放電開始圧力及び放電維持最低
圧力は、ほぼ一定(最低値)となる。例えば、ターゲッ
トとして直径100mmのAlを使用した場合、印加電圧
−800V、平行磁場強度200ガウスで、3×10-2
Paの放電維持最低圧力が得られる。
【0036】上述したように、図1の装置を用いれば、
低圧力下での放電維持が可能となる。このような装置を
用いて、ターゲット・シャッター間距離(T/Sh)と
放電維持最低圧力との関係を調べた結果を図10に示
す。なお、ここでは、縦軸を放電維持最低圧力とし、横
軸をI2 /I1 比の値としている。また、ターゲット・
基板間距離は160mm、I1 =1.4A、Id=64m
A/cm2 、として測定した。
【0037】図10から明らかな様に、I2 /I1 比の
値に関わらず、ターゲット・シャッター間の距離が小さ
なるほど、放電維持最低圧力は大きくなる。特に、ター
ゲット・シャッター間距離が30mmの場合には、I2
1 比の値の変化に伴う変化も小さく、放電維持最低圧
力は大きなままである。さらにターゲット・シャッター
間距離(T/Sh)と放電維持最低圧力の変化の関係を
明確にするため、I2/I1 比の値を0.3に固定して
測定した結果を図11に示す。図11から、T/Shが
約70mm以上であれば、放電維持最低圧力はほぼ一定で
あるが、それよりも小さいと放電維持最低圧力が急激に
大きくなることが明らかである。
【0038】次に、ターゲット表面からの距離と平行磁
場強度との関係を図12に示す。図12からターゲット
表面に近付くほど平行磁場強度が強くなり、また、ター
ゲットから50mm以上離れると、ほぼ0ガウスとなるこ
とが読み取れる。
【0039】図11と図12とを見比べると、平行磁場
強度が大きい位置にシャッター等を配置した場合に、放
電維持最低圧力が大きくなると考えられる。このような
現象は、シャッターの代わりにコリメータが存在する場
合にも同様に発生する。これは、シャッターがステンレ
ス製あるいはチタン製等の金属であって、その電位はグ
ランド、もしくは浮いているために、シャッターがター
ゲットに近い場合には、ターゲット表面上で閉ループ状
の磁力線に巻き付くはずの荷電粒子(電子)がシャッタ
ーに吸収されて低圧力放電に寄与しなくなるからだと考
えられる。
【0040】したがって、本実施の形態では、放電維持
最低圧力を低くするために、ターゲット表面で最大磁界
強度を示す位置の垂直上方であって、ターゲットと平行
の磁界成分強度が0ガウスになる点よりも離れた位置
に、シャッター(シャッターの最下位置)を配置してい
る。ただし、実際には、平行磁場強度が0ガウスになる
位置を検出することは、地磁気等の影響により不可能に
近いので、10ガウス以下になる点(図12の場合は5
0mm)よりもさらに離れた位置(例えば、100mm)に
配置するようにすればよい。
【0041】図13(a)、(b)に示すようにシャッ
ター22の配設が成されている場合も、シャッター22
の位置を前記と同様に設定すれば、放電維持最低圧力を
低くすることができる。また、コリメータを設ける場合
も同様に、ターゲットと平行の磁界成分強度が10ガウ
スになる点よりもさらに離れた位置に設けるようにす
る。
【0042】また、カソードシールド239の位置によ
っても、放電維持最低圧力の上昇が見られる。詳述する
と、図14に示すように、ターゲット237の端面と山
型ヨーク232との外周面とが(図の左右方向に関し
て)一致している状態で、ターゲット237の端面とカ
ソードシールド239の端面との距離dxと、放電維持
最低圧力との調べると、図15の様になった。図15か
ら明らかな様に、距離dxがマイナスの場合(カソード
シールド239がターゲット237上に存在する場合)
は、放電維持最低圧力が非常に大きくなる。これは、タ
ーゲット・シャッター間の関係と同じで、閉ループ状の
外側軌道の磁力線に巻き付く電子が、ステンレス製のカ
ソードシールド(電位は、グランドまたは浮いている)
に吸収されて低圧力放電に寄与しなくなるためである。
【0043】したがって、カソードシールド239の影
響による放電維持最低圧力の上昇を防ぐために、カソー
ドシールド239の端面が山型ヨーク232の外周面よ
りもさらに外側に位置するようにする。本実施の形態の
装置では、実測データまたはシミュレーションにより磁
力線分布を求め、ターゲット表面上に形成される閉ルー
プ磁力線31のうち、最も外側の磁力線の位置を求め
て、それよりも外側にカソードシールド239の端面が
位置する様に配置している。これによりカソードシール
ドの端面は山型ヨーク232の外周面より8mm外側に位
置することになる。この場合、裏板236とカソードシ
ールド239との間で放電が生じる可能性があるので、
磁力線分布を変えることなくターゲット237の端部を
図14に破線で示す様に延長したり、ターゲット押さえ
等を隙間に挿入したりする必要がある。
【0044】以上のように、シャッター、コリメータ
ー、及びカソードシールドの位置を適切に配置すれば、
安定して低圧力下に置ける放電を維持する事ができる。
【0045】図16に、本実施の形態の装置を用いて測
定した、印加電圧と放電電流密度との関係を示す。図1
6から分かるように、本実施の形態の装置よれば、スパ
ッタ圧力4×10-3Paで、38mA/cm-2が得られて
いる。なお、ここでは、DC電源として、市販されてい
る−1.2kVまで印加可能な電源と、−6kVで3
A、−3kVで6A、−1.5kVで12Aの3段切り
替え式の新たに開発した電源とを組み合わせて測定を行
った。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、シャッター、コリメー
タ、及びカソードシールドの位置を適切にすることで、
スパッタ圧力10-2Pa以下の圧力で安定して、大電流
放電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低圧力放電スパッタ装置の一実施の形
態を示す概略図である。
【図2】図1の低圧力放電スパッタ装置のカソード部の
拡大図である。
【図3】図2のカソード部に形成される磁力線について
説明するための図である。
【図4】図1の低圧力放電スパッタ装置に用いられる、
内部永久磁石を有するカソード部を示す図である。
【図5】図1の低圧力放電スパッタ装置に用いられる、
内部永久磁石を有するカソード部の他の例を示す図であ
る。
【図6】図1の低圧力放電スパッタ装置に用いられる、
外部永久磁石を有するカソード部を示す図である。
【図7】図1の低圧力放電スパッタ装置に用いられる、
外部永久磁石を有するカソード部の他の例を示す図であ
る。
【図8】図1の低圧力放電スパッタ装置に用いられる、
外部永久磁石を有するカソード部のまた別の例を示す図
である。
【図9】図1の装置における、平行磁場強度と放電圧力
との関係を示すグラフである。
【図10】図1の装置における、ターゲット・シャッタ
ー間距離をパラメータとする励磁電流比と放電維持最低
圧力との関係を示すグラフである。
【図11】図1の装置における、ターゲット・シャッタ
ー間距離と放電維持最低圧力との関係を示すグラフであ
る。
【図12】図1の装置における、ターゲット表面からの
距離と平行磁場強度との関係を示すグラフである。
【図13】(a)及び(b)は、それぞれシャッターの
他の配設方法を示す図である。
【図14】カソードシールドの配置を説明するための拡
大図である。
【図15】図14の距離dxと放電維持最低圧力との関
係を示す図である。
【図16】図1の装置における、印加電圧と放電電流密
度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11 真空容器 12 メインバルブ 13 メインポンプ(クライオポンプ) 14 荒引きバルブ 15 油回転ポンプ 16 ロードロック室 17 ガス導入制御系 18 真空計 19 DC電源 20 基板 21 基板ホルダー 22 シャッタ− 23 カソード部 231 カソードボディ 232 山型ヨーク 233 内部電磁磁石 234 外部電磁石 235 冷却水路 236 裏板 237 ターゲット 238 フランジ 239 カソードシールド 31 閉塞磁力線 32 磁力線 33 磁力線 34 プラズマ 41 内部永久磁石 51 内部永久磁石 61 外部永久磁石 71 外部永久磁石 81 外部永久磁石
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】また、特開平7−166348号公報に記
載された低圧力用マグネトロンカソードは、カソード内
部に、ターゲット上に閉ループを形成する磁場手段を有
し、カソード外周部に補助電磁石を配置することで、約
1.5×10-2Paの低圧力放電維持を実現している。
ここでは、有効カソード領域(磁力線が2回カソードと
交わる領域)をカソード全領域の80%以上とすること
により上記のような低圧力放電維持を実現している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】また、図6に示すように、図2の外部電磁
石234に代えて外部永久磁石61を用い、図6のよう
に配置することもできる。さらに、図7は図4の外部電
磁石234に代えて外部永久磁石71を、図8は図5の
外部電磁石234に代えて永久磁石81をそれぞれ用い
て配置したものである。ここで、図6乃至図8のカソー
ド部に使用される外部永久磁石61、71、及び81
は、図示しない上下機構に取り付けられており、図の上
下方向(矢印で示す方向)に移動可能である。この移動
機構により外部永久磁石61、71、及び81を上下に
移動させ、閉塞磁力線分布を最適化することにより低い
放電圧力を達成できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲットを載置するカソードと、カソ
    ード内に配置され前記ターゲット上に閉ループ状の磁力
    線を形成する第1の磁石と、前記カソードの周囲に配置
    され前記第1の磁石が形成する磁力線を前記ターゲット
    の中心へ閉じ込める第2の磁石とを備えたマグネトロン
    スパッタリング方式の低圧力放電スパッタ装置におい
    て、前記ターゲットからのスパッタ粒子を制御する制御
    部材を、前記ターゲット表面の、該ターゲット表面に対
    する最大平行磁場強度が得られる位置の垂直上方であっ
    て、その平行磁場強度が10ガウス以下になる位置より
    もさらに離れた位置に設けたことを特徴とする低圧力放
    電スパッタ装置。
  2. 【請求項2】 前記制御部材がシャッターであることを
    特徴とする請求項1の低圧力放電スパッタ装置。
  3. 【請求項3】 前記制御部材がコリメーターであること
    を特徴とする請求項1の低圧力放電スパッタ装置。
  4. 【請求項4】 ターゲットを載置する裏板を有するカソ
    ードと、カソード内に配置され前記ターゲット上に閉ル
    ープ状の磁力線を形成する第1の磁石と、前記カソード
    の周囲に配置され前記第1の磁石が形成する磁力線を前
    記ターゲットの中心へ閉じ込める第2の磁石と、前記裏
    板の周辺部を前記ターゲットの表面側から覆うカソード
    シールドとを備えたマグネトロンスパッタリング方式の
    低圧力放電スパッタ装置において、前記カソードシール
    ドの内周端が、前記第1の磁石の外周側磁極の外周面よ
    りも外側に位置するようにしたことを特徴とする低圧力
    放電スパッタ装置。
  5. 【請求項5】 前記ターゲットの表面上であって、垂直
    磁場強度が零になる位置での平行磁場強度が200ガウ
    ス以上となるように、前記第1の磁石及び前記第2の磁
    石を構成したことを特徴とする請求項1、2、3、また
    は、4の低圧力放電スパッタ装置。
  6. 【請求項6】 前記カソードへの印加電圧を−200V
    以下、−6kV以上としたことを特徴とする請求項1、
    2、3、4、または、5の低圧力放電スパッタ装置。
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