JP3695010B2 - 超電導マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,真空薄膜製造方法において用いる超電導マグネトロンスパッタ装置,特に減圧された容器内に設置してスパッタリングを行うガンに関し,ターゲット表面に磁場を形成してプラズマに影響を与えることにより,薄膜生成時の成膜速度などの性能や,生成薄膜における導電率などの性能を向上させることができ,マグネトロンスパッタガンに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,マグネトロンスパッタリングと呼ばれる成膜方法が広く用いられている(特開平4−116159号)。図14は,その原理図を示すもので,永久磁石931,932,931を設けたマグネトロンスパッタガン93の上にターゲット92を配置し,更にその上に薄膜を形成するための基板91を対向配置する。これらはAr等のスパッタガス雰囲気の真空チャンバー90内に収容されている。
【0003】
そして,スパッタリングによる成膜時には,ターゲット91の表面に平行に磁場95を印加して,ターゲット91の上にプラズマを集中させて,基板91の表面に薄膜を形成する。
【0004】
即ち,上記スパッタガス雰囲気を例えば数mTorr導入した後,ターゲット92と基板91との間に数KVの電圧を印加して,プラズマ放電を発生させる。このとき,プラズマ中の電子は,上記磁場95によってサイクロイド運動をしながらスパッタガス分子をイオン化する。このプラズマ状のスパッタガスイオンは,ターゲット92の表面に集束されるため,加速されてターゲット92の表面に衝突し,その表面よりターゲット物質をスパッタさせて,上記基板91上に大きな成膜速度で薄膜を形成する。
磁場95を印加する方法は通常,上記のごとく,ターゲット91の背面に永久磁石931,932,931を設置することにより行われる。
【0005】
ところで,電子機器の表示画面等に使われる液晶には透明導電膜が用いられている。この膜の例の一つであるインジウム錫酸化物(ITO)は,通常はスパッタリングで成膜されるが,光透過率と導電性の両方に優れた薄膜が得られることより,マグネトロンスパッタリングが用いられている。
ITOは成膜時のプラズマの照射によって膜が損傷しやすいが,プラズマを磁場で集中して,その外部で成膜できるマグネトロンスパッタリング方法は,プラズマによる膜の損傷が少なく,高い結晶性が得られる。そのため,高い導電率と高い透過率を得ることができるのである。
【0006】
現在最高の磁場が得られる永久磁石としては,ネオジウム鉄ホウ素(NdFeB)系希土類磁石があるが,これを用いる場合には,ターゲット表面に平行に1200ガウス以上の磁場を形成できる。これにより得られる膜性能は,市場で要求される値(3x10- 4 Ωcm)に対してほぼ同程度の3x10- 4 Ωcmの抵抗率が得られている。
【0007】
【解決しようとする課題】
しかし,透明導電膜においては,さらに低い抵抗率(高い導電率)が望まれている。そして,12x10- 4 Ωcm程度の抵抗率が達成できれぱ,膜厚を更に薄くでき,これに伴って透過率を向上することができる。
これは,液晶背面の光源の省電力化につながるし,同時に液晶の発熱を抑えることができるため,小型で電力清費の少ない機器の開発につながる。また,このことは,小型可搬式のノート型パソコンなどにはきわめて重要な性能向上となる。また広い液晶画面でも,表示の均一性が上がり,品質上の大きな利点となる。
【0008】
更に,マグネトロンスパッタガンにおける磁場の強化により,10- 5 Ωcmレベル以下の抵抗率を有する薄膜の生成が達成できれば,上記液晶における発熱量の低減はもとより,より薄膜化できるために工程時間の短縮ができ,低コストで優秀な上記表示素子ができる。
このように,スパッタリング時の磁場の強化がITO膜の抵抗を下げることはよく知られているにも拘らず,その技術が現出しないのは,磁場を形成する手段に限界があったからである。
【0009】
透明導電膜に必要なもう一つの特性としては,光透過率がある。そして,基板上への薄膜形成時,即ち結晶合成時に,プラズマによる膜のダメージが少ないほど,光透過性能がよくなる。この光透過性の特性を反映する要因としては,膜厚の他にも,膜の結晶性がある。
そして,磁場を強化すると,膜がプラズマに曝されにくくなり,膜の損傷が少なくなって,透過率が改善される。ここでもITO膜の合成に,強力な磁場が必要となることがわかる。
【0010】
また,マグネトロンスパッタリングの最も一般的な特徴はその成膜速度の速さにある。
即ち,ターゲット上に形成された磁場は,プラズマをターゲット表面近傍に集中して成膜速度を上げる。磁場が強力であればプラズマの集中は顕著であり,成膜速度は向上する。特に磁性体をターゲット材料とする場合は磁場がターゲット自体でシールドされるために表面に洩れる磁場が少なくなり,マグネトロンの効果が得られなくなる。そこで,磁場を通りやすくするためにターゲットの厚さを極力薄くする方法があるが,ターゲットが局所的に侵食されるために,ターゲットの利用効率が悪いという欠点があった。
【0011】
一方,特開平2−22468号公報には,スパッタ速度の向上を図る手段として,永久磁石の表面以外の周囲に超電導材料を覆うように設けて,永久磁石の周囲からの磁力線の発生を阻止する方法が示されている。この方法は,高温超電導体のマイスナー効果を使って磁場の分布を集中させて磁場の強化をねらったものである。ここでは超電導体としてY−Ba−Cu−O系高温超電導体を使用している。
【0012】
ところで,ギャップのまったくない磁路の中で永久磁石が発生する磁場は最大約1万ガウスであり,広い空間をギャップとして通ることになる磁場の最大値は,ターゲット表面に垂直な方向で4千ガウス,水平方向では2千ガウス以下である。
そのため,上記のごとく,超電導体で被覆して,磁場を集中させても,その磁場は数1000ガウスを超えることはない。Y−Ba−Cu−O系超電導体ののマイスナー効果による磁場の遮へい効果は,百ガウス以下のごく僅かであり,したがって,ここに記載の方法による磁場の強化は僅かである。
【0013】
即ち,磁場の発生源として永久磁石を用いる限り,これの磁場を超える磁場発生は原理的に不可能である。それ故,高温超電導体で永久磁石の周囲を覆っていても,従来技術では,効果のある磁場強化ができたとは言えない。
また,強磁性体ターゲットのみならず非磁性体ターゲットの成膜速度を有効に向上するためにも,磁場の強化されたマグネトロンガンの必要なことがわかる。
【0014】
そこで,本発明者らは,かかる従来技術の背景を検討し,マグネトロンスパッタガンにおける磁場発生用のマグネット自体について鋭意研究を重ねた。
本発明は,上記従来技術の問題点に鑑み,強力な磁場を発生することができ,かつターゲット表面の水平方向の磁場強度を向上して,成膜速度に優れた,超電導マグネトロンスパッタ装置を提供しようとするものである。
【0015】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,マグネトロンスパッタガンの上にターゲットを配置すると共に該ターゲットの上に薄膜を形成するための基板を対向配置し,これらを収容した真空チャンバー内をスパッタガス雰囲気にした状態で,上記基板の表面にターゲット物質を被着形成するスパッタ装置において,
上記マグネトロンスパッタガンは,内部磁路を形成するための磁極鉄芯材料よりなるヨークと,該ヨークの一部に配設した超電導バルクと,該超電導バルクを着磁させるための着磁コイルと,上記超電導バルクを超電導臨界温度以下に冷却する冷却手段とよりなり,
上記着磁コイルにパルス電流を加えて上記超電導バルクに磁場を捕捉させ,この磁場をターゲット表面に導いてスパッタリングを行なうよう構成し,
また,上記冷却手段は,冷凍機の冷凍部と,該冷凍部を配設した真空断熱容器であり,該真空断熱容器内に,上記超電導バルク,ヨーク及び着磁コイルが収納されており,
かつ上記冷凍機は,絶縁されていることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置にある。
【0016】
本発明において最も注目すべき点は,磁場発生源として超電導バルクを用いること,この超電導バルクをヨークの一部に配設すること,また上記超電導バルクを着磁させるための着磁コイル,超電導バルクを超電導臨界温度以下に冷却する冷却手段を用いること,及び上記パルス電流を用いて超電導バルクに磁場を捕捉させてこの磁場をターゲットに導いてスパッタリングを行なうよう構成したことにある。
【0017】
即ち,本発明においては,まず従来例に示したマグネトロンガンの永久磁石の代わりに,超電導バルクを用い,これに超電導状態で着磁して,これを擬似永久磁石として用い,従来の永久磁石よりもはるかに強力な磁場をターゲット表面に発生させるのである。
上記超電導バルクは,軟磁性鉄芯材によるヨーク磁路形成体の一部分に設置される。ヨークは電磁軟鉄や珪素鋼板の積層材またはパーメンジュールなどの軟磁性材料で構成する。
【0018】
次に,本発明の作用効果につき,説明する。
超電導バルクはその超電導臨界温度Tc以下に冷却された後,着磁される。超電導バルクの着磁には周辺の着磁コイルに外部からパルス電流を流して行われる。これにより,超電導バルクはこれまでの永久磁石では全く達成できなかった強力な磁場を捕捉した擬似永久磁石となる。この値は超電導バルクの軸に平行な方向で,例えば最大5万ガウスに達する。
【0019】
超電導バルクの発生する磁場は,これが組み込まれたヨークを通じて磁路に供給される。磁場は,あるものはヨークを通って,ターゲット背面に供給され,ターゲット表面に向かって放射される。ターゲットを通過しその表面に現れた磁場は,ターゲット表面に沿ってターゲット周辺に向かい,再びターゲットを通過して,ヨークの他端の対極に至る。
【0020】
ヨークは超電導バルクから発生した磁場を引きつけて通すが,その最大磁化以上の磁場の捕捉は不可能なので,約2万ガウス程度又はそれ以下の磁場のみがヨークの形成する磁路を通過する。
ここで注目すべきことは,2万ガウス程度の磁場の利用は,これまでのマグネトロンスパッタに使われた磁場よりもはるかに大きく,本発明の最も効果のあるところである。さらに,これ以上の磁場を要求する場合には,後述するように,ヨークの磁路中に複数の超電導バルクを配置し,一方の超電導バルクが発生した磁場を,対極の超電導バルクが吸収する構成を得ることにより達成できる。
【0021】
このように,強力なピン止め点をもつ超電導バルクを着磁して,磁石として用いることで,従来の永久磁石にない強力な磁場発生を可能にする。
それ故,従来では得られなかった,例えば2万ガウスという強力な磁場をターゲットに印加することができ,ターゲット表面の水平方向の磁場を向上させることができる。
【0022】
それ故,本発明の超電導マグネトロンスパッタ装置は,成膜速度に優れ,また損傷のない優れた薄膜を得ることができる。また,それ故,透明度に優れ,導電率の高い薄膜を得ることができる。
【0023】
また,本発明における磁場の強化によって,更に以下の他の効果が得られる。
即ち,強磁性体の成膜では,磁場の遮蔽効果によって,ターゲット表面に漏れ出る磁場が少なくなるために,ターゲット厚さを薄くする必要があった。
一般に鉄では1mm以下の厚さで行われているのが現状で,ターゲットの消耗によって短期に使用できなくなるため,利用効率が低かった。強力な磁場を用いれば,ターゲットを厚くできるため,利用効率が格段に向上する。
【0024】
また,磁場によってプラズマを集中できるために,従来はプラズマが不安定であった,10-5〜10-4Torrの低圧での成膜が可能になった。
また,このためスパッタリングの欠点の一つである,アルゴンや酸素などの異元素が薄膜中へ混入することが抑えられ,より良質な薄膜の作製が可能となる。
【0025】
次に,請求項2の発明のように,上記超電導バルクは,溶融法で合成したRE−Ba−Cu−O(REは,Y,Sm,Nd,Yb,Laのうちいずれか1種又は2種以上)で表され,REBa2 Cu3 Oyの中にRE2 BaCuO5 又はRE4 Ba2 Cu2 O10が微細に分散した組織を有する凝似単結品又は粗大結晶の集合体であることが好ましい。この場合には,一層強力な磁場を発生させることができる。
【0026】
即ち,溶融法によって合成されたバルクは,超電導相のREBa2 Cu3 Oy(REはY,Sm,Nd,Yb,Laのうちいずれか1種またはその複数の組み合わせ)の母相中にRE2 BaCuO5 またはRE4 Ba2 Cu2 O10の常電導相が微細に分散した組織となっている。
これらの常電導相の影響によって,ピン止め点が導入され,侵入磁場を捕捉して擬似永久磁石として振るまう。
【0027】
しかも,粗大結晶または擬似単結晶となって,超電導電流がバルク全体に流れるため,従来の焼結体の超電導バルクよりはるかに大きな磁場が捕捉できる。捕捉される磁場の大きさはY系の例で1〜3万ガウスの値が得られており,重イオン照射などによる特殊な方法によれば最大7万ガウスにも及ぶ。
【0028】
次に,請求項3の発明のように,上記超電導バルクは,その結晶軸のC軸が,上記着磁コイルの中心軸方向に沿った方向に配向している上記集合体であることが好ましい。これにより,バルク内に流れる超電導電流の作る磁場の方向がコイルの中心軸に一致して,更に強力な磁場発生を可能にするという効果が得られる。
また,上記着磁コイルの中心軸方向とは,コイル巻線の作る空間の軸方向をいう。
【0029】
次に,請求項4の発明のように,上記ヨークはその中心磁極に超電導バルクを配置し,ヨークの端部を対極として配置し,上記超電導バルクからターゲットに向けて磁場を放射する構成とすることが好ましい。
これにより,強力な磁場を有効に利用することができる。
【0030】
次に,請求項5の発明のように,上記超電導バルクは,上記ヨークの中心磁極の先端部分又は該先端部分よりも内側に配設することが好ましい。上記のように先端部分に配置する場合には磁場を直接にターゲットへ放射することができる。一方,ヨーク先端部分よりも内側に配置する場合には,ヨーク先端部分から均一な磁場を放射することができる。
【0031】
次に,請求項6の発明のように,上記超電導バルクはヨークの中心磁極と端部との間に配設し,ヨークを通じてターゲットに向けて磁場を放射することもできる。この場合には,より強力な磁場を放射することができる。
【0032】
次に請求項7の発明のように,上記ヨークには,その中心磁極及び端部にそれぞれ独立して超電導バルクを配置し,中心磁極の超電導バルクからターゲットに向けて磁場を放射し,端部の超電導バルクによりその磁場を吸収することもできる。この場合には,より強力な磁場を,分布よくターゲットへ供給することができる。
【0033】
次に,上記冷却手段は,真空断熱容器とその中へ循環供給される冷却媒体であり,上記真空断熱容器内には上記超電導バルク,ヨーク及び着磁コイルが収納されている構成とすることができる。この場合には,冷却媒体を循環させるだけの簡単な構成から,装置が小型となる効果がある。
【0034】
次に,上記冷却手段は,冷凍機の冷凍部と,該冷凍部を配設した真空断熱容器であり,該真空断熱容器内に,上記超電導バルク,ヨーク及び着磁コイルが収納されている構成とすることもできる。この場合には,冷却媒体を使う場合より,磁極をターゲットに近接して設置できるため,より強力な磁場を使うことができる。
【0035】
次に,請求項8の発明のように,上記ヨークの両端部は水冷容器内に配設されている構成とすることもできる。この場合には,ターゲットに対してより近接する磁極の構成となり,更に磁場を有効に使うことができるという効果が得られる。
【0036】
次に,請求項9の発明のように,上記ターゲットとマグネトロンスパッタガンとの間には,ターゲットの過熱を防止するための水冷板を有することが好ましい。この場合には,ターゲットの過熱防止ができるので,冷却したバルクや磁極への熱侵入を防ぐことができ,強い磁場発生が安定に得られるという効果がある。
次に,請求項10の発明のように,上記真空断熱容器は,カソードとされると共に,上記冷凍機は上記真空断熱容器と絶縁されていることが好ましい。
次に,請求項11の発明のように,上記着磁コイルは,上記超電導バルクの周囲に熱的に隔離されて配置されていることが好ましい。
次に,請求項12の発明のように,上記着磁コイルと上記超電導バルクとは空間的に離間されていることが好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
次に,本発明の実施形態例にかかる超電導マグネトロンスパッタ装置につき,図1〜図6を用いて説明する。
本例の超電導マグネトロンスパッタ装置は,図1〜図3に示すごとく,マグネトロンスパッタガン10の上にターゲット53を配置すると共に該ターゲット53の上に薄膜を形成するための基板530を対向配置し,それらを収容した真空チャンバー5内をスパッタガス雰囲気にした状態で上記基板530の表面にターゲット物質を被着形成するスパッタ装置である。
【0038】
上記マグネトロンスパッタガン10は,内部磁路を形成するための磁極鉄芯材料よりなるヨーク3と,該ヨーク3の一部に配設した超電導バルク1と,該超電導バルク1を着磁させるための着磁コイル2と,上記超電導バルク1を超電導臨界温度以下に冷却する冷却媒体を用いた冷却手段とよりなる。
【0039】
そして,上記着磁コイル2にパルス電流を加えて上記超電導バルク1に磁場を捕捉させ,この磁場をターゲット53の表面に導いてスパッタリングを行なうよう構成してある。
【0040】
本例において,上記超電導バルク1は,溶融法で合成したRE−Ba−Cu−O(REは,Y,Sm,Nd,Yb,Laのうちいずれか1種又は2種以上)で表され,REBa2 Cu3 Oyの中にRE2 BaCuO5 又はRE4 Ba2 Cu2 O10が微細に分散した組織を有する凝似単結品又は粗大結晶の集合体を用いている。
【0041】
また,上記超電導バルク1は,その結晶軸のC軸が,上記着磁コイル2の中心軸方向に沿った方向に配向している上記集合体である。
また,上記ヨーク3はその中心磁極31の先端部分に超電導バルク1を配置し,ヨークの端部32を対極として配置し,上記超電導バルク1からターゲットに向けて磁場を放射する構成としてある(図1,図3)。
【0042】
また,上記冷却手段は,真空断熱容器48と,その中の低温容器42中へ循環供給される冷却媒体であり,低温容器42内には上記超電導バルク1,着磁コイル2及びヨーク3が収納されている。
また,上記ターゲット53とマグネトロンスパッタガン10との間には,ターゲット53の過熱を防止するための水冷板43を有する。
【0043】
以下,これらにつき詳しく説明する。
図2,図3に本発明のマグネトロンガン10の磁気回路部分の模式図を示す。
軟磁性の磁極鉄芯材料からなるヨーク3の中心磁極31の先端部に連続して超電導バルク1を設置してある。超電導バルクは擬似単結晶からなり,結晶軸のc軸が磁場方向に沿った向きになっている。ヨーク32はその下面に板状の連結部分30をもち,更に外側の端部に超電導バルク1の上面とは対になる対極32がある。
【0044】
超電導バルク1の周囲には,図1〜図3に示すごとく,着磁コイル2が設置され,超電導バルクを磁化するために用いる。超電導バルク1,着磁コイル2,及びヨーク3は液体窒素5が供給される低温容器42に収納されている。低温容器42の上側にターゲット53を設置する。超電導バルク1から出た磁場は,その上面から空間に放射され,その磁束線17は低温容器42を通してターゲット53に供給されたのち,両側のヨーク32に戻る。
【0045】
また,図1,図2において,上記低温容器42の冷却室420へは,別に設けた液体窒素タンクより,ポンプを介して,ノズル422,423を介して,冷却媒体としての液体窒素が循環されている。
また,上記低温容器42は,真空断熱容器48の内部に配設され,両者は,絶縁性支持体481によりシールされている。該真空断熱容器48は排気口482を介して,その内部が約10-4Torrに減圧されている。真空断熱容器48は,プラズマ用電源485に接続されている。
【0046】
更に,上記真空断熱容器48は,マグネトロンスパッタガン10,基板530を入れる,真空チャンバー5の中に配置され,両者の間はチャンバー台59を介して絶縁性支持体483によりシールされている。真空チャンバー5の室内51は,ノズル52を介して一旦約10-5Torr以下に減圧され,その後スパッタ雰囲気用ガスとしてのArが少量導入される。
【0047】
上記着磁コイル2には,例えば0.1〜50msのパルス電流を供給するための着磁線25が,上記低温容器42内を,液体窒素により冷却された状態で配線されている。
また,ターゲット53とスパッタガン10との間の設けた水冷板43には,その水冷室431に,パイプ430,432を介して,冷水が循環されている。
【0048】
超電導バルク1の表面で発生できる磁場は,Y系超電導バルクで3万ガウス程度,他のRE系バルクで5〜7万ガウスに至る。この強力な磁束線17は超電導バルク1から対極のヨーク32の上面に達するまでに,ターゲット53の表面に,表面に平行に最大約1万ガウスから3万ガウスの磁場を与えることができる。
【0049】
この磁場は,図4〜図6に示すように,1万ガウスで2x10−3Ωcmの抵抗率,95%以上の透過率,強磁性体で従来のガンを使った場合の1.5倍,ITOで2倍の成膜速度を達成する。更に3万ガウスにいたっては,従来では達成不可能な10- 5 Ωcm台の抵抗をもつITO膜の製造につながるものである。
【0050】
さて強力な磁場の印加によって起こる薄膜形成への影響は以下のようである。
まず,図4に透明導電膜(ITO)の抵抗率の磁場強度依存性を示す。磁場は5mm厚のITOターゲット表面に平行な方向である。磁場の強化とともに抵抗率の低下,導電率の向上がみられる。
通常の永久磁石で達成される最大の磁場は,約2千ガウスであり,これにより得られるITOの抵抗率は,3x10−3オームセンチメーター(Ωcm)が限界である。これに対し,超電導バルクを磁石に使うと,2万ガウスの磁場で1x10- 4 Ωcmの低抵抗率が達成できることがわかる。ここまでは,ヨークによる磁路形成が効果的である範囲である。
【0051】
しかも2万ガウス以上の磁場では,ITOの抵抗率は10- 4 Ωcmよりも減少して,さらに優秀な性能の膜であることがわかる。
これは,主として,磁場の強化によって成膜時のプラズマの集中がよくなり,ITO膜への損傷が抑えられたために,膜の結晶性がよくなって欠陥が減少したことによると考えられる。
【0052】
次に,図5に,基板加熱なしに合成した,膜厚1300オングストロームのITO膜の光透過率の磁場強度依存性を示す。磁場の強化によって透過率が向上している。通常の永久磁石によるガンで達成できる2千ガウスでは93%の透過率が得られるが,磁場の強化によってさらに向上する様子が分かる。
これも磁場の強化が生むプラズマダメージの抑制が膜の結晶性を向上させたことが主な原因である。これらの特性向上は従来の液晶表示機器などの発熱を有効に押さえ,光源の輝度を下げることができ,表示の均一性を向上して,より省電力で高性能な機器を約束する。
【0053】
さらに,図6には,ITOと,強磁性膜の一種であるNiCo膜とについて,磁場と成膜速度との測定結果を示す。
ITOは,ターゲット厚み5mm,3x10-3Torrのアルゴンと酸素の混合雰囲気で,電源出力300Wで成膜したものである。また,NiCo膜はターゲット厚1mmで3x10-3Torrのアルゴン雰囲気で,電源出力1kWで成膜したものである。
【0054】
いずれも,磁場の増加で成膜速度が上昇し,永久磁石の限界である2千ガウスまでの磁場では,ITOが130Å/min,NiCoが180Å/minであるが,超電導バルクによる2万ガウスまでの強化で,双方とも約2〜3倍の400Å/minに向上する。
【0055】
これは,強力な磁場の効果でプラズマの集中がより緻密になり,ターゲット53へのイオン照射の頻度が増加したためであると考えられる。
このように,成膜速度の向上は工程の短縮を引き出し,より高性能の膜を安価に製造できる技術として効果が大きい。
【0056】
次に,本例の作用効果につき,説明する。
図1に示すごとく,超電導バルク1はその超電導臨界温度Tc以下に冷却された後,着磁される。超電導バルク1の着磁には周辺の着磁コイル2に外部からパルス電流を流して行われる。これにより,超電導バルク1はこれまでの永久磁石では全く達成できなかった強力な磁場を捕捉した擬似永久磁石となる。この値は超電導バルクの結晶軸のC軸に平行な方向で,最大5万ガウスに達する。
【0057】
超電導バルク1の発生する磁場は,図1〜図3に示すごとく,これが組み込まれたヨーク3を通じて磁路に供給される。磁場は,ターゲット53の背面に供給され,ターゲット53の表面に向かって放射される。そして,磁場17は,ターゲット表面に沿ってターゲット周辺に向かい,再びターゲット53を通過して,ヨーク3の他端の対極に至る。
【0058】
ヨーク3は超電導バルク1から発生した磁場17を引きつけて通すが,その最大磁化以上の磁場の捕捉は不可能なので,約2万ガウス程度又はそれ以下の磁場17のみがヨーク3の形成する磁路を通過する。
ここで注目すべきことは,2万ガウス程度の磁場17の利用は,これまでのマグネトロンスパッタに使われた磁場よりもはるかに大きい。
【0059】
このように,強力なピン止め点をもつ超電導バルク1を着磁して,磁石として用いることで,従来の永久磁石にない強力な磁場発生を可能にする。
それ故,従来では得られなかった,2万ガウスという強力な磁場17をターゲット53に印加することができ,ターゲット53の表面の水平方向の磁場17を向上させることができる。
【0060】
それ故,本発明の超電導マグネトロンスパッタ装置は,成膜速度に優れ,また損傷のない優れた薄膜を得ることができる。また,それ故,透明度に優れ,導電率の高い薄膜を得ることができる。
また,本例においては,冷水板43によりターゲット53を冷却しているので,その過熱を防止でき,優れた薄膜を形成できる。
【0061】
実施形態例2
本例は,図7に示すごとく,ヨーク3の中心磁極31に,その先端部分よりも内側に超電導バルク1を配置した例である。
即ち,超電導バルク1の上部に上部ヨーク311を設けてある。
この場合は,超電導バルク1の表面から発生する磁場は,その上の上部ヨーク311を介して放射される。そのため,超電導バルク1表面の磁場の不均一性は,上部ヨーク311によって均一化され,均一性のよい磁場がターゲットに向けて放射される。
その他は,実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
実施形態例3
本例は,図8,図9に示すごとく,ヨーク3の中心磁極31と,環状の対極としての端部32との間に,4個の超電導バルク1を配置した例である。また,超電導バルク1の周囲には着磁コイル2が配置してある。
即ち,本例では中心磁極31と端部32との間に設けた十字状の連結部分30に,それぞれ1個の超電導バルク1を配置してある。
【0063】
この場合は,複数個の超電導バルク1を中心磁極31と端部32との間に設置できるので,中心磁極31から放射される磁束線は,より強力になる。
したがって,所望の磁場を得るための個々のバルクの性能が低くても良いというメリットがある。その他は,実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
実施形態例4
本例は,図10,図11に示すごとく,ヨークの中心磁極31に超電導バルク1を,また対極としての両端部32,32にそれぞれ超電導バルク13,14を配置した例である。そして,超電導バルク1,13,14には,それぞれ着磁コイル2,23,24を配設した。
また,ヨーク3は,円形状ではなく,中央の長方形の中心磁極31と,その左右に設けた長方形の端部32とよりなる。
【0065】
即ち,この構成では,図11に示すような平面図になる。超電導バルク1は角形になり,対極の超電導バルク13,14も角形または刃状となる。各々に着磁コイルが設置される。
そして,中心磁極31の超電導バルク1の上部がN極で,両側の超電導バルク13,14がS極に着磁される。
【0066】
上記実施形態例1〜3の構成では,超電導バルク1の発生する磁場は,対極である端部32に吸収される。それ故,端部32が飽和磁束密度以下の磁場,具体的には例えば約2万ガウス以下の磁場に対して有効である。
しかし,超電導バルク1の発生磁場がこの値を超えると,磁場の分布はヨークの作る磁路に制約されないため,磁場分布が悪くなる。
【0067】
これに対して,本例では上記のごとく,端部32,32に超電導バルク1,13,14を設け,超電導バルク1と超電導バルク13,14とは,その磁極を反転させてある。そのため,超電導バルク1から放射される磁束線10は,有効に超電導バルク13,14に吸収されることになり,ターゲット53への磁場供給が分布よくなされる。
その他は,実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
実施形態例5
本例は,図12に示すごとく,実施形態例1における液体窒素に代えて,冷却手段として冷凍機6を用いた例である。
そして,該冷凍機6の冷凍部61は,ヨーク3の中心磁極31の下部に接触させてある。
本例においては,冷凍機で77Kよりも低温にすれば,高温超電導バルクは77Kで捕捉される磁場よりもはるかに強力な磁場を捕捉でき,上記の液体窒素での冷却に比べて2〜3倍の磁場が発生できる。
【0069】
本例においては,超電導バルク1,ヨーク3,着磁コイル2は,すべて真空断熱容器48に直接納められている。真空断熱容器48は排気口482から真空ポンブで排気して断熱を保つ。真空断熱容器48は絶縁性支持体481を介して本体49に設置される。真空断熱容器48はそのままカソードとして成膜用の直流電源または高周波電源485に接続される。
【0070】
このため冷凍機6は絶縁性支持体481を介して設置される。ターゲット53の背面には過熱を防ぐために水冷板43が挟まれ,樹脂ホース431から冷却水が供給される。
パルス電源からの着磁電流は,真空断熱容器48に設けたハーメチックシール252を通した着磁線25を通じて印加される。
この構成では,冷却に液体やガスを用いる場合に比べて,低温容器が不要になる分,超電導バルク1またはヨーク3と,ターゲット53までの距離を短くでき,発生磁場をより有効に使うことができる利点をもつ。
その他は実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の作用効果が得られる。
【0071】
実施形態例6
本例は,図13に示すごとく,ヨーク3の中心磁極31と両端部32との間に真空断熱容器48を介設し,該真空断熱容器48の中に超電導バルク1と着磁コイル2と中心磁極31とを配置した例である。
真空断熱容器48の外周には冷却水を循環する冷却水溶器487を設ける。冷却水は入口ノズル488より冷却室489の中に入れる。
【0072】
即ち,着磁の際に着磁コイル2に流す電流は,低温に冷却した超電導バルク1の温度上昇につながるため,高磁場の着磁には超電導バルクを着磁コイル2から熱的に分離できる構造が望ましい。超電導バルク1と着磁コイル2を分離して,着磁の際の着磁コイル2の発熱による超電導バルクの温度上昇を抑えた構成が本例である。
【0073】
超電導バルク1は冷凍機6の冷凍部61に,磁路の一部をなす軟磁性磁心材のヨーク3の中心磁極31を介して接続され,これらは真空断熱容器48の中に設置される。超電導バルクの外側に対極をなすヨーク端部32が設置ざれ,ターゲット53の過熱を抑えるための冷却水を循環する冷却水容器487に納められている。
【0074】
着磁コイル2は超電導バルクの周囲に,熱的に隔離されて設置される。この例では,冷凍機と超電導バルク1が着磁コイル2と分離できるので,超電導バルクに着磁コイルからの発熱が伝わらず,より強力な着磁ができる。また,ターゲット6の近くで磁場が放射されるため,磁場の有効利用が図れる。
その他は実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
なお,上記図1,図12,図13の構成では,ターゲット53の表面に形成できる,ターゲットに平行な方向の磁場は最大1万ガウスである。この超電導バルクの配置の他に上記図8,図10の構成による超電導バルク1とヨーク3の配置を加えて構成すると最大3万ガウスまでが可能である。
【0076】
このように,超電導バルクの発生する磁場は,従来の永久磁石による磁場をはるかに越えて,ターゲット表面に強力な磁場を与えることができる。
本発明は,従来の永久磁石に頼って得られていたマグネトロンガンの磁場を,高温超電導バルクを使うことによって,はるかに高性能化して,従来にない優秀なマグネトロンガンを提案するものであって,その産業的価値は究めて高い。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば,本発明は,強力な磁場を発生することができ,かつターゲット表面の水平方向の磁場強度を向上して,成膜速度に優れた,超電導マグネトロンスパッタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,超電導マグネトロンスパッタ装置の断面説明図。
【図2】実施形態例1における,マグネトロンスパッタガンの断面説明図。
【図3】実施形態例1における, マグネトロンスパッタガンの要部平面図。
【図4】実施形態例1における,超電導バルクの磁場とITO膜の抵抗率との関係を示す線図。
【図5】実施形態例1における,超電導バルクの磁場とITO膜の光透過率との関係を示す線図。
【図6】実施形態例1における,超電導バルクの磁場と成膜速度との関係を示す線図。
【図7】実施形態例2における,超電導マグネトロンスパッタ装置の断面説明図。
【図8】実施形態例3における,超電導マグネトロンスパッタ装置の断面説明図。
【図9】実施形態例3における,マグネトロンスパッタガンの要部平面図。
【図10】実施形態例4における,マグネトロンスパッタガンの断面説明図。
【図11】実施形態例4における,マグネトロンスパッタガンの要部平面図。
【図12】実施形態例5における,超電導マグネトロンスパッタ装置の断面説明図。
【図13】実施形態例6における,マグネトロンスパッタガンの断面説明図。
【図14】マグネトロンスパッタ装置の説明図。
【符号の説明】
1...超電導バルク,
2...着磁コイル,
3...ヨーク,
31...中心磁極,
32...端部,
48...真空断熱容器,
5...真空チャンバー,
53...ターゲット,
530...基板,
6...冷凍機,
Claims (12)
- マグネトロンスパッタガンの上にターゲットを配置すると共に該ターゲットの上に薄膜を形成するための基板を対向配置し,これらを収容した真空チャンバー内をスパッタガス雰囲気にした状態で,上記基板の表面にターゲット物質を被着形成するスパッタ装置において,
上記マグネトロンスパッタガンは,内部磁路を形成するための磁極鉄芯材料よりなるヨークと,該ヨークの一部に配設した超電導バルクと,該超電導バルクを着磁させるための着磁コイルと,上記超電導バルクを超電導臨界温度以下に冷却する冷却手段とよりなり,
上記着磁コイルにパルス電流を加えて上記超電導バルクに磁場を捕捉させ,この磁場をターゲット表面に導いてスパッタリングを行なうよう構成し,
また,上記冷却手段は,冷凍機の冷凍部と,該冷凍部を配設した真空断熱容器であり,該真空断熱容器内に,上記超電導バルク,ヨーク及び着磁コイルが収納されており,
かつ上記冷凍機は,絶縁されていることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。 - 請求項1において,上記超電導バルクは,溶融法で合成したRE−Ba−Cu−O(REは,Y,Sm,Nd,Yb,Laのうちいずれか1種又は2種以上)で表され,REBa2 Cu3 Oyの中にRE2 BaCuO5 又はRE4 Ba2 Cu2 O10が微細に分散した組織を有する凝似単結品又は粗大結晶の集合体であることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1又は請求項2において,上記超電導バルクは,その結晶軸のC軸が,上記着磁コイルの中心軸方向に沿った方向に配向している上記集合体であることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記ヨークはその中心磁極に超電導バルクを配置し,ヨークの端部を対極として配置し,上記超電導バルクからターゲットに向けて磁場を放射することを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項4において,上記超電導バルクは,上記ヨークの中心磁極の先端部分又は該先端部分よりも内側に配設してあることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記超電導バルクはヨークの中心磁極と端部との間に配設し,ヨークを通じてターゲットに向けて磁場を放射することを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記ヨークには,その中心磁極及び端部にそれぞれ独立して超電導バルクを配置し,中心磁極の超電導バルクからターゲットに向けて磁場を放射し,端部の超電導バルクによりその磁場を吸収することを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜7において,上記ヨークの両端部は水冷容器内に配設されていることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜8において,上記ターゲットとマグネトロンスパッタガンとの間には,ターゲットの過熱を防止するための水冷板を有することを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜9において,上記真空断熱容器は,カソードとされると共に,上記冷凍機は上記真空断熱容器と絶縁されていることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜10において,上記着磁コイルは,上記超電導バルクの周囲に熱的に隔離されて配置されていることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
- 請求項11において,上記着磁コイルと上記超電導バルクとは空間的に離間されていることを特徴とする超電導マグネトロンスパッタ装置。
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