JP2015500827A - Clostridiumdifficile毒素ベースのワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、C. difficileに関連する病気に対するワクチンの開発に使用しうるC. difficile のTcdAおよびTcdBの組換え体断片に関連する。より具体的には、ToxB-GT抗原およびTcdA抗原またはToxA-GT抗原およびTcdB抗原を含む組合せに関連する。一局面において、上記ToxB-GT抗原および/または上記ToxA-GT抗原は解毒されている。別の局面において、上記ToxB-GT抗原は、以下:(a)配列ID番号:18または配列ID番号:60に対して80%以上の同一性を持つアミノ酸配列、および/または(b)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:18または配列ID番号:60のアミノ酸か、または配列ID番号:18または配列ID番号:60に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:18または配列ID番号:60の抗原決定基を含むアミノ酸配列、を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。

Description

本発明は、Clostridium difficileに対する毒素ベースのワクチンの分野に属する。
背景技術
C. difficileは、ヒトの腸管内に無症候的に存在できるグラム陰性で、胞子を形成する嫌気性菌である。その他の腸内フローラの欠如(例えば、抗生物質および化学療法治療による)により、結腸内でのC. difficile胞子の出芽が許容される生態的地位が形成され、結果的に深刻な腸疾患が発生する[1]。よって、抗生物質治療は、この通常は無害の微生物を入院患者で特に流行する転帰である多様な腸疾患の原因となる薬剤に変化させることがある。
C. difficileは、院内の腸感染症の優勢な病原体であり[2,3]、また抗生物質に関連した下痢の事例のおよそ20%、抗生物質に関連した大腸炎の事例の最大75%、および偽膜性大腸炎のほぼすべての事例[4]の原因となる。加齢、既存の重篤な病気および免疫防御の弱体化などの宿主因子により、個人は症候性感染にかかりやすくなる[1]。こうしたC. difficileに関連した病気(CDAD)は通常、集中治療室で発生し、特に年齢が60歳を超える患者に影響する。
CDADの治療には典型的に、害となる抗生物質の中止、経口のメトロニダゾールまたはバンコマイシン治療および補液の開始が関与する。ところが、抗生物質抵抗性の腸管病原体の出現が、CDADを治療するための抗生物質の使用に対する懸念を引き起こしてきた。その上、患者の最大20%が、抗生物質の過程完了から1〜2週以内に再発し、また再発のリスクは追加的に再発するたびに著しく増大する[5,6]。また、再発の出来事の50%以上が、初感染の再発というよりは、異なるC. difficile菌株による再感染によることが報告されている[7]。予防手段は、患者の隔離、手指衛生の実施および接触の予防に基づくものであるが、その成功度にはばらつきがあり限定的な場合が多い。
現時点で、CDADに対する効果的なワクチンはない。C. difficileに関連した疾患の予防および/または治療のためのワクチン開発に使用するための、C. difficileに対する免疫応答の向上に効果的な組成を提供することが、本発明の一つの目的である。
Giannasca, P.J. and Warny, M. Vaccine.(2004)22(7)848〜856 Samore, M.H. Compr. Ther.(1993)19, 151〜156
こうして本発明は、Clostridium difficile抗原の組合せを含む免疫原性組成を提供するが、前記組合せは以下を含む:
a) ToxB-GT抗原およびTcdA抗原、または
b) ToxA-GT抗原およびTcdB抗原。
こうして、本発明は、Clostridium difficile抗原の組合せを含む免疫原性組成を提供するが、前記組合せは、a)ToxB-GT抗原およびTcdA抗原、またはb)ToxA-GT抗原およびTcdB抗原を含む。望ましくは、ToxB-GT抗原および/またはToxA-GT抗原は、解毒される。
一つの実施形態において、ToxB-GT抗原は、(a)配列ID番号:18または配列ID番号:60に対して80%以上の同一性を持つ、および/またはb)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:18または配列ID番号:60のアミノ酸か、または配列ID番号:18または配列ID番号:60に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:18または配列ID番号:60の抗原決定基を含む、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドであり、ToxA-GT抗原は、以下の(a)配列ID番号:4または配列ID番号:56に対して80%以上の同一性を持つ、および/またはb)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:4または配列ID番号:56のアミノ酸か、または配列ID番号:18または配列ID番号:56に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:4または配列ID番号:56の抗原決定基を含む、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドであり、TcdA抗原は、(a)配列ID番号:1に対して80%以上の同一性を持ち、および/またはb)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:1のアミノ酸か、または配列ID番号:1に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:1の抗原決定基を含む、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドであり、TcdB抗原は、(a)配列ID番号:2に対して80%以上の同一性を持ち、および/またはb)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:2のアミノ酸か、または配列ID番号:2に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:2の抗原決定基を含む、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。
一つの実施形態において、免疫原性組成は、ToxB-GT抗原および(1)ToxA-ED抗原(配列ID番号:3)、(2)ToxA-GT抗原(配列ID番号:4)、(3)ToxA-CP抗原(配列ID番号:5)、(4)ToxA-T抗原(配列ID番号:6)、(5)ToxA-T4抗原(配列ID番号:7)、(6)ToxA-B抗原(配列ID番号:8)、(7)ToxA-PTA2抗原(配列ID番号:9)、(8)ToxA-P5-7抗原(配列ID番号:10)、(9)ToxA-P5-6抗原(配列ID番号:11)、(10)ToxA-P9-10抗原(配列ID番号:12)、(11)ToxA-B2抗原(配列ID番号:13)、(12)ToxA-B3抗原(配列ID番号:14)、(13)ToxA-B5抗原(配列ID番号:15)、(14)ToxA-B6抗原(配列ID番号:16)または完全長TcdA抗原(配列ID番号:1)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個もしくはそれを上回るTcdA抗原を含む。免疫原性組成は、(1)ToxB-ED抗原(配列ID番号:17)、(2)ToxB-GT抗原(配列ID番号:18)、(3)ToxB-CP抗原(配列ID番号:19)(4)ToxB-T抗原(配列ID番号:20)、(5)ToxB-B抗原(配列ID番号:21)、(6)ToxB-B2抗原(配列ID番号:22)(7)ToxB-B7(配列ID番号:23)または(8)完全長TcdB抗原(配列ID番号:2)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8個もしくはそれを上回る追加的TcdB抗原をさらに含む。
一つの実施形態において、免疫原性組成は、ToxA-GT抗原および(1)ToxB-ED抗原(配列ID番号:17)、(2)ToxB-GT抗原(配列ID番号:18)、(3)ToxB-CP抗原(配列ID番号:19)(4)ToxB-T抗原(配列ID番号:20)、(5)ToxB-B抗原(配列ID番号:21)、(6)ToxB-B2抗原(配列ID番号:22)(7)ToxB-B7(配列ID番号:23)または(8)完全長TcdB抗原(配列ID番号:2)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9個もしくはそれを上回るTcdB抗原を含む。免疫原性組成はさらに、(1)ToxA-ED抗原(配列ID番号:3)、(2)ToxA-GT抗原(配列ID番号:4)、(3)ToxA-CP抗原(配列ID番号:5)、(4)ToxA-T抗原(配列ID番号:6)、(5)ToxA-T4抗原(配列ID番号:7)、(6)ToxA-B抗原(配列ID番号:8)、(7)ToxA-PTA2抗原(配列ID番号:9)、(8)ToxA-P5-7抗原(配列ID番号:10)、(9)ToxA-P5-6抗原(配列ID番号:11)、(10)ToxA-P9-10抗原(配列ID番号:12)、(11)ToxA-B2抗原(配列ID番号:13)、(12)ToxA-B3抗原(配列ID番号:14)、(13)ToxA-B5抗原(配列ID番号:15)、(14)ToxA-B6抗原(配列ID番号:16)または完全長TcdA抗原(配列ID番号:1)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個もしくはそれを上回る追加的TcdA抗原を任意に含む。
一つの実施形態において、免疫原性組成は、i)ToxA-GT抗原またはToxB-GT抗原、およびii)ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6から選択される少なくとも一つのTcdA抗原、およびToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7から選択される少なくとも一つのTcdB抗原を含む。
一つの実施形態において、免疫原性組成は、i)ToxA-GT抗原およびToxB-GT抗原、およびii)ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6から選択される少なくとも一つのTcdA抗原、およびToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7から選択される少なくとも一つのTcdB抗原を含む。
一つの実施形態において、免疫原性組成は、ToxB-GT抗原、TcdA抗原およびさらなるTcdB抗原を含み、前記組成は任意に(a)ToxB-GT+ToxA-B2+ToxB-B、または(b)ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-P5-6を含む。一つの実施形態において、組成は、ToxB-GT抗原、ToxA-GT抗原、さらなるTcdA抗原およびさらなるTcdB抗原を含み、前記組合せは、任意にToxB-GT+ToxA-GT+ToxA-B2+ToxB-Bを含む。
一つの実施形態において、組成中の少なくとも二つの抗原は、混成ポリペプチドの形態である。別の実施形態において、抗原のいずれも混成ポリペプチドの形態ではない。
一部の実施形態において、免疫原性組成は、C. difficile毒素Aおよび毒素Bに対する中和価を誘発する。
一部の実施形態において、免疫原性組成は、少なくとも一つのさらなるC. difficile抗原を含み、前記さらなるC. difficile抗原は任意に糖類抗原である。
一部の実施形態において、免疫原性組成は、ワクチン組成である。一部の実施形態において、ワクチン組成はさらにアジュバントを含む。一部の実施形態において、ワクチン組成は医薬品用である。一部の実施形態において、ワクチン組成は、哺乳動物(望ましくは、ヒト)での免疫応答を高めるために使用するためのものである。一部の実施形態において、ワクチン組成は、C. difficileに関連した病気の治療または予防のためのものである。
一つの実施形態において、本発明は、有効量の免疫原性組成またはワクチンを哺乳動物に投与する手順を含む、哺乳動物での免疫応答を高めるための方法を提供する。
C. difficileの全ての病原性菌株は、1つまたは2つの大きな外毒素(TcdAおよびTcdBであり、本書ではToxAおよびToxB、および毒素Aおよび毒素Bともいう)を発現する。TcdAおよびTcdBは、大きなクロストリジウム細胞毒(LCD)群に属し、49%のアミノ酸同一性を示す。これらは、複数ドメイン構造[8,9]に構成されている単鎖ポリペプチド鎖、高分子量外毒素(それぞれ308および270kDa)である。TcdAおよびTcdB、tcdAおよびtcdBを符号化する遺伝子は、19.6kbのC. difficile病原性遺伝子座[10]に位置する。LCD群のその他の構成要素と同様、TcdAおよびTcdBは、各ドメインが別個の機能をするモジュール構成のドメインとして組織される[11]。TcdAおよびTcdBのドメイン構造を、図1に図示する。
TcdA/Bの作用機序の概要が、参考文献11に記載されている。手短にいえば、TcdA/BのC末端(図1では「B」で表示)は、上皮細胞の表面への毒素結合を担う。両方の毒素のC末端領域は、クロストリジウム反復オリゴペプチドまたは肺炎球菌LytAの反復体に対するそれらの相同性による細胞壁結合ドメインとして知られる残基反復体で構成され、細胞表面の認識およびエンドサイトーシスを担う[12]。最近、TcdAのC末端断片の結晶構造が解決され、ソレノイド様の構造が明らかにされたが、これは15-21個の残基を有する32個の短い反復体と、30個の残基を有する7個の長い反復体で構成される(参考文献13)。TcdAおよびTcdBのC末端反復領域は類似し、日常的に特定されうる。
上皮細胞へのTcdA/Bの結合は受容体を媒介するエンドサイトーシスを誘発し、細胞質内への浸入を促進する。いったん内部移行されると、毒素はサイトゾルへの移動のために酸性のエンドソームを必要とする。エンドソームのpHの低下は構造変化を誘発し、その結果、疎水性転位ドメイン(図1で「T」で表示)の露出、および酵素によるN末端(グリコシルトランスフェラーゼドメインおよびシステインプロテアーゼドメインを含み、それぞれ図1で「GT」および「CP」で表示)の挿入が起こり、細孔の生成を介したエンドソームへの侵入が許容されると考えられる[13]。最近になって、参考文献14および15は、宿主細胞からのイノシトールヘキサキスホスファートが、システインプロテアーゼ(「CP」)部位でのN-末端領域の自己触媒作用による切断を誘発し、それによってN-末端グルコシルトランスフェラーゼ(「GT」)ドメインをサイトゾル内に放出することを示した(毒素の残留したものが、エンドソーム内に残ると考えられる)。切断されると、GTドメインは、ブドウ糖残基をUDP-ブドウ糖からRho-GTPasesへと移動させる能力があり、細胞シグナル伝達を不活性化すると考えられる[16]。Rho-GTPasesの阻害は、アクチン細胞骨格および密接結合の完全性の調節不全を含めた一連のカスケード効果の原因となり、これが集合的に薄膜透過性の増大およびバリア機能の損失[17]、下痢、炎症、および好中球の流入、および生得的な免疫応答のその他の構成要素につながる[18]。
こうして、TcdAおよびTcdB外毒素は、C. difficileに起因する臨床症状の主要な原因であるタンパク質であり[19,20,21]、CDADを処置および阻止するためのワクチン開発の試みの焦点となってきた。参考文献19では、組換えTcdAに対する抗体が負荷試験の前に投与される場合、下痢を阻止するのに十分であることが見出されている。TcdBに対する免疫応答も、C. difficileのTcdA陰性、TcdB陽性の菌株に関連した下痢および偽膜性大腸炎についての多数の報告で強調されるとおり、病気の発現および/または免疫においてある役割を果たし得る[22,23,24,25]。
ホルムアルデヒド不活性化TcdAおよびTcdBの混合物を用いた前臨床研究は、TcdAとTcdBのどちらも、C. difficileに関連した下痢の病原性および感染防御免疫の生成に関与している可能性があることを示唆してきた[26]。TcdAおよびTcdBは細胞培養から精製しうるが、不活性化プロセスはトキソイドベースのワクチンの調製における大きな限界を示している。毒素の不活性化は、一般的に毒素ポリペプチド内のアミノ酸を交差結合する、ホルムアルデヒド処理により達成される。ホルムアルデヒド不活性化での問題は、毒素が潜在的に未知の化学的修飾を受けやすい、および/または部分的に不活性化しやすいことである。実際に、ホルマリン不活性化分子には、結合能力の欠陥および免疫原性の低下があることが示されている[27]。また、細胞培養から精製したC. difficile毒素に由来するトキソイドをワクチンに用いることに関しては、数多くの安全性の問題がある。
参考文献28で考察したとおり、TcdAは、CDADの臨床症状の主な原因であると考えられる。精製したトキソイドを用いた実験では、TcdAは単独でCDADの症状を誘起できるが、TcdBはTcdAと混合しない限り、または腸粘膜に前もって損傷がない限り症状を誘起できないことが示された[29]。動物モデルから得られた臨床上の証拠は、TcdAの結合ドメインが、TcdAの細胞毒性および致死効果を中和する血清抗体を誘発できることを示している(30、31、32、33)。また、これらの反復単位を含む組換え無毒性ペプチドは、TcdAおよびC. difficileの両方を用いた負荷試験に対して実験動物を保護できる中和抗体を誘発することが示されている(34、35、36、33)。ところが興味深いことに、最近の研究では、毒素Bは、C. difficileの毒性にとって不可欠であること、およびTcdAのみを生成する菌株は非病原性であること(29、37)が示され、またそのため現行のC. difficile毒性モデルは不安定なままである。こうして現時点では、TcdAおよびTcdBのどの成分が、CDADを処置または阻止するために免疫応答を誘発するために使用しうるかが不明瞭である。ところが、CDADに対する効果的な免疫化はTcdAおよびTcdBの結合ドメインを含むペプチドを必要とする可能性が高いこと(38、39)および結合ドメインに対して配向された抗体は毒素病理に対して保護を与えることが、現在の一般的な意見である。
参考文献40は、野生型毒素(すなわちGT、CP、TおよびBドメイン)に存在するすべての機能ドメインが保持されているキメラタンパク質を開示しているが、そこでは、ToxAの結合ドメインがToxBの結合ドメインによって置き換えられており、またその逆も行われている。現在の一般的な意見を踏まえ、結合ドメインは免疫原性にとって主要なドメインであることが示唆された。さらに、著者は、天然の毒素のすべての機能ドメインを保持したそれらの完全毒素構成のキメラ的性質が不可欠であることを示した。
ところが意外にも、発明者は、天然の毒素構造は免疫原性にとって不必要であること、ならびに、TcdAのGTドメインが使用されるときにはTcdB断片と、あるいはTcdAのGTドメインが使用されるときにはTcdA断片と組合せることを条件として、TcdAまたはTcdBのGTドメインを含む断片が免疫応答の生成にとって特に適切であることを見出した。こうした組合せで採用されたGTドメインは一般に解毒される。こうした組合せは、TcdAおよびTcdBの両方に対する中和価の生成を引き起こし、また動物モデルでCDADに対する保護反応を提供するにあたり、結合ドメイン断片を含む組合せよりも効果的である。こうして、これらの組合せにより、CDADに対するワクチンが向上する。その上、組換えポリペプチド片の使用によって、細胞培養から精製したC. difficile毒素に由来するトキソイドをワクチンに使用することに関連した安全性の問題も回避される。
ToxB-GT抗原
完全長TcdB抗原(本書ではまたToxBおよびToxinBともいう)は、配列ID番号:2(配列ID番号:31の核酸配列により符号化)のアミノ酸配列を含む。解毒されたTcdB抗原は、本書ではトキソイドBという。
略語「ToxB-GT」は、TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメインを意味し、これは酵素ドメイン(ED)のN-末端領域内に位置する。ToxB-GTドメイン(配列ID番号:18、配列ID番号:47の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸1〜543に対応するTcdBの断片である。
発明の組成に含まれるToxB-GT抗原は、(a)配列ID番号:18に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:18のアミノ酸か、または配列ID番号:18に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、540個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:18の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:18のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:18の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxB-GTのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、または最大540の連続した配列ID番号:18のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
発明の組成に含まれるToxB-GT抗原は、解毒されうる。解毒は、例えば部位特異的変異誘発など、当技術で既知の適切な任意の方法を用いて、アミノ酸配列の突然変異、または野生型ToxB-GT抗原の核酸配列の符号化により実現しうる。望ましくは、ToxB-GT抗原は、配列ID番号:18の野生型ToxB-GT抗原配列に対しての、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16、17、18、19、20、25、30個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxB-GT抗原は、例えば配列ID番号:18の野生型ToxB-GT抗原配列に対しての、アミノ酸位置17、102、139、269、270、273、284、286、288、384、449、444、445、448、449、450、451、452、455、461、463、472、515、518、および/または520での、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxB-GT抗原は、配列ID番号:18のTox-GT抗原配列のアミノ酸270、273、284、286および/または288に対応する1、2、3、4または5の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:18のToxB-GT抗原配列のアミノ酸270、273、284、286および/または288に対応する位置の1、2、3、4または5個のアミノ酸を、望ましくはアラニン残基により置換しうる。配列ID番号:18のアミノ酸270、273、284、286および/または288が置換しうる場合、その置換は、望ましくはD270A、R273A、Y284A、D286Aおよび/またはD288Aであり、最も望ましくはD270A、R273A、Y284A、D286AおよびD288Aである。これらの置換は、配列ID番号:2の置換D270A、R273A、Y284A、D286AおよびD288Aに対応する。これらの位置にアラニン置換を持つ解毒されたToxB-GT抗原のアミノ酸配列は、配列ID番号:60内に提供されている。
ToxB-GTが2つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:18のToxB-GT抗原配列のアミノ酸位置102および278、またはアミノ酸位置102および288ではない。よって、発明の組成に含まれる解毒されたToxB-GT抗原は、(a)配列ID番号:60に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:60のアミノ酸か、または配列ID番号:60に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、540個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドでありうる。こうして、解毒されたToxB-GTのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、または最大540の連続した配列ID番号:60のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。好ましい断片は、配列ID番号:60の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:60のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:60の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
略語「ToxB-ED」は、TcdBの酵素ドメインを意味する。ToxB-EDドメイン(配列ID番号:17、配列ID番号:46の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸1〜767に対応するTcdBの断片である。こうして、TcdBのToxB-EDドメインはToxB-GTドメインを含む。こうして、発明の組成に含まれるToxB-GT抗原はToxB-ED抗原としうる。
発明の組成に含まれるToxB-ED抗原は、(a)配列ID番号:17に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:17のアミノ酸か、または配列ID番号:17に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、650、700、750個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:17の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:17のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:17の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
こうして、ToxB-EDのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、最大550、最大600、最大650、最大700、または最大750の連続した配列ID番号:17のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
発明の組成に含まれるToxB-ED抗原は、解毒されうる。解毒は、例えば部位特異的変異誘発など、当技術で既知の適切な任意の方法を用いて、アミノ酸配列の突然変異、または野生型ToxB-ED抗原の核酸配列の符号化により実現しうる。望ましくは、ToxB-ED抗原は、配列ID番号:17の野生型ToxB-ED抗原配列に対しての、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16、17、18、19、20、25、30個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxB-ED抗原は、例えば配列ID番号:17の野生型ToxB-ED抗原配列に対しての、アミノ酸位置17、102、139、269、270、273、284、286、288、384、449、444、445、448、449、450、451、452、455、461、463、472、515、518、および/または520での、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxB-ED抗原は、配列ID番号:17のToxB-ED抗原配列のアミノ酸270、273、284、286および/または288に対応する1、2、3、4または5の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:17のToxB-ED抗原配列のアミノ酸270、273、284、286および/または288に対応する位置の1、2、3、4または5個のアミノ酸を、望ましくはアラニン残基により置換しうる。ToxB-ED抗原はまた、配列ID番号:17のToxB-ED抗原配列のアミノ酸587、653、および/または698に対応する1、2、または3の位置での置換も含みうる。特に、配列ID番号:17のToxB-ED抗原配列のアミノ酸587、653、および/または698に対応する位置の1、2、または3個のアミノ酸を、望ましくはアラニンまたはアスパラギン残基により置換しうる。配列ID番号:17のアミノ酸587、653、および/または698が置換しうる場合、その置換は、望ましくは、D587N、H653A、および/またはC698Aであり、最も望ましくはD587N、H653A、およびC698Aである。これらの置換は、配列ID番号:2の置換D587N、H653A、およびC698Aに対応する。位置270、273、284、286、288、587、657および698(配列ID番号:2に対して)に置換を持つ解毒されたToxB-ED抗原のアミノ酸配列は、配列ID番号:58に提供されている。
ToxB-EDが2つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:17のToxB-ED抗原配列のアミノ酸位置102および278、またはアミノ酸位置102および288ではない。
よって、発明の組成に含まれる解毒されたToxB-ED抗原は、(a)配列ID番号:58に対して50%以上の同一性(例えば 60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:58のアミノ酸か、または配列ID番号:58に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、650、700、750個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドでありうる。こうして、解毒されたToxB-EDのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、最大550、最大600、最大650、最大700、または最大750の連続した配列ID番号:58のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
好ましい断片は、配列ID番号:58の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:58のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:58の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
本発明の組成に含まれるToxB-GT抗原およびToxB-ED抗原には、完全長TcdB抗原に存在する下記に定義したToxB-CPおよび/またはToxB-Tドメインも含まれうる。ToxB-GT抗原およびToxB-ED抗原は、例えば、下記に定義したToxB-TドメインのN-末端領域からのn個のアミノ酸を含みうるが、ここでn = 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1025、1050、1051、1052、1053、1054、1055、1056、1057、1058、1059、1060、1061、1062、1063、1064、または1065である。
本発明の組成に含まれるToxB-GTおよびToxB-ED抗原は、望ましくはTcdBの結合ドメインを含まない。特に、ToxB-GTおよびToxB-EDは、望ましくは、下記にさらに詳しく説明するToxB-Bドメイン、またはこのドメインの断片、例えば 下記にさらに詳しく説明するToxB-B2および/またはToxB-B7ドメインを含まない。
ToxA-GT抗原
完全長TcdA抗原(本書ではまたToxAおよび毒素Aともいう)は、配列ID番号:1(配列ID番号:30の核酸配列により符号化)のアミノ酸配列を含む。解毒されたTcdA抗原は、本書ではトキソイドAという。
略語「ToxA-GT」は、TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメインを意味し、これは酵素ドメイン(ED)のN-末端領域内に位置する。ToxA-GTドメイン(配列ID番号:4、配列ID番号:33の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1〜541に対応するTcdAの断片である。
発明の組成に含まれるToxA-GT抗原は、(a)配列ID番号:4に対して50%以上の同一性(例えば 60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:4のアミノ酸か、または配列ID番号:4に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、540個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:4の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:4のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:4の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
こうして、ToxA-GTのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、または最大540の連続した配列ID番号:4のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
発明の組成に含まれるToxA-GT抗原は、解毒されうる。解毒は、例えば部位特異的変異誘発など、当技術で既知の適切な任意の方法を用いて、アミノ酸配列の突然変異、または野生型ToxA-GT抗原の核酸配列の符号化により実現しうる。望ましくは、ToxA-GT抗原は、配列ID番号:4の野生型ToxA-GT抗原配列に対しての、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16、17、18、19、20、25、30個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxA-GT抗原は、配列ID番号:4のToxA-GT抗原配列のアミノ酸283、285および287に対応する1、2または3の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:4のToxA-GT抗原配列のアミノ酸283、285および287に対応する位置の1、2、または3個のアミノ酸を、望ましくはアラニン残基(すなわち Y283A、D285A、D287A)により置換しうる。これらの突然変異は、配列ID番号:1の位置283、285および287に対応する。これらの位置にアラニン置換を持つ解毒されたToxA-GT抗原のアミノ酸配列は、配列ID番号:56内に提供されている。
ToxA-GT抗原が1つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:4のToxA-GT抗原配列のアミノ酸位置278ではない。ToxA-GT抗原が2つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:4のToxA-GT抗原配列のアミノ酸位置101および278ではない。ToxA-GT抗原が3つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:4のToxA-GT抗原配列のアミノ酸位置101、278および519、またはアミノ酸位置101、278および519ではない。
よって、発明の組成に含まれる解毒されたToxA-GT抗原は、(a)配列ID番号:56に対して50%以上の同一性(例えば 60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:56のアミノ酸か、または配列ID番号:56に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、540個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドでありうる。好ましい断片は、配列ID番号:56の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:56のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:56の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、解毒されたToxB-GTのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、または最大540の連続した配列ID番号:56のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
略語「ToxA-ED」は、TcdAの酵素ドメインを意味する。ToxA-EDドメイン(配列ID番号:3、配列ID番号:32の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1〜769に対応するTcdAの断片である。こうして、TcdAのToxA-EDドメインはToxA-GTドメインを含む。こうして、発明の組成に含まれるToxA-GT抗原はToxA-ED抗原としうる。
発明の組成に含まれるToxA-ED抗原は、(a)配列ID番号:3に対して50%以上の同一性(例えば 60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:3のアミノ酸か、または配列ID番号:3に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:3の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:3のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:3の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
こうして、ToxA-EDのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、最大550、最大600、最大650、最大700、または最大750の連続した配列ID番号:3のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
発明の組成に含まれるToxA-ED抗原は、解毒されうる。解毒は、例えば部位特異的変異誘発など、当技術で既知の適切な任意の方法を用いて、アミノ酸配列の突然変異、または野生型ToxA-ED抗原の核酸配列の符号化により実現しうる。望ましくは、ToxA-ED抗原は、配列ID番号:3の野生型ToxA-ED抗原配列に対しての、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16、17、18、19、20、25、30個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxA-ED抗原は、配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸283、285および287に対応する1、2または3の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸283、285および287に対応する位置の1、2、または3 個のアミノ酸を、望ましくはアラニン残基により、置換しうる。これらの位置にアラニン置換を持つ解毒されたToxA-ED抗原のアミノ酸配列は、配列ID番号:54内に提供されている。
ToxA-ED抗原は、配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸589、655、および/または700に対応する1、2または3の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸589、655、および/または700に対応する位置の1、2、または3個のアミノ酸を、望ましくはアラニンまたはアスパラギン残基により置換しうる。アミノ酸589、655および/または700が置換しうる場合、その置換は、望ましくはD589N、H655Aおよび/またはC700Aであり、最も望ましくはD589N、H655AおよびC700Aである。
ToxA-ED抗原が1つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸位置278ではない。ToxA-ED抗原が2つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸位置101および278ではない。ToxA-ED抗原が3つのアミノ酸置換を含む場合、その置換は、望ましくは配列ID番号:3のToxA-ED抗原配列のアミノ酸位置101、278および519、またはアミノ酸位置101、278および519ではない。
よって、発明の組成に含まれる解毒されたToxA-ED抗原は、(a)配列ID番号:54に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:54のアミノ酸か、または配列ID番号:54に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドでありうる。好ましい断片は、配列ID番号:54の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:54のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:54の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、解毒されたToxA-EDのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、最大550、最大600、最大650、最大700、または最大750の連続した配列ID番号:54のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
本発明の組成に含まれるToxA-GT抗原およびToxA-ED抗原には、完全長TcdA抗原に存在する下記に定義したToxA-CPおよび/またはToxA-Tドメインも含まれうる。ToxA-GT抗原およびToxA-ED抗原は、例えば、下記に定義したToxA-TドメインのN-末端領域からのn個のアミノ酸を含みうるが、ここでn = 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1025、1050、1051、1052、1053、1054、1055、1056、1057、1058、1059、1060、1061、1062、1063、1064、または1065である。
本発明の組成に含まれるToxA-GTおよびToxA-ED抗原は、望ましくは、TcdAの結合ドメインを含まない。特に、ToxA-GTおよびToxA-EDは、望ましくは、下記にさらに詳しく説明するToxA-Bドメイン、またはそのドメインの断片を含まないが、例えば、下記にさらに詳しく説明するToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6ドメインである。
TcdA抗原
本発明の組成は、TcdA抗原を含みうる。発明の組成に含まれるTcdA抗原は、(a)配列ID番号:1に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:1のアミノ酸か、または配列ID番号:1に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、500、750、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。TcdAのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、最大550、最大600、最大650、up to、700、最大750、最大1000、最大1250、最大1500、最大1750、最大2000、最大2250、または最大2500個の連続的な配列ID番号:1のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。TcdAの好ましい断片は、配列ID番号:1の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:1のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:1の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。TcdAのその他の断片は、一つ以上のタンパク質ドメインを欠く。欠くことのできるタンパク質ドメインには、本書で考察する「B」、「T」、「GT」、「CP」、「ToxA-ED」、「ToxA-GT」、「ToxA-CP」、「ToxA-T」、「ToxA-T4」、「ToxA-PTA2」、「ToxA-P5-7」、「ToxA-P5-6」、「ToxA-P9-10」、「ToxA-B2」、「ToxA-B3」、「ToxA-B5」、および「ToxA-B6」ドメインといった、機能的タンパク質ドメインが含まれうる。
本発明の組成に含まれうるTcdA抗原の断片は、望ましくは、「ToxA-ED」、「ToxA-GT」、「ToxA-CP」、「ToxA-T」、「ToxA-T4」、「ToxA-PTA2」、「ToxA-P5-7」、「ToxA-P5-6」、「ToxA-P9-10」、「ToxA-B2」、「ToxA-B3」、「ToxA-B5」および「ToxA-B6」から成る群から選択される。この断片のセットは、本書では「TcdA抗原の群」という。
こうして、本発明の組成は、(1)ToxA-ED抗原、(2)ToxA-GT抗原、(3)ToxA-CP抗原、(4)ToxA-T抗原、(5)ToxA-T4抗原、(6)ToxA-B抗原、(7)ToxA-PTA2抗原、(8)ToxA-P5-7抗原、(9)ToxA-P5-6抗原、(10)ToxA-P9-10抗原、(11)ToxA-B2抗原、(12)ToxA-B3抗原、(13)ToxA-B5抗原、(14)ToxA-B6抗原、および(15)完全長TcdA抗原から成る群から選択される、一つ以上(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15)のTcdA抗原を含みうる。ここで、本発明の組成は1つのTcdA断片を含むが、1つのTcdA断片は、望ましくはToxA-CP抗原単独ではない。
(1)ToxA-GT抗原、(2)ToxA-ED抗原、および(15)完全長TcdA抗原は、上記に定義されている。残りの抗原は、下記にさらに詳しく定義する。
(3)ToxA-CP抗原
ToxA-CPドメイン(配列ID番号:5、配列ID番号:34の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸542〜769に対応する。略語「ToxA-CP」は、TcdAのシステインプロテアーゼドメインを意味し、これは酵素ドメインのC-末端領域内に位置する。
発明の組成に含まれるToxA-CP抗原は、(a)配列ID番号:5に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:5のアミノ酸か、または配列ID番号:5に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、225個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:5の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:5のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:5の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-CPのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、または最大225の連続した配列ID番号:5のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
発明の組成に含まれるToxA-CP抗原は、解毒されうる。解毒は、例えば部位特異的変異誘発など、当技術で既知の適切な任意の方法を用いて、アミノ酸配列の突然変異、または野生型ToxA-CP抗原の核酸配列の符号化により実現しうる。望ましくは、ToxA-CP抗原は、配列ID番号:5の野生型ToxA-CP抗原配列に対しての、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16、17、18、19、20、25、30個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxA-CP抗原は、配列ID番号:5のToxA-CP抗原配列のアミノ酸48、114および159に対応する1、2または3の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:5のToxA-CP抗原配列のアミノ酸48、114および159に対応する位置の1、2、または3個のアミノ酸を、望ましくはアラニンまたはアスパラギン残基により置換しうる。配列ID番号:5のアミノ酸48、114および/または159が置換しうる場合、その置換は、望ましくはD48N、H114Aおよび/またはA159Aであり、最も望ましくはD48N、H114AおよびA159Aである。これらの置換は、配列ID番号:1の置換D589N、H655AおよびC700Aに対応する。これらの位置にアラニンまたはアスパラギン置換を持つ解毒されたToxA-CP抗原のアミノ酸配列は、配列ID番号:62内に提供されている。
こうして、解毒されたToxA-CPのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、または最大225の連続した配列ID番号:62のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
本発明の組成に1つのみのTcdA抗原が含まれる場合、その1つのTcdA抗原は、望ましくはToxA-CP単独ではない。本発明の組成にToxA-CP抗原が含まれる場合、その抗原はToxA-ED抗原としうる。
(4)ToxA-T抗原
ToxA-Tドメイン(配列ID番号:6、配列ID番号:35の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸770〜1808に対応する。略語「ToxA-T」は、TcdAの転位ドメインを意味する。
発明の組成に含まれるToxA-T抗原は、(a)配列ID番号:6に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:6のアミノ酸か、または配列ID番号:6に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、500、550、600、700、800、900、1000個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:6の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:6のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:6の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-Tのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、最大800、最大900、または最大1000の連続した配列ID番号:6のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(5)ToxA-T4
ToxA-T4ドメイン(配列ID番号:7、配列ID番号:36の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1510〜1775に対応する。略語「ToxA-T4」は、TcdA内の領域を意味する。ToxA-T4領域は、不溶性であることが判明している。
発明の組成に含まれるToxA-T4抗原は、(a)配列ID番号:7に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:7のアミノ酸か、または配列ID番号:7に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:7の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:7のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:7の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-T4のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、または最大260の連続した配列ID番号:7のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(3)ToxA-B抗原
ToxA-Bドメイン(配列ID番号:8、配列ID番号:37の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1809〜2710に対応する。略語「ToxA-B」は、 TcdAの結合ドメインの断片を意味する。TcdAの結合ドメイン(図1では「B」で表示)は、上皮細胞の表面への毒素結合を担う。発明者は、結合ドメインの断片が、免疫応答の誘発で、GT抗原との組合せで有効であることを見出した。こうして、本発明の組成は、結合ドメインの断片(例えばToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6)を採用している。
発明の組成に含まれるToxA-B抗原は、(a)配列ID番号:8に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:8のアミノ酸か、または配列ID番号:8に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、700、800、900個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:8の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:8のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:8の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-Bのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、最大800、または最大900の連続した配列ID番号:8のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(7)ToxA-PTA2
ToxA-PTA2ドメイン(配列ID番号:9、配列ID番号:38の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1995〜2198に対応する。略語「ToxA-PTA2」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味し、不溶性であることがわかっている。WO98/59053に記載のあるとおり、ToxA-PTA2断片は、毒素AのC末端反復領域内からの8個の縦列反復配列を含む。
発明の組成に含まれるToxA-PTA2抗原は、(a)配列ID番号:9に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:9のアミノ酸か、または配列ID番号:9に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:9の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:9のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:9の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-PTA2のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、または最大200の連続した配列ID番号:9のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(8)ToxA-P5-7抗原
ToxA-P5-7抗原(配列ID番号:10、配列ID番号:39の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸2249〜2706に対応する。略語「ToxA-P5-7」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。WO98/59053に記載のあるとおり、ToxA-P5-7断片は、毒素AのC末端反復領域内からの20個の縦列反復配列を含む。
発明の組成に含まれるToxA-P5-7抗原は、(a)配列ID番号:10に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:10のアミノ酸か、または配列ID番号:10に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、450個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:10の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:10のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:10の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-P5-7のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、または最大450の連続した配列ID番号:10のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(9)ToxA-P5-6抗原
ToxA-P5-6ドメイン(「P5-6」ともいう)(配列ID番号:11、配列ID番号:40の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸2387〜2706に対応する。略語「ToxA-P5-6」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。WO98/59053に記載のあるとおり、ToxA-P5-6断片は、毒素AのC末端反復領域内からの14個の縦列反復配列を含む。
発明の組成に含まれるToxA-P5-6抗原は、(a)配列ID番号:11に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:11のアミノ酸か、または配列ID番号:11に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば 8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:11の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:11のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:11の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-P5-6のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、または最大300の連続した配列ID番号:11のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
ToxA-P5-6抗原は、配列ID番号:11に対して少なくとも一つのアミノ酸(例えば1、2、3、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る)を含みうる。突然変異は、望ましくは単一のアミノ酸が関与し、望ましくは点突然変異である。突然変異は、それぞれ独立的に欠失、挿入または置換でありうる。例えば、突然変異したToxA-p5-6抗原は、ToxA-p5-6配列(配列ID番号:11)に対して一つ以上(例えば 1、2、3、4、5、6、7、8、9、など)の単一のアミノ酸欠失を含みうる。さらなる例として、突然変異したToxA-p5-6抗原は、ToxA-p5-6配列(配列ID番号:11)に対して一つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、など)の単一のアミノ酸の挿入(例えばそれぞれ1、2、3、4または5個のアミノ酸)を含みうる。欠失、置換または挿入は、N末端および/またはC末端でもよく、または2つの末端の間でもよい。こうして、切断は欠失の一例である。切断には、N末端および/またはC末端での最大40(もしくはそれを上回る)のアミノ酸の欠失が関与しうる。特定の挿入は、C末端での2個のアミノ酸、配列ID番号:84に示すとおり、例えば、ロイシン(L)およびグルタミン酸(E)の追加を含む。
好ましい突然変異は、アミノ酸置換である。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸から、その他19の自然発生的なアミノ酸のうちどれか1つへの置換でありうる。同類置換は、一般に、分子の構造および生物学的機能を保存する目的で、充分に類似した化学的特性を持つ、例えば関連する側鎖を持つ(例えば、塩基性の正電荷を帯びたアミノ酸を別の塩基性の正電荷を帯びたアミノ酸で置換すべき)アミノ酸を導入する置換として定義される。遺伝学的に符号化されたアミノ酸は、(1) 酸性、すなわちアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、(2)塩基性、すなわちリジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、(4)荷電した、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、(5)無電荷の極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンの5つの群に分けうる。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には芳香族アミノ酸として一緒に分類される。一般に、これらの群内での単一のアミノ酸の置換は、生物活性に対して大きな影響は持たない。特に、置換は、配列ID番号:11に従い番号付けした、ToxA-p5-6抗原の位置41および/または42に持ちうる。特に、位置41でのヒスチジン(H)は、配列ID番号:101に示すとおりアスパラギン酸(D)で置換しうる(置換名H41D)。特に、位置42でのアスパラギン(N)は、配列ID番号:102に示すとおりアラニン(A)で置換しうる(置換名N42A)。なおさらに特定的には、ToxA-P5-6抗原は、配列ID番号:103で例示したとおり、これら2つの突然変異H41DおよびN42Aの両方を含みうる。
ToxA-p5-6抗原は、次式の混成ポリペプチドの一部でありうる: A-Bp5-6-C 本式で:
Aは、オプションのN-末端追加的アミノ酸配列である。追加的アミノ酸配列は、ベクター配列から、MCSからのいずれに由来するものでもよく、また配列は、タンパク質の過剰発現に役立つ外来性のポリペプチドに由来するものでもよい。追加的アミノ酸は、親和性精製に、または抗体検出に使用しうる。追加的アミノ酸配列は、GSTタグ、Hisタグ、T7タグTrxタグ、MBPタグ、His-GMタグなどの当技術で既知の任意のものとすることができ、特に、追加的アミノ酸配列は、配列MRGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRDLYDDDDKDRWGSSRITR(配列ID番号:104)を含む。
Bは、配列ID番号:11、配列ID番号:84、配列ID番号:101、配列ID番号:102および配列ID番号:103から成る群から選択されるアミノ酸配列を持つToxA-p5-6抗原である。
Cは以下の配列TESTCRXQA(配列ID番号:105)を持つオプションのC-末端アミノ酸配列であり、ここでXは20の自然発生的なアミノ酸の一つである。
ToxA-p5-6抗原を含む、混成ポリペプチドの例は、配列ID番号:106、107、108、109、110、および111に示す。配列ID番号:111は、配列ID番号:112の核酸配列により符号化されている。本発明の組合せでの使用に好ましいToxA-p5-6抗原には、配列ID番号:11および配列ID番号:111が含まれる。
(10)ToxA-P9-10抗原
ToxA-P9-10ドメイン(配列ID番号:12、配列ID番号:41の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1843〜2706に対応する。略語「ToxA-P9-10」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。WO98/59053に記載のあるとおり、ToxA-P9-10断片は、毒素AのC末端反復領域内からの36個の縦列反復配列を含む。
発明の組成に含まれるToxA-P9-10抗原は、(a)配列ID番号:12に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:12のアミノ酸か、または配列ID番号:12に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、700、800、850個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:12の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:12のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:12の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-P9-10のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、最大800、または最大850の連続した配列ID番号:12のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(11)ToxA-B2抗原
ToxA-Bドメイン(配列ID番号:13、配列ID番号:42の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸2303〜2706に対応する。略語「ToxA-B2」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。ToxA-B2は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち6つを含むようデザインされた(図2を参照)。
発明の組成に含まれるToxA-B2抗原は、(a)配列ID番号:13に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:13のアミノ酸か、または配列ID番号:13に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:13の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:13のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:13の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-B2のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400の連続した配列ID番号:13のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(12)ToxA-B3抗原
ToxA-B3ドメイン(配列ID番号:14、配列ID番号:43の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1839〜2710に対応する。略語「ToxA-B3」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。ToxA-B3は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち12を含むようデザインされた(図3を参照)。
発明の組成に含まれるToxA-B3抗原は、(a)配列ID番号:14に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:14のアミノ酸か、または配列ID番号:14に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、700、800、850個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:14の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:14のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:14の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-B3のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、最大800、または最大850の連続した配列ID番号:14のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(13)ToxA-B5抗原
ToxA-B5ドメイン(配列ID番号:15、配列ID番号:44の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1964〜2706に対応する。略語「ToxA-B5」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。ToxA-B5は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち10.5を含むようデザインされた(図4を参照)。
発明の組成に含まれるToxA-B5抗原は、(a)配列ID番号:15に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:15のアミノ酸か、または配列ID番号:15に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、700、740個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:15の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:15のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:15の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-B5のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、または最大740の連続した配列ID番号:15のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(14)ToxA-B6抗原
ToxA-B6ドメイン(配列ID番号:16、配列ID番号:45の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:1のアミノ酸1890〜2706に対応する。略語「ToxA-B6」は、TcdAの結合ドメイン内の一領域を意味する。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。ToxA-B6は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち11.5を含むようデザインされた(図5を参照)。
発明の組成に含まれるToxA-B6抗原は、(a)配列ID番号:16に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:16のアミノ酸か、または配列ID番号:16に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、700、800個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:16の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:16のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:16の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxA-B6のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、最大800、または最大850の連続した配列ID番号:16のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
TcdB抗原
本発明の組成は、TcdB抗原を含みうる。発明のポリペプチドに含まれるTcdB抗原は、(a)配列ID番号:2に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:2のアミノ酸か、または配列ID番号:2に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、500、750、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2400個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。). TcdBのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大350、最大400、最大450、最大500、最大550、最大600、最大650、up to、700、最大750、最大1000、最大1250、最大1500、最大1750、最大2000、最大2250、または最大2400個の連続的な配列ID番号:2のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。TcdBの好ましい断片は、配列ID番号:2の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:2のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:2の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。TcdBのその他の断片は、一つ以上のタンパク質ドメインを欠く。欠くことのできるタンパク質ドメインは、本書で考察した「B」、「T」、「GT」、「CP」、「ToxB-ED」、「ToxB-GT」、「ToxB-CP」、「ToxB-T」、「ToxB-B」、「ToxB-B2」および「ToxB-B7」ドメインなどの機能的タンパク質ドメインを含みうる。
本発明の組成に含まれうるTcdB断片は、望ましくは「ToxB-ED」、「ToxB-GT」、「ToxB-CP」、「ToxB-T」、「ToxB-B」、「ToxB-B2」、およびToxB-B7から成る群から選択される。この抗原のセットは、本書では「TcdB抗原の群」という。
こうして、本発明の組成は、(1)ToxB-ED抗原、(2)ToxB-GT抗原、(3)ToxB-CP抗原、(4)ToxB-T抗原、(5)ToxB-B抗原、(6)ToxB-B2抗原、(7)ToxA-B7抗原および(8)完全長TcdB抗原から成る群から選択される一つ以上(すなわち1、2、3、4、5、6、7、または8個全て)のTcdB抗原を含みうる。ここで、本発明の組成は1つのみのTcdB断片を含むが、1つのTcdB断片は、望ましくはToxB-CP抗原単独ではない。
(1)ToxB-GT抗原、(2)ToxB-ED抗原、および(8)完全長TcdB抗原は、上記に定義されている。残りの抗原は、下記にさらに詳しく定義する。
(3)ToxB-CP抗原
ToxB-CPドメイン(配列ID番号:19、配列ID番号:48の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸544〜767に対応する。略語「ToxB-CP」は、TcdBのシステインプロテアーゼドメインを意味し、これは酵素ドメインのC-末端領域内に位置する。
発明の組成に含まれるToxB-CP抗原は、(a)配列ID番号:19に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:19のアミノ酸か、または配列ID番号:19に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、230個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:19の抗原決定基を含む。こうして、ToxB-CPのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、または最大230の連続した配列ID番号:19のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。好ましいその他の断片は、配列ID番号:19のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:19の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
発明の組成に含まれるToxB-CP抗原は、解毒されうる。解毒は、例えば部位特異的変異誘発など、当技術で既知の適切な任意の方法を用いて、アミノ酸配列の突然変異、または野生型ToxB-CP抗原の核酸配列の符号化により実現しうる。望ましくは、ToxB-CP抗原は、配列ID番号:19の野生型ToxB-CP抗原配列に対しての、一つ以上のアミノ酸置換(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30個もしくはそれを上回る突然変異)を含む。例えば、ToxB-CP抗原は、配列ID番号:19のToxB-CP抗原配列のアミノ酸44、110および155に対応する1、2、または3の位置での置換を含みうる。特に、配列ID番号:19のToxB-CP抗原配列のアミノ酸44、110、および/または155に対応する位置の1、2、または3個のアミノ酸を、望ましくはアラニンまたはアスパラギン残基により置換しうる。配列ID番号:19のアミノ酸44、110、および/または155が置換しうる場合、その置換は、望ましくは、D44N、H110A、および/またはC155Aであり、最も望ましくはD44N、H110A、および/またはC155Aである。これらの位置にアラニンまたはアスパラギン置換を持つ解毒されたToxB-CP抗原のアミノ酸配列は、配列ID番号:64内に提供されている。これらの置換は、配列ID番号:2の置換D587N、H653A、およびC698Aに対応する。こうして、解毒されたToxB-CPのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、または最大225の連続した配列ID番号:64のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
本発明の組成に1つのみのTcdB抗原が含まれる場合、その1つのTcdB抗原は、望ましくはToxB-CP単独ではない。本発明の組成にToxB-CP抗原が含まれる場合、その抗原はToxB-ED抗原としうる。
(4)ToxB-T抗原
ToxB-Tドメイン(配列ID番号:20、配列ID番号:49の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸768〜1833に対応する。略語「ToxB-T」は、TcdBの転位ドメインを意味する。
発明の組成に含まれるToxB-T抗原は、(a)配列ID番号:20に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:20のアミノ酸か、または配列ID番号:20に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、550、600、700、800、900、1000、1050個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:20の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:20のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:20の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxB-Tのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大500、最大550、最大600、最大700、最大800、900、1000、または最大1050の連続した配列ID番号:20のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(5)ToxB-B抗原
ToxB-Bドメイン(配列ID番号:21、配列ID番号:50の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸1853〜2366に対応する。略語「ToxB-B」は、結合ドメインの結合ドメインの断片を意味する。発明者は、結合ドメインの断片が、免疫応答の誘発で、GT抗原との組合せで有効であることを見出した。こうして、本発明の組成は、結合ドメインの断片(例えばToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7)を採用する。
発明の組成に含まれるToxB-B抗原は、(a)配列ID番号:21に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:21のアミノ酸か、または配列ID番号:21に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:21の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:21のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:21の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。こうして、ToxB-Bのアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、最大300、最大400、最大450、または最大500の連続した配列ID番号:21のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(6)ToxB-B2抗原
ToxB-B2ドメイン(配列ID番号:22、配列ID番号:51の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸2157〜2366に対応する。略語「ToxA-B2」は、TcdBの結合ドメイン内のC末端領域を意味する。TcdB結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。ToxB-B2は、結合ドメインを形成する9つの推定上の構造単位のうち4つを含むようデザインされた(図6を参照)。
発明の組成に含まれるToxB-B2抗原は、(a)配列ID番号:22に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:22のアミノ酸か、または配列ID番号:22に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、175、200個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:22の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:22のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:22の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
こうして、ToxB-B2のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、または最大200の連続した配列ID番号:22のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
(7)ToxB-B7抗原
ToxB-B7ドメイン(配列ID番号:23、配列ID番号:52の核酸配列により符号化)は、配列ID番号:2のアミノ酸2056〜2366に対応する。
発明の組成に含まれるToxB-B7抗原は、(a)配列ID番号:23に対して50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、もしくはそれを上回る)を持つ、および/または(b)少なくとも「n」個の連続した配列ID番号:23のアミノ酸か、または配列ID番号:23に対して50%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、ここで「n」は、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300個もしくはそれを上回る)である、アミノ酸配列を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである。好ましい断片は、配列ID番号:23の抗原決定基を含む。好ましいその他の断片は、配列ID番号:23のC末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が、および/またはN末端から一つ以上のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個もしくはそれを上回る)が欠如し、一方で配列ID番号:23の少なくとも一つの抗原決定基が保持される。
こうして、ToxB-B7のアミノ酸断片は、例えば最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、最大100、最大125、最大150、最大175、最大200、最大250、または最大300の連続した配列ID番号:23のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含みうる。
抗原の組合せ
本発明の組成は、ToxB-GT抗原および一つ以上のTcdA抗原(上述のとおり、(1)ToxA-ED抗原、(2)ToxA-GT抗原、(3)ToxA-CP抗原、(4)ToxA-T抗原、(5)ToxA-T4抗原、(6)ToxA-B抗原、(7)ToxA-PTA2抗原、(8)ToxA-P5-7抗原、(9)ToxA-P5-6抗原、(10)ToxA-P9-10抗原、(11)ToxA-B2抗原、(12)ToxA-B3抗原、(13)ToxA-B5抗原、(14)ToxA-B6抗原、および(15)完全長TcdA抗原から選択される、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15)のTcdA抗原)を含みうる。こうした組成はさらに、一つ以上の追加的TcdB抗原(上述のTcdBのとおり、(1)ToxB-ED抗原、(2)ToxB-GT抗原、(3)ToxB-CP抗原、(4)ToxB-T抗原、(5)ToxB-B抗原、(6)ToxB-B2抗原、(7)ToxA-B7抗原および(8)完全長TcdB抗原から成る群から選択される、例えば1、2、3、4、5、6、7、または8個のTcdB抗原)を含みうる。
代替的に、本発明の組成は、ToxA-GT抗原および一つ以上のTcdB抗原(上述のTcdBのとおり、(1)ToxB-ED抗原、(2)ToxB-GT抗原、(3)ToxB-CP抗原、(4)ToxB-T抗原、(5)ToxB-B抗原、(6)ToxB-B2抗原、(7)ToxA-B7抗原および(8)完全長TcdB抗原から成る群から選択される、例えば1、2、3、4、5、6、7、または8個のTcdB抗原)を含みうる。こうした組成はさらに、一つ以上の追加的なTcdA抗原(上述のとおり、(1)ToxA-ED抗原、(2)ToxA-GT抗原、(3)ToxA-CP抗原、(4)ToxA-T抗原、(5)ToxA-T4抗原、(6)ToxA-B抗原、(7)ToxA-PTA2抗原、(8)ToxA-P5-7抗原、(9)ToxA-P5-6抗原、(10)ToxA-P9-10抗原、(11)ToxA-B2抗原、(12)ToxA-B3抗原、(13)ToxA-B5抗原、(14)ToxA-B6抗原、および(15)完全長TcdA抗原から選択される、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15)のTcdA抗原)を含みうる。
本発明の組成に含まれうる抗原の組合せの具体的な例を、下記に詳しく説明する。
一部の実施形態において、免疫原性組成は、i)1つのToxB-GT抗原および1つのTcdA抗原、またはii)1つのToxA-GT抗原および1つのTcdB抗原の組合せを含む。
一部の実施形態において、組成は、ToxA-GTと、TcdB抗原の群(例えばToxA-GT+ToxB-ED、ToxA-GT+ToxB-GT、ToxA-GT+ToxB-CP、ToxA-GT+ToxB-T、ToxA-GT+ToxB-B、ToxA-GT+ToxB-B2、ToxA-ED+ToxB-B7、ToxA-ED+ToxB-ED、ToxA-ED+ToxB-GT、ToxA-ED+ToxB-CP、ToxA-ED+ToxB-T、ToxA-ED+ToxB-B、ToxA-ED+ToxB-B2、およびToxA-ED+ToxB-B7)からの1つの抗原とを含む。
一部の実施形態において、組成は、ToxB-GTと、TcdA抗原の群(例えばToxB-GT+ToxA-ED、ToxB-GT+ToxA-GT、ToxB-GT+ToxA-CP、ToxB-GT+ToxA-T、ToxB-GT+ToxA-T4、ToxB-GT+ToxA-PTA2、ToxB-GT+ToxA-P5-7、ToxB-GT+ToxA-P5-6、ToxB-GT+ToxA-P9-10、ToxB-GT+ToxA-B2、ToxB-GT+ToxA-B3、ToxB-GT+ToxA-B5、ToxB-GT+ToxA-B6、ToxB-ED+ToxA-ED、ToxB-ED+ToxA-GT、ToxB-ED+ToxA-CP、ToxB-ED+ToxA-T、ToxB-ED+ToxA-T4、ToxB-ED+ToxA-PTA2、ToxB-ED+ToxA-P5-7、ToxB-ED+ToxA-P5-6、ToxB-ED+ToxA-P9-10、ToxB-ED+ToxA-B2、ToxB-ED+ToxA-B3、ToxB-ED+ToxA-B5、およびToxB-ED+ToxA-B6)からの1つの抗原とを含む。望ましくは、組成は、(a)ToxB-GT+ToxA-P5-6、(b)ToxB-GT+ToxA-B2、(c)ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-B2、または(d)ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-P5-6を含む。
別の実施形態において、免疫原性組成は3つの抗原を含む。こうした免疫原性組成は、i)1つのToxB-GT抗原および2つのTcdA抗原、ii)1つのToxA-GT抗原および2つのTcdB抗原、またはiii)1つのToxB-GT抗原、1つのToxA-GT抗原および1つのさらなるTcdAまたはTcdB抗原(例えばToxB-GT+ToxA-B2+ToxB-B、ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-P5-6)の組合せを含みうる。
免疫原性組成は、4つの抗原を含みうる。例えば、組成は、ToxB-GT抗原、ToxA-GT抗原およびTcdAおよび/またはTcdB抗原の群からの2つの追加的抗原(例えば、ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-GT+ToxA-B2)を含みうる。
ToxA-GTおよび/またはToxB-GT抗原を含む組合せは、TcdAおよびTcdBの両方の結合ドメインに由来する断片と組合せたとき、驚くほど効果的であることが見出された。特に、したがって組成は、i)ToxA-GT抗原またはToxB-GT抗原、およびii)ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6から選択される少なくとも一つのTcdA抗原、およびToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7から選択される少なくとも一つのTcdB抗原の組合せを含みうる。また組成は、i)ToxA-GT抗原およびToxB-GT抗原、およびii)ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6から選択される少なくとも一つのTcdA抗原、およびToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7から選択される少なくとも一つのTcdB抗原の組合せをも含みうる。
組成はさらに、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る追加的断片を含みうる。こうしたさらなる断片は、望ましくはTcdA抗原の群から、および/またはTcdB抗原の群から選択される。
混成ポリペプチド
組成内の抗原は、個別のポリペプチドおよび/または「混成」ポリペプチドとして存在しうる。一部の実施形態において、抗原のいずれも混成ポリペプチドの形態ではない。一部の実施形態において、抗原のいずれも混成ポリペプチドの形態ではない。混成ポリペプチド(本書ではまたキメラ、またはキメラタンパク質ともいう)について、下記にさらに詳しく説明する。
抗原は、本発明の組成内に、個別のポリペプチド(すなわち一つに混合された状態)として存在しうる。代替として、本発明の組成は、「混成体」ポリペプチドを含むが、ここで、少なくとも二つ(例えば2、3、4、5、もしくはそれを上回る)の抗原は、単一のポリペプチド鎖として表現される。本発明の組成はまた、少なくとも一つの個別のポリペプチド抗原および少なくとも一つの混成ポリペプチドを含みうる。混成ポリペプチドは、2つの主な利点を提供する。第一に、それ自体では不安定であるか、または発現が不十分であるかもしれないポリペプチドを、その問題を克服する適切な混成体パートナーを追加することにより支援しうること、第二に、どちらも抗原的に有用な2つのポリペプチドを生成する上で1つのみの発現および精製を採用する必要があるため、商業生産が単純化されることである。
混成ポリペプチドは、ToxB-GT抗原および一つ以上のTcdA抗原を含みうる。こうして、混成ポリペプチドは、同一ではない2個もしくはそれを上回る抗原を含む。こうして、混成ポリペプチドは、アミノ酸配列、すなわち 2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る異なる抗原からのものを含むことができ、また各抗原の複数のコピー、すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれを上回るコピーを含みうる。
混成ポリペプチドは、ToxA-GT抗原および一つ以上のTcdB抗原を含みうる。こうして、混成ポリペプチドは、同一ではない2個もしくはそれを上回る抗原を含む。こうして、混成ポリペプチドは、アミノ酸配列、すなわち 2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る異なる抗原からのものを含むことができ、また各タイプの断片の複数のコピー、すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれを上回るコピーを含みうる。
TcdA抗原は、望ましくはTcdA抗原の群から選択され、例えば、混成ポリペプチドは、TcdA抗体群のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の抗原を含みうる。TcdB抗原は、望ましくはTcdB抗原の群から選択され、例えば、混成ポリペプチドは、TcdB抗体群のうち1、2、3、4、5、6、7または8個の抗原を含みうる。
異なる混成ポリペプチドを、単一の製剤に一つに混合しうる。混成体は、非混成の抗原と組合せうる。こうした組合せ内で、TcdA/TcdB抗原は、複数の混成ポリペプチドに、および/または非混成ポリペプチドとして存在しうる。望ましくは、TcdA/TcdB抗原は、混成体としてまたは非混成体としてかのいずれかで存在し、両方としてではない。
混成ポリペプチドはまた、共役体または非C. difficile抗原とも組合せることができる。
混成ポリペプチドは、式NH2−A-{-X-L−}n-B-COOHで表現でき、式中、Xは、上述のとおり、毒素断片のアミノ酸配列で、望ましくはトキソイド断片で、Lは、オプションのリンカーアミノ酸配列で、Aは、オプションのN末端アミノ酸配列で、Bは、オプションのC末端アミノ酸配列で、nは、2以上(例えば2、3、4、5、6、 など)の整数である。普通は、nは2または3である。
-X-の部分に、野生型の形態でのリーダーポリペプチド配列がある場合、これは混成体タンパク質で、追加または欠如することがある。一部の実施形態において、リーダーポリペプチドは、混成体タンパク質のN末端に位置する−X-部分のものを除いて除去され、すなわちX1のリーダーポリペプチドは保持されるが、X-2…Xnのリーダーポリペプチドは除去される。これは、全てのリーダーポリペプチドを除去し、かつX1のリーダーポリペプチドを部分-A-として使用することと同等である。
{-X-L-}のそれぞれのn事例について、リンカーアミノ酸配列-L-が存在することも不在であることもある。例えば、-n=2であるとき、混成体は、NH2-X1-L1-X2-L2-COOH、NH2-X1-X2-COOH、NH2−X1−L1−X2-COOH、NH2-X1-X2-L2-COOH、などとすることができ、リンカーアミノ酸配列-L-は典型的に短い(例えば、20個以下のアミノ酸すなわち20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、クローニング、ポリ−グリシンリンカー(すなわちGlynを含み、n = 2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る)、およびヒスチジンタグ(すなわちHisnで、n = 3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る)を促進する短いポリペプチド配列を含む。その他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者にとって明らかとなる。有用なリンカーは、GSGGGG(配列ID番号:25)またはGSGSGGGG(配列ID番号:26)であり、Gly−Serジペプチドは、BamHI制限部位から形成され、それによってクローニングおよび操作を助け、また(Gly)4テトラペプチドは、典型的なポリ−グリシンリンカーである。その他の適切なリンカー、特に最終的なLn-としての用途のものは、Leu-Gluジペプチドまたは配列ID番号:27である。
-A-は、オプションのN末端アミノ酸配列である。これは、典型的に短い(例えば40個以下のアミノ酸、すなわち40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質の輸送を配向するリーダー配列であるか、またはクローニングまたは精製を促進する短いポリペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHisnで、n = 3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る)が含まれる。その他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者にとって明らかとなる。X1が、それ自体のN末端メチオニンを欠く場合、−A−は、望ましくは、N末端メチオニン(例えば、Met-Ala-Ser、または単一のMet残基)を供給するオリゴペプチド(例えば 1、2、3、4、5、6、7または8アミノ酸)である。
-B-は、オプションのC末端アミノ酸配列である。これは、典型的に短い(例えば40個以下のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質の輸送を配向する配列か、クローニングまたは精製を促進する短いポリペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグを含む、すなわちHisnで、n = 3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る)か、またはタンパク質安定性を高める配列が含まれる。その他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者にとって明らかとなる。
例えば、本発明は、ToxA-P5-6(配列ID番号:11)にペプチドリンカー(配列ID番号:25)を介して融合されたToxB-GT(配列ID番号:18)から成る、混成ポリペプチド(「B4混成体」)を提供する。B4混成体の略図を図7に示す(配列ID番号:24、配列ID番号:53の核酸配列により符号化)。
本発明の混成ポリペプチドは、典型的にホロトキシンではない、すなわち天然の毒素またはホロトキシンに存在するすべての機能ドメイン(GT、CP、TおよびB)を含まない。例えば、ToxB-GT抗原を含む混成ポリペプチドが、TcdBの結合ドメイン断片(例えば、ToxB-B、ToxB-B2および/またはToxB-B7)をも含む場合、混成体は天然の毒素Bで見られる順序ではTcdBのCPおよびTドメインは含まない。同様に、ToxA-GT抗原を含む混成ポリペプチドが、TcdAの結合ドメイン断片(例えば、ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6)を含む場合、混成体は、天然の毒素Aで見られる順序ではTcdAのCPおよびTドメインは含まない。
一部の実施形態において、混成ポリペプチド内の機能ドメインは、N末端からC末端に、天然の毒素にみられる順序の機能ドメインとは異なる順序であり、例えばTドメインはGTドメインのN-末端としうる。
同様に、TcdAおよびTcdB断片は任意の順序としうる。例えば、混成ポリペプチドが、2つのTcdA抗原および1つのTcdB抗原を含む場合には、N末端からC末端にA-A-B、A-B-A、B-A-Aの順序とすることができ、また混成ポリペプチドが2つのTcdB抗原および1つのTcdA抗原を含む場合には、N末端からC末端にB-B-A、B-A-B、A-B-Bの順序としうる。一般に、TcdAおよびTcdB抗原は、交互、例えば、A-B-AまたはB-A-Bとしうる。
特に、混成ポリペプチドは、望ましくはTcdAのToxA-Bドメインに融合されたTcdBのToxB-EDおよびToxB-Tドメインを含まず、ここで、TcdAのB-ドメインは、直接的に、またはリンカー(例えば変性した完全長TcdBで、ここでTcdBのB-ドメインがTcdAのB-ドメインと置換される)を介してかのどちらかで、TcdBのT-ドメインのC末端に融合される。混成ポリペプチドは、望ましくはTcdAのCP、TおよびBドメイン(N-Cの方向)に融合されたTcdBのGTドメインを含まず、ここで、TcdBのGT-ドメインは、直接的に、またはリンカー(例えば変性した完全長TcdAで、ここでTcdBのGT-ドメインがTcdBのGT-ドメインと置換される)を介してかのどちらかで、TcdAのCP-ドメインのC末端に融合される。混成ポリペプチドは、望ましくはTcdBのGT、CPおよびTドメイン(N-Cの方向)に融合されたTcdAのB-ドメインを含まず、ここで、TcdAのB-ドメインは、TcdBのGT-ドメインのC末端に直接的に、またはリンカーを介して融合される。
本発明の組成の調製
本発明はまた、上述の任意の抗原の組合せの抗原を混合する手順を含む、本発明の組成を調製するプロセスを提供する。例えば、本発明は、(i)ToxA-GT抗原および(ii)一つ以上(すなわち1、2、3、または4)のTcdB抗原、および任意に(iii)一つ以上(すなわち1、2、3、または4)のさらなるTcdA抗原を混合する手順を含むプロセスを提供する。例えば、プロセスはToxA-GT抗原、およびTcdB抗原の群から選択した一つ以上の抗原、および任意にTcdA抗原の群から選択した一つ以上の抗原を混合する手順を含みうる。
本発明はまた、(i)ToxB-GT抗原および(ii)一つ以上(すなわち1、2、3、または4)のTcdA抗原、および任意に(iii)一つ以上(すなわち1、2、3、または4)のTcdB抗原を混合する手順を含む、プロセスを提供する。例えば、プロセスは、ToxB-GT抗原を含むポリペプチド、およびTcdA抗原の群から選択した一つ以上の抗原、および任意にTcdB抗原の群から選択した一つ以上の抗原を混合する手順を含みうる。
TcdAおよびTcdB抗原の混合物を調製するための本発明のプロセスは、本発明のTcdAおよびTcdB抗原の組合せの混合物を薬剤(例えば、ワクチン)として調製するさらなる手順を含みうる。こうしたプロセスはさらに、薬剤(例えばワクチン)として保管または流通するために製剤をパッケージングする手順を含みうる。
本発明で使用するポリペプチド
本発明で使用するポリペプチドは、様々な形態をとることができる(例えば天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質付加、非脂質付加、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体の、多量体、微粒子、変性、など)。
本発明で使用するポリペプチドは、様々な手段(例えば組換え体発現、細胞培養からの精製、化学合成、など)で調製できる。組換え型で発現されたタンパク質、特に混成ポリペプチドが望ましい。
本発明で使用するポリペプチドは、望ましくは精製した形態で、または実質的に精製した形態、すなわち実質的にその他のポリペプチドを含まない(例えば天然に発生するポリペプチドを含まない)、特に、その他のC. difficileまたは宿主細胞ポリペプチドを含まない形態で提供され、また一般的に組成の少なくとも約50%純粋(重量で)、および通常は少なくとも約90%純粋、すなわち約50%未満、より望ましくは約10%未満(例えば5%)が、その他の発現したポリペプチドで構成される。こうして組成内の抗原は、それと共に分子が発現される全生物から分離される。
本発明で使用するポリペプチドは、望ましくはC. difficileポリペプチドである。
本発明で使用するポリペプチドは、望ましくは単離または精製される。
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを意味する。ポリマーは直鎖状でも分岐でもよく、これには、修飾アミノ酸が含まれることがあり、また非アミノ酸によって中断されることもある。この用語にはまた、自然に、または中断により変性されたアミノ酸ポリマーが含まれ、これには例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、またはその他の任意の操作または修飾(ラベリング要素との接合など)がある。また、例えば、一つ以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然のアミノ酸、などを含めて)を含むポリペプチドの他、当技術で既知のその他の修飾が含まれる。ポリペプチドは、単鎖または関連する鎖として発生することがある。
本発明は、配列-P-Q-または−Q−P−を含むポリペプチドを提供するが、ここで、-P-は上記に定義したアミノ酸配列であり、−Q−は上記に定義した配列ではない、すなわち本発明は、融合タンパク質を提供する。-P-のN末端コドンがATGでないが、このコドンがポリペプチドのN末端に存在しない場合は、Metとしてではなく、そのコドンのための標準アミノ酸として翻訳される。ところが、このコドンがポリペプチドのN末端である場合には、Metとして翻訳される。-Q-部分の例としては、限定はされないものの、ヒスチジン タグ(すなわちHisnで、n = 3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれを上回る)、マルトース結合タンパク質、またはグルタチオン-S-転移酵素(GST)が含まれる。
本発明はまた、本発明の核酸によって変化した宿主細胞をポリペプチド発現を誘発する条件下で培養する手順を含む、本発明のポリペプチドを生成するためのプロセスを提供する。
本発明のポリペプチドの発言は、C. difficile内で発生しうるが、本発明では、通常は発現(組換え体発現)のために異質組織宿主を使用する。異質組織宿主は、原核生物(例えば、バクテリア)または真核生物としうる。これは、大腸菌としうるが、その他の適切な宿主には、Brevibacillus chosinensis、枯草菌(Bacillus subtilis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母、などが含まれる。本発明のポリペプチドを符号化する野生型のC. difficile遺伝子と比較して、符号化されたアミノ酸に影響することなく、こうした宿主で発現効率を最適化するためにコドンを変化させるのに役立つ。
本発明は、ポリペプチドの少なくとも一部を化学的手段により合成する手順を含む、本発明のポリペプチドを生成するためのプロセスを提供する。
核酸
本発明ではまた、上述の本発明のポリペプチドの組合せまたは混成ポリペプチドを符号化する核酸(例えば、核酸の組合せ、ベクター、またはベクター組合せ)を含む組成も提供する。
本発明の抗原の組合せを符号化するヌクレオチド配列は既知であるか、または遺伝暗号に従いデザインされうる。こうして、本発明の状況において、こうしたヌクレオチド配列は、本書で開示した一つ以上のポリペプチド配列を符号化しうるか、または(a)前記任意のポリペプチドに対して、50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%個もしくはそれを上回る、例えば、90%もしくはそれを上回る同一性、または95%もしくはそれを上回る同一性、または99%もしくはそれを上回る同一性を持つもの、および/または(b)前記任意のポリペプチド:1の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含み、ここで「n」が7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250個もしくはそれを上回る、例えば、20もしくはそれを上回る、または例えば、50もしくはそれを上回る、または例えば、80個もしくはそれを上回る)であるアミノ酸配列を符号化しうる。
上述の全てのTcdAおよびTcdB抗原を符号化する核酸の天然のヌクレオチド配列を配列表に記載し、配列表の表に要約している。これらの抗原の一部を符号化するヌクレオチド配列が、コドン最適化プロセスを用いて最適化され、最適化されたヌクレオチド配列もまた、一部のケースでは提供されている。コドン最適化した配列の例には、配列ID番号:55、57、59、61、63および65〜69のヌクレオチド配列を含む核酸配列が含まれる。本発明には、配列表の表で特定される、上記の抗原の組合せを符号化する核酸を含む組成が含まれる。本発明はまた、これらの核酸にハイブリッド形成できる核酸を提供する。ハイブリッド形成反応は、異なる「厳密性」の条件下で実施できる。ハイブリッド形成反応の厳密性を高める条件は、広く知られているものであり、当技術で公開されている(例えば、の7.52ページ[42])。関連する条件の例には(厳密性を高める目的で)、25°C、37°C、50°C、55°Cおよび68°Cの培養温度、10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(ここでSSCは0.15 M NaClおよび15 mMのクエン酸塩緩衝液)の緩衝液濃度、およびその他の緩衝液システムを使用したその等価値、0%、25%、50%、および75%のホルムアミド濃度、5分〜24時間の培養時間、1、2、もしくはそれを上回る洗浄手順、1、2、または15分の洗浄液インキュベーション時間、および6 × SSC、1 × SSC、0.1 × SSCの、または脱イオン水の洗浄溶液が含まれる。ハイブリッド形成技術およびその最適化は、当技術で既知である[43、44、42、45、など]。
核酸は、低厳密性の条件下で標的に対してハイブリッド形成しうるが、その他の実施形態において、中程度の厳密性の条件でハイブリッド形成され、望ましい実施形態では高厳密性の条件下でハイブリッド形成される。低厳密性ハイブリッド形成の模範的な条件は、50°Cおよび10 × SSCである。中程度の厳密性ハイブリッド形成の模範的な条件は、55°Cおよび1 × SSCである。高厳密性ハイブリッド形成の模範的な条件は、68°Cおよび0.1×SSCである。
本発明には、これらの配列(例えば、アンチセンスまたは探索用、またはプライマーとして使用するため)に対して補完的な配列を含む核酸が含まれる。
本発明による核酸は、様々な形態をとることができる(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識など)。本発明の核酸は環状または分岐鎖としうるが、一般的には直鎖状である。別途に指定または要求のない限り、核酸を利用する任意の発明の実施形態は、二本鎖の形態、および二本鎖の形態を構成するそれぞれ補完的な2つの一本鎖の形態の両方を利用しうる。プライマーおよびプローブは、アンチセンス核酸のように一般的に一本鎖である。
本書に記載した抗原を符号化する核酸は、望ましくは、精製した形態か、または実質的に精製した形態、すなわち実質的にその他の核酸を含まない(例えば、天然に発生する核酸を含まない)、特に、その他のC. difficileまたは宿主細胞核酸を含まない形態で提供され、一般的に少なくとも約50%純粋(重量で)、および通常は少なくとも約90%純粋である。本発明の核酸は、望ましくは、C. difficile核酸である。
本書に記載した抗原を符号化する核酸は、例えば全体的または部分的に化学合成(例えばDNAのホスホラミダイト合成)による、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用した長めの核酸の消化による、ゲノムまたはcDNAライブラリからの短めの核酸またはヌクレオチド(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼの使用)を結合することによるなど、数多くの方法で準備しうる。
核酸は、固体担体(例えばビーズ、プレート、フィルター、膜、スライド、マイクロアレイサポート、樹脂、など)に付着させうる。核酸は、例えば、放射性または蛍光標識、またはビオチン標識により標識化されうる。これは、核酸が検出技術に使用される場合、例えば、核酸がプライマーであるか、またはプローブとしての場合に、特に有用である。
用語「核酸」には、一般的な意味で、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体を含む任意の長さのヌクレオチドの重合体の形態が含まれる。これには、DNA、RNA、DNA/RNA混成体が含まれる。これにはまた、変性バックボーン(例えばポリペプチド核酸(PNA)またはホスホロチオ酸)または変性塩基を含むものなど、DNAまたはRNAの類似体も含まれる。こうして、本発明には、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマー、などが含まれる。本発明の核酸が、RNAの形態をとる場合、5'キャップを持つ場合と持たない場合がある。
本書に記載した抗原を符号化する核酸は、ベクターの一部、すなわち、一つ以上の細胞型の形質導入/トランスフェクションのためにデザインされた核酸構成の一部としうる。ベクターは、例えば、挿入したヌクレオチドの単離、増殖および複製用にデザインされた「クローニングベクター」、宿主細胞内のヌクレオチド配列の発現用にデザインされた「発現ベクター」、結果的に組換えウイルスまたはウイルス様粒子が製造されるようにデザインされた「ウイルスのベクトル」、または複数のタイプのベクターの属性を含む「シャトルベクター」としうる。好ましいベクターは、プラスミドである。「宿主細胞」には、外来性の核酸の受容体でありうるか、そうであった個別の細胞または細胞培養が含まれる。宿主細胞には、自然な、偶発的な、または意図的な突然変異および/または変化のため、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、その子孫は、必ずしも原型の親細胞と完全に同一(形態学的に、または完全なDNA相補体で)でなくてもよい。宿主細胞には、生体内でまたは生体外で本発明の核酸を移入または感染した細胞が含まれる。
核酸に関連して使用するとき、用語「相補体」または「補完的」は、Watson-Crick塩基対形成を意味する。こうして、Cの相補体はG、Gの相補体はC、Aの相補体はT(またはU)、およびT(またはU)の相補体はAである。また、I(プリンイノシン)などの塩基を、例えば、ピリミジン(CまたはT)の相補体に使用することも可能である。
本書に記載した抗原を符号化する核酸は、例えば、ポリペプチドを生成するため、生体サンプルで核酸を検出するためのハイブリッド形成プローブとして、核酸の追加的なコピーを生成するため、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを生成するため、一本鎖DNAのプライマーまたはプローブとして、またはオリゴヌクレオチドを形成する三本鎖として使用できる。
本発明は、本書に記載した抗原を符号化する核酸を生成するためのプロセスを提供するが、ここで核酸は、部分的または全体的に化学的手段を使用して合成される。
本発明は、本書に記載した抗原を符号化するヌクレオチド配列(例えば、クローニングまたは発現ベクター)およびこうしたベクターを用いて変化させた宿主細胞を含むベクターを提供する。
ある一定の発明の実施形態では、核酸は、望ましくは長さが少なくとも7個のヌクレオチド(例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300個のヌクレオチドまたはそれより長い長さ)である。
ある一定の発明の実施形態では、核酸は、望ましくは、長さが最大で500個のヌクレオチド(例えば450、400、350、300、250、200、150、140、130、120、110、100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15個のヌクレオチドまたはそれより短い長さ)である。
菌株および変異体
抗原は、C. difficile菌株630からのC. difficile ToxAおよびToxBの参考文献ににより、上記に定義されている。ToxAおよびToxBについての塩基性基準配列は、公の遺伝子データベースで簡単に見つかる。例えば、GenBank受入番号AM180355は、完全なC. difficileゲノム配列であり、個別のToxAおよびToxB配列は、「locus_tag」エントリーとしてゲノム配列の「特徴(features)」セクションに記載がある。機能的注釈も、データベースに記載されている。
本発明の免疫原性組成は、C. difficileの複数の異なる菌株に起因するCDADに対する免疫化に有用である。本発明は、630菌株からのみの断片を含む組成には限定されない。C. difficileのいくつかの菌株の配列は、C. difficile菌株R20291(SM)、C. difficile菌株196、C. difficile菌株BI1、C. difficile 菌株BI/NAP1/027(リボタイプ027)、C. difficile菌株M120およびC. difficile菌株M68、菌株855、菌株QCD-63q42、菌株ATCC43255のものを含めて、入手可能である。さらなる任意のゲノム配列内にあるC. difficile菌株630からの特定の任意の毒素配列の相同体を同定するために、標準的な検索およびアラインメント技術を使用できる。例えば、菌株ATCC43255、菌株CIP107932、菌株QCD-23m63、菌株QCD-32g58、菌株QCD-37x79、菌株QCD-63q42、菌株QCD-66c26、菌株QCD-76w55、菌株QCD-97b34、菌株CD196、菌株CDBI1、菌株CDCF5、菌株CDSM、菌株CDM68、菌株CDM120または菌株R20291内である。その上、C. difficile菌株630から入手可能な配列は、その他の菌株からの相同配列の増幅用のプライマーの設計に使用できる。こうして、本発明は、この菌株からのポリペプチドに限定されないが、むしろ、C. difficileのその他の菌株からのこうした変異体および相同体だけでなく、非天然の変異体も含まれる。一般に、特定の配列ID番号の適切な変異体には、その対立形質の変異体、その多形相、その相同体、そのオルソログ、そのパラログ、その突然変異体などが含まれる。
こうして、例えば、本発明で使用するポリペプチドは、菌株630基準配列と比較して、一つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、など)のアミノ酸置換(同類置換(すなわち 、1つのアミノ酸を関連する側鎖を持つ別のものと置換すること)など)を含みうる。遺伝学的に符号化されたアミノ酸は、一般的に、(1) 酸性、すなわちアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、(2)塩基性、すなわちリジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、および(4)無電荷の極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンの4つの群に分けうる。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には芳香族アミノ酸として一緒に分類される。一般に、これらの群内での単一のアミノ酸の置換は、生物活性に対して大きな影響は持たない。ポリペプチドはまた、一つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、など)の菌株630配列に関連する単一のアミノ酸欠失も含みうる。ポリペプチドはまた、一つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、など)のTcdAおよび/またはTcdB配列に関連する挿入(例えば1、2、3、4または5のそれぞれのアミノ酸)も含みうる。
同様に、本発明で使用するポリペプチドは、以下に該当するアミノ酸配列を含みうる:
(a) 配列表で開示されている配列と同一である(すなわち100%同一)、
(b) 配列表で開示されている配列と配列同一性を共有する(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%もしくはそれを上回る)、
(c) 1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(もしくはそれを上回る)単一のアミノ酸変質(欠失、挿入、置換)を持ち、(a)または(b)の配列と比較して、別個の位置でもよく、または隣接していてもよい、および
(d) ペア・アライメント・アルゴリズムを使用して、配列表からの特定の配列とアライメントするとき、N末端からC末端へxアミノ酸の各移動ウィンドウ(p アミノ酸に伸長するアライメントについて、p>xである場合、p-x+1個のこうしたウィンドウがあるように)は、少なくともx・y の同一なアライメントしたアミノ酸を有する。ここで、xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、およびx・yが整数でない場合には、最も近い整数に丸められる。好ましいペア・アラインメント・アルゴリズムは、デフォルトパラメータ(例えば、ギャップ開始ペナルティ = 10.0、およびギャップ伸長ペナルティ = 0.5で、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用)を用いる、Needleman-Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム[46]である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージのニードルツールで都合よく実行される[47]。
一般に、本発明のポリペプチドが配列表からの完全なC difficile配列と同一でない配列を含むとき(例えば、それに対して100%に満たない配列同一性を持つ配列表を含むとき、またはそれがその断片を含むとき)、各個別の場合において、ポリペプチドがそれぞれの毒素(TcdAまたはTcdBのいずれか)を認識する抗体を誘発できることが望ましく、望ましくは配列表に記載されている完全なC. difficile配列である。
混成ポリペプチドが使用される場合、混成体内の個別の抗原(すなわち、個別の-X-部分)は、一つ以上の菌株からとしうる。例えば、n=2の場合、X2は、X1と同じ菌株からでもよく、または異なる菌株からでもよい。n=3の場合、菌株は、(i)X1=X2=X3(ii)X1=X2/X3(iii) X1/X2=X3(IV) X1/X2/X3または(v) X1=X3/X2、などとしうる。
群(c)内で、欠失または置換は、N末端および/またはC末端でもよく、2つの終端の間でもよい。こうして、切断は欠失の一例である。切断には、N末端および/またはC末端での最大40(もしくはそれを上回る)のアミノ酸の欠失が関与しうる。
免疫原性組成および薬物
本書に記載した抗原の文脈で用語「免疫原性」は、例えば、被験者(望ましくは哺乳動物、より望ましくは、ヒトまたはマウス)を免疫化するために使用するときに、その抗原が、由来元である野生型のC. difficileタンパク質に対して細胞を媒介する、および/または抗体反応などの免疫応答を誘発する能力があることを意味するために使用される。
本発明の免疫原性組成は、本発明による抗原を含む。本発明の免疫原性組成は、ワクチンとして有用でありうる。本発明によるワクチンは、予防用(すなわち、感染を阻止する)または治療用(すなわち、感染を治療する)のいずれでもよいが、典型的に予防用である。用語「感染に対して保護された」は、被験者の免疫系が免疫応答を引き起こし、感染に抵抗するように初回刺激を受けた(例えばワクチン接種により)ことを意味する。こうして、ワクチン接種を受けた被験者は、感染することもあるが、対照被験者よりも感染にうまく抵抗できる。
こうして、組成は医薬品として容認できるものとしうる。これらには通常は、抗原に加えて成分が含まれ、例えば、典型的に一つ以上の薬学的な担体および/または賦形剤が含まれる。こうした成分についての詳細な考察は、[48]で入手可能である。
組成は、一般的に、哺乳動物に水溶性の形態で投与される。ただし、投与前に、組成が非水系の形態にされていることがある。例えば、一部のワクチンは、水溶性の形態で製造されてから、また水溶性の形態で充填・流通されて投与されるが、その他のワクチンは、製造時に凍結乾燥されて、使用時点で水溶性の形態に再構成される。こうして、本発明の組成は、凍結乾燥した製剤など、乾燥されることがある。
組成には、チオメルサールまたは2-フェノキシエタノールなどの防腐剤が含まれうる。ただし、ワクチンは、実質的に水銀材料を含まない(すなわち5μg/ml未満)例えばチオメルサールを含まないものであることが好ましい。水銀を全く含有しないワクチンがより好ましい。防腐剤未使用のワクチンが、特に好ましい。
熱的安定性を改善するために、組成は温度保護剤を含みうる。さらに、こうした薬剤の詳細については、下記に提供する。
緊張度を調節するために、ナトリウム塩などの生理学的塩を含めることが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20 mg/mlで存在しうるが、例えば約10±2mg/ml NaClである。存在しうるその他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、などが含まれる。
一般的に、組成は200 mOsm/kg〜400 mOsm/kgの重量オスモル濃度を持ち、望ましくは240〜360 mOsm/kgであり、またより望ましくは290〜310 mOsm/kgの範囲に収まる。
組成には、一つ以上の緩衝液が含まれうる。典型的な緩衝液には、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、コハク酸塩緩衝液、ヒスチジン緩衝液(特にアルミニウム水酸化物アジュバントを含むもの)、またはクエン酸塩緩衝液が含まれる。典型的に、緩衝液は5〜20mMの範囲で含まれる。
組成のpHは、一般的に5.0〜8.1の間、およびより典型的には6.0〜8.0例えば6.5〜7.5の間、または7.0〜7.8の間である。
組成は、望ましくは無菌である。組成は、望ましくは非発熱性で、例えば用量当たり1 EU未満(エンドトキシン活性単位、標準測定値)、および望ましくは用量当たり0.1 EU未満である。組成は、望ましくは無グルテンである。
組成には、単回免疫化用の材料が含まれることがあり、また複数回の免疫化用の材料(すなわち「複数用量」キット)が含まれることがある。防腐剤を含めることは、複数回用量の準備には好ましい。複数回用量の組成に防腐剤を含めることへの代替(または追加)として、組成は材料を取り出すための無菌アダプターを持つ容器内に入れることができる。
ヒトワクチンは、典型的に投薬量約0.5mlで投与されるが、半分の用量(すなわち約0.25ml)を子供に投与しうる。
本発明の免疫原性組成はまた、一つ以上の免疫調節性薬剤も含みうる。望ましくは、一つ以上の免疫調節性薬剤には、一つ以上のアジュバントが含まれる。アジュバントは、TH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含みうるが、下記にさらに考察する。
本発明の組成で使用しうるアジュバントには、限定はされないものの下記がある:
・ 水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸、オルトリン酸)および硫酸塩、などを含めた、アルミニウム塩およびカルシウム塩などの鉱物塩[例えば参考文献49の8章と9章を参照]、
・ MF59(5%スクアレン、0.5% Tween 80、および0.5%スパン85、マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に調製)を含むスクアレン-水乳濁液などの水中油乳濁液[参考文献49の10章のほか、参考文献50-53],、参考文献54の10章および参考文献55の12章も参照]、完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)、
・ サポニン製剤[参考文献49の22章]、QS21 [56]およびISCOM [参考文献49の23章]など;
・ virosomes and virus−like particles(VLPs) [57-63];
・ 細菌性または微生物性の誘導体(腸内細菌性のリポ多糖(LPS)の非毒性誘導体など)、リピドA誘導体[64、65]、免疫賦活化オリゴヌクレオチド[66-71](IC−31TM [72](26-mer 配列5'-(IC)13-3'(配列ID番号:28)を含むデオキシヌクレオチドおよび11-merアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列ID番号:29)を含むポリカチオン性ポリマー ポリペプチド)など)およびADP-リボシル化毒素およびその解毒された誘導体[73-82]、
・ インターロイキン(例えばIL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12などのサイトカイン[83、84]、インターフェロン(例えばインターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子を含む、ヒト免疫調節薬、
・ キトサンおよびその誘導体などの生体付着性物質および粘膜付着性物質、エステル化されたヒアルロン酸細粒 [85]またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニールピロリドン、多糖類およびルボキシメチルセルロースの交差結合した誘導体などの粘膜付着性物質[86]、
・ 生物分解性のおよび非毒性である材料から形成した微小粒子(すなわち、直径が最大100nm〜150μm、より望ましくは直径が最大200nm〜30μm、および最も望ましくは直径が最大500nm〜10μmの粒子)(例えばポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、酸無水物、ポリカプロラクトンなど)、
・ リポソーム [[49、87-89]の13章および14章、);
・ ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレン エステル[90]、
・ PCPP製剤[91および92]、
・ N-アセチル-ムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-l-アラニル-d-イソグルタミン(nor-MDP)、およびN−アセチルムラミル-l-アラニル-d-イソグルタミニル-l-アラニン-2-(1'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミンMTP-PE)を含む、ムラミル ポリペプチド、および
・ イミキモド(Imiquamod)およびその相同体(例えば「レシキモド(Resiquimod)3M」)を含む、イミダゾキノロン[93および94]。
本発明の免疫原性組成およびワクチンは、上記で特定した一つ以上のアジュバントの様相の組合せも含みうる。例えば、以下のアジュバント組成を本発明で使用しうる:(1)サポニンおよび水中油乳濁液[95]、(2)サポニン(例えばQS21)+無毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)[96]、(3)サポニン(例えばQS21)+無毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)+コレステロール、(4)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL−12(任意に+ステロール)[97]、(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油乳濁液との組合せ[98]、(6)10%スクアラン、0.4% Tween 80TM、5% pluronic-ブロック重合体L121、およびthr-MDPを含むSAF(サブミクロンの乳濁液にミクロ流動化されたか、または撹拌混合して大き目の粒度の乳濁液を生成したかのいずれか)。(7)2%スクアレン、0.2% Tween 80、およびモノホスホリリピド A(MPL)、トレハロースジミコール酸(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)で構成される群からの一つ以上のバクテリア細胞壁成分(望ましくは、MPL+CWS(DetoxTM))を含む、RibiTMアジュバントシステム(RAS)、(Ribi Immunochem)、および(8)一つ以上鉱物塩(アルミニウム塩など)+ LPSの無毒性誘導体(3dMPLなど)。
免疫刺激薬として作用するその他の物質は、[49]の7章に開示されている。
アルミニウム水酸化物および/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用は、特に好ましく、および抗原は、一般的にこれらの塩に吸収される。リン酸カルシウムは、好ましいその他のアジュバントである。好ましいその他のアジュバントの組合せには、CpGとミョウバン、またはレシキモド(resiquimod)とミョウバンなど、Th1およびTh2アジュバントの組合せが含まれる。リン酸アルミニウムおよび3dMPLの組合せを使用しうる(これは肺炎球菌免疫化で効果的であると報告されている[99])。
本発明の組成は、細胞を媒介した免疫応答および体液性の免疫応答の両方を誘発しうる。この免疫応答は、望ましくは、C. difficileに晒されたときに迅速に応答できる、抗体および細胞を媒介とした免疫の長時間持続(例えば、中和)を誘発する。
2つのタイプのT細胞(CD4およびCD8細胞)が、細胞を媒介とした免疫および体液性の免疫を開始する、および/または高めるために必要であると一般的に考えられている。CD8 T細胞はCD8補助受容体を発現でき、一般に細胞障害性リンパ球(CTL)と呼ばれる。CD8 T細胞は、MHC Class I分子上に示される抗原を認識できるか、または相互に作用する。
CD4 T細胞はCD4補助受容体を発現でき、一般にTヘルパー細胞と呼ばれる。CD4 T細胞は、MHC class II分子に結合された抗原性のポリペプチドを認識できる。MHC class II 分子と相互作用すると、CD4細胞はサイトカインなどの因子を分泌できる。これらの分泌されたサイトカインは、免疫応答に関与するB細胞、細胞毒性T細胞、マクロファージ、およびその他の細胞を活性化できる。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、さらにそれらのサイトカインおよびエフェクター機能が異なるTH1表現型およびTH2表現型の2つの機能的に別個のサブセットに分割できる。
活性化されたTH1細胞は、細胞の免疫を高め(抗原特異的CTL生成の増大を含む)、したがって細胞内感染に対する応答において特定の価値がある。活性化されたTH1細胞は、IL-2、IFN-γ、およびTNF-βのうち一つ以上を分泌しうる。TH1免疫応答は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞、およびCD8細胞毒性T細胞(CTL)を活性化することにより、結果として局部的な炎症性反応を起こしうる。TH1免疫応答はまた、IL-12によってB細胞およびT細胞の成長を刺激することにより、免疫応答を拡張する作用もしうる。TH1刺激B細胞は、IgG2aを分泌しうる。
活性化されたTH2細胞は、抗体の生成を促進し、したがって細胞外感染への応答にとって価値がある。活性化されたTH2細胞は、IL-4、IL-5、IL-6、およびIL-10のうち一つ以上を分泌しうる。TH2免疫応答は、結果的にIgG1、IgE、IgAおよび将来的な保護のための記憶B細胞の生成をしうる。
免疫応答の促進には、TH1免疫応答およびTH2免疫応答の促進のうち一つ以上を含みうる。
TH1免疫応答は、CTLの増大、TH1免疫応答に関連した一つ以上のサイトカイン(IL-2、IFN-γ、およびTNF-βなど)の増大、活性化されたマクロファージの増大、NK活性の増大、またはIgG2aの生成の増大のうち、一つ以上を含みうる。望ましくは、TH1免疫応答の促進は、IgG2aの生成の増大を含む。
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを使用して誘発されうる。TH1アジュバントは、一般的にアジュバントを含まない抗原の免疫化に対して、IgG2a生成のレベルの増大を誘発する。本発明で使用するために適切なTH1アジュバントは、例えば、サポニン製剤、ビロゾームおよびウイルス様の粒子、腸内細菌性のリポ多糖(LPS)の無毒性の誘導体、免疫賦活化オリゴヌクレオチドを含みうる。CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドなどの免疫賦活化オリゴヌクレオチドは、本発明での使用に好ましいTH1アジュバントである。
TH2免疫応答は、TH2免疫応答に関連する一つ以上のサイトカイン(IL-4、IL-5、IL-6およびIL-10など)、またはIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の生成の増大のうち一つ以上を含みうる。望ましくは、TH2免疫応答の促進は、IgG1の生成の増大を含む。
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを使用して誘発されうる。TH2アジュバントは、一般的にアジュバントを含まない抗原の免疫化に対して、IgG1生成のレベルの増大を誘発する。本発明で使用するために適切なTH2アジュバントは、例えば、鉱物を含む組成、油-乳濁液、およびADP-リボシル化毒素およびその解毒された誘導体を含む。アルミニウム塩などの鉱物を含む組成は、本発明での使用に好ましいTH2アジュバントである。
望ましくは、本発明は、TH1アジュバントとTH2アジュバントの組合せを含む組成を含む。望ましくは、こうした組成は、TH1の促進およびTH2反応の促進、すなわち、アジュバントを含まない免疫化に対して、IgG1およびIgG2aの両方の生成の増大を誘発する。なおさらに望ましくは、TH1およびTH2アジュバントの組合せを含む組成は、単一のアジュバントを含む免疫化に対して(すなわち、TH1アジュバント単独を含む免疫化、またはTH2アジュバント単独を含む免疫化に対して)、TH1の増大および/またはTH2免疫応答の増大を誘発する。
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2反応のうち一方または両方としうる。望ましくは、免疫応答は、TH1反応の増大およびTH2反応の増大のうち一方または両方を提供する。
免疫応答の促進は、全身性および粘膜の免疫応答うち一方または両方でありうる。望ましくは、免疫応答は、全身性の免疫応答の促進および粘膜の免疫応答の促進のうち、一方または両方を提供する。望ましくは、粘膜の免疫応答は、TH2免疫応答である。望ましくは、粘膜の免疫応答は、IgAの生成の増大を含む。
本発明の組成は、様々な形態で調製しうる。例えば、組成は液体溶液または懸濁液のいずれかの注射剤として調製しうる。注射の前に、液体媒体内の溶液、または懸濁液に適切な個体も調製できる(例えば、凍結乾燥した組成または噴霧-フリーズドライした組成)。組成は、局所的投与用に、例えば軟膏、乳脂または粉末として調製しうる。組成は、経口投与用に、例えば錠剤またはカプセルとして、噴霧剤として、またはシロップ(任意に風味付き)として調製しうる。組成は、肺疾患の投与用に、例えば吸入器として、微細な粉末または噴霧剤を使用して調製しうる。組成は、坐薬またはペッサリーとして調製しうる。組成は、点鼻投与、耳投与または点眼投与用に、例えば点滴薬として調製しうる。組成は、組合せた組成が、患者への投与直前に再構成されるようにデザインされたキットの形態としうる。こうしたキットは、液体形態の一つ以上の抗原および一つ以上の凍結乾燥した抗原を含みうる。
組成が、使用の前に即興的に調製される場合(例えば、構成要素が、凍結乾燥した形態で存在する場合)、かつキットとして存在する場合、そのキットは、2つのバイアルを含むか、または1つの予め充填済みの注射器および1つのバイアルを含み、注射器の内容物は、注射の前にバイアルの内容物を再活性化するために使用される。
ワクチンとして使用される免疫原性組成は、免疫学的に有効な量の抗原を含む他、必要に応じてその他任意の成分を含む。「免疫学的に有効な量」とは、単一用量でまたは連続した投与の一部としてのいずれかでのある個人へのその量の投与が、治療または予防について有効であることを意味する。この量は、治療を受けるその個人の健康および物理的な状態、年齢、治療を受ける個人の分類学上の群(例えばヒト以外の霊長類、霊長類、など)、その個人の抗体を合成する免疫系の能力、望まれる保護の度合、ワクチン製剤形態、治療担当医師の医学的状態の評価、およびその他の関連要因に依存して変化する。この量は、通常的な治験により判定できる、比較的広い範囲に収まることが期待される。複数の抗原が組成中に含まれる場合には、2つの抗原が互いに同一用量でまたは異なる用量で存在しうる。
上述のとおり、組成は温度保護剤を含むことがあるが、この構成要素は、アジュバントを含む組成(特に、アルミニウム塩などの鉱物アジュバントを含むもの)で特に有用でありうる。参考文献100に記載のあるとおり、液温保護剤は、その凝固点を下げるために、例えば凝固点を0°Cより低く下げるために、水溶性のワクチン組成に添加しうる。こうして、組成は、熱的な崩壊を抑制するために0°Cよりも低いが、その凝固点よりも高い温度での保存が可能である。温度保護剤は、組成の凍結を許容しつつも、凍結・解凍後の凝塊反応(agglomeration)または沈殿に対して鉱物塩アジュバントを保護し、また、高温(例えば40°Cを超える温度)で組成を保護することもできる。開始時の水溶性のワクチンおよび液温保護剤は、液温保護剤が、最終的な混合物の容積で1〜80%の範囲を形成するように混合しうる。適切な温度保護剤は、ヒト投与について安全であるべきで、水に簡単に混和/溶解が可能で、および組成中のその他の成分(例えば抗原およびアジュバント)を傷つけないべきである。例には、グリセリン、プロピレングリコール、および/またはポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。適切なPEGは、200〜20,000 Daの範囲の平均分子量を持ちうる。一つの望ましい実施形態において、ポリエチレングリコールは、約300 Da(「PEG-300」)の平均分子量を持ちうる。
本発明の組成は、(i)本発明の抗原組合せのうち2つ以上(例えば2、3、または4)の抗原を含む水溶性の組成を(ii)温度保護剤と混合することにより形成しうる。混合物は次に、例えば0°Cより低い温度、0〜20°C、20〜35°C、35〜55°C、またはそれより高い温度で保存しうる。これは、液体または冷凍した形態で保存しうる。混合物は凍結乾燥しうる。組成は、代替的に(i)本発明の抗原組合せのうち2つ以上(例えば2、3、または4)の抗原を含む乾燥した組成を(ii)温度保護剤を含む液体組成と混合することにより形成しうる。こうして、構成要素(ii)は、構成要素(i)を再構成するために使用できる。
治療の方法、およびワクチンの投与
本発明はまた、有効量の本発明の組成を投与する手順を含む、哺乳動物での免疫応答を高めるための方法を提供する。
本発明はまた、Clostridium difficile抗原の組合せを含む免疫原性組成を提供するが、前記組合せは、a)ToxB-GT抗原およびTcdA抗原(例えば 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個もしくはそれを上回るTcdAのポリペプチド片)と、および/または b)薬剤として使用するため、例えば哺乳動物での免疫応答を高めるために使用するための、ToxA-GT抗原およびTcdB抗原(例えば 1、2、3、4、5、6、7、もしくはそれを上回るTcdBのポリペプチド片)を含む。特定の免疫原性組成は、Clostridium difficile抗原の組合せを含むが、前記組合せは、(i)ToxB-GT抗原およびToxA-P5-6抗原または(ii)薬剤として使用するため、例えば哺乳動物での免疫応答を高めるべく使用するためのToxB-GT抗原およびToxA-B2抗原を含む。
本発明はまた、Clostridium difficile抗原の組合せを含む免疫原性組成を提供するが、前記組合せは、a)ToxB-GT抗原およびTcdA抗原(例えば 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個もしくはそれを上回るTcdAのポリペプチド片)と、および/または b)哺乳動物での免疫応答を高めるための薬剤の製造において、ToxA-GT抗原およびTcdB抗原(例えば 1、2、3、4、5、6、7、もしくはそれを上回るTcdBのポリペプチド片)を含む。特定の免疫原性組成は、Clostridium difficile抗原の組合せを含むが、前記組合せは、(i)ToxB-GT抗原およびToxA-P5-6抗原または(ii)哺乳動物での免疫応答を高めるための薬剤の製造におけるToxB-GT抗原およびToxA-B2抗原を含む。
免疫応答は、望ましくは保護性であり、また望ましくは抗体および/または細胞を媒介とする免疫が関与する。方法は、ブースター反応を高めることがある。
これらの用途および方法によって、哺乳動物における免疫応答を高めることにより、哺乳動物はC. difficile感染に対して保護ができる。より具体的には、哺乳動物は、下痢、抗生物質に関連した下痢(AAD)、腹痛、発熱、白血球増多症、偽膜性大腸炎または中毒性巨大結腸のうち一つ以上を含む、CDADに対して保護されうる。本発明の組成は、様々な異なる血清型のC. difficileに対して有効である。本発明の組成は、C. difficile菌株630、B1、B1/NAP1/027(リボタイプ027)、R20291(SM)、196、BI1、M120 M68、855、QCD-63q42、ATCC43255、CIP107932、QCD-23m63、QCD-32g58、QCD-37x79、QCD-63q42、QCD-66c26、QCD-76w55、QCD-97b34、CD196、CDBI1、CDCF5、CDSM、CDM68、CDM120またはR20291などから結果的に生じるCDADに対する保護に有用でありうる。
本発明はまた、第一の構成要素および第二の構成要素を含むキットを提供するが、第一の構成要素と第二の構成要素のどちらも上述の本発明の組成ではないが、第一の構成要素および第二の構成要素は、組合せて上述の本発明の組成を提供できる。キットは、さらに取扱い説明書、注射器またはその他の送達装置、アジュバント、または医薬品として容認できる製剤溶液のうち一つ以上を含む、第三の構成要素を含みうる。
本発明はまた、本発明の免疫原性組成を予め充填した送達装置を提供しうる。
哺乳動物は、望ましくはヒト、大型家畜(例えばウマ、ウシ、シカ、ヤギ、ブタ)および/または愛玩動物(例えばイヌ、ネコ、スナネズミ、ハムスター、モルモット、チンチラ)である。最も望ましくは、哺乳動物はヒトである。本発明による免疫原性組成は、子供および成人の両方の治療に使用しうる。こうして、ヒト患者は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳としうる。ワクチン接種を受けるのに好ましい患者は、高齢者(例えば50歳を超える、60歳を超える、および望ましくは65歳を超える)、若年者(例えば5歳未満)、入院患者、医療サービス従事者、軍隊・軍人、妊婦、慢性的な病気、または免疫不全の患者である。ワクチンは、これらの群のみに適切なばかりでなく、より一般の人口にも使用されうる。
治療処置の効力をチェックする1つの方法には、本発明の組成の投与後のC. difficile感染の監視が関与する。予防処置の効力をチェックする1つの方法には、組成を投与した後での本発明の組成中の抗原に対する、全身的(IgG1およびIgG2a生成のレベルの監視など)および/または粘膜による(IgA生成のレベルの監視など)免疫応答の監視が関与する。一般に、抗原特異的な血清抗体の応答は免疫化の後であるが、負荷試験の前に判定される一方、抗原特異的な粘膜の抗体の応答は、免疫化の後かつ負荷試験の後に判定される。
本発明の組成の免疫原性を評価する別の方法は、免疫ブロットおよび/またはマイクロアレイにより、患者の血清または粘膜の分泌のスクリーニングのために、タンパク質を組換え型で発現させることである。タンパク質と患者試料の間の陽性反応は、患者が問題のタンパク質に対する免疫応答を起したことを示す。この方法はまた、抗原内の免疫優性抗原および/または抗原決定基を識別するために使用しうる。
ワクチン組成の効力は、C. difficile感染の動物モデル、例えば、ハムスター、モルモットまたはマウスを、ワクチン組成で負荷試験することにより、生体内でも判定できる。こうした1つのモデルを本書に記載している。
本発明の組成は、一般的に患者に直接的に投与される。直接送達は、非経口的な注射(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または組織の間質の腔に)、または粘膜(直腸など)により、経口(例えば錠剤、噴霧剤)、経膣、局所的、経皮的または経皮的、鼻腔内、眼球、耳、肺またはその他の粘膜などによる投与により達成されうる。
本発明は、全身性および/または粘膜の免疫を誘発するため、望ましくは、全身性および/または粘膜の免疫の促進を誘発するために使用しうる。
望ましくは、全身性および/または粘膜の免疫の促進は、TH1および/またはTH2免疫応答の促進に反映される。望ましくは、免疫応答の促進には、IgG1および/またはIgG2a、および/またはIgAの生成の増大が含まれる。
投薬量は、単一用量スケジュールまたは複数用量スケジュールによることができる。複数用量は、初回の免疫化スケジュールおよび/またはブースター免疫化スケジュールで使用しうる。複数用量スケジュールでは、同一または異なる経路で、例えば非経口的な初回(prime)および粘膜のブースト(boost)、粘膜の初回(prime)および非経口的なブースト(boost)、など、様々な用量を与えることができる。複数用量は、典型的に、少なくとも1週間おき(例えば約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間、など)に投与される。
本発明により生成されるワクチンは、(例えば医療従事者またはワクチン接種センターでの医療相談または来院と同時に)その他のワクチンと、実質的に同時に、例えば、肺炎ワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合型のH.インフルエンザタイプのbワクチン、不活性化したポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌性結合ワクチン(四価A−C−W135−Yワクチンなど)、呼吸器合胞体ウイルスワクチン、などと実質的に同時に患者に投与されうる。
粘膜の免疫化
本発明は、(i)ToxB-GTおよび一つ以上のTcdAのポリペプチド片(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14個もしくはそれを上回るTcdAのポリペプチド片)を含むポリペプチド、および/またはToxA-GTおよび一つ以上のTcdBのポリペプチド片(例えば1、2、3、4、5、6、7、もしくはそれを上回るTcdBのポリペプチド片)を含むポリペプチド、および(ii)細菌性の ADP-リボシル化毒素および/またはその解毒された誘導体を含む、免疫原性組成を提供する。本発明はまた、有効量のこうした免疫原性組成を哺乳動物に投与する手順を含む、哺乳動物での免疫応答を高めるための方法を提供する。
本発明の組成のさらなる抗原性成分
本発明はまた、少なくとも一つのさらなるC. difficile 抗原をさらに含む組成を提供する。さらなるC. difficile抗原には、例えば、糖類抗原が含まれる。糖類抗原は、当技術で既知の標準的な結合技術を用いて、本発明のペプチドに結合しうる。本発明の組成での使用に好ましい糖類抗原は、細胞壁の多糖類II(本書で「PS-II」という)であり、C. difficile内の保存表面抗原であると考えられる。PS-II反復単位の構造は[101]に記載がある。
[→6)-β-D-Glcp-(1→3)-β-D-GalpNAc-(1→4)-α-D-Glcp-(1→4)-[β-D-Glcp-(1→3]-β-D-GalpNAc-(1→3)-α-D-Manp-(1→P]
例えば、上述のポリペプチド(ToxB-GTなど)は、例えばPS-IIに化学的に結合しうる。
本発明はまた、C. difficile抗原ではない少なくとも一つの抗原をさらに含む組成を提供する。
特に、本発明はまた、本発明のポリペプチドおよび一つ以上の以下のさらなる抗原を含む組成を提供する:
‐ N.meningitidis血清型A、C、W135および/またはY(望ましくは4つ全て)からの糖類抗原。
‐ 肺炎球菌からの糖類またはポリペプチド抗原[例えば 102、103、104]。
‐ A型肝炎ウイルスからの抗原で、不活性化したウイルスなど[例えば105、106]。
‐ B型肝炎ウイルスからの抗原で、表面および/またはコア抗原など[例えば106、107]。
‐ ジフテリア抗原で、ジフテリアトキソイドなど[例えば参考文献の3章108]またはCRM197突然変異体[例えば109]。
‐ 破傷風抗原で、破傷風トキソイドなど[例えば参考文献108の4章]。
‐ Bordetella pertussisからの抗原で、百日咳ホロトキシン(PT)およびB.pertussisからのフィラメンタス・ヘムアグルチニン(FHA)、また任意にパータクチンおよび/または凝集原2および3との組合せ[例えば参考文献110 & 111]。
‐ インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae) Bからの糖類抗原[例えば、112]。
‐ ポリオ抗原[例えば 113、114]、IPVなど。
‐ 麻疹、おたふく風邪および/または風疹抗原[例えば参考文献108の9章、10章、11章]。
‐ インフルエンザ抗原[例えば参考文献108の19章]、赤血球凝集素および/またはノイラミダーゼ表面タンパク質など。
‐ モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)からの抗原[例えば115]。
‐ Streptococcus agalactiae (B群連鎖球菌)からのタンパク質抗原[例えば116、117]。
‐ Streptococcus agalactiae (B群連鎖球菌)からの糖類抗原。
‐ 化膿レンサ球菌(A群連鎖球菌)からの抗原[例えば117、118、119]。
‐ 黄色ブドウ球菌からの抗原[例えば 120]。
組成は、一つ以上のこれらのさらなる抗原を含みうる。
毒性のタンパク質抗原は、必要な場合に解毒されうる(例えば、化学的および/または遺伝子的な手段による百日咳毒素の解毒[111])。
ジフテリア抗原が組成に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原をも含めることが好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリアおよび百日咳抗原をも含めることが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリアおよび破傷風抗原をも含めることが好ましい。こうして、DTP組合せが望ましい。
糖類抗原は、望ましくは結合体の形態である。結合体のための担体タンパク質には、ジフテリア毒素、破傷風毒素、N.meningitidis外膜タンパク質[121]、合成ポリペプチド [122、123]、熱ショックタンパク質[124,125]、百日咳タンパク質 [126、127]、H.influenzaeからのタンパク質D[128]、サイトカイン[129]、リンホカイン[129]、連鎖球菌タンパク質、ホルモン[129]、成長因子[129]、C.difficileからの毒素AまたはB [130]、鉄取り込みタンパク質[131]、などが含まれる。好ましい担体タンパク質は、ジフテリア毒素のCRM197突然変異体である[132]。
組成中の抗原は、典型的に、それぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般に、任意の所定の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答の誘発に十分である。
本発明の免疫原性組成内でタンパク質抗原を使用する代わりとして、抗原を符号化する核酸(望ましくはDNA、例えば、プラスミドの形態)を使用しうる。
抗原は、望ましくはアルミニウム塩に吸収される。
抗体
C. difficileのTcdAおよびTcdBに対する抗体は、受動免疫法のために使用できる[例えば133、134、135、136、137、138および139]。こうして、本発明は、本書で開示した本発明の抗原組合せに対応する、およびそれに特異的な抗体の組合せを提供する。望ましくは、組成は、ToxB-GT抗原に特異的な抗体、および/またはその抗原決定基およびTcdA抗原に特異的な抗体、および/またはその抗原決定基、および/またはToxA-GT抗原に特異的な抗体、および/またはその抗原決定基およびTcdB抗原に特異的な抗体、および/またはその抗原決定基を含む。本発明による抗体の組合せは、同時的、個別的または連続的な投与で提供される。本発明はまた、こうした抗体を含む免疫原性および製薬学的組成物を提供する。本書では、本発明の文脈で、用語「抗体」は、本発明の抗体の組合せを含む。本発明はまた、本発明の抗体の組合せを含む組成を提供する。
本発明はまた、医薬および治療における本発明の抗体の用途、例えばCDADに対する受動免疫法を提供する。本発明はまた、有効量のこうした組成を投与する手順を含む、哺乳動物を治療する方法を提供する。免疫原性組成について上述のとおり、これらの方法および用途により、CDADに対して哺乳動物が保護されるようになる。特に、本発明の抗体は、本書に記載した抗体の組合せ、またはこうした組合せを含む組成を哺乳動物に有効量投与する手順を含む、C. difficileによる感染を治療または予防する方法に使用しうる。これらの方法では、少なくとも二つ(例えば2、3、または4)の本発明の抗体を同時に、別々にまたは連続的に投与しうる。
用語「抗体」には、損傷のない免疫グロブリン分子のほか、抗原を結合する能力のあるその断片が含まれる。これらには、混成体(キメラ)抗体分子[140、141]、F(ab′)2およびF(ab)断片およびFv分子、非共有結合ヘテロ二量体[142、143]、単鎖Fv分子(sFv)[144]、二量体および三量体の抗体断片構成物、ミニボディー[145、146]、ヒト化抗体分子[147-149]、およびこうした分子から獲得した任意の機能的断片の他、ファージ ディスプレイなどの従来的でないプロセスによって獲得した抗体が含まれる。望ましくは、抗体は単クローン抗体である。単クローン抗体を獲得する方法は、当技術でよく知られている。ヒト化または完全なヒト抗体が望ましい。抗体および本発明の抗体組合せは、精製または単離されうる。
本発明はまた、本発明の抗体の組合せの混合物を調製するためのプロセスを提供するが、前記プロセスは、上記に定義した抗体の組合せのうち任意の抗体を混合する手順を含む。例えば、本発明は、(a)ToxA-GT抗原を認識する抗体、および/またはその抗原決定基、およびTcdB抗原を認識する抗体および/またはその抗原決定基から選択した少なくとも二つ(すなわち2、3、または4)の抗体を混合する手順を含むプロセスを提供する。例えば、本プロセスは、ToxA-GT抗原を認識する抗体、および/またはその抗原決定基、およびTcdB抗原を認識する抗体および/またはその抗原決定基を混合する手順を含みうる。本発明はまた、(a)TcdB抗原を認識する抗体、および/またはその抗原決定基、およびToxA-GT抗原を認識する抗体、および/またはその抗原決定基から選択される少なくとも二つ(すなわち2、3、または4)抗体を混合する手順を含むプロセスを提供する。例えば、本プロセスは、TcdB抗原を認識する抗体、および/またはその抗原決定基、およびToxA-GT抗原を認識する抗体および/またはその抗原決定基を混合する手順を含みうる。抗体の混合物を調整するための本発明によるプロセスは、薬剤としての混合物を調製するさらなる手順を含みうる。こうしたプロセスはさらに、薬剤として保管または流通するために製剤をパッケージングする手順を含みうる。
全般
本発明の実施では、別途に指図のない限り、当技術の範囲内の化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来的な方法を採用する。こうした技術は、文献に十分に説明されている。例えば、[150-157、など]を参照。
本発明で「抗原決定基」に関する場合、この抗原決定基は、B−細胞抗原決定基および/またはT−細胞抗原決定基でありうる。こうした抗原決定基は、経験的に特定されることができるか(例えばPEPSCAN [158、159]または類似した方法を使用)、または予測されることができる(例えばJameson-Wolf抗原指標の使用[160]、基質ベースのアプローチ[161]、MAPITOPE [162]、TEPITOPE [163、164]、神経回路網 [165]、OptiMer &EpiMer [166、167]、ADEPT [168]、Tsites [169]、親水性 [170]、抗原指標 [170]または[172-176、など]に開示されている方法)。抗原決定基(epitope)は、抗体またはT-細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それに結合される抗原の部分であり、「抗原決定基(antigenic determinant)」ともいう。
用語「抗原」および「アミノ酸配列」は、本書で使用されるとき、上記のそれぞれの配列への参考文献のほか、それらの断片、相同体、誘導体および変異体も含めたものとして捉えられるべきである。用語「毒素」は、生細胞または生物体によって生成され、かつ、被験者の組織な部に導入されたときに病気を起こす能力があり、また時には被験者内に中和抗体または抗毒素の生成を誘発する能力のある毒物、特にタンパク質を意味する。
用語「トキソイド」は、「解毒」または「トキソイド化」(例えば組換えの手段による化学的修飾による、など)を起こしたが、例えば、被験者に投与したときには抗毒素抗体と結合するかまたはその生成を誘発する能力が維持される毒素またはその断片を意味する。
用語「中和価」は、感染体(例えば毒素)の生物学的効果を抑制または中和する「中和ペプチド」または「中和抗体」を含む組成を意味する。
抗原「ドメイン」が欠落している場合、これにはシグナルポリペプチド、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞外の領域、などの欠落が関与しうる。
用語「comprising」(〜を含む)には、「including」(〜を含む)および「consisting」(〜構成される)が含まれ、例えばXを「含む(comprising)」組成は、Xで排他的に構成されることも、何か追加的なものが含まれることもある(例えばX+Y)。
用語「consisting of」(〜で構成される)は「including and limited to」(〜を含み、それに限定される)を意味する。
用語「consisting essentially of」(〜で実質的に構成される)は、組成、方法または構造が、追加的な成分、手順および/または部分を含みうるが、その追加的な成分、手順および/または部分が請求された組成、方法または構造の基本的および新規の特性を実質的に変更しない場合のみである。
数値xに関連して、用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
2つのアミノ酸配列間の配列同一性のパーセント値への言及は、アライメントしたとき、2つの配列を比較してそのパーセント値のアミノ酸が同一であることを意味する。このアライメントおよび相同性または配列同一性のパーセント値は、例えば参考文献177のセクション7.7.18に記載のあるものなど、当技術で既知のソフトウェアプログラムを使用して判定できる。好ましいアラインメントは、ギャップ開始ペナルティを12、ギャップ伸長ペナルティを2、BLOSUM行列を62として、アフィンギャップ検索を使用して、Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより判定される。Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献178に開示されている。
この研究で使用される組換え毒素断片の略図である。全てのポリペプチドは、大腸菌で発現されているが、ブレビバチルス菌で発現されたToxA_GTを除く。ED = 酵素ドメイン、GT = グルコシルトランスフェラーゼドメイン、CP = システインプロテアーゼドメイン、T = 転位ドメイン、B = 結合ドメイン。全てのドメインは水溶性であるが、不溶性であるTcdAのT4およびPTA2ドメインは除く。 この研究で使用される組換え毒素断片の略図である。全てのポリペプチドは、大腸菌で発現されているが、ブレビバチルス菌で発現されたToxA_GTを除く。ED = 酵素ドメイン、GT = グルコシルトランスフェラーゼドメイン、CP = システインプロテアーゼドメイン、T = 転位ドメイン、B = 結合ドメイン。全てのドメインは水溶性であるが、不溶性であるTcdAのT4およびPTA2ドメインは除く。 ToxA-B2は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち6を含むようデザインされた。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。 ToxA-B3は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち12を含むようデザインされた。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。 ToxA-B5は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち10.5を含むようデザインされた。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。 ToxA-B6は、結合ドメインを形成する13の推定上の構造単位のうち11.5を含むようデザインされた。TcdA結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。 ToxB-B2は、結合ドメインを形成する9の推定上の構造単位のうち4を含むようデザインされた。TcdB結合ドメインの三次元構造は、コンピュータモデリングによりC末端断片の結晶構造をテンプレートとして使用して予想された(参考文献41、PDBコード2F6Eを参照)。 B4 混成体の略図である。ToxB_GT(配列ID番号:18)は、ToxA-P5-6(配列ID番号:11)にリンカーペプチド(配列ID番号:25)を介して融合される。 候補断片の同定に使用される実験の計画を要約した流れ図である。 ELISAにより判定した、TcdA(A)およびTcdB(B)のサブドメインに対して配向する、抗体の幾何平均力価(GMT)である。 ELISAにより判定した、TcdA(A)およびTcdB(B)のサブドメインに対して配向する、抗体の幾何平均力価(GMT)である。 TcdA/Bにより誘発された細胞円形化および血清によるToxA_B2+ToxB-GTに対する中和を示す、生体外での中和実験の例。 ハムスター研究で使用した毒素ドメイン断片の略図である。ED = 酵素ドメイン、GT = グルコシルトランスフェラーゼドメイン、CP = システインプロテアーゼドメイン、T = 転位ドメイン、B = 結合ドメイン。 トキソイドA + トキソイドB。糞便中の平均細菌排出数。B1を用いて負荷試験をした。 トキソイドA+トキソイドB − 糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 トキソイドA+トキソイドB − 糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 トキソイドA+トキソイドB − 糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 ToxB_B+P5_6 − 糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 図29に提供したデータのグラフ表現である。 P5_6+ToxB_Bまたは対照で免疫化したハムスターからの糞便100mg中のC. Difficile胞子の細菌排出。B1菌株で負荷試験をした。 P5_6 + ToxB_Bまたは対照。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 P5_6 + ToxB_Bまたは対照。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 P5_6 + ToxB_Bまたは対照。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 P5_6 + ToxB_Bまたは対照。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 ToxB_GT+P5+6を用いた免疫化。ワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成(ハムスター別(上部パネル)および平均(株パネル))。630菌株で負荷試験。 ToxB_GT+P5+6を用いた免疫化。ワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成(ハムスター別(上部パネル)および平均(株パネル))。630菌株で負荷試験。 ToxB_GT+P5_6末端コロニー形成の結果。630菌株で負荷試験。 ToxB_GT+P5_6末端コロニー形成の結果。630菌株で負荷試験。 ToxB_GT + P5_6。時間経過(日数)に伴うワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成。B1菌株で負荷試験。 ToxB_GT + P5_6。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxB_GT + P5_6。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxB_GT + P5_6。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxB_GT + P5_6。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxA-P5-6+ToxB_GT(低抗原用量)時間経過(日数)に伴うワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成。B1菌株で負荷試験。 ToxA-P5-6+ToxB_GT(低抗原用量)時間経過(日数)に伴うワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成。B1菌株で負荷試験。 ToxA-P5-6+ToxB_GT(低抗原用量)糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxA-P5-6+ToxB_GT(低抗原用量)糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxA-P5-6+ToxB_GT(低抗原用量)糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxB_GT(PSII)+ P5_6を用いた免疫化。時間経過(日数)に伴うワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成。630菌株で負荷試験。一部の動物では特定の時点が欠けているが、例えば、動物が回収当日に糞便を生成できなかった場合(特に下痢の期間の後)または特定の時点で下痢があった場合である。 生存しているワクチン接種を受けた動物からの糞便中に排出されたC. difficileの平均数(ToxB_GT(PSII)+ P5_6(H1-H6)、またはToxB_GT+P5_6(H7-8))。 図26(aおよびb)。ToxB_GT(PSII)+ P5_6 結果 − 糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 図26(aおよびb)。ToxB_GT(PSII)+ P5_6 結果 − 糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 図26(aおよびb)。ToxB_GT(PSII)+ P5_6 結果 − 糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 図26(aおよびb)。ToxB_GT(PSII)+ P5_6 結果 − 糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 図26(aおよびb)。ToxB_GT(PSII)+ P5_6 結果 − 糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 ToxB_GT + ToxA_B2。時間経過(日数)に伴うワクチン接種を受けた動物の糞便中のコロニー形成。B1菌株で負荷試験。 図28(aおよびb)。ToxB_GT + ToxA_B2。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 図28(aおよびb)。ToxB_GT + ToxA_B2。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 図28(aおよびb)。ToxB_GT + ToxA_B2。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 図28(aおよびb)。ToxB_GT + ToxA_B2。糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1菌株で負荷試験。 ToxB_GT + ToxB_B + P5_6。ワクチン接種を受けた動物の糞便中の平均コロニー形成。 ToxB_GT + ToxB_B + P5_6。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 ToxB_GT + ToxB_B + P5_6。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 ToxB_GT + ToxB_B + P5_6。B1を用いて負荷試験をした。糞便物質から回収したC. difficileの感染後の分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2 − 糞便100mg中のC. Difficile胞子の平均細菌排出数。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2 − 殺処分時のコロニー形成。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2 − 殺処分時のコロニー形成。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2 − 殺処分時のコロニー形成。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2 (低い用量)−糞便100mg中のC. Difficile胞子の平均細菌排出数。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2(低い用量)−糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2(低い用量)−糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2(低い用量)−糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1を用いて負荷試験をした。 ToxB_GT+ToxA_GT+ToxB_B+ToxA_B2(低い用量)−糞便物質から回収したC. difficileの感染分析 - バクテリアの局在化(X軸は、 「Col」= 結腸、「Cae」= 盲腸、「LA」= 内腔関連、「TA」= 関連組織の位置である。Y軸はC. difficileの数(CFU/ml))である。B1を用いて負荷試験をした。 クリンダマイシン治療後のミクロフローラの変化。 ワクチン接種を受けた動物での微生物叢の修飾。 組換え体精製した断片のSDS-PAGEゲル。 抗ToxA(A)およびToxB(B)IgG価(UE/mL)、ミョウバンまたはMF59でアジュバンド化。マウスを組換えToxA(A)およびToxB断片(B)で免疫化した後のIgG応答。抗毒素Aおよび毒素BIgG価は、Al(OH)3(対の左列)またはMF59(対の右列)アジュバントを持つ各断片を腹腔内で免疫化したマウスの血清中で、ELISAにより測定した。結果は、少なくとも3回の実験について、幾何平均 ±SDとして示す。 抗ToxA(A)およびToxB(B)IgG価(UE/mL)、ミョウバンまたはMF59でアジュバンド化。マウスを組換えToxA(A)およびToxB断片(B)で免疫化した後のIgG応答。抗毒素Aおよび毒素BIgG価は、Al(OH)3(対の左列)またはMF59(対の右列)アジュバントを持つ各断片を腹腔内で免疫化したマウスの血清中で、ELISAにより測定した。結果は、少なくとも3回の実験について、幾何平均 ±SDとして示す。 ToxA-P5-6+ToxB-GTでワクチン接種を受けたハムスターからの盲腸試料における毒素A(A)および毒素B(B)に対するIgG抗体。ドットブロットは、ワクチン接種を受けた動物から感染の急性期(負荷試験後48時間)(ハムスター1〜2)および実験エンドポイント時(負荷試験後14日)(ハムスター3〜8)に採った、盲腸試料をろ過したものについて実施した。対照動物は、アジュバントのみで処理し、同一の実験条件で感染させた(ハムスター9-10)。 ToxA-P5-6+ToxB-GTの組合せでワクチン接種を受けたハムスターにおける毒素AおよびBレベル。値は、細胞円形化に必要な希釈倍数である。ろ過した盲腸試料は、ワクチン接種を受けた動物から感染の急性期(負荷試験後48時間)および実験エンドポイント時(負荷試験後14日)に採った。対照動物はアジュバントのみで処理し、同一の実験条件で感染させた。
発明者は、CDADを阻止するワクチンに使用するための免疫原として使用されうるTcdAおよびTcdBの組換え断片を同定した。
断片
実験アプローチの略図を図8に提供する。発明者は、TcdAおよびTcdBの毒素ベースの断片のパネルを設計した(11のTcdA断片および6のTcdB断片)。この研究で使用される毒素ベースの断片を図1に描写する。これらの断片は、TcdAおよびTcdBの全長をできる限り網羅するよう選択し、これらの断片の境界はそれらの結晶構造に基づき決定した。ToxAおよびToxBの細胞結合ドメイン(要約は図1を参照)の場合、コンピュータモデルを使用した。組換え技術を使用することにより、ポリペプチド片を簡単に生成し、不活性化したトキソイドよりも安定性があり、および劣化に対する抵抗性があり、また同様に、不活性化したトキソイドの使用に関する数多くの安全性の懸念が回避される、発現システム(例えば、大腸菌、ブレビバチルス菌、など、)の使用が可能である。ToxA-GTまたはToxB-GTを含む例で使用した断片は、解毒した。免疫化に使用したペプチドのCoomassie染色SDS-PAGEゲルを図37に示す。
組換え体毒素断片のクローニング、発現および精製
ポリメラーゼの不完全なプライマー伸展(PIPE)方法を使用して、配列を、pet15b+ ベクター(Nterm-HISタグ)にクローン化した。通常のPCRにより、不完全な伸長生成物の混合物が生成される。単純なプライマー設計を使用して、重複する短い配列をこれらの不完全な伸長混合物の端部に導入したが、これにより相補鎖が許容され、混成体ベクター/インサートの組合せがアニールされ生成される。全ての混成体を、大腸菌HK100受容細胞に直接変形させた。単一のアンピシリン抵抗性コロニーを選択し、コロニーPCRにより組換えプラスミドの存在をチェックした。適格な大腸菌BL21(DE3)細胞を、陽性クローンから精製したプラスミドを用いて変形させた(ToxA_GTはブレビバチルス菌で発現)。ToxA-p5-6抗原は、配列ID番号104のN-末端アミノ酸配列および配列ID番号105のC末端アミノ酸配列を含む、混成ポリペプチドとして発現した。この混成ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号111に示している。配列ID番号:111は、配列ID番号:112の核酸配列により符号化されている。
ToxA-GT(Y283A、D285A、D287A)、TcdA-CP(D589A、H655AおよびC700A、配列ID番号:1に対応して番号付け)、ToxB-GT(D270A、R273A、Y284A、D286AおよびD288A)およびToxB-CP(D587A、H653AおよびC698A)突然変異体(酵素活性が抑止)を生成するために、PIPE方法を採用した。
指数増殖器の間に、1 mMのIPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)を培養に加えた後、25°Cで4時間培養すると、タンパク質の発現が誘発された。細胞抽出物を、SDS-PAGEゲル上に載せて、タンパク質発現についてチェックした(データ非表示)。
ToxA_GTについて、WT C. difficile毒素Aの触媒ドメイン(残基1〜541)を、pNI-Hisベクター(タカラバイオ)にクローン化した。部位特異的変異誘発を実施して、(Y283A、D285A、D287A)ToxA-GT突然変異体を得た。プラスミドを ブレビバチルス菌HPD31-SP3菌株(タカラバイオ)に電子穿孔した。ブレビバチルス菌発現細胞を、TMNm内で、25°C、1600rpmで48時間培養した。タンパク質をIMACクロマトグラフィーにより精製して、PD-10脱塩カラム(GE)を使用して緩衝液をPBSに交換した。タンパク質の数量化をBCA試験法により実施した。
一部の実験では、PSIIを、還元末端で、反復単位のマンノース糖の化学的修飾の後で、2つの異なる担体タンパク質(C.difficile 組み換え型タンパク質:ToxA_B2およびToxB_GT)に結合させた。最初の手順は、50 mMのNaBH4(Sigma)を10 mMのNaPi緩衝液(pH 9.0)中でのマンノース糖還元(室温で2時間)であり、還元したPSIIをSephadex G25クロマトグラフィー(G&E Healthcare)を水中で精製した後、15当量のNaIO4(Sigma)によって、10 mM NaPi緩衝液(pH 7.2)中で、室温で2時間、暗所で酸化させた。次に、酸化させたPSIIを、Sephadex G25 クロマトグラフィー(G&E Healthcare)により水中で精製した。次に、酸化させたPSII(10 mg/ml)を、200 mM NaPi/1M NaCl緩衝液(pH 8.0)中で化学量論4:1(重量タンパク質当たりの重量PSII)を使用し、またNaBH3CN(2:1、重量NaBH3CN当たりの重量PSII)の存在下で担体タンパク質に結合した。混合物を、48〜72時間、37°Cで培養し、マグネチックスターラーで非常に穏やかに混合した。サイズ排除Superdex 75クロマトグラフィー(G&E Healthcare)を使用して、10 mM NaPi/10 mM NaCl緩衝液(pH7.2)中で、過剰な未結合のPSIIから結合物を精製した。7% トリス-酢酸塩ゲル(NuPAGE、from Invitrogen)をNuPAGE トリス-酢酸塩SDSランニングバッファー(20x、Invitrogen)中で使用して、SDS-PAGEにより結合物を特性付けた。MicroBCAタンパク質試験キット(Thermo Scientific)により、タンパク質濃度を判断した。HPAEC-PAD分析により、合計糖類濃度を判断した。未結合の糖類を、SPE C4疎水的相互作用カラム(0.5 mL樹脂、Bioselect、Grace Vydac)により分離した後で、HPAEC-PAD分析により推定した。
トキソイドAおよびトキソイドBの精製および不活性化
C. difficile菌株VPI 10463胞子ストックを、BHISプレート(脳心臓進出物を酵母エキス [5 mg/ml]およびL-システイン [0.1%]で補完)上に接種し、36°Cで2日間培養した。コロニーを調製したプレートからトリプトン-酵母エキス-マンニトール(TYM)培養液に加え、嫌気培養室(anaerobic chamber)内で16時間、35°Cで培養した。200 μlの90%グリセロールを、800 μlのC. difficile培養(590 nmで1 OD)にまとめて加えて、1-mlの冷凍保存バイアルとした。バイアルをただちに−80°Cの冷凍庫内に置き保管した。100 μlのグリセロールストックを、10 mlのTYM培養液に加え、嫌気培養室(anaerobic chamber)内で16時間、35°Cで培養した。トリプトン-酵母エキス(TY)培養液の毎1リットルを、種培養で接種した(1/100希釈)。培地を嫌気培養室(anaerobic chamber)内で35°Cで5日間培養した。次に、試料を3000g、4°Cで15分間、遠心分離し、孔径0.22μmのフィルターでろ過した。次に、上澄をタンジェンシャルフローろ過により濃縮させた。
分画I: AS50
80.03gの硫酸アンモニウムを、トリプトン酵母エキス媒体(265 ml)中の菌株VPI 10463から2時間にわたり0°Cで6×に濃縮した培養上澄に加えた(50%飽和)。撹拌を3時間の間、0°Cで続けた後、10000 rpmで4°Cで30分間、遠心分離により沈殿物を沈降させた。ペレットを緩衝液A中で再懸濁し、緩衝液(A:50 mM トリス-HCl、pH 7.5、50 mM NaCl、 B:50 mM トリス-HCl、pH7.5、1 M NaCl)を2回取り換えて(2×1l)4°Cで透析し、最終的な容積27 ml(分画I)濃度6.118 mg/ml、mini BCAが得られた。
分画II: HiTrap Q HP、pH 7.5
ToxAおよびToxBを、直列に結合された2×5mlのHiTrap Q HPカラム上でクロマトグラフィーにより分離した。直線勾配0〜100% Bを30 CV、2 ml/分で適用した。ToxAは約20% B、ToxBは約50 % B(データ非表示)。20 μlの分画I、4、14〜44を、トリス-酢酸塩緩衝液(データ非表示)中で7% PAAゲル上で分析した。
分画IIIb: HiTrap Q HP、pH 5.0
ToxB(分画IIb)を、HiTrap Q HP上、pH 5.0でクロマトグラフィーによりさらに精製した。緩衝液は、Cには20 mMのピペラジン-HCl、pH 5.0、50 mM NaClが、Dには20 mMのピペラジン-HCl、pH 5.0、1 M NaClが含まれた。セグメント勾配を適用した、30-60 % D、15 CV。ToxBは40% Dで溶出(データ非表示)。10 μlの各分画を、トリス-酢酸塩緩衝液(データ非表示)中で7% PAAゲル上で分析した。
分画IIIa: HiTrap Q HP、pH 7.5
Bを、30 CV、2 ml/分でセグメント勾配2〜20%に適用した。ToxAは、約15% Bで溶出。20 μlの各分画を、トリス-酢酸塩緩衝液(データ非表示)中で7% PAAゲル上で分析した。プールを2 l 50 mMのトリス-HCl、50 mMのNaClに対して、4°Cで夜通し透析した。最終的な容積: 52 ml(分画IIIa)。
最終的な品質管理を実施した。
ウエスタンブロットでは、調製品を7 %トリス酢酸塩SDS-PAAゲル上に装填し、I-Blotマシンを使用してニトロセルロースに移動させた(12分の移動時間)。薄膜をTBST中で3回洗浄し、1 %BSA(Promega)を用いてTBST中で夜通しブロックした。一次抗体を1: 5000で1時間、TBSTに加えた。薄膜をTBST中で、5分間、3回洗浄した。二次抗体(Promega抗ウサギAP結合)を、1:8000で45分にわたりTBSTに加えた。ブロットをTBST中で3回、MilliQ水中で5分間にわたり2回洗浄した。ブロットを、安定化させたAP基質(Promega)中で20秒間現像した(データ非表示)。
ToxAおよびTox Bの調製物は、交差汚染が全くないことがわかった。
永久的な保管のために、透析を実施した。透析緩衝液は、50 mM トリス-HCl、500 mM NaClおよび10%グリセロールを含むものであった。試料を緩衝液500 mlを2回取り換えて透析した。試料を透析の後で定量化した(データ非表示)。
トキソイドの解毒
調製物をPBSに対して透析した。トリスは、ホルムアルデヒドと反応できた。各タンパク質1.5 mgで開始する(ToxA: 1.5 mgは、9.375 ml(9.7 ml)に相当し、ToxB: 1.5 mgは4.411ml (4.5 ml)に相当)。試料をそれぞれ1 lのPBSに対して、40時間、4°Cで透析した。ToxAを4時間にわたり、20% PEG 20.000に対してPBS中で透析した。容積は3.7 mlに減少した。
ToxAおよびToxBのホルミル化
ToxAおよびBのMWは、およそ 300 kDaである。調製物には、0.25 mg/mlのToxAおよび0.35 mg/mlのToxBが含まれた。リシンストックは、1 M リジン.HClをPBS中に含んでいた。要約は下記の表1(aおよびb)に含まれるとおりである。
120時間、37°Cで回転式振盪培養機にかけた後、それぞれ1 mlを取り出して、2×500ml PBSに対して2×24時間透析した。試料は、細胞ベースの毒性試験法(データ非表示)を用いて活性化されていることが確認された。
マウスの免疫化
次に、その断片が免疫原性であるかを判断するために、断片をマウスの免疫化に使用した。
各抗原について、8匹のメスCD1マウスから成る2つの群を使用した。各群を、ミョウバンアジュバント(群1)またはフロイントアジュバント中で製剤化した10 ugrの抗原で免疫化した。免疫化は、腹腔内に0日、21日、および35日目に実施した。最終的な放血および殺処分を49日目に実施した。次に、毒素断片で免疫化したマウスの合計抗体反応を、ELISAにより判定した。マイクロタイタープレートをTcdAおよびTcdBで被覆し、断片に対して抗体で培養し、続けてアルカリフォスファターゼ結合二次抗体で培養した。基質(p-ニトロフェニルリン酸塩またはpNPP)を加えた後、プレートを、プレートリーダーにより二波長405/620-650 nmで解析した。抗体価を基準検量線に対する補間により定量化した。
毒素断片で免疫化したマウスの合計抗体反応を示すELISA研究を図9に示す。興味深いことに、ToxB-GT断片は、完全長TcdB-EDドメインと同程度の免疫原性であった。ToxA-CPを除外して、全ての毒素断片は免疫原性である。IgG反応(ミョウバンまたはMF59をアジュバントとして使用)を図38に示す。
生体外での細胞円形化中和法
生体外での中和法は、C. difficileの毒素がアクチン細胞骨格を不安定化させて、典型的な細胞円形化に細胞変性効果をもたらすという証拠に基づく。抗毒素抗体は、細胞毒性を中和することができ、それにより細胞円形化を防止する。よって、免疫血清を、生体外でTcdAおよびTcdBの毒性効果を中和する断片の能力を評価するために使用した。
ヒト繊維芽細胞(IMR-90)を、80〜90%集密まで培養した。それぞれの株細胞は、毒素に対して異なる感度を持ち、そのため、24時間内に100%の細胞円形化を起こすために必要なTcdAおよびTcdBの最小用量(CTU100)を決定した。CTU100は、TcdAについては20 ng/mL、TcdBについては10 pg/mLとして確定した。1:8から1:32,000への血清の2倍希釈を、各毒素の1 CTU100で90分間、37°Cで前保温した。次に、血清に毒素を加えた混合物を細胞に加えた後、16〜18時間後に観察した。エンドポイント力価は、細胞円形化を抑制することのできる最高の希釈の逆数を表す。正の対照は血清α-トキソイドAおよびBで、負の対照は、免疫前の血清およびアジュバント単独で処理したマウスからの血清であった。
結果
中和価は、表2および表3に要約し、典型的な中和実験の結果は図10に示す。ToxA結合ドメインの可溶性の断片は、MF59またはミョウバンのどちらをアジュバントとして使用したかにかかわらず、強い中和抗体を誘発することがわかった。不溶性の断片、ToxA-PTA2、ToxA-CPおよびToxA-T4は、中和抗体を誘発しなかった。ToxA-CP(これは免疫原性であるとは特定されていない)も、中和抗体を誘発しなかった。ToxAに対して得られた血清は、ToxBを交差中和しなかった(表2)。
ToxB-B、ToxB-EDおよびToxB-GTは弱い中和抗体反応を誘発したが、これは、MF59またはミョウバンをアジュバントとして使用したときに類似していた。それに反して、Tox-B2、ToxB-B7、ToxB-CPは、中和抗体を誘発しなかった。ToxBに対して得られた血清は、ToxAを交差中和しなかった(表3)。
こうして、TcdAに対する抗体はTcdBを交差中和することはできず、またその逆についても同じである。
マウス免疫化研究(上記)と、生体外での細胞円形化試験法から得られた結果は、集合的に、TcdAおよび/またはTcdBのEDのN-末端領域(すなわちGTドメイン)は免疫原性であり、そのそれぞれの毒素に対する中和抗体を得るために重要であることを示唆している。その上、ToxB-GT断片(また同様にToxB-GT配列を含むToxB-ED断片)により誘発された中和抗体反応は、TcdBの結合ドメインの大半(すなわちToxB-B断片)を使用して得られた中和抗体反応と同等であるか、それよりも良好であった。
天然の完全長毒素Bと比較して、ToxB-GTにおけるD270A、Y284A、D286AおよびD288Aの突然変異が、毒性の低下につながるかどうかを確認するために、毒性試験も実施した。上記に概説した試験法プロトコルを使用して、20ng/ml〜40 ugr/mlの範囲の10とおりの範囲の濃度で試験した。突然変異したToxB-GTで培養した繊維芽細胞は、試験した濃度で全く形態学的な変化が見られなかったが、一方、天然の完全長毒素Bは、同一の実験条件下で10 pg/mlで細胞円形化が起こった(データ非表示)。したがって、D270A、Y284A、D286AおよびD288Aの突然変異は、試験した実験条件下で、毒性の喪失につながった。
断片の組合せ
両方の毒素Aおよび毒素Bの同時的な中和を誘発する能力のある血清を得ることが可能であるかどうかを判断するために、発明者は次に、最も見込みのある毒素断片を組合せた。毒素組合せに対する血清の中和価は、表4に要約している。
発明者は、試験した組合せのいくつかに対する抗体は、TcdBとの交差中和、またその逆ができることを見出した。それに反して、P5_6+ToxB-B2、ToxA_B2+ToxB-B7、ToxA_B3+ToxB_B2およびToxA_B6+ToxB-B7の組合せは、交差中和をしなかった。ToxA-P5_6+ToxB-B、およびToxA-B2+ToxB-GTが最も見込みのある断片組合せとして浮上し、さらにToxB-B領域を機能的に置換するToxB-GTの能力を強調している。
興味深いことに、ToxB-GTを含む全ての組合せは、毒素Aおよび毒素Bに対して、またTcdBの結合ドメインの大半(すなわちToxB-B)を含む組合せだけでなく、同等な組合せに対しても中和価を誘発することができる。
キメラタンパク質
発明者は、異なるTcdAおよびTcdBドメインを単一のポリペプチドに組合せたキメラタンパク質を設計した(表5に要約)。「B1」では、ToxB-EDはToxA-P5-6のN-末端であり、「B1 small」ではToxB-CPはToxA-P5-6のN-末端であり、「B4」ではToxB-GTはToxA-P5-6のN-末端である。これらのキメラを使用して、断片についてと同一の実験条件下で、生体外での中和研究を実施した。結果を表5に要約する。TcdBの酵素ドメインに融合したp5_6断片を含む3個のキメラタンパク質は、TcdAを中和することができるが、TcdBを中和できない血清を誘発する。興味深いことに、p5_6により誘発されたToxAの中和活性は、3個のp5_6キメラ間で異なる。これは折り畳みおよび/または免疫原性の変化による可能性が高い。同様に、TcdAおよびTcdBの結合ドメインの断片を含むB4キメラはTcdAに対して効率的な中和活性を持つが、TcdBに対しては持たない抗体を誘発した(表5)。
これらのデータは、a)ToxB-GTおよび一つ以上のTcdAのポリペプチド片を含むポリペプチド、またはb)ToxA-GTおよび一つ以上のTcdBのポリペプチド片を含むポリペプチドの組合せを含む組成が、ToxAおよびToxBからの配列を含む、キメラのポリペプチドよりも機能することを示唆する。
ハムスターでの効力試験
ハムスター免疫化研究は、一般的に10匹のゴールデンシリアンハムスターが関与する。各群内で、6匹のハムスターを、4回用量の抗原(MF59アジュバント中に製剤化した50 ugrの各抗原)を1日、14日、28日および36日目に腹腔内(i.p.)の経路で免疫化した。未処置の動物2匹およびMF59アジュバント単独でワクチン接種を受けた2匹を、常に負の対照として含めた。60日目に、全てのハムスターを、クリンダマイシン(30mg/kg ハムスター体重)で処置して、腸内共生フローラを除去した。12時間後、およそ250のC. difficile胞子の強制経口投与により、動物に負荷試験を行った。体温および下痢などの臨床症状の存在を、負荷試験後14日にわたり監視した。35°Cへの体温下降を実験の人道的エンドポイントとみなし、その時点で動物は殺処分した。感染の3週間前に動物の体腔内に挿入したチップを使用して、体温を遠隔測定で測定した。表6は、B1または630菌株での、体温が2°C下降する前の感染後の時間を示す(5匹のハムスターをC. difficile菌株について評価した)。
感染後の分析は、ハムスターが感染菌により特異的に感染したことの確認(多座可変数縦列反復解析(MVLA)を使用、7つの反復領域からのバンド形成パターンに基づく)と、糞便中および腸内の細菌数が関与する。
感染は抗毒素免疫応答を妨げないことが判明したが、これは、負荷試験の前に収集したToxA-B2+ToxA-GT+ToxB-B3+ToxB-GTの突然変異体でワクチン接種を受けた動物からの試料血清が負荷試験後に測定したものに対して匹敵する中和価を示したためである(データ非表示)。
末端のコロニー形成分析も、ワクチン接種を受けたハムスターと対照のハムスターについて実施した。対照動物は、体温35°Cのエンドポイントに達した2日目(負荷試験後)の時点で殺処分した。ワクチン接種を受けた動物は、15日目(負荷試験後、実験の終了時)の時点で殺処分した。腸を除去し、回収された細菌について細菌数を決定した。合計細菌負荷(胞子および増殖性細胞)を数えるために、各セクションを長軸方向に開き、10 mlのPBSを2回取り換えて軽く洗浄して内容物を除去した。組織を、ストマッカーを使用して5 mlのPBS中で1分間均質化し、ホモジネートについて生菌数計測を決定した。連続的な10倍希釈を、酵母の成長を抑制する20 g/mlのアンフォテリシンBを含む、CCFA血液寒天培養基のプレート上に植え付けた。試料中に存在する胞子の数を予想するために、試料を10分間、56°Cで加熱し、上述の生菌数計測法により、存在する胞子数を決定した。粘膜と密接な関係のない生物体は、本書では「内腔関連」(LA)と描写する。より密接に関連した生物体(すなわち、簡単な洗浄では除去されない)は、本書では「組織関連」(TA)と描写する。
腸内の毒素含量の評価も実施した。腸洗浄物を、0.22 μmフィルターを通してろ過し、最近細胞を除去した。次にろ過した洗浄物を、10倍減少させた濃度(結腸については5倍)で、24時間にわたり集密的なベロ細胞上に置いた。培養後、細胞を洗浄・固定化した後、ギムザ染色で着色した。毒素が存在する場合には、細胞円形化によって脱離が起こり、色が着かない。毒素含量データは、細胞が付着したまま残る(着色された)希釈度を表す。
次に、多数の毒素ドメイン断片をハムスターモデルで試験した。試験した断片についての詳細を図11に示す。抗原の組合せの詳細および得られた結果の概要を表7に示す。各試験からの結果を、さらに詳しく下記に記載する。
これらの研究では、主に630菌株(ゲノム配列は、NCBIで公に入手可能)、およびB1菌株の2つの異なるC. difficile菌株を使用した。630菌株は、それほど重篤ではない病理を持ち生体内の毒素の量が少ない持続性の感染の原因となることが知られている。B1菌株は、ハムスターで、急性の感染および高レベルの損傷を伴う重篤な病理の原因となることが知られている(G. Douce、個人的コミュニケーション)。
トキソイドA+トキソイドB
完全長の不活性化したトキソイドAおよびトキソイドBの組合せを、正の対照として使用した。この組合せは、それに対して本発明の組合せを比較しうる「最適な基準」を表すと考えられうる(参考文献179および180を参照)。トキソイドを発酵を使用して生成した後、精製し、最終的に不活性化した。
6匹の動物が5μgの各トキソイド(MF59をアジュバントとして使用)を受けた。2匹はアジュバントのみを受け、また2匹は未処置とした。投与する量は、文献に基づき選択した。不活性化したトキソイドの使用(例えばホルムアルデヒドの使用)に伴う主な問題は、不活性化が不完全となる可能性があり、それによって被験者に投与したときに潜在的な健康リスクが引き起こされることである。
動物にB1菌株で負荷試験を行った。全ての対照動物が死亡し、また1匹のワクチン接種を受けた動物(H1)が最後の対照動物の後まもなく死亡したが、体温プロフィールは対照と類似したものが示された(データ非表示)。その他すべてのワクチン接種を受けたハムスターは、実験終了まで生存した(表8)。
ハムスターH2、H3およびH4は回復中に下痢の短い発症を示し、H5は長期間の下痢および嗜眠を示した。H5に再水和治療(生理食塩水の皮下投与)を施したところ、それが別の下痢の発症につながり、その後回復した。したがって、完全長トキソイドでの免疫化は、B1菌株に対して83%のハムスターを保護することがわかった。
細菌排出の分析によって、症状(下痢)が消失したときでも、負荷試験後数日(5、9および11)間はCFUがワクチン接種を受けた動物から排出されることが明らかとなった。H5は脱水状態となり、5日目のどの糞便ペレットも検出が困難であったため、9日および11日の後にのみ排出を分析した。H4は、11日以降は糞便中に検出可能なC. difficileがなかった(図12)が、この動物は実験の終了時に腸内にまだコロニー形成があった。殺処分時のコロニー形成の分析は図13に示す。
腸内の毒素Bの含量の評価により、2日後に死亡した対照と比較して、15日以降に生存しているワクチン接種を受けたハムスターの腸内に存在する毒素Bが少ないことが明らかになった(表9)。この結果は、結腸内でも確認された(表10)。H1は、感染の急性期中に死亡したワクチン接種を受けたハムスターで、死亡した対照動物内に存在する毒素Bのレベルに相当する高レベルの毒素Bが存在している。
概して、5μgの完全長トキソイドAおよび完全長トキソイドBでのワクチン接種によって、結果的に重篤な病気に対して6匹の動物中5匹が保護された。ところが、ワクチン接種は、下痢に対しては保護せず、H5のケースでは比較的長期にわたり持続した。実験の終了時に、ワクチン接種を受けた動物で比較的少量の胞子が検出可能であったが、3匹の動物でも低レベルのコロニー形成が示された。また、実験の終了時に、なおもコロニー形成があったにもかかわらず、非常に少量の毒素Bがワクチン接種を受けた動物で検出された。このことは、例えば、抗体による毒素結合、および/または細菌性の毒素発現の減少によって説明しうる。
ToxA-P5_6またはToxB_Bの個別の断片
組換え体断片を用いたワクチン接種治験は、まず、それぞれTcdAおよびTcdBの細胞結合ドメインの部分に対応するP5_6またはToxB_Bの単一の断片を用いて実施した(50 ugrの抗原、MF59をアジュバントとして使用)。両方のケースで、B1菌株のおよそ100の胞子での負荷試験に対して保護は見られなかった(データ非表示)。試料の採血を実験エンドポイント時に全ての動物から行った。ToxA-P5_6で免疫化した全ての動物は、ELISAにより決定したところ、p5-6タンパク質および毒素Aに対して高い抗体価を持つが(データ非表示)、これらの抗体は、感染に対しては保護性がなかった。毒素Aの中和能力は評価しなかった。ToxB_Bで免疫化した全ての動物は、ELISAにより決定したところ、ToxB_Bタンパク質に対する高い抗体価を持つ(データ非表示)。毒素B全体に対するこれらの血清の反応性を試験するには、精製した毒素Bが不十分であった。これらの抗体は、感染に対して保護性がなく、また毒素B中和能力は評価しなかった。こうして、抗体の存在にもかかわらず、個別の抗原は、保護性があるとはみられなかった。
P5_6およびToxB_Bの断片の混合物
次に、ハムスターを、50 μgのP5_6および50 μgのToxB_Bの混合物(50 ugrの各抗原、MF59をアジュバントとして使用)で免疫化した後、菌株630で負荷試験を行った(結果を表11に示す)。
ワクチン接種を受けた動物は、死亡から完全に保護されたが、生存した動物は回復時に軽度の下痢が見られた。感染後の分析を表12および図14に示す。表12は、ワクチン接種を受けたマウスからの糞便物質中のC. difficileの量が最大1週間にわたり高い状態のままであったことを示しており、抗毒素反応がコロニー形成に影響しないことを示している。
ただし、細菌数は時間経過とともに減少し、感染後14日以内に完全になくなりうる。図14は、バクテリアの局在化を示し、実験のエンドポイント時に、対照がワクチン接種を受けたハムスターよりも高いレベルの管腔関連および組織関連のバクテリアを持つことを明らかにしている。感染後に回収されたバクテリアは、C. difficile菌株630であることがMVLAにより確認された(データ非表示)。
こうして、P5_6およびToxB−Bの組合せは、C. difficileの負荷試験に対する強い保護を提供する。興味深いことに、例えば負荷試験後6日の時点で、全ての動物が密接なコロニー形成を保っていたことから、抗毒素反応はコロニー形成に対して有意な影響を与えないとみられる。これらのデータはまた、ToxAおよびToxBの組合せ(少なくともその断片)が保護のために必要であることも示唆している。
P5_6およびToxB_B
菌株630に対する首尾よい免疫化を考慮して、発明者は、P5_6+ToxB_Bでの免疫化がより毒素産生性の高いB1菌株に対する保護をするかどうかの試験を行った。6匹の動物を50 ugrの各抗原(MF59をアジュバントとして使用)で免疫化した後、103のB1菌株の胞子で負荷試験を行った。対照として、2匹の動物がアジュバント単独を受け(H7〜H8)、2匹の動物はワクチン接種を受けなかった(H9〜H10)。負荷試験の後、全ての対照動物が死亡した。1匹のワクチン接種を受けた動物(H1)が、最後の対照動物の後まもなく死亡した。その他すべてのワクチン接種を受けたハムスター(H2〜H6)は、実験終了まで生存した。(表13)このことは、P5/6+ToxB_Bでワクチン接種を受けた83%の動物が、B1菌株での負荷試験に対して保護されたことを示す(これも図15に示す)。
次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定した(図16)。これにより、生物体は、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも多数が排出されることが明らかになった。興味深いことに、実際に排出された数は、感染後約5日間増大してから減少した。1日目の感染後、6匹のワクチン接種を受けた動物のうち1匹が、その糞便中に検出可能なC. difficileを排出していた。3日までに、生存した全てのワクチン接種を受けた動物が、比較的多数のC. difficileを排出していた。これらの動物は、11日目まで高いレベルを排出した。15日目には、5匹の動物のうち3匹のみが、その糞便中に検出可能なC. difficileを排出していた(検出限度約200胞子)。
殺処分時のコロニー形成の分析も実施した(図17)。ハムスター4および5では、プレート上に深刻なレベルの汚染フローラが見られたが、これにより存在する少量のC. difficile胞子が不明瞭になった(これらは、11日目にC. difficileが糞便から回収できなかった2匹の動物でもあった)。
腸内の毒素Bの含量の評価により、2日後に死亡した対照と比較して、15日以降に生存しているワクチン接種を受けたハムスターの腸内に存在する毒素Bはほとんど、もしくは全くないことが明らかになった(表14)。H1は、感染の急性期中に死亡した、ワクチン接種を受けたハムスターで、死亡した対照動物内に存在する毒素のレベルに相当する高レベルの毒素が存在している。感染の急性期中に死亡した動物の盲腸よりも、結腸内に存在した毒素Bは少なかった。
ToxB_B + P5_6 + PSII
動物は、ToxB_B+P5_6+PSII-CRMの混合物で免疫化され、多糖類が、CRM担体タンパク質に結合された。保護研究が、糞便の分析、およびan評価of腸内の毒素含量の評価と共に実施される。
トキソイドA+ToxB_B
次に、発明者は、TcdA結合ドメインの断片を使用することで、完全長トキソイドAを使用して与えられる保護に影響があるかどうかの試験を行った。完全長の(不活性化した)トキソイドAおよびToxB_Bの混合物(5 ugrのトキソイドAおよび50 ugrのToxB_B、MF59をアジュバントとして使用)での免疫化は、630菌株およびまたB1菌株での負荷試験に対して保護されることがわかった。630菌株で負荷試験を行った、ワクチン接種を受けていない動物は、強い下痢および体温下降があり、その時点で殺処分された(表15)。それに反して、免疫動物は630菌株での負荷試験を生存し、およびワクチン接種を受けた動物のうち1匹のみにわずか軽い下痢がみられた。動物は、回復時に軽度の下痢がみられた。
B1菌株で負荷試験を行った、ワクチン接種を受けていない動物も、強い下痢および体温下降があり、その時点で殺処分された(表16)。免疫動物は負荷試験を生存し、回復時に2匹に軽度の下痢があった。したがって、トキソイドAおよびトキソイドB_Bの混合物での免疫化は、B1菌株での負荷試験の後、死亡からは保護されたが、下痢に対しては保護されなかった(表16)。
さらなる組合せ
上記に考察したとおり、発明者は、GTドメインを含む断片は、免疫原性があり、そのそれぞれの毒素に対して中和価を誘発する能力があると判断した。GTドメインを含む断片が、CDADに対して保護を与えることができるかどうかを試験するために、発明者は、630およびB1の負荷菌株を使用して多数の追加的組合せを試験した(表7に要約)。
ToxB_GT+P5_6(630)
まず、発明者は、ToxB_GTおよびToxA-P5_6の混合物(MF59をアジュバントとして使用)による免疫化が、630菌株での負荷試験に対して保護されるかどうかの試験を行った。ToxA-P5_6を、ToxB-B断片と組合せたものは、630菌株での負荷試験に対して100%の保護を与えることがわかった。この実験では、ワクチン接種を受けた動物のいずれにも、630で負荷試験をしたときに下痢は見られず、また臨床症状は全く観察されなかった(表17)。630菌株で負荷試験を行った、ワクチン接種を受けていない動物(ハムスター#9)は、強い下痢および体温下降があり、その時点で殺処分された。
次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図18)、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも、多数の生物体の排出が示された。
末端コロニー形成の評価でも、ワクチン接種を受けた動物の全数に関して、対照と比較して、少数のCFUおよび低い比率の胞子が見られたことが明らかになった。ハムスター#4および#5では検出可能なC. difficile胞子はなく(データ非表示)、またハムスター#2では、その他のワクチン接種を受けたハムスターと比較して、末端コロニー形成に10倍の低減が見られた(図19)。
腸内の毒素Bの含量の評価により、2日後に死亡した対照と比較して、15日以降にワクチン接種を受けたハムスターに存在する毒素Bが少ないことが明らかになった(表18)。この結果は、結腸内でも確認された(表19)。
したがって、ToxB_GTおよびToxA-P5_6の混合物での免疫化は、630菌株での負荷試験に対して強い保護を提供し、これは、ToxB-B断片をToxA-P5_6と組合せて使用するのと同程度であった。
ToxB_GT+P5_6(B1)
菌株630に対する首尾よい免疫化を考慮して、発明者は、P5_6+ToxB_GTでの免疫化が、B1菌株に対する保護をするかどうかの試験を行った。動物(H1〜H6)を、ToxB_GT+P5_6の混合物(50 ugrの各抗原、MF59をアジュバントとして使用した)で免疫化した。対照(アジュバントのみ)には、強い下痢および体温下降がみられ、その時点で殺処分した。全ての免疫化した動物はB1菌株での負荷試験に対して生存し(6/6)(表20)、1回の下痢の発症がみられた。この発生が、組換え抗原の任意の組合せで初めてである。
次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図20)、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも、多数の生物体の排出が示された。生存した全ての動物で、その糞便中に高レベルのC. difficileが排出された。1匹の動物のみ(H4)で、11日目にnToxBo検出可能な胞子がみられた。
殺処分時のコロニー形成の分析も実施した(図21)。結果により、生存した全てのハムスター(H4を除く)には、殺処分の時点で、盲腸および結腸内にC. difficileのコロニー形成があったことが示された。コロニー形成された全ての生存しているハムスターは、感染の急性期に死亡した動物よりも高い増殖性細胞:胞子の比率を持つとみられる。
腸内の毒素Bの含量の評価により、ワクチン接種を受けた動物(H1〜H6)は、感染の急性期に死亡した動物(H7およびH8)よりも、盲腸内に存在する毒素Bが少ないことが明らかになった(表21)。ワクチン接種を受けた群に属するH3およびH6は、その他のワクチン接種を受けた動物よりも、高いレベルの毒素Bが存在した。H4は、毒素Bが存在しなかったが、これは、殺処分の時点で、腸内に検出可能なC. difficileがなかったことから予測された。この結果は、結腸内でも確認された(表22)。盲腸からの腸洗浄物で見たとおり、死亡した対照動物での高レベルと比較して、14日以降に生存しているハムスター内に存在する活性の毒素Bは、わずかであるか、または全くなかった。また、結腸内の毒素Bは盲腸内よりも明らかに少なく、また結腸内に有意な量の毒素Bがみられる動物のみが、急性疾患で死亡した動物でもあった。繰り返しになるが、この点は例えば、抗体による毒素結合、および/または細菌性の毒素発現の減少によって説明しうる。
概して、ToxA-P5-6+ToxB_GTでのワクチン接種では、B1菌株での負荷試験後に100%が生存した。この組合せは、B1菌株での負荷試験後に動物を下痢からは保護しなかったが、症状は比較的限定的であった。それに反して、ToxA-P5_6をToxB-B断片と組合せたものは、B1菌株での負荷試験に対して83.3%のみの保護を与えることがわかり、そのため、ToxB-GT断片をTcdAの断片と組合せることで、ToxB-B断片を使用するよりも改善されることを示す(図40も参照)。
ToxB_GT+P5_6(低い用量)
ここで、低い用量(抗原当たり20 ugr)でも、B1菌株に対する保護が得られるかどうかを試験した。全てのワクチン接種を受けた動物(H1〜H8)がB1菌株での負荷試験後も生存し、また対照動物(H7〜H8)は死亡した(表23)。
全てのワクチン接種を受けた動物では、臨床症状がみられなかったH2を除き、1回の下痢の発症がみられた。ワクチン接種を受けていない対照は、下痢の発症後間もなく死亡し、体温が35°C未満に下降した時点で殺処分にした。H1およびH5は、感染の下痢期から回復したという事実(また生存するであろうという経験による)にもかかわらず、負荷試験後48時間で殺処分した。H1およびH5は、感染のこの段階で存在する毒素Bおよび腸への損傷に関するいくらかの情報を提供するために、この段階で殺処分した。次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図22)、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも、多数の生物体の排出が示された。ワクチン接種群当たりのC. difficileの平均排出を計算したが、これらの動物内での排出は、B1が負荷試験菌株である前述のどの実験と比較しても減少していたことが明らかになった。
殺処分時のコロニー形成の分析も実施した(図23)。結果により、生存した全てのハムスターには、殺処分の時点で盲腸および結腸内にC. difficileのコロニー形成があったことが示された。H7およびH8には、盲腸と結腸のどちらにも検出可能な胞子が存在せず、負荷試験後14日目の殺処分時に、その他のワクチン接種を受けた動物よりも増殖期のバクテリア数が少なかった。H2、H3、H4およびH6では、殺処分時に、胞子に対する増殖期の細胞の比率が高かった。H6では、H2、H3およびH4よりも広い範囲にコロニー形成があった。H1およびH5は、ワクチン接種を受けた動物で、負荷試験から回復し、負荷試験後48時間に殺処分した。H1では、短い軽度の発症のみがみられたH5と比較して、長くより重篤な下痢の発症があった。両方の動物が下痢から回復し、負荷試験後48時間の殺処分時に、それらの尾が乾燥していた。H1およびH5には、感染の急性期に死亡した対照動物に匹敵する数の増殖期のバクテリアおよび胞子があった。
腸内の毒素B含量の評価により、負荷試験後14日に殺処分したワクチン接種を受けた動物の盲腸内には活性の毒素Bはほとんどないか、または全くないことが明らかになった(表24)。
負荷試験後48時間で殺処分したワクチン接種を受けた動物では、高レベルの毒素Bが盲腸内に存在し、その量は負荷試験後およそ29時間で感染の急性期に死亡した動物に匹敵するものであった。これらの観察は、結腸内でも確認された(表25)。
盲腸からの腸洗浄物で見たとおり、死亡した対照動物、あるいは負荷試験後48時間で殺処分した2匹のワクチン接種を受けた動物での高レベルと比較して、14日以降に生存しているハムスター内に存在する活性の毒素Bは、わずかであるか、または全くなかった。また、結腸内の毒素Bは盲腸内よりも少なく、また腸内に有意な量の毒素Bがみられる動物のみが、急性疾患で死亡した対照動物でもあった。48時間で殺処分した動物では低いレベルがみられたが、負荷試験後14日に殺処分した動物でみられた毒素Bレベルは最低限であるか、検出されなかった。
腸内の毒素Aの含量レベルも評価した。腸洗浄物を、0.22 μmフィルターを通してろ過し、最近細胞を除去した。次にろ過した洗浄物を、減少する濃度で、24時間にわたり集密的なHT29細胞上に置いた。培養後、細胞を洗浄、固定化した後、ギムザ染色で着色した。毒素が存在する場合には、細胞円形化によって脱離が起こり、色が着かない。毒素含量データは、細胞が付着したまま残る(着色された)希釈度を表す。腸内の毒素A含量の評価により、負荷試験後14日に殺処分したワクチン接種を受けた動物には毒素Aはほとんどないか、または全くないことが明らかになった。負荷試験後48時間の時点で殺処分した、ワクチン接種を受けた動物H1およびH5は、感染の急性期に死亡した対照動物(H9およびH10)に匹敵する量の毒素Aを腸内に持つ(表26)。
概して、p5/6+toxB-GTを用いた用量当たりの抗原20μgでのワクチン接種は動物を死亡から保護したが、C.difficile菌株B1で負荷試験したときには下痢を阻止しなかった。生存した全ての動物では、実験の全期間にわたりコロニー形成がみられ、それらの糞便中にC. difficile胞子が排出された。殺処分の時点で、全ての動物で、なおもC. difficileのコロニー形成がみられたが、低レベルの増殖性細胞のみがみられるものもあれば、高レベルの胞子および増殖性細胞がみられるものもあった。実験終了まで生存している動物では、腸管内に低レベルの毒素(AまたはBのいずれか)がみられた。
対照的に、対照動物は、感染後およそ29時間で感染に屈した。これらの動物では、切除した腸組織内に増殖性細胞と胞子の両方が多数みられ、またろ過した抽出物内に高レベルの毒素がみられた。興味深いことに、病気の下痢期から回復したが、48時間の時点で殺処分した2匹のワクチン接種を受けた動物では、ワクチン接種を受けた対照動物と、より厳密に似通った数および毒素レベルが示されるように思われ、比較的大量の毒素が管腔内に存在した。ところが、これらの動物で下痢がもはやみられなくなったという事実は、損傷に反応して循環から生成され放出された抗体が、より致命的な病気の帰結から動物を保護したことを示唆している。
したがって、ToxA-P5-6+ToxB_GTの組合せを用いた免疫化は、より少ない量の抗原を使用した時でも、B1菌株での負荷試験の後で100%の生存を提供した。20 ugrの各抗原を使用した時でさえも、この組合せは、各抗原を50ugr使用してToxA-P5_6をToxB-B断片と組合せたものよりも優れていた。
R20291(SM)を用いて負荷試験したToxA-P5-6+ToxB-GT
ToxA-P5-6+ToxB-GTの組合せでの免疫化による630およびB1の菌株に対する高レベルの保護を考慮して、発明者は、この組合せがR20291(SM)菌株での負荷試験に対しても保護性があるかどうかの試験を行った。よって、ToxA-5-6+ToxB-Bの混合物をMF59をアジュバントとして使用したものを用いて、動物を免疫化した。保護研究を、糞便の分析、および腸内の毒素含量の評価と共に実施した。
ToxB_GT-PSII + P5_6
次に、発明者は、PSIIを含めることで、コロニー形成を減少することができる免疫応答を誘発しうるかどうかの試験を行った。ToxB_GTをPSIIに化学的に結合させたが、この結合は、PSII特異的な抗体を誘発することができた(ELISAにより確認、データ非表示)。また、PSIIとの化学的結合が、中和活性を損なうことは見いだされなかった。
実験は、菌株630で負荷試験を行った、ToxB_GT(PSII)+ P5_6でのワクチン接種(H1〜H6)、ToxB_GT+P5_6でのワクチン接種(H7〜8)およびアジュバント単独での処置(H9〜H10)の3つの群で構成された。結果は、表27に示す。H1〜H3では下痢の発症はみられなかったが、H4では2回の発症があり、2回目の発症後に殺処分した。ハムスターH1〜H6については、5/6が生存。ハムスターH7およびH8については、2/2が生存。
次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図24)、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも、多数の生物体の排出が示された。生存した全ての動物で、その糞便中に高レベルのC. difficileが排出された。
生存しているワクチン接種を受けた動物からの糞便中に排出されたC. difficileの平均数(ToxB_GT(PSII)+ P5_6(H1〜H6)、またはToxB_GT+P5_6(H7〜8))を(図25に)示す。これは、PS-IIをコロニー形成に含めることに、わずかながら利点がありうることを示す。
殺処分時のコロニー形成の分析も実施した(図26(aおよびb))。その結果、生存した(ワクチン接種を受けた)動物において組織関連のC. difficileのコロニー形成はわずかまたは皆無であることが示された。H4について得られた結果は、負の対照に匹敵するものであった。
したがって、生存しなかった動物でのみ、多数のコロニーが観察された。
キメラB4
次に、発明者は、ToxB-GT+ToxA-P5-6を含む混成体タンパク質(「B4」キメラ)を使用して得られた保護性の試験を行った。6匹の動物(H1〜6)を、50 ugrのB4キメラ(MF59をアジュバントとして使用)で免疫化した。対照として、2匹の動物がアジュバント単独を受け(H7〜H8)、2匹の動物はワクチン接種を受けなかった(H9〜H10)。抗原を腹腔内に投与した。動物に、630菌株で負荷試験を行った(H1およびH8は負荷試験前に殺処分した)。全ての対照動物は死亡したが、ワクチン接種を受けた動物の3/5は、実験終了まで生存した(表28)。したがって、ToxB-GTおよびToxA-P5-6をキメラとして発現することは、単一抗原の混合物の使用と比較して、この抗原組合せの有効性を低減するとみられる。
動物のコロニー形成の評価を、負荷試験後にときどきケージから糞便試料を取り出して決定した。糞便は重さを量り、無菌PBS中に再懸濁した後、選択培地に調製した。次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図29)、負荷試験後の数日間、多数の生物体の排出が示された(H6の糞便中にはバクテリアは検出されなかった)。
ToxB_GT + ToxA_B2
次に、発明者は、ToxB_GTをTcdAの異なる断片と組合せたものについての免疫化が、ToxB-GT+ToxA-P5/6と同じ高レベルの保護を与える能力があるかどうかの試験を行った。よって、動物をToxB-GT+ToxA_B2の混合物で免疫化して、B1菌株で負荷試験を行った。動物(H1-H6)は、ToxB_GT+ToxA_B2の混合物(MF59をアジュバントとして使用)を用いて免疫化した。対照(アジュバントのみ(H7およびH8)およびアジュバントなし(H9およびH10))には、強い下痢および体温下降がみられ、その時点で殺処分した。全ての免疫化した動物はB1菌株での負荷試験に対して生存した(6/6)(表30)。
下痢がみられなかったH3は別として、全ての免疫動物で1回の下痢発症がみられた(H1では、このバッチで最も重篤な下痢がみられ、綿密に監視した)。B1菌株で負荷試験を行ったとき、臨床症状を示した全ての動物で、前述の任意の実験で観察されたよりも短い期間の下痢があった。
次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図27)、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも、多数の生物体の排出が示された。生存した全ての動物で、その糞便中に高レベルのC. difficileが排出された。14日目まで、4匹の免疫化したハムスター(H2、H3、H4、およびH6)には、それらの糞便中に検出可能なC. difficile胞子はなかった。
殺処分時のコロニー形成の分析も実施した(図28(a-b))。結果は、生存した全てのハムスターは、殺処分の時点で盲腸および結腸内にC. difficileのコロニー形成があったことを示すが、細菌数は非常に少なく、検出限度の下限に近いものであった。H2およびH6は、組織に関連した検出可能なバクテリアがないとみられる。コロニー形成された全ての生存しているハムスターは、感染の急性期に死亡した動物よりも高い増殖性細胞:胞子の比率を持つとみられる。
腸内の毒素Bの含量の評価により、ワクチン接種を受けた動物の盲腸内には活性の毒素Bはほとんどない(H5)か、または全くないことが明らかになった(H5は、殺処分の時点で全てのワクチン接種を受けた動物のうち腸内に最も多数のバクテリアを持っていた)(表31)。この結果は、結腸内でも確認された(表32)。
盲腸からの腸洗浄物で見たとおり、死亡した対照動物での高レベルと比較して、14日以降に生存しているハムスター内に存在する活性の毒素Bは、わずかであるかまたは全くなかった。また、結腸内の毒素Bは盲腸内よりも明らかに少なく、また結腸内に有意な量の毒素Bがみられる動物のみが、急性疾患で死亡した動物でもあった。
概して、ToxA-B2+ToxB_GTでのワクチン接種では、B1菌株での負荷試験後に100%生存し、それによって、完全長の不活性化したトキソイドを使用して達成した保護のレベルを凌ぎ、またToxB-GT+ToxA-P5-6を使用して達成した高レベルの保護に匹敵する。この組合せは、B1菌株での負荷試験後に動物を下痢からは保護しなかった。それにもかかわらず、症状は比較的限定され、さらには、B1菌株での負荷試験後に、試験した任意の前述の組合せよりも低い重篤性であった。生存した全ての動物では、実験の全期間にコロニー形成されたが、ワクチン接種を受けた動物のうち3/6では、感染後14日目に、糞便中に検出可能なC. difficile胞子がみられなかった(ただし、検出可能な数のC. difficileは、その時点で腸から直接的に培養できた)。また、ワクチン接種を受けた動物では、実験の終了時に、腸内に比較的低レベルの毒素Bが見られた。繰り返しになるが、この点は例えば、抗体による毒素結合、および/または細菌性の毒素発現の減少によって説明しうる。
ToxA-B2 + ToxB_B + ToxB_GT
次に、発明者は、ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-B2でのワクチン接種が、CDADに対する保護に対して何らかの効果を持つかどうかの試験を行った。動物をToxA-B2+ToxB_B+ToxB-GTの混合物で免疫化した。保護研究を、糞便の分析、および腸内の毒素含量の評価と共に実施した。
ToxB_B + ToxA-P5_6 + ToxB_GT
次に、発明者は、ToxB-GT+ToxA-P5-6をToxB-B断片と組合せたものでのワクチン接種が、CDADに対する保護に対して何らかのさらなる効果を持つかどうかの試験を行った。よって、動物は、ToxB_B + P5_6 + ToxB_GTの混合物(MF59をアジュバントとして使用)を用いて免疫化した。ワクチン接種していない対照には、強い下痢および体温下降がみられ、その時点で殺処分した。6匹のワクチン接種を受けたハムスターのうち5匹(83%)がB1菌株での負荷試験後も生存した(表33)。
ハムスターH1およびH4では、およそ20時間持続する下痢の発症が1回だけみられ、ハムスターH3、H5およびH6では下痢の発症はなかった。糞便の分析(図29)は、症状(下痢)が寛解したとしても、C. difficile生物体が、負荷試験の後数日間にわたり非常に多数排出されることを示している。末端のコロニー形成の概要を、図30に記載する。
腸内の毒素B含量の評価により、2日後に死亡した対照と比較して、15日以降にワクチン接種を受けた6匹のハムスターのうち5匹に存在する毒素Bが少ないことが明らかになった(表34)。
この結果は、結腸内でも確認された(表35)。H2は、50時間54分で死亡し、死亡した対照動物と類似した量の毒素Bが腸内にあった。
したがって、ToxB_B+P5_6+ToxB_GTの混合物での免疫化により、630菌株での負荷試験に対して強い保護が提供されるが、ToxB-GT+ToxA-P5-6に対して何らかの優位を与えるとはみられない。
ToxA_GT + ToxB_GT + ToxB_B + ToxA_B2
次に、発明者は、ToxA-GTを含む抗原の組合せでの免疫化によって得られる保護性のレベルの試験を行った。ToxA-GT+ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-B2の混合物で、動物を免疫化した。6匹の動物が、50 μgの各抗原(MF59をアジュバントとして使用)を受けた(H1〜H6)。1匹の動物が、アジュバントのみを受け(H7)、2匹が未処理(H8-H9)および1匹は負荷試験をしなかった(H10)。この実験で使用した負荷試験菌株は、B1菌株であった。全ての対照動物が負荷試験の後で死亡し、体温が臨床エンドポイントに下がる少し前に下痢がみられた。1匹のワクチン接種を受けた動物(H1)が病気の兆候と脱水症状を示し、最後の対照動物の後まもなく死亡したが、体温プロフィールは対照と類似したものが示された(データ非表示)。その他すべてのワクチン接種を受けたハムスターは、実験終了まで生存した(表36)。H2〜H6では、回復時の1回の下痢の短い発症がみられた。したがって、ワクチン接種を受けた被検体のうち83%は、B1菌株で負荷試験を行ったとき、死亡から保護された。
細菌排出の分析(図31)により、時間経過に伴う糞便中のC. difficile胞子の減少が明らかになった(7日以降に著しく減少)が、この傾向は完全長トキソイドを使用して得られたデータに匹敵する。3日目のH4のデータは入手できず、H3およびH5では14日目に検出可能な胞子がなかった。全ての生存しているハムスターは、感染の急性期に死亡した動物よりも高い増殖性細胞:胞子の比率を持っていた。殺処分時のコロニー形成の分析は図32に示す。
B1菌株での負荷試験後も生存したハムスターについて、14日目に毒素Bの含量を分析した(表37)。
ワクチン接種を受けた動物は、バクテリアによるコロニー形成があったにもかかわらず腸内で低い毒素Bレベルを示した(殺処分の時点でより多くの検出可能な毒素Bがあり、より密集してコロニー形成されていたH2を除く)。ワクチン接種を受けたハムスターH1は感染の急性期に死亡したが、ワクチン接種を受けておらず、アジュバントのみの対照(感染後28時間で死亡)と同等な量の毒素Bを腸内に持っていた。これらの観察は、結腸内で確認された(表38)。結腸内の毒素Bは盲腸内よりも明らかに少なく、また結腸内に有意な量の毒素Bがみられる動物のみが、急性疾患で死亡した動物でもあった。
概して、ToxA_GT+ToxB_GT+ToxB_B+ToxA_B2でのワクチン接種では、B1菌株で負荷試験を行ったとき、6匹の動物のうち5匹が死亡から保護されたが、下痢に対しては保護されなかった。組合せにToxA-GTを含むことによって達成されたレベルの保護は、完全長の不活性化したトキソイドで免疫化したときに達成された保護レベルに匹敵するものであった。生存した全ての動物では、実験の全期間にわたりコロニー形成がみられ、それらの糞便中に同等レベルのC. difficile胞子が排出された。殺処分の時点で、全ての動物には、なおもC. difficileによるコロニー形成があった。生存しているワクチン接種を受けた動物では、対照と比較して腸内に高い増殖性細胞:胞子の比率が示された。1匹を例外(H2)として、生存する動物では、低いレベル毒素B活性が腸内にみられた。繰り返しになるが、この点は例えば、抗体による毒素結合、および/または細菌性の毒素発現の減少によって説明しうる。概して、この組合せは、トキソイドでの最適基準の免疫化を使用して得られたものに匹敵する効力を示した。
ToxA_B2+ToxB_GT+ToxB_GT+ToxB_B+ToxA_GT(低い用量)
次に、発明者は、ToxA_GT+ToxB_GT+ToxB_B+ToxA_B2の低い抗原用量(各抗原20ugr)を使用しても、B1菌株に対する高いレベルの保護が得られるかどうかの試験を行った。
全てのワクチン接種を受けた動物(H1-H8)がB1菌株での負荷試験後も生存し、また対照動物(H7-H8)は、体温が35°Cよりも下降したときに殺処分した(表39)。1匹のワクチン接種を受けた動物(H2)は、体温の下降ではなく身体的条件の喪失のため負荷試験の後9日目に殺処分されたことが注目される(その動物は、形成された糞便物質の不在によって明らかなとおり、体重が増えず、脱水症状を起こし、正常な腸の機能に戻らなかった)。
次に、糞便物質100mg当たりのコロニー数を決定したが(図33)、負荷試験後の数日間、症状(下痢)が寛解したときでさえも、多数の生物体の排出が示された。糞便中の胞子のレベルは、8日目以降に著しく低下することがわかった。
殺処分時のコロニー形成の分析も実施した(図34)。結果により、生存した全てのハムスターには、殺処分の時点で腸内にC. difficileのコロニー形成があったことが示された。負荷試験から9日後に殺処分されたH2は、感染の急性期に死亡した対照動物(H8、H9およびH10)に匹敵する量の増殖性細胞および胞子があった。H1、H3およびH4は、高レベルのC. difficileがあったが、感染の急性期で死亡した動物でよりも低レベルの胞子が存在した。H5、H6およびH7は、少ない数のC. difficileおよび低レベルの胞子があった。H6は、盲腸または結腸内の組織に関連する検出可能な胞子はなかった。
腸内の毒素B含量の評価により、負荷試験後14日に殺処分したワクチン接種を受けた動物の盲腸内には活性の毒素はほとんどないか、または全くないことが明らかになった(表40)。興味深いことに、対照動物(H8)には活性の毒素がほとんど、または全く存在しなかったが、この動物が感染の急性期に死亡したためにこの点は予想外であった。負荷試験から9日後に殺処分されたH2は、感染の急性期に死亡した対照動物(H9およびH10)に匹敵する量の毒素が腸内にあった。H1およびH3には活性の毒素が存在し、H4およびH6には比較的少ない毒素が存在した。H5およびH7には活性の毒素は存在しなかったが、これは、存在する少ない数のバクテリアに関連する。
類似した毒素結果が結腸内で観察され(表41)、ここでH8は、腸内に活性の毒素を持たないとみられた。感染の急性期に死亡したH9およびH10では、高レベルの毒素が結腸内に存在した。負荷試験後9日目に殺処分されたH2は結腸内に活性の毒素が存在し、一方で、負荷試験後14日の時点で殺処分した動物は、活性の毒素がほとんど、または全くなかった。
上記に概説した方法を使用して、盲腸内の毒素Aの含量レベルも評価した。腸内の毒素Aの含量の評価により、H9およびH10には高レベルの毒素Aが存在することが明らかになった。同様に感染の急性期に死亡したH8には、活性の毒素がほとんど存在しなかったが、この結果は毒素Bの以前の測定と一致する。負荷試験から9日後に殺処分されたH2には、活性の毒素がほとんど、または全く存在しなかった負荷試験の後14日で殺処分された動物と比較して、高いレベルの毒素Aが盲腸内に存在した(表42)。
概して、低い用量のToxA-B2+ToxA_GT+ToxB_GT+ToxB_B(用量当たり抗原20μg)での免疫化でも、動物が死亡から保護されたが、下痢からは保護されなかった。当初の負荷試験後も生存した全ての動物は、1匹(H2)を除き、正常な腸機能に回復した。したがって、低い用量のToxA-B2+ToxA_GT+ToxB_GT+ToxB_Bでの免疫化は、トキソイドを使用した最適な基準と比較して、同様またはより高いレベルの保護を提供するとみられる。
ワクチン接種を受けたハムスターからの中和価
ワクチン接種を受けたハムスターからの血清を、生体外で中和試験法により分析した。結果は、表43に示す。
ToxAからの少なくとも一つの断片およびToxBからの少なくとも一つの断片、および完全長毒素Aおよび毒素Bを含む断片の混合物で免疫化した動物について、両方の毒素に対して中和価が生成された。試験した組合せのうち、ToxA-B2+ToxB-B+ToxB_GTのみについて両方の毒素の中和価が生成されず、630菌株に対して保護性があるとはみられなかった。また、単一断片で免疫化した動物では、そのそれぞれの毒素のみに対して中和価が生成され、保護性があるとはみられなかった。これらのデータは、C. difficileに対する保護には両方の毒素に対する中和価の生成が必要であることを示唆する。
微生物叢の分析
ワクチン接種を受けた動物を、1回の下痢の発症から回復したC. difficileで負荷試験して、引き続き少なくとも3週間にわたり糞便中に生物体を排出させた。C. difficile感染のミクロビオームに対する影響を分析するために、感染前および感染後での糞便物質の16S増幅によって変化を監視した。
まず、発明者は、クリンダマイシン治療後のミクロフローラの変化を評価した(図35)。試料および門当たり454の配列決定から返された3000の配列の平均を割り当てた。未処置の正常ハムスターでは、バクテロイデス門が最も豊富な門である(59%)。クリンダマイシン治療の結果、バクテロイデス門の劇的な収縮、プロテオバクテリアの配列の拡張(84%)および全体的な微生物の多様性の喪失がみられた。フソバクテリウム門の回復の増大が、2日目から観察された。多様性の回復は、5日目までに観察されたが、15日目までに門の微生物の豊富さは、まだ完全には元に戻らなかった。
次に、発明者は、ワクチン接種を受けた動物でミクロフローラの変化の試験を行った。細菌の成長および毒素生成にもかかわらず、ワクチン接種は、毒素原生のC. difficile 630での致死的な負荷試験からハムスターを保護する。図36に示すとおり、生存する動物は、クリンダマイシンで治療した動物で観察されるものと一貫した微生物叢の変化を示す。14日目にこれらの門は減少したが、その他の感染の方法よりも高く維持された。微生物の多様性は、4日目にSDI 1.3に減少したが、その後、クリンダマイシン前のレベル(SDI 1.7)と類似したレベルに増大した。
概して、発明者は、毒素Bの酵素ドメインを含む毒素断片でのワクチン接種は、C. difficile感染に対して最も高いレベルの保護を提供することを見出した。広範な抗生物質クリンダマイシンの投与の結果、微生物の複雑さが低下した。微生物叢の多様性は時間経過と共に増大したが、クリンダマイシン前のレベルには決して戻らなかった。これらのデータは、臨床データとあわせて、C. difficile毒素に関連した損傷により、抗生物質に起因する微生物叢機能異常が増す恐れがあること、またこれは患者が再発しやすい状態に留まる理由も明らかにしている。
腸管腔内の毒素特異的なIgGの調査
ToxA-P5-6+ToxB-GTでワクチン接種を受けた動物の腸管腔内にある毒素特異的なIgGの存在について調査した。ToxAに対する反応は、感染の急性期には高めであるが、抗ToxB抗体の量の増大がエンドポイントで検出可能であった(図39)。
ToxA-P5-6+ToxB-GTでのワクチン接種の影響をさらに評価するために、生体内でで生成される毒素レベルを監視し、腸の組織学研究を実施した。
感染後48時間に対照およびワクチン接種を受けたハムスターの両方で高い毒素レベルが検出され(図40)、一方、上皮性の壊死および多形核(PMN)流入を伴う重篤な腸の炎症が対照動物でのみ観察された。ワクチン接種を受けた動物からの組織では、上皮性の損傷が少なく、PMN湿潤が限定的であった。ムチンを生成する細胞の出現および陰窩から先端までの長さの増大を伴う過形成が、特に下部結腸で観察された。
保護された動物では、腸組織に関連する多数のC. diffcileコロニーの存在にもかかわらず、感染後14日以内に腸管腔内で低レベルの毒素が示された。腸上皮は、多形の流入が不在の常態に戻るとみられた。興味深いことに、盲腸の変化は明白ではなかった一方で、一部の過形成はこれらの動物の結腸末端で持続した。
結論
発明者は、ToxB-GTおよびTcdA 断片を含むClostridium difficile抗原の組合せの投与は、CDADに対して免疫化のための結合ドメインベースの断片に匹敵するか、またはそれに優る高レベルの保護を提供しうることを見出した。
ハムスターワクチン接種実験は、ワクチン接種の不在のときに、B1菌株での負荷試験の後でも、典型的に観察される致命的な転帰から動物をを保護することのできる断片の組合せの同定につながった。
意外にも、発明者は、個別のポリペプチドとしての本発明の組合せ(すなわち一つに混合)を用いた免疫化により、混成ポリペプチドを使用するよりもCDADに対してはるかに強力な保護が得られることも見出した。これは、より低刺激性の630菌株に対して中程度のレベルのみの保護が示された「B4キメラ」により例証されている。
本発明の組合せにより、脱水症状や下痢など、CDADの臨床症状が著しく低減される。その上、本発明の組合せにより得られる保護のレベルは、不活性化したトキソイドを使用することで得られる保護に匹敵するか、それに優る。組換えポリペプチドを使用することにより、発明者は、不活性化したトキソイドを使用したワクチン接種に関連する多血症の問題を克服することもできる。
こうして、発明者は、不活性化したトキソイドを使用するよりも安全で製造が容易であり、またC. difficileに対する結合ドメインベースの免疫化に代わるものを提供する、CDADに対する複数菌株ワクチン候補を提供してきた。

Claims (23)

  1. Clostridium difficile抗原の組み合わせを含む免疫原性組成物であって、前記組み合わせが、以下:
    a)ToxB-GT抗原およびTcdA抗原、または
    b)ToxA-GT抗原およびTcdB抗原、
    を含む、免疫原性組成物。
  2. 前記ToxB-GT抗原および/または前記ToxA-GT抗原が解毒される、請求項1の免疫原性組成物。
  3. 前記ToxB-GT抗原が、以下:(a)配列ID番号:18または配列ID番号:60に対して80%以上の同一性を持つアミノ酸配列、および/または(b)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:18または配列ID番号:60のアミノ酸か、または配列ID番号:18または配列ID番号:60に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:18または配列ID番号:60の抗原決定基を含むアミノ酸配列、を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドであり、
    前記ToxA-GT抗原が、以下:(a)配列ID番号:4または配列ID番号:56に対して80%以上の同一性を持つアミノ酸配列、および/または(b)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:4または配列ID番号:56のアミノ酸か、または配列ID番号:18または配列ID番号:56に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:4または配列ID番号:56の抗原決定基を含むアミノ酸配列、を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドであり、
    前記TcdA抗原が、以下:(a)配列ID番号:1に対して80%以上の同一性を持つアミノ酸配列、および/または(b)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:1のアミノ酸か、または配列ID番号:1に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:1の抗原決定基を含むアミノ酸配列、を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドであり、かつ
    前記TcdB抗原が、以下:(a)配列ID番号:2に対して80%以上の同一性を持つアミノ酸配列、および/または(b)少なくとも7個の連続的な配列ID番号:2のアミノ酸か、または配列ID番号:2に対して80%以上の同一性を持つポリペプチドかの断片であり、かつ配列ID番号:2の抗原決定基を含むアミノ酸配列、を含むかまたはそれにより構成されるポリペプチドである、
    請求項1または請求項2の免疫原性組成物。
  4. ToxB-GT抗原、および(1)ToxA-ED抗原(配列ID番号:3)、(2)ToxA-GT抗原(配列ID番号:4)、(3)ToxA-CP抗原(配列ID番号:5)、(4)ToxA-T抗原(配列ID番号:6)、(5)ToxA-T4抗原(配列ID番号:7)、(6)ToxA-B抗原(配列ID番号:8)、(7)ToxA-PTA2抗原(配列ID番号:9)、(8)ToxA-P5-7抗原(配列ID番号:10)、(9)ToxA-P5-6抗原(配列ID番号:11)、(10)ToxA-P9-10抗原(配列ID番号:12)、(11)ToxA-B2抗原(配列ID番号:13)、(12)ToxA-B3抗原(配列ID番号:14)、(13)ToxA-B5抗原(配列ID番号:15)、(14)ToxA-B6抗原(配列ID番号:16)または完全長TcdA抗原(配列ID番号:1)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個もしくはそれを上回るTcdA抗原を含む、請求項1〜3のうちどれか一つの免疫原性組成物。
  5. (1)ToxB-ED抗原(配列ID番号:17)、(2)ToxB-GT抗原(配列ID番号:18)、(3)ToxB-CP抗原(配列ID番号:19)(4)ToxB-T抗原(配列ID番号:20)、(5)ToxB-B抗原(配列ID番号:21)、(6)ToxB-B2抗原(配列ID番号:22)(7)ToxB-B7(配列ID番号:23)または(8)完全長TcdB抗原(配列ID番号:2)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8個もしくはそれを上回る追加的TcdB抗原をさらに含む、請求項4の免疫原性組成物。
  6. ToxA-GT抗原および(1)ToxB-ED抗原(配列ID番号:17)、(2)ToxB-GT抗原(配列ID番号:18)、(3)ToxB-CP抗原(配列ID番号:19)(4)ToxB-T抗原(配列ID番号:20)、(5)ToxB-B抗原(配列ID番号:21)、(6)ToxB-B2抗原(配列ID番号:22)(7)ToxB-B7(配列ID番号:23)または(8)完全長TcdB抗原(配列ID番号:2)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9個もしくはそれを上回るTcdB抗原を含む、請求項1〜3のうちどれか一つの免疫原性組成物。
  7. (1)ToxA-ED抗原(配列ID番号:3)、(2)ToxA-GT抗原(配列ID番号:4)、(3)ToxA-CP抗原(配列ID番号:5)、(4)ToxA-T抗原(配列ID番号:6)、(5)ToxA-T4抗原(配列ID番号:7)、(6)ToxA-B抗原(配列ID番号:8)、(7)ToxA-PTA2抗原(配列ID番号:9)、(8)ToxA-P5-7抗原(配列ID番号:10)、(9)ToxA-P5-6抗原(配列ID番号:11)、(10)ToxA-P9-10抗原(配列ID番号:12)、(11)ToxA-B2抗原(配列ID番号:13)、(12)ToxA-B3抗原(配列ID番号:14)、(13)ToxA-B5抗原(配列ID番号:15)、(14)ToxA-B6抗原(配列ID番号:16)または完全長TcdA抗原(配列ID番号:1)から任意に選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個もしくはそれを上回る追加的TcdA抗原をさらに含む、請求項6の免疫原性組成物。
  8. ToxB-GT抗原およびTcdA抗原を含む、前述の請求項のうちどれかによる免疫原性組成物であって、前記TcdA抗原が、ToxA-P5-6およびToxA-B2から成る群から選択される、免疫原性組成物。
  9. i)ToxA-GT抗原またはToxB-GT抗原、およびii)ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6から選択される少なくとも一つのTcdA抗原、およびToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7から選択される少なくとも一つのTcdB抗原を含む、免疫原性組成物。
  10. i)ToxA-GT抗原およびToxB-GT抗原、およびii)ToxA-B、ToxA-PTA2、ToxA-P5-7、ToxA-P5-6、ToxA-P9-10、ToxA-B2、ToxA-B3、ToxA-B5および/またはToxA-B6から選択される少なくとも一つのTcdA抗原、およびToxB-B、ToxB-B2抗原、および/またはToxA-B7から選択される少なくとも一つのTcdB抗原を含む、免疫原性組成物。
  11. ToxB-GT抗原、TcdA抗原およびさらなるTcdB抗原を含む前述の請求項のうちどれかによる免疫原性組成物であって、前記組成物が任意に(a)ToxB-GT+ToxA-B2+ToxB-B、または(b)ToxB-GT+ToxB-B+ToxA-P5-6を含む、免疫原性組成物。
  12. ToxB-GT抗原、ToxA-GT抗原、さらなるTcdA抗原およびさらなるTcdB抗原を含む前述の請求項のうちどれかによる免疫原性組成物であって、前記組み合わせが任意にToxB-GT+ToxA-GT+ToxA-B2+ToxB-Bを含む、免疫原性組成物。
  13. 前述の請求項のうちどれか一つによる免疫原性組成物であって、前記組成物中の前記抗原のうち少なくとも二つが混成ポリペプチドの形態である、免疫原性組成物。
  14. 請求項1〜12のうちどれか一つによる免疫原性組成物であって、前記抗原のいずれもが混成ポリペプチドの形態ではない、免疫原性組成物。
  15. 前述の請求項のうちどれか一つによる免疫原性組成物であって、前記組成物がC. difficile毒素Aおよび毒素Bに対する中和価を生じさせる、免疫原性組成物。
  16. 少なくとも一つのさらなるC. difficile抗原を含む、前述の請求項のうちどれか一つによる免疫原性組成物であって、前記のさらなるC. difficile抗原が任意に糖類抗原である、免疫原性組成物。
  17. ワクチン組成物である、前述の請求項のうちどれか一つによる免疫原性組成物。
  18. アジュバントをさらに含む、請求項17のワクチン組成物。
  19. 製薬としての用途の請求項17または請求項18によるワクチン組成物。
  20. 哺乳動物での免疫応答を高める用途の、請求項17〜19のうちどれか一つのワクチン組成物。
  21. 前記哺乳動物がヒトである、請求項20のワクチン組成物。
  22. C. difficileに関連する病気の治療または予防の用途の、請求項18〜21のうちどれか一つによるワクチン組成物。
  23. 前述の請求項のうちどれかの有効量の免疫原性組成物またはワクチンを哺乳動物に投与する手順を含む、前記哺乳動物での免疫応答を高めるための方法。
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