JP2015230831A - 光放射構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱光起電力発電の効率と出力を向上させるために、熱放射スペクトルの波長スペクトル幅が小さい光放射構造体を提供する。
【解決手段】 本発明は、複数の微細孔を持つ光放射構造体であって、前記微細孔が第1の金属元素を含む第1の材料を備え、前記微細孔以外の表面の少なくとも一部に前記第1の金属元素とは異なる第2の金属元素を含む第2の材料を備え、前記光放射構造体が発する熱放射スペクトルのピーク波長より大きい波長の光において前記第1の材料の放射率が前記第2の材料の放射率より大きいことを特徴とする光放射構造体である。
【選択図】 図12

Description

本発明は光放射構造体に関し、特に熱光起電力発電用の近赤外線エミッタ、可視光照明用フィラメント、ガス検知用の中赤外線光源等に用いることができる光放射構造体に関する。
高融点金属やセラミックなどの材料からなるエミッタを1000℃以上の温度に加熱すると、強い赤外線が得られる。熱光起電力(Thermo-Photo-Voltaic)発電(以下TPVと呼ぶ)では、エミッタから放射される赤外光をPV(Photo-Voltaic)セルと呼ばれる光電変換素子で受けて電気に変換して発電する。非特許文献1には「熱放射スペクトル制御技術の熱光起電力発電への応用」と題して、熱光起電力発電について紹介されている。熱光起電力発電は、種々の熱源を利用可能であり、太陽光だけでなく液体あるいは気体の燃料を用いることができる。熱光起電力発電は、機械的なエンジン発電より静かでかつ運搬が容易なため、今後広く用いられる可能性がある。しかしながら、小型の機械エンジン発電では15%程度の発電効率が得られているのに対し、非特許文献2の熱光起電力発電の効率は12%程度しか得られていない。今後、熱光起電力発電を普及させるためには、効率と出力の向上が必要である。そのために高出力かつ高効率のエミッタの開発が期待されている。
ステファンボルツマンの法則によれば、物体から放射される単位面積あたりの光強度は、物体の温度の4乗に比例することが知られている。よって発電出力を上げるには、エミッタの温度を高めることが有効である。
放射エネルギーが最も大きいのは黒体である。プランクの法則により、黒体放射の波長スペクトルは温度のみによって決まる。黒体放射の波長スペクトルは、数μmの波長幅があり、長波長側に長い裾を引いている。ウィ−ンの法則によれば、温度T(K)の黒体放射のピ−ク波長λBは2900/Tで与えられる。例えば、1400Kの場合λB=2.07μmになる。1.4μm以下の波長帯域の放射強度は小さい。エミッタが耐えられる温度には限界があるため、通常TPV用には感度帯域が1.5μm〜2.5μmのPV素子が用いられる。非特許文献3は、GaSb材料を用いたPVセルの報告であり、30%以上の光電変換効率が報告されている。図36に非特許文献3に記載されているPドーピング形状の異なるGaSb-PV素子の外部量子効率の波長依存性を示す。GaSb-PV素子は波長0.6μm〜1.8μmに感度帯域があり、波長帯域1.5μm〜1.7μmの光電変換効率が高い。GaSb結晶の室温のバンドギャップ波長は1.7μmであるが、GaSbへド−ピングすることにより受光限界波長は1.8μmまで増大している。熱光起電力発電の効率を高めるには、PV素子が発電可能な波長帯域にエミッタの放射スペクトルを制御しなければならない。
放射スペクトルを制御するには、エミッタの放射率を制御しなければならない。放射率とは、加熱された物体からの放射強度を同じ温度の黒体の放射強度で割って得られる値であり、波長に依存する。キルヒホッフの法則によれば、局所熱平衡状態では、放射率と吸収率は等しい。また金属などの不透明な物体の場合は透過率がゼロなので、反射率と吸収率の和は1である。よって金属などの物体であれば、ある温度での反射率スペクトルが得られれば、放射率スペクトルを求めることができる。放射スペクトルは、放射率スペクトルに黒体放射スペクトルを掛けることで得られる。
高い変換効率を得るには、エミッタからの熱放射スペクトルのピ−ク波長をPV素子の受光感度が高い1.5μm〜1.7μmの波長帯域(GaSb-PVセルの場合)に制御し、かつピーク波長での放射率をできるだけ1に近くし、かつ波長スペクトル幅をできるだけ小さくすることが望ましい。
高い出力を得るにはエミッタ温度が高い方が有利であるため、エミッタ材料には1000℃以上の高温に耐えるタングステン(元素記号W)などの高融点金属が用いられてきた。しかしエミッタにタングステンの平板を用いた場合、光の放射率が小さく、スペクトルのピ−ク波長を制御できない問題があった。また光放射スペクトルは1μm以上の波長領域に長い裾を引く形状を有するので、高い変換効率が得られない問題があった。エミッタが高温で放射強度が強い状態で、波長スペクトル幅が広いと、PVセルが受光できない長波長成分を吸収して、セルの温度が上昇するために、光電変換効率が著しく低下してしまう。
非特許文献4には「TPV発電システムの現状と選択エミッタ材料技術」と題して、熱光起電力発電とそれに用いられる波長選択エミッタ技術が紹介されている。波長選択エミッタは放射スペクトルの幅を黒体より狭くしたエミッタである。そこに記載されているYbやErなどの希土類元素を含む酸化物エミッタは、狭い放射スペクトルを有する。しかしピーク波長は、Ybの1.1μmかErの1.5μmの放射波長に固定され、既存のGaSb-PVセルと変換波長が適合しない問題がある。またYbの1.1μmを強く発光させるためにはエミッタ温度を1700℃以上に上げる必要があり、エミッタの信頼性や装置の放熱制御が難しい。エミッタ温度を下げると1.1μm帯の発光強度が極めて小さくなり、実用的な出力が得られないという問題があった。
このような問題を解決する第一の解決法は、PVセルで発電できない波長の赤外光を光学フィルタで反射してエミッタに戻す方法がある。しかしながら1.8μmから10μm以上の広い波長範囲に及ぶ赤外光のみを反射し、高温のエミッタの傍に設置できる耐熱性を有するフィルタを製造することは容易ではない。
第二の解決法は、タングステン表面に酸化膜や半導体層を形成する方法がある。特許文献1「赤外光源」では、タングステンの酸化を防ぐ技術として、タングステン平板の表面にMgO+Wサーメット層902を形成する記述がある。しかしこのサーメット層902はWを保護する酸化膜であり、光を透過する。またサーメット膜902の膜厚を制御して放射率を向上させることも記載されていない。
また特許文献2「反射防止膜及び熱光起電力発電用エミッタ」では、タングステン平板の表面に屈折率が4以上であるβ-FeSi半導体層をFe基板上に形成し、さらに金属表面で反射した光の位相が薄膜表面で反射した光の位相と反転するように薄膜の屈折率、膜厚を調整することで、エミッタ表面での反射を防止できるとしている。(0012段落、図1)。
しかしこの文献では、位相反転するよう、適切な屈折率を持つ材料を選びしかも膜厚を調整する必要がある。
特開2011-222211号公報 特開2011-96770号公報 特許第3472838号 特開2005-276556号公報 再公表特許WO2005/091335 特開2007-234362号公報 特開2013-131467号公報
応用物理第73巻第7号P952(2004) Fraas,L.M.;Avery,J.E.;Minkin,L.;Huang,H.X.,Photovoltaic Specialists Conference (PVSC),2011 37th IEEE, Page:002050−002055 JX Crystal社 O.V.Sulima, A.W.Bett/Solar Energy Materials & Solar Cells 66 (2001) 533-540 応用物理第76巻第3号P281(2007) Hitoshi Sai and Hiroo Yugami, Appl.Phys.Lett., Vol.85, No.16, 18 October 2004 p3399 [1「Thermophotovoltaic generation with selective radiators based on tungsten surface gratings」「タングステン表面回折格子に基づく波長選択放射を伴う熱光起電力発電」 M.U.Pralle,et.al. Appl.Phys.Lett., Vol.81, No.25, 16 December 2002 P4685「Photonic crystal enhanced narrow-band infrared emitters」Siホールにメタルカバ−「光結晶増強された狭帯域赤外エミッタ」
エミッタの放射スペクトル制御における第三の解決法は、非特許文献5の「タングステン表面回折格子に基づく波長選択放射を伴う熱光起電力発電」なる学術論文に記載されている方法である。これは、タングステン平板に矩形の微細孔を1μm程度の周期で多数配列した光放射構造体を形成して放射スペクトルを狭幅化する方法である。この非特許文献5ではこの光放射構造体をタングステン表面回折格子と呼んでいる。特許文献3「波長選択性太陽光吸収材料及びその製造方法」には、タングステン表面回折格子の太陽光の吸収材料としての利用法とその製造方法が記載されている。それらの内容は非特許文献1にも分かりやすく紹介されている。
図37に非特許文献5のタングステン表面回折格子の表面部の外観と断面を示す。このタングステン表面回折格子は、単結晶タングステン1に矩形微細孔2が正方格子状に周期的に形成されている。この表面回折格子に光を照射した場合、波長λ0より短波長の光は微細孔の内部で吸収され、波長λ0より長波長の光は反射される。キルヒホッフの法則により、この表面回折格子を加熱した場合、波長λ0より短波長の光が放出され、波長λ0より長波長の光の放出は抑制される。これは電磁波に対する金属のマイクロキャビティ効果により、波長スペクトルを狭窄している。これによって、放射スペクトルのピーク波長を制御し、ピーク強度を高め、同時に波長幅を狭くできる。非特許文献5では表面回折格子の材料としてタングステンとモリブデンに関する記載があるが、それ以外の材料の記載はない。
図38に非特許文献1に記載されているタングステン基板上に形成された3種類の異なる構造を有する表面回折格子からの1400Kでの熱放射率スペクトルを示す。図中に試料の走査型電子顕微鏡写真が挿入されている。微細孔2の周期をΛ、正方形開口部の一辺の長さをa、孔の深さをdとすると、a/Λが0.7〜0.8、d/aが1程度の時に、波長1〜2μm帯の熱放射率が高まることが記載されている。
しかしながら、タングステンの回折格子エミッタを用いても十分なスペクトル狭窄は得られていない。波長2μmで放射率は0.4と高く、波長4μm以上でも放射率0.2以上の裾引きが見られる。特に、放射スペクトルの2μm〜4μmの波長領域は1000℃程度の黒体放射の強い領域であり、高い変換効率を実現するには、この波長領域の放射スペクトルの強度をできるだけ低減しなければならない。
特許文献5(再公表特許WO2005/091335)には、熱を電磁波に変換して表面から放射する放射体で、表面の少なくとも一部の領域には複数のマイクロキャビティが形成されており、マイクロキャビティ2の表面が、炭素と結合したタングステン(炭化タングステン)を含有する層から形成されたものが記載されている。しかし炭化タングステンは放射率が低く、エミッタからの放射スペクトルの狭幅化には適していない。
また特許文献6(特開2007-234362)には、表面に複数のマイクロキャビティ構造を持つ白熱電球であって、マイクロキャビティは高融点材料からなるフィラメント基材とその
表面に同じく高融点材料を被着させた構造を持つものが記載されている。被着材には基材と同質または異質の薄膜を形成する。(0014)段落には「フィラメント基材と被着材は同質の高融点材料を用いるのが好ましいが、所望により異なる材質の高融点材料を用いることもできる。」とある。被着材はマイクロキャビティの開口部を狭めるためのものであり、基材と被着材が異なる材料である必要はなく、異なる材料の例も示されていない。
さらに特許文献7(特開2013-131467)には、白熱電球で、フィラメントが第1の金属材料(タングステン等)の基体と、基体より低融点の第2の金属材料(タンタル等)で被覆することが記載されている。この発明は電力から可視光への変換効率の高いフィラメントを得るために、基材より低融点の金属膜の制動放射により大きなエネルギーの可視光を放射するものである。この特許文献7ではマイクロキャビティ構造は形成されていない。
この特許文献(0022)段落には、「本発明では、基体よりも低融点の金属材料で構成した金属膜で基体を被覆することにより、基体と同じ温度でありながら、低融点の金属膜を軟化状態(溶融状態または液体状態)に近い状態にする。」と記載されている。従ってこの発明をマイクロキャビティ構造に適用すると、高温時に第2の金属材料が溶融状態または液体状態になりマイクロキャビティを塞いでしまい、波長選択性が得られなくなる。また気化した第2の金属材料が電球内面に付着した後に、再び離脱してマイクロキャビティに付着してマイクロキャビティを塞ぐことも考えられる。
本発明の目的は、熱放射スペクトルの波長スペクトル幅を狭くし、熱光起電力発電の効率と出力を向上できる光放射構造体を提供することである。
本発明は、複数の微細孔を持つ光放射構造体であって、前記微細孔が第1の金属元素を含む第1の材料を備え、前記微細孔以外の表面の少なくとも一部に前記第1の金属元素とは異なる第2の金属元素を含む第2の材料を備え、前記光放射構造体が発する熱放射スペクトルのピーク波長より大きい波長の光において前記第1の材料の放射率が前記第2の材料の放射率より大きいことを特徴とする光放射構造体である。
本発明によれば、熱放射スペクトルの波長スペクトル幅を狭くし、熱光起電力発電の効率と出力を向上できる光放射構造体を提供できる。
本発明の第1の実施例である光放射構造体の表面部の外観とその断面を示す図である、 本発明の第1の実施例のTPV発電システムを説明する斜視図である。 本発明の第1の実施例のエミッタ部の断面図である。 本発明の第1の実施例の光放射構造体を1400Kに加熱した時の熱放射スペクトルを示す図である。 W平板とTa平板の光放射率スペクトルを示す図である。 本発明のエミッタの加工工程の第1の説明図である。 本発明のエミッタの加工工程の第2の説明図である。 本発明のエミッタの加工工程の第3の説明図である。 本発明のエミッタの加工工程の第4の説明図である。 本発明のエミッタの加工工程の第5の説明図である。 本発明のエミッタの加工工程の第6の説明図である。 本発明の第2の実施例である光放射構造体の表面部の外観とその断面を示す図である。 本発明の第2の実施例のTPV発電装置の外観を示す図である。 本発明の第2の実施例のTPV発電装置の断面図である。 本発明の第2の実施例のTPV発電装置の上面図である。 本発明の第2の実施例のエミッタ接合部の断面を示す図である。 TaとCrの平板の放射率スペクトルを示す図である。 本発明の第2の実施例の光放射構造体の熱放射スペクトル(1400K)を示す図である。 本発明の第3の実施例の光放射構造体を示す図である。 Cr、Zr、V、Wの平板の放射率スペクトルを示す図である。 W、Mo、Nb、Taの平板の放射率スペクトルを示す図である。 本発明に用いた酸化物のエリンガム図である。 本発明の第4の実施例の光放射構造体を示す図である。 本発明の第5の実施例の光放射構造体を示す図である。 本発明の第5の実施例の光放射構造体の加工工程の説明図である。 本発明の第6の実施例の光放射構造体を示す図である。 本発明の第7の実施例の光放射構造体を示す図である。 本発明の第8の実施例の光放射構造体を示す図である。 本発明の第8の実施例の赤外線ガス検出器の断面図である。 本発明の第8の実施例の光放射構造体の熱放射スペクトル(600K)を示す図である。 本発明の第9の実施例の光放射構造体を示す図である。 本発明の第9の実施例の白熱電球の断面図である。 本発明の第9の実施例の光放射構造体の熱放射スペクトル(2500℃)を示す図である。 非特許文献5と本発明の光放射構造体の9種類の実施例の材料と構造と用途を説明する図である。 本発明の光放射構造体のその他の実施例の材料と構造を示す図である。 Pドーピング形状の異なるGaSb-PV素子の外部量子効率の波長依存性を示す図である。 非特許文献5のタングステン表面回折格子の表面部の外観と断面を示す図である。 タングステン基板上に形成された3種類の異なる構造を有する表面回折格子からの1400Kでの熱放射率スペクトルである。 Cr、Zr、V、W平板の放射率スペクトルを示す図である。
本発明の実施例について図面を参照して以下、詳細に説明する。
[第1の実施例]
[構造の説明]
本発明の第1の実施例である光放射構造体は長さ5cm、幅2cm、厚さ6mmの板状であり、表面に微細孔が正方格子状に周期的に形成されている。図1に本実施例である光放射構造体の表面部の外観とその断面を示す。
第1の実施例の光放射構造体11は、単結晶タングステンの光放射構造体12とその表面に形成されたタンタルキャップ層13からなり、表面に微細孔14が周期的に形成されている。キャップ層の厚さt_capは0.30μmである。微細孔の周期Λ15は0.96μmである。微細孔14の開口形状は正方形で、正方形の1辺の長さL16は0.8μm、孔の深さtは1.42μmである。Λ/L比(=0.96/0.8)は1.2、t/L比(=1.42/0.8)は1.78である。t_cap/t比(=0.30/1.42)は0.21である。
W本体に5w%のRe(レニウム)を加えることで延性が増加し、加工しやすくなる。あるいは多結晶Wを本体に用いる場合には、WにK(カリウム)やSi、あるいはAl、La、Ceの酸化物を加えることで、再結晶温度が上がるので、高温での形状安定性が増す。本実施例の光放射構造体の光放射構造体とキャップ層の材料には、融点が1000℃以上の高融点材料を用いると良い。
図2は第1の実施例のTPV発電システムを示す斜視図である。第1の実施例のTPV発電システムは、支持台71、ガス導入管72、ガスバーナ73、火炎口74、光放射構造体(右)75、スペ−サ76、光放射構造体(左)77、断熱支持体78、微小孔アレイ79、支持板80、PV素子81、放熱板82、支持板83、PV素子84、放熱板85を備えている。
支持台71上にガス導入管72を立てて貫通させ、その上にガスバーナ73を設ける。ガスバーナ73の上端に火炎口74が開口している。火炎口74の上方に光放射構造体(左)77と光放射構造体(右)75を、微小孔アレイ79が反対向きになるように、一対の断熱支持体78で支えて設置する。光放射構造体75、77は2つのスペーサ76で間隔を開けて設置する。さらに光放射構造体75、77の微小孔アレイ79に対向する位置に、PV素子81、84を備えた放熱板82、85を支持板80、83で支えて設ける。
2つのPV素子81、84はいずれもGaSb系の光電変換素子である。放熱板82、85は銅やアルミ材料を凸凹形状に加工したヒ−トシンクを用いている。光放射構造体(右)75と光放射構造体(左)77は、第1の実施例の光放射構造体である。光放射構造体とスペ−サ76の接合の方法は溶接法でもよいが、はめ込み法を用いた。
図3に第1の実施例のエミッタ部の断面図を示す。光放射構造体(右)75と76は、微小孔アレイ79の形成面を外側にして、スペ−サ76を介して背中合わせにはめ込み接合86で接合されている。これは、接合するもの同志に切込みを入れ、オスメスのはめ合わせにより接合する手法である。断熱支持体78は、熱伝導率の小さい耐熱セラミックであり、エミッタを支持している。断熱支持体78はスペ−サ76から出ている棒状の突起によりはめ込み接合87でスペ−サ76に接合されている。スペ−サ76は光放射構造体の裏面の材料と同じである。
図2に示されるように、ガス導入管72で導入された空気とガスは、ガスバーナ73で混合され、火炎口74で燃焼する。点火手段は火炎口の近くに設置する。燃焼温度は空気とガスの混合比などで制御できる。ガスバーナ73は光放射構造体75と77の裏面を加熱し、それらの温度を1400K程度にできる。このように光放射構造体の裏面だけを加熱する構成により、不完全燃焼により発生した煤が光放射構造体75と77の表面に付着して、微小孔アレイ79を埋めることを防止できる。加熱された光放射構造体75と77から両側に放射される近赤外光をPV素子81とPV素子84で受けて変換し、直流電流を取り出して発電する。
[効果の説明]
図4に第1の実施例の光放射構造体を1400Kに加熱した時の熱放射スペクトルを実線で示す。合わせて同温度の黒体の熱放射スペクトル、キャップ層がないW光放射構造体とTa光放射構造体の熱放射スペクトルをそれぞれ破線と点線で示した。黒体の熱放射スペクトルBBは理論値である。1400Kでは黒体から1μm以下のエネルギーの高い波長光は殆ど放出されない。正方形の1辺の長さLを0.8μmにしたとき、放射スペクトルのピ−ク波長λpは1.6μmとなった。Wの熱膨張率は5×10−6(1/K)程度であり、1000℃の温度上昇により、開口径は0.5%程度増大するが、ピ−ク波長に対する影響は小さい。本実施例のTaキャップ層のW光放射構造体の放射スペクトルの1/e全幅は0.6μmであった。ピーク放射率はほぼ1である。キャップ層がないタングステンの光放射構造体の場合は、スペクトルの1/e全幅は0.8μmであった。Taキャップ層を用いたことで、スペクトル幅が25%低減した。ちなみにキャップ層がないTaだけからなる光放射構造体の場合は、放射強度は半減した。本実施例の光放射構造体において、光電変換波長1.8μm以上の領域での放射強度は、キャップ層がないTaのみの光放射構造体のものと一致した。
光電変換素子の発電限界波長λ0に対して、微細孔の開口直径Dをλ0/2程度にすると、温度T(600℃≦T≦1700℃)に加熱された光放射構造体から放出されるスペクトル1/e値幅δの熱放射光スペクトルのピ−ク波長λpが、λ0−δ≦λp≦λ0となる。光放射構造体の微細孔の開口円の直径Dを、所望の熱放射スペクトルピーク波長λpの1/2程度にすることで、光電変換素子の有効波長域内にピ−ク波長λpを設定できる。光電変換素子の受光範囲(λ0-Δ<λ<λ0)と熱放射光スペクトルの重なりが最大になるときに効率が最も高くなる。スぺクトル幅δは温度Tの影響も少し受ける。
図5にW平板とTa平板の光放射率スペクトルを示す。W平板の光放射率は2.2μm以上の波長領域において低いのに対し、Ta平板の光放射率は1.4μm以上の波長領域においてさらに低い。ピーク波長1.6μm近傍においてWはTaより放射率が高い。一般化した表現で言えば、光放射構造体が発する熱放射スペクトルのピーク波長より大きい波長の光において第1の材料の放射率は第2の材料の放射率より大きい。
以上の結果から得られた本実施例の光放射構造体のスペクトル狭窄のメカニズムを示す。基本的には光に対する金属のマイクロキャビティ効果を用いているが、本体に放射率の高いW、キャップ層に放射率の低いTaを用いることで波長スペクトルの狭窄効果を高めている。本実施例の光放射構造体の正方形の開口幅0.8μmは、放射スペクトルのピ−ク波長λpの半分の大きさであるため、波長1.6μm以下の光は、微細孔内部の空間に定在波を形成できる。その波長1.6μm以下の定在波は、微細孔の表面近傍のタングステンによく吸収される。これは、波長1.6μm以下の光は微細孔の壁表面近傍のタングステンから外部へ放出されることを意味する。一方、波長が1.6μmより大きい光は、微細孔内に定在波を形成できないので、微細孔から外部に放出されず、微細孔以外のTaキャップ層表面から外部に放出される。図5に示されるように、波長1.6μm以上でのタンタルの放射率はタングステンの放射率より低いため、波長が1.6μmより大きい光の放射が抑制される。従って本実施例の光放射構造体では、波長1.6μm近傍の光が強く放射されると同時に、波長が1.6μmより大きい光の放射が抑制されるために、放射スペクトルが狭くなったと考えられる。
放射率を高めるには、微細孔は比較的高密度に配置されていることが望ましい。微細孔の配置は、製造上周期的な方が作成しやすいが、必ずしも周期的でなくともよい。
得られた光強度は1W/cm2程度であり、これは太陽光の光強度より1桁高い。そのためPV素子の光電変換効率は32%以上になる。光放射構造体75のスペクトル効率は75%であった。つまり1400Kでの光放射構造体75から放射される光の75%がPV素子で電流に変換された。よって本実施例のTPV発電システムの熱電変換効率として24%(=32%×75%)の値が得られた。ガスバーナが光放射構造体76を加熱する燃焼効率は65%である。従って、本実施例のTPV発電システムの発電効率は15.6%であった。これは機械式エンジンの発電効率に相当する。燃焼装置に供給する空気を燃焼後の高温排ガスで予熱する装置を付加した場合は、燃焼効率は83%になると予想される。その場合、TPV発電システムの発電効率は20%になり、機械式エンジンの発電効率を上回る。この装置では面積は両側で20cm2なので、得られた光強度は20Wであった。光放射構造体76とPV素子の面積を増大させることで、必要に応じて出力を増大させることができる。
[製造方法の説明]
Taなどの高融点金属は通常の蒸着法が難しかったが、近年は電子線蒸着法やスパッタリング法が開発され、Ta薄膜が比較的簡単に得られるようになった。スパッタリング成膜法には、2極スパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロン法、反応性スパッタリング法などがあり、基本的にはいずれを用いてもよい。スパッタリング成膜法は成膜プロセスが安定していて、緻密で強い膜が高精度に均一な膜厚で作製できる。複数種の金属タ−ゲットを用いて所望の組成の合金膜を形成できる。2極スパッタリング法では、ターゲットを陰極、薄膜形成する基材・基板を陽極として電圧を加え、ガスイオン原子でターゲット表面を叩き、飛び出したターゲット材料物質の粒子(原子・分子)が基板に堆積する。マグネトロン法では、ターゲットの裏面に磁石を設置して磁界を発生させ、ガスイオン原子がターゲット表面に衝突し、叩きだされる二次電子をローレンツ力で捕らえてサイクロトロン運動で不活性ガスのイオン化を促進する。負イオンや二次電子を磁界で捕らえられるため、基材・基板温度の上昇が抑えられ、捕えた電子でガスイオン化が促進され、成膜速度を高速にできるため、スパッタリングによる成膜技術の主流になっている。高周波スパッタリング法は金属以外の成膜もできる。Arガスに加えて、酸素や窒素などの反応性ガスを導入する反応性スパッタリングでは、酸化物や窒化物の成膜ができる。
板状形状の鏡面研磨されたタングステン単結晶基板91を用意し、硫酸系エッチャントとHF系エッチャントで表面の酸化膜を除去した。背圧1×10-6Torrのマグネトロンスパッタ装置に入れ、基板温度300℃で、W結晶基板にスパッタリングでTa薄膜を0.3μm厚蒸着した。スパッタカソードはACダブルカソードを採用し、ターゲットは145×640×8mmtサイズの高純度Taを使用した。成膜圧力は0.15Pa程度とし、スパッタ室からのAr流量を150sccm、Taスパッタパワ−を10kWとした。成膜速度は0.4μm/分であった。
図6から図11に本実施例のエミッタの加工工程の説明図を示す。図6に本実施例のエミッタの加工工程の第1の説明図を示す。タングステン単結晶基板91上にタンタル薄膜92を形成し、タンタル薄膜92表面にフォトレジスト93をスピンコートし、その上に蒸着装置を用いてアルミニウム薄膜94を蒸着した後、さらにその上に電子線露光用レジスト95を0.4μ厚スピンコートし、乾燥させた。フォトレジスト93はOFRPを用い、電子線露光用レジスト95にはZEP520A(日本ゼオン)を用いた。Al薄膜94の代わりにCr薄膜を用いてもよい。
図7に本実施例のエミッタの加工工程の第2の説明図を示す。上記のウエハに対して、電子線リソグラフイ装置(F5112+VD01、アドバンテスト)を用い、パターンニングと現像を行い、周期0.96μm、1辺0.8μmの正方形の枠形状の電子線レジストマスク96を形成した。
図8に本実施例のエミッタの加工工程の第3の説明図を示す。SF6ガスを用いたドライエッチング(原子線ビームエッチング)を短時間行い、開口部に露出したアルミニウム膜を除去し、アルミニウムマスク97を形成した。図9に本実施例のエミッタの加工工程の第4の説明図を示す。Alマスクを形成した後、エッチングガスを酸素に切り換え、有機物であるフォトレジストを選択的にエッチングして、アスペクト比の高いフォトレジストマスク98を得た。図10に本実施例のエミッタの加工工程の第5の説明図を示す。再びエッチングガスをSF6に切り換え、マスクの上からドライエッチングで、開口部のTaとWをエッチングし、深さ1.4μmの正方形の開口をパターンニングし、Taキャップ層92’とタングステン光放射構造体99を形成した。図11に本実施例のエミッタの加工工程の第6の説明図を示す。再び、エッチングガスを酸素に切り換え、試料表面に残存するレジストを除去した。以上の工程により微小孔アレイを形成した第1の実施例である光放射構造体を製造した。
微細孔の間隔が1μm以下の場合は、電子ビ−ム露光法を用いたが、微細孔の間隔が1μmより大きい場合は、水銀g線などを用いた通常の光学露光法でも本実施例の光放射構造体を形成することができる。得られた光放射構造体を真空中で800℃以上に焼鈍すると、内部に含まれた水素を除去することができ、寿命を高めることができる。
[第2の実施例]
[構造の説明]
本発明の第2の実施例である光放射構造体は単結晶Cr(クロム)本体とTaキャップ層とTa2O5酸化膜を有する。本実施例の光放射構造体を有するエミッタは、長さ25cm、幅5cm、厚さ5mmの板状エミッタである。本実施例の光放射構造体を適用したTPV装置は、前記の板状エミッタを8角形に組み合わせた8角柱形状のエミッタを有する。8角柱の外側の表面には本実施例の光放射構造体の微細孔が正方格子状に周期的に形成されている。本実施例を適用したTPV装置では、メタンガスを燃料とする携帯型非常用発電装置であり、波長フィルタを使わない簡単な装置構成で、1400Kのエミッタ温度で、出力1kW、発電効率15%の値が得られた。
図12に第2の実施例である光放射構造体の表面部の外観とその断面を示す。第2の実施例の光放射構造体100は、単結晶Crの光放射構造体101とその表面に形成されたTaキャップ層102からなり、表面に微細孔103が正方格子形状に周期的に形成されている。光放射構造体101の表面にはTa2O5酸化膜108、微細孔103の側壁部にはCr2O3酸化膜109が形成されている。キャップ層の厚さt_capは0.30μmである。微細孔の周期Λx104と周期Λy105はともに1.2μmである。微細孔103の開口形状は円形で、開口円の直径D106は0.9μm、孔の深さt107は1.5μmである。Λ/D比(=1.2/0.9)は1.33、t/D比(=1.5/0.9)は1.67である。t_cap/t比(=0.30/1.5)は0.20である。Ta2O5の融点は1468℃であり、WO3の融点1473℃と同程度である。Cr2O3の融点は2435℃と高い。Ta2O5酸化膜108とCr2O3酸化膜109は、赤外光に対して透明なため、加熱時に得られる放射スペクトル形状に影響を与えない。
ここで、微細孔の周期Λ、微細孔の深さt、開口径D、キャップ層厚sの関係について述べる。
周期Λに関しては、周期Λが2Dを超えると(Λ/Dが2を越えると)孔の占める面積の割合が減って放射率のピ−ク強度が低下する。
微細孔の深さtに関しては、開口径D以上が望ましく、通常の金属を用いた光放射構造体101であれば2D〜3D以内で十分効果が得られる。効果が得られる深さtの限度は特にないが、アスペクト比(t/D)が20以上の孔を開けるのは加工技術上困難で、上限を20程度にするのが実際的である。
キャップ層をピーク波長域で放射率の高い材料(本実施例2ではCr)とし、1.08≦Λ/D≦2かつ1≦t/D≦20に設定すると、放射率スペクトルのピーク強度を0.9以上にできる。放射率スペクトルは放射率の波長依存性であり、0〜1の値を取る。放射率スペクトルのピ−ク強度を0.9以上に設定できるとは、最大が1である放射率において、ピーク強度を0.9以上に設定できるという意味である。
キャップ層をピーク波長域で放射率の高い材料とし、微細孔の深さtに対してキャップ層の厚さsが1/20≦s/t≦1/2に設定すると、スペクトル幅を狭幅化できる。例えば、λp=1.6μmのとき、エミッタ温度1400Kで熱放射スペクトルの1/e波長全幅δを0.6μmの狭幅にできる。キャップ層がないCr単体の光放射構造体の1400Kでの熱放射スペクトルの波長全幅は3μmなので、Taキャップ層によりスペクトル幅を1/5に狭幅化できる。光電変換素子の光電変換効率は、適合波長から短波側に離れるに従って低減し、適合波長より大きな波長ではゼロになる。
キャップ層厚sに関しては、0.2μm以上で高い波長狭窄の効果が得られるが、sが0.1μm(s=t/20=2μm/20=0.1μm)でも効果は生じる。sの上限に関しては、sが微細孔の深さの半分より大きくなると、逆に放射率が低下するので半分以下に収めておくことが望ましい。ちなみに、波長2μmの光が金属に侵入する深さは最大0.1μm程度であるが、微細孔の縁は侵入しやすいので、キャップ層は0.1μmより厚くするとよい。光が侵入する範囲は、光吸収の極めて小さいキャップ層で覆うとよい。
図13に第2の実施例のTPV発電装置の外観、図14に第2の実施例のTPV発電装置の断面図、図15に第2の実施例のTPV発電装置の上面図を示す。第2の実施例のTPV発電装置は、支持台110、メタン導入管111、空気導入管112、支持脚113、混合気導入管114、放熱フィン115、PV素子116、8角形エミッタ117、バ−ナ−118、火炎口119、断熱板120、通気口121などからなる。8角形エミッタ117は、8枚の光放射構造体101が形成されたエミッタ板を組み合わせて形成される。
図16に第2の実施例のエミッタ接合部の断面を示す。光放射構造体100が外側に形成されたメスのクロム板123とオスのクロム板124をはめ込み接合部122ではめ込むことで強固に接合されている。8角形エミッタ117は断熱板120とステンレスの支持脚113と支持台101によって支持されている。断熱板120は8角形エミッタ117の熱をPV素子116に伝えないために設置されている。断熱板120には小さな通気口121が開いており、下部から取り入れた外気を用いて8角形エミッタ117とPV素子116の間にある温められた空気を上部に追い出す働きをする。PV素子116は8角形エミッタ117に対向して設置されているGaSb系の光電変換素子である。放熱フィン115はアルミ製である。
第2の実施例のTPV発電装置の動作方法について述べる。メタン導入管111と空気導入管112を通してメタンと空気を所定の混合比で供給し、混合気導入管114を通してバ−ナ−118に供給し、火炎口119で燃焼させる。点火装置は火炎口の傍に設置されている。高温の火炎と排ガスが8角形エミッタ117を内側から加熱する。CO2と水蒸気からなる排ガスは8角形エミッタ117の上部から外部に放出される。8角形エミッタ117から放射される赤外光を周囲のPV素子116で受けて発電する。PV素子の電気抵抗により発生する熱は背面の放熱フィン115から放射される。PV素子の加熱を防ぐために、必要に応じて外部からファンで放熱フィンを空気冷却して動作させる。
[効果の説明]
図17にTaとCrの平板の放射率スペクトルを示す。Crは安価で加工しやすいが、放射率スペクトルが広い。Crの平板の放射率は波長2.5μmまで放射率約0.45の一定値を示している。一方Taは波長1.3μm以上で放射率0.5以下の小さな値である。これらを組み合わせることで、狭幅の熱放射スペクトルが得られる。
図18に第2の実施例の光放射構造体の熱放射スペクトル(1400K)を示す。放射強度の強い順番に、黒体放射(B.B.)、Crのみの光放射構造体、Taキャップ層100nmの光放射構造体、Taキャップ層300nmの光放射構造体、Taのみの光放射構造体の1400Kでの熱放射スペクトルを示した。本実施例の微細孔の直径Dは0.9μmであり、得られた熱放射スペクトルのピーク波長は1.6μm(<2・D)であった。波長1.6μm以下の光は、微細孔内部の空間に定在波を形成できる。波長1.6μm以下の定在波は、微細孔の表面近傍のCrによく吸収される。これは、波長1.6μm以下の光は微細孔の壁表面近傍のCrから外部へ放出されることを意味する。一方、波長が1.6μmより大きい光は、微細孔内に定在波を形成できないので、微細孔から外部に放出されず、微細孔以外のTaキャップ層表面から外部に放出される。図17に示されるように、波長1.6μm以上でのTaの放射率はCrの放射率より低いため、波長が1.6μmより大きい光の放射が大幅に抑制される。
従って本実施例の光放射構造体では、波長1.6μm近傍の光が強く放射されると同時に、波長が1.6μmより大きい光の放射が抑制されるために、放射スペクトルが狭くなったと考えられる。
Crのみの光放射構造体の熱放射スペクトルは1/e幅が3μm以上あるのに対し、本実施例のTaキャップ層300nmの光放射構造体では幅0.7μmの狭い熱放射スペクトルが得られた。Taキャップ層を100nmから300nmに厚くすることで、ピ−ク出力を下げずに、放射スペクトル幅をより小さくできた。これはTaキャップ層の厚さを0.3μm以上にすることで、Crからの熱放射が外部に放射されるのを防ぐことができたためと考えられる。
得られた出力は1.05kWであった。素子面積が1000cm2なので、単位面積当りの出力は1.05W/cm2であった。素子効率は32%から求めた放射エネルギーは黒体放射のエネルギーの15%であった。燃焼効率65%、スペクトル効率72%、PV素子効率32%より、全効率は15%であった。これは機械エンジンの効率に相当する。燃焼効率を85%、ピーク波長を調整してスペクトル効率を85%に向上させると23%の発電効率が得られることが予想される。
本実施例では、単結晶のCr板を用いたが、通常の多結晶のCr板を加工しても本実施例の効果は得られる。タングステン結晶より安価な多結晶のCr板を用いても本実施例の光放射構造体とTPV発電装置が得られる。
大気中の感熱により形成されるCr2O3酸化膜はWO3酸化膜より高温での酸化耐性に優れている。またCr2O3酸化膜のために、多結晶のCr板に形成された光放射構造体の微細構造が高温でも維持できる。そのため高出力かつ長寿命のエミッタが得られる。光放射構造体本体のCrに対して、少量のNiやCoなどを添加して、エミッタを機械的な衝撃に対して粘り強くすることもできる。
背景技術の図37で示した非特許文献5のタングステン表面回折格子をTPV発電等に適用するには、耐酸化性の高いタングステン単結晶を用いなければならない。大きな出力を得るには大面積のタングステン単結晶が必要となるが、それは高価である。またタングステン単結晶は非常に固いため、その表面に微細孔を精度よく広範囲に加工するのにコストがかかる。非特許文献5ではWやMoなどの高価で硬い金属を用いているが、加工がし易く安価なCr(クロム)、V(バナジウム)、Zr(ジルコニウム)といった比較的高融点の金属をエミッタに利用できることが望ましい。図39に本発明者が実験で求めたCr、Zr、V、W平板の放射率スペクトルを示す。CrとZrの吸収率は0.3μmから3μm以上の広い範囲に渡って、放射率が高い。特に1.7μm以上の波長帯域において、Cr、V、Zrの放射率はWの放射率より顕著に高い。したがってこれらの安価な金属を用いた場合は、平板エミッタでも回折格子エミッタでも、放射スペクトル幅が広くなるために、熱光起電力の発電効率が低下してしまう問題が生じる。
この問題に関連する技術として、非特許文献6の「光結晶増強された狭帯域赤外エミッタ」なる論文では、微細加工が容易なシリコンを用いたエミッタに関する記載がある。具体的には、これは、シリコン半導体ウエハ表面に金薄膜を蒸着し、円形の微細孔を正方形配置で周期的に形成した赤外線エミッタである。325℃で4μm帯の光放射が得られている。非特許文献6のエミッタの波長スペクトルの狭窄原理は、円形の微細孔を周期的に形成した金の薄膜の表面プラズモン効果によるものである。
一方、非特許文献5のタングステンの回折格子は電磁波に対する金属のマイクロキャビティ効果を利用しており、両者の波長スペクトルの狭窄原理は全く異なる。Wは可視光と赤外光を強く放射するが、Siの放射率は主に0.8μm以下の可視光領域であり、1.1μm以上の赤外光は全く放射しない。つまりSiウエハは金薄膜を保持し、微細孔を提供する役割のみを果たしている。実際SiをWなどの金属に置き換えると、Au薄膜の表面プラズモン効果は失われる。また表面プラズモン効果の大きい薄膜はAuやAgなどに限られる。Auの融点は1064℃、Agの融点は962℃であり、TPV発電で用いられる1000℃以上の温度には耐えられない。またシリコンも実用的には1000℃程度の温度が限界である。またシリコン半導体と金との間には熱膨張係数の差があり、高温では金が剥離する問題がある。これによって寿命や出力が制限されてしまう。したがって非特許文献6のエミッタは300℃程度の温度で使用する分光用の中赤外光光源にしか使えない。
[製造方法の説明]
第2の実施例の光放射構造体は、表面を鏡面にしたCr単結晶にスパッタリングでTaを0.3μm厚形成し、第1の実施例の光放射構造体の製造方法を適用して製造できる。電子線露光で直径0.9μmの円形の微細孔を周期1.2μmの正方格子状に周期的にパタ−ニングした後、ドライエッチング装置で開口直径の1.67倍の深さ1.5μmまでエッチングした。得られた光放射構造体を空気中で1000℃に加熱し、Cr本体にCr2O3熱酸化膜及びTa表面にTa2O5の熱酸化膜を形成した。これらの熱酸化膜は、非常に緻密で安定な不動態膜であるため、高温での金属内部への酸化の進行や水素取り込みを抑制する効果がある。
反応性スパッタリング装置で直接Ta2O5酸化膜を形成する方法もある。表面に酸化物の保護膜を形成するには、RFあるいは反応性スパッタ装置において、流量50〜200sccm のO2を加えることで、Taと酸素プラズマにより、Ta表面にTa2O5層をあらかじめ成膜する。Ta2O5層のドライエッチングのエッチングガスとしては、CF4とO2との混合ガス(O2ガスの混合比10%〜40%)を用いることができる。エッチング条件は、例えばCF4:40sccm、O2:10sccm、圧力:400mTorr、高周波電力:300Wである。O2ガスの混合比20%で酸化タンタルのエッチング速度は0.3μm/分である。
Ta2O5層中のTaは、フッ素と反応してフッ化物となり、Ta2O5層中の酸素は炭素と反応してCOやCO2となり効果的にエッチングされる。レジスト表面では炭素を主成分とする重合物の堆積反応がエッチングを抑制するためエッチング速度が低くなるので、酸化タンタルのレジストに対する選択比が向上する。O2ガスの混合比を下げるほどレジストとの選択比が向上した。
[第3の実施例]
[構造の説明]
本発明の第3の実施例は、酸化膜保護層と中間層を有する三角格子周期で円形開口の光放射構造体であり、第2の実施の例のTPV装置のエミッタに用いられる。図19に第3の実施例の光放射構造体を示す。第3の実施例の光放射構造体は、光放射構造体130、Cr本体131、Cr2Ta中間層132、Taキャップ層133、Cr2O3保護層134、円形微細孔135、三角格子周期Λ136からなる。Cr2Ta中間層132は100nm厚、Taキャップ層133は0.3μm厚である。これらの合計の厚さt_capは0.40μmである。Cr2O3保護層134は100nm厚である。Taキャップ層133には、1w%〜20w%のCrを含ませてもよい。Taキャップ層の放射率の増加を抑制するために、Crの含有率は20w%以下が望ましい。さらに緻密な熱酸化膜を得るために1w%〜5w%のB(ホウ素)を添加してもよい。TaにCrを入れることで、大気中での加熱により、Cr:Taキャップ層の表面と開口部の断面にも緻密なCr2O3膜が形成される。微細孔表面の本体のCrにもCr2O3などの熱酸化膜が形成される。Cr2O3の融点は2435℃、Crの融点は1863℃、Taの融点は3020℃、Cr:Taの融点は2000℃以上であるので、1600℃までの加熱に耐える。
微細孔の三角格子周期は1.2μmである。微細孔135の開口形状は円形で、円の直径Dは0.9μm、孔の深さtは1.6μmである。Λ/D比(=1.2/0.9)は1.33、t/D比(=1.6/0.9)は1.78である。t_cap/t比(=0.40/1.6)は0.25である。円形開口の半径rとすると、周期Λの三角格子の場合、平面表面に対する開口部の面積の割合は、次式で与えられる。

本実施例の場合、開口部の面積の割合は51%である。正方格子の場合、開口部の面積の割合は、次式

であり、同じ半径と周期の場合、開口部の面積の割合は44.2%である。三角格子の場合、正方格子の場合より開口部の面積の割合が15%程大きい。三角格子の場合、正方格子の場合と同様の放射スペクトル形状と狭窄効果が得られ、孔の密度が高いためにピーク放射率がやや向上する。
本発明の構造の材料に関して説明する。第1〜3の実施例では、光放射構造体の本体の材料に含まれる金属元素AとしてWやCrを用いた。しかしながら、本発明の光放射構造体の本体として用いる金属元素Aとしては、Zr、V、TiあるいはMo、Nb、Hfを用いてもよい。あるいは金属元素Aに、融点が1000℃以下にならない範囲で、Fe、Ni、Co、Cu、Al、Siなどを加えて、耐熱性、耐酸化性、加工性、曲げ強度などを向上させた合金を用いてもよい。あるいは金属元素Aに微量のRe、Os、Ir、Pt、Auなどを加えて、加工性などを改善させてもよい。
図20にCr、Zr、V、Wの平板の放射率スペクトルを示す。これらは1860℃以上の高い融点を有し、Cr、Zr(ジルコニウム)は波長0.2〜3μmの広い範囲で0.3〜0.4の高い放射率を有する。あるいはV(バナジウム)は1.6μm〜1.7μmにおいてWと同等の放射率0.2を有する。これらの材料を本体に用いることで、マイクロキャビティ効果により微細孔内部の表面からの強い熱放射が得られる。材料として、これらの高融点金属の合金を用いることもできる。例えばMoキャップ層に5(原子%)のTaを含ませることで、酸化耐性が顕著に改善される。TaMoの融点は1820℃以上あり、TaMoはTaより粘りがあり、温度変化による熱衝撃にも強い。
また第1〜3の実施例では、キャップ層の材料2に含まれる金属元素BとしてTaを用いたが、金属元素BにW、Mo、Nb、Hfを用いてもよい。図21にW、Mo、Nb、Taの平板の放射率スペクトルを示す。Mo、Nb、Taは光電変換波長近傍の1.6μm以上で放射率が0.1より小さくなる。
光放射構造体の本体に変換波長近傍において高放射率の金属、キャップ層に低放射率の金属を用いることで、放射スペクトルの狭窄効果が得られる。これらは高融点の金属なので、高温での使用が可能になり、強い熱放射が得られる。
またキャップ層の材料として、金属元素Bに加えてCr、Si、Al、V、Zr、Ca、Mg、Agなどの元素Cを1w%〜20w%の範囲の濃度で加えた材料を用いてもよい。これらの元素Cを1w%以上加えると、下記に示すように、大気中の加熱時にキャップ層の表面に酸化膜が形成される。元素Cを5w%〜10w%加えると緻密な酸化膜が得られる。これらの元素Cを加えると、キャップ層の融点が下がり、キャップ層の放射率が上昇するので、元素Cの濃度は20w%に制限した。
[効果の説明]
図22に第3の実施例に用いた酸化物のエリンガム図を示す。エリンガム図(Ellingham diagram)は、様々な酸化物について、各温度における酸化反応の標準生成ギブズエネルギーを表示した図である。標準生成ギブスエネルギーとは、酸素分子1molあたりの酸化反応によるギブスの自由エネルギーの変化量である。組成式に含まれる酸素数が異なる物質同士でも比較できる利点がある。
この図から、金属酸化物を金属に還元するための還元剤と還元温度、あるいは金属が酸化されずに存在できる酸素分圧などを知ることができる。グラフは右肩上がりであることから、温度が上昇すると金属は酸化されやすくなることが分かる。SiCやWCなどの炭化物は、温度依存性が小さ。WCより WO3の方が安定である。一般に炭化物より酸化物の方が安定である。また酸化物の融点は2000℃以上と高い。従って金属の保護膜には酸化物が適している。しかしWO3やMoO2は、H2OやCO2のグラフと600℃以上で交わることから、高温ではこれらの気体と反応することが分かる。
酸化物を安定な順序に列挙すると、CaO、MgO、Al2O3のグル−プが最も安定で、次にSiO2、V2O3、Ta2O5、NbO2、Ti3O5、Cr2O3のグル−プ、次にWO3、MoO2、FeOのグル−プ、最後にIrO3となる。CaO、MgOは膜質が良ければ、最も安定な保護膜となる。実際に非特許文献5のWやMoの材料に生じるWO3やMoO2の酸化膜は、大気中で500℃以上に加熱すると酸化が進行するので、それらの厚さが増大する。Ta2O5やNbO2も大気中で300℃以上に加熱すると酸化が進行する場合がある。従って非常に高温で使用する場合TaやNbやHfにも保護膜が必要となる場合がある。酸化の進行は酸化膜の緻密さにも依存する。従って、酸化耐性は必ずしもエリンガム図だけで決まらない。緻密な酸化膜が得られやすいのは、SiO2とCr2O3とAl2O3である。VO2やZrO2も強度のある膜を形成する。本実施例では、こうした耐酸化性のある酸化物をTaやNbやHfのキャップ層の表面に形成して保護する。あるいは本実施例では、Taに数%のCrを含むCr:Taキャップ層を形成し、大気中で加熱して、表面に緻密なCr2O3保護膜を形成する。Cr2O3の融点は2435℃であり、例えば融点が1660℃のCr3O4もより、酸化耐性が高い。Cr2O3保護膜は酸化耐性が高いため、大気中での加熱時にTaキャップ層を酸化から保護する働きをする。Cr2O3保護膜はバンドギャップが大きく透明なので、表面の放射率はTaで決まる。Taキャップ層により波長1.3μm以上の領域の放射率を抑制できるため、本実施例においても同様の放射スペクトル狭窄効果が得られる。
中間層に用いたCr2Taの融点は2020℃で、Crの融点1863℃より高い。そのため高温でのTa原子とCr原子の相互拡散を抑制する効果を有する。Cr2Ta中間層132はCrの組成がそれより上がると融点は1760℃になるが、比較的高い融点を保つ。Crの熱膨張係数(1/K)は、温度に依存し、7〜12×10−6(100℃〜1250℃)である。Taの熱膨張係数(1/K)は、6.5〜7.3×10−6(100℃〜1200℃)である。CrとTaの熱膨張係数はほぼ同程度であるが、高温時にはCrとTaの界面に応力が生じる。Taの熱膨張率よりCrの熱膨張率の方が大きいので、Taに圧縮応力がかかるが、Taは圧縮応力には強いので、Taキャップ層は剥れない。Cr2Ta中間層は、CrとTaの中間の熱膨張率を有するので、TaとCrの熱膨張率の差や応力を緩和する効果がある。Cr2Ta中間層はCr本体とTaキャップ層の密着性を高める効果も有する。本実施例の中間層には、基本的に本体の材料とキャップ層の材料からなる合金を用いる。これらの保護層と中間層の効果により、光放射構造体の寿命が高められる。その結果、本実施例の光放射構造体をエミッタに適用することにより、安価で長寿命なTPV発電装置を提供できる。
[製造方法の説明]
第3の実施例の光放射構造体は、開口のパタ−ニングを三角格子周期で円形開口の設定に変更し、第2の実施例の光放射構造体と同様の製造方法で製造できる。中間層に用いたCr2TaはCrターゲットとTaターゲットの両方を用いて、スパッタリング時間や強度を変えて組成を制御しながら形成した。Ta表面にCr2O3保護膜を形成するには、反応性スパッタ装置において、流量50〜200sccm のO2を加え、Crと酸素プラズマにより、Ta表面にCr2O3層を成膜する。Cr2O3層のドライエッチングのエッチングガスとしては、CF4とO2との混合ガス(O2ガスの混合比10%〜40%)を用いることができる。エッチング条件は、例えばCF4:40sccm、O2:10sccm、圧力:400mTorr、高周波電力:300Wである。O2ガスの混合比20%で酸化クロムのエッチング速度は0.4μm/分である。
Cr2O3層中のCrは、フッ素と反応してフッ化物となり離脱し、Cr2O3層中の酸素は炭素と反応してCOやCO2となり効果的にエッチングされる。レジスト表面では炭素を主成分とする重合物の堆積反応がエッチングを抑制するためエッチング速度が低くなるので、酸化クロムのレジストに対する選択比が向上する。
[第4の実施例]
[構造の説明]
図23に本発明の第4の実施例の光放射構造体を示す。第4の実施例の光放射構造体は、酸化膜保護層と中間層を有する正方格子周期で円形開口の光放射構造体であり、第2の実施の例のTPV装置のエミッタに用いられる。第4の実施例の大きな特徴は、微細孔が正方格子周期であること、光放射構造体の本体にMoSi2なるシリコンと金属の化合物を用いていること、保護膜にSiO2を用いていることである。
第4の実施例の光放射構造体は、光放射構造体140、MoSi2本体141、TaMoSi2中間層142、Taキャップ層143、SiO2保護層144、円形微細孔145、正方格子周期Λ146からなる。TaMoSi2中間層142は50nm厚、Taキャップ層143は0.6μm厚、SiO2保護層144は50nm厚で、微細孔の正方格子周期は1.2μmである。微細孔145の開口形状は円形で、円の直径Dは0.9μm、微細孔の深さtは2.7μmである。Λ/D比(=1.2/0.9)は1.33、t/D比(=2.7/0.9)は3.0である。t_cap/t比(=0.6/2.7)は0.22である。Taキャップ層にSiを5w%入れることで、Si:Taキャップ層表面にSiO2の熱酸化膜を形成する方法もある。WSi2(融点:2130℃、CTE:7.9×10-6)を固溶させる、あるいはBを添加することで、MoSi2の融点や機械的強度を上げることができる。SiO2の融点は1700℃、熱膨張率(CTE)は0.55×10-6(1/K)である。MoSi2は高温での耐酸化性が高く、炉のヒ−タ材などに使用される材料である。MoSi2の融点は2290℃である。MoSi2はそれよりSi濃度が増えると融点が1400℃に低下するので、Mo濃度をやや高く設定する。本体に融点が2020℃と高いMo3Siを用いてもよい。
第4の実施例では、光放射構造体の本体にMoSi2を用いたが、光放射構造体の本体として、WSi2、TaSi、MoSi2、NbSi2、HfSi2、CrSi2、ZrSi2、VSi2、TiSi2なる金属シリコン化合物を用いることができる。あるいは、TaB2、W2B5、MoB2、NbB2、HfB2、CrB2、ZrB2、VB2、TiB2なる金属ホウ化物、あるいはTaC、WC、MoC、NbC、CrC、ZrC、VC、TiCなる炭化物、あるいはTaN、WN、MoN、NbN、CrN、ZrN、VN、TiNなる金属窒化物を用いることができる。TiN平板は波長1.6μmでW平板と同等の放射率0.2を有するので、本実施例の光放射構造体の本体に用いることができる。高融点なTiB2、ZrB2、HfB2などのホウ化物材料は導電性が高く、赤外の放射率が高いため、本実施例の光放射構造体の本体に用いることができる。
光放射構造体の本体に実施例1〜3のような金属あるいは本実施例4のような金属のシリコン化合物、ホウ化物、炭化物、窒化物あるいは酸化物を用い、それらにAl2O3、SiO2、Cr2O3などの熱酸化物の保護膜を形成することで、本体の微細孔の酸化耐性を向上させるkことができる。
[効果の説明]
MoO3の融点は795℃であり、蒸気圧が高い。そのため大気中でMoSi2を1000℃〜1200℃に加熱すると、MoO3の形でMoが離脱し、MoSi2の表面に緻密なSiO2被膜が形成される。室温に戻すとSiO2膜には圧縮応力がかかるが、SiO2膜は圧縮応力に耐える。MoSi2の電気伝導度は4.6×106(1/Ωm)であり、Crの電気伝導度6.5×106(1/Ωm)と同程度である。電気伝導に寄与する自由電子は光を反射、吸収する働きをする。このためMoSi2は高融点かつCrと同様の高い放射率を有するので、本実施例の光放射構造体の本体に適用できる。MoSi2の融点は2030℃で、熱膨張係数は8.2×10-6(1/K)である。これはTaの熱膨張係数よりやや大きいのでTaに圧縮応力がかかる。Mo5Si3の融点は2150℃で、熱膨張係数は6.7×10-6(1/K)であり、Taの熱膨張率とほぼ等しい。
TaMoSi2中間層はMoSi2本体とTaキャップ層との熱膨張差に起因する応力を緩和するために、Taキャップ層の剥れを抑制する。微細孔の深さtと、Taキャップ層の厚さが大きいので、仮にTaキャップ層の酸化が徐々に進行しても、Ta層がなくなりにくいので、寿命が大きくなる。
[製造方法の説明]
MoSi2は高融点材料であるため、一般的溶融法でバルク材を製造することは難しい。MoSi2はアーク溶解法、反応焼結法、真空プラズマスプレー法、拡散反応法、ホットプレス、HIP等を用いて製造される。製造過程は無酸素状態で行う。酸素の混入があるとSiO2ガラス相が粒界に偏析し、高温度域で軟化するためにクリープ特性が劣化する。入手したMoSi2板を鏡面研磨し、硫酸系エッチャントとHF系エッチャントで表面の酸化膜を除去した。背圧1×10-6Torrのマグネトロンスパッタ装置に入れ、基板温度300℃で、MoSi2板にスパッタリングでTa薄膜を0.65μm厚蒸着した。さらにプラズマCVD装置でSiO2層を50nm厚形成し、拡散炉を用い、窒素中1200℃で1時間、加熱してTaを拡散させ、50nm厚のTaMoSi2中間層を形成した。
そのあとCrマスクを用い、正方格子周期で直径0.9μmの円形開口のパタ−ニングを行い、ドライエッチングでSiO2層/Ta層/MoSi2板に深さ2.7μmの微細孔を形成した。ドライエッチングのエッチングガスとしては、CF4とO2との混合ガス(O2ガスの混合比10%〜40%)を用いた。エッチング条件は、CF4:40sccm、O2:10sccm、圧力:400mTorr、高周波電力:300Wである。O2ガスの混合比20%でSiO2層のエッチング速度は0.3μm/分である。
SiO2層のSiは、フッ素と反応してフッ化物となり離脱し、SiO2層中の酸素は炭素と反応してCOやCO2となりエッチングされる。MoSi2中のMoはMoFとなり離脱し、酸素はCOやCO2となりエッチングされる。
[第5の実施例]
[構造の説明]
第5の実施例の光放射構造体は、Al2O3 (サファイア)基材とCr/Tiコ−ト層とTaキャップ層とAl2O3保護層を有する正方格子周期で円形開口の光放射構造体であり、第2の実施例のTPV装置のエミッタに用いられる。第5の実施例の大きな特徴は、金属ではない基材と金属コ−ト層を組み合わせて用いていることである。図24に本発明の第5の実施例の光放射構造体を示す。
第5の実施例の光放射構造体は、光放射構造体150、Al2O3基材151、Cr/Tiコ−ト層152、Taキャップ層153、Al2O3保護層154、円形微細孔155、正方格子周期Λ156からなる。Cr/Tiコ−ト層152に関しては、基材に密着するTiの厚さは50nm、光放出層であるCrの厚さは1μmである。Taキャップ層153は0.5μm厚、Al2O3保護層154は0.1μm厚で、微細孔の正方格子周期は1.2μmである。微細孔155の開口形状は円形で、円の直径Dは0.9μm、微細孔の深さtは2.5μmである。Λ/D比(=1.2/0.9)は1.33、t/D比(=2.5/0.9)は2.78である。t_cap/t比(=0.5/2.5)は0.20である。Al2O3の融点は2070℃、熱膨張率(CTE)は7.1×10-6(1/K)であり、Taの熱膨張率6.5〜7.3×10-6(1/K)やCrの熱膨張率7.0〜12×10-6(1/K)に比較的近いため、構造が高温に耐える。Taキャップ層に5w%のAlを含ませることにより、Al2O3熱酸化膜をAl:Taキャップ層表面に形成することもできる。本実施例の基材としては、Al2O3に限らず、SiC、SiO2、CaO、MgO、BNなどのセラミックを用いることができる。
[効果の説明]
Al2O3基材を用いたため、耐酸化性の高いエミッタが得られる。透明なAl2O3基材を用いた場合、Cr/Tiコ−ト層を施すことで、Crから熱放射が放出される。Al2O3とCrとTaの熱膨張係数が近いので、金属層の剥れがなく長寿命である。スペクトル狭窄効果は、上記の実施例と同様に得られる。
[製造方法の説明]
図25に第5の実施例の光放射構造体の加工工程の説明図を示す。Al2O3基材151の表面にCr/Tiコ−ト層152とTaキャップ層153とAl2O3保護層154を反応性スパッタリング法で形成する。第1の実施例と同様の方法で、フォトレジストマスク157などを用いて、1.2μm正方格子周期の0.9μm直径の円形開口のパタ−ニングを行い、ドライエッチングで深さ2.5μm微小孔を形成した。Al2O3基材151への微小孔の形成に関しては、誘導結合型プラズマエッチング装置を用いた。反応室の下部電極の上にウエハを載置し、反応室内の空気を排出して、反応室内の圧力を2×10-3Paとした。
その後、反応室にCl2ガス、CH2Cl2ガス及びArガスをそれぞれ50sccm、5sccm及び20sccmの流量で供給し、反応室内のガス圧力を0.6Paとした。CH2Cl2ガスの代わりにBCl3ガスを用いてもよい。励起コイルに200Wの高周波電力を供給し、下部電極に電力面密度が1.0W/cm2の高周波電力を供給することにより、反応ガスのプラズマを生成させた。
このプラズマによりエッチングを行った結果、Al2O3基材については20nm/分のエッチング速度が得られた。2μmの深さまでエッチングするのに100分を要した。さらにTi/Crを、反応性スパッタリング法を用いて供給し、微小孔の底部と側壁部にCr/Ti層158を形成する。次にフォトレジスト154とその上のCr/Tiリフトオフ層159を有機洗浄で除去した。この工程によって、第5の実施例の光放射構造体が得られた。
[第6の実施例]
[構造の説明]
第6の実施例の光放射構造体は、黒色アルミナとTi中間層とTaキャップ層とAl2O3保護層を有する正方格子周期で円形開口の光放射構造体であり、第2の実施例のTPV装置のエミッタに用いられる。第6の実施例の特徴は、光放射構造体の本体に赤外波長の放射率がある黒色アルミナを用いていることである。
図26に本発明の第6の実施例の光放射構造体を示す。第6の実施例の光放射構造体は、光放射構造体160、黒色アルミナ本体161、Ti中間層162、Taキャップ層163、Al2O3保護層164、円形微細孔165、正方格子周期Λ166からなる。Ti中間層162は50nm厚、Taキャップ層163は0.5μm厚、Al2O3保護層164は50nm厚で、微細孔の正方格子周期は1.2μmである。微細孔165の開口形状は円形で、円の直径Dは0.9μm、微細孔の深さtは1.5μmである。Λ/D比(=1.2/0.9)は1.33、t/D比(=2.0./0.9)は2.22である。t_cap/t比(=0.5/2.0)は0.25である。
アルミナはICチップ等を搭載し保護するための容器に用いられており、黒色アルミナは金属配線が見やすい利点がある。本実施例の黒色アルミナは90%程度のアルミナにCo、Cr、Fe、Mn、Ni、iなどの金属不純物を含んだものである。具体的には、その黒色アルミナはCo-Cr-Fe系やCo-Mn-Fe系などのスピネル系の固溶体である黒色セラミック顔料を含んでいる。
本実施例の黒色アルミナとしては、炭素を含ませたアルミナ(C:A1203)も適用できる。黒色アルミナ(C:A1203)は炭素含有耐火物として用いられている。高温ではアルミナと炭素は反応し、固体のAl4C3と気体のCOを生成する。通常の加熱時には、0.1MPa程度のCO分圧があり、2000℃までアルミナと炭素は反応しないので、黒色アルミナをTPV発電装置のエミッタに適用できる。
アルミナの代わりに、ジルコン(ZrSiO4)など、Al、Ga、Si、Zr、V、Ge、Ca、Mgなどを含む酸化物材料に黒色顔料を添加した酸化物を用いてもよい。
[効果の説明]
本実施例の黒色アルミナにはCo-Cr-Fe系やCo-Mn-Fe系などのスピネル系の固溶体である黒色セラミック顔料が含まれているために、赤外波長域に放射率0.3〜0.4を有する。Taキャップ層があるので、これまでの実施例のものと同様の波長狭窄効果が得られる。
本実施例の黒色アルミナは高温での酸化耐性に強く、大気中で1400℃まで加熱して使用することができる。黒色アルミナの熱膨張係数は6.8×10-6(1/K)であり、Taキャップ層の熱膨張係数とほぼ等しい。そのため1300℃の高温までエミッタを加熱できるので、出力が向上でき、エミッタの寿命が高まる。
[製造方法の説明]
本実施例の製造方法は前記の実施例と同様に、黒色アルミナ板状にTi中間層、Taキャップ層、アルミナ保護膜を反応性スパッタリング装置で形成し、パタ−ニング後、誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて、金属層とアルミナに微細孔を形成する。
[第7の実施例]
[構造の説明]
第7の実施例の光放射構造体は、Er3Al5O12本体とTi中間層とTaキャップ層とAl2O3保護層を有する正方格子周期で円形開口の光放射構造体であり、第2の実施例のTPV装置のエミッタに用いられる。第7の実施例の特徴は、光放射構造体の本体に希土類Erを含むスピネル酸化物Er3Al5O12を用いていることである。
図27に本発明の第7の実施例の光放射構造体を示す。第7の実施例の光放射構造体は、光放射構造体170、Er3Al5O12本体171、Ti中間層172、Taキャップ層173、Al2O3保護層174、円形微細孔175、正方格子周期Λ176からなる。Ti中間層172は50nm厚、Taキャップ層173は0.5μm厚、Al2O3保護層174は50nm厚で、微細孔の正方格子周期は1.2μmである。微細孔175の開口形状は円形で、円の直径Dは0.9μm、微細孔の深さtは1.5μmである。Λ/D比(=1.2/0.9)は1.33、t/D比(=2.0./0.9)は2.22である。t_cap/t比(=0.5/2.0)は0.25である。
本実施例では希土類Erを含むスピネル酸化物としてEr3Al5O12を用いたが、Er3Ga5O12やEr3(AlGa)5O12を用いてもよい。TPV装置の放電変換素子に変換波長が1μmのSi製PVセルを用いた場合には、波長1μm帯に放射帯域を有する希土類としてYbを用いることができる。Ybを含む酸化物としては、Yb3Al5O12、Yb3Ga5O12やYb3(AlGa)5O12などがある。光放射構造体の開口部の直径を0.65μm、微細孔の深さを1.3μm程度に変更すれば、波長1μm帯の熱放射が得られ、1.1μm以上の熱放射が抑制される。
酸化物はYb、Erなどの希土類を含む、Al、Ga、Si、Ge、Ca、Mgなどを含む酸化物材料が適用できる。ErやYbからの発光は酸化物の構造に依らないので、酸化物はスピネルに限らない。
[効果の説明]
Er3Al5O12板を加熱すると、Er2+イオンのf軌道の電子遷移による1.5〜1.6μm帯の狭幅の熱放射が得られる。
しかしながら、Er3Al5O12板には1.6μmより長波長側で放射スペクトルに裾がある。これはEr3Al5O12に含まれる金属不純物やSiO2やMgOやY2O3などの焼結補助剤などによると考えられる。本実施例では、Er3Al5O12板にTaキャップ層を形成して光放射構造体を形成するので、1.6μmより長波長側の波長の熱放射を抑制できる。光放射構造体の開口を0.9μmとすることで、Er3Al5O12板からのErからの波長1.5〜1.6μm帯の熱放射を可能にする。その結果、これまでの実施例と同様にエミッタの熱放射スペクトルの狭窄効果が得られる。
本実施例に用いたEr3Al5O12は2100℃の融点を有し、高温での酸化耐性に強く、大気中で1400℃まで加熱して使用することができる。黒色アルミナの熱膨張係数は7.4×10-6(1/K)であり、Taキャップ層の熱膨張係数に近い。そのため1300℃の高温までエミッタを加熱できるので、出力が向上でき、寿命が長くなる。
[製造方法の説明]
スピネル酸化物Er3Al5O12板は、Er2O3とAl2O3の紛体を数μm粒径に粉砕し混ぜ合わせた後に加圧成型して、大気中、温度1600℃で3時間、加熱炉で焼結することで得られる。必要に応じて少量の焼結補助剤を用いる。
本実施例の製造方法は前記の実施例と同様に、表面を研磨したスピネル酸化物Er3Al5O12板上にTi中間層、Taキャップ層、アルミナ保護膜を反応性スパッタリング装置で形成する。パタ−ニング後、誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて、金属層とアルミナに微小孔を形成して製造する。
[第8の実施例]
[構造の説明]
第8の実施例の光放射構造体は、波長2μm〜10μmの中赤外波長帯域の光放射構造体であり、中赤外に吸収波長を有するガスを検出するガス検出装置の光源に用いられる。図28に本発明の第8の実施例の光放射構造体を示す。
本実施例の光放射構造体は、光放射構造体180、Cr本体181、CrNb中間層182、Si:Nbキャップ層183、SiO2保護層184、円形微細孔185、正方格子周期Λ186からなる。CrNb中間層182は50nm厚、Si:Nb キャップ層183は0.7μm厚、SiO2保護層184は20nm厚で、微細孔の正方格子周期は2.8μmである。微細孔185の開口形状は円形で、円の直径Dは2.6μm、微細孔の深さtは3.0μmである。Λ/D比(=2.8/2.6)は1.08、t/D比(=3.0/2.6)は1.15である。t_cap/t比(=0.7/3.0)は0.23である。Nbキャップ層にSiを5w%入れることで、Si:Taキャップ層表面にSiO2の緻密な熱酸化膜を形成した。Nbの融点は2469℃、Crの融点は1860℃である。CrNb中間層162の融点は1650℃〜1770℃とやや低いが、本実施例の光放射構造体は300℃〜700℃程度の比較的低い温度で使用するため、CrNb中間層が使える。より高温で使用する場合の中間層にはNbWなどが適している。
図29に第8の実施例の赤外線ガス検出器の断面図を示す。本実施例の赤外線ガス検出器は赤外線光源部190、回転チョッパ−198、測定セル部196、検出器部197を備えている。
赤外線光源部190はヒ−タ部192とこれに電力を供給する電線191、ヒータ部上に設けた光放射構造体193、光放射構造体193を挟んで回転チョッパ−198と反対側に設けたミラ−194及び光放射構造体193と測定セル部196の間に設けた波長選択フィルタ195を備える。回転チョッパ−198は赤外線光源部190と測定セル部196の間に位置し、同期モータ199で回転させる。測定セル部196は検出ガス導入部203、光路205及び検出ガス排出部204を備える。また検出器部197は前室200、後室201を有し、熱流量センサ202を持つ。
赤外線光源部190内部を減圧にすると、波長選択フィルタ195の寿命が高まる。検出ガスは、測定セル部196の検出ガス導入部203から導入され、検出ガス排出部204から排出される。本検出器は、赤外線光源部190を加熱して、波長選択フィルタ195で所望の波長の赤外光を発生させ、測定セル部196の測定ガスで吸収されて減衰した赤外光の強度を熱流量センサ202の抵抗変化から求めて、測定ガス濃度を算出する装置である。本実施例の装置の測定原理は非分散形赤外線吸収法(NDIR)であり、プロセス用のガス濃度分析計として用いられている。
以下に装置の動作原理を具体的に説明する。ヒ−タ部192で電気加熱された光放射構造体193から放出される赤外光は、波長選択フィルタ195で検出波長光が選択され、回転チョッパ−198によって、一定周期で断続される。その後、測定セル部196中の光路205を通過し、測定セル内に流す被測定ガスによりその一部を吸収され、検出器部197に到達する。検出器197は、前室200および後室201からなり、測定成分ガスと同じガスが封入されている。両室は、細い通路で結ばれ、その中間に熱流量センサ202が設置されている。検出器に到達した赤外線は、最初に前室でその一部を吸収された後、後室で残りを吸収される。前室・後室の封入ガスは、吸収量に比例して体積が膨張するので、両室で圧力上昇が生じる。その圧力差により両室を結ぶ通路に生じる微小なガスの流れを熱流量センサ202の抵抗変化で検出し、光の減衰量から媒質の吸光係数が分かるランベルト・ベーアの式により測定ガス濃度を算出する。
[効果の説明]
図30に本発明の第8の実施例の光放射構造体の熱放射スペクトル(600K)を示す。黒体放射は600Kでの計算値である。光放射構造体の放射強度はSiCの放射率で補正した。Nbキャップ層がないCrだけの同直径開口の光放射構造体の熱放射スペクトルはピーク波長が5μmでスペクトル幅が広い。本実施例の熱放射スペクトルは波長4.3μm付近に強いピークを有する半値幅4μmのスペクトルであった。
異種原子からなる分子は赤外線領域(2〜15μm波長帯)で、固有の波長の赤外線を吸収する性質を持っている。一酸化炭素(CO)は、4.7μm付近で、二酸化炭素(CO2)は、4.3μm付近に最も吸収の強い波長がある。本装置は波長選択フィルタを用い、4μm帯のガスの吸収波長の選択ができる。
本実施例の波長狭窄効果により、検出に有効な波長光を効率よく発生し、本実施例の赤外線ガス検出器でCO2やCOガスの数ppmの濃度を高感度で検出できる効果がある。本実施例により、中赤外の高価なレ−ザ素子を使わずに、安価な中赤外光源を提供できる。本実施例の熱放射構造体は、融雪効果の高い3〜4μm帯の光を放出するので、融雪装置の光源としても使える。キャップ層のNbは高融点金属の中では産出量が多い金属であり、量産により低コストにできる利点がある。
波長3μm〜10μmの中赤外領域は、指紋波長領域と呼ばれ、官能基の吸収によりガスや分子を同定できる波長領域である。しかし中赤外領域には安価な光源がない。実際、半導体レ-ザ、LED発光素子の発光波長の多くは2.5μm以下であり、Er-YAG固体レ−ザの発光波長は2.9μm、炭酸ガスレ−ザの波長は10.6μmである。
量子カスケ−ドレ−ザ素子は中赤外領域に発振波長を有するが、高価な光源である。またスペクトル幅が非常に狭いため、発振波長をガス分子の吸収波長に合わせるのが難しい。結晶の非線形光学効果を用いた場合には、装置が大型化し、効率が著しく低下する問題がある。またタングステン回折格子エミッタは波長3μm以上の放射スペクトルが小さいため、中赤外光源として使えない。他の金属をエミッタとして用いた場合でも、ガス検知や分子同定のために中赤外領域だけを効率的に発光させることができないという問題があった。しかし本実施例によれば中赤外領域の光源を安価に提供することができる。
[製造方法の説明]
第8の実施例の光放射構造体は、第3の実施例の光放射構造体と同様の方法で製造できる。
[第9の実施例]
[構造の説明]
第9の実施例の光放射構造体は、波長0.4μm〜0.7μmの可視光波長帯域の光放射構造体であり、照明用のフィラメントに用いられる。図31に本発明の第9の実施例の光放射構造体を示す。第9の実施例の光放射構造体は、光放射構造体210、W結晶本体211、AgWキャップ層212、円形微細孔213、正方格子周期Λ214からなる。AgWキャップ層212のAgは20原子%〜30原子%濃度、層厚は0.2μmである。円形微細213の周期Λは0.36μm、開口形状は円形で、円の直径Dは0.24μm、微細孔の深さtは0.6μmである。Λ/D比(=0.36/0.24)は1.5、t/D比(=0.6/0.24)は2.5である。t_cap/t比(=0.2/0.6)は0.33である。キャップ層212の材料にはAgW代わりに、近赤外での放射率がより小さいAgTaを用いることもできる。
図32に第9の実施例の白熱電球の断面図を示す。第9の実施例の白熱電球は、中心電極220、外部導入線221、口金222、マウント223、バルブ224、内部導入線225、光放射構造体フィラメント226、不活性ガス227、絶縁材228から成る。
光放射構造体フィラメント226のサイズは長さ10mm、幅4mm、奥行き幅1.5mmである。光放射構造体フィラメント226の表面には、第9の実施例の光放射構造体210が形成されている。バルブ224内部にArやKrやXeなどの不活性ガス227が封入されているために、通電によりフィラメントを2500℃程度に加熱した際にも、光放射構造体は酸化されない。なおバルブ224内に不活性ガスを封入せず真空にしてもよい。
[効果の説明]
波長0.7μmでの放射率はW板で0.5、AgW板で0.2、AgTa板で0.1以下である。AgWやAgTaをキャップ層に用いることで、波長0.7μm以上の赤外光の放射率を0.3以下に抑制できる。Wは可視域で0.5以上の高い放射率があるので、加熱時に光放射構造体フィラメントに形成された微小開口から強い可視光放射が得られる。Agを添加することで可視域での反射率を更に上げることができ、白色電球のフィラメントが得られる。
図33に第9の実施例の光放射構造体の熱放射スペクトル(2500℃)を示す。ピーク波長は0.6μmで、その波長での放射率は0.95であった。本実施例の電球の波長0.4〜0.75μmの可視光の放射エネルギーは、全体の72%であった。これまで難しかった1μm以上の波長光の放射を効果的に抑制できた。本実施例の白熱電球では105ルーメン/Wのランプ効率が得られた。この効率は、白熱電球の15ルーメン/Wの7倍、蛍光灯やLED電球と同程度の値に相当する。本実施例の白熱電球は、蛍光灯やLED電球とは異なり、波長成分が連続的であるため、照明に適した自然な光である。赤成分が強いのでオフィス用よりは家庭用や飲食業務用の照明に適している。
特許文献4「白熱電球およびフィラメント」には、表面に多数の微細孔を形成したタングステンをフィラメントに用いた白熱電球が記載されている。このフィラメントは通電時の電気抵抗により加熱される。真空封止されているために、フィラメントの酸化は防止できる。これにより波長1.4μm以上の赤外光の放射を抑制できるので、白熱電球の効率が向上するという。さらなる照明の効率向上のためには、波長0.7μm以上の赤外光の放射を抑制できることが望ましい。しかし図39から分かるようにタングステン単体では波長0.7〜1.4μmの赤外光の放射を抑制することはできないという問題があった。本実施例では前述のように波長0.7μm以上の赤外光の放射率を抑制できる。
[製造方法の説明]
AgWはW結晶基板の両面にスパッタリングで形成する。これまでと同様の方法で、開口直径0.24μmのパタ-ニングを行い、ドライエッチングで光放射構造体を表面に形成する。裏面にも同様のプロセスで光放射構造体を表面に形成する。光放射構造体ウエハをフィラメントに用いる上記のサイズに切断してカットして内部に接続用の孔を開け、内部導入端子に接続してフィラメントを形成する。得られたフィラメントを白熱電球の中に設置し、不活性ガスで封止して本実施例の白熱電球を製造する。
以上の実施例の基本構造と材料について整理した。図34に非特許文献5と本発明の光放射構造体の9種類の実施例の材料と構造と用途を示す。材料に関しては、光放射構造体の本体、中間層、キャップ層、保護膜の材料について記載した。構造に関しては、光放射構造体の周期構造と周期について記載した。スペクトルは光放射構造体を1100℃の温度に加熱した時の放射スペクトルのピ−ク波長を記載した。主な用途としてはTPV装置とガス検知器と白熱電球を記載した。
[その他の実施例]
図35に本発明の光放射構造体のその他の実施例の材料と構造を示す。これらの光放射構造体はTPV装置用途で1.6μm帯の放射スペクトルを有する、光放射構造体の本体、中間層、キャップ層、保護膜の材料の組み合わせの例である。熱膨張係数の調整によるキャップ層の剥れ防止のために、中間層は本体とキャップ層の材料から成ることが多い。実施例においては、中間層の融点が本体より低下しないように、本体とキャップ層の組み合わせを選択した。本実施例の光放射構造体は安定な酸化膜に覆われているので、多くは大気中で1100℃以上の高温に耐える。酸化膜は赤外で透明なため本実施例の放射スペクトルの狭窄効果を妨げない。あるいは本体が高融点金属である場合、その高融点金属にRe、Os、Ir、Pt、Auなどを微小量添加することで、延性や強度を上げてもよい。これらの実施例の光放射構造体は、安価な材料で長寿命なTPV発電用のエミッタを提供できる。また同じ材料でも構造を変えることで、他の波長帯の放射が得られる。以下にその他の実施例について述べる。
実施例10は、Ni:Cr本体、Cr2Ta中間層、Si:Taキャップ層、SiO2保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Ni:Cr本体はCrに5(原子%)のNi(ニッケル)を加えたものであり、本体の粘り強さを高める。Ni以外にFe、Co、Cuなどの元素を加えてもよい。Cr2Ta中間層は本体とキャップ層の剥れを抑制する機能がある。Si:Taキャップ層はTaに6(原子%)のSiを含ませることで、SiO2の熱酸化膜が形成される。Ni:Cr本体にはCr2O3の熱酸化膜が形成される。
実施例11は、Ni:Cr本体、CrW中間層、Al:Wキャップ層、Al2O3保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。中間層の材料であるCrWの融点はCrの融点1860℃とWの融点3420℃の中間の2640℃になる。CrWの融点はCr組成の上昇とともにほぼ線形に増大するため、使い易い中間層である。
Al:Wキャップ層はWに5%のAlを含む。12%以上のAlを含むとAlWの融点は1650℃に急激に低下するので、Al濃度は10%以内に制御する。
実施例12は、Cr本体、CrMo中間層、Si:Moキャップ層、SiO2保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。高融点金属であるMo(融点1623℃)は波長1.6μm以上で放射率が0.1より小さくなるので、本実施例の光放射構造体のキャップ層にMoを用いることで、放射スペクトルの狭窄効果が得られる。中間層に用いられるCrMoの融点は2000℃であり、Crの融点1863℃より高い。CrMo中間層は高温時のCrとMoの相互拡散を抑制する効果がある。中間層の材料であるCrMoはCr濃度10(原子%)で融点が40℃ほど低下するが、Cr濃度がそれ以上に増えるにつれて、CrMoの融点は増大する。Moの熱膨張係数は、5.2〜6.0×10−6(1/K)(100℃〜1200℃)であり、Crの熱膨張係数の半分程度である。高温時にはCrとMoの界面に応力が生じるが、CrMo中間層はCrとMoの応力を緩和して、Si:Moキャップ層の剥れを防止する効果がある。
実施例13は、Cr本体、CrNb中間層、Cr:Nbキャップ層、Cr2O3保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Nbの平板の放射率スペクトルはTaについで小さい。高融点金属であるNbは波長1.3μm以上で放射率が0.1以下になるので、本実施例の光放射構造体のキャップ層にNbを用いることで、放射スペクトルの狭窄効果が得られる。Nbの熱膨張係数は、7.0〜9.2×10−6(1/K)(100℃〜1200℃)であり、Crの熱膨張率7.0〜12×10−6(1/K)(100℃〜1200℃)に近い。従って高温時のNbキャップ層とCr本体と間にかかる応力が比較的小さいため、Nbキャップ層が剥れにくい。Nbは他の高融点金属より地中存在比が1桁高いため、量産によるコスト低減が可能な高融点金属である。CrNbの融点は1620℃であり、Cr(1863℃)より融点が低いため、使用温度が1500℃以下に制限される。中間層にWを用いると、WとNb、あるいはWとCrは相互拡散による融点降下が生じない。
実施例14は、Cr:V本体、TaV中間層、V:Taキャップ層、V2O3保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Cr:V本体はV(バナジウム)に6w%のCrを加えたものである。Vの融点は1916℃と高い。Vは1.6μm〜1.7μmにおいてWと同等の放射率を有する。V本体とTaキャップ層により、放射スペクトルの狭窄効果が得られる。VはWより安価で加工しやすい。TaとVは相互拡散で融点降下を生じないので、TaV中間層は安定である。Taの熱膨張係数は、6.5〜7.3×10−6(1/K)(100℃〜1200℃)であり、Vの熱膨張係数8.4〜9.2×10−6(1/K)(100℃〜1200℃)よりやや小さい。高温でTaキャップ層に弱い引っ張り応力がかかる。TaV中間層は中間の熱膨張係数を有するので、応力を緩和し、Taの密着性を高める効果がある。V:Taキャップ層はTaに5%のVを加えたものであり、加熱時にV2O3層を形成する。V2O3保護層は安定で粘り強い酸化膜である特徴を有する。Vの放射率はCrに較べると小さいので、V本体に形成する微小孔の深さはCr本体の場合より大きくする。
実施例15は、V本体、VNb中間層、Cr:Nbキャップ層、Cr2O3保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Nbの熱膨張係数7.0〜9.2×10−6はVの熱膨張係数8.4〜9.2×10−6と同程度であるため、Cr:Nbキャップ層が剥れにくい利点がある。V濃度30w%のVNbの融点は1860℃であり、V(融点1910℃)より小さい。V濃度50w%以上のVNbの融点はVの融点より大きい。Cr:Nbキャップ層はNbに5w%のCrを加えたものである。加熱時にCr:Nbキャップ層の表面にCr2O3保護層が形成される。
実施例16は、V本体、VMo中間層、Moキャップ層、MgO保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。VMo中間層の融点は2100℃である。VMoの融点はMo濃度にほぼ比例して増大する。Moの熱膨張係数5.2〜6.0×10−6はVの熱膨張係数8.4〜9.2×10−6に較べて小さいので、VMo中間層をやや厚めに形成すると、Moキャップ層が剥れにくい。MgOは融点が2850℃と高く、緻密に形成できると酸化耐性が高い優れた保護膜となる。
実施例17は、Cr:Zr本体、TaZr中間層、Cr:Taキャップ層、Cr2O3保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。実施例17はZr本体とTaキャップ層を用い、Cr2O3で保護した構成である。Cr:Zr本体はZrにCrを4w%加えたものであり、加熱時にCr2O3熱酸化膜を形成する。Zrの熱膨張係数は5.7〜7×10−6であり、Ta の熱膨張係数6.5〜7.3×10−6とほぼ等しい。Zrの融点は1855℃、Taの融点は3020℃であるが、Zrが10%入るとTaZrの融点2000℃に低下する。10w%以上のZr濃度のTaZrの融点はZrの融点に等しくなる。高温で使う場合は、TaZr中間層のZr濃度を5w%程度にして密着性を保持する。Cr:Taキャップ層はCrを5w%含むTaである。
実施例18は、Zr本体、TaZr中間層、Zr:Taキャップ層、ZrO2保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。実施例18はZr本体とTaキャップ層を用い、緻密な膜質のZrO2で保護した構成である。ZrとTaだけで形成できる利点がある。
実施例19は、Zr本体、ZrNb中間層、Ca:Nbキャップ層、CaO保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。実施例18はZr本体とNbキャップ層を用い、CaO保護層を用いた。
Zrの熱膨張係数は5.7〜7×10−6であり、Nbの熱膨張係数7.0〜9.2×10−6より小さい。Nbキャップ層には圧縮歪がかかるため、ZrNb中間層を入れることで、高温でもキャップ層が剥れない。ZrNbはNb濃度が20w%で1740℃に低下するが、Nb濃度が50w%のZrNbはZr(1655℃)と同等の融点を持つので、相互拡散を抑制できる。CaOは融点が2570℃と高く、緻密に形成できると酸化耐性が高い優れた保護膜となる。
実施例20は、Hf本体、ZrHf中間層、Mg:Zrキャップ層、MgO保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Hfは比較的高価な金属であるが、融点が2230℃と高く、熱放射率が大きい特徴があるので、本実施例の光放射構造体の本体に用いることができる。ZrHfは、融点降下がなく、Zr濃度に対して線形に融点が上昇する。Mg:Zrキャップ層はMgを5%加えたZrであり、加熱時にMgO保護層を形成する。Hf本体は加熱時に耐食性のHf2O5酸化膜を形成する。キャップ層にはZrの他にTaやWが使え、TaHfやWHfの中間層に融点降下がない。
実施例21は、MoSi2本体、Mo3Si中間層、MoTaキャップ層、SiO2保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。MoSi2の電気伝導度は4.6×106(1/Ωm)であり、Vに近い。MoSi2は赤外波長での熱放射を有するために光放射構造体に用いることができる。MoSi2の融点は2293℃で、熱膨張係数は8.2×10-6である。MoTaの熱膨張係数は、6.0〜6.7×10−6(100℃〜1200℃)であり、MoSi2よりやや小さい。MoTaには引っ張り歪が生じる。Mo3Si中間層を挿入することにより、応力を緩和できる。Moの剥れを防ぐために、1200℃以下で使う。Mo3Si中間層の融点は2020℃と高いため、MoTaキャップ層へのSiの拡散を抑制する。
実施例22は、ZrSi2本体、MoZrSi2中間層、Si:Moキャップ層、SiO2保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。ZrSi2の電気伝導度は1.3×106(1/Ωm)である。ZrSi2も赤外波長での熱放射を有するために光放射構造体に用いることができる。ZrSi2の融点は1793℃である。ZrSi2は高温で表面にSiO2熱酸化膜を形成するので酸化耐性が高い。Si:Moキャップ層はMoに5w%のSiを加えたものであり、高温で表面にSiO2熱酸化膜を形成する。
実施例23は、本体WSi2体、MoWSi2中間層、Si:Moキャップ層、SiO2保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。WSi2の融点は2430℃である。WSi2の電気伝導度は80×106(1/Ωm)と高く、赤外波長での熱放射率が高いため、光放射構造体の本体に適した材料である。WSi2の硬度はWCの1/3程度なので加工しやすい。WSi2も高温で表面にSiO2熱酸化膜を形成するので酸化耐性が高い。
実施例24は、TiB2本体、Cr2Ta中間層、Taキャップ層、SiO2保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。TiB2の電気伝導度は11.1×106(1/Ωm)と高く、赤外波長での熱放射率が高いため、光放射構造体の本体に適した材料である。TiB2(二ホウ化チタン)はTiCと同程度に硬く、軽い特徴がある。TiB2の融点は3060℃であり、Ta(融点3020℃)と同程度の融点である。TiB2は加熱時に表面にTiO2の緻密な熱酸化膜が形成されるために、耐酸化性が高い。TiB2はTiCより硬い材料であるためTaとの密着性は高い。TiB2の成膜は、TiB2のターゲットを用いてマグネトロン・スパッタリング法で行うことができる。TiB2のターゲットは、焼結したTiB2をモリブデンや銅のバックプレートにインジウムでボンディングして製造される。これによってTiB2が破損しにくくなる。
実施例25は、CrB2本体、Cr2Ta中間層、Cr:Taキャップ層、Cr2O3保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Cr2O3の融点は2435℃である。CrB2の融点は2470℃であり、Crの融点1863℃より高い。CrB2の電気伝導度は3.3×106(1/Ωm)と高く、赤外波長での熱放射率が高いため、光放射構造体の本体に適した材料である。但しCrB2はTaCより硬いので、切断の加工費がかかる。
実施例26は、ZrB2本体、Cr2Ta中間層、Cr:Taキャップ層、Cr2O3保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。ZrB2の電気伝導度は10.3×106(1/Ωm)と高く、赤外波長での熱放射率が高いため、光放射構造体の本体に適した材料である。ZrB2の融点は3470℃であり、Wと同程度の融点を有する。Cr:Taキャップ層は5w%のCrを含み、加熱時にCr2O3保護層が形成される。ZrB2本体は加熱時にZrO2熱酸化膜が形成される。高融点かつ高い酸化耐性を有する光放射構造体なので、高出力なエミッタが得られる。光放射構造体用のホウ化物としては、TaB2、VB2などが利用可能である。
実施例27は、CrN/Cr本体、Cr2Ta中間層、Si:Taキャップ層、SiO2保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。CrNはCrの表面を比較的厚く窒化することで得られる。CrNはCrAlNと同様に1100℃まで酸化しない。それ以上の温度では、表面にCr2O3熱酸化膜を形成する。
実施例28は、Al:TiN本体、TiNb中間層、Nbキャップ層、Nb2O5保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。Tiの融点は1670℃であるのに対し、TiNの融点は3223℃と高い。TiNは、SiCやSi3N4等と同じく共有結合性物質であり、一般に焼結が難しい。TiNの緻密な焼結体は、金属粉末、あるいはTiO2、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、WO3などの金属酸化物などの焼結助剤を用いる。本実施例のAl:TiN本体は5w%のAlを添加したTiNである。焼結法は、例えば、窒素圧力50MPaにおいて、100℃/分の速さで1700℃まで通電昇温し、30分間保持した後、100℃/分の速さで降温して加圧焼結する。Al:TiNは表面にAl2O3熱酸化膜が形成され、1100℃の温度耐える。Al:TiNは軽量かつ美しい金属光沢を示す。保護層であるNb2O3の融点は1520℃で安定な酸化物であり、熱酸化でも容易に形成できる。Nb2O3の代わりにAl2O3やCr2O3を保護層に用いることもできる。光放射構造体用の窒化化物としては、ZrN、TaN、VN、NbNなどが利用可能である。
実施例29は、W/SiC本体、TaW中間層、Taキャップ層、Al2O3保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。SiCは耐火物や発熱体として利用されており、Wより安価な材料である。パワ−デバイス用基板としてSiC単結晶も入手できる。SiCの融点は2730℃で、SiCの室温の熱膨張係数は4.4×10-6でり、Wの熱膨張係数と等しい。SiCは放射率が高く、疑似黒体として用いられるので、光放射構造体の本体に適した材料である。TaWは、融点降下がない材料であり、3200℃の融点を有する。Al2O3保護層はTaキャップ層を酸化から守る働きをする。
実施例30は、BlackAl2O3本体、Mo/Ti中間層、Si:Moキャップ層、SiO2保護層を有する三角格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。黒色Al2O3本体は第6の実施例で説明した黒色顔料入りのアルミナであり、赤外波長に放射率を有するため、光放射構造体の本体に適した材料である。Mo/Ti中間層は黒色Al2O3本体に薄膜Ti密着層とMo応力緩和層を順次積層して形成される。加熱時にMoTiは合金化される。Si:Moキャップ層は5w%のSiを含むMoからなる。加熱により表面にSiO2保護層が形成される。MoTiと黒色Al2O3の融点は2000℃である。本体が酸化物であるために、熱劣化がなく寿命のながいエミッタが得られる。
実施例31は、BlackMgO本体、Ta/Ti中間層、Taキャップ層、MgO保護層を有する正方格子状に配列した円形開口の微小孔を有する光放射構造体である。黒色MgO本体は第6の実施例で説明した黒色顔料入りのMgOであり、赤外波長に放射率を有するため、光放射構造体の本体に適した材料である。他にもCa2O3、BNなどのセラミックを用いることができる。Ta/Ti中間層は黒色MgO本体に薄膜Ti密着層とTa応力緩和層を順次積層して形成される。加熱時にTa/Tiは合金化される。MgOの融点は2850℃である。本体が酸化物であるために、熱劣化がなく、セラミックであるので低コストで長寿命のエミッタが得られる。なお本体として黒色MgO以外に黒色CaOを使うこともできる。
なお以上説明した実施例では、単体の中間層としてTiとWの例を示したが、他にMo、Nb、Hfでもよい。また微小孔の開口形状は円形及び正方形の例を示したが、正多角形でもかまわない。
上記の実施例の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の微細孔を持つ光放射構造体であって、前記微細孔が第1の金属元素を含む第1の材料を備え、前記微細孔以外の表面の少なくとも一部に前記第1の金属元素とは異なる第2の金属元素を含む第2の材料を備え、前記光放射構造体が発する熱放射スペクトルのピーク波長より大きい波長の光において前記第1の材料の放射率が前記第2の材料の放射率より大きいことを特徴とする光放射構造体。
(付記2)
前記複数の微細孔が周期的に配列し、前記微細孔の開口径Dに対して、前記微細孔の配列周期の大きさΛと前記微細孔の深さtが、1.08≦Λ/D≦2かつ1≦t/D≦20であり、前記微細孔の深さtに対して、前記第2の材料の厚さsが1/20≦s/t≦1/2である付記1に記載の光放射構造体。
(付記3)
前記微細孔が三角格子状あるいは正方格子状に周期的に配列し、前記微細孔の開口形状が円または正多角形である付記1または2に記載の光放射構造体。
(付記4)
前記第1の材料または前記第2の材料が1000℃以上の融点を有し、前記第1の材料が金属、合金、それらのシリコン化合物、ホウ化物、炭化物または窒化物であり、前記第2の材料が金属または合金である付記1から3のいずれか1項に記載の光放射構造体。
(付記5)
前記第1の材料の金属元素がCr、Zr、V、Ti、W、Mo、Nb、Hfのいずれか一つであり、前記第2の材料の金属元素が前記第1の材料の金属元素と異なる金属元素でありTa、W、Mo、Nb、Hfのいずれか一つを含む付記1から4のいずれか1項に記載の光放射構造体。
(付記6)
前記第1の材料の金属元素に加えてFe、Ni、Co、Cu、Al、Siの少なくとも一つの元素を含むか、または、Re、Os、Ir、Pt、Auの少なくとも一つの元素を含む付記5に記載の光放射構造体。
(付記7)
前記第1の材料がWSi2、TaSi、MoSi2、NbSi2、HfSi2、CrSi2、ZrSi2、VSi2、TiSi2なるシリコン化合物、TaB2、W2B5、MoB2、NbB2、HfB2、CrB2、ZrB2、VB2、TiB2なるホウ化物、TaC、WC、MoC、NbC、CrC、ZrC、VC、TiCなる炭化物、または、TaN、WN、MoN、NbN、CrN、ZrN、VN、TiNなる窒化物である付記4に記載の光放射構造体。
(付記8)
前記第2の材料にさらにCr、Si、Al、V、Zr、Ca、Mg、Agのうちの少なくとも一つの元素を1w%〜20w%の範囲の濃度で含む付記5から7のいずれか1項に記載の光放射構造体。
(付記9)
前記第2の材料にさらにホウ素を1w%〜5w%の範囲の濃度で含む付記5から8のいずれか1項に記載の光放射構造体。
(付記10)
前記第1の材料または第2の材料の表面が酸化物の保護層で覆われており、前記酸化物は前記第1の材料または第2の材料の熱酸化膜、または、前記第1の材料または第2の材料に加えられたCr、Si、Al、V、Zr、Ca、Mg、Agの少なくとも一つの元素を含む熱酸化膜である付記1から9のいずれか1項に記載の光放射構造体。
(付記11)
前記第1の材料と第2の材料の間に中間層を有し、前記中間層がW、Mo、Nb、Hfであるか、または、前記第1の材料と第2の材料に含まれる金属元素を含む合金である付記1から10のいずれか1項に記載の光放射構造体光放射構造体。
(付記12)
前記第1の材料がセラミック基材に接しているか、または、金属不純物もしくは炭素を含む酸化物材料である付記1から11のいずれか1項に記載の光放射構造体。
(付記13)
前記セラミック基材はSiC、Al2O3、SiO2、CaO、MgOまたはBNであり、前記金属不純物はCo、Cr、Fe、MnまたはNiであり、前記酸化物は希土類を含みAl、Ga、Si、Ge、Ca、Mg 、ZrまたはVを含む酸化物材料である付記12に記載の光放射構造体。
(付記14)
付記1から13のいずれか1項に記載の光放射構造体、前記光放射構造体を加熱する加熱装置及び前記光放射構造体からの光を光電変換する光電変換素子を備えた熱光起電力発電システムであって、光電変換素子の発電限界波長λ0に対して、微細孔の開口直径Dを略λ0/2に制御した熱光起電力発電システム。
(付記15)
前記光放射構造体は温度T(600℃≦T≦1700℃)になるように加熱される請求項14に記載の熱光起電力発電システム。
(付記16)
付記1から13のいずれか1項に記載の光放射構造体を真空または希ガス封止した透明封止体と、前記光放射構造体を通電加熱する通電加熱装置を備えた可視光照明装置。
(付記17)
付記1から13のいずれか1項に記載の光放射構造体を含む赤外線光源部、前記赤外線光源部からの赤外線を通過させ、検知対象のガスが導入される測定セル部、前記測定セル部を通過した赤外線を検出する検出器部を備えたガス検知装置。
(付記18)
前記光放射構造体から放射される赤外線のうち所望の波長を通過させる波長選択フィルタを備えた付記17に記載のガス検知装置。
本発明は光熱起電力発電方式を用いたTPV発電機といった用途に適用できる。またガス検知器、可視光照明である白熱電球といった用途にも適用可能である。
1 単結晶タングステン
2 矩形微細孔
11 光放射構造体
12 単結晶タングステンの光放射構造体
13 タンタルキャップ層
14 微細孔
15 微細孔の周期Λ
16 正方形の1辺の長さL
71 支持台
72 ガス導入管
73 ガスバーナ
74 火炎口
75 光放射構造体(右)
76 スペ−サ
77 光放射構造体(左)
78 断熱支持体
79 微小孔アレイ
80 支持板
81 PV素子
82 放熱板
83 支持板
84 PV素子
85 放熱板
91 タングステン単結晶基板
92 タンタル薄膜
93 フォトレジスト
94 アルミニウム薄膜
95 電子線露光用レジスト
96 電子線レジストマスク
97 アルミニウムマスク
98 フォトレジストマスク
99 タングステン光放射構造体
100 光放射構造体
101 単結晶Crの光放射構造体
102 Taキャップ層
103 微細孔
104 周期Λx
105 周期Λy
106 開口円の直径D
107 孔の深さt
108 Ta2O5酸化膜
109 Cr2O3酸化膜
110 支持台
111 メタン導入管
112 空気導入管
113 支持脚
114 混合気導入管
115 放熱フィン
116 PV素子
117 8角形エミッタ
118 バ−ナ−
119 火炎口
120 断熱板
121 通気口
122 はめ込み接合部
123 メスのクロム板
124 オスのクロム板
130 光放射構造体
131 Cr本体
132 Cr2Ta中間層
133 Taキャップ層
134 Cr2O3保護層
135 円形微細孔
136 三角格子周期Λ
140 光放射構造体
141 MoSi2本体
142 TaMoSi2中間層
143 Taキャップ層
144 SiO2保護層
145 円形微細孔
146 正方格子周期Λ
150 光放射構造体
151 Al2O3基材
152 Cr/Tiコ−ト層
153 Taキャップ層
154 Al2O3保護層
155 円形微細孔
156 正方格子周期Λ
157 フォトレジストマスク
158 Cr/Ti層
159 Cr/Tiリフトオフ層
160 光放射構造体
161 黒色アルミナ本体
162 Ti中間層
163 Taキャップ層
164 Al2O3保護層
165 円形微細孔
166 正方格子周期Λ
170 光放射構造体
171 Er3Al5O12本体
172 Ti中間層
173 Taキャップ層
174 Al2O3保護層
175 円形微細孔
176 正方格子周期Λ
180 光放射構造体
181 Cr本体
182 CrNb中間層
183 Si:Nbキャップ層
184 SiO2保護層
185 円形微細孔
186 正方格子周期Λ
190 赤外線光源部
191 電線
192 ヒ−タ部
193 光放射構造体
194 ミラ−
195 波長選択フィルタ
196 測定セル部
197 検出器部
198 回転チョッパ−
199 同期モータ
200 前室
201 後室
202 熱流量センサ
203 検出ガス導入部
204 検出ガス排出部
205 光路
210 光放射構造体
211 W結晶本体
212 AgWキャップ層
213 円形微細孔
214 正方格子周期Λ
220 中心電極
221 外部導入線
222 口金
223 マウント
224 バルブ
225 内部導入線
226 光放射構造体フィラメント
227 不活性ガス
228 絶縁材

Claims (10)

  1. 複数の微細孔を持つ光放射構造体であって、前記微細孔が第1の金属元素を含む第1の材料を備え、前記微細孔以外の表面の少なくとも一部に前記第1の金属元素とは異なる第2の金属元素を含む第2の材料を備え、前記光放射構造体が発する熱放射スペクトルのピーク波長より大きい波長の光において前記第1の材料の放射率が前記第2の材料の放射率より大きいことを特徴とする光放射構造体。
  2. 前記複数の微細孔が周期的に配列し、前記微細孔の開口径Dに対して、前記微細孔の配列周期の大きさΛと前記微細孔の深さtが、1.08≦Λ/D≦2かつ1≦t/D≦20であり、前記微細孔の深さtに対して、前記第2の材料の厚さsが1/20≦s/t≦1/2である請求項1に記載の光放射構造体。
  3. 前記第1の材料または前記第2の材料が1000℃以上の融点を有し、前記第1の材料が金属、合金、それらのシリコン化合物、ホウ化物、炭化物または窒化物であり、前記第2の材料が金属または合金である請求項1または2に記載の光放射構造体。
  4. 前記第1の材料の金属元素がCr、Zr、V、Ti、W、Mo、Nb、Hfのいずれか一つであり、前記第2の材料の金属元素が前記第1の材料の金属元素と異なる金属元素でありTa、W、Mo、Nb、Hfのいずれか一つを含む請求項1から3のいずれか1項に記載の光放射構造体。
  5. 前記第1の材料がWSi2、TaSi、MoSi2、NbSi2、HfSi2、CrSi2、ZrSi2、VSi2、TiSi2なるシリコン化合物、TaB2、W2B5、MoB2、NbB2、HfB2、CrB2、ZrB2、VB2、TiB2なるホウ化物、TaC、WC、MoC、NbC、CrC、ZrC、VC、TiCなる炭化物、または、TaN、WN、MoN、NbN、CrN、ZrN、VN、TiNなる窒化物である請求項3に記載の光放射構造体。
  6. 前記第1の材料または第2の材料の表面が酸化物の保護層で覆われており、前記酸化物は前記第1の材料または第2の材料の熱酸化膜、または、前記第1の材料または第2の材料に加えられたCr、Si、Al、V、Zr、Ca、Mg、Agの少なくとも一つの元素を含む熱酸化膜である請求項1から5のいずれか1項に記載の光放射構造体。
  7. 前記第1の材料と第2の材料の間に中間層を有し、前記中間層がW、Mo、Nb、Hfであるか、または、前記第1の材料と第2の材料に含まれる金属元素を含む合金である請求項1から6のいずれか1項に記載の光放射構造体光放射構造体。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の光放射構造体、前記光放射構造体を加熱する加熱装置及び前記光放射構造体からの光を光電変換する光電変換素子を備えた熱光起電力発電システムであって、光電変換素子の発電限界波長λ0に対して、微細孔の開口直径Dを略λ0/2に制御した熱光起電力発電システム。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の光放射構造体を真空または希ガス封止した透明封止体と、前記光放射構造体を通電加熱する通電加熱装置を備えた可視光照明装置。
  10. 請求項1から8のいずれか1項に記載の光放射構造体を含む赤外線光源部、前記赤外線光源部からの赤外線を通過させ、検知対象のガスが導入される測定セル部、前記測定セル部を通過した赤外線を検出する検出器部を備えたガス検知装置。
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