JP6302651B2 - 白熱電球およびフィラメント - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギー利用効率を改善した光源用フィラメントに関し、特に、フィラメ
ントを用いた白熱電球に関する。
タングステンフィラメント等に電流を流すことにより、フィラメントを加熱し、電球とする白熱電球が広く用いられている。白熱電球は、太陽光に近い演色性に優れた放射スペクトルが得られ、白熱電球の電力から光への変換効率は80%以上になるが、放射光の波長成分は赤外放射光成分が90%以上である(3000Kの場合)。このため、白熱電球の電力から可視光への変換効率は低く、白熱電球は、演色性に優れているが、環境負荷が大きいという問題がある。そして、フィラメントの基体としては、加工のし易く耐熱性の高いタングステンまたはタングステン合金を用いることが望まれているが、遠赤外領域における放射率は低いものの、近赤外領域における放射率は高い。
白熱電球を高効率化・高輝度化・長寿命化する試みとして、様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、フィラメントの基体上に可視光反射率を低下させる誘電体からなる膜を形成して光束効率を高める提案がされている。
国際公開第WO2013/081127号公報
特許文献1において、基体上に形成する誘電体膜は可視光領域の放射を強めるように膜厚が設定される。
しかし、誘電体膜により波長域0.8〜3μmの近赤外領域の放射を抑制することが困難であり、波長域0.8〜3μmの近赤外領域の放射を抑制することが課題となっている。
例えば、波長域0.8〜3μmの近赤外領域の放射照度を低くするように誘電体膜を設計した場合、少なくとも10層以上の誘電体膜の多層構造とする必要がある。従って、生産工数が大幅に増え、生産性が低いという問題がある。
また、例えば、上記のように波長域0.8〜3μmの近赤外領域の放射照度を低くするように誘電体膜を設計した場合、膜厚にばらつきがなく誘電体膜を成膜することが難しいという問題がある。誘電体膜にばらつきが生じると、放射特性は設計値から外れるため、所望の特性を得ることができない。
そこで、本発明は、上記課題を解決して、電力を可視光に変換する光束効率が高いフィラメント、および該フィラメントを備えた白熱電球を提供することを目的とする。
本発明のフィラメントは、WまたはW合金からなる基体と、基体上に形成されたZrNからなる近赤外反射膜とを備える。近赤外反射膜は、48.1nm以上1μm以下の膜厚を有することを特徴とする。

また、本発明の白熱電球は、透光性気密容器と、透光性気密容器内に配置され上記近赤外反射膜を備えた上記フィラメントと、フィラメントの基体に電流を供給するリード線とを備える。
本発明のフィラメントおよび白熱電球によれば、安定して高い光束効率の白熱電球を提供することができる。
(a)本発明の白熱電球の要部を示す断面図、(b)本発明の実施例1のフィラメントの要部を示す断面図である。(c)本発明の実施例2のフィラメントの要部を示す断面図である。 本発明の実施例1に係る評価サンプル1と比較サンプル1のフィラメントの分光放射率スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例1に係る評価サンプル1と比較サンプル1のフィラメントの分光放射照度を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る評価サンプル2と比較サンプル2のフィラメントの分光放射照度を示すグラフである。
以下、この発明の好適な実施形態を詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る白熱電球1は、透光性気密容器2と、透光性気密容器の内部に配置されたフィラメント3と、フィラメント3における基体31の両端に電気的に接続されると共にフィラメント3を支持する一対のリード線4、5を備えて構成される。
透光性気密容器2は、例えばガラスバルブにより構成される。透光性気密容器2の内部は、10−1〜10−6Paの高真空状態となっている。なお、透光性気密容器2の内部に10〜10−1PaのO、H、ハロゲンガス、不活性ガス、並びにこれらの混合ガスを導入することによって、従来のハロゲンランプと同様に、可視光反射率低下膜を含むフィラメント上の昇華並びに劣化を抑制し、寿命の延伸効果を期待することも可能である。
透光性気密容器2の封止部には、口金9が接合されている。口金9は、側面電極6と、中心電極7と、側面電極6と中心電極7とを絶縁する絶縁部8とを備える。リード線4の端部は、側面電極6に電気的に接続され、リード線5の端部は、中心電極7に電気的に接続されている。
本発明のフィラメントの形状は、高温に加熱できる形状であればどのような形状でもよく、例えばリード線から電流の供給を受けて発熱することができる線状、棒状、薄板状にすることができる。また、電流供給以外の方法により直接加熱される構造であってもよい。
図1(b)に示すように、本実施例に係るフィラメント3は、基体31と基体上に形成された近赤外反射膜32とから構成されている。
本発明のフィラメント3における基体31は、電流を流すことにより発熱する抵抗体であって、WまたはW合金から構成される。
W合金としては、融点が2000K以上のW合金を用いることができ、例えば、W−Re合金、W−ThO合金、W−K合金などを用いることができる。融点が2000K以上の材料を用いることによりフィラメント点灯時にも安定した放射特性を得ることができる。
本発明のフィラメント3における基体31は、材料金属の焼結や線引き等の公知の工程により作製される。基体31の形状は、線材、棒材、薄板等所望の形状に形成することができる。
近赤外反射膜膜32は、フィラメント3の光放射面のすべてに形成する。例えば、薄板状の基体では両面に形成され、線状の基体では基体表面を被覆するように形成する。
本発明のフィラメント3における近赤外反射膜32は、基体31と比較して、波長域0.8〜3μmの近赤外領域の実効放射率が低い金属材料から構成される。特に、本発明のフィラメント3における近赤外反射膜32は、基体31と比較して、波長域0.8〜10μmの赤外領域の実効放射率が低い金属材料から構成されることが好ましい。
本願における実効放射率とは、特定の波長域における各波長の分光放射照度の積分値を、その波長域における黒体の分光放射照度の積分値で割って算出したものである。
そのため、本発明における近赤外反射膜としては、その放射率が、波長域0.8〜3μmの全域にわたって基体の放射率より低いものだけでなく、部分領域において基体の放射率より高いものでも、波長域0.8〜3μmにおける実効放射率の値が基体より小さいものを用いることができる。
近赤外反射膜32を構成する金属材料として、Ta、Mo、Re、Ir、ZrN、TiN、またはHfNを用いることができる。また、Ta、Mo、Re、Irの組合せのみからなる合金、ZrN、TiN、HfNの組合せのみからなる合金を用いることもできる。さらに、Ta、Mo、Re、Ir、ZrN、TiN、HfNのいずれかを主成分とする融点が2000K以上の合金を用いることもできる。融点が2000K以上の材料を用いることによりフィラメント点灯時にも安定した放射特性を得ることができる。
本発明のフィラメント3における近赤外反射膜32は、波長域0.8〜3μmの近赤外領域の透過率が0となるよう形成される。つまり、近赤外反射膜32は、表皮効果における波長10μmの光の侵入深さより厚い膜厚であればよい。表皮効果における光の侵入深さより厚い膜厚であれば、透過率が0となるためである。
そして、近赤外反射膜32を表皮効果における光の侵入深さより厚い膜厚として透過率を0とすることにより、近赤外反射膜32は、材料に固有の放射特性を示すため、該近赤外反射膜32を形成しても安定した放射特性を得ることができる。
ここで、表皮効果による光の侵入深さdは、d=c/(ω・κ)(c:光速、ω:角振動数、κ:消衰係数)により求めることができる。
また、波長10μmの光を基準としたのは、室温(300K)における黒体の放射スペクトルのピーク値であるとともに、10μmより短波長の光については、その侵入深さはより小さくなるためである。
従って、本発明のフィラメント3によれば、成膜時に膜厚誤差が生じた場合においても、安定した放射特性を提供することができる。
ただし、近赤外反射膜32の膜厚は、膜応力による剥離の問題を回避するため1μm以下とすることが好ましい。
例えば、近赤外反射膜32として、ZrNを用いる場合は、少なくとも48.7nm以上の膜厚であればよい。波長10μmの光に対して光の侵入深さdは、48.7nm程度であること、および、より短波長の光では侵入深さはより小さくなるためである。
近赤外反射膜32は、電子ビーム蒸着法(EB法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、熱CVD法、等種々の手法で成膜することが可能である。
例えば、近赤外反射膜32として、ZrN膜を成膜する場合、ZrNターゲットをArガスにてスパッタリングすることで成膜することができる。このとき、膜の緻密性および基材との密着性を向上させるために、基材を加熱しながら成膜してもよい。また、膜の結晶性を向上させるために微量のNガスを混合して成膜してもよい。
例えば、近赤外反射膜32として、ZrN膜を成膜する場合、ZrターゲットをArとNの混合ガスにてスパッタリングすることによっても成膜することができる。このときのArとNの比率は装置にも依存するが、80:20〜99.9:0.1程度とすることができる。
本発明のフィラメント3において、近赤外反射膜32上には、誘電体材料から構成される放射制御膜33を形成することができる。
放射制御膜33としては、フィラメント3表面の可視光反射率を低下させる膜(以下、可視光反射率低下膜33A)を形成することができる。
放射制御膜33は、可視光に対して透明な、高融点を有する誘電体から構成することができる。
放射制御膜33は、例えば、高融点(融点が2000K以上)の金属の酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜、および、ホウ化物膜のいずれかを用いる。具体的には、SiO、MgO、ZrO、Y、Al、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN、AlN、HfO、Lu、Yb、Er、C、グラファイト、ダイヤモンドなどで構成することができる。さらに、放射制御膜33は、これら上記の材料を含有する混晶材料で構成することもできる。また、放射制御膜33として、高融点を有する誘電体で構成される単層膜、もしくは、単層膜を複数種類積層した多層膜を用いることができる。
尚、放射制御膜33は、上記具体例として挙げた材料に限らない。
放射制御膜33は、電子ビーム蒸着法(EB法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、熱CVD法、等種々の手法で成膜することが可能である。
可視光反射率低下膜33Aは、可視光に対して透明であり、放射制御膜の表面で反射される可視光と、可視光反射率低下膜を透過して基体表面で反射される可視光とを打消しあわせることにより、フィラメント全体の可視光反射率を低下する。
可視光反射率低下膜33Aの膜厚は、その屈折率に応じた計算により、または実験またはシミュレーションにより、適切な値に設計されている。計算により設計する場合には、例えば、可視光に対する光学的光路長(λ/n0、ただし、nは屈折率)が1/4波長程度になるように膜厚を設計する。実験またはシミュレーションにより設計する場合には、例えば、膜厚を種々変えて、フィラメントの反射率の膜厚依存性を求め、可視光全体の波長に対して反射率が最も低くなる膜厚を求める方法を用いることができる。
可視光反射率低下膜33Aは、可視光領域における反射率が低く、赤外領域における反射率が高い。そのため、基体からの可視放射光成分をフィラメント外部へ効率よく放射する。また、放射制御膜33は、基体31からの赤外放射光成分を主として近赤外反射膜32と放射制御膜33との界面で基体側へ反射し、基体にこの赤外放射光成分を再吸収させて基体の再加熱に利用して、電力から可視光への変換効率を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
本発明の実施例1に係る白熱電球10およびフィラメント3について説明する。
図1(a)は、本発明の実施例に係る白熱電球の概略断面図である。
白熱電球1は、透光性気密容器2と、ガラスバルブからなる透光性気密容器の内部に配置されたフィラメント3と、フィラメント3における基体31の両端に電気的に接続されると共にフィラメント3を支持する一対のリード線4、5を備える。
図1(b)に示す通り、本実施例において、フィラメントは、Wからなる基体31、ZrNからなる近赤外反射膜32とから構成されている。
近赤外反射膜32を構成するZrNは、基体を構成するWと比較して波長域0.8〜3μmの近赤外領域の実効放射率が低い金属材料である。
また、ZrNからなる近赤外反射膜32の膜厚は、200nmであり、表皮効果における波長10μmの光の侵入深さである48.7nmより大きい膜厚として形成されている。従って、波長域0.8〜3μmの近赤外領域の透過率は0である。
本実施例のフィラメントは、Wからなる基体の表面に、真空チャンバ内にArガスを0.30Pa導入し、基材を300℃加熱した状態で、ZrNターゲットをスパッタリングすることで、200nmの厚みで近赤外反射膜32を成膜して作製した。尚、本実施例において近赤外反射膜32は、スパッタ法により形成したが、イオンプレーティング法を用いた場合においても、同様の光学特性を有する膜を形成することができた。
実施例1のフィラメント3の放射特性について、評価サンプル(以下、評価サンプル1)を作製して調べた。また、比較サンプル1を作製して、比較評価を行った。
評価サンプル1は、サイズが5×100mm、厚みが100μmのリボン状のWからなる基体31の表面(片面)上に、上述の方法により200nmの膜厚のZrNからなる近赤外反射膜32を成膜して作製した。
比較サンプル1は、サイズが5×100mm、厚みが100μmのリボン状のWからなる基体のみからなるフィラメントとした。
評価サンプル1および比較サンプル1について、それぞれ真空チャンバ内の電極に取り付け、真空排気した後、真空あるいはガス導入して通電加熱し、2000Kになったときの分光放射率および分光放射照度を測定した。分光放射率、分光放射照度は、FT−IR(Perkin Elmer社 Frontier NIR)により測定した。実温度は、基体31の裏面(近赤外反射膜32の形成されていない側)の色温度を測定することにより得た。
評価サンプル1および比較サンプル1の分光放射率の測定結果を図2に示す。評価サンプル1の放射率は、波長域0.8〜3μmにおいては、約2.2μm以上の波長域で比較サンプル1の放射率より大きく、約2.2μm以下の波長域で基体の放射率より小さかった。
分光放射率の測定結果から、それぞれの波長域0.8〜3μmにおける実効放射率を求めたところ、評価サンプル1は、0.22となり、比較サンプル1は、0.24となった。つまり、波長域0.8〜3μmにおいて、ZrNからなる近赤外反射膜の実効放射率は、Wからなる基体の実効放射率より小さい。
また、波長域0.8〜10μmにおける実効放射率は、それぞれ0.14(評価サンプル1)、0.22(比較サンプル1)となり、波長域0.8〜10μmにおいてもZrNからなる近赤外反射膜の実効放射率は、Wからなる基体の実効放射率より小さい。
評価サンプル1および比較サンプル1の、2500Kにおける分光放射照度(W/m・nm)を図3に示し、比較評価した。尚、測定サンプルの表面温度は2000Kではあるが、2500Kにおいても同等の放射特性を示すとみなし、白熱電球の一般的な使用温度である2500Kで評価を行った(2500Kの黒体の放射照度を用いて算出した)。
図3に示す評価サンプル1の分光放射照度は、比較サンプル1の分光放射照度と比較して、波長域0.8〜2.2μmにおいて高くなり、波長域2.2μm以上においては、比較サンプル1の分光放射照度とほぼ同等であった。
また、評価サンプル1の波長域0.8〜3μmにおける放射照度(分光放射照度の積分値)は、比較サンプル1と比較して6%小さいものとなった。従って、近赤外反射膜を形成することにより、波長域0.8〜3μmの放射が抑制できることが確認できた。
さらに、測定した分光放射照度と分光視感度を乗じた値を可視光域(波長域0.4〜0.8μm)で積分して可視光光束を求め、投入電力で除して光束効率を算出した。その結果、評価サンプル1では、15.1lm/W、比較サンプル1は12.1lm/Wとなった。つまり、評価サンプル1と比較サンプル1との比較結果より、近赤外反射膜を形成することにより光束効率を向上させることができることが確認できた。
つまり、本発明の近赤外反射膜を形成したフィラメントによれば、近赤外反射膜の形成されていないフィラメントと比較して、光束効率の高いフィラメントを提供することができた。
また、近赤外反射膜は、表皮効果による光の侵入深さ以上の膜厚であれば透過率0であり、材料固有の放射率特性を示すため、本発明の近赤外反射膜を形成したフィラメントによれば、誘電体膜により近赤外域の放射を抑制して光束効率を向上したフィラメントと比較して、膜厚誤差が生じた場合にも安定した放射特性を提供することができる。
さらに、本発明の近赤外反射膜を形成したフィラメントによれば、近赤外光の放射を抑制するために多層化をする必要がないため、近赤外光の放射を抑制するために誘電体膜を多層化したフィラメントと比較して、生産性を高めることができる。
次に、本発明の実施例2に係る白熱電球10およびフィラメント3について説明する。
図1(c)に示す通り、本実施例において、フィラメントは、Wからなる基体31、ZrNからなる近赤外反射膜32、ZrOからなる可視光反射率低下膜33Aとから構成されている。
実施例2に係るフィラメント3は、実施例1に係るフィラメント3の近赤外反射膜32上に可視光反射率低下膜33Aを形成したものである。つまり、本実施例の白熱電球10およびフィラメントは、可視光反射率低下膜33Aを有すること以外は、実施例1のフィラメントおよび白熱電球と同じ構成を有している。
可視光反射率低下膜33Aは、膜厚50nmのZrOから構成されている。
Wからなる基体の表面に、真空チャンバ内にArガスを0.30Pa導入し、基材を300℃加熱した状態で、ZrNターゲットをスパッタリングすることで、200nmの厚みで近赤外反射膜32を成膜した。続いて、近赤外反射膜32上にEB法により50nmの厚みでZrOからなる可視光反射率低下膜33Aを成膜した。
実施例2のフィラメント3の放射特性について、評価サンプル(以下、評価サンプル2)を作製して調べた。また、比較サンプル2を作製して、比較評価を行った。
評価サンプル2は、サイズが5×100mm、厚みが100μmのリボン状のWからなる基体31の表面(片面)上に、200nmの膜厚のZrNからなる近赤外反射膜32を成膜し、その上に50nmZrOからなる可視光反射率低下膜33Aを成膜して作製した。
比較サンプル2は、サイズが5×100mm、厚みが100μmのリボン状のWからなる基体上に、50nmZrOからなる可視光反射率低下膜33Aを成膜して作製した。
評価サンプル2および比較サンプル2について、それぞれ真空チャンバ内の電極に取り付け、真空排気した後、真空あるいはガス導入して通電加熱し、2000Kになったときの分光放射率および分光放射照度を測定した。分光放射率、分光放射照度は、FT−IR(Perkin Elmer社 Frontier NIR)により測定した。実温度は、基体31の裏面(近赤外反射膜32の形成されていない側)よりWの色温度を測定することにより得た。
評価サンプル2および比較サンプル2の、2500Kにおける分光放射照度(W/m・nm)(測定した分光放射率と2500Kにおける黒体の分光放射照度との積)を、それぞれ図4に示し、比較評価した。尚、測定サンプルの表面温度は2000Kではあるが、2500Kにおいても同等の放射率が得られるとみなし、白熱電球の一般的な使用温度である2500Kで評価を行った(2500Kの黒体の放射照度を用いて算出した)。
図4に示す評価サンプル2の波長域0.4〜0.8μmにおける放射照度(分光放射照度を波長域で積算した値)は、比較サンプル2のそれと比較して高くなった。そして、評価サンプル2の波長域0.8〜3μmにおける放射照度(分光放射照度を波長域で積算した量)は、比較サンプル2と比較して14%小さいものとなった。従って、近赤外反射膜を形成することにより、波長域0.8〜3μmの放射照度が抑制できることが確認できた。
また、測定した分光放射照度と分光視感度を乗じた値を可視光域(波長域0.4〜0.8μm)で積分して可視光光束を求め、投入電力で除して光束効率を算出した。その結果、評価サンプル2では、24.7lm/W、比較サンプル2は、18.8lm/Wとなった。つまり、評価サンプル2と比較サンプル2との比較より、近赤外反射膜を形成することにより光束効率を向上させることができた。
ここで、比較サンプル2は、可視光域の反射を抑制するように設計された誘電体からなる放射制御膜(具体的には、可視光反射率低下膜)を形成することにより、放射制御膜を形成しないもの(比較サンプル1)と比較して、干渉により可視光反射率を低下させて、光束効率を向上したものである。しかし、比較サンプル2は、誘電体からなる放射制御膜を形成することにより、可視光域の放射照度を増大に伴い、該可視光域の近傍の近赤外域の放射照度も増大してしまう。
つまり、本実施例に関する評価サンプル2のように、基体上に近赤外反射膜を形成し、近赤外反射膜上に放射制御膜を形成すれば、放射制御膜により可視光反射率を低下するとともに、近赤外反射膜により近赤外の放射照度の増大を抑制することができるため、より高い光束効率を得ることができる。
尚、本発明の白熱電球、およびフィラメントは、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることは勿論である。
例えば、上記実施例では、基体31として、Wを用いることを説明したが、W合金を用いることもできる。
例えば、上記実施例では、近赤外反射膜32として、ZrNを用いることを説明したが、波長域0.8〜3μmにおける実効放射率が基体より低い他の金属材料を用いることも可能である。
例えば、上記実施例では、放射制御膜33(具体的には、可視光反射率低下膜33A)として、ZrOを用いることを説明したが、上記した融点が2000K以上の他の誘電体材料を用いることも可能である。
1:白熱電球
2:透光性気密容器
3:フィラメント
31:基体
32:近赤外反射膜
33:可視光反射率低下膜
4:リード線
5:リード線
6:側面電極
7:中心電極
8:絶縁部
9:口金

Claims (3)

  1. WまたはW合金からなる基体と、
    前記基体上に形成されたZrNからなる近赤外反射膜と、を有し、
    前記近赤外反射膜は、48.1nm以上1μm以下の膜厚を有することを特徴とするフィラメント。
  2. 前記近赤外反射膜上には、誘電体膜からなり可視光反射率を低下する放射制御膜が形成されていることを特徴とする請求項1のフィラメント。
  3. 透光性気密容器と、
    前記透光性気密容器内に配置されたフィラメントと、
    前記フィラメントに電流を供給するリード線と、を有する白熱電球であって、
    前記フィラメントは、請求項1または請求項2のいずれかのフィラメントであり、
    前記リード線は、前記フィラメントの前記基体に接続されていることを特徴とする白熱電球。
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