JP6994274B2 - 積層型ふく射光源 - Google Patents

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Description

本発明は、伝導体および絶縁体材料を積層した単純な構造からなり、安価、大面積に製造でき、また狭帯域化等の波長制御性を有しており、例えば赤外線加工用に好適なふく射光源に関するものである。さらには、必要に応じて伝導体や絶縁体材料の少なくとも一部に高耐温性の材料を使用することで、高温で長時間安定に使用できるふく射光源とすることもできる。
物質はそれぞれ固有の吸収スペクトルを持つが、その物質が高い吸収を持つ特定の波長の光を照射することで、高効率な乾燥、アニール処理や成型加工などが可能となる。また、気体分子に固有な吸収波長に合わせた狭帯域な光を気体に照射し、光路中に存在する気体による吸収の大小により、気体分子の存在量をモニターすることが可能である。
前者の用途においては、ロールツーロールにおける印刷、塗装や樹脂の乾燥工程における応用が想定される。例えば、溶剤の持つ吸収波長に合わせた波長の赤外光を照射することで、不必要な昇温を抑えつつ、省エネルギーかつ高速な溶剤の乾燥が可能となる。また、製品や加工装置内が必要以上に加熱されず、劣化を抑えた高精度な成型、反応や製品加工が可能となる。
後者の用途においては、非分散型赤外吸収法(NDIR)などにおいて、目的とする検体ガス固有の赤外吸収波長に合わせ、十分に狭帯域な赤外線を照射することで、検出したいガスを良好な選択性をもって検出することが可能となる。ふく射される赤外線の波長幅が狭帯域であるほど、正確かつ選択的に気体分子の吸収を測定することができ、分子種の同定の精度および測定の感度が高まる。このような従来のデバイスの構造及びそのふく射スペクトルの例を図1に示す。
波長選択型の赤外ふく射光源としては、3次元凹凸構造(非特許文献1、特許文献1,2)や、2次元微細加工を施した金属‐絶縁体‐金属構造(MIM構造)(特許文献3)を加熱することで、特定の波長の赤外線を熱ふく射させる構造が報告されている。しかし、3次元凹凸構造による回折格子型の素子では、狭帯域であっても構造が複雑で大面積製造に向かず、放射の方向も必ずしもヒーター面に垂直でなく、放射角度と共に波長も大きく変わってしまう問題があった。また、2次元パターニングされたMIM構造型では、波長の半値幅は狭いものでも放射波長の10%程度にとどまり、高い波長選択性が必要な用途には向かない。特に気体センサーとして用いるには気体分子の吸収バンド幅に比べてふく射の波長幅が広すぎるため、目的以外の気体分子のシグナルとの分離に問題があった。
一方で、積層型の分布反射器とプラズモニック反射層との間に共振構造を形成した狭帯域ふく射光源が報告されている(非特許文献2)。また、その類似構造も報告されている。しかしながら、本願発明者が狭帯域ふく射光源の実用化に向けての検討の過程で非特許文献2で報告されているようなふく射光源を具体的に検討したところ、AuやAgにSiを積層させると、層間の密着性や熱膨張のため、300℃程度で剥離を起こすため実用化が難しく、一方でTiやCrなどの接着層を用いると接着性は向上するが、プラズモニック特性が悪化して、ふく射特性も悪化することを見出した。また、大気側の最外層に金属を配置する場合(非特許文献3)や、酸化しやすいSiやGeなどの半導体層が最外層にある場合、大気中の高温動作で材料の物性変化が生じ、動作温度により放射波長が変化したり、長期間の安定動作が保証されないなどの問題も見出した。また、さらに検討した結果、Si,Ge,ZnOなどのドープされた半導体材料や狭ギャップ半導体を構成材料として用いると、熱励起によるキャリア生成により中遠赤外帯域の光学的特性が変化してしまうため、昇温に伴い赤外ふく射スペクトルが変化してしまうケースもあることを見出した。
本発明の目的は、帯域幅を調節可能であるが、必要に応じて出射波長より1桁程度、あるいは2桁程度、あるいはさらに狭い半値幅を持つようにできるふく射光源素子を、3次元、2次元のナノ・マイクロパターニングを用いずに単純な積層構造のみによる簡単かつ大面積なふく射体として実現することにある。さらに、適宜材料を選択すれば、高温においても、その素子が安定にかつ長寿命で動作できるようにすることである。
本発明の一側面によれば、プラズモニック反射層と、前記プラズモニック反射層に隣接して設けられ、絶縁体の層から成る共振器層と、前記共振器層の前記プラズモニック反射層の反対側に設けられ、屈折率が互いに異なる複数種類の絶縁体層の交互積層からなる分布反射層とを設け、前記プラズモニック反射層を加熱することにより、赤外光を前記分布反射層から外部にふく射する積層型ふく射光源が与えられる。
ここで、前記分布反射層を構成する前記複数種類の絶縁体層の少なくとも一つは高耐温性を有してよい。
本発明の他の側面によれば、金属全反射層と、前記金属全反射層に隣接して設けられ、絶縁体の層から成る共振器層と、前記共振器層の前記金属全反射層の反対側に設けられ、入射光の一部を反射する部分反射層とを設け、前記金属は使用する波長で複素誘電率の実部が負である光学的金属材料であり、前記金属全反射層を加熱することにより、赤外光を前記部分反射層から外部にふく射する積層型ふく射光源が与えられる。
ここで、前記部分反射層は、前記共振器層の前記金属全反射層とは反対側の表面により形成される前記共振器層と外部空間との界面であってよい。
また、前記部分反射層は、入射光の一部を反射する金属層であってよい。
また、前記入射光の一部を反射する金属層は高耐温性を有してよい。
また、前記部分反射層は、屈折率が互いに異なる複数種類の絶縁体層の交互積層からなる分布反射層であってよい。
また、前記複数種類の絶縁体層の少なくとも一つは高耐温性を有してよい。
また、前記共振器層を形成する絶縁体の層と前記分布反射層中の屈折率の低い方の絶縁体層とは同じ材料からなってよい。
また、前記共振器層を形成する絶縁体の層と前記分布反射層中の屈折率の低い方の絶縁体層とは異なる材料からなってよい。
また、前記分布反射層を構成する前記複数種類の絶縁体層の屈折率のうちの高い方の屈折率は低い方の屈折率の1.3倍以上であってよい。
また、前記分布反射層を構成する前記複数種類の絶縁体層中、少なくとも大気に接触する絶縁体層は酸化物またはSiCからなってよい。
また、前記分布反射層中の屈折率の低い方の絶縁体層の材料はSiO、Al及びSiからなる群から選択され、前記分布反射層中の屈折率の高い方の絶縁体層の材料はSi、Ge、SiC、Ta、Nb及びHfOからなる群から選択されてよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は高耐温性を有してよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は、複素誘電率の実部が負の値を有するLaB、Au、W、Mo、Cu合金、Al合金及びNi合金、並びに複素誘電率の実部が赤外帯域で負の値を有する金属窒化物、金属炭化物、導電性金属酸化物、炭化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び金属ホウ化物からなる群から選択されてよい。
また、前記金属炭化物はTiC及びTaCからなる群から選択されてよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は、複素誘電率の実部が負の値を有するTiN及びTaNからなる群から選択されてよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は、複素誘電率の実部が負の値を有する透明導電性酸化物であってよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層はFOMが1以上の材料からなってよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層の共振器層の反対側に基板が設けられ、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層の加熱は前記基板を介して行われてよい。
また、前記基板または前記基板表面を抵抗を有する導電体で構成し、前記加熱は前記基板に通電することにより行われてよい。
また、前記基板はN型ドープSiCを含んでよい。
また、前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層に通電することにより前記加熱を行ってよい。
本発明のふく射光源において、積層構造の種類や各積層膜の厚さを適切に選ぶことにより、その熱ふく射スペクトルの波長幅を柔軟に変化させることが可能である。このため、加熱対象の吸収スペクトルに合わせたり、使用目的に応じて、最適な加熱用ふく射スペクトルを得ることができる。また、そのふく射スペクトルは従来の黒体や灰色体ヒーターに比べて狭いため、乾燥や加熱加工において加工対象の温度を低くすることができ、高温による製品の損傷を低減でき、気化した溶剤への引火を防ぐこともできる。また、本発明のふく射光源は、単純な積層構造を持ち、リソグラフィーによる微細加工を使う必要は無く、成膜のみで製作可能であり、このため、加熱ヒーターの大面積化と低価格化が容易である。
また、積層型の分布反射器部分の最外層を酸化物絶縁体あるいはSiCなどの高耐温絶縁体材料とすることで、550℃、さらには600℃程度まで、好ましくは800℃程度まで、さらに好ましくは1000℃程度まで、あるいはそれ以上の大気中高温動作においても、酸化による屈折率変化や構造変化を抑制でき、温度依存性の抑制された、長時間な安定動作が可能となる。ここで、高耐温とは、大気中で上記温度範囲、すなわち550℃、さらには600℃程度、好ましくは800℃程度、さらに好ましくは1000℃程度、あるいはそれ以上においても本発明の積層型ふく射光源の繰り返し動作に影響を与えるような酸化による屈折率変化や構造変化が起こらないことを意味する。また、薄膜共振器部分の材料を絶縁体とすることで、熱励起による光学伝導度変化を抑え、共鳴波長(放射波長)の温度変化と経時変化を抑えることができる。さらに、プラズモニック反射層表面のプラズモニック材料を、高融点なプラズモニック性の金属、合金、金属炭化物や金属ホウ化物などの導電性セラミクスとすることで、同じく高温での長寿命動作が可能となる。加熱炉やセンサーなどで指向性が必要な用途の場合には、分布反射器の積層サイクルを3サイクル以上とし、なおかつ、金属酸化物、炭化物、ホウ化物などから、熱膨張係数が同程度で小さく密着性の良い材料の組み合わせを選定することで、高指向性の発光素子を実現できる。
(左)リソグラフィーにより2次元パターニングを施した、従来型の波長選択ふく射光源の例。(右)最上段に示されている金属ディスク/絶縁体/金属構造の例における、ふく射光源の典型的なふく射スペクトル(ディスクのサイズを4種類として制作したデバイスの放射スペクトル。ディスクの配置の周期は何れも4.4μm、絶縁体層厚さ200nmとしたが、ディスクサイズをS3a(2.1μm)、S3b(2.5μm)、S3c(2.9μm)、S3d(3.3μm)の順で大きくすることで、共鳴波長をそれぞれ6.73μm、7.46μm、8.15μm及び8.65μmとした)。 プラズモニック反射層表面‐絶縁体共振器層-分布反射層を積層した高温動作可能な狭帯域ふく射光源の一例を示す図。 プラズモニック反射層表面‐絶縁体共振器層-分布反射層を積層した高温動作可能な狭帯域ふく射光源の構造の例(上側)とそのスペクトル(下側)を示す図。 プラズモニック反射層表面‐絶縁体共振器層-分布反射層を積層した高温動作可能な狭帯域ふく射光源の構造の例(上側)とその放射スペクトルの放射角度依存性(下側)を示す図。 (a)及び(b)はそれぞれ高温で使用可能なプラズモニック材料であるLaBの複素誘電率の実部及び虚部を示す図。(c)及び(d)はそれぞれ高温で使用可能な絶縁体材料であるAl及びSiCの複素屈折率を示す図。(a)及び(b)においては成膜時の下地の温度をパラメータとすることにより、下地温度への誘電率の依存性を示した。 様々なプラズモニック材料の誘電率実部と虚部を割った値の絶対値をプロットした図であり、プラズモニック材料のFigure of Merit(性能値、FOMと略記)を表す。700nm程度以上の波長においては、Au以外の高耐温度材料の中でLaBが最も高い値を示し、熱ふく射光源材料として適していることが分かる。 本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源の動作原理及びその概念的な構造の例を示す図。 図7()に示す構造内の電磁場の計算結果を示す図。 本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源の放射強度の角度による変動について説明するためのふく射光源の構造の例及びその入射角による吸収率を示す図。 図8(c)に示す構造の狭帯域ふく射光源の反射スペクトル及び透過スペクトルを示す図。 本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源を高温で使用した場合のふく射光源構造の破壊についての実験に使用したふく射光源の概念的な構造及びその温度をパラメータとしたふく射スペクトルを示す図。ここで、金属全反射層の材料としてTa、Mo及びWを使用した。 本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源を高温で使用した場合のふく射光源構造の破壊についての実験に使用した、金属全反射層としてLaBを使用したふく射光源の断面のSEM写真及びふく射光源の温度をパラメータとしたふく射スペクトルを示す図。 810℃超の温度で動作させることによって破壊された、金属全反射層としてTaを使用した本発明の実施例のふく射光源のSEM像。 900℃超の温度で動作させることによって破壊された、金属全反射層としてMoを使用した本発明の実施例のふく射光源のSEM像。 860℃超の温度で動作させることによって破壊された、金属全反射層としてWを使用した本発明の実施例のふく射光源のSEM像。 1100℃超の温度で動作させることによって破壊された、金属全反射層としてLaBを使用した本発明の実施例のふく射光源のSEM像。
本発明の一形態で用いるふく射構造は、屈折率コントラストの高い絶縁体材料(真性半導体を使用しても良い)を交互に積層した積層型の分布反射層(分布反射器)、プラズモニック反射層(プラズモニック反射器(Tammプラズモンなどを利用))、そして、それらで挟まれた、絶縁体(真性半導体を使用しても良い)からなる共振器層(薄膜共振器)の3つの部分からなる。プラズモニック反射器の側にヒーター(熱源)が接し、その反対側の分布反射器は大気(真空)照射対象物に向けてふく射する。本発明で提案する代表的な素子構造を2種類、以下に示す。ここで、鋭い、つまり狭帯域の放射ピークはいわゆるフォトニックバンドのギャップ中に生じる。このフォトニックバンドのギャップをできるだけ広くするために、分布反射器を構成する交互積層された材料間の屈折率の差を大きくする。
例えば、その構造は、図2に示すように、プラズモニック材料(金属、合金、金属炭化物や金属ホウ化物などの導電性セラミックス)からなるプラズモニック反射層(プラズモニック反射器)を最下層(熱源側)として、その上にnの屈折率を持つ絶縁体1を用いて共振器層(薄膜共振器)とし、さらにその上にnとは値が十分に異なっている屈折率nを有する絶縁体2を配置し、この2種類の絶縁体による積層を更に2回以上繰り返し、最後に絶縁体1を積層した分布反射層(分布反射器)を有するもの等である。ここで、絶縁体1はAl、SiOやSiCなど高温での酸化が進みにくい材料とする。
また、最上層(熱源に一番遠い側、つまり分布反射器の照射対象物に面する側)の層を形成する絶縁体を高耐温性とすることで、大気中高温動作においても、酸化による屈折率変化や構造変化を抑制でき、温度依存性の抑制された、長時間な安定動作が実現される。例えば、LaBは大気に触れた状態では800℃程度から表面が酸化し特性が変わりはじめる。SiCはさらに高温の1600℃まで特性の変化が見られない。しかし、アルミナ層などの下に埋め込むことで、内部のLaBは1000℃以上の高温にも耐えることができる。したがって、最上層あるいは最上層側のいくつかの層に特に高耐温性に優れた材料を使用することで、内側の層にはそれよりも高耐温性の低い材料を使用することもできる。なお、これは以下で説明する他の素子構造の場合でも同じである。
図2を参照した上記素子構造の説明では、薄膜共振器(共振器層)の薄膜の材料と積層型の分布反射器(分布反射層)の低屈折率側の層の材料とは同じ絶縁体(ここではAl、SiO等である絶縁体1)を使用し、従って両者の屈折率も同一となっている。しかしながら、これは単に成膜の簡単化のために両者に同一の材料を使用して製作しただけであり、両者を同一とする必要性はない。実際には、成膜の簡単化以外の要因も検討したうえで、両者に同一の材料を使用するか、それとも異なった材料を使用するかを適宜定めることができる。具体的には、図3に概略の構造を示す2種類目の素子構造では、高融点プラズモニック材料を最下層(熱源側)として、その上の分布反射器では、絶縁体1による共振器層、さらにその上に大気中で酸化しにくい絶縁体2を配置し、この2種類の絶縁体の積層を繰り返したものである。共振器層の厚さは目的とする放射波長の半波長程度、それより上の分布反射器の絶縁体層の厚さ(つまり、これらの絶縁体からなる個々の層の厚さ)はほぼ1/4波長程度となっている。ここで、絶縁体2は、絶縁体1に対して十分屈折率値が異なり、高温において酸化の進みにくい材料とする。それぞれの層の厚さは放射率が1に近づく様に、電磁場シミュレーションを繰り返して決定されるが、最適化の過程で上記の値(半波長、1/4波長)からは通常はずれる。図1の例ではSynopsys社のRsoft DIFFRACTMODとMOSTを用いて各層の厚さを調整している。なお、図3に例示する素子構造では分布反射器を構成する2種類の層の材料であるSiCとAlは何れも大気中で酸化しにくい高耐温性の材料であるため、一番上の層(最外層)はSiCとしても(図3の左側)、あるいはAlとしても(図3の右側)よい。
上記以外に、金属側を基板としてその上に製膜する代わりに、分布反射器側に赤外透明な絶縁体支持基板を配置する3種類目の素子構造がある。この場合は、製膜の順序は上記と逆になる。赤外透明基板としては0.3~6μm程度までの光を通すサファイア(Al)、0.2~3μm程度まで通す溶融石英基板、1.1~10μm程度まで通す超低ドープSi基板(例えばFZ法で作成した超低ドープ50000Ωcm以上のSiウエハ。200℃程度以下の低温動作用)などを用いる。この透明基板上に、上記と逆に2種類の絶縁体膜を交互に製膜し、共振器層を製膜後、プラズモニック反射層を製膜する。なお、プラズモニック反射層の成膜後の各種の加工や実際の使用の過程での化学的・物理的な影響からプラズモニック反射層を保護するなどの各種の機能を発揮する膜やそのほかの構造物をその上に設置してもよい。
ここで、何れの種類の構造においても、最下層のプラズモニック反射層には1600℃以上、さらに好ましくは2000℃以上の高融点で、かつ使用する波長帯域において誘電率実部の値が負であり、誘電率虚部の値が誘電率実部の絶対値と同程度かそれ以下の値のものを用いる。また、ここに使用する材料は熱膨張係数が小さいものであればさらに好ましい。
ここで高融点の材料(高耐温度材料、耐熱材料ともいう)について更に説明すれば、本発明のふく射光源は通常高温まで耐えることが望まれるが、実用上は800℃程度まで耐えれば十分な場合が多い。しかしながら、本願発明者による実験(後述)の結果、この条件を満たすためには単にふく射光源に使用する材料の融点をふく射光源の使用温度の上限よりも高くするだけでは不十分であり、実際に使用してみると、融点よりもかなり低い温度でふく射光源が破壊されることが判った。これらの結果及び一般に表面や界面での融解はバルクの融点の三分の二程度の温度で始まるといわれていることから、上述したところの高耐温度金属の具体的な融点の条件を導いた。なお、この材料は単元素金属単体だけではなく、上述したような高温に耐えてふく射光源構造の破壊が起きない耐熱合金などであってもよい。
また、図6に示されるように、700nm程度以上の波長においては、Au以外の高耐温度材料の中でLaBが最も高い値を示す。AuはFOMだけ見ると一番良好ではあるが、融点が1064℃程度(SiやSiOからの剥離や表面融解が始まるのは350℃程度)とそれほど高くない上にこの種の材料としては非常に柔らかいことなどから、高温にさらされる熱ふく射光源材料としては必ずしも最適であるとは言えない。これに比べてLaBはAuに迫るFOMを有する上にAuよりも高温に耐えることができる等の点で、熱ふく射光源材料として大いに望ましいということができる。なお、プラズモニック反射層の材料としては、図6からもわかるように、吸収のピーク付近の波長においてFOMの値が1以上であることが好ましい。また、2以上であればより好ましく、5以上ならさらに好ましい。このような条件を満たす金属ホウ化物、炭化物、耐熱合金を使用することが好ましい。
図6において、LaB以外の材料についてのデータは以下の通り、既存の文献から引用したものである。
○ TiNR-1:非特許文献4
○ TiNR-2:非特許文献5
○ Au:非特許文献6
○ Mo:非特許文献7
○ W:非特許文献8
分布反射層及び共振器層を構成する絶縁体層については、図5から理解されるように、誘電率実部が大きく、誘電率虚部の値が小さい材料を選定するのが好ましい。これは損失をできるだけ抑えるためであり、複素屈折率の虚部は0.2以下であることが望ましい。また、絶縁体層の屈折率は、例えばシリカの場合は中赤外で1.4程度、アルミナの場合は中赤外で1.6程度、Siの場合で中赤外屈折率1.8であり、このような材料を低屈折率の絶縁層として用いてもよい。高屈折率材料としては、例えばSi(中赤外屈折率3.4)やGe(中赤外屈折率4.0)、AlSb((中赤外屈折率3.6))などが知られており、それらを用いても良いが、より高温で使用できるSiCなどを用いることが適切である。なお、高屈折率材料としてSiを採用する場合には、例えばFZ法で作成した超低ドープ50000Ωcm以上のSiを原料としたPVD膜として使用できる。高屈折率材料としては、これら以外にも、Ta、Nb、HfOなどを使用できる。特に、最外層には高温大気中で酸化の進みにくい材料を用いることで、高温での長時間の安定動作を可能とする。いずれにしても積層する絶縁体層の屈折率の違いは30%ないし40%程度以上(つまり、高い方の屈折率が低い方の屈折率の1.3~1.4倍程度以上)あることが望ましい。本願ではふく射波長の半値幅でふく射波長を除算した値であるQ値が30以上である場合に狭帯域であると定義するが、このような構造をもとに最適化することで、図3に示すようなQ値が40程度以上の狭帯域なふく射スペクトルを有する構造も実現できる。また、絶縁体層に使用する酸化物膜等はスパッタなどのPVD法、CVD法、ゾルゲル法等により作製してよい。また、絶縁体層あるいはプラズモニック反射層は一般に、そこで具体的に使用する材料に合わせて、PVD法、CVD法、PLD法、ゾルゲル法等の適切な方法により形成することができる。
本願発明者が更に研究を進めたところ、上述したプラズモニック反射層は必ずしもプラズモンポラリトンと関連を持つ必要性はなく、一般に金属性を示せばよいことが判明した。したがって、上述の本願発明についての説明は「プラズモニック」を「金属」に置き換えても成立することがわかった。以下の説明でも同様により広範な概念である「金属」という用語を使用して説明する。
なお、本願における「金属」あるいは「プラズモニック」とはいわゆる金属、つまり単体元素の金属及び合金を指すだけではなく、光学的金属性、つまり複素誘電率の実部が負の値を示す材料もここでいう金属に包含される。例えば先に言及したLaBは通常はセラミックとみなされるが、その複素誘電率の実部が広い波長範囲で負の値を示すので、ここでいう金属の典型的な例の一つである。さらに言えば、本願における金属はすべての波長においてその複素誘電率の実部が負の値を示す必要はなく、少なくとも着目している波長、具体的には狭帯域ふく射光源として動作させる際のピーク波長において負の値であればよい。つまり、ここでは「プラズモニックな材料」≡「光学的な金属」≡「自由キャリアを持ち誘電率が負となる材料」ということになる。さらには、必ずしもプラズモニックな材料でなくても光学的金属を発揮することがあるが、そのような材料でも使用することができる。例えば、後述するように、SiOは光学フォノンの吸収波長に近い8~9μmの狭い波長範囲で誘電率実部が負になる領域が存在し、他のある種の材料でも固有の波長範囲で同様の現象が現れる。これは、極性材料の光学フォノンの周波数近傍では、誘電体も本願におけるプラズモニック材料あるいや金属材料と同じ物理的挙動(共鳴的な分極を生じる)することを意味しており、このような材料も本発明においては、その特定波長において広義には金属の代替材料として使用できる。ここで本発明の原理を一般的に説明すれば、以下のようになる。
本発明の一般的な形態には、3通りの狭帯域なふく射光源素子が含まれる。これらの例は皆Gires-Tournois干渉器と呼ばれる同じ物理的起源による波長制御の機構を有する。図7から判るように、これらのふく射光源素子は絶縁体共振器層を挟んで2つの反射層を対向させて配置する。ここで、片方の反射層は十分厚い全反射層、反対側の反射層は光を一部透過できる部分反射層である。ここで、部分反射層は単にフレネル反射を生じるような誘電体-大気界面(図7(a)、(b)。本願では「界面」も層の一種であると規定していることに注意されたい)、光を一部透過できる程度に薄い金属部分反射層(図7(c))、あるいは誘電体積層構造として構成された分布反射器(分布反射層)(図7(d)、これは図2~図4に示した構造と同じである)、のいずれであっても良い。図7(a)に示すように、光が部分反射層側から入射すると、この光は全反射層で全反射したのち部分反射層でさらに反射するという反射を繰り返すことで共振器層内で多重反射を起こしながら徐々に吸収を生じ減衰する。この構造は上述したGires-Tournois干渉器と基本的には同じものとなっているので干渉器として動作する。これにより、入射した光がこの干渉器の共鳴波長と等しい波長を持つ場合には多重反射の回数と共振器層の中の電場強度が最大になり、完全吸収が生じる。このため、この積層構造を焦電体などと組み合わせることで、特定波長で熱を発生し電気的に検出できる、波長選択性の受光素子なども実現可能である。また、熱ふく射のKirchhoff則にしたがって、逆にこの構造を加熱することによって吸収特性と逆の狭帯域のふく射を行う狭帯域ふく射光源として動作する。したがって、逆にこの構造を加熱することによって吸収特性と逆の狭帯域のふく射を行う狭帯域ふく射光源として動作する。なお、図7(d)の構造の方が波長分解能は高くできるが、角度に対する共鳴波長の変化も大きくなるため、指向性の必要とされる用途に向く(図4を参照)。一方、指向性が不利となる場合は、図7(c)の構造において、共振器層の屈折率を高くすることで、指向性を落すことができる(以下で、図8に基づいて行っている説明を参照)。
さらに言えば、この多重反射の結果としての電場の強度分布が、全反射層の近くに寄っていると、金属内の電荷が激しく振動し、損失によりジュール熱発生の度合いが大きくなるが、電場の分布の重心が金属部分から遠いと、損失が減り狭帯域になる。この条件を満たしつつ多重反射が生じる様に、すべての層の厚さを図7のGires-Tournois構造からずらして最適化しても良い。より具体的に説明すれば、図7Aは図7(d)に示す構造の電磁場計算の結果を示す。図中、縦方向が素子の深さ方向(層の厚み方向)であり、横方向が層の面に平行な方向である。ここで、電場Eの分布の中心が誘電体の内部にある。誘電体は損失が殆どない(誘電関数の虚部ε’≒0)ため、ジュール損失が少なくなり、共鳴がシャープになる(共鳴の幅が狭くなる)。一方、電場分布が金属に近寄ると、金属内での電荷振動によるジュール損失が大きい(ε’が大きい)ので、共鳴幅がブロードになる。このように各層の厚さを調整することで、電場分布を調整し、スペクトルの幅を調整することが可能である。なお、図7(b)の構造で、共振器層の共鳴波長を、意図的に誘電体のフォノン振動数など損失のある周波数に近づけた場合、吸収率を1近くに引き上げることが可能であり、簡便な2層構造で高い吸収・放射を実現することができる。
図8に、本発明のふく射光源の動作上の特徴に関連して、本発明のふく射光源の別の構造の例を示す。これは、誘電体共振器層の両側に金属層として上記のLaBや耐熱合金(高耐温度合金)、ITOなどを隣接して配置した構造である。図8の(a)及び(b)はそれぞれ共振器層の屈折率が大きい場合(n)及び小さい場合(n)の光の経路を示した模式図である。屈折率が大きい(a)の場合の方が共振器層内に入った際の光の光路長の変化分が小さく、角度による共振波長の変化分が少なくなることが分かる。つまり、共振器層の屈折率が高くなるにつれて、入射角度に対する共鳴波長の分散が小さくなる。換言すれば、この場合には広角で意図する特定波長のふく射を放射できることになる。逆に共振器層の屈折率が小さい場合は、角度に応じて共鳴波長が大きく変わり、ふく射スペクトルがブロードになってしまう。前者の屈折率が大きい構造を用いることで、大面積の面状の対象物に対して、狭帯域かつ均一な加熱が可能となる。また波長選択型受光素子への応用の場合には広い角度から入射する光を検知することができる。なお、ここで説明されている、角度による共振周波数変化の程度が共振器層の屈折率の大小の影響を受けるというふく射光源の動作上の特徴は、図8(a)、(b)に示す構造に限られず、図7に例示されたようなそれ以外の各種の構造でも同じであることに注意されたい。
また、窓ガラス等において、可視光に対しては透明だが遮熱性が高い材料が求められることがある。ここで、本発明のふく射光源の構成の各種のパラメータを調節することにより、赤外領域中で室内等の温度上昇への寄与の大きな波長域で吸収が大きくなるようにすることができるので、本発明の構造はこの種の遮熱部材にそのまま利用することができる。
以下に、これで全ての材料を網羅するというわけではないが、本発明で使用可能な代表的な材料について屈折率、複素誘電率の実部(この値がマイナス側に大きい程、性能が良好)、融点及び熱膨張率の典型的な値を示す。なお、正しい値が知られていなかったり、あるいは報告されているが、複数の報告間で大きく相違する等、信頼性が十分でないと考えられたりする値については「(不明)」と記載した。
○ SiO:波長3μmで屈折率1.39、9μmで誘電率実部ε’=-4、融点は1700℃、熱膨張率は、0.6×10-6-1
○ Si:波長3μmで屈折率3.4、融点は1414℃、熱膨張率は2.6×10-6-1
○ Ge:波長3μmで屈折率3.9、融点は938℃、熱膨張率は6.0×10-6-1
○ AlSb:波長3μmで屈折率3.2、融点は1060℃、熱膨張率は4.2×10-6-1
○ Al:波長3μmで屈折率1.77、22μmで誘電率実部ε’=-36、融点は2072℃、熱膨張率は7.2×10-6-1
○ SiC:波長3μmで屈折率2.6、12μmで誘電率実部ε’=-100、融点は2730℃、熱膨張率は4.4×10-6-1
○ Si:波長3μmで屈折率1.8、融点は1900℃、熱膨張率は3.0×10-6-1
○ LaB:波長3μmでε’=-250(金属)、融点は2210℃、熱膨張率は7.2×10-6-1
○ Au:波長3μmでε’=-747(金属)、融点は1064℃、熱膨張率は14.2×10-6-1
○ Ag:波長3μmでε’=-486(金属)、融点は962℃、熱膨張率は18.9×10-6-1
○ Al:波長3μmでε’=-869(金属)、融点は660℃、熱膨張率は23.1×10-6-1
○ Cu:波長3μmでε’=-464(金属)、融点は1085℃、熱膨張率は16.5×10-6-1
○ W:波長3μmでε’=-163(金属)、融点は3422℃、熱膨張率は4.5×10-6-1
○ Mo:波長3μmでε’=-276(金属)、融点は2623℃、熱膨張率は4.8×10-6-1
○ Ta:波長3μmでε’=-291(金属)、融点は3713℃、熱膨張率は6.3×10-6-1
○ W:波長3μmでε’=-163(金属)、融点は3422℃、熱膨張率は4.5×10-6-1
○ Ir:波長3μmでε’=-69(金属)、融点は2446℃、熱膨張率は6.4×10-6-1
○ Pt:波長3μmでε’=-99(金属)、融点は1768℃、熱膨張率は8.8×10-6-1
○ TiN:波長3μmでε’=-182(金属)、融点は2930℃、熱膨張率は8.8×10-6-1
(なお、TiN以外にも、TaNのような金属窒化物も使用可能である。)
○ TiAl:波長3μmでε’=(不明)、融点は1460℃、熱膨張率は10.8×10-6-1
○ NiAl:波長3μmでε’=-105(金属)、融点は1682℃、熱膨張率は12.5×10-6-1(ここでの複素誘電率の実部の値は本願発明者等による第一原理計算により得られたもの)
○ ステンレス鋼:波長3μmでε’=(不明)、融点は1300~1500℃、熱膨張率は11×10-6-1
〇インジウム酸化錫(ITO):波長3μmでε’=-10(金属)、融点は1500~1900、熱膨張率は7×10-6-1
(なお、TiAl及びSUS430については、赤外領域における複素誘電率の実部の正確な値は不明であるものの、これは金属であるため、金属特性を有し、従って本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源の金属全反射層の材料として使用できると考えられる。また、インジウム酸化錫についての値は酸化インジウムが90%、酸化錫が10%の重量パーセントの場合のものである。また、ITO以外にも、酸化タングステンや酸化モリブデンなどの導電性金属酸化物も使用可能である。)
なお、分布反射器(分布反射層)と薄膜共振器(共振器層)の部分を一つにまとめ、屈折率コントラストの高い材料を組み合わせ、2ないし3層程度の積層構造とし簡略化した構造を用いても良い。また、すでに述べたように、分布反射器の代わりに大気(より正確にいえば、単にフレネル反射を生じるような誘電体-大気界面;もちろん、大気ではなく他の気体や真空の界面でもよい)、あるいは金属部分反射層を配置した簡略構造を用いても良い。
また、N型ドープSiCなどの高耐熱の半導体材料の表面に本発明のふく射構造を形成し、SiCに通電することで高温に加熱することも可能である。あるいは、アルミナやSiなどの耐熱性の絶縁基板上にふく射構造を形成し、本発明のふく射構造の金属全反射層に電流を流すことで、加熱することも可能である。
本発明のふく射光源では加熱することで光を放射するが、製品の加熱加工に不必要な波長の光を抑制できるため、ふく射全体に使われるエネルギーがセーブでき省エネ効果が見込める。また、同じ投入電力で光源を加熱する場合、広帯域な光を放射する黒体光源に対してふく射エネルギーの総量が少ないため、光源エレメントの温度を高く保持でき、光源の共鳴波長において、黒体光源よりも高い強度の光をふく射できる。本発明のふく射光源の最大の特徴は、大面積・安価、かつ高温でも安定して動作できる点にあり、実用的な大面積高強度光源としての利用価値は高い。また、照射する製品にとっても、必要なふく射のみを受けるため、不要な温度上昇や熱劣化を抑えることもできる。これにより、精度の高い成型や乾燥ができ、新しい高精度な製造プロセスへの道が拓かれる。さらに、放射波長の幅がシャープであるため、特定の分子振動を精度よく選択的に励起でき、あるいは選択的に避けることもでき、所望の化学結合・分子構造や反応に合わせて、加工・合成を高精度に制御しながら製品の製造ができる新しいプロセスが可能となる。同様に、特定の気体の化学結合や分子種の振動の吸収バンドに合わせた狭帯域な赤外光を放射する光源も製作可能である。これを利用して、例えば、フィルターが不要で構造の単純な小型・高性能な赤外線光源を実現でき、小型で高精度なNDIRセンサーの部品として、応用の可能性は高い。
なお、本発明のふく射光源は必ずしも550℃以上などの高温領域だけで使用できるものではなく、それ以下の温度領域でも十分に有効であることに注意すべきである。例えば、本発明のふく射光源は本質的に面で発光するので、大面積の対象物を加熱加工するのに好都合である。図1に示した従来構造でも面発光は可能であるが、図1の構造ではふく射光源の発光面方向に沿って一様ではなく、円盤や孔が配置されるという非一様構造を有しているのに対して、本発明のふく射光源はその表面に沿って一様な構造、言い換えれば切れ目のない一様な層により構成されるので、構造が単純であり、製造も容易である。しかも、本発明のふく射光源は上述したように切れ目のない一様な層構造を有するため、ふく射光源を使用している環境の雰囲気が腐食や酸化されやすい金属層の存在する内部へ浸透しにくい。したがって、円盤や孔のヘリから雰囲気ガスや汚染などが侵入しやすい図1の構造に比べて使用環境への耐性が高いという利点も有する。さらに、加工対象物の吸収スペクトルの共鳴波長やその幅に合わせて、発光スペクトルを制御することが必要である。このような場合、本発明のふく射光源では積層の際の膜厚調整(つまり成膜の蒸着時間等)などで、単に制御できるため、微細加工の必要なメタマテリアルや回折格子などを用いる方法に比べて、はるかに簡便に発光スペクトルを設計・制御できる。
本発明のふく射光源を実施するための典型的な構造の例を図2に示す。また、図3の上側の構造の例に対する吸収率スペクトルの例を図3の下側に示す。なお、吸収率は放射率に等しい。
熱膨張の小さく、赤外波長帯域で誘電率実部の値が負に大きく、虚部の値が小さいLaBを金属全反射層として厚さ100nm以上積層し、その上にAlによる共振器層を厚さ1205nmで積層する。そして共振器層の上に、SiC層を323nm、Al層を625nm、として、この積層をくりかえす。この積層構造によるふく射光源の赤外反射スペクトル、吸収スペクトルのシミュレーション結果を図3下側左に示す(ここで、透過率がゼロであることから、吸収率=1-反射率となる)。ふく射におけるキルヒホッフの法則により、吸収率は放射率と等価であるため、この図における吸収スペクトルは放射率スペクトルと等しくなる。この構造では4μmに半値幅50nmを持つ、放射率が0.94、Q値が80程度のシャープな赤外ふく射のピークを持つことが分かる。また、この構造では、図4に示したように、角度と共に吸収(または放射射)の共鳴波長が変化するが、これを利用して、入射角度によって検出波長を変化できるセンサー、あるいは、放射角度によってふく射波長を調整できる高指向性を持つ光源、などが可能である。
次に、本発明を実施するためのふく射光源の製作法を以下に示す。
まず、ガラス、石英、アルミナ、Si、W、Mo、Ta、AlN,Si、フェルニコ系合金など熱膨張係数の小さな材料を、熱源に接した基板材料として用い、その上にW、Mo、LaB、TiC、TiNなどの高融点かつ熱膨張係数の小さい金属導電性材料を金属全反射層として鏡面状に製膜した。W、Moはアルバック製電子ビーム蒸着装置、あるいは芝浦メカトロニクス社製i-Miller(CFS-4EP-LL、芝浦メカトロニクス)を用い、DCスパッタで製膜した。
LaBはエイコー社製電子ビーム蒸着装置(EB350改)を用い、ベースプレッシャー10-8Pa台(つまり、1×10-8Pa以上で、1×10-7Pa未満)、蒸着中圧力10-6Pa台以下(つまり10-6Pa台に入っているかあるいはそれよりも低い圧力)にて、蒸着レートが3.5nm/sec程度となるように製膜した。蒸着用のターゲットを真空ホットプレスによる焼結体から、FZ法による単結晶へと変えることで、さらに高性能なLaB膜が実現できた(波長3μmでε’=-250)。ターゲットとしてホットプレスによる焼結体を使用した場合、成膜時の下地温度を740℃~800℃程度とすることで、良好な金属特性が得られた(図5(a)、(b)参照)。
一方、パルスレーザー堆積法(PLD法)の場合には、誘電率実部が正の値となり、金属特性を有する膜は製膜できなかった(蒸着中圧力5×10-5Pa以下、成膜温度800℃、蒸着レート0.004nm/secで製膜)。従来知られていたLaB膜はこのように金属特性を発揮しなかったり、あるいは発揮しても極めて不十分なものであったため、本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源の金属全反射層として現実には使用できないものであった。これに対して、本願発明者が見出したところの、上述した方法により作成したLaB膜は、図6を参照して既に説明したとおり、赤外領域ではAuにほぼ匹敵するFOMを示す。これに加えて、本発明の一形態に係る狭帯域積層型ふく射光源は550℃、600℃以上等の高温での使用に耐えることが求められる点も考慮すると、本願発明者が初めて実現した高い金属特性を有するLaB膜は本発明に使用するにあたって非常に好適なものである。より一般的に言えば、ここで金属全反射層に使用できる材料のFOMは1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、5以上であればさらに好ましい。
FOMの好適な値の範囲について、LaB膜を使用する場合を例としてより具体的に説明すれば、好ましいFOM値は上で説明したように1以上とすることができる。また、本発明者が見出した新規な成膜方法によるLaB膜は他の多くの金属特性を有する材料に比べて高いFOM値を有し、これによりさらに良好な特性を示すため、さらに好ましいFOM値として2以上とすることができる。また、これも本発明者が見出したように、上記新規な成膜方法において、LaBターゲットとしてホットプレス焼結体ではなく単結晶のLaBを使用することで更に大きなFOM値を実現することができるようになるので、この場合にはより一層好ましいFOM値として5以上とすることができる。
TiNはPLD法にて、蒸着中圧力5×10-6Pa以下、蒸着レート0.01nm/sec以上の条件で製膜し、良好な金属膜を得ることができた。
W、Moなどのプラズモン材料は高温においてセラミックスとの密着性が高い。またこれらの材料は熱膨張係数も小さく、そのためAlN、Si、フェルニコ系合金など熱膨張係数の小さな材料の上に製膜しても、熱膨張率の差が小さいことから界面上での熱応力が小さくなるため好ましい。あるいは、片側鏡面仕上げを施したMo、Wの板材をそのまま基板兼金属全反射層として用いても良い。
金属全反射層面上には密着性の良いAl、SiO、など比較的屈折率の低い絶縁体、あるいはSiCや高純度Siなどの高屈折率絶縁体を共振器層として製膜し、この共振器層の上に、さらに屈折率が交互に変化するように製膜した分布反射層を周期的に配置し、図2あるいは図3の構造を形成した。屈折率は出来るだけ大きな差のある組み合わせが良く、例えば、SiOとSiCあるいは、AlとSiCなどを組み合わせる。最外層はAlが、あるいはSiCなどが高温でも大気中の酸化に対して強く、望ましい。これらの絶縁体膜の成膜は、芝浦メカトロニクス社製i-Miller(CFS-4EP-LL、芝浦メカトロニクス)を用いてRFスパッタにて製膜を行った。製膜した材料の光学特性を分光エリプソメーターで測定した結果を図5に示す。
次に、先に図8(a)及び(b)を参照して説明したふく射光源の実施例を示す。ここでは、ITOを2枚の金属反射層とし、共振器層をアルミナとしたふく射光源を製作したこのふく射光源の吸収率を測定した結果を図8()に示す。これからわかるように、このふく射光源では入射角0~60°程度の範囲で吸収率がピークを示す波長、つまり共鳴波長が殆ど変化しない。このように吸収率の角度分散が小さいということは、上記Kirchhoff則により、ふく射の角度分散(ふく射強度のふく射方向(角度)による変化)も小さいということになり、大面積の加熱加工に好適なデバイスである。図9(a)、(b)に、図8(c)に示される構造のふく射光源を23℃に保持し、また200℃~700℃にアニールした場合の、反射スペクトル及び透過スペクトルをそれぞれ示す。図9(a)から、2.0から3.0μm近傍に反射率スペクトルに大きなディップが生じ、この波長帯域で高い吸収率つまり高い放射率を持つことが分かる。また、図9(b)の透過率スペクトルからは、この構造が可視帯域で高い透過率を持ち、赤外帯域で低い透過率を示すことが分かる。また、透過の帯域幅は希釈水素ガス雰囲気中のフォーミングガスアニールなどによりITOの物性を調整することで可能である。このような特徴は、本構造が遮熱窓材などの遮熱コーティング、より一般的には遮熱部材としても適することを示している。このようなふく射光源や遮熱部材には、ITOだけでなく、酸化タングステンやAlやGaをドープしたZnOなどの透明導電性酸化物、ワイドギャップな金属窒化物や炭化物などでも使用可能である。
更に、本発明のふく射光源を高温で使用した場合のふく射光源構造の破壊についての実験を行った。具体的には、図10に示す構造のふく射光源を作製して、800℃を超える高温で動作させ、その破壊温度を調べた。ここで、ふく射光源構造としてはSiC層とAl層とが交互に積層されている、上述の分布反射器を使用しており、シリコン基板上に形成される金属全反射層の材料として耐熱性の材料であるTa、Mo、W及びLaBをそれぞれ使用した。図10(a)から(c)には、これらふく射光源のうちのTa、Mo及びWを使用したふく射光源の概念的な断面図及びこれらのふく射光源からの温度をパラメータとしたふく射スペクトルをそれぞれ示す。また、図11には金属全反射層の材料としてLaBを使用した場合の断面写真及びこのふく射光源からの温度をパラメータとしたふく射スペクトルを示す。なお、ふく射光源の動作温度は各スペクトルのグラフ上部に示す。なお、これらのスペクトルはふく射光源構造が破壊される温度よりもわずかに低い温度で測定した。更に、これらの温度を超えてふく射光源を動作させることで破壊されたふく射光源のSEM像を図12A~図12Dに示す。なお、図12Dに示した、金属全反射層材料としてLaBを使用した場合の破壊状況では、1100℃超で実際に亀裂やゆがみなどを生じ破壊されたのは光源部ではなく耐熱性の低い下地のSiであり、耐熱性が更に高い下地を使用した場合にはより高温まで破壊されることなく使用できる可能性があることに注意されたい。このような下地としては、これに限定する意図はないが、例えばSi、SiC、AlN等の薄膜を使用すれば、下地の耐熱性・断熱性が高くなるので、Si下地の場合に比べてより良好な特性のふく射光源が得られる。
特許第4214178号 特開2015-114497号 特許第5867810号
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Claims (23)

  1. プラズモニック反射層と、
    前記プラズモニック反射層に隣接して設けられ、前記プラズモニック反射層の表面に沿って一様な絶縁体の層から成る共振器層と、
    前記共振器層の前記プラズモニック反射層の反対側に設けられ、前記共振器層の表面に沿って一様であり、かつ、屈折率が互いに異なる複数種類の絶縁体層の交互積層からなる分布反射層と
    を設け、
    前記プラズモニック反射層を加熱することにより、赤外光を前記分布反射層から外部にふく射する積層型ふく射光源。
  2. 前記分布反射層を構成する前記複数種類の絶縁体層の少なくとも一つは高耐温性を有する、請求項1に記載の積層型ふく射光源。
  3. 金属全反射層と、
    前記金属全反射層に隣接して設けられ、前記金属全反射層の表面に沿って一様な絶縁体の層から成る共振器層と、
    前記共振器層の前記金属全反射層の反対側に設けられ、前記共振器層の表面に沿って一様であり、かつ、入射光の一部を反射する部分反射層と
    を設け、
    前記金属は使用する波長で複素誘電率の実部が負である光学的金属材料であり、
    前記金属全反射層を加熱することにより、赤外光を前記部分反射層から外部にふく射する積層型ふく射光源。
  4. 前記部分反射層は、前記共振器層の前記金属全反射層とは反対側の表面により形成される前記共振器層と外部空間との界面である、請求項3に記載の積層型ふく射光源。
  5. 前記部分反射層は、入射光の一部を反射する金属層である、請求項3に記載の積層型ふく射光源。
  6. 前記入射光の一部を反射する金属層は高耐温性を有する、請求項5に記載の積層型ふく射光源。
  7. 前記部分反射層は、屈折率が互いに異なる複数種類の絶縁体層の交互積層からなる分布反射層である、請求項3に記載の積層型ふく射光源。
  8. 前記複数種類の絶縁体層の少なくとも一つは高耐温性を有する、請求項7に記載の積層型ふく射光源。
  9. 前記共振器層を形成する絶縁体の層と前記分布反射層中の屈折率の低い方の絶縁体層とは同じ材料からなる、請求項7または8に記載の積層型ふく射光源。
  10. 前記共振器層を形成する絶縁体の層と前記分布反射層中の屈折率の低い方の絶縁体層とは異なる材料からなる、請求項7または8に記載の積層型ふく射光源。
  11. 前記分布反射層を構成する前記複数種類の絶縁体層の屈折率のうちの高い方の屈折率は低い方の屈折率の1.3倍以上である、請求項1、7、8、9または10に記載の積層型ふく射光源。
  12. 前記分布反射層を構成する前記複数種類の絶縁体層中、少なくとも大気に接触する絶縁体層は酸化物またはSiCからなる、請求項1、7、8、9、10または11に記載の積層型ふく射光源。
  13. 前記分布反射層中の屈折率の低い方の絶縁体層の材料はSiO、Al及びSiからなる群から選択され、前記分布反射層中の屈折率の高い方の絶縁体層の材料はSi、Ge、SiC、Ta、Nb及びHfOからなる群から選択される、請求項1、7、8、9、10、11または12に記載の積層型ふく射光源。
  14. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は高耐温性を有する、請求項1から13の何れかに記載の積層型ふく射光源。
  15. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は、複素誘電率の実部が負の値を有するLaB、Au、W、Mo、Cu合金、Al合金及びNi合金、並びに複素誘電率の実部が赤外帯域で負の値を有する金属窒化物、金属炭化物、導電性金属酸化物、炭化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び金属ホウ化物からなる群から選択される、請求項1から13の何れかに記載の積層型ふく射光源。
  16. 前記金属炭化物はTiC及びTaCからなる群から選択される、請求項15に記載の積層型ふく射光源。
  17. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は、複素誘電率の実部が負の値を有するTiN及びTaNからなる群から選択される、請求項1から10の何れかに記載の積層型ふく射光源。
  18. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層は、複素誘電率の実部が負の値を有する透明導電性酸化物である、請求項1から10の何れかに記載の積層型ふく射光源。
  19. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層はFOMが1以上の材料からなる、請求項1から18の何れかに記載の積層型ふく射光源。
  20. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層の共振器層の反対側に基板が設けられ、
    前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層の加熱は前記基板を介して行われる、
    請求項1から19の何れかに記載の積層型ふく射光源。
  21. 前記基板または前記基板表面を抵抗を有する導電体で構成し、前記加熱は前記基板に通電することにより行われる、請求項20に記載の積層型ふく射光源。
  22. 前記基板はN型ドープSiCを含む、請求項21に記載の積層型ふく射光源。
  23. 前記プラズモニック反射層または前記金属全反射層に通電することにより前記加熱を行う、請求項1から19の何れかに記載の積層型ふく射光源。
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