JP2015214055A - ポリビニルアルコール系樹脂成形体の製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶融押出機1に揮発成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂を投入して溶融押出した後、所定形状の成形体を作製してなるポリビニルアルコール系樹脂成形体の製法であって、上記多段のベントが設けられた溶融押出機1として、投入したポリビニルアルコール系樹脂が溶融し始めた後で、かつ完全溶融状態となる前の領域にベント3が設けられた溶融押出機を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
《PVA》
本発明のPVA成形体の製法に用いられるPVAは、未変性のPVAおよび変性PVAのいずれでもよい。上記変性PVAとしては、例えば、アセトアセチル化PVA、オキシアルキレン基含有PVA、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA、カルボン酸変性PVA等があげられる。中でも、融点が低く、溶融成形する際に比較的低温で溶融できるという点から、上記側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVAが特に好ましい。
上記側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVAは、具体的には、下記の一般式(1)で表わされる、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVAであり、式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
本発明のPVA成形体の製法の工程を、一例としてペレットの製造工程について、図1に示す工程図に基づき順を追って説明する。ただし、本発明のPVA成形体の製法では、溶融押出機として、投入した粉末状PVAが溶融し始めた後で、かつ完全溶融状態となる前の領域に少なくとも一つのベントが設けられた溶融押出機を用いることが特徴であり、図1に示す工程に限定されるものではない。
図1に示す溶融押出機1の投入口2に、粉末状のPVAを投入し、溶融混練して単数あるいは複数の略棒状のストランド5に押出成形する。このとき押出されるストランド5の直径は、溶融押出機1の押出口に取り付けられる金型の孔の大きさとストランドの引き取り速度によって適宜設定されるが、通常、0.5〜4mmであり、好ましくは1〜3mm、特に好ましくは1.5〜2.5mmである。
図1に示すように、上記溶融押出されたストランド5を、冷却するわけであるが、風冷や空冷等の従来公知の方法を用いることができるが、PVAは水溶性のため水浴やシャワーによる冷却はできない。中でも好ましくは、水冷式の金属製エンドレスベルト6と霧を用いて冷却する方法である。詳しくは、ストランド5を水冷式の金属製エンドレスベルト6面に載置し、金属製エンドレスベルト6の回転駆動によりストランド5を移動させることによりストランド5と接触する側を冷却する。同時に、ストランド5表面に霧を噴霧した後、乾燥ガスを噴射することによりストランド5全体を冷却する。
また、噴霧する霧の平均水滴粒子径は、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは1〜10μmである。かかる粒子径が大きすぎるとストランドが濡れて、PVAが溶けることがある。
上記のような霧は、例えば圧搾空気と水を同時に噴霧する2流体スプレーノズル(例えば、いけうち社製 AKIJet)を用いることで噴霧することができる。
上記工程により冷却されたストランド5をペレット状に切断するための切断装置9に供給することにより、ストランド5をペレット状に切断成形する(ペレット化工程)。上記切断装置9としては、例えば、ペレタイザー等、回転刃にてストランド5を連続的にペレット状に切断する装置等があげられる。そして、この切断の際に、切断時の摩擦熱に起因したストランド5の温度上昇を抑制し適正な温度に冷却するため、切断部分に冷却ガス10が供給されることが好ましい。上記冷却ガス10としては、前述の乾燥ガスと同様、例えば、空気、不活性ガス(例えば、窒素ガス、炭酸ガス等)等があげられるが、好ましくは空気を噴射することによる空冷方式が採用される。上記冷却ガス10の供給ガス量としては、通常、150〜1200NL/min、好ましくは300〜1000NL/min、特に好ましくは500〜800NL/minである。また、供給する冷却ガス10温度としては、通常、5〜30℃、好ましくは8〜20℃、特に好ましくは10〜15℃である。
上記ストランド切断(ペレット化)工程を経由することにより切断成形されたPVA製ペレット(以下、単に「ペレット」という場合がある。)11は、そのペレット化形状を固定するために、ペレット冷却工程を経由させることが好ましい。上記ペレット冷却工程としては、例えば、図1に示すように、ペレット冷却装置14内にて、切断され成形されたペレット11を金属製網12上に載せ、矢印方向に移動させながら金属製網12自体を振動させる態様が、金属製網12表面に対するペレット11の付着防止および効果的な冷却の点から好ましい。加えて、冷却方法として、冷却ガス13を金属製網12の下方から上記金属製網12を通過させてペレット11に供給するとともに、ペレット冷却装置14の上方から装置外に冷却ガス13を流通させることにより、ペレット冷却装置14内にて冷却ガス13を滞留させないことがペレット11冷却の点から好ましい。上記冷却ガス13としては、前述の乾燥ガスと同様、例えば、空気、不活性ガス(例えば、窒素ガス、炭酸ガス等)等があげられるが、好ましくは空気である。上記冷却ガス13のガス量としては、通常、5〜60m3/min、好ましくは20〜50m3/min、特に好ましくは30〜40m3/minである。また、供給する冷却ガス13温度としては、通常、5〜35℃、好ましくは10〜30℃、特に好ましくは15〜25℃である。
上記冷却されたペレット11は、通常、分級工程を経由することにより、所望の形状・大きさに選別される。このようにして最終製品となるPVAからなるペレット11が得られる。
図1に示す工程図に基づき、下記のようにしてPVA成形体の一種であるPVA製ペレットを製造した。
還流冷却器、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル76.6部(初期仕込み率は、40%)、メタノール14.2部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン9.2部(初期仕込み率は40%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを(対仕込み酢酸ビニル0.068モル%)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを13.5時間等速滴下しながら重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が91%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
溶融押出機(2軸スクリュー式:東芝機械社製 TEM−58BS)1の投入口2に、上記で得られたPVAを投入し、溶融混練して単数の略棒状のストランド5に以下の条件で押出成形した。
直径(D)58mm、L/D=45
スクリュー回転数:150rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/A/D=90/120/150/180/200/205/210/210/210/210(℃)
スクリューパターン:2箇所練りスクリュー
スクリーンメッシュ:90/120/90mesh
吐出量:200kg/hr
ベント3位置:C4(口径150mm)
ベント4位置:C7(口径150mm)
なお、上記溶融混練の温度条件は、230℃とした。
目視で観察したところC2付近でPVAが溶融を開始し、C5とC6の間で完全溶融した。
上記溶融押出された約230℃のストランド5を、水冷式のステンレス製ベルト6面に載置し、ステンレス製ベルト6の回転駆動によりストランド5を移動させることによりストランド5の下側を冷却した。同時に、図1に示すように、ステンレス製ベルト6の回転駆動により移動するストランド5上方に、霧を噴霧する噴霧装置7(いけうち社製 AKIJet)を設け、ストランド5表面に上部から霧を噴霧してストランド5表面に水分を付着させストランド5全体を冷却した。なお、上記水冷式のステンレス製ベルト6の冷却水の温度は20℃であった。また、上記噴霧装置7の使用に際して、水噴霧量は3L/hrとした。
上記工程により冷却された93℃で含水量が0.05%のストランド5をペレット状に切断するために、ペレタイザー9(タナカ社製 TSL−450型)に供給してストランド5をペレット状に切断した(ペレット化工程)。同時に、上記ペレット状に切断する際に、切断部分に冷却ガス10として空気を噴射し供給した。上記冷却ガス(空気)10の供給ガス量は800NL/minに、供給する冷却ガス10温度は10℃に設定した。
つぎに、上記ストランド切断(ペレット化)工程を経由することにより成形されたペレット11をペレット冷却工程に経由した。上記ペレット冷却工程は、図1に示すように、ペレット冷却装置(タナカ社製 ミストラルASC型)14内にて、切断され成形されたペレット11をステンレス製網12上に載せ、ステンレス製網12自体を振動させながら、ペレット11を矢印方向に順次移動させた。加えて、冷却ガス13をステンレス製網12の下方から上記ステンレス製網12を通過させてペレット11に供給するとともに、この冷却ガス13を滞留させないようペレット冷却装置14の上方から装置外に冷却ガス13を流通させた。上記冷却ガス13は通常の空気であり、上記冷却ガス13のガス量は30m3/minに、供給する冷却ガス13温度は15℃に設定した。
つぎに、上記冷却されたペレット11を、振動型ペレット選別機(タナカ社製 PSL−300A)を用いて分級した。最終的に得られたペレット11は略円柱状であり、大きさは直径2.0mm×長さ2.0mmであった。
実施例1において、ベント3の位置をC5(完全溶融直前)にした以外は実施例1と同様し、大きさは直径2.0mm×長さ2.0mmの略円柱状のペレットが得られた。しかも、溶融混練時に何ら問題なく、ペレット11を作製することができた。
実施例1にて使用した溶融押出機1に代えて、ベント3が設けられていない二軸押出機を用いた。ベント4として、C7にベント口とC8の位置に真空ベント口を設けたベント4が2個形成された溶融押出機(2軸スクリュー式:東芝機械社製 TEM−58BS)を使用した。それ以外は実施例1と同様にしてペレットを製造しようと試みた。しかしながら、上記溶融押出機を用いた溶融混練作業において、バックプレッシャーが発生し、その蒸気がホッパー側に噴出し、供給される粉末を湿気させて団子状にし、粉末が押出機に入らないようになった。そのため、ペレット化が不可能であった。
3 ベント
5 ストランド
6 金属製エンドレスベルト
7 噴霧装置
9 切断装置
11 PVA製ペレット(ペレット)
12 金属製網
14 ペレット冷却装置
Claims (2)
- 溶融押出機に揮発成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂を投入して溶融押出した後、所定形状の成形体を作製してなるポリビニルアルコール系樹脂成形体の製法であって、上記溶融押出機として、投入したポリビニルアルコール系樹脂が溶融し始めた後で、かつ完全溶融状態となる前の領域に少なくとも一つのベントが設けられた溶融押出機を用いることを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂成形体の製法。
- ポリビニルアルコール系樹脂が粉末状である請求項1記載のポリビニルアルコール系樹脂成形体の製法。
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