JP2015209353A - 光学ガラス、光学素子及びプリフォーム - Google Patents
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Abstract
光学素子の薄型化や軽量化が可能となる、高い屈折率(nd)1.5以上であり、かつ、高いアッベ数(νd)70以上とを有する光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供する。
【解決手段】
光学ガラスは、カチオン成分としてP5+、Al3+、Sr2+及びBa2+を含有し、アニオン成分としてO2−及びF−を含有し、屈折率(nd)が1.50以上である。プリフォーム及び光学素子は、この光学ガラスからなる。
【選択図】なし
Description
P5+を20.0〜50.0%、
Al3+を15.0〜40.0%、
Sr2+を5.0〜30.0%及び
Ba2+を10.0〜50.0%
含有する(1)記載の光学ガラス。
Mg2+を0〜20.0%、
Ca2+を0〜20.0%、
含有する(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
La3+の含有率が0〜10.0%、
Gd3+の含有率が0〜10.0%、
Y3+の含有率が0〜10.0%、
Yb3+の含有率が0〜10.0%、
Lu3+の含有率が0〜10.0%
含有する(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
O2−を30.0〜70.0%
F−を30.0〜70.0%
含有する(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
本発明の光学ガラスを構成する各成分について説明する。
本明細書中において、各成分の含有量は特に断りがない場合は、全てモル比に基づくカチオン%又はアニオン%で表示されるものとする。ここで、「カチオン%」及び「アニオン%」(以下、「カチオン%(モル%)」及び「アニオン%(モル%)」と表記することがある)は、本発明の光学ガラスのガラス構成成分をカチオン成分及びアニオン成分に分離し、それぞれにおいて合計割合を100モル%として、ガラス中に含有される各成分の含有量を表記した組成である。
なお、各成分のイオン価は便宜的に代表値を用いているに過ぎないため、他のイオン価のものと区別するものではない。光学ガラス中に存在する各成分のイオン価は、代表値以外である可能性がある。例えば、Pは、通常イオン価が5価の状態でガラス中に存在するので、本明細書中では「P5+」と表しているが、他のイオン価の状態で存在する可能性がある。このように、厳密には他のイオン価の状態で存在するものであっても、本明細書では、各成分が代表値のイオン価でガラス中に存在するものとして扱う。
P5+はガラス形成成分であり、特に20.0%以上含有することで、ガラスの耐失透性を高められる必須成分である。そのため、P5+の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは22.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは30.0%を下限とする。
一方で、P5+の含有量を50.0%以下にすることで、P5+による屈折率やアッベ数の低下を抑えられ、且つ化学的耐久性の低下を抑えられる。従って、P5+の含有量は、好ましくは50.0%、さらに好ましくは45.0%、さらに好ましくは40.0%を上限とする。
P5+は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、Zn(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
一方で、Al3+の含有量を40.0%以下にすることで、Al3+による屈折率やアッベ数の低下や、ガラス転移点や屈伏点の上昇を抑えられる。従って、Al3+の含有量は、好ましくは40.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは30.0%、さらに好ましくは25.0%を上限とする。
Al3+は、原料としてAl(PO3)3、AlF3、Al2O3等を用いることができる。
一方で、Sr2+の含有量を30.0%以下にすることで、Sr2+の過剰な含有によるガラスの失透や屈折率の低下を抑えられる。従って、Sr2+の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは24.0%以下、さらに好ましくは21.0%以下とする。
Sr2+は、原料としてSr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
一方で、Ba2+の含有量を50.0%以下にすることで、Ba2+の過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下を抑えられる。従って、Ba2+の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは45.0%、さらに好ましくは40.0%、さらに好ましくは35.0%、さらに好ましくは32.5%を上限とする
Ba2+は、原料としてBa(PO3)2、BaCO3、Ba(NO3)2、BaF2等を用いることができる。
特に、この合計量を40.0%以上にすることで、耐失透性が高められる。従って、P5+及びAl3+の合計量は、好ましくは40.0%、より好ましくは45.0%、さらに好ましくは47.0%を下限とする。
一方で、この合計量を60.0%以下にすることで、屈折率やアッベ数の低下を抑えられる。従って、P5+及びAl3+の合計量は、好ましくは60.0%、より好ましくは58.0%、さらに好ましくは55.0%を上限とする。
特に、この合計量を30.0%以上にすることで、屈折率を高められ、且つ耐失透性が高められる。従って、Al3+及びBa2+の合計量は、好ましくは30.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは38.0%、さらに好ましくは40.0%、さらに好ましくは45.0%を下限とする。
一方で、この合計量を60.0%以下にすることで、ガラスのアッベ数の低下を抑えられ、耐失透性を高められる。従って、Al3+及びBa2+の合計量は、好ましくは60.0%、より好ましくは57.0%、さらに好ましくは55.0%を上限とする。
特に、この合計量を50.0%以上にすることで、屈折率を高められ、耐失透性が高められる。従って、P5+、Al3+及びBa2+の合計量は、好ましくは50.0%、より好ましくは55.0%、さらに好ましくは60.0%、さらに好ましくは65.0%を下限とする。
一方で、この合計量を95.0%以下にすることで、耐失透性が高められる。従って、P5+、Al3+及びBa2+の合計量は、好ましくは95.0%、より好ましくは90.0%、さらに好ましくは87.5%、さらに好ましくは85.0%を上限とする。
特に、この合計量を30.0%以上にすることで、屈折率を高められ、且つ耐失透性が高められる。従って、Sr2+及びBa2+の合計量は、好ましくは30.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは40.0%を下限とする。
一方で、この合計量を60.0%以下にすることで、ガラスのアッベ数の低下を抑えられ、耐失透性を高められる。従って、Al3+及びBa2+の合計量は、好ましくは60.0%、より好ましくは55.0%、さらに好ましくは50.0%を上限とする。
一方で、Mg2+の含有量を20.0%以下にすることで、Mg2+の過剰な含有によるガラスの失透や屈折率の低下を抑えられる。従って、Mg2+の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは17.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下とする。なお、Mg2+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下としてもよい。
Mg2+は、原料としてMgO、MgF2等を用いることができる。
一方で、Ca2+の含有量を20.0%以下にすることで、Ca2+の過剰な含有によるガラスの耐失透性や屈折率の低下を抑えられる。従って、Ca2+の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下とする。なお、Ca2+の含有量は、好ましくは8.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下としてもよい。
Ca2+は、原料としてCa(PO3)2、CaCO3、CaF2等を用いることができる。
一方で、この比率は、好ましくは40.0、より好ましくは35.0、さらに好ましくは32.0を上限とする。
一方で、この比率は、好ましくは70.0、より好ましくは65.0、さらに好ましくは60.0を上限とする。
また、R2+の合計含有量とは、これら4つのイオンのうち1種以上の合計含有量(例えばSr2++Ba2++Mg2++Ca2+)を意味するものとする。
特に、R2+を30.0%以上含有することで、より耐失透性の高いガラスを得ることができる。従って、R2+の合計含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは40.0%、さらに好ましくは42.0%を下限とする。
一方で、R2+の含有量を70.0%以下にすることで、R2+の過剰な含有による失透を低減できる。従って、R2+の合計含有量は、好ましくは70.0%、より好ましくは60.0%、さらに好ましくは55.0%を上限とする。
一方で、La3+の含有量を10.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コスト、比重を低減できる。また、これによりガラス転移点や屈伏点の上昇を抑えられる。従って、La3+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
La3+は、原料としてLa2O3、LaF3等を用いることができる。
一方で、Gd3+の含有量を10.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コスト、比重を低減できる。また、これによりガラス転移点や屈伏点の上昇を抑えられる。従って、Gd3+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
Gd3+は、原料としてGd2O3、GdF3等を用いることができる。
一方で、Y3+の含有量を10.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コスト、比重を低減できる。また、これによりガラス転移点や屈伏点の上昇を抑えられる。従って、Y3+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
Y3+は、原料としてY2O3、YF3等を用いることができる。
一方で、Yb3+の含有量を10.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コスト、比重を低減できる。また、これによりガラス転移点や屈伏点の上昇を抑えられる。従って、Yb3+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下とする。
Yb3+は、原料としてYb2O3、YbF3等を用いることができる。
一方で、Lu3+の含有量を10.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コスト、比重を低減できる。また、これによりガラス転移点や屈伏点の上昇を抑えられる。従って、Lu3+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
Lu3+は、原料としてLu2O3、LuF3等を用いることができる。
Ln3+の合計含有量を、0%超にすることで、高屈折率及び高アッベ数を維持しながらも、耐失透性を高めることができる。従って、Ln3+の合計含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%を下限とする。
一方、Ln3+の合計含有量を20.0%以下にすることで、Ln3+の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コストおよび比重を低減できる。従って、Ln3+の合計含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは7.5%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
一方で、Li+、Na+及びK+のうち1種以上の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下や、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、Na+びK+の各々の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下とする。
Li+、Na+及びK+は、原料としてLi2CO3、LiNO3、LiF、Na2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6、K2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
特に、Rn+の合計含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下や、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、Rn+の合計含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下とする。
一方で、Si4+の含有量を10.0%以下にすることで、Si4+の過剰な含有による失透を低減できる。従って、Si4+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下とする。
Si4+は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いることができる。
一方で、B3+の含有量を15.0%以下にすることで、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B3+の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
B3+は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、BPO4等を用いることができる。
一方で、Ge4+の含有量を10.0%以下にすることで、高価なGe4+の含有量が減少することで、ガラスの材料コストを低減できる。そのため、Ge4+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下とする。
Ge4+は、原料としてGeO2等を用いることができる。
一方で、Nb5+、Ti4+及びW6+の各々の含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の低下を抑えられ、且つガラスの着色による可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Nb5+、Ti4+及びW6+の各々の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下とする。
Nb5+、Ti4+及びW6+は、原料としてNb2O5、TiO2、WO3等を用いることができる。
一方で、Zr4+の含有量を10.0%以下にすることで、ガラス中の成分の揮発によるガラスの脈理を抑えられる。従って、Zr4+の含有量は好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下とする。
Zr4+は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
一方で、Ta5+の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減できる。従って、Ta5+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下とする。
Ta5+は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
一方で、Zn2+の含有量は30.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられる。従って、Zn2+の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Zn2+は、原料としてZn(PO3)2、ZnO、ZnF2等を用いることができる。
一方で、Bi3+の含有量は10.0%以下にすることで、ガラスの失透や、着色による可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Bi3+の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下とする。
Bi3+は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
一方で、Te4+の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの失透や、着色による可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Te4+の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。
Te4+は、原料としてTeO2等を用いることができる。
本発明の光学ガラスはO2−を含有する。O2−の含有量は、例えば30.0%〜70.0%にすることが好ましい。
特に、O2−を30.0%以上含有することで、ガラスの失透や、磨耗度の上昇を抑制できる。従って、O2−の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは45.0%、さらに好ましくは50.0%を下限とする。
一方で、O2−の含有量を70.0%以下にすることで、他のアニオン成分による効果を得易くできる。従って、O2−の含有量は、好ましくは70.0%、より好ましくは67.0%、さらに好ましくは65.0%、さらに好ましくは60.0%、さらに好ましくは55.0%を上限とする。
O2−は、原料としてAl2O3、MgO、BaO等の各種カチオン成分の酸化物や、Al(PO)3、Mg(PO)2、Ba(PO)2等の各種カチオン成分の燐酸塩等を用いることができる。
特に、F−を30.0%以上含有することで、ガラスの異常分散性やアッベ数を高め、且つガラスの耐失透性を高められる。従って、F−の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは40.0%、さらに好ましくは42.5%とする。
一方で、F−の含有量を70.0%以下にすることで、ガラスの磨耗度の低下を抑えられる。従って、F−の含有量は、好ましくは70.0%、より好ましくは60.0%、さらに好ましくは55.0%、さらに好ましくは50.0%を上限とする。
また、ガラスの失透を抑制する観点から、O2−の含有量とF−の含有量の合計は、好ましくは98.0%、より好ましくは99.0%を下限とし、さらに好ましくは100%とする。
F−は、原料としてAlF3、MgF2、BaF2等の各種カチオン成分のフッ化物を用いることができる。
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加できる。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又はアルミナ坩堝又は白金坩堝に投入して粗溶融した後、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて900〜1250℃の温度範囲で2〜10時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、900℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより製造することができる。
本発明の光学ガラスは、高屈折率を有する。また、本発明の光学ガラスは、高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.50、より好ましくは1.51、さらに好ましくは1.53を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.00、より好ましくは1.90、さらに好ましくは1.80であってもよい。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは70、より好ましくは72、さらに好ましくは74を下限とする。このアッベ数の上限は、好ましくは90、より好ましくは85、さらに好ましくは80であってもよい。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズであっても光の波長による焦点のずれ(色収差)が小さくなる。また、屈折率及びアッベ数がこのような数値を取ることで、近年発表されている高屈折・高分散の光学特性を有する光学ガラスと組み合わせたときに、高パワーの光学設計を行うことが可能な光学ガラスを得ることができる。
従って、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、光学系の高精度化及び薄型化を図ることができるため、光学設計の自由度を広げることができる。
なお、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01−2003に基づいて測定して得た値を意味するものとする。
より具体的には、本発明の光学ガラスの比重は4.50[g/cm3]以下である。これにより、光学素子やそれを用いた光学機器の質量が低減されるため、光学機器の軽量化に寄与できる。従って、本発明の光学ガラスの比重は、好ましくは4.50、より好ましくは4.40、好ましくは4.30を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの比重は、概ね3.00以上、より詳細には3.50以上、さらに詳細には4.00以上であることが多い。
光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定できる。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)が450nm以下であり、より好ましくは400nm以下であり、さらに好ましくは370350nm以下である。また、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す波長(λ5)が400nm以下であり、より好ましくは350nm以下であり、さらに好ましくは330300nm以下である。これにより、ガラスの吸収端が紫外領域に位置するようになり、可視域におけるガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスをレンズ等の光学素子の材料として用いることができる。
光学ガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定する。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ80(透過率80%時の波長)及びλ5(透過率5%時の波長)を求めることができる。
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数が70以上、より詳細には74以上であるとともに、このアッベ数は90以下、より詳細には80以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもλ5(透過率5%時の波長)が400nm以下、より詳細には300nm以下であり、所望の範囲内であった。
Claims (15)
- カチオン成分としてP5+、Al3+、Sr2+及びBa2+を含有し、アニオン成分としてO2−及びF−を含有し、屈折率(nd)が1.50以上である光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、
P5+を20.0〜50.0%、
Al3+を15.0〜40.0%、
Sr2+を5.0〜30.0%及び
Ba2+を10.0〜50.0%
含有する請求項1記載の光学ガラス。 - カチオン%(モル%)表示で、Al3+及びBa2+含有率の合計量(カチオン%)Al3++Ba2+が30.0%以上60.0%以下である請求項1又は2記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、P5+、Al3+及びBa2+含有率の合計量(カチオン%)P5++Al3++Ba2+が50.0%以上95.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、Ba2+含有率及びMg2+含有率の比Ba2+/Mg2+が1.0以上40.0以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、
Mg2+を0〜20.0%、
Ca2+を0〜20.0%、
含有する請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。 - カチオン%(モル%)表示で、Ba2+含有率及びAl3+含有率とMg2+含有量の比(Ba2++Al3+)/Mg2+が3.0以上70.0以下である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
- カチオン%(モル%)表示で、
La3+の含有率が0〜10.0%、
Gd3+の含有率が0〜10.0%、
Y3+の含有率が0〜10.0%、
Yb3+の含有率が0〜10.0%、
Lu3+の含有率が0〜10.0%
含有する請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。 - カチオン%(モル%)表示で、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+及びLu3+の合計含有率(Ln3+:カチオン%)が20.0%以下である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
- アニオン%(モル%)表示で、
O2−を30.0〜70.0%
F−を30.0〜70.0%
含有する請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。 - 70以上のアッベ数(νd)を有する請求項1から10のいずれか記載の光学ガラス。
- 比重が4.50以下である請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。
- 請求項1から12のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項1から12のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
- 請求項14記載のプリフォームを精密プレスしてなる光学素子。
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