JP2008100872A - ガラス製プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性の高いガラスを用いた場合であっても、失透や脈理のない高品質なプリフォームを製造する方法を提供する。
【解決手段】
精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、 流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製することを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法である。
【選択図】 なし
安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性の高いガラスを用いた場合であっても、失透や脈理のない高品質なプリフォームを製造する方法を提供する。
【解決手段】
精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、 流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製することを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ガラス製プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法に関する。
精密プレス成形法はモールドオプティクス成形法とも呼ばれ、ガラスをプリフォームと呼ばれる形状に予め成形し、プリフォームを加熱、軟化し、プレス成形型を用いて精密プレス成形する方法である(例えば、特許文献1参照)。
上記精密プレス成形法によれば、ガラス製非球面レンズなど従来の研削、研磨による方法では量産性に乏しい光学素子を比較的低コストで多量に供給することができる。
精密プレス成形に供するプリフォームは、熱間成形法、すなわち熔融ガラスからプリフォーム1個分の熔融ガラス塊を分離し、ガラスが冷却、固化する過程でプリフォームに成形する方法を用いて生産することができる。
熱間成形法では熔融ガラスからプリフォームを直接成形するので、量産性に優れるものの、安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性が高いガラスを用いて、失透や脈理などの欠陥のないプリフォームを生産するには非常に高度な技術が要求される。
特開2002-249337号公報
熱間成形法では熔融ガラスからプリフォームを直接成形するので、量産性に優れるものの、安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性が高いガラスを用いて、失透や脈理などの欠陥のないプリフォームを生産するには非常に高度な技術が要求される。
本発明は、このような事情のもとで、安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性の高いガラスを用いた場合であっても、失透や脈理のない高品質なプリフォームを製造する方法、および上記方法により製造したプリフォームを用いて光学素子を製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者が鋭意検討したところ、(イ)熔融ガラス塊をプレス成形することによりガラス体を作製し、該ガラス体を研磨処理してプリフォームを作製するか、または(ロ)ガラスブロックを分割して得たガラス片をプレス成形することによりガラス体を作製し、該ガラス体を研磨処理してプリフォームを作製することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法(以下、プリフォームの製法Iという)、
(2)精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形し、
該ガラスブロックを分割して複数のガラス片を作製し、
該ガラス片を加熱、軟化、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法(以下、プリフォームの製法IIという
)、
(3)フッ素成分含有ガラスまたはホウ酸塩ガラスからなるプリフォームを作製する上記(1)または(2)に記載のガラス製プリフォームの製造方法、および
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法により製造したガラス製プリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法
を提供するものである。
(1)精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法(以下、プリフォームの製法Iという)、
(2)精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形し、
該ガラスブロックを分割して複数のガラス片を作製し、
該ガラス片を加熱、軟化、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法(以下、プリフォームの製法IIという
)、
(3)フッ素成分含有ガラスまたはホウ酸塩ガラスからなるプリフォームを作製する上記(1)または(2)に記載のガラス製プリフォームの製造方法、および
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法により製造したガラス製プリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、熔融ガラス塊をプレス成形することにより作製したガラス体またはガラスブロックを分割して得たガラス片をプレス成形することにより作製したガラス体を研磨処理することにより、安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性の高いガラスを用いた場合であっても、失透や脈理のない高品質なプリフォームを製造する方法を提供することができる。また、上記方法により作製したプリフォームを用いて光学素子を製造する方法を提供することができる。
先ず、本発明のガラス製プリフォームの製造方法について説明する。
本発明のガラス製プリフォームの製造方法は、プリフォームの製法Iとプリフォームの製法IIからなる。
本発明のガラス製プリフォームの製造方法は、プリフォームの製法Iとプリフォームの製法IIからなる。
プリフォームの製法Iは、精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とする。
流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とする。
熔融ガラスは、ガラス原料を加熱、熔融する方法等の公知の方法により得ることができる。例えば、目的の光学特性が得られるようガラス原料を調合し、ルツボ、タンクなどの熔融容器内に導入、加熱して熔融した後、泡を切るための清澄工程、均質化のための攪拌工程を経て作製することができる。上記ガラス原料は、バッチ原料と呼ばれる未ガラス化原料を用いてもよいし、カレットと呼ばれるガラス化原料を用いてもよい。
得られた熔融ガラスは、熔融容器に連結するパイプ内を流下させる等して流出口から流出させ、プリフォーム1個分の重量に後述する研磨工程における研磨代分の重量を加えた重量を有する熔融ガラス塊を分離する。熔融ガラス塊の分離にあたっては、シアと呼ばれる切断刃で熔融ガラス流を切断してもよいし、切断痕が残らないように、例えば、パイプの流出口から熔融ガラスを滴下させたり、流出する熔融ガラス流先端を支持体により支持し、目的重量の熔融ガラス塊が分離できるタイミングで支持体を急降下して熔融ガラスの表面張力を利用して熔融ガラス流先端から熔融ガラス塊を分離する方法を用いてもよい。
上記熔融ガラス塊を、成形型でプレス成形して、プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製する。
上記ガラス体は、ターンテーブルを利用することにより、連続して作製することが好ましい。
例えば、ターンテーブル上に成形型の下型を複数個、テーブル回転軸を中心とする円周上に等間隔で配置する。テーブルはインデックス回転機構により回転する。1回のインデックス回転で各下型は回転前に隣の下型が停留していた位置まで移送され、停留する。下
型停留位置の一つをキャスト位置として上記流出口の直下に配置する。キャスト位置に停留する下型上にパイプから流出した熔融ガラス流の下端を受け、熔融ガラス流の途中をシアと呼ばれる切断刃で切断すること等により、熔融ガラス塊を下型上に分離する。分離が終了した時点で、テーブルをインデックス回転し、熔融ガラス塊を載せた下型をキャスト位置から次の停留位置まで移送する。この停留位置の上方には下型に対向する成形型の上型が待機しており、下型が停留した時点で上型が下降することにより、下型上の熔融ガラス塊を下型とともにプレスする。各下型の周囲にはそれぞれ予め胴型が設けられており、プレスによって熔融ガラス塊は上下型および胴型で囲まれた空間内に押し広げられてガラス体に成形されるとともに、ガラスの熱が上下型および胴型により急速に奪われ、冷却されて、粘度が急上昇する(このプレスを行う停留位置をプレス位置という)。下型の成形面には、ガラスの融着防止とプレス時の下型成形面上におけるガラスの滑りをよくするため、予め耐熱性粉末剤、例えば窒化ホウ素粉末などの粉末状離型剤を噴き付け法などにより塗布してもよい。
型停留位置の一つをキャスト位置として上記流出口の直下に配置する。キャスト位置に停留する下型上にパイプから流出した熔融ガラス流の下端を受け、熔融ガラス流の途中をシアと呼ばれる切断刃で切断すること等により、熔融ガラス塊を下型上に分離する。分離が終了した時点で、テーブルをインデックス回転し、熔融ガラス塊を載せた下型をキャスト位置から次の停留位置まで移送する。この停留位置の上方には下型に対向する成形型の上型が待機しており、下型が停留した時点で上型が下降することにより、下型上の熔融ガラス塊を下型とともにプレスする。各下型の周囲にはそれぞれ予め胴型が設けられており、プレスによって熔融ガラス塊は上下型および胴型で囲まれた空間内に押し広げられてガラス体に成形されるとともに、ガラスの熱が上下型および胴型により急速に奪われ、冷却されて、粘度が急上昇する(このプレスを行う停留位置をプレス位置という)。下型の成形面には、ガラスの融着防止とプレス時の下型成形面上におけるガラスの滑りをよくするため、予め耐熱性粉末剤、例えば窒化ホウ素粉末などの粉末状離型剤を噴き付け法などにより塗布してもよい。
次に、上型を上昇させてプレス位置の上方で待機させ、ガラス体を載せた下型を次の停留位置へ移送する。ガラス体は、取り出し時の外力で変形しない温度まで下型上で冷却された後、取り出しを行う停留位置(テイクアウト位置という)で吸引装置などを用いて下型から取り出され、徐冷される。
ガラス体を取り出した下型は、テーブルのインデックス回転によりキャスト位置へ移送され、次に成形する熔融ガラス塊を受け取る。
このように、インデックス回転により各下型は、キャスト位置、プレス位置、テイクアウト位置へと順次移送され、各停留位置において上記操作が繰り返される。
製法Iによれば、熔融ガラス塊は、成形型によって、ガラス体に成形されるとともに速やかに熱を奪われ急冷される。その結果、揮発性が高いガラスにおいて、揮発性成分が揮発する温度域を速やかに通過することができ、脈理発生の主たる原因となるガラス成分の揮発を低減することができる。流出時の粘性が極めて低いガラスにおいても、プレス成形工程でガラスが急冷されるので容易にガラス体を作製することができる。
成形型から取り出され、徐冷されたガラス体は、少なくとも研磨工程を経て、精密プレス成形用のプリフォームに仕上げられる。
上記研磨工程を行う理由は、熔融ガラス塊をプレス成形して、プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製したときに不可避に生じたシワ、表面欠陥、窪み等を除去するためである。この点を下記の(1)〜(3)に詳説する。
(1)熔融ガラス塊のプレス成形においては、高温のガラスが型に焼き付かないように、型の温度を予め低くしておく必要がある。しかしながら、型の温度を低くすることで、接触時にガラスが急冷されて局所的に収縮するため、ガラスと型との接触面積が一時的に減少し、熱伝導量も減少することになる。その結果、今度はガラス表面の温度が上昇することになるが、ガラス表面の温度が上昇すると、ガラスの粘性が低下し、ガラスと型との接触面積が増加することになるため、再度ガラスが冷却されて局所的な収縮が起こることになる。このようにガラスの収縮と粘性低下がプレス前において繰り返し起こり得ることから、ガラスの表面にシワが生じる場合があるが、製法Iにおいては、得られたガラス体を研磨工程に付することにより、上記シワを除去し、滑らかな表面を有するプリフォームを得ることができる。
(2)上述したように、成形型へのガラスの融着を防止しプレス時における下型成形面上
でのガラスの滑りをよくするために、成形型表面に窒化ホウ素粉末などの粉末状離型剤を塗布してプレス成形する場合、得られるガラス体表面に粉末の跡が残る場合があるが、この粉末の跡に起因する表面欠陥を上記研磨工程によって除去することによって、滑らかな表面を有するプリフォームを得ることが可能になる。
でのガラスの滑りをよくするために、成形型表面に窒化ホウ素粉末などの粉末状離型剤を塗布してプレス成形する場合、得られるガラス体表面に粉末の跡が残る場合があるが、この粉末の跡に起因する表面欠陥を上記研磨工程によって除去することによって、滑らかな表面を有するプリフォームを得ることが可能になる。
(3)ガラス表面部が冷却された後、中心部が遅れて冷却されると、冷却速度の差によって、得られるガラス体の中心部が収縮し、表面に僅かな窪みが生じるヒケと呼ばれる現象が起こる場合があるが、上記窪みを研磨工程によって除去することによって、滑らかな表面を有するプリフォームを得ることが可能になる。
加えて、上記研磨工程によって、プリフォームの質量を精密に調整することが可能になる。
なお、製法Iにおいては、上記研磨工程前および/または後に、他の処理工程を行ってもよく、このような処理工程としては、研磨工程前に行う研削工程や、研磨工程後に行う洗浄工程、乾燥工程等を挙げることができる。
次にプリフォームの製法IIについて説明する。
プリフォームの製法IIは、精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形し、
該ガラスブロックを分割して複数のガラス片を作製し、
該ガラス片を加熱、軟化、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするものである。
プリフォームの製法IIは、精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形し、
該ガラスブロックを分割して複数のガラス片を作製し、
該ガラス片を加熱、軟化、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするものである。
プリフォームの製法IIにおいて用いられる熔融ガラスを作製する方法は、上記プリフォームの製法Iと同様であり、また、ガラス体から少なくとも研磨工程を経てプリフォームを作製する方法もプリフォームの製法Iと同様である。そこで、以下、プリフォームの製法Iと異なる点について説明する。
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形する方法として、例えば、流出パイプの下方に鋳型を配置し、パイプから流出する熔融ガラスを鋳型に連続して鋳込む方法がある。鋳型は平坦な底面と、前記底面の周りの三方を囲む側壁を有するとともに、側方の一方向が開口したものを用いることが好ましい。底面を挟んで対向する側壁部分により、ガラスブロックの幅が規定される。鋳込まれたガラスを鋳型内で成形し、上記鋳型の開口部より一定の速度で水平方向に引き出し、連続搬送式の徐冷炉内へ導入して徐冷した後、適当な長さに切断または割断して、ガラスブロックに成形する(この方法をA法という)。
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形するA法以外の方法としては、例えば、真っ直ぐな貫通孔を有する鋳型を用いる方法を挙げることができる(以下、この方法をB法という)。本法においては、貫通孔が垂直になるようにパイプ下方に鋳型を設置する。貫通孔の水平断面は貫通孔の中心軸に沿って高さ方向(ガラスの流出方向)に相似形状となるようにし、上から下(ガラスの流出方向)に向かうにつれて徐々に断面積が増加するようにテーパー状とすることが好ましい。流出口から流出する熔融ガラスを貫通孔の上側開口部から鋳込むことにより、鋳型上部の温度が下部よりも高温となり、鋳型の膨張によって貫通孔上部断面が広がることから、定常運転時には貫通孔の垂直断面を任意の高さで一定にし、ガラスの移動をスムーズにすることができる。
貫通孔の上側開口部より鋳込んだ熔融ガラスは貫通孔内に広がるとともに鋳型によって速やかに熱を奪われ急冷される。こうして貫通孔の形状に対応する形状に成形されたガラスブロックが貫通孔下方の開口部から引き出され、徐冷される。上記B法は、円柱状、角柱状などの棒状のガラスブロックを作製する場合に適している。
A法は鋳型により底部と側面の3方向から熱を奪われるのに対し、B法はガラスの移動方向を除く全周から熱を奪われるので、流出粘性が低い耐失透性の低いガラスを成形する場合に有効である。また、高温のガラスが雰囲気に晒される面積も小さくなるので、B法は揮発性の高いガラスの成形にも有効である。
このようにして熔融ガラスの表面を急冷してガラスブロックを作製することにより、深層部への脈理発生の主たる原因となるガラス成分の揮発を低減することができる。また、粘性の低いガラスの成形も比較的容易に行うことができる。
次に得られたガラスブロックを切断または割断等により分割して複数のガラス片を作製する。このようにして得たガラス片にはエッジや角があるので、後述する加熱、軟化時にエッジや角が折れ込んで不良品になるおそれがあるため、エッジや角を除去する丸め加工を行うことが望ましい。丸め加工にはバレル研磨が好適である。
次に上記ガラス片を加熱、軟化し、プレス成形型中に導入してプレス成形し、目的のプリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製する。
このプレス成形でもガラス片導入前にプレス成形型の成形面に上記粉末状離型剤を塗布してもよいし、ガラス片表面に上記粉末状離型剤を塗布してもよい。
こうして得たプリフォーム形状に近似する形状を有するガラス体を徐冷した後、研磨工程を経て、プリフォームを作製する。
プリフォームの製法IIにおいても、上述したように、粉末状離型剤によってガラス体表面に粉末の跡に起因する表面欠陥が残る場合があり、また、ヒケによってガラス体表面に窪みが生じることがあるが、上記研磨工程により、滑らかな表面を有するプリフォームを得ることが可能になる。
なお、製法IIにおいても、上記研磨工程前および/または後に、他の処理工程を行ってもよく、このような処理工程としては、研磨工程前に行う研削工程や、研磨工程後に行う洗浄工程、乾燥工程等を挙げることができる。
プリフォームの製法I、IIとも、プリフォーム表面には必要に応じて炭素含有膜や自己組織化膜などをコートしてもよい。
プリフォームの製法I、IIは、特にフッ素成分含有ガラスまたはホウ酸塩ガラスからなるプリフォームを作製する場合に好適である。以下、フッ素成分含有ガラスおよびホウ酸塩ガラスについて説明する。
(フッ素成分含有ガラス)
フッ素成分含有ガラスとしては、特にフツリン酸ガラスを挙げることができる。このガラスはフッ素を含むため高温で高い揮発性を示すことから、本発明のプリフォームの製法I、IIを適用するガラスとして特に有効である。フツリン酸ガラスはヌープ硬さが小さく、磨耗度が大きいため、光学ガラスの中でも研磨しにくい部類のガラスであるが、プリフ
ォームの製法I、IIでは、プリフォームの形状に近似する形状を有するガラス体をプレス成形により作製していることから、研磨工程における労力を低減しつつプリフォームを作製することが可能になる。
フッ素成分含有ガラスとしては、特にフツリン酸ガラスを挙げることができる。このガラスはフッ素を含むため高温で高い揮発性を示すことから、本発明のプリフォームの製法I、IIを適用するガラスとして特に有効である。フツリン酸ガラスはヌープ硬さが小さく、磨耗度が大きいため、光学ガラスの中でも研磨しにくい部類のガラスであるが、プリフ
ォームの製法I、IIでは、プリフォームの形状に近似する形状を有するガラス体をプレス成形により作製していることから、研磨工程における労力を低減しつつプリフォームを作製することが可能になる。
また、フツリン酸ガラスは一般的に流出時の粘度が高く、流出する熔融ガラスから所望重量の熔融ガラス塊を分離して成形する際、分離部分でガラスが細い糸を引き、その糸状部分が成形したガラス塊表面に残って突起を形成するなどの不具合が生じる場合がある。ガラスの流出温度を上昇させ、その流出粘度を低下させることにより上記不具合を解消しようとすると、上述のようにガラス表面からフッ素の揮発を助長し、脈理発生が著しくなるという問題を生じやすいが、プリフォームの製法I、IIによれば、研磨処理によりガラス表面の突起等が除去されるので、上記問題を解消することができる。
フツリン酸ガラスの具体例としては、以下に示すガラスIを挙げることができる。
ガラスIは、カチオン%表示にて、
P5+ 10〜45%、
Al3+ 5〜30%、
Mg2+ 0〜20%、
Ca2+ 0〜25%、
Sr2+ 0〜30%、
Ba2+ 0〜33%、
Li+ 0〜30%、
Na+ 0〜10%、
K+ 0〜10%、
Y3+ 0〜5%、
B3+ 0〜15%、
を含有するとともに、
F-とO2-の合計量に対するF-の含有量のモル比F-/(F-+O2-)が0.25〜0.85であるガラスである。
ガラスIは、カチオン%表示にて、
P5+ 10〜45%、
Al3+ 5〜30%、
Mg2+ 0〜20%、
Ca2+ 0〜25%、
Sr2+ 0〜30%、
Ba2+ 0〜33%、
Li+ 0〜30%、
Na+ 0〜10%、
K+ 0〜10%、
Y3+ 0〜5%、
B3+ 0〜15%、
を含有するとともに、
F-とO2-の合計量に対するF-の含有量のモル比F-/(F-+O2-)が0.25〜0.85であるガラスである。
このガラスは、屈折率(nd)が1.40〜1.58、アッベ数(νd)が67〜90の光学特性を実現するガラスとしても好ましい。
ガラスIは、2価カチオン成分(R2+)としてCa2+、Sr2+およびBa2+のうち2種以上を含むものが好ましい。また、2価カチオン成分(R2+)であるMg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量が1カチオン%以上であるものが好ましく、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の含有量がそれぞれ1カチオン%以上であるものがより好ましい。
以下、上記ガラスIの組成について詳説するが、各カチオン成分の割合をモル比をベースにしたカチオン%で表示するとともに、各アニオン成分の割合もモル比をベースにしたアニオン%で表示するものとする。
P5+はガラスのネットワークフォーマーとして重要なカチオン成分であり、10%未満ではガラスの安定性が低下し、45%超ではP5+は酸化物原料で導入する必要があるため酸素比率が大きくなり目標とする光学特性を満たさない。したがって、その量を10〜45%とする。P5+の好ましい範囲は10〜45%、より好ましい範囲は10〜40%である。なお、P5+の導入にあたって、PCl5を使用することは、ガラスの熔融容器の構成材料である白金を侵食したり、揮発が激しいことから、製造安定性の観点から適当でなく、このためリン酸塩として導入することが好ましい。
Al3+はフツリン酸塩ガラスの安定性を向上させる成分であり、5%未満では安定性が低下し、また30%超ではガラス転移温度(Tg)及び液相温度(LT)が大きく上昇することにより、成形温度が上昇し、成形時の表面揮発による脈理が強く生じるため、プリフォームの製法Iにおいては均質なガラス体を、プリフォームの製法IIにおいては均質なガラスブロックを作製しにくくなる。したがって、その量を5〜30%とする。Al3+の好ましい範囲は7〜28%である。
2価カチオン成分(R2+)であるMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+の導入は安定性の向上に寄与するが、これらのうち2種以上、より好ましくはCa2+、Sr2+およびBa2+のうち2種以上を導入する。2価カチオン成分(R2+)の導入効果をより高める上から、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量を1カチオン%以上とすることが好ましい。またそれぞれの上限値を超えて導入すると安定性は急激に低下する。Ca2+、Sr2+は比較的多量に導入できるがMg2+、Ba2+は多量の導入は特に安定性を低下させる。しかしBa2+は低分散を保ちつつ高屈折率を実現できる成分であるため安定性を損なわない範囲で多く導入するのが好ましい。したがって、Mg2+の量は0〜20%とする。Mg2+の量の好ましい範囲は1〜15%である。
また、Ca2+の量は0〜25%とし、1〜20%とすることが好ましい。
Ba2+の量は0〜33%とし、1〜25%とすることが好ましい。
また、Ca2+の量は0〜25%とし、1〜20%とすることが好ましい。
Ba2+の量は0〜33%とし、1〜25%とすることが好ましい。
Li+は安定性を損なわずにガラス転移温度(Tg)を下げる成分であるが、30%超ではガラスの耐久性を損ない同時に加工性も低下する。したがって、その量を0〜30%とする。フツリン酸ガラスは一般にガラス転移温度が低く、精密プレス成形温度も低く設定できる。しかし、このガラスはプレス成形型との反応性に富むフッ素成分を含むため、プレス成形温度をより低くし、型とガラスの界面反応による光学素子表面のクモリや白濁が起きないように注意する必要があるため、上記効果のあるLi+を1%以上導入することが好ましくい。したがって、その含有量を1〜30%とすることが好ましく、2〜30%とすることがより好ましく、3〜30%とすることがさらに好ましく、4〜30%とすることがいっそう好ましい。
Na+、K+はそれぞれLi+と同様にガラス転移温度(Tg)を低下させる効果があるが同時に熱膨張率をLi+に比べてより大きくする傾向がある。またNaF、KFは水に対する溶解度がLiFに比べて非常に大きい事から耐水性の悪化ももたらすため、Na+、K+の量をそれぞれ0〜10%とする。Na+、K+の好ましい範囲はともに0〜5%であり、それぞれ導入しないことがより好ましい。
Y3+はガラスの安定性、耐久性を向上させる効果があるが、5%超では安定性が逆に悪化し、ガラス転移温度(Tg)も大きく上昇するため、その量を0〜5%とする。Y3+の量は0〜3%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。
B3+はガラス化成分なのでガラスを安定化させる効果があるが、過剰の導入は耐久性の悪化を招きまたB3+の増加に伴い、ガラス中のO2-も増加するため目標とする光学特性を達成しにくくなることから、その量を0〜15%とする。ただし、BF3として溶解中に揮発しやすく、脈理の原因となるため、その量を0〜10%とすることが好ましく、0〜5%とすることがより好ましい。ガラスの揮発性低減を優先する場合は、0〜0.5%とすることが好ましく、導入しないことがより好ましい。
なお、高品質な光学ガラスを安定して製造する上から、ガラスIにおいて、P5+、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Li+およびY3+の合計量をカチオン%で95%超とすることが好ましく、98%超とすることがより好ましく、99%超とすることがさらに好ましく、100%とすることがより一層好ましい。
ガラスIは、上記したカチオン成分以外にTi、Zr、Zn、La、Gdなどのランタノイドなどを、カチオン成分として本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
また、Si4+をガラスを安定化させる目的で導入することができるが、熔解温度が低いために過剰に導入すると熔け残りを生じたり、熔解時に揮発が多くなり製造安定性を損なうことになる。したがって、Si4+の量を0〜10%とすることが好ましく、0〜8%とすることがより好ましく、0〜5%とすることがさらに好ましい。
アニオン成分の割合としては、所望の光学特性を実現しつつ、優れた安定性を有する光学ガラスを得るために、F-とO2-の合計量に対するF-の含有量のモル比F-/(F-+O2-)を0.25〜0.85とする。アニオン中におけるF-とO2-の合計量を100%にすることが好ましい。
上記ガラスは、その屈折率(nd)が1.40〜1.58であり、アッベ数(νd)が67〜90、好ましくは70〜90である。
ガラスIは、着色剤を添加する場合を除いて、可視光域において高い透過率を示す。ガラスIは、両面が平坦かつ互いに平行な厚さ10mmの試料に、前記両面に対して垂直方向から光を入射したときの波長400nm〜2000nmにおける透過率(試料表面における反射損失を除く)が80%以上、好ましくは95%以上の光透過率特性を示す。
ガラスIでLi+を1%以上含むガラスでは、ガラス転移温度(Tg)を470℃以下、好ましくは430℃以下にすることができる。
Li+を含むガラスは、アルカリ金属イオンのうちLi+を比較的多量に含むことから、熱膨張率が比較的小さく、また比較的優れた耐水性を示すことから、ガラス体を研磨することにより滑らかで高品質なプリフォームに仕上げることができる。
ガラスIは優れた耐水性、化学的耐久性を示すので、プリフォームを作製してから精密プレス成形に供するまでの間、長期に保存してもプリフォーム表面が変質することがない。また、光学素子の表面も変質しにくいので、長期にわたり表面が曇らない良好な状態で光学素子を使用することもできる。
また、ガラスIでLi+を1%以上含有するものは、ガラス熔解温度をLi+を含まないガラスに比べて50℃程度低下することができるので、熔解時の容器からの白金溶け込みによるガラスの着色、泡の混入、脈理といった不具合も低減、解消することができる。
また、Li+を導入したガラスでは、ガラス転移温度を低くすることにより、プリフォームの精密プレス成形時におけるガラスの加熱温度を低下させることができ、ガラスとプレス成形型との反応が緩和されたり、プレス成形型の寿命を延ばすことができるなどの効果を得ることもできる。
ガラスIは、リン酸塩原料、フッ化物原料などを使用し、これら原料を秤量、調合して白金合金製の熔融容器に供給し、加熱、熔融し、清澄、均質化すること等により得ることができる。
また、フッ素成分含有ガラスとしては、Cu2+を含むフツリン酸ガラスを挙げることができる。このガラスは近赤外線を吸収するため、CCDやCMOSなどの半導体撮像素
子の色補正用フィルタ材料として好適である。そこで、このガラスを用いてプリフォームを作製し、精密プレス成形により表面に回折格子付きフィルタや非球面レンズなどの各種レンズを成形することができる。
子の色補正用フィルタ材料として好適である。そこで、このガラスを用いてプリフォームを作製し、精密プレス成形により表面に回折格子付きフィルタや非球面レンズなどの各種レンズを成形することができる。
回折格子付きフィルタはモアレ除去機能を有するローパスフィルタと色補正機能を有する近赤外線カットフィルタの2つの機能を有する光学素子となる。またレンズは、結像機能と近赤外線カットフィルタの2つの機能を備えた光学素子となる。
Cu2+を含むフツリン酸ガラスの具体例としては、以下に示すガラスIIを挙げることができる
ガラスIIは、カチオン%表示で、P5+ 11〜45%、Al3+ 0〜29%、Li+、Na+およびK+を合計で0〜43%、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+を合計で14〜50%、Cu2+ 0.5〜13%含み、さらにアニオン%表示でF− 17〜80%を含むガラスである。上記組成においてアニオン成分の残量はすべてO2-とすることが好ましい。
ガラスIIは、カチオン%表示で、P5+ 11〜45%、Al3+ 0〜29%、Li+、Na+およびK+を合計で0〜43%、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+を合計で14〜50%、Cu2+ 0.5〜13%含み、さらにアニオン%表示でF− 17〜80%を含むガラスである。上記組成においてアニオン成分の残量はすべてO2-とすることが好ましい。
以下、上記ガラスIIの組成について詳説するが、各カチオン成分の割合をモル比をベースにしたカチオン%で表示するとともに、各アニオン成分の割合もモル比をベースにしたアニオン%で表示するものとする。
ガラスIIにおいて、P5+はフツリン酸ガラスの基本成分であり、Cu2+の赤外域の吸収をもたらす重要な成分である。P5+の含有量が11%未満では色が悪化して緑色を帯び、逆に45%を超えると耐候性、耐失透性が悪化する。したがって、P5+の含有量は11〜45%とすることが好ましく、20〜45%とすることがより好ましく、23〜40%とすることがさらに好ましい。
Al3+はフツリン酸ガラスの耐失透性と耐熱性、耐熱衝撃性、機械的強度、化学的耐久性を向上させる成分である。ただし、29%を越えると近赤外吸収特性が悪化する。したがって、Al3+の含有量を0〜29%とすることが好ましく、1〜29%とすることがより好ましく1〜25%とすることがさらに好ましく、2〜23%とすることがより一層好ましい。
Li+、Na+およびK+はガラスの熔融性、耐失透性を改善させ、可視光域の透過率を向上する成分であるが、合計量で43%を超えると、ガラスの耐久性、加工性が悪化する。したがって、Li+、Na+およびK+の合計含有量を0〜43%とすることが好ましく、0〜40%とすることがより好ましく、0〜36%とすることがさらに好ましい。
アルカリ成分の中でもLi+は上記作用に優れており、Li+の量を15〜30%とすることがより好ましく、20〜30%とすることがさらに好ましい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+はガラスの耐失透性、耐久性、加工性を向上させる有用な成分であるが、過剰導入により耐失透性が低下するので、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計量を14〜50%にすることが好ましく、20〜40%にすることがより好ましい。
Mg2+含有量の好ましい範囲は0.1〜10%、より好ましい範囲は1〜8%である。Ca2+含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は3〜15%である。
Sr2+含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は1〜15%であ
る。
る。
Ba2+含有量の好ましい範囲は0.1〜20%、より好ましい範囲は1〜15%、さらに好ましい範囲は1〜10である。
Cu2+は近赤外光吸収特性の担い手である。その量が0.5%未満では近赤外吸収が小さく、逆に13%を越えると耐失透性が悪化する。したがって、Cu2+の含有量は0.5〜13%が好ましく、0.5〜10%がより好ましく、0.5〜5%がさらに好ましく、1〜5%がより一層好ましい。
F-はガラスIIにおいてガラスの融点を下げ、耐候性を向上させる重要なアニオン成分である。ガラスIIはF-を含有することによって、ガラスの熔融温度を下げ、Cu2+の還元を抑え、所要の光学特性を得ることができる。17%未満では耐候性が悪化し、逆に80%を越えるとO2-の含有量が減少するため1価のCu+による400nm付近の着色を生じる。従ってF-の含有量を17〜80%とすることが好ましい。上記特性を一層向上させる上から、F-の量を25〜55%にすることがより好ましく、30〜50%にすることがさらに好ましい。
O2-はガラスIIにおいて重要なアニオン成分であり、全アニオン成分のF-を除く残部全量をO2-成分で構成することが好ましい。したがって、O2-の好ましい量は上記F-の好ましい量を100%から差し引いた範囲となる。O2-が少な過ぎると2価のCu2+が還元され1価のCu+となるため短波長域、特に400nm付近の吸収が大きくなってしまい、緑色を呈するようになる。逆に過剰になるとガラスの粘度が高く、熔融温度が高くなるため透過率が悪化する。なお、Pb、Asは有害性が強いから、使用しないことが望ましい。
ガラスIIの好ましい透過率特性は以下のとおりである。
波長500〜700nmの分光透過率において透過率50%を示す波長が615nmである厚さに換算し、波長400〜1200nmの分光透過率が下記のような特性を示すものである。
波長400nmで78%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上、
波長500nmで85%以上、好ましくは88%以上、より好ましくは89%以上、
波長600nmで51%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは56%以上、
波長700nmで12%以下、好ましくは11%以下、より好ましくは10%以下、
波長800nmで5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.2%以下、より一層好ましくは2%以下、
波長900nmで5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.2%以下、より一層好ましくは2%以下、
波長1000nmで7%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは5.5%以下、さらに好ましくは5%以下、より一層好ましくは4.8%以下、
波長1100nmで12%以下、好ましくは11%以下、より好ましくは10.5%以下、さらに好ましくは10%以下、
波長1200nmで23%以下、好ましくは22%以下、より好ましくは21%以下、さらに好ましくは20%以下である。
波長500nmで85%以上、好ましくは88%以上、より好ましくは89%以上、
波長600nmで51%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは56%以上、
波長700nmで12%以下、好ましくは11%以下、より好ましくは10%以下、
波長800nmで5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.2%以下、より一層好ましくは2%以下、
波長900nmで5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.2%以下、より一層好ましくは2%以下、
波長1000nmで7%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは5.5%以下、さらに好ましくは5%以下、より一層好ましくは4.8%以下、
波長1100nmで12%以下、好ましくは11%以下、より好ましくは10.5%以下、さらに好ましくは10%以下、
波長1200nmで23%以下、好ましくは22%以下、より好ましくは21%以下、さらに好ましくは20%以下である。
即ち、波長700〜1200nmの近赤外線の吸収は大きく、波長400〜600nmの可視光線の吸収は小さい。ここで、透過率とは互いに平行かつ光学研磨した2つの平面
を有するガラス試料を想定し、前記平面の一方に垂直に光を入射したとき、前記平面の他方から出射した光の強度を、前記入射光の試料入射前における強度で割った値であり、外部透過率とも呼ばれる。
を有するガラス試料を想定し、前記平面の一方に垂直に光を入射したとき、前記平面の他方から出射した光の強度を、前記入射光の試料入射前における強度で割った値であり、外部透過率とも呼ばれる。
このような特性によりCCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色補正を良好に行うことができる。
ガラスIIは、得ようとするガラス組成に対応する原料を秤量、調合して白金合金製の熔融容器に供給し、加熱、熔融し、清澄、均質化すること等により得ることができる。
その他、プリフォームの製法I、IIに好適なフッ素成分含有ガラスとしては、揮発性の高いフッ素成分を含むフツホウ酸ガラスを挙げることができる。
(ホウ酸塩ガラス)
ホウ酸塩ガラスも、揮発性の高いホウ酸成分を含むことから、本発明のプリフォームの製法I、IIを適用するガラスとして有効である。特にB2O3を20モル%以上含むホウ酸塩ガラスは、融液状態で高い揮発性を示す。
ホウ酸塩ガラスも、揮発性の高いホウ酸成分を含むことから、本発明のプリフォームの製法I、IIを適用するガラスとして有効である。特にB2O3を20モル%以上含むホウ酸塩ガラスは、融液状態で高い揮発性を示す。
このようなホウ酸塩ガラスの一例として、B2O3、La2O3およびZnOを含み、精密プレス成形のガラス素材として使用される光学ガラスにおいて、モル%表示で、B2O320〜60%、SiO2 0〜20%、ZnO 5〜42%、Li2O 0〜10%、La2O35〜24%、Gd2O3 0〜20%、ZrO2 0〜10%、Ta2O50〜10%、WO3 0〜10%、Nb2O5 0〜10%、TiO2 0〜10%、Bi2O30〜10%、GeO2 0〜10%、Ga2O3 0〜10%、Al2O30〜10%、BaO 0〜10%、Y2O3 0〜10%およびYb2O3 0〜10%を含むガラス(以下、ガラスIIIという)を例示することができる。ガラスIIIは屈折率(nd)が1.75以上、より好ましくは1.80以上、さらに好ましくは1.85以上を実現するガラスとして好ましいものである。アッベ数(νd)については30〜50の範囲を実現するガラスとして好ましい。
このガラスは、揮発性の高いB2O3成分を含むため、プリフォームの熱間成形法では揮発による脈理の防止にも十分な配慮が必要となる。さらに、ガラスIIIは高屈折率と低転移温度の2つの特性が同時に付与されているので液相温度が950℃以上あるいは1000℃以上と高く、失透を防止するには熔融ガラスを高温で流出しなければならない。したがって、プリフォームを熱間成形する場合、ガラス流出からプリフォーム成形までの比較的長い時間、揮発性が極めて高い状態でガラスを扱わなければならない。一方、このようなガラスから本発明の方法によりプリフォームを作製すれば、比較的容易に高品質なプリフォームを作製することができる。
以下、ガラスIIIの各成分について説明する。なお、以下、特に言及のない場合は各成分の含有量や合計量はモル%で表示し、成分の含有量の比もモル比で表わすものとする。
B2O3は必須成分であり、網目形成酸化物の役割を果たす。La2O3などの高屈折率成分を多く導入する場合、ガラスの形成のためにB2O3を20%以上導入して主なネットワーク構成成分とし、失透に対する十分な安定性を付与するとともに、ガラスの熔融性を維持する必要があるが、60%を超えて導入すると、ガラスの屈折率が低下し、高屈折率ガラスを得るという目的に適さなくなる。したがって、その導入量20〜60%とする。B2O3導入の上記効果を高める上から22〜58%の導入が好ましく、24〜56%の導入がより好ましい。
SiO2は任意成分であり、La2O3やGd2O3を多量に含有するガラスに対して、ガラスの液相温度を低下させ、高温粘性を向上させ、さらにガラスの安定性を大きく向上させるが、過剰の導入により、ガラスの屈折率が下がることに加え、ガラス転移温度が高くなり精密プレス成形が困難になるため、SiO2の導入量を0〜20%とし、好ましくは0〜18%とする。
ZnOは必須成分であり、ガラスの熔融温度や液相温度及び転移温度を低下させ、屈折率の調整にも欠かせない。そのため、5%以上導入するが、42%を超えて導入すると、失透に対する安定性も悪化し、化学的耐久性も低下するので、その導入量を5〜42%の範囲とする。好ましい範囲は5〜41%である。
Li2Oはガラス転移温度を低下させる効果が大きく、アルカリ金属成分中、最も屈折率を低下させにくい成分である。しかし、過剰導入により屈折率が低下し、ガラスの安定性も低下するため、その導入量を0〜10%、好ましくは0〜8%とする。
La2O3も必須成分であり、ガラスの失透に対する安定性を低下させずに、または分散を高めずに、屈折率を高くし、化学的耐久性を向上させる。しかし、5%未満では十分の効果が得られず、一方、24%を超えると失透に対する安定性が著しく悪化するため、その導入量は5〜24%とする。上記効果をより高める上からLa2O3の含有量を6〜23%とすることが好ましく、7〜22%とすることがより好ましい。
Gd2O3はLa2O3と同様、ガラスの失透に対する安定性や低分散性を悪化させずにガラスの屈折率や化学的耐久性を向上させる成分である。Gd2O3は、20%を超えて導入すると失透に対する安定性が悪化し、ガラス転移温度が上昇して精密プレス成形性が悪化する傾向があるため、0〜20%導入する。高屈折率を付与しつつ、化学的耐久性を高めるため、Gd2O3を1〜19%導入することが好ましい。より好ましい範囲は2〜18%である。なお、ガラス安定性を高めるためには、La2O3とGd2O3とがガラス成分として共存する組成が好ましい。
なお、アッベ数(νd)が40以上で、より屈折率が高いガラスを得る上から、La2O3とGd2O3の合計含有量を10〜24%とし、好ましくは12〜23%とするのがよい。
ZrO2は高屈折率・低分散の成分として使われる任意成分である。ZrO2を導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果が得られるが、10%を超えて導入すると液相温度が急激に上昇し、失透に対する安定性も悪化するので、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜8%とする。
Ta2O5は高屈折率・低分散の成分として使われる任意成分である。少量のTa2O5を導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果があるが、10%を超えて導入すると液相温度が急激に上昇し、分散が増大するので、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜8%とする。
WO3は、ガラスの安定性、熔融性を改善し、屈折率を向上させるために適宜導入される成分であるが、その導入量が10%を超えると、分散が大きくなり、必要な低分散特性が得られなくなるため、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜8%とする。
Nb2O5は、ガラスの安定性を維持しつつ屈折率を高める任意成分であるが、過剰導入により分散が増大するため、その導入量を0〜10%、好ましくは0〜8%とする。
TiO2は、光学恒数の調整のため導入可能な任意成分であるが、過剰の導入によって分散が大きくなり、目的とする光学恒数を得ることができなくなるため、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜8%、より好ましくは導入しない。
Bi2O3は、屈折率を高め、ガラスの安定性を向上する働きをするが、過剰導入によりガラスの安定性が低下し、液相温度が上昇する。そのため、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜6%とする。
GeO2は、屈折率を高めるとともに、ガラスの安定性を向上させる働きをする任意成分であり、その導入量は0〜10%、好ましくは0〜8%とする。ただし、他の成分に比べて桁違いに高価であるため導入しないことがより好ましい。
Ga2O3も、屈折率を高めるとともに、ガラスの安定性を向上させる働きをする任意成分であり、その導入量は0〜10%、好ましくは0〜8%とする。ただし、他の成分に比べて桁違いに高価であるため導入しないことがより好ましい。
Al2O3はガラスの高温粘性を高めるとともに液相温度を低下させ、ガラスの成形性を向上する働きをし、化学的耐久性を向上させる働きもする。しかし過剰導入により屈折率が低下し、失透に対する安定性も低下するので、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜8%とする。
BaOは高屈折率・低分散の成分として使用される任意成分であり、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、10%より多く導入するとガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、転移温度や屈伏点温度を上昇させるため、その導入量を0〜10%とし、好ましくは0〜8%とする。
Y2O3、Yb2O3は高屈折率・低分散の成分として使用される任意成分であり、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、過剰の導入によりガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、ガラス転移温度や屈伏点温度を上昇させる。そのため、Y2O3の含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%とする。Yb2O3の含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%とする。
なお、La2O3、Gd2O3、Y2O3およびYb2O3の合計含有量は10〜24%にすることが好ましい。
この他、Sb2O3が脱泡剤として任意に添加されるが、全ガラス成分の合計含有量に対してSb2O3の添加量が1重量%を超えると、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面が損傷を受けるおそれが生じるため、Sb2O3は全ガラス成分の合計含有量に対して0〜1重量%添加することが好ましく、0〜0.5重量%添加することがより好ましい。
一方、ガラス成分として導入しないことが好ましいものとして、PbOが挙げられる。PbOは有害であるとともに、PbOを含むガラスからなるプリフォームを非酸化性雰囲気中で精密プレス成形すると成形品の表面に鉛が析出して光学素子としての透明性が損なわれたり、析出した金属鉛がプレス成形型に付着するといった問題が生じる。
Lu2O3は、一般に光学ガラスの成分としては、他の成分に比べて使用頻度が少なく、また、希少価値が高く光学ガラス原料としては高価であるため、コスト面から導入しないことが好ましい。
カドミウム、テルルなどの環境上問題となる元素、トリウムなどの放射性元素、ヒ素などの有毒な元素も含まないことが望ましい。ガラスIIIは高屈折率特性を実現するガラスである。そのため屈折率を低下させるフッ素も含まないことが望ましい。
上記ガラスIIIは、目的のガラス組成が得られるように、原料である酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などを秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡、攪拌を行うこと等により、均質かつ泡を含まない熔融ガラスとして得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いることができる。
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。
本発明の光学素子の製造方法は、プリフォームの製法IまたはIIにより製造したガラス製プリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とするものである。
本発明の光学素子の製造方法は、プリフォームの製法IまたはIIにより製造したガラス製プリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とするものである。
光学素子において、光線を透過したり、屈折させたり、回折させたり、反射させたりする面を光学機能面(レンズを例にとると非球面レンズの非球面や球面レンズの球面などのレンズ面が光学機能面に相当する)というが、精密プレス成形によれば精密プレス成形型の成形面を精密にガラスに転写することにより、プレス成形によって光学機能面を形成することができ、光学機能面を仕上げるために研削や研磨などの機械加工を加える必要がない。
したがって、本発明の光学素子の製造方法は、レンズ、レンズアレイ、回折格子、プリズムなどの光学素子の製造に好適であり、特に非球面レンズを高い生産性のもとに製造する方法として適している。
精密プレス成形型としては公知のもの、例えば炭化珪素、ジルコニア、アルミナなどの耐熱性セラミックスの型材の成形面に離型膜を設けたものを使用することができるが、中でも炭化珪素製のプレス成形型が好ましく、離型膜としては炭素含有膜などを使用することができる。離型膜は、耐久性、コストの面から特にカーボン膜が好ましい。
精密プレス成形では、精密プレス成形型の成形面を良好な状態に保つため成形時の雰囲気を非酸化性ガスにすることが望ましい。非酸化性ガスとしては窒素、窒素と水素の混合ガスなどが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法の好ましい態様としては、以下の精密プレス成形1と2の2つの態様を挙げることができる。
(精密プレス成形1)
精密プレス成形1は、精密プレス成形型に上記プリフォームを導入し、上記精密プレス成形型とプリフォームを一緒に加熱し、精密プレス成形するものである。
精密プレス成形1は、精密プレス成形型に上記プリフォームを導入し、上記精密プレス成形型とプリフォームを一緒に加熱し、精密プレス成形するものである。
精密プレス成形1において、精密プレス成形型と前記プリフォームの温度をともに、プリフォームを構成するガラスが106〜1012dPa・sの粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。
また前記ガラスが、好ましくは1012dPa・s以上、より好ましくは1014dPa・s以上、さらに好ましくは1016dPa・s以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品を精密プレス成形型から取り出すことが望ましい。
上記の条件により、精密プレス成形型の成形面形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
(精密プレス成形2)
精密プレス成形方法2は、予熱した精密プレス成形型に、加熱したプリフォームを導入して精密プレス成形するものである。
精密プレス成形方法2は、予熱した精密プレス成形型に、加熱したプリフォームを導入して精密プレス成形するものである。
精密プレス成形2によれば、上記プリフォームを精密プレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度を有する光学素子を製造することができる。
なお精密プレス成形型の予熱温度は、プリフォームの予熱温度よりも低く設定することが好ましい。このようにプレス成形型の予熱温度を低くすることにより、精密プレス成形型の消耗を低減することができる。
精密プレス成形2において、前記プリフォームを構成するガラスが109dPa・s以下、より好ましくは109dPa・sの粘度を示す温度に予熱することが好ましい。
また、前記プリフォームを浮上しながら予熱することが好ましく、さらに前記プリフォームを構成するガラスが105.5〜109dPa・sの粘度を示す温度に予熱することがより好ましく、105.5dPa・s以上109dPa・s未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。
またプレス開始と同時又はプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。
なお精密プレス成形型の温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低い温度に調温するが、前記ガラスが109〜1012dPa・sの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
精密プレス成形された光学素子は精密プレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。成形品がレンズなどの光学素子の場合には、必要に応じて表面に光学薄膜をコートしてもよい。
このように、本発明の光学素子の製造方法によれば、フツリン酸ガラスやホウ酸塩ガラスのように揮発性の高い成分を含むガラスからなるプリフォームを使用して、比較的容易に非球面レンズなどの光学素子を製造することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(熔融ガラスの製造例)
ガラス原料として、各ガラス成分に対応するリン酸塩、フッ化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物などを使用し、表1〜表6に示す組成を有するガラスとなるように各ガラス原料を秤量し、十分混合した後、白金坩堝に投入して加熱、熔解、清澄、均質化して各熔融ガラスを得た。
(熔融ガラスの製造例)
ガラス原料として、各ガラス成分に対応するリン酸塩、フッ化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物などを使用し、表1〜表6に示す組成を有するガラスとなるように各ガラス原料を秤量し、十分混合した後、白金坩堝に投入して加熱、熔解、清澄、均質化して各熔融ガラスを得た。
上記各熔融ガラスを用いてガラスの物性測定用サンプルを作り、以下の方法で評価した。
(1)屈折率(nd)及びアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
理学電機株式会社の熱機械分析装置(サーモ プラス TMA 8310)により昇温速度を4℃/分にして測定した。
理学電機株式会社の熱機械分析装置(サーモ プラス TMA 8310)により昇温速度を4℃/分にして測定した。
(3)液相温度と液相温度における粘度
温度傾斜が設けられた失透試験炉中にサンプルを入れ、1時間保持した後、降温してサンプル中の結晶の有無を80倍の光学顕微鏡で確認した。結晶が認められない最低温度を液相温度とした。
JIS規格Z8803の粘度測定方法により、共軸二重回転円筒型回転粘度計(東京工業株式会社製、高温粘度測定装置RHEOTRONICII(改良型))を用い、ガラスの温度を変えて、それぞれの温度での粘度を測定し、粘度と温度の関係を示すグラフを作成し、このグラフを用いて液相温度における粘度を算出した。
温度傾斜が設けられた失透試験炉中にサンプルを入れ、1時間保持した後、降温してサンプル中の結晶の有無を80倍の光学顕微鏡で確認した。結晶が認められない最低温度を液相温度とした。
JIS規格Z8803の粘度測定方法により、共軸二重回転円筒型回転粘度計(東京工業株式会社製、高温粘度測定装置RHEOTRONICII(改良型))を用い、ガラスの温度を変えて、それぞれの温度での粘度を測定し、粘度と温度の関係を示すグラフを作成し、このグラフを用いて液相温度における粘度を算出した。
実施例1 (プリフォームの製法Iによるプリフォームの製造例)
ターンテーブル上に、成形型の下型を胴型と共に複数セット配置し、表1〜表6に示す組成を有する上記各熔融ガラスを、パイプから連続して流出させた。熔融ガラス流の下端を成形型の下型成形面で受け、熔融ガラス流の途中をシアで切断することにより、熔融ガラス塊を下型成形面上に得た。各熔融ガラス塊は、得ようとするプリフォームの重量に、後述する研削、研磨処理により除去する重量を加えた重量になるように調整した。なお、下型成形面上には予め窒化ホウ素粉末を均一に噴き付け塗布した。
ターンテーブル上に、成形型の下型を胴型と共に複数セット配置し、表1〜表6に示す組成を有する上記各熔融ガラスを、パイプから連続して流出させた。熔融ガラス流の下端を成形型の下型成形面で受け、熔融ガラス流の途中をシアで切断することにより、熔融ガラス塊を下型成形面上に得た。各熔融ガラス塊は、得ようとするプリフォームの重量に、後述する研削、研磨処理により除去する重量を加えた重量になるように調整した。なお、下型成形面上には予め窒化ホウ素粉末を均一に噴き付け塗布した。
次にターンテーブルをインデックス回転することにより、熔融ガラス塊を載せた下型を、上方で成形型の上型が待機する位置まで移送し、上型を下降させることにより、上型および下型で熔融ガラス塊をプレスし、上下型および胴型で囲まれる空間内にガラスを押し広げた。
この操作により熔融ガラス塊が目的のプリフォームに近似する形状に成形されるとともに、ガラス表面が急冷され、ガラス中に含まれるフッ素成分やB2O3成分、あるいはアルカリ金属成分の揮発が実質的にストップし、プレス成形物内部に脈理が形成されることを防止することができる。
次に、上型を上昇させて、再び上方へ待機させた。プレス成形物はターンテーブルの回転によって移送される下型上で冷却された後、下型から取り出され、徐冷炉内で徐冷された。こうしてプリフォーム形状に近似する形状を有するガラス体を得た。
次に、上記ガラス体の表面を研削、研磨する工程と洗浄、乾燥する工程を経て所望重量を有するプリフォームを作製した。プリフォーム表面には必要に応じて炭素膜をコートした。
得られた各プリフォームは、表1〜表6に示す組成を有する光学的に均質なガラスからなり、その表面は滑らかで、表面、内部ともに脈理は見らなかった。
実施例2(プリフォームの製法IIによるプリフォームの製造例)
(A法によるガラスブロックの作製)
平坦な底板と底板の3方向を囲む側壁を有する鋳型をパイプ下方に底板が水平になるように配置し、底板と側壁で囲まれた部分に、表1〜表6に示す組成を有する上記各熔融ガラスを、それぞれ一定流量で連続して鋳込んだ。
そして、一体の幅と厚みを有するガラス板に成形し、鋳型側方の開口部より各ガラス板を一定速度で水平方向に連続して引き出し、徐冷炉内へ導入した。徐冷炉内を通過して徐冷されたガラス板を引出し方向に対して垂直に切断し、平板形状を有する各ガラスブロックに成形した。
(A法によるガラスブロックの作製)
平坦な底板と底板の3方向を囲む側壁を有する鋳型をパイプ下方に底板が水平になるように配置し、底板と側壁で囲まれた部分に、表1〜表6に示す組成を有する上記各熔融ガラスを、それぞれ一定流量で連続して鋳込んだ。
そして、一体の幅と厚みを有するガラス板に成形し、鋳型側方の開口部より各ガラス板を一定速度で水平方向に連続して引き出し、徐冷炉内へ導入した。徐冷炉内を通過して徐冷されたガラス板を引出し方向に対して垂直に切断し、平板形状を有する各ガラスブロックに成形した。
(B法によるガラスブロックの作製)
熔融ガラスが流出するパイプ下方に、円柱状の貫通孔を有する鋳型を貫通孔が垂直になるように配置し、表1〜表6に示す組成を有する上記各熔融ガラスをパイプ流出口から連続して貫通孔内に鋳込んだ。
貫通孔内で各熔融ガラスを円柱状に成形しつつ、貫通孔内における熔融ガラスの液位が一定の高さに維持されるようなスピードで、貫通孔の出口から円柱状ガラスを下方へ引き出した。貫通孔出口の直下には、内部の温度を各ガラスのガラス転移温度付近に保持した炉を接続し、この炉内で連続して引き出される円柱状ガラスの内部と表面付近の温度差を減少させることにより、円柱状ガラスの熱収縮による自爆を防止した。
引き出した円柱状ガラスを、上記炉を通過した位置で切断または割断してガラスブロックに成形した。このようにして得た円柱状のガラスブロックを徐冷炉に入れて徐冷した。
熔融ガラスが流出するパイプ下方に、円柱状の貫通孔を有する鋳型を貫通孔が垂直になるように配置し、表1〜表6に示す組成を有する上記各熔融ガラスをパイプ流出口から連続して貫通孔内に鋳込んだ。
貫通孔内で各熔融ガラスを円柱状に成形しつつ、貫通孔内における熔融ガラスの液位が一定の高さに維持されるようなスピードで、貫通孔の出口から円柱状ガラスを下方へ引き出した。貫通孔出口の直下には、内部の温度を各ガラスのガラス転移温度付近に保持した炉を接続し、この炉内で連続して引き出される円柱状ガラスの内部と表面付近の温度差を減少させることにより、円柱状ガラスの熱収縮による自爆を防止した。
引き出した円柱状ガラスを、上記炉を通過した位置で切断または割断してガラスブロックに成形した。このようにして得た円柱状のガラスブロックを徐冷炉に入れて徐冷した。
上記A法またはB法により作製した各ガラスブロックを、形状、重量が互いに等しくなるように、複数のガラス片に分割した。各熔融ガラス片の重量は、得ようとするプリフォームの重量に、以下に示す研削、研磨処理によって除去する重量を加えた重量になるように調整した。
次いで複数個のガラス片をバレル研磨し、表面に窒化ホウ素粉末を均一に塗布した後、耐火物製の盆の上に配置して、軟化炉と呼ばれるガラスを加熱、軟化するための加熱装置
に導入した。
に導入した。
軟化炉内で加熱、軟化したガラス片を上型、下型、胴型からなるプレス成形型に導入して大気中でプリフォームに近似する形状を有するガラス体にプレス成形した後、プレス成形型から取り出して、徐冷した。
こうして得たガラス体の表面を研削、研磨する工程と洗浄、乾燥する工程を経て所望重量を有する各プリフォームを作製した。プリフォーム表面には必要に応じて炭素膜をコートした。
得られた各プリフォームは、表1〜表6に示す組成を有する光学的に均質なガラスからなり、その表面は滑らかで、表面、内部ともに脈理は見らなかった。
実施例3(光学素子の製造方法)
(精密プレス成形1による製造例)
実施例1、2で作製した各プリフォームを、上型、下型、胴型からなる精密プレス成形型内に導入してプリフォームと精密プレス成形型を一緒に加熱し、上下型間でプリフォームを非球面レンズ形状に精密プレス成形した。
成形したレンズを型から取り出し、徐冷して表1〜表6に示す各ガラスからなる非球面レンズを作製した。得られたレンズの形状は精密プレス成形型の形状を適宜選択することにより、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、平凹レンズといた各種レンズを作ることができる。
(精密プレス成形2による製造例)
次に、上記実施例1、2で作製した各プリフォームを精密プレス成形型とは別個に加熱し、精密プレス成形型内に導入して精密プレス成形することによっても上記各種レンズを作製することができる。
作製した光学素子には必要に応じて反射防止膜などの光学薄膜をコートしてもよい。
(精密プレス成形1による製造例)
実施例1、2で作製した各プリフォームを、上型、下型、胴型からなる精密プレス成形型内に導入してプリフォームと精密プレス成形型を一緒に加熱し、上下型間でプリフォームを非球面レンズ形状に精密プレス成形した。
成形したレンズを型から取り出し、徐冷して表1〜表6に示す各ガラスからなる非球面レンズを作製した。得られたレンズの形状は精密プレス成形型の形状を適宜選択することにより、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、平凹レンズといた各種レンズを作ることができる。
(精密プレス成形2による製造例)
次に、上記実施例1、2で作製した各プリフォームを精密プレス成形型とは別個に加熱し、精密プレス成形型内に導入して精密プレス成形することによっても上記各種レンズを作製することができる。
作製した光学素子には必要に応じて反射防止膜などの光学薄膜をコートしてもよい。
本発明によれば、安定性がさほど高くないガラスや融液の状態で揮発性の高いガラスを用いた場合であっても、失透や脈理のない高品質なプリフォームを製造する方法、および上記方法により製造したプリフォームを用いて光学素子を製造する方法を提供することができる。
Claims (4)
- 精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
流出口から流出する熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法。 - 精密プレス成形に供するためのガラス製プリフォームの製造方法であって、
熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形し、
該ガラスブロックを分割して複数のガラス片を作製し、
該ガラス片を加熱、軟化、プレス成形して前記プリフォームに近似する形状を有するガラス体を作製し、
少なくとも研磨工程を経て前記ガラス体からプリフォームを作製する
ことを特徴とするガラス製プリフォームの製造方法。 - フッ素成分含有ガラスまたはホウ酸塩ガラスからなるプリフォームを作製する請求項1または請求項2に記載のガラス製プリフォームの製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法により製造したガラス製プリフォームを加熱し、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
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