JP2015203048A - ポリケトン多孔膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記化学式(1):
で表される1−オキソトリメチレン繰り返し単位を含むポリケトンからなるポリケトン多孔膜であって、下記条件:
(1)空隙率が5〜90%であること;
(2)pH=1〜3におけるゼータ電位が+5mV〜+80mVであること;
(3)pH=11〜14におけるゼータ電位が−80mV〜−5mVであること;
を満足するポリケトン多孔膜、及びポリケトン多孔膜を含む濾過用フィルター。
【選択図】なし
Description
すなわち本発明は、以下の[1]〜[6]に記載する通りのものである。
(1)空隙率が5〜90%であること;
(2)pH=1〜3におけるゼータ電位が+5mV〜+80mVであること;
(3)pH=11〜14におけるゼータ電位が−80mV〜−5mVであること;
を満足するポリケトン多孔膜。
(1)スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、及び水酸基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有し、かつ、陽イオン交換容量が0.01〜10ミリ当量/gであること;
(2)1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を含み、かつ、陰イオン交換容量が0.01〜10ミリ当量/gであること;
を同時に満たす、前記[1]に記載のポリケトン多孔膜。
本発明の一態様は、一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物が交互に共重合した下記化学式(1):
空隙率(%)=(1−G/ρ/V)×100
{式中、Gはポリケトン多孔膜の質量(g)であり、ρはポリケトン多孔膜を構成する全ての樹脂の質量平均密度(g/cm3)であり、そしてVはポリケトン多孔膜の体積(cm3)である。}により算出される。上記数式において、質量平均密度ρは、ポリケトン多孔膜が、ポリケトンとは密度の異なる樹脂と、ポリケトン樹脂との複合化によって構成される場合、各々の樹脂の密度にその構成質量比率を乗じた値の和である。例えば、ρA及びρBの密度をそれぞれ持つ繊維がGA及びGBの質量比率で構成された不織布に、密度ρpのポリケトンがGpの質量比率で複合されているときには、質量平均密度は、下記数式:
質量平均密度=(ρA・GA+ρB・GB+ρp・Gp)/(GA+GB+Gp)
で表される。空隙率が5%より低いポリケトン多孔膜は、例えば、濾材として用いられる場合、圧力損失が大きい、透過流束が小さい、粒子捕集効率が悪い、閉塞までの時間が短い等の不具合を生じる。したがって、本発明のポリケトン多孔膜の空隙率としては30〜90%がより好ましく、40〜90%が更に好ましく、50〜90%が最も好ましい。
5重量%水酸化ナトリウム水溶液200mlをビーカー(ビーカーAとする)に入れ、ポリケトン多孔膜を30分間浸漬した後、取り出す。取り出したポリケトン多孔膜を更に15分間水洗した後、別のビーカー(ビーカーBとする)に入れる。これに、濃度Xモル/lの塩酸をYml入れて、上記のポリケトン多孔膜30分間浸漬した後、ポリケトン多孔膜を取り出す。取り出したポリケトン多孔膜は50mlの水で洗浄し、ビーカーB内の液に加える。これを、濃度1モル/lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、下記数式にて容量を算出する。
陰イオン交換容量(ミリ当量/g)=[X(モル/l)×Y(ml)−1(モル/l)×滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液量(ml)]/サンプル重量(g)
5重量%塩酸200mlをビーカー(ビーカーAとする)に入れ、ポリケトン多孔膜を30分間浸漬した後、取り出す。取り出したポリケトン多孔膜を更に15分間水洗した後、別のビーカー(ビーカーBとする)に入れる。これに、濃度Xモル/lの水酸化ナトリウム水溶液をYml入れて、上記のポリケトン多孔膜30分間浸漬した後、ポリケトン多孔膜を取り出す。取り出したポリケトン多孔膜は50mlの水で洗浄し、洗浄液をビーカーB内の液に加える。これを、濃度1モル/lの塩酸で滴定し、下記数式にて容量を算出する。
陽イオン交換容量(ミリ当量/g)=[X(モル/l)×Y(ml)−1(モル/l)×滴定に要した塩酸量(ml)]/サンプル重量(g)
上述の温水処理後のポリケトン多孔膜を、必要に応じて、メタノール、エタノール、及びプロパノールから選択される溶媒に浸漬して、多孔膜に含まれる水を溶媒と置換する。その後、加熱ロールに接触させる方法、熱風を吹きかける方法、電熱ヒーターで非接触加熱して乾燥する方法等、又はこれらを組み合わせた方法等、公知の乾燥方法で乾燥する。加熱ロールに接触させる方法が最も効率が良いため好適に選ばれる。乾燥温度は、60〜200℃の範囲で、乾燥させる液体の種類により適宜選ばれる。本発明のポリケトン多孔膜の乾燥では、乾燥時に収縮や延伸による面方向への変形が少ない方法であることが重要である。許容される面方向への変形倍率は0.9〜1.1の範囲である。
実施例及び比較例における各測定値の測定方法は以下の通りであった。
1.ポリケトンの極限粘度[η]
以下の定義式に基づいて極限粘度を求めた。
PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200AEX)を用い、浸液にPMI社製のガルウィック(表面張力=15.6dynes/cm)を用い、ASTM E1294−89に準拠し、ハーフドライ法により測定した。
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:PEACOCK No.25)にて、ポリケトン多孔膜の膜厚を、格子状に5mm間隔で9箇所(3点×3点)選んだ測定点にて測定し、数平均値として得られる平均厚みLp(μm)を膜厚とした。
空隙率(ε)は、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、ポリケトン多孔膜の重量(g)であり、ρは、ポリケトン多孔膜を構成する高分子の密度(g/cm3)であり、tは、ポリケトン多孔膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、ポリケトン多孔膜の面積(cm2)である。}により求めた。
JIS P8117(ガーレー法)に準拠して、透気抵抗度を測定した。
横型引張強度試験機(熊谷理機工業製)を用い、15mm幅の短冊状に切り出したサンプルについて、チャック間距離:80mm、伸長速度:80m/minの条件で5点の破断強度を測定し、その数平均を引張強度(MPa)とした。
また、下記式により、破断時の伸度を算出した。
伸度(%)=[破断時のチャック間距離(mm)−80(mm)]/80(mm)×100
また、下記式により、強度低下率を算出した。
強度低下率(%)=(ポリケトン多孔膜の強度−元のポリケトン多孔膜の強度)/元のポリケトン多孔膜の強度×100
ポリケトン多孔平膜を円形に打ち抜き、ステンレス製ホルダ(アドバンテック製、有効濾過面積3.5cm2)に平膜を固定し、1.4mL/min/cm2で25℃の蒸留水を通液した際の圧力損失(kPa)を測定した。
平膜状のポリケトン多孔膜を濾材として、アニオン性成分として1ppmのオレンジII(関東化学社製)、カチオン性成分として1ppmのメチレンブルー(関東化学社製)を含む水溶液3mlを、差圧100kPa、有効濾過面積3.5cm2で全量濾過した。濾液の各成分の濃度C(ppm)を測定し、下記式よりアニオン性及びカチオン性成分除去率(%)を算出した。
アニオン性及びカチオン性成分除去率(%)=(1−C)×100
尚、濾液のオレンジII及びメチレンブルーの濃度C(ppm)は、紫外可視分光光度計(日本分光:V−650)を用い、濃度既知のオレンジII(波長485nm)及びメチレンブルー(波長665nm)の検量線を作成して測定した。
ポリケトン多孔膜のゼータ電位は、ゼータ電位測定システムELS−Z(大塚電子株式会社製)を用いて、電気泳動光散乱法により測定した。平板試料用セルユニット(大塚電子株式会社製)のセル上面にポリケトン多孔膜を取り付け、0.1M塩酸又は0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpHを3及び11に調節した10mM塩化ナトリウム水溶液にモニター粒子(大塚電子製)を分散させた液でセルを満たし、モニター粒子の電気泳動を行い、セル上下面間の7点においてモニター粒子の電気移動度を測定した。得られた電気移動度のデータを森・岡本の式、及びSmoluchowskiの式で解析することにより、ポリケトン多孔膜のゼータ電位を算出した。また、等電点は、横軸をpH、縦軸をゼータ電位としたグラフにおいて、(pH=3,pH=3におけるゼータ電位)及び(pH=11,pH=11におけるゼータ電位)の2点を直線で結び、ゼータ電位が0mVになる点のpHとした。
5重量%水酸化ナトリウム水溶液200mlをビーカー(ビーカーAとする)に入れ、ポリケトン多孔膜を30分間浸漬した後、取り出した。取り出したポリケトン多孔膜を更に15分間水洗した後、別のビーカー(ビーカーBとする)に入れた。これに、濃度Xモル/lの塩酸をYml入れて、上記のポリケトン多孔膜30分間浸漬した後、ポリケトン多孔膜を取り出した。取り出したポリケトン多孔膜は50mlの水で洗浄し、ビーカーB内の液に加えた。これを、濃度1モル/lの水酸化ナトリウムで滴定し、下記数式にて容量を算出した。
陰イオン交換容量(ミリ当量/g)=[X(モル/l)×Y(ml)−1(モル/l)×滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液量(ml)]/サンプル重量(g)
5重量%塩酸200mlをビーカー(ビーカーAとする)に入れ、ポリケトン多孔膜を30分間浸漬した後、取り出した。取り出したポリケトン多孔膜を更に15分間水洗した後、別のビーカー(ビーカーBとする)に入れた。これに、濃度Xモル/lの水酸化ナトリウム水溶液をYml入れて、上記のポリケトン多孔膜30分間浸漬した後、ポリケトン多孔膜を取り出した。取り出したポリケトン多孔膜は50mlの水で洗浄し、ビーカーB内の液に加えた。これを、濃度1モル/lの塩酸で滴定し、下記数式にて容量を算出した。
陽イオン交換容量(ミリ当量/g)=[X(モル/l)×Y(ml)−1(モル/l)× 滴定に要した塩酸量(ml)]/サンプル重量(g)
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で63wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン多孔膜を、1重量%の酢酸、1重量%のアミノメタンスルホン酸、1重量%のN,N−ジメチルプロパンジアミンの混合水溶液に80℃で30分間浸漬させた。次いで、ポリケトン多孔膜を取り出して、水、メタノール、アセトンの順で良く洗浄した後60℃で乾燥した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均貫通孔径は98nmであり、厚みは105μm、空隙率は79%、透気抵抗度は45秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は18.0%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+12mV、pH=11におけるゼータ電位は−24mV、等電点は5.7、陰イオン交換容量は0.01ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.01ミリ当量/gであった。圧力損失は44kPa、アニオン性成分の除去率は93%、カチオン性成分の除去率は98%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
実施例1で得られた化学処理前のポリケトン多孔膜を、ドライアイスで冷やしながら200kGyの電子線を数秒間照射して、ラジカル化ポリケトン多孔膜を作製した。窒素バブリングによって溶存酸素を除去した1重量%の2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び1重量%のp-ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの混合水溶液に、上記ラジカル化ポリケトン多孔膜を窒素雰囲気下、40℃で1時間浸漬させた。次いで、水、メタノール、アセトンの順でよく洗浄した後60℃で乾燥した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は96nmであり、厚みは107μm、空隙率は78%、透気抵抗度は42秒/100ml、引張強度は3.4MPa、伸度は18.0%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+38mV、pH=11におけるゼータ電位は−38mV、等電点は7.0、陰イオン交換容量は0.63ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.63ミリ当量/gであった。圧力損失は48kPa、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は99%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
実施例1で得られた化学処理前のポリケトン多孔膜を、1.0重量%のポリエチレンイミンに1分間浸漬させた後、更に1.0重量%のポリスチレンスルホン酸水溶液に1分間浸漬させた後、取り出して、100℃で2分間加熱した。これを15分間流水で洗浄した後、100℃で乾燥させた。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は101nmであり、厚みは100μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は4.0MPa、伸度は17.3%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+28mV、pH=11におけるゼータ電位は−35mV、等電点は6.6、陰イオン交換容量は0.60ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.70ミリ当量/gであった。圧力損失は47kPa、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は99%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度12wt%で61wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン多孔膜を、実施例3と同様に、1.0重量%のポリエチレンイミンに1分間浸漬させた後、更に1.0重量%のポリスチレンスルホン酸水溶液に1分間浸漬させた後、取り出して、100℃で2分間加熱した。これを15分間流水で洗浄した後、100℃で乾燥させた。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は50nmであり、厚みは102μm、空隙率は77%、透気抵抗度は150秒/100ml、引張強度は4.0MPa、伸度は18.2%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+27mV、pH=11におけるゼータ電位は−35mV、等電点は6.5、陰イオン交換容量は0.62ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.74ミリ当量/gであった。圧力損失は180kPa、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は99%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で65wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン多孔膜を、実施例3と同様にしてポリマー水溶液で処理を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は202nmであり、厚みは97μm、空隙率は81%、透気抵抗度は18秒/100ml、引張強度は3.9MPa、伸度は18.1%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+28mV、pH=11におけるゼータ電位は−36mV、等電点は6.5、陰イオン交換容量は0.56ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.64ミリ当量/gであった。単位厚み当りの圧力損失は12kPa、アニオン性成分の除去率は98%、カチオン性成分の除去率は98%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
実施例1と同じ条件で作製したポリケトンドープを、アプリケータを用いて、平均繊維径16μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる、目付14.7g/m2の不織布の片面に塗布した。このポリケトンドープ/不織布複合体を、実施例1と同じ条件で凝固、洗浄、および乾燥して、ポリエステル不織布複合ポリケトン多孔膜を得た。このポリケトン多孔膜の全質量に対するポリケトン質量割合は20質量%であった。
この複合膜を実施例3と同様にしてポリマー水溶液で処理を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは201μm、空隙率は75%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は24.9MPa、伸度は18.2%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+28mV、pH=11におけるゼータ電位は−36mV、等電点は6.5、陰イオン交換容量は0.30ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.35ミリ当量/gであった。圧力損失は46kPa、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は99%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
ポリスチレンスルホン酸の代わりにポリアクリル酸を用いた以外は、実施例3と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は97nmであり、厚みは98μm、空隙率は81%、透気抵抗度は41秒/100ml、引張強度は3.9MPa、伸度は18.2%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+27mV、pH=11におけるゼータ電位は−19mV、等電点は7.7、陰イオン交換容量は0.62ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.72ミリ当量/gであった。圧力損失は43kPa、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は98%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
ポリエチレンイミンの代わりにポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いた以外は、実施例3と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは98μm、空隙率は82%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.8MPa、伸度は18.0%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+35mV、pH=11におけるゼータ電位は−38mV、等電点は6.8、陰イオン交換容量は0.50ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.47ミリ当量/gであった。圧力損失は43kPa/μm、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は99%であり、圧力損失が小さく、アニオン性成分とカチオン性成分の両方を除去する性能を有していた。
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で63wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は100nmであり、厚みは100μm、空隙率は80%、透気抵抗度は38秒/100ml、引張強度は4.0MPa、伸度は18.8%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+2mV、pH=11におけるゼータ電位は−4mV、等電点は5.7、陰イオン交換容量は0ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0ミリ当量/gであった。圧力損失は45kPa/μm、アニオン性成分の除去率は3%、カチオン性成分の除去率は2%であり、圧力損失は小さいが、アニオン性成分及びカチオン性成分共に除去する能力は極めて低かった。
1重量%の酢酸、1重量%のアミノメタンスルホン酸、1重量%のN,N−ジメチルプロパンジアミンの混合水溶液への浸漬時間を120分にした以外は、実施例1と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は、極めて低強度であるため平均孔径は測定できず、厚みは98μm、空隙率は80%、透気抵抗度は35秒/100ml、引張強度は0.5MPa、伸度は3.1%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+90mV、pH=11におけるゼータ電位は−95mV、等電点は6.9、陰イオン交換容量は5.4ミリ当量/g、陽イオン交換容量は5.2ミリ当量/gであった。圧力損失、アニオン性成分除去率及びカチオン性成分の除去率は測定できなかった。
ポリエチレンイミン処理を行わなかった以外は、実施例3と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは102μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.8MPa、伸度は18.2%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は−28mV、pH=11におけるゼータ電位は−38mV、等電点はなく、陰イオン交換容量は0ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.92ミリ当量/gであった。圧力損失は44kPa/μm、アニオン性成分の除去率は3%、カチオン性成分の除去率は99%であり、圧力損失は小さく、カチオン成分除去率は高かったが、アニオン性成分除去率は極めて低かった。
ポリスチレンスルホン酸処理を行わなかった以外は、実施例8と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは102μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.7MPa、伸度は17.3%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+38mV、pH=11におけるゼータ電位は+22mV、等電点はなく、陰イオン交換容量は0.85ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0ミリ当量/gであった。圧力損失は42kPa/μm、アニオン性成分の除去率は99%、カチオン性成分の除去率は2%であり、圧力損失は小さく、アニオン成分除去率は高かったが、カチオン性成分除去率は極めて低かった。
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度12wt%で61wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを純水中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、温水処理及び2−プロパノール置換を行わずに、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン多孔膜を、実施例3と同様に、1.0重量%のポリエチレンイミンに1分間浸漬させた後、更に1.0重量%のポリスチレンスルホン酸水溶液に1分間浸漬させた後、取り出して、100℃で2分間加熱した。これを15分間流水で洗浄した後、100℃で乾燥させた。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は23nmであり、厚みは18μm、空隙率は4%、透気抵抗度は1000秒/100ml以上、引張強度は5.0MPa、伸度は16.5%であった。また、pH=3におけるゼータ電位は+28mV、pH=11におけるゼータ電位は−35mV、等電点は6.6、陰イオン交換容量は0.11ミリ当量/g、陽イオン交換容量は0.12ミリ当量/gであった。圧力損失、アニオン性成分の除去率及びカチオン性成分の除去率は透液しないために測定できなかった。
Claims (6)
- 下記条件(1)及び(2):
(1)スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、及び水酸基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有し、かつ、陽イオン交換容量が0.01〜10ミリ当量/gであること;
(2)1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を含み、かつ、陰イオン交換容量が0.01〜10ミリ当量/gであること;
を同時に満たす、請求項1に記載のポリケトン多孔膜。 - pH=4〜10に等電点を有する、請求項1又は2に記載のポリケトン多孔膜。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリケトン多孔膜を含む濾過用フィルター。
- イオン吸着用の、請求項4に記載の濾過用フィルター。
- 粒子又はゲル吸着除去用の、請求項4に記載の濾過用フィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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