JP2004290830A - 浸漬膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性汚泥槽などの処理槽の液中に浸漬されて使用される精密ろ過膜または限外ろ過膜であって、汚泥などの有機物の付着が少なく、ファウリングを抑制することができる浸漬膜を提供する
【解決手段】膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲内であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上である浸漬膜を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲内であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上である浸漬膜を用いる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性汚泥と生物処理後の処理水とに固液分離する際に好適に用いることができる浸漬膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
微多孔性の分離膜は、分離対称物質のサイズにより精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、逆浸透膜に分類されるが、現在、その幅広い分離能力および効率的な分離能力から、食品工業、電子デバイス工業、上水処理、廃水処理、下水処理などの広い分野で用いられている。。
【0003】
排水処理では、活性汚泥と呼ばれる微生物集合体により、フロック化した汚泥と処理水とを分離する活性汚泥処理プロセスが広く用いられている。ここで、固液分離を沈殿法により行なう場合、活性汚泥を高濃度化して分解処理を進めて処理効率を上げようとすると、後段の沈殿池において汚泥の沈降性不良を生じる場合があり、水質の悪化を防止するための管理作業が繁雑になる。一方、この汚泥と処理水との固液分離に膜分離技術を利用すると、高濃度活性汚泥処理を行なった場合にも水質の悪化を招かず省スペースになる。
【0004】
このような観点から、近年、処理槽内の液中に分離膜モジュールを浸漬し、モジュールの透過側をポンプで吸引あるいはサイホンなどのように水位差を利用して処理水を得る、浸漬型膜モジュール装置が活用されつつある。活性汚泥処理では、通常、好気性微生物を飼育するための曝気が行なわれているので、水槽内に分離膜モジュールを浸漬させて使用すると、曝気により水槽内に形成される旋回流によって膜面の汚れをかきとりながら固液分離を行なうことができ、非常に低コストでの運転が可能である。このような利点から浸漬膜型活性汚泥法は浄化槽排水、生活排水のみならず産業排水分野でも導入が進んでいる。
【0005】
ところで、これらの分離膜は、洗浄操作なしで運転すると、汚泥成分が膜表面に付着(ファウリング)して差圧が上昇するので、一般には、曝気による膜面洗浄に加えて逆洗などの物理洗浄や薬品洗浄等を併せて運転する。したがって、膜表面への汚泥成分のファウリングを抑制できれば、低エネルギーで高透水量運転が可能になるので処理効率が高まり、また、物理洗浄工程を簡略化できるので洗浄コストも抑制できる。
【0006】
膜表面へのファウリング抑制をはかる方法としては、特許文献1に記載されるように、膜表面に抗菌成分を固定し微生物の吸着抑制を図る方法や、また、疎水性の大きな微生物ほど疎水性相互作用により吸着能が大きく、疎水性物質は疎水性固体表面に吸着しやすいという報告もあることから(非特許文献1)、疎水性相互作用を小さくするために固体表面の親水化を図るというアプローチ、すなわち、特許文献2に記載されるような、膜を親水化することにより疎水性物質吸着抑制を図る方法がある。しかしながら、膜表面に抗菌成分を固定した場合は、長期的な視点で菌増殖によるバイオフィルムの発達を抑制できる可能性があるが、菌の付着自体を抑制できないので充分ではなく、また、特許文献2のように親水化を図った場合、親水化方法によっては系中に含まれる荷電性物質の吸着が増加するので、やはり不十分である。
【0007】
さらに、特許文献3,4,5には、膜のゼータ電位を制御することにより膜表面へのファウリング抑制をはかる膜方法が記載されている。しかしながら、特許文献3は、孔径のサイズ効果と膜表面の荷電効果の両方の効果で物質を排除する逆浸透膜についてのもので、孔径のサイズ効果のみで物質を排除する精密濾過膜や限外濾過膜とは排除機構が本質的に異なる。また、精密濾過膜や限外濾過膜は、逆浸透膜に比べて孔径が大きく表面堆積の他に孔内閉塞も起こりやすいという問題もある。さらに、活性汚泥等に浸漬する場合には処理原水に微生物が多く含まれるが、これは逆浸透膜が想定している処理原水とは組成、濃度が大きく異なる。したがって、精密濾過膜や限外濾過膜におけるファウリング防止に関して、逆浸透膜におけるファウリング防止のアプローチをそのまま適用できない。一方、特許文献4には、精密濾過膜、限外濾過膜の好適な表面ゼータ電位の範囲が記載されているが、これは電子産業などの低伝導度水を処理原水として想定した場合の好ましいゼータ電位である。また、特許文献5には、表面ゼータ電位を適正な値にすることによって耐汚染性を改善する旨が記載されているが、記載されているゼータ電位は、工業用水を処理した実施例を記載していることからして、工業用水の処理にあたって好適な範囲といえる。
【0008】
このように、特許文献3〜5は、いずれも活性汚泥等に浸漬される浸漬膜とは処理原水の組成、濃度、ファウリング生成物質が大きく異なり、技術的課題が異なるものである。もっとも、ゼータ電位を制御するだけでは充分なファウリング抑制効果は得られない。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−221451号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭62−258711号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平10−66845号公報
【0012】
【特許文献4】
特開平2−90990号公報
【0013】
【特許文献5】
特開昭平11−179176号公報
【0014】
【非特許文献1】
森崎久雄,服部黎子,界面と微生物,学会出版センター,1986,P57−60
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、活性汚泥槽などの処理槽の液中に浸漬されて使用される精密ろ過膜または限外ろ過膜であって、汚泥などの有機物の付着が少ない浸漬膜を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための本発明は、次のとおりを特徴とするものである。すなわち
(1)膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であることを特徴とする浸漬膜。
(2)塩化ナトリウムの排除率が5%未満である、上記(1)に記載の浸漬膜
(3)pH5における表面ゼータ電位とpH9における表面ゼータ電位との差が0mV以上10mV以下の範囲である、上記(1)または(2)に記載の浸漬膜。
(4)pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上−5mV以下の範囲である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の浸漬膜
(5)高分子膜である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の浸漬膜。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の浸漬膜を有する膜モジュール。
(7)上記(6)に記載の膜モジュールを処理槽内の液中に浸漬されるように配置してなる膜濾過装置。
(8)上記(7)に記載の膜濾過装置を用いて原水から濾過水を得る造水方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の浸漬膜について詳細を説明する。
【0018】
本発明の浸漬膜は、活性汚泥槽などに収容されている固液混合液中に浸漬されて使用される精密ろ過膜または限外ろ過膜であって、膜表面の水の静的接触角が30度以下であることを特徴とする。ファウリング対象物の膜表面への付着に寄与する相互作用としては、静電引力、ファン・デル・ワールス力、水素結合力、疎水性相互作用などが挙げられるが、膜表面の水の接触角が30度以下、さらに好ましくは25度以下の親水性であることにより、疎水性相互作用による膜ファウリングが抑制される。また、通常、活性汚泥槽に浸漬された膜は、曝気などにより膜表面にクロスフローで水流を流し、膜表面に付着したファウリング物質を洗浄する。すなわち30度以下の親水性であることにより、膜とファウリング物質の界面に容易に洗浄水流を導入しやすくなり、ファウリング物質を剥離させ、洗浄性を向上することができる。一方、静的接触角が30度より大きい場合は、疎水性相互作用によるファウリング物質の吸着量が増加し、曝気などによる洗浄効果も低くなるため、活性汚泥槽中での膜の使用において膜の透水性能は経時的に低下する。なお、空気に対する水の表面接触角は膜の疎水性、親水性を簡便に表し、値が小さいほど親水性である事を意味する。
【0019】
ここで、本発明において、膜表面の水の静的接触角は、25℃の水中において直径1mm以下の空気泡5個の左右両界面における静的接触角の平均値とする。表面に凹凸や細孔が存在する分離膜の接触角の測定方法としては、captive air bubble法(W. Zhang and B. Hallstrom; “Membrane characterization using the contact angle technique. I. Methodology of captive bubble technique” Desalination, 79 (1990) 1−12)によって膜の細孔の影響を取り除き、さらに膜表面の凹凸の影響を補正する方法(M. Taniguchi, J Pieracci, G. Belfort, Effect of Undulations on Surface Energy: A Quantitative Assessment, Langmuir 17 (2001) 4312−4315)もあるが、本発明においてはcaptive air bubble法によって細孔の影響を補正するだけにとどまり、凹凸の影響は補正しないこととする。その理由として、ファウリング物質の汚泥の主要物質である微生物の大きさはμmオーダーの大きさであり、サブミクロンオーダーの凹凸の寄与を無視した表面の接触角の方がより微生物の付着性を反映するからである。
【0020】
また、本発明の浸漬膜は、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲であることを特徴とする。活性汚泥中の汚泥表面は微生物の分泌する細胞外高分子物質(バイオポリマー)層で覆われ、水酸基等の中性荷電性の官能基、アミノ基等の正荷電性の官能基とカルボキシル基等の負荷電性の官能基が分散しており(大庭真治,竹山宏秋,長瀬洋一, ケミカル・エンジニヤリング 10 (2002) 61−70.)、全体として正荷電であるか負荷電であるかは官能基の解離状態及び、官能基の種類や数、比率に依存して変化する。一方、活性汚泥フロックのゼータ電位はpH7において−20〜−35mVと負荷電に帯電している。したがって、活性汚泥槽中で使用する膜の汚泥ファウリングによる膜性能低下を抑制するためには、これらのことを考慮して、膜表面のゼータ電位を−15〜5mV、より好ましくは−15〜−5mVの範囲にする必要がある。すなわち、膜の表面電位がある程度中性の範囲にある場合、汚泥表面の官能基との特異的な静電吸着が抑制され、膜表面への汚泥ファウリングが抑制される。膜全体の表面電位は正荷電性官能基と負荷電性官能基の数や比率に依存するが、表面電位が−15mVよりも小さい場合は汚泥の正荷電性官能基と、5mVよりも大きい場合は負荷電性官能基と膜全体として特異的に静電吸着しやすいので、汚泥ファウリング量が大きくなり、活性汚泥槽中で使用すると、膜の透水性能は経時的に低下する。
【0021】
また、本発明の浸漬膜においては、ゼータ電位をこの範囲にするとともに、水の静的接触角を上述の範囲内にすることで、さらに大きなファウリング低減効果が得られる。すなわち、ゼータ電位の中性化により特異的な静電吸着を抑制し、親水性であることによる疎水性吸着抑制、洗浄性向上により、膜ファウリングが抑制され、長期的に高透水性能を維持できる。
【0022】
尚、膜表面のゼータ電位は、ELS―8000(大塚電子製、pHタイトレータ付属)などの表面電位測定装置により測定し、特定のpHにおけるゼータ電位を測定するに際して、測定前10分間そのpHの溶液中に保持した後、測定を行うこととする
さらに、本発明の浸漬膜は、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であることを特徴とする。この排除率が90%に満たないときは、菌体や汚泥などがリークしたり、菌体や汚泥などによる目詰まりが起こったり、濾過差圧の上昇が起こり、寿命が極端に短くなったりする。ここで、排除率は、逆浸透膜による精製水に平均粒径0.9μmのポリスチレンラテックス微粒子(公称粒径0.940μm、標準偏差0.0796)を10ppmの濃度になるように分散させてなる原液を用い、原液を撹拌しながら温度25℃、ヘッド圧1mの条件下で浸漬膜に透過させ、原液と透過液についてそれぞれ求めた波長240nmの紫外線の吸光度から、次式によって求める。
【0023】
【数1】
【0024】
そして、本発明の浸漬膜としては塩化ナトリウム(NaCl)の排除率が5%未満であることが望ましい。NaCl除去率が5%以上であると膜孔径が小さすぎて、固液分離に際し大きな膜差圧をかける必要があり、使用に際して大型ポンプ等を必要とするため設備費、造水コストが大きくなる。尚、NaCl除去率は、NaCl1500ppm水溶液を濾過して得られる透過水のNaCl濃度から次のとおり算出され、NaCl濃度は電気伝導度によって測定される。
【0025】
【数2】
【0026】
さらに、本発明の浸漬膜としては、pH5における表面ゼータ電位とpH9における表面ゼータ電位との差が0mV以上10mV以下の範囲内である事が好ましい。pHを変化させた時のゼータ電位の変化が0mV以上10mV以下の膜は、カルボキシル基、アミノ基等の解離性官能基の数が少ないことを意味し、特異的な静電吸着を抑制でき、汚泥のファウリングを抑制できる。
【0027】
そして、本発明の浸漬膜の膜素材としては、有機材料、無機材料のいずれでもよいが、製造コスト、浸漬用途での取り扱い易さから特に高分子の有機材料が好適に使用できる。この場合好適な膜素材としては、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリ6フッ化プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体、及びこれらの共重合体、混合物などが例示されるが、これに制限されない。
【0028】
また、本発明の浸漬膜は、どのような膜形態であってもよく、例えば平膜、中空糸膜、管状膜などがあげられるが、浸漬膜として使用し、曝気に伴うクロスフローによって膜表面を洗浄するときの効率を考慮すると、平膜であることが好ましい。中空糸膜、管状膜では中空糸膜、管状膜端部の洗浄効率が得にくく、汚泥などが堆積しやすい。
【0029】
本発明の浸漬膜はたとえば次のようにして製造することができる。すなわち、平膜の場合、溶融ポリマーを微細口金からロール上に塗布し、圧着を経て不織布として成型する方法、Tダイなどから平膜状に吐出し、冷却固化後、2軸延伸により細孔を形成する方法、ポリマー溶液を平膜状に吐出後非溶媒中に浸漬し、溶媒抽出時の相分離により細孔を形成する方法などがあるが、工程の簡略さからポリマー溶液を非溶媒に浸漬する方法が好適に採用される。
【0030】
ポリマー溶液を非溶媒に浸漬して固化させる場合、まずポリマーを溶媒に均一に溶解し、製膜溶液を得る。この時目的に応じて低分子ポリマ−などの開孔剤、水などの非溶媒、界面活性剤などの分散剤、無機塩などの造粘剤、抗酸化剤などの安定剤といった添加物を単独もしくは複数添加する。続いてこのポリマー溶液をロール上もしくは不織布などの基材上にキャストし、続いて凝固浴に浸漬させ、固化させる。その後、洗浄により溶媒を充分抽出し、平膜を得る。凝固浴は溶媒と混じり合い、膜ポリマーを溶解しない非溶媒が主成分として用いられる。最も一般的な非溶媒は水である。
【0031】
このとき、本発明の浸漬膜を得るには、製膜ポリマー組成、製膜条件等の調整によって排除率、表面ゼータ電位及び表面接触角を上述の範囲内に制御する。また、一旦膜を得た後、後処理にて制御する方法も好適に採用される。具体的には、膜表面にポリマーをコーティングする方法、モノマーをコートして重合或いは架橋する方法、けん化などの表面反応にて改質する方法、混合ポリマー或いは共重合体を用いて製膜する方法や、これらを組み合わせた方法などが考えられる。
【0032】
たとえば、接触角を上記範囲内に制御する為には、膜表面に親水性官能基量が多く含まれるように製膜溶液組成の調整や後処理を行うとともに、膜表面の凹凸を大きくすることで、上記の範囲内に接触角を制御することができる。膜表面の凹凸を大きくするには、製膜溶液中の非溶媒を減らす、凝固浴の温度を上げる、造粘剤や開孔剤を加える、製膜原液をより基材に含浸させる他に後処理としてスパッタ処理や薬品によるエッチング、製膜原液に無機微粒子等を含有させ抽出する等が適用できる。
【0033】
そして、ゼータ電位を中性付近に制御する為には、上述のように膜表面の凹凸を大きくしつつ、膜表面のカルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基等解離性官能基量を抑制し、水酸基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホン基など低解離性官能基量を多くすることが有効である。
【0034】
このように、表面組成制御と表面凹凸制御とを組み合わせることにより、より多様な膜素材において、表面ゼータ電位と接触角とを上記範囲に制御できる。
【0035】
なお、排除率に関しては、製膜溶液中のポリマー組成を上げる、基材への塗布量を増やす、凝固液をより溶媒交換が早くポリマーに対して非溶媒となる組成に変更する、もしくは後処理で、多層構造にする、熱収縮させる、延伸倍率を下げるといった方法により、排除率を高めて上述の範囲内に制御することができる
上述のように製造される本発明の浸漬膜は、浸漬膜が平膜形状の場合にはたとえばプレートアンドフレーム型の膜モジュールに構成され、また、浸漬膜が中空形状の場合には、中空糸膜を複数本束ねて円筒状の容器に納め、両端または方端をポリウレタンやエポキシ樹脂等で固定した膜モジュールに構成され、その膜モジュールを複数枚もしくは複数本配した膜濾過装置として使用される。膜濾過装置は、活性汚泥槽などの固液混合液が収容されている処理槽中に浸漬配置され、その膜濾過槽の原液側もしくは透過液側にはポンプが設けられる。もちろん、ポンプを設けず水位差による濾過としてもよい。
【0036】
このように構成される膜濾過装置において、下水や排水など、溶解性有機物を含有する原液は、活性汚泥によって生物処理されて有機物が分解されるとともに、本発明に係る浸漬膜によって、生物処理された処理水と活性汚泥などの固体とが分離される。このように生物処理され、固液分離された処理水は、たとえば中水として使用したり、湖沼や河川等へそのまま放流することも可能である。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
(1)樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂と、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)をそれぞれ用い、これらを90℃の温度下で十分に攪拌し、次の組成を有する原液を得た。
【0038】
PVDF:13.0重量%
DMAc:87.0重量%
(2)次に、上記原液を25℃に冷却した後、あらかじめガラス板上に貼り付けておいた、密度が0.48g/cm3、厚みが220μmのポリエステル繊維製不織布に塗布し、直ちに次の組成を有する25℃の凝固浴中に5分間浸漬して、多孔質樹脂層が形成された多孔質基材を得た。
【0039】
水 :30.0重量%
DMAc:70.0重量%
(3)この多孔質基材をガラス板から剥がした後、80℃の熱水に3回浸漬してDMAcを洗い出し、分離膜を得た。
(4)次に、上記分離膜について、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率を測定したところ、95%であった。また、透水量は50×10−9m3/m2・s・Paであった。透水量の測定は、逆浸透膜による25℃の精製水を用い、ヘッド高さ1mで行った。
(5)続いて、透水量の測定を行ったものとは別の上記膜をイソプロピルアルコール中および水中に順次10分間づつ浸漬し、更にエチレングリコールモノメタクリレート5wt%、ベンゾフェノン0.1wt%水溶液に3分間浸漬した。
(6)含浸後、窒素ガス流束にて膜上の滴状溶液を除去し、2kwの高圧水銀ランプにより、距離12cmで5分間づつ多孔質シートの表裏各面に照射し、80℃水中で10分間水洗後、表面修飾膜(本発明の浸漬膜)を得た。
(7)上記浸漬膜の静的接触角を測定したところ、27°であった。また平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は96%、pH7におけるゼータ電位は−5.2mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は9.3mVであった。
(8)上記浸漬膜を用い、上部に透過水の取出口を有する、縦320mm、横220mm、厚み6mmの支持板(縁部の高さは1mm)の両面にプラスチックネットを介して、浸漬膜を貼り付け、モジュールを得た。このとき、浸漬膜の凝固浴と接触した側が支持板側とは反対側になるように張り付けた。
(9)続いて、このモジュールを、縦500mm、横150mm、高さ700mmのタンクに収容した。タンク内には、濃度が3,000mg/リットルの活性汚泥を収容するとともに、エアノズルを底部に設け、エアノズルから空気を20リットル/分で供給しながら、25℃換算で濾過線速度0.4m/日で透過試験を行った。この透過試験における、初期の濾過差圧は0.3kPaで、1,000時間経過後においては0.7kPaであった。
【0040】
なお、濾過線速度を25℃換算するにはあたっては以下の数式を用いた。
【0041】
【数3】
【0042】
なお、結果を表1に示す。
【0043】
<実施例2>
実施例1の第(5)工程および第(6)工程とを次のように変更した以外は、実施例1と同様にした
すなわち、第(3)工程で得られた分離膜を、イソプロピルアルコール中および水中に順次10分間づつ浸漬し、更にポリビニルアルコール(重合度500,ケン化度89mol%)0.5wt%、グルタルアルデヒド0.2wt%、HCl0.2mol/lの水溶液を80℃に加熱し、膜を1分間浸漬後取り出し、70℃の水中に2分間浸漬し水洗した。
【0044】
この結果、浸漬膜の静的接触角は26°であった。また平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は97%、pH7におけるゼータ電位は−2.6mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は6.3mVであった。
【0045】
モジュール化後の透過試験では、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.5kPaであったのに対して、1,000時間経過後には0.8kPaであった。
【0046】
なお、結果を表1に示す。
【0047】
<比較例1>
実施例1の第(5)工程および第(6)工程を実施しなかった以外は実施例1と同様にした。
【0048】
この結果、膜の静的接触角は48°、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は95%、pH7におけるゼータ電位は−8.6mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は21.1mVであった。
【0049】
モジュール化後の透過試験では、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.4kPaであったのに対して、1,000時間経過後においては1.2kPaであった。
【0050】
なお、結果を表1に示す。
【0051】
<比較例2>
ポリプロピレン製不織布フィルター(平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は93%、pH7におけるゼータ電位は−17.4mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は21.8mV)を浸漬膜としてモジュール化し、実施例1と同様の方法で透過試験を行なった。この結果、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.6kPaであったのに対して、1,000時間経過前に差圧が100kPa以上に上昇したので濾過を中止した。
【0052】
なお、結果を表1に示す。
【0053】
<実施例3>
比較例2で用いたポリプロピレン製不織布フィルターをイソプロピルアルコール中および水中に順次10分間づつ浸漬し、更にポリビニルアルコール(重合度500,ケン化度89mol%)5wt%、グルタルアルデヒド2wt%、HCl0.2mol/lの水溶液を80℃に加熱し、この水溶液に膜を片面だけ5秒間接触させた後、70℃の水中に2分間浸漬して水洗し、浸漬膜を得た。
【0054】
そして、実施例1と同様に、この浸漬膜の静的接触角を測定したところ、24°であった。また平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は95%、pH7におけるゼータ電位は−10.8mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は8.2mVであった。
【0055】
また、実施例1と同様に、この浸漬膜をモジュール化し、透過試験を行なった結果、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.6kPaであったのに対して、1,000時間経過後においては0.9kPaであった。
【0056】
なお、結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明の浸漬膜によれば、膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲内であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であるので、生物処理などの処理槽内に浸漬してもファウリングを防止することができ、その結果、下水や排水など溶解性有機物含有液の処理に際してファウリングによる性能変動を少なくすることができ、長期に亘って低圧力での高透過流束運転が可能になる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性汚泥と生物処理後の処理水とに固液分離する際に好適に用いることができる浸漬膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
微多孔性の分離膜は、分離対称物質のサイズにより精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、逆浸透膜に分類されるが、現在、その幅広い分離能力および効率的な分離能力から、食品工業、電子デバイス工業、上水処理、廃水処理、下水処理などの広い分野で用いられている。。
【0003】
排水処理では、活性汚泥と呼ばれる微生物集合体により、フロック化した汚泥と処理水とを分離する活性汚泥処理プロセスが広く用いられている。ここで、固液分離を沈殿法により行なう場合、活性汚泥を高濃度化して分解処理を進めて処理効率を上げようとすると、後段の沈殿池において汚泥の沈降性不良を生じる場合があり、水質の悪化を防止するための管理作業が繁雑になる。一方、この汚泥と処理水との固液分離に膜分離技術を利用すると、高濃度活性汚泥処理を行なった場合にも水質の悪化を招かず省スペースになる。
【0004】
このような観点から、近年、処理槽内の液中に分離膜モジュールを浸漬し、モジュールの透過側をポンプで吸引あるいはサイホンなどのように水位差を利用して処理水を得る、浸漬型膜モジュール装置が活用されつつある。活性汚泥処理では、通常、好気性微生物を飼育するための曝気が行なわれているので、水槽内に分離膜モジュールを浸漬させて使用すると、曝気により水槽内に形成される旋回流によって膜面の汚れをかきとりながら固液分離を行なうことができ、非常に低コストでの運転が可能である。このような利点から浸漬膜型活性汚泥法は浄化槽排水、生活排水のみならず産業排水分野でも導入が進んでいる。
【0005】
ところで、これらの分離膜は、洗浄操作なしで運転すると、汚泥成分が膜表面に付着(ファウリング)して差圧が上昇するので、一般には、曝気による膜面洗浄に加えて逆洗などの物理洗浄や薬品洗浄等を併せて運転する。したがって、膜表面への汚泥成分のファウリングを抑制できれば、低エネルギーで高透水量運転が可能になるので処理効率が高まり、また、物理洗浄工程を簡略化できるので洗浄コストも抑制できる。
【0006】
膜表面へのファウリング抑制をはかる方法としては、特許文献1に記載されるように、膜表面に抗菌成分を固定し微生物の吸着抑制を図る方法や、また、疎水性の大きな微生物ほど疎水性相互作用により吸着能が大きく、疎水性物質は疎水性固体表面に吸着しやすいという報告もあることから(非特許文献1)、疎水性相互作用を小さくするために固体表面の親水化を図るというアプローチ、すなわち、特許文献2に記載されるような、膜を親水化することにより疎水性物質吸着抑制を図る方法がある。しかしながら、膜表面に抗菌成分を固定した場合は、長期的な視点で菌増殖によるバイオフィルムの発達を抑制できる可能性があるが、菌の付着自体を抑制できないので充分ではなく、また、特許文献2のように親水化を図った場合、親水化方法によっては系中に含まれる荷電性物質の吸着が増加するので、やはり不十分である。
【0007】
さらに、特許文献3,4,5には、膜のゼータ電位を制御することにより膜表面へのファウリング抑制をはかる膜方法が記載されている。しかしながら、特許文献3は、孔径のサイズ効果と膜表面の荷電効果の両方の効果で物質を排除する逆浸透膜についてのもので、孔径のサイズ効果のみで物質を排除する精密濾過膜や限外濾過膜とは排除機構が本質的に異なる。また、精密濾過膜や限外濾過膜は、逆浸透膜に比べて孔径が大きく表面堆積の他に孔内閉塞も起こりやすいという問題もある。さらに、活性汚泥等に浸漬する場合には処理原水に微生物が多く含まれるが、これは逆浸透膜が想定している処理原水とは組成、濃度が大きく異なる。したがって、精密濾過膜や限外濾過膜におけるファウリング防止に関して、逆浸透膜におけるファウリング防止のアプローチをそのまま適用できない。一方、特許文献4には、精密濾過膜、限外濾過膜の好適な表面ゼータ電位の範囲が記載されているが、これは電子産業などの低伝導度水を処理原水として想定した場合の好ましいゼータ電位である。また、特許文献5には、表面ゼータ電位を適正な値にすることによって耐汚染性を改善する旨が記載されているが、記載されているゼータ電位は、工業用水を処理した実施例を記載していることからして、工業用水の処理にあたって好適な範囲といえる。
【0008】
このように、特許文献3〜5は、いずれも活性汚泥等に浸漬される浸漬膜とは処理原水の組成、濃度、ファウリング生成物質が大きく異なり、技術的課題が異なるものである。もっとも、ゼータ電位を制御するだけでは充分なファウリング抑制効果は得られない。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−221451号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭62−258711号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平10−66845号公報
【0012】
【特許文献4】
特開平2−90990号公報
【0013】
【特許文献5】
特開昭平11−179176号公報
【0014】
【非特許文献1】
森崎久雄,服部黎子,界面と微生物,学会出版センター,1986,P57−60
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、活性汚泥槽などの処理槽の液中に浸漬されて使用される精密ろ過膜または限外ろ過膜であって、汚泥などの有機物の付着が少ない浸漬膜を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための本発明は、次のとおりを特徴とするものである。すなわち
(1)膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であることを特徴とする浸漬膜。
(2)塩化ナトリウムの排除率が5%未満である、上記(1)に記載の浸漬膜
(3)pH5における表面ゼータ電位とpH9における表面ゼータ電位との差が0mV以上10mV以下の範囲である、上記(1)または(2)に記載の浸漬膜。
(4)pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上−5mV以下の範囲である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の浸漬膜
(5)高分子膜である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の浸漬膜。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の浸漬膜を有する膜モジュール。
(7)上記(6)に記載の膜モジュールを処理槽内の液中に浸漬されるように配置してなる膜濾過装置。
(8)上記(7)に記載の膜濾過装置を用いて原水から濾過水を得る造水方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の浸漬膜について詳細を説明する。
【0018】
本発明の浸漬膜は、活性汚泥槽などに収容されている固液混合液中に浸漬されて使用される精密ろ過膜または限外ろ過膜であって、膜表面の水の静的接触角が30度以下であることを特徴とする。ファウリング対象物の膜表面への付着に寄与する相互作用としては、静電引力、ファン・デル・ワールス力、水素結合力、疎水性相互作用などが挙げられるが、膜表面の水の接触角が30度以下、さらに好ましくは25度以下の親水性であることにより、疎水性相互作用による膜ファウリングが抑制される。また、通常、活性汚泥槽に浸漬された膜は、曝気などにより膜表面にクロスフローで水流を流し、膜表面に付着したファウリング物質を洗浄する。すなわち30度以下の親水性であることにより、膜とファウリング物質の界面に容易に洗浄水流を導入しやすくなり、ファウリング物質を剥離させ、洗浄性を向上することができる。一方、静的接触角が30度より大きい場合は、疎水性相互作用によるファウリング物質の吸着量が増加し、曝気などによる洗浄効果も低くなるため、活性汚泥槽中での膜の使用において膜の透水性能は経時的に低下する。なお、空気に対する水の表面接触角は膜の疎水性、親水性を簡便に表し、値が小さいほど親水性である事を意味する。
【0019】
ここで、本発明において、膜表面の水の静的接触角は、25℃の水中において直径1mm以下の空気泡5個の左右両界面における静的接触角の平均値とする。表面に凹凸や細孔が存在する分離膜の接触角の測定方法としては、captive air bubble法(W. Zhang and B. Hallstrom; “Membrane characterization using the contact angle technique. I. Methodology of captive bubble technique” Desalination, 79 (1990) 1−12)によって膜の細孔の影響を取り除き、さらに膜表面の凹凸の影響を補正する方法(M. Taniguchi, J Pieracci, G. Belfort, Effect of Undulations on Surface Energy: A Quantitative Assessment, Langmuir 17 (2001) 4312−4315)もあるが、本発明においてはcaptive air bubble法によって細孔の影響を補正するだけにとどまり、凹凸の影響は補正しないこととする。その理由として、ファウリング物質の汚泥の主要物質である微生物の大きさはμmオーダーの大きさであり、サブミクロンオーダーの凹凸の寄与を無視した表面の接触角の方がより微生物の付着性を反映するからである。
【0020】
また、本発明の浸漬膜は、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲であることを特徴とする。活性汚泥中の汚泥表面は微生物の分泌する細胞外高分子物質(バイオポリマー)層で覆われ、水酸基等の中性荷電性の官能基、アミノ基等の正荷電性の官能基とカルボキシル基等の負荷電性の官能基が分散しており(大庭真治,竹山宏秋,長瀬洋一, ケミカル・エンジニヤリング 10 (2002) 61−70.)、全体として正荷電であるか負荷電であるかは官能基の解離状態及び、官能基の種類や数、比率に依存して変化する。一方、活性汚泥フロックのゼータ電位はpH7において−20〜−35mVと負荷電に帯電している。したがって、活性汚泥槽中で使用する膜の汚泥ファウリングによる膜性能低下を抑制するためには、これらのことを考慮して、膜表面のゼータ電位を−15〜5mV、より好ましくは−15〜−5mVの範囲にする必要がある。すなわち、膜の表面電位がある程度中性の範囲にある場合、汚泥表面の官能基との特異的な静電吸着が抑制され、膜表面への汚泥ファウリングが抑制される。膜全体の表面電位は正荷電性官能基と負荷電性官能基の数や比率に依存するが、表面電位が−15mVよりも小さい場合は汚泥の正荷電性官能基と、5mVよりも大きい場合は負荷電性官能基と膜全体として特異的に静電吸着しやすいので、汚泥ファウリング量が大きくなり、活性汚泥槽中で使用すると、膜の透水性能は経時的に低下する。
【0021】
また、本発明の浸漬膜においては、ゼータ電位をこの範囲にするとともに、水の静的接触角を上述の範囲内にすることで、さらに大きなファウリング低減効果が得られる。すなわち、ゼータ電位の中性化により特異的な静電吸着を抑制し、親水性であることによる疎水性吸着抑制、洗浄性向上により、膜ファウリングが抑制され、長期的に高透水性能を維持できる。
【0022】
尚、膜表面のゼータ電位は、ELS―8000(大塚電子製、pHタイトレータ付属)などの表面電位測定装置により測定し、特定のpHにおけるゼータ電位を測定するに際して、測定前10分間そのpHの溶液中に保持した後、測定を行うこととする
さらに、本発明の浸漬膜は、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であることを特徴とする。この排除率が90%に満たないときは、菌体や汚泥などがリークしたり、菌体や汚泥などによる目詰まりが起こったり、濾過差圧の上昇が起こり、寿命が極端に短くなったりする。ここで、排除率は、逆浸透膜による精製水に平均粒径0.9μmのポリスチレンラテックス微粒子(公称粒径0.940μm、標準偏差0.0796)を10ppmの濃度になるように分散させてなる原液を用い、原液を撹拌しながら温度25℃、ヘッド圧1mの条件下で浸漬膜に透過させ、原液と透過液についてそれぞれ求めた波長240nmの紫外線の吸光度から、次式によって求める。
【0023】
【数1】
【0024】
そして、本発明の浸漬膜としては塩化ナトリウム(NaCl)の排除率が5%未満であることが望ましい。NaCl除去率が5%以上であると膜孔径が小さすぎて、固液分離に際し大きな膜差圧をかける必要があり、使用に際して大型ポンプ等を必要とするため設備費、造水コストが大きくなる。尚、NaCl除去率は、NaCl1500ppm水溶液を濾過して得られる透過水のNaCl濃度から次のとおり算出され、NaCl濃度は電気伝導度によって測定される。
【0025】
【数2】
【0026】
さらに、本発明の浸漬膜としては、pH5における表面ゼータ電位とpH9における表面ゼータ電位との差が0mV以上10mV以下の範囲内である事が好ましい。pHを変化させた時のゼータ電位の変化が0mV以上10mV以下の膜は、カルボキシル基、アミノ基等の解離性官能基の数が少ないことを意味し、特異的な静電吸着を抑制でき、汚泥のファウリングを抑制できる。
【0027】
そして、本発明の浸漬膜の膜素材としては、有機材料、無機材料のいずれでもよいが、製造コスト、浸漬用途での取り扱い易さから特に高分子の有機材料が好適に使用できる。この場合好適な膜素材としては、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリ6フッ化プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体、及びこれらの共重合体、混合物などが例示されるが、これに制限されない。
【0028】
また、本発明の浸漬膜は、どのような膜形態であってもよく、例えば平膜、中空糸膜、管状膜などがあげられるが、浸漬膜として使用し、曝気に伴うクロスフローによって膜表面を洗浄するときの効率を考慮すると、平膜であることが好ましい。中空糸膜、管状膜では中空糸膜、管状膜端部の洗浄効率が得にくく、汚泥などが堆積しやすい。
【0029】
本発明の浸漬膜はたとえば次のようにして製造することができる。すなわち、平膜の場合、溶融ポリマーを微細口金からロール上に塗布し、圧着を経て不織布として成型する方法、Tダイなどから平膜状に吐出し、冷却固化後、2軸延伸により細孔を形成する方法、ポリマー溶液を平膜状に吐出後非溶媒中に浸漬し、溶媒抽出時の相分離により細孔を形成する方法などがあるが、工程の簡略さからポリマー溶液を非溶媒に浸漬する方法が好適に採用される。
【0030】
ポリマー溶液を非溶媒に浸漬して固化させる場合、まずポリマーを溶媒に均一に溶解し、製膜溶液を得る。この時目的に応じて低分子ポリマ−などの開孔剤、水などの非溶媒、界面活性剤などの分散剤、無機塩などの造粘剤、抗酸化剤などの安定剤といった添加物を単独もしくは複数添加する。続いてこのポリマー溶液をロール上もしくは不織布などの基材上にキャストし、続いて凝固浴に浸漬させ、固化させる。その後、洗浄により溶媒を充分抽出し、平膜を得る。凝固浴は溶媒と混じり合い、膜ポリマーを溶解しない非溶媒が主成分として用いられる。最も一般的な非溶媒は水である。
【0031】
このとき、本発明の浸漬膜を得るには、製膜ポリマー組成、製膜条件等の調整によって排除率、表面ゼータ電位及び表面接触角を上述の範囲内に制御する。また、一旦膜を得た後、後処理にて制御する方法も好適に採用される。具体的には、膜表面にポリマーをコーティングする方法、モノマーをコートして重合或いは架橋する方法、けん化などの表面反応にて改質する方法、混合ポリマー或いは共重合体を用いて製膜する方法や、これらを組み合わせた方法などが考えられる。
【0032】
たとえば、接触角を上記範囲内に制御する為には、膜表面に親水性官能基量が多く含まれるように製膜溶液組成の調整や後処理を行うとともに、膜表面の凹凸を大きくすることで、上記の範囲内に接触角を制御することができる。膜表面の凹凸を大きくするには、製膜溶液中の非溶媒を減らす、凝固浴の温度を上げる、造粘剤や開孔剤を加える、製膜原液をより基材に含浸させる他に後処理としてスパッタ処理や薬品によるエッチング、製膜原液に無機微粒子等を含有させ抽出する等が適用できる。
【0033】
そして、ゼータ電位を中性付近に制御する為には、上述のように膜表面の凹凸を大きくしつつ、膜表面のカルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基等解離性官能基量を抑制し、水酸基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホン基など低解離性官能基量を多くすることが有効である。
【0034】
このように、表面組成制御と表面凹凸制御とを組み合わせることにより、より多様な膜素材において、表面ゼータ電位と接触角とを上記範囲に制御できる。
【0035】
なお、排除率に関しては、製膜溶液中のポリマー組成を上げる、基材への塗布量を増やす、凝固液をより溶媒交換が早くポリマーに対して非溶媒となる組成に変更する、もしくは後処理で、多層構造にする、熱収縮させる、延伸倍率を下げるといった方法により、排除率を高めて上述の範囲内に制御することができる
上述のように製造される本発明の浸漬膜は、浸漬膜が平膜形状の場合にはたとえばプレートアンドフレーム型の膜モジュールに構成され、また、浸漬膜が中空形状の場合には、中空糸膜を複数本束ねて円筒状の容器に納め、両端または方端をポリウレタンやエポキシ樹脂等で固定した膜モジュールに構成され、その膜モジュールを複数枚もしくは複数本配した膜濾過装置として使用される。膜濾過装置は、活性汚泥槽などの固液混合液が収容されている処理槽中に浸漬配置され、その膜濾過槽の原液側もしくは透過液側にはポンプが設けられる。もちろん、ポンプを設けず水位差による濾過としてもよい。
【0036】
このように構成される膜濾過装置において、下水や排水など、溶解性有機物を含有する原液は、活性汚泥によって生物処理されて有機物が分解されるとともに、本発明に係る浸漬膜によって、生物処理された処理水と活性汚泥などの固体とが分離される。このように生物処理され、固液分離された処理水は、たとえば中水として使用したり、湖沼や河川等へそのまま放流することも可能である。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
(1)樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂と、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)をそれぞれ用い、これらを90℃の温度下で十分に攪拌し、次の組成を有する原液を得た。
【0038】
PVDF:13.0重量%
DMAc:87.0重量%
(2)次に、上記原液を25℃に冷却した後、あらかじめガラス板上に貼り付けておいた、密度が0.48g/cm3、厚みが220μmのポリエステル繊維製不織布に塗布し、直ちに次の組成を有する25℃の凝固浴中に5分間浸漬して、多孔質樹脂層が形成された多孔質基材を得た。
【0039】
水 :30.0重量%
DMAc:70.0重量%
(3)この多孔質基材をガラス板から剥がした後、80℃の熱水に3回浸漬してDMAcを洗い出し、分離膜を得た。
(4)次に、上記分離膜について、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率を測定したところ、95%であった。また、透水量は50×10−9m3/m2・s・Paであった。透水量の測定は、逆浸透膜による25℃の精製水を用い、ヘッド高さ1mで行った。
(5)続いて、透水量の測定を行ったものとは別の上記膜をイソプロピルアルコール中および水中に順次10分間づつ浸漬し、更にエチレングリコールモノメタクリレート5wt%、ベンゾフェノン0.1wt%水溶液に3分間浸漬した。
(6)含浸後、窒素ガス流束にて膜上の滴状溶液を除去し、2kwの高圧水銀ランプにより、距離12cmで5分間づつ多孔質シートの表裏各面に照射し、80℃水中で10分間水洗後、表面修飾膜(本発明の浸漬膜)を得た。
(7)上記浸漬膜の静的接触角を測定したところ、27°であった。また平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は96%、pH7におけるゼータ電位は−5.2mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は9.3mVであった。
(8)上記浸漬膜を用い、上部に透過水の取出口を有する、縦320mm、横220mm、厚み6mmの支持板(縁部の高さは1mm)の両面にプラスチックネットを介して、浸漬膜を貼り付け、モジュールを得た。このとき、浸漬膜の凝固浴と接触した側が支持板側とは反対側になるように張り付けた。
(9)続いて、このモジュールを、縦500mm、横150mm、高さ700mmのタンクに収容した。タンク内には、濃度が3,000mg/リットルの活性汚泥を収容するとともに、エアノズルを底部に設け、エアノズルから空気を20リットル/分で供給しながら、25℃換算で濾過線速度0.4m/日で透過試験を行った。この透過試験における、初期の濾過差圧は0.3kPaで、1,000時間経過後においては0.7kPaであった。
【0040】
なお、濾過線速度を25℃換算するにはあたっては以下の数式を用いた。
【0041】
【数3】
【0042】
なお、結果を表1に示す。
【0043】
<実施例2>
実施例1の第(5)工程および第(6)工程とを次のように変更した以外は、実施例1と同様にした
すなわち、第(3)工程で得られた分離膜を、イソプロピルアルコール中および水中に順次10分間づつ浸漬し、更にポリビニルアルコール(重合度500,ケン化度89mol%)0.5wt%、グルタルアルデヒド0.2wt%、HCl0.2mol/lの水溶液を80℃に加熱し、膜を1分間浸漬後取り出し、70℃の水中に2分間浸漬し水洗した。
【0044】
この結果、浸漬膜の静的接触角は26°であった。また平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は97%、pH7におけるゼータ電位は−2.6mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は6.3mVであった。
【0045】
モジュール化後の透過試験では、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.5kPaであったのに対して、1,000時間経過後には0.8kPaであった。
【0046】
なお、結果を表1に示す。
【0047】
<比較例1>
実施例1の第(5)工程および第(6)工程を実施しなかった以外は実施例1と同様にした。
【0048】
この結果、膜の静的接触角は48°、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は95%、pH7におけるゼータ電位は−8.6mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は21.1mVであった。
【0049】
モジュール化後の透過試験では、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.4kPaであったのに対して、1,000時間経過後においては1.2kPaであった。
【0050】
なお、結果を表1に示す。
【0051】
<比較例2>
ポリプロピレン製不織布フィルター(平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は93%、pH7におけるゼータ電位は−17.4mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は21.8mV)を浸漬膜としてモジュール化し、実施例1と同様の方法で透過試験を行なった。この結果、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.6kPaであったのに対して、1,000時間経過前に差圧が100kPa以上に上昇したので濾過を中止した。
【0052】
なお、結果を表1に示す。
【0053】
<実施例3>
比較例2で用いたポリプロピレン製不織布フィルターをイソプロピルアルコール中および水中に順次10分間づつ浸漬し、更にポリビニルアルコール(重合度500,ケン化度89mol%)5wt%、グルタルアルデヒド2wt%、HCl0.2mol/lの水溶液を80℃に加熱し、この水溶液に膜を片面だけ5秒間接触させた後、70℃の水中に2分間浸漬して水洗し、浸漬膜を得た。
【0054】
そして、実施例1と同様に、この浸漬膜の静的接触角を測定したところ、24°であった。また平均粒径0.9μmの微粒子の排除率は95%、pH7におけるゼータ電位は−10.8mV、pH5とpH9におけるゼータ電位の差は8.2mVであった。
【0055】
また、実施例1と同様に、この浸漬膜をモジュール化し、透過試験を行なった結果、25℃に換算した初期の濾過差圧が0.6kPaであったのに対して、1,000時間経過後においては0.9kPaであった。
【0056】
なお、結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明の浸漬膜によれば、膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲内であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であるので、生物処理などの処理槽内に浸漬してもファウリングを防止することができ、その結果、下水や排水など溶解性有機物含有液の処理に際してファウリングによる性能変動を少なくすることができ、長期に亘って低圧力での高透過流束運転が可能になる。
Claims (8)
- 膜表面の水の静的接触角が30度以下であり、pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上5mV以下の範囲内であり、かつ、平均粒径0.9μmの微粒子の排除率が90%以上であることを特徴とする浸漬膜。
- 塩化ナトリウムの排除率が5%未満である、請求項1に記載の浸漬膜
- pH5における表面ゼータ電位とpH9における表面ゼータ電位との差が0mV以上10mV以下の範囲内である、請求項1または2に記載の浸漬膜。
- pH7における表面ゼータ電位が−15mV以上−5mV以下の範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の浸漬膜
- 高分子膜である、請求項1〜4のいずれかに記載の浸漬膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の浸漬膜を有する膜モジュール。
- 請求項6に記載の膜モジュールを処理槽内の液中に浸漬されるように配置してなる膜濾過装置。
- 請求項7に記載の膜濾過装置を用いて原水から濾過水を得る造水方法。
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