JP2014171979A - アニオン性ポリケトン多孔膜 - Google Patents

アニオン性ポリケトン多孔膜 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐薬品性を有し、アニオン性粒子の高精度の分画が可能であり、かつ、寿命が長い濾過用フィルターとして、並びに、カチオン性粒子、ゲル、及びカチオンの除去が可能な濾過用フィルターとして有用なアニオン性ポリケトン多孔膜の提供。
【解決手段】下記化学式(1):
Figure 2014171979

で表される1−オキソトリメチレン繰り返し単位を含むポリケトンからなるポリケトン多孔膜であって、該多孔膜の空隙率が5〜90%であり、かつ、該多孔膜のゼータ電位が−−80mV〜10mVであることを特徴とするポリケトン多孔膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、アニオン性ポリケトン多孔膜及びその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、該アニオン性ポリケトン多孔膜を含む粒子分画性、ゲル吸着性、及びイオン吸着性に優れた液体ろ過フィルターに関する。
近年、半導体・電子部品製造、バイオ医薬品分野、ケミカル分野、食品工業分野の製造プロセスにおいて、微粒子、ゲル、ウイルス等の不純物を効率的に除去することができる濾材が求められている。濾過対象物のサイズよりも小さい孔径の濾材を使用すれば、上記不純物はある程度までは除去可能である。しかしながら、一般に孔径が小さくなる程、濾過における圧力損失が大きくなり、透過流速が減少してしまう。そこで、極めて小さい不純物を十分に濾過でき、なおかつ圧力損失が少ない濾材が求められている。
近年、例えば積層セラミックコンデンサーの分野などでは、高容量化や小型化が進み、積層の厚みの低減化が求められ、原料粒子の小孔径化技術が求められている。粗大粒子が存在すると短絡の要因となるため、これらを確実に除去する粒子分画用フィルターが必要になっている。また、原料粒子のスラリーは極めて粘度が高いため、濾過抵抗が低く、詰まり難いフィルター性能が要求されている。現在使用されている分画フィルター用濾材としてはポリプロピレン不織布等が挙げられるが、濾過精度が低く、また、濾過抵抗が高いという問題がある。
また、一部のフィルターでは、処理気液が有機溶媒である場合、腐食性を有する場合があり、また、高温環境下で使用される場合もある。このような場合、フィルターには耐薬品性、化学安定性、耐熱性が要求される場合が多い。現在、微小な不純物等の除去が可能で、かつ耐薬品性を持つ濾材として、ポリエチレン多孔膜またはポリテトラフルオロエチレン多孔膜が用いられている。しかしながら、ポリエチレン多孔膜は耐熱性が低いという問題がある。また、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜は非常に高価であり、10nm程度の微小な不純物を除去できる孔径を持った濾材を作りにくいという問題がある。更に、上記濾材は共に疎水性であり、水系の処理液を濾過する場合には、濾材に予め親水化処理を施しておくか、濾材を使用前にアルコール浸漬してから使用しなければならないという問題がある。
ところで、パラジウム又はニッケルを触媒として一酸化炭素とオレフィンとを重合させることにより得られる、一酸化炭素とオレフィンとが完全交互共重合した脂肪族ポリケトン(以下、ポリケトンともいう。)が知られている。ポリケトンは、その高い結晶性により、繊維又はフィルムとしたときに、高力学物性、高融点、耐有機溶媒性、耐薬品性等の特性を有する。特に、オレフィンがエチレンの場合、該ポリケトンの融点は240℃以上となる。このようなポリケトンは、例えばポリエチレンと比較して耐熱性に優れる。従って、ポリケトンを加工して多孔膜とすることで得られるポリケトン多孔膜も、耐熱性と耐薬品性とを持つ。更に、ポリケトンは水及び各種有機溶媒との親和性があること、また、原料の一酸化炭素及びエチレンは比較的安価であり、ポリケトンのポリマー価格が安くなる可能性があることから、孔径の小さいポリケトン多孔膜は濾材として産業上の活用が期待できる。
ポリケトン多孔膜が濾材として有用であることは、例えば、以下の特許文献1及び特許文献2に記載されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたポリケトン多孔膜は、孔径より大きなサイズの粒子の除去は可能であるものの、濾過抵抗が大きく、交換頻度も高く、濾過寿命が不十分であるという問題を有しており、また、小さなゲル状異物に対しては、濾過精度が不十分であった。
一方、特許文献1及び特許文献2に開示されたポリケトン多孔膜を粒子分画フィルターに用いた場合は、分画性能についてはある程度目的を達成することが可能であるものの、吸着による収率低下や濾過寿命が短くなるという問題があった。
特開平2−4431号公報 特開2002−348401号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、耐薬品性を有し、アニオン性粒子の高精度の分画が可能であり、かつ、寿命が長い濾過用フィルターとして、並びに、カチオン性粒子、ゲル、及びカチオンの除去が可能な濾過用フィルターとして有用なアニオン性ポリケトン多孔膜を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、負のゼータ電位を有するポリケトン多孔膜が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[6]に記載する通りのものである。
[1]下記化学式(1):
Figure 2014171979
で表される1−オキソトリメチレン繰り返し単位を含むポリケトンからなるポリケトン多孔膜であって、該多孔膜の空隙率が5〜90%であり、かつ、該多孔膜のゼータ電位が−80mV〜−10mVであることを特徴とするポリケトン多孔膜。
[2]スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、及び水酸基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有し、かつ、陽イオン交換容量が0.01〜10ミリ当量/gである、前記[1]に記載のポリケトン多孔膜。
[3]前記[1]又は[2]に記載のポリケトン多孔膜を含む濾過用フィルター。
[4]粒子分画用の、前記[3]に記載の濾過用フィルター。
[5]イオン吸着用の、前記[3]に記載の濾過用フィルター。
[6]粒子又はゲル吸着除去用の、請求項3に記載の濾過用フィルター。
本発明のポリケトン多孔膜をアニオン性粒子のスラリーの分画用フィルターとして用いた場合、負のゼータ電位を有するためアニオン性粒子の吸着を抑制することが可能で、目詰まりが極めて少なく、長時間その性能が維持されるため、フィルター交換の頻度を少なくすることが可能となる。また、目的の微粒子の収率も向上し、コストダウンにも貢献することが可能である。また、カチオン性の微粒子に対しては、吸着力に優れ、多孔膜の孔径よりも小さなカチオン性粒子を除去することが可能となり、目詰まりが極めて少なく、長時間その性能が維持されるため、フィルター交換の頻度を少なくすることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一態様は、一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物が交互に共重合した下記化学式(1):
Figure 2014171979
で表される1−オキソトリメチレン繰り返し単位を含むポリケトンからなるポリケトン多孔膜を含む。本発明のポリケトン膜は実質的にポリケトンのみで構成されていてもよいし、また、ポリケトンと別の材料(例えば、一つ以上の不織布)とを複合化して構成してもよい。
ポリケトン多孔膜中のポリケトンの含有率は、ポリケトンが本来持つ耐熱性及び耐薬品性を反映させるという観点から、多いほど好ましい。別の材料と複合化されない平膜状である場合、ポリケトン多孔膜中のポリケトン含有率は、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が更に好ましい。また、不織布等が複合化されているポリケトン多孔複合膜では、ポリケトンが持つ耐熱性及び耐薬品性と、不織布等が持つ力学特性を両立させるという観点から、ポリケトン多孔複合膜中のポリケトン含有率は、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が更に好ましい。ポリケトン多孔膜中のポリケトンには、0〜30質量%の割合で他の繰り返し単位があってもよい。ポリケトン多孔膜中のポリケトンの含有率は、該多孔膜を構成する成分のうちポリケトンのみを溶解する溶媒によってポリケトンを溶解除去する方法、又は、ポリケトン以外を溶解する溶媒によってポリケトン以外を溶解除去する方法によって確認される。
本発明のポリケトン多孔膜は、空隙率5〜90%を有する。空隙率は、下記数式:
空隙率(%)=(1−G/ρ/V)×100
{式中、Gはポリケトン多孔膜の質量(g)であり、ρはポリケトン多孔膜を構成する全ての樹脂の質量平均密度(g/cm3)であり、そしてVはポリケトン多孔膜の体積(cm3)である。}により算出される。上記数式において、質量平均密度ρは、ポリケトン多孔膜が、ポリケトンとは密度の異なる樹脂と、ポリケトン樹脂との複合化によって構成される場合、各々の樹脂の密度にその構成質量比率を乗じた値の和である。例えば、ρA及びρBの密度をそれぞれ持つ繊維がGA及びGBの質量比率で構成された不織布に、密度ρpのポリケトンがGpの質量比率で複合されているときには、質量平均密度は、下記数式:
質量平均密度=(ρA・GA+ρB・GB+ρp・Gp)/(GA+GB+Gp)
で表される。空隙率が5%より低いポリケトン多孔膜は、例えば、濾材として用いられる場合、透過流束が小さい、粒子捕集効率が悪い、閉塞までの時間が短い等の不具合を生じる。したがって、本発明のポリケトン多孔膜の空隙率としては30〜90%がより好ましく、40〜90%が更に好ましく、50〜90%が最も好ましい。
ポリケトン多孔膜は、平均貫通孔径10〜50000nmを有する。平均貫通孔径は、ハーフドライ法(ASTM E1294−89に準拠)により測定される値である。平均貫通孔径が10nmより小さいポリケトン多孔膜が例えば濾材として用いられた場合、平均貫通孔径が小さすぎるために圧力損失の著しい増大又は透過流束の著しい減少が起こる。一方、平均貫通孔径が50000nmより大きいポリケトン多孔膜が例えば濾過用フィルターとして用いられた場合、平均貫通孔径が大きすぎて除去可能な粒子が限られてしまう。ポリケトン多孔膜の平均貫通孔径は、20〜40000nmがより好ましく、30〜30000nmが更に好ましく、50〜20000nmが特に好ましい。
本発明のポリケトン多孔膜は、ゼータ電位−80mV〜−10mVを有する。ゼータ電位が−10mVより高いポリケトン多孔膜では、分画フィルターにおいてアニオン性の微粒子の吸着を抑制する十分な効果が得られず、吸着によるロスにより得られる粒子の収率が減るという問題が生じる。また、カチオン性微粒子や陽イオンに対する吸着力が弱く、十分な除去性能を発揮できない。一方、ゼータ電位が−80mVより低い、ポリケトン膜の強度低下が起こり使用できない、また、目詰まりが起こり、流量圧損が大きくなるなどの問題が生じる場合がある。ポリケトン多孔膜のゼータ電位は−80mV〜−10mVが好ましく、−60mV〜−10mVが更に好ましい。
ポリケトン多孔膜の形状は特に限定されないが、例えば、平膜状であり、あるいは長手方向に貫通した1つ以上の空隙を有する中空糸膜である。ポリケトン多孔膜の形状は目的・用途に応じて使い分けることができる。また、本発明のポリケトン多孔膜は、ポリケトンと少なくとも1つの不織布とが複合化されたものであることができる。
本発明のポリケトン多孔膜は、無機フィラー、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、親水性高分子、タンパク吸着性物質等の、機能性物質を含んでもよい。具体的には、ポリケトン多孔膜は、機械的強度、耐衝撃性、及び耐熱性を上げるために、無機フィラーとしてガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、又はカーボンナノチューブ等を含んでもよい。また、ポリケトン多孔膜は、光及び酸化に対する安定性を向上させるために、光安定剤として紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を含んでもよく、酸化防止剤としてフェノール系、リン系、又は硫黄系の酸化防止剤等を含んでもよい。更に、ポリケトン多孔膜は、帯電防止剤として各種界面活性剤等を含んでもよい。
本発明のポリケトン多孔膜は、ポリケトン多孔膜に負のゼータ電位を付与するという観点から、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基からなる群から選ばれる一つ以上の官能基を有する。
官能基を有する形態の例としては、化学結合や物理的に結合した状態が挙げられる。化学結合としては、共有結合のようなものであってもよい。共有結合としては、C−C結合、C=N結合、ピロール環を介する結合などが挙げられる。化学結合する物質としては、ポリマーであってもよいし、分子量の小さいモノマーのようなものであってもよい。一方、物理的に結合した状態としては、水素結合、ファンデルワールス力、静電引力、疎水相互作用のような分子間力によって化学結合を介さずに結合した吸着や付着の様な状態が挙げられる。物理的に結合した状態としては、ポリマーが付着された状態などが挙げられる。ポリマーの分子量が1000以上である場合、物理的な結合力が強く水溶液中でも安定したゼータ電位を発現する。負のゼータ電位を付与するためのポリマーとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アニオン性ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル基プロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル基プロパンスルホン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、アニオン化ポリビニルアルコール、ポリビニルホスホン酸が挙げられる。また、上記ポリマーあるいはポリマーの酸塩は、他のポリマーとの共重合体であってもよい。十分なゼータ電位を有するという点で、上記ポリマーあるいはポリマーの酸塩の割合は、5〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%である。
また、ポリケトン多孔膜に負のゼータ電位を付与するという観点から、ポリケトンは、下記化学式(2)〜(5):
Figure 2014171979
Figure 2014171979
Figure 2014171979
Figure 2014171979
{式(2)〜(5)中、Rは、炭素数1〜20のスルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、及び水酸基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を含む置換基である。}で表される構造のいずれかを含む共重合体であってもよい。
スルホン酸基としては、−R1−SOH(R1は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)、−R2−C−SOH(R2は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)などが挙げられる。また、上記スルホン酸基は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどの1価の金属イオンとの塩であってもよい。スルホン酸エステル基としては、−R1−SOR3(R1とR3は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)、−R2−C−SOR3(R2とR3は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)等が挙げられる。カルボン酸基としては、−R1−COH(R1は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)、−R2−C(5−n)−nCOH(nは1〜5の整数であり、R2は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)等が挙げられる。また、上記カルボン酸基は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどの1価の金属イオンとの塩であってもよい。カルボン酸エステル基としては、−R1−COR3(R1とR3は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)、−R2−C(5−n)−nCOR3(nは1〜5の整数であり、R2とR3は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)等が挙げられる。
リン酸基としては、−R−OPO(OH)(R1は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。)などが挙げられる。また、上記リン酸基は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどの1価の金属イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンとの塩であってもよい。リン酸エステル基としては−R1−OPO(OH)(OR2)(R1とR2は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン鎖である。)あるいは−R1−OPO(OR2)(OR3)(R1、R2及びR3は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン鎖である。)が挙げられる。そして水酸基としては、−C2n−m(OH)m+1(mとnは1〜20の整数)あるいは−R1−C5−n(OH)(R1は炭素数1〜20のアルキレン鎖であり、そしてnは1〜5の整数である。)が挙げられる。
本発明の一態様に係るポリケトン多孔膜の陽イオン交換容量は、0.01〜10ミリ当量/gであることが好ましい。陽イオン交換容量は、該膜を一定量の水酸化ナトリウムで処理し、消費された水酸化ナトリウム量を塩酸で中和滴定した場合、下記の方法により求められる。
5重量%塩酸200mlをビーカー(ビーカーAとする)に入れ、ポリケトン多孔膜を30分間浸漬した後、取り出す。取り出したポリケトン多孔膜を更に15分間水洗した後、別のビーカー(ビーカーBとする)に入れる。これに、濃度Xモル/lの水酸化ナトリウム水溶液をYml入れて、上記のポリケトン膜30分間浸漬した後、ポリケトン多孔膜を取り出す。取り出したポリケトン多孔膜は50mlの水で洗浄し、洗浄液をビーカーB内の液に加える。これを、濃度1モル/lの塩酸で滴定し、下記数式にて容量を算出する。
陽イオン交換容量(ミリ当量/g)=[X(モル/l) × Y(ml) − 1(モル/l)× 滴定に要した塩酸量(ml)]/サンプル重量(g)
陽イオン交換容量が0.01ミリ当量/gより小さいポリケトン多孔膜は、安定して−10mVより低いゼータ電位が得られない場合があり、分画用フィルター濾材に用いた場合では、安定してアニオン性粒子吸着を防ぐ効果が得られず、粒子の収率が低い、昇圧が早くフィルター寿命が短いなどの不具合を生じる場合がある。また、微粒子吸着やイオン吸着用フィルター濾材に用いた場合では、カチオン性粒子や陽イオンに対する吸着力が弱く、十分な除去性能を発揮できない場合がある。一方、容量が10ミリ当量/gより大きい場合は、ゼータ電位の値がばらつき、性能が安定したフィルターを作ることが出来ない。安定したゼータ電位が得られるという点で、上記容量は、0.01〜5ミリ当量/gであることがより好ましく、0.01〜2ミリ当量/gであることが更に好ましい。
以下、本発明のポリケトン多孔膜の製造方法の一例について説明する。
ポリケトンの重合方法としては、特に制限はないが、例えば、オートクレーブ等の反応容器の溶媒中で、エチレンと一酸化炭素を反応させる。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられ、これらの混合溶媒として使用してもよい。より好ましい溶媒としては、重合活性等のコストの観点から、溶媒は、水、メタノールである。ポリケトンの原料としては、一酸化炭素とエチレンが主体となるが、ポリケトンの加工性を考慮して、エチレン以外のプロペン、ヘキセン、シクロヘキセン、スチレン等のエチレン性不飽和化合物を混合させる場合がある。
ポリケトンの重合は、溶媒に溶解した有機金属錯体触媒の存在下で進行する。なお、有機金属錯体触媒とは、周期律表の(a)第10族遷移金属化合物、(b)第15族の原子を有する配位子からなるものである。更に、かかる(a)第10族又は(b)第15族の原子を有する配位子に、第3成分として(c)酸を加えてもよい。(a)成分中の第10族遷移金属化合物の例としては、ニッケル又はパラジウムの錯体、カルボン酸塩、リン酸塩、カルバミン酸塩、スルホン酸塩を挙げることができ、その具体例としては、酢酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、塩化パラジウム等を挙げることができる。(b)成分の第15族の原子を有する配位子の例としては、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン等のリン二座配位子を挙げることができる。(c)酸の例としては、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸のpKaが4以下の有機酸の陰イオンを挙げることができる。
有機金属錯体触媒として用いる遷移金属化合物(a)の使用量は、他の重合条件によってその好適な値が異なるため、一概にその範囲を定めることはできないが、好ましくは、反応帯域の容量1リットル当り0.1〜1000マイクロモルである。反応帯域の容量とは、反応器中の液相容量をいう。配位子(b)の使用量も制限されるものではないが、遷移金属化合物1モル当たり0.8〜3モルである。酸(c)の使用量は、パラジウム化合物1モル当たり、0.1〜100モルである。
有機金属錯体触媒は、遷移金属化合物(a)、配位子(b)、及び好ましくは酸(c)を混合することによって生成する。有機金属錯体触媒の使用法についての制限はないが、各成分の混合物からなる有機金属錯体触媒を予め調製してから反応容器内に添加することが好ましい。有機金属錯体触媒を調製する場合には、先ず、遷移金属化合物(a)及び配位子(b)を混合し、次いで、酸(c)を混合することが好ましい。触媒組成物の調製に用いる溶媒は、アルコール、アセトン、及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶媒が好ましい。また、上記(a)、(b)、及び(c)3成分からなる触媒に、重合活性を維持する効果が高いという観点から、ベンゾキノン、ナフトキノンの酸化剤を添加することが好ましい。これらキノン類の添加量は、遷移金属化合物1モル当たり10〜200モルである。キノン類の添加は、触媒組成物に添加してから反応容器に添加する方法、重合溶媒に添加する方法のいずれであってもよく、必要に応じて、反応中に反応容器内に連続的に添加してもよい。
重合温度は70〜150℃、重合圧力は1〜50MPaであることが好ましく、重合時間は1〜10時間である。重合が完了したポリケトンは懸濁液の状態で反応容器内から抜き出される。反応容器から抜き出された懸濁液は必要に応じてフラッシュタンクを通過させて、懸濁液内に残留する未反応の一酸化炭素およびエチレンを除去する。次いで、ポリケトン懸濁液を、重合溶媒に用いた溶媒と同一種類の溶媒を用いて洗浄しながら、遠心脱水機等の公知の遠心分級器によりポリケトン粉体と液体成分とを分離する。その後、加熱気体を吹き付ける方法、ポリケトン粉体を攪拌しながら加熱気体を通す方法等、公知の装置、方法を用いポリケトン粉体に残存する液体成分を乾燥、除去し、ポリケトンを単離する。
以上のようにして得られたポリケトンをレゾルシン水溶液に溶解する。レゾルシン水溶液の濃度は60〜72wt%の範囲である。また、ポリマー濃度は5〜30wt%の範囲である。レゾルシン水溶液の濃度とポリマー濃度との組合せにより、ポリケトン多孔質膜の孔径がコントロール可能であり、所望の孔径により適宜決められる。ポリケトンの極限粘度に特に制限は無いが、溶解性や多孔質膜への成形しやすさの観点から、0.5〜5dl/gである。
以上のようにレゾルシン水溶液にポリケトンを溶解したドープを凝固剤で凝固させることで、平膜状又は中空糸状のポリケトン多孔質膜を作成する。平膜形状であれば、Tダイ等のフィルムダイからドープを吐出して凝固浴中で凝固させる方法や、基材にダイコーター、ロールコーター、バーコーター等の装置を用いてドープを塗工した後に凝固浴中で凝固させる方法等、従来公知のものがそのまま適用できる。中空糸形状であれば、二重管オリフィスやC型オリフィスなどを用いて、外側の輪状オリフィスからはドープを、また、内側の円状オリフィスからは凝固剤を吐出しながら凝固浴中で凝固させる方法等、従来公知のものがそのまま適応できる。
凝固剤は、メタノール、エタノール、及びプロパノールから選択される水溶液であり、その濃度は35〜70wt%である。このようにして得られた凝固膜を、必要に応じて凝固剤や水等でさらに洗浄した後、70〜100℃の温水中に1〜30分間浸漬する。
上述の温水処理後のポリケトン多孔質膜を、必要に応じて、メタノール、エタノール、及びプロパノールから選択される溶媒に浸漬して、多孔質膜に含まれる水を溶媒と置換する。その後、加熱ロールに接触させる方法、熱風を吹きかける方法、電熱ヒーターで非接触加熱して乾燥する方法等、又はこれらを組み合わせた方法等、公知の乾燥方法で乾燥する。加熱ロールに接触させる方法が最も効率が良いため好適に選ばれる。乾燥温度は、60〜200℃の範囲で、乾燥させる液体の種類により適宜選ばれる。本発明のポリケトン多孔膜の乾燥では、乾燥時に収縮や延伸による面方向への変形が少ない方法であることが重要である。許容される面方向への変形倍率は0.9〜1.1の範囲である。
乾燥後に、膜構造を安定化するために80〜200℃の範囲で熱処理を行う場合がある。熱処理を行うことで、ポリケトン多孔質膜を50〜150℃での加温状態で使用する場合や、水等の表面張力の高い溶媒を含浸させた後に再び乾燥させた場合に、膜構造の変形を抑制することが可能となる。その際にも、収縮や延伸による面方向への変形倍率が少ない方法が重要であり、許容される面方向への変形倍率は0.9〜1.1の範囲である。
官能基を含ませる方法については特に制限はないが、化学反応による方法、物理反応による方法、コーティングによる方法、さらにこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。化学反応による方法は、パール・クノール反応などが挙げられる。また、物理反応による方法はプラズマ処理やコロナ処理などが挙げられる。コーティングによる方法はポリマーを含む水溶液などに含浸させる方法が挙げられる。その他の方法としては電子線グラフト反応などが挙げられる。
ポリケトン多孔膜に負のゼータ電位を付与するという観点で、ポリケトン多孔膜に負のゼータ電位を有するポリマーなどを付着又はコーティングさせてもよい。付着又はコーティングさせる方法としては、水や有機溶剤などにポリマーを溶解させた溶液にポリケトンを含浸させた後、取り出して乾燥させる方法などが挙げられる。乾燥の前後に加熱処理や水洗などを行ってもよい。負のゼータ電位を有するポリマーとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アニオン性ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル基プロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル基プロパンスルホン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、アニオン化ポリビニルアルコール、ポリビニルホスホン酸等が挙げられる。また、上記ポリマーあるいはポリマーの酸塩は、他のポリマーとの共重合体であってもよい。十分なゼータ電位を有するという点で、上記ポリマーあるいはポリマーの酸塩の割合は、5〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%である。
ポリケトン多孔膜に負のゼータ電位を付与するという観点で、ポリケトン多孔膜を構成するポリケトンの少なくとも1つの水素原子を他の基に置換する場合、置換方法としては、例えば電子線、γ線、プラズマ等の照射によってポリケトンにラジカルを発生させた後、望みの機能を発現する官能基を有する反応性モノマーを付加させる方法が挙げられる。反応性モノマーの例としては、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、水酸基を含むアクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸の誘導体等が挙げられる。より具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びそれらのナトリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸などが挙げられる。上記の置換処理は、ポリケトンを多孔膜に成型する前に行ってもよいし、多孔膜に成型した後に行ってもよいが、成型性の観点から、多孔膜に成型した後に行う方が好ましい。
また、下記化学式(2):
Figure 2014171979
{式中、Rは、炭素数1〜20のスルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、及び水酸基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を含む置換基である。}で表される構造を含むポリケトンを製造する場合、任意の方法が可能であるが、ポリケトンと1級アミンとの脱水縮合反応によって、上記構造を含むポリケトンを製造することが、簡便性の面で好ましい。1級アミンとしては、アミノメタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルファニル酸、スルファニル酸ナトリウム、グリシン、グリシンメチルエステル、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、ミステイン、イソロイシン、ロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、O−ホスホエタノールジアミン、システイン、システアミン、メチオニン、メチオニンメチルエステル、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記脱水縮合反応は、ポリケトンを多孔膜に成型する前に行ってもよいし、多孔膜に成型した後に行ってもよいが、成型性の観点から、多孔膜に成型した後に行う方が好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における各測定値の測定方法は以下の通りであった。
1.ポリケトンの極限粘度[η]
以下の定義式に基づいて極限粘度を求めた。
Figure 2014171979
{式中、tは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールの25℃での粘度管の流下時間であり、Tは、該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトン希釈溶液の25℃での粘度管の流下時間であり、そしてCは、上記ポリケトン希釈溶液100ml中のグラム単位による溶質の質量値である。}。
2.平均孔径(nm)
PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200AEX)を用い、浸液にPMI社製のガルウィック(表面張力=15.6dynes/cm)を用い、ASTM E1294−89に準拠し、ハーフドライ法により測定した。
3.膜厚(μm)
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:PEACOCK No.25)にて、ポリケトン多孔膜の膜厚を、格子状に5mm間隔で9箇所(3点×3点)選んだ測定点にて測定し、数平均値として得られる平均厚みLp(μm)を膜厚とした。
4.空隙率(ε)(%)
空隙率(ε)は、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、ポリケトン膜の重量(g)であり、ρは、ポリケトン多孔膜を構成する高分子の密度(g/cm)であり、tは、ポリケトン多孔膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、ポリケトン多孔膜の面積(cm)である。}により求めた。
5.透気抵抗度(sec/100ml)
JIS P8117(ガーレー法)に準拠して、透気抵抗度を測定した。
6.引張強度(MPa)、伸度、及び強度低下率(%)
横型引張強度試験機(熊谷理機工業製)を用い、15mm幅の短冊状に切り出したサンプルについて、チャック間距離:80mm、伸長速度:80m/minの条件で5点の破断強度を測定し、その数平均を引張強度(MPa)とした。
また、下記式により、破断時の伸度を算出した。
伸度(%)=[破断時のチャック間距離(mm)−80(mm)]/80(mm) × 100
また、下記式により、強度低下率を算出した。
強度低下率(%)=(ポリケトン多孔膜の強度−元のポリケトン多孔膜の強度)/元のポリケトン多孔膜の強度 x 100
7.単位厚み当たりの圧力損失(kPa/μm)
ポリケトン多孔平膜を円形に打ち抜き、ステンレス製ホルダ(アドバンテック製、有効濾過面積3.5cm2)に平膜を固定し、1.4mL/min/cm2で25℃の蒸留水を240分間濾過して10分後及び240分後の圧力損失を測定し、厚み(μm)で割って、単位厚み当たりの圧力損失(kPa/μm)を算出した。
8.粒子透過率(%)
平膜状のポリケトン多孔膜を濾材として、粒子濃度2.0ppmのアニオン基でコーティングされたポリスチレンラテックスの水分散液を、差圧100kPa、有効濾過面積3.5cm2で5分間全量濾過した。濾液の粒子濃度C(ppm)を測定し、下記式より粒子透過率(%)を算出した。
粒子透過率(%)=C/2×100
尚、濾液のポリスチレン粒子の濃度C(ppm)濃度は、紫外可視分光光度計(日本分光:V−650)を用い、濃度既知のポリスチレンラテックス水分散液から検量線を作成して測定した。
9.ゼータ電位(mV)
ポリケトン膜のゼータ電位は、ゼータ電位測定システムELS−Z(大塚電子株式会社製)を用いて、電気泳動光散乱法により測定した。平板試料用セルユニット(大塚電子株式会社製)のセル上面にポリケトン膜を取り付け、モニター粒子(大塚電子製)を分散させたpH=6〜7の10mM塩化ナトリウム水溶液でセルを満たし、モニター粒子の電気泳動を行い、セル上下面間の7点においてモニター粒子の電気移動度を測定した。得られた電気移動度のデータを森・岡本の式およびSmoluchowskiの式で解析することにより、ポリケトン膜のゼータ電位を算出した。
10.陽イオン交換容量測定
5重量%塩酸200mlをビーカー(ビーカーAとする)に入れ、ポリケトン多孔膜を30分間浸漬した後、取り出した。取り出したポリケトン多孔膜を更に15分間水洗した後、別のビーカー(ビーカーBとする)に入れた。これに、濃度Xモル/lの水酸化ナトリウム水溶液をYml入れて、上記のポリケトン膜30分間浸漬した後、ポリケトン多孔膜を取り出した。取り出したポリケトン多孔膜は50mlの水で洗浄し、ビーカーB内の液に加えた。これを、濃度1モル/lの塩酸で滴定し、下記数式にて容量を算出した。
陽イオン交換容量(ミリ当量/g)=[X(モル/l) × Y(ml) − 1(モル/l)× 滴定に要した塩酸量(ml)]/サンプル重量(g)
[実施例1]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度12wt%で61wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン膜を、酢酸1重量%を含む1重量%アミノメタンスルホン酸水溶液に80℃で30分間浸漬させた。次いで、ポリケトン多孔膜を取り出して水、メタノール、アセトンの順で良く洗浄した後60℃で乾燥して、スルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は50nmであり、厚みは105μm、空隙率は78%、透気抵抗度は45秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は18.0%であった。また、陽イオン交換容量は0.01ミリ当量/g、ゼータ電位は−10mVであった。圧力損失は、10分後で22.5kPa/μm、240分後では22.5kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は90%(粒子径:50nm)、0%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、50nmと100nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例2]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で63wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン膜を、実施例1と同様に、酢酸1重量%を含む1重量%アミノメタンスルホン酸水溶液に80℃で30分間浸漬させた。次いで、ポリケトン多孔膜を取り出して水、メタノール、アセトンの順で良く洗浄した後60℃で乾燥して、スルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは101μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は18.2%であった。また、陽イオン交換容量は0.01ミリ当量/g、ゼータ電位は−10mVであった。圧力損失は、10分後で20.5kPa/μm、240分後では20.5kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、92%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例3]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で65wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン膜を、実施例1と同様に、酢酸1重量%を含む1重量%アミノメタンスルホン酸水溶液に80℃で30分間浸漬させた。次いで、ポリケトン多孔膜を取り出して水、メタノール、アセトンの順で良く洗浄した後60℃で乾燥して、スルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は202nmであり、厚みは97μm、空隙率は81%、透気抵抗度は28秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は18.1%であった。また、陽イオン交換容量は0.01ミリ当量/g、ゼータ電位は−10mVであった。圧力損失は、10分後で18.6kPa/μm、240分後では18.4kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、100%(粒子径:100nm)、91%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、200nmと300nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例4]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で68wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン膜を、実施例1と同様に、酢酸1重量%を含む1重量%アミノメタンスルホン酸水溶液に80℃で30分間浸漬させた。次いで、ポリケトン多孔膜を取り出して水、メタノール、アセトンの順で良く洗浄した後60℃で乾燥して、スルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は497nmであり、厚みは110μm、空隙率は82%、透気抵抗度は10秒/100ml、引張強度は3.5MPa、伸度は18.0%であった。また、陽イオン交換容量は0.01ミリ当量/g、ゼータ電位は−10mVであった。圧力損失は、10分後で15.5kPa/μm、240分後では15.4kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、100%(粒子径:100nm)、100%(粒子径:200nm)、100%(粒子径:300nm)、100%(粒子径:400nm)、92%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、500nmと600nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例5]
3重量%アミノメタンスルホン酸を用いた以外は、実施例2と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は99nmであり、厚みは103μm、空隙率は85%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.8MPa、伸度は18.4%であった。また、陽イオン交換容量は0.02ミリ当量/g、ゼータ電位は−15mVであった。圧力損失は、10分後で20.1kPa/μm、240分後では20.2kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、91%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例6]
10重量%アミノメタンスルホン酸を用いた以外は、実施例2と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は102nmであり、厚みは99μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.7MPa、伸度は17.3%であった。また、陽イオン交換容量は0.21ミリ当量/g、ゼータ電位は−23mVであった。圧力損失は、10分後で20.5kPa/μm、240分後では20.8kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、94%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例7]
10重量%アミノメタンスルホン酸を用いて、80℃、2時間で処理を行った以外は、実施例2と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は101nmであり、厚みは100μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は17.6%であった。また、陽イオン交換容量は1.20ミリ当量/g、ゼータ電位は−30mVであった。圧力損失は、10分後で20.4kPa/μm、240分後では20.4kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、92%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例8]
酢酸1%を含む10重量%アミノメタンスルホン酸のジメチルホルムアミド溶液を用いた以外は、実施例2と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は100nmであり、厚みは102μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.4MPa、伸度は16.7%であった。また、陽イオン交換容量は2.32ミリ当量/g、ゼータ電位は−55mVであった。圧力損失は、10分後で20.0kPa/μm、240分後では19.0kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、97%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例9]
120℃の10重量%アミノメタンスルホン酸/酢酸懸濁液に30分間浸漬させた以外は、実施例2と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは98μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.2MPa、伸度は5.2%であった。また、陽イオン交換容量は6.71ミリ当量/g、ゼータ電位は−67mVであった。圧力損失は、10分後で20.6kPa/μm、240分後では18.0kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、100%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例10]
アミノエタンスルホン酸を用いた以外は、実施例5と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は101nmであり、厚みは100μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.8MPa、伸度は17.3%であった。また、陽イオン交換容量は0.02ミリ当量/g、ゼータ電位は−10mVであった。圧力損失は、10分後で19.9kPa/μm、240分後では20.0kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、93%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例11]
アミノメタンカルボン酸を用いた以外は、実施例5と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は100nmであり、厚みは97μm、空隙率は82%、透気抵抗度は38秒/100ml、引張強度は3.8MPa、伸度は17.4%であった。また、陽イオン交換容量は0.02ミリ当量/g、ゼータ電位は−14mVであった。圧力損失は、10分後で20.1kPa/μm、240分後では19.9Pa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、89%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例12]
2−アミノ−1、3−プロパンジオールを用いた以外は、実施例5と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は103nmであり、厚みは98μm、空隙率は81%、透気抵抗度は41秒/100ml、引張強度は3.8MPa、伸度は18.2%であった。また、陽イオン交換容量は0.04ミリ当量/g、ゼータ電位は−13mVであった。圧力損失は、10分後で20.1kPa/μm、240分後では20.1Pa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、92%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例13]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で63wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。このポリケトン多孔膜をドライアイスで冷やしながら200kGyの電子線を数秒間照射して、ラジカル化ポリケトン多孔膜を作製した。窒素バブリングによって溶存酸素を除去した1重量%2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸水溶液に、上記ラジカル化ポリケトン多孔膜を窒素雰囲気下、40℃で1時間浸漬させた。次いで、水、メタノール、アセトンの順でよく洗浄した後60℃で乾燥して、スルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を得た。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは98μm、空隙率は82%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.9MPa、伸度は20.7%であった。また、陽イオン交換容量は0.06ミリ当量/g、ゼータ電位は−20mVであった。圧力損失は、10分後で20.0kPa/μm、240分後では20.0Pa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、90%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例14]
浸漬時間を3時間にした以外は、実施例13と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は97nmであり、厚みは107μm、空隙率は81%、透気抵抗度は42秒/100ml、引張強度は3.9MPa、伸度は20.2%であった。また、陽イオン交換容量は0.63ミリ当量/g、ゼータ電位は−25mVであった。圧力損失は、10分後で20.5kPa/μm、240分後では20.8Pa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、94%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例15]
5重量%2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸水溶液を用いて、60℃で3時間浸漬させた以外は、実施例13と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は97nmであり、厚みは106μm、空隙率は80%、透気抵抗度は45秒/100ml、引張強度は3.9MPa、伸度は20.1%であった。また、陽イオン交換容量は1.12ミリ当量/g、ゼータ電位は−35mVであった。圧力損失は、10分後で21.0kPa/μm、240分後では22.5kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、89%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例16]
実施例2と同じ条件で作製したポリケトンドープをアプリケータを用いて、平均繊維径16μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる、目付14.7g/mの不織布の片面に塗布した。このポリケトンドープ/不織布複合体を、実施例2と同じ条件で凝固、洗浄、および乾燥して、ポリエステル不織布複合ポリケトン多孔膜を得た。このポリケトン多孔膜の全質量に対するポリケトン質量割合は20質量%であった。
この複合膜を実施例6と同条件で処理して、スルホン酸基を有するポリエステル不織布複合ポリケトン多孔膜を得た。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は99nmであり、厚みは205μm、空隙率は75%、透気抵抗度は43秒/100ml、引張強度は25.1MPa、伸度は18.9%であった。また、陽イオン交換容量は0.23ミリ当量/g、ゼータ電位は−16mVであった。圧力損失は、10分後で21.1kPa/μm、240分後では20.9Pa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、88%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[実施例17]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で63wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このポリケトン多孔膜を、0.1重量%ポリスチレンスルホン酸(ポリスチレンの分子量:100万)水溶液に10分間浸漬させた後、取り出して、100℃で2分間加熱した。これを15分間流水で洗浄した後、100℃で乾燥させた。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは102μm、空隙率は80%、透気抵抗度は42秒/100ml、引張強度は4.1MPa、伸度は19.3%であった。また、陽イオン交換容量は0.30ミリ当量/g、ゼータ電位は−24mVであった。圧力損失は、10分後で20.1kPa/μm、240分後では20.1kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は100%(粒子径:50nm)、88%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。圧力損失が小さく、100nmと200nmの粒子を篩い分けることが可能で、優れた分画性能を持っていた。
[比較例1](実施例2と同じ:反応させていないだけ)
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で63wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これを2−プロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は100nmであり、厚みは100μm、空隙率は80%、透気抵抗度は38秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は18.8%であった。また、陽イオン交換容量は0.00ミリ当量/g、ゼータ電位は−5mVであった。圧力損失は、10分後で19.9kPa/μm、240分後では20.1kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は50%(粒子径:50nm)、21%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。孔径より小さな粒子に対しても吸着が起こり、収率が低下し、分画精度も悪かった。
[比較例2]
浸漬時間を5分にした以外は、実施例2と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は102nmであり、厚みは98μm、空隙率は80%、透気抵抗度は39秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は18.2%であった。また、陽イオン交換容量は0.005ミリ当量/g、ゼータ電位は−6mVであった。圧力損失は、10分後で20.0kPa/μm、240分後では20.1kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は70%(粒子径:50nm)、45%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。孔径より小さな粒子に対しても吸着が起こり、収率が低下し、分画精度も悪かった。
[比較例3]
浸漬時間を120分にした以外は、実施例9と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は102nmであり、厚みは102μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は2.9MPa、伸度は3.1%であった。また、陽イオン交換容量は10.8ミリ当量/g、ゼータ電位は−83mVであった。圧力損失及びアニオン性ポリスチレンラテックスの粒子捕捉率は、測定中に破膜が生じたため、評価不可能であった。
[比較例4]
10重量%N,N−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジアミンを用いた以外は、実施例2と同じ条件でスルホン酸基含有ポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は98nmであり、厚みは102μm、空隙率は80%、透気抵抗度は40秒/100ml、引張強度は3.6MPa、伸度は17.3%であった。また、陽イオン交換容量は0.00ミリ当量/g、ゼータ電位+15mVであった。圧力損失は、10分後で20.1kPa/μm、240分後では20.1kPa/μmであった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は0%(粒子径:50nm)、0%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。孔径より小さな粒子を完全に吸着してしまい、全く分画できなかった。
[比較例5]
10重量%2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用いた以外は、実施例13と同じ条件でポリケトン多孔膜を作製した。
このようにして得られたポリケトン多孔膜の平均孔径は101nmであり、厚みは103μm、空隙率は75%、透気抵抗度は70秒/100mlと膜構造の変化が見られた。一方、引張強度は4.0MPa、伸度は20.7%であった。また、陽イオン交換容量は10.8ミリ当量/g、ゼータ電位は−61〜−83mVであった。圧力損失は、10分後で27.5kPa/μm、240分後では34.1kPa/μmであり、初期の圧力損失が高くなり、時間とともにさらに悪化することが分かった。アニオン性ポリスチレンラテックスの粒子透過率は0%(粒子径:50nm)、0%(粒子径:100nm)、0%(粒子径:200nm)、0%(粒子径:300nm)、0%(粒子径:400nm)、0%(粒子径:500nm)、0%(粒子径:600nm)であった。孔径より小さな粒子を完全に吸着してしまい、全く分画出来なかった。
Figure 2014171979
本発明のポリケトン多孔膜は、ポリケトン由来の高い耐熱性と耐薬品性を有し、かつ、負のゼータ電位を有するために、アニオン性の粒子に対して優れたファウリング効果を発揮し、高精度の分画が可能なフィルター濾材として有用である。また、アニオン性微粒子やゲル及びアニオンに対して優れた吸着性能をもつため、吸着用のフィルター濾材としても有用である。該フィルター濾材は、高粘度スラリー分画用、水処理用、メンブレンバイオリアクタ用、工業用液体濾過用、脱気用、気体除塵用、ケミカルフィルター用、及び医療用のろ過フィルターとして好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 下記化学式(1):
    Figure 2014171979
    で表される1−オキソトリメチレン繰り返し単位を含むポリケトンからなるポリケトン多孔膜であって、該多孔膜の空隙率が5〜90%であり、かつ、該多孔膜のゼータ電位が−80mV〜−10mVであることを特徴とするポリケトン多孔膜。
  2. スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、及び水酸基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有し、かつ、陽イオン交換容量が0.01〜10ミリ当量/gである、請求項1に記載のポリケトン多孔膜。
  3. 請求項1又は2に記載のポリケトン多孔膜を含む濾過用フィルター。
  4. 粒子分画用の、請求項3に記載の濾過用フィルター。
  5. イオン吸着用の、請求項3に記載の濾過用フィルター。
  6. 粒子又はゲル吸着除去用の、請求項3に記載の濾過用フィルター。
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