JP2015199228A - 二軸延伸ポリプロピレン系フィルム及び包装用袋 - Google Patents

二軸延伸ポリプロピレン系フィルム及び包装用袋 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートシール強度に優れ、内容物充填時のホットタック性に優れた包装用二軸延伸ポリプロピレン系フィルム及び該包装用二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを用いた包装用袋を提供すること。【解決手段】本発明として、例えば、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであって、シール層にプロピレン系ランダム共重合体を75〜93重量%、及びポリエチレン系樹脂を7〜25重量%含有することを特徴とする、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを挙げることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ホットタック性とヒートシール性に優れた二軸延伸ポリプロピレン系フィルムと、該フィルムから得られる包装用袋に関するものである。
生野菜、果物、芋、キノコ等の青果物は、鮮度の保持や外部との接触による損傷から守るため袋状に加工された樹脂フィルムにより包装され、流通している。当該樹脂フィルムとしては、透明性、光沢性及び剛性に優れることから、ポリプロピレン系フィルムが一般に利用されている。
この樹脂フィルムを袋状に加工し、生野菜等の青果物を自動包装する装置として、縦ピロー機等の包装機が用いられている。縦ピロー機とは、まず樹脂フィルムを筒状にし、袋の底をシール後、袋上方より内容物を投入し、最後に袋上部をシールすることにより、内容物を袋状の樹脂フィルムで包装する装置である。
このような青果物を自動包装するためのフィルムとして、例えば、NMRペンタッド分率93〜98%のプロピレン単独重合体を含む層と、プロピレン系ランダム共重合体とポリエチレン系樹脂を含む層の2層を有することにより、防曇性及び溶断シール強度に優れ、高速下でも安定した製袋加工が可能である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、シール直後のシール部(袋の底部)に内容物の荷重がかかると、生野菜等の重量物の場合には、シール部が開く等の不具合が発生するというおそれがある。
特開2007−253349号公報
本発明の主な課題は、ヒートシール強度に優れ、内容物充填時のホットタック性に優れた新規な包装用二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを提供することにある。また、かかるフィルムから得られる包装用袋を提供することも課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、シール層にプロピレン系ランダム共重合体とポリエチレン系樹脂とを一定割合含有する混合樹脂を用いることにより、透明性及びホットタック性に優れた二軸延伸ポリプロピレン系フィルムが得られることを発見し、本発明を完成した。
本発明としては、例えば、下記を挙げることができる。
[1]表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであって、シール層にプロピレン系ランダム共重合体を75〜93重量%、及びポリエチレン系樹脂を7〜25重量%含有することを特徴とする、二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
[2]表面層に、融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂を50〜99重量%、及び融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂を1〜50重量%含有する、上記[1]に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
[3]融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂の、13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)が97.0%以上である、上記[2]に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
[4]基材層に防曇剤を含む、上記[1]〜[3]のいずれか1に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
[5]上記[1]〜[4]のいずれか1に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを用いて製造される包装用袋。
[6]青果物を包装するためのものである、上記[5]に記載の包装用袋。
本発明の包装用二軸延伸ポリプロピレン系フィルムによれば、ヒートシール強度に優れ、内容物充填時のホットタック性に優れるため、内容物が生野菜等の比較的重い物であってもシール部が開き難く、例えば縦ピロー包装機を使って効率的に包装することができる。
I.本発明の二軸延伸ポリプロピレン系フィルムについて
本発明の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム(以下、「本発明フィルム」という)は、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する。
I−1.本発明フィルムに係るシール層
まず、本発明フィルムに係るシール層について説明する。かかるシール層は、例えば縦ピロー機で青果物等を包装する場合、最初に樹脂フィルムを筒状にするに際して、筒の内側になる層であり、当該シール部では、シール層同士が互いに接着する。
当該シール層は、プロピレン系ランダム共重合体とポリエチレン系樹脂とを含有している。
当該プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体である。かかるプロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、炭素数2〜20のプロピレン以外のα−オレフィンを挙げることができ、具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン等が挙げられる。この中、炭素数2〜4の、例えば、エチレン、ブテンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらプロピレン以外のα−オレフィンは、1種であっても、2種以上の併用であっても良い。
当該プロピレン系ランダム共重合体中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有割合は、14重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
当該プロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレンとそれ以外のα−オレフィンとのランダム共重合体であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等を挙げることができる。この中、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体が好ましい。
当該プロピレン系ランダム共重合体の中、ISO1133(1997)に準拠して230℃、21.18N(2.16Kg)荷重の条件で測定された場合のメルトフローレート(MFR)値が0.5〜20g/10分の範囲内であるプロピレン系ランダム共重合体が好ましい。また当該メルトフローレート値が、4〜8g/10分の範囲内であるプロピレン系ランダム共重合体がより好ましい。なお、重合体のメルトフローレート(MFR)値は、プロピレン以外のα−オレフィンの種類や含有量、重合体の分子量や重合度によって適宜調整することができる。
本発明に係るポリエチレン系樹脂は、エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体である。かかるエチレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンを挙げることができ、具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。この中、炭素数3〜8の、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましい。これらエチレン以外のα−オレフィンは1種であっても、また2種以上の併用であってもよい。
当該ポリエチレン系樹脂中のエチレンとそれ以外のα−オレフィンとの含有割合としては、通常エチレンが75〜100重量%、それ以外のα−オレフィンが0〜25重量%であり、好ましくはエチレンが85〜99.9重量%、それ以外のα−オレフィンが0.1〜15重量%であり、より好ましくはエチレンが90〜99.5重量%、それ以外のα−オレフィンが0.5〜10重量%であり、更に好ましくはエチレンが90〜99重量%、それ以外のα−オレフィンが1〜10重量%である。
当該ポリエチレン系樹脂の中、ISO1133(1997)に準拠して190℃、21.18N(2.16Kg)荷重の条件で測定されたメルトフローレート(MFR)値が0.5〜20g/10分の範囲内であるポリエチレン系樹脂が好ましい。また、当該メルトフローレート値が、2〜4g/10分の範囲内であるポリエチレン系樹脂がより好ましい。
更に当該ポリエチレン系樹脂の中、JIS K 7112に準拠して測定した場合の密度が0.85〜0.90g/cmの範囲内であるポリエチレン系樹脂が好ましく、0.86〜0.89g/cmの範囲内であるポリエチレン系樹脂がより好ましい。
シール層中の、プロピレン系ランダム共重合体とポリエチレン系樹脂の含有量としては、通常プロピレン系ランダム共重合体が75〜93重量%、ポリエチレン系樹脂が7〜25重量%であり、好ましくはプロピレン系ランダム共重合体が80〜90重量%、ポリエチレン系樹脂が10〜20重量%であり、より好ましくはプロピレン系ランダム共重合体が80〜85重量%、ポリエチレン系樹脂が15〜20重量%である。ポリエチレン系樹脂の含有量が7重量%より少ないと、十分なヒートシール強度が得られない場合があり、ポリエチレン系樹脂の含有量が25重量%より多いと、ホットタック性が低下する場合がある。
シール層には、樹脂フィルムの表面が平滑になり、樹脂フィルム同士が密着することを防ぐ目的で、透明性を損なわない範囲で、アンチブロッキング剤又は滑剤を含んでいても良い。かかるアンチブロッキング剤としては、一般的に用いられている無機系のシリカやカオリン、ゼオライト等、又は有機系の架橋アクリルビーズ等が挙げられる。また、滑剤としては、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。アンチブロッキング剤及び滑剤は、いずれも1種のみでもよく、また2種以上を併用してもよい。
上記アンチブロッキング剤又は滑剤の添加量は、樹脂の種類等により適宜調整することができるが、層を構成する樹脂100重量部に対して、0.05〜30重量部が適当であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
I−2.本発明フィルムに係る表面層
次に、表面層について説明する。表面層は、樹脂フィルムを包装用袋に成形した際、外面となる層であり、金型を用いてフィルム状に成形する際、基材層を熱から守る目的で必要となる。表面層は、融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂と、融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂とを含有している。
当該融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体又はプロピレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体である。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、炭素数2〜10のプロピレン以外のα−オレフィンを挙げることができ、具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンを挙げることができる。この中、炭素数2〜4の、例えば、エチレン、1−ブテンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらプロピレン以外のα−オレフィンは、1種であっても、2種以上の併用であっても良い。プロピレン以外のα−オレフィンの含有割合は、1.3重量%以下が適当であり、0.5重量%以下が好ましい。
当該融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂の中、ISO1133(1997)に準拠して230℃、21.18N(2.16Kg)荷重の条件で測定された場合のメルトフローレート(MFR)値が0.5〜20g/10分の範囲内にあることが好ましい。また、当該メルトフローレート値が、2〜4g/10分の範囲内である融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。なお、重合体のメルトフローレート(MFR)値は、プロピレン以外のα−オレフィンの種類や含有量、重合体の分子量や重合度によって適宜調整することができる。
更に、当該融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂の中、13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)が94.0%〜96.0%であるものが好ましい。
本発明に係る融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であるものが好ましい。その中、ISO1133(1997)に準拠して230℃、21.18N(2.16Kg)荷重の条件で測定された場合のメルトフローレート(MFR)値が0.5〜20g/10分の範囲内にあるもの、更には1〜4g/10分の範囲内にあるものがより好ましい。
更に、当該融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂の中、13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)が97.0%以上であるものが好ましく、98%〜99.5%であるものがより好ましい。
表面層中の融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂と融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂の含有量としては、通常融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が50〜99重量%、融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が1〜50重量%であり、好ましくは融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が80〜99重量%、融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が1〜20重量%であり、より好ましくは融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が90〜95重量%、融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が5〜10重量%である。
表面層には、樹脂フィルムの表面が平滑になり、樹脂フィルム同士が密着することを防ぐ目的で、透明性を損なわない範囲で、アンチブロッキング剤又は滑剤を含んでいても良い。当該アンチブロッキング剤又は滑剤の好ましい種類や添加量は、シール層に記載のものと同様である。
I−3.本発明フィルムに係る基材層
次に、基材層について説明する。基材層は、前記シール層と前記表面層との間に挟まれた中間層である。基材層は、結晶性ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有している。
当該結晶性ポリプロピレン系樹脂は、結晶性のプロピレン系樹脂であれば特に限定されないが、融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が好ましい。この融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、前記表面層における融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂と同様のものを挙げることができる。
なお、主成分とは、通常、基材層中の融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂が、50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
基材層には、フィルムに防曇性能を付与する目的で防曇剤を含有することができる。かかる防曇剤は基材層に添加するのが一般的であるが、本発明フィルム成膜後は、表面層やシール層に拡散していくため、水分の多い内容物を包装する用途に使用された場合、良好な防曇性を発現する。かかる防曇剤としては、その目的に適うものであれば特に限定されず、従来、防曇性フィルムに用いられている防曇剤をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの3系が挙げられる。
アルキルジエタノールアミンにおけるアルキル基は、通常、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜18のものである。具体的なアルキルジエタノールアミンとしては、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン等を挙げることができる。
アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルにおける脂肪酸エステル基は、通常、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸エステルであり、好ましくは後者の不飽和の脂肪酸エステルである。具体的なアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルとしては、ラウリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ミリスチルジエタノールアミンモノオレイン酸エステル、ラウリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、パルミチルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノパルミチル酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、オレイルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル等を挙げることができる。
グリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸エステル基は、上記のアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルにおける脂肪酸エステル基と同様のものを挙げることができる。また、グリセリンの−OHに結合する脂肪酸エステル基数は1又は2個が好ましく、より好ましいのは1個の脂肪酸エステルモノグリセライドである。
以上の各防曇剤は、上記同系の中で1種又は2〜3種の混合で、異系の中で2〜3種の混合の形で使用されるが、中でも異系の中での3種混合の形での使用、つまりアルキルジエタノールアミンとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル及び脂肪酸エステルモノグリセライドの3成分混合で、且つアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを主成分として組成するのがより好ましい。
防曇剤の添加量としては、防曇剤の種類等により適宜調整すれば良いが、5000〜15000ppmが適当であり、4000〜10000ppmが好ましい。防曇剤の添加量が5000ppm未満であると充分な防曇効果が得られない場合があり、15000ppmを超えると必要以上に表面へのブリードアウトが起こり、透明性が劣化する場合がある。
I−4.本発明フィルム
本発明フィルムは、表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有しており、これら各層は、本発明フィルムを包装用袋に成形した際、外面が表面層、中間が基材層、内側がシール層の順になる。
本発明フィルムにおける各層の厚さは次のとおりである。
該フィルムの総厚みを10〜80μmの範囲内、好ましくは10〜40μmの範囲内としたとき、シール層は1.5〜12μmの範囲内、好ましくは2〜6μmの範囲内であり、基材層は7〜40μmの範囲内、好ましくは10〜25μmの範囲内であり、表面層は1〜5μmの範囲内、好ましくは1〜3μmの範囲内である。シール層及び表面層の厚さがこの範囲にあると良好なシール強度を有し、取り扱いやすいフィルムとなり好ましい。
本発明フィルム中には、種々の添加剤を適量更に混合することができる。かかる添加剤としては、造核剤、酸化防止剤、難燃剤、静電気防止剤、充填剤、顔料等を挙げることができる。
また、本発明フィルムは、前記3層のほかに、開口性付与層、ガスバリア性付与層等その他の層を有していても構わない。
本発明フィルムの製造方法は、特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、生産性や出来上がったフィルムの物性等を考慮すると、フラット状シートを押出成形により製膜し、次いで逐次二軸延伸して本発明フィルムを製造するのが好ましい。
より具体的には、適正な温度に設定された3台の押出機に、表面層を構成する樹脂、基材層を構成する樹脂及びシール層を構成する樹脂をそれぞれ投入し、押出機内で樹脂を溶融・混練した後、210℃〜250℃のTダイスよりシート状に押出す。この場合、3層の多層構成を形成するのに、フィードブロック方式を用いても、マルチマニホールド方式を用いても良い。押出されたシートは25℃の冷却ロールにて冷却固化され、縦延伸工程へと送られる。縦延伸は130℃〜140℃に設定された加熱ロールにより構成されており、ロール間の速度差によって縦方向(以下、MD方向という。)に延伸される。この加熱ロールの本数には特に制限はないが、少なくとも低速側と高速側の2本は必要である。縦延伸の延伸倍率は4〜6倍、好ましくは4.5〜5.5倍である。次にテンターによる横延伸工程に送られ、横方向(以下、TD方向という。)に延伸される。テンター内は予熱、延伸、アニールゾーンに分かれており、予熱ゾーンは165℃〜170℃に、延伸ゾーンは165℃〜170℃に、そしてアニールゾーンは165℃〜170℃に設定されている。延伸ゾーンでの延伸倍率は6〜10倍程度が好ましい。延伸されたのち、アニールゾーンで冷却、固定されたのち、巻き取り機にて巻き取ってフィルムロールとなる。
本発明フィルムの製造においては、テンターのアニールゾーンを出た後、巻き取り機で巻き取る前に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等公知の表面処理を施すことが好ましく、簡便性の点から特に、コロナ放電処理を行うことが好ましい。当該表面処理を施すことにより、フィルムの表面にぬれ張力を持たせ、防曇効果を高めることができるだけでなく、フィルム表面に印刷をする場合の印刷インキとの密着性を高めることもできる。このコロナ放電処理は表面層面、シール層面の両面を処理しても良いし、表面層面又はシール層面のどちらか一方の面を処理しても良い。コロナ放電処理の強度としては、1.8×10〜9.0×10J/mの範囲内にあるのが好ましく、両面処理する場合に、両面とも同じ強度であっても、異なっていても良い。
こうして得られた二軸延伸ポリプロピレン系フィルム(本発明フィルム)の表面のぬれ張力は、38〜44mN/mが好ましい。ぬれ張力が38mN/m未満であると、防曇性の発現が充分でなく、また印刷する場合には印刷インキの密着性に劣り好ましくない。ぬれ張力が44mN/mを超えると、防曇剤の表面へのブリードアウトが激しく白化やブロッキングの原因となるほか、溶断シール強度の低下の原因となり好ましくない。
II.本発明の包装用袋について
次に、本発明フィルムで得られる包装用袋(以下、「本発明包装用袋」という)について詳述する。
本発明包装用袋は、本発明フィルムを用いて、自動包装機等により成形し得ることができる。
本発明フィルムは、内容物充填時のホットタック性に優れるため、縦ピロー包装機で包装用袋を成形する際に特に好適に用いられるが、横ピロー包装機等その他包装機で成形する際にも、用いることができる。
本発明包装用袋で包装される内容物としては、包装され得るものであれば特に限定されないが、例えば、青果物(例:生野菜、果物、芋、キノコ)等の農産物を挙げることができ、農産物が好ましい。かかる農産物としては、例えば、ネギ、もやし、ホウレン草、ブロッコリー、ピーマン等の野菜類;キャベツ、レタス、ニンジン等のカット野菜類;又はいちご、バナナ、レモン等の果物類;又はえのき茸、まいたけ、しめじ茸、しいたけ等のキノコ類を挙げることができる。中でも、もやし、カット野菜類が好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
使用した原料は、次のとおりである。
PP−1:プロピレン−エチレン共重合体(エチレン成分:0.5重量%、MFR:3.0g/10分、融点:161℃、密度:0.9g/cm
PP−2:プロピレン単独重合体(IP=98%、MFR:1.9g/10分、融点:167℃、密度:0.9g/cm
PP−3:プロピレン−エチレン共重合体(エチレン成分:0.4重量%、MFR:2.3g/10分、融点:160℃、密度:0.9g/cm
PP−4:プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(エチレン成分:3.4重量%、ブテン成分:1.4重量%、MFR:5.0g/10分、融点:125℃、密度:0.9g/cm
PE−1:直鎖状低密度ポリエチレン(MFR:3.5g/10分、融点:60℃、密度:0.88g/cm
防曇剤:ステアリルモノグリセライド15.6重量%、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート76.9重量%、及びステアリルジエタノールアミン7.5重量%の混合物
実施例及び比較例での各物性は、次のとおり測定されたものである。
[ヒートシール強度]
2枚のフィルムを、シール層面が向かい合うように重ねた後、ヒートシールテスター(東洋精機製作所製 HG−100)にて、温度130℃、圧力0.2MPa、シール時間1.0秒の条件でヒートシールした。得られたサンプルを長さ200mm×幅15mmにカットし、剥離試験機(新東科学株式会社製 Peeling TSTER HEIDON−17)を用いて引張速度200mm/minで、T字剥離試験にてヒートシール強度測定した。測定は5回行い、その平均値をとった。4.5N/15mm以上のシール強度を有するものを、実使用に耐えるものとした。
[ホットタック性]
2枚のフィルムを25mm×300mmの短冊状に切断し、一方の端にそれぞれ17.8gの重りを取り付ける。2枚のフィルムのシール層面が向かい合うように2枚のフィルムを重ね、重りのついた方の端を指で押さえながら、もう一方の端側をTP−701−Aヒートシールテスター(テスター産業株式会社製)を用い、温度130℃、圧力0.1MPa、時間0.5秒の条件にてヒートシールした。ヒートシールが完了すると同時に重りを落下させ、シールが剥がれた部分の長さを測定した。測定は5回行い、その平均値をとった。剥がれた長さが100mm以下のものをホットタック性に優れるものとした。
(実施例1)
PP−1(95重量%)とPP−2(5重量%)とを表面層を構成する樹脂とし、PP−3(99.4重量%)と防曇剤(0.6重量%)とを基材層を構成する樹脂とし、PP−4(90重量%)とPE−1(10重量%)とをシール層を構成する樹脂とした。
これら各層を構成する樹脂を3台の押出機にそれぞれ投入し、表面層/基材層/シール層の順に積層されるようにして、温度230℃の3層Tダイスから共押出し、25℃の冷却ロールで冷却、固化して原反シートを得た。次いで当該シートを130℃に加熱し、MD方向に4.6倍ロール延伸した後、テンターにて設定温度165℃で予熱し、設定温度165℃でTD方向に10倍延伸した後、設定温度165℃でアニールし、テンターを出た後、表面層側を6.6×10J/mで、シール層側を4.8×10J/mでコロナ放電処理を施した後、巻き取り機で巻き取って、本発明フィルムを得た。得られた本発明フィルムの総厚みは20μmであり、各層の厚みは表面層/基材層/シール層=2μm/15μm/3μmであった。
得られた本発明フィルムに関して、ヘイズ値とホットタック性の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(実施例2〜4、比較例1,2)
各層を構成する樹脂を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして本発明フィルムないし比較用フィルムを得た。得られた各フィルムに関して、ヘイズ値とホットタック性の評価を行った。その評価結果も表1に示す。
Figure 2015199228
表1に示す通り、本発明フィルムは、比較例に係るフィルムに比べてシール強度とホットタック性に優れたフィルムであることが明らかである。
本発明フィルムは、特にシール強度とホットタック性に優れることから、例えば縦ピロー包装機により効率的に青果物等を包装することができ、包装用二軸延伸ポリプロピレン系フィルムとして有用である。

Claims (6)

  1. 表面層、基材層、及びシール層の少なくとも3層を有する二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであって、シール層にプロピレン系ランダム共重合体を75〜93重量%、及びポリエチレン系樹脂を7〜25重量%含有することを特徴とする、二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
  2. 表面層に、融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂を50〜99重量%、及び融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂を1〜50重量%含有する、請求項1に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
  3. 融点166℃〜175℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂の、13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)が97.0%以上である、請求項2に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
  4. 基材層に防曇剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを用いて製造される包装用袋。
  6. 青果物を包装するためのものである、請求項5に記載の包装用袋。
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