JP2015195144A - 電極の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電極の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の製造に資する電極の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の提供を課題とする。
【解決手段】[1]リチウムイオン二次電池に使用される電極の製造方法であって、集電体10の平滑面10aに電極活物質12を塗布した後に、該集電体及び該電極活物質の塗布面の複数箇所を穿刺する穿刺工程を有する電極1の製造方法。[2]前記穿刺によって、前記塗布後に形成された電極活物質層及び前記集電体を貫通する、複数の貫通孔を設ける前記電極の製造方法。[3]前記複数の貫通孔を前記塗布面に分散して設ける前記電極の製造方法。[4]前記穿刺をパンチング方式で行う前記電極の製造方法。[5]前記穿刺工程で得られた電極にリチウムイオンをドープするドープ工程を更に有する前記電極の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、電極の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池に関する。
一般に、リチウムイオン二次電池は、正極、負極及び電解質を備えて構成される。その正極及び負極としては、例えば、電極活物質、導電助剤及びバインダーが配合された組成物が集電体に塗布されて形成された、電極活物質層を有する電極が使用される。リチウムイオン二次電池において電極活物質は電池容量に関わる重要な因子であり、負極活物質としては、例えば黒鉛(グラファイト)、ケイ素、酸化ケイ素等が使用される。
これらの負極活物質は充放電時にリチウムイオンを吸蔵又は放出する機能を有するが、初期充電においてリチウムイオンが負極活物質と不可逆的に反応して、当該リチウムイオンの一部がその後の充放電において機能しなくなり、電池容量(放電容量)が低下してしまうという問題がある。この問題は特に負極活物質が酸化ケイ素である場合に顕著である。この問題を解決する方法として、初期充電以前に、負極を構成する負極活物質層にリチウムイオンを予めドープする処理(プレドープ処理)が提案されている(特許文献1参照)。プレドープ処理を行って前記不可逆反応を予め起こしておけば、その後の初期充電時には前記不可逆反応及び副生成物の発生を抑制することができる。
特開2007−305521号公報
プレドープ処理は、リチウム金属を負極活物質層に接触させる方法によって行うことができるが、リチウム金属からリチウムイオンが溶け出して、負極活物質層中を拡散して、負極活物質層の全体にリチウムイオンが浸透するまで待つ、という長い処理時間を要する。特許文献1のプレドープ処理においては、正極及び負極が積層された電極積層体の端部にリチウム供給源であるリチウム金属を配置しているため、負極の全体にリチウムイオンを均一にドープさせるためには非常に長い処理時間を要する。このため、プレドープ処理の効率を高めて、リチウムイオン二次電池の製造効率を向上させたいという要求がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の製造に資する電極の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の提供を課題とする。
[1] リチウムイオン二次電池に使用される電極の製造方法であって、集電体の平滑面に電極活物質を塗布した後に、該集電体及び該電極活物質の塗布面の複数箇所を穿刺する穿刺工程を有することを特徴とする電極の製造方法。
[2] 前記穿刺によって、前記塗布後に形成された電極活物質層及び前記集電体を貫通する、複数の貫通孔を設けることを特徴とする前記[1]に記載の電極の製造方法。
[3] 前記複数の貫通孔を前記塗布面に分散して設けることを特徴とする前記[2]に記載の電極の製造方法。
[4] 前記穿刺をパンチング方式で行うことを特徴とする前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の電極の製造方法。
[5] 前記穿刺工程で得られた電極にリチウムイオンをドープするドープ工程を更に有することを特徴とする前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の電極の製造方法。
[6] 前記集電体として負極集電体を使用し、前記電極活物質として負極活物質を使用することにより、前記電極として負極を得ることを特徴とする前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の電極の製造方法。
[7] 前記[6]に記載の製造方法によって得られた負極と、セパレータと、正極とが積層されてなる電極積層体を形成し、該電極積層体にリチウム金属を接触させることにより、前記負極を構成する負極活物質層にリチウムイオンをドープすることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
[8] 電解液を含ませた前記電極積層体に、前記リチウム金属を接触させることを特徴とする前記[7]に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
[9] 前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の製造方法によって得られた正極を使用することを特徴とする前記[7]又は[8]に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
[10] 電極を構成する集電体及び電極活物質層を貫通する貫通孔が複数設けられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の電極の製造方法によれば、集電体の上に均一な厚さで電極活物質層を形成することができる。この電極にリチウムイオンをプレドープ処理する際、電極活物質層が均一な厚みであるため、その全体に渡って均一にリチウムイオンをドープすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、負極の製造時に行われた穿刺により、当該負極を構成する負極集電体及び負極活物質層に穿孔が形成されている。このため、電極積層体に接触させるリチウム金属の設置箇所に関わらず、リチウムイオンが当該穿孔を通過して、負極の表側−裏側間を容易に拡散することができる。この結果、プレドープ処理が速やかに進行し、リチウムイオン二次電池の製造効率を高めることができる。さらに、負極活物質層の厚みが均一であるため、リチウムイオンを負極活物質層の全体に渡って均一にドープし易い。この結果、上記製造方法により得られたリチウムイオン二次電池は、所定の電池容量を示す(容量発現率が高くなる)と共に、使用時の充放電反応が負極全体で均一に進行するため、サイクル特性(容量維持率)が向上し得る。
本発明のリチウムイオン二次電池によれば、電極に貫通孔が設けられているため、電解質が電極を構成する電極活物質層の内外に拡散し易くなる。この結果、電極における電気化学反応が充分になされるため、従来と同等以上の電池性能が発揮され易い。
比較例としての、電極の製造方法を示す斜視図である。 本発明に係る電極の製造方法の一例を示す斜視図である。 電極積層体にリチウムイオンをドープする様子の一例を示した模式図である。
<電極の製造方法>
本発明に係る電極の製造方法の一例として、以下の実施形態を説明する。
本実施形態は、リチウムイオン二次電池に使用される電極の製造方法であって、集電体の平滑面に電極活物質を塗布した後に、該集電体及び該電極活物質の塗布面の複数箇所を穿刺する穿刺工程を有する電極の製造方法である。
前記電極としては、リチウムイオン二次電池を構成する負極であってもよいし、正極であってもよい。前記負極は、負極集電体の表面に負極活物質層が形成された構成であることが好ましい。前記正極は、正極集電体の表面に正極活物質層が形成された構成であることが好ましい。
前記集電体としては、例えば平面視矩形の平板状金属箔(金属板)を使用することができる。集電体の表面は平滑であることが重要である。ここで、「平滑である」とは、電極活物質を含む組成物をその表面に塗布した際に、その塗布面において、目視で確認できる程度の窪み又は膨らみを生じさせるような凹凸及び貫通孔が、当該集電体の表面に無いことを意味する。
本実施形態においては、集電体に予め貫通孔を設けることは行わない。その理由は、図1に示す様に、貫通孔101が予め設けられた平板状の集電体100に、電極活物質を含む組成物を塗布すると、貫通孔が有る箇所と貫通孔が無い箇所の各々に形成された電極活物質層102の厚みがバラついて、電極活物質層102の表面に凹凸が生じたり、電極活物質層102によって一部の貫通孔(例えば101b)が塞がれてしまい、塞がれなかった貫通孔(例えば101a)が不均一に散在したりする不都合が生じ易いからである。また、集電体100に予め設けた貫通孔101の開口径が大きい場合には、塗布した組成物が貫通孔から流れ落ちないように、組成物の粘度をかなり高めに設定する必要があるが、高粘度の組成物を均一にムラなく所定の厚さで迅速に塗布することは難しい。
したがって、本実施形態では、図2に示す様に、集電体10の平滑面10aに電極活物質を含む組成物12を塗布した後、その塗布物を乾燥して電極活物質層を形成し、該集電体及び該電極活物質の塗布面の任意の複数箇所を穿刺し、穿孔又は貫通孔14を形成する。ここでは、塗布した組成物12の乾燥後に形成された電極活物質層の表面を穿刺する場合を説明しているが、組成物12の乾燥前であっても、組成物12がある程度固化した状態であれば、同様に穿刺することができる。
組成物12を塗布する面は平滑であるため、組成物12の性状が殆ど制限されない。例えば、比較的粘性の低い液状の組成物12を均一に任意の厚さで塗布することが容易である。この結果、均一な厚みの電極活物質層16を形成することができる。組成物12の塗布方法は特に制限されず、従来方法が適用できる。組成物12を塗布する厚みは特に制限されず、形成する電極活物質層の厚み(例えば5μm〜100μm)に応じて適宜調整すればよい。
図2においては、集電体10及び電極活物質層16を貫通した貫通孔14を複数配列させた場合を例示している。複数の貫通孔14は、平板状の電極1のほぼ全面に渡って均一に分散している。このように貫通孔14が分散配置されていると、リチウムイオンのドープ処理時に、リチウムイオンが電極1中をより効率的に拡散してドープ処理が効率的に進むので好ましい。
図2においては、集電体10の第一の平滑面10aに電極活物質層16を形成した場合を例示したが、集電体10の第二の平滑面10bにも電極活物質層を形成してもよい。その場合、両方の平滑面10a,10bに前記組成物を塗布した後、これらをまとめて穿刺することにより、集電体10の両面に形成された電極活物質層を一気貫通する穿孔又は貫通孔を形成することができる(不図示)。
このように形成された本実施形態の電極1においては、電極活物質層16の厚みが均一であり、電極活物質層16が意図せずに入り込んでしまった貫通孔14は無く、所定のピッチで規則正しく配列した複数の貫通孔14が形成されている(図2参照)。
前記集電体の平滑面に電極活物質を含む組成物を塗布した後に、該集電体及び該電極活物質の塗布面の複数箇所を穿刺する方法は、特に制限されない。例えば、複数の尖った針が、集電体に形成する穿孔又は貫通孔に対応する位置に配列された、押し型でプレスする方法、或いは、複数の穴が、集電体に形成する貫通孔に対応する位置に配列された、打ち抜き型でプレスする方法、等が挙げられる。これらのプレス加工を、パンチング方式による穿刺と呼ぶ。
複数の針が配列された押し型でプレスする場合、針の径が細いと、プレス後に目視ではっきりと確認できる程の開口径(例えば1mm程度)を有する貫通孔が形成されず、目視では確認し難い非常に細い貫通孔(これを穿孔と呼ぶ。)が形成される場合がある。前記打ち抜き型における穴の開口径が極めて細い場合も同様に、貫通孔ではなく穿孔が形成される場合がある。この穿孔が形成された場合においても、リチウムイオンは当該穿孔を通過して集電体及び電極活物質層の表側−裏側間を自由に拡散できるため、本発明の効果は奏される。
したがって、プレスに使用する押し型に配置される針の直径、及び打ち抜き型に配置される穴の直径は特に制限されず、例えば、0.01mm〜5.0mm程度が好ましく、0.05mm〜2.5mm程度がより好ましく、0.1mm〜1.0mm程度が更に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンが通過し易い穿孔又は貫通孔を容易に形成することができる。上記範囲の上限値以下であると、電極の内部抵抗を低減するとともに、電極の構造的強度を充分に維持することができる。
前記型に配置された複数の針又は穴(打ち抜き用の穴)のピッチは特に制限されないが、例えば、0.2mm〜15mm程度とすることができる。
また、貫通孔を形成した電極の開口率、即ち貫通孔の空いていない面積に対する貫通孔の空いている面積の割合は、通常0.5〜60%が好ましく、電極活物質量の減少による電池容量の低下を抑制する観点からすると、0.5〜10%がより好ましい。開口率の大小は、プレスの型に配置された針(又は穴)の直径とピッチを調整することにより制御することができる。
前記型に配置された複数の針は、互いに同一の直径であってもよいし、各々異なる直径であってもよい。また、それら複数の針のピッチは、等ピッチであってもよいし、等ピッチでなくてもよい。複数の針の直径及びそのピッチは、製造する電極の形状や大きさに応じて適宜調整することができる。同様に、前記型に配置された複数の穴(打ち抜き用の穴)は、互いに同一の直径であってもよいし、各々異なる直径であってもよい。また、それら複数の穴のピッチは、等ピッチであってもよいし、等ピッチでなくてもよい。複数の穴の直径及びそのピッチは、製造する電極の形状や大きさに応じて適宜調整することができる。
穿刺工程後で得られた電極にリチウムイオンをドープする方法は特に制限されず、従来のリチウムイオン二次電池の製造において行われるドープ処理(プレドープ処理と呼ばれることもある。)と同様に行うことができる。例えば、電気化学的にリチウムイオンを電極活物質にドープさせる方法、電極活物質層とリチウム金属を物理的及び/又は化学的に接触させる方法等が挙げられる。より具体的には、例えば、電解液中にリチウム金属を配置するとともに、このリチウム金属を電極と導通接続させることにより行うことができる。
以上では、製造する電極が負極である場合と、正極である場合とを区別せずに説明した。前記電極として負極を製造する場合は、集電体及び電極活物質として従来のリチウムイオン二次電池に使用される公知の負極集電体及び負極活物質を使用することができる。同様に、前記電極として正極を製造する場合は、集電体及び電極活物質として公知の正極集電体及び正極活物質を使用することができる。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法の一例として、以下の実施形態を説明する。
本実施形態は、前述した電極の製造方法によって得られた負極と、セパレータと、正極とが積層されてなる電極積層体を形成し、該電極積層体にリチウム金属を接触させることにより、前記負極を構成する負極活物質層にリチウムイオンをドープする、リチウムイオン二次電池の製造方法である。
図3は、ドープ処理の様子を例示した模式図であり、平面視矩形状の正極3、セパレータ2、負極1の順に積層してなる電極積層体の側面を示している。この電極積層体を構成する負極1は、負極集電体の両面に負極活物質層が形成されてなり、外側の負極活物質層に対してリチウム金属箔4が接触するように積層されている。また、図示しないが、負極1とセパレータ2の間にリチウム金属箔4を配置して、内側の負極活物質層に対してリチウム金属箔4が接触するように積層してもよい。このように物理的に接触した状態を保持することにより、リチウム金属箔から負極活物質層にリチウムイオンを拡散させてドープすることができる。
別の実施形態として、負極1、セパレータ2、正極3の繰り返し単位を多数積層した電極積層体にドープする場合においては、当該電極積層体の複数の箇所(例えば、電極積層体の両端)にリチウム金属を接触させて設置することにより、ドープ速度を上げることができる。さらに、電極積層体に対して、加熱処理及び/又は加圧処理を施すことによりドープ速度を促進させてもよい。
本実施形態においては、負極1の全体に電解液が含浸されている。このため、リチウム金属箔からのリチウムイオンの溶出が一層促進され、ドープ処理が更に効率的に行われている。ここで使用する電解液の種類は特に制限されず、リチウムイオンが溶出可能な溶媒であれば、電解液ではない非水系溶媒であっても構わない。しかし、リチウムイオン二次電池の製造効率を向上させる観点から、当該リチウムイオン二次電池を構成する電解液をドープ処理においても使用することが好ましい。
上記ドープ処理において、電解液は負極1だけでなく、セパレータ2及び正極3にも含浸されてもよい。さらには、このドープ処理を行った状態で、リチウム金属箔が貼り付いた電極積層体及び電解液を、リチウムイオン二次電池を構成するケース(筐体)内に収納してもよい。この収納された状態において、リチウムイオンの負極に対するドープ処理は自然に進行するため、上記ケースを封止しておけば、所定時間経過後にドープ処理が終了する。この際、ドープに用いるリチウム金属の量を不可逆容量分とすることによって、ドープ終了後にはリチウム金属は完全に無くなっているため(溶解しているため)、目的のリチウムイオン二次電池が完成したとみなすことができる。
本実施形態においては、電極積層体を構成する正極3は、前述した本発明に係る製造方法で製造された正極であってもよいし、従来の市販品の正極であってもよい。
本発明に係る製造方法で製造された正極には、少なくとも集電体に穿孔又は貫通孔が設けられており、均一な厚みの正極活物質層が形成されているため、上記のドープ工程において、リチウムイオンが電極積層体の全体に渡って拡散及び浸透することを促進することができる。
以上で説明した製造方法によって製造可能なリチウムイオン二次電池としては、例えば、酸化ケイ素、導電助剤、及びバインダーが配合されてなる負極材を用いて形成された負極活物質層を有し、且つリチウムがプレドープされている負極を備えた電池が挙げられる。
かかるリチウムイオン二次電池は、リチウムがプレドープされている負極を用いたことによって、高い容量発現率及び優れた充放電特性を有する。また、本発明に係る製造方法によって製造されたリチウムイオン二次電池においては、少なくとも負極に、好ましくは正極にも、穿孔又は貫通孔が複数設けられているため、当該電池の製造時だけでなく使用時においても、電解質(電解液)が効率的に拡散する。この結果、当該電池の電池性能が向上し得る。
以下、本発明に係る、電極の製造方法、リチウムイオン二次電池及びその製造方法において使用可能な材料について例示するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
[負極材]
前記負極材としては、例えば、酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤及びバインダーが配合されてなるものが挙げられる。
(酸化ケイ素)
前記酸化ケイ素としては、一般式「SiO(式中、zは0.5〜1.5のいずれかの数である。)」で表されるものが例示できる。ここで酸化ケイ素を「SiO」単位で見た場合、このSiOは、アモルファス状のSiOであるか、又はSi:SiOのモル比が約1:1となるように、ナノクラスターのSiの周囲にSiOが存在する、Si及びSiOの複合物である。SiOは、充放電時におけるSiの膨張及び収縮に対して緩衝作用を有すると推測される。
前記酸化ケイ素の形状は特に制限されず、例えば、粉末状、粒子状等の酸化ケイ素を使用することができる。
前記負極材において、酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤及びバインダーの総配合量に対する、酸化ケイ素の配合量の割合は、例えば、40〜85質量%とすることができる。酸化ケイ素の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、リチウムイオン二次電池の放電容量がより向上し、酸化ケイ素の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、負極構造の安定した維持が容易となる。
(粒子状導電助剤)
前記粒子状導電助剤は、導電助剤として機能する粒子状のものであり、好ましいものとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;黒鉛(グラファイト);フラーレン等が例示できる。
前記粒子状導電助剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記負極材において、酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤及びバインダーの総配合量に対する、粒子状導電助剤の配合量の割合は、例えば、3〜30質量%とすることができる。粒子状導電助剤の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、粒子状導電助剤を用いたことによる効果がより顕著に得られ、粒子状導電助剤の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、繊維状導電助剤との併用による効果がより顕著に得られる。
(繊維状導電助剤)
前記繊維状導電助剤は、導電助剤として機能する繊維状のものであり、好ましいものとしては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンが例示できる。
繊維状導電助剤は、後述する負極活物質層中において、好ましくは負極活物質層全体に、網目構造を形成することで、負極活物質層の構造安定化に寄与すると共に、負極活物質層中に導電ネットワークを形成して、導電性の向上に寄与している推測される。
前記繊維状導電助剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記負極材において、酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤及びバインダーの総配合量に対する、繊維状導電助剤の配合量の割合は、例えば、1〜25質量%とすることができる。繊維状導電助剤の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、繊維状導電助剤を用いたことによる効果がより顕著に得られ、繊維状導電助剤の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、粒子状導電助剤との併用による効果がより顕著に得られる。
前記負極材において、「粒子状導電助剤:繊維状導電助剤」の配合量の質量比率(配合質量比)は、例えば、90:10〜30:70とすることができる。粒子状導電助剤及び繊維状導電助剤の配合質量比がこのような範囲であることで、粒子状導電助剤及び繊維状導電助剤の併用による効果がより顕著に得られる。
(バインダー)
前記バインダーは公知のものでよく、好ましいものとしては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体(PVDF−HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が例示できる。
前記バインダーは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記負極材において、酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤及びバインダーの総配合量に対する、バインダーの配合量の割合は、例えば、3〜30質量%とすることができる。バインダーの前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、負極構造がより安定して維持され、バインダーの前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、放電容量がより向上する。
(その他の成分)
前記負極材には、酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤及びバインダー以外に、これらに該当しないその他の成分がさらに配合されていてもよい。
前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、好ましいものとしては、前記配合成分(酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤、バインダー)を溶解又は分散させるための溶媒が例示できる。
このような、さらに溶媒が配合されてなる負極材は、使用時において流動性を有する液状組成物であることが好ましい。
前記溶媒は、前記配合成分の種類に応じて任意に選択でき、好ましいものとしては、水、有機溶媒が例示できる。
前記有機溶媒で好ましいものとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが例示できる。
前記溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
負極材における前記溶媒の配合量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、溶媒が配合された液状組成物である負極材を塗工及び乾燥させて、後述する負極活物質層を形成する場合には、この液状組成物が塗工に適した粘度となるように、溶媒の配合量を調節すればよい。具体的には、負極材において、配合成分の総量に対する、溶媒以外の配合成分の総量の割合が、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜35質量%となるように、溶媒の配合量を調節するとよい。
前記その他の成分として、前記溶媒以外の成分(その他の固体成分)を配合する場合、前記負極材において、溶媒以外の配合成分の総量に対する、その他の固体成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
前記負極材は、前記酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤、バインダー、及び必要に応じてその他の成分を配合することで製造できる。
各成分の配合時には、これら成分を添加して、各種手段により十分に混合することが好ましい。各成分は、これらを順次添加しながら混合してもよいし、全成分を添加してから混合してもよく、配合成分が均一に混合されればよい。
前記その他の成分として前記溶媒を配合する場合、この溶媒は、少なくとも一部を、前記酸化ケイ素、粒子状導電助剤、繊維状導電助剤、バインダー、及びその他の固体成分からなる群から選択される一種以上とあらかじめ混合して、これら成分の溶液又は分散液として、配合してもよい。
各成分の混合方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の方法を適用すればよい。そして、複数種の方法を組み合わせて行ってもよい。
混合温度、混合時間等の混合条件は、各種方法に応じて適宜設定すればよい。通常は、混合時の温度は10〜50℃であることが好ましく、15〜35℃であることがより好ましい。また、混合時間は3〜40分であることが好ましく、5〜20分であることがより好ましい。
各成分を添加及び混合して得られた組成物は、そのまま負極材として用いてもよいし、例えば、配合した前記溶媒の一部を留去等によって除去するなど、得られた組成物に何らかの操作を追加して行って得られたものを、負極材として用いてもよい。
[負極]
前記負極は、前記負極材を用いて形成された負極活物質層を有し、且つリチウムがプレドープされているものであり、例えば、前記負極活物質層が集電体(負極集電体)上に備えられた構成を有する。
集電体は、公知のものでよく、その材質で好ましいものとしては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ステンレス鋼等の導電性を有するものが例示できる。
また、前記集電体はシート状であることが好ましく、その厚さは、5μm〜20μmであることが好ましい。
負極活物質層の厚さは、特に限定されないが、5μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜60μmであることがより好ましい。
負極活物質層は、前記負極材を用いて集電体上に形成すればよい。
例えば、負極材として、溶媒が配合されてなる液状組成物を用いる場合には、この液状組成物を塗工及び乾燥させることで、負極活物質層を形成できる。
液状組成物の塗工方法としては、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター等の各種コーターを用いる方法;ドクターブレード法;ディッピング法等の、各種塗布方法が例示できる。
液状組成物の乾燥は、公知の方法で常圧下又は減圧下で行えばよい。そして、乾燥温度は、40〜180℃であることが好ましい。乾燥温度が前記下限値以上であることで、短時間で乾燥させることができ、乾燥温度が前記上限値以下であることで、集電体の酸化等を抑制する効果が高くなる。乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、12〜48時間とすることができる。
負極活物質層は、集電体上に直接形成して設けてもよいし、他の基材上に形成してから集電体上に転写させ、集電体上に圧着させて設けてもよい。そして、負極活物質層は、集電体上に直接形成する場合にも、集電体上に圧着させてもよい。
前記負極は、さらにリチウムがプレドープされているものであり、少なくとも負極活物質層にリチウムがプレドープされているものである。
リチウムをプレドープする方法としては、例えば、負極活物質層を電解液と接触させ、この電解液との接触面をさらにリチウム金属と接触させることにより行うのが好ましい。このような方法を適用することで、負極の広範囲に、より容易にリチウムをプレドープできる。接触させる前記電解液は、この負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する際に用いる電解液と同じであることが好ましい。
接触させるリチウム金属は、シート状(リチウム金属箔)であることが好ましい。
リチウムのプレドープは、リチウムイオン(Li)ではなくリチウム金属(Li)を用いて行う必要がある。
負極にプレドープされているリチウムの量は、負極活物質層中の二酸化ケイ素(SiO)に対して、1〜4倍モル量であることが好ましく、2〜4倍モル量であることがより好ましく、3〜4倍モル量であることが特に好ましい。
前記負極は、リチウムがプレドープされていることにより、このリチウムが負極活物質層中の二酸化ケイ素と不可逆的に反応して、あらかじめリチウムシリケート(LiSiO)を生成していると推測される。そして、このような負極を備えたリチウムイオン二次電池は、初期充電工程において負極にリチウムが吸蔵されても、負極活物質層中の酸化ケイ素との上記不可逆反応及び副生成物の発生が抑制されるため、放電時の放出が妨げられることがなく、放電容量の低下が抑制されると推測される。よって、このリチウムイオン二次電池は、充放電特性に優れた電池になる。
前記リチウムイオン二次電池の負極以外の構成は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成とすることができる。例えば、前記負極、正極、及び電解液、ゲル電解質若しくは固体電解質を備えて構成される。さらに必要に応じて、負極と正極との間に、セパレータを備えていてもよい。
[正極]
前記正極は、従来のリチウムイオン二次電池を構成する公知の正極でよく、正極活物質、バインダー及び溶媒、並びに必要に応じて導電助剤等が配合されてなる正極材を用いて形成された正極活物質層を、集電体(正極集電体)上に備えたものが例示できる。前記正極として、市販の正極を用いてもよい。
正極におけるバインダー、溶媒及び集電体は、いずれも負極におけるバインダー、溶媒及び集電体と同様のものでよい。
正極における導電助剤は公知のものでよく、好ましいものとしては、黒鉛(グラファイト);ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;カーボンナノチューブ;カーボンナノホーン;グラフェン;フラーレン等が例示できる。
正極における前記導電助剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
正極活物質としては、一般式「LiM(式中、Mは金属であり;x及びyは、金属Mと酸素Oとの組成比である。)」で表される金属酸リチウム化合物が例示できる。
このような金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等が例示でき、類似の組成であるオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を用いることもできる。
前記金属酸リチウム化合物は、前記一般式において、Mが複数種のものであってもよく、このような金属酸リチウム化合物としては、一般式「LiM (式中、M、M及びMは互いに異なる種類の金属であり;p、q、r及びyは、金属M、M及びMと酸素Oとの組成比である。)」で表されるものが例示できる。ここで、p+q+r=xである。
このような金属酸リチウム化合物としては、LiNi0.33Mn0.33Co0.33等が例示できる。
正極活物質は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記正極材における、配合成分の総量に対する、前記正極活物質、バインダー、溶媒、及び導電助剤のそれぞれの配合量の割合は、前記負極材における、配合成分の総量に対する、前記負極活物質、バインダー、溶媒、及び導電助剤のそれぞれの配合量の割合と同様とすることができる。
正極活物質層の厚さは、特に限定されないが、20〜60μmであることが好ましい。
正極活物質層は、前記負極材に代えて正極材を用いる点以外は、負極活物質層の場合と同様の方法で形成できる。
[電解液]
前記電解液としては、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、並びに(C)有機溶媒が配合されてなるもの(以下、「第一の電解液」と略記することがある)が例示できる。
(A)カルボン酸リチウム塩は、電解質であり、カルボキシ基がリチウム塩(−C(=O)−OLi)を構成しているものであれば、脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸及び芳香族カルボン酸のいずれのリチウム塩でもよく、1価カルボン酸及び多価カルボン酸のいずれのリチウム塩でもよい。そして、(A)カルボン酸リチウム塩は、リチウム塩を構成するカルボキシ基の数は、特に限定されない。例えば、カルボキシ基の数が2以上である場合には、すべてのカルボキシ基がリチウム塩を構成していてもよいし、一部のカルボキシ基のみがリチウム塩を構成していてもよい。
(A)カルボン酸リチウム塩で好ましいものとしては、ギ酸リチウム(HCOOLi)、酢酸リチウム(CHCOOLi)、プロピオン酸リチウム(CHCHCOOLi)、酪酸リチウム(CH(CHCOOLi)、イソ酪酸リチウム((CHCHCOOLi)、吉草酸リチウム(CH(CHCOOLi)、イソ吉草酸リチウム((CHCHCHCOOLi)、カプロン酸リチウム(CH(CHCOOLi)等の1価カルボン酸のリチウム塩;シュウ酸リチウム((COOLi))、マロン酸リチウム(LiOOCCHCOOLi)、コハク酸リチウム((CHCOOLi))、グルタル酸リチウム(LiOOC(CHCOOLi)、アジピン酸リチウム((CHCHCOOLi))等の2価カルボン酸のリチウム塩;乳酸リチウム(CHCH(OH)COOLi)等の水酸基を有する1価カルボン酸のリチウム塩;酒石酸リチウム((CH(OH)COOLi))、リンゴ酸リチウム(LiOOCCHCH(OH)COOLi)等の水酸基を有する2価カルボン酸のリチウム塩;マレイン酸リチウム(LiOOCCH=CHCOOLi、cis体)、フマル酸リチウム(LiOOCCH=CHCOOLi、trans体)等の不飽和2価カルボン酸のリチウム塩;クエン酸リチウム(LiOOCCHC(COOLi)(OH)CHCOOLi)等の3価カルボン酸のリチウム塩(水酸基を有する3価カルボン酸のリチウム塩)が例示でき、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、コハク酸リチウムがより好ましく、シュウ酸リチウムが特に好ましい。
(A)カルボン酸リチウム塩は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
(B)三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素錯体は、(A)カルボン酸リチウム塩と錯形成反応を行うものであり、三フッ化ホウ素錯体は、三フッ化ホウ素(BF)が別の成分に配位結合したものである。
好ましい前記三フッ化ホウ素錯体としては、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体(BF・O(CH)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF・O(C)、三フッ化ホウ素ジn−ブチルエーテル錯体(BF・O(C)、三フッ化ホウ素ジtert−ブチルエーテル錯体(BF・O((CHC))、三フッ化ホウ素tert−ブチルメチルエーテル錯体(BF・O((CHC)(CH))、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(BF・OC)等の三フッ化ホウ素アルキルエーテル錯体;三フッ化ホウ素メタノール錯体(BF・HOCH)、三フッ化ホウ素プロパノール錯体(BF・HOC)、三フッ化ホウ素フェノール錯体(BF・HOC)等の三フッ化ホウ素アルコール錯体が例示できる。
(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体としては、取り扱いが容易で、錯形成反応がより円滑に進行する点から、前記三フッ化ホウ素錯体を用いることが好ましい。
(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体としては、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体の配合量は特に限定されず、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体や(A)カルボン酸リチウム塩の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、[(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体の配合量(モル数)]/[配合された(A)カルボン酸リチウム塩中のリチウム原子のモル数]のモル比が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。このような範囲とすることで、(C)有機溶媒に対する(A)カルボン酸リチウム塩の溶解度がより向上する。また、前記モル比の上限値は特に限定されないが、2.0であることが好ましく、1.5であることがより好ましい。
(C)有機溶媒は特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート等の炭酸エステル化合物;γ−ブチロラクトン等のラクトン化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;スルホラン等のスルホン化合物が例示できる。
(C)有機溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
(C)有機溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル及びスルホランからなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
二種以上を併用した(C)有機溶媒としては、プロピレンカーボネート及びビニレンカーボネートが配合された混合溶媒、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートが配合された混合溶媒、並びにエチレンカーボネート及びジメチルカーボネートが配合された混合溶媒が好ましい。
前記電解液における(C)有機溶媒の配合量は特に限定されず、例えば、電解質の種類に応じて、適宜調節すればよい。通常は、リチウム原子(Li)の濃度が、好ましくは0.2〜3.0モル/kg、より好ましくは0.4〜2.0モル/kgとなるように、配合量を調節することが好ましい。
第一の電解液としては、(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、及び(C)有機溶媒が配合されてなるものも例示できる。
(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体としては、カルボン酸リチウム塩中の少なくとも1個のカルボキシ基又はリチウム塩となっているカルボキシ基に、三フッ化ホウ素(BF)が配位結合したものが例示できる。
(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体を構成するカルボン酸リチウム塩としては、(A)カルボン酸リチウム塩と同様のものが例示できる。
(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体は、例えば、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、並びに(C’)溶媒を配合して、(A)カルボン酸リチウム塩と、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体と、を反応させる工程(以下、「反応工程」と略記する)と、前記反応後の反応液から、(C’)溶媒と、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体に由来する不純物と、を除去する工程(以下、「除去工程」と略記する)と、を有する製造方法で製造できる。かかる製造方法で得られた(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体は、(A)カルボン酸リチウム塩と(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体とが、錯形成反応して、形成されたものである。
この製造方法において、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体は、上記のものと同じである。すなわち、(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体における「カルボン酸リチウム塩」は、(A)カルボン酸リチウム塩と同じものである。
(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記(C’)溶媒は、前記反応工程における、(A)カルボン酸リチウム塩と(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体との錯形成反応を妨げず、これらを溶解可能なものであれば、特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、常圧下又は減圧下での留去が可能なものが好ましい。
(C’)溶媒の沸点は、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、35℃以上であることが特に好ましい。そして、(C’)溶媒の沸点は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。(C’)溶媒の沸点が前記下限値以上であることで、前記反応工程における反応液を常温で撹拌することができるので、前記反応工程をより容易に行うことができる。また、(C’)溶媒の沸点が前記上限値以下であることで、前記除去工程での留去により、(C’)溶媒をより容易に除去できる。
(C’)溶媒における好ましい前記有機溶媒としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル化合物(鎖状構造中に、炭酸エステル結合を有する化合物);アセトニトリル等のニトリル化合物;テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物(環状構造中にエーテル結合を有する化合物);ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル化合物(鎖状構造中にエーテル結合を有する化合物);酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のカルボン酸エステル化合物が例示できる。
これらの中でも、前記有機溶媒としては、鎖状炭酸エステル化合物、ニトリル化合物、環状エーテル化合物が好ましい。
(C’)溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記除去工程において、前記不純物としては、(A)カルボン酸リチウム塩と反応せずに残存した、過剰量の(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体や、これから生じた副生物が挙げられ、前記副生物としてより具体的には、(B)成分である三フッ化ホウ素錯体において、反応前に元々三フッ化ホウ素に配位結合していた成分等が例示できる。これら不純物は、留去が可能なものである。
(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体を用いた第一の電解液は、例えば、(A)カルボン酸リチウム塩、並びに(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体を配合するのに代えて、(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体を配合することにより、(A)カルボン酸リチウム塩、並びに(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体が配合されてなる上記の第一の電解液と同様の方法で得られる。例えば、(C)有機溶媒の配合量は特に限定されないが、リチウム原子(Li)の濃度が、好ましくは0.2〜3.0モル/kg、より好ましくは0.4〜2.0モル/kgとなるように、配合量を調節することが好ましい。
また、前記電解液としては、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ素リチウム(LiBF)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(SOCF、LiTFSI)等の、(A)カルボン酸リチウム塩以外の公知のリチウム塩が有機溶媒に溶解されてなるもの(以下、「第二の電解液」と略記することがある)も例示できる。
第二の電解液における前記電解質は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
第二の電解液における前記有機溶媒としては、第一の電解液における(C)有機溶媒と同じのものが例示できる。
また、第二の電解液におけるリチウム原子(Li)の濃度も、第一の電解液の場合と同様である。
第一及び第二の電解液は、いずれも、上記の必須成分(第一の電解液における(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、(C)有機溶媒;第二の電解液におけるリチウム塩、有機溶媒)以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、任意成分が配合されてなるものでもよい。
前記任意成分は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
第一及び第二の電解液は、前記必須成分、及び必要に応じて任意成分を配合することで製造できる。各成分の配合方法は、前記負極材の製造時における各成分の配合方法と同様である。ただし、混合時の組成は特に限定されない。
前記電解液は、(A)カルボン酸リチウム塩並びに(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、あるいは(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体が配合されてなるもの、すなわち第一の電解液であることが好ましい。
[ゲル電解質]
前記ゲル電解質としては、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、(C)有機溶媒、並びに(D)マトリクスポリマーが配合されてなるもの;(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、(C)有機溶媒、及び(D)マトリクスポリマーが配合されてなるものが例示でき、必要に応じて、前記第一及び第二の電解液における任意成分が配合されてなるものでもよい。また、前記ゲル電解質としては、第一の電解液に、さらに(D)マトリクスポリマーが配合されてなるものも例示できる。ここで、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、並びに(C)有機溶媒は、いずれも第一の電解液におけるものと同じである。
ゲル電解質は、型を用いて所望の形状に成型してもよい。
ゲル電解質では、(D)マトリクスポリマー以外の成分(電解液)が、マトリクスポリマー中に保持される。
ゲル電解質は、配合した(C)有機溶媒の一部が、乾燥等によって除去されたものでもよく、製造時において、ゲル電解質中に主として残存する(C)有機溶媒とは異なる有機溶媒(希釈用有機溶媒)が別途配合され、この希釈用有機溶媒が上記の乾燥時に除去されたものであってもよい。
(D)マトリクスポリマーは、特に限定されず、固体電解質分野で公知のものが適宜使用できる。
好ましい(D)マトリクスポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系ポリマー(ポリエーテル骨格を有するポリマー);ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化アセトン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー(フッ素原子を有するポリマー);ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、エチレンオキシドユニットを含むポリアクリレート等のポリアクリル系ポリマー((メタ)アクリル酸エステル又はアクリルアミドから誘導される構成単位を有するポリマー);ポリアクリロニトリル;ポリホスファゼン;ポリシロキサンが例示できる。
(D)マトリクスポリマーは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
(D)マトリクスポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化アセトン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン及びポリシロキサンからなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
ゲル電解質において、(D)マトリクスポリマーの配合量は特に限定されず、その種類に応じて適宜調節すればよいが、配合成分の総量に対する(D)マトリクスポリマーの配合量の割合は、2〜50質量%であることが好ましい。(D)マトリクスポリマーの配合量が前記下限値以上であることで、ゲル電解質の強度がより向上し、(D)マトリクスポリマーの配合量が前記上限値以下であることで、リチウムイオン二次電池はより優れた電池性能を示す。
前記希釈用有機溶媒は、配合成分のいずれかを十分に溶解又は分散させることができるものが好ましく、具体的には、アセトニトリル等のニトリル化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物:ジメチルホルムアミド等のアミド化合物が例示できる。
希釈用有機溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
ゲル電解質は、リチウムイオン二次電池が通常使用される40℃以下の環境において、流動性を示さないものが好ましい。
ゲル電解質製造時における各成分の配合方法は、前記電解液の場合と同様でよい。
希釈用有機溶媒を除去するときの乾燥方法は、特に限定されず、例えば、ドライボックス、真空デシケータ、減圧乾燥機等を使用する公知の方法を適用すればよい。
[固体電解質]
前記固体電解質としては、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、希釈用有機溶媒、並びに(D)マトリクスポリマーが配合されて得られた組成物;(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、希釈用有機溶媒、及び(D)マトリクスポリマーが配合されて得られた組成物から、乾燥により前記希釈用有機溶媒が除去されてなるものが例示でき、必要に応じて、前記第一及び第二の電解液における任意成分が配合されてなるものでもよい。ここで、(A)カルボン酸リチウム塩、(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、並びに(C)有機溶媒は、いずれも第一の電解液におけるものと同じであり、希釈用有機溶媒及び(D)マトリクスポリマーは、前記ゲル電解質におけるものと同じである。
固体電解質は、型を用いて所望の形状に成型してもよい。
固体電解質において、(D)マトリクスポリマーの配合量は特に限定されず、その種類に応じて適宜調節すればよいが、配合成分の総量に対する(D)マトリクスポリマーの配合量の割合は、2〜65質量%であることが好ましい。(D)マトリクスポリマーの配合量が前記下限値以上であることで、固体電解質(電解質膜)の強度がより向上し、(D)マトリクスポリマーの配合量が前記上限値以下であることで、リチウムイオン二次電池はより優れた電池性能を示す。
固体電解質製造時における各成分の配合方法は、前記電解液の場合と同様でよい。
また、希釈用有機溶媒を除去するときの乾燥方法は、前記ゲル電解質の場合と同様でよい。
[セパレータ]
前記セパレータの材質は特に限定されないが、微多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が例示でき、これら材質からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
図3は、本発明に係るリチウムイオン二次電池の要部(電極積層体)を模式的に例示する正面図である。なお、リチウム金属箔4は、完成時の電池構成には含まれない。
ここに示すリチウムイオン二次電池は、シート状の負極1及び正極3が、セパレータ2を介して積層されたものである。セパレータ2は、単層からなるものでもよいし、二層以上が積層された複数層からなるものでもよい。図3において、電解液は図示を省略している。電解液に代えてゲル電解質又は固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池としては、セパレータ2に代えてゲル電解質又は固体電解質を、あるいはセパレータを含むゲル電解質又は固体電解質を備えたものが例示できる。
ここでは、負極1及び正極3をそれぞれ1枚ずつ示しているが、負極1、セパレータ2及び正極3がこの順に積層された積層構造を繰り返し単位として、この順を繰り返すように、これら繰り返し単位の間にさらにセパレータ2が介在して、前記積層構造が複数個繰り返し積層された構成であってもよい。
前記リチウムイオン二次電池は、公知の方法に従って、例えば、グローブボックス内又は乾燥空気雰囲気下で、前記電解液、ゲル電解質又は固体電解質、及び電極等を用いて製造すればよい。
例えば、ゲル電解質を備えたリチウムイオン二次電池であれば、加熱して液状としたゲル電解質を、負極及び正極のいずれか一方又は両方の電極面上に塗工し、次いで、このゲル電解質を備えた負極及び正極を、これらの電極面が対向するようにゲル電解質を介して積層し、必要に応じてこれらの電極面間にセパレータを介在させることで、容易に製造できる。液状のゲル電解質は、例えば、バーコーター等の各種コーターを用いる方法で、電極面上に塗工できる。
また、例えば、電解液を備えたリチウムイオン二次電池であれば、ゲル電解質に代えてこの電解液を、負極及び正極の電極面に接触するように配置すること以外は、上記のゲル電解質を備えたリチウムイオン二次電池と同様の方法で、容易に製造できる。
前記リチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、円筒型、角型、コイン型、シート型等、種々のものに調節できる。
リチウムイオン二次電池は、(A)カルボン酸リチウム塩並びに(B)三フッ化ホウ素及び/又は三フッ化ホウ素錯体、あるいは(E)カルボン酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体を用いた場合、初期充電時に負極表面上において、フッ化リチウム(LiF)を含む界面皮膜(以下、「SEI」と略記する)を形成する。このSEIは、充放電時にリチウムイオンに溶媒和された溶媒分子が負極中に進入するのを阻止し、負極構造の破壊を抑制して、リチウムイオン二次電池のサイクル特性の向上に寄与する。
本発明は、リチウムイオン二次電池の分野で利用可能である。
1…負極、2…セパレータ、3…正極、4…リチウム金属箔、10…集電体、12…電極活物質を含む組成物(電極材)、14…貫通孔、16…電極活物質層、100…集電体、101…貫通孔、102…電極活物質層

Claims (10)

  1. リチウムイオン二次電池に使用される電極の製造方法であって、
    集電体の平滑面に電極活物質を塗布した後に、該集電体及び該電極活物質の塗布面の複数箇所を穿刺する穿刺工程を有することを特徴とする電極の製造方法。
  2. 前記穿刺によって、前記塗布後に形成された電極活物質層及び前記集電体を貫通する、複数の貫通孔を設けることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 前記複数の貫通孔を前記塗布面に分散して設けることを特徴とする請求項2に記載の電極の製造方法。
  4. 前記穿刺をパンチング方式で行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電極の製造方法。
  5. 前記穿刺工程で得られた電極にリチウムイオンをドープするドープ工程を更に有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電極の製造方法。
  6. 前記集電体として負極集電体を使用し、前記電極活物質として負極活物質を使用することにより、前記電極として負極を得ることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電極の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法によって得られた負極と、セパレータと、正極とが積層されてなる電極積層体を形成し、該電極積層体にリチウム金属を接触させることにより、前記負極を構成する負極活物質層にリチウムイオンをドープすることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
  8. 電解液を含ませた前記電極積層体に、前記リチウム金属を接触させることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  9. 請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法によって得られた正極を使用することを特徴とする請求項7又は8に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  10. 電極を構成する集電体及び電極活物質層を貫通する貫通孔が複数設けられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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