JP2015189840A - 重合体、感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

重合体、感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射線感度、LWR性能、CDU性能、EL性能及び欠陥抑制性に優れるレジストパターンを形成できる感放射線性樹脂組成物及びこの感放射線性樹脂組成物に含有される重合体の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、下記式(1)で表される基を含む構造単位を有する重合体である。式(1)中、Aは、スルフィニル基とその両側に結合する炭素原子とを含む炭素数2〜50の2価の有機基である。Xは、*1−COO−又は*1−OCO−である。*1は、Aに結合する部位を示す。R3は、炭素数1〜20の1価の有機基である。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体、感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスの形成には、フォトリソグラフィーによるレジストパターン形成方法が用いられている。このレジストパターン形成方法には、例えば基板上にレジストパターンを形成させる感放射線性樹脂組成物等が用いられる。上記感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー光等の遠紫外線、電子線などの放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸の触媒作用により露光部と未露光部との現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる。
かかる感放射線性樹脂組成物には、放射線感度に優れるだけでなく、LWR(Line Width Roughness)性能、CDU(Critical Dimension Uniformity)性能、EL(Exposure Latitude、露光余裕度)性能、現像欠陥抑制性等にも優れ、高精度なパターンを高い歩留まりで得られることが求められる。この要求に対しては、感放射線性樹脂組成物に含有される重合体の構造が種々検討されており、ブチロラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造を有することで、これらの性能を向上できることが知られている(特開平11−212265号公報、特開2003−5375号公報及び特開2008−83370号公報参照)。
しかし、レジストパターンが線幅45nm以下のレベルまで微細化している現在にあっては、上記性能の要求レベルはさらに高まり、上記従来の感放射線性樹脂組成物では、これらの要求を満足させることはできていない。
特開平11−212265号公報 特開2003−5375号公報 特開2008−83370号公報
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、放射線感度、LWR性能、CDU性能、EL性能及び現像欠陥抑制性に優れるレジストパターンを形成できる感放射線性樹脂組成物及びこの感放射線性樹脂組成物に含有される重合体を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
下記式(1)で表される基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)である。
Figure 2015189840
(式(1)中、Aは、スルフィニル基とその両側に結合する炭素原子とを含む炭素数2〜50の2価の有機基である。Xは、*−COO−又は*−OCO−である。*は、Aに結合する部位を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
当該重合体、感放射線性酸発生体(以下、「[B]酸発生体」ともいう)、及び溶媒(以下、「[E]溶媒」ともいう)を含有する感放射線性樹脂組成物である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、
レジスト膜を形成する工程、上記レジスト膜を露光する工程、及び上記露光されたレジスト膜を現像する工程を備え、上記レジスト膜を当該感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法である。
ここで、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
また、「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。但し、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。
本発明の重合体及び感放射線性樹脂組成物によれば、放射線感度、LWR性能、CDU性能、EL性能及び現像欠陥抑制性に優れるレジストパターンを形成することができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造等におけるパターン形成に好適に用いることができる。
<[A]重合体>
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。[A]重合体を含有する感放射線性樹脂組成物は、放射線感度、LWR性能、CDU性能、EL性能及び現像欠陥抑制性に優れるレジストパターンを形成することができる。(これらの性能を、以下、「リソグラフィー性能」ともいう)。[A]重合体が構造単位(I)を有することで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。構造単位(I)は、下記式(1)で示されるように、両側に炭素原子が結合するスルフィニル基とカルボニル基を共に有するので、高い極性を有している。そのため、[A]重合体は、現像液に対する溶解性をより適度に調整することができる。さらに、当該感放射線性樹脂組成物は、[B]酸発生体から生じる酸の拡散長をより適度に短くすることできる。加えて、構造単位(I)は加水分解すると、両側に炭素原子が結合するスルフィニル基とカルボキシ基とを与えるので、[A]重合体は、アルカリ現像の際に高い親水性を有するようになり、その結果、アルカリ現像液への親和性がさらに高くなる。これらの結果、当該感放射線性樹脂組成物によれば、形成されるレジストパターンのリソグラフィー性能をさらに向上させることができると考えられる。
また、[A]重合体は、構造単位(I)以外の構造単位であって、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造及びヒドロキシ基を含む構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう)をさらに有することが好ましい。さらに、[A]重合体は構造単位(I)、(II)及び(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される基を含む構造単位である。
Figure 2015189840
上記式(1)中、Aは、スルフィニル基とその両側に結合する炭素原子とを含む炭素数2〜50の2価の有機基である。Xは、*−COO−又は*−OCO−である。*は、Aに結合する部位を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。
上記Xとしては、*−COO−が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基、上記炭化水素基及び上記ヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を置換した基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基が好ましい。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基が好ましい。
上記1価及び2価のヘテロ原子含有基が有するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられる。これらの中で、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−CS−、−NR’−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
上記炭化水素基及び上記ヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を置換する基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子が好ましい。
上記Rとしては、これらの中でも、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換された鎖状炭化水素基、フッ素化アルキル基で置換されたフェニル基、非置換のt−ブチル基がより好ましい。
上記Aで表される炭素数2〜50の2価の有機基としては、下記式(a−1)、(a−2)、(a−3)及び(a−4)のいずれかで表される基が好ましい。
Figure 2015189840
上記式(a−1)〜(a−4)中、Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。*は、上記式(1)におけるXに結合する部位を示す。
上記式(a−1)及び(a−2)中、Rは、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
上記式(a−1)及び(a−3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。
上記式(a−2)及び(a−4)中、Rは、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルカンジイル基である。
上記式(a−3)及び(a−4)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。Rは、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
上記式(a−3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
上記Rで表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、上記Rで例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基から水素原子を1個除いたもののうち、炭素数が1〜10のもの等が挙げられる。
これらのうち、Rとしては、単結合、メタンジイル基、エタンジイル基が好ましく、単結合がより好ましい。
上記R及びRで表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、上記Rとして例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。
及びRとしては、水素原子が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10の1価の有機基としては、上記Rとして例示した炭素数1〜20の1価の有機基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。
としては、水素原子が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜10の1価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基、上記炭化水素基及び上記ヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を置換した基等が挙げられる。
上記炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基が好ましい。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基が好ましい。
上記1価及び2価のヘテロ原子含有基が有するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられる。これらの中で、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−CS−、−NR’−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
上記炭化水素基及び上記ヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を置換する基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
としては、水素原子が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10の置換又は非置換のアルカンジイル基のうち、非置換のアルカンジイル基としては、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基が挙げられる。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
これらのうち、Rとしては、エタンジイル基、プロパンジイル基が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10の1価の有機基としては、上記Rとして例示した炭素数1〜20の1価の有機基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。
これらのうち、Rとしては、水素原子、メチル基が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば上記Rとして例示した炭素数1〜10の2価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
これらのうち、Rとしては、単結合、炭素数1〜5のアルカンジイル基が好ましく、単結合、メタンジイル基、ブタンジイル基がより好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば、上記Rで例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。
これらのうち、Rとしては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、上記Rとして例示した炭素数1〜20の1価の有機基から水素原子を1個除いた基等が挙げられる。
これらのうち、上記Lとしては、下記式(L−1)で表される基が好ましい。
Figure 2015189840
上記式(L−1)中、Rf1及びRf2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。L”は、単結合又は炭素数1〜10の2価の有機基である。*は、上記式(1)におけるXに結合する部位を示す。
上記Rf1及びRf2で表される炭素数1〜10の1価の有機基としては、上記Rとして例示した炭素数1〜20の1価の有機基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。Rf1及びRf2のうち少なくとも1つはフッ素原子を有することが好ましい。
これらのうち、Rf1及びRf2としては、フッ素原子、フッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基がより好ましい。
上記L”で表される炭素数1〜10の2価の有機基としては、上記Rとして例示した炭素数1〜20の1価の有機基から水素原子を1個除いた基のうち、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。
これらのうち、L”としては、単結合、メタンジイル基が好ましく、単結合がより好ましい。
上記構造単位(I)としては、例えば下記式(2−1)〜(2−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2015189840
(式(2−1)〜(2−3)中、Zは、上記式(1)で表される基である。
式(2−1)及び(2−2)中、R及びRは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
式(2−2)中、Aは、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。
式(2−3)中、Rは、水素原子又はメチル基である。R、R及びR10は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基若しくは炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜4の整数である。1若しくは複数のR、1若しくは複数のR及びR10のうちの2つ以上が、互いに合わせられ環員数3〜20の環構造を形成してもよい。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRも同一でも異なっていてもよい。Aは、単結合又は2価の有機基である。R10とAとは、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成してもよい。R10とZにおけるRとは、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成してもよい。
Zは、上記式(2−1)及び(2−2)において、オキシ基に炭素原子で結合することが好ましい。
構造単位(I)を与える単量体の共重合性の観点から、
及びRとしては、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
上記Aで表される2価の有機基としては、例えば上記L”の2価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
上記R、R及びR10で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記Rとして例示した1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
及びRとしては、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
10としては、1価の炭化水素基が好ましく、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基が特に好ましい。
上記1又は複数のR、1又は複数のR及びR10のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環員数3〜20の環構造としては、例えばシクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の脂環構造;オキサシクロペンタン構造、チアシクロペンタン構造、アザシクロペンタン構造等の脂肪族複素環構造等が挙げられる。
10とAとが互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の環構造としては、例えば上記1又は複数のR、R及びR10のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造として例示したものと同様の環構造等が挙げられる。
aとしては、1又2が好ましく、1がより好ましい。
上記構造単位(I−1)としては、例えば下記式(2−1−1)又は(2−1−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1−1)又は(I−1−2)」ともいう)が、構造単位(I−2)としては、下記式(2−2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2−1)」ともいう)が、構造単位(I−3)としては、下記式(2−3−1)〜(2−3−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−3−1)〜(I−3−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2015189840
これらの中で、構造単位(I−1−1)が好ましい。
上記構造単位(I)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
Figure 2015189840
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましく、10モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合の上限としては、95モル%が好ましく、90モル%がより好ましく、85モル%がさらに好ましく、80モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能を向上させることができる。
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば上記式(1)におけるAが、上記式(a−3)で表される場合、下記式(i−3)で表される化合物(以下、「化合物(i−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記式(i−3)中、Rは、上記式(1)と同義である。R及びRは、上記式(a−3)と同義である。
上記化合物(i−3)は、例えば下記スキームに従い簡便かつ収率よく合成することができる。
Figure 2015189840
上記スキーム中、Rは、上記式(1)と同義である。R及びRは、上記式(a−3)と同義である。
上記式(i−3−0)で表される化合物とエチルブロモジフルオロアセテートとを亜鉛等の触媒下、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させることにより上記式(i−3−1)で表される化合物を得ることができる。上記得られた化合物(i−3−1)と塩化メタクリロイルとをトリエチルアミン等の塩基存在下、アセトニトリル等の溶媒中で反応させることにより、上記式(i−3−2)で表される化合物を得ることができる。上記得られた化合物(i−3−2)で表される化合物を、水酸化リチウム等の塩基存在下で加水分解することにより、上記式(i−3−3)で表される化合物を得ることができる。上記得られた化合物(i−3−3)とオキサリルクロリド等の塩素化剤をアセトニトリル等の溶媒中で反応させ、さらに上記式(Y)で表されるヒドロキシ化合物と、トリエチルアミン等の塩基存在下、アセトニトリル等の溶媒中で反応させることにより、上記式(i−3−4)で表されるエステル体を得ることができる。上記エステル体(i−3−4)と過酸化水素とを、t−ブチルアルコール等の溶媒中で反応させることにより、上記式(i−3)で表される化合物が生成する。得られる生成物は、溶媒洗浄、カラムクロマトグラフィ、再結晶、蒸留等により精製することにより単離することができる。
なお、上記式(1)におけるAが、上記式(a−3)で表される場合以外の構造単位(I)を与える化合物についても、上記同様の方法により、合成することができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、構造単位(I)以外の構造単位であって、酸解離性基を含む構造単位である。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、フェノール性水酸基の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、感放射線性樹脂組成物の放射線感度が向上し、結果として、リソグラフィー性能を向上させることができる。
構造単位(II)としては、例えば下記式(3−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)」ともいう)、下記式(3−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記式(3−1)中、R12は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R13は、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R14及びR15はそれぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の脂環構造を表す。
上記式(3−2)中、R16は、水素原子又はメチル基である。Lは、単結合、−CCOO−又は−CONH−である。R17、R18及びR19は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。
上記R12としては、構造単位(II)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R13、R14及びR15で表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
上記R13、R14及びR15で表される炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記これらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の脂環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造等が挙げられる。
構造単位(II−1)としては下記式(3−1−1)〜(3−1−5)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1−1)〜(II−1−5)」ともいう)が好ましい。
構造単位(II−2)としては下記式(3−2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2−1)」ともいう)が好ましい。
Figure 2015189840
上記式(3−1−1)〜(3−1−5)中、R12〜R15は、上記式(3−1)と同義である。R13’、R14’及びR15’は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。npは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。
上記式(3−2−1)中、R16〜R19は、上記式(3−2)と同義である。
構造単位(II−1−1)〜(II−1−5)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2015189840
Figure 2015189840
上記式中、R12は、上記式(3−1)と同義である。
これらの中で、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、1−アルキル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル(メタ)アクリレート、2−(1−シクロヘキシル)−2−プロピル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、1−アルキル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
上記構造単位(II−2)としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記式中、R16は、上記式(3−2)と同義である。
構造単位(II−2)としては、p−(1−シクロヘキシルエトキシエトキシ)スチレンに由来する構造単位が好ましい。
[A]重合体における構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜70モル%が好ましく、10モル%〜50モル%がより好ましく、15モル%〜40モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の放射線感度をより高めることができ、結果として、リソグラフィー性能をより向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造及びヒドロキシ基を含む構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性をさらに調整することができる。ここで、ラクトン構造とは、−O−C(O)−で表される基を含む環(ラクトン環)を有する構造をいう。また、環状カーボネート構造とは、−O−C(O)−O−で表される基を含む環(環状カーボネート環)を有する構造をいう。スルトン構造とは、−O−S(O)−で表される基を含む環(スルトン環)を有する構造をいう。
構造単位(III)としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2015189840
Figure 2015189840
Figure 2015189840
Figure 2015189840
上記式中、R20は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
上記R20としては、構造単位(III)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
構造単位(III)としては、これらの中で、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、オキサノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、γ−ブチロラクトン構造を含む構造単位、エチレンカーボネート構造を含む構造単位、ノルボルナンスルトン構造を含む構造単位、ヒドロキシ基含有アダマンタン構造を含む構造単位が好ましい。
構造単位(III)の[A]重合体を構成する全構造単位に対する含有量としては、0モル%〜70モル%が好ましく、0モル%〜40モル%がより好ましく、0モル%〜20モル%がさらに好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性をより向上させることができる。上記含有割合が70モル%を超えると、当該感放射線性樹脂組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
[その他の構造単位]
[A]重合体は、構造単位(I)〜(III)以外にもその他の構造単位を有してもよい。上記その他の構造単位の含有割合としては、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤等の重合開始剤を使用し、適当な重合反応溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル重合開始剤を含有する溶液を、重合反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル重合開始剤を含有する溶液とを各別に、重合反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル重合開始剤を含有する溶液とを各別に、重合反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらの中で、AIBN、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃であり、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、1時間〜24時間が好ましい。
重合反応により得られた重合体は再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1,000以上40,000以下が好ましく、2,000以上20,000以下がより好ましく、2,500以上10,000以下がさらに好ましく、3,000以上7,000以下が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の塗布性及び現像欠陥抑制性が向上する。[A]重合体のMwが上記下限未満だと、十分な耐熱性を有するレジスト膜が得られない場合がある。[A]重合体のMwが上記上限を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましく、1.2以上1.7以下が特に好ましい。Mw/Mnを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の現像欠陥抑制性をより向上させることができる。
なお、本明細書においてMw及びMnは、GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した値をいう。
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]酸発生体及び[E]溶媒を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、酸解離性基を含む構造単位を有し、かつ[A]重合体よりもフッ素含有率が小さい重合体(以下、「[C]重合体」ともいう)及び[D]酸拡散制御体を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、重合体成分として、ベース重合体のみを含有していてもよく、ベース重合体以外に撥水性重合体添加剤を含有することもできる。「ベース重合体」とは、感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト膜の主成分となる重合体をいい、好ましくは、レジスト膜を構成する全重合体に対して50質量%以上を占める重合体をいう。また、「撥水性重合体添加剤」とは、感放射線性樹脂組成物に含有させることで、形成されるレジスト膜の表層に偏在化する傾向を有する重合体である。ベース重合体となる重合体より疎水性が高い重合体は、レジスト膜表層に偏在化する傾向があり、撥水性重合体添加剤として機能させることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、撥水性重合体添加剤を含有することで、レジスト膜からの酸発生体等の溶出を抑制できると共に、形成されたレジスト膜表面が高い動的接触角を示すので、レジスト膜表面は優れた水切れ特性を発揮することができる。これにより液浸露光プロセスにおいて、レジスト膜表面と液浸媒体を遮断するための上層膜を別途形成することを要することなく、高速スキャン露光を可能にすることができる。当該感放射線性樹脂組成物が撥水性添加剤を含有する場合、撥水性重合体添加剤の含有量としては、ベース重合体100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.3質量部〜15質量部がより好ましく、0.5質量部〜10質量部がさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物におけるベース重合体の含有量としては、当該感放射線性樹脂組成物中の全固形分に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物において、重合体が撥水性重合体添加剤として良好に機能するには、撥水性重合体添加剤を構成する重合体は、フッ素原子を有する重合体であることが好ましく、また、そのフッ素原子含有率が、ベース重合体のフッ素原子含有率より大きいことがより好ましい。撥水性重合体添加剤のフッ素原子含有率がベース重合体のフッ素原子含有率よりも大きいと、形成されたレジスト膜において、撥水性重合体添加剤がその表層に偏在化する傾向がより高まるため、レジスト膜表面の高い水切れ性等の撥水性重合体添加剤の疎水性に起因する特性が、より効果的に発揮される。撥水性重合体添加剤を構成する重合体のフッ素原子含有率としては、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、7質量%以上が特に好ましい。なお、このフッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMRの測定により求めた重合体の構造から算出することができる。
当該感放射線性樹脂組成物における重合体成分の態様としては、(1)ベース重合体としての[A]重合体、(2)ベース重合体としての[A]重合体及び撥水性重合体添加剤としての[A]重合体、(3)ベース重合体としての[A]重合体及び撥水性重合体添加剤としての[D]重合体、(4)ベース重合体としての[D]重合体及び撥水性重合体添加剤としての[A]重合体をそれぞれ含有する場合等が挙げられる。
[A]重合体がベース重合体である場合、当該感放射線性樹脂組成物の全固形分中に対する[A]重合体の含有量としては、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
[A]重合体が撥水性重合体添加剤である場合、[A]重合体の含有量の下限としては、ベース重合体100質量部に対して0.1質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましく、0.5質量部がさらに好ましく、1質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、ベース重合体100質量部に対して30質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましく、10質量部が特に好ましい。
以下、[A]重合体以外の各成分について説明する。
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基等が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる、当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
[B]酸発生剤の具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
[B]酸発生剤としては、下記式(7)で表される化合物が好ましい。[B]酸発生剤が下記構造を有することで、[A]重合体の構造単位(I)との相互作用等により、露光により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能を向上させることができる。
Figure 2015189840
上記式(7)中、R23は、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基又は環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基である。R24は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
23における「環員数」とは、脂環構造及び脂肪族複素環構造の環を構成する原子数をいい、多環の脂環構造及び多環の脂肪族複素環構造の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
上記R23で表される環員数6以上の脂環構造を含む1価の基としては、例えば
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記R23で表される環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基としては、例えば
ノルボルナンラクトン−イル基等のラクトン構造を含む基;
ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を含む基;
オキサシクロヘプチル基、オキサノルボルニル基等の酸素原子含有複素環基;
アザシクロヘプチル基、ジアザビシクロオクタン−イル基等の窒素原子含有複素環基;
チアシクロヘプチル基、チアノルボルニル基等のイオウ原子含有複素環基等が挙げられる。
23で表される基の環員数としては、上述の酸の拡散長がさらに適度になる観点から、8以上が好ましく、9〜15がより好ましく、10〜13がさらに好ましい。
23としては、これらの中で、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基、環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−イル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
上記R24で表される炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基としては、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基が有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。
これらの中で、SO 基に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基が好ましく、SO 基に隣接する炭素原子に2個のフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基がより好ましく、1,1−ジフルオロメタンジイル基、1,1−ジフルオロエタンジイル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1,2−プロパンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロブタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンジイル基がさらに好ましい。
上記Xで表される1価の感放射線性オニウムカチオンは、放射線の照射により分解するカチオンである。露光部では、この感放射線性オニウムカチオンの分解により生成するプロトンと、スルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。上記Xで表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば、S、I、O、N、P、Cl、Br、F、As、Se、Sn、Sb、Te、Bi等の元素を含む感放射線性オニウムカチオンが挙げられる。元素としてS(イオウ)を含むカチオンとしては、例えば、スルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン等が挙げられ、元素としてI(ヨウ素)を含むカチオンとしては、例えば、ヨードニウムカチオン等が挙げられる。これらの中で、下記式(X−1)で表されるスルホニウムカチオン、下記式(X−2)で表されるテトラヒドロチオフェニウムカチオン、下記式(X−3)で表されるヨードニウムカチオンが好ましい。
Figure 2015189840
上記式(X−1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Ra1〜Ra3並びにR及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRa1〜Ra3並びにR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(X−2)中、Rb1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は0〜7の整数である。Rb1が複数の場合、複数のRb1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Rb2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Rb2が複数の場合、複数のRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。qは、0〜3の整数である。
上記式(X−3)中、Rc1及びRc2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rc1、Rc2、R及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRc1、Rc2、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記Ra1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
上記Ra1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記Ra1〜Ra3、Rc1及びRc2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
上記Rb1及びRb2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
これらの中で、アルコシキ基、ハロゲン原子が好ましく、ブトキシ基、フッ素原子がより好ましい。
上記Ra1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R”、−SO−R”が好ましく、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
上記式(X−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(X−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(X−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記Xとしては、上記式(X−1)で表されるカチオンが好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオンがより好ましい。
上記式(7)で表される酸発生剤としては、例えば、下記式(7−1)〜(7−13)で表される化合物(以下、「化合物(7−1)〜(7−13)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記式(7−1)〜(7−13)中、Xは、上記式(7)と同義である。
[B]酸発生剤としては、これらの中でも、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩がより好ましく、化合物(7−2)、化合物(7−3)、化合物(7−12)、化合物(7−11)がさらに好ましい。
[B]酸発生体の含有量としては、[B]酸発生体が[B]酸発生剤の場合、当該感放射線性樹脂組成物の放射線感度を確保する観点から、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましく、1質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。[B]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の放射線感度が向上する。当該感放射線性樹脂組成物は、[B]酸発生体を1種又は2種以上を含有していてもよい。
<[C]重合体>
[C]重合体は、酸解離性基を含む構造単位を有し、かつ[A]重合体よりもフッ素含有率が小さい重合体である。[A]重合体が撥水性重合体添加剤の場合、当該感放射線性樹脂組成物は、ベース重合体として[C]重合体をさらに含有することが好ましい。このように、当該感放射線性樹脂組成物が[A]重合体に加え[C]重合体をさらに含有することで、当該感放射線性樹脂組成物からレジスト膜を形成した際に、[A]重合体がレジスト膜表面に偏在化する度合いが高くなる。その結果、上述の[A]重合体の撥水性の変化に起因する特性がより効率的に発現される。なお、このフッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMR分析により求めた重合体の構造から算出することができる。
[C]重合体の酸解離性基を含む構造単位としては、例えば[A]重合体における構造単位(II)等が挙げられる。また、[A]重合体における構造単位(III)及びその他の構造単位を有していてもよい。
[C]重合体を構成する全構造単位に対する酸解離性基を含む構造単位の含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、65モル%がさらに好ましい。上記含有割合の下限としては、20モル%が好ましく、25モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の露光部と未露光部の現像液への溶解コントラストを十分に確保することができる。
[C]重合体を構成する全構造単位に対する酸解離性基を含む構造単位の含有割合の上限としては70モル%が好ましく、65モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。上記含有割合の下限としては0モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性をより向上させることができる。上記含有割合が上記下限未満であると、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性が低下する場合がある。上記含有割合が上記上限を超えると、当該感放射線性樹脂組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
当該感放射線性樹脂組成物の全固形分中に対する[C]重合体の含有量としては、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
<[C]重合体の合成方法>
[C]重合体は、上述の[A]重合体の合成方法と同様の方法を用いて合成することができる。
[C]重合体のMwとしては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、2,000〜20,000がさらに好ましく、3,000〜10,000が特に好ましい。[C]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の現像欠陥抑制性をさらに向上させることができる。
[C]重合体のMw/Mnとしては、通常1〜5であり、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1.2〜1.8がさらに好ましい。Mw/Mnを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の現像欠陥抑制性をさらに向上させることができる。
<[D]酸拡散制御体>
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて、[D]酸拡散制御体を含有してもよい。
[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。[D]酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、適宜「[D]酸拡散制御剤」という)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[D]酸拡散制御剤としては、例えば下記式(8)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記式(8)中、R25、R26及びR27は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えばn−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
含窒素化合物(II)としては、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類;N−プロピルモルホリン、N−(ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン、ピラゾール等が挙げられる。これらの中でも、N−(ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリンが好ましい。
また上記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニルピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。これらの中でも、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンが好ましい。
また、[D]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基としては、例えば露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(9−1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(9−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記式(9−1)及び式(9−2)中、R28〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。E及びQは、それぞれ独立して、OH、Rβ−COO、Rβ−SO 又は下記式(9−3)で表されるアニオンである。但し、Rβは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Figure 2015189840
上記式(9−3)中、R33は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基である。uは、0〜2の整数である。
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2015189840
上記光崩壊性塩基としては、これらの中で、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウム2.4.6.トリイソプロピルフェニルスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートがさらに好ましい。
[D]酸拡散制御体の含有量としては、[D]酸拡散制御体が[D]酸拡散制御剤である場合、[C]重合体100質量部に対して、0〜20質量部が好ましく、0.1質量部〜15質量部がより好ましく、0.3質量部〜10質量部がさらに好ましい。[D]酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能を向上させることができる。[D]酸拡散制御剤の含有量が上記上限を超えると、当該感放射線性樹脂組成物の放射線感度が低下する場合がある。当該感放射線性樹脂組成物は、[D]酸拡散制御体を1種又は2種以上含有していてもよい。
<[E]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は、[E]溶媒を含有する。[E]溶媒は少なくとも[A]重合体、[B]酸発生剤、[C]重合体、[D]酸拡散制御剤、及び後述するその他の任意成分を溶解又は分散することができるものであれば特に限定されない。[E]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及び炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数3〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノエチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジ脂肪族エーテル系溶媒;
アニソール、ジフェニルエーテル等の含芳香環エーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトフェノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のジケトン系溶媒等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒;
N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の環状アミド系溶媒等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒、ラクトン系溶媒、環状ケトン系溶媒がより好ましい。[E]溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は上記[A]〜[E]成分以外にも、その他の成分として、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を含有してもよい。なお、当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分をそれぞれ1種単独で又は2種以上を混合して含有してもよい。
[界面活性剤]
界面活性剤は、当該感放射線性樹脂組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤、市販品としてKP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、当該感放射線性樹脂組成物のドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生剤からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの放射線感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[E]溶媒中で[A]重合体、[B]酸発生体、[C]重合体、[D]酸拡散制御剤及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。調製された感放射線性樹脂組成物は、例えば孔径20nmのフィルター等で濾過して用いることが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜15質量%がさらに好ましく、1質量%〜10質量%が特に好ましい。
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、レジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)
を備え、上記レジスト膜を当該感放射線性樹脂組成物により形成する。
以下、各工程について説明する。
[レジスト膜形成工程]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成する。レジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、10nm〜500nmがより好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PB温度としては、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。さらに、レジスト膜からの酸発生剤等の流出を防止するために、例えば特開2005−352384号公報等に開示されている液浸用保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
[露光工程]
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成したレジスト膜を露光する。この露光としては、例えば所望の領域にアイソラインパターンマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、アイソトレンチパターンを形成できる。また、露光は所望のパターンとマスクパターンによって2回以上行ってもよい。2回以上露光を行う場合、露光は連続して行うことが好ましい。複数回露光する場合、例えば所望の領域にラインアンドスペースパターンマスクを介して第1の縮小投影露光を行い、続けて第1の露光を行った露光部に対してラインが交差するように第2の縮小投影露光を行う。第1の露光部と第2の露光部とは直交することが好ましい。直交することにより、露光部で囲まれた未露光部において真円状のコンタクトホールパターンが形成しやすくなる。
露光方法としては液浸露光が好ましい。液浸露光とすることで上記の本発明のレジスト膜現像前後における接触角の変化及び現像欠陥抑制性の効果を発揮させることができる。なお、露光の際に用いられる液浸液としては水やフッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤を僅かな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
露光に使用される光としては、[B]酸発生剤の種類に応じて適宜選択されるが、例えば紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等が挙げられる。これらの中で、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)がより好ましく、ArFエキシマレーザー光がさらに好ましい。露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択される。当該パターン形成方法においては露光工程を複数回有してもよく、複数回の露光は同じ光源を用いても異なる光源を用いても良いが、1回目の露光にはArFエキシマレーザー光を用いることが好ましい。
また、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、当該感放射線性樹脂組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。PEB温度としては、通常、30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましく、70℃〜120℃がより好ましい。PEB時間としては、通常、5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
[現像工程]
本工程では、上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
上記現像に用いる現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
また、有機溶媒現像の場合、上記現像液としては、例えば炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、又は有機溶媒を含有する溶媒が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば上述の感放射線性樹脂組成物の[D]溶媒として列挙した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば、水、シリコンオイル等が挙げられる。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[Mw及びMn]
重合体のMw及びMnは、GPCにより、下記条件で測定した。
GPCカラム:東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
13C−NMR分析]
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を使用し、測定溶媒として、重クロロホルムを用いて行った。
<化合物の合成>
[合成例1](化合物(i−1)の合成)
1Lの三口フラスコに亜鉛粉末19.2g(295mmol)、乾燥テトラヒドロフラン150mLを加えて窒素置換した。そこへ、トリメチルシリルクロライド2.05g(18.9mmol)を加え室温で30分間撹拌した。そこへ、4−メチル−4−(メチルチオ)−2−ペンタノン27.6g(189mmol)とエチルブロモジフルオロアセテート49.9g(246mmol)とを乾燥テトラヒドロフラン100mLに溶解させた溶液を室温にてゆっくりと滴下した。発熱に注意しつつ内温が35〜40℃になるように滴下速度を調整した。滴下終了後、室温で4時間撹拌し、酢酸を加えることで反応を停止させた。セライトろ過で不溶物を除去した後、溶媒を酢酸エチルに置換した。続いて、塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することで、下記式(ia−1)で表される化合物を48.0g(収率94%)得た。
1Lのナス型フラスコに上記得られた(ia−1)47.6g(176mmol)、トリエチルアミン21.4g(211mmol)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン5.92g(52.8mmol)、乾燥アセトニトリル350mLを加えて窒素置換し、氷水浴にて冷却撹拌した。そこへ、塩化メタクリロイル23.9g(229mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で6時間撹拌した。溶媒を酢酸エチルに置換した後、ろ過にて不要な塩を除去した。水洗を2回した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することで、下記式(ia−2)で表される化合物を40.5g(収率68%)得た。
300mLのナス型フラスコに上記得られた(ia−2)13.2g(38.9mmol)とテトラヒドロフラン60mLとを加えて撹拌した。そこへ、水酸化リチウム1.12g(46.7mmol)の5質量%水溶液をゆっくりと室温で滴下した。室温で4時間撹拌した後、濃塩酸を加えpHを1にした。酢酸エチルで抽出した後、水洗を2回行い、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去して下記式(ia−3)で表される粗体11.8gを得た。なお、本品はこれ以上の精製を行わずに次の反応に使用した。
300mLのナス型フラスコに上記得られた(ia−3)の粗体11.8g、乾燥アセトニトリル50mLを加え氷水浴で冷却撹拌した。そこへジメチルホルムアミド1mLを加えた後、オキサリルクロリド5.93g(46.7mmol)をゆっくりと滴下した。室温で3時間撹拌した後、溶媒と過剰のオキサリルクロリドを留去し、乾燥アセトニトリル30mLに溶解させた(溶液A)。300mLのナス型フラスコに2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール13.6g(58.4mmol)、トリエチルアミン5.91g(58.4mmol)、乾燥アセトニトリル50mLを加え氷水浴にて冷却撹拌した。そこへ溶液Aをゆっくりと滴下した後、室温で6時間撹拌した。溶媒を酢酸エチルに置換した後、不要な塩を濾過で除去した。水洗を3回した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することで、下記式(ia−4)で表される化合物を14.5g(収率71%)得た。
200mLのナス型フラスコに上記得られた(ia−4)5.00g(9.53mmol)とt−ブチルアルコール50mL、過酸化水素0.324g(9.53mmol)の30質量%水溶液を加え40℃で6時間撹拌した。反応終了後、極少量の亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、過酸化物試験紙で過酸化水素がクエンチされたことを確認した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することで、下記式(i−1)で表される化合物4.53g(収率88%)を得た。
Figure 2015189840
[合成例2〜7](化合物(i−2)〜(i−7)の合成)
対応する試薬を変えた以外は合成例1と同様の方法を用いることで、下記式(i−2)〜(i−7)で表される化合物を合成した。
Figure 2015189840
<重合体の合成>
[A]重合体(撥水性重合体添加剤)及び[C]重合体(ベース重合体)の合成に用いた各単量体を以下に示す。
Figure 2015189840
化合物(i−1)〜(i−7)は[A]重合体の構造単位(I)を、化合物(M−1)〜(M−7)は構造単位(II)を、化合物(M−8)〜(M−12)は構造単位(III)をそれぞれ与える。
([A]重合体の合成)
[実施例1]
上記化合物(i−1)27.5g(80モル%)及び化合物(M−2)2.5g(20モル%)を30gの2−ブタノンに溶解し、さらに、ラジカル重合開始剤としてのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.29gを溶解させて単量体溶液を調製した。次に、30gの2−ブタノンを入れた300mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。上記冷却した重合反応液を2L分液漏斗に移液した後、450gのn−ヘキサンと90gのアセトニトリルを投入して混合し30分間静置した。その後、下層を回収し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートへ溶媒置換を行うことにより、重合体(A−1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液とした(収率85%)。重合体(A−1)のMwは12,000、Mw/Mnは1.64であった。13C−NMR分析の結果、(i−1)及び化合物(M−2)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ81.2モル%及び18.8モル%であった。
[実施例2〜8及び比較合成例1〜4]
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は、実施例1と同様にして、重合体(A−2)〜(A−8)及び(a−1)〜(a−4)を得た。なお、表1中の「−」は、該当する単量体を用いなかったことを示す。なお、使用する単量体の合計質量は30gとした。これらの重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)、Mw及びMw/Mn比を、表1に合わせて示す。
Figure 2015189840
([C]重合体の合成)
[合成例8]
上記化合物(M−6)51.0g(55モル%)及び化合物(M−9)49.0g(45モル%)を2−ブタノン150gに溶解し、さらに、ラジカル重合開始剤としてのAIBN3.62g(化合物の合計モル数に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。次に、50gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷により30℃以下に冷却した。1,500gのメタノール中に、上記冷却した重合反応液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を300gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(C−1)を81g得た(収率81%)。重合体(C−1)のMwは6,900、Mw/Mnは1.55であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−6)及び(M−9)に由来する構造単位の含有割合は、53.3モル%及び46.7モル%であった。
[合成例9及び10]
下記表2に示す種類及び使用量の各単量体を用いた以外は、合成例8と同様にして、重合体(C−2)及び(C−3)を合成した。なお、使用する単量体の合計質量は100gとした。これらの重合体の各構造単位の含有割合、収率(%)、Mw及びMw/Mn比を、表2に合わせて示す。
Figure 2015189840
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
[[B]酸発生剤]
各構造式を下記に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−3:4−ブトキシナフタレン−1−イルテトラヒドロチオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート
Figure 2015189840
[[D]酸拡散制御剤]
各構造式を下記に示す。
D−1:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D−2:N−(ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
D−3:N−(t−アミルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン
Figure 2015189840
[[E]溶媒]
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:シクロヘキサノン
E−3:γ−ブチロラクトン
[実施例9]
[A]重合体としての(A−1)5質量部、[C]重合体としての(C−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)5.1質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)7.9質量部、並びに[E]溶媒としての(E−1)1,980質量部、(E−2)850質量部及び(E−3)100質量部を混合し、得られた混合液を孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例10〜16及び比較例1〜4]
下記表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は実施例9と同様にして感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−8)及び(CJ−1)〜(CJ−4)を調製した。
Figure 2015189840
<レジストパターンの形成>
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して各感放射線性樹脂組成物を塗布し、100℃で50秒間PBを行った。その後23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(ASML社の「TWINSCAN XT−1900i」)を用い、NA=1.35、Dipole35X(σ=0.97/0.77)の光学条件にて、38nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、下記表4に示すPEB温度で50秒間PEBを行った。その後、2.38質量%TMAH水溶液を用い、23℃で30秒間パドル現像を行い、次いで、超純水を用いて7秒間リンスし、その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、38nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターンを形成した。
<評価>
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物の評価を行った。評価結果を下記表4に示す。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。
[放射線感度]
上記レジストパターンの形成において、38nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターンを形成する露光量を最適露光量(Eop)として求め、これを放射線感度(mJ/cm)とした。放射線感度は、30mJ/cm以下の場合は「良好」と、30mJ/cmを超える場合は「不良」と評価できる。
[LWR性能]
上記で求めたEopの露光量を照射して形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好である。LWR性能は、2.5nm以下の場合は「良好」と、2.5を超える場合は「不良」と評価できる。
[CDU性能]
上記で求めたEopの露光量を照射して形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。400nmの範囲で線幅を20点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDU性能は、その値が小さいほど、長周期での線幅のばらつきが小さく良好である。CDU性能は、1.5nm以下の場合は「良好」と、2.0を超える場合は「不良」と評価できる。
[EL性能]
感放射線性樹脂組成物のEL性能は、下記方法で測定される10%EL、Bridge限界及びCollapse限界の各値により評価した。
(10%EL)
38nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターン形成用のマスクパターンを用いた場合に解像されるレジストパターンの寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合の露光量の範囲の上記Eopに対する割合を10%EL(%)とした。10%ELは、その値が大きいほど、露光量変化に対するパターニング性能の変化量が小さく良好である。10%ELは18%以上の場合は「良好」と、18%未満の場合は「不良」と評価できる。
(Bridge限界)
上記レジストパターンの形成において、上記Eopから露光量を小さくしていく場合に、ブリッジが発生する最小のパターン幅(Bridge限界)(nm)を求め、この値をBridge限界の指標とした。Bridge限界の値が大きいほど、ブリッジ欠陥が発生し難く良好である。Bridge限界は、50nm以上の場合は「良好」と、50nm未満の場合は「不良」と評価できる。
(Collapse限界)
上記レジストパターンの形成において、上記Eopから露光量を大きくしていく場合に、パターン倒れが発生する最小のパターン幅(Collapse限界)(nm)を求め、この値をCollapse限界の指標とした。Collapse限界の値が小さいほど、レジストパターンの倒れが発生し難く良好である。Collapse限界は、28nm以下の場合は「良好」と、28nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[現像欠陥抑制性]
下層反射防止膜形成用組成物(日産化学社の「ARC66」)により下層反射防止膜を形成した12インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物により塗膜を形成し、120℃で50秒間SBを行い、膜厚110nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜についてArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、ターゲットサイズが幅38nmのラインアンドスペース(1L/1S)形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で50秒間PEBを行った。その後、現像装置(東京エレクトロン社の「クリーントラック ACT8」)のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により10秒間現像し、15秒間純水によりリンスし、2,000rpmで液振り切り乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅38nmの1L/1Sを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅38nmの1L/1Sを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社、CC−4000)を用いた。この欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、欠陥検査装置(KLA−Tencor社の「KLA2810」)を用いて測定した。そして、上記測定された欠陥をレジスト膜由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類し、レジスト膜由来と判断されるものの数を算出した。現像欠陥抑制性は、このレジスト膜由来と判断される欠陥の数が少ないほど良好である。現像欠陥抑制性は、このレジスト膜由来を判断される欠陥の数が0.1個/cm以下の場合は「良好」と、0.1個/cmを超える場合は「不良」と評価できる。
Figure 2015189840
表4の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、放射線感度、LWR性能、CDU性能、EL性能及び現像欠陥抑制性に優れるレジストパターンを形成できることが示された。一方、比較例の感放射線性樹脂組成物は、上記性能が実施例のものに対していずれも劣っていることも示された。
本発明の重合体及び感放射線性樹脂組成物によれば、放射線感度、LWR性能、CDU性能、EL性能及び現像欠陥抑制性に優れるレジストパターンを形成することができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造等におけるパターン形成に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される基を含む構造単位を有する重合体。
    Figure 2015189840
    (式(1)中、Aは、スルフィニル基とその両側に結合する炭素原子とを含む炭素数2〜50の2価の有機基である。Xは、*−COO−又は*−OCO−である。*は、Aに結合する部位を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
  2. 上記式(1)におけるAが、下記式(a−1)、(a−2)、(a−3)及び(a−4)のいずれかで表される請求項1に記載の重合体。
    Figure 2015189840
    (式(a−1)〜(a−4)中、Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。*は、上記式(1)におけるXに結合する部位を示す。
    式(a−1)及び(a−2)中、Rは、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
    式(a−1)及び(a−3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。
    式(a−2)及び(a−4)中、Rは、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルカンジイル基である。
    式(a−3)及び(a−4)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。Rは、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。
    式(a−3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
  3. 上記式(a−1)〜(a−4)におけるLが下記式(L−1)で表される請求項2に記載の重合体。
    Figure 2015189840
    (式(L−1)中、Rf1及びRf2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。L”は、単結合又は炭素数1〜10の2価の有機基である。*は、上記式(1)におけるXに結合する部位を示す。)
  4. 上記式(L−1)におけるRf1及びRf2のうち少なくとも1つがフッ素原子を有する請求項3に記載の重合体。
  5. 上記式(L−1)におけるL”が単結合である請求項3又は請求項4に記載の重合体。
  6. 上記式(1)におけるXが下記式(X−1)で表され、かつRがアルカリ解離性基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の重合体。
    Figure 2015189840
    (式(X−1)中、*は、Aに結合する部位を示す。)
  7. 上記式(1)におけるXが下記式(X−2)で表され、かつR−COがアルカリ解離性基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の重合体。
    Figure 2015189840
    (式(X−2)中、*は、Aに結合する部位を示す。)
  8. 上記構造単位が下記式(2−1)、(2−2)及び(2−3)のいずれかで表される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の重合体。
    Figure 2015189840
    (式(2−1)〜(2−3)中、Zは、上記式(1)で表される基である。
    式(2−1)及び(2−2)中、R及びRは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
    式(2−2)中、Aは、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。
    式(2−3)中、Rは、水素原子又はメチル基である。R、R及びR10は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基若しくは炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜4の整数である。1若しくは複数のR、1若しくは複数のR及びR10のうちの2つ以上が、互いに合わせられ環員数3〜20の環構造を形成してもよい。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRも同一でも異なっていてもよい。Aは、単結合又は2価の有機基である。R10とAとは、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成してもよい。R10とZにおけるRとは、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成してもよい。)
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の重合体、
    感放射線性酸発生体、及び
    溶媒
    を含有する感放射線性樹脂組成物。
  10. 酸解離性基を含む構造単位を有し、かつ上記重合体よりもフッ素含有率が小さい重合体
    をさらに含有する請求項9に記載の感放射線性樹脂組成物。
  11. レジスト膜を形成する工程、
    上記レジスト膜を露光する工程、及び
    上記露光されたレジスト膜を現像する工程
    を備え、
    上記レジスト膜を請求項9又は請求項10に記載の感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法。
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