JP2015189200A - 積層塗膜付き基材及び該積層塗膜を形成するためのプライマー層形成用のコーティング組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明樹脂基材の表面に、プライマー層と金属薄膜とがこの順に積層されてなる積層塗膜を備えた積層塗膜付き基材であって、該プライマー層が、10〜200m2/gの比表面積を有する無機酸化物粒子、金属錯体、及びバインダー樹脂硬化物を含むことを特徴とする積層塗膜付き基材、及び該積層塗膜を形成するためのプライマー層形成用のコーティング組成物である。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、酸化ケイ素を主成分とする透明アンダーコート層を形成する方法が挙げられている。特許文献2には、特定のシランカップリング剤を含む材料を塗装してアンダーコート層を形成する方法が開示されている。特許文献3では、特定の界面活性剤を含むプライマーが開示されており、特許文献4では、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を含有するプライマー層(表面のぬれ張力が30mN/m以上)が開示されている。
本発明は、透明樹脂基材の表面に、プライマー層と金属薄膜とがこの順に積層されてなる積層塗膜を備えた積層塗膜付き基材であって、該プライマー層が、10〜200m2/gの比表面積を有する無機酸化物粒子、金属錯体、バインダー樹脂硬化物を含むことを特徴とする積層塗膜付き基材である。
本発明の透明樹脂基材は、透明なプラスチックを、フィルム、シート、板の他、成形加工等により製造される様々な成形品に成形されたものを指し、好ましくはJIS K 7361−1(1997)に準じた方法で測定された全光線透過率が80%以上であることがよい。透明なプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられ、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法等の公知の成形方法によってこれらを成形することで、基材を用意することができる。透明樹脂基材の厚みについては、その用途や材質等との関連で適宜選択可能である。
尚、本発明の透明樹脂基材には、その表面に予め易接着層が積層されていても良い。
本発明のプライマー層は、上述の透明樹脂基材上に塗装されるものであり、後述の金属薄膜の下層に位置するものである。
本発明のプライマー層は、10〜200m2/gの比表面積を有する無機酸化物粒子、金属錯体、及びバインダー樹脂を含むコーティング組成物を塗装し、これを硬化することにより、形成することが出来る。つまり、本発明のプライマー層は、10〜200m2/gの比表面積を有する無機酸化物粒子、金属錯体、バインダー樹脂硬化物を含む。
本発明で用いる無機酸化物粒子は、塗膜の屈折率を制御したり、塗膜硬度を高めるために添加される。また、プライマー層の硬化による内部収縮を低減する作用を示す。
本発明で用いる無機酸化物粒子については、10〜200m2/gの比表面積を有する。尚、30〜150m2/gの比表面積を有することがより好ましい。
10m2/g未満であると、粒子が大きいため、塗膜の透明性が得られない。一方で、200m2/gを超えると、無機酸化物粒子が小さくなりすぎて、透明基材や金属薄膜との付着性が悪くなる。無機酸化物粒子の形状については特に限定されず、球形のものも非球形のものも使用することが出来る。
本発明においては、金属錯体は分散剤として機能し、上述の無機酸化物粒子を長期間にわたって安定に分散させる作用を示す。
本発明で用いる金属錯体としては、ジルコニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫及び白金からなる群から選ばれる金属、好ましくは分散液の色味が少ない点でジルコニウム、チタン、アルミニウム、亜鉛、インジウム及び錫からなる群から選ばれる金属と、β−ジケトンからなる群から選ばれる配位子、好ましくはピバロイルトリフルオルアセトン、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン及びヘキサフルオルアセチルアセトンからなる群から選ばれる配位子とからなる金属錯体を挙げることができる。
本発明で用いるバインダー樹脂としては、一般的に塗料で用いられている任意のバインダーを、特に制限無く用いることができるが、短時間での硬化が可能な点で、活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本発明に使用する金属薄膜は特に限定されるものではなく、蒸着やスパッタ、メッキ法等で本プライマー層上に金属薄膜を成膜できるものであればよく、金属薄膜としてはアルミニウム、錫、亜鉛、金、銀、銅、白金、ニッケルなどが挙げられるが、中でも、導電性の高い、金、銀、銅、白金が好ましい。また、金属薄膜の膜厚としては、10〜500nmであることが好ましい。10nm未満であると、金属薄膜の導電性が十分でなく、500nmを超えると、透明性が十分得られない。
本発明の積層塗膜付き基材は、透明樹脂基材上にプライマー層形成用コーティング組成物を塗布し、硬化させる。プライマー層を形成した後、金属薄膜を形成する。尚、前記コーティング組成物を塗布する前に、予め基材フィルム表面に対して、プラズマ処理、コロナ処理、又は溶剤洗浄等の前処理を施すこともできる。
(プライマー層形成用コーティング組成物1)
酸化ケイ素粒子(比表面積150m2/g)100部に対し、12部のジルコニウムアセチルアセトナート、180部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後、ガラスビーズを取り除いて酸化ケイ素粒子分散液を得た。この分散液に33部のDPHA〔日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)〕、3.3部のIRGACURE184(BASF(株)製)及び55部の2−ブタノールを加えてプライマー層形成用コーティング組成物1を得た。組成等を表1に示す。
透明樹脂基材には、以下を用いた。
・ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(光透過率91%、ヘイズ0.5% 、屈折率1.65、フィルム厚75μm)
・ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(光透過率87%、ヘイズ0.4%、屈折率1.76、フィルム厚75μm)
・ポリカーボネート(PC)フィルム(光透過率88%、ヘイズ0.6% 、屈折率1. 59、フィルム厚75μm)
・トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(光透過率92% 、ヘイズ0.3%、屈折率1.49、フィルム厚75μm)
・酸化ケイ素 (比表面積:150m2/g)
・酸化ケイ素 (比表面積:250m2/g)
・酸化チタン (比表面積:90m2/g)
・酸化ジルコニウム (比表面積:100m2/g)
・酸化ジルコニウム (比表面積:50m2/g)
・酸化ジルコニウム (比表面積:5m2/g)
・ジルコニウムアセチルアセトナート([Zr(C5H7O2)4])
・チタンアセチルアセトナート([Ti(C5H7O2)4])
・アクリル樹脂:三菱レイヨン(株)製、BR−100
・DPHA:日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA(活性エネルギー線硬化性 樹脂、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・リン酸基含有樹脂:ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル 〔第一工業製薬(株)製、プライサーフAL〕
ビックケミージャパン(株)製、BYK−142(NV:60%)
IRGACURE184(BASF(株)製、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)
PETフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物1を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして銀をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
PETフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物2〜4または6〜16を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして銀をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
PETフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物5を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして銀をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
PENフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物4を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして銀をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
PCフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物4を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして銀をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
TACフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物4を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして銀をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
PETフィルム上に、ロールコーターを用いてプライマー層形成用コーティング組成物4を塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み300nmのプライマー層を形成させた。プライマー層形成後、マグネトロン直流スパッタ装置のターゲットとして金をセットし、真空チャンバーに上記積層体をセットした。そしてチャンバー内を1×10-3Paまで排気した後、アルゴンガスを60cc/minの条件でチャンバー内に導入し、0.2Paとなるように調整した。そしてターゲットに電圧を印加して、アンダーコート層上に厚みが100nmの金属薄膜層を積層した。
(1)無機酸化物粒子のメジアン径
プライマー層形成用コーティング組成物1〜16に分散している無機酸化物粒子のメジアン径は以下の条件で測定した。測定結果は表1〜3に示す通りであった。
測定機器:日機装(株)製Microtrac粒度分布計
測定条件:温度20℃
試料:サンプルを分散媒でNV 5%に希釈した後に測定
データ解析条件:粒子径基準 体積基準
分散媒:2−ブタノール 屈折率:1.40
実施例及び比較例で得た積層塗膜付き基材について、JIS K 7136(2000)、JIS K 7361−1(1997)に準拠した方法にて、全光線透過率及びヘイズを日本電色工業社製NDH−5000で測定した。測定結果は表4〜7に示す通りであった。
基材表面にプライマー層を形成させたプライマー積層体、および基材表面にプライマー層及び金属薄膜を積層させた積層塗膜付き基材に関して、JIS K5600−5−6(クロスカット法)に従い、2mm間隔100マス目を作製して、セロテープ(登録商標)剥離試験を行い、マス目の残存率より評価した。測定結果は表4〜7に示す通りであった。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:付着性試験後におけるマス目の残存率が100%である。
○:付着性試験後におけるマス目の残存率が90〜99%である。
×:付着性試験後におけるマス目の残存率が90%未満である。
各実施例及び各比較例で得た積層塗膜付き基材について、三菱化学株式会社製のロレスタGP MCP−T600で測定した。測定結果は表4〜7に示す通りであった。
Claims (15)
- 透明樹脂基材の表面に、プライマー層と金属薄膜とがこの順に積層されてなる積層塗膜を備えた積層塗膜付き基材であって、該プライマー層が、10〜200m2/gの比表面積を有する無機酸化物粒子、金属錯体、及びバインダー樹脂硬化物を含むことを特徴とする積層塗膜付き基材。
- 該プライマー層において、無機酸化物粒子100質量部当り、金属錯体が2〜50質量部、バインダー樹脂硬化物が10〜1000質量部含まれることを特徴とする請求項1の積層塗膜付き基材。
- 前記無機酸化物粒子が、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化チタン、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、PTO(リンドープ酸化スズ)、及び五酸化アンチモンからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層塗膜付き基材。
- 前記金属錯体が、ジルコニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫及び白金からなる群から選ばれる金属と、β−ジケトンからなる群から選ばれる配位子とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層塗膜付き基材。
- 前記金属錯体が、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、亜鉛、インジウム及び錫からなる群から選ばれる金属と、ピバロイルトリフルオルアセトン、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン及びヘキサフルオルアセチルアセトンからなる群から選ばれる配位子とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層塗膜付き基材。
- 前記バインダー樹脂硬化物が、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層塗膜付き基材。
- 前記バインダー樹脂硬化物が、リン酸基を含有するバインダー樹脂硬化物を含み、その含有量が、前記無機酸化物粒子100質量部当たり、2〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層塗膜付き基材。
- 前記金属薄膜を構成する金属が、金、銀、銅、及び白金からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層塗膜付き基材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の積層塗膜付き基材を構成するプライマー層を形成するためのコーティング組成物であって、10〜200m2/gの比表面積を有する無機酸化物粒子、金属錯体、及びバインダー樹脂を含むことを特徴とするコーティング組成物。
- 無機酸化物微粒子100質量部当り、金属錯体の含有量が2〜50質量部であり、バインダー樹脂の含有量が10〜1000質量部であることを特徴とする請求項9記載のコーティング組成物。
- 前記無機酸化物粒子が、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化チタン、ATO、PTO、及び五酸化アンチモンからなる群より選ばれることを特徴とする請求項9又は10記載のコーティング組成物。
- 前記金属錯体が、ジルコニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫及び白金からなる群から選ばれる金属と、β−ジケトンからなる群から選ばれる配位子とからなることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のコーティング組成物。
- 金属錯体が、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、亜鉛、インジウム及び錫からなる群から選ばれる金属と、ピバロイルトリフルオルアセトン、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン及びヘキサフルオルアセチルアセトンからなる群から選ばれる配位子とからなることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のコーティング組成物。
- 前記バインダー樹脂が、活性エネルギー線硬化性樹脂であることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載のコーティング組成物。
- 前記バインダー樹脂が、リン酸基を含有するバインダー樹脂を含み、その含有量が前記無機酸化物粒子100質量部当たり、2〜50質量部であることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のコーティング組成物。
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