JP4045899B2 - 帯電防止ハードコートフィルム及びそれを用いた表示部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い永久帯電防止性を示し、干渉縞の発生を抑え、且つ透明性、表面硬度、基材との密着性、擦傷性に優れた帯電防止ハードコートフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にプラスティックやフィルムなどの高分子材料の表面は比較的柔軟であることから、表面硬度を得る為に、物品表面にアクリル多官能化合物を重合させ、ハードコート層を設けるという手法がなされる。このようにして得られたハードコート層は、アクリル樹脂特有の性質である高い表面硬度、光沢性、透明性、擦傷性を有する。その一方で、絶縁特性に優れる為に帯電しやすく、ハードコート層を設けた製品表面への埃等の付着による汚れや、精密機械に使用された場合に、帯電してしまうことにより障害が発生するといった問題を抱えていた。
【0003】
これらの問題は、通常ハードコート層に種々の帯電防止剤を練り混むことにより解消することができる(特開2000−17099号公報など)。しかしながら帯電防止剤を配合することによる表面硬度をはじめとする機械特性の低下や、帯電防止剤の欠落による表面抵抗値の上昇、着色による透明性及び透過率の低下等、新しい問題も発生することがある。これを回避するために、製品とハードコート層の間やハードコート層上に表面硬度を落とさない程度にきわめて薄く帯電防止層を設ける手法がなされるが、この時ハードコート層と帯電防止層の界面が新たに生じることになり、層間の密着性や、屈折率差により干渉縞が確認されるなどの問題も含んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記課題を解消し、特に高い永久帯電防止性を示し、干渉縞の発生を抑え、且つ密着性、透明性、表面硬度、擦傷性に優れた帯電防止性ハードコートフィルムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、少なくとも基材(A)に、ハードコート層(B)、帯電防止層(C)の順に積層してなる帯電防止ハードコートフィルムであって、該帯電防止層(C)が、金属酸化物(D)と分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)と、分子内にフッ素原子を含むアクリル化合物(F)とを含み、且つ、前記帯電防止層(C)が、前記金属酸化物(D)10〜80重量部に対して、前記分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)5〜85重量部と、前記分子内にフッ素原子を含むアクリル化合物(F)5〜50重量部含んでおり、且つ、前記帯電防止ハードコートフィルムの透過率が90%以上であることを特徴とする帯電防止ハードコートフィルムである。
【0006】
請求項2の発明は、前記基材がセルロース系のフィルムであることを特徴とする請求項1記載の帯電防止ハードコートフィルムである。
【0007】
請求項3の発明は、前記帯電防止層(C)に含まれる金属酸化物(D)が、酸化錫インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、酸化アンチモンのいずれか一種類あるいは二種類以上の混合であり、且つ粒子径100nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の帯電防止ハードコートフィルムである。
【0009】
請求項4の発明は、さらに機能層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止ハードコートフィルムである。
【0010】
請求項5の発明は、さらに偏光板を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止ハードコートフィルムである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止ハードコートフィルムを表面部材として用いたことを特徴とする表示部材である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明では、少なくとも基材(A)に、ハードコート層(B)、帯電防止層(C)の順に積層してなる帯電防止ハードコートフィルムにおいて、該帯電防止層(C)が、金属酸化物(D)と分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)と、分子内にフッ素原子を含むアクリル化合物(F)を含むことにより、帯電防止性能を効率よく発揮させることができる。そのため、帯電防止剤配合量を少なくでき、かつ帯電防止層の厚みを抑えることができ、ハードコート層の表面硬度を低下することなく、高い帯電防止機能を得るものである。
【0013】
本発明では、基材(A)は特に限定されることはないが、セルロース系のフィルムを用いると、透明性と干渉縞の抑制の点から、光学フィルム応用した時に好ましい。セルロース系のフィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、モノアセチルセルロースフィルムなどを用いることができる。好ましくは、トリアセチルセルロースフィルムを用いた場合には、高い透明性と、干渉縞の発生を抑えることができる。
【0014】
また本発明のハードコート層(B)は得に限定されることはなく、通常用いられる活性エネルギー線硬化性ハードコート樹脂を用いることができる。たとえば、アクリル多官能化合物(G)をベースとするアクリル樹脂を用いた場合に高い表面硬度と、擦傷性と、透明性を得ることができる。アクリル多官能化合物(G)の例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。またアクリル多官能化合物(G)は単独あるいは二種類以上を同時に用いることもできる。更に、目的に応じてアクリル単官能化合物を配合することもできるが。しかしこの時、表面硬度の低下等の問題も同時に発生することがある。
【0015】
また本発明の帯電防止層(C)に含まれる金属酸化物(D)は、帯電防止剤となるものである。金属酸化物(D)は特に限定されるものではなく、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、酸化アンチモン等が挙げられる。また、金属酸化物(D)は平均粒径100nm以下が好適である。100nmを越える粒径の金属酸化物を用いた場合には、光の散乱が発生し、透過率の低下、あるいは着色による透明性が減少するため好ましくない。
【0016】
また本発明の帯電防止層(C)に含まれる分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)は、帯電防止層(C)のバインダーとなるものである。分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)は得に限定されるものではなく、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を用いることが出来る。分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)は目的に応じて単独あるいは二種類以上を同時に用いることができる。
【0017】
また本発明の分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)の配合量は、金属酸化物(D)10〜80重量部に対して5〜85重量部である。5重量部未満であると十分な表面硬度を得ることができず、85重量部を越えると帯電防止層(C)に含まれる帯電防止剤の量が少なくなり、帯電防止効果が発揮されないためである。
【0018】
本発明の帯電防止層(C)に含まれる分子内にフッ素を含むアクリル化合物(F)は、帯電防止剤である金属酸化物(D)を配合することにより上昇する帯電防止層の屈折率を低下させる、いわゆる屈折率調節剤である。
【0019】
分子内にフッ素を含むアクリル化合物(F)は得に限定されるものではなく、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H、1H、2H、2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレーと等の単官能アクリル化合物、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール−ジエポキシ(メタ)アクリレート、PEPF#1000ジ(メタ)アクリレート等の2官能アクリル化合物等を用いることができる。
【0020】
また分子内にフッ素を含むアクリル化合物(F)の配合量は金属酸化物(D)10〜80重量部に対して5〜50重量部である。5重量部未満であると、十分な屈折率調整効果が得られず干渉縞が発生し、50重量部を越えると、帯電防止層(C)の表面硬度が大幅に低下するためである。
【0021】
また本発明のハードコート層(B)及び帯電防止層(C)は基材に塗布する際、溶剤(H)で任意の濃度に希釈することができる。溶剤(H)はとくに限定されるものでではなく、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルイソブチルアセテートなどのエステル類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族性溶剤類等を用いることができる。得に好ましくは、メチルエチルケトン、酢酸メチル、ジクロロメタンを単独あるいは2種類以上混合して用いた場合に、基材となるセルロースフィルム表面を浸食することにより干渉縞の発生を効果的に抑えることが出来る。
【0022】
また、本発明のアクリル化合物(E)、(F)及び、アクリル多官能化合物(G)には、重合開始剤(I)を配合すると好ましい。重合開始剤(I)は特に限定されるものではなく、紫外線等の活性エネルギーを照射した際に、ラジカルを発生する化合物を用いることができる。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルー1−フェニルプロパンー1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパンー1−オン、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタンー1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチル1−プロパンー1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が使用できる。
【0023】
本発明において重合開始剤(I)の配合量は、アクリル多官能化合物(F)100重量部、及びアクリル化合物(E)30〜90重量部に対してそれぞれ0.1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、更に好ましくは1〜5重量部とされる。0.1重量部未満の場合は、各層共に硬度が不十分となり、10重量部を越えると各層共にクラックが生じ易くなる場合がある。特に重合開始剤(G)の配合量を1〜5重量部に設定すると、各層共に効率よく硬化し、クラックの発生を防ぐことができ好ましい。
【0024】
本発明における帯電防止ハードコートフィルムのハードコート層(B)及び帯電防止層(C)の基材への塗工方式は例えば、スロットコータ、スピンコータ、ロールコータ、カーテンコータ、スクリーン印刷等の従来の塗工方式により塗工することができる。
この時形成するハードコート層(B)の膜厚は通常0.1〜20μmであり、好ましくは0.5〜10μmである。0.1μm未満では十分な表面硬度は得られず、20μmを越えると、クラックが発生するためである。
また帯電防止層(C)の膜厚は通常0.01〜5μmであり、好ましくは0.1〜2.0μmである。0.01μm未満では十分な帯電防止効果は得られず、5μmを越えると大幅な表面硬度の低下が生じるためである。
【0025】
また、本発明ではさらに機能層などを積層することができる。機能層としては反射防止層、導電層、防汚層などがあげられる。いずれも公知の方法で設けることができる。また、さらに偏光板を設けてもよい。機能層は、ハードコート層上に設けることが好ましく、偏光板は基材の下に設けることが好ましい。
また、本発明の帯電防止製ハードコートフィルムは液晶やCRTやPDPなどの表示部材の表面部材として用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0027】
<実施例1>
基材(A)としてセルロースフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム社製、厚さ80μm)に、ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD−DPHA)100重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907(チバガイギー社製)2重量部をメチルエチルケトン中に混合溶解し、ロールコータにて5.0μmの厚さに塗布し、オーブンにて溶媒除去後紫外線照射により硬化させハードコート層(B)を得た。さらにハードコート層(B)上に、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)として酸化錫インジウム50重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてKAYARAD−DPHA20重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ビスコート−3F(大阪有機化学工業社製)30重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907(チバガイギー社製)2重量部をメチルエチルケトン中に混合溶解し、ロールコータにて1.0μmの厚さに塗布し、オーブンにて溶媒除去後紫外線照射により硬化させ帯電防止層(C)を形成し帯電防止ハードコートフィルムを得た。
得られた帯電防止ハードコートフィルムは、表面抵抗値、密着性、鉛筆硬度、擦傷性を測定し、干渉縞の評価を行った。
【0028】
<実施例2>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレートPE−3A)100重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア184(チバガイギー社製)0.1重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)としてアンチモンドープ酸化錫10重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてライトアクリレートPE−3A85重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ビスコート−4F(大阪有機化学工業社製)5重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を10重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0029】
<実施例3>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレートPE−4A)100重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173(チバガイギー社製)7重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)としてアンチモン酸亜鉛80重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてライトアクリレートPE−4A5重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ART−3(共栄化学者製)を15重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173を0.5重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0030】
<実施例4>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてKAYARAD−DPHA50重量部と、ライトアクリレートPE−4A50重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173を5重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)として酸化アンチモン65重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてKAYARAD−DPHA10重量部と、ライトアクリレートPE−4A5重量部ライトアクリレートPE−3A5重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、16−EFpA(共栄化学者製)5重量部とビスコート3F10重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173を5重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0031】
<実施例5>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてライトアクリレートPE−3A20重量部と、ライトアクリレートPE−4A20重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を1重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)として酸化錫インジウム20重量部と、アンチモンドープ酸化錫25重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてライトアクリレートPE−3A5重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ビスコート−17F(大阪有機化学工業社製)50重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア184を3重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0032】
<実施例6>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてKAYARAD−DPHA50重量部と、ライトアクリレートPE−4A25重量部ライトアクリレートPE−3A25重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を10重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)として酸化錫インジウム10重量部と、アンチモンドープ酸化錫10重量部と、酸化アンチモン20重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてKAYARAD−DPHA20重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ART−3を10重量部と、ビスコート3F10重量部と、ビスコート−17F20重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を1重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0033】
<比較例1>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてKAYARAD−DPHA100重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を5重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)として酸化錫インジウム5重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてKAYARAD−DPHA65重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ビスコート−3F30重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア9072重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0034】
<比較例2>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてKAYARAD−DPHA50重量部と、ライトアクリレートPE−4A50重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を0.7重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)としてアンチモンドープ酸化錫90重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてライトアクリレートPE−3A5重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ビスコート−4F5重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア907を10重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0035】
<比較例3>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてライトアクリレートPE−4A80重量部と、ライトアクリレートPE−3A20重量部と、重合開始剤(I)としてイルガキュア184を9重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)としてアンチモン酸亜鉛30重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてライトアクリレートPE−4A10重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、ART−3を60重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173を0.5重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0036】
<比較例4>
ハードコート層(B)の多官能アクリル化合物(G)としてライトアクリレートPE−3A100重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173を3重量部と、帯電防止層(C)の金属酸化物(D)として酸化アンチモン13重量部と、分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)としてKAYARAD−DPHA50重量部と、ライトアクリレートPE−4A15重量部ライトアクリレートPE−3A20重量部と、分子内にフッ素原子を有するアクリル化合物(F)として、16−EFpA2重量部と、重合開始剤(I)としてダロキュア1173を5重量部とした以外は実施例1と同様にして帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0037】
上記の実施例、比較例で評価した表面抵抗値、密着性、カール、鉛筆硬度、クラック、擦傷性、全光透過率は以下の方法で測定した。
(表面抵抗値)
JIS K6911に準拠して行った
(鉛筆硬度)
JIS K5400に準拠して行った。
(密着性)
ハードコート層を碁盤目上に切断後、テープにより180℃剥離を行い残存率(%)を測定した。
(全光透過率)
ASTM D 1003−61に準拠して行った。
(擦傷性)
スチールウール(#0000)250gにて10往復擦傷し、傷の有無を目視にて確認した。
(干渉縞)
干渉縞の有無を目視にて確認した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、高い永久帯電防止性を示し、更に密着性、表面硬度、擦傷性に優れたした帯電防止ハードコートフィルムを、干渉縞が発生することなく得ることができる。また帯電防止性ハードコートフィルムは、各種製品に用いることができるが、特にディスプレイ製品の保護フィルムとして好適に使用することができる。
Claims (6)
- 少なくとも基材(A)に、ハードコート層(B)、帯電防止層(C)の順に積層してなる帯電防止ハードコートフィルムであって、
該帯電防止層(C)が、金属酸化物(D)と分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)と、分子内にフッ素原子を含むアクリル化合物(F)とを含み、且つ、
前記帯電防止層(C)が、前記金属酸化物(D)10〜80重量部に対して、前記分子内に3個以上のアクリル基を有する化合物(E)5〜85重量部と、前記分子内にフッ素原子を含むアクリル化合物(F)5〜50重量部含んでおり、且つ、
前記帯電防止ハードコートフィルムの透過率が90%以上であることを特徴とする帯電防止ハードコートフィルム。 - 前記基材がセルロース系のフィルムであることを特徴とする請求項1記載の帯電防止ハードコートフィルム。
- 前記帯電防止層(C)に含まれる金属酸化物(D)が、酸化錫インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、酸化アンチモンのいずれか一種類あるいは二種類以上の混合であり、且つ粒子径100nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の帯電防止ハードコートフィルム。
- さらに機能層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止ハードコートフィルム。
- さらに偏光板を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止ハードコートフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止ハードコートフィルムを表面部材として用いたことを特徴とする表示部材。
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