JP5419064B2 - 積層透明膜 - Google Patents

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Description

本発明は積層透明膜に関し、より詳しくは、屈折率が1.55未満の透明基材の表面に透明性に優れ且つ干渉ムラがなく、基材との密着性に優れ、高い膜硬度及び耐擦傷性を有し、さらに該透明基材との屈折率の差が0.03以下である透明膜を形成し得る組成物を成膜させて得られる透明膜が積層されており、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03以下であり、透明性に優れ且つ干渉ムラがなく、基材との密着性に優れ、高い膜硬度及び耐擦傷性を有した積層透明膜に関する。
LCD等のディスプレイに用いられる光学部材には透明プラスチックフィルムを貼着する場合が多い。近年、プラズマパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ等に代表されるフラットパネルディスプレイの高機能化に伴い、透明プラスチックフィルムに高い透明性、干渉ムラがないこと、高い膜硬度及び耐擦傷性の特性が求められている。しかしながら、一般に透明プラスチックフィルムは柔らかいために傷がつきやすい。そのため、フィルムに透明ハードコート材を塗布することにより、フィルム表面にハードコート層を形成させて耐擦傷性を向上させている。透明ハードコート層には、高い透明性、基材との高い密着性、高い膜硬度、耐擦傷性の他、干渉ムラをなくすために透明基材との屈折率の差がないことが求められている。
屈折率が1.55以上のフィルム、例えば、PET(屈折率1.65)、PEN(屈折率1.76)等に塗布されるハードコート材には、高屈折率無機酸化物を用いた透明高屈折率膜形成用組成物又は透明導電高屈折率膜形成用組成物が広く用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。このような透明高屈折率膜形成用組成物又は透明導電高屈折率膜形成用組成物は、屈折率が1.55を超える基材と同等の屈折率を有する膜を形成することができるが、屈折率が1.55未満の基材と同等の屈折率を有する膜を形成することはできない。
一方で、屈折率が1.55未満のフィルム、例えば、TAC(屈折率1.49)については、ハードコート層を形成させる方法として、(メタ)アクリロイル多官能樹脂、特異な官能基を有する(メタ)アクリロイル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、イソシアヌレート等を用いたハードコート材が報告されている(例えば、特許文献3〜5参照)。しかし、これらの方法では、十分な耐擦傷性と基材との高い密着性を共に満足させた膜を形成することは難しい。
また、無機微粒子をバインダーに分散させた透明膜形成用組成物を使用する方法も報告されている(例えば、特許文献6、7参照)。無機微粒子を用いることにより、基材への密着性を向上させることができる。特許文献6、7に記載の発明で添加している無機微粒子はそれぞれ、コロイダルシリカ(屈折率1.46)、アンチモン酸亜鉛(屈折率1.7〜1.9)であり、屈折率の異なる2種類以上の無機材料は含有されたものではない。これらの場合では、屈折率が1.55未満の透明基材に対して、干渉ムラのない、且つ基材との屈折率の差のない膜を成膜することが難しい。
特開2002−167576号公報 特開2008−138084号公報 特開2001−113648号公報 特開2003−306619号公報 特開2007−237483号公報 特開2000−007944号公報 特開2001−123036号公報
本発明は上記の諸問題に鑑みてなされたものであり、屈折率が1.55未満の透明基材の表面に透明性に優れ且つ干渉ムラがなく、基材との密着性に優れ、高い膜硬度及び耐擦傷性を有し、さらに該透明基材との屈折率の差が0.03以下である透明膜を形成し得る組成物を成膜させて得られる透明膜が積層されており、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03以下であり、透明性に優れ且つ干渉ムラがなく、基材との密着性に優れ、高い膜硬度及び耐擦傷性を有した積層透明膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の諸目的を達成するために鋭意検討した結果、屈折率が1.55以上1.80未満である少なくとも1種類の無機微粒子(A成分)、屈折率が1.55未満である少なくとも1種類の無機微粒子(B成分)、及びバインダーを含有する組成物を用いることにより目的とする効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の積層透明膜は、屈折率が1.55未満である透明基材と、当該透明基材の表面に、屈折率が1.55以上1.80未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(A成分)、屈折率が1.55未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(B成分)、及びバインダーを含有する透明膜形成用組成物を成膜させて得られる透明膜とが積層されており、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03以下であることを特徴とする。
また、本発明の積層透明膜は、屈折率が1.55未満である透明基材と、当該透明基材の表面に、屈折率が1.55以上1.80未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(A成分)、屈折率が1.55未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(B成分)、屈折率が1.80以上2.20以下であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(C成分)、及びバインダーを含有する透明膜形成用組成物を成膜させて得られる透明膜とが積層されており、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03以下であることを特徴とする。
本発明では特定の透明膜形成用組成物を用いて成膜することにより、一層の形成で透明性が高く干渉ムラのない積層透明膜を形成することができ、従来の方法に比べて、塗布工程が少ないため、低コストで製造することが可能である。

以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の透明膜形成用組成物は、屈折率が1.55以上1.80未満である少なくとも1種類の無機微粒子(A成分)、屈折率が1.55未満である少なくとも1種類の無機微粒子(B成分)、及びバインダーを含有しており、好ましくは屈折率が1.80以上2.20以下である少なくとも1種類の無機微粒子(C成分)を含有しており、好ましくは更に分散安定剤、分散媒を含有している。
本発明で用いるA成分、B成分、C成分である無機微粒子の形状については特に限定されないが、球形であることが好ましい。また、A成分、B成分、C成分の大きさについてはそれぞれ一次粒子径で、通常、1〜100nm、好ましくは5〜40nmのものを使用することができる。A成分、B成分、C成分の粒子径は同等であることが好ましい。なお、一次粒子径はBET法から計算することができる。
A成分は形成される透明膜の屈折率を調整し、さらに膜の内部応力を緩和するために添加されるものであり、A成分として屈折率が1.55以上1.80未満の無機微粒子を用いる。なお、個々の材料の屈折率は材料に固有の値であり、種々の文献に記載されている。A成分の種類については目的を達成できるものであれば特に限定されず、市販品等の公知のものを用いることができる。例えば、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、酸化マグネシウム(屈折率1.64〜1.74)、水酸化アルミニウム(屈折率1.58)、炭酸カルシウム(屈折率1.57〜1.60)、硫酸バリウム(屈折率1.65)、五酸化アンチモン(屈折率1.65)等が用いられる。A成分は1種類のみを用いても2種類以上を併用してもよく、帯電防止付与の目的で導電性微粒子を用いることもできる。
B成分は形成される透明膜の屈折率を調整し、さらに膜の内部応力を緩和するために添加されるものであり、B成分として屈折率が1.55未満の無機微粒子を用いる。B成分の種類については目的を達成できるものであれば特に限定されず、市販品等の公知のものを用いることができる。例えば、シリカ(屈折率1.46)、シリカ粒子内に空気を含有するもの(中空シリカ等)(屈折率1.30〜1.45)、フッ化マグネシウム(屈折率1.38〜1.40)、フッ化カルシウム(屈折率1.43〜1.45)等が用いられる。B成分は1種類のみを用いても2種類以上を併用してもよい。
C成分は形成される透明膜の屈折率を調整し、さらに膜の内部応力を緩和するために補助的に添加することができる。C成分として屈折率が1.80以上2.20以下の無機微粒子を用いる。屈折率が2.20を超える無機微粒子を用いた場合には膜の屈折率が高くなり過ぎる傾向があるので好ましくない。C成分の種類については目的を達成できるものであれば特に限定されず、市販品等の公知のものを用いることができる。例えば、酸化ストロンチウム(屈折率1.87)、酸化ジルコニウム(屈折率2.2)等を用いることができる。C成分として1種類のみを用いても2種類以上を併用してもよい。また、帯電防止付与の目的で導電性微粒子を用いることもできる。例えば、アンチモンドープ酸化錫(ATO)(屈折率2.0)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)(屈折率2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)(屈折率2.0)、酸化錫(屈折率2.0)、酸化亜鉛(屈折率2.0)等を用いることができる。なお、酸化錫についてはリン等の元素をドープしたものを用いることもできる。酸化亜鉛についてはガリウムやアルミニウムをドープしたものを用いることもできる。
バインダーの種類については目的を達成できるものであれば特に限定されず、市販品等の公知のものを用いることができる。使用する分散媒に溶解でき、無機微粒子を分散させることができ、成膜できるものであれば、一般的に塗料で用いられている任意のバインダーを特に制限なく用いることができる。バインダーの屈折率は目的を達成できるものであれば特に限定されないが、好ましくは、1.47以上1.55未満である。
本発明においては、A成分とB成分との屈折率の差は好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.15以上である。C成分を添加する場合には、A成分とC成分との屈折率の差は好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.15以上である。また、バインダーの屈折率はA成分より低いことが好ましい。
本発明においては、バインダーとして、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリルシリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、もしくはこれらを変性したバインダー樹脂等を1種単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。
更に、上記バインダー中には必要に応じて架橋剤を含有させても良く、例えば、アミノ基等の塩基性官能基、OH基等の中性官能基、カルボキシル基等の酸性官能基、イソシアネート基等の反応性官能基を1分子中に2つ以上有する任意の架橋剤を用いることができる。
また、上記バインダーは活性エネルギー線硬化性化合物であってもよく、その例示としてラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性オリゴマー等を挙げることができる。ラジカル重合性モノマーの具体例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アリルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレート;スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、アリルアルコール等のラジカル重合性モノマーを挙げることができる。
ラジカル重合性オリゴマーの具体例として、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、オリゴ(メタ)アクリレート、アルキド(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有するプレポリマーを挙げることができる。特に好ましいラジカル重合性オリゴマーは、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタンの各(メタ)アクリレートである。本発明においては活性エネルギー線硬化性化合物を一種単独で用いることも、二種以上を併用することもできる。
上記バインダーとして活性エネルギー線硬化性化合物を用いる場合には、光重合開始剤(光増感剤)を添加することにより、少量の活性エネルギー線の照射で透明膜形成用組成物を硬化させることができる。
光重合開始剤(光増感剤)として、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルサルファイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1を挙げることができる。光重合開始剤は一種単独で用いることも、二種以上を併用することもできる。
本発明の透明膜形成用組成物においては、透明膜形成用組成物中の無機微粒子の分散安定性及び保存安定性をより向上させる目的で、分散安定剤を添加することが好ましい。本発明で用いることのできる分散安定剤として、キレート剤及び金属錯体を挙げることができる。キレート剤又は金属錯体の添加により、形成される膜の硬度及び耐擦傷性を低下させることなしに無機微粒子の分散安定性を高めることができる。
本発明で用いることのできるキレート剤は好ましくは分散媒に可溶なものであり、そのようなキレート剤として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類、ピバロイルトリフルオルアセトン、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン、ヘキサフルオルアセチルアセトン等のβ−ジケトン類、エチレンジアミンテトラ酢酸等のポリアミノカルボン酸類、クエン酸等のオキシカルボン酸類、ジメチルグリオキシム等のオキシム類、オキシン、蓚酸等を挙げることができる。キレート剤は1種単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。
本発明で用いることのできる金属錯体は好ましくは分散媒に可溶なものであり、そのような金属錯体として、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫からなる群から選ばれる金属と、ポエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類、ピバロイルトリフルオルアセトン、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン、ヘキサフルオルアセチルアセトン等のβ−ジケトン類、エチレンジアミンテトラ酢酸等のポリアミノカルボン酸類、クエン酸等のオキシカルボン酸類、ジメチルグリオキシム等のオキシム類、オキシン及び蓚酸からなる群から選ばれる配位子とからなる金属錯体を挙げることができる。これら金属錯体は1種単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。更に、1種類以上のキレート剤と1種類以上の金属錯体を混合して使用することもできる。
尚、本発明の透明膜形成用組成物の保存安定性をより向上させる目的で、更に他の分散剤を添加してもよい。そのような分散剤は特には限定されないが、その例示として、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキル構造を有するリン酸エステル系分散剤を挙げることができる。
本発明の透明膜形成用組成物においては分散媒を任意の割合で添加することができる。分散媒として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、2−ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等を挙げることができる。これらの分散媒の中でも、無機微粒子の分散性及び塗布時における成膜性が特に良好である分散媒を用いることがより好ましい。そのような分散媒として、例えば、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、2−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、エチルベンゼンを挙げることができる。本発明においては、分散媒として一種単独で用いることも、二種以上を併用することもできる。
本発明の透明膜形成用組成物においては、A成分とB成分との配合割合は透明膜形成用組成物を塗布する透明基材の屈折率に応じて適宜設定する必要があるが、通常はA成分とB成分との質量比率(A成分/B成分)は好ましくは15/85〜95/5、より好ましくは20/80〜90/10である。A成分とB成分との合計質量を基準にしてB成分の質量比率が5%より低い場合には形成される膜の干渉ムラが顕著に認められる傾向がある。逆にB成分の質量比率が85%より高い場合には膜の屈折率を所望程度に高くすることができない。
本発明の透明膜形成用組成物においては、C成分を添加する場合には、A成分とB成分との合計とC成分との配合割合は透明膜形成用組成物を塗布する透明基材の屈折率に応じて適宜設定する必要があるが、通常はA成分とB成分との合計とC成分との質量比率((A成分+B成分)/C成分)は好ましくは30/70〜100/0、より好ましくは50/50〜100/0である。無機微粒子の合計質量を基準にしてC成分の質量比率が70%より高い場合には形成される膜の屈折率が高くなり過ぎる。
本発明の透明膜形成用組成物においては、各成分の配合割合は透明膜形成用組成物を塗布する透明基材の屈折率に応じて適宜設定する必要があるが、通常は無機微粒子(A成分とB成分とC成分との合計)とバインダーの固形分との質量比率は好ましくは20/80〜90/10、より好ましくは30/70〜75/25である。A成分とB成分とC成分とバインダーの固形分との合計質量を基準にしてバインダー固形分の質量比率が10%より低い場合には膜硬度及び透明性が低下する傾向があり、80%より高い場合には内部応力が高くなり密着性が低下する。
本発明の透明膜形成用組成物においては、無機微粒子(A成分とB成分との合計)と分散安定剤との質量比率は好ましくは99.8/0.2〜66.7/33.3、より好ましくは99.0/1.0〜76.9/23.1である。無機微粒子と分散安定剤との合計質量を基準にして分散安定剤の質量比率が0.2%より低い場合には組成物の保存安定性の改善が不十分であり、33.3%より高い場合には分散安定剤が溶解せずに沈降する傾向がある。
本発明の透明膜形成用組成物はA成分、B成分、C成分(補助的に添加する場合のみ)及びバインダーを任意の順序で又は同時に添加し、充分に混合することにより製造することができる。分散媒は必要に応じ適宜添加することができる。また、A成分とバインダーとからなる組成物(A成分含有組成物)及びB成分とバインダーとからなる組成物(B成分含有組成物)を別々に製造した後、A成分含有組成物とB成分含有組成物とを混合して製造することもできる。C成分を補助的に添加する場合、C成分とバインダーとからなる組成物(C成分含有組成物)を製造し、A成分含有組成物とB成分含有組成物とC成分含有組成物とを混合して製造することもできる。この場合においても分散媒は必要に応じ適宜添加することができる。一般には、分散媒中にA成分、B成分及びC成分(補助的に添加する場合のみ)を分散させて分散液を製造し、その後にバインダーを添加して透明膜形成用組成物を得る。分散操作を行う前にプレ分散操作を行うとなおよい。プレ分散操作は分散媒中に、ディスパー等で撹拌しながら、A成分、B成分、C成分(補助的に添加する場合のみ)を徐々に加えていき、A成分、B成分、C成分(補助的に添加する場合のみ)の塊が目視で確認されなくなるまでよく撹拌することで実施できる。また、分散安定剤を添加する場合には、分散安定剤を溶解した分散媒中にA成分、B成分、C成分及びバインダーを任意の順序で又は同時に添加することが好ましい。
A成分、B成分及びC成分(補助的に添加する場合のみ)の分散操作はペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル等を用いて行うことができる。分散操作の際にガラスビーズ、ジルコニアビーズ等の分散ビーズを用いることが好ましい。ビーズ径は特に限定されないが通常0.05〜1mm程度であり、好ましくは0.08〜0.65mm程度である。
本発明の透明膜形成用組成物においては、A成分、B成分及びC成分である無機微粒子の平均粒子径は好ましくは120nm以下であり、更に好ましくは80nm以下である。平均粒子径が120nmを超える場合には、形成される膜のヘイズ(JIS K 7105)が高くなる傾向がある。
本発明の透明膜形成用組成物は、保護膜形成用組成物、反射防止膜形成用組成物、接着剤、シーリング材、バインダー材等に含ませて用いることができ、特に反射防止膜を形成する組成物に好適に用いることができる。
更に、本発明の透明膜形成用組成物は、その目的を損なわない範囲内で、上記以外の慣用の各種添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤として重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤等を挙げることができる。
本発明の透明膜形成用組成物は、屈折率が1.55未満の透明基材、例えばポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、ノルボルネン系樹脂、ガラス等からなる各種透明基材に塗布又は印刷し、硬化させて膜を形成することができる。
本発明の積層透明膜は、上記の透明基材の表面に上記の透明膜形成用組成物を成膜させて得られる透明膜が積層されたものであるが、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が好ましくは0.03以下となり、より好ましくは0.02以下となるように透明基材及び透明膜形成用組成物を選択する。該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03よりも大きい場合には干渉ムラが顕著に発生する傾向がある。
透明基材への透明膜形成用組成物の塗布又は印刷は常法に従って、例えば、バーコート、グラビアコート、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、インクジェット法、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装等の手法に従って行うことができる。
バインダーとして熱硬化性樹脂を含有する場合には焼付等の方法により成膜できる。焼付時の温度は透明基材のガラス転移温度より低いことが好ましい。
バインダーとして活性エネルギー線硬化性化合物を含有する場合には、必要により加熱して分散媒を蒸発させ、塗膜を乾燥させ、次いで、活性エネルギー線(紫外線又は電子線)を照射する。活性エネルギー線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザー等の紫外線源、ならびに電子線加速装置を使用することができる。活性エネルギー線の照射量は、紫外線の場合には50〜3000mJ/cm2、電子線の場合には0.2〜1000μC/cm2の範囲内が適当である。この活性エネルギー線の照射により、上記活性エネルギー線硬化性化合物が重合し、A成分及びB成分がバインダーで結合された膜が形成される。
本発明の透明膜形成用組成物を硬化させて得られる透明膜の膜厚は好ましくは0.1〜10.0μmの範囲内であり、より好ましくは0.3〜5.0μmの範囲内である。本発明の透明膜形成用組成物を硬化させて得られる透明膜においてはA成分、B成分、C成分(補助的に添加する場合のみ)及びバインダーが膜内で均一に分散していて、干渉ムラがなく、透明性が高く、ヘイズが低く、該透明膜の屈折率と透明基材の屈折率との差が好ましくは0.03以下であり、より好ましくは0.02以下である。さらに、光透過率が好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、ヘイズが好ましくは1.5%以下であり、より好ましくは1.0%以下である。
以下に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例及び比較例において「部」は全て「質量部」である。
実施例及び比較例で使用した諸成分は以下の通りである。
<A成分>
酸化アルミニウム(Al23)(屈折率1.76、一次粒子径20nm)
酸化マグネシウム(MgO)(屈折率1.72、一次粒子径30nm)
五酸化アンチモン(Sb25)(屈折率1.65、一次粒子径30nm)
<B成分>
シリカ(SiO2)(屈折率1.46、一次粒子径30nm)
中空シリカ(屈折率1.40、一次粒子径30nm)
<C成分>
ATO(屈折率2.0、一次粒子径30nm)
酸化亜鉛(ZnO)(屈折率2.03、一次粒子径30nm)
酸化錫(SnO2
<分散安定剤>
アセチルアセトン(C572)
エチレンジアミン(C282
トリエチレンテトラミン(C6184
ピバロイルトリフルオルアセトン
アルミニウムアセチルアセトナート([Al(C572)3])
亜鉛アセチルアセトナート([Zn(C572)2])
ジブチル−錫ビスアセチルアセトナート([(C49)2Sn(C572)2])
<バインダー>
日本化薬(株)製、DPHA(屈折率1.49)
フッ素系ポリマー(屈折率1.40)
<光重合開始剤>
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、IRGACURE 184
<分散媒>
ビックケミージャパン(株)製、BYK−142(NV.60%以上)
実施例1
60部の五酸化アンチモン、40部のシリカ、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に122部のDPHA、12.2部のIRGACURE184及び320部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。ロールコーターを用いてこの光硬化性組成物を膜厚75μmのTACフィルム(光透過率93%、ヘイズ0.5%、屈折率1.49)上に塗布し、有機分散媒を蒸発させた後、空気雰囲気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例2
15部の酸化アルミニウム、35部のシリカ、50部のATO、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に43部のDPHA、4.3部のIRGACURE184及び130部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。ロールコーターを用いてこの光硬化性組成物を膜厚75μmの環状オレフィンフィルムX(光透過率91%、ヘイズ0.5%、屈折率1.53)上に塗布し、有機分散媒を蒸発させた後、空気雰囲気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例3
70部の酸化マグネシウム、30部の中空シリカ、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に43部のDPHA、4.3部のIRGACURE184及び130部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。その後、実施例1と同様の方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例4
30部の酸化マグネシウム、30部の中空シリカ、40部の酸化亜鉛、10.0部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に122部のDPHA、12.2部のIRGACURE184及び320部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。ロールコーターを用いてこの光硬化性組成物を膜厚75μmの環状オレフィンフィルムY(光透過率91%、ヘイズ0.6%、屈折率1.51)上に塗布し、有機分散媒を蒸発させた後、空気雰囲気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を 作製した。
実施例5
30部の酸化マグネシウム、30部の中空シリカ、40部の酸化錫、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に27部のフッ素系ポリマー、40部のDPHA、6.7部のIRGACURE184及び190部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。その後、実施例1と同様の方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例6
15部の酸化アルミニウム、35部のシリカ、50部のATO、11部のアセチルアセトン、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に43部のDPHA、4.3部のIRGACURE184及び130部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。ロールコーターを用いてこの光硬化性組成物を膜厚75μmの環状オレフィンフィルムX(光透過率91%、ヘイズ0.5%、屈折率1.53)上に塗布し、有機分散媒を蒸発させた後、空気雰囲気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み3μmの膜を有する積 層透明膜を作製した。
実施例7
11部のアセチルアセトンの代わりに43部のアルミニウムアセチルアセトナートを添加する以外は実施例6と同様に光硬化性組成物を得た。その後、実施例6と同じ方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例8
60部の五酸化アンチモン、40部のシリカ、10部のBYK−142、5.5部のエチレンジアミン、5.5部のジブチル−錫ビスアセチルアセトナート、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に122部のDPHA、12.2部のIRGACURE184及び320部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。ロールコーターを用いてこの光硬化性組成物を膜厚75μmのTACフィルム(光透過率93%、ヘイズ0.5%、屈折率1.49)上に塗布し、有機分散媒を蒸発させた後、空気雰囲気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例9
5.5部のエチレンジアミン、5.5部のジブチル−錫ビスアセチルアセトナートの代わりに11部のトリエチレンテトラミンを添加する以外は実施例8と同様に光硬化性組成物を得た。その後、実施例8と同じ方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例10
30部の酸化マグネシウム、30部の中空シリカ、40部の酸化亜鉛、11部の亜鉛アセチルアセトナート、10.0部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に122部のDPHA、12.2部のIRGACURE184及び320部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。ロールコーターを用いてこの光硬化性組成物を膜厚75μmの環状オレフィンフィルムY(光透過率91%、ヘイズ0.6%、屈折率1.51)上に塗布し、有機分散媒を蒸発させた後、空気雰囲気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、 厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
実施例11
11部の亜鉛アセチルアセトナートの代わりに5.5部のピバロイルトリフルオルアセトン、5.5部の亜鉛アセチルアセトナートを添加する以外は実施例10と同様に光硬化性組成物を得た。その後、実施例10と同じ方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
比較例1
100部の酸化アルミニウム、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に567部のDPHA、5.7部のIRGACURE184及び1360部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。その後、実施例1と同様の方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
比較例2
567部のDPHA、1360部の2−ブタノールの代わりに82部のDPHA、220部の2−ブタノールを添加する以外は比較例1と同様の方法により光硬化性組成物を得た。その後、実施例1と同様の方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
比較例3
100部のシリカ、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に100部のDPHA、10部のIRGACURE184及び270部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。その後、実施例2と同様の方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
比較例4
90部の五酸化アンチモン、10部のシリカ、10部のBYK−142、200部の2−ブタノール及び800部のガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで7時間練合した。練合後にガラスビーズを取り除いて分散液を得た。この分散液に43部のDPHA、4.3部のIRGACURE184及び134部の2−ブタノールを加えて光硬化性組成物を得た。その後、実施例1と同様の方法により、厚み3μmの膜を有する積層透明膜を作製した。
<評価方法>
(1)膜形成組成物の平均粒子径(メジアン径)
測定機器:日機装(株)製 Microtrac粒度分布計
測定条件:温度20℃
試料:サンプルを分散媒でNV.5%に希釈した後に測定
データ解析条件:粒子径基準 体積基準
分散媒:2−ブタノール 屈折率:1.40
(2)透明膜の屈折率
実施例1〜11及び比較例1〜4で成膜された透明膜(透明基材を含まない)について、(株)アタゴ製アッべ屈折計DR−M4(20℃)で測定した。
(3)積層透明膜の透過率、ヘイズ
実施例1〜11及び比較例1〜4で得た積層透明膜について、透過率及びヘイズを東京電色技術センター製TC−HIII DPKで測定した。測定値は透明基材を含んだ積層透明膜の測定値である。
(4)積層透明膜の膜硬度(鉛筆引っかき硬度)
実施例1〜11及び比較例1〜4で得た積層透明膜透明硬化被膜面をJIS K 5600−5−4に準拠し、500g荷重で評価した。
(5)積層透明膜の耐擦傷性
実施例1〜11及び比較例1〜4で得た積層透明膜透明硬化被膜面をスチールウール(#0000)、500g荷重にて10往復擦傷した後の表面状態を下記の基準で目視にて評価した。
○:キズなし
△:キズ多少有り
×:キズあり
(6)積層透明膜の密着性
実施例1〜11及び比較例1〜4で得た積層透明膜透明硬化被膜面について、セロハン粘着テープによる剥離試験を行い、下記の基準で目視にて評価した。
○:剥離なし
△:部分的に剥離
×:全面的に剥離
(7)積層透明膜の干渉ムラ
実施例1〜11及び比較例1〜4で得た積層透明膜について、三波長型蛍光灯下で目視観察を行ない、下記の基準で評価した。
○:干渉ムラ無し
△:干渉ムラが微量に有るが、実用可能
×:干渉ムラが顕著に発生
−:ヘイズが高いため、評価できず
上記の各々の測定の結果、評価の結果を各々の組成物の組成と共に第1表及び第2表に示す。
Figure 0005419064
Figure 0005419064
第1表及び第2表に示すデータから明らかなように、A成分及びB成分、又はA成分及びB成分及びC成分を含有し、且つ成膜された積層透明膜の屈折率と透明基材の屈折率との差が0.02以下の場合(実施例1、2、4〜11)には、干渉ムラがなく、膜硬度及び耐擦傷性が高く、透過率が85%以上、ヘイズ1.0%以下の膜が得られた。成膜された積層透明膜の屈折率と透明基材の屈折率との差が0.03の場合(実施例3)には、干渉ムラが微量に生じたが、実用化する際に問題はなかった。また、分散安定剤を用いた場合(実施例6〜11)には、膜形成組成物の粒子径が1年間安定した値を示し、未添加の場合に比べ保存安定性が向上した。また、B成分を添加しなかった場合(比較例1、2)には干渉ムラがなく、且つ高い密着性を有する積層透明膜を得ることができなかった。A成分を含有しない場合(比較例3)では、成膜された積層透明膜の屈折率と透明基材の屈折率との差を0.03以下とし得る積層透明膜を得ることができなかった。また、成膜された透明膜の屈折率と透明基材の屈折率との差が0.03を超えた場合(比較例4)にはA成分及びB成分を含有していても干渉ムラが顕著に発生した。

Claims (11)

  1. 屈折率が1.55未満である透明基材と、当該透明基材の表面に、屈折率が1.55以上1.80未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(A成分)、屈折率が1.55未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(B成分)、及びバインダーを含有する透明膜形成用組成物を成膜させて得られる透明膜とが積層されており、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03以下であることを特徴とする積層透明膜。
  2. 屈折率が1.55未満である透明基材と、当該透明基材の表面に、屈折率が1.55以上1.80未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(A成分)、屈折率が1.55未満であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(B成分)、屈折率が1.80以上2.20以下であり、一次粒子径が1〜100nmである少なくとも1種類の無機微粒子(C成分)、及びバインダーを含有する透明膜形成用組成物を成膜させて得られる透明膜とが積層されており、該成膜させて得られる透明膜の屈折率と該透明基材の屈折率との差が0.03以下であることを特徴とする積層透明膜。
  3. C成分が酸化ジルコニウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化錫及び酸化亜鉛より選ばれる少なくとも1種類からなる透明膜形成用組成物を成膜させたことを特徴とする請求項2記載の積層透明膜。
  4. 請求項1、2又は3記載の透明膜形成用組成物が更に分散安定剤を含有することを特徴とする積層透明膜。
  5. 分散安定剤がキレート剤及び金属錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項4記載の積層透明膜。
  6. キレート剤がポリアミン類、β−ジケトン類、ポリアミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、オキシム類、オキシン及び蓚酸からなる群より選ばれる少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項5記載の積層透明膜。
  7. 金属錯体がジルコニウム、チタン、アルミニウム、亜鉛、インジウム及び錫からなる群より選ばれる金属と、ポリアミン類、β−ジケトン類、ポリアミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、オキシム類、オキシン及び蓚酸からなる群より選ばれる配位子とからなることを特徴とする請求項5記載の積層透明膜。
  8. A成分が酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び五酸化アンチモンより選ばれる少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層透明膜。
  9. B成分がシリカからなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の積層透明膜。
  10. バインダーの屈折率が1.47以上1.55未満であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の積層透明膜。
  11. 光透過率が80%以上であり且つヘイズが1.5%以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の積層透明膜。
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