JP2006227344A - 光学積層部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチック基材とハードコート層との屈折率の差に起因する干渉ムラの発生がし難くなっていると共に、積層される薄膜層の密着が良好な光学積層部材とこの光学積層部材を低コストで量産できるようにした光学積層部材の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】蒸着釜内に金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分と有機化合物の薄膜形成部分とを適宜の間隔で設定すると共に、これらの各薄膜形成部分を経由してシート状のプラスチック基材を同一の減圧環境下で同一の減圧環境下の順次搬送させ、その少なくとも一方の表面に金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けた後、その上にプラスチックからなるハードコート層を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】蒸着釜内に金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分と有機化合物の薄膜形成部分とを適宜の間隔で設定すると共に、これらの各薄膜形成部分を経由してシート状のプラスチック基材を同一の減圧環境下で同一の減圧環境下の順次搬送させ、その少なくとも一方の表面に金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けた後、その上にプラスチックからなるハードコート層を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられている光学積層部材、特にそのプラスチック基材とハードコート層との間における干渉ムラが防止でき、層間における密着性も良好となるようにしたことを特徴とする光学積層部材およびその製造方法に関する。
レンズ、フィルタ、プリズム、透過窓、光ファイバ、光アイソレータ、光検出器、光増幅器、レーザ、LED等の光学部品あるいは光学素子等の光学部材においては、外界の媒質との屈折率差のため、光の入出射時にフレネル反射(干渉)が生じることが知られている。また、このような光学部材の中には、例えば、液晶表示装置等のディスプレイの保護フィルムとして使用されるものがあるが、この手の保護フィルムとしては、シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられた構成の光学積層部材が一般的には採用されている。しかし、このような構成の光学積層部材においては、基材とハードコート層との間で屈折率差による干渉や密着不良が発生し易く、問題となっている。
このような状況に対応して、基材とハードコート層との間に易接着層を設けることにより密着不良を改善しようとする場合があるが、易接着層との屈折率差によるフレネル反射(干渉)が生じ易くなってしまっていた。また、ハードコート層の屈折率を調整してフレネル反射(干渉)が生じ難くする方法も種々提案されているが、ハードコート層の屈折率を調整する方法は難しく、また特殊な材料を用いるためにコスト高にならざるを得なかった。
例えば、液晶表示装置等において、外光による反射を防止するため、屈折率の異なる材料の二種類を用い、その混合比を徐々に変えるように調液を行いながら界面間に成分傾斜被膜を成膜して反射防止を行う方法があるが、調液方法や塗工による傾斜被膜の制御が非常に難しかった(例えば、特許文献1参照。)。また、屈折率変化を実現するために、蒸着した金属薄膜をプラズマでエッチングして傾斜被膜を作成する方法も報告されているが、量産性に問題があった(例えば、特許文献2参照。)。
特開平2−245702号公報
特開2002−139601号公報
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものであり、シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられている光学積層部材であって、プラスチック基材とハードコート層との屈折率の差に起因する干渉ムラの発生がし難くなっていると共に、積層される薄膜層の密着が良好な光学積層部材とこの光学積層部材を低コストで量産できるようにした光学積層部材の製造方法の提供を目的とする。
以上のような課題を達成すべくなされ、請求項1に記載の発明は、シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられている積層体であって、ハードコート層は、金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜されてなる有機−無機成分傾斜構造薄
膜層を介して設けられていることを特徴とする光学積層部材である。
膜層を介して設けられていることを特徴とする光学積層部材である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学積層部材において、前記金属がケイ素、アルミニウム、カルシウム、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、錫、ジルコニウムのいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学積層部材において、前記金属酸化物がケイ素、アルミニウム、カルシウム、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、錫、ジルコニウムの酸化物、或いはITOのいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層部材において、前記有機化合物が昇華性をもつ化合物であることを特徴とする。
さらにまた、請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層部材において、前記有機化合物がアクリロイル基を分子内に有する化合物であることを特徴とする。
さらにまた、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の光学積層部材において、前記プラスチック基材がポリエチレンテレフタレートからなり、金属および/または金属酸化物がアルミニウムおよび/または酸化アルミニウムであることを特徴とする。
さらにまた、請求項7に記載の発明は、シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられている積層体の製造方法であって、蒸着釜内に金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分と有機化合物の薄膜形成部分とを適宜の間隔で設定すると共に、これらの各薄膜形成部分を経由してシート状のプラスチック基材を同一の減圧環境下で順次搬送させ、その少なくとも一方の表面に金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けた後、その上にプラスチックからなるハードコート層を設けることを特徴とする光学積層部材の製造方法である。
さらにまた、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の製造方法において、前記有機−無機成分傾斜構造薄膜層中の有機化合物を活性エネルギーにより硬化させることを特徴とする。
本発明によれば、金属および/または金属酸化物と有機化合物との成分比率が厚さ方向に漸次変化する有機−無機成分傾斜構造薄膜層を介してプラスチックからなるハードコート層が設けられているため、プラスチック基材とハードコート層との屈折率の差に起因する干渉ムラが殆ど発生することがなく、またプラスチック基材とハードコート層との密着が良好な光学積層部材を低コストで量産することが出来る。
以下、本発明を図面を用いてさらに詳細に説明する。図1は本発明の光学積層部材の概略の断面構成を示す説明図であり、図2は光学積層部材の蒸着釜内での製造過程の概略を示す説明図である。
まず、図1に示す本発明の光学積層部材を説明する。この光学積層部材は、図面からも明らかなように、シート状のプラスチック基材1の片面に、金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜してなる有機−無機成分
傾斜構造薄膜層2を介して、プラスチックからなるハードコート層3が少なくとも設けられてなるものである。
傾斜構造薄膜層2を介して、プラスチックからなるハードコート層3が少なくとも設けられてなるものである。
プラスチック基材1はシート状の形態をしており、透明であるものが望ましい。特に限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるポリエステルフィルム、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)等からなるプラスチックフィルムが具体的に挙げられる。これらの中では、汎用性とコストの面からポリエステルフィルムが好ましい。
またこのプラスチック基材1の表面には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等により薄膜が形成されていてもよく、さらにはその上に形成する薄膜層との密着性をよくするために、その表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理等や薬品処理、溶剤処理等の種々の処理を施しておいてもよい。
この光学積層部材は、プラスチックからなるハードコート層3が耐擦傷性、耐汚染性等の付与を目的としてその最上層に設けらた構成となっているが、前述したように、このハードコート層3は金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら同一の減圧環境下の蒸着釜内で成膜してなる有機−無機成分傾斜構造薄膜層2を介して設けられている。
この有機−無機成分傾斜構造薄膜層2は、図2に示すように、蒸着釜内の金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aと有機化合物の薄膜形成部分Bとを適宜の間隔で設定すると共に、これらの各薄膜形成部分を経由して巻き取りタイプのプラスチック基材5を同一の減圧環境下で順次搬送させ、その少なくとも一方の表面に金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜されるものである。
有機−無機成分傾斜構造薄膜層2の成分傾斜は、薄膜の成膜速度と、金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aと有機化合物の薄膜形成部分Bの各成膜ユニット間の距離に依存する。すなわち、蒸着速度が速いほど、また成膜ユニット間の距離が近いほど有機−無機成分傾斜構造薄膜層2における各成分の成分比率の変化度合は大きくなり、蒸着速度が遅いほど、また成膜ユニット間の距離が遠いほど有機−無機成分傾斜構造薄膜層2における各成分の成分比率の変化度合は小さくなる。
図2の例では、各成膜ユニットの設定順序を金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aを前に、有機化合物の薄膜形成部分Bを後になるようにしてあるが、この順序を逆にすることで、成分傾斜がプラスチック基材側から順次、(有機化合物の部分)−(有機化合物と金属および/または金属酸化物が混じり合った部分[傾斜部分])/(金属および/または金属酸化物の部分)へと漸次変化する成分傾斜構造を有する薄膜層としてもよい。
有機−無機成分傾斜構造薄膜層2の構成部材の一方の成分である金属および/または金属酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、ジルコニウムやこれらの酸化物、或いはITOを挙げることができる。
金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aにおいて金属酸化物の蒸着薄膜を成膜する場合には、成膜時に酸素を介在させることにより強制酸化させる方法でもよいし、金属酸化物を蒸着させてもよいし、さらには反応性有機金属化合物をプラズマで反応させて成膜させてもよい。図中の8は酸素導入パイプであり、ここから送り込まれる酸素に
より蒸着物質を酸化させるようになっている。
より蒸着物質を酸化させるようになっている。
成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法等の真空プロセスが具体的に挙げられる。
一方、有機−無機成分傾斜構造薄膜層2の構成材料の他方の成分である有機化合物は、具体的には、有機−無機成分傾斜構造薄膜層2上に形成するハードコート層3との組み合わせによって適宜のものを選択すればよい。例えば、ハードコート層がアクリル系のプラスチック材料からなる場合、この有機化合物もアクリル系のものを選択して用いることが望ましい。アクリル系材料を用いて蒸着釜内の有機化合物の薄膜形成部分Bにおいて減圧環境下で薄膜を成膜するには、例えばアクリロイル基を分子内に有する有機化合物を加熱により蒸気にし、しかる後、冷却キャン上に抱かれて搬送されているプラスチック基材表面へ噴霧して被膜を形成させ、さらに活性エネルギー線を照射して重合させて薄膜を硬化させる方法が望ましい。図中の9はエネルギー線照射ユニットを示している。
アクリロイル基をもつ有機化合物としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピルアクリレート等を挙げることができる。また多官能のものとしては1,6ヘキサンジオールジアクリレート、1,9ノナンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定させるものではない。これらの中から1種類を選択して、あるいは2種類以上を選択して混合して用いることができる。
また、このとき重合を効率よく進行させるために、重合開始剤を配合することができる。重合開始剤の種類は特に限られるものではなく、活性エネルギーを照射した際に、ラジカルを発生する化合物であればよい。また、造膜性や密着性、柔軟性、被膜の透明性の向上を目的として、種々の添加剤やシランカップリング剤などの一般的な添加剤を混合してもかまわない。
また有機化合物は昇華性をもつ化合物でもよい。昇華性の有機化合物を用いることでバリア性能や密着を向上させることもできる。この場合は、図2のノズル9の先端部に昇華性の有機化合物を設置し、それを加熱することにより昇華させた後、冷却キャン6に抱き合わされながら搬送されてくるプラスチック基材5上に到達させ、そこに成膜させればよい。
昇華性の有機材料としては、モノオキシモノカルボン酸としてサルチリ酸、p‐ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシイソフタル酸、ジモノオキシモノカルボン酸としてプロトカテチュ酸、トリオキシモノカルボン酸として没食子酸等のフェノールカルボン酸や、チヌビン、メラミン等が挙げられる。また、造膜性や密着性、柔軟性、被膜の透明性の向上を目的としてシランカップリング剤等の添加剤を混合してもかまわない。
一般的に、種々の屈折率をもつ基材にハードコート層を設けて積層部材を作製した場合、各層における屈折率の差により干渉が生じる。しかし本発明のように、プラスチック基材1の屈折率に近い屈折率をもつ金属および/または金属酸化物と、ハードコート層の構成材料の屈折率に近い屈折率をもつ有機化合物との成分傾斜構造をもつ有機−無機成分傾斜構造薄膜層2を、プラスチック基材1とハードコート層3との間に介在させて設けることで、干渉を防ぐことができる。
このような構成において、プラスチック基材がポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムである場合には、上記金属および/または金属酸化物としては酸化アルミニウムであることが望ましい。プラスチック基材とするPETの屈折率は一般に1.66であり、酸化アルミニウムは一般的には、1.63であるが、その酸化状態により1.66に調整できる。従って、PETと酸化アルミニウムの屈折率は近いものとなるためフレネル反射はほとんど起こらなくなる。また酸化アルミニウム層は金属アルミ蒸着時に酸化させて形成させるが、その際、酸化度を調節したり、また酸素と窒素またはフッ素の混合ガスを用いることにより屈折率を調整してPETの屈折率と等しくすることが容易にできる。このようにして得られる有機−無機成分傾斜構造薄膜層は、構成成分である酸化アルミニウムと有機化合物の各成分傾斜部分が界面を存在させずに漸次変化している構造であり、ハードコート層に近い部分における屈折率がハードコート層のそれに近いものに設定できるため、層間における屈折率差による反射を防止することが可能となるのである。
ハードコート層3はアクリル材料からなる場合が多いが、このような場合、有機−無機成分傾斜構造薄膜層2を構成する有機化合物にアクリロイル基を持つ化合物を用いれば、ハードコート層3との屈折率の差に起因する反射の発生を危惧することなくハードコート層3に用いるアクリル材料を幅広く選択することができるようになる。
また、金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aにおける薄膜形成方法として物理蒸着法やスパッタ等の方法を用いることにより、プラスチック基材1側とのより強い密着性が確保でき、また有機化合物の薄膜形成部分Bにおいてアクリロイル基をもつ有機化合物の薄膜を形成するようにすれば、アクリル材料からなるハードコート層とで所期の親和性が確保できるため、密着性も良好となる。
有機−無機成分傾斜構造箔膜層2の厚さは、0.01μm〜20μmの範囲が好適である。0.01μm未満のときは膜厚が十分ではないことから、成分傾斜構造に基づく反射防止の効果を発現することができず、また20μmを超える膜厚のときは蒸着により低速で成膜することは難しく、コスト高となってしまう。
本発明の光学積層部材の製造方法においては、金属および/または金属酸化物と、有機化合物とを同じ蒸着釜の減圧雰囲気の中で成膜するので、接着性向上に寄与する成分部分と反射防止に寄与する成分部分を所望の成分比率をもって有機−無機成分傾斜薄膜層中に反映させることが可能となると共に、有機−無機成分傾斜薄膜層の成膜スピードも高速化することができ、さらには蒸着釜内という閉鎖した系での成膜のためクリーン度は高く、成膜装置間の移動における汚染や傷つきも防ぐことができ、高い生産効率でしかも低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施例を図2を参照しながら説明する。
真空成膜装置の蒸着釜内において、まず金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aにはヒーター備え付けのるつぼ7を設置すると共に、そこから巻き取りタイプのプラスチック基材5の搬送方向の下流側に10cm離れて設定してある有機化合物の薄膜形成部分Bにはトリプロピレングリコールジアクリレートが噴霧できるヒーターのついたノズル9を、さらにその下流側にEB照射装置(エネルギー線照射ユニット10)を備え付けた。
次に、るつぼ7内には金属アルムニウムを入れ、蒸着釜内を10-2Paに減圧し、前記各ヒーターを加熱すると共に、厚さが100μm巻き取り状のPET基材(プラスチック基材5)を冷却キャン6に抱かせながら搬送し、金属および/または金属酸化物の蒸着薄
膜形成部分Aにおいては酸素パイプ8から酸素を導入しながら酸化アルミニウムを蒸着し、さらにその近傍の有機化合物の薄膜形成部分Bにおいては、加熱したトリプロピレングリコールジアクリレートの蒸気をノズル9から噴霧後、3MRadの電子線を電子線照射装置(エネルギー線照射ユニット10)から照射することにより、金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜されてなる有機−無機成分傾斜構造薄膜層を厚さ1μmで設けた。
膜形成部分Aにおいては酸素パイプ8から酸素を導入しながら酸化アルミニウムを蒸着し、さらにその近傍の有機化合物の薄膜形成部分Bにおいては、加熱したトリプロピレングリコールジアクリレートの蒸気をノズル9から噴霧後、3MRadの電子線を電子線照射装置(エネルギー線照射ユニット10)から照射することにより、金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜されてなる有機−無機成分傾斜構造薄膜層を厚さ1μmで設けた。
そして、蒸着釜内で有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けた積層フィルムの有機−無機成分傾斜構造薄膜層上に、今度は重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー製)を5%含むペンタエリスリトールトリアクリレートの塗布液を膜厚が10μmになるように塗工し、さらに紫外線照射を照射して硬化させることによりハードコート層を積層し、実施例1に係る光学積層部材を得た。
真空成膜装置の蒸着釜内において、まず金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aにはヒーター備え付けのるつぼ7を設置すると共に、そこから巻き取りタイプのプラスチック基材5の搬送方向の下流側に10cm離れて設定してある有機化合物の薄膜形成部分Bにはトリプロピレングリコールジアクリレートが噴霧できるヒーターのついたノズル9を、さらにその下流側に電子線照射装置(エネルギー線照射ユニット10)を備え付けた。
次に、るつぼ7内には酸化ケイ素を入れ、蒸着釜内を10-2Paに減圧し、前記各ヒーターを加熱すると共に、厚さが100μmの巻き取りタイプのTAC(トリアセチルセルロース)基材(プラスチック基材5)を冷却キャン6に抱かせながら搬送させ、金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分Aにおいては酸化ケイ素を蒸着し、さらにその近傍の有機化合物の薄膜形成部分Bにおいては、加熱したトリプロピレングリコールジアクリレートの蒸気をノズル9から噴霧後、3MRadの電子線を電子線照射装置(エネルギー線照射ユニット10)から照射することにより、金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜されてなる有機−無機成分傾斜構造薄膜層を厚さ1μmで設けた。
そして、蒸着釜内で有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けた積層フィルムの有機−無機成分傾斜構造薄膜層上に、今度は重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー製)を5%含むペンタエリスリトールトリアクリレートの塗布液を膜厚が10μmになるように塗工し、さらに紫外線照射を照射して硬化させることによりハードコート層を積層し、実施例2に係る光学積層部材を得た。
有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けなかった以外は実施例1と同様な条件で、比較のための実施例3に係る積層部材を得た。
有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けなかった以外は実施例2と同様な条件で、比較のための実施例4に係る積層部材を得た。
上記実施例に係る積層部材のハードコート層の上にセロハンテープをつけ、その後剥離させ、剥離度合いを観察し、密着性を評価した。
評価の基準は以下の通りである。
○…ハードコート層が剥離しておらずセロハンテープに充分粘着力が残っている。
×…ハードコート層が完全にセロハンテープ表面に付着しており、セロハンテープの粘着力が全く失われている。
○…ハードコート層が剥離しておらずセロハンテープに充分粘着力が残っている。
×…ハードコート層が完全にセロハンテープ表面に付着しており、セロハンテープの粘着力が全く失われている。
さらに、各積層部材の基材側に黒色つや消し塗料をスプレーして黒色とした後、ハードコート層側からの干渉性の度合いを目視で観察し、干渉性の評価をした。
評価の基準は以下の通りである。
○…ハードコート層との干渉がなく、黒色が変色せずに見える。
×…ハードコート層との干渉が見られ、黒色が変色し、黒色が色ムラとなって見える。
○…ハードコート層との干渉がなく、黒色が変色せずに見える。
×…ハードコート層との干渉が見られ、黒色が変色し、黒色が色ムラとなって見える。
各評価の結果を表1に示す。
1、5…プラスチック基材
2…有機−無機成分傾斜構造薄膜層
3…ハードコート層
6…冷却キャン
7…るつぼ
8…酸素導入パイプ
9…ノズル
10…エネルギー線照射ユニット
2…有機−無機成分傾斜構造薄膜層
3…ハードコート層
6…冷却キャン
7…るつぼ
8…酸素導入パイプ
9…ノズル
10…エネルギー線照射ユニット
Claims (8)
- シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられている積層体であって、ハードコート層は、金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら成膜されてなる有機−無機成分傾斜構造薄膜層を介して設けられていることを特徴とする光学積層部材。
- 前記金属がケイ素、アルミニウム、カルシウム、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、錫、ジルコニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の光学積層部材。
- 前記金属酸化物がケイ素、アルミニウム、カルシウム、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、錫、ジルコニウムの酸化物、或いはITOのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の光学積層部材。
- 前記有機化合物が昇華性をもつ化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層部材。
- 前記有機化合物がアクリロイル基を分子内に有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層部材。
- 前記プラスチック基材がポリエチレンテレフタレートからなり、金属および/または金属酸化物がアルミニウムおよび/または酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の光学積層部材。
- シート状のプラスチック基材の片面もしくは両面にプラスチックからなるハードコート層が少なくとも設けられている積層体の製造方法であって、蒸着釜内に金属および/または金属酸化物の蒸着薄膜形成部分と有機化合物の薄膜形成部分とを適宜の間隔で設定すると共に、これらの各薄膜形成部分を経由してシート状のプラスチック基材を同一の減圧環境下で順次搬送させ、その少なくとも一方の表面に金属および/または金属酸化物と有機化合物の成分比率を厚さ方向に漸次変化させながら有機−無機成分傾斜構造薄膜層を設けた後、その上にプラスチックからなるハードコート層を設けることを特徴とする光学積層部材の製造方法。
- 前記有機−無機成分傾斜構造薄膜層中の有機化合物を活性エネルギーにより硬化させることを特徴とする請求項7に記載の光学積層部材の製造方法。
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