JP2015186879A - 処理液、記録方法 - Google Patents

処理液、記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015186879A
JP2015186879A JP2014065325A JP2014065325A JP2015186879A JP 2015186879 A JP2015186879 A JP 2015186879A JP 2014065325 A JP2014065325 A JP 2014065325A JP 2014065325 A JP2014065325 A JP 2014065325A JP 2015186879 A JP2015186879 A JP 2015186879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment liquid
ink
mass
recording
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014065325A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6394854B2 (ja
Inventor
青山 哲也
Tetsuya Aoyama
哲也 青山
川瀬 明子
Akiko Kawase
明子 川瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014065325A priority Critical patent/JP6394854B2/ja
Priority to US14/669,512 priority patent/US9499711B2/en
Publication of JP2015186879A publication Critical patent/JP2015186879A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6394854B2 publication Critical patent/JP6394854B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/54Inks based on two liquids, one liquid being the ink, the other liquid being a reaction solution, a fixer or a treatment solution for the ink
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0011Pre-treatment or treatment during printing of the recording material, e.g. heating, irradiating
    • B41M5/0017Application of ink-fixing material, e.g. mordant, precipitating agent, on the substrate prior to printing, e.g. by ink-jet printing, coating or spraying
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/38Inkjet printing inks characterised by non-macromolecular additives other than solvents, pigments or dyes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】保存安定性に優れつつ、インク非吸収性の記録媒体に対する濡れ拡がり性に優れた処理液、ならびにこれを用いた記録方法を提供する。【解決手段】本発明に係る処理液は、色材を含有するインクジェット記録用のインクを用いて非吸収性記録媒体に記録を行う記録方法に使用する処理液であって、前記処理液は、水と、インクの成分を凝集させる凝集剤と、2種以上の有機化合物と、を含有し、前記有機化合物は、前記凝集剤、界面活性剤および樹脂を除くものであり、前記有機化合物毎に、logP値と、前記処理液に含まれる含有量(質量%)と、の積を算出した際に、その合計が−10以下であり、前記有機化合物のうち、logP値が0を超える第1有機化合物の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、処理液およびこれを用いた記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインクの小滴を吐出して飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。このようなインクジェット記録方法に使用されるインク組成物には、使用される記録媒体に応じて、色材、樹脂、水、有機溶剤等の多様な成分が用いられている。
このような色材(特に顔料)を含有するインクジェット記録用のインク組成物を用いて画像を記録する場合、画像の画質を向上させるという点から、凝集剤等を含む溶液を使用して、記録媒体上で顔料等の成分を凝集させる技術が知られている。
例えば、特許文献1には、水および多価金属塩等の反応剤(凝集剤)を含有する反応インクを用いて、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体に付着させた後、着色剤を含有する色インクを付着させることで、反応剤の作用により色濃度の高い画像を記録できることが記載されている。また、特許文献2には、塗工紙等の吸収層を有する記録媒体に対して、水および多価金属塩等を含有する反応液と、着色剤等を含有するインク組成物と、を付着させることで、色濃度の高い画像を記録できることが記載されている。
特開2010−115854号公報 特開2010−23266号公報
上記の特許文献1および特許文献2に記載されているような処理液(反応液)には、これに含まれる凝集剤(反応剤)を良好に溶解または分散させるために、水を主要な媒体として含有する。しかしながら、処理液に含まれる水がフィルム等のインクの吸収性のない記録媒体に対する濡れ性を著しく低下させてしまって、処理液自体が記録媒体上で弾かれるという問題が生じてしまう。そうすると、処理液を使用しても、色材(着色剤)を含有するインク組成物の画質を十分に向上できない場合がある。
このような問題に対して、例えば、有機溶剤を処理液に加えれば、インク非吸収性の記録媒体に対する濡れ性を向上できる場合がある。しかしながら、処理液に含まれる凝集剤は、水への溶解性が高く、有機溶剤に対する溶解性が低いものが多い。そのため、処理液に加える有機溶剤の性質等によっては、凝集剤が処理液中で溶解しにくくなって、処理液の保存安定性が低下することがあった。また、処理液に有機溶剤を加えると、処理液中の水の含有量の低下に伴って、凝集剤の処理液中で溶解しにくくなって、処理液の保存安定性が低下することがあった。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、保存安定性に優れつつ、非吸収性記録媒体に対する濡れ性に優れた処理液、ならびにこれを用いた記録方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る処理液の一態様は、
色材を含有するインクジェット記録用のインクを用いて非吸収性記録媒体に記録を行う記録方法に使用する処理液であって、
前記処理液は、水と、インクの成分を凝集させる凝集剤と、2種以上の有機化合物と、を含有し、
前記有機化合物は、前記凝集剤、界面活性剤および樹脂を除くものであり、
前記有機化合物毎に、logP値と、前記処理液に含まれる含有量(質量%)と、の積を算出した際に、その合計が−10以下であり、
前記有機化合物のうち、logP値が0を超える第1有機化合物の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。
[適用例2]
適用例1において、
前記処理液を前記非吸収性記録媒体に付与する際に、該処理液に含まれる凝集剤の付着量が0.05mmol/m2以上3mmol/m2以下となるように付与されてもよい。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記凝集剤の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記凝集剤が、多価金属塩、有機酸および有機酸塩から選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
25℃の環境下において液体であって標準沸点が290℃以上である有機化合物を、含有しない、または、含有する場合の含有量が前記処理液の全質量に対して2質量%以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
インクジェット記録方式によって前記非吸収性記録媒体に付与されてもよい。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記有機化合物が、アルコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、糖類、アミン類から選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例8]
本発明に係る記録方法の一態様は、
非吸収記録媒体に対して、適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載の処理液と、色材を含有するインクジェット記録用のインクと、を用いて記録を行う。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.処理液
本発明の一実施形態に係る処理液は、色材を含有するインクジェット記録用のインクを用いて非吸収性記録媒体に記録を行う記録方法に使用する処理液であって、前記処理液は、水と、凝集剤と、少なくとも2種以上の有機化合物と、を含有し、前記有機化合物は、前記凝集剤、界面活性剤および樹脂を除くものであり、前記有機化合物毎に、logP値と、前記処理液に含まれる含有量(質量%)と、の積を算出した際に、その合計が−10以下であり、前記有機化合物のうち、logP値が0を超える第1有機化合物の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
以下、本実施形態に係る処理液について、処理液の組成、処理液を適用する記録方法に使用されるインクジェット記録用のインクの組成、処理液を付与する記録媒体、の順に説明する。
1.1.処理液の組成
1.1.1.凝集剤
本実施形態に係る処理液は、インクの成分を凝集させる凝集剤を含有する。凝集剤は、インクに含まれる色材、インクに含まれ得る顔料分散体および樹脂などの成分と反応することで、色材を凝集させるという機能を有する。そのため、記録媒体上で処理液および凝集剤を接触させることで、記録媒体に付着させたインクが増粘したり、インクに含まれる色材が不溶化したりする結果、インクにより記録される画像の発色性等を向上することができたり、印刷ムラ等の発生を抑制することができる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、多価金属塩、有機酸、有機酸塩、カチオン性化合物等があげられ、カチオン性化合物としては、カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等を用いることができる。これらの凝集剤の中でも、インクに含まれる成分との反応性に優れるという点から、多価金属塩、有機酸および有機酸塩から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
多価金属塩とは、2価以上の金属イオンとアニオンから構成される化合物である。2価以上の金属イオンとしては、例えば、カルシウム、マグネシウム、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、クロム、コバルト、鉄等のイオンが挙げられる。これらの多価金属塩を構成する金属イオンの中でも、色材等の凝集性に優れているという点から、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの少なくとも一方であることが好ましい。
多価金属塩を構成するアニオンとしては、無機イオンである。すなわち、本発明における多価金属塩とは、無機イオンと多価金属とからなるものである。このような無機イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化物イオン等が挙げられる。
多価金属塩の具体例としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、硫化亜鉛、硝酸銅等が挙げられる。これらの多価金属塩は、1種単独
で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
有機酸としては、例えば、スルホン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、が挙げられる。有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機酸塩とは上記の有機酸の塩であり、本発明において、有機酸の多価金属塩は有機酸塩に含まれる。有機酸塩としては、例えば、一価の金属イオン(リチウム、ナトリウム、カリウム等)と有機酸から構成されるものや、上述した2価以上の金属イオンと有機酸から構成されるもの等が挙げられる。このような、有機酸塩の具体例としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。
カチオン性樹脂とは、例えば、カチオン性のウレタン系樹脂、カチオン性のオレフィン系樹脂、カチオン性のアリルアミン系樹脂等が挙げられる。
カチオン性のウレタン系樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。カチオン性のウレタン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、ハイドラン CP−7010、CP−7020、CP−7030、CP−7040、CP−7050、CP−7060、CP−7610(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR−2120C、WBR−2122C(商品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性のオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。また、カチオン性のオレフィン樹脂は、水や有機溶剤等を含む溶媒に分散させたエマルジョン状態であってもよい。カチオン性のオレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB−1200、CD−1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
カチオン性のアリルアミン系樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン・ジメチルアリルアミンコポリマー、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩、ポリメチルジアリルアミン酢酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄コポリマー、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミドコポリマー等を挙げることができる。このようなカチオン性のアリルアミン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、PAA−HCL−01、PAA−HCL−03、PAA−HCL−05、PAA−HCL−3L、PAA−HCL−10L、PAA−H−HCL、PAA−SA、PAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−08、PAA−15、PAA−15C、PAA−25、PAA−H−10C、PAA−D11−HCL、PAA−D41−HCL、PAA−D19−HCL、PAS−21CL、PAS−M−1L、PAS−M−
1、PAS−22SA、PAS−M−1A、PAS−H−1L、PAS−H−5L、PAS−H−10L、PAS−92、PAS−92A、PAS−J−81L、PAS−J−81(商品名、ニットーボーメディカル会社製)、ハイモ Neo−600、ハイモロック
Q−101、Q−311、Q−501、ハイマックス SC−505、SC−505(商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1級、第2級及び第3級アミン塩型化合物、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩、イミダゾリニウム塩等があげられる。具体的には、例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジメチルエチルラウリルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルオクチルアンモニウムエチル硫酸塩、トリメチルラウリルアンモニウム塩酸塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミン、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
凝集剤の含有量は、処理液の全質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。凝集剤の含有量が0.5質量%以上であることで、凝集剤がインクに含まれる成分を凝集させる機能が一層向上する。また、凝集剤の含有量が30質量%以下であることで、処理液中での凝集剤の溶解性が良好になり、処理液の保存安定性を向上できる。
処理液に含まれる凝集剤の濃度は、0.05mol/kg以上1.3mol/kg以下であることが好ましく、0.05mol/kg以上1.0mol/kg以下であることがより好ましい。凝集剤の濃度が0.05mol/kg以上であることで、凝集剤がインクに含まれる成分を凝集させる機能が一層向上する。また、凝集剤の濃度が1.3mol/kg以下であることで、処理液中での凝集剤の溶解性が良好となり、処理液の保存安定性を向上できる。なお、本発明において、処理液に含まれる凝集剤の濃度[mol/kg]は、処理液に含まれる凝集剤の物質量[mol]を、処理液の全質量(すなわち、多価金属塩も含む)[kg]で除することで算出される。
凝集剤は、処理液を非吸収性記録媒体(後述)に付与する際に、該処理液に含まれる凝集剤の付着量が0.05mmol/m2以上3mmol/m2以下となるように付与されるものであることが好ましく、0.05mmol/m2以上2.5mmol/m2以下となるように付与されるものであることがより好ましい。凝集剤の付着量が0.05mmol/m2以上となるように付与することで、色材の凝集を促進でき、記録される画像品質が良好となる。また、凝集剤の付着量が3.0mmol/m2以下となるように付与することで、記録部からの凝集剤の析出を抑えることができ、また、処理液の塗布量が少なくなることで、処理液を乾燥させる時間を短くできるので、記録の高速化を図ることができる。
処理液に含まれる有機化合物の疎水性が高い場合であっても、処理液中における凝集剤の溶解性が良好になるという点から、凝集剤には、25℃の水100gに対する溶解度が、1g以上であるものを使用することが好ましく、3g以上80g以下にあるものを使用することがより好ましい。
1.1.2.有機化合物
本実施形態に係る処理液は、2種以上の有機化合物を含有する。有機化合物は、上述した凝集剤、界面活性剤(後述)、樹脂(後述)を除くものであり、非吸収性記録媒体に対する処理液の濡れ性を向上させる機能を備えるものである。
本実施形態に係る処理液において、当該有機化合物毎に、logP値と、処理液に含まれる含有量(Mlog)と、の積を算出した際に、その合計(ΣMlog)が−10以下である必要がある(ΣMlog≦−10)。その下限は−20以上であることが好ましく(−20≦ΣMlog)、−19以上であることがより好ましく、−18以上であることがさらに好ましく、−17以上であることが特に好ましい。その上限は−11以下であることが好ましく、−12以下であることがより好ましく、−13以下であることがさらに好ましい。
例えば、有機化合物A、有機化合物B、有機化合物Cの3種の有機化合物を含有する処理液を用いる場合には、有機化合物AのlogP値と処理液に含まれる有機化合物Aの含有量(質量%)との積(MlogA)、有機化合物BのlogP値と処理液に含まれる有機化合物Bの含有量(質量%)との積(MlogB)、有機化合物CのlogP値と処理液に含まれる有機化合物Cの含有量(質量%)との積(MlogC)、の合計(MlogA+MlogB+MlogC)がΣMlogに相当する。
ここで、「logP値」とは、化合物の疎水性を表す指標である。logP値は、オクタノール/水系において、これら2層に溶質がどのような割合で分配されるかを示している。つまり、溶質のlogPの値が大きいほど、疎水性が高く、オクタノール相によく溶ける。また、2種類の物質のlogP値が近似するということは、互いの疎水性が類似していることを表す。logP値は、例えば、溶質と2種類の溶媒を実際にフラスコに入れ、よく振り混ぜて行うフラスコ振盪法、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたHPLC法により求めることができる。
処理液に含まれる有機化合物が、ΣMlog≦−10との条件を満たすことで、処理液の親水性が適切な範囲となる。これにより、処理液中での凝集剤の溶解性が良好になって、処理液の保存安定性が向上する。また、−20≦ΣMlogであると、非吸収性記録媒体に対する処理液の濡れ性が低下することを抑制できる場合がある。一方、ΣMlogが−10を超えると(−10<ΣMlog)、処理液中で凝集剤が良好に溶解できなくなってしまい、処理液の保存安定性が低下する。
本実施形態に係る処理液に含まれる有機化合物のうち、logP値が0を超える第1有機化合物の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である必要があり、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。なお、処理液が複数種の第1有機化合物を含有する場合には、本発明における第1有機化合物の含有量とは、複数種の第1有機化合物の総量を指す。
logP値が0を超える第1有機化合物は、疎水性が高いという性質を備えている。そのため、第1有機化合物の含有量が上記範囲内であることで、非吸収性記録媒体に対する処理液の濡れ性が向上する。一方、第1有機化合物の含有量が0.1質量%以下であると、非吸収性記録媒体に対する処理液の濡れ性が低下し、10質量%を超えると、処理液が親水性と疎水性のバランスを失してしまって、処理液の保存安定性が低下してしまう。
第1有機化合物は、logP値が0を超えるものである必要があるが(0<logP)、0<logP≦4であることが好ましく、0<logP≦3であることがより好ましい。第1有機化合物のlogP値が0を超えていることで、非吸収性記録媒体に対する濡れ性が優れたものになる。また、logP値が4以下であることで、処理液の保存安定性が一層向上する場合がある。
本実施形態に係る処理液は、ΣMlogが特定値となるような有機化合物を用いることで親水性を保ちつつ、特定のlogP値を有する第1有機化合物を含有することで疎水性の性質をも発現できる。これにより、処理液の親水性と疎水性のバランスが優れたものとなることから、処理液の保存安定性および非吸収性記録媒体に対する濡れ性を高いレベルで満たすことができる。
上記のような有機化合物としては、例えば、アルコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、糖類、アミン類等を挙げることができる。
アルコール類の具体例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール等)、1,2−アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等)、1,2−アルカンジオールを除く多価アルコール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)等の有機溶剤が挙げられる。アルコール類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
グリコールエーテル類の具体例としては、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等の有機溶剤が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリ
エチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
含窒素化合物としては、例えば、ピロリドン誘導体(N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等)などの有機溶剤や、尿素類(尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、ベタイン類(トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、N,N,N−トリメチルアラニン、N,N,N−トリエチルアラニン、N,N,N−トリイソプロピルアラニン、N,N,N−トリメチルメチルアラニン、カルニチン、アセチルカルニチン等)などが挙げられる。
糖類としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、およびマルトトリオース等が挙げられる。
アミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらの成分は、pH調整剤として、処理剤に含有されることがある。
上記の有機化合物の中で、logP値が0を超える第1有機化合物の一例としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(1.7)、エチレングリコールモノへキシルエーテル(1.7)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(1.5)、1,2−ヘプタンジオール(1.5)、1−ペンタノール(1.4)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(1.34)、1,2−オクタンジオール(1.3)、2−ペンタノール(1.19)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1.15)、1−ブタノール(0.88)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(0.88)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(0.87)、エチレングリコールモノブチルエーテル(0.83)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(0.81)、1,2−ヘキサンジオール(0.7)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(0.62)、2−ブタノール(0.6)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.56)、1,4−ブタンジオール(0.5)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(0.39)、1−プロパノール(0.34)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(0.3)、イソプロピルアルコール(0.28)、1,5−ペンタンジオール(0.27)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(0.16)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(0.02)等が挙げられる。なお、括弧内の数値はlogP値を示す。
有機化合物の含有量(総量)は、処理液の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。有機化合物の含有量が上記範囲内にあることで、処理液中での凝集剤の溶解性が良好なる傾向にある。
処理液は、25℃の環境下において液体であって標準沸点が290℃以上である有機化合物を、含有しない、または、含有する場合の含有量が処理液の全質量に対して2質量%以下(より好ましくは0.8質量%以下)であることが好ましい。これにより、非吸収性記録媒体に付着させた処理液の乾燥性が良好になったり、処理液の非吸収性記録媒体に対
する密着性を向上できる。標準沸点が290℃以上である有機化合物としては、例えば、グリセリン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
1.1.3.水
本実施形態に係る処理液は、水を含有する。水は、処理液の主となる媒体として機能し、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、処理液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
凝集剤の溶解性を高めるという観点から、処理液に含まれる水の含有量は、処理液の全質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
1.1.4.その他の成分
本実施形態に係る処理液は、樹脂、無機酸化物粒子、界面活性剤等を含有してもよい。
樹脂は、非吸収性記録媒体に付着させた処理液の密着性を向上させる、いわゆる定着用樹脂として機能する。このような樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。樹脂を含有する場合の含有量は、処理液の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下とすることができる。
無機酸化物粒子としては、カチオン性の無機酸化物粒子や、アニオン性の無機酸化物粒子、ノニオン性の無機酸化物粒子が挙げられる。カチオン性微粒子は、記録される画像の発色性を高める機能を備えており、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン等にカチオン性基を導入したものが挙げられる。アニオン性またはカチオン性の無機酸化物粒子は、非吸収性記録媒体上でインクの受容層を形成してインクの定着性を向上させる等の機能を備えており、アニオン性の無機酸化物粒子としては、例えば、シリカゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、酸化バナジウムゾル等が挙げられ、ノニオン性の無機酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン等が挙げられる。無機酸化物粒子を含有する場合の含有量は、処理液の全質量に対して、0.01質量%以上15質量%以下とすることができる。
界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以
上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、処理液の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る処理液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
1.2.インクの組成
本実施形態に係る処理液は、インクジェット記録用のインクを用いて非吸収性記録媒体に記録を行う記録方法に使用される。以下、本実施形態に係る処理液とともに使用され得るインクの組成の一例について説明する。
1.2.1.色材
本実施形態に係るインクは、色材を含有する。色材としては、上述した処理液に含まれる凝集剤との反応性が優れているという観点から、顔料および酸性染料を好ましく用いることができる。
顔料のうち、無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、及び酸化チタンが挙げられる。上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、コロンビアンケミカルズ(Columbian Chemicals)製、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロ
ール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性染料としては、アゾ系,アントラキノン系,ピラゾロン系,フタロシアニン系,キサンテン系,インジゴイド系,トリフェニルメタン系等の酸性染料が挙げられる。酸性染料の具体例としては、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94等が挙げられる。染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
色材の含有量は、インクの全質量(100質量%)に対して、例えば1質量%以上20質量%以下とすることができる。
色材として顔料を使用する場合には、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにすることが好ましい。その方法としては、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「樹脂分散顔料」ということがある。)、分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「分散剤分散顔料」ということがある。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは分散剤なしで水中に分散および/または溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」ということがある。)等が挙げられる。
本実施形態に係るインク組成物は、前記の樹脂分散顔料、分散剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできるが、樹脂分散顔料を含有していることが好ましい。
樹脂分散顔料に用いられる樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
樹脂分散剤の含有割合は、分散すべき顔料によって適宜選択することができるが、インク中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
1.2.2.樹脂
本実施形態に係るインクは、樹脂を含有してもよい。樹脂は、非吸収性記録媒体に付着させた処理液の密着性を向上させる機能を備えた、いわゆる定着用樹脂である。このような樹脂の具体例としては、上述した処理液の説明で例示したものを使用できるので、その説明を省略する。樹脂を含有する場合の含有量(固形分換算量)は、インクの全質量に対して、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
1.2.3.有機溶剤
本実施形態に係るインクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、非吸収性記録媒体に対するインクの密着性を高めたり、インクジェット記録装置のヘッドの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコールエーテル類、ピロリドン誘導体等が挙げられ、これらの具体例については、上述した処理液の説明で例示したものを使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
1.2.4.水
本実施形態に係るインクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、処理液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、インクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
1.2.5.界面活性剤
本実施形態に係るインクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、インクの表面張力を低下させ非吸収性記録媒体との濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、処理液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
1.2.6.その他の成分
本実施形態に係るインク組成物は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
1.2.7.インクの物性
本実施形態に係るインクは、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインクの20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
ここで、上述した処理液をインクジェット記録方式によって非吸収性記録媒体に付与する場合には、インクジェット記録用のインクと同様の物性とすることが好ましく、具体的には、上記インクの表面張力の範囲や粘度範囲内とすることができる。
1.3.記録媒体
本実施形態に係る処理液は、インクジェット記録用のインクを用いて非吸収性記録媒体に記録を行う記録方法に使用される。以下、本実施形態に係る処理液とともに使用される非吸収性記録媒体の一例について説明する。
本実施形態に係る非吸収性記録媒体とは、インクを全く吸収しない、またはほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、非吸収性記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。このような非吸収性の性質を備える記録媒体としては、インク吸収性を備えるインク受容層を記録面に備えない記録媒体や、インク非吸収性のコート層を記録面に備える記録媒体が挙げられる。
非吸収性記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
2.記録方法
本発明の一実施形態に係る記録方法は、上記の非吸収性記録媒体に対して、上記の処理液と、上記のインクジェット記録用のインクと、を用いて記録を行うものである。
このような記録方法の一態様として、例えば、処理液およびインクジェット記録用のインク組成物を非吸収性記録媒体に付与する付与工程が挙げられ、処理液およびインクを非吸収性記録媒体上で接触させて画像を形成する。付与工程では、記録媒体上にインクから
なる画像を記録する画像記録工程後に、該画像に処理液を付着させる処理液付与工程を行ってもよいが、記録される画像の画質を向上させるという観点から、処理液付与工程後に画像記録工程を行うことが好ましい。以下、付与工程として、処理液付与工程後に画像記録工程を行う場合を例に挙げて詳細に説明する。
<処理液付与工程>
上述したように、付与工程では、画像記録工程に先立って、非吸収記録媒体に画像を形成する領域に、予め処理液を付与する処理液付与工程を行うことが好ましい。処理液を付与する方法としては、例えば、スピンコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート、インクジェット法等のいずれの方法も使用できる。これらの中でも、インクジェット法(インクジェット記録方式)を用いることが好ましい。インクジェット法を使用する場合には、インクジェット記録用ヘッドのノズルから処理液の液滴を吐出させて、非吸収性記録媒体に付着させる。上述した処理液は、これに含まれる有機化合物によって、その表面張力をインクジェット記録方式に適した値に設定しやすいため、処理液をノズルから吐出する際の吐出安定性が良好となる傾向にある。
処理液付与工程の後、画像記録工程の前に、記録媒体に付与した処理液を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体に付着した処理液に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行うことが好ましい。処理液の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上などの観点により、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。処理液の乾燥工程が加熱を伴う場合には、その加熱方法は、特に限定されるものではないが、例えば、記録媒体を熱源に接触させて加熱するプリントヒーター機構や、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射する機構、ドライヤー等を用いた熱風乾燥機構などが挙げられる。
<画像記録工程>
付与工程では、上述した処理液付与工程の後に、画像記録工程を行うことが好ましい。画像記録工程は、上述した処理液付与工程の後に、処理液が付与された領域にインクジェット記録用のインクの液滴を付着させて、画像を記録する工程である。これにより、インクに含まれる色材等と処理液に含まれる凝集剤とが反応して、記録される画像の発色性が向上する。
画像記録工程は、インクジェット記録用ヘッドのノズルから上述したインクの液滴を吐出させて、非吸収性記録媒体に付与した処理液と接触させることで、画像を記録するものである。
インクや処理液をインクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させる方式としては、例えば以下のものが挙げられる。具体的には、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号を偏向電極に与えて記録する方式又はインクの液滴を偏向することなく記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
画像記録工程や上述した処理液付与工程をインクジェット記録方式によって実施する場合には、シリアル型の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置、およびライン型の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置のいずれも用いることができる。シリアル型の
記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置とは、記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させつつ該インクを吐出させる走査(パス)を、複数回行うことによって記録を行うものである。シリアル型の記録ヘッドの具体例には、記録媒体の幅方向(記録媒体の搬送方向に交差する方向)に移動するキャリッジに記録ヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴って記録ヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するものが挙げられる。一方、ライン型の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置は、記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させつつ該インクを吐出させる走査(パス)を1回行うことにより記録を行うものである。ライン型の記録ヘッドの具体例には、記録ヘッドが記録媒体の幅よりも広く形成され、記録ヘッドが移動せずに記録媒体上に液滴を吐出するものが挙げられる。
本実施形態に係る記録方法は、画像記録工程の後に、記録媒体上の画像を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体に付着した画像に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行うことが好ましい。画像の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、処理液を乾燥させる場合において述べたことと同様の観点により、加熱を伴う乾燥であってもよい。画像の加熱方法は、特に限定されるものではないが、処理液の加熱方法で挙げたものと同様の方法を利用できる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.インクの調製
表1の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、インクを調製した。インクの調製にあたって、顔料、顔料分散樹脂および水を含有する顔料分散液をあらかじめ作成して、顔料分散液と残りの成分とを混合した。表1中の数値は質量%を示し、イオン交換水はインクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、表1において化合物名以外で記載した成分は、以下の通りである。また、表1中の顔料、樹脂分散剤、定着用樹脂の含有量は、固形分換算した値を示す。
・アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(樹脂分散剤、重量平均分子量:25000、ガラス転移温度:80℃、酸価:180)
・スチレン−アクリル酸共重合体(定着用樹脂、重量平均分子量:50000、酸化130、平均粒子径75nm)
・BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
・オルフィンPD−002W(商品名、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
Figure 2015186879
3.2.処理液の調製
表2の配合割合になるように各成分を混合、攪拌して、実施例および比較例に係る処理液を得た。イオン交換水は、処理液の全質量が100質量%となるように添加した。なお、表2において化合物名以外で記載した成分は、以下の通りである。
・BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
Figure 2015186879
3.3.評価試験
3.1.フィルムの濡れ性
評価試験では、インクジェットプリンター(商品名「Surepress L−4033A」、セイコーエプソン株式会社製)を改造したものを用い、上記の処理液およびインクを当該プリンターに供給可能な状態とした。具体的には、ヘッドの一つのインクあたりのノズルピッチを720dpiとして、印刷ステージに固定した記録媒体(商品名「OPP60 PAT1E 8K」、リンテック社製、ポリプロピレンフィルム)に、記録解像度720dpi×720dpi、1パス、フルベタの条件で、実施例および比較例のいずれかの処理液を記録ヘッドのノズルから吐出させ、処理液に含まれる凝集剤の付着量が0.5mmol/m2となるように付与した。その後、記録物を60℃の乾燥機で2分間放置して乾燥処理を行った。
次に、記録解像度1200dpi×1200dpi、マルチパスの条件で、5ポイント抜き文字と、ベタ画像の記録を行い、記録物のべたつきが無くなるまで自然乾燥(温度20℃、相対湿度65RH%)させた。なお、記録媒体に対する乾燥前のインクの付着量が11.5mg/inch2となるように設定した。
このようにして得られた記録物について、文字および画像の状態を目視にて確認し、以下の判定基準にしたがって評価した。評価試験の結果を表2に示す。
×:文字部は文字として視認できず、また、ベタ画像もハジキやムラが酷い。処理液が弾かれてムラになっていることによりインクが均一に反応できずはじきやムラが発生したと推測する。
○:文字部は視認できるが、ベタ画像はハジキやムラが生じている。原因は上記「×」の評価と同様である。
◎:文字も視認でき、ベタ画像にもハジキやムラがない。
3.2.処理液の保存安定性
上記のようにして得られた処理液30gをサンプル瓶に入れて、低温(0℃)、常温(20℃)、高温(60℃)のそれぞれの条件で、所定期間放置した後、常温に戻した際の処理液の変化を観察した。評価基準は以下の通りであり、評価結果を表2に示す。
×:常温で2週間放置した際に、層分離や、凝集剤の析出を生じた。
○:常温では問題なかったが、高温または低温で2週間放置した際に、層分離や、凝集剤の析出を生じた。
◎:いずれの条件で2週間放置しても、層分離や、凝集剤の析出を生じなかった。
3.3.処理液の乾燥性
上記の「フィルムの濡れ性」の評価において、処理液を付与した後の乾燥処理における乾燥時間を変化させて、処理液の乾燥状態を指触にて確認した。評価基準は以下の通りであり、評価結果を表2に示す。
×:乾燥処理を60℃で30分以上行っても、指に処理液が付着する。
○:乾燥処理を60℃で2分以上10分以下行えば、指に処理液が付着しなくなる。
◎:乾燥処理を60℃で2分未満行えば、指に処理液が付着しなくなる。
3.4.評価結果
表2に示すように、実施例に係る処理液は、保存安定性に優れており、かつ、当該処理液およびインクを用いて形成された画像(文字)は、フィルムに対する濡れ性が優れてい
ることが示された。このことから、処理液のフィルムに対する濡れ性が優れていることで、画像(文字)の弾きやムラを低減できることがわかった。なお、実施例12の処理液は、沸点が290℃以上の有機化合物を多く含有するため、乾燥性が低下することが示された。
一方、比較例1および比較例4に係る処理液は、logP値が0を超える有機化合物を含有しないため、フィルムに対する濡れ性が著しく低下することが示された。また、比較例2に係る処理液は、logP値が0を超える有機化合物を10質量%を超えて含有するために、処理液の疎水性が高くなりすぎて、処理液の保存安定性が低下してしまい、標準沸点が290℃以上の有機化合物を多く含むため、乾燥性が低下することが示された。比較例3および比較例5に係る処理液は、上述したΣMlogの値が−10を上回っていたため、処理液の保存安定性が低下することが示された。
なお、比較例4の処理液を用いてフィルムの濡れ性試験を、低吸収性記録媒体(商品名「OKトップコートN」、王子製紙社製、コート紙)を用いた以外は、同様に行ったところ、処理液の弾きに起因すると思われるインクの弾きやムラが見られなかった。ただし、得られる画像の耐擦性や耐水性については、コート紙を用いた場合に低下することがわかった。このことから、フィルム等の非吸収性記録媒体を使用する場合には、耐擦性および耐水性の高い記録物が得られる反面、処理液の弾きが発生しやすいため傾向にあるため、本願の処理液を使用することが特に好適であることがわかった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 色材を含有するインクジェット記録用のインクを用いて非吸収性記録媒体に記録を行う記録方法に使用する処理液であって、
    前記処理液は、水と、インクの成分を凝集させる凝集剤と、2種以上の有機化合物と、を含有し、
    前記有機化合物は、前記凝集剤、界面活性剤および樹脂を除くものであり、
    前記有機化合物毎に、logP値と、前記処理液に含まれる含有量(質量%)と、の積を算出した際に、その合計が−10以下であり、
    前記有機化合物のうち、logP値が0を超える第1有機化合物の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である、処理液。
  2. 請求項1において、
    前記処理液を前記非吸収性記録媒体に付与する際に、該処理液に含まれる凝集剤の付着量が0.05mmol/m2以上3mmol/m2以下となるように付与される、処理液。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記凝集剤の含有量が、前記処理液の全質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下である、処理液。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記凝集剤が、多価金属塩、有機酸および有機酸塩から選択される少なくとも1種である、処理液。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    25℃の環境下において液体であって標準沸点が290℃以上である有機化合物を、含有しない、または、含有する場合の含有量が前記処理液の全質量に対して2質量%以下である、処理液。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    インクジェット記録方式によって前記非吸収性記録媒体に付与される、処理液。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    前記有機化合物が、アルコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、糖類、アミン類から選択される少なくとも1種である、処理液。
  8. 非吸収記録媒体に対して、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の処理液と、色材を含有するインクジェット記録用のインクと、を用いて記録を行う、記録方法。
JP2014065325A 2014-03-27 2014-03-27 処理液、記録方法 Active JP6394854B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014065325A JP6394854B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 処理液、記録方法
US14/669,512 US9499711B2 (en) 2014-03-27 2015-03-26 Treatment liquid and recording method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014065325A JP6394854B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 処理液、記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015186879A true JP2015186879A (ja) 2015-10-29
JP6394854B2 JP6394854B2 (ja) 2018-09-26

Family

ID=54189417

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014065325A Active JP6394854B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 処理液、記録方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9499711B2 (ja)
JP (1) JP6394854B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018053124A (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 セイコーエプソン株式会社 反応液及びインクジェット記録方法
WO2018142726A1 (ja) * 2017-02-01 2018-08-09 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
JP2018122588A (ja) * 2017-10-05 2018-08-09 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
JP6388243B1 (ja) * 2017-12-25 2018-09-12 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
US10696860B2 (en) 2017-09-28 2020-06-30 Sieko Epson Corporation Reaction liquid and recording method

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015189187A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 東芝テック株式会社 非浸透性記録媒体用のアンダーコーティング組成物及び水性インク用記録媒体
EP3211048B1 (en) * 2016-02-25 2020-07-08 Ricoh Company, Ltd. Surface treatment liquid composition, ink set, recording method, and recording device
JP6894883B2 (ja) * 2016-03-11 2021-06-30 マクセルホールディングス株式会社 インクジェット用インクセット、および、インクジェット記録方法
JP6425051B1 (ja) * 2017-07-14 2018-11-21 東洋インキScホールディングス株式会社 インキセット、及び印刷物の製造方法
JP6419264B1 (ja) * 2017-07-14 2018-11-07 東洋インキScホールディングス株式会社 インキセット、及び印刷物の製造方法
JP7151132B2 (ja) * 2018-03-30 2022-10-12 ブラザー工業株式会社 画像記録用処理剤、インクと画像記録用処理剤のセット及び記録方法
WO2020026870A1 (ja) * 2018-08-02 2020-02-06 日本化薬株式会社 前処理液
JP6592869B1 (ja) * 2018-10-30 2019-10-23 東洋インキScホールディングス株式会社 インキセット、及び印刷物の記録方法
JP2022101991A (ja) * 2020-12-25 2022-07-07 セイコーエプソン株式会社 記録方法及びインクジェット記録装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000037942A (ja) * 1998-07-21 2000-02-08 Seiko Epson Corp 二液を用いたインクジェット記録方法およびそれを用いた装置
JP2005138504A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Ricoh Co Ltd インクセット、画像形成装置、カートリッジ、記録物
JP2010030305A (ja) * 2009-09-02 2010-02-12 Seiko Epson Corp インクセット
JP2011201063A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法および記録物
JP2012214714A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Canon Inc インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2012214712A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Canon Inc インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2014034167A (ja) * 2012-08-09 2014-02-24 Ricoh Co Ltd 画像形成方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5287003B2 (ja) 2008-07-16 2013-09-11 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法及び記録物
JP5344137B2 (ja) 2008-11-13 2013-11-20 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方式の印刷方法
JP5655618B2 (ja) * 2011-02-18 2015-01-21 株式会社リコー インクジェット用処理液及び該処理液を用いた画像形成方法
EP2682269B1 (en) * 2011-03-02 2015-10-07 Konica Minolta, Inc. Method for cleaning inkjet recording head, and method for forming image

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000037942A (ja) * 1998-07-21 2000-02-08 Seiko Epson Corp 二液を用いたインクジェット記録方法およびそれを用いた装置
JP2005138504A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Ricoh Co Ltd インクセット、画像形成装置、カートリッジ、記録物
JP2010030305A (ja) * 2009-09-02 2010-02-12 Seiko Epson Corp インクセット
JP2011201063A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法および記録物
JP2012214714A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Canon Inc インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2012214712A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Canon Inc インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2014034167A (ja) * 2012-08-09 2014-02-24 Ricoh Co Ltd 画像形成方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021120219A (ja) * 2016-09-29 2021-08-19 セイコーエプソン株式会社 反応液、インクジェット記録方法、及びインクと反応液のセット
JP2018053124A (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 セイコーエプソン株式会社 反応液及びインクジェット記録方法
JP7156430B2 (ja) 2016-09-29 2022-10-19 セイコーエプソン株式会社 反応液、インクジェット記録方法、及びインクと反応液のセット
WO2018142726A1 (ja) * 2017-02-01 2018-08-09 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
JP2018122589A (ja) * 2017-02-01 2018-08-09 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
US11352518B2 (en) 2017-02-01 2022-06-07 Toyo Ink Sc Holdings Co., Ltd. Pretreatment liquid and ink set comprising same
JP7030262B2 (ja) 2017-02-01 2022-03-07 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
US10696860B2 (en) 2017-09-28 2020-06-30 Sieko Epson Corporation Reaction liquid and recording method
JP2018122588A (ja) * 2017-10-05 2018-08-09 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
JP2019111763A (ja) * 2017-12-25 2019-07-11 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
WO2019130704A1 (ja) * 2017-12-25 2019-07-04 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液及びインキセット
JP6388243B1 (ja) * 2017-12-25 2018-09-12 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
US11512216B2 (en) 2017-12-25 2022-11-29 Toyo Ink Sc Holdings Co., Ltd. Pretreatment liquid and ink set

Also Published As

Publication number Publication date
JP6394854B2 (ja) 2018-09-26
US9499711B2 (en) 2016-11-22
US20150274992A1 (en) 2015-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6394854B2 (ja) 処理液、記録方法
JP6384658B2 (ja) 画像の記録方法
JP6645049B2 (ja) インクジェット記録方法
EP3061618B1 (en) Ink jet recording method and ink set
JP7156430B2 (ja) 反応液、インクジェット記録方法、及びインクと反応液のセット
CN105922778B (zh) 喷墨记录方法及喷墨记录装置
CN110949030A (zh) 喷墨记录方法及喷墨记录装置
EP3363644B1 (en) Recording method and recording apparatus
JP6772439B2 (ja) 記録方法及びインクセット
CN113755056A (zh) 白色油墨组合物及记录方法
JP7091739B2 (ja) 記録方法、インクセットおよび記録装置
JP2018154014A (ja) インクジェット記録方法及びインクセット
US20230023979A1 (en) Ink Set And Recording Method
JP2020132802A (ja) インク処理液セット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2020044724A (ja) 記録方法、及び記録装置
JP6714810B2 (ja) 記録方法及び記録装置
JP7314675B2 (ja) 記録方法および記録装置
JP7139758B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置およびインクジェットヘッド
JP7172077B2 (ja) 記録方法および記録装置
JP2017074729A (ja) インクジェット記録装置のメンテナンス方法、及びインクジェット記録装置
JP7375372B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インクセット
JP2016199001A (ja) 記録方法及び記録装置
JP6589340B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2018051823A (ja) 記録方法
JP2020104486A (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び、処理液

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170321

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171211

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180703

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180814

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6394854

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150