JP2016199001A - 記録方法及び記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
させるおそれがあった。
本発明に係る記録方法の一態様は、
インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させることを特徴とする。
本発明に係る記録方法の一態様は、
インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
前記反応液付着工程は、ライン型のインクジェットヘッドから吐出して付着を行うものであることを特徴とする。
適用例1または適用例2の記録方法において、
前記反応液の表面張力が、20℃において18mN/m以上35mN/m以下であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液の反応剤の濃度が、0.05mol/L以上0.9mol/L以下であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液の粘度が、20℃において2mPa・s以上10mPa・s以下であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液付着工程において、吐出される反応液の液滴(1dot)当たりの質量が10ng/dot以下であることができる。
適用例2ないし適用例6のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液付着工程の走査速度が5m/分以上であることができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液の付着の完了から20秒以内にインク組成物の付着の開始を行うことができる。
適用例1ないし適用例8のいずれか一例の記録方法において、
前記反応剤が、多価金属塩であり強酸とアルカリの塩であることができる。
本発明に係る記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の記録方法を行うための記録装置であって、インクジェットヘッドを備えることを特徴とする。
1.1.第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る記録方法は、インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させることを特徴とする。
1.1.1.1.工程の説明
反応液付着工程は、記録媒体の記録領域に対して、インクジェットヘッドからインク組成物を凝集または増粘させる反応剤を含有する反応液を吐出して付着させる工程である。記録媒体の記録領域に予め反応剤を付着させておき、当該反応剤とインク組成物とを接触させると、インク組成物に含まれる成分(例えば着色剤や樹脂)と反応剤とが反応する。そうすると、インク組成物中の着色剤や樹脂の分散状態が破壊され、着色剤や樹脂が凝集したり、インク組成物が増粘したりする。これにより、着色剤の記録媒体への浸透を阻害できるため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。
以下、第1実施形態で使用されるインクジェットヘッドの構造の一例について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態で使用されるインクジェットヘッドの平面図であり、図2は、図1のA−A’断面図である。流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、図示するように、その一方の面には、二酸化シリコンからなり厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。この流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に沿って並設された列が2列設けられている。また、流路形成基板10の各圧力発生室12の列の外側には、それぞれ連通部13が形成されている。連通部13と各圧力発生室12とは、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されるインク供給路14を介して連通している。なお、連通部13は、リザーバ形成基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
本実施形態において、印刷対象となる記録媒体は特に制限されるものではないが、インク低吸収性または非吸収性の記録媒体に記録することが好ましい。
インクジェットヘッドから反応液を記録媒体に付着させる際、600×600dpi以上の解像度で液滴を付着させることが好ましい。また、30ng/dot以下の液滴量で付着させることが好ましく、より好ましくは20ng/dot以下であり、さらに好ましくは15ng/dot以下であり、一層好ましくは10ng/dot以下である。液滴量の下限は限るものではないが1ng/dot以上が好ましい。このような記録条件で反応液を付着させることにより、少ない付着量で反応液を付着させても、均一に付着させることができる点で好ましい。
反応液付着工程の前に、記録媒体の反応液に対する濡れ性を高めるために、記録媒体の表面改質を行う表面改質工程を行ってもよい。例えば、インク低吸収性または非吸収性の記録媒体表面のぬれ張力指数を40mN/m以上とするように表面改質を行うことで、反応液の濡れ拡がり性を向上でき、反応液を記録媒体上で均一に付着させることができる。ここで、「ぬれ張力指数」とは、「プラスチック−フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法(JIS K6768:1999)」に準じて測定されるぬれ張力のことである。
次に、反応液付着工程で用いられる反応液について説明する。本実施形態で用いられる反応液は、後述するインク組成物を凝集または増粘させるための反応剤、その他の成分を含有している。以下、本実施形態で用いられる反応液に含まれる成分及び含まれ得る成分ついて詳細に説明する。
本実施形態で用いられる反応液は、インク組成物に含まれる成分(例えば、着色剤や樹脂)に作用して、凝集または増粘を生じさせる反応剤を含有する。反応剤は、例えば多価金属塩、有機酸、カチオン性化合物(カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等)が挙げられる。これらの反応剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの反応剤の中でも、着色インク組成物に含まれる樹脂との反応性に優れるという点から、多価金属塩が好ましい。本実施形態において反応剤として多価金属塩に関し記載している部分は、多価金属塩に限らない反応剤としてもよいものである。
品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
が前記範囲にあると、記録領域に付着される反応剤とインク組成物中の成分とが充分に反応してインク組成物の凝集または増粘が引き起こされるため、記録物の印刷品質(画質や画像耐久性)が良好となる傾向がある。また、反応剤の含有量は、例えば、反応液の総質量に対し、0.5質量%以上25質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量以下がより好ましい。
本実施形態で用いられる反応液は、水を主溶媒とすることが好ましい。この水は、反応液を記録媒体の記録領域に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、反応液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。反応液に含まれる水の含有量は、反応液の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態で用いられる反応液には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加することにより、記録媒体に対する反応液の濡れ性を向上させることができる。有機溶剤としては、後述のインク組成物で例示する有機溶剤と同様のもの使用できる。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
本実施形態で用いられる反応液には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、反応液の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の中でも、例えばアセチレングリコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、後述のインク組成物で例示する界面活性剤と同様のものを使用できる。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態で用いられる反応液のpHは、7以上10以下であり、好ましくは7.5以上9以下、より好ましくは8以上9以下である。反応液のpHが前記範囲にあると、インクジェットヘッド内の部材の接着にエポキシ系接着剤を用いた場合に、反応液による部材アタック性が良好で、長期使用してもヘッド性能が保たれることを見出した。反応液のpHが前記範囲外にあると、インクジェットヘッド内の部材の接着にエポキシ系接着剤を用いた場合に、反応液による部材アタック性が劣る。反応液による部材アタック性が劣ると、ヘッドの長期使用により部材が膨潤し、吐出量変動の原因となると推測される。
本実施形態で用いられる反応液には、必要に応じて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を添加してもよい。
1.1.2.1.工程の説明
インク組成物付着工程は、上述した反応液付着工程の後もしくは反応液付着工程と同時に、反応液を付着させる記録領域に対して、インク組成物を付着させる工程である。インク組成物付着工程は、インクジェット記録用ヘッドのノズルからインク組成物の液滴を吐出させて、上述した記録媒体の反応液を付着させる記録領域に付着させることにより、当該記録領域に画像を記録するものである。これにより、記録媒体の記録領域にインク組成物からなる画像が形成される。
次に、インク組成物付着工程で用いられるインク組成物に含まれる成分及び含まれ得る成分ついて詳細に説明する。
本実施形態で用いられる着色インク組成物は、着色剤を含有する。着色剤としては、本発明の効果が得られやすいという観点から、顔料又は酸性染料を好ましく用いることができる。
スブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、コロンビアンケミカルズ(Columbian Chemicals)製、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
る。これらの酸性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態で用いられる着色インク組成物は、水を主溶媒とすることが好ましい。この水は、インク組成物を記録媒体の記録領域に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。インク組成物に含まれる水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態で用いられるインク組成物には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加することにより、記録媒体に対するインク組成物の濡れ性を向上させたり、記録媒体への記録画像の定着性を向上させたり、吐出ヘッドでの乾燥を防ぎ吐出安定性を高めたりする機能をインクに付与することができる。
レングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、インク組成物の記録媒体に対する濡れ性などを制御することできる。
本実施形態に係るインク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、インクの表面張力を低下させることで、記録媒体との濡れ性を向上させる機能を有する。界面活性剤の中でも、例えばアセチレングリコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを好ましく用いることができる。
本実施形態に係るインク組成物は、樹脂を含有してもよい。インク組成物に含まれる樹
脂としては、記録媒体の記録領域においてインク組成物に含まれる樹脂と反応剤とが反応して、インク組成物中の着色剤や樹脂の分散状態が破壊され、着色剤や樹脂が凝集又は増粘する樹脂であることが好ましい。このような樹脂を含有することで、着色剤の記録媒体への浸透を阻害できるため、その後に付着させるインク組成物の着弾干渉、滲みを防止でき、ラインや微細像などを均質に描画できる。そのため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。また、インク組成物に含まれる樹脂と反応剤とが速やかに反応することで、臭気を低減することもできる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
本実施形態で用いられる反応液及びインク組成物(本明細書において「各インク組成物」ともいう。)は、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が18mN/m以上35mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
本発明の第2実施形態に係る記録方法は、インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、前記反応液付着工程は、ライン型のインクジェットヘッドから吐出して付着を行うものであることを特徴とする。
反応液付着工程は、記録媒体の記録領域に対して、ライン型のインクジェットヘッドからインク組成物を凝集または増粘させる反応剤を含有する反応液を吐出して付着させる工程である。記録媒体の記録領域に予め反応剤を付着させておき、当該反応剤とインク組成物とを接触させると、インク組成物に含まれる成分(例えば着色剤や樹脂)と反応剤とが反応する。そうすると、インク組成物中の着色剤や樹脂の分散状態が破壊され、着色剤や樹脂が凝集したり、インク組成物が増粘したりする。これにより、着色剤の記録媒体への浸透を阻害できるため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。
以下、第2実施形態で使用されるライン型インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置の一例について図面を参照しながら説明する。図3は、第2実施形態で使用されるライン型インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置の構成を模式的に示す説明図である。
録媒体に対してヘッドが移動しつつ走査が行われるものでもよい。このような記録方法としては例えば、特開2009−90635公報に記載されたものなどがあげられる。記録媒体の搬送やヘッドを搭載したキャリッジの移動などが、ヘッドと記録媒体の相対的な位置の変化である。
記録媒体、記録条件、反応液等のその他の構成については、前述の第1実施形態と同様である。
インク組成物付着工程は、反応液付着工程の後、記録媒体の記録領域に対して、インク組成物を付着させる工程である。付着は、限るものではないがインクジェットヘッドからインク組成物を吐出して付着させることが好ましい。また、上述したライン型のインクジェットヘッドからインク組成物を付着させる工程とすることが、記録の生産性の点で好ましい。インク組成物付着工程は、インクジェット記録用ヘッドのノズルからインク組成物の液滴を吐出させて、上述した記録媒体の反応液を付着させる記録領域に付着させることにより、当該記録領域に画像を記録するものが好ましい。これにより、記録媒体の記録領域にインク組成物からなる画像が形成される。
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<反応液の調製>
表1の配合割合になるように各成分を混合攪拌した後、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各反応液(H1〜H12)を調製した。表1中の数値は、全て
質量%を示し、イオン交換水は反応液の全質量が100質量%となるように添加した。
表1の配合割合になるように各成分を混合攪拌した後、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、カラーインク組成物(C1)を調製した。表1中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はインク組成物の全質量が100質量%となるように添加した。
上記で得られた各インク組成物の組成及び物性を下表1に示す。
<色材>
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
<界面活性剤>
・シリコン系界面活性剤(商品名「BYK−348」、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
<樹脂>
・ポリエチレン樹脂(商品名「AQUASER507」、ビックケミー・ジャパン株式会社製、平均粒子径:50nm、Tg:60℃)
記録装置1としてSurePressL−4033A(セイコーエプソン株式会社製)を改造したものを用いた。主な改造点は、ラインヘッドを固定配置し記録媒体を搬送させながら記録するラインプリンターとした点、インク組成物ヘッドよりも記録媒体搬送方向の上流側に同様のラインヘッドを配置しこれを反応液ヘッドとした点である。ヘッドは1ヘッドユニット(記録媒体幅方向のノズル間距離600dpi、ノズル数600個)を、記録媒体の幅方向に複数個並べてラインヘッドとして構成した。ヘッドはヘッド内のインクが通過する流路の製造(接着)にエポキシ接着剤(商品名「EP330」、セメダイン株式会社製)を用いたものを用いた。
・記録解像度(吐出する液滴の密度):600×600dpi
・インク付着量:7mg/inch2
<反応液記録条件>
・記録解像度:表2中に記載。
・反応液付着量:約2.2mg/inch2
・ドットサイズ(吐出液滴当たりの液量):表2中に記載。
・反応液インク間ウエイト:
・・表2〜表3中の反応液インク間ウエイトが5秒の例は、記録媒体搬送速度を7m/分とし、インク組成物ヘッドと反応液ヘッド間の距離を調節して反応液の付着の完了からインクの付着の開始までの時間間隔を5秒とした。その距離は約60cmであった。
・・表3中の反応液インク間ウエイトが30秒の例は、記録媒体搬送速度を5秒の例よりも遅くして約1.2m/分とした。記録物の記録解像度は変えていないので吐出周波数を低くする制御も行った。
記録装置2は、反応液ヘッドをエポキシ系接着剤の代わりにシリコーン系接着剤(商品名「TSR1512」、モメンティブ社製)を用いて製造したヘッドとしたこと以外は記録装置1と同様とした。
記録装置3としてシリアル型プリンターPX−H8000(セイコーエプソン株式会社製)を改造して用いた。主な改造点は、キャリッジに記録装置1で用いたヘッドユニット
をキャリッジ移動方向に2個並べて配置した点である。インク組成物と反応液をそれぞれ1ヘッドユニットに充填した。記録装置3では、キャリッジ移動しながらの液滴吐出(走査)と記録媒体をキャリッジ移動方向と交差する方向に移動する副走査を何度も行うことで記録が行われる。まず反応液のみ吐出する走査を行い、反応液間ウエイトを5秒になるよう停止時間を設けてから次の走査でインク組成物の吐出を行い、記録媒体を所定の距離、副走査(搬送)させ、これを繰り返して記録を行った。
<部材アタック性>
各例ごとに記録装置のヘッドに用いている接着剤と同じものを硬化させたサンプル片を0.3g用意し、これを反応液を入れたガラス容器中に完全に浸漬させ蓋をし、60℃環境に20日間放置した。放置後、接着剤片を取り出し、反応液をよく洗い流した後、重量を測定した。そして、接着剤片の膨潤率を下記式により算出して評価した。評価基準は下記の通りである。膨潤率が低いと、ヘッドなどの接着剤を用いて接着した部品がプリンター使用中に剥離してヘッドの劣化、破損の原因となることがなく好ましい。この膨潤率は、長期ヘッド耐久性とも関係する。
膨潤率(%)={(投入後重量−投入前重量)/投入前重量}×100
(評価基準)
○:膨潤率が30%未満。
×:膨潤率が30%以上。
ラインヘッドの中央付近のヘッドユニットの側面に鉄製の1cm×1cmのプレートを貼り付けた。記録媒体に3cm×3cmのテストパターンを記録媒体の縦横に各1cmの間隔を空けて並べて記録し、連続して60分間記録する記録セットを1日に8セット行い、これを合計で100日間行った。記録媒体の幅方向の記録領域は約20cmとした。完了後、プレートを剥がして水で洗い乾かした後、表面を目視で観察した。なお、記録装置3を用いた場合には、走査と副走査を何度も行うことで同様の記録媒体に同様のテストパターンを記録した。反応液ヘッドユニットの側面に同様のプレートを貼り付けた。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:金属光沢感が試験前と変わっていない。
○:金属光沢感が低下しているが錆の発生はない。
×:錆の発生が見られる。
機内腐食と同じ条件で記録を行いパターンを目視で観察した。目視での観察は、パターンにブリードにより色が不均一に見えるか否かを判断のポイントとした。
(評価基準)
○:30cm離れると見えない。非常に良好。
△:30cm離れると薄ら見えるが、100cm離れると見えない。良好。
×:100cm離れても見える。抜け有り。不良。
ベタ画質の評価で得られた記録物について、学振型摩擦堅牢度試験機(装置名「AB−301」、テスター産業株式会社製)を用いて耐久性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録領域を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重500gをかけて100往復擦った。
(評価基準)
○:白綿布に汚れはあるが、画像の剥がれがない。非常に良好。
△:画像に若干の剥がれが認められる(20%未満)。良好。
×:画像がかなり剥がれている(20%以上)。不良。
機内腐食評価と同様の記録を合計200日行った。1日目の終了時と最終日の終了時に、中央付近の1ヘッドについて吐出する反応液の液滴当たりの平均液滴量(質量)を測定した。平均液滴量の測定は、連続吐出させた合計液量を測定し、それを吐出数で割り算した。1日目の平均液滴量に対する最終日の平均液滴量の変化率(%)を計算した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
○:平均液滴量の変化率が1%未満である。
△:平均液滴量の変化率が1%以上5%未満である。
×:平均液滴量の変化率が5%以上10%未満である。
××:平均液滴量の変化率が10%以上である。
上記の記録方法及び評価試験に基づいて、実施例1〜12、比較例1〜3及び参考例1〜2を実施した。実施例1〜12、比較例1〜3及び参考例1〜2の記録方法及び評価結果を下表2〜下表3に纏めた。
中で吐出しなくなったノズルが発生した。テストパターンを観察したところ、吐出しないノズルが記録中、不意に発生しており、これにより平均液滴量が一定とならなかったものと推測される。そのため、実施例8〜10では、吐出量変動の評価にはなっていないものと思料する。
び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構
成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (10)
- インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させる、記録方法。 - インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
前記反応液付着工程は、ライン型のインクジェットヘッドから吐出して付着を行うものである、記録方法。 - 前記反応液の表面張力が、20℃において18mN/m以上35mN/m以下である、請求項1または請求項2に記載の記録方法。
- 前記反応液の反応剤の濃度が、0.05mol/L以上0.9mol/L以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の記録方法。
- 前記反応液の粘度が、20℃において2mPa・s以上10mPa・s以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の記録方法。
- 前記反応液付着工程において、吐出される反応液の液滴(1dot)当たりの質量が10ng/dot以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の記録方法。
- 前記反応液付着工程の走査速度が5m/分以上である、請求項2ないし請求項6のいずれか一項に記載の記録方法。
- 前記反応液の付着の完了から20秒以内にインク組成物の付着の開始を行う、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の記録方法。
- 前記反応剤が、多価金属塩であり強酸とアルカリの塩である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の記録方法。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の記録方法を行うための、インクジェットヘッドを備える記録装置。
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