JP2016199001A - 記録方法及び記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応液をインクジェット記録ヘッドから吐出する工程を備える記録方法において、インクジェット記録装置の耐久性に優れる記録方法を提供する。【解決手段】本発明に係る記録方法は、インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、記録方法及び該記録方法を実施するための記録装置に関する。
従来、インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズルから微小なインク滴を吐出させて、記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法が知られている。インクジェット記録用のインクとしては、染料や顔料等の着色剤を水や有機溶剤等を含む水性媒体中に溶解又は分散させたものが一般的であり、着色剤として染料を配合した染料インクと顔料を配合した顔料インクとに大別される。これまで、色再現性や吐出安定性等に優れる染料インクが汎用されてきたが、インクジェット記録技術のデジタル写真サービスや商業印刷等への用途拡大により、記録画像の長期保存性が重要視されるようになってきており、染料インクに比べて耐水性や耐光性等に優れる顔料インクが使用されるようになってきた。
ところが、インクジェット記録用インクとして顔料インクを使用して、普通紙、コート紙、アート紙等の記録媒体に記録を行うと、顔料がこれらの内部に浸透してしまい、光学濃度が不足しやすいという課題があった。
かかる課題を解決するために、例えば特許文献1には、顔料インクとは別に顔料凝集剤及び水を含む反応液を用意して、顔料インクによるインクジェット記録に先立ち、記録媒体の記録領域に前処理液を予め塗布しておくインクジェット記録方法が開示されている。顔料凝集剤としては、コハク酸や酢酸などの有機酸及びアルカリ金属ハロゲン化物を使用できることが開示されている。
また、特許文献2にも、顔料インク凝集能及び皮膜形成能を有する反応液を記録面に塗布した後、顔料インクを吐出して画像を記録し、さらに加熱乾燥することで、記録面上に皮膜を形成するインクジェット記録方法が開示されている。顔料凝集剤としては、多価金属塩を使用できることが開示されている。
特開2010−274561号公報 特開2003−326829号公報
ところで、上記特許文献1や特許文献2に開示されているような反応液をインクジェット記録ヘッドから記録媒体上に塗布することができれば、塗布量や塗布領域の制御を容易に行うことができ、またインクの切替も容易なことから、生産性の大幅な向上が期待できる。
しかしながら、このような反応液をインクジェット記録ヘッドから記録媒体上に塗布することで、画像の光学濃度を高くすることはできるものの、ヘッド内のインク流路の部材の接着に用いているエポキシ系接着剤が劣化し、ヘッド耐久性が低下するという新たな課題が発生した。
また、インクジェット記録ヘッドとしてライン型ヘッドを使用する場合には、反応液がインクミストとなってインクジェット記録装置内を浮遊することにより、機内腐食を発生
させるおそれがあった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、反応液をインクジェット記録ヘッドから吐出する工程を備える記録方法において、インクジェット記録装置の耐久性に優れる記録方法を提供するものである。さらに、本発明に係る幾つかの態様は、インクジェット記録装置の耐久性に優れるだけでなく、長期に亘るヘッド耐久性にも優れ、かつ、画質及び耐久性に優れた記録画像を記録できる記録方法を提供するものである。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る記録方法の一態様は、
インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させることを特徴とする。
適用例1の記録方法によれば、反応剤と水とを含有する反応液のpHを7以上10以下とすることによって、ヘッド内の反応液の流路部材の接着に用いているエポキシ系接着剤の劣化を抑制でき、ヘッドの耐久性を向上させることができる。
[適用例2]
本発明に係る記録方法の一態様は、
インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
前記反応液付着工程は、ライン型のインクジェットヘッドから吐出して付着を行うものであることを特徴とする。
適用例2の記録方法によれば、反応剤と水とを含有する反応液のpHを7以上10以下とすることによって、当該反応液がインクミストとなってインクジェット記録装置内を浮遊した場合であっても、インクジェット記録装置内の腐食を抑制できる。
[適用例3]
適用例1または適用例2の記録方法において、
前記反応液の表面張力が、20℃において18mN/m以上35mN/m以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液の反応剤の濃度が、0.05mol/L以上0.9mol/L以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液の粘度が、20℃において2mPa・s以上10mPa・s以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液付着工程において、吐出される反応液の液滴(1dot)当たりの質量が10ng/dot以下であることができる。
[適用例7]
適用例2ないし適用例6のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液付着工程の走査速度が5m/分以上であることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の記録方法において、
前記反応液の付着の完了から20秒以内にインク組成物の付着の開始を行うことができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例の記録方法において、
前記反応剤が、多価金属塩であり強酸とアルカリの塩であることができる。
[適用例10]
本発明に係る記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の記録方法を行うための記録装置であって、インクジェットヘッドを備えることを特徴とする。
第1実施形態で用いるインクジェットヘッドを模式的に示す平面図。 第1実施形態で用いるインクジェットヘッドを模式的に示す断面図。 第2実施形態で用いるライン型インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を模式的に示す説明図。 第2実施形態で用いるライン型インクジェットヘッドを模式的に示す平面図。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。また、後述する第1実施形態と第2実施形態は、それぞれ、当該実施形態において特に必要とする構成以外の構成に関しては、お互いに第1実施形態及び第2実施形態の構成を利用しても良いものである。
1.記録方法
1.1.第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る記録方法は、インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させることを特徴とする。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成される記録パターンを示し、テキスト印字、ベタ画像も含める。なお、「ベタ画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録し、通常、記録媒体の記録領域がインクで覆われ記録媒体の地が見えていないような画像であるべき画像パターンを意味する。
以下、本実施形態に係る記録方法について、上記の工程ごとに詳細に説明する。
1.1.1.反応液付着工程
1.1.1.1.工程の説明
反応液付着工程は、記録媒体の記録領域に対して、インクジェットヘッドからインク組成物を凝集または増粘させる反応剤を含有する反応液を吐出して付着させる工程である。記録媒体の記録領域に予め反応剤を付着させておき、当該反応剤とインク組成物とを接触させると、インク組成物に含まれる成分(例えば着色剤や樹脂)と反応剤とが反応する。そうすると、インク組成物中の着色剤や樹脂の分散状態が破壊され、着色剤や樹脂が凝集したり、インク組成物が増粘したりする。これにより、着色剤の記録媒体への浸透を阻害できるため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。
第1実施形態における反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、当該インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させることを特徴としている。反応液をインクジェット記録ヘッドから記録媒体上に塗布することにより、反応液の塗布量や塗布領域の制御を容易に行うことができ、またインクの切替も容易なことから、生産性が大幅に向上する。また、本実施形態で用いられる反応液は、反応剤と水とを含有する反応液のpHを7以上10以下としており、このような反応液であればヘッド内の反応液の流路部材の接着に用いているエポキシ系接着剤の劣化を抑制でき、ヘッドの耐久性を向上させることができる。
<インクジェットヘッドの構成>
以下、第1実施形態で使用されるインクジェットヘッドの構造の一例について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態で使用されるインクジェットヘッドの平面図であり、図2は、図1のA−A’断面図である。流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、図示するように、その一方の面には、二酸化シリコンからなり厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。この流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に沿って並設された列が2列設けられている。また、流路形成基板10の各圧力発生室12の列の外側には、それぞれ連通部13が形成されている。連通部13と各圧力発生室12とは、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されるインク供給路14を介して連通している。なお、連通部13は、リザーバ形成基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
流路形成基板10の弾性膜50とは反対側の面には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラス、セラミックス、シリコン単結晶板、ステンレス鋼(SUS)等からなる。例えば、本実施形態で使用されるインクジェットヘッドでは、ノズルプレート20がステンレス鋼で形成されている。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO)からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁膜55が形成されている。さらに、この絶縁膜55上には、白金(Pt)及びイリジウム(Ir)からなり厚さが例えば約0.2μmの下電極膜60と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、イリジウム(Ir)からなり厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。
ここで圧電素子300とは、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、リード電極90が接続されており、このリード電極90を介して、各圧電素子300に電圧が印加されるようになっている。
ここで、圧電素子300の共通電極である下電極膜60は、本実施形態では、圧力発生室12の長手方向では圧力発生室12に対向する領域内に形成され、圧力発生室12の並設方向では複数の圧力発生室12に対応する領域に亘って連続的に設けられている。また、下電極膜60は、圧力発生室12の並設方向では、圧力発生室12の列の外側まで延設され、本実施形態では、並設された複数の圧電素子300及びリード電極90の周囲に連続的に設けられている。なお、このような下電極膜60が、圧力発生室12の列毎にそれぞれ形成されている。一方、圧電素子300を構成する圧電体層70及び上電極膜80は、基本的には圧力発生室12に対向する領域内に設けられているが、圧力発生室12の長手方向では、下電極膜60の端部よりも外側まで延設されている。
流路形成基板10の圧電素子300側の面には、接合基板の一例である保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電素子300を保護するための圧電素子保持部31を有し、各圧電素子300はこの圧電素子保持部31内に形成されているため外部環境の影響をほとんど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部31内に形成されているため外部環境の影響をほとんど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部31は、密封されていてもよいが、密封されていなくてもよい。また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の中央領域、すなわち圧電素子保持部31のリザーバ部32とは反対側の領域には、その厚さ方向に貫通してリード電極90及び下電極膜60を露出させる露出孔33が形成されている。そして、図示しないが、この露出孔33内に延設される接続配線によって、保護基板30上に実装される駆動ICと、リード電極90及び下電極膜60とが電気的に接続されている。
このような保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましい。保護基板30は、エポキシ系接着剤からなる接着層35によって流路形成基板10と接合されている。流路形成基板10と保護基板30との接着にエポキシ系接着剤を用いると、接着力が優れ、長期使用してもヘッド性能が保たれる。また、ヘッド剛性が優れ、吐出特性が安定しやすい点などでも優れている。接着層35の部材アタック性が劣ると、ヘッドの長期使用で部材が膨潤し、吐出量変動の原因となると推測される。
なお、本実施形態では、流路形成基板10と保護基板30との接着に用いる接着層35にエポキシ系接着剤を用いているが、ヘッド内の部材に限らずインク収容体からヘッドまでのインク流路において同様にエポキシ系接着剤を用いて接着した場合も、部材の剥離がなく反応液漏れを防止するなどの点で同様の効果を奏すると推測される。
エポキシ系接着剤としては、以下に限定されないが、例えば、エポキシ基を有する化合物を含む主剤を硬化剤により硬化させる、従来公知の接着剤が挙げられる。上記の主剤に含まれるエポキシ基を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型及びビスフェノールF型などのビスフェノール型エポキシ、フェノールノボラック型及びクレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ、エポキシポリオール型エポキシ、ウレタン変性エポキシ、キレート変性エポキシ、並びにゴム変性エポキシが挙げられる。上記の硬化剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン及びポリアミン等のアミン類、酸無水物、アミド及びポリアミド等のアミド類、イミダゾール類、並びにポリメルカプタンが挙げられる。上記の中でも、接着力に優れるため、主剤としてビスフェノール型エポキシ及び硬化剤としてアミン類の組み合わせが好ましい。主剤と硬化剤との混合比(主剤:硬化剤)は、接着剤の硬化性に優れるため、質量換算で10:1〜1:10が好ましい。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成されている。この固定板42のリザーバ部32に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ部32の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このようなインクジェットヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、保護基板30上に実装される駆動IC(図示なし)からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
<記録媒体>
本実施形態において、印刷対象となる記録媒体は特に制限されるものではないが、インク低吸収性または非吸収性の記録媒体に記録することが好ましい。
本明細書における「インク低吸収性または非吸収性の記録媒体」とは、インク組成物を全く吸収しない、またはほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。これに対して、インク吸収性の記録媒体とは、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に該当しない記録媒体のことを指す。
インク非吸収性の記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
インク低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられた記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。
<記録条件>
インクジェットヘッドから反応液を記録媒体に付着させる際、600×600dpi以上の解像度で液滴を付着させることが好ましい。また、30ng/dot以下の液滴量で付着させることが好ましく、より好ましくは20ng/dot以下であり、さらに好ましくは15ng/dot以下であり、一層好ましくは10ng/dot以下である。液滴量の下限は限るものではないが1ng/dot以上が好ましい。このような記録条件で反応液を付着させることにより、少ない付着量で反応液を付着させても、均一に付着させることができる点で好ましい。
反応液の記録領域への最大付着量は、好ましくは0.2mg/inch以上2mg/inch以下であり、より好ましくは0.5mg/inch以上2mg/inch以下である。反応液の記録領域への最大付着量が前記範囲内のように少量であっても、インクジェットヘッドから反応液を記録領域に均一に付着させることができるため、後述するインク組成物付着工程において記録領域に付着されたインク組成物の着色剤や樹脂の分散状態を充分に破壊することができる。さらに反応液の記録領域への最小付着量も上記の範囲内である場合、上記の効果の点でより好ましい。
<その他>
反応液付着工程の前に、記録媒体の反応液に対する濡れ性を高めるために、記録媒体の表面改質を行う表面改質工程を行ってもよい。例えば、インク低吸収性または非吸収性の記録媒体表面のぬれ張力指数を40mN/m以上とするように表面改質を行うことで、反応液の濡れ拡がり性を向上でき、反応液を記録媒体上で均一に付着させることができる。ここで、「ぬれ張力指数」とは、「プラスチック−フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法(JIS K6768:1999)」に準じて測定されるぬれ張力のことである。
このような表面改質工程としては、特に限定されるものではなく、例えばコロナ処理、大気圧プラズマ処理、フレーム処理、紫外線照射処理、溶剤処理、樹脂液の付着処理(例えば、プライマー処理)等が挙げられる。これらの処理方法は、公知の装置を用いて行うことができる。
反応液付着工程の後、記録媒体の記録領域に付着させた反応液を乾燥させる乾燥工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体の記録領域に付着させた反応液に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行うことが好ましい。反応液の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、加熱を伴う乾燥であってもよい。反応液の加熱方法は、特に限定されるものではないが、例えばヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
1.1.1.2.反応液
次に、反応液付着工程で用いられる反応液について説明する。本実施形態で用いられる反応液は、後述するインク組成物を凝集または増粘させるための反応剤、その他の成分を含有している。以下、本実施形態で用いられる反応液に含まれる成分及び含まれ得る成分ついて詳細に説明する。
<反応剤>
本実施形態で用いられる反応液は、インク組成物に含まれる成分(例えば、着色剤や樹脂)に作用して、凝集または増粘を生じさせる反応剤を含有する。反応剤は、例えば多価金属塩、有機酸、カチオン性化合物(カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等)が挙げられる。これらの反応剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの反応剤の中でも、着色インク組成物に含まれる樹脂との反応性に優れるという点から、多価金属塩が好ましい。本実施形態において反応剤として多価金属塩に関し記載している部分は、多価金属塩に限らない反応剤としてもよいものである。
多価金属塩としては、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な化合物であり、無水物でもよく、水和物でもよい。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオン;Al3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンが挙げられる。陰イオンとしては、Cl、I、Br、SO 2−、ClO3−、NO3−、及びHCOO、CHCOOなどが挙げられる。
上記例示した多価金属塩の中には、これ自体がアルカリ性を示すものもあるが、このような多価金属塩を使用した場合でも後述するpH調整剤を用いて適切なpHとすることが好ましい。上記例示した多価金属塩の中でも、これ自体が酸性を示すもの、すなわち反応液においてpH調整剤を用いない場合にpHが7未満となる多価金属塩であることが好ましい。このような多価金属塩を用いることにより、反応剤としての反応性が向上し、記録画像の画質が一層優れ、臭気が比較的少なくなる。このような多価金属塩としては、強酸とアルカリの塩、具体的には硝酸塩(硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム等)、硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等)、塩酸塩などが挙げられる。また、ギ酸塩、酢酸塩などの弱酸とアルカリの塩も使用可能である。
有機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性樹脂としては、例えば、カチオン性のウレタン樹脂、カチオン性のオレフィン樹脂、カチオン性のアリルアミン樹脂等が挙げられる。
カチオン性のウレタン樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。カチオン性のウレタン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、ハイドラン CP−7010、CP−7020、CP−7030、CP−7040、CP−7050、CP−7060、CP−7610(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR−2120C、WBR−2122C(商
品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性のオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。また、カチオン性のオレフィン樹脂は、水や有機溶媒等を含む溶媒に分散させたエマルジョン状態であってもよい。カチオン性のオレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB−1200、CD−1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
カチオン性のアリルアミン樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン・ジメチルアリルアミンコポリマー、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩、ポリメチルジアリルアミン酢酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄コポリマー、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミドコポリマー等を挙げることができる。このようなカチオン性のアリルアミン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、PAA−HCL−01、PAA−HCL−03、PAA−HCL−05、PAA−HCL−3L、PAA−HCL−10L、PAA−H−HCL、PAA−SA、PAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−08、PAA−15、PAA−15C、PAA−25、PAA−H−10C、PAA−D11−HCL、PAA−D41−HCL、PAA−D19−HCL、PAS−21CL、PAS−M−1L、PAS−M−1、PAS−22SA、PAS−M−1A、PAS−H−1L、PAS−H−5L、PAS−H−10L、PAS−92、PAS−92A、PAS−J−81L、PAS−J−81(商品名、ニットーボーメディカル会社製)、ハイモ Neo−600、ハイモロック Q−101、Q−311、Q−501、ハイマックス SC−505、SC−505(商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1級、第2級及び第3級アミン塩型化合物、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン、ヤシアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジメチルエチルラウリルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルオクチルアンモニウムエチル硫酸塩、トリメチルラウリルアンモニウム塩酸塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミン、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
反応剤の含有量は、上述の効果が発揮されるように適宜決定することができ、例えば、反応液1L中において、0.05mol/L以上1.0mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/kg以上0.9mol/kg以下であることがより好ましく、0.3mol/kg以上0.8mol/kg以下であることが特に好ましい。反応液の含有量
が前記範囲にあると、記録領域に付着される反応剤とインク組成物中の成分とが充分に反応してインク組成物の凝集または増粘が引き起こされるため、記録物の印刷品質(画質や画像耐久性)が良好となる傾向がある。また、反応剤の含有量は、例えば、反応液の総質量に対し、0.5質量%以上25質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量以下がより好ましい。
<水>
本実施形態で用いられる反応液は、水を主溶媒とすることが好ましい。この水は、反応液を記録媒体の記録領域に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、反応液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。反応液に含まれる水の含有量は、反応液の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
<有機溶剤>
本実施形態で用いられる反応液には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加することにより、記録媒体に対する反応液の濡れ性を向上させることができる。有機溶剤としては、後述のインク組成物で例示する有機溶剤と同様のもの使用できる。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
<界面活性剤>
本実施形態で用いられる反応液には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、反応液の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の中でも、例えばアセチレングリコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、後述のインク組成物で例示する界面活性剤と同様のものを使用できる。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
<pH調整剤>
本実施形態で用いられる反応液のpHは、7以上10以下であり、好ましくは7.5以上9以下、より好ましくは8以上9以下である。反応液のpHが前記範囲にあると、インクジェットヘッド内の部材の接着にエポキシ系接着剤を用いた場合に、反応液による部材アタック性が良好で、長期使用してもヘッド性能が保たれることを見出した。反応液のpHが前記範囲外にあると、インクジェットヘッド内の部材の接着にエポキシ系接着剤を用いた場合に、反応液による部材アタック性が劣る。反応液による部材アタック性が劣ると、ヘッドの長期使用により部材が膨潤し、吐出量変動の原因となると推測される。
一方、インクジェットヘッド内の部材の接着に他の接着剤(例えばシリコーン接着剤など)を用いた場合には、例えば部材アタック性は良好であるものの、長期使用したときのヘッド耐久性が劣ることがあった。この理由としては、膨潤以外の理由で、例えば剥離してヘッド耐久性が劣り、安定吐出できなくなったことなどが推測される。
本実施形態で用いられる反応液は、上述したようにpH調整剤を用いてpHを7以上10以下に調整するとよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のpHを中性〜アルカリ性領域に調整できるpH調整剤を使用することができる。
<その他の成分>
本実施形態で用いられる反応液には、必要に応じて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を添加してもよい。
1.1.2.インク組成物付着工程
1.1.2.1.工程の説明
インク組成物付着工程は、上述した反応液付着工程の後もしくは反応液付着工程と同時に、反応液を付着させる記録領域に対して、インク組成物を付着させる工程である。インク組成物付着工程は、インクジェット記録用ヘッドのノズルからインク組成物の液滴を吐出させて、上述した記録媒体の反応液を付着させる記録領域に付着させることにより、当該記録領域に画像を記録するものである。これにより、記録媒体の記録領域にインク組成物からなる画像が形成される。
インク組成物付着の開始は、前記反応液付着工程の完了から30秒以内に行うことが好ましい。上限値は、より好ましくは20秒以内、さらに好ましくは15秒以内、一層好ましくは10秒以内、増々好ましくは7秒以内、特に好ましくは5秒以内である。下限値は、0秒以上、好ましくは0.05秒以上、より好ましくは0.1秒以上、さらに好ましくは0.5秒以上、特に好ましくは1秒以上である。インク組成物付着の開始を反応液付着工程の完了から30秒以内に行うことにより、記録媒体の記録領域内において反応液が完全に乾燥する前及び/又は反応液が記録媒体の内部に浸透する前にインク組成物を付着させることができるので、反応液に含まれる反応剤とインク組成物に含まれる成分とを速やかに反応させることができる。そのため、記録画像の画質がより向上すると共に、記録速度を速くすることもできる。
インク組成物の記録領域への最大付着量は、好ましくは5mg/inch以上20mg/inch以下、より好ましくは5mg/inch以上15mg/inch以下である。インク組成物の記録領域への最大付着量が前記範囲内にあると、記録領域における反応液に含まれる反応剤の付着量とインク組成物に含まれる反応成分の付着量との相対的な割合が適量となり、また記録速度も速くできる点で好ましい。
なお、インク組成物付着工程の後、記録媒体の記録領域に付着させたインク組成物を乾燥させる乾燥工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体の記録領域に付着させたインク組成物に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行うことが好ましい。インク組成物の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、前述の反応液の乾燥工程と同様の観点により、加熱を伴う乾燥であってもよい。インク組成物の加熱方法は、特に限定されるものではないが、前述の反応液の加熱方法で挙げたものと同様の方法が挙げられる。
1.1.2.2.インク組成物
次に、インク組成物付着工程で用いられるインク組成物に含まれる成分及び含まれ得る成分ついて詳細に説明する。
<着色剤>
本実施形態で用いられる着色インク組成物は、着色剤を含有する。着色剤としては、本発明の効果が得られやすいという観点から、顔料又は酸性染料を好ましく用いることができる。
顔料のうち、無機顔料としては、例えばカーボンブラック、酸化鉄、及び酸化チタンが挙げられる。上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネ
スブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、コロンビアンケミカルズ(Columbian Chemicals)製、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
有機顔料としては、例えばキナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性染料としては、アゾ系,アントラキノン系,ピラゾロン系,フタロシアニン系,キサンテン系,インジゴイド系,トリフェニルメタン系等の酸性染料が挙げられる。酸性染料の具体例としては、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94等が挙げられ
る。これらの酸性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<水>
本実施形態で用いられる着色インク組成物は、水を主溶媒とすることが好ましい。この水は、インク組成物を記録媒体の記録領域に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。インク組成物に含まれる水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
<有機溶剤>
本実施形態で用いられるインク組成物には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加することにより、記録媒体に対するインク組成物の濡れ性を向上させたり、記録媒体への記録画像の定着性を向上させたり、吐出ヘッドでの乾燥を防ぎ吐出安定性を高めたりする機能をインクに付与することができる。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類(1,2−アルカンジオール類を除く。)、ピロリドン誘導体、グリコールエーテル類等が挙げられる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対する着色インク組成物の濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れている。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
多価アルコール類(1,2−アルカンジオール類を除く。)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類を含有する場合には、着色インク組成物の全質量に対して、2質量%以上30質量%以下とすることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用する。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチ
レングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、インク組成物の記録媒体に対する濡れ性などを制御することできる。
有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、インク組成物の全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
<界面活性剤>
本実施形態に係るインク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、インクの表面張力を低下させることで、記録媒体との濡れ性を向上させる機能を有する。界面活性剤の中でも、例えばアセチレングリコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばサーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
<樹脂>
本実施形態に係るインク組成物は、樹脂を含有してもよい。インク組成物に含まれる樹
脂としては、記録媒体の記録領域においてインク組成物に含まれる樹脂と反応剤とが反応して、インク組成物中の着色剤や樹脂の分散状態が破壊され、着色剤や樹脂が凝集又は増粘する樹脂であることが好ましい。このような樹脂を含有することで、着色剤の記録媒体への浸透を阻害できるため、その後に付着させるインク組成物の着弾干渉、滲みを防止でき、ラインや微細像などを均質に描画できる。そのため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。また、インク組成物に含まれる樹脂と反応剤とが速やかに反応することで、臭気を低減することもできる。
このような反応性の高い樹脂とするためには、特に制限されるものではないが、(1)アニオン性官能基を表面に導入したアニオン性樹脂としたり、(2)酸価5mgKOH/g以上(好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは40mg/KOH以上)の樹脂としたり、(3)乳化剤によらない自己分散型樹脂とすることが好ましい。ここで、「アニオン性樹脂」とは、樹脂全体として、負電荷を有する樹脂をいう。また、「自己分散型樹脂」とは、分散剤が不要で、それ自身で分散できる樹脂をいう。
樹脂の材質としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
樹脂の形態としては、樹脂粒子(樹脂エマルジョン)や水溶性樹脂を用いることができるが、前述の効果の点では樹脂粒子(樹脂エマルジョン)が好ましい。
これらの中でも、表面にアニオン性官能基を有するアニオン性樹脂エマルジョンは、反応性をより高くする(反応に関する体積を小さくする)ことができ、静電相互作用により反応剤と速やかに結合できる点で好ましい。アニオン性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またはこれらに由来する基等が挙げられる。
本明細書において、「酸価」とは、樹脂固形分1gを中和するのに必要なKOHのmg数を意味し、JIS K0070に記載の方法、例えば電差滴定法により測定することができる。
樹脂の固形分含有量は、インク組成物の全質量に対して、下限値は反応剤と充分に反応させる点で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上である。一方、上限値は、インク組成物の保存安定性や吐出安定性の点で、好ましくは13質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
<その他の成分>
本実施形態で用いられるインク組成物は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
1.1.3.各インク組成物の物性
本実施形態で用いられる反応液及びインク組成物(本明細書において「各インク組成物」ともいう。)は、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が18mN/m以上35mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態で用いられる各インク組成物の20℃における粘度
は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る記録方法は、インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、前記反応液付着工程は、ライン型のインクジェットヘッドから吐出して付着を行うものであることを特徴とする。
以下、本実施形態に係る記録方法について、上記の工程ごとに詳細に説明する。
1.2.1.反応液付着工程
反応液付着工程は、記録媒体の記録領域に対して、ライン型のインクジェットヘッドからインク組成物を凝集または増粘させる反応剤を含有する反応液を吐出して付着させる工程である。記録媒体の記録領域に予め反応剤を付着させておき、当該反応剤とインク組成物とを接触させると、インク組成物に含まれる成分(例えば着色剤や樹脂)と反応剤とが反応する。そうすると、インク組成物中の着色剤や樹脂の分散状態が破壊され、着色剤や樹脂が凝集したり、インク組成物が増粘したりする。これにより、着色剤の記録媒体への浸透を阻害できるため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。
第2実施形態における反応液付着工程は、記録媒体の記録領域に対して、ライン型のインクジェットヘッドから反応液を吐出して付着させる。ライン型のインクジェットヘッドは、ヘッドの長手方向(走査の方向と交差する方向)の長さが、記録媒体のこの方向の記録領域の長さ以上の長さを有するヘッドである。反応液をライン型のインクジェットヘッドから記録媒体上に塗布することにより、反応液の塗布量や塗布領域の制御を容易に行うことができる。記録媒体に対するライン型のインクジェットヘッドの相対的な位置を変化させつつ反応液を記録媒体に対して吐出する走査により記録が行われることが好ましい。記録に際して、1つの画像を記録するために行われる走査の回数は1回以上であり、上限は限るものではないが20回以下が好ましく。10回以下がより好ましく、5回以下がさらに好ましく、3回以下さらには2回以下が特に好ましい。少ない走査の回数により反応液を記録媒体に対して吐出する場合、生産性が大幅に向上する。ライン型のインクジェットヘッドから反応液を吐出すると、ノズル数が比較的多く、反応液がミストとなってインクジェット記録装置内を浮遊するため、反応液の部材アタック性が強い場合、インクジェット記録装置内の部材を腐食させるおそれがあった。このような課題に対して、多価金属塩と水とを含有する反応液のpHを7以上10以下とすることで、当該反応液がミストとなってインクジェット記録装置内を浮遊したとしても、インクジェット記録装置内の各部材の腐食を抑制できることが明らかとなったのである。
第2実施形態における反応液付着工程において、反応液付着工程の走査速度は、5m/分以上であることが好ましい。また、走査速度の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは50m/分以下、より好ましくは40m/分以下、さらに好ましくは30m/分以下、特に好ましくは20m/分以下、一層好ましくは15m/分以下である。反応液付着工程の走査速度が5m/分以上であることにより記録速度が速くなる一方でミストも発生しやすくなるが、第2実施形態に係る記録方法によればたとえミストが発生してもインクジェット記録装置内の各部材の腐食を抑制できることから、生産性向上と機内腐食抑制の点で好ましい態様となる。
<ライン型インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置>
以下、第2実施形態で使用されるライン型インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置の一例について図面を参照しながら説明する。図3は、第2実施形態で使用されるライン型インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置の構成を模式的に示す説明図である。
図3に示すように、インクジェット記録装置200は、記録媒体111をプラテン112上に搬送する搬送ローラー113と、搬送ローラー113を回転駆動するステップモーター114と、ガイドレール115により記録媒体111の搬送方向(図3の矢印方向)に対して直角方向に移動可能に取り付けられ搬送された記録媒体111にインク滴を吐出するラインヘッド120と、記録媒体111の搬送方向に対して直角方向にラインヘッド120を振動させる振動素子(図示せず)と、インクカートリッジ135と、装置全体をコントロールするコントローラー140とを備える。
振動素子は、例えば、PZTなどの圧電素子(電歪振動子)により形成されており、ラインヘッド120に取り付けられている。したがって、振動素子を振動させることにより、ラインヘッド120をガイドレール115に沿って記録媒体111の搬送方向に対して直角方向に振動させることができる。ただしこの直角方向に振動させることは必須ではない。
コントローラー140は、CPU141を中心としたマイクロプロセッサーとして構成されており、CPU141の他に、各種処理プログラムを記憶するROM142と、データを一時的に記憶するRAM143と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリー144と、外部機器と情報のやり取りを行なうインターフェイス(I/F)145と、図示しない入出力ポートと、を備える。
RAM143には、印刷バッファー領域が設けられており、この印刷バッファー領域には、ユーザーPC146からインターフェイス(I/F)145を介して受信した印刷用データを記憶することができるようになっている。コントローラー140には、操作パネル147からの各種操作信号などが入力ポートを介して入力されており、コントローラー140からは、ラインヘッド120への駆動信号やステップモーター114への駆動信号、操作パネル147への出力信号などが出力ポートを介して出力されている。
なお、操作パネル147は、ユーザーからの各種の指示を入力すると共に状態を表示出力するためのデバイスであり、図示しないが、各種の指示に対応する文字や図形または記号が表示されるディスプレイやユーザーが各種操作を行なうためのボタン類が設けられている。
図4は、ラインヘッドの構造を模式的に示す平面図である。ラインヘッド120は、図4に示すように、搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたノズル列121a、121b、121c、121dを備え、搬送される記録媒体111の幅以上の記録領域を有しており、搬送される記録媒体111に対して、一括して1行分の画像を記録できるようになっている。また、記録媒体を搬送させて行う走査を1回行った後、記録媒体を搬送方向の逆方向に戻して再度搬送させて再度走査を行うことで2回以上の走査を行う記録を行うこともできる。この場合、走査と走査の間に、搬送方向に対する直角方向のヘッドの位置を異ならせ、異なる位置で2回目以降の走査を行うことで、直角方向の記録解像度を高めることも可能である。この場合、特に上述のヘッドの振動は行わなくてもよい。また上述のヘッドの振動も直角方向のヘッドの位置を異ならせることも行わない場合も、2回以上の走査を行うことで、記録媒体に対する反応液やインクの付着量を増やすことができる。さらに、走査は、させながら行うものであればよく、プラテン領域に固定された記
録媒体に対してヘッドが移動しつつ走査が行われるものでもよい。このような記録方法としては例えば、特開2009−90635公報に記載されたものなどがあげられる。記録媒体の搬送やヘッドを搭載したキャリッジの移動などが、ヘッドと記録媒体の相対的な位置の変化である。
また、ラインヘッド120のインクの吐出方式としては、図3の例では、図示しない振動素子を用いてラインヘッドのインク圧力室内に生じる圧力を利用してインクの液滴を吐出する方式を採用しているが、これに限定されず、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等の各種方式を適用することができる。
インクジェット記録装置200では、例えばノズル列121a、121b、121c、121dを順次用いて記録媒体上に各インク組成物を吐出して付着させる。第2実施形態では、最も上流側にあるノズル列121aから反応液を吐出して、残りのノズル列121b、121c、121dから各色のインク組成物を吐出するようにするとよい。なお、ラインヘッド120は、この構成に限らず、1つのノズル列を有するライン型のヘッドを複数並設して構成されてもよい。この場合において、ライン型のヘッド間の間隔を空ける構成としてもよい。
第2実施形態に係る記録方法によれば、ノズル列121aから反応液を吐出した場合、多価金属塩と水とを含有する反応液のpHを7以上10以下とすることによって、当該反応液がミストとなってインクジェット記録装置200内を浮遊した場合であっても、インクジェット記録装置内の部材の腐食を抑制できる。
<その他の構成>
記録媒体、記録条件、反応液等のその他の構成については、前述の第1実施形態と同様である。
1.2.2.インク組成物付着工程
インク組成物付着工程は、反応液付着工程の後、記録媒体の記録領域に対して、インク組成物を付着させる工程である。付着は、限るものではないがインクジェットヘッドからインク組成物を吐出して付着させることが好ましい。また、上述したライン型のインクジェットヘッドからインク組成物を付着させる工程とすることが、記録の生産性の点で好ましい。インク組成物付着工程は、インクジェット記録用ヘッドのノズルからインク組成物の液滴を吐出させて、上述した記録媒体の反応液を付着させる記録領域に付着させることにより、当該記録領域に画像を記録するものが好ましい。これにより、記録媒体の記録領域にインク組成物からなる画像が形成される。
第2実施形態におけるインク組成物付着工程の1形態は、ライン型のインクジェットヘッドからインク組成物を付着させる点以外は、上述の第1実施形態におけるインク組成物付着工程と同様である。
2.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
2.1.各インク組成物の調製
<反応液の調製>
表1の配合割合になるように各成分を混合攪拌した後、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各反応液(H1〜H12)を調製した。表1中の数値は、全て
質量%を示し、イオン交換水は反応液の全質量が100質量%となるように添加した。
<カラーインク組成物の調製>
表1の配合割合になるように各成分を混合攪拌した後、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、カラーインク組成物(C1)を調製した。表1中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はインク組成物の全質量が100質量%となるように添加した。
<各インク組成物の組成及び物性>
上記で得られた各インク組成物の組成及び物性を下表1に示す。
Figure 2016199001
なお、表1において化合物名以外で記載した成分は、以下の通りである。
<色材>
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
<界面活性剤>
・シリコン系界面活性剤(商品名「BYK−348」、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
<樹脂>
・ポリエチレン樹脂(商品名「AQUASER507」、ビックケミー・ジャパン株式会社製、平均粒子径:50nm、Tg:60℃)
2.2.記録方法
記録装置1としてSurePressL−4033A(セイコーエプソン株式会社製)を改造したものを用いた。主な改造点は、ラインヘッドを固定配置し記録媒体を搬送させながら記録するラインプリンターとした点、インク組成物ヘッドよりも記録媒体搬送方向の上流側に同様のラインヘッドを配置しこれを反応液ヘッドとした点である。ヘッドは1ヘッドユニット(記録媒体幅方向のノズル間距離600dpi、ノズル数600個)を、記録媒体の幅方向に複数個並べてラインヘッドとして構成した。ヘッドはヘッド内のインクが通過する流路の製造(接着)にエポキシ接着剤(商品名「EP330」、セメダイン株式会社製)を用いたものを用いた。
インク組成物ヘッドにカラーインク(C1)を充填し、反応液ヘッドに反応液のいずれかを充填し、記録媒体を搬送させながら1パス(1走査)で記録を行った。ヘッド下のプラテンはヒーターを作動せずにプラテンにおける記録媒体表面温度を25℃とした。インク組成物付着工程後、プラテンよりも下流側に配置されているアフターヒーターで記録媒体を50℃で加熱した。記録媒体はロール状記録媒体(商品名「キャスト73」、王子製紙株式会社製)として、これを搬送しつつ記録を行った。なお、インク組成物記録条件及び反応液記録条件は以下の通りであった。
<インク組成物記録条件>
・記録解像度(吐出する液滴の密度):600×600dpi
・インク付着量:7mg/inch
<反応液記録条件>
・記録解像度:表2中に記載。
・反応液付着量:約2.2mg/inch
・ドットサイズ(吐出液滴当たりの液量):表2中に記載。
・反応液インク間ウエイト:
・・表2〜表3中の反応液インク間ウエイトが5秒の例は、記録媒体搬送速度を7m/分とし、インク組成物ヘッドと反応液ヘッド間の距離を調節して反応液の付着の完了からインクの付着の開始までの時間間隔を5秒とした。その距離は約60cmであった。
・・表3中の反応液インク間ウエイトが30秒の例は、記録媒体搬送速度を5秒の例よりも遅くして約1.2m/分とした。記録物の記録解像度は変えていないので吐出周波数を低くする制御も行った。
<記録装置2>
記録装置2は、反応液ヘッドをエポキシ系接着剤の代わりにシリコーン系接着剤(商品名「TSR1512」、モメンティブ社製)を用いて製造したヘッドとしたこと以外は記録装置1と同様とした。
<記録装置3>
記録装置3としてシリアル型プリンターPX−H8000(セイコーエプソン株式会社製)を改造して用いた。主な改造点は、キャリッジに記録装置1で用いたヘッドユニット
をキャリッジ移動方向に2個並べて配置した点である。インク組成物と反応液をそれぞれ1ヘッドユニットに充填した。記録装置3では、キャリッジ移動しながらの液滴吐出(走査)と記録媒体をキャリッジ移動方向と交差する方向に移動する副走査を何度も行うことで記録が行われる。まず反応液のみ吐出する走査を行い、反応液間ウエイトを5秒になるよう停止時間を設けてから次の走査でインク組成物の吐出を行い、記録媒体を所定の距離、副走査(搬送)させ、これを繰り返して記録を行った。
2.3.評価試験
<部材アタック性>
各例ごとに記録装置のヘッドに用いている接着剤と同じものを硬化させたサンプル片を0.3g用意し、これを反応液を入れたガラス容器中に完全に浸漬させ蓋をし、60℃環境に20日間放置した。放置後、接着剤片を取り出し、反応液をよく洗い流した後、重量を測定した。そして、接着剤片の膨潤率を下記式により算出して評価した。評価基準は下記の通りである。膨潤率が低いと、ヘッドなどの接着剤を用いて接着した部品がプリンター使用中に剥離してヘッドの劣化、破損の原因となることがなく好ましい。この膨潤率は、長期ヘッド耐久性とも関係する。
膨潤率(%)={(投入後重量−投入前重量)/投入前重量}×100
(評価基準)
○:膨潤率が30%未満。
×:膨潤率が30%以上。
<機内腐食>
ラインヘッドの中央付近のヘッドユニットの側面に鉄製の1cm×1cmのプレートを貼り付けた。記録媒体に3cm×3cmのテストパターンを記録媒体の縦横に各1cmの間隔を空けて並べて記録し、連続して60分間記録する記録セットを1日に8セット行い、これを合計で100日間行った。記録媒体の幅方向の記録領域は約20cmとした。完了後、プレートを剥がして水で洗い乾かした後、表面を目視で観察した。なお、記録装置3を用いた場合には、走査と副走査を何度も行うことで同様の記録媒体に同様のテストパターンを記録した。反応液ヘッドユニットの側面に同様のプレートを貼り付けた。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:金属光沢感が試験前と変わっていない。
○:金属光沢感が低下しているが錆の発生はない。
×:錆の発生が見られる。
<ベタ画質>
機内腐食と同じ条件で記録を行いパターンを目視で観察した。目視での観察は、パターンにブリードにより色が不均一に見えるか否かを判断のポイントとした。
(評価基準)
○:30cm離れると見えない。非常に良好。
△:30cm離れると薄ら見えるが、100cm離れると見えない。良好。
×:100cm離れても見える。抜け有り。不良。
<印刷物耐久性>
ベタ画質の評価で得られた記録物について、学振型摩擦堅牢度試験機(装置名「AB−301」、テスター産業株式会社製)を用いて耐久性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録領域を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重500gをかけて100往復擦った。
(評価基準)
○:白綿布に汚れはあるが、画像の剥がれがない。非常に良好。
△:画像に若干の剥がれが認められる(20%未満)。良好。
×:画像がかなり剥がれている(20%以上)。不良。
<吐出液変動(長期ヘッド耐久性)>
機内腐食評価と同様の記録を合計200日行った。1日目の終了時と最終日の終了時に、中央付近の1ヘッドについて吐出する反応液の液滴当たりの平均液滴量(質量)を測定した。平均液滴量の測定は、連続吐出させた合計液量を測定し、それを吐出数で割り算した。1日目の平均液滴量に対する最終日の平均液滴量の変化率(%)を計算した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
○:平均液滴量の変化率が1%未満である。
△:平均液滴量の変化率が1%以上5%未満である。
×:平均液滴量の変化率が5%以上10%未満である。
××:平均液滴量の変化率が10%以上である。
2.4.評価結果
上記の記録方法及び評価試験に基づいて、実施例1〜12、比較例1〜3及び参考例1〜2を実施した。実施例1〜12、比較例1〜3及び参考例1〜2の記録方法及び評価結果を下表2〜下表3に纏めた。
Figure 2016199001
Figure 2016199001
表2及び表3に示した実施例1〜12の記録方法によれば、部材アタック性及び機内腐食が良好であることが判明した。なお、実施例6では、反応液中の反応剤濃度が低いため、反応剤とインク組成物中の成分との反応が不十分となり、ベタ画像の画質が低下する傾向が認められた。一方、実施例7では、反応液中の反応剤濃度が高いため、反応剤が記録媒体上に定着し難く、印刷物耐久性が不良となった。
実施例8〜10では、反応液の粘度や表面張力の影響により、安定吐出できず記録の途
中で吐出しなくなったノズルが発生した。テストパターンを観察したところ、吐出しないノズルが記録中、不意に発生しており、これにより平均液滴量が一定とならなかったものと推測される。そのため、実施例8〜10では、吐出量変動の評価にはなっていないものと思料する。
実施例11では、反応液のドットサイズが大きいため、均一塗布できずベタ画像の画質が低下する傾向が認められた。記録解像度を下げて反応液付着量は変えていないにもかかわらずベタ画質が低下する傾向が見られた。大きな液滴で液滴密度を下げて付着させると反応液が均一に塗布できず画像中のインクドットに反応液との接触、反応が不十分なものが生じたと推測する。一方、ミスト化し難く機内汚染は低減された。このことから、高画質が得られるがミスト化しやすい小ドットの場合に本発明が特に有用であることがわかった。
実施例12では、反応液インク間ウエイトが30秒であるため、反応液が記録媒体中に浸透してしまい、ベタ画質が低下する傾向が認められた。一方、結果的に吐出の時間間隔が長くなりミストが広い範囲に拡散しやすくヘッド付近に滞留し難いためか、機内汚染(腐食)は低減する傾向が見られた。記録媒体搬送速度が速いほど記録物の生産性が向上し好ましいが、ミストが増加し機内汚染が課題となりやすいことがわかった。このことから、反応液インク間ウエイトが短く、ミストが増加しやすい場合に、本発明が特に有用であることがわかった。
また、反応液インク間ウエイトが短い方がベタ画像の画質が良好となる傾向があるが、時間が長いほど記録媒体中へ反応液が浸透してしまい、反応剤とインク組成物中の成分との反応ができなくなると推測される。反応液インク間ウエイトは、搬送速度やヘッド間距離などによって変わってくるが、反応液インク間ウエイトが短い方がベタ画像の画質が良好となる点で好ましい。
比較例1及び比較例3では、反応液のpHが7未満であることにより、部材アタック性及び機内腐食の点で不良となり、ヘッド劣化による吐出特性の変動も認められた。比較例3では、反応液のドットサイズが大きいことにより、吐出特性の変動は減少傾向にあった。このことから、反応液のドットサイズが小さく、画質を一層良好にしたい場合に、本発明は特に有用であることがわかった。一方、比較例2では、反応液のpHが10超であることにより、部材アタック性の点で不良となり、ヘッド劣化による吐出特性の変動も認められた。
参考例1は、pHが7未満(pH=3)の反応液及び上記記録装置2を使用した例である。記録装置2では、シリコーン系接着剤(商品名「TSR1512」、モメンティブ社製)を用いて製造したヘッドを使用しているが、酸性の反応液を用いても部材アタック性は良好であることがわかった。一方、ヘッドの耐久性が劣るために長期の液滴の吐出量が変動したと推測される。
参考例2は、pHが7未満(pH=3)の反応液及び上記記録装置3を使用した例である。上記記録装置3は、ヘッドユニット数が少ないことや走査の合間に反応液を吐出しない時間が生じミストが拡散されヘッド付近に滞留しないためか、あるいはヘッドが移動する構造であるためか、機内腐食は低減したが、記録速度が明らかに遅かった。このことから、ライン型インクヘッドを備えたラインプリンターで高速記録を行う場合に本発明は特に有用であることがわかった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及
び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構
成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…流路形成基板、12…圧力発生室、13…連通部、14…インク連通路、15…インク供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル開口、30…保護基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバ部、35…接着層、40…コンプライアンス基板、60…下電極膜、70…圧電体層、80…上電極膜、90…リード電極、100…リザーバ、300…圧電素子、111…記録媒体、112…プラテン、113…搬送ローラー、114…ステップモーター、115…ガイドレール、120…ラインヘッド、121a・121b・121c・121d…ノズル列、135…インクカートリッジ、140…コントローラー、141…CPU、142…ROM、143…RAM、144…フラッシュメモリー、145…インターフェイス、146…ユーザーPC、147…操作パネル、200…インクジェット記録装置

Claims (10)

  1. インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
    インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
    前記反応液付着工程は、インクジェットヘッドへ反応液を供給する反応液流路とヘッド内の反応液と接触する部材の少なくとも一部にエポキシ系接着剤が用いられ、前記インクジェットヘッドから反応液を吐出して記録媒体へ付着させる、記録方法。
  2. インク組成物を記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程と、
    インク組成物の成分を凝集または増粘させる反応剤と、水と、を含有し、pHが7以上10以下である反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程と、を備え、
    前記反応液付着工程は、ライン型のインクジェットヘッドから吐出して付着を行うものである、記録方法。
  3. 前記反応液の表面張力が、20℃において18mN/m以上35mN/m以下である、請求項1または請求項2に記載の記録方法。
  4. 前記反応液の反応剤の濃度が、0.05mol/L以上0.9mol/L以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の記録方法。
  5. 前記反応液の粘度が、20℃において2mPa・s以上10mPa・s以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の記録方法。
  6. 前記反応液付着工程において、吐出される反応液の液滴(1dot)当たりの質量が10ng/dot以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の記録方法。
  7. 前記反応液付着工程の走査速度が5m/分以上である、請求項2ないし請求項6のいずれか一項に記載の記録方法。
  8. 前記反応液の付着の完了から20秒以内にインク組成物の付着の開始を行う、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の記録方法。
  9. 前記反応剤が、多価金属塩であり強酸とアルカリの塩である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の記録方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の記録方法を行うための、インクジェットヘッドを備える記録装置。
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