JP6589340B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
記録媒体へ樹脂を含む樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、
前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、
前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、樹脂を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、を含む。
前記記録媒体は、低吸収性記録媒体又は非吸収性記録媒体であってもよい。
前記クリアインクは、前記樹脂の分散体を含む水系のクリアインクであってもよい。
前記樹脂液が、前記樹脂の分散体を含む水系の樹脂液であってもよい。
前記樹脂液に含む樹脂及び前記クリアインクに含む樹脂は、同種の樹脂であってもよい。
前記記録媒体に付着した前記反応液の揮発成分の残存率が50質量%以上の状態で前記着色インクの付着の開始が行われてもよい。
前記反応剤は、金属塩、有機酸、カチオン性化合物の少なくとも一種を含んでもよい。
前記着色インクは、樹脂を含む、水系の着色インクであってもよい。
前記樹脂液に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含んでもよい。
前記クリアインクに含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含んでもよい。
前記樹脂液付着工程は、前記樹脂液を付着させた領域の前記樹脂の付着量が、0.05mg/inch2以上0.5mg/inch2以下の樹脂液付着工程を含んでもよい。
前記反応液付着工程は、前記反応液を付着させた領域の前記反応液に含まれる前記反応剤の付着量が、0.01mg/inch2以上0.1mg/inch2以下の反応液付着工程を含んでもよい。
前記クリアインク付着工程は、クリアインクを付着させた領域の前記クリアインクの付着量が、0.5mg/inch2以上3mg/inch2以下であるクリアインク付着工程を含んでもよい。
前記クリアインクの樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下であってもよい。
適用例1ないし適用例14のいずれか一例のインクジェット記録方法に用いるものであって、
樹脂を含む樹脂液と、
色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、
着色インクと、
樹脂を含むクリアインクと、
を含む。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体へ第1樹脂を含む樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、前記着色インクを付着させた領域へ、第2樹脂を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、を含む。
樹脂液付着工程は、記録媒体へ第1樹脂を含む樹脂液を付着させる工程である。樹脂液は、記録媒体の全面に付着されてもよいし、記録媒体の一部に付着されてもよい。本工程により第1樹脂が記録媒体の表面に付与され、記録媒体の表面の濡れ性を向上させたり、記録媒体への液体(反応液)の浸透を抑制することができる。これにより、記録媒体の表面付近に反応液を留める効果、記録媒体上での反応液の濡れ拡がり性を向上する効果の少なくとも一方が得られる。これにより反応液に塗りむらが発生することが無く、反応液に対して着色インクが接触しやすくなり、着色インクの成分の凝集又は増粘を生じやすくすることができる。
ーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート、インクジェット法等の各種方法を利用でき、樹脂液の付着量や、記録媒体のサイズ、装置構成等を考慮して適宜選択することができる。
本明細書における非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、インクを全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
ット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。
反応液付着工程は、上記の樹脂液付着工程の後に、反応剤を含む反応液を、樹脂液を付着させた領域へ、付着させる工程である。反応液は、樹脂液が付着された領域全体に付着される必要はなく、記録媒体には樹脂液のみが付着された領域が残ってもよい。反応剤は、着色インク(後述)に含まれる色材や、着色インクに含まれ得る樹脂分散剤(第3樹脂)と反応(相互作用)することで、色材を凝集させる機能や着色インクを増粘させる作用を有する。すなわち、反応剤は、着色インクの成分を凝集又は増粘させ、色材の凝集により発色性を高め、印刷ムラを低減し、増粘により画像におけるブリードや滲みを抑制することができる。これにより記録される画像の印刷ムラ等を抑制することができる。
う乾燥であってもよい。反応液の加熱方法は、特に限定されるものではないが、樹脂液の加熱の説明で挙げたものと同様の方法を利用できる。なお反応液を乾燥させる工程を有する場合には、着色インクの定着の形状が粒状となりにくいため、例えばクリアインク付着工程におけるクリアインクの付着量を少なくできる場合がある。しかし、加熱乾燥工程は、使用する装置が大型化したり、使用するエネルギーが大きくなる。
着色インク付着工程は、上述した反応液付着工程の後に、色材を含むインクジェット記録用の着色インクを用いて、反応液を付着させた領域へ、画像を記録する工程である。着色インクは、反応液が付着された領域全体に付着される必要はなく、記録媒体には樹脂液及び反応液が付着された領域が残ってもよい。これにより、着色インクに含まれる色材等と反応剤が反応することで、記録媒体の表面において色材が凝集するので、記録される画像の発色性などを向上できる。さらに、着色インクは、反応液が均一に塗布(付着)された記録媒体の表面に付着するので、着色インクと反応剤との反応(相互作用)を行わせることができる。これにより、記録される画像の印刷ムラ等の発生を抑制できる。さらに、着色インクに第3樹脂が含まれる場合には、反応剤と接触することにより増粘することができ、これにより記録媒体におけるインク滴間の成分の拡散が抑制され、ブリードや滲みを低減することができる。
であり、最終的に得られる記録物においては付着した付着物が必ずしも全て残存しているとは限らない。
上記式中、Afは記録媒体へ付着させる反応液の合計の付与量(吐出量[mg])である。また、Aeは、記録物を使用するのに十分な状態まで反応液を乾燥(揮発)させた状態の記録媒体上の反応液の残留物量[mg]である。さらに、Aは、着色インクの付着直前の記録媒体上の反応液の総質量[mg]である。
限定されず、例えば、静電吸引方式、ピエゾ方式、サーマルジェット方式等であればよい。また、ノズルと媒体の相対位置を変化させる方式として、いわゆるシリアル型であってもライン型であってもよい。なお典型的なインクジェット記録装置としては、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、及びキャリッジを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルを有しており、ノズルは付属又は別体のインクカートリッジ(インク収容容器)に連通して、係るカートリッジのインクを吐出する。そして、例えば少なくとも1つのインクカートリッジに、それぞれ色相の異なる着色インクを充填して使用してもよい。また、インクジェット記録装置は、着色インクの他に各種のインク(例えば、樹脂液、反応液、クリアインク等をインクジェット法によって付着させる場合には、それぞれをインクとして記録装置に導入する。)を吐出できるように構成してもよい。このようなインクジェット記録装置を用いれば、着色インクを容易に記録媒体に吐出して付着(付与)することができ、記録媒体に対して所定の画像ないしはパターンを形成することができる。
クリアインク付着工程は、上述した着色インク付着工程の後に、あるいは、着色インク付着工程と同一時に、あるいは、着色インク付着工程の前に、第2樹脂を含むクリアインクを、反応液を付着させた領域へ、付着させる工程である。クリアインクは、着色インクが付着された領域のみに付着される必要はなく、記録媒体の全面や、着色インクの付着されていない領域に付着されてもよい。着色インク付着工程と同一時にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、ノズルを有するヘッドと記録媒体との相対的な位置を変化させながらノズルからインクを吐出して記録媒体へ付着させる走査(パス)を複数回行うことで、ヘッドと対向する記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出し記録媒体へ付着させる走査と同じ走査にてクリアインクを吐出して同じ記録領域へクリアインクを付着させるような走査が行われる形態である。着色インク付着工程の後にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、複数回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出し記録領域への着色インクの付着が終わった後、クリアインクを吐出して当該記録領域へのクリアインクの付着が行われる形態や、1回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出するノズルよりもクリアインクを吐出するノズルが走査の方向の下流側に配置されている形態である。着色インク付着工程の前にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、複数回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、クリアインクを吐出し記録領域へのクリアインクの付着が終わった後、着色インクを吐出して当該記録領域への着色インクの付着が行われる形態や、1回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、クリアインクを吐出するノズルよりも着色インクを吐出するノズルが走査の方向の下流側に配置されている形態である。このうち、着色インク付着工程の後に、あるいは、着色インク付着工程と同一時に、クリアインク付着工程を行うことが、本実施形態の効果を一層奏する点で好ましく、着色インク付着工程の後に、クリアインク付着工程を行うことが、より好ましい。
いる。
本実施形態のインクジェット記録方法によれば、記録媒体に樹脂液付着工程により樹脂液を付着させることで、記録媒体表面の濡れ性を向上させたり、記録媒体の吸収性を抑制することができる。これにより、記録媒体に対して、反応液を濡れ拡がり性よく付着させ、十分な反応を起こすことができる。また、反応液を記録媒体の表面に留めることができる。そして、反応液付着工程により付着される反応液により、着色インクの成分の凝集や、着色インクの増粘を生じさせることができ、これにより、記録媒体に対して、発色性が良く、印刷ムラが抑制された画像を形成することができる。さらに、クリアインク付着工程により、第2樹脂が付着されることにより、係る画像を耐擦過性、耐湿摩擦性に優れたものとすることができる。
2.1.樹脂液
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、樹脂液付着工程では樹脂液を使用する。以下、樹脂液付着工程に使用される樹脂液に含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
樹脂液付着工程で使用される樹脂液は、樹脂を含有する。樹脂液に含有する樹脂を第1樹脂ともいう。第1樹脂は、記録媒体の表面の表面張力を低下させたり、記録媒体の表面に記録される画像の密着性を向上させて耐擦性を良好する等の機能を備える。また、第1樹脂は、低吸収性の記録媒体の場合には記録媒体の表面の細孔を閉塞して反応剤が記録媒体にしみ込んでしまうことを抑制する機能を備える。すなわち、第1樹脂は記録媒体の表面付近に反応剤を留める機能を有する。
0(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂液は、水を含有してもよい。水は、樹脂液の主となる媒体として機能し、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、樹脂液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
本実施形態に係る樹脂液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する樹脂液の密着性を高める機能、保湿剤としての機能などを備える。
本実施形態に係る樹脂液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る樹脂液を、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、樹脂液をインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、反応液の20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、反応液付着工程には、反応液を使用する。以下、反応液に含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
本実施形態に係る反応液は、反応剤を含有する。反応剤は、着色インクに含まれる色材、着色インクに含まれ得る顔料分散体及び/又は樹脂と反応することで、色材を凝集させるという機能を有する。これにより、着色インクにより記録される画像の発色性等を向上させることができる。また、反応剤は、着色インクに含まれ得る顔料分散体及び/又は樹脂と反応することで、着色インクの粘度を高める(増粘)ことができる。これにより、着色インクの滲みやブリードを軽減させることができる。
Q−101、Q−311、Q−501、ハイマックス SC−505、SC−505(商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
本実施形態に係る反応液は、水を含有してもよい。好ましく用いられる水としては、樹
脂液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。反応液に含まれる水の含有量は、反応液の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態に係る反応液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する反応液の密着性や濡れ性を高める機能などを備える。有機溶剤としては、樹脂液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る反応液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、反応液の表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る反応液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、樹脂等を含有してもよい。
本実施形態に係る反応液を、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、反応液をインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、反応液の20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、着色インク付着工程では、インクジェット記録用の着色インクを用いて画像を形成する。以下、着色インク付着工程に使用される着色インクに含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
本実施形態に係る着色インクは、色材を含有する。色材としては、上述した反応液に含まれる反応剤との反応性が優れているという観点から、顔料及び酸性染料を好ましく用いることができる。
2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス3
5、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(DegussaAG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、
5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(ColumbianCarbonJapanLtd)製)、コロンビアンケミカルズ(ColumbianChemicals
)製、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(CabotCorporation)製)が挙げられる。
色材として顔料を使用する場合には、顔料は、着色インクに適用するために、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにすることが好ましい。その方法としては、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理
された顔料を「樹脂分散顔料」ということがある。)、分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「分散剤分散顔料」ということがある。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは分散剤なしで水中に分散及び/又は溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」ということがある。)等が挙げられる。
本実施形態に係る着色インクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、樹脂液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、着色インクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態に係る着色インクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する反応液の密着性を高めたり、インクジェット記録装置のヘッドの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る着色インクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、反応液の表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る着色インクは、樹脂を含有してもよい。着色インクに含む樹脂を第3樹脂とも言う。第3樹脂は、記録される画像の密着性、耐擦性等の物理的強度を向上させることができる。また、上述の樹脂分散剤を用いる場合には、その全部又は一部を第3樹脂とみなしてもよい。この場合には、第3樹脂は、顔料の分散剤としても機能する。
本実施形態に係る着色インクは、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る着色インクは、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、クリアインク付着工程ではクリアインクを使用する。以下、クリアインクに含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。クリアインクは、着色に用いる着色インクではないものであり、インクに対する色材の含有量は0.5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下である。色材を含まないものでもよい。
クリアインク付着工程で使用されるクリアインクは、樹脂を含有する。クリアインクに含む樹脂を第2樹脂とも言う。第2樹脂は、記録媒体に付着した着色インクの成分をコーティングし、着色インクが記録媒体から脱落しにくくする。これにより画像の耐擦過性を高める機能を有する。また、第2樹脂の存在により、着色インクが外部からの水分等に接触しにくくなるので、耐湿摩擦性も付与することができる。さらに、クリアインク付着工程の後、第2樹脂を溶融させる工程を含む場合には、記録媒体の表面に第2樹脂の被膜を形成することができ、さらに高品位な記録物とすることができる。本実施形態において、
前述の樹脂液付着工程を行った記録媒体へ、反応液付着工程と着色インク付着工程を行うと、記録物の耐擦過性や耐湿摩擦性が劣る傾向が見られたが、クリアインク付着工程により記録物の耐擦過性や耐湿摩擦性を優れたものにできる。
本実施形態に係るクリアインクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、樹脂液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、クリアインクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態に係るクリアインクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、第1樹脂に対する第2樹脂の密着性を高めたり、クリアインクの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
本実施形態に係るクリアインクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、クリアインクの表面張力を低下させ濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、クリアインクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る樹脂液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
本実施形態に係るクリアインクを、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、クリアインクをインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、クリアインクの20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
本実施形態のインクセットは、上述の第1樹脂を含む樹脂液と、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、上述の着色インクと、第2樹脂を含むクリアインクと、を含む。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
表1の配合割合になるように各成分を混合、攪拌して、樹脂液を得た。表1中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は樹脂液の全質量が100質量%となるように添加した。なお、表1において化合物名で記載した成分は試薬を入手し、化合物名以外で記載した成分は、以下の通りとした。いずれの表も固形分成分は固形分の質量に基づく。
・D4200(商品名:レザミンD−4200、大日精化工業株式会社製、水系ウレタンエマルジョン)
・BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
表1に記載した各樹脂液は、第1樹脂として、表中の物を含んでいる。
表2の配合割合になるように各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、反応液を調製した。表2中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は反応液の全質量が100質量%となるように添加した。表2に記載した各反応液は、反応剤として、硫酸マグネシウム(多価金属塩)、マレイン酸(有機酸)、又は硫酸ナトリウム(無機酸金属塩)を含んでいる。
表3の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、着色インクを調製した。着色インクの調製にあたって、顔料、樹脂分散剤及び水を含有する顔料分散液をあらかじめ作成して、顔料分散液と残りの成分とを混合した。表3中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は着色インクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3(シアン顔料)を用いた。
表4の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、クリアインクを調製した。表4中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はクリアインクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、表4に記載した各クリアインクは、第2樹脂として、表中の物を含んでいる。
また、以下の評価試験では、非吸収性の記録媒体として、ポリプロピレンフィルム(商品名「SY51M」、UPM RAFLATA社製、表では「記録媒体1」と省略して記載した)、低吸収性の記録媒体として、NPコート紙(商品名「NPコート」、リンテック社製、表では「記録媒体2」と省略して記載した)を使用した。
実施例及び比較例の作成条件及び評価結果を表5、表6に示した。各例において、樹脂液はコーターで、表5に示した塗布量で塗布して、60℃で10分加熱乾燥させ、指触でべたつきが無い程度に乾燥した。次いで、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の改造機に、上記で調製した反応液及び着色インクを1ノズル列/1液となるように充填した。プリンターの記録ヘッドのノズル列のノズル密度は300dpiとした。記録媒体をセットし、反応液を、表5、表6中の付着量で塗布した。パターンは10cm×10cmのベタパターンとした。付着後、記録媒体を戻して再びセットし着色インクを同じパターンに重ねて、付着量7mg/inch2で付与して印刷した。
4.6.1.画質
各例のサンプルの記録媒体の表面に記録されたベタパターンを目視にて確認して、印刷ムラ(ベタ埋まり性)の有無を判定した。評価基準は以下の通りである。
◎:白スジなし、印刷ムラがない
○:白スジなし、印刷ムラが確認できる
×:白スジ及び印刷ムラが確認できる
学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重500gをかけて塗膜が剥がれるまで、又は、50往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)のはがれ具合を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
☆:50往復擦っても塗膜が剥がれない
◎:30往復以上49往復以下で塗膜の剥がれが認められた
○:20往復以上39往復以下で塗膜の剥がれが認められた
△:10往復以上19往復以下で塗膜の剥がれが認められた
×:9往復以内に塗膜の剥がれが認められた
学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐湿摩擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、十分に蒸留水をしみ込ませた白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重10gをかけて700往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)の様子を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。なお、耐湿摩擦性評価は、水に対する耐久性評価であり、乾いた布による摩擦に対する耐久性(耐擦過性)とは異なる評価である。
○:ほとんど画像に変化が認められない
△:画像の色落ちが認められる
×:画像の色落ち及び塗膜の剥がれが認められる
反応液を付着完了させてから着色インクを付着開始させるまでの所要時間について、以下の基準で表5、表6に併記した。
○:30秒以内
△:30秒を越えた
以上の評価試験の結果を表5、表6に示す。
なった。
(2)実施例3と他の例を比較すると、反応液の反応剤は有機酸がより好ましいこと
(3)実施例1及び4をみると、反応液の反応剤は、多価金属塩であっても十分に良好な画質が得られること
(4)実施例1と7、及び8と10を比較すると、乾燥工程を行う場合、画質、耐擦過性の少なくとも何れかが向上する。これは反応液の揮発成分残存率が低いことにより、揮発成分残存率が高い場合の弊害が少ない為である。反面、乾燥工程を行うことにより印刷速度は低下する。このことから揮発成分残存率が高い場合、本実施形態が特に有用である。なお実施例1などの記録速度(所要時間)は約5秒であった。
(5)実施例1及び8並びに2及び9をみると、本発明の記録方法の画質向上の効果は、低吸収性の記録媒体に対してよりも、非吸収性の記録媒体に対してのほうが顕著となること
(6)比較例1をみると、樹脂液を使用していないので、密着性が低下し、また、反応液が弾かれて、画質が劣化すること
(7)比較例2をみると、反応液を使用していないため、着色インクの色材が凝集できず、画質劣化すること、並びに、着色インクの滴の凹凸は低減され、耐擦過性が実施例1よりも向上すること
(8)比較例3をみると、クリアインクを使用していないため、耐擦過性及び耐湿摩擦性が劣化すること。これは、第1樹脂があり、かつ反応剤が存在すれば、画質は良好となるが、反面、耐湿摩擦性が劣る傾向があった。第1樹脂と着色インクの間の密着性が、反応液に含む反応剤のために劣化したと推測される
(9)比較例4をみると、樹脂液を使用していないので、画質が劣化すること。これは、反応液が低吸収性の記録媒体2内に浸透して、反応剤と着色インクとが十分に接触できなかったためと考えられる
(10)比較例5をみると、反応液を使用していないので、画質が劣化すること。これは、着色インクの成分が、凝集できなかったためと考えられる。また、反応液を使用していないため、着色インク滴が粒状にならず、若干耐擦過性が向上すること
(11)比較例6をみると、クリアインクを使用していないので、耐擦性が劣化すること
(12)比較例7をみると、樹脂液を使用していないため、画質及び耐擦過性は悪化するものの、クリアインクを用いなくても、耐湿摩擦性は顕著には悪化しないこと
(13)比較例8をみると、反応液を用いず、樹脂液を用いると、画質及び耐擦過性は悪化するものの、耐湿摩擦性は顕著には劣化しないこと
(14)本発明に係るインクジェット記録方法によれば、樹脂液と反応液を共に用いており、画質及び耐擦過性が良好で、かつ、クリアインクを用いるため、耐湿摩擦性も良好となること
なお、実施例ではシリアルプリンターを用いて行ったが、本発明はラインプリンターを用いてもよいことは自明である。ラインプリンターの場合は、例えば、反応液を付着させるためのラインヘッドと、着色インクを付着させるためのラインヘッドと、クリアインクを付着させるためのラインヘッドとを備えて、搬送する記録媒体に対してそれぞれを付着(塗布)させればよい。樹脂液の付着は、樹脂液の付着用のラインヘッドをさらに備えてもよいし、ローラー塗布などにより、樹脂液を記録媒体に塗布し、当該記録媒体へ、反応液、着色インク、クリアインクの付着(塗布)を行ってもよい。ラインプリンターの場合、記録速度が特に速く、本実施形態が特に有用である。
Claims (13)
- 非吸収性の記録媒体へ樹脂の分散体を含む水系の樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、
前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液をインクジェット法により付着させる反応液付着工程と、
前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、
前記樹脂液に含まれる樹脂と同種の樹脂の分散体を含む水系のクリアインクをインクジェット法により付着させるクリアインク付着工程と、を含む、インクジェット記録方法。 - 非吸収性の記録媒体へ樹脂の分散体を含む水系の樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、
前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液をインクジェット法により付着させる反応液付着工程と、
前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、
樹脂の分散体を含む水系のクリアインクをインクジェット法により付着させるクリアインク付着工程と、を含み、
前記記録媒体に付着した前記反応液の揮発成分の残存率が50質量%以上の状態で前記着色インクの付着の開始が行われる、インクジェット記録方法。 - 請求項1又は請求項2において、
前記反応剤は、金属塩、有機酸、カチオン性化合物の少なくとも一種を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記色材は顔料であり、
前記着色インクは、樹脂を含む、水系の着色インクである、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記樹脂液に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記クリアインクに含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
前記樹脂液付着工程は、前記樹脂液を付着させた領域の前記樹脂の付着量が、0.05mg/inch2以上0.5mg/inch2以下の樹脂液付着工程を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
前記反応液付着工程は、前記反応液を付着させた領域の前記反応液に含まれる前記反応剤の付着量が、0.01mg/inch2以上0.1mg/inch2以下の反応液付着工程を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
前記クリアインク付着工程は、クリアインクを付着させた領域の前記クリアインクの付着量が、0.5mg/inch2以上3mg/inch2以下であるクリアインク付着工程を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項9のいずれか一項において、
前記クリアインクの樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下である、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項10のいずれか一項において、
前記反応液付着工程から前記着色インク付着工程までの間における記録媒体の表面温度は、35℃以下である、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項11のいずれか一項において、
前記樹脂液付着工程の後、10日以内に、前記反応液付着工程が行われる、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項12のいずれか一項において、
前記反応液付着工程による前記反応液の付着の終了から、前記着色インク付着工程による前記着色インクの付着の開始までの時間が、30秒以内である、インクジェット記録方法。
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