JP6589340B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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本発明は、インクジェット記録方法及びインクセットに関する。
従来から、インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズルから微小なインク滴を吐出させて、記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法が知られている。近年では、インクジェット記録方法は、インクの吸収性に優れた記録媒体(例えば、普通紙等)に対する画像の記録だけでなく、インクの吸収性の小さい(低吸収性)記録媒体(例えば、アート紙、コート紙等)や、インクをほとんど吸収しない(非吸収性)記録媒体(例えば、プラスチックフィルム等)に対する画像の記録にも用いられるようになってきた。また、このような低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する画像の記録に用いるインクに対しても、地球環境及び安全性等の観点から、水をベースとした水系インクを用いることが検討されている。
水系インクは、有機溶剤をベースとした非水系インクに比べて、低吸収性の記録媒体や非吸収性の記録媒体上ではじかれやすい性質を有する。そのため、低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対しては、記録される画像に色ムラなどが生じやすかった。このような観点から、例えば、シート(記録媒体)に画像を形成する前に、コロナ処理やプラズマ処理による表面改質を行うことが試みられている(特許文献1、2)。また、多価金属塩等を含有する反応液と、水性(水系)インク組成物とを、低吸収性の記録媒体上で反応させることが試みられている(特許文献3、4)。
特開2013−6308号公報 特開2013−146925号公報 特開2010−23265号公報 特開2010−23266号公報
上記のように、反応液を用い、記録媒体上でインクと接触させることにより、画像におけるインクのブリード等の不具合は抑制されると考えられる。しかしながら、低吸収性記録媒体に対しては、反応液が浸透してしまい、インクは十分な量の反応液と出会わず、十分な反応を行うことができなくなる場合があった。また、反応液が水性であるため、非吸収性記録媒体に対しては反応液がはじかれて濡れ広がりにくく、反応液と接触できないインクが生じることもあった。
樹脂を含む液により記録媒体に樹脂層を形成した記録媒体を用いることで、反応液がはじかれることや浸透することを防止する場合、記録物の耐久性が低下してしまう場合があった。
さらには、記録プロセスや装置の簡略化のために、反応液を充分に乾燥するプロセスを設けずに当該箇所にインクを付着させると、インクの成分が粒状の形状となって記録媒体に定着する場合がある。このような場合に、インクの成分と記録媒体との間の密着性が十分に得られず、耐擦過性、特に耐湿摩擦性といった耐久性が不十分となることがあった。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、記録媒体に対して、耐擦過性及び耐湿摩擦性に優れ、印刷ムラが抑制された画像を記録することのできるインクジェット記録方法、及びインクセットを提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
記録媒体へ樹脂を含む樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、
前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、
前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、樹脂を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、を含む。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、樹脂液付着工程を有することで、記録媒体に対して、反応液を濡れ拡がり性よく付着させることができる。また、反応液付着工程を有することで、記録媒体に対して、印刷ムラが抑制された画像を形成することができる。さらに、クリアインク付着工程を有することで、係る画像を耐擦過性及び耐湿摩擦性に優れたものとすることができる。
[適用例2]適用例1において、
前記記録媒体は、低吸収性記録媒体又は非吸収性記録媒体であってもよい。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、低吸収性の記録媒体の表面に反応液を留めやすく、また、低吸収性又は非吸収性の記録媒体の表面に反応液を濡れ拡がらせやすいので、これらの記録媒体に対してムラ等がなく耐擦過性が良好な画像を形成することができる。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、
前記クリアインクは、前記樹脂の分散体を含む水系のクリアインクであってもよい。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記樹脂液が、前記樹脂の分散体を含む水系の樹脂液であってもよい。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記樹脂液に含む樹脂及び前記クリアインクに含む樹脂は、同種の樹脂であってもよい。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、さらに耐擦過性に優れた画像を形成することができる。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか一例において、
前記記録媒体に付着した前記反応液の揮発成分の残存率が50質量%以上の状態で前記着色インクの付着の開始が行われてもよい。
本適用例に係るインクジェット記録方法によれば、粒状性のある画像でも十分な耐擦過性を得ることができる。
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか一例において、
前記反応剤は、金属塩、有機酸、カチオン性化合物の少なくとも一種を含んでもよい。
本適用例に係るインクジェット記録方法によれば、着色インクの凝集又は増粘をより効果的に行うことができ、より高画質な画像を形成することができる。
[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれか一例において、
前記着色インクは、樹脂を含む、水系の着色インクであってもよい。
本適用例に係るインクジェット記録方法によれば、記録媒体に付着した際に着色インクの増粘性をさらに高めることができ、画像のブリードや滲みをさらに抑制することができる。
[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれか一例において、
前記樹脂液に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含んでもよい。
[適用例10]適用例1ないし適用例9のいずれか一例において、
前記クリアインクに含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含んでもよい。
[適用例11]適用例1ないし適用例10のいずれか一例において、
前記樹脂液付着工程は、前記樹脂液を付着させた領域の前記樹脂の付着量が、0.05mg/inch2以上0.5mg/inch2以下の樹脂液付着工程を含んでもよい。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、より反応液を記録媒体の表面に留めて濡れ拡がらせることができる。
[適用例12]適用例1ないし適用例11のいずれか一例において、
前記反応液付着工程は、前記反応液を付着させた領域の前記反応液に含まれる前記反応剤の付着量が、0.01mg/inch2以上0.1mg/inch2以下の反応液付着工程を含んでもよい。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、十分に着色インクの成分を凝集又は増粘させることができる。
[適用例13]適用例1ないし適用例12のいずれか一例において、
前記クリアインク付着工程は、クリアインクを付着させた領域の前記クリアインクの付着量が、0.5mg/inch2以上3mg/inch2以下であるクリアインク付着工程を含んでもよい。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、より耐擦過性の良好な画像を形成するkとができる。
[適用例14]適用例1ないし適用例13のいずれか一例において、
前記クリアインクの樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下であってもよい。
本適用例のインクジェット記録方法によれば、より耐擦過性の良好な画像を形成することができる。
[適用例15]本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例14のいずれか一例のインクジェット記録方法に用いるものであって、
樹脂を含む樹脂液と、
色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、
着色インクと、
樹脂を含むクリアインクと、
を含む。
本適用例のインクセットによれば、記録媒体に対して、反応液を濡れ拡がり性よく付着させることができ、印刷ムラが抑制された画像を形成することができ、さらに耐擦過性に優れた画像を得ることができる。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体へ第1樹脂を含む樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、前記着色インクを付着させた領域へ、第2樹脂を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、を含む。
以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法について、順次詳細に説明する。
1.1.樹脂液付着工程
樹脂液付着工程は、記録媒体へ第1樹脂を含む樹脂液を付着させる工程である。樹脂液は、記録媒体の全面に付着されてもよいし、記録媒体の一部に付着されてもよい。本工程により第1樹脂が記録媒体の表面に付与され、記録媒体の表面の濡れ性を向上させたり、記録媒体への液体(反応液)の浸透を抑制することができる。これにより、記録媒体の表面付近に反応液を留める効果、記録媒体上での反応液の濡れ拡がり性を向上する効果の少なくとも一方が得られる。これにより反応液に塗りむらが発生することが無く、反応液に対して着色インクが接触しやすくなり、着色インクの成分の凝集又は増粘を生じやすくすることができる。
本工程は、樹脂液の塗布量(付着量)が、例えば、記録媒体の表面のぬれ張力指数が40mN/m以上となるように設定することができる。また、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂液に含まれる第1樹脂(固形分)の付着量として、0.01mg/inch2以上、好ましくは0.05mg/inch2以上1.0mg/inch2以下、より好ましくは0.05mg/inch2以上0.5mg/inch2以下である。本実施形態のインクジェット記録方法は、このような樹脂液付着工程を含むものである。付着量は付着工程におけるものであり、最終的に得られる記録物においては付着した付着物が必ずしも全て残存しているとは限らない。なお上記付着量は、後述する反応液付着工程及び着色インク付着工程を行う領域におけるものである。
樹脂液付着工程を行う手法としては、例えば、スピンコート、ディップコート、スプレ
ーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート、インクジェット法等の各種方法を利用でき、樹脂液の付着量や、記録媒体のサイズ、装置構成等を考慮して適宜選択することができる。
樹脂液付着工程を行った後、反応液付着工程の前に、樹脂液を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、例えば、記録媒体に付着した樹脂液に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行ってもよい。樹脂液の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上や、樹脂液に含まれる第1樹脂の記録媒体に対する融着を促進するという観点から、加熱を伴う乾燥であってもよい。樹脂液の乾燥工程が加熱を伴う場合には、その加熱方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。なお、樹脂液を乾燥させる工程を有する場合には、樹脂層の表面を平坦に膜化させやすい点、記録媒体を移送する等の際の取り扱いを容易化できる点、樹脂液付着工程後の記録媒体をストックしておきやすい点で好ましい。
また、本実施形態のインクジェット記録方法では、樹脂液付着工程の他に、例えばコロナ処理、大気圧プラズマ処理、フレーム処理、紫外線照射処理、溶剤処理等を含んでも良い。これらの処理は、公知の装置を用いて実施することができる。これらの処理を行う場合には、樹脂液付着工程の前に行われることがより好ましい。樹脂液付着工程の前に、例えばコロナ処理を行っておくことで、記録媒体の表面に対する樹脂液の密着性や濡れ性をより高めることができ、記録される画像の密着性や耐擦性を一層向上できることがある。
樹脂液付着工程を行うことにより、樹脂が記録媒体の表面に付着されるが、この工程は、記録媒体の表面を改質する工程とみなすこともできる。樹脂液付着工程の後、10日以内に、後述の反応液付着工程を行うことが好ましく、5日以内に行われることがより好ましく、1日以内に行われることがさらに好ましい。これにより樹脂液付着工程による表面の改質効果を十分に利用することができる。
樹脂液の組成及び樹脂液に含まれる第1樹脂については後述する。
1.2.記録媒体
本明細書における非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、インクを全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
非吸収性の記録媒体としては、例えば、インク受容層を有していないプラスチックフィルム、プラスチックシート、プラスチック板、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリル酸、及びそれらの変性体、共重合体、ブレンド物等が挙げられる。
また、低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられた記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マ
ット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。
非吸収性の記録媒体は、低吸収性の記録媒体よりも、反応液やインクを弾きやすい。そのため、非吸収性の記録媒体を使用すれば、本実施形態のインクジェット記録方法により得られる効果(インクの濡れ拡がり性や印刷ムラ等の改善効果)が一層顕著に現れる。
1.3.反応液付着工程
反応液付着工程は、上記の樹脂液付着工程の後に、反応剤を含む反応液を、樹脂液を付着させた領域へ、付着させる工程である。反応液は、樹脂液が付着された領域全体に付着される必要はなく、記録媒体には樹脂液のみが付着された領域が残ってもよい。反応剤は、着色インク(後述)に含まれる色材や、着色インクに含まれ得る樹脂分散剤(第3樹脂)と反応(相互作用)することで、色材を凝集させる機能や着色インクを増粘させる作用を有する。すなわち、反応剤は、着色インクの成分を凝集又は増粘させ、色材の凝集により発色性を高め、印刷ムラを低減し、増粘により画像におけるブリードや滲みを抑制することができる。これにより記録される画像の印刷ムラ等を抑制することができる。
反面、樹脂液付着工程を行った記録媒体へ、反応液付着工程と着色インク付着工程を行うと、記録物の耐擦過性や耐湿摩擦性が劣る傾向が見られた。これは、樹脂液により形成された樹脂層の上に反応剤が留まりやすく、反応剤により樹脂層と着色インクにより形成された着色インク層との間の密着性に悪影響を与えたためであると推測する。
反応液を付着させる方法としては、例えば、スピンコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート、インクジェット法等のいずれの方法も使用できる。
反応液付着工程は、反応液に含まれる反応剤の、記録媒体への付着量(樹脂液が付着された領域への付着量)が、0.005mg/inch2以上1mg/inch2以下、より好ましくは0.008mg/inch2以上1mg/inch2以下、さらに好ましくは、0.01mg/inch2以上1mg/inch2以下である反応液付着工程を含むとすることが好ましい。0.005mg/inch2以上であることで、色材を凝集させやすく、また、場合に応じて第3樹脂による増粘を生じさせやすくすることができる。なお、各付着工程において所定の付着量の付着工程を含むとの表現は、少なくとも当該付着量である付着工程を含むの意味である。そのため、反応液付着工程にあっても、本実施形態のインクジェット記録方法は、このような反応液付着工程を含むものである。付着量は付着工程におけるものであり、最終的に得られる記録物においては付着した付着物が必ずしも全て残存しているとは限らない。
上記付着量は、前述の樹脂液付着工程及び後述の着色インク付着工程を行う記録媒体上の領域におけるものである。上述の樹脂液が付着されているため、反応液付着工程の付着量を上記の付着量とすれば、色材の凝集効果や、第3樹脂による増粘効果を十分に得ることができる。また、反応液付着工程における反応剤の付着量が異なる複数の付着領域を有する場合は、反応剤の付着量が最も多い領域におけるものとする。
本実施形態のインクジェット記録方法では、反応液の加熱乾燥等は不要であるが、反応液付着工程の後、着色インク付着工程の前に、反応液を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体に付着した反応液に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行ってもよい。反応液の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、加熱を伴
う乾燥であってもよい。反応液の加熱方法は、特に限定されるものではないが、樹脂液の加熱の説明で挙げたものと同様の方法を利用できる。なお反応液を乾燥させる工程を有する場合には、着色インクの定着の形状が粒状となりにくいため、例えばクリアインク付着工程におけるクリアインクの付着量を少なくできる場合がある。しかし、加熱乾燥工程は、使用する装置が大型化したり、使用するエネルギーが大きくなる。
また、前述の通り、反応液付着工程後、反応液を加熱乾燥させる加熱工程を有さないことが、記録プロセスや記録装置の簡略化、記録所要時間短縮、反応液を乾燥させるための加熱工程による弊害の防止の点で好ましい。加熱工程による弊害としては、インクジェット法により反応液付着工程を行う場合のノズル面に熱を付与してしまうことによる吐出安定性の低下などが挙げられる。反応液付着工程から着色インク付着工程までの記録媒体表面温度は、35℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、25℃以下が更に好ましい。また、反応液付着の終了から着色インク付着開始までの時間は、30秒以内が好ましく、20秒以内がより好ましく、10秒以内が更に好ましく、5秒以内が特に好ましい。この場合、後述の反応液の揮発成分残存率を好ましい範囲にしやすい。
反応液の組成及び反応液に含まれる反応剤については後述する。
1.3.着色インク付着工程
着色インク付着工程は、上述した反応液付着工程の後に、色材を含むインクジェット記録用の着色インクを用いて、反応液を付着させた領域へ、画像を記録する工程である。着色インクは、反応液が付着された領域全体に付着される必要はなく、記録媒体には樹脂液及び反応液が付着された領域が残ってもよい。これにより、着色インクに含まれる色材等と反応剤が反応することで、記録媒体の表面において色材が凝集するので、記録される画像の発色性などを向上できる。さらに、着色インクは、反応液が均一に塗布(付着)された記録媒体の表面に付着するので、着色インクと反応剤との反応(相互作用)を行わせることができる。これにより、記録される画像の印刷ムラ等の発生を抑制できる。さらに、着色インクに第3樹脂が含まれる場合には、反応剤と接触することにより増粘することができ、これにより記録媒体におけるインク滴間の成分の拡散が抑制され、ブリードや滲みを低減することができる。
本明細書における「印刷ムラ」とは、記録媒体に同一の着色インクの液滴を付着させた際に液滴間で色の違いが生じたり、記録媒体上で弾かれた液滴によって画像の埋まり不良が生じたりすることで、記録される画像に色ムラが観察される現象のことをいう。
着色インク付着工程では、インクジェット記録用ヘッドのノズルから着色インクの液滴を吐出させて、記録媒体の表面(樹脂液及び反応液が付着された領域)に付着させることにより、記録媒体に画像を記録する。本工程で付着される着色インクの色数は限定されず、単色(単色印刷)であってもよいし、複数色(カラー印刷)であってもよい。複数種の着色インクを使用する場合でも、各着色インクは、いずれも本項で述べるような挙動を示す。
着色インク付着工程は、着色インクの付着量が、0.01mg/inch2以上25mg/inch2以下、より好ましくは0.1mg/inch2以上20mg/inch2以下、さらにより好ましくは1mg/inch2以上15mg/inch2以下である着色インク付着工程を含むことが、記録物の画質をより優れたものにしつつ、記録物に所望の色の付与が可能な点や着色インクの使用量を削減できる点で好ましい。上限としては10mg/inch2以下が特に好ましい。上記付着量は、前述の樹脂液付着工程及び反応液付着工程を行った記録媒体の領域におけるものである。本実施形態のインクジェット記録方法は、このような着色インク付着工程を含むものである。付着量は付着工程におけるもの
であり、最終的に得られる記録物においては付着した付着物が必ずしも全て残存しているとは限らない。
着色インク付着工程の後に、記録媒体の表面に記録された画像を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体に付着した画像に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行ってもよい。画像の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、樹脂液を乾燥させる場合で述べたと同様の観点により、加熱を伴う乾燥であってもよい。画像の加熱方法は、特に限定されるものではないが、樹脂液の加熱方法で挙げたものと同様の方法を利用できる。
着色インク付着工程は、反応液の揮発成分の残存率が50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上の状態で行われることがより好ましい。反応液の揮発成分の残存率が50質量%以上であれば、乾燥工程を簡略化し、記録所要時間の短縮、記録装置や記録プロセスの簡略化が可能となる。反面、反応液の揮発成分の残存率が高い状態で、着色インク付着工程を行うと、インクの成分が大きな粒子として凝集しやすく、記録物の耐擦過性、耐湿摩擦性は低下する傾向がある。
本実施形態のインクジェット記録方法では、非吸収性の記録媒体では、付着された反応液は記録媒体の表面に留まりやすく、低吸収性の記録媒体の場合であっても、樹脂液に含まれる第1樹脂によって、反応液が記録媒体の表面に留まりやすい。そのため、反応液付着工程の後、乾燥を行わないようにすれば、反応液の揮発成分の残存率を50質量%以上の状態とすることが容易である。また、反応液が付着された後、自然乾燥や上述の加熱乾燥を行っても、その程度により、反応液の揮発成分の残存率を50質量%以上の状態を形成することができる。
ここで、反応液の揮発成分の残存率とは、着色インクの付着開始の直前の記録媒体上の反応液の揮発成分の残存率(乾燥率)のことを指し、以下の式で算出することができる。
揮発成分残存率[%]=100−((Af−A)/(Af−Ae))×100
上記式中、Afは記録媒体へ付着させる反応液の合計の付与量(吐出量[mg])である。また、Aeは、記録物を使用するのに十分な状態まで反応液を乾燥(揮発)させた状態の記録媒体上の反応液の残留物量[mg]である。さらに、Aは、着色インクの付着直前の記録媒体上の反応液の総質量[mg]である。
式中、Afは反応液の付与量として、例えば、インクジェット記録装置の吐出データと1ドット当たりの質量から求めることができる。Aは、着色インクの付着を開始する時点の記録媒体の質量と、反応液付着工程前の記録媒体の質量を測定し、それらの差を取ることで求めることができる。
揮発成分の残存率の測定の際には、その測定用に用意した記録媒体を用いることが簡便である。例えば、測定は、電子天秤により測定することができる。また、測定の際には、反応液を付与してからプラテンにて所定の加熱乾燥した際の乾燥時間と残存量の関係を求めてもよい。また、インクジェット記録装置で記録を行う際には、反応液を付与してから着色インクを付与するまでの時間を、上記で求めた乾燥時間と残存量の関係から得られる時間とすることで、所望の残存量にすることができる。
着色インク付着工程は、インクジェット法で行われる。本工程で使用できるインクジェット記録装置としては、特に限定されず、例えば、所定の画像に対応してノズルからの着色インクの吐出タイミング及びノズルと媒体との相対位置を制御して、媒体の所定の位置にインクを付着させることができるものであればよい。ノズルからのインクの吐出方式も
限定されず、例えば、静電吸引方式、ピエゾ方式、サーマルジェット方式等であればよい。また、ノズルと媒体の相対位置を変化させる方式として、いわゆるシリアル型であってもライン型であってもよい。なお典型的なインクジェット記録装置としては、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、及びキャリッジを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルを有しており、ノズルは付属又は別体のインクカートリッジ(インク収容容器)に連通して、係るカートリッジのインクを吐出する。そして、例えば少なくとも1つのインクカートリッジに、それぞれ色相の異なる着色インクを充填して使用してもよい。また、インクジェット記録装置は、着色インクの他に各種のインク(例えば、樹脂液、反応液、クリアインク等をインクジェット法によって付着させる場合には、それぞれをインクとして記録装置に導入する。)を吐出できるように構成してもよい。このようなインクジェット記録装置を用いれば、着色インクを容易に記録媒体に吐出して付着(付与)することができ、記録媒体に対して所定の画像ないしはパターンを形成することができる。
1.4.クリアインク付着工程
クリアインク付着工程は、上述した着色インク付着工程の後に、あるいは、着色インク付着工程と同一時に、あるいは、着色インク付着工程の前に、第2樹脂を含むクリアインクを、反応液を付着させた領域へ、付着させる工程である。クリアインクは、着色インクが付着された領域のみに付着される必要はなく、記録媒体の全面や、着色インクの付着されていない領域に付着されてもよい。着色インク付着工程と同一時にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、ノズルを有するヘッドと記録媒体との相対的な位置を変化させながらノズルからインクを吐出して記録媒体へ付着させる走査(パス)を複数回行うことで、ヘッドと対向する記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出し記録媒体へ付着させる走査と同じ走査にてクリアインクを吐出して同じ記録領域へクリアインクを付着させるような走査が行われる形態である。着色インク付着工程の後にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、複数回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出し記録領域への着色インクの付着が終わった後、クリアインクを吐出して当該記録領域へのクリアインクの付着が行われる形態や、1回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出するノズルよりもクリアインクを吐出するノズルが走査の方向の下流側に配置されている形態である。着色インク付着工程の前にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、複数回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、クリアインクを吐出し記録領域へのクリアインクの付着が終わった後、着色インクを吐出して当該記録領域への着色インクの付着が行われる形態や、1回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、クリアインクを吐出するノズルよりも着色インクを吐出するノズルが走査の方向の下流側に配置されている形態である。このうち、着色インク付着工程の後に、あるいは、着色インク付着工程と同一時に、クリアインク付着工程を行うことが、本実施形態の効果を一層奏する点で好ましく、着色インク付着工程の後に、クリアインク付着工程を行うことが、より好ましい。
本工程により第2樹脂が少なくとも着色インクが付着された領域に付与される。これにより、クリアインクにより着色インクがコーティングされ、着色インクが記録媒体から脱落しにくくなり、画像の耐擦過性を高めることができる。また、第2樹脂の存在により、着色インクが外部からの水分等に接触しにくくなるので、耐湿摩擦性も付与することができる。
上述の通り、本実施形態のインクジェット記録方法では、着色インクが付着された際に、着色インクの成分の凝集が生じている。係る凝集は、画像の発色性を向上させることができるが、係る凝集体の形状が粒状となりやすく、記録媒体や第1樹脂との接触面積が小さくなる場合がある。本実施形態のインクジェット記録方法では、このような凝集体をクリアインクにより、コーティングして記録媒体に接着させて、優れた耐擦過性を付与して
いる。
本工程は、クリアインクの付着量として特に限定されるものではないが、例えば、0.05mg/inch2以上、好ましくは0.1mg/inch2以上5.0mg/inch2以下、より好ましくは0.5mg/inch2以上3mg/inch2以下のクリアインク付着工程を含むとすることができる。なお上記付着量は、反応液付着工程及び着色インク付着工程を行った領域におけるものである。本実施形態のインクジェット記録方法は、このようクリアインク付着工程を含むものであり、得られる記録物におけるクリアインクの付着量は、必ずしも上記範囲にある必要はない。
クリアインク付着工程を行う手法としては、例えば、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート、インクジェット法等の各種方法を利用でき、クリアインクの付着量や、記録媒体のサイズ、装置構成等を考慮して適宜選択することができる。
クリアインク付着工程を行った後、クリアインク、又は、記録媒体に付着した液体全体を乾燥させる工程を備えていてもよい。この場合には、例えば、記録媒体にべたつきが感じられない程度まで乾燥を行ってもよい。
係る乾燥は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上や、第2樹脂の記録媒体に対する融着や、被膜の形成を促進するという観点から、加熱をしてもよい。加熱方法等は、特に限定されず、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。
クリアインクの組成及びクリアインクに含まれる第2樹脂については後述する。
1.5.作用効果
本実施形態のインクジェット記録方法によれば、記録媒体に樹脂液付着工程により樹脂液を付着させることで、記録媒体表面の濡れ性を向上させたり、記録媒体の吸収性を抑制することができる。これにより、記録媒体に対して、反応液を濡れ拡がり性よく付着させ、十分な反応を起こすことができる。また、反応液を記録媒体の表面に留めることができる。そして、反応液付着工程により付着される反応液により、着色インクの成分の凝集や、着色インクの増粘を生じさせることができ、これにより、記録媒体に対して、発色性が良く、印刷ムラが抑制された画像を形成することができる。さらに、クリアインク付着工程により、第2樹脂が付着されることにより、係る画像を耐擦過性、耐湿摩擦性に優れたものとすることができる。
2.樹脂液、反応液、着色インク及びクリアインク
2.1.樹脂液
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、樹脂液付着工程では樹脂液を使用する。以下、樹脂液付着工程に使用される樹脂液に含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
2.1.1.第1樹脂
樹脂液付着工程で使用される樹脂液は、樹脂を含有する。樹脂液に含有する樹脂を第1樹脂ともいう。第1樹脂は、記録媒体の表面の表面張力を低下させたり、記録媒体の表面に記録される画像の密着性を向上させて耐擦性を良好する等の機能を備える。また、第1樹脂は、低吸収性の記録媒体の場合には記録媒体の表面の細孔を閉塞して反応剤が記録媒体にしみ込んでしまうことを抑制する機能を備える。すなわち、第1樹脂は記録媒体の表面付近に反応剤を留める機能を有する。
樹脂液に含まれる第1樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記の樹脂の中でも、本実施形態に係る樹脂液に含まれる第1樹脂は、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。これらの樹脂を用いると、記録媒体の表面の表面張力を低下させる効果や、画像の密着性を向上させる効果が一層良好になる傾向にある。
ウレタン系樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン系樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。ウレタン系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840、E−4000(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D−1060、D−2020、D−4080、D−4200、D−6300、D−6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS−6021、W−512−A−6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業社製)などの市販品を用いてもよい。
アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリルなどのアクリル系単量体を重合して得られる重合体の総称であって、例えば、アクリル系単量体から得られる(メタ)アクリル樹脂や、アクリル系単量体とこれ以外の単量体(例えば、ビニル単量体)との共重合体などが挙げられる。アクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK−854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、NipolLX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等が挙げられる。
なお、本明細書において、アクリル系樹脂として、後述するスチレンアクリル系樹脂を用いてもよい。また、本明細書において、(メタ)アクリルとの表記は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン単量体とアクリル系単量体とから得られる共重合体であり、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。スチレンアクリル系樹脂には、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(商品名、日信化学工業社製)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばアローベースCB−1200、CD−120
0(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
樹脂液に含まれる第1樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下の樹脂を含むことが好ましく、Tgが−80℃以上50℃以下の樹脂を含むことがより好ましく、−80℃以上40℃以下の樹脂を含むことがさらに好ましい。Tgが50℃以下の樹脂を含むことで、樹脂液の記録媒体に対する密着性が良好になる場合があり、Tgが−80℃以上の樹脂を含むことで、記録媒体に付着した樹脂液の粘着性が高くなりすぎることを抑制できる。また、Tgが室温(25℃)以下であると、樹脂の造膜性(皮膜化)が良好になる場合がある。樹脂液に含まれる第1樹脂のガラス転移温度は、重合して得る際に用いられる樹脂を構成する、モノマー、2個以上のイソシアネート基を有する化合物、2個以上の活性水素基を有する化合物などの種類や構成比、重合条件、樹脂の変性の少なくとも一種を変えることにより変化させることができる。重合条件としては、重合の際の温度、モノマーを含有させる媒体の種類、媒体中のモノマー濃度、重合の際に用いる重合開始剤や触媒の種類や使用量等があげられる。ガラス転移温度はJIS K7121に基づいて、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定することができる。
第1樹脂の含有量(固形分換算量)は、樹脂液の全質量に対して、好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。樹脂液に含まれる第1樹脂の含有量が上記範囲内にあることで、記録媒体の表面の濡れ性を高める効果や、画像の密着性を向上させる効果が一層良好になる傾向にある。
第1樹脂は、エマルジョンなどの分散体として樹脂液中に含む形態や、溶解した状態で樹脂液中に含む形態とすることができる。分散体の場合、記録物の耐水性や耐擦性などの点で一層好ましい。
2.1.2.水
本実施形態に係る樹脂液は、水を含有してもよい。水は、樹脂液の主となる媒体として機能し、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、樹脂液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
樹脂液に含まれる水の含有量は、樹脂液の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができ、60質量%以上としてもよい。
2.1.3.有機溶剤
本実施形態に係る樹脂液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する樹脂液の密着性を高める機能、保湿剤としての機能などを備える。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体、グリコールエーテル類等が挙げられる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対する樹脂液の濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れている。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、樹脂液の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類を含有する場合には、樹脂液の全質量に対して、2質量%以上30質量%以下とすることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用することができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、樹脂液の記録媒体に対する濡れ性などを制御することできる。
2.1.4.界面活性剤
本実施形態に係る樹脂液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、AirProductsandChemicals.Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好
ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、樹脂液の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
2.1.5.その他の成分
本実施形態に係る樹脂液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
2.1.6.樹脂液の物性
本実施形態に係る樹脂液を、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、樹脂液をインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、反応液の20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
2.2.反応液
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、反応液付着工程には、反応液を使用する。以下、反応液に含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
2.2.1.反応剤
本実施形態に係る反応液は、反応剤を含有する。反応剤は、着色インクに含まれる色材、着色インクに含まれ得る顔料分散体及び/又は樹脂と反応することで、色材を凝集させるという機能を有する。これにより、着色インクにより記録される画像の発色性等を向上させることができる。また、反応剤は、着色インクに含まれ得る顔料分散体及び/又は樹脂と反応することで、着色インクの粘度を高める(増粘)ことができる。これにより、着色インクの滲みやブリードを軽減させることができる。
反応剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩、有機酸、その他のカチオン性化合物等が挙げられ、その他のカチオン性化合物としては、カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等を用いることができる。これらの反応剤の中でも、着色インクに含まれる成分との反応性に優れるという点から、多価金属塩及び有機酸から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。金属塩としては多価金属塩が好ましく1価の金属塩も使用可能である。
反応剤により、着色インクに含む成分の表面電荷を中和させたり着色インクのpHを変化させることにより、これら成分を凝集や析出させ、着色インクを凝集や増粘させる。着色インクに含み反応剤と反応する成分としては、後述の色材や樹脂などが挙げられる。
多価金属化合物としては、以下に限定されないが、例えば、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物、並びにこれらの塩(多価金属塩)が挙げられる。これら多価金属化合物の中でも、顔料を効果的に凝集させることができるため、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、及びマグネシウム化合物、並びにこれらの塩からなる群より選択される一種以上が好ましく、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の解離性塩がより好ましく、カルシウム塩及びマグネシウム塩のうち少なくともいずれかがさらに好ましい。
なお、多価金属化合物はイオン性の多価金属塩であることが好ましく、特に、上記多価金属塩がマグネシウム塩、カルシウム塩である場合、反応液の安定性がより良好となる。また、多価金属の対イオンとしては、無機酸イオン、有機酸イオンのいずれでもよい。
上記の金属塩の具体例としては、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムといった炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、水への十分な溶解性を確保でき、かつ、反応液による跡残りが低減する(跡が目立たなくなる)ため、硫酸マグネシウム、硝酸カルシウム及び塩化カルシウムのうち少なくともいずれかが好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。1価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などの一価の金属塩が挙げられる。そのような金属塩の例としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。
なお、多価金属化合物としては、上記の他に、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、及びベントナイト等の無機顔料、並びにアクリル系プラスチックピグメント、及び尿素高分子物質などの有機顔料が挙げられる。
有機酸としては、例えば、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。無機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性樹脂としては、例えば、カチオン性のウレタン系樹脂、カチオン性のオレフィン系樹脂、カチオン性のアリルアミン系樹脂等が挙げられる。
カチオン性のウレタン系樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。カチオン性のウレタン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、ハイドラン CP−7010、CP−7020、CP−7030、CP−7040、CP−7050、CP−7060、CP−7610(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR−2120C、WBR−2122C(商品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性のオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。また、カチオン性のオレフィン樹脂は、水や有機溶媒等を含む溶媒に分散させたエマルジョン状態であってもよい。カチオン性のオレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB−1200、CD−1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
カチオン性のアリルアミン系樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン・ジメチルアリルアミンコポリマー、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩、ポリメチルジアリルアミン酢酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄コポリマー、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミドコポリマー等を挙げることができる。このようなカチオン性のアリルアミン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、PAA−HCL−01、PAA−HCL−03、PAA−HCL−05、PAA−HCL−3L、PAA−HCL−10L、PAA−H−HCL、PAA−SA、PAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−08、PAA−15、PAA−15C、PAA−25、PAA−H−10C、PAA−D11−HCL、PAA−D41−HCL、PAA−D19−HCL、PAS−21CL、PAS−M−1L、PAS−M−1、PAS−22SA、PAS−M−1A、PAS−H−1L、PAS−H−5L、PAS−H−10L、PAS−92、PAS−92A、PAS−J−81L、PAS−J−81(商品名、ニットーボーメディカル会社製)、ハイモ Neo−600、ハイモロック
Q−101、Q−311、Q−501、ハイマックス SC−505、SC−505(商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1級、第2級及び第3級アミン塩型化合物、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩、イミダゾリニウム塩等があげられる。具体的には、例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジメチルエチルラウリルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルオクチルアンモニウムエチル硫酸塩、トリメチルラウリルアンモニウム塩酸塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミン、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
反応剤の含有量は、上述の効果が発揮されるように適宜決定することができ、例えば、反応液の全質量に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、2質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
2.2.2.水
本実施形態に係る反応液は、水を含有してもよい。好ましく用いられる水としては、樹
脂液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。反応液に含まれる水の含有量は、反応液の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
2.2.3.有機溶剤
本実施形態に係る反応液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する反応液の密着性や濡れ性を高める機能などを備える。有機溶剤としては、樹脂液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
2.2.4.界面活性剤
本実施形態に係る反応液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、反応液の表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
2.2.5.その他の成分
本実施形態に係る反応液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、樹脂等を含有してもよい。
2.2.6.反応液の物性
本実施形態に係る反応液を、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、反応液をインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、反応液の20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
2.3.着色インク
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、着色インク付着工程では、インクジェット記録用の着色インクを用いて画像を形成する。以下、着色インク付着工程に使用される着色インクに含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
2.3.1.色材
本実施形態に係る着色インクは、色材を含有する。色材としては、上述した反応液に含まれる反応剤との反応性が優れているという観点から、顔料及び酸性染料を好ましく用いることができる。
顔料のうち、無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、及び酸化チタンが挙げられる。上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(MitsubishiChemicalCorporation)製)、カラーブラックFW1、FW
2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス3
5、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(DegussaAG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、
5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(ColumbianCarbonJapanLtd)製)、コロンビアンケミカルズ(ColumbianChemicals
)製、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(CabotCorporation)製)が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性染料としては、アゾ系,アントラキノン系,ピラゾロン系,フタロシアニン系,キサンテン系,インジゴイド系,トリフェニルメタン系等の酸性染料が挙げられる。酸性染料の具体例としては、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94等が挙げられる。染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2.3.2.樹脂分散剤
色材として顔料を使用する場合には、顔料は、着色インクに適用するために、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにすることが好ましい。その方法としては、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理
された顔料を「樹脂分散顔料」ということがある。)、分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「分散剤分散顔料」ということがある。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは分散剤なしで水中に分散及び/又は溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」ということがある。)等が挙げられる。
本実施形態に係る着色インクは、前記の樹脂分散顔料、分散剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできるが、樹脂分散顔料を含有していることが好ましい。
樹脂分散顔料に用いられる樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等及びこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
樹脂分散剤の含有割合は、分散すべき顔料によって適宜選択することができるが、着色インク中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
2.3.3.水
本実施形態に係る着色インクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、樹脂液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、着色インクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
2.3.4.有機溶剤
本実施形態に係る着色インクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する反応液の密着性を高めたり、インクジェット記録装置のヘッドの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
2.3.5.界面活性剤
本実施形態に係る着色インクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、反応液の表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
2.3.6.第3樹脂
本実施形態に係る着色インクは、樹脂を含有してもよい。着色インクに含む樹脂を第3樹脂とも言う。第3樹脂は、記録される画像の密着性、耐擦性等の物理的強度を向上させることができる。また、上述の樹脂分散剤を用いる場合には、その全部又は一部を第3樹脂とみなしてもよい。この場合には、第3樹脂は、顔料の分散剤としても機能する。
第3樹脂の具体例については、樹脂液の説明で例示した第1樹脂と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。第3樹脂を含有する場合には、その含有量(固形分換算量)は、着色インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。
なお、着色インクが第3樹脂を含有する場合には、係る第3樹脂と上述の反応剤との相互作用により、着色インクの粘度を高めることができる。これにより、記録媒体上での着色インクの流動性が低下し、滲みや、複数種(互いに異なる色相)の着色インクが付着された場合に、それらの着色インクの間の成分の相互拡散が抑制され、ブリードをさらに抑制することができる。
2.3.7.その他の成分
本実施形態に係る着色インクは、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
2.3.8.着色インクの物性
本実施形態に係る着色インクは、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係る着色インクの20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
2.4.クリアインク
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、クリアインク付着工程ではクリアインクを使用する。以下、クリアインクに含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。クリアインクは、着色に用いる着色インクではないものであり、インクに対する色材の含有量は0.5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下である。色材を含まないものでもよい。
2.4.1.第2樹脂
クリアインク付着工程で使用されるクリアインクは、樹脂を含有する。クリアインクに含む樹脂を第2樹脂とも言う。第2樹脂は、記録媒体に付着した着色インクの成分をコーティングし、着色インクが記録媒体から脱落しにくくする。これにより画像の耐擦過性を高める機能を有する。また、第2樹脂の存在により、着色インクが外部からの水分等に接触しにくくなるので、耐湿摩擦性も付与することができる。さらに、クリアインク付着工程の後、第2樹脂を溶融させる工程を含む場合には、記録媒体の表面に第2樹脂の被膜を形成することができ、さらに高品位な記録物とすることができる。本実施形態において、
前述の樹脂液付着工程を行った記録媒体へ、反応液付着工程と着色インク付着工程を行うと、記録物の耐擦過性や耐湿摩擦性が劣る傾向が見られたが、クリアインク付着工程により記録物の耐擦過性や耐湿摩擦性を優れたものにできる。
第2樹脂の具体例については、樹脂液の説明で例示した第1樹脂と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。
クリアインクにおける第2樹脂の含有量(固形分換算量)は、クリアインクの全質量に対して、1質量%以上30質量%以下、好ましくは1.5質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
第2樹脂は、エマルジョンなどの分散体としてクリアインク中に含む形態や、溶解した状態でクリアインク中に含む形態とすることができる。分散体の場合、記録物の耐水性や耐擦性などの点で一層好ましい。
また、クリアインクに含まれる第2樹脂は、樹脂液に含まれる第1樹脂と同種の樹脂であってもよい。第2樹脂が第1樹脂と同種の樹脂であると、両者の親和性が高まり、例えば、記録媒体に対する第1樹脂及び第2樹脂の付着力が高まり、また、第1樹脂及び第2樹脂によって、着色インクの色材を包み込んで定着させる作用を高めることができる。これらの効果により、第2樹脂が第1樹脂と同種の樹脂であると、画像の耐擦過性や耐湿摩擦性を高めることができる。ここで、同種とは、前述したウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、フルオレン系樹脂などとして樹脂を分類した分類における同一の分類となることをいう。
2.4.2.水
本実施形態に係るクリアインクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、樹脂液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、クリアインクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
2.4.3.有機溶剤
本実施形態に係るクリアインクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、第1樹脂に対する第2樹脂の密着性を高めたり、クリアインクの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
2.4.4.界面活性剤
本実施形態に係るクリアインクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、クリアインクの表面張力を低下させ濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、樹脂液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、クリアインクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
2.4.5.その他の成分
本実施形態に係る樹脂液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
2.4.6.クリアインクの物性
本実施形態に係るクリアインクを、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、クリアインクをインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、クリアインクの20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
3.インクセット
本実施形態のインクセットは、上述の第1樹脂を含む樹脂液と、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、上述の着色インクと、第2樹脂を含むクリアインクと、を含む。
本実施形態のインクセットは、これらの構成の他に、他の液体組成物を含んでもよい。また、本実施形態のインクセットの樹脂液、反応液、クリアインクは、必ずしもインクジェット記録装置で使用できる物性を備えていなくてもよい。すなわち、樹脂液、反応液、クリアインクは、スピンコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート等に適した物性を有してもよい。
したがって本実施形態のインクセットは、上述のインクジェット記録方法に使用できる液体の組であり、どのような荷姿でセットとなっていてもよい。
4.実施例
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
4.1.樹脂液の調製
表1の配合割合になるように各成分を混合、攪拌して、樹脂液を得た。表1中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は樹脂液の全質量が100質量%となるように添加した。なお、表1において化合物名で記載した成分は試薬を入手し、化合物名以外で記載した成分は、以下の通りとした。いずれの表も固形分成分は固形分の質量に基づく。
・ビニブラン2586(商品名、日信化学工業株式会社製、水系スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン)
・D4200(商品名:レザミンD−4200、大日精化工業株式会社製、水系ウレタンエマルジョン)
・BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
表1に記載した各樹脂液は、第1樹脂として、表中の物を含んでいる。
Figure 0006589340
4.2.反応液の調製
表2の配合割合になるように各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、反応液を調製した。表2中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は反応液の全質量が100質量%となるように添加した。表2に記載した各反応液は、反応剤として、硫酸マグネシウム(多価金属塩)、マレイン酸(有機酸)、又は硫酸ナトリウム(無機酸金属塩)を含んでいる。
Figure 0006589340
4.3.着色インクの調製
表3の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、着色インクを調製した。着色インクの調製にあたって、顔料、樹脂分散剤及び水を含有する顔料分散液をあらかじめ作成して、顔料分散液と残りの成分とを混合した。表3中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は着色インクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3(シアン顔料)を用いた。
Figure 0006589340
4.4.クリアインクの調製
表4の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、クリアインクを調製した。表4中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はクリアインクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、表4に記載した各クリアインクは、第2樹脂として、表中の物を含んでいる。
Figure 0006589340
4.5.記録媒体
また、以下の評価試験では、非吸収性の記録媒体として、ポリプロピレンフィルム(商品名「SY51M」、UPM RAFLATA社製、表では「記録媒体1」と省略して記載した)、低吸収性の記録媒体として、NPコート紙(商品名「NPコート」、リンテック社製、表では「記録媒体2」と省略して記載した)を使用した。
4.5.記録物の作成
実施例及び比較例の作成条件及び評価結果を表5、表6に示した。各例において、樹脂液はコーターで、表5に示した塗布量で塗布して、60℃で10分加熱乾燥させ、指触でべたつきが無い程度に乾燥した。次いで、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の改造機に、上記で調製した反応液及び着色インクを1ノズル列/1液となるように充填した。プリンターの記録ヘッドのノズル列のノズル密度は300dpiとした。記録媒体をセットし、反応液を、表5、表6中の付着量で塗布した。パターンは10cm×10cmのベタパターンとした。付着後、記録媒体を戻して再びセットし着色インクを同じパターンに重ねて、付着量7mg/inch2で付与して印刷した。
その後、記録媒体を再び戻してセットし、同じパターンにクリアインクを、表5、表6に記載した塗布量で重ねて付着させた。印刷のドット解像度は、反応液、着色インク、クリアインクともに、1200×1200dpiとした。その後、記録媒体をオーブンで60℃×10分で加熱乾燥した。
なお、プリンターのプラテンにはヒーターを取り付け、記録媒体を記録中、加熱可能な構成にした。表5には、乾燥工程を行ったか否かについて併記した。表5中の乾燥工程なしの例は、ヒーターを作動せず、反応液付着後、直ちに記録媒体を再びセットした例である。記録中の記録媒体の表面温度は25℃とし、着色インクの印刷時の反応液の揮発成分の残存率は90%となるようにした。また、乾燥工程が有る例では、ヒーターを作動させ記録媒体の表面温度を45℃となるようにして印刷した。反応液を印刷した後、反応液の揮発成分の残存率が20%になるまで時間をおいてから着色インクの印刷を行った。このとき、反応液を付着完了させてから着色インクを付着開始させるまでの所要時間を記録した。
4.6.評価試験
4.6.1.画質
各例のサンプルの記録媒体の表面に記録されたベタパターンを目視にて確認して、印刷ムラ(ベタ埋まり性)の有無を判定した。評価基準は以下の通りである。
◎:白スジなし、印刷ムラがない
○:白スジなし、印刷ムラが確認できる
×:白スジ及び印刷ムラが確認できる
4.6.2.耐擦過性
学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重500gをかけて塗膜が剥がれるまで、又は、50往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)のはがれ具合を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
☆:50往復擦っても塗膜が剥がれない
◎:30往復以上49往復以下で塗膜の剥がれが認められた
○:20往復以上39往復以下で塗膜の剥がれが認められた
△:10往復以上19往復以下で塗膜の剥がれが認められた
×:9往復以内に塗膜の剥がれが認められた
4.6.3.耐湿摩擦性
学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐湿摩擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、十分に蒸留水をしみ込ませた白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重10gをかけて700往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)の様子を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。なお、耐湿摩擦性評価は、水に対する耐久性評価であり、乾いた布による摩擦に対する耐久性(耐擦過性)とは異なる評価である。
○:ほとんど画像に変化が認められない
△:画像の色落ちが認められる
×:画像の色落ち及び塗膜の剥がれが認められる
4.6.4.記録速度
反応液を付着完了させてから着色インクを付着開始させるまでの所要時間について、以下の基準で表5、表6に併記した。
○:30秒以内
△:30秒を越えた
4.7.評価結果
以上の評価試験の結果を表5、表6に示す。
Figure 0006589340
Figure 0006589340
実施例では、いずれも、画質、耐擦過性、耐湿摩擦性及び記録速度が良好であり、比較例では、いずれも画質、耐擦過性、耐湿摩擦性及び記録速度の少なくとも一つが不十分と
なった。
また、少なくとも以下のことが表5及び表6の結果から判明した。
(1)実施例1、3、4及び6等をみると、樹脂液の第1樹脂と、クリアインクの第2樹脂とが同じ樹脂である場合に、優れた耐擦過性が得られること
(2)実施例3と他の例を比較すると、反応液の反応剤は有機酸がより好ましいこと
(3)実施例1及び4をみると、反応液の反応剤は、多価金属塩であっても十分に良好な画質が得られること
(4)実施例1と7、及び8と10を比較すると、乾燥工程を行う場合、画質、耐擦過性の少なくとも何れかが向上する。これは反応液の揮発成分残存率が低いことにより、揮発成分残存率が高い場合の弊害が少ない為である。反面、乾燥工程を行うことにより印刷速度は低下する。このことから揮発成分残存率が高い場合、本実施形態が特に有用である。なお実施例1などの記録速度(所要時間)は約5秒であった。
(5)実施例1及び8並びに2及び9をみると、本発明の記録方法の画質向上の効果は、低吸収性の記録媒体に対してよりも、非吸収性の記録媒体に対してのほうが顕著となること
(6)比較例1をみると、樹脂液を使用していないので、密着性が低下し、また、反応液が弾かれて、画質が劣化すること
(7)比較例2をみると、反応液を使用していないため、着色インクの色材が凝集できず、画質劣化すること、並びに、着色インクの滴の凹凸は低減され、耐擦過性が実施例1よりも向上すること
(8)比較例3をみると、クリアインクを使用していないため、耐擦過性及び耐湿摩擦性が劣化すること。これは、第1樹脂があり、かつ反応剤が存在すれば、画質は良好となるが、反面、耐湿摩擦性が劣る傾向があった。第1樹脂と着色インクの間の密着性が、反応液に含む反応剤のために劣化したと推測される
(9)比較例4をみると、樹脂液を使用していないので、画質が劣化すること。これは、反応液が低吸収性の記録媒体2内に浸透して、反応剤と着色インクとが十分に接触できなかったためと考えられる
(10)比較例5をみると、反応液を使用していないので、画質が劣化すること。これは、着色インクの成分が、凝集できなかったためと考えられる。また、反応液を使用していないため、着色インク滴が粒状にならず、若干耐擦過性が向上すること
(11)比較例6をみると、クリアインクを使用していないので、耐擦性が劣化すること
(12)比較例7をみると、樹脂液を使用していないため、画質及び耐擦過性は悪化するものの、クリアインクを用いなくても、耐湿摩擦性は顕著には悪化しないこと
(13)比較例8をみると、反応液を用いず、樹脂液を用いると、画質及び耐擦過性は悪化するものの、耐湿摩擦性は顕著には劣化しないこと
(14)本発明に係るインクジェット記録方法によれば、樹脂液と反応液を共に用いており、画質及び耐擦過性が良好で、かつ、クリアインクを用いるため、耐湿摩擦性も良好となること
なお、実施例ではシリアルプリンターを用いて行ったが、本発明はラインプリンターを用いてもよいことは自明である。ラインプリンターの場合は、例えば、反応液を付着させるためのラインヘッドと、着色インクを付着させるためのラインヘッドと、クリアインクを付着させるためのラインヘッドとを備えて、搬送する記録媒体に対してそれぞれを付着(塗布)させればよい。樹脂液の付着は、樹脂液の付着用のラインヘッドをさらに備えてもよいし、ローラー塗布などにより、樹脂液を記録媒体に塗布し、当該記録媒体へ、反応液、着色インク、クリアインクの付着(塗布)を行ってもよい。ラインプリンターの場合、記録速度が特に速く、本実施形態が特に有用である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (13)

  1. 非吸収性の記録媒体へ樹脂の分散体を含む水系の樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、
    前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液をインクジェット法により付着させる反応液付着工程と、
    前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、
    前記樹脂液に含まれる樹脂と同種の樹脂の分散体を含む水系のクリアインクをインクジェット法により付着させるクリアインク付着工程と、を含む、インクジェット記録方法。
  2. 非吸収性の記録媒体へ樹脂の分散体を含む水系の樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、
    前記樹脂液を付着させた領域へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液をインクジェット法により付着させる反応液付着工程と、
    前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、
    樹脂の分散体を含む水系のクリアインクをインクジェット法により付着させるクリアインク付着工程と、を含み、
    前記記録媒体に付着した前記反応液の揮発成分の残存率が50質量%以上の状態で前記着色インクの付着の開始が行われる、インクジェット記録方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記反応剤は、金属塩、有機酸、カチオン性化合物の少なくとも一種を含む、インクジェット記録方法。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記色材は顔料であり、
    前記着色インクは、樹脂を含む、水系の着色インクである、インクジェット記録方法。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記樹脂液に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含む、インクジェット記録方法。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記クリアインクに含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂の少なくとも一種を含む、インクジェット記録方法。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記樹脂液付着工程は、前記樹脂液を付着させた領域の前記樹脂の付着量が、0.05mg/inch以上0.5mg/inch以下の樹脂液付着工程を含む、インクジェット記録方法。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記反応液付着工程は、前記反応液を付着させた領域の前記反応液に含まれる前記反応剤の付着量が、0.01mg/inch以上0.1mg/inch以下の反応液付着工程を含む、インクジェット記録方法。
  9. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記クリアインク付着工程は、クリアインクを付着させた領域の前記クリアインクの付着量が、0.5mg/inch以上3mg/inch以下であるクリアインク付着工程を含む、インクジェット記録方法。
  10. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記クリアインクの樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下である、インクジェット記録方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項において、
    前記反応液付着工程から前記着色インク付着工程までの間における記録媒体の表面温度は、35℃以下である、インクジェット記録方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか一項において、
    前記樹脂液付着工程の後、10日以内に、前記反応液付着工程が行われる、インクジェット記録方法。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか一項において、
    前記反応液付着工程による前記反応液の付着の終了から、前記着色インク付着工程による前記着色インクの付着の開始までの時間が、30秒以内である、インクジェット記録方法。
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