JP7385995B2 - 印刷物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の一実施形態は、印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録方法は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた基材に画像を記録するものであり、低騒音で高速印刷が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方法に用いられるインクとして、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。
水性インクは、主溶媒に水を用いることから、環境に対する負荷が少なく、また、溶媒が揮発しやすいため印刷物の乾燥性に優れる。一方で、水性インクは、基材の種類によって、基材への浸透性が十分に得られずに、画像の定着性が問題となることがある。また、水性インクに浸透剤を添加して基材への浸透性を改善する方法があるが、基材への浸透性が高まることで、水性インクの色材が記録領域以外の部分にまで浸み込み、画像が滲むことがある。また、ベタ画像や写真画像等の広い記録領域では、画像にムラが発生する問題がある。
水性インクによる画像の滲みを防止するために、凝集剤を含む前処理剤を用いて基材を処理し、次いで水性インクを付与する方法がある。基材上に付与された凝集剤によって、基材上で水性インクの色材が凝集するため、基材の記録領域以外の部分への色材の浸み込みを防止することができる。
特許文献1(特開2017-94672号公報)には、媒体に前処理液を被覆してから、媒体にインクを噴射する液体噴射方法において、媒体の種類に応じて、浸透性の異なる複数の前処理液を重ねる順序を変えることで、前処理液の浸透性と濡れ広がり性を媒体の特質によらずに安定させ、前処理液とインクとの反応性を高めながら、前処理液の濡れ広がり性を向上させることが開示されている。
特許文献1には、第1前処理液と第2前処理液にそれぞれ凝集剤等の反応成分と溶液成分とが含まれ、第1前処理液と第2前処理液との間で反応成分は同じであるが浸透性が異なることが開示されている。また、特許文献1の一形態では、シリアルヘッドを備える液体噴射装置を用いて、往路で第1前処理液を噴射し、復路で第2前処理液を噴射して、2種類の前処理液を重ねて被覆している。
特開2017-94672号公報
特許文献1には、浸透性の高い媒体に対しては、浸透性の高い前処理液を被覆してから、浸透性の低い前処理液を被覆することで、後から着弾される浸透性の低い前処理液が媒体に浸透しないで媒体表面に残存し、インクとの反応性及び濡れ広がり性を向上させることが開示されている。
基材への画像の定着性をより高めるためには、水性インクが基材の内部にまで浸透し、色材が基材の内部まで行き渡るとよい。また、画像の滲みを防止するために、基材の内部で水性インクの色材が記録領域以外の部分に浸み込まないことが好ましい。特許文献1の開示のように、2種類の前処理剤を媒体表面に残存させる方法では、画像の定着性及び画像の滲みがともに改善されない問題がある。
本発明の一目的としては、印刷物の画質及び印刷物への画像の定着性を改善することである。
本発明の一実施形態としては、インクジェット記録装置を用いて、第1の前処理液及び第2の前処理液の一方、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方、及び水性インクをこの順序で基材の記録領域に付与することを含み、前記第1の前処理液及び前記第2の前処理液は、一定の順序で基材に着弾するように吐出され、前記第1の前処理液は、凝集剤を含み、前記第2の前処理液は、凝集剤を含まず、かつ、浸透剤を含む、印刷物の製造方法である。
本発明の一実施形態によれば、印刷物の画質及び印刷物への画像の定着性を改善することができる。
図1は、シリアル式の記録ヘッドユニットの一例を模式的に示す上面図である。 図2は、シリアル式の記録ヘッドユニットの他の例を模式的に示す上面図である。 図3は、シリアル式の記録ヘッドユニットのさらに他の例を模式的に示す上面図である。 図4は、シリアル式の記録ヘッドユニットによる従来例の記録方法を説明するための説明図である。
以下、本発明の一実施形態について詳しく説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更が加えられてもよいことはいうまでもない。
「印刷物の製造方法」
本発明の一実施形態による印刷物の製造方法としては、第1の前処理液及び第2の前処理液の一方、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方、及び水性インクをこの順序で基材の記録領域に付与し、第1の前処理液及び第2の前処理液は、一定の順序で基材に着弾するように吐出され、第1の前処理液は、凝集剤を含み、第2の前処理液は、凝集剤を含まず、かつ、浸透剤を含む、ことを特徴とする。
これによれば、印刷物の画質及び印刷物への画像の定着性を改善することができる。
また、印刷物の裏面濃度を高めることができ、印刷物の裏側からの視認性が要求される用途に好ましく適用することができる。
凝集剤を含む第1の前処理液と、凝集剤を含まず、浸透剤を含む第2の前処理液とを基材に付与し、凝集剤を基材の内部まで浸透させておくことで、画像の滲み又はムラの発生を防止することができる。また、浸透剤とともに凝集剤が基材内部まで浸透することで、基材の表面部分のみだけではなく、基材の内部にまで水性インクが浸透しながら、基材の内部で水性インクの色材が凝集するため、画像の定着性を向上させることができる。
また、第2の前処理液に凝集剤が含まれないことで、凝集剤によるインクの過度な凝集が緩和され、基材の内部にまで水性インクが浸透し、色材が凝集しながら定着するため、基材の裏面からの画像の視認性を得ることができる。例えば、広告用ののぼり、旗、のれん等の用途において、印刷面の裏面からの視認性を求められる用途に好ましく用いることができる。
また、基材の内部にまで水性インクが浸透するため、水性インクに樹脂成分が含まれる場合は、樹脂皮膜のアンカー効果を得ることができ、画像の定着性をより向上させることができる。
第1の前処理液と第2の前処理液とを主走査方向に配置したシリアル式記録ヘッドユニットを備えるインクジェット記録装置を用いて基材に付与する場合では、往路の1パス目では第1の前処理液及び第2の前処理液をこの順序で吐出し、復路の2パス目では第2の前処理液及び第1の前処理液をこの順序で吐出すると、基材の搬送方向ではパスに対応するラインごとに第1の前処理液と第2の前処理液の付与順序が入れ替わる。このように処理された基材に水性インクが付与されると、水性インクの基材への浸透性がラインごとに異なるため、水性インクの基材への浸透性が阻害されて、上記した効果が得られない問題がある。そのため、第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクは、基材の記録領域に所定の順序で付与されて、記録領域の全域で第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクの積層順序が同じになることが好ましい。
一実施形態による印刷物の製造方法は、各種の基材に対して好ましく画像を記録することができる。
基材としては、例えば、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、木材基材、金属基材、ガラス基材、樹脂基材等が挙げられる。なかでも、布に対して、画質及び定着性をより改善して画像を記録することができる。
布としては、例えば、綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維;ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ナイロン、レーヨン、キュプラ、アセテート等の化学繊維;又はこれらの混紡繊維等を挙げることができる。また、布としては、織物、編物、又は不織布等であってよい。
「第1の前処理液」
第1の前処理液は、凝集剤を含むことが好ましい。凝集剤を含む第1の前処理液が基材に付与されることで、基材上で水性インクの色材を凝集させる作用を備えることができる。そして、第1の前処理液によって、基材上で色材のにじみを防止して、印刷物の色ムラを低減することができる。また、色材の濡れ広がりが防止されるため、印刷物の画像濃度を高めることができる。
第1の前処理液は、凝集剤及び水を含むことが好ましく、主溶媒が水であることが好ましい。また、水に加えて、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を用いてもよい。
凝集剤は、水性インク中の色材の分散性ないし溶解性を低下させて、色材を凝集させる作用を備えることが好ましい。具体的にはイオン性を示す化合物や、酸を用いることができる。一般的な水性インクでは、色材自体、又は色材の分散剤により、色材表面の電荷バランスを調節して、色材は水中に分散ないし溶解している。そのため、これらの化合物を添加することで、この電荷バランスが崩壊し、色材が凝集すると考えられる。
凝集剤としては、例えば、有機酸、多価金属塩、カチオン性樹脂等を好ましく用いることができる。
有機酸は、酸性を示す有機化合物であって、具体的にはカルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、スルホ基等の酸性基を有する有機化合物を好ましく用いることができる。中でも後述する水素結合を形成し易い観点からカルボキシ基が好ましい。
有機酸は、基材と水素結合等の相互作用を起こして、基材への密着性をより向上させることができる。また、有機酸は、水素結合等の相互作用によって、基材上で水性インクの成分との密着性を向上させることができ、画像の定着性をより改善することができる。
また、水性インクに架橋剤が含まれる場合は、基材上で有機酸と架橋剤が接触すると、有機酸が不溶化するため、画像の耐水性を高めることができる。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸等のカルボン酸、乳酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、アスコルビン酸、スルホン酸等が挙げられる。
基材の耐擦過性、なかでも基材として布の湿潤摩擦堅牢性をより高める観点からも、凝集剤として、23℃で液体状の有機酸を用いることが好ましい。凝集剤が、布表面に液体として付与されることで、高い浸透性と印刷面の平滑性により、摩擦による影響を受けにくくすることができる。また、各前処理液をインクジェット記録装置を用いて付与する場合、凝集剤として液体状の有機酸を用いることで、記録ヘッドの不吐出を長期に渡って防止することができる。
23℃で液体状の有機酸として、酢酸、乳酸、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができ、より好ましくは乳酸である。
有機酸の沸点は120℃以上が好ましい。
インクジェット記録装置において、水性インクを充填した記録ヘッドは各前処理液を付与した基材の上部を移動しながら印刷を行う。沸点120℃以上の有機酸を用いることで、各前処理液を付与した基材から有機酸が揮発しにくくなって、記録ヘッドのノズル部の水性インクに、揮発した有機酸が接触しないようにして、ノズル部分で有機酸による水性インクの変質を防止することができる。このため、ノズル部からの水性インクの吐出不良を抑制することができる。
上記した有機酸は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機酸は、第1の前処理液全量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。
有機酸は、第1の前処理液全量に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
多価金属塩としては、例えば、2価以上の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、脂肪酸塩、乳酸塩、塩素酸塩等を用いることができる。ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が好ましい。2価以上の金属としては、Mg、Ca、Sr、Ba等の2価のアルカリ土類金属、Ni、Zn、Cu、Fe(II)等の2価の金属、Fe(III)、Al等の3価の金属等が挙げられ、なかでもアルカリ土類金属が好ましい。
より具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
上記した多価金属塩は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多価金属塩は、第1の前処理液全量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。
多価金属塩は、第1の前処理液全量に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
カチオン性樹脂としては、カチオン性水溶性樹脂及びカチオン性水分散性樹脂のいずれであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
カチオン性水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン及びその塩、ポリビニルピリジン、カチオン性のアクリルアミドの共重合体等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等を用いることができる。
カチオン性水溶性樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製シャロールシリーズ「DC-303P、DC-902P(いずれも商品名)」といったポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、センカ株式会社製ユニセンスシリーズ「FCA1000L、FPA100L(いずれも商品名)」、大阪有機化学工業株式会社HCポリマーシリーズ「1S、1N、1NS、2、2L(いずれも商品名)」等が挙げられる。
また、カチオン性水溶性樹脂として、アミノ基を有する水溶性樹脂を好ましく用いることができる。
アミノ基を有する水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン及びその塩、ポリビニルピリジン等の塩基性高分子、又はこれらの誘導体を用いることができる。なかでも、ポリエチレンイミンまたはポリアリルアミンが好ましい。
ポリエチレンイミンの市販品としては、例えば、株式会社日本触媒製エポミンシリーズ「SP-006、SP-012、SP-018、SP-200(いずれも商品名)」;BASFジャパン株式会社製「Lupasol FG、Lupasol G20 Waterfree、Lupasol PR 8515(いずれも商品名)」等が挙げられる。
また、ポリアリルアミンの市販品としては、例えば、日東紡績株式会社製「アリルアミン重合体であるPAA-01、PAA-03、PAA-05、アリルアミン塩酸塩重合体であるPAA-HCL-01、PAA-HCL-03、PAA-HCL-05、アリルアミンアミド硫酸塩重合体であるPAA-SA(いずれも商品名)」等が挙げられる。
カチオン性水分散性樹脂としては、樹脂粒子の表面がプラスに帯電し、正電荷を帯びた樹脂粒子であり、水に溶解することなく粒子状に分散して、水中油(O/W)型のエマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するカチオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にカチオン性の分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、又はベンゾピラゾール基等が挙げられる。カチオン性の分散剤は、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、カチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等が挙げられる。
カチオン性水分散性樹脂粒子の表面電荷量は、粒子電荷計で評価することができる。試料を中和するのに必要なアニオン量またはカチオン量を測定することで、表面電荷量を算出することができる。具体的には、表面電荷量が20~500μeq/gが好ましく、20~100μeq/gがより好ましい。粒子電荷計としては、日本ルフト株式会社製コロイド粒子電荷量計「Model CAS」等を用いることができる。
カチオン性水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、処理液の製造に際しては、水中油型樹脂エマルションとして配合することができる。
カチオン性水分散性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、スチレン-無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル-(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル-エチレン共重合体樹脂、及びこれらの複合樹脂等において、これらの樹脂にカチオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性分散剤等で表面処理して、プラスの表面電荷を与えたものを用いることができる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す(以下、同じである。)。
水分散性樹脂エマルションにおいて、エマルションを形成する水分散性樹脂粒子の平均粒子径(動的光散乱法により体積基準で測定した平均粒子径)は、基材表面の質感が変わることを防止し、また基材表面からの脱落を防止するために、10μm以下が好ましく、インクジェット記録装置の吐出に適するためには、水分散性樹脂粒子の平均粒子径は、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。
また、水分散性樹脂粒子の平均粒子径は、特に限定はされないが、インクの耐水擦過性の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
カチオン性水分散性樹脂の市販品としては、例えば、Lubrizol社製「PRINTRITE DP375」、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス620、650」、明成化学工業株式会社製の「PP-15、PP-17」、昭和電工株式会社製の「ポリゾールAP-1350」、DIC株式会社製の「ボンコートSFC-55」、ジャパンコーティングレジン株式会社製の「アクアテックスAC-3100」等が挙げられる。
上記したカチオン性樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性樹脂は、第1の前処理液全量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。
カチオン性樹脂は、第1の前処理液全量に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
上記した凝集剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の凝集剤を用いる場合は、互いの作用を損なわないように2種以上の凝集剤を選択し、また、その配合割合を調節することが好ましい。例えば、同じイオン性を示す凝集剤を組み合わせて用いることが好ましい。
凝集剤の合計量は、第1の前処理液全体に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。これによって、第1の前処理液を基材に付与することで、基材上に適切な量で凝集剤を付与することができ、基材上で水性インクの色材を適切に凝集させることができる。
凝集剤の合計量は、第1の前処理液全体に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。凝集剤はイオン性を有するため、過剰な量の凝集剤によって基材の表面品質が変質しないようにすることができる。また、過剰な量の凝集剤によって第1の前処理液の貯蔵安定性が低下しないようにすることができる。
例えば、凝集剤は、第1の前処理液全体に対し、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
第1の前処理液は、凝集剤に加えて、浸透剤をさらに含むことができる。これによって、基材に対して第1の前処理液の浸透性をより高めて、凝集剤の基材への浸透をより促進することができる。また、先に第1の前処理液を付与し、次いで第2の前処理液を付与する方法では、基材と第1の前処理液とのなじみにくいため、第1の前処理液に浸透剤を添加しておくとよい。
浸透剤としては、界面活性剤、SP値14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤等、又はこれらの組み合わせを用いることができる。具体的には、後述する第2の前処理液に配合可能な浸透剤と同様のものを用いることができる。
界面活性剤は、第1の前処理液全量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
SP値14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤は、第1の前処理液全量に対し、1~80質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。
浸透剤の合計量は、第1の前処理液全体に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。これによって、第1の前処理液の基材への浸透をより促進させることができる。
浸透剤は、第1の前処理液全体に対して、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。浸透剤の量が60質量%を超えると、基材によっては第1の前処理液の成分が浸透し過ぎてしまい、色材の凝集効果を得られ難い場合がある。
例えば、浸透剤は、第1の前処理液全体に対し、0.1~60質量%が好ましく、0.5~30質量%がより好ましく、1~40質量%がさらに好ましい。
第1の前処理液は、水をさらに含むことができる。例えば、第1の前処理液は、主溶剤として水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、脱イオン水等が挙げられる。
水は揮発性の高い溶剤であり、基材に付与された後に基材から蒸発しやすく、印刷物の乾燥を促進することができる。また、水は、無害で安全性が高く、VOCのような問題が無いので、表面処理された基材を環境にやさしいものとすることができる。
水は、第1の前処理液全量に対し、10~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、50~80質量%であってもよい。
第1の前処理液は、水とともに、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を含んでもよい。
水溶性有機溶剤としては、後述する第2の前処理液に配合可能な浸透剤の中から水溶性有機溶剤を選択して用いてもよい。また、後述する水性インクに配合可能な水溶性有機溶剤を用いてもよい。水溶性有機溶剤は、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、水との混合溶剤において単一相を形成することが好ましい。
水溶性有機溶剤は、第1の前処理液全量に対し、1~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
水及び水溶性有機溶剤の合計量(いずれか1種のみ含まれる場合にはその量、以下同じ)は、第1の前処理液全量に対し、30~99質量%が好ましく、40~95質量%がより好ましく、50~90質量%であってもよい。
第1の前処理液は、バインダー樹脂をさらに含んでもよい。バインダー樹脂を含むことで、第1の前処理液の基材への定着性をより高めることができる。また、水性インクの基材への定着をより向上させることができる。
バインダー樹脂としては、凝集剤のイオン性に影響を与えないように非イオン性樹脂を好ましく用いることができる。非イオン性樹脂は、水溶性及び水分散性のいずれであってもよい。また、非イオン性樹脂としては、後述する水性インクに配合可能な樹脂成分の中から非イオン性樹脂を選択して用いることができる。なお、第1の前処理液が、凝集剤としてカチオン性樹脂を含む場合は、このカチオン性樹脂がバインダー樹脂としての機能も併せ持つことができる。
また、第1の前処理液は、バインダー樹脂を架橋させるために、架橋成分をさらに含んでもよい。架橋成分としては、例えば、ブロックイソシアネート、オキサゾリン基含有化合物、(ポリ)カルボジイミド、アジリジン、キレート剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
バインダー樹脂が配合される場合、バインダー樹脂は、第1の前処理液全量に対し、0.1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。第1の前処理液にカチオン性樹脂が含まれる場合は、カチオン性樹脂とバインダー樹脂との合計量がこの範囲であることが好ましい。
また、架橋成分が配合される場合、架橋成分は、第1の前処理液全量に対し、0.1~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。
第1の前処理液は、後述する水性インクと同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、表面張力低下剤、紫外線吸収剤等の任意成分をさらに含んでもよい。
第1の前処理液の製造方法は、特に限定されず、通常の方法により適宜製造することができる。例えば、第1の前処理液は、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して混合ないし分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより作製することができる。
「第2の前処理液」
第2の前処理液は、凝集剤を含まず、かつ、浸透剤を含むことが好ましい。これによって、第2の前処理液は、基材表面を改質して、水性インクの基材への浸透を促進させる作用を備えることができる。そして、第2の前処理液によって、基材への水性インクの定着性を高めることができる。また、印刷物の裏面側への水性インクの浸透を促進して、印刷物の裏面側からの視認性をより高めることができる。
第2の前処理液は、浸透剤及び水を含むことが好ましく、主溶媒が水であることが好ましい。また、水に加えて、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を用いてもよい。
第2の前処理液は、基材上で色材を凝集させる作用が小さいことが好ましい。また、第2の前処理液は、第1の前処理液よりも基材上で色材を凝集させる作用が小さいことがより好ましい。
第2の前処理液は、色材を凝集させる作用を小さくするために、凝集剤を含まないことが好ましい。例えば、凝集剤は、第2の前処理液全量に対し、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、実質的に0質量%であってよい。また、第2の前処理液は、第1の前処理液に配合される凝集剤を含まないことが好ましい。
凝集剤の詳細については、上記第1の前処理液で説明した通りである。
浸透剤としては、例えば、界面活性剤、SP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤等、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができる。
ここで、SP値は、Fedors式で求められるSP値であり、具体的には、Fedorsの提唱した下記式により算出した値である。下記式において、Δeiは、i成分の原子または原子団の蒸発エネルギーであり、Δviは、i成分の原子または原子団のモル体積である(Hansen Solubility Parameters:A User’s Handbook,Second Edition,Charles M.Hansen,CRC Press,2007参照)。
δ=[(sumΔei)/(sumΔvi)]1/2
界面活性剤としては、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤があるが、非イオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。非イオン性界面活性剤は、水性インクの電荷バランスに影響を与えないことから、水性インクの色材を凝集させる作用を備えないため、浸透剤として好ましく用いることができる。
カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤は、水性インクの電荷バランスに影響して、色材を凝集させることがある。そのため、イオン性界面活性剤を用いる場合は、水性インクの電荷バランスに影響を与えないものを用いるとよい。例えば、水性インクに配合可能なイオン性界面活性剤を用いることができる。具体的には、水性インクの色材がカーボンブラックである場合は、アニオン性分散剤を用いる場合が多い。この場合には、第2の前処理液の浸透剤として、アニオン性界面活性剤を用いることができる。このような水性インクに配合可能なイオン性界面活性剤については、後述する水性インクの箇所で説明している通りである。
また、界面活性剤は、低分子量系界面活性剤及び高分子量系界面活性剤(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のいずれであってもよいが、高分子量系界面活性剤を好ましく用いることができる。
界面活性剤のHLB値は、5~20であることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中からシリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができ、なかでもシリコーン系界面活性剤がより好ましい。
シリコーン系界面活性剤は、非常に高い表面張力低下能と接触角低下能を持つため、基材表面が親水性でなくても、基材表面に第2の前処理液を速やかに拡散させることができる。その結果、基材表面に第2の前処理液が均一に定着することができるため、印刷した際に水性インクが処理部分に均一に定着し、高発色で高品位の印刷画像を得ることができる。
シリコーン系界面活性剤のなかでも、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤等を好ましく用いることができる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、日信化学工業株式会社製の「シルフェイスSAGシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、例えば、アセチレングリコールである「サーフィノール104E、104H」、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造の「サーフィノール420、440、465、485」(以上いずれも商品名、エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、アセチレングリコールの「オルフィンE-1004、E-1010、E-1020、PD-002W、PD-004、EXP.4001、EXP.4200、EXP.4123、EXP.4300」(以上いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレングリコールの「アセチレノールE00、E00P」、アセチレングリコールのエチレンオキサイドを付加した構造の「アセチレノールE40、E100」(以上いずれも商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
その他の非イオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲン102KG、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン120、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン220、エマルゲン350、エマルゲン404、エマルゲン420、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン4085、エマルゲン2025G」等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤等が挙げられる。
上記した界面活性剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、第2の前処理液全量に対し、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。
界面活性剤は、耐水性の観点から第2の前処理液全量に対し、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
浸透剤としての水溶性有機溶剤としては、SP値が14(cal/cm1/2以下であることで、第2の前処理液の基材への浸透性を促進させることができる。また、基材上で、水性インクを基材に浸透させる作用をより効果的に得ることができる。
SP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤としては、例えば、1,2-ブタンジオール(SP値12.8)、1,6-ヘキサンジオール(SP値13.5)、1,2-プロパンジオール(SP値13.5)、グリセリン(SP値16.4)、ジプロピレングリコール(SP値13.6)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値10.9)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値10.5)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(SP値11.7)、ジエチレングリコールベンジルエーテル(SP値11.5)、エチレングリコールプロピルエーテル(SP値11.1)、ジエチレングリコールモノエチルアセテート(SP値9.3)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値8.4)、N-メチル-2-ピロリドン(SP値11.2)等が挙げられる。
カッコ内のSP値の単位は(cal/cm1/2である。
水溶性有機溶剤のSP値の下限値は、特に限定されないが、9(cal/cm1/2以上が好ましい。SP値が9(cal/cm1/2未満の場合、水性インク中の色材の分散性ないし溶解性が低下し、凝集が起こる場合がある。水溶性の色材の場合、溶解性の低下が起こる場合がある。また、色材が分散剤により分散している場合、樹脂の種類によっては、樹脂の溶剤への溶解性が高くなりすぎで、色材に吸着している樹脂が剥がれてしまい、色材同士が凝集してしまう場合がある。SP値9(cal/cm1/2以上の水溶性有機溶剤を用いることで、基材上で水性インクの色材を凝集する作用を低減することができる。
上記した水溶性有機溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
浸透剤としての水溶性有機溶剤は、第2の前処理液全量に対し、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
浸透剤としての水溶性有機溶剤は、第2の前処理液全量に対し、100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。浸透剤としての水溶性有機溶剤は、浸透剤と溶媒との両方の機能を備えるため、浸透剤としての水溶性有機溶剤を単一成分として含む第2の前処理液を構成してもよい。
上記した浸透剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の浸透剤を用いる場合は、互いの作用を損なわないように2種以上の浸透剤を選択し、また、その配合割合を調節することが好ましい。また、浸透剤として界面活性剤を含むことで第2の前処理液の浸透性をより高めることができる。さらに、浸透剤として界面活性剤とSP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
浸透剤は、第2の前処理液全体に対し、0.5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。浸透剤として界面活性剤を用いる場合は、少量においても第2の前処理液の浸透性をより効果的に改善することができる。
浸透剤は、これに限定されないが、第2の前処理液全体に対し、100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
例えば、浸透剤は、第2の前処理液全体に対し、0.5~100質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。
第2の前処理液は、水をさらに含むことができる。例えば、第2の前処理液は、主溶剤として水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、脱イオン水等が挙げられる。
水は揮発性の高い溶剤であり、基材に付与された後に基材から蒸発しやすく、印刷物の乾燥を促進することができる。また、水は、無害で安全性が高く、VOCのような問題が無いので、表面処理された基材を環境にやさしいものとすることができる。
水は、第2の前処理液全量に対し、1~95質量%が好ましく、5~90質量%がより好ましく、10~80質量%であってもよい。
第2の前処理液は、水とともに、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を含んでもよい。
水溶性有機溶剤としては、上記した浸透剤の中から水溶性有機溶剤を選択して用いてもよい。また、後述する水性インクに配合可能な水溶性有機溶剤を用いてもよい。水溶性有機溶剤は、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、水との混合溶剤において単一相を形成することが好ましい。
水溶性有機溶剤は、第2の前処理液全量に対し、10~100質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、50~80質量%であってもよい。
水及び水溶性有機溶剤の合計量は、第2の前処理液全量に対し、50~100質量%が好ましく、70~99質量%がより好ましく、80~98質量%であってもよい。
第2の前処理液は、バインダー樹脂をさらに含んでもよい。バインダー樹脂を含むことで、第2の前処理液の基材への定着性をより高めることができる。また、水性インクの基材への定着をより向上させることができる。
バインダー樹脂としては、水性インクの色材を凝集させる作用を備えないことが好ましく、非イオン性樹脂を好ましく用いることができる。非イオン性の樹脂は、水溶性及び水分散性のいずれであってもよい。また、非イオン性樹脂としては、後述する水性インクに配合可能な樹脂成分の中から非イオン性樹脂を選択して用いることができる。なお、第2の前処理液が、浸透剤として高分子系の非イオン性界面活性剤を含む場合は、この非イオン性界面活性剤がバインダー樹脂としての機能も併せ持つことができる。
また、第2の前処理液は、バインダー樹脂を架橋させるために、架橋成分をさらに含んでもよい。架橋成分としては、上記第1の前処理液で説明したものを用いることができる。
バインダー樹脂が配合される場合、バインダー樹脂は、定着性及び機上安定性の観点から第2の前処理液全量に対し、0.1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。第2の前処理液に高分子系の非イオン性界面活性剤が含まれる場合は、この非イオン性界面活性剤とバインダー樹脂との合計量がこの範囲であることが好ましい。
また、架橋成分が配合される場合、架橋成分は、第2の前処理液全量に対し、0.1~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。
裏面濃度の観点から、第2の前処理液は、定着性樹脂を含有しない方が好ましい。定着性樹脂は浸透性を低下させることがあるため、裏面濃度が低下する場合がる。
第2の前処理液は、後述する水性インクと同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、表面張力低下剤、紫外線吸収剤等の任意成分をさらに含んでもよい。
第2の前処理液の製造方法は、特に限定されず、上記した第1の前処理液と同様の方法によって作製することができる。
「水性インク」
水性インクは、色材及び水を含むことが好ましい。
色材としては、顔料及び染料のいずれであってもよく、それぞれ単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。印刷物の耐候性及び耐水性の観点から、色材として顔料を好ましく用いることができる。
顔料としては、非白色の顔料、白色顔料、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
例えば、基材として、布等の色味や表面形状等を有する基材を用いる場合は、基材の色味等を隠蔽するために白色顔料を用いた白インクを用いて下地層を形成し、その上から画像を記録する方法がある。
非白色の顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料;ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類等を用いることができる。
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等の無機顔料等を用いることができる。無機顔料以外に、中空樹脂微粒子、中実樹脂微粒子を使用することもできる。なかでも、隠蔽力の観点から、酸化チタンを好ましく用いることができる。酸化チタンとしては、光触媒作用を抑制するために、アルミナやシリカで表面処理されたものを用いることが好ましい。
顔料の体積基準の平均粒子径は、発色性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましく、200nm以下がより好ましい。例えば、顔料の平均粒子径は、50~500nmであることが好ましく、50~200nmであることがより好ましい。
顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散顔料を用いてもよい。自己分散顔料の市販品としては、例えば、キャボット社製CAB-O-JETシリーズ「CAB-O-JET200、CAB-O-JET300、CAB-O-JET250C、CAB-O-JET260M、CAB-O-JET270」、オリヱント化学株式会社製「BONJET BLACK CW-1S、CW-2、CW-3」等が挙げられる(いずれも商品名)。
顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を用いてもよい。
顔料分散剤を用いて顔料をあらかじめ分散させた顔料分散体を用いてもよい。顔料分散体の市販品としては、例えば、クラリアント社製「HOSTAJETシリーズ」、冨士色素株式会社製「FUJI SPシリーズ」等が挙げられる(いずれも商品名)。また、後述する顔料分散剤によって顔料を分散させた顔料分散体を用いてもよい。
上記した顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料は、その種類によっても異なるが、発色等の観点から、水性インク全量に対し、固形分量で0.1~30質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
水中に顔料を安定して分散させるために、水性インクは顔料分散剤をさらに含んでもよい。
顔料分散剤としては、例えば、市販品として、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W、TEGOディスパース750W、TEGOディスパース755W、TEGOディスパース757W、TEGOディスパース760W」、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース43000、ソルスパース44000、ソルスパース46000」、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57、ジョンクリル60、ジョンクリル62、ジョンクリル63、ジョンクリル71、ジョンクリル501」、BYK製の「DISPERBYK-102、DISPERBYK-185、DISPERBYK-190、DISPERBYK-193、DISPERBYK-199」等が挙げられる(いずれも商品名)。
界面活性剤型分散剤としては、例えば、花王株式会社製デモールシリーズ「デモールEP、デモールN、デモールRN、デモールNL、デモールRNL、デモールT-45」(いずれも商品名)等のアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲンA-60、エマルゲンA-90、エマルゲンA-500、エマルゲンB-40、エマルゲンL-40、エマルゲン420」(いずれも商品名)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
顔料分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料分散剤は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般的に、水性インク全量に対し、固形分量での質量比で、顔料1に対し、0.005~0.5の範囲で配合することが好ましい。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。
上記した染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
染料は、その種類によっても異なるが、発色等の観点から、水性インク全量に対し、固形分量で0.1~30質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
水性インクジェットインクは水を含むことが好ましい。水は、インクの溶媒として機能するものであれば特に限定されず、蒸留水、イオン交換水、脱イオン水等が使用できる。
水は、インク全量に対し、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。
色材等の添加量に応じて、水は、インク全量に対し、95質量%以下であってよく、90質量%以下であってもよい。
インクは、水に加えて、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解又は混和可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2-メチル-2-プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1-メチル-2-ピロリドン、β-チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。
さらに、水溶性有機溶剤としては、例えば、平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190~630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200~600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250~800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール等の低分子量ポリアルキレングリコール等を用いることもできる。
水溶性有機溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記した水溶性有機溶剤の中から、SP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤を用いることで、水性インクの基材への浸透性をより高めることができる。このSP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤は、上記した第2の前処理液の箇所で説明した通りである。
水溶性有機溶剤は、インク全量に対し、1~80質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましく、10~50質量%であってよく、20~40質量%であってよい。2種以上の水溶性有機溶剤を配合する場合は、その合計量がこの範囲であることが好ましい。
水性インクは、界面活性剤をさらに含んでもよい。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤とに大別される。また、低分子系界面活性剤及び高分子系界面活性剤(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のいずれであってもよいが、低分子系界面活性剤を好ましく用いることができる。界面活性剤のHLB値は、5~20が好ましい。
この界面活性剤を配合することにより、インクジェット記録装置を用いてインクを安定に吐出させることがより容易となり、また、水性インクの基材への浸透をより適切に制御しやすくなるため好ましい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。また、非イオン性界面活性剤は、水性インクの電荷バランスへの影響が少なく、色材の分散性及び溶解性を良好に維持することができる。
非イオン性界面活性剤としては、上記した各前処理液に配合可能な浸透剤としての非イオン性界面活性剤を用いることができる。
また、界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用いることで、界面活性剤による作用を得ながら、顔料分散剤としても作用させることができる。このようなアニオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製エマールシリーズ「エマール0、エマール10、エマール2F、エマール40、エマール20C」、ネオペレックスシリーズ「ネオペレックスGS、ネオペレックスG-15、ネオペレックスG-25、ネオペレックスG-65」、ペレックスシリーズ「ペレックスOT-P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA、ペレックスSS-L、ペレックスSS-H」、デモールシリーズ「デモールN、デモールNL、デモールRN、デモールMS」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、色材等の種類によっては、界面活性剤として、両性界面活性剤を用いてもよい。
両性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アンヒトールシリーズ「アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール86B、アンヒトール20YB、アンヒトール20N」等が挙げられる(いずれも商品名)。
界面活性剤は、水性インク全量に対し、有効成分量で、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましい。一方、界面活性剤量は、水性インク全量に対し、有効成分量で、5重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、3重量%以下が一層好ましい。
水性インクは、水分散性樹脂、水溶性樹脂、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。インクは、水分散性樹脂及び水溶性樹脂の少なくとも一方を含むことにより、基材に色材を十分に定着させることができ、これにより、少量の色材で高い着色性を得ることができる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてよい。
水分散性樹脂の場合は、粒子表面がマイナスに帯電し、負電荷を帯びたアニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型エマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するアニオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にアニオン性の分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。アニオン性の官能基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基等であり、アニオン性の分散剤は、陰イオン界面活性剤等である。樹脂粒子表面がアニオン性であると、上記第1の前処理液中の凝集剤との化学的な相互作用が得られ、その結果、色材の定着を一層強固なものとして画像の耐久性をより高めることができる。
アニオン性水分散性樹脂粒子の表面電荷量は、-20~-500μeq/gが好ましく、-20~-100μeq/gがよりが好ましい。
水分散性樹脂の種類としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、水分散性樹脂は、インクの製造に際し、樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、エチレン-塩化ビニル共重合樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル-(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル-エチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂等、及びこれらの複合樹脂等が挙げられる。
上記の通り、これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入するか、又は、アニオン性分散剤等で表面処理して、マイナスの表面電荷を与えることができる。
これらの水分散性樹脂のうち、記録ヘッドからの安定吐出性能の観点、及び基材への定着性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が-35~40℃のウレタン樹脂を用いることが好ましい。
水分散性ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社の「スーパーフレックス460、420、470、460S(カーボネート系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、150HS(エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、740(芳香族イソシアネート系エステル系ウレタン樹脂エマルション・商品名)」、DSM社の「NeoRez R-9660、R-2170(脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、NeoRez R-966、R-967、R-650(脂肪族ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、R-986、R-9603(脂肪族ポリカーボネート・いずれも商品名)」等が挙げられる。
また、インク中での安定性の観点から、(メタ)アクリル樹脂又は(メタ)アクリル樹脂共重合体を用いることも好ましい。
これらの市販品としては、例えば、日本合成化学工業株式会社の「モビニール966A、6963、6960(アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、6969D(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)」、BASF社の「ジョンクリル7100、PDX-7370、PDX-7341(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)」、DIC株式会社の「ボンコートEC-905EF、5400EF、CG-8400(アクリル/スチレン系エマルション)」等が挙げられる。
水分散性樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の1種単独の樹脂から構成されてもよいし、又は、複数種の樹脂を組み合わせて複合樹脂として構成されてもよく、さらにはこれらの樹脂エマルションの混合物であってもよい。
また、水分散性樹脂としては、水性インクの電荷バランスへの影響が少ないことから、非イオン性又は両性の水分散樹脂を用いてもよい。これらの市販品としては、例えば、日本合成化学工業株式会社製の「モビニール7720」、DIC株式会社製の「ボンコート40-418EF」、株式会社ADEKA製の「HUX-895、HUX-830」、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス500M、スーパーフレックスE-4800」等が挙げられる(いずれも商品名)。
水分散性樹脂エマルションにおいて、エマルションを形成する水分散性樹脂粒子は、インクジェット記録方法に適した粒子径であればよく、一般的には平均粒子径(動的光散乱法により体積基準で測定した平均粒子径)で300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。水分散性樹脂粒子の平均粒子径の下限値は、特に限定はされないが、インクの貯蔵安定性の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
水溶性樹脂及び水分散性樹脂の合計量は、水性インク全量に対し、固形分量の質量比で、色材1に対して0.1~15が好ましく、1~10がより好ましく、3~7がさらに好ましい。樹脂の含有量をこの範囲にすることで、基材の表面に印刷された画像の定着性と画質を十分に確保することができる。色材1に対する樹脂の比率が0.1以上であることで、画像の定着性をより高めることができる。色材1に対する樹脂の比率が15以下であることで、水性インクの機上安定性をより改善することができる。
水溶性樹脂及び水分散性樹脂の合計量は、水性インク全量に対し、固形分量で、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%がさらに好ましい。
また、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の合計量は、水性インク全量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
例えば、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の合計量は、水性インク全量に対し、0.1~20質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、5~10質量%であってもよい。
水性インクは、樹脂成分を架橋させて塗膜を強化し、定着性をより高めるために、架橋成分をさらに含んでもよい。架橋成分としては、例えば、ブロックイソシアネート、オキサゾリン基含有化合物、(ポリ)カルボジイミド、アジリジン、キレート剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
架橋剤は、水性インク全量に対し、0.1~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。
インクには、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の成分以外に、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、表面張力低下剤、紫外線吸収剤等の任意成分をさらに添加してもよい。
インクの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、ビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め水と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
水性インクの粘度は適宜調節することができるが、吐出性の観点から、例えば、23℃における粘度が1~30mPa・sであることが好ましい。
水性インクのpHは、インクの貯蔵安定性の観点から、7.0~10.0が好ましく、7.5~9.0がより好ましい。
一実施形態による水性インクジェットインクセットは、凝集剤を含む第1の前処理液と、凝集剤を含まず、かつ、浸透剤を含む第2の前処理液と、色材及び水を含む水性インクとを含む。第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクの詳細については、上記した通りである。
一実施形態による水性インクジェットインク用前処理液セットは、凝集剤を含む第1の前処理液と、凝集剤を含まず、かつ、浸透剤を含む第2の前処理液とを含む。第1の前処理液、及び第2の前処理液の詳細については、上記した通りである。
「記録方法」
一実施形態による印刷物の製造方法では、第1の前処理液及び第2の前処理液の一方、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方、及び水性インクをこの順序で基材の記録領域に付与し、第1の前処理液及び第2の前処理液は、一定の順序で基材に着弾するように吐出されることが好ましい。
第1の前処理液及び第2の前処理液は、いずれか一方が基材の記録領域に先に付与され、次に他方が付与されればよい。これによって、基材上に第1の前処理液の凝集剤と、第2の前処理液の浸透剤とが重ねて付与されて、印刷物の画質と定着性を改善することができる。基材の記録領域の全面に渡って第1の前処理液と第2の前処理液との積層順序が同じであることで、水性インクが基材への着弾部位から濡れ広がらないようにして画像ムラの発生を抑制し、画像濃度を高めることができる。また、第1の前処理液と第2の前処理液との成分が基材上に均一に付与されるようになって、各前処理液による処理面と水性インクとの馴染み性が改善されて、定着性をより改善することができる。
また、凝集剤及び浸透剤をともに含む1種類の前処理液を用いる場合では、基材内部まで前処理液が十分に浸透しない問題がある。第1の前処理液と第2の前処理液とを別々に分けて基材に付与することで、基材内部まで前処理液の浸透を促進して、次いで付与する水性インクの基材への定着性を向上させることができる。また、第1の前処理液と第2の前処理液とを別々に分けて基材に付与することで、第1の前処理液の凝集剤が基材の厚さ方向に濃度勾配を形成するようになって、印刷物の画質と定着性とをよりバランスよく改善することができる。
また、基材によって2つの前処理液の比率を適切にコントロールすることで、画質と定着性とのバランスをより改善することができる。1種類の前処理液を用いる場合では、前処理液の過浸透による濃度不足や、浸透不足による定着不足が起こる問題がある。
第1の前処理液及び第2の前処理液がこの順序で基材に付与される場合では、先に基材に付与された第1の前処理液の凝集剤が、次いで付与される第2の前処理液の浸透剤及び溶剤によって基材の内部に押し込まれるようになる。これによって、凝集剤による過度なインクの凝集が抑制され、かつ外力の影響を受けやすい基材の最表面にインクが過剰に残らないようにして、印刷物の定着性をより改善することができる。
また、第2の前処理液及び第1の前処理液がこの順序で基材に付与される場合では、先に基材に第2の前処理液の浸透剤が付与され、次いで付与される第1の前処理液の凝集剤が基材の内部に浸透しながら凝集剤の一部は基材の表面に残るようになる。これによって、比較的基材の表面付近に水性インクの色材が凝集して留まるようになって、印刷物の画像濃度をより高めることができる。また、先に基材に第2の前処理液の浸透剤が付与されることで、浸透剤が基材の内部から裏面側にまで染み込み、呼び水効果により凝集剤及びインクも基材内部まで染み込むことが出来る。これにより、画像ムラをさらに低減することができる。また、基材の裏面側からの画像の視認性が求められる用途に用いるために、印刷物の裏面濃度をより高めることができる。
以下、第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクを基材の記録領域にこの順序で付与する方法について説明する。なお、第2の前処理液、第1の前処理液、及び水性インクを基材の記録領域にこの順序で付与する方法は、以下の構成において第1の前処理液と第2の前処理液の構成を逆にすることで行うことができるため、詳細な説明を省略する。
第1の前処理液及び第2の前処理液は、それぞれ独立的に、インクジェット記録装置を用いて基材の記録領域に付与することができる。
第1の前処理液及び第2の前処理液は、それぞれ独立的に、水性インクによる記録領域に対応する領域に付与されることが好ましい。第1の前処理液及び第2の前処理液が記録領域以外に付与されないことで、水性インクが記録領域以外の部分に濡れ広がることを防止して、画像のにじみをより防止することができる。また、第1の前処理液及び第2の前処理液が記録領域以外に付与されないことで、記録領域以外の部分の基材表面の色味や質感が損なわれることを防止することができる。なお、第1の前処理液及び第2の前処理液は、水性インクによる記録領域以外に付与されてもよく、基材の一部又は全面に付与されてもよい。
次に、第1の前処理液及び第2の前処理液によって処理された基材に、インクジェット記録装置を用いて基材の記録領域に水性インクを付与することができる。
このような順序で付与することで、基材上に、第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクがこの順序で積層された画像を記録することができる。
第1の前処理液及び第2の前処理液の付与量は、それぞれ、基材の種類、材質等によっても異なるため一律に規定することはできないが、画質及び定着性をよりよく改善するために、付与面積あたり、1g/m~100g/mが好ましく、3g/m~50g/mがより好ましく、5g/m~30g/mがさらに好ましい。
水性インクの付与量は、基材の種類、材質等によっても異なるため一律に規定することはできないが、画像濃度を高めるために、付与面積あたり、1g/m~500g/mが好ましく、3g/m~100g/mがより好ましく、5g/m~50g/mがさらに好ましい。
第1の前処理液及び第2の前処理液を別々に基材に付与することで、基材に付与される水や溶剤等の揮発成分が多くなるため、水等を保持する能力が大きい布等を基材として好ましく用いることができる。
水性インクを基材に付与した後には、基材を乾燥させることによって、水や溶剤等の揮発成分を除去して、基材に画像を定着させるとよい。記録される画像は、特に限定されず、任意の絵柄、文字、絵柄と文字との組合せ、ベタ画像、写真画像等であってよい。
なお、高品位の画像を得るために、(i)インク滴を小さくする、(ii)印刷速度を遅くする、(iii)片方向印刷をする、(iv)印刷解像度を高くする、又は、(v)これらの方法を組み合わせて印刷する等の印刷条件を用いることが有効である。
第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクの基材への付与は、それぞれ一般的なインクジェット記録装置を用いて行うことができ、記録方式又は記録装置等に限定されない。
インクジェット記録装置としては、例えば、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式等のいずれであってもよく、デジタル信号に基づいて記録ヘッドからインク等の液滴を吐出させ、吐出された液滴を基材に着弾させて画像を記録するものが好ましい。高粘度のインクであっても吐出できる観点からピエゾ方式が好ましい。
例えば、少なくとも3個の記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置を用いて、それぞれの記録ヘッドから第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクを吐出して基材に付与して画像を記録することができる。また、基材が1回搬送される間に、それぞれの記録ヘッドから第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクを吐出し基材に付与して画像を記録することが好ましい。
第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクの基材への付与は、それぞれ一般的な記録ヘッドを用いて行うことができる。例えば、シリアル式記録ヘッドを備えるシリアル式インクジェット記録装置、又はラインヘッド式記録ヘッドを備えるラインヘッド式インクジェット記録装置を用いることができる。
凝集剤を含む第1の前処理液を用いる場合では、第1の前処理液を吐出するノズル部と、水性インクを吐出するノズル部とが近傍に配置されると、水性インクを吐出するノズル部のみが配置される構成では問題にならないが、第1の前処理液を吐出するノズル部から凝集剤を含むミストが発生して、水性インクを吐出するノズル部に付着することがある。これによって、水性インクがノズル部で凝集してノズル詰まりが発生し、吐出不良の原因となることがある。ラインヘッド式インクジェット記録装置では、ライン状のノズル列のうち1個のノズルが不吐出になっても画像へ与える影響が大きくなる。そのため、凝集剤を含む第1の前処理液を用いる場合は、シリアル式インクジェット記録装置を用いることが好ましい。
また、ラインヘッド式インクジェット記録装置では、基材や求める性能によって、第1の前処理液と第2の前処理液とを付与するための記録ヘッドの配置を入れ替えることが難しい。シリアル式インクジェット記録装置は、第1の前処理液と第2の前処理液との付与順序を制御することができるため、好ましく用いることができる。
2種類以上の前処理液を基材に付与する場合では、2種類以上の前処理液と水性インクとの単位時間あたりの基材への付与量の合計量を調節することが好ましい。これらの付与量の合計量が短時間で多くなると、後から付与される前処理液及び水性インクの基材への浸透が遅くなる可能性がある。例えば、第1の前処理液を付与するタイミングと第2の前処理液を付与するタイミングがほぼ同時になると、第1の前処理液及び第2の前処理液それぞれの基材へ浸透が遅れて、基材表面に凝集剤と浸透剤が混合した状態で残存する可能性がある。また、第1の前処理液及び第2の前処理液の組み合わせによっては、基材への浸透がさらに遅れることがある。そして、2つの前処理液が基材へ十分に浸透する前に水性インクが付与されると、水性インクが基材表面で凝集を開始し、画像の定着性が低下する問題がある。そのため、2種類以上の前処理液を用いる場合は、各前処理液の付与間隔をより簡単に調節するために、ラインヘッド式インクジェット記録装置よりもシリアル式インクジェット記録装置を好ましく用いることができる。
例えば、第1の前処理液の付与から第2の前処理液の付与までの付与間隔は、各前処理液に含まれる揮発性成分の種類又は量等によって異なるが、1ms(m秒)以上が好ましく、10ms以上がより好ましい。これによって、第1の前処理液が基材に浸透し始めてから、第2の前処理液を付与することができるため、基材表面に2つの前処理液が残存することを防ぐことができる。
一方で、第1の前処理液の付与から第2の前処理液の付与までの付与間隔は、10s(秒)以内が好ましく、1s以内がより好ましい。これによって、基材上で第1の前処理液が乾燥する前に、第2の前処理液を付与して、第1の前処理液の凝集剤を基材内部までより浸透させることができる。
また、第2の前処理液の付与から水性インクの付与までの付与間隔は、各前処理液及び水性インクに含まれる揮発性成分の種類又は量等によって異なるが、10ms以上が好ましく、100ms以上がより好ましく、1s以上がより好ましい。これによって、第2の前処理液が基材に十分浸透してから、水性インクを付与することができるため、基材内部まで水性インクをより浸透させることができる。
一方で、第2の前処理液の付与から水性インクの付与までの付与間隔は、100s以内が好ましく、10s以内がより好ましい。これによって、基材上で第1の前処理液及び第2の前処理液が乾燥する前に、水性インクを付与して、水性インクを基材内部までより浸透させることができる。
シリアル式インクジェット記録装置を用いる場合では、記録ヘッドの主走査方向の移動速度を制御することで、第1の前処理液と第2の前処理液との付与間隔、及び第2の前処理液と水性インクとの付与間隔とをそれぞれより簡単に調節することができる。なお、第1の前処理液と第2の前処理液の付与順序が異なる場合も同様である。
また、後述する図2に示す記録ヘッドユニットを用いることで、第2の前処理液と水性インクとの付与間隔をより長めに調節することができる。また、後述する図3に示す記録ヘッドユニットを用いることで、第2の前処理液と水性インクとの付与間隔とともに、第1の前処理液と第2の前処理液との付与間隔をより長めに調節することができる。
一実施形態では、第1の前処理液及び第2の前処理液のうち、先に基材に着弾する前処理液の、主走査方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔT、及び主走査方向に交差する方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTの少なくとも一方が10ms以上であることが好ましい。以下、着弾時間差ΔT及び着弾時間差ΔTを総称して着弾時間差ΔTとも称する。
これによって、2つの前処理液の浸透性を高め、インク被膜のアンカー効果を得やすくし、画像の定着性を向上させることができる。
ここで、「主走査方向(以下、主走査方向Xとも記す。)」は、ドットが連続して吐出される方向であり、シリアル式では記録ヘッドの主走査方向となり、ラインヘッド式では記録ヘッドの長手方向となる。そして、「主走査方向に交差する方向(以下、方向Yとも記す。)」は、ドットが連続して吐出される主走査方向に交差する方向であれば、主走査方向に直角に交差する方向であってもよく、主走査方向に直角以外の角度で交差する方向であってもよい。典型的なインクジェット記録装置では、主走査方向Xに直交する方向に基材が搬送され、主走査方向Xに直交する方向にドット間の距離が最短となる2つのドットが着弾するようになる。
前処理液に樹脂成分が含まれる場合は、樹脂は浸透性が悪い傾向があり、例えば、水分散性樹脂は粒子状で浸透しにくい傾向があり、水溶性樹脂は水分の揮発により増粘して浸透しにくくなる傾向がある。2つの前処理液のうち先に基材に着弾する前処理液に樹脂が含まれる場合では、着弾時間差ΔTを10ms以上とすることで、樹脂を含む前処理液を用いた場合でも、2つの前処理液の浸透性をより高めることができる。
着弾時間差ΔTは、10ms以上が好ましく、20ms以上がより好ましく、100ms以上がさらに好ましい。
一方、着弾時間差ΔTは、30s以内が好ましく、5s以内がより好ましく、3s以内がさらに好ましい。30sを超えると、先に基材に着弾する前処理液の乾燥及び/又は成膜が始まり、浸透性が劣る場合がある。
例えば、着弾時間差ΔTは10ms~5sが好ましく、20ms~3sがより好ましい。
なお、着弾時間差ΔT及びΔTは、少なくとも一方が10ms以上であればよく、両方が10ms以上であってもよい。着弾時間差ΔT及びΔTのそれぞれの好ましい範囲は、上記したΔTと同様である。
着弾時間差ΔTを10ms以上とする方法は特に限定されないが、例えば、シリアル式インクジェット記録装置を用いて行うことができる。
シリアル式の記録ヘッドを用いて吐出を行う場合、例えば、主走査方向Xにおいてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTを10ms以上としてもよい。この場合では、例えば、シリアル式の記録ヘッドの主走査方向Xの移動速度を制御して、ΔTを10ms以上に調節することができる。あるいは、シリアル式の記録ヘッドの主走査方向Xの着弾位置を所定の距離以上となるように制御して、着弾時間差ΔTを10ms以上に調節することができる。さらには、これらを組み合わせてもよい。
また、シリアル式の記録ヘッドを用いて吐出を行う場合、例えば、主走査方向に交差する方向Yにおいてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTを10ms以上としてもよい。この場合では、例えば、主走査方向に直交する方向に基材を搬送するシリアル式インクジェット記録装置を用いることで、シリアル式の記録ヘッドを主走査方向Xに走査しながら前処理液を第1のラインに吐出し、基材を搬送方向に1ライン分移動させてから、基材上の次の第2のラインに同様にして前処理液を吐出する際に、基材の搬送速度、記録ヘッドの移動速度等を制御して、着弾時間差ΔTを10ms以上に調節することができる。
上記した着弾時間差ΔT及び着弾時間差ΔTは、それぞれ単独で、又は組み合わせて制御してもよい。
以下、シリアル式インクジェット記録装置を用いて印刷物を製造する具体的な方法について説明する。
シリアル式インクジェット記録装置は、主走査方向(以下、主走査方向Xとも記す。)に移動可能に取り付けられ、ノズル部を備えるシリアル式記録ヘッドと、この記録ヘッドに対向する位置に基材を搬送する搬送装置とを備える。このシリアル式記録ヘッドを主走査方向Xに移動させながら、ノズル部からインクを吐出する動作と、主走査方向と交差する搬送方向(以下、搬送方向Yとも記す。)に基材を移動させる動作とを繰り返して、基材に画像を記録することができる。
シリアル式インクジェット記録装置の一例は、主走査方向Xに移動可能な記録ヘッドユニットと、基材を搬送方向Yに搬送する搬送装置とを備え、記録ヘッドユニットは、第1の記録ヘッド、第2の記録ヘッド、及び第3の記録ヘッドを少なくとも備える。記録ヘッドユニットは駆動ベルトによって主走査方向Xに往復移動可能となっている。第1の前処理液及び第2の前処理液の一方が第1の記録ヘッドに供給され、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方が第2の記録ヘッドに供給され、水性インクが第3の記録ヘッドに供給され、それぞれの記録ヘッドから第1の前処理液、第2の処理液、及び水性インクが吐出されることで、基材上にこれらを積層して画像を記録することができる。
基材の搬送装置は、インクジェット記録装置に記録ヘッドユニットを固定しておき、搬送ローラ等を用いて基材を搬送方向Yに移動させて記録ヘッドと対向する位置を通過させるものであってよい。また、基材の搬送装置は、基材を載置部に固定して載置しておき、記録ヘッドユニットを移動させて、相対的に基材を搬送方向Yに搬送させるものであってもよい。好ましくは、記録ヘッドユニットの主走査方向に直交する方向に基材を搬送する。
また、記録装置は、印刷中又は印刷前後の任意の段階で、基材を加熱する加熱装置を備えてもよい。加熱装置によって基材を加熱することで、各前処理液及び水性インクの乾燥を促進させることができる。また、各前処理液及び水性インクが樹脂分を含む場合は、樹脂膜の形成を促進させることができる。
また、記録装置は、印刷しようとする画像データを入力するための入力装置を備えてもよい。入力装置としては、スキャナ又はパソコンから取り込まれる画像データを受信する外部入力部を備えることができる。この画像データに基づいて、各記録ヘッドからの水性インクの吐出を制御し、また、水性インクが吐出される記録領域に前もって各前処理液を吐出することができる。
一実施形態によるシリアル式インクジェット記録装置は、例えば、第1の前処理液及び第2の前処理液の一方が供給される第1の記録ヘッドと、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方が供給される第2の記録ヘッドと、水性インクが供給される第3の記録ヘッドとを備えるシリアル式記録ヘッドユニットを有し、第1の記録ヘッドから第1の前処理液及び第2の前処理液の一方を基材の記録領域に付与する工程、第2の記録ヘッドから第1の前処理液及び第2の前処理液の他方を基材の記録領域に付与する工程、及び第3の記録ヘッドから水性インクを基材の記録領域に付与する工程をこの順序で行うことができる。これによれば、基材上に、第1の前処理液及び第2の前処理液の一方、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方、及び水性インクがこの順序で積層されて、第1の前処理液及び第2の前処理液が一定の順序で基材に着弾されて、画像が記録された印刷物を得ることができる。
具体的な一方法としては、第1の記録ヘッド、第2の記録ヘッド、及び第3の記録ヘッドを、記録ヘッドの主走査方向にこの順序に配置し、記録ヘッドユニットを主走査方向の一方方向に移動させながら、第1の記録ヘッドから第1の前処理液及び第2の前処理液の一方、第2の記録ヘッドから第1の前処理液及び第2の前処理液の他方、及び第3の記録ヘッドから水性インクをこの順序で基材の記録領域に付与することができる。
図1に、一実施形態によるシリアル式記録ヘッドユニットの一例を模式的に示す上面図を示す。
図1に示す記録ヘッドユニット100では、主走査方向Xに沿って、往路(図中左から右方向、以下同じ)の下流側から第1の記録ヘッド11、第2の記録ヘッド12、及び第3の記録ヘッド13がこの順序で列状に配置されている。第3の記録ヘッド13は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の4色の水性インクごとに4個の記録ヘッド13K、13C、13M、及び13Yを備える。後述する図2及び図3も同様である。
そして、第1の記録ヘッド11に第1の前処理液を供給し、第2の記録ヘッド12に第2の前処理液を供給し、第3の記録ヘッド13に水性インクを供給して、記録ヘッドユニット100を主走査方向Xの往路方向に移動させながら、第1の記録ヘッド11から第1の前処理液を吐出し、第2の記録ヘッド12から第2の前処理液を吐出し、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出することで、基材上に第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクをこの順序で付与することができる。
この記録ヘッドユニット100の構成では、この付与順序は主走査方向Xの往路のみであり、復路では付与順序が逆になる。そのため、この付与順序とするためには、往路のみで付与を行って復路では付与を行わないで印刷するとよい。
具体的な他の方法としては、第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドを記録ヘッドユニットの主走査方向に列状に配置し、第3の記録ヘッドを第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドに対して基材の搬送方向の下流側に配置し、第1の記録ヘッドから第1の前処理液及び第2の前処理液の一方を基材の記録領域に付与する工程、及び第2の記録ヘッドから第1の前処理液及び第2の前処理液の他方を基材の記録領域に付与する工程をこの順序で行い、次いで記録ヘッドユニットに対して基材を搬送方向に移動させ、第1の前処理液及び第2の前処理液によって処理された基材の記録領域に、第3の記録ヘッドから水性インクを付与する工程を行うことができる。
図2に、一実施形態によるシリアル式記録ヘッドユニットの他の例を模式的に示す上面図を示す。
図2では、記録ヘッドユニット100は、第1の前処理液が供給される第1の記録ヘッド11と、第2の前処理液が供給される第2の記録ヘッド12とが、記録ヘッドユニット100の主走査方向Xに配列される第1のヘッド列と、第1のヘッド列に対して基材の搬送方向Yの下流側に、水性インクが供給される第3の記録ヘッド13を含む第2のヘッド列とを備える。
そして、記録ヘッドユニット100を主走査方向Xに移動させながら、第1の記録ヘッド11から第1の前処理液を吐出し、第2の記録ヘッド12から第2の前処理液を吐出する動作と、基材を搬送方向Yに移動させ、第1の前処理液及び第2の前処理液が付与された基材上の記録領域に、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出する動作とを繰り返すことで、基材上に第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクをこの順序で付与することができる。
この記録ヘッドユニット100の構成では、この付与順序は主走査方向Xの往路(図中左から右)のみであり、復路では付与順序が逆になる。そのため、この付与順序とするためには、往路のみで付与を行って復路では付与を行わないで印刷するとよい。
図3に、一実施形態によるシリアル式記録ヘッドのさらに他の例を模式的に示す上面図を示す。
図3は、上記した図2において、第1の記録ヘッド11と第2の記録ヘッド12との配置が異なる例を示す。図3において、第1の記録ヘッド11と第2の記録ヘッドとは離間して配置される。より具体的には、第1の記録ヘッド11は主走査方向Xに対して記録ヘッドユニット100の一方側に位置し、第2の記録ヘッド12は主走査方向Xに対して記録ヘッドユニットの他方側に位置している。より好ましくは、第1の記録ヘッド11及び第2の記録ヘッド12は、水性インクが吐出される第3の記録ヘッド13と搬送方向Yに重ならないように配置される。このような配置とすることで、第1の前処理液の凝集剤由来のミストが、第2の前処理液を吐出するノズル、及び水性インクを吐出するノズルに付着しないようにすることができる。これによって、第2の記録ヘッド12及び第3の記録ヘッド13のノズル詰まりをより防止することができる。
上記した図1~図3に示す記録ヘッドユニットにおいて、第1の前処理液と第2の前処理液の付与順序を逆にするために、第1の記録ヘッド11に第2の前処理液を供給し、第2の記録ヘッド12に第1の前処理液を供給してもよい。
シリアル式記録ヘッドの往路と復路とで吐出を行う場合、従来の記録方法に従うと、記録ヘッドの往路と復路とで2種類の前処理液と水性インクとの吐出順序が入れ替わるため、基材上では、2種類の前処理液の積層順序が基材の搬送方向Yに隣り合うラインごとに入れ替わってしまう。この従来の記録方法を説明する説明図を図4に示す。
図4において、(a)は、記録ヘッドユニット100の配置を上面から示しており、各パスで、第1の記録ヘッド11から第1の前処理液が吐出される場合をハッチ丸で表し、第2の記録ヘッド12から第2の前処理液が吐出される場合を白丸で表している。また、(b)は、基材Pの表面を上面から示しており、記録ヘッドユニット100の主走査方向に沿う各ラインで、第1の前処理液及び第2の前処理液がこの順序で積層される場合を図中左からハッチ丸及び白丸の順で表し、その逆の順で積層させる場合を図中左から白丸及びハッチ丸の順で表している。
図4では、図中(a)に示す通り、往路の1パス目では、第1の記録ヘッド11が第2の記録ヘッド12に先行して移動するため、基材上に第1の前処理液に次いで第2の前処理液が吐出される。そして、図中(b)に示す通り、基材上で第1の前処理液及び第2の前処理液がこの順序で積層される。
復路の2パス目では、第2の記録ヘッド12が第1の記録ヘッド11に先行して移動するため、基材上に第2の前処理液に次いで第1の前処理液が吐出され、基材上で第2の前処理液及び第1の前処理液がこの順序で積層される。
往路の3パス目では、1パス目と同様に、基材上で第1の前処理液及び第2の前処理液がこの順序で積層される。
得られる印刷物では、基材の搬送方向に隣り合うラインにおいて2種類の前処理液の積層順序が入れ替わっている。このように2種類の前処理液によって処理された基材では、基材上で水性インクの色材の凝集が不均一となり、また、水性インクの基材への浸透が不均一となって、印刷物の画質と定着性が低下する問題がある。
一実施形態による記録方法では、記録ヘッドユニットの主走査方向Xに沿って往路の下流側に第1の記録ヘッドを設け、上流側に第2の記録ヘッドを設け、記録ヘッドユニットを往路で移動させる際に、先に第1の記録ヘッドから第1の前処理液を吐出し、次いで第2の記録ヘッドから第2の前処理液を吐出し、記録ヘッドユニットを復路で移動させる際には第1の前処理液及び第2の前処理液をいずれも吐出しないようにするとよい。これによって、基材の記録領域の全面に渡って、基材上に第1の前処理液及び第2の前処理液がこの順序で積層されるようになる。すなわち、図4において、往路の1パス目の吐出のみを繰り返し、復路の2パス目で吐出を行わないようにするとよい。また、図4において、往路の1パス目及び3パス目の吐出を行わずに、復路の2パス目の吐出のみを繰り返すことで、基材上に第2の前処理液及び第1の前処理液がこの順序で積層されるようになる。
図2及び図3に示す記録ヘッドユニット100を用いる場合では、第1の前処理液及び第2の前処理液を基材に積層させるように吐出した後に、第3の記録ヘッド13が各前処理液の付与領域に対向する位置となるように基材を搬送させ、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出することで画像を記録することができる。
また、シリアル式インクジェット記録装置を用いて往路及び復路の双方向で第1の前処理液及び第2の前処理液を付与してもよい。この方法は、第1の前処理液及び第2の前処理液を主走査方向の往路及び復路の一方で吐出して、他方では吐出しない場合に比べて、生産性をより高めることができる。以下の説明において、主走査方向の往路及び復路の移動順序は特に限定されず、往路と復路が逆の順序であってもよい。また、以下の説明において、第1の前処理剤及び第2の前処理剤の付与順序を逆にしてもよい。
双方向の記録方法の一例としては、主走査方向Xに第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドが配列される記録ヘッドユニットを用いて、主走査方向の往路において第1の記録ヘッドから第1の前処理液を基材上に付与し、主走査方向の復路において、往路で付与された第1の前処理液に重なるようにして第2の記録ヘッドから第2の前処理液を基材上に付与する方法がある。
図1に示す例では、さらに記録ヘッドユニットを主走査方向の往路に移動させながら、第2の前処理液に重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。図2又は図3に示す例では、第2の処理液を付与してから、基材を搬送方向Yに移動させて、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、第2の前処理液に重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。
双方向の記録方法の他の例としては、基材の搬送方向Yに対して上流側に第1の記録ヘッドが配置され、その下流側に第2の記録ヘッドが配置される記録ヘッドユニットを用いて、主走査方向Xの往路において第1の記録ヘッドから第1の前処理液を基材上に付与し、基材を搬送方向に移動させて、主走査方向の復路において、第1の前処理液に重なるようにして第2の記録ヘッドから第2の前処理液を基材上に付与することができる。
2つの前処理液をより効率よく付与するために、主走査方向の復路において、第2の記録ヘッドから第2の前処理液を基材上に付与するとともに、第1の記録ヘッドから第1の前処理液を基材上に付与してもよい。同様に、主走査方向の往路において、第1の記録ヘッドから第1の前処理液を基材上に付与するとともに、第2の記録ヘッドから第2の前処理液を基材上に付与してもよい。
搬送方向に第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドが配列される構成では、搬送方向に対して第2の記録ヘッドのさらに下流側に第3の記録ヘッドが配置される記録ヘッドユニットを用いて、第2の処理液を付与してから、基材を搬送方向に移動させて、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、第2の前処理液に重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。
双方向の記録方法のさらに他の例としては、主走査方向Xに第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドが配列され、第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドにそれぞれ基材の搬送方向Yに沿って複数のノズルが列状に形成される記録ヘッドユニットを用いることができる。この記録ヘッドユニットを主走査方向に往復移動させながら、基材を搬送方向に移動させて、第1の記録ヘッドの搬送方向の上流側のノズルから第1の前処理液を基材上に付与して複数のラインを形成し、連続的に基材を搬送方向に移動させて、第2の記録ヘッドの搬送方向の下流側のノズルから、先の第1の記録ヘッドの上流側のノズルから付与された第1の前処理液と重なるように、第2の前処理液を基材上に付与して、第1の前処理液と第2の前処理液とがこの順で積層された複数のラインを形成することができる。
図1に示す例では、搬送方向に沿って複数のノズルが列状に形成される第3の記録ヘッドを用いて、第2の記録ヘッドのノズルよりもさらに搬送方向の下流側となる第3の記録ヘッドのノズルから、搬送方向の上流側のノズルから付与された第2の前処理液に重なるようにして水性インクを基材上に付与することができる。
図2又は図3に示す例では、第2の処理液を付与してから、基材を搬送方向Yに移動させて、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、第2の前処理液に重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。
具体的には、図1~図3に示す記録ヘッドユニットにおいて、第1の記録ヘッド11及び第2の記録ヘッド12に、それぞれ基材の搬送方向Yに沿って複数のノズルが列状に形成される構成を用いて、双方向の付与を行うことができる。それぞれの記録ヘッドにおいて、複数のノズルは搬送方向Yに互いに離間して配置される。
まず、第1の記録ヘッド11の基材の搬送方向Yの上流側の1個のノズルから、第1の前処理液の液滴を1ドットに対応するように吐出しながら、記録ヘッドユニット100を主走査方向Xの往路方向に移動させ、主走査方向Xにドットを連続して着弾させて1ドット幅のライン状に第1の前処理液を付与する。次いで、基材を搬送方向Yに移動させて、第1の記録ヘッド11の先の1個のノズルに対して搬送方向Yの下流側に隣り合う1個のノズルから吐出される液滴が、基材上の先のライン状の第1の前処理に対して基材の搬送方向Yの上流側に隣り合うように着弾させるようにして、先のライン状の第1の前処理液と同様にライン状の第1の前処理液を付与する。この際に、基材上において、基材の搬送方向Yに隣り合う2つのドットは、記録ヘッドユニットが搬送方向Yに移動する時間、記録ヘッドユニットの移動速度等を制御することで、その着弾時間差ΔTを10ms以上とすることができる。
また、第1の記録ヘッドの複数のノズルのうち搬送方向Yに連続して配置される2個以上のノズルを用いて、1回のパスで、搬送方向Yにノズルの間隔に対応して離間している2列以上のライン状の第1の前処理液を付与し、次いで、上記と同様にして、それぞれの先のライン状の第1の前処理液の基材の搬送方向Yの上流側にライン状の第1の前処理液を付与することができる。この方法では、記録ヘッドユニットの1パス当たりの画像記録量を多くすることができ、生産性をより高めることができる。
次いで、基材上に着弾された第1の前処理液のドットに重なるように、第2の記録ヘッド12のノズルから第2の前処理液を吐出し基材に着弾させてドットを形成することができる。
例えば、1個のライン状の記録領域に対して、第1の前処理液は、第1の記録ヘッド11の基材の搬送方向Yの上流側のノズルから吐出されて付与され、次いで、基材を搬送方向Yに移動させながら、第2の前処理液は先の第1の記録ヘッド11のノズルの位置に対して基材の搬送方向Yの下流側となる第2の記録ヘッド12のノズルから吐出されて付与されてもよい。
次いで、図1に示す例では、搬送方向に沿って複数のノズルが列状に形成される第3の記録ヘッドを用いて、基材を搬送方向Yに搬送させながら、第2の記録ヘッドのノズルよりもさらに搬送方向の下流側となる第3の記録ヘッドのノズルから、第1の前処理液及び第2の前処理液が重なって形成されたドットに重なるように、水性インクを基材上に吐出し基材に着弾させてドットを形成することができる。
図2又は図3に示す例では、基材を搬送方向Yに搬送させながら、第1の前処理液及び第2の前処理液が重なって形成されたドットに重なるように、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出し基材に着弾させてドットを形成することができる。
上記した操作を繰り返すことで、基材上に第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクをこの順序で付与し、第1の処理液及び第2の前処理液を一定の順序で基材に着弾することができる。
上記した双方向印刷は、記録ヘッドの解像度に対してN倍の解像度の画像を記録する場合では、基材の搬送方向Yに隣り合うノズルの間隔に対応する領域にN個のラインを形成することで行うことができる。ここで、Nは正の整数である。
具体的には、300dpiの記録ヘッドを用いて1200dpiの画像を記録する場合では、記録ヘッドの搬送方向Yに隣り合うノズルの間隔に対応する領域に4個のドットを形成するとよい。そのため、基材の搬送方向Yに隣り合うノズルの間隔に対応する領域に、4個のラインが形成されるようにするとよい。
ラインヘッド式インクジェット記録方法は、基材の搬送方向に交差、好ましくは直交する基材の幅方向に配置され、基材の幅方向に列状にノズル列を備えるラインヘッド式記録ヘッドを用いて行うことができる。
ラインヘッド式インクジェット記録装置の一例としては、基材を搬送方向Yに搬送する搬送装置と、基材の搬送方向Yと交差する方向Xにライン状に配置される少なくとも3個の記録ヘッドとを備える。この少なくとも3個の記録ヘッドは、基材の搬送方向Yに沿って上流側から第1の前処理液が供給される第1の記録ヘッドと、第2の前処理液が供給される第2の記録ヘッドと、水性インクが共有される第3の記録ヘッドとをこの順序で備える。そして、それぞれのノズル列から、第1の前処理液、第2の処理液、及び水性インクが吐出されることで、基材上にこれらをこの順序で積層して画像を記録することができる。
ラインヘッド式インクジェット記録装置では、記録ヘッドにおいて、2種類の前処理液及び水性インクがそれぞれ供給される記録ヘッドの配列順序を決めておくことで、2種類の前処理液及び水性インクの基材への付与順序を定めることができる。
また、第1の前処理液と第2の前処理液の付与順序を逆にするために、第1の記録ヘッドに第2の前処理液を供給し、第2の記録ヘッドに第1の前処理液を供給してもよい。
水性インクを付与した基材は、そのまま印刷物として提供することができる。
基材は、水性インクの付与後に加熱処理されてもよい。これによって、水性インク、第1の前処理液及び第2の前処理液に含まれる水等の揮発性成分を基材から除去して、画像の定着性をより高めることができる。また、水性インクの色材が濡れ広がる前に揮発性成分を除去することで、色材のにじみを防止して、画質をより高めることができる。また、水性インクに樹脂成分が含まれる場合は、水性インクの樹脂成分が加熱によって基材上により均一な樹脂膜を形成するようになって、定着性をより改善することができる。
加熱温度は、50~250℃が好ましく、100~200℃がより好ましい。
第1の前処理液の凝集剤が乾燥して基材表面に固着する前に、第2の前処理液によって凝集剤を基材へ浸透させるために、第2の前処理液の付与前に加熱処理しない状態で、基材が第1の前処理液によって濡れている状態で、第2前処理液を付与することが好ましい。なお、基材は、第1の前処理液の付与後に、第2の前処理液の付与前に、加熱処理されてもよい。
また、第2の前処理液による水性インクの色材を基材に浸透させる作用をより発揮させるためには、水性インクの付与前に加熱処理をしない状態で、基材が第1の前処理液及び第2の前処理液の付与によって濡れている状態で、水性インクを付与することが好ましい。なお、基材は、第1の前処理液及び第2の前処理液の付与後に、水性インクの付与前に、加熱処理されてもよい。
例えば、第1の前処理液、第2の前処理液、及び水性インクのそれぞれの付与をウェットオンウェット方式で行うことが好ましい。2種類の前処理液をウェットオンウェット方式で付与することで、先に基材に着弾した前処理液が乾燥せずに流動性を保った状態で、もう一方の前処理液を吐出することができる。これによって、先に基材に着弾した前処理液が押されるように基材内部まで浸透しやすくなる。その結果、裏面の濃度をより高め、また、アンカー効果による定着性をより向上させることができる。
また、第2の前処理液及び第1の前処理液をこの順序で基材に付与する場合も同様である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
「凝集液及び浸透液の作製」
表1及び表2に、第1の前処理液としての凝集液、及び第2の前処理液としての浸透液の処方を示す。表中に示す配合割合にしたがって各成分をプレミックスし、その後、ミックスロータで100rpm30分間撹拌した。次いで、孔径5μmのナイロンシリンジフィルターでろ過し、凝集液及び浸透液を得た。
「水性インクの製造」
表3に、水性インクの処方を示す。表中に示す配合割合にしたがって各成分をプレミックスし、その後、ミックスロータで100rpm30分間撹拌した。次いで、孔径5μmのナイロンシリンジフィルターでろ過し、水性インクを得た。
Figure 0007385995000001
Figure 0007385995000002
Figure 0007385995000003
用いた成分は以下の通りである。
(凝集剤)
乳酸:有機酸。
PRINT RITE DP-375:カチオン性水分散性樹脂粒子、Lubrizol社製、有効成分量32質量%。
塩化カルシウム:多価金属塩。
シャロールDC-303P:カチオン性水溶性樹脂、第一工業製薬株式会社製、有効成分量41%。
(浸透剤)
ジプロピレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製、沸点231℃。
1,2-ブタンジオール:東京化成工業株式会社製、沸点194℃。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:東京化成工業株式会社製、沸点194℃。
オルフィンE1010:日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤。
シルフェイスSAG503A:日信化学工業株式会社製、シリコーン系界面活性剤。
シルフェイスSAG002:日信化学工業株式会社製、シリコーン系界面活性剤。
(溶媒)
ジエチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製、沸点245℃。
(水性インク成分)
CAB-O-JET300:自己分散性顔料、キャボットジャパン株式会社製、有効成分15質量%。
スーパーフレックス740:アニオン性ウレタン樹脂エマルション、第一工業製薬株式会社製、有効成分40質量%。
モビニール966A:アクリル樹脂エマルション、日本合成化学工業株式会社製、有効成分45質量%。
タケネートWB3936:イソシアネート系架橋剤、三井化学株式会社製、有効成分36質量%。
グリセリン:和光純薬工業株式会社製、沸点290℃。
エチレングリコール:和光純薬工業株式会社製、沸点197.3℃。
「印刷物の作製」
表4に示す浸透液、凝集液、及び水性インクの組み合わせによって、以下の手順に従って印刷を行って、印刷物を得た。
基材には、ポリエステル100%の織物を用いた。
プリンターには解像度300dpiの記録ヘッドを使用したシリアル式インクジェットプリンタを用いた。シリアル式記録ヘッドユニットの配置位置を図2に示すようにした。なお、図2において、第1の記録ヘッド11に凝集液を供給し、第2の記録ヘッド12に浸透液を供給し、第3の記録ヘッドのブラック用記録ヘッド13Kに水性インクを供給した。
実施例1~11では、浸透液、凝集液、及び水性インクをこの順序で基材に付与して、印刷物を作製した。
詳しくは、300dpiの記録ヘッドを用いて、浸透液、凝集液、水性インクをそれぞれ1200dpi×1200dpiの双方向印刷により吐出し、200mm×200mmの単色ベタ画像を印刷した。基材の搬送方向Yへの1ライン分の移動は、搬送方向Yにおけるノズル間距離の4分の1に対応するようにした。また、基材上の浸透液の基材の搬送方向Yに隣り合うライン間の着弾時間差ΔTは10ms以上であった。
また、第1の記録ヘッド11、第2の記録ヘッド12、及び第3の記録ヘッド13にはそれぞれ基材の搬送方向Yに沿って複数のノズルが形成されている。第2の記録ヘッド12は、搬送方向Yの上流側の連続する3個のノズルから浸透液を吐出し、記録ヘッドユニットを主走査方向Xに往復移動させながら基材を搬送させて、基材の搬送方向Yに隣り合うノズル間距離に4列のラインが形成されるように浸透液を基材上に吐出した。
この際に、搬送方向Yの上流側からノズルa、ノズルb、ノズルcとする場合に、主走査方向Xの往路で3個のノズルからそれぞれ浸透液の第1ラインを形成した。次いで、基材を搬送して、先のノズルaから吐出された浸透液の第1ラインの搬送方向Yの上流側に隣接するように、主走査方向Xの復路でノズルbから浸透液を基材上に吐出して第2ラインを形成した。第2ラインの形成では、ノズルa及びノズルcからも同様の間隔で浸透液を吐出した。この操作を繰り返して、基材の搬送方向Yに隣り合うノズル間距離に浸透液の4ラインを形成した。
連続的に基材を搬送方向Yに搬送させて、先の浸透液の4ラインが形成された領域が、搬送方向Yに対して第2の記録ヘッド12の先の3個のノズルよりも下流側となる第1の記録ヘッド11のノズルと対向する位置で、記録ヘッドユニットを主走査方向に往復移動させながら基材を移動させて、先の浸透液の4ラインにそれぞれ重なるように、第1の記録ヘッド11から凝集液を基材上に吐出し、浸透液及び凝集液がこの順で積層された4ラインを形成した。凝集液の吐出方法は、上記した浸透液と同様である。
さらに連続的に基材を搬送方向Yに搬送させて、浸透液及び凝集液が積層して形成された4ラインの領域が、搬送方向Yの下流側の第3の記録ヘッド13に対向する位置で、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出し、浸透液、凝集液、及び水性インクをこの順で積層させ、画像を形成した。
実施例12及び13では、凝集液、浸透液、及び水性インクをこの順序で基材に付与して、印刷物を作製した。詳しくは、上記実施例1~11において、浸透液と凝集液の付与順序を逆にした他は、同様の手順によって解像度1200dpiのベタ画像を形成した。基材上の凝集液の基材の搬送方向Yに隣り合うライン間の着弾時間差ΔTは10ms以上であった。
比較例1では、基材に水性インク1のみを付与した。
比較例2では、凝集液1のみを付与して水性インク1を付与した。
比較例3では、凝集液2、凝集液3と、及び水性インク1をこの順序で基材に付与して、印刷物を作製した。
比較例4では、浸透液1のみを付与して水性インク1を付与した。
比較例1、2、4では、上記実施例1~11において、浸透液及び凝集液の両方又は一方を塗付しないようすることで、解像度1200dpiのベタ画像を形成した。
比較例3では、上記実施例1~11において、浸透液及び凝集液の代わりに2種類の凝集液を用いた他は、同様の手順によって解像度1200dpiのベタ画像を形成した。
比較例5では、図4に示す従来の吐出方法にしたがって、往路では凝集液、浸透液、及び水性インクをこの順序で付与し、復路では浸透液、凝集液、及び水性インクをこの順序で付与し、印刷物を作製した。
比較例5の印刷物では、凝集液と浸透液とが往路と復路とで積層順序が異なり、その上から水性インクが付与されている。
それぞれの印刷物の印刷後に、印刷物を180℃、1分間ヒートプレスした。
なお、上記した印刷物では、凝集液及び浸透液をいずれも水性インクの記録領域に対応する領域に付与した。
また、浸透液の付与面積当たりの付与量は、20g/mとし、凝集液の付与面積当たりの付与量は、20g/mとし、水性インクの付与面積当たりの付与量は、20g/mとした。
「評価」
得られた印刷物について、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
(画質)
得られた印刷物の表面を目視で観察し、また、印刷物の表面OD値を測定し、以下の基準で画質を評価した。OD値はX-Rite製「X-Rite eXact」を用いて測定した。
AA:印刷物表面にムラが観察されず、表面OD値が1.30以上である。
A:印刷物表面にムラが観察されず、表面OD値が1.25以上である。
B:印刷物表面にムラの発生が少なく、表面OD値が1.20より高い。
C:印刷物表面にムラの発生が多い。又は、表面OD値が1.20以下である。
(定着性)
JIS L0849に規定の方法に従い、II型試験機を用いて試験を行った。乾燥摩擦はJIS L0849に規定される乾燥試験に則って試験し、汚染グレースケールを用いて以下の基準で評価した。
AA:乾燥摩擦汚染3級以上。
A:乾燥摩擦汚染2-3級。
B:乾燥摩擦汚染2級。
C:乾燥摩擦汚染2級未満。
(裏面濃度)
得られた印刷物の裏面OD値を測定し、以下の基準で裏面濃度を評価した。OD値は上記画質評価と同様の装置を用いて測定した。
裏面OD値が高い印刷物は、裏面からの画像の視認性に優れるため、布への印刷では好ましい状態となる。
AA:裏面OD値が0.40以上である。
A:裏面OD値が0.35以上である。
B:裏面OD値が0.30以上である。
C:裏面OD値が0.30未満である。
Figure 0007385995000004
表中に示す通り、各実施例の記録方法によれば、画質及び定着性が良好であり、十分な裏面濃度を備える印刷物を製造することができた。
実施例1~3では、凝集液に有機酸が含まれ、浸透液にシリコーン系界面活性剤が含まれており、定着性及び裏面濃度についてよりよい結果が得られた。
実施例1~8から、凝集液に乳酸が含まれることで、定着性及び裏面濃度についてよりよい結果が得られることがわかる。
実施例1~8から、凝集液に乳酸又はカチオン性樹脂粒子が含まれることで、定着性がより改善されることがわかる。
実施例1~8から、凝集液にカチオン性樹脂粒子が含まれない場合に、より高い裏面濃度の印刷物が得られることがわかる。
実施例9では、浸透液にアセチレングリコール系界面活性剤が含まれる。実施例10では、浸透液がジエチレングリコールモノエチルエーテルの単一成分によって構成される。実施例11では、浸透液が実施例9と同じであり、凝集液が実施例5、8と同じである。いずれも良好な結果が得られた。
実施例12は、実施例1において浸透液と凝集液の付与順序を逆にしたものである。実施例13は、実施例11において浸透液と凝集液の付与順序を逆にしたものである。いずれも良好な結果が得られた。実施例1、11のように、浸透液を付与し、次に凝集液を付与することで、画質及び裏面濃度についてよりよい結果が得られた。
比較例1では、前処理を施さないで水性インクを付与したものであり、画質及び裏面濃度の結果が十分に得られなかった。
比較例2は、1種類の凝集液のみを付与したものである。比較例3は、2種類の凝集液のみを付与したものである。比較例4は、1種類の浸透液のみを付与したものである。いずれも浸透液及び凝集液を組み合わせて施さないため、十分な結果が得られなかった。
比較例5では、浸透液と凝集液との付与順序を、記録ヘッドの往路のパスと復路のパスとで逆にしている。印刷物上では、パスに対応するラインごとに浸透液と凝集液の積層順序が逆になるため、凝集剤成分、浸透剤成分が均一な層を形成しなくなって、画質及び定着性が低下すると考えられる。
11 第1の記録ヘッド
12 第2の記録ヘッド
13 第3の記録ヘッド
100 記録ヘッドユニット

Claims (7)

  1. シリアル式インクジェット記録装置を用いて、第1の前処理液及び第2の前処理液の一方、第1の前処理液及び第2の前処理液の他方、及び水性インクをこの順序で基材の記録領域に付与することを含み、前記第1の前処理液及び前記第2の前処理液は、前記基材の前記記録領域全面において一定の順序で前記基材に着弾するように吐出され、前記第1の前処理液は、凝集剤を含み、前記第2の前処理液は、凝集剤を含まず、定着性樹脂を含まず、かつ、浸透剤を含み、前記水性インクの前記基材への浸透を促進させる作用を備える、印刷物の製造方法。
  2. 前記第2の前処理液、前記第1の前処理液、及び前記水性インクをこの順序で基材に付与することを含む、請求項1に記載の印刷物の製造方法。
  3. 前記凝集剤は、有機酸を含む、請求項1又は2に記載の印刷物の製造方法。
  4. 前記浸透剤は、界面活性剤、及びSP値が14(cal/cm1/2以下である水溶性有機溶剤からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
  5. 前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含む、請求項4に記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記第1の前処理液及び前記第2の前処理液のうち、先に基材に着弾する前処理液の、主走査方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔT、及び主走査方向に交差する方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTの少なくとも一方が10ms以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
  7. 前記第1の前処理液及び前記第2の前処理液の一方、前記第1の前処理液及び前記第2の前処理液の他方、及び前記水性インクは、シリアル式インクジェット記録装置を用いて基材が1回搬送される間に基材に吐出される、請求項1から6のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
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