JP7355949B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7355949B2
JP7355949B2 JP2022565376A JP2022565376A JP7355949B2 JP 7355949 B2 JP7355949 B2 JP 7355949B2 JP 2022565376 A JP2022565376 A JP 2022565376A JP 2022565376 A JP2022565376 A JP 2022565376A JP 7355949 B2 JP7355949 B2 JP 7355949B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
head
ink
processing
main scanning
post
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022565376A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022114009A1 (ja
JPWO2022114009A5 (ja
Inventor
大輔 江藤
勝弘 東谷
宏篤 玉井
正晃 丸田
智也 穗谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Publication of JPWO2022114009A1 publication Critical patent/JPWO2022114009A1/ja
Publication of JPWO2022114009A5 publication Critical patent/JPWO2022114009A5/ja
Priority to JP2023152378A priority Critical patent/JP2023169325A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7355949B2 publication Critical patent/JP7355949B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/21Ink jet for multi-colour printing
    • B41J2/2107Ink jet for multi-colour printing characterised by the ink properties
    • B41J2/2114Ejecting specialized liquids, e.g. transparent or processing liquids
    • B41J2/2117Ejecting white liquids
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/21Ink jet for multi-colour printing
    • B41J2/2107Ink jet for multi-colour printing characterised by the ink properties
    • B41J2/2114Ejecting specialized liquids, e.g. transparent or processing liquids
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J25/00Actions or mechanisms not otherwise provided for
    • B41J25/001Mechanisms for bodily moving print heads or carriages parallel to the paper surface
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J3/00Typewriters or selective printing or marking mechanisms characterised by the purpose for which they are constructed
    • B41J3/407Typewriters or selective printing or marking mechanisms characterised by the purpose for which they are constructed for marking on special material
    • B41J3/4078Printing on textile

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本開示は、主走査方向に移動するキャリッジに搭載されたインクヘッドを備えたインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット式プリンター等のインクジェット記録装置は、画像形成用のインクを記録媒体に向けて吐出するインクヘッドを備える。例えば、記録媒体が織物や編物等の繊維シートやプラスチックシートである場合、インクを記録媒体へ向けて吐出させる前・後に、当該記録媒体に対して前処理液・後処理液の施与が必要となる場合がある(例えば特許文献1)。前処理液は、例えば記録媒体へのインクの定着性やインク顔料の凝集性を向上させるための処理液である。後処理液は、例えば印刷された画像の堅牢性を高める処理液である。この場合、インクジェット記録装置には、インクヘッドに加えて、前処理液及び後処理液を吐出する処理ヘッドが備えられる。
記録媒体が広幅のものである場合、上記のインクヘッド及び各処理ヘッドは、主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載される。記録処理に際しては、記録媒体は所定の搬送方向(副走査方向)に間欠送りされ、当該記録媒体の停止中にキャリッジが主走査方向に往復移動される。キャリッジの移動時、インクヘッド及び各処理ヘッドから各々インク及び処理液が吐出される。
特開2019-147307号公報
本開示の一の局面に係るインクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載され、偶数からなる。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式1の関係を満たすように配置されている。
1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2・・・(式1)
また、本開示の他の局面に係るインクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、一のインクヘッド列または複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記一のインクヘッド列は、前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載され奇数からなる。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式2の関係を満たすように配置されている。
|(B1-B2)/LC|≦1/2・・・(式2)
また、本開示の他の局面に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置のインクジェット記録方法である。前記インクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、一のインクヘッド列または複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記一のインクヘッド列は、前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記インクジェット記録方法は、前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2・・・(式1)の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向とは反対の第2方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、を備える。
更に、本開示の他の局面に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置のインクジェット記録方法である。前記インクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、一のインクヘッド列または複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記一のインクヘッド列は、前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記インクジェット記録方法は、前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、|(B1-B2)/LC|≦1/2・・・(式2)の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、を備える。
図1は、本開示の一実施形態に係るインクジェット式プリンターの全体構成を示す斜視図である。 図2は、図1のII-II線の模式的な断面図である。 図3は、図1に示すキャリッジの拡大斜視図である。 図4は、本実施形態で採用されているシリアル印刷方式を示す模式図である。 図5Aは、キャリッジの往路及び復路での印刷状況を示す模式図である。 図5Bは、キャリッジの往路及び復路での印刷状況を示す模式図である。 図6は、図3に示すキャリッジにおけるインクヘッド及び処理ヘッドの配置を示す、実施例1に係るヘッド配置を概略的に示す平面図である。 図7は、記録媒体上の点Pにおける前処理液、インクおよび後処理液の着弾時間を説明するための模式図である。 図8は、実施例2に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図9は、実施例3に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図10は、実施例4に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図11は、実施例5に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図12は、実施例6に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図13は、記録媒体上の点Pにおける前処理液、インクおよび後処理液の着弾時間を説明するための模式図である。 図14は、実施例7に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図15は、実施例8に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図16は、実施例9に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図17は、実施例10に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図18は、実施例11に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図19は、実施例12に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図20は、実施例13に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図21は、実施例14に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図22は、実施例15に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図23は、実施例16に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図24は、実施例17に係るヘッド配置及びサブタンク配置を示すキャリッジの平面図である。 図25Aは、記録媒体が異なる搬送ピッチで搬送されるケースを説明するための模式図である。 図25Bは、記録媒体が異なる搬送ピッチで搬送されるケースを説明するための模式図である。 図26は、本開示と比較される比較例1に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。 図27は、本開示と比較される比較例2に係るヘッド配置を示すキャリッジの平面図である。
以下、図面を参照しつつ、本開示の一実施形態について説明する。本実施形態では、インクジェット記録装置の具体例として、広幅で長尺の記録媒体に画像形成用のインクを吐出するインクヘッドを備えたインクジェット式プリンターを例示する。本実施形態のインクジェット式プリンターは、織物や編物等の生地からなる記録媒体に、文字類や模様等の画像をインクジェット方式で印刷するデジタル捺染印刷に好適である。もちろん、本開示に係るインクジェット記録装置は、紙シートや樹脂シート等の記録媒体に各種のインクジェット画像を印刷する用途にも用いることができる。
[インクジェット式プリンターの全体構成]
図1は、本開示の一実施形態に係るインクジェット式プリンター1の全体構成を示す斜視図、図2は、図1のII-II線の模式的な断面図である。インクジェット式プリンター1は、広幅且つ長尺のワークW(記録媒体)にインクジェット方式で画像を印刷するプリンターであって、装置フレーム10と、この装置フレーム10に組み込まれたワーク搬送部20(搬送部)及びキャリッジ3とを含む。なお、本実施形態では、左右方向がワークWに対する印刷の際の主走査方向、後方から前方に向かう方向が副走査方向(ワークWの搬送方向F)である。
装置フレーム10は、インクジェット式プリンター1の各種構成部材を搭載するための骨組みを形成している。ワーク搬送部20は、インクジェット印刷処理が行われる印刷領域においてワークWが、後方から前方に向かう搬送方向Fに進行するように、当該ワークWを間欠送りする機構である。キャリッジ3は、インクヘッド4、前処理ヘッド5、後処理ヘッド6及びサブタンク7を搭載し、前記インクジェット印刷処理の際に左右方向に往復移動する。
装置フレーム10は、中央フレーム111、右フレーム112及び左フレーム113を含む。中央フレーム111は、インクジェット式プリンター1の各種構成部材を搭載するための骨組みを形成しており、ワーク搬送部20に応じた左右幅を有している。右フレーム112及び左フレーム113は、それぞれ中央フレーム111の右隣、左隣に立設されている。右フレーム112と左フレーム113との間が、ワークWに対して印刷処理が実行される印刷エリア12である。
右フレーム112は、メンテナンスエリア13を形成する。メンテナンスエリア13は、前記印刷処理が実行されないときに、キャリッジ3を退避させるエリアである。メンテナンスエリア13では、インクヘッド4、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6のノズル(吐出孔)のクリーニング処理、パージ処理等が行われ、またキャップが被嵌される。左フレーム113は、キャリッジ3の折り返しエリア14を形成する。折り返しエリア14は、前記印刷処理において右方から左方へ印刷エリア12を主走査したキャリッジ3が、逆方向の主走査を行う際に一時的に入る領域である。
装置フレーム10の上方側には、キャリッジ3に左右方向の往復移動を行わせるためのキャリッジガイド15が組み付けられている。キャリッジガイド15は、左右方向に長い平板状の部材であり、ワーク搬送部20の上方に配置されている。キャリッジガイド15には、タイミングベルト16(移動部材)が左右方向(主走査方向)に周回移動が可能に組み付けられている。タイミングベルト16は、無端ベルトであって、図略の駆動源によって、左方向又は右方向に周回移動するよう駆動される。
キャリッジガイド15には、キャリッジ3を保持している保持部材である上下一対のガイドレール17が、左右方向に平行に延在するように装備されている。キャリッジ3は、ガイドレール17と係合している。また、キャリッジ3は、タイミングベルト16に固定されている。キャリッジ3は、タイミングベルト16の左方向又は右方向の周回移動に伴って、ガイドレール17に案内されつつ、キャリッジガイド15に沿って左方向又は右方向に移動する。
図2を主に参照して、ワーク搬送部20は、印刷前のワークWを繰り出す送り出しローラー21と、印刷後のワークWを巻き取る巻き取りローラー22とを含む。送り出しローラー21は、装置フレーム10の後方下部に配置され、印刷前のワークWの巻回体である送り出しロールWAの巻き取り軸である。巻き取りローラー22は、装置フレーム10の前方下部に配置され、印刷処理後のワークWの巻回体である巻き取りロールWBの巻き取り軸である。巻き取りローラー22には、当該巻き取りローラー22を軸回りに回転駆動し、ワークWの巻き取り動作を実行させる第1モーターM1が付設されている。
送り出しローラー21と巻き取りローラー22との間であって印刷エリア12を通る経路が、ワークWの搬送経路となる。この搬送経路には、上流側から順に第1テンションローラー23、ワークガイド24、搬送ローラー25及びピンチローラー26、折り返しローラー27、第2テンションローラー28が配置されている。第1テンションローラー23は、搬送ローラー25の上流側において、ワークWに所定の張力を付与する。ワークガイド24は、ワークWの搬送方向を上方向から前方向に変更し、ワークWを印刷エリア12へ搬入させる。
搬送ローラー25は、印刷エリア12においてワークWを間欠送りする搬送力を発生するローラーである。搬送ローラー25は、第2モーターM2により軸回りに回転駆動され、ワークWがキャリッジ3に対向する印刷エリア12(画像形成位置)を通過するように、ワークWを前方向(所定の搬送方向F)に間欠的に搬送する。ピンチローラー26は、搬送ローラー25に対して上方から対向するように配置され、搬送ローラー25と搬送ニップ部を形成している。
折り返しローラー27は、印刷エリア12を通過したワークWの搬送方向を前方向から下方向に変更し、印刷処理後のワークWを巻き取りローラー22へ導く。第2テンションローラー28は、搬送ローラー25の下流側において、ワークWに所定の張力を付与する。印刷エリア12においてワークWの搬送経路の下方には、プラテン29が配置されている。
キャリッジ3は、ガイドレール17に片持ち支持された状態で、搬送方向Fと交差(本実施形態では直交)する主走査方向(本実施形態では左右方向)に往復移動する。キャリッジ3は、キャリッジフレーム30と、このキャリッジフレーム30に搭載されるインクヘッド4、前処理ヘッド5、後処理ヘッド6及びサブタンク7とを備える。キャリッジフレーム30は、ヘッド支持フレーム31及びバックフレーム32(係合部)を含む。
ヘッド支持フレーム31は、上掲のヘッド4~6を保持する水平板である。バックフレーム32は、ヘッド支持フレーム31の後端縁から上方に延びる垂直板である。上述したように、タイミングベルト16は、バックフレーム32に固定されている。また、ガイドレール17は、バックフレーム32に係合されている。すなわち、本実施形態では、バックフレーム32がガイドレール17に片持ち状態で保持される係合部である。ヘッド支持フレーム31は、その後端側が前記係合部によってガイドレール17に片持ち支持された水平板である。
なお、片持ち状態とは、キャリッジ3において、係合部(バックフレーム32)が、搬送方向Fにおいて、キャリッジ3の中央から上流側、若しくは下流側の片側のみに存在し、係合部が存在する側の反対側には、他の係合部が存在しない状態を表す。前記係合部は、保持部材であるガイドレール17に保持されている部分である。前記係合部は、さらに、搬送方向Fにおいて、インクヘッド4及び処理ヘッドが配置されている範囲以外に配置されていてもよい。すなわち、前記係合部は、搬送方向Fにおいて、インクヘッド4及び処理ヘッドが配置されている範囲に対して、上流側のみ、若しくは下流側のみに配置されていてもよい。
[キャリッジの詳細]
キャリッジ3について、さらに説明を加える。図3は、図1に示すキャリッジ3の拡大斜視図である。図3には、ワークWの搬送方向F(副走査方向)と、キャリッジ3の移動方向である主走査方向Sとが示されている。図3では、ワークWに対して画像形成用のインクを吐出する複数のインクヘッド4と、非発色性の処理液を吐出する前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6と、これらのヘッド4~6に前記インク及び前記処理液を供給する複数のサブタンク7とが、キャリッジ3に搭載されている例を示している。
インクヘッド4の各々は、例えばピエゾ素子を用いたピエゾ方式、加熱素子を用いたサーマル方式等の吐出方式でインク滴を吐出する多数のノズル(インク吐出孔)と、このノズルにインクを導くインク通路とを備える。インクとしては、例えば、水系の溶媒、顔料及び結着樹脂を含む水系顔料インクを用いることができる。本実施形態における複数のインクヘッド4は、互いに異なる6色のインクを各々吐出する第1~第6インクヘッド4A~4Fを含む。例えば、第1インクヘッド4Aはオレンジ(第2色)、第2インクヘッド4Bはグリーン(第2色)、第3インクヘッド4Cはイエロー(第1色)、第4インクヘッド4Dはレッド(第1色)、第5インクヘッド4Eはブルー(第1色)、第6インクヘッド4Fはブラックのインク(第2色)を各々吐出する。
各色のインクヘッド4A~4Fは、主走査方向Sに並ぶように、キャリッジ3のヘッド支持フレーム31に搭載されている。各色のインクヘッド4A~4Fは、それぞれ2個のヘッドを有している。例えば第1インクヘッド4Aは、搬送方向Fの上流側に配置された上流側ヘッド4A1と、この上流側ヘッド4A1よりも下流側であって、主走査方向Sの左方側にシフトした位置に配置された下流側ヘッド4A2とで構成されている。他の色のインクヘッド4B~4Fも同様である。これらインクヘッド4B~4Fの各上流側ヘッドは、上流側ヘッド4A1と搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに一列に並び、また各下流側ヘッドは、下流側ヘッド4A2と搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに一列に並んでいる。
前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、搬送方向Fにおいてインクヘッド4とは異なる位置に配置されている。前処理ヘッド5は、搬送方向Fにおいてインクヘッド4に対して上流側に配置されている。図3では、1個の前処理ヘッド5がインクヘッド4の配列体の中央付近に配置されている例を示している。同様に、後処理ヘッド6は、搬送方向Fにおいてインクヘッド4に対して下流側に配置されている。図3では、2個の後処理ヘッド6A、6B(複数の処理ヘッド)がインクヘッド4の配列体の中央付近において、主走査方向Sに並ぶように配置されている例を示している。インクヘッド4、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の、キャリッジ3への各種配置パターンについては、後述の実施例1~17にて詳細に説明する。
なお、以上の説明に用いているように、インクヘッド4及び後処理ヘッド6により構成されている、主走査方向Sに沿ったヘッドの連なりをヘッドの列、或いは単に列と称する。ヘッドの列には、前処理ヘッド5が含まれることもある。また、インクヘッド4、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6により構成されている、搬送方向Fに沿ったヘッドの連なりを、ヘッドの行、或いは単に行と称する。
前処理ヘッド5は、ワークWに対して所定の前処理を施すための前処理液を吐出する。前処理液は、インクヘッド4からワークWの、まだインクヘッド4からインクが吐出されていない位置に、前処理ヘッド5から吐出される。前処理液は、ワークWに付着しても発色しない非発色性の処理液であって、例えばワークWへのインクの定着性やインク顔料の凝集性を高める機能等を発現する処理液である。このような前処理液としては、溶媒に結着性樹脂を配合した処理液、或いは、溶媒にプラス帯電するカチオン樹脂を配合した処理液等を用いることができる。
後処理ヘッド6は、インクが付着したワークWに対して所定の後処理を施すための後処理液を吐出する。後処理液は、ワークWの、インクヘッド4からインクが吐出された後の位置に、後処理ヘッド6から吐出される。後処理液は、同様にワークWに付着しても発色しない非発色性の処理液であって、インクヘッド4によりワークW上に印画されたインク画像の定着性や堅牢性(擦れや削れに対する耐性)を高める機能を発現する処理液である。このような後処理液としては、シリコーン系の処理液等を用いることができる。なお、後処理液と前処理液とは異なる処理液である。具体的には、後処理液と前処理液とでは、含まれる成分が異なる。
ここで、非発色性の処理液とは、記録媒体に単独で印刷した場合に、人に肉眼では発色したと認識されないものを表す。ここでの色とは、黒、白及び灰色などの彩度が0のものも含める。非発色性の処理液は、基本的には、透明な液体であるが、例えば、1リットルの処理液を液体の状態で見ると、完全に透明ではなく、わずかに白色などに見えることもある。そのような色は、非常に薄いので、記録媒体に単独で印刷した場合に、人が肉眼で発色したとは認識できない。なお、処理液の種類によっては、記録媒体に単独で印刷した場合に、記録媒体に光沢が生じるなどの変化があることもあるが、そのような状態は、発色ではない。
本実施形態では、前処理液及び後処理液は、ワークWの略全面に吐出してもよいし、前処理液及び後処理液は、インクと同様に、印刷する画像に合わせて、選択的に吐出してもよい。
続いて、前処理液及び後処理液を選択的に吐出する場合について説明する。上述したように、画像に合わせて色を印刷する部分のワークWには、前処理液、インク、後処理液の順で吐出される。この場合、インクは、一色であったり、複数の色であったりする。色を印刷しない部分、すなわち、インクが吐出されない部分には、基本的には前処理液及び後処理液も吐出されない。なお、印刷する画像の画質や、ワークWの風合いなどを調整するために、前処理液及び後処理液の吐出の選択の一部を、インクの吐出と異ならせてもよい。
ヘッド支持フレーム31のヘッドの配置箇所には、開口31Hが設けられている。インクヘッド4A~4F、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、各々の開口31Hに嵌め込まれるように、ヘッド支持フレーム31に組み付けられている。各開口31Hからは、各ヘッド4、5、6の下端面に配置されているノズルが露出している。
サブタンク7は、図略の保持フレームを介して、ヘッド4、5、6の上方側においてキャリッジ3に支持されている。サブタンク7は、ヘッド4、5、6の各々に対応して設けられる。各サブタンク7には、図略のインク及び処理液が収容されているカートリッジ又はメインタンクから、インク又は処理液が供給される。各サブタンク7は、前記インク又は処理液をヘッド4、5、6の各々に供給する。各サブタンク7とヘッド4、5、6とは、図3では図略の管路(図24に示すP1、P2、P3)によって接続される。
以上の通り、本実施形態に係るインクジェット式プリンター1は、インクヘッド4、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の3種類のヘッドが、一つのキャリッジ3に搭載されたオールインワン型のプリンターである。このインクジェット式プリンター1によれば、例えばデジタル捺染印刷における、生地にインクジェット印刷を行う印捺工程において、前処理液の吐出工程及び後処理液の吐出工程を一体的に実行させることができる。従って、捺染工程の簡素化、捺染装置のコンパクト化を図ることができる。
[印刷方式]
続いて、本実施形態に係るインクジェット式プリンター1が実行する印刷方式について説明する。インクジェット式プリンター1は、シリアル印刷方式でワークWに対して印刷処理を行う。図4は、前記シリアル印刷方式を示す模式図である。図4では、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6を省いて簡略的にキャリッジ3を描いている。
ワークWが幅広のサイズを有するものである場合、当該ワークWを連続的に送りながら印刷を行うことはできない。シリアル印刷方式は、各色のインクヘッド4を搭載したキャリッジ3の主走査方向Sへの往復移動と、ワークWの搬送方向Fへの間欠送りとを繰り返す印刷方式である。ここでは、インクヘッド4が搬送方向Fに所定の印刷幅Pwを持つものとする。印刷幅Pwは、インクヘッド4のインク吐出用ノズルの配列範囲に略等しい。なお、 図4及び次で説明する図5A、図5Bでは、各ヘッドの搬送方向Fの幅と、印刷幅Pwを略等しく描いている。実際は、印刷幅Pw及び吐出用ノズルの配列範囲よりも、各ヘッドの搬送方向Fの幅の方が大きい。
図4では、キャリッジ3が主走査方向Sにおける往路方向SAに移動し、印刷幅Pwの帯状画像G1の印刷が完了している状態を示している。この往路方向SAの主走査の際、ワークWの送りは停止される。帯状画像G1の印刷後、ワークWは印刷幅Pwに相当するピッチだけ搬送方向Fに送り出される。この際、キャリッジ3は、左端側の折り返しエリア14で待機する。ワークWの送り出し後、キャリッジ3はタイミングベルト16の反転移動に伴って、復路方向SBに折り返す。ワークWは停止状態である。そして、図4に示すように、キャリッジ3は復路方向SBに移動しつつ、帯状画像G1の上流側に、印刷幅Pwを持つ帯状画像G2を印刷する。以下、同様の動作が繰り返される。
図5A及び図5Bは、キャリッジ3の往路及び復路での印刷状況を示す模式図である。ここでは、キャリッジ3に搭載されるインクヘッド4、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6を簡略的に示している。インクヘッド4は、互いに異なる第1色、第2色、第3色、第4色のインク吐出用の第1、第2、第3、第4インクヘッド4A、4B、4C、4Dを備え、これら第1~第4インクヘッド4A~4Dが主走査方向Sに一列に並んでいる。インクヘッド4の搬送方向Fの上流側に前処理ヘッド5が、下流側に後処理ヘッド6が各々配置されている。また、図4で説明した場合と同様に、往路の印刷と復路の印刷との間に、ワークWは搬送方向Fに送り出される。この際の搬送方向Fの移動距離は、搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔ピッチ(ヘッドピッチ)である。また、この移動距離は、各ヘッド4、5、6の印刷幅でもある。
図5Aは、キャリッジ3が主走査方向Sにおける往路方向SAに移動しながら、印刷動作を行っている状態(往路主走査)を示している。ワークW上の領域A4は、キャリッジ3の最上流側に搭載されている前処理ヘッド5が対峙する領域である。今回の往路主走査では、領域A4上には、前処理ヘッド5から吐出された前処理液によって、前処理層Lpreが形成される。
領域A3は、領域A4よりも1ヘッドピッチ分だけ下流側の領域であって、インクヘッド4が対峙する領域である。領域A3上には、前回の復路主走査によって、前処理層Lpreが主走査方向の全長に亘って既に形成されている。今回の往路主走査では、領域A3の前処理層Lpre上には、第1~第4インクヘッド4A~4Dの並び順に順次吐出される第1色~第4色のインクによって、第1、第2、第3、第4インク層LCA、LCB、LCC、LCDが形成される。なお、図5Aでは、理解を容易とするために第4~第1インク層LCD~LCAが順次積層されるように図示しているのであって、実際は積層されるわけではない。なお、前述の前処理層Lpre及び後述の後処理層Lposについても、ワークW上に形成されるわけではない。
領域A2は、領域A3よりも1ヘッドピッチ分だけ下流側の領域であって、キャリッジ3の最下流側に搭載されている後処理ヘッド6が対峙する領域である。領域A2上には、前回の往路主走査による前処理層Lpreと、前回の復路主走査による第1~第4インク層LCA~LCDとが、主走査方向の全長に亘って既に形成されている。今回の往路主走査では、領域A2の第1~第4インク層LCA~LCD上に、後処理ヘッド6から吐出された後処理液によって、後処理層Lposが形成される。
領域A1は、領域A2よりも1ヘッドピッチ分だけ下流側の領域であって、キャリッジ3が通過し、印刷処理が完了した領域である。すなわち、領域A1には、前処理層Lpre、第1~第4インク層LCA~LCD及び後処理層Lposが、主走査方向の全長に亘って形成されている。
図5Bは、図5Aの往路主走査を終えたあと、キャリッジ3が折り返して復路方向SBに移動しながら、復路主走査を行っている状態を示している。前記折り返しの移動の前に、ワークWは1ヘッドピッチ分だけ搬送方向Fに送り出されている。ワークW上の領域A5は、領域A4よりも1ヘッドピッチ分だけ上流側の領域であって、今回の復路主走査では、前処理ヘッド5が対峙する領域である。領域A5上には、前処理ヘッド5から吐出された前処理液によって、前処理層Lpreが形成される。
領域A4、領域A3には、それぞれ第1~第4インク層LCA~LCD、後処理層Lposが、既存の層上に形成される。具体的には、領域A4においては、前処理層Lpre上に第1~第4インク層LCA~LCDが形成される。領域A3においては、第1~第4インク層LCA~LCDの上に後処理層Lposが形成される。領域A2は、領域A1に続いて、印刷処理が完了した領域となる。
上述のような往路主走査及び復路主走査の双方において印刷処理が可能となるのは、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6を、インクヘッド4に対して搬送方向Fにシフトして配置しているからである。仮に、キャリッジ3において、前処理ヘッド5、インクヘッド4及び後処理ヘッド6が、この順で主走査方向Sに一列に並んでいる場合、前処理液及び後処理液を望ましい着弾順にできる印刷処理は、往路又は復路主走査の一方でしか実現できない。双方向での印刷処理を可能とするには、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6のペアを、インクヘッド4の配列体の両サイドに配置せねばならない。この場合、キャリッジ3の主走査方向Sの幅が大型化してしまう。このような配置は本実施形態では不要となるので、キャリッジ3の主走査方向Sの幅を小型化することができる。
なお、インクヘッド4の列を複数列にすれば、ワークWに着弾させるインク量を多くすることができる。例えば、インクヘッド4の列が2列ある場合、次のように印刷できる。1列目のインクヘッド4によって、上述のように第1~第4インク層LCA~LCDを形成した後、ワークWを1ヘッドピッチ分だけ搬送方向Fに搬送し、2列目のインクヘッド4によって、第1~第4インク層LCA~LCDを形成する。このようにすることで、ワークWに2層分の量のインクを印刷することができる。
[ヘッド配置の各種態様]
以下、キャリッジ3上におけるインクヘッド4、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の各種の配置例を、実施例1~17として例示する。なお、前述の図1乃至図5A、図5Bは、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6について、これらのヘッドの基本的な機能を説明することを目的としたものであり、本実施形態に係る前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の詳細な配置については、以下の図6以降で説明する。
<実施例1>
図6は、実施例1に係るヘッド配置を概略的に示す平面図である。図6は、図3に示すキャリッジ3におけるインクヘッド4及び前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6(複数の処理ヘッド)の配置を示した図でもある。キャリッジ3は、バックフレーム32(係合部)において、ガイドレール17によって片持ち状態で支持されている。バックフレーム32は、ヘッド支持フレーム31の搬送方向Fの上流側に配置されている。搬送方向Fにおいて、ヘッド支持フレーム31の、バックフレーム32が配置されている側を基端側311とし、ヘッド支持フレーム31の、基端側311の反対側を先端側312とする。既述の通り、キャリッジ3のヘッド支持フレーム31には、互いに異なる6色のインクを各々吐出する第1~第6インクヘッド4A~4F、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が搭載されている。各色のインクヘッド4A~4Fは、各々2個(合計12個)の単位ヘッドを備えている。前処理ヘッド5は1個であるが、後処理ヘッド6は2個備えられている。
インクヘッド4を構成する第1~第6インクヘッド4A~4Fの群は、ヘッド支持フレーム31の搬送方向Fの中央領域において主走査方向Sに並ぶように配列されている。前処理ヘッド5は、主走査方向Sにおけるキャリッジ3の略中央部において、インクヘッド4よりも搬送方向Fの上流側であって、ヘッド支持フレーム31の基端側311に配置されている。一方、後処理ヘッド6は、主走査方向Sにおけるキャリッジ3の略中央部において、インクヘッド4よりも搬送方向Fの下流側であって、ヘッド支持フレーム31の先端側312に配置されている。前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、共にヘッド支持フレーム31の主走査方向Sの中央部付近に配置されている。
第1インクヘッド4Aは、上流側ヘッド4A1と、この上流側ヘッド4A1よりも下流側に配置される下流側ヘッド4A2とを含む。つまり、上流側ヘッド4A1と下流側ヘッド4A2とは、搬送方向Fに配列されている。上流側ヘッド4A1の配置位置は、ヘッド支持フレーム31の前記中央領域における基端側311寄りの位置である。下流側ヘッド4A2の配置位置は、ヘッド支持フレーム31の前記中央領域における先端側312寄りの位置である。上流側ヘッド4A1に対して下流側ヘッド4A2は、主走査方向Sの一方側(左側)にシフトした位置であって、搬送方向Fに一部が重複する位置に配置されている。もちろん、上流側ヘッド4A1及び下流側ヘッド4A2を主走査方向Sの同位置(搬送方向Fに直線的に並ぶ位置)に配列しても良い。しかし、本実施例の配置の方がキャリッジ3の搬送方向Fのサイズを小型化できる。
また、このように配置することで、一つの色を吐出するインクヘッド4は、主走査方向Sにおいて、まとまって配置される。具体的には、キャリッジ3に搭載されている一つの色を吐出する全てのインクヘッド4は、主走査方向Sにおける互いの中間に他の色を吐出するインクヘッド4を挟まないように配置される。更に、キャリッジ3に搭載されている一つの色を吐出する全てのインクヘッド4を所定の範囲内に配置し、その範囲内には、他の色を吐出するインクヘッド4を配置しないようにしてもよい。
2つのインクヘッド4の間で、着弾位置や吐出量などの印刷状態に差があった場合、その差は、2つのインクヘッド4が違う色を吐出する場合よりも、同じ色を吐出する場合の方が目立つ可能性が高い。同じ色を吐出するインクヘッド4が、主走査方向Sにおいて、まとめて配置されていれば、インクヘッド4の間に印刷状態の差があっても、印刷の画像品質を低下し難くできる。
第2~第6インクヘッド4B~4Fも、上述の上流側ヘッド4A1及び下流側ヘッド4A2と同様な、上流側ヘッド4B1、4C1、4D1、4E1、4F1と、下流側ヘッド4B2、4C2、4D2、4E2、4F2を備えている。第1~第6インクヘッド4A~4Fの各上流側ヘッド4A1~4F1は、搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに所定間隔を置いて一列に並んでいる。また、各下流側ヘッド4A2~4F2も、搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに所定間隔を置いて一列に並んでいる。結果として、上流側ヘッド4A1~4F1の各配置ピッチの間に下流側ヘッド4A2~4F2の一部が各々入り込んだ、千鳥状の配置態様を形成している。
なお、上記のインクヘッド4の構成について換言すれば、インクヘッド4は、搬送方向Fに並ぶようにキャリッジ3に搭載される複数のインクヘッド列を有する。当該複数のインクヘッド列の各々は主走査方向Sに並ぶように配置され画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。図6に示す例では、複数のインクヘッド列は、第1インクヘッド列41と、第2インクヘッド列42とを有する。第1インクヘッド列41に含まれるインクヘッドは、上流側ヘッド4A1、4B1、4C1、4D1、4E1、4F1である。第2インクヘッド列42に含まれるインクヘッドは、下流側ヘッド4A2、4B2、4C2、4D2、4E2、4F2である。
前処理ヘッド5は、主走査方向Sにおいて隣り合う一対のインクヘッドの間に一部が入り込むように配置されている。具体的には、第3インクヘッド4Cの上流側ヘッド4C1と、第4インクヘッド4Dの上流側ヘッド4D1との間に、前処理ヘッド5の下流側部分が入り込む位置関係である。
後処理ヘッド6は、主走査方向Sに並んで配置された第1後処理ヘッド6A及び第2後処理ヘッド6Bを含む。図6では、第1、第2後処理ヘッド6A、6Bが、搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに所定間隔を置いて並んでいる例を示している。第1後処理ヘッド6Aは、第3インクヘッド4Cの下流側ヘッド4C2と、第4インクヘッド4Dの下流側ヘッド4D2との間に、その上流側部分が入り込むように配置されている。第2後処理ヘッド6Bは、下流側ヘッド4D2と下流側ヘッド4E2との間に、その上流側部分が入り込むように配置され、上流側ヘッド4D1と主走査方向Sにおいて同位置に配置されている。かかる配置によって、第1、第2後処理ヘッド6A、6Bは、下流側ヘッド4C2、4D2、4E2と搬送方向Fにおいて重複領域faを持つ配置関係とされている。
搬送方向Fにおいて、各ヘッドの幅は、印刷幅Pw及び吐出用ノズルの配列範囲よりも大きい。このため、各列のヘッドの印刷範囲Pwと、隣の列のヘッドの印刷範囲Pwとの間の空かないように、各ヘッドは重複領域faを持つよう配置されている。
なお、特に説明しない限り、図6を含む各図では、主走査方向Sにおいて隣接するヘッド同士の間隔(各ヘッドの中心同士の間隔)は互いに同じである。同様に、搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔(各ヘッドの中心同士の間隔)は互いに同じである。
上述のヘッド配置とした結果、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、インクヘッド4の主走査方向Sにおける配置幅Hの範囲内に配置されている。インクヘッド4は、主走査方向Sにおいて、第1インクヘッド4Aの下流側ヘッド4A2~第6インクヘッド4Fの上流側ヘッド4F1間の配置幅Hを有している。前処理ヘッド5は、インクヘッド4の上流側において配置幅Hの範囲内に、後処理ヘッド6はインクヘッド4の下流側において配置幅Hの範囲内に、それぞれ配置されている。
以上説明した実施例1に係るヘッド配置によれば、キャリッジ3の小型化を図りつつ、必要なインク及び処理液の吐出量を多くすることができる。すなわち、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が、搬送方向Fにおいてインクヘッド4と異なる位置に配置される。この構成により、必要な量のインクを吐出できるインクヘッド4A~4Fを主走査方向Sに配列しつつ、また往路主走査及び復路主走査の双方で印刷処理を可能としつつ、上記ヘッド4~6の搭載に必要なキャリッジの主走査方向幅を短くすることができる。さらに、後処理ヘッド6は、第1及び第2後処理ヘッド6A、6Bの複数で構成され、これらが主走査方向Sに並んで配置されている。このため、単体ヘッドでは後処理液の吐出量が不足する場合でも、複数の後処理ヘッド6A、6Bの配置により必要な量を吐出できる。
第1~第6インクヘッド4A~4Fは、それぞれ搬送方向F(複数の処理ヘッドの配列方向と交差する方向)に配列された上流側ヘッド4A1~4F1(第1インクヘッド列41)と下流側ヘッド4A2~4F2(第2インクヘッド列42)とを備える。このため、各色のインクの吐出量を増加させるため、若しくは、多色化を図るべくインクヘッド4の数を増やしても、キャリッジ3の主走査方向幅を大型化し難くできる。
前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、第1~第6インクヘッド4A~4Fの主走査方向Sにおける配置幅Hの範囲内に配置されている。このため、インクヘッド4に加えて前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6をキャリッジ3に搭載させる場合でも、当該キャリッジ3の主走査方向幅を拡張させる必要はない。つまり、キャリッジ3の主走査方向幅を大型化し難くできる。
前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、第1~第6インクヘッド4A~4Fの配列ピッチ間に一部が入り込むように配置されている。第1後処理ヘッド6Aに注目すれば、一対の下流側ヘッド4C2、4D2間に第1後処理ヘッド6Aの一部が入り込んでいる。このような千鳥状配置とすることで、搬送方向Fの異なる位置に配置されるインクヘッド4と処理ヘッド5、6とを、搬送方向Fに高密度に配置することができる。従って、キャリッジ3の搬送方向Fの幅の小型化を図ることができる。
実施例1のヘッド配置では、搬送方向Fにおいてインクヘッド4の上流側に1個の前処理ヘッド5が、下流側に2個の後処理ヘッド6A、6Bが各々配置されている。すなわち、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの3種類のヘッドを、一つのキャリッジ3に搭載したオールインワン型のインクジェット式プリンター1を提供することができる。また、前処理ヘッド5、インクヘッド4及び後処理ヘッド6が順次搬送方向Fに配置されているので、往路主走査及び復路主走査の双方において、前処理液、インク及び後処理液を望ましい着弾順となるように吐出できる。
また、キャリッジ3は、ガイドレール17(保持部材)によって片持ち状態で保持されるバックフレーム32(係合部)を有する。キャリッジ3をタイミングベルト16に片持ち支持させることにより、構造を簡略化できる。また、片持ち支持させることにより、容易に当該キャリッジ3の下流側を開放させた構造とすることができ、インクヘッド4及び処理ヘッド5、6のメンテナンスを行い易くすることができる。
このように片持ち支持されるキャリッジ3において、前処理ヘッド5はヘッド支持フレーム31の基端側311(係合部に近い側)に、後処理ヘッド6は先端側312(係合部から遠い側)に、それぞれ配置されている。タイミングベルト16に固定されるバックフレーム32に近い基端側311と異なり、自由端である先端側312では位置精度が低下することが想定される。しかし、先端側312には、比較的吐出精度に高度なシビアさを求められない後処理ヘッド6が搭載されている。後処理液は、ワークW上に印画されたインク画像上をコーティングするものであるため、着弾位置ズレが生じたとしても、前処理液に同程度の着弾位置ズレが生じるよりは、画像品質に与える相対的な影響度を小さくできる。従って、片持ち支持されるキャリッジ3を使用する場合でも、画像の品質低下を起こしに難くできる。
<ヘッド配置における課題>
上記のように、インクヘッド4に加えて前処理液を吐出する前処理ヘッド5および後処理液を吐出する後処理ヘッド6がそれぞれキャリッジ3に搭載され、キャリッジ3の主走査方向への往復移動に伴って、前処理液、インクおよび後処理液が順にワークWに吐出される場合、主走査方向Sの画像位置によっては、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間にばらつきが生じ、結果として、ワークW上において画像品質のばらつきが生じやすいという問題があった。
例えば、インク顔料の凝集性を高める前処理液を用いる場合、前処理液着弾からインク着弾までの時間が長くなると、発色が濃くなる。また、例えば、堅牢性を高める後処理液を用いる場合、インク着弾から後処理液着弾までの時間が長くなると、発色が濃くなる。これらを用いて印刷する場合、前処理液着弾から後処理液着弾までの時間が長くなると、発色が濃くなる。従って、前処理液着弾から後処理液着弾までの時間のばらつきを小さくすることで、発色の濃度ばらつきを小さくできる。
前処理液着弾から後処理液着弾までの時間が同じであっても、前処理液着弾からインク着弾までの時間と、前処理液着弾から後処理液着弾までの時間の割合に差があった場合には、発色の濃度は必ずしも同じになるとは限らない。しかし、前処理液着弾から後処理液着弾までの時間の範囲を狭くすれば、発色の濃度の範囲を狭くできる。
本開示者らは、上記のような課題を解決するために、キャリッジ3上における前処理ヘッド5および後処理ヘッド6の配置を適切に設定することで、主走査方向Sにおける異なる画像位置間でも、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間のばらつきを小さくすることが可能であることを新たに知見した。詳しくは、本開示者らは、前処理ヘッド5が前処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向と後処理ヘッド6が後処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向との関係に応じて、換言すれば、インクヘッド4を構成するインクヘッド列の数およびワークWの搬送ピッチに応じて、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6の配置を適切に設定することで、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間のばらつきを小さくすることが可能であることを新たに知見した。このような新たな着眼点に基づく、ヘッド配置の考え方およびその配置例(実施例)について、以下に説明する。
<ヘッド配置の考え方1>
図7は、ワークW上の点Pにおける前処理液、インクおよび後処理液の着弾時間を説明するための模式図である。図7では、中央部に印刷エリア12が配置され、その左右両側にメンテナンスエリア13および折り返しエリア14が配置されている。前述のように、キャリッジ3がメンテナンスエリア13と折り返しエリア14との間を主走査方向Sに沿って移動することで、インクヘッド4、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6からワークWにインク、前処理液および後処理液がそれぞれ吐出される。なお、図7では、説明のために、キャリッジ3がメンテナンスエリア13および折り返しエリア14の両方に図示されている。以下では、インクヘッド4が偶数からなる複数のインクヘッド列を有し、ワークWが1ヘッドピッチ(搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔ピッチ)で間欠的に送られながら印刷が行われる場合において、特に、ワークWに対して前処理ヘッド5が前処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向と、後処理ヘッド6が後処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向とが異なる場合について説明する。
図7において、複数のインクヘッド列41、42に含まれる複数のインクヘッド、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6のうち主走査方向Sの最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッドとし、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの主走査方向Sにおける距離がLC、前記一端側ヘッドから前処理ヘッド5までの主走査方向Sにおける距離がB1、前記一端側ヘッドから後処理ヘッド6までの主走査方向Sにおける距離がB2と定義される。図7に示される例では、一端側ヘッドは、第1インクヘッド4Aの下流側ヘッド4A2であり、他端側ヘッドは、第6インクヘッド4Fの上流側ヘッド4F1である。なお、距離LC、B1、B2は、各ヘッドの一部を基準に設定されればよいが、以後の説明では、上記の各距離が各ヘッドの主走査方向Sの中心を基準に設定される態様にて説明する。また、上記の一端側ヘッドおよび他端側ヘッドは逆であってもよい。なお、ヘッドの主走査方向Sの中心は、基本的には、ヘッドを上から見ときの平面形状に対して、その平面形状の面積を二等分する、主走査方向Sと直交する仮想線を考えたときの、その仮想線の主走査方向Sにおける位置のことである。場合によっては、ヘッド上から見て、ヘッドの吐出用ノズルを全て含んだ、凸多角形のうちで面積が最小の凸多角形に対して、その凸多角形の面積を二等分する、主走査方向Sと直交する仮想線を考えたときの、その仮想線の主走査方向Sにおける位置をヘッドの主走査方向Sの中心としてもよい。
まず、印刷エリア12内にあるワークW上の点Pに各液が着弾するタイミングについて説明する。なお、キャリッジ3の移動速度は一定であるため、以下の説明では、距離を用いて説明する。実際のタイミング(時間)は、各距離をキャリッジ3の移動速度で除することで算出可能である。なお、点Pは、印刷エリア12のうちメンテナンスエリア13側の端部から距離Aの位置にあると仮定する。
また、ここでは、各ヘッドからの液体は、主走査方向Sの中心から吐出されると考えている。各ヘッドが備えているノズルが、実際は、主走査方向Sに広がって分布していた場合は、その広がりも着弾タイミングに影響する。しかし、1つのヘッド内にあるノズルの主走査方向Sの位置の差は、異なるヘッドにあるノズルの主走査方向Sの位置の差より、小さいので、上述のように考えて、ヘッドの配置による影響を見積もることができる。
また、説明を分かりやすくするため、着弾のタイミングと、吐出のタイミングとが、同じであるかのように説明している。実際には、所定の位置に所定のタイミングで着弾するように、吐出は、液体がヘッドからワークWまで飛翔する飛翔時間の分、着弾タイミングよりも早く行われる。
キャリッジ3の片道の移動距離(メンテナンスエリア13から折り返しエリア14まで移動する距離)は、印刷に必要な最低限の距離LP+LCとし、キャリッジ3は、初期位置として、メンテナンスエリア13に配置されていると仮定する。この場合、キャリッジ3がメンテナンスエリア13から折り返しエリア14まで移動する第1移動動作(左方向への移動)において、前処理ヘッド5から吐出された前処理液が点Pに着弾するタイミングT1は、距離換算で以下の式Aで表すことができる。
T1=A+B1 (式A)
点Pに前処理液が着弾した後、キャリッジ3が折り返しエリア14からメンテナンスエリア13に移動する第2移動動作(右方向への移動)において、第1インクヘッド列41の各インクヘッドから点Pにインクが吐出される。また、キャリッジ3がメンテナンスエリア13から折り返しエリア14に更に移動する第3移動動作(左方向への移動)において、第2インクヘッド列42の各インクヘッドから点Pにインクが吐出される。
更に、キャリッジ3が折り返しエリア14からメンテナンスエリア13まで移動する第4移動動作(右方向への移動)において、後処理ヘッド6から吐出された後処理液が点Pに着弾するタイミングT2は、以下の式Bで表すことができる。なお、式Bには、第1~第3移動動作の時間が含まれている。
T2=LP-A+LC-B2+3×(LP+LC) (式B)
この結果、点Pに前処理液が着弾してから後処理液が着弾するまでの時間ΔTは、以下の式Cによって表すことができる。
ΔT=T2-T1=LP-2A+LC-(B1+B2)+3×(LP+LC) (式C)
ここで、印刷エリア12におけるワークW上のすべての点について検討するには、距離Aが0からLPまで変化すると考えることができるため、上式の式CにおいてΔTが及ぶ範囲は、下記の式D、E、Fで表すことができる。
ΔTmin1≦ΔT≦ΔTmax1 (式D)
ΔTmin1=-LP+LC-(B1+B2)+3×(LP+LC) (式E)
ΔTmax1=LP+LC-(B1+B2)+3×(LP+LC) (式F)
一方、キャリッジ3は、ワークWに対する印刷中、まず折り返しエリア14から移動する、すなわち、前記第1移動動作として右方向に移動することもある。この場合、上記と同様に、点Pに前処理液が着弾してから後処理液が着弾するまでの時間ΔTは、以下の式Gによって表すことができる。
ΔT=2A-LP-(LC-(B1+B2))+3×(LP+LC) (式G)
この場合も、印刷エリア12におけるワークW上のすべての点について検討するには、距離Aが0からLPまで変化すると考えることができるため、上式の式GにおいてΔTが及ぶ範囲は、下記の式H、I、Jで表すことができる。
ΔTmin2≦ΔT≦ΔTmax2 (式H)
ΔTmin2=-LP-(LC-(B1+B2))+3×(LP+LC) (式I)
ΔTmax2=LP-(LC-(B1+B2))+3×(LP+LC) (式J)
以上より、キャリッジ3がメンテナンスエリア13および折り返しエリア14のいずれから移動する場合も含めて考えると、上記の式D~式F、式H~式Jから、点Pに前処理液が着弾してから後処理液が着弾するまでの時間ΔTは、次の式Kの範囲に分布する。
-LP-|(LC-(B1+B2))|+3×(LP+LC)≦ΔT≦LP +|(LC-(B1+B2))|+3×(LP+LC) (式K)
上記の式Kについて検討すると、主走査方向SにおけるワークWの全域について、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間の分布範囲ΔTを狭めるためには、LC-(B1+B2)の絶対値が小さくなるように、キャリッジ3上において前処理ヘッド5および後処理ヘッド6を配置すればよいことがわかる。すなわち、最も望ましい形態は、LC=B1+B2の関係が満たされた状態である。そして、本開示者らは、鋭意実験および検討を重ねた結果、以下の式1が満たされる場合に、ワークW上での前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくしつつ、安定した画像を形成することができることを知見した。
1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2 ・・・(式1)
式1では、B1+B2が、LCの0.5倍以上、1.5倍以下の範囲に含まれることを意味する。この着弾タイミングだけを考えた場合、上記のように、B1+B2がLCと合致することが最も望ましい。
上記のような考え方に基づけば、図6の実施例1に示されるヘッド配置では、第1インクヘッド4Aの下流側ヘッド4A2から第6インクヘッド4Fの上流側ヘッド4F1までの主走査方向Sにおける距離LC=11、下流側ヘッド4A2から前処理ヘッド5までの主走査方向Sにおける距離B1=6、下流側ヘッド4A2から各後処理ヘッド6までの主走査方向Sにおける距離B2=5または7とされており、(B1+B2)/LCは1または1.18であり、いずれの距離B2においても、上記の式1を満たしていることがわかる。したがって、キャリッジ3の移動方向に関わらず前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、ワークWに対して、前処理液、インクおよび後処理液を安定して順次着弾させることが可能であり、ワークW上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
なお、図6のように前処理ヘッド5および後処理ヘッド6のうちの少なくとも一方が複数配置される場合には、複数のヘッドのうちの少なくとも一のヘッドが式1を満たすように配置されることが望ましい。このように、少なくとも一の処理ヘッドが式1を満たすように配置されることで、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできることに加え、他の処理ヘッドから処理液が更に吐出できるため、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
更に、上記の複数のヘッドのすべてが式1を満たすように配置されることが更に望ましい。この場合、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを更に小さくできるとともに、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
<実施例2>
更に、図8は、実施例2に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Aの平面図である。実施例2では、前処理ヘッド5が全ヘッドの配列体の左端に位置し、後処理ヘッド6が前記配列体の右端に位置している。当該ヘッド配置では、LC=11、B1=0、B2=11とされており、(B1+B2)/LCは1であり、上記の式1を満たしていることがわかる。
<実施例3>
更に、図9は、実施例3に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Bの平面図である。実施例3では、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6が、全ヘッドの配列体の主走査方向Sにおける略中央部に位置している。当該ヘッド配置では、LC=11、B1=6、B2=5とされており、(B1+B2)/LCは1であり、上記の式1を満たしていることがわかる。
<実施例4>
更に、図10は、実施例4に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Cの平面図である。実施例4では、前処理ヘッド5が全ヘッドの配列体の右端付近に位置し、後処理ヘッド6は前記配列体の主走査方向Sにおける略中央部に位置している。当該ヘッド配置では、LC=11、B1=10、B2=5とされており、(B1+B2)/LCは1.36であり、上記の式1を満たしていることがわかる。
<実施例5>
更に、図11は、実施例5に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Dの平面図である。当該ヘッド配置では、LC=13、B1=0、B2=13とされており、(B1+B2)/LCは1であり、上記の式1を満たしていることがわかる。なお、図11に示すように、前処理ヘッド5がインクヘッド4よりも主走査方向Sの一端側に配置され、後処理ヘッド6がインクヘッド4よりも主走査方向Sの他端側に配置されてもよい。
<実施例6>
更に、図12は、実施例6に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Eの平面図である。当該ヘッド配置では、LC=5、B1=5、B2=0とされており、(B1+B2)/LCは1であり、上記の式1を満たしていることがわかる。なお、図12に示すように、第1インクヘッド列41および第2インクヘッド列42は千鳥配置に限定されるものではなく、搬送方向Fにおいて間隔をおいて並んで配置されるものでのよい。前処理ヘッド5および後処理ヘッド6についても、千鳥配置に限定されるものではなく、インクヘッド4の搬送方向Fの上流側および下流側に間隔をおいて配置されてもよい。
<ヘッド配置の考え方2>
図13は、図7と同様に、ワークW上の点Pにおける前処理液、インクおよび後処理液の着弾時間を説明するための模式図である。なお、以下では、インクヘッド4が奇数からなるインクヘッド列を有する場合において、ワークWに対して前処理ヘッド5が前処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向と、後処理ヘッド6が後処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向とが同じ方向である場合について説明する。図7に基づく説明の内容と共通する部分の説明は省略する。図13では、インクヘッド4が一列のインクヘッド列(第1インクヘッド列41)を有している。図13に示される例では、一端側ヘッドは、第1インクヘッド4Aであり、他端側ヘッドは、第6インクヘッド4Fである。
図13に示されるように、インクヘッド4が奇数からなるインクヘッド列を有し、ワークWが1ヘッドピッチ(搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔ピッチ)で間欠的に送られながら印刷が行われる場合、前処理ヘッド5が前処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向(主走査方向)と後処理ヘッド6が後処理液を吐出する際のキャリッジ3の移動方向とは同じになる。このため、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間Δは、点Pの主走査方向Sにおける位置に依存しない。
具体的に、キャリッジ3がメンテナンスエリア13から折り返しエリア14まで移動する第1移動動作(左方向への移動)において、前処理ヘッド5から吐出された前処理液が点Pに着弾するタイミングT1は、以下の式Lで表すことができる。
T1=A+B1 (式L)
点Pに前処理液が着弾した後、キャリッジ3が折り返しエリア14からメンテナンスエリア13に移動する第2移動動作(右方向への移動)において、第1インクヘッド列41の各インクヘッドから点Pにインクが吐出される。
更に、キャリッジ3がメンテナンスエリア13から折り返しエリア14まで移動する第3移動動作(左方向への移動)において、後処理ヘッド6から吐出された後処理液が点Pに着弾するタイミングT2は、以下の式Mで表すことができる。
T2=A+B2+2×(LP+LC) (式M)
この結果、点Pに前処理液が着弾してから後処理液が着弾するまでの時間ΔTは、以下の式Nによって表すことができる。
ΔT=T2-T1=B2-B1+2×(LP+LC) (式N)
第1動作において、キャリッジ3が折り返しエリア14からメンテナンスエリア13まで移動する(左方向への移動)場合についても同様に検討すると、点Pに前処理液が着弾してから後処理液が着弾するまでの時間ΔTは、以下の式Oによって表すことができる。
ΔT=LC-B2-(LC-B1)+2×(LP+LC)
=B1-B2+2×(LP+LC) (式O)
印刷は、ワークWの搬送方向Fに間欠的に行われるので、ワークWには、搬送方向Fにおいて、異なるタイミングで印刷された部分が隣接する部分ができる。図5A、図5Bで言えば、領域A1とA2とでは、異なるタイミングで印刷される。更に、領域A1とA2とでは、各ヘッドの印刷の主走査方向Sが逆になるので、前処理液、インク、後処理液の各液が着弾する時間間隔も異なるので、その印刷条件の違いにより、印刷結果に差が生じるおそれがある。なお、このような、印刷の主走査方向Sが変わる境界を走査の境界と呼ぶ。走査の境界で、上記の式N、式Oの各時間ΔTの差が大きいと、印刷結果の差により、走査の境界が目立つおそれがある。例えば、前処理液着弾から後処理液着弾前の時間差の影響で生じる発色濃度の差が目立つおそれがある。このため、式NのΔTと式OのΔTとの差である時間差Δt(式P)の絶対値が小さい方が望ましい。
Δt=2×(B1-B2) (式P)
本開示者らは、上記のΔtを規格化するために距離LC×2で除することで、(B1-B2)/LCの絶対値を指標とし、以下の式2に示すように、当該絶対値が1/2以下になることが望ましく、特にB1=B2になることが最も望ましいことを知見した。
|(B1-B2)/LC|≦1/2・・・(式2)
上記の式2が満たされるように前処理ヘッド5および後処理ヘッド6が配置されることで、走査の境界における前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間の差を小さくできる。これは、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできるということでもある。この結果、ワークWに対して、前処理液、インクおよび後処理液を安定して順次着弾させることが可能であり、ワークW上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
なお、式1の場合と同様に、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6のうちの少なくとも一方が複数配置される場合には、複数のヘッドのうちの少なくとも一のヘッドが式2を満たすように配置されることが望ましく、複数のヘッドのすべてが式2を満たすように配置されることが更に望ましい。この場合も、走査の境界における前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできることに加え、他の処理ヘッドから処理液が更に吐出できるため、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
また、上記の式2によって規定されるヘッド配置のみならず、前述の式1によって規定されるヘッド配置も、走査の境界における前述の評価の観点から適切であるといえる。
<実施例7>
図14は、実施例7に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Fの平面図である。上記のような考え方に基づけば、当該ヘッド配置では、LC=10、B1=3、B2=7とされており、|(B1-B2)/LC|は0.4であり、上記の式2を満たしていることがわかる。なお、本実施例では、インクヘッド4の隣接するヘッド同士の主走査方向Sにおける間隔(距離)は、2である。前処理ヘッド5と第2インクヘッド4Bまたは第3インクヘッド4Cとの主走査方向Sにおける距離は1であり、後処理ヘッド6と第4インクヘッド4Dまたは第5インクヘッド4Eとの主走査方向Sにおける距離も1である。
<実施例8>
図15は、実施例8に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Gの平面図である。本実施例では、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6が、一端側ヘッドに相当する。当該ヘッド配置では、LC=6、B1=0、B2=0とされており、|(B1-B2)/LC|は0であり、上記の式2を満たしていることがわかる。
以下に、その他の実施例を基に、望ましいヘッド配置について、更に説明する。
<実施例9>
図16は、実施例9に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Hを概略的に示す平面図である。実施例9では、各々の単位ヘッドの数が増加している点で実施例1と相違している。すなわち、インクヘッド4は、各々が互いに異なる6色のインクを吐出する第1~第6インクヘッド4A~4Fを備えている点で実施例1と同じであるが、各色のインクヘッド4A~4Fは、各々3個(合計18個)の単位ヘッドを備えている。換言すれば、インクヘッド4は、第1インクヘッド列41、第2インクヘッド列42および第3インクヘッド列43を含む、3列(奇数列)のインクヘッド列を有している。インクヘッド4の搬送方向Fの上流側に配置される前処理ヘッド5は2個の単位ヘッド、下流側に配置される後処理ヘッド6は3個の単位ヘッドを各々備えている。なお、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が、インクヘッド4の主走査方向Sの配置幅の範囲内に各々配置されている点は実施例1と同じである。
第1インクヘッド4Aは、前記単位ヘッドとして、上流側ヘッド4AA、中央ヘッド4AB及び下流側ヘッド4ACを備えている。上流側ヘッド4AAは、第1インクヘッド4Aのうちキャリッジ3Aの搬送方向Fの最も上流側に配置されている。下流側ヘッド4ACは、上流側ヘッド4AAと主走査方向Sの同位置において、上流側ヘッド4AAの下流側に配置されている。中央ヘッド4ABは、上流側ヘッド4AA及び下流側ヘッド4ACに対して主走査方向Sにおいて右側にシフトした位置であって、搬送方向Fにおいて上流側ヘッド4AAよりも下流側且つ下流側ヘッド4ACよりも上流側に配置されている。上流側ヘッド4AA及び下流側ヘッド4ACに対して中央ヘッド4ABは、それぞれ搬送方向Fに一部が重複する位置に配置されている。
第2~第6インクヘッド4B~4Fも、上述の上流側ヘッド4AA、中央ヘッド4AB及び下流側ヘッド4ACと同様な、上流側ヘッド4BA、4CA、4DA、4EA、4FAと、中央ヘッド4BB、4CB、4DB、4EB、4FBと、下流側ヘッド4BC、4CC、4DC、4EC、4FCを備えている。第1~第6インクヘッド4A~4Fの各上流側ヘッド4AA~4FA、中央ヘッド4BB~4FB及び下流側ヘッド4BC~4FCは、搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに所定間隔を置いて一列に並んでおり、第1インクヘッド列41、第2インクヘッド列42および第3インクヘッド列43を構成している。
前処理ヘッド5は、搬送方向Fにおいて同位置で、主走査方向Sに間隔をおいて並ぶように配置された第1前処理ヘッド5A及び第2前処理ヘッド5Bを含む。第1前処理ヘッド5Aは、第5インクヘッド4Eの上流側ヘッド4EAと、第6インクヘッド4Fの上流側ヘッド4FAとの間に、その下流側の一部が入り込むように配置されている。第2前処理ヘッド5Bは、上流側ヘッド4FAの右側であって、中央ヘッド4FBと主走査方向Sにおいて同位置に配置されている。
後処理ヘッド6は、搬送方向Fにおいて同位置で、主走査方向Sに間隔をおいて並ぶように配置された第1後処理ヘッド6A、第2後処理ヘッド6B及び第3後処理ヘッド6Cを含む。第1後処理ヘッド6Aは、第4インクヘッド4Dの下流側ヘッド4DCと、第5インクヘッド4Eの下流側ヘッド4ECとの間に、その上流側の一部が入り込むように配置されている。第2後処理ヘッド6Bは、第5インクヘッド4Eの下流側ヘッド4ECと、第6インクヘッド4Fの下流側ヘッド4FCとの間に、その上流側の一部が入り込むように配置されている。第3後処理ヘッド6Cは、下流側ヘッド4FCの右側であって、中央ヘッド4FBと主走査方向Sにおいて同位置に配置されている。
実施例9では、奇数のインクヘッド列が設けられ、前述のLC=11であり、B1=9、11であり、B2=7、9、11である。これらの組み合わせに基づいて、式2の|(B1-B2)/LC|を算出すると、|(B1-B2)/LC|は、0、0.18、0.36に分布し、式2の関係を満たしていることがわかる。
また、当該実施例9に係るヘッド配置によれば、実施例1と同様の利点を享受できる。すなわち、キャリッジ3Hの小型化を図りつつ、必要なインク及び処理液の吐出量を多くできる。とりわけ、実施例9では前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の双方が複数個の単位ヘッドを備える構成であるので、十分な前処理液及び後処理液の吐出量を十分に多くできる。第1~第6インクヘッド4A~4Fもまた、3列配置の単位ヘッドを備えるので、インクの吐出量も十分に多くできる。
<実施例10>
図17は、実施例10に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Iを概略的に示す平面図である。実施例10では、インクを吐出するインクヘッド4と、非発色性の処理液を吐出する前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6とが、主走査方向に分離して配置される例を示す。
キャリッジ3Iのヘッド支持フレーム31には、互いに異なる6色のインクを各々吐出する第1~第6インクヘッド4A~4F、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が搭載されている。第1~第6インクヘッド4A~4Fは、実施例9と同様の3列配置の単位ヘッドを備えている。前処理ヘッド5は、搬送方向Fにおいて同位置で、主走査方向Sに間隔をおいて並ぶように配置された第1、第2前処理ヘッド5A、5Bを含む。後処理ヘッド6は、搬送方向Fにおいて同位置で、主走査方向Sに間隔をおいて並ぶように配置された第1~第3後処理ヘッド6A~6Cを含む。これらの基本構成については、実施例9と同じである。
実施例10では、インクヘッド4の配置領域と、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の配置領域とが、ヘッド支持フレーム31上において区分されている。ヘッド支持フレーム31上には、比較的大面積の第1領域R1と、当該第1領域R1に対して主走査方向Sに隣接する比較的小面積の第2領域R2とが設定されている。第1領域R1には、インクヘッド4(第1~第6インクヘッド4A~4F)が配置されている。一方、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、第1領域R1には配置されず、第2領域R2に配置されている。第2領域R2において、インクヘッド4の配列体の搬送方向Fの上流側に前処理ヘッド5が、下流側に後処理ヘッド6が各々配置されている。
このような奇数列のインクヘッド列を有する実施例10におけるヘッド配置では、LC=14であり、B1=12、13であり、B2=12、13、14である。これらの組み合わせに基づいて、式2の|(B1-B2)/LC|を算出すると、|(B1-B2)/LC|は、0、0.07、0.14に分布し、式2の関係を満たしていることがわかる。
なお、インクと前処理液又は後処理液とが接触すると、インク成分に凝集が生じることがある。この場合、凝集物がインクヘッド4のインク吐出ノズルに付着すると、吐出不良が発生し得る。また、ヘッドのクリーニング処理やパージ処理等において発生する廃液の回収系において、インクが処理液と接触して凝集し、回収経路を詰まらせてしまう懸念もある。実施例10のキャリッジ3Iによれば、処理ヘッド5、6とインクヘッド4とが主走査方向Sに分離して配置されるので、インクと前処理液又は後処理液との接触が生じ難いようにすることができる。従って、インクの凝集に起因する問題を発生させ難くすることができる。
<実施例11>
図18は、実施例11に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Jを概略的に示す平面図である。上記実施例8~10では、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が、インクヘッド4の主走査方向Sにおける配置幅Hの端部付近(右端付近)に配置される例を示した。実施例11では、実施例1(図6)と同様に、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が、配置幅Hの中央領域HCに配置される例を示す。ただし、実施例11は、後記のように実施例1との間でインクヘッド4の配置において相違する。
キャリッジ3Jのヘッド支持フレーム31には、互いに異なる6色のインクを各々吐出する第1~第6インクヘッド4A~4F、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が搭載されている。第1~第6インクヘッド4A~4Fは、実施例1と同様の2列配置の単位ヘッドを備えている。但し、第1インクヘッド4Aにおいて下流側ヘッド4A2が上流側ヘッド4A1の右側に配置されるというように、各インクヘッド4A~4Fの下流側ヘッドのシフト方向が実施例1と逆になっている。前処理ヘッド5は1個、後処理ヘッド6は第1、第2後処理ヘッド6A、6Bの2個が各々備えられている。
前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、第1~第6インクヘッド4A~4Fの主走査方向Sにおける配置幅Hの中央領域HCに配置されている。第1~第6インクヘッド4A~4Fの配列体に対して搬送方向Fの上流側に前処理ヘッド5が、下流側に後処理ヘッド6が各々配置される点は、上掲の実施例1と同じである。前処理ヘッド5は、第3インクヘッド4Cの下流側ヘッド4C2と主走査方向Sにおいて同位置で、且つ、搬送方向Fの上流側に配置されている。前処理ヘッド5は、第3、第4インクヘッド4C、4Dの上流側ヘッド4C1、4D1の間に、その下流側の一部が入り込むように配置されている。
第1、第2後処理ヘッド6A、6Bは、搬送方向Fにおいて同位置で主走査方向Sに所定間隔を置いて並んでいる。第1後処理ヘッド6Aは、第2インクヘッド4Bの下流側ヘッド4B2と、第3インクヘッド4Cの下流側ヘッド4C2との間に、その上流側部分が入り込むように配置されている。第2後処理ヘッド6Bは、下流側ヘッド4C2と第4インクヘッド4Dの下流側ヘッド4D2との間に、その上流側部分が入り込むように配置されている。
このような偶数列のインクヘッド列を有する実施例11におけるヘッド配置では、LC=11であり、B1=5であり、B2=4、6である。これらの組み合わせに基づいて、式1の(B1+B2)/LCを算出すると、(B1+B2)/LCは、0.8、1であり、式1の関係を満たしていることがわかる。
また、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、配置幅Hの中央領域HCに配置されるだけでなく、前処理ヘッド5の配置中心と、第1、第2後処理ヘッド6A、6Bの配列中心とが、主走査方向Sにおいて一致するよう配置されている。本実施例では、前処理ヘッド5は1個だけであるので、前処理ヘッド5の主走査方向Sの中心が配置中心C1となる。後処理ヘッド6は、第1後処理ヘッド6Aと第2後処理ヘッド6Bとの間の中間点が配列中心C2となる。これら配置中心C1と配列中心C2とが、主走査方向Sの同位置となるように、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6がヘッド支持フレーム31上に配置されている。
図4に基づき説明した通り、本実施形態では、キャリッジ3が往路主走査と復路主走査とを繰り返して、ワークWへ前処理液、インク及び後処理液を順次着弾させる。このような双方向主走査が採用される場合において実施例11のヘッド配置を採用することで、各主走査位置における、ワークWへの前処理液の着弾からインクの着弾までの時間のばらつき、並びに、インクの着弾から後処理液の着弾までの時間のばらつきを特に少なくすることができる。
この場合、中央領域HCとは、配置幅Hの範囲の中央に位置する、幅が配置幅Hの半分の領域であることが望ましく、さらに、3分の1の領域であることが望ましい。処理ヘッドが中央領域HCに配置されているとは、処理ヘッドの配列中心が中央領域HCに配置されていると共に、処理ヘッドの配置中心の半数以上が中央領域HCに配置されていることを意味する。さらに、処理ヘッドの配置中心の全てが中央領域HCに配置されていてもよい。
<実施例12>
図19は、実施例12に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Kを概略的に示す平面図である。実施例12では、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が、インクヘッド4を挟んでヘッド支持フレーム31の主走査方向Sの一端側と他端側とに分離して配置される例を示している。
ヘッド支持フレーム31には、実施例11(図18)と同じ配列の第1~第6インクヘッド4A~4Fと、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6とが搭載されている。前処理ヘッド5は1個、後処理ヘッド6は第1、第2後処理ヘッド6A、6Bの2個が各々備えられている。前処理ヘッド5は、インクヘッド4に対して主走査方向Sの他端側(右側)であって、搬送方向Fの上流側に配置されている。第1、第2後処理ヘッド6A、6Bは、インクヘッド4に対して主走査方向Sの一端側(左側)であって、搬送方向Fの下流側に配置されている。第1、第2後処理ヘッド6A、6Bは、搬送方向Fにおいて同位置で、主走査方向Sに間隔をおいて並んでいる。
このような偶数列のインクヘッド列を有する実施例12におけるヘッド配置では、LC=14であり、B1=14であり、B2=0、1である。これらの組み合わせに基づいて、式1の(B1+B2)/LCを算出すると、(B1+B2)/LCは、1、1.07であり、式1の関係を満たしていることがわかる。
また、実施例10と同様に、実施例12のヘッド配置も、インクヘッド4の配置領域と、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の配置領域とが、ヘッド支持フレーム31上において区分されている例である。すなわち、ヘッド支持フレーム31の右端部分が前処理ヘッド5の配置領域、左端部分が後処理ヘッド6の配置領域、残部の中央領域がインクヘッド4の配置領域である。この実施例12のヘッド配置によっても、インクと前処理液又は後処理液との接触が生じ難いようにすることができる。
<実施例13>
図20は、実施例13に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Lを概略的に示す平面図である。実施例13では、互いに異なる6色のインクを各々吐出する第1~第6インクヘッド4A~4Fが、主走査方向Sに一列に配置されたインクヘッド4(第1インクヘッド列41)を例示する。
キャリッジ3Lのヘッド支持フレーム31には、単位ヘッドを各々2個ずつ備える第1~第6インクヘッド4A~4F、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6が搭載されている。前処理ヘッド5は1個、後処理ヘッド6は第1、第2後処理ヘッド6A、6Bの2個が各々備えられている。上述の実施例1などと相違する点は、各々2個の単位ヘッドを備える第1~第6インクヘッド4A~4Fは、搬送方向Fの同位置において、主走査方向Sに配列されている点である。前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、第1~第6インクヘッド4A~4Fの配列体の右方において、それぞれ上流側及び下方側に配置されている。
このような一列のインクヘッド列を有する実施例13におけるヘッド配置では、LC=13であり、B1=12であり、B2=12、13である。これらの組み合わせに基づいて、式2の|(B1-B2)/LC|を算出すると、|(B1-B2)/LC|は、0、0.08であり、式2の関係を満たしていることがわかる。
また、実施例13のヘッド配置は、主走査方向Sの幅員を比較的大きく取れるが、搬送方向Fの幅員を短くすべき場合に好適である。また、必要なインク及び処理液の吐出量を多くできる。さらに、インクヘッド4の配置領域と、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の配置領域とが、ヘッド支持フレーム31上において区分されるので、インクと前処理液又は後処理液との接触が生じ難いようにすることができる。
<実施例14>
実施例14、及びこれに続く実施例15では、処理ヘッド5、6の発熱対策を施したヘッド配置を例示する。一般に、ジェット方式で液体を吐出するヘッドは、電気を使用して液体を加圧するため発熱する。インクヘッド4は、必要な色ドットの形成時のみに吐出動作を行う。これに対し、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、全色のドットに対応して前処理液及び後処理液の吐出動作を要する。従って、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、インクヘッド4の各々よりも高温化し易い。このため、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の高温化を想定したヘッド配置を行うことが望ましい。
図21は、実施例14に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Mを概略的に示す平面図である。キャリッジ3Mは、ガイドレール17(保持部材)(図1)にてバックフレーム32(係合部)が片持ち状態で保持されている。ヘッド支持フレーム31には、第1~第6インクヘッド4A~4Fを備えたインクヘッド4と、一つの前処理ヘッド5と、第1、第2後処理ヘッド6A、6Bを備えた後処理ヘッド6とが搭載されている。これらのヘッド配置は、図6に示した実施例1と同一であるので、ここでは説明を省く。
このような実施例14におけるヘッド配置では、LC=11であり、B1=6であり、B2=5、7である。これらの組み合わせに基づいて、式1の(B1+B2)/LCを算出すると、(B1+B2)/LCは、1、1.18であり、式1の関係を満たしていることがわかる。
また、本実施例では、前処理ヘッド5は一つの単位ヘッドで、後処理ヘッド6は二つの単位ヘッド(第1、第2後処理ヘッド6A、6B)で、それぞれ構成されている。これら前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6のうち、単位ヘッドの個数が少ない前処理ヘッド5が、ヘッド支持フレーム31の基端側311に配置されている。単位ヘッドの個数が多い後処理ヘッド6については、先端側312に配置されている。換言すると、ヘッド支持フレーム31の搬送方向Fの上流側端縁が、ガイドレール17で保持される側とされている。
上述の通り、処理ヘッド5、6は吐出動作によって発熱する。図21に模式的に示すように、高温化した前処理ヘッド5は、熱haを放散する。第1、第2後処理ヘッド6A、6Bも同様である。この熱haによってキャリッジ3Mのヘッド支持フレーム31は加温され、当該ヘッド支持フレーム31及びその保持構造体であるバックフレーム32や、バックフレーム32とタイミングベルト16との固定金具等に熱変形を招来し得る。この熱変形は、片持ち状態で保持されるキャリッジ3Mでは、インクヘッド4から吐出されるインクの着弾精度に影響を与え得る。
しかし、実施例14のキャリッジ3Mでは、ヘッド支持フレーム31の片持ち保持される側である基端側311に、単位ヘッドの個数が少ない前処理ヘッド5を配置している。これにより、熱変形による影響(着弾精度の低下)を小さくすることができる。仮に、単位ヘッドの個数が多い後処理ヘッド6を基端側311に配置した場合、バックフレーム32は2個の単位ヘッドから熱haの放散を受け、より高温化して熱変形し易くなる。
また、実施例14のキャリッジ3Mでは、前処理ヘッド5は、インクヘッド4及び処理ヘッド5、6のヘッド配列体HA(ヘッド配置領域)における主走査方向Sの端を除く位置に配置されている。キャリッジ3Mに搭載されるヘッド4,5,6のうち、前処理ヘッド5はバックフレーム32(係合部)に最も近い側に配置されるヘッドである。このような前処理ヘッド5が、ヘッド配列体HAの端である配置端313を除く位置に配置されている。
キャリッジ3Mは徒らにサイズを大きくできないので、ヘッド配列体の主走査方向Sの配置端313は、もしそこにヘッドを配置すると、そのヘッドはキャリッジ3M(ヘッド支持フレーム31)の主走査方向Sの角部に最も近いヘッドになる。配置端313付近は、片持ち支持されるバックフレーム32の近傍でもあるため、その付近で熱変形が生じると、ヘッド支持フレーム31の高さ方向や水平方向の歪みや位置ずれを誘発し得る。このことは、キャリッジ3Mに搭載されたヘッド4,5,6の着弾位置精度を低下させる。従って、配置端313の領域には高温化する前処理ヘッド5および後処理ヘッド6を配置しないことで、上記の熱変形の問題を発生し難くすることができる。
本実施例では、2列あるインクヘッド4の列(第1インクヘッド列41、第2インクヘッド列42)のうちで、係合部側に配置されているヘッド4の列が、図21において右側にずれた位置にある千鳥配置となっている。さらに、係合部側にヘッド数の少ない処理ヘッドである前処理ヘッド5を配置し、前処理ヘッド5を千鳥配置となる配置位置の中央に配置している。このように配置することで、配置端313に処理ヘッドを配置しないようにヘッドを配置できる。
図21に示すキャリッジ3Mのヘッド配置を参照して、好ましいインクヘッドの配置例を更に説明する。キャリッジ3Mにおいて、高温化する前処理ヘッド5は、その一部がインクヘッド4と隣接するように配置されている。具体的には前処理ヘッド5は、主走査方向Sにおいて第3、第4インクヘッド4C、4Dの上流側ヘッド4C1、4D1と隣接し、搬送方向Fにおいて第4インクヘッド4Dの下流側ヘッド4D2と隣接している。また、第1後処理ヘッド6Aは、主走査方向Sにおいて第3、第4インクヘッド4C、4Dの下流側ヘッド4C2、4D2と隣接し、搬送方向Fにおいて上流側ヘッド4C1と隣接している。第2後処理ヘッド6Bは、主走査方向Sにおいて第4、第5インクヘッド4D、4Eの下流側ヘッド4D2、4E2と隣接し、搬送方向Fにおいて上流側ヘッド4D1と隣接している。他方、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6は、第1、第2、第6インクヘッド4A、4B、4Fには隣接していない。
上記のヘッド配置では、例えばイエロー、レッド、ブルーのインクを各々吐出する第3、第4、第5インクヘッド4C、4D、4E(第1色のインクを吐出する第1インクヘッド)の方が、オレンジ、グリーン、ブラックのインクを各々吐出する第1、第2、第6インクヘッド4A、4B、4F(第2色のインクを吐出する第2インクヘッド)よりも、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6と隣接する単位ヘッド数(合計ヘッド数)が多い。つまり、第3、第4、第5インクヘッド4C、4D、4Eが、他のインクヘッド4A、4B、4Fに比べて高温化し易いインクヘッドである。
インクの粘度が温度変化に伴って大きく変化すると、インクヘッドからのインク吐出特性(吐出量等)も変化する。インクの種類により、温度による粘度変化特性は異なる。従って、本実施例の場合、高温化し易い第3、第4、第5インクヘッド4C、4D、4Eから吐出させるインクとして、第1、第2、第6インクヘッド4A、4B、4Fから吐出させるインクよりも、温度による粘度変化の小さいインクが選択されている。これにより、第3、第4、第5インクヘッド4C、4D、4Eが前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6で加温されたとしても、これらインクヘッド4C、4D、4Eから吐出されるインクの吐出量や吐出速度の温度変化を小さくすることができる。
この場合、各インクについてインクヘッド4に隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数は、あるインクを吐出するインクヘッド4の中で、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数が最大のもので評価してもよい。第1、第2、第6インクヘッド4A、4B、4Fでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の最大は0である。第3インクヘッド4Cでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の最大は2、第4インクヘッド4Dでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の最大は3である。第5インクヘッド4Eでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の最大は1である。
また、各インクについてインクヘッド4に隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数は、あるインクを吐出するインクヘッド4の中で、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の平均で評価してもよい。第1、第2、第6インクヘッド4A、4B、4Fでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の平均は0である。第3インクヘッド4Cでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の平均は1.5、第4インクヘッド4Dでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の平均は2.5である。第5インクヘッド4Eでは、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の平均は0.5である。
これらを組み合わせた評価として、例えば、最初に隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の最大で評価し、その評価で差がなかったインクについて、隣接する処理ヘッドの単位ヘッド数の平均で評価してもよい。
また、各インクを吐出するインクヘッド4が高温化し易い順を評価し、高温化し易い順に、粘度の温度変化の少ないインクを吐出してもよい。
<実施例15>
実施例15では、同色のインクを吐出する複数の同色インクヘッド間における、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の高温化対策を考慮した実施例を示す。上述の実施例では、各色の第1~第6インクヘッド4A~4Fが、それぞれ2個又は3個の単位ヘッドを備える例を示した。これらの単位ヘッド間で、前処理ヘッド5又は後処理ヘッド6に隣接する個数の差が大きいと、インクの吐出特性が当該単位ヘッド間で大きく相違する不具合が生じる。本実施例では、前記隣接する個数の差を少なくするヘッド配置例を示す。
図22は、実施例15に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Nを概略的に示す平面図である。キャリッジ3Nは、第1~第6インクヘッド4A~4Fが備える2個の単位ヘッド(同色インクヘッド)の各々が、主走査方向S及び搬送方向Fにおいて前処理ヘッド5又は後処理ヘッド6に隣接する個数をカウントしたとき、それらのカウント数の最大値と最小値との差が1以下となるヘッド配置を有している。
キャリッジ3Nのヘッド配置のうちインクヘッド4の配置は、先に図21に示したキャリッジ3Mのヘッド配置と同じである。一方、前処理ヘッド5は、第3インクヘッド4Cの上流側ヘッド4C1を挟んで主走査方向Sに並んで配置された第1、第2前処理ヘッド5A、5Bを含む。後処理ヘッド6は、下流側ヘッド4C2を挟んで主走査方向Sに並んで配置された第1、第2後処理ヘッド6A、6Bを含む。
キャリッジ3Nの第2インクヘッド4Bでは、上流側ヘッド4B1及び下流側ヘッド4B2に対して主走査方向Sおよび搬送方向Fにおいて隣接する処理ヘッド5,6のカウント数はそれぞれ2個および1個で、その差は「1」である。第3インクヘッド4Cでは、上流側ヘッド4C1及び下流側ヘッド4C2の前記カウント数はいずれも3個で、その差は「0」である。第4インクヘッド4Dでは、上流側ヘッド4D1の前記カウント数は1個、下流側ヘッド4D2の前記カウント数は2個で、その差は1個である。その余のインクヘッド4A、4E、4Fは、いずれもカウント数は「0」である。従って、第1~第6インクヘッド4A~4Fの全てについて最大値と最小値との差は1以下であり、上掲の要件を満たしている。
以上の通り、実施例15では、第1~第6インクヘッド4A~4Fの上流側ヘッド4A1~4F1と下流側ヘッド4A2~4F2の各々が処理ヘッド5,6に隣接するカウント数の最大値と最小値との差を1以下とする。これにより、複数の同色インクヘッド間でインク吐出量に大きな差異が生じないようにすることができる。
<実施例16>
図23は、実施例16に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Pを概略的に示す平面図である。実施例16では、前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6をヘッド支持フレーム31上に分散的に配置するのではなく、なるべく塊状に配置することで、前処理液及び後処理液とインクとの接触を低減できる例を示す。
実施例16では、次の(A)~(C)の要件を満たすヘッド配置を例示している。
(A)前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6のうち、単位ヘッド個数の多い方の個数をm個、少ない方の個数をn個とするとき、m=n+奇数、の要件を満たし、
(B)主走査方向Sにおける一又は複数の前処理ヘッド5の配置又は配列中心と、一又は複数の後処理ヘッド6の配置又は配列中心とが、主走査方向Sにおいて一致し、且つ、
(C)前処理ヘッド5及び後処理ヘッド6の配置又は配列中心と、インクヘッド4のうちの一のインクヘッドの配置位置とが、主走査方向Sにおいて一致する。
図23に示すキャリッジ3Pは、インクヘッド4、1個の前処理ヘッド5及び第1、第2後処理ヘッド6A、6Bを有する後処理ヘッド6を備える。ヘッド配置は、図21他と同じである。このため、実施例16におけるヘッド配置も、前述の式1の関係を満たしている。この例の場合、後処理ヘッド6がm=2個、前処理ヘッド5がn=1である。よって、上記要件(A)のm=n+奇数を満たす。また、前処理ヘッド5の配置中心と後処理ヘッド6の配列中心は、共に図中の中心Cであり、上記要件(B)も満たす。さらに、中心Cと、第4インクヘッド4Dの下流側ヘッド4D2の配置位置とが一致しており、上記要件(C)も満たしている。
実施例16のヘッド配置によれば、前処理ヘッド5と後処理ヘッド6とが、ある程度まとまった状態でキャリッジ3Pに搭載することができる。これにより、第1~第6インクヘッド4A~4Fのうち、前処理ヘッド5又は後処理ヘッド6に近い位置に配置されるインクヘッドの数を減らすことができる。従って、前処理液及び後処理液とインクとの、キャリッジ上での接触が生じる可能性を小さくすることができる。
<実施例17>
実施例17では、キャリッジ上のヘッド4,5,6と、これらにインク又は処理液を供給するサブタンクとの好ましい配置関係について例示する。図24は、実施例17に係るヘッド配置を備えたキャリッジ3Q及びサブタンク配置を示す平面図である。キャリッジ3Qは、第1~第6インクヘッド4A~4Fを有するインクヘッド4、1個の前処理ヘッド5及び第1、第2後処理ヘッド6A、6Bを有する後処理ヘッド6を備える。これらのヘッド配置は、図21他と同じである。このため、実施例17におけるヘッド配置も、前述の式1の関係を満たしている。
キャリッジ3Qにはサブタンク7も搭載されている。サブタンク7は、インク用サブタンク7A~7F、前処理液用サブタンク71及び後処理液用サブタンク72(いずれも処理液用サブタンク)を含む。これらのサブタンク7には、図略のメインタンクからインク、前処理液及び後処理液が各々供給される。インク用サブタンク7A~7Fは、第1~第6インクヘッド4A~4Fの各々に前記インクを供給する。例えば、第1インクヘッド4Aの上流側ヘッド4A1にはインク用サブタンク7Aの第1タンク7A1から、下流側ヘッド4A2には第2タンク7A2から、管路P1を介して第1色のインクが供給される。第2~第6インクヘッド4B~4Fについても、同様して第2色~第6色のインクが各々供給される構造である。
インク用サブタンク7の主走査方向Sにおける配置順は、それぞれのインク用サブタンク7がインクを供給しているインクヘッド4の主走査方向Sにおける配置順と同じである。なお、同色のインクを吐出する複数のインクヘッド4に対して、1つのインク用サブタンク7からインクを供給してもよい。その場合、インク用サブタンク7を共有するインクヘッド4は、主走査方向Sにおいて、まとまった位置に配置してもよい。さらに、同じインクを吐出するインクヘッド4は、主走査方向Sにおいて、まとめて配置するのがよく、主走査方向Sにおいて、各色のインク用サブタンク7の配置の順番を、各色のインクヘッド4の配置の順番を同じにしてもよい。
前処理液用サブタンク71は、管路P2を介して前処理ヘッド5に前処理液を供給する。後処理液用サブタンク72は、第1タンク72A及び第2タンク72Bを含む。第1、第2タンク72A、72Bは、それぞれ管路P3を介して、第1、第2後処理ヘッド6A、6Bに後処理液を供給する。
インク用サブタンク7A~7Fは、主走査方向Sに並ぶようにキャリッジ3Qに搭載されている。処理液用サブタンク71、72は、搬送方向Fにおいてインク用サブタンク7A~7Fとは異なる位置で、主走査方向Sに並んで配置されている。具体的には、前処理液用サブタンク71と、後処理液用サブタンク72の第1、第2タンク72A、72Bとが、インク用サブタンク7A~7Fの搬送方向F下流側において、主走査方向Sに一列に並んでいる。なお、前処理液用サブタンク71だけを、インク用サブタンク7A~7Fの上流側に配置しても良い。
主走査方向Sに往復移動するキャリッジ3Qに搭載されたサブタンク7の液体には、その主走査方向Sの加速度が作用する。サブタンク7と各ヘッド4,5,6とは管路P1,P2,P3で接続されるが、サブタンク7がキャリッジ3Q上で広く分布していると、主走査方向Sにおける管路P1~P3の配置範囲も大きくなる。これら管路P1~P3にもインク又は処理液が充填されているので、前記加速度の影響を受けてヘッド4,5,6の吐出部分においてメニスカス破壊を起こすことがある。
しかし、実施例17の構成によれば、インク用サブタンク7A~7Fは、第1~第6インクヘッド4A~4Fと同様に主走査方向Sに並ぶようにキャリッジ3Qに搭載される。このため、インク用サブタンク7A~7Fをキャリッジ3Qのヘッド支持フレーム31上の比較的狭い範囲に配置させることが可能となる。同様に、前処理液用サブタンク71及び後処理液用サブタンク72についても、キャリッジ3Qのヘッド支持フレーム31上の比較的狭い範囲に配置させることができる。
さらに、前処理液用サブタンク71及び後処理液用サブタンク72を、搬送方向Fにおいて、インク用サブタンク7A~7Fとは別の位置に配置しているので、前処理液用サブタンク71及び後処理液用サブタンク72と、前処理液用サブタンク71及び後処理液用サブタンク72のそれぞれが処理液を供給する処理ヘッドとの主走査方向Sにおける位置の差を少なく配置できる。これにより、前処理液用サブタンク71、管路P及び前処理ヘッド5の中に繋がって存在する前処理液の主走査方向Sの分布範囲を小さくでき、前記加速度の影響を受け難くすることができる。同様に、繋がって存在する後処理液の主走査方向Sにおける分布範囲を小さくでき、前記加速度の影響を受け難くすることができる。
同様に、インク用サブタンク7A~7Fと、インク用サブタンク7A~7Fのそれぞれがインクを供給するインクヘッド4との主走査方向Sにおける位置の差を少なく配置できる。これにより、繋がって存在するインクの主走査方向Sにおける分布範囲を小さくでき、前記加速度の影響を受け難くすることができる。
<ワークWの搬送ピッチについて>
上記の各実施例では、ワークWが1ヘッドピッチ(搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔ピッチ)で間欠的に送られながら印刷が行われる場合について説明したが、本開示はこれに限定されるものではない、図25A、図25Bは、ワークWが異なる搬送ピッチで搬送されるケースを説明するための模式図である。なお、以下の説明では、ワークWに対して最大濃度で印刷する場合には、各処理液およびインクともに、すべての主走査でワークWに印刷するものとする。
図25Aを参照して、偶数のインクヘッド列(第1インクヘッド列41、第2インクヘッド列42)を有している場合であって、ワークWの搬送ピッチが1/2ヘッドピッチ(搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔の2分の1のピッチ)に設定されている場合は、図25Bのようなヘッド配置における1ヘッドピッチの場合と同じように見なすことができる。すなわち、図25Bでは、インクヘッド4が、第1インクヘッド列41、第2インクヘッド列42、第3インクヘッド列43、第4インクヘッド列44を有し、前処理ヘッド5が、第1前処理ヘッド5A、第2前処理ヘッド5Bを有し、後処理ヘッド6が、第1後処理ヘッド6A、第2後処理ヘッド6Bを有している。各ヘッドの搬送方向Fにおける間隔は同じである。
なお、図25Bのように、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6のうちの少なくとも一方(図25Bでは両方)が搬送方向Fにおいて複数の処理ヘッドを有する場合には、前処理液の中で最後に着弾するものから、後処理液の中で最初に着弾するものまでの時間間隔に着目して、式1、式2の評価を行えばよい。図25Bにおいて、効果が発現されるB1およびB2の値は、インクヘッドが4列配置されている場合と同じであるため、前述の式1が満たされればよい。このように、1/nヘッドピッチ(搬送方向Fにおいて隣接するヘッド同士の間隔の1/nのピッチ、nは自然数)送りで印刷を行う場合も、すべて同じように式1または式2で評価することができる。
また、インクヘッド4が奇数のインクヘッド列を有している場合であって、ワークWが搬送ピッチ=1/nヘッドピッチで送られる場合について考えると、搬送ピッチの自然数nが奇数の場合にはインクヘッド列数が奇数の場合と同様に考えることができるため、式2を適用することができる。一方、搬送ピッチの自然数nが偶数の場合にはインクヘッド列数が偶数の場合と同様に式1を適用することができる。
以上のように、ワークWの搬送ピッチが1ヘッドピッチ以外のピッチの場合でも、前述のように、式1、式2を満たすような前処理ヘッド5、後処理ヘッド6の配置によって、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。
以上より、下記のIおよびIIの場合に、前処理ヘッド5が前処理液を吐出する際のキャリッジ3の走査方向(吐出を伴う前処理ヘッドの走査が複数回ある場合は、最後の走査)と、後処理ヘッド6が後処理液を吐出する際のキャリッジ3の走査方向(吐出を伴う後処理ヘッドの走査が複数回ある場合は、最初の走査)とが逆方向になる。
I:インクヘッド4のインクヘッド列が搬送方向Fにおいて偶数列ある場合(この場合、ワークWの送りピッチは1ヘッドピッチでも1/nヘッドピッチでも良い)
II:インクヘッド4のインクヘッド列が搬送方向Fに奇数列あり、かつ、ワークWの送りピッチが1/nヘッドピッチ(nは偶数)の場合
この場合、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6を式1を満たすように配置すればよい。
また、下記のIIIの場合に、前処理ヘッド5が前処理液を吐出する際のキャリッジ3の走査方向(吐出を伴う前処理ヘッドの走査が複数回ある場合は、最後の走査)と、後処理ヘッド6が後処理液を吐出する際のキャリッジ3の走査方向(吐出を伴う後処理ヘッドの走査が複数回ある場合は、最初の走査)とが同じ方向になる。
III:インクヘッド4のインクヘッド列が搬送方向Fにおいて奇数列あり、かつ、ワークWの送りピッチが1ヘッドピッチまたは1/nヘッドピッチ(nは奇数)の場合
この場合、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6を式2を満たすように配置すればよい。
<インクジェット記録方法について>
上記のように、各実施例において説明されたインクジェット式プリンター1は、搬送方向Fにおける所定の位置においてキャリッジ3に搭載される一のインクヘッド列または搬送方向Fに並ぶようにキャリッジ3に搭載される複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを有している。当該一または複数のインクヘッド列の各々は主走査方向Sに並ぶように配置され画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前処理ヘッド5は、搬送方向Fにおいて前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。後処理ヘッド6は、搬送方向Fにおいて前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。
そして、上記のインクジェット式プリンター1における一のインクジェット記録方法は、複数のインクヘッド4、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6のうち主走査方向Sの最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの主走査方向Sにおける距離をLC、前記一端側ヘッドから前処理ヘッド5までの主走査方向Sにおける距離をB1、前記一端側ヘッドから後処理ヘッド6までの主走査方向Sにおける距離をB2とした場合、1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2・・・(式1)の関係を満たすように前処理ヘッド5および後処理ヘッド6を配置することと、キャリッジ3を主走査方向Sにおける第1方向(たとえば左方向)に移動させながら、ワークW上の所定の記録領域に対して、前処理ヘッド5から前処理液を吐出することと、ワークWを搬送方向Fに所定の送りピッチで送り、キャリッジ3を主走査方向Sに移動させながら、前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、インクヘッド4からインクを吐出することと、ワークWを更に搬送方向Fに前記送りピッチで送り、キャリッジ3を主走査方向Sにおける前記第1方向とは反対の第2方向(たとえば右方向)に移動させながら、インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、後処理ヘッド6から後処理液を吐出することと、を備える。
このような方法によれば、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの3種類のヘッドを、一つのキャリッジ3に搭載したオールインワン型のインクジェット式プリンター1によって、ワークWに対して効率的に画像を形成することができる。また、前処理ヘッド5、インクヘッド4及び後処理ヘッド6が順次搬送方向Fに配置されるので、前処理液、インク及び後処理液を、望ましい着弾順となるように吐出できる。更に、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6が式1を満たすように適切に配置されることによって、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、ワークW上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
特に、上記の方法によれば、インクヘッド4のインクヘッド列が搬送方向において偶数列ある場合や、インクヘッド4のインクヘッド列が搬送方向Fに奇数列あり、かつ、ワークWの送りピッチが1/nヘッドピッチ(nは偶数)の場合に、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。
また、上記のインクジェット式プリンター1における他のインクジェット記録方法は、|(B1-B2)/LC|≦1/2・・・(式2)の関係を満たすように前処理ヘッド5および後処理ヘッド6を配置することと、キャリッジ3を主走査方向Sにおける第1方向(たとえば左方向)に移動させながら、ワークW上の所定の記録領域に対して、前処理ヘッド5から前処理液を吐出することと、ワークWを搬送方向Fに所定の送りピッチで送り、キャリッジ3を主走査方向Sに移動させながら、前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、インクヘッド4からインクを吐出することと、ワークWを前記送りピッチで更に搬送方向Fに送り、キャリッジ3を主走査方向Sにおける前記第1方向に移動させながら、インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、後処理ヘッド6から後処理液を吐出することと、を備える。
このような方法においても、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの3種類のヘッドを、一つのキャリッジに搭載したオールインワン型のインクジェット式プリンター1によって、ワークWに対して効率的に画像を形成することができる。また、前処理ヘッド5、インクヘッド4及び後処理ヘッド6が順次搬送方向に配置されるので、前処理液、インク及び後処理液を、望ましい着弾順となるように吐出できる。更に、前処理ヘッド5および後処理ヘッド6が式2を満たすように適切に配置されることによって、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、ワークW上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
特に、上記の方法によれば、インクヘッド4のインクヘッド列が搬送方向Fにおいて奇数列あり、かつ、ワークWの送りピッチが1ヘッドピッチまたは1/nヘッドピッチ(nは奇数)の場合に、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。
<比較例について>
図26は、本開示と比較される比較例1に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Z1の平面図である。このような偶数列のインクヘッド列を有する比較例1におけるヘッド配置では、LC=11であり、B1=0であり、B2=5である。これらの組み合わせに基づいて、式1の(B1+B2)/LCを算出すると、(B1+B2)/LCは、0.45であり、式1の関係を満たしていないことがわかる。
同様に、図27は、本開示と比較される比較例2に係るヘッド配置を示すキャリッジ3Z2の平面図である。このような奇数列のインクヘッド列を有する比較例2におけるヘッド配置では、LC=7であり、B1=0であり、B2=7である。これらの組み合わせに基づいて、式2の|(B1-B2)/LC|を算出すると、|(B1-B2)/LC|は、1であり、式2の関係を満たしていないことがわかる。
図26、図27のようなヘッド配置の場合、主走査方向の画像位置によっては、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間にばらつきが生じ、結果として、ワークW上において画像品質のばらつきが生じやすくなる。
[本開示のまとめ]
本開示の一の局面に係るインクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載され、偶数からなる。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式1の関係を満たすように配置されている。
1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2・・・(式1)
本構成によれば、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの3種類のヘッドを、一つのキャリッジに搭載したオールインワン型のインクジェット記録装置を提供することができる。また、前処理ヘッド、インクヘッド及び後処理ヘッドが順次搬送方向に配置されるので、前処理液、インク及び後処理液を、記録媒体に望ましい着弾順となるように吐出できる。更に、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドが式1を満たすように適切に配置されることによって、キャリッジの移動方向に関わらず前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、記録媒体上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
上記の構成において、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうちの少なくとも一方が、前記主走査方向に並んで配置される複数の処理ヘッドを含み、当該複数の処理ヘッドのうちの少なくとも一の処理ヘッドが前記式1の関係を満たすように配置されていてもよい。
本構成によれば、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドのうちの少なくとも一方が複数配置されている場合でも、そのうちの少なくとも一の処理ヘッドが式1を満たすように配置されることで、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。また、他の処理ヘッドから処理液が更に吐出できるため、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
上記の構成において、前記複数の処理ヘッドのすべてが前記式1の関係を満たすようにそれぞれ配置されていてもよい。
本構成によれば、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドのうちの少なくとも一方における複数の処理ヘッドが、いずれも式1を満たすように配置されていることで、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを更に小さくするとともに、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
また、本開示の他の局面に係るインクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、一のインクヘッド列または複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記一のインクヘッド列は、前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載され奇数からなる。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式2の関係を満たすように配置されている。
|(B1-B2)/LC|≦1/2・・・(式2)
本構成によれば、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの3種類のヘッドを、一つのキャリッジに搭載したオールインワン型のインクジェット記録装置を提供することができる。また、前処理ヘッド、インクヘッド及び後処理ヘッドが順次搬送方向に配置されるので、前処理液、インク及び後処理液を、記録媒体に望ましい着弾順となるように吐出できる。更に、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドが式2を満たすように適切に配置されることによって、キャリッジの移動方向に関わらず前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、記録媒体上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。また、通常の記録媒体の送りピッチが1ヘッドピッチの場合に加えて、1/nヘッドピッチ(nは奇数)の場合でも、上記の時間ばらつきを小さくできる。
上記の構成において、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうちの少なくとも一方が、前記主走査方向に並んで配置される複数の処理ヘッドを含み、当該複数の処理ヘッドのうちの少なくとも一の処理ヘッドが前記式2の関係を満たすように配置されていてもよい。
本構成によれば、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドのうちの少なくとも一方が複数配置されている場合でも、そのうちの少なくとも一の処理ヘッドが式2を満たすように配置されることで、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。また、他の処理ヘッドから処理液が更に吐出できるため、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
上記の構成において、前記複数の処理ヘッドのすべてが前記式2の関係を満たすようにそれぞれ配置されていてもよい。
本構成によれば、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドのうちの少なくとも一方における複数の処理ヘッドが、いずれも式2を満たすように配置されていることで、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを更に小さくするとともに、吐出可能な処理液の液量を増すことができる。
上記の構成において、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記複数のインクヘッドの前記主走査方向における配置幅の範囲内に配置されていてもよい。
このインクジェット記録装置によれば、処理ヘッドがキャリッジに搭載される場合でも、当該キャリッジの主走査方向幅を拡張させる必要はない。従って、キャリッジの主走査方向幅の小型化を図ることができる。
上記の構成において、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうちの少なくとも一方は、一の前記インクヘッド列に含まれる前記複数のインクヘッドのうちの前記主走査方向において隣り合う一対のインクヘッドの間に一部が入り込むように配置されていてもよい。
このインクジェット記録装置によれば、搬送方向(副走査方向)の異なる位置に配置されるインクヘッドと処理ヘッドとを、搬送方向に高密度に配置することができる。従って、キャリッジの前記搬送方向の幅の小型化を図ることができる。
上記の構成において、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置され、前記複数のインクヘッドは、同色のインクを吐出する複数の同色インクヘッドを含み、前記同色インクヘッドの各々について、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向及び前記搬送方向において隣接する処理ヘッドの個数をカウントしたとき、それらのカウント数の最大値と最小値との差が1以下であってもよい。
一般に、ジェット方式で液体を吐出するヘッドは、電気を使用して液体を加圧するため発熱する。とりわけ、必要な色ドットの形成時のみに吐出動作を行うインクヘッドとは異なり、全色のドットに対応して吐出動作を要する処理ヘッドは、より高温化し易い。このような処理ヘッドに隣接するインクヘッドは高温化し易く、処理ヘッドに隣接していないインクヘッドに比べてインク吐出量に差異が生じるおそれがある。上記の通り、同色インクヘッドの各々が前記処理ヘッドに隣接するカウント数の最大値と最小値との差を1以下とすることで、複数の同色インクヘッド間でインク吐出量に大きな差異が生じ難くなる。
上記の構成において、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置され、前記複数のインクヘッドは、少なくとも第1色のインクを吐出する第1インクヘッドと、第2色のインクを吐出する第2インクヘッドと、を含み、前記第1インクヘッドの方が、隣接する前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの合計個数が前記第2インクヘッドよりも多い場合に、前記第1色のインクとして、前記第2色のインクよりも温度による粘度変化の小さいインクを吐出してもよい。
このインクジェット記録装置によれば、隣接する処理ヘッドの合計個数が多い第1インクヘッドは、温度による粘度変化の小さいインクを吐出する。従って、前記第1インクヘッドが前記処理ヘッドで加温されたとしても、前記第1色のインクの吐出量や吐出速度の温度変化を小さくできる。
上記の構成において、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドと前記複数のインクヘッドとは、前記主走査方向に分離して配置されていてもよい。
インクと処理液とが接触すると、例えばインク成分の凝集が生じることがある。この場合、凝集物がインクヘッドのインク吐出ノズルに付着すると、吐出不良が発生し得る。上記のインクジェット記録装置によれば、処理ヘッドとインクヘッドとが主走査方向に分離して配置されるので、インクと処理液とのキャリッジ上での接触が生じ難いようにすることができる。
上記の構成において、前記キャリッジは、前記インクヘッド列が配置される第1領域と、当該第1領域に対して前記主走査方向に隣接する第2領域とを含み、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドは、前記第2領域に配置されていてもよい。
このインクジェット記録装置によれば、前処理ヘッド及び後処理ヘッドとインクヘッドとを、主走査方向に分離して配置することができる。従って、前処理液及び後処理液とインクとの、キャリッジ上での接触が生じ難くでき、凝集等の問題を発生し難くできる。
上記の構成において、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドは、前記インクヘッド列の前記主走査方向における配置幅の中央領域にそれぞれ配置されていてもよい。
若しくは、前記主走査方向における一又は複数の前記前処理ヘッドの配置又は配列中心と、一又は複数の前記後処理ヘッドの配置又は配列中心とが、前記主走査方向において一致するように前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドが配置されていてもよい。
これらのインクジェット記録装置によれば、各主走査位置における、記録媒体への前処理液の着弾からインクの着弾までの時間のばらつき、並びに、インクの着弾から後処理液の着弾までの時間のばらつきを特に少なくすることができる。
上記のインクジェット記録装置において、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうち、ヘッド個数の多い方の個数をm個、少ない方の個数をn個とするとき、m=n+奇数、の要件を満たし、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドの配置又は配列中心と、前記複数のインクヘッドのうちの一のインクヘッドの配置位置とが、前記主走査方向において一致していてもよい。
このインクジェット記録装置によれば、前処理ヘッドと後処理ヘッドとが、ある程度まとまった状態でキャリッジに搭載することができる。これにより、複数のインクヘッドのうち、処理ヘッドに近い位置に配置されるインクヘッドの数を減らすことができる。従って、前処理液及び後処理液とインクとの、キャリッジ上での接触が生じる可能性を低くできる。
上記のインクジェット記録装置において、前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、前記搬送方向において、前記前処理ヘッドは前記後処理ヘッドよりも前記係合部側に配置されていてもよい。
このインクジェット記録装置によれば、キャリッジを保持部材に片持ち支持させることにより、簡単な構造でキャリッジを支持できる。また、片持ち支持にすることで、キャリッジの片側を開放させた構造とすることが容易になり、インクヘッドや処理ヘッドのメンテナンスを行い易くすることができる。キャリッジを片持ち支持する場合、キャリッジの前記係合部から遠い側では、高さ方向の精度が低下することが想定される。しかし、前記係合部から遠い側には、比較的吐出精度への要求に裕度がある後処理ヘッドが搭載されるので、画像品質に大きな影響を与え難い。
上記のインクジェット記録装置において、前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうち、ヘッド個数の少ない方が前記キャリッジの前記係合部側に配置されていてもよい。
上述の通り、処理ヘッドは吐出動作によって発熱する。このため、前記処理ヘッドを搭載しているキャリッジは加温され、当該キャリッジ及びその保持構造体に熱変形を招来し得る。前記キャリッジが片持ち保持される態様では、前記熱変形はインクの着弾精度に影響を与えることがある。上記の構成によれば、前記基端部側に配置される処理ヘッドの数を減らし、熱変形による影響を小さくできる。
上記のインクジェット記録装置において、前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、前記インクヘッド及び前記処理ヘッドのうち、前記キャリッジの前記係合部に最も近い側に配置されるヘッドは、前記前処理ヘッド、前記インクヘッドおよび前記後処理ヘッドのヘッド配列体における前記主走査方向の端を除く位置に配置されていてもよい。
このインクジェット記録装置によれば、前記係合部に最も近い側に配置されるヘッドは、前記ヘッド配列体(ヘッド配置領域)における前記主走査方向の端には配置されない。一般に、前記主走査方向の端は、キャリッジの端部(角部)に最も近くなる。キャリッジの端部であって前記基端部の付近で熱変形が生じると、当該キャリッジに搭載されたヘッドの位置精度が低下する。上記構成によれば、このような問題を発生し難くできる。
上記のインクジェット記録装置において、前記インクヘッド列の前記複数のインクヘッドの各々に前記インクを供給する複数のインク用サブタンクと、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの各々に前記前処理液および前記後処理液のいずれかを供給する複数の処理液用サブタンクと、をさらに備え、前記複数のインク用サブタンクは、前記主走査方向に並ぶように前記キャリッジに搭載され、前記複数の処理液用サブタンクは、前記搬送方向において前記複数のインク用サブタンクとは異なる位置で、前記主走査方向に並ぶように前記キャリッジに搭載されていてもよい。
上記の構成によれば、前記インク用サブタンク及び前記処理ヘッド用サブタンクは、ヘッドと同様に、前記搬送方向において異なる位置で、前記主走査方向に並んでいるので、前記キャリッジ上で、サブタンクを比較的狭い範囲に配置することができる。また、主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載されたサブタンクの液体には、主走査方向の加速度が作用する。前記サブタンクとヘッドとは所定の管路で接続されるが、前記サブタンクがキャリッジ上で広く分布していると、主走査方向における前記管路の配置範囲も大きくなるので、前記加速度の影響が大きくなり、ヘッドの吐出部分においてメニスカス破壊を起こすことがある。上記の構成によれば、前記管路の前記主走査方向における配置範囲を比較的狭くすることが可能となる。
また、本開示の他の局面に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置のインクジェット記録方法である。前記インクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、一のインクヘッド列または複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記一のインクヘッド列は、前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記インクジェット記録方法は、前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2・・・(式1)の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向とは反対の第2方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、を備える。
本方法によれば、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの全てが、一つのキャリッジに搭載されたオールインワン型のインクジェット記録装置によって、記録媒体に対して効率的に画像を形成することができる。特に、前処理ヘッド、インクヘッド及び後処理ヘッドが順次搬送方向に配置されるので、前処理液、インク及び後処理液を記録媒体に望ましい着弾順とすることができる。更に、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドが式1を満たすように適切に配置され、所定の記録領域に対して、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドが、主走査方向に互いに逆向きに移動されながら処理液を吐出することによって、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、記録媒体上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
特に、上記の方法によれば、インクヘッドのインクヘッド列が搬送方向において偶数列ある場合や、インクヘッドのインクヘッド列が搬送方向Fに奇数列ありかつ記録媒体の送りピッチが1/nヘッドピッチ(nは偶数)の場合に、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。
更に、本開示の他の局面に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置のインクジェット記録方法である。前記インクジェット記録装置は、搬送部と、キャリッジと、一のインクヘッド列または複数のインクヘッド列と、前処理ヘッドと、後処理ヘッドとを備える。前記搬送部は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する。前記キャリッジは、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動する。前記一のインクヘッド列は、前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される。前記複数のインクヘッド列は、前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される。前記前処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する。前記後処理ヘッドは、前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する。前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含む。前記インクジェット記録方法は、前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、|(B1-B2)/LC|≦1/2・・・(式2)の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、を備える。
本方法によれば、前処理液、インク及び後処理液の吐出用ヘッドの3種類のヘッドが、一つのキャリッジに搭載されたオールインワン型のインクジェット記録装置によって、記録媒体に対して効率的に画像を形成することができる。特に、前処理ヘッド、インクヘッド及び後処理ヘッドが順次搬送方向に配置されるので、前処理液、インク及び後処理液を、記録媒体に望ましい着弾順となるように吐出することができる。更に、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドが式2を満たすように適切に配置され、前処理ヘッドおよび後処理ヘッドが、主走査方向に同じ向きに移動されながら処理液を吐出することによって、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。この結果、記録媒体上において画像品質のばらつきが生じ難くなる。
特に、上記の方法によれば、インクヘッドのインクヘッド列が搬送方向において奇数列あり、かつ、記録媒体の送りピッチが1ヘッドピッチまたは1/nヘッドピッチ(nは奇数)の場合に、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできる。
本開示によれば、前処理ヘッド、インクヘッドおよび後処理ヘッドが搭載され主走査方向に移動するキャリッジを備え、前処理液の着弾から後処理液の着弾までの時間ばらつきを小さくできるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することができる。
1 インクジェット式プリンター(インクヘッド式記録装置)
16 タイミングベルト(移動部材)
17 ガイドレール(保持部材)
20 ワーク搬送部(搬送部)
3、3A~3J キャリッジ
31 ヘッド支持フレーム
32 バックフレーム(係合部)
4 インクヘッド
41 第1インクヘッド列(インクヘッド列)
42 第2インクヘッド列(インクヘッド列)
43 第3インクヘッド列(インクヘッド列)
4A~4F 第1~第6インクヘッド
4A1~4F1 上流側ヘッド
4A2~4F2 下流側ヘッド
5 前処理ヘッド(処理ヘッド)
6 後処理ヘッド(処理ヘッド)
7 サブタンク
7A~7F インク用サブタンク
71 前処理液用サブタンク
72 後処理液用サブタンク
F 搬送方向
S 主走査方向
W ワーク(記録媒体)

Claims (31)

  1. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載された、偶数からなる複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式1の関係を満たすように配置されている、インクジェット記録装置。
    1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2 ・・・(式1)
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうちの少なくとも一方が、前記主走査方向に並んで配置される複数の処理ヘッドを含み、当該複数の処理ヘッドのうちの少なくとも一の処理ヘッドが前記式1の関係を満たすように配置されている、インクジェット記録装置。
  3. 請求項2に記載のインクジェット記録装置において、
    前記複数の処理ヘッドのすべてが前記式1の関係を満たすようにそれぞれ配置されている、インクジェット記録装置。
  4. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記複数のインクヘッドの前記主走査方向における配置幅の範囲内に配置されている、インクジェット記録装置。
  5. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうちの少なくとも一方は、一の前記インクヘッド列に含まれる前記複数のインクヘッドのうちの前記主走査方向において隣り合う一対のインクヘッドの間に一部が入り込むように配置されている、インクジェット記録装置。
  6. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置され、
    前記複数のインクヘッドは、同色のインクを吐出する複数の同色インクヘッドを含み、
    前記同色インクヘッドの各々について、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向及び前記搬送方向において隣接する処理ヘッドの個数をカウントしたとき、それらのカウント数の最大値と最小値との差が1以下である、インクジェット記録装置。
  7. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置され、
    前記複数のインクヘッドは、少なくとも第1色のインクを吐出する第1インクヘッドと、第2色のインクを吐出する第2インクヘッドと、を含み、
    前記第1インクヘッドの方が、隣接する前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの合計個数が前記第2インクヘッドよりも多い場合に、前記第1色のインクとして、前記第2色のインクよりも温度による粘度変化の小さいインクを吐出する、インクジェット記録装置。
  8. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドと前記複数のインクヘッドとは、前記主走査方向に分離して配置されている、インクジェット記録装置。
  9. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記キャリッジは、前記インクヘッド列が配置される第1領域と、当該第1領域に対して前記主走査方向に隣接する第2領域とを含み、
    前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドは、前記第2領域に配置されている、インクジェット記録装置。
  10. 請求項1乃至の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドは、前記インクヘッド列の前記主走査方向における配置幅の中央領域にそれぞれ配置されている、インクジェット記録装置。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記主走査方向における一又は複数の前記前処理ヘッドの配置又は配列中心と、一又は複数の前記後処理ヘッドの配置又は配列中心とが、前記主走査方向において一致するように前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドが配置されている、インクジェット記録装置。
  12. 請求項11に記載のインクジェット記録装置において、
    前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうち、ヘッド個数の多い方の個数をm個、少ない方の個数をn個とするとき、m=n+奇数、の要件を満たし、
    前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドの配置又は配列中心と、前記複数のインクヘッドのうちの一のインクヘッドの配置位置とが、前記主走査方向において一致している、インクジェット記録装置。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記搬送方向において、前記前処理ヘッドは前記後処理ヘッドよりも前記係合部側に配置されている、インクジェット記録装置。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうち、ヘッド個数の少ない方が前記キャリッジの前記係合部側に配置されている、インクジェット記録装置。
  15. 請求項1乃至14の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち、前記キャリッジの前記係合部に最も近い側に配置されるヘッドは、前記前処理ヘッド、前記インクヘッドおよび前記後処理ヘッドのヘッド配列体における前記主走査方向の端を除く位置に配置されている、インクジェット記録装置。
  16. 請求項1乃至15の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記インクヘッド列の前記複数のインクヘッドの各々に前記インクを供給する複数のインク用サブタンクと、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの各々に前記前処理液および前記後処理液のいずれかを供給する複数の処理液用サブタンクと、をさらに備え、
    前記複数のインク用サブタンクは、前記主走査方向に並ぶように前記キャリッジに搭載され、前記複数の処理液用サブタンクは、前記搬送方向において前記複数のインク用サブタンクとは異なる位置で、前記主走査方向に並ぶように前記キャリッジに搭載されている、インクジェット記録装置。
  17. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される奇数からなる複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式2の関係を満たすように配置され、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置され、
    前記複数のインクヘッドは、少なくとも第1色のインクを吐出する第1インクヘッドと、第2色のインクを吐出する第2インクヘッドと、を含み、
    前記第1インクヘッドの方が、隣接する前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの合計個数が前記第2インクヘッドよりも多い場合に、前記第1色のインクとして、前記第2色のインクよりも温度による粘度変化の小さいインクを吐出する、インクジェット記録装置。
  18. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される奇数からなる複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式2の関係を満たすように配置され、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記搬送方向において、前記前処理ヘッドは前記後処理ヘッドよりも前記係合部側に配置されている、インクジェット記録装置。
  19. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される奇数からなる複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドが式2の関係を満たすように配置され、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち、前記キャリッジの前記係合部に最も近い側に配置されるヘッドは、前記前処理ヘッド、前記インクヘッドおよび前記後処理ヘッドのヘッド配列体における前記主走査方向の端を除く位置に配置されている、インクジェット記録装置。
  20. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式1の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    1/2≦(B1+B2)/LC≦3/2 ・・・(式1)
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向とは反対の第2方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  21. 請求項20に記載のインクジェット記録方法において、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドは、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置され、
    前記複数のインクヘッドは、少なくとも第1色のインクを吐出する第1インクヘッドと、第2色のインクを吐出する第2インクヘッドと、を含み、
    前記第1インクヘッドの方が、隣接する前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの合計個数が前記第2インクヘッドよりも多い場合に、前記第1色のインクとして、前記第2色のインクよりも温度による粘度変化の小さいインクを吐出する、インクジェット記録方法。
  22. 請求項20に記載のインクジェット記録方法において、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記搬送方向において、前記前処理ヘッドは前記後処理ヘッドよりも前記係合部側に配置されている、インクジェット記録方法。
  23. 請求項20に記載のインクジェット記録方法において、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材をさらに備え、
    前記キャリッジは係合部を含み、当該係合部によって前記保持部材に片持ち状態で保持されており、
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち、前記キャリッジの前記係合部に最も近い側に配置されるヘッドは、前記前処理ヘッド、前記インクヘッドおよび前記後処理ヘッドのヘッド配列体における前記主走査方向の端を除く位置に配置されている、インクジェット記録方法。
  24. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうちの少なくとも一方を、一の前記インクヘッド列に含まれる前記複数のインクヘッドのうちの前記主走査方向において隣り合う一対のインクヘッドの間に一部が入り込むように配置することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  25. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、前記複数のインクヘッドは、同色のインクを吐出する複数の同色インクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置することと、
    前記同色インクヘッドの各々について、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向及び前記搬送方向において隣接する処理ヘッドの個数をカウントしたとき、それらのカウント数の最大値と最小値との差が1以下となるように設定することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  26. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、前記複数のインクヘッドは、少なくとも第1色のインクを吐出する第1インクヘッドと、第2色のインクを吐出する第2インクヘッドと、を含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを、前記主走査方向及び前記搬送方向において一部が前記インクヘッドと隣接するように配置することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    前記第1インクヘッドの方が、隣接する前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの合計個数が前記第2インクヘッドよりも多い場合に、前記第1色のインクとして、前記第2色のインクよりも温度による粘度変化の小さいインクを吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  27. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドと前記複数のインクヘッドとを、前記主走査方向に分離して配置することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  28. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    係合部を含み、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材と、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記係合部によって前記キャリッジを前記保持部材に片持ち状態で保持し、前記搬送方向において、前記前処理ヘッドを前記後処理ヘッドよりも前記係合部側に配置することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  29. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    係合部を含み、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材と、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記係合部によって前記キャリッジを前記保持部材に片持ち状態で保持し、前記前処理ヘッド及び前記後処理ヘッドのうち、ヘッド個数の少ない方を前記キャリッジの前記係合部側に配置することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  30. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    係合部を含み、前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジを前記主走査方向に往復移動が可能な状態で保持する保持部材と、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含むインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記係合部によって前記キャリッジを前記保持部材に片持ち状態で保持し、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち、前記キャリッジの前記係合部に最も近い側に配置されるヘッドを、前記前処理ヘッド、前記インクヘッドおよび前記後処理ヘッドのヘッド配列体における前記主走査方向の端を除く位置に配置することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
  31. 記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
    前記搬送方向と交差する主走査方向に往復移動するキャリッジと、
    前記搬送方向における所定の位置において前記キャリッジに搭載される一のインクヘッド列または前記搬送方向に並ぶように前記キャリッジに搭載される複数のインクヘッド列と、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して上流側に配置され非発色性の前処理液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記搬送方向において前記一または複数のインクヘッド列に対して下流側に配置され非発色性の後処理液を吐出する後処理ヘッドと、
    を備え、
    前記一または複数のインクヘッド列の各々は、前記主走査方向に並ぶように配置された、画像形成用のインクをそれぞれ吐出する複数のインクヘッドを含み、
    前記インクヘッド列の前記複数のインクヘッドの各々に前記インクを供給する複数のインク用サブタンクと、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドの各々に前記前処理液および前記後処理液のいずれかを供給する複数の処理液用サブタンクとを更に備えるインクジェット記録装置のインクジェット記録方法であって、
    前記複数のインクヘッド、前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドのうち前記主走査方向の最も一端側に配置されるヘッドを一端側ヘッド、最も他端側に配置されるヘッドを他端側ヘッドとし、前記一端側ヘッドから前記他端側ヘッドまでの前記主走査方向における距離をLC、前記一端側ヘッドから前記前処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB1、前記一端側ヘッドから前記後処理ヘッドまでの前記主走査方向における距離をB2とした場合、式2の関係を満たすように前記前処理ヘッドおよび前記後処理ヘッドを配置することと、
    |(B1-B2)/LC|≦1/2 ・・・(式2)
    前記複数のインク用サブタンクを、前記主走査方向に並ぶように前記キャリッジに搭載し、前記複数の処理液用サブタンクを、前記搬送方向において前記複数のインク用サブタンクとは異なる位置で、前記主走査方向に並ぶように前記キャリッジに搭載することと、
    前記キャリッジを前記主走査方向における第1方向に移動させながら、前記記録媒体上の所定の記録領域に対して、前記前処理ヘッドから前記前処理液を吐出することと、
    前記記録媒体を前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向に移動させながら、前記前処理液の吐出を受けた前記記録領域に対して、前記インクヘッドから前記インクを吐出することと、
    前記記録媒体を更に前記搬送方向に送り、前記キャリッジを前記主走査方向における前記第1方向に移動させながら、前記インクの吐出を受けた前記記録領域に対して、前記後処理ヘッドから前記後処理液を吐出することと、
    を備える、インクジェット記録方法。
JP2022565376A 2020-11-30 2021-11-24 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Active JP7355949B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023152378A JP2023169325A (ja) 2020-11-30 2023-09-20 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020198122 2020-11-30
JP2020198122 2020-11-30
PCT/JP2021/043014 WO2022114009A1 (ja) 2020-11-30 2021-11-24 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023152378A Division JP2023169325A (ja) 2020-11-30 2023-09-20 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2022114009A1 JPWO2022114009A1 (ja) 2022-06-02
JPWO2022114009A5 JPWO2022114009A5 (ja) 2023-06-22
JP7355949B2 true JP7355949B2 (ja) 2023-10-03

Family

ID=81755595

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022565376A Active JP7355949B2 (ja) 2020-11-30 2021-11-24 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2023152378A Pending JP2023169325A (ja) 2020-11-30 2023-09-20 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023152378A Pending JP2023169325A (ja) 2020-11-30 2023-09-20 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20240034071A1 (ja)
EP (1) EP4230417A4 (ja)
JP (2) JP7355949B2 (ja)
CN (1) CN116490369A (ja)
WO (1) WO2022114009A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7166495B1 (ja) * 2021-02-24 2022-11-07 京セラ株式会社 インクジェット記録装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011173252A (ja) 2010-02-23 2011-09-08 Seiko Epson Corp 画像記録装置、および画像記録方法
JP2019156995A (ja) 2018-03-14 2019-09-19 セイコーエプソン株式会社 インクセット、及び該インクセットを用いた記録方法
JP2019166760A (ja) 2018-03-26 2019-10-03 セイコーエプソン株式会社 記録装置、及び記録装置の記録方法
JP2020138454A (ja) 2019-02-28 2020-09-03 理想科学工業株式会社 印刷物の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4413802B2 (ja) * 2005-03-10 2010-02-10 ローランドディー.ジー.株式会社 インク・ジェット・プリンタ
WO2010061904A1 (ja) * 2008-11-28 2010-06-03 ローランドディー.ジー.株式会社 インクジェットプリンタ
JP6344557B2 (ja) * 2014-06-18 2018-06-20 セイコーエプソン株式会社 記録方法
JP7087443B2 (ja) 2018-02-27 2022-06-21 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法及び記録装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011173252A (ja) 2010-02-23 2011-09-08 Seiko Epson Corp 画像記録装置、および画像記録方法
JP2019156995A (ja) 2018-03-14 2019-09-19 セイコーエプソン株式会社 インクセット、及び該インクセットを用いた記録方法
JP2019166760A (ja) 2018-03-26 2019-10-03 セイコーエプソン株式会社 記録装置、及び記録装置の記録方法
JP2020138454A (ja) 2019-02-28 2020-09-03 理想科学工業株式会社 印刷物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP4230417A1 (en) 2023-08-23
EP4230417A4 (en) 2024-04-03
US20240034071A1 (en) 2024-02-01
JPWO2022114009A1 (ja) 2022-06-02
WO2022114009A1 (ja) 2022-06-02
JP2023169325A (ja) 2023-11-29
CN116490369A (zh) 2023-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20070079410A (ko) 잉크젯 화상형성장치의 결함 노즐 보상 방법 및 장치
JP5169324B2 (ja) 画像形成装置
JP2024092050A (ja) インクジェット記録装置
JP2023169325A (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
KR100846793B1 (ko) 잉크젯 프린터
US6984014B2 (en) Inkjet printing system employing multiple inkjet printheads and method of performing a printing operation
JP2023159444A (ja) インクジェット記録装置
CN108501531A (zh) 具有独立储液器的用于打印机的滑架组件
JP5316112B2 (ja) 画像形成装置
WO2022181501A1 (ja) インクジェット記録装置
JP7385789B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
WO2023210359A1 (ja) 印刷ユニットおよび記録装置
WO2023210358A1 (ja) 印刷ユニットおよび記録装置
US8342648B2 (en) Inkjet head
JP2009137082A (ja) 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2004130550A (ja) インクジェット記録装置
KR20080060643A (ko) 라인방식 잉크젯 프린트헤드

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230501

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230519

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230519

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230921

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7355949

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150