JP2002086707A - インクジェットプリント装置およびインクジェットプリント方法 - Google Patents

インクジェットプリント装置およびインクジェットプリント方法

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康徳 藤元
Norifumi Koitabashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料インクと処理液を用いたインクジェット
プリント記録技術を利用して、より高品質なプリントを
得るためのインクジェットプリント装置およびプリント
方法を提供すること。 【解決手段】 該インクジェットプリント装置の一態様
は、プリント媒体に対して、顔料を水性媒体中に分散状
態で含むインクを付与するインク吐出部と、該インクと
反応する処理液を付与する処理液吐出部と、該プリント
媒体への該インクの付与後に該処理液を付与するための
制御手段とを設けてインクジェットプリント装置を構成
し、インクの付与後に処理液が付与される操作が少なく
とも記録操作中に含まれるように制御手段で制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リント装置およびプリント方法に関し、詳しくはインク
およびこのインク中の色材を不溶化させる液体(以下、
処理液と呼称する)を用いてプリント用紙、OHP用紙
等のプリント媒体に文字、画像等のプリントを行うイン
クジェットプリント装置およびプリント方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリント方式は、低騒
音、低ランニングコスト、高速プリントが可能、装置の
小型化が容易、カラー化が容易である等の種々の利点を
有し、プリンタ等において広く利用されている方式であ
る。このようなプリンタ等では、一般に、吐出特性、定
着性等のプリント特性やプリント画像のにじみや光学反
射濃度、発色性等のプリント品位などの観点から用いる
インクが選択される。ところで、インクは、その含有す
る色材により、染料インクと顔料インクの二種類に大別
されることは広く知られたところである。このうち顔料
インクは、染料インクに比べて耐水性、耐光性に優れ、
また、鮮明な文字品位を可能とする等の利点を有してい
る。その一方で、顔料インクは染料インクと比較してプ
リント媒体への定着に時間がかかったり、定着後の画像
の耐擦過性も十分でない場合があり、また、1吐出動作
によってノズルから吐出されるインクによってプリント
媒体上に形成されるインクドットのサイズが小さくなる
傾向がみられる。即ち、顔料インクに含まれる顔料は通
常主に高分子分散剤の電気的反発力等を利用して、顔料
粒子の凝集をもたらす顔料粒子間に作用する分子間力に
打ち勝たせてインク中に安定に分散させているものであ
る。従ってインク中には顔料の量に応じて高分子分散剤
を添加する必要がある。このようなインクを普通紙上に
インクジェット記録法を用いて印字すると、水分等のイ
ンクの溶媒の紙への浸透、及び空気中への蒸発により顔
料同士が凝集する。この際、紙上での挙動としては高分
子分散剤の量が多い程凝集力が強くなる。その為インク
ジェットヘッドから吐出された一定の体積を有するイン
クによりプリント媒体上に形成されるインクドットの径
は小さく、また、紙に衝突した際のひずんだ形状に近い
ままのドット形状となる。よって画像を形成するのに十
分な記録濃度を有し、かつ白すじ等の発生がないような
記録に必要なドット径のインクドットを得る為には、イ
ンクジェットヘッドからのインク吐出体積を大きめに調
整する必要がある。しかし、このような調整を行って
も、高分子分散剤が吸着した顔料粒子の凝集力が強いこ
とによる紙中への浸透性の低下と相まって、インクのプ
リント媒体への定着の遅延を招き、或いは記録画像の耐
擦過性を低下させることがあった。
【0003】ドット径の拡大、定着性の向上を図る為に
インクのプリント媒体への浸透性の向上を目的としてイ
ンクに浸透剤を含有させることも考えられている。しか
しこれはドット形状の劣化(いわゆるフェザリング等の
ドット周囲形状劣化)、紙の裏面へのインクの浸透(い
わゆる裏抜け)等の高品位な記録画像を目指す上では好
ましくない現象を併発する場合がある。また、色材がプ
リント媒体内部に浸透してしまうため、ドット径は比較
的大きくなってもインクドットのODはあまり高くなら
ない場合が多い。
【0004】更に、自己分散型の顔料を用いたインクが
提案されており、このインクでは前記した分散剤によっ
て分散させられた顔料を含むインクに比べて紙上での顔
料の凝集力が弱いためか、ドット径の拡大を図ることが
できるが、未だ十分とはいえない。
【0005】このように記録画像の品位を左右する様々
な要素、たとえばインクの定着性、インクドットの拡
大、インクドット内でも濃度の均一性、インクドット自
体の高い光学濃度を高いレベルで満たすようなプリント
方法や装置は未だ研究の途上にある。
【0006】一方、インクジェットプリント技術におい
て、印字品位や画像品位のより一層の向上(例えばプリ
ント媒体上の画像の耐水性や光学濃度(OD)の向上
等)を目的としてインク及び該インクと反応する処理液
とを、プリント媒体上で該インクと処理液とが反応する
ように該プリント媒体上に付与する方法がこれまでに提
案され、また、実用化されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、顔料イ
ンクの優れた特性を生かしつつ、顔料インク特有の課題
を解決すべく、顔料インクと該顔料インクの顔料分散性
を破壊するような該顔料インクとの反応性を有する処理
液とを併用したインクジェット記録技術について検討を
行った。その検討の一環として顔料インクをプリント媒
体表面に付与した後、もしくは実質的に同時に該プリン
ト媒体上の該顔料インクと液体状態で混合されるように
処理液を付与する記録プロセスを実施した。その結果と
して得られた画像の品質は必ずしも満足できるものでな
く、顔料インク単独で形成した画像よりもむしろ品位が
低下する場合さえ観察された。具体的には、例えば顔料
インクとして高分子分散剤によって水性媒体中に分散さ
せた顔料を含む顔料インクと該顔料インクと反応する処
理液との組み合わせでは、インクドットのエリアファク
ターが小さいことに起因するODの低下が認められる場
合があった。このような現象の生じる理由はあきらかで
ないが、インク中の顔料のプリント媒体上での凝集が処
理液によって大幅に促進されたためではないかと考え
る。そのため顔料インクの打ち込み量を増やすことでエ
リアファクターを大きくし、ODの向上を図ることがで
きるがこの場合、定着性が劣ることが認められることが
ある。
【0008】また、顔料インクとして自己分散型の顔料
を含む顔料インクと該顔料インクと反応するような処理
液Sとの組み合わせによって得られるプリント媒体上の
ドット(図1の501参照)には、図1に示す「しみ出
し」もしくは「もや」と呼ばれる現象502が観察され
ることがあった。図2はこの現象の発生メカニズムを推
定的に説明する図である。
【0009】自己分散型顔料を含み、高分子分散剤を含
まない顔料インクIpがプリント媒体P(特に普通紙な
ど)に付与された後(図2(a)参照)、重ねて処理液
Sが付与されると、反応物503の生成が始まる(図2
(b)参照)。そして、この反応が進行するとともに、
同図(c)に示すように反応物によるほぼ円上のドット
から放射状の「しみ出し」を生じ、ドット全体ではその
周囲に「もや」がかかったような状態となる。このよう
な「しみ出し」もしくは「もや」は、外見上は、周知の
フェザリングと同様に認識されるため、プリント品位を
劣化させるものである。
【0010】上述した「しみ出し」もしくは「もや」
は、科学的或いはミクロ的には次のような現象であると
推察している。分散剤なし顔料インクは、その処理液と
の反応において反応速度が比較的大きく、このため分散
していた顔料は、瞬時に分散破壊を生じ、反応物のクラ
スターを生成するが、これとともに微細な粒子状の反応
物をも生じさせる。そして、この粒子状の反応物は処理
液のプリント媒体への浸透に伴って流れ出すため、その
結果として上述の「しみ出し」が現れるものと考えられ
る。
【0011】以上の通り、顔料インクと処理液とを単純
に組み合わせただけでは、本発明者が予測することので
きない問題が生じることがある。
【0012】本発明は上記したような新たな技術的知見
に鑑みなされたものであり、顔料インクと処理液を用い
たインクジェットプリント記録技術を利用して、より高
品質なプリントを得るためのインクジェットプリント装
置およびプリント方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するこ
とのできる本発明の一実施態様にかかるインクジェット
プリント装置は、プリント媒体に対して、顔料を水性媒
体中に分散状態で含むインクを付与するインク吐出部
と、該インクと反応する処理液を付与する処理液吐出部
と、該プリント媒体への該インクの付与後に該処理液を
付与するための制御手段とを有するインクジェットプリ
ント装置であって、該インクは、水性媒体と、第1の顔
料と、第2の顔料と、高分子分散剤とを含み、前記第1
の顔料が、少なくとも1つのアニオン性基が直接もしく
は他の原子団を介して該第1の顔料の表面に結合されて
いる自己分散型顔料であり、該第2の顔料が該高分子分
散剤によって該水性媒体に分散させることができる顔料
であり、該高分子分散剤が第1の顔料の表面に結合され
ている基と同極性の高分子分散剤およびノニオン性の高
分子分散剤の少なくとも一方であり、該処理液は多価金
属陽イオン及びその塩の少なくとも一方を含み、プリン
ト媒体上で該処理液と該インクとが液体状態で接するよ
うに付与されたときには、該インクに含まれる少なくと
も一方の顔料を凝集させるものであり、前記制御手段
が、前記インク吐出部と前記処理液吐出部のそれぞれに
対して、これらの吐出部から前記インクと前記処理液と
が別々にプリント媒体に付与され、該プリント媒体にお
いて該インクと該処理液とがそれぞれ液状で混合される
制御を行うものであることを特徴とするものである。
【0014】上記の目的を達成することのできる本発明
の他の実施態様にかかるインクジェットプリント装置
は、プリント媒体に対して、顔料を水性媒体中に分散状
態で含むインクを付与するインク吐出部と、該インクと
反応する処理液を付与する処理液吐出部と、該プリント
媒体への該インクの付与後に該処理液を付与するための
制御手段とを有するインクジェットプリント装置であっ
て、該インクは、水性媒体と、第1の顔料と、第2の顔
料と、高分子分散剤とを含み、前記第1の顔料が、少な
くとも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を
介して該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型
顔料であり、該第2の顔料が該高分子分散剤によって該
水性媒体に分散させることができる顔料であり、該高分
子分散剤が第1の顔料の表面に結合されている基と同極
性の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少
なくとも一方であり、該処理液は多価金属陽イオン及び
その塩の少なくとも一方を含み、プリント媒体上で該処
理液と該インクとが液体状態で接するように付与された
ときには、該インクに含まれる少なくとも一方の顔料を
凝集させるものであり、前記制御手段は、前記インク吐
出部と前記処理液吐出部のそれぞれ対して、これらの吐
出部から前記インクと前記処理液とが別々に前記プリン
ト媒体に付与され、該プリント媒体において該インクと
該処理液とがそれぞれ液状で混合されるようにし、且つ
これらの液状での混合状態に対して更に前記インクを液
状で混合させる制御を行うものであることを特徴とする
ものである。
【0015】また、上記の目的を達成することのできる
インクジェットプリント装置の他の実施態様は、プリン
ト媒体に対して、顔料を水性媒体中に分散状態で含むイ
ンクを付与するインク吐出部と、該インクと反応する処
理液を付与する処理液吐出部と、該インクの付与後に該
処理液を付与するための制御手段とを有するインクジェ
ットプリント装置であって、該インクは、水性媒体と、
第1の顔料と、第2の顔料と、高分子分散剤とを含み、
前記第1の顔料が、少なくとも1つのアニオン性基が直
接もしくは他の原子団を介して該第1の顔料の表面に結
合されている自己分散型顔料であり、該第2の顔料が該
高分子分散剤によって該水性媒体に分散させることがで
きる顔料であり、該高分子分散剤が第1の顔料の表面に
結合されている基と同極性の高分子分散剤およびノニオ
ン性の高分子分散剤の少なくとも一方であり、該処理液
は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一方を含
み、プリント媒体上で該処理液と該インクとが液体状態
で接するように付与されたときには、該インクに含まれ
る少なくとも一方の顔料を凝集させるものであり、前記
インク吐出部が該インクを吐出する少なくとも1つの顔
料インク吐出部を有し、前記制御手段が、該顔料インク
吐出部と前記処理液吐出部とを所定の位置関係で配設す
る吐出部の配設手段と、該配設手段に配設される各吐出
部とプリント媒体とを相対的に移動させるとともに、そ
れぞれの吐出部から該インクおよび該処理液をそれぞれ
吐出させ、プリント媒体において該インクおよび該処理
液を混合させる制御を行う吐出制御手段と、を具えたこ
とを特徴とするものである。
【0016】また、上記の目的を達成することのできる
インクジェットプリント装置の更に他の実施態様は、プ
リント媒体に対して、顔料を水性媒体中に分散状態で含
むインクを付与するインク吐出部と、該インクと反応す
る処理液を付与する処理液吐出部と、該プリント媒体へ
の該インクの付与後に該処理液を付与するための制御手
段とを有するインクジェットプリント装置であって、該
インクは、水性媒体と、第1の顔料と、第2の顔料と、
高分子分散剤とを含み、前記第1の顔料が、少なくとも
1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介して
該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型顔料で
あり、該第2の顔料が該高分子分散剤によって該水性媒
体に分散させることができる顔料であり、該高分子分散
剤が第1の顔料の表面に結合されている基と同極性の高
分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少なくと
も一方であり、該処理液はCa++、Cu++、Ni++、Mg
++、Zn+++、Ba++、Al+++、Fe+++、Cr+++、Co++
Fe++、La++、Nd+++及びY+++からなる群から選ばれ
る少なくとも1つの多価金属陽イオン、またはその塩、
または該多価金属陽イオンとその塩の両方を含む処理液
であり、前記制御手段が、前記インク吐出部と前記処理
液吐出部のそれぞれに対して、これらの吐出部から前記
インクと前記処理液とが別々にプリント媒体に付与さ
れ、該プリント媒体において該インクと該処理液とがそ
れぞれ液状で混合される制御を行うものであることを特
徴とするものである。
【0017】更に、上記の目的を達成することのできる
インクジェットプリント装置の他の実施態様は、プリン
ト媒体に対して、顔料を水性媒体中に分散状態で含むイ
ンクを付与するインク吐出部と、該インクと反応する処
理液を付与する処理液吐出部と、該プリント媒体への該
インクの付与後に該処理液を付与するための制御手段と
を有するインクジェットプリント装置であって、前記イ
ンクは、少なくとも1つのアニオン性基が直接もしくは
他の原子団を介して表面に結合されている自己分散型顔
料を水性媒体中に含む第1のインクと、水性媒体と、高
分子分散剤によって該水性媒体に分散させることができ
る顔料と、該第1の顔料の表面に結合されている基と同
極性の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の
少なくとも一方と、を含む第2のインクとを含み、該処
理液は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一方を
含み、プリント媒体上で該処理液と該インクとが液体状
態で接するように付与されたときには、該第1及び第2
のインクに含まれる少なくとも一方の顔料を凝集させる
ものであり、前記制御手段が、前記第1のインクと、前
記第2のインクと、前記処理液とをそれぞれ別々にプリ
ント媒体に、該プリント媒体上で各々が液状で接触する
ように付与する制御を行うものであることを特徴とする
ものである。
【0018】次に、上記の目的を達成することのできる
インクジェットプリント方法の一実施態様は、プリント
媒体上に画像を記録する工程を含むインクジェットプリ
ント方法において、インクをインクジェット記録方法を
用いてプリント媒体上に付着させる第1の工程:および
該インクとの反応性を有する処理液を該プリント媒体上
に付着させる第2の工程:を含み、該インクは、第1の
顔料及び第2の顔料を水性媒体中に分散状態で含み、該
第1の顔料が少なくとも1つのアニオン性基が直接もし
くは他の原子団を介して表面に結合されている自己分散
型顔料であり、該第2の顔料が高分子分散剤によって該
水性媒体に分散させることのできる顔料であり、該イン
クは更に該第1の顔料の表面に結合されている基と同極
性の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少
なくとも一方を含むインクであり、該処理液は多価金属
陽イオン及びその塩の少なくとも一方を含み、プリント
媒体上で該処理液と該第1及び第2のインクとが液体状
態で接するように付与されたときには、該第1のインク
及び該第2のインクの各々に含まれている顔料の少なく
とも一方を凝集させるものであり、また、該第2の工程
は該第1の工程に引き続いて、もしくは実質的に同時
に、該プリント媒体上で該インクと該処理液とが液体状
態で接する様に行うことを特徴とするものである。
【0019】また、上記の目的を達成することのできる
インクジェットプリント方法の他の実施態様は、第1の
インクと第2のインクと処理液とを各々プリント媒体上
で互いが液体状態で接する様に付与する工程を含むプリ
ント方法において、該第1のインクが、少なくとも1つ
のアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介して該第
1の顔料の表面に結合されている自己分散型顔料を含ん
でいるものであり、該第2のインクが、高分子分散剤に
よって該水性媒体に分散させることができる顔料と該第
1の顔料の表面に結合されている基と同極性の高分子分
散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少なくとも一方
とを含み、該処理液が多価金属陽イオン及びその塩の少
なくとも一方を含み、プリント媒体上で該処理液と該第
1のインク及び該第2のインクとが液体状態で接するよ
うに付与されたときには、該インク中の該第1の顔料及
び該第2の顔料の少なくとも一方の顔料を凝集させるも
のであり、該第1のインクと該第2のインクの少なくと
も一方を該プリント媒体に付与した後に該処理液を付与
することを特徴とするものである。
【0020】そして上記したような各態様にかかる発明
によれば、非常にODが高く、エッジシャープネスが高
い、より高品位な画像を得ることができ、且つ耐擦過
性、定着性の向上などの種々のメリットを得られるもの
である。なお第1の顔料と第2の顔料を含むインクの付
与に引き続く、あるいは実質的に同時に多価金属イオン
あるいはその塩を含む処理液の付与がかかる効果をもた
らす理由は明らかでない。
【0021】しかし本発明をめぐる複数の実験によっ
て、以下のような事実を本発明者は確認している。即
ち、該第1と第2の顔料とを含むインクをプリント媒体
に付与すると図3(a)に示したようにプリント媒体P
の表面にインクが所定の広がりを持ったドットが形成さ
れる。そしてこのインクドットのサイズ(径:d1)
は、図3(b)に示す従来の顔料インク(高分子分散剤
によって顔料を分散させたインクや自己分散型顔料を含
むインク)のサイズ(径:d2)と比較して大きい(d
1>d2)。このような現象が観察される理由は明らか
でないが、以下のようなメカニズムによるものと推察さ
れる。即ち高分子分散剤が吸着した第2の顔料と第1の
顔料とはインク中においては電気的に反発し、高分子分
散剤で分散している顔料のみのインクに比べて顔料の凝
集力が弱くなっている。このようなインクが紙面に印字
されると、第2の顔料には高分子分散剤が吸着している
ため、インク中の色材は紙の厚み方向には浸透し難い。
一方紙面(横)方向に対しては、第2の顔料と高分子分
散剤とを含むインクの場合はインクの溶媒の紙への浸
透、蒸発による水分の減少とともに急激に高分子同士が
絡み合って、あるいは高分子が顔料間に架橋することに
よって、顔料が強く凝集してしまうのに対し、本発明に
かかるインクは第1の顔料が混在していることによって
上記高分子の絡み合い、または架橋を防止あるいは抑制
し、また、第1の顔料と高分子分散剤との反発によって
インク中の顔料同士の強力な分子間力が緩和され、その
結果としてインクが紙面の横方向に拡散しやすくなって
おり、しかもその拡散は緩和されているものの顔料同士
の凝集力の影響を受けているために無秩序な拡散とはな
っていないものと考えられる。
【0022】そしてこのようにプリント媒体面上に均一
に広く拡散したインクドットに多価金属イオンあるいは
塩を含む処理液Sが付与されると(図2(b)および
(c)参照)、該インクと該処理液との界面で反応(顔
料と多価金属イオンとの間のイオン反応や塩析等を含
む)が生じ、インク中に安定に分散している第1の顔料
や第2の顔料は析出し、あるいは析出しやすくなること
になる。しかし、先に述べたようにインクドットが広く
拡散しているため処理液との反応部位も従来のインクの
場合と比較して多く、しかもインクドットが大きく広が
っていることからインクドットの厚み(t1)も従来の
インクドットのプリント媒体表面における厚み(t2)
と比較して薄く、処理液との反応もごく短時間で終了す
るものと考えられる。これにより本体用においては定着
時間の短縮や定着性の向上、さらにはインクドットのエ
ッジシャープネスの向上がもたらされるものと推測され
る。そしてかかるメカニズムから、本発明の奏する効果
は、インクが処理液よりも先、もしくは実質的に同時に
プリント媒体に付与される系に特有のものであることが
理解されよう。
【0023】また、本発明において処理液をプリント媒
体に対して浸透性に優れたものとした場合、定着性やイ
ンクドットのエッジシャープネスはより一層優れたもの
となる。これはプリント媒体表面においてインクと処理
液とが反応しつつ、処理液の浸透力によって水を含む溶
媒がより浸透性となってプリント媒体中に浸透している
ためと考えられる。一般に色材をプリント媒体に浸透さ
せた場合には光学濃度の低下を伴うことが多いが、本発
明のように処理液の付与に先立ってインクを付与する場
合にはODの低下をもたらすほどには顔料がプリント媒
体に浸透することは殆どない。むしろ処理液との反応に
よって色材はプリント媒体の表面とその近傍にとどまり
やすくなり、その結果、ODは処理液を用いない場合と
比較してもより向上するとの知見も得られている。
【0024】更に、本発明において、該インク中の第1
の顔料と第2の顔料の種類や比率に対応して用いる多価
金属イオンあるいはその塩を最適化し、更には濃度も最
適化した処理液を用いることによって、より一層の高画
質化を図ることができる。
【0025】また、本態様において、該インク中の第1
の顔料と第2の顔料の種類や比率に応じて、処理液のプ
リント媒体に対する付与量を変えることは、より一層の
高画質化を図る上で好ましいものである。
【0026】その結果、ODが高く「もや」のない、そ
して定着性に優れた極めて高品位な画像を短い定着時間
でプリント媒体上に形成することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】(実施形態1−1)本発明の一実
施形態にかかるインクジェット記録方法は、第1の顔料
と第2の顔料とを含むインクをプリント媒体に付与した
後、あるいは実質的に同時に該インクと反応する多価金
属陽イオンあるいは塩を含む処理液とを該プリント媒体
に付与して該プリント媒体上で該インクと該処理液とを
液体状態で接触させ反応させることによって画像ドット
を形成する工程を含む。なおここで反応とは、プリント
媒体上で該インクと該処理液とが液体状態で接したとき
に、該インク中に安定に分散させられていた第1の顔料
及び第2の顔料のうちの少なくとも一方が凝集し、析出
することを指す。かかる反応が生じる理由としては、例
えば第1の顔料表面のアニオン性基と該多価金属陽イオ
ン(多価金属カチオン)とのイオン反応や該多価金属陽
イオン(多価金属カチオン)あるいはその塩による塩析
が考えられる。
【0028】(インク)上記のような態様に用いること
のできるインクの例としては、例えば色材として第1の
顔料および第2の顔料を水性媒体中に分散状態で含むイ
ンクであって、該第1の顔料が少なくとも1つのアニオ
ン性の基が直接もしくは他の原子団を介して該第1の顔
料の表面に結合されている自己分散型の顔料であり、該
第2の顔料が高分子分散剤もしくはノニオン性の高分子
分散剤によって該水性媒体に分散させることのできる顔
料であり、該インクは更に該第1の顔料の表面に結合さ
れている基と同極性の高分子分散剤及びノニオン性の高
分子分散剤の少なくとも一方を含むインクが挙げられ
る。
【0029】以下、このインクについて順次説明する。 (第1の顔料)自己分散型の顔料とは、水溶性高分子化
合物の分散剤を用いることなしに水、水溶性有機溶剤あ
るいはこれらを混合した液体に対して安定して分散状態
を維持し、インクジェット記録技術を用いたオリフィス
からの正常なインク吐出に支障を来すような、顔料同士
の凝集体を該液体中で生じることのないような顔料を指
す。
【0030】(アニオン性自己分散CB)このような顔
料としては、例えば少なくとも1つのアニオン性基が直
接もしくは他の原子団を介して顔料表面に結合させたも
のが好適に用いられ、具体的な例は、少なくとも1つの
アニオン性基が直接あるいは他の原子団を介して表面に
結合しているカーボンブラックを含むものである。
【0031】このようなカーボンブラックに結合されて
いるアニオン性基の例としては、例えば、−COOM、
−SO3M、−PO3HM、−PO32等(但し、式中の
Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、または、
有機アンモニウムを表す)が挙げられる。
【0032】上記「M」のアルカリ金属としては、例え
ば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、ま
た、「M」の有機アンモニウムとしてはモノ乃至トリメ
チルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、
モノ乃至トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0033】これらのアニオン性基の中で、特に−CO
OMや−SO3Mはカーボンブラックの分散状態を安定
させる効果が大きいため好ましい。
【0034】ところで上記した種々のアニオン性基は他
の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合したも
のを用いることが好ましい。他の原子団としては、例え
ば、炭素数1から12の直鎖状もしくは未置換のアルキ
レン基、置換もしくは未置換のフェニレン基または置換
もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフ
ェニレン基やナフチレン基に結合してもよい置換基の例
としては、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のア
ルキル基等が挙げられる。
【0035】他の原子団を介してカーボンブラックの表
面に結合させるアニオン性基の具体例としては、例え
ば、−C24COOM、−PhSO3M、−PhCOO
M等(ただし、Phはフェニル基を表し、Mは上記と同
様に定義される)が挙げられるが、勿論、これらに限定
されることはない。
【0036】ところで、本実施形態にかかるインクに含
有させる自己分散型の顔料はその80%以上が0.05
〜0.3μm、とくには0.1〜0.25μmの粒径の
ものであるものとすることが好ましい。
【0037】(第2の顔料)本実施形態のインクに用い
ることのできる第2の顔料は、インクの分散媒、具体的
には例えば水性媒体に対して高分子分散剤の作用によっ
て分散させることができる顔料が挙げられる。即ち、顔
料粒子の表面に高分子分散剤が吸着した結果として初め
て水性媒体に対して安定に分散させ得るような顔料が好
適に用いられる。そしてそのような顔料としては、例え
ば黒色顔料としては、例えばファーネスブラック、ラン
プブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック
等のカーボンブラック顔料が挙げられる。このようなカ
ーボンブラック顔料の具体例としては、例えば下記のも
のがあり、これらのものを単独で、あるいは適宜組み合
わせて用いることができる。
【0038】カーボンブラック顔料: ・レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン57
50、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULT
RA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイ
ヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン12
00、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァ
ン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社
製)、 ・ブラックパールズ(Black Pearls)L、
リーガル(Regal)400R、リーガル330R、
リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク
(Monarch)700、モナク800、モナク88
0、モナク900、モナク1000、モナク1100、
モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Val
can)XC−72R(以上キヤボット社製) ・カラーブラック(Color Black)FW1、
カラーブラックFW2、カラーブラックW2V、カラー
ブラック18、カラーブラックFW200、カラーブラ
ックS150、カラーブラックS160、カラーブラッ
クS170、プリンテックス(Printex)35、
プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス
140U、プリンテックス140V、スペシャルブラッ
ク(Spetial Black)6、スペシャルブラ
ック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック
4(以上デグッサ社製) ・No.25、No.33、No.40、No.47、
No.52、No.900、No.2300、MCF−
88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上
三菱化学社製)。
【0039】他の黒顔料としてはマグネタイト、フェラ
イト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を挙げること
ができる。
【0040】また、以上で述べた黒色顔料以外に、青色
顔料、赤色顔料等も用いることができる。
【0041】該第1および第2の顔料を合わせた色材の
量は、インク全量に対し、0.1〜15質量%、より好
ましくは、1〜10%質量である。第1の顔料と第2の
顔料の質量比率は、5/95〜97/3、より好ましく
は10/90〜95/5の範囲が好ましい。さらに好ま
しくは、第1の顔料/第2の顔料=9/1〜4/6であ
る。更に好ましい別の範囲は、第1の顔料が多い範囲で
ある。このような第1の顔料が多い場合においては、イ
ンクとしての分散性はもちろん、ヘッドの吐出安定性、
特に吐出効率や吐出口面の濡れが少ないことによる信頼
性を含めた安定性が発揮される。
【0042】また、紙上でのインクの挙動として、高分
子分散剤の吸着した第2の顔料が少ないインクで効果的
に紙の表面にインクが広がるため、高分子分散剤による
均一な薄膜が表面に形成されると推定され、その効果に
より画像の耐擦過性も向上する。
【0043】上記第2の顔料を水性媒体に分散させる為
の高分子分散は、例えば該第2の顔料の表面に吸着して
該第2の顔料を水性媒体に安定して分散させる機能を有
するものが好適に用いられる。このような高分子分散剤
の例としてはアニオン性高分子分散剤およびノニオン性
高分子分散剤が挙げられる。
【0044】(アニオン性高分子分散剤)親水性基とし
てのモノマーと疎水性基としてのモノマーの重合体およ
びその塩等が挙げられる。親水性基としてのモノマーの
具体例としては、例えば、スチレンスルホン酸、α、β
−エチレン性不飽和カルボン酸、α、β−エチレン性不
飽和カルボン酸誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導
体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、
マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フ
マル酸およびフマル酸誘導体が挙げられる。
【0045】また、疎水性成分としてのモノマーの具体
例としては、例えばスチレン、スチレン誘導体、ビニル
トルエン、ビニルトルエン誘導体、ビニルナフタレン、
ビニルナフタレン誘導体、ブタジエン、ブタジエン誘導
体、イソプレン、イソプレン誘導体、エチレン、エチレ
ン誘導体、プロピレン、プロピレン誘導体、アクリル酸
のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル
等が挙げられる。
【0046】なお、ここで塩とは具体的には水素、アル
カリ金属、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオ
ン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、オキソ
ニウムイオン、スチボニウムイオン、スタンノニウム、
ヨードニウム等のオニウム化合物等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。また、上記重合体やそ
の塩に、ポリオキシエチレン基、水酸基、アクリルアミ
ド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノメチルメタ
クリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシ
エチルメタクリレート、エトキシトリエチルメタクリレ
ート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルコ
ールおよびアルキルエーテル等を適宜付加してもよい。
【0047】(ノニオン性高分子分散剤)ノニオン性高
分子分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリプロピ
レングリコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合
体等を含む。
【0048】上記した第1の顔料、第2の顔料及び高分
子分散剤は、適宜その組み合わせを選択し、水性媒体に
分散、溶解せしめることによって本態様のインクを得る
ことができるが、第1の顔料として、少なくとも1つの
アニオン性の基が直接もしくは他の原子団を介して顔料
の表面に結合されている自己分散型の顔料を用いる場合
には、高分子分散剤としてアニオン性の高分子分散剤お
よびノニオン性の高分子分散剤から選ばれる少なくとも
一方を組み合わせて含有させることで、良好なインクの
安定性を確保することが出来る。
【0049】第2の顔料とそれを分散させる高分子分散
剤とのインク中での割合は質量比で5:0.5〜5:2
が好ましい。
【0050】(水性媒体)第1及び第2の顔料を同一イ
ンク中に、あるいは別のインク中に分散させるための分
散媒となる水性媒体としては、水単独、あるいは水と水
溶性有機溶剤を含むものが用いられる。この水溶性有機
溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアル
コール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアル
コール類;ジメチルモルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類;アセトン、ジアセトナルコール等のケ
トン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキ
シエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレン
グリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサ
ントリオール等のアルキレン基が2〜6の炭素原子を含
むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリ
コールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ト
リエチレングリコール(またはエチル)エーテル等の低
級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチ
ル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコール
ジメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコール
の低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカ
ノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリ
ドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤
は、単独でもあるいは混合物としても使用することがで
きる。上記水溶性有機溶剤の含有量については特に制限
はないが、液体全質量の5〜60質量%、さらに好まし
くは、5〜40質量%が好適な範囲である。
【0051】(インクの記録媒体への浸透性)以上説明
してきた各種成分を含んでいる本実施態様のインクは、
プリント媒体に対する浸透性に着目して、例えばKa値
を1(ml/m2・msec1/2)未満に調整した場合、
後述する処理液との併用によって、極めて均一な濃度を
有し、エッジがシャープで、しかもプリント媒体への定
着速度と定着性に優れた画像ドットを得ることができ
る。以下にインクのプリント媒体に対する浸透性につい
て説明する。
【0052】インクの浸透性を1m2当たりのインク量
Vで表すと、インク滴を吐出してからの時間tにおける
インク浸透量V(単位はミリリットル/m2=μm)
は、次に示すようなブリストウ方式により表されること
が知られている。
【0053】V=Vr+Ka(t−tw)1/2 (ただし、t>tw) インク滴がプリント媒体表面に滴下した直後は、インク
滴は表面の凹凸部分(プリントの媒体の表面の粗さの部
分)において吸収されるのが殆どで、プリント媒体内部
へは殆ど浸透していない。その時間がtw(ウエットタ
イム)、その間の凹凸部への吸収量がVrである。イン
ク滴の滴下後の経過時間がtwを超えると、超えた時間
(t−tw)の2分の1乗に比例した分だけ浸透量Vが
増加する。Kaはこの増加分の比例係数であり、浸透速
度に応じた値を示す。
【0054】Ka値は、ブリストウ法による液体の動的
浸透性試験装置S(東洋精機製作所製)を用いて測定し
た。本実験では、本出願人であるキヤノン株式会社のP
B用紙をプリント媒体(記録紙)として用いた。このP
B用紙は、電子写真方式を用いた複写機やLBPと、イ
ンクジェットプリント記録方式を用いたプリントの双方
に使える記録紙である。
【0055】また、キヤノン株式会社の電子写真用紙で
あるPPC用紙に対しても、同様の結果を得ることがで
きた。
【0056】Ka値は界面活性剤の種類、添加量などに
よって決まってくる。例えば、エチレノキサイド−2,
4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオ
ール(ethylene oxide−2,4,7,9
−tetramethyl−5−decyen−4,7
−diol(以下、商品名「アセチレノールEH」;川
研ファインケミカル社製)という非イオン性界面活性剤
を添加することにより、浸透性は高くなる。
【0057】また、アセチレノールEHが混合されてい
ない(含有割合が0%)インクの場合は浸透性が低く、
後に規定する上乗せ系インクとしての性質を持つ。ま
た、アセチレノールEHが1%の含有割合で混合されて
いる場合は短時間で記録紙内部に浸透する性質を持ち、
後に規定する高浸透性インクとしての性質を持つ。そし
て、アセチレノールEHが0.35%の含有割合で混合
されているインクは、両者の中間の半浸透性インクとし
ての性質を持つ。
【0058】
【表1】
【0059】上記の表1は、「上乗せ系インク」、「半
浸透性インク」、「高浸透性インク」のそれぞれについ
て、Ka値、アセチレノールEH含有量(%)、表面張
力(mN/m (dyne/cm))を示している。プリン
ト媒体である記録紙に対する各インクの浸透性は、Ka
値が大きいものほど高くなる。つまり、表面張力が小さ
いものほど高くなる。
【0060】表1におけるKa値は、前述のごとくブリ
ストウ法による液体の動的浸透性試験装置S(東洋精機
製作所製)を用いて測定したものである。実験には、前
述のキヤノン株式会社のPB用紙を記録用紙として用い
た。また、前述のキヤノン株式会社のPPC用紙に対し
ても、同様の結果を得ることができた。
【0061】ここで、「高浸透性インク」として規定さ
れる系のインクはアセチレノール含有割合が0.7%以
上であり、浸透性に関して良好な結果が得られた範囲の
ものである。そして本実施態様のインクに担持させる浸
透性の基準としては、「上乗せ系インク」のKa値、即
ち1.0(ml/m2・msec1/2)未満とすることが
好ましく、特には0.4(ml/m2・msec1/2)以
下が好ましい。
【0062】(染料の添加)上記した態様のインクに染
料をさらに添加してもよい。すなわち第1の顔料、第2
の顔料および第2の顔料を水性媒体に分散させるための
分散剤を含むインクに対して更に染料を添加したインク
は、後述する処理液との併用によってより優れた画像ド
ットを短い定着時間でプリント媒体上に形成することが
できる。また、第2の顔料の凝集力が第1の顔料の存在
によって緩和されることは先に述べたとおりであるが、
染料の添加によって第2の顔料の凝集力がもう1段緩和
され、インクの吸収性が普通紙等と比較して悪い記録媒
体において生じやすい「ひび割れ」等のプリント画像の
不均一を有効に抑えることができるものと考えられる。
【0063】ここで用いることのできる染料としては例
えば第1の顔料の表面に結合している基の極性と同極性
の染料を採用することが好ましく、具体的には例えばア
ニオン染料が挙げられる。
【0064】(アニオン染料)上記した様な本実施形態
で使用できる水性媒体に対してかようなアニオン染料と
しては、公知の酸性染料、直接染料、反応性染料等が好
適に使用される。また、特に好ましくは、骨格構造とし
て、ジスアゾ、または、トリスアゾ構造を有する染料を
用いることがよい。また、さらに、骨格構造の異なる2
種以上の染料を用いることも好ましい。使用する染料と
して、黒色の染料以外で、色調が大きく異ならない範囲
で、シアン、マゼンタ、イエロー等の染料を用いてもか
まわない。
【0065】(染料の添加量)また、染料の添加量とし
ては、色材全体の5質量%〜60質量%でよいが、第1
および第2の顔料を混合したことの効果を有効に活用す
ることを考慮すると、50質量%未満とすることが好ま
しい。さらに普通紙上での印字特性を重視したインクと
する場合には5質量%〜30質量%とすることが好まし
い。
【0066】(処理液)次に上記の態様に用い得る処理
液としては、その処理液中に、前記インク中の少なくと
も1つの顔料と反応する機能を持つ多価金属陽イオンあ
るいは塩を含む。該陽イオンの例としては、Ca++、C
++、Ni++、Mg++、Zn+++、Ba+ +、Al+++、F
+++、Cr+++、Co++、Fe++、La++、Nd+++
びY+++からなる群から選ばれる少なくとも1つの多価
金属陽イオンを含む。好ましくは、Ca++、Cu++、N
++、Mg++、Zn+++、Ba++、Al+++、Fe+++
びCr+++からなる群から選ばれる少なくとも1つの多
価金属陽イオンを含む。
【0067】これら陽イオンと結合し塩を形成し得る代
表的かつ本態様において好ましい陰イオンとしては例え
ば、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -、CH3CO
-等が挙げられるが、特にこれらに限られるものでは
ない。
【0068】ここに記した多価金属陽イオンやその塩を
含有する本態様に有効な処理液は、その塩濃度が質量で
約0.01〜10%であることが好ましい。より好まし
い塩濃度の範囲は1〜5%である。さらに好ましい塩濃
度の範囲は1〜3%である。
【0069】前記処理液を構成するその他の成分として
は前述した多価金属陽イオンあるいは塩の他に、水、水
溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでも良い。水溶
性有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テ
トタヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリ
アルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブチレングリコール、トリエチレング
リコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグ
リコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコー
ル等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、
イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ
ブチルアルコール等の1価アルコール類の他、グリセリ
ン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3ジメチルイミ
ダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジ
メチルサルホキサイド等が用いられる。上記水溶性有機
溶剤の含有量については特に制限はないが、液体全質量
の5〜60質量%、さらに好ましくは、5〜40質量%
が好適な範囲である。
【0070】そして本態様においては、該処理液はプリ
ント媒体に対して高い浸透性を有する様に調整しておく
ことは、画像ドットのプリント媒体への定着速度の向上
や定着性の改善を図る上で好ましいものである。
【0071】また、プリント媒体への付与量は、インク
と同等かあるいはそれ以下にすることが好ましい。後述
するように、より高いOD値を得る上で、Bkインクの
付与量の50%以下、特にはインクの付与量の30%以
下とするのが好ましい。
【0072】また、この処理液中に、任意の色材が含有
されていてもよい。色材の例としては、シアン染料、マ
ゼンタ染料、イエロー染料のうちの少なくとも1つを含
む色材があげられるが、これらに限られるものではな
い。すなわち、例として、ブラックインク以外の少なく
とも1つのカラーインクに該処理液の組成を含有させ、
色材の含まれない処理液の付与機構を省略してもよい。
ところで、多価金属イオン及びその塩の少なくとも一方
を含み、共に記録に用いるインク中の顔料の分散性を不
安定化するという、本発明にかかる処理液の機能を考慮
すると、処理液に添加する色材としては、多価金属イオ
ンやその塩とは反応せずに可溶性が維持される色材を採
用することが好ましい。このような色材の例は、例え
ば、C.I.アシッドイエロー23;C.I.アシッド
レッド52、289;C.I.アシッドブルー9;C.
I.リアクティブレッド180;C.I.ダイレクトブ
ルー189、199;C.I.ベーシックイエロー
1、2、11、13、14、19、21、25、32、
33、36、51;C.I.ベーシックオレンジ 2、
15、21、22;C.I.ベーシックレッド 1、
2、9、12、13、37、38、39、92;C.
I.ベーシックバイオレット 1、3、7、10、1
4;C.I.ベーシックブルー 1、3、5、7、9、
19、24、25、26、28、29、45、54、6
5;C.I.ベーシックグリーン1、4;C.I.ベー
シックブラウン 1、12;C.I.ベーシックブラッ
ク2、8、更には下記構造式(I)で示されるマゼンタ
染料等を含む。これらの水溶性染料は、1種類で用いて
も、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これ
らの水溶性染料の濃度は、例えば処理液全量に対して
0.1〜20質量%の範囲が好ましい。
【0073】
【化1】
【0074】なお、上記一般式(I)中、「S」は、−
SO3X(但し、Xは、アルカリ金属など)を表わす。
【0075】処理液は、その浸透速度が、ブリストウ法
によるKa値で5.0[ml/(m 2・msec1/2)]
以上であることが好ましい。
【0076】本態様におけるインクおよび処理液のプリ
ント媒体への付与順序は、基本的には、上述したように
プリント媒体にインクを付与した後に処理液が付与され
るような順序であれば、上述した所定の効果を得ること
ができる。なお、処理液のプリント媒体への着弾がイン
クのプリント媒体への着弾に先んじないようなタイミン
グで、該インクと該処理液とがプリント媒体上にほぼ同
時に付与される場合も、上述した所定の効果を得られる
ため、インクを付与した後に処理液が付与されたものと
見なす。
【0077】この付与順序を定める具体的な構成に関
し、例えばシリアルタイプのヘッドを用いる場合にあっ
ては、紙送りを挟んだ同一領域に対する複数回の走査に
よって上述の順序がそれぞれ実現される場合も、本発明
の範囲に含まれるものである。
【0078】以上のように、本実施形態のインクは処理
液に先行して付与されるが、このインクの付与する数は
上述してきたように1滴に限定する必要はない。
【0079】例えば、インクを処理液に先行して2滴付
与するものとしてもよく、その場合、好ましくは、これ
ら2滴のうち、先行して付与されるインクは第1の顔料
より第2の顔料の割合が多く、その後付与されるインク
を、逆に第1の顔料の方が第2の顔料よりも割合が多い
ものとすることができる。これにより、その後付与され
る処理液と反応したとき、まず第2の顔料が多く処理液
と反応し、その分、第1の顔料と処理液との反応物の流
れ出しをさらに抑制できる。同様の効果を得ることがで
きる実施形態として、処理液に先行して付与するインク
(顔料含有)の数を例えば3滴とし、このうち後に付与
されるインクほど、第2の顔料の割合を多くするものも
好ましいものである。
【0080】以上のようにインクを複数滴付与する場合
には、その付与されるインクの総量は、1滴を付与する
場合にほぼ等しくする。換言すれば、本発明の実施形態
によれば、複数に分割してインクを付与する場合、それ
ぞれの滴の量が分割数に応じて少なくなっても、上述し
た所定の効果を得ることができる。
【0081】次に、本実施形態におけるインクと処理液
とが付与される時間差は、上述した付与順序と同様、基
本的に上述した本実施形態の各効果が現れる限りどのよ
うな時間差であっても本発明の範囲内に含まれる。
【0082】すなわち、インクが付与されてから処理液
が付与されるまでの時間によって、インクと処理液との
反応は種々の態様で生じる。すなわちエッジ部では、顔
料等と処理液の十分な混合を生じ本実施形態の各効果、
特に「もや」を抑制する効果は少なくとも生じ得ること
も観察されている。
【0083】このような点から、本明細書ではインクと
処理液との「混合」とは全体的な混合のみならず、エッ
ジ部等一部において混合することも意味するものとす
る。さらに、プリント媒体中に浸透してから混合する場
合も含むものとする。また、これらのすべての混合の態
様を「液状で混合する」と定義する。
【0084】本実施形態で付与されるインクの色相(種
類)、濃度およびそれらの数は、上述した付与順序に従
う限り任意に組み合わせることができる。例えばインク
の種類としては、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、
マゼンタ(M)、シアン(C)を一般に用いることがで
き、また、それら各色について濃、淡各インクを用いる
ことができる。さらに具体的には、例えばイエローイン
ク、マゼンタインクおよびシアンインクの少なくとも1
つを本実施形態のインクとし、これに処理液を用い、こ
の順序で付与する構成であってもよい。
【0085】本発明を適用可能なこのような組み合わせ
の中で、もっとも好ましい形態は、インクをブラックイ
ンクとしたものである。この形態によれば、OD値増
大、「もや」の抑制等の本実施形態の各効果が、文字等
のキャラクタのプリント品位に対し最も有効に寄与でき
るからである。
【0086】また、これらのインク等をプリント媒体に
付与する方法は、塗布、インク等を直接プリント媒体に
接触させて付与する方法等、種々のものが考えられ、い
ずれの付与方法も本発明の範囲内のものである。しか
し、最も好ましい形態はプリントヘッドを用いたインク
ジェット方式のものである。そして、この場合、吐出部
としてのプリントヘッドの組み合わせおよびその配列
は、上述した付与順序および処理液を含めたインクの種
類の組み合わせに従って定めることができる。
【0087】具体的には、プリントヘッドがプリント媒
体に対して相対的に移動する方向に、インク及び処理液
のヘッドを配列する構成によって上記付与順序等が可能
となる。
【0088】さらに、このような構成のより具体的な構
成として、搬送されるプリント媒体におけるプリント領
域の全幅に対応した範囲でインク吐出口を配列した、い
わゆるフルマルチタイプのプリントヘッドや、プリント
媒体に対して走査のための移動を行うシリアルタイプの
プリントヘッドのいずれも本発明に係る上述のインクお
よび処理液の付与を可能とするものである。
【0089】また、これらのプリントヘッドのインク吐
出方式としては、ピエゾ方式等、周知のいずれの方式の
ものも採用できるが、最も好ましい形態は、熱エネルギ
ーを利用してインク又は処理液中に気泡を生じさせ、こ
の気泡の圧力によってインクまたは処理液を吐出するも
のである。
【0090】さらに、各プリントヘッドによって、イン
ク及び処理液が吐出されて重なる範囲は、通常、プリン
ト画像等を構成する画素単位で制御されるため、上記イ
ンク等は同一位置に吐出されて重ねられる。しかし、本
発明の適用は、このような構成には限られない。たとえ
ば、インクドットの一部と処理液が重なり、本実施形態
の所定の効果が生ずる構成や、各画素のデータに対して
処理液を間引いて付与し、隣接画素から滲み等によって
流入する処理液と顔料等が反応する構成も本発明の範囲
に含まれる。
【0091】(実施形態1−2)本発明の他の実施形態
を次に説明する。本実施形態は、上述した実施形態にお
いて処理液を浸透性の高いものとし、これによりプリン
ト媒体への高速定着を図ったものである。高速定着は、
プリント速度の高速化、すなわちスループットの向上の
ための主要な構成である。プリントヘッドの駆動周波数
やプリント媒体の搬送速度を増すことにより、直接的に
はスループットの向上は可能である。しかし、プリント
が完了し排紙されたプリント媒体上のインク等が未定着
の場合は、その後の取り扱いが不便であり、また、排紙
したプリント媒体を積層する構成にあっては、未定着の
インクによって他のプリント媒体を汚すおそれもある。
【0092】すなわち、このプリント速度の高速化に寄
与する種々の要因の中で、直接的に想起されるものは、
上述のように、プリントが完了したプリント媒体が排紙
される速度であり、これはプリント媒体の搬送速度もし
くはプリントヘッドの走査速度に依っている。すなわ
ち、いわゆるフルマルチタイプのプリントヘッドを用い
る装置にあっては、プリント動作におけるプリント媒体
の搬送速度がそのまま排紙速度を意味し、また、シリア
ルタイプのプリントヘッドを用いる装置にあっては、走
査速度が結果としてプリントが完了したプリント媒体の
排紙速度に結びつくことになる。そして、上記プリント
媒体の搬送速度等は、プリントの解像度、すなわちドッ
ト密度を媒介として画素に対するインク吐出周期と相関
するものである。すなわち、複数のプリントヘッドから
吐出されるインクによって1つの画素のプリントを行う
構成にあっては、上記解像度を固定して考えるとき、そ
の画素に対する吐出周期と上記搬送速度等が相関する。
【0093】一方、前述の、従来の、顔料インクと処理
液との反応に関するそれぞれの技術課題を考慮すると
き、インクを吐出してから処理液を吐出するまでの時間
はできるだけ長く取ることが望ましい。なぜなら、顔料
インクがプリント媒体中に浸透してから処理液と反応す
る場合には、前述した現象が生じ難くなるからである。
換言すれば、顔料インクと処理液とを用いてプリントを
行う場合の前述の課題は、プリント速度の高速化も阻害
しているといえる。特に、OD値向上を図るため浸透速
度の小さな顔料インクを用いる場合には、この高速化を
損なう問題は特に顕著なものとなる。
【0094】本実施形態では、インクがプリント媒体に
付与された後に、浸透速度の速い処理液を付与すること
により、上記実施形態1で説明した各作用を生じさせる
とともに、比較的浸透速度の遅いインクであってもこれ
らを伴って浸透速度を速めるものである。すなわち、イ
ンク及び処理液のプリント媒体に対する浸透速度をそれ
ぞれv1、v2とするとき、v1<v2を満たす。図4
にこの場合の現象を推定的に示す。
【0095】図4は、インクIm、処理液Sの順序で、
プリント媒体Pに付与された場合を示している。この場
合、処理液Sとその境界で接するインクImとの間で反
応物503が生じ始めるが、処理液SとインクImとが混合
したものの浸透速度は、インク単独の場合より速くな
る。このように、全体として、インクが単独の場合の浸
透速度よりもその速度を高めることによって、高速定着
を可能とする。
【0096】本実施形態において、大きな浸透速度を有
する処理液を用いることにより、特に、OD値向上等の
ためインクとして浸透速度の小さなものを採用した場合
でも、比較的速い定着が可能となる。
【0097】(実施形態1−3)本発明のさらに他の実
施形態は、インクと処理液の付与順序に関するものであ
る。すなわち、本実施形態では、インクを付与した後、
処理液を付与し、さらにインクを付与するものである。
この実施形態によれば、上述した効果のうち、特に、O
D値の向上、「もや」あるいはフェザリングの抑制にお
いて特に顕著となる。また、インクとインクの間で付与
する処理液を高浸透性のものとすれば、より良好な定着
性を得ることもできる。
【0098】本実施形態の以上の作用、効果は、最初に
付与されるインクと処理液との反応において、インクの
量が相対的に少ないため、それらの反応による流動化が
少なく、また、処理液の後にインクが付与されたとき
は、上記最初の処理液とインクとの反応により、増粘が
ある程度進行し、また、インク等の浸透も進んでいるた
め、流動化が少なくなることによるものと考えられる。
【0099】(処理液の付与量)処理液の付与量は、イ
ンクと同等か、それ以下にすることが好ましい。後述の
実施例に示すように、付与量をインクよりも少なくした
場合は、より高いOD値を得ることができ、印字品位は
より高くなる。より好ましくは、処理液の付与量を、B
kインクの付与量の25%以下にするとよい。更に好ま
しくは、20%以下にするとよい。
【0100】(実施形態2)上記の第1の実施形態は、
第1の顔料及び第2の顔料を含むインクを用いた形態を
主として説明したが、該第1の顔料及び第2の顔料を別
々のインクに含有させた形態もまた、本発明の範疇のも
のである。
【0101】(実施形態2−1)本態様は、第1の顔料
を含む第1のインク、第2の顔料を含む第2のインクお
よび該第1ならびに第2のインクと反応する処理液をプ
リント媒体表面に互いが液体状態で接触する様に付与す
るものである。そしてそのときに、第1のインクと第2
のインクの少なくとも一方を処理液の付与に先立って行
うことが好ましい。これによって本発明の所望とする種
々の効果を得ることができる。
【0102】付与順番の組み合わせとしては、(1)
第1のインク→第2のインク→処理液、(2) 第2の
インク→第1のインク→処理液、(3) 第1のインク
→処理液→第2のインク、(4) 第2のインク→処理
液→第1のインク、の4種類がある。
【0103】(実施形態3)本態様は、第1の顔料およ
び第2の顔料を含むインクの色相をブラック(Bk)と
し、プリント装置に含まれる他の色相例えば、シアン
(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のうちの少な
くとも1つに上記処理液の組成を含有させたものであ
る。本態様においては、前述したように処理液の組成を
含むカラーインクの付与量を、ブラックインクの付与量
に対して減らすことが望ましい。処理液の組成を含むカ
ラーインクの付与量は、ブラックインクの付与量に対
し、25%以下とすることがこのましく、特には20%
以下が好ましい。
【0104】
【実施例】本発明の実施例について、図を参照しながら
詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限ら
ず、これをさらに組合わせたり、同様な課題を内包する
他の分野の技術にも応用することができる。
【0105】(実施例1−1)図5は第1実施例に係る
フルラインタイプのプリント装置の概略構成を示す側面
図である。このプリント装置1は、プリント媒体として
記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)に沿って所
定位置に配置された複数のフルラインタイプのプリント
ヘッド(吐出部)によりインク又は処理液を吐出してプ
リントを行うインクジェットプリント方式を採用するも
のであり、不図示の制御回路に制御されて動作する。ヘ
ッド群101gの各プリントヘッド101Bk、101
S、101C、101Mおよび101Yのそれぞれは、
図中A方向に搬送される記録紙103の幅方向(図の紙
面に垂直な方向)に約7200個のインク吐出口を配列
し、最大A3サイズの記録紙に対しプリントを行うこと
ができる。
【0106】記録紙103は、搬送モータによる駆動さ
れる一対のガイド版115により案内されてその先端の
レジ合わせが行われた後、搬送ベルト111によって搬
送される。エンドレスベルトである搬送ベルト111は
2個のローラ112,113により保持されており、そ
の上側部分の上下方向の偏位はプラテン104によって
規制されている。ローラ113が回転駆動されること
で、記録紙103が搬送される。なお、搬送ベルト11
1に対する記録紙113の吸着は静電吸着によって行わ
れる。ローラ113は不図示のモータ等の駆動源により
記録紙103を矢印A方向に搬送する方向に回転駆動さ
れる。搬送ベルト111を搬送されこの間に記録ヘッド
群101gによって記録が行われた記録紙103は、ス
トッカ116上へ排出される。
【0107】記録ヘッド群101gの各プリントヘッド
は、上記実施形態で説明したブラックインクを吐出する
ヘッド101Bk、処理液を吐出する処理液様ヘッド1
01S、カラーインク用各ヘッド(シアンヘッド101
C、マゼンタヘッド101M、イエローヘッド101
Y)が、記録紙103の搬送方向Aに沿って図示の通り
に配置されている。そして、各プリントヘッドにより各
色のインクと処理液を吐出することでブラックの文字や
カラー画像のプリントが可能となる。
【0108】本実施例では、ヘッド101Bkから吐出
されるブラックのインクについては、浸透速度の遅いイ
ンク(以下、本実施例では上乗せ系インクという)を用
い、ヘッド101S、101C、101M、101Yか
らそれぞれ吐出される処理液およびシアン、マゼンタ、
イエローの各インクは浸透速度の速いそれぞれの処理液
およびインク(以下、本実施例では高浸透性インクとい
う)を用いた。
【0109】本実施例で使用する処理液および各インク
の組成は次の通りである。なお、各成分の割合は質量部
で示したものであり、各成分の合計は100質量部であ
る(以下表3〜7及び9〜19も同様である)。
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】
【0115】なお、このブラックインクのKa値は0.
33(ml/m2・msec1/2)であった。また、上記顔料分散
液1および2は各々次のものである。
【0116】[顔料分散液1]表面積が230m2/g
でDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラッ
ク10gとp−アミノ安息香酸3.41gとを水72g
によく混合したあと、これに硝酸1.62gを滴下して
70℃で攪拌した。数分後5gの水に1.07gの亜硝
酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間攪拌し
た。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンテ
ィス社製)でろ過し、顔料粒子を十分に水洗し、90℃
のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水を足して顔料
濃度10質量%の顔料水溶液を作成した。以上の方法に
より、下記式に示したように表面に、フェニル基を介し
て親水基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カ
ーボンブラックが分散した顔料分散液を得た。
【0117】
【化2】
【0118】[顔料分散液2]顔料分散液2は次のよう
に調整したものである。分散剤としてスチレンーアクリ
ル酸−アクリル酸エチル共重合体(酸価180、平均分
子量12000)14部と、モノエタノールアミン4部
と水72部を混合し、ウォーターバスで70℃に加温
し、樹脂分を完全に溶解させる。この際溶解させる樹脂
の濃度が低いと完全に溶解しないことがあるため、樹脂
を溶解する際は、高濃度溶液をあらかじめ作成してお
き、希釈して希望の樹脂溶液を調整してもよい。この溶
液に、分散剤の作用によって初めて水性媒体に分散可能
なカーボンブラック(商品名:MCF−88、pH8.
0、三菱化学製)10部を加え、以下の条件にて30分
間プレミキシングを行った。次いで以下の操作を行い、
カーボンブラック(MCF−88)が分散剤によって水
性媒体に分散された顔料分散液2を得た。 分散機:サイドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア:ジルコニアビーズ1mm径 粉砕メディアの充填率:50%(体積) 粉砕時間:3時間 遠心分離処理(12000RPM、20分間)。
【0119】本実施例では、各プリントヘッドのインク
吐出口は600dpiの密度で配列され、また、記録紙
の搬送方向において600dpiのドット密度でプリン
トを行う。これにより、本実施例でプリントされる画像
等のドット密度はロー方向およびカラム方向のいずれも
600dpiとなる。また、各ヘッドの吐出周波数は4
kHzであり、従って、記録紙の搬送速度は170mm
/secとなる。さらに、インクのヘッド101Bkと
処理液のヘッド101Sとの間隔Di(図5参照)は、
40mmであり、従って、ブラックの顔料が吐出されて
から、処理液が吐出されるまでの時間は約0.48se
cとなる。
【0120】なお、各プリントヘッドの吐出量は、1吐
出当たり約15pl(ピコリットル)とした。また、ブ
ラックインクBkを吐出してから処理液Sを吐出するま
での時間が0.1秒までの追試を行った場合に関して
も、同様な結果を得ることができた。
【0121】(実施例1−2)上記実施例1−1におい
て、プリント媒体への処理液の付与量を、ブラックイン
クの付与量の約25%と変更した以外は実施例1−1と
同様にして実験を行った。
【0122】(実施例1−3)上記実施例1−1におい
て、プリント媒体への処理液の付与量を、ブラックイン
クの付与量の約13%と変更した以外は実施例1−1と
同様にして実験を行った。
【0123】(比較例)上記実施例1−1〜1−3に対
する比較例として、実施例1−1と同様に調製した顔料
分散液2のみを用いて以下の成分のインクを調製した。
【0124】
【表7】
【0125】この例中では、処理液は使用しなかった。
【0126】上記実施例1−1〜1−3、比較例にて得
られたプリント物の評価結果を下記表8に示す。
【0127】
【表8】
【0128】なお、各実施例および各比較例でのプリン
トは、キヤノン株式会社製のPB用紙に所定の画像をプ
リントし、OD等を測定したものである。また、表8に
おける評価項目のうち、OD値はマクベス濃度測定器を
用いて測定したものであり、また、耐水性発現時間は、
プリント後に水を垂らしたときの画像くずれが目視にて
ほとんど認識できなくなる時間であり、さらに、定着性
はプリント物が排紙されたときの裏移りがなくなる時間
である。さらに、フェザリングはインクドットをルーペ
によって観察し、ドット周辺にもや状の部分の有無、フ
ェザリングの有無を観察し、それらが観察されない場合
には「A」、観察される場合を「B」と評価した。
【0129】さらにまた、ベタ部のエッジシャープネス
については、ベタの線画像のエッジ部をルーペを用いて
観察し、線のエッジがきれいに直線上につながっている
場合を「A」、線のエッジの直線性が若干損なわれてい
るものの実用上の問題がない場合を「B」、線のエッジ
の直線性が失われている場合を「C」と評価した。
【0130】表8からも明らかなように、本実施例のシ
ステムの場合、処理液の付与量を少なくした場合では、
より高いOD値を示すことが理解される。
【0131】このOD値については、分散剤を必要とし
ない顔料と分散剤によって分散させられる顔料及び高分
子分散剤が混合したインクに処理液が付与される本実施
例の場合、それらの混合による前述した効果を生じ、分
散剤によって分散させられる顔料および高分子分散剤の
みが混合したインクを用いた比較例の場合よりも高いO
D値を得ることができる。
【0132】なお、表8中のブラックインクBkが吐出
されてから処理液Sが吐出されるまでの時間を0.1秒
とした場合においても、ほぼ同様な評価結果を得られ
た。
【0133】以上説明したフルマルチタイプのプリント
装置は、プリントヘッドがプリント動作において固定さ
れた状態で用いられ、記録紙の搬送に要する時間がほぼ
プリントに要する時間であるため、特に高速プリントに
適したものである。従って、このような高速プリント機
器に本発明を適用することによって、さらにその高速プ
リント機能を向上でき、しかも、OD値が高い、高品位
のプリントを可能とするものである。
【0134】なお、本実施例のプリント装置は、最も一
般的にはプリンタとして用いられるものであるが、これ
に限られず複写装置、ファクシミリ等のプリント部とし
て構成可能であることは勿論である。
【0135】なお、以上の表8を参照して説明した本実
施例の効果は、本例のようにブラックインクについて1
つのヘッドを用いた構成に限らず、2ヘッドとし、2ヘ
ッドの吐出量の合計を15plとした場合も同様の効果
を得ることができる。
【0136】(実施例2)図6は本発明の第2の実施例
に係るシリアルタイプのプリント装置5の構成を示す概
略斜視図である。すなわち、インクをプリント媒体に付
与した後、処理液を吐出して反応させるプリント装置
は、上述のフルラインタイプのものに限らず、シリアル
タイプの装置にも適用できることは明らかである。な
お、図5に示した要素と同様の要素には同一の符号を付
しその説明の詳細は省略する。
【0137】プリント媒体である記録紙103は、給紙
部105から挿入されプリント部126を経て排紙され
る。本実施例では、一般に広く用いられている安価な普
通紙を記録紙103として用いている。プリント部12
6において、キャリッジ107は、プリントヘッド10
1Bk、101S、101C、101Mおよび101Y
を搭載し、不図示のモータの駆動力によってガイドレー
ル109に沿って往復運動可能に構成されている。プリ
ントヘッド101Bkは、前述の実施形態で説明したブ
ラックインクを吐出する。また、プリントヘッド101
S、101C、101M、101Yはそれぞれ処理液、
シアンインク、マゼンタインク、イエローインクをそれ
ぞれ吐出するものであり、この順序で記録紙103にイ
ンク又は処理液を吐出するように駆動される。
【0138】各ヘッドにはそれぞれ対応するインクタン
ク108Bk、108S、108C、108M、108
Yからインク又は処理液が供給され、インク吐出時には
各ヘッドの吐出口毎にもうけられている電気熱変換体、
すなわちヒータに駆動信号が供給され、これにより、イ
ンク又は処理液に熱エネルギーを作用させて気泡を発生
させ、この発砲時の圧力を利用してインクまたは処理液
の吐出が行われる。各ヘッドには、それぞれ360dp
iの密度で64個の吐出口が設けられ、これらは、記録
紙103の搬送方向Yとほぼ同方向、つまり各ヘッドに
よる走査方向とほぼ垂直に配列されている。そして、各
吐出口毎の吐出量は約25plである。
【0139】以上の各構成において、各ヘッド間距離は
1/2インチであり、従って、ヘッド101Bkと10
1Sとの距離は1/2インチとなり、また、走査方向の
プリント密度が720dpi、各ヘッドの吐出周波数は
7.2kHzであることから、ヘッド101Bkの顔料
インクが吐出されてから、ヘッド101Sの処理液が吐
出されるまでの時間は0.05secとなる。
【0140】図7(a)〜(c)は、図6に示したよう
なシリアルプリント装置におけるヘッド構成のそれぞれ
他の例を示し、吐出口配列を模式的に示す図である。
【0141】同図(a)に示すように、ブラックインク
を吐出する吐出部を2つ有し(吐出部101Bk1、1
01Bk2)、これらの間に処理液を吐出する吐出部1
01Sが配設される構成であってよい。この場合、ブラ
ックのインクが付与された後、処理液が付与され、その
後さらにブラックのインクが付与されることになる。
【0142】同図(a)を始め図7に示されるヘッド構
成は、いくつかのインクまたは処理液についてのヘッド
構造を一体にしたものであり、勿論、これら一体構造の
ヘッドユニットにあたっては、インクや処理液毎に吐出
口やこれに連通する液室などは相互に隔てられているも
のである。したがって、各吐出部は各インクや処理液の
ヘッドと同様なものである。
【0143】図7(b)は、同(a)に示す例と同様、
ブラックインクを吐出する吐出部を2つ有する例を示す
が、これら吐出部101Bk1、101Bk2は処理液
に先行して吐出できるように配列されたものである。こ
の構成によれば、インクのブラックインクが2滴付与さ
れた後に処理液が付与されることになる。
【0144】図7(c)は、ブラックインクを吐出する
吐出部101Bkと処理液を吐出する吐出部101Sの
配列及び数については図6に示した実施例と同様の配列
及び数であるが、C、M、Yの各インク構成を異ならせ
たものである。C、M、Y各インクの吐出部はそれぞれ
2つ設けられ(吐出部101C1、101C2、吐出部
101M1、101M2、吐出部101Y1、101Y
2)、走査方向とは垂直に各インク毎の吐出部101C
1、101M1、101Y1と吐出部101C2、10
1M2、101Y2とをそれぞれ配列したものである。
このヘッド構成の場合、記録紙の搬送を挟んだ複数回の
走査でC、M、Yの各インクは重ねられる。また、各イ
ンクの2つの吐出部について相互に濃、淡インクを吐出
するためのものである。
【0145】なお、図7(a)および(b)に示すよう
に、インクによるブラックインクの吐出部が例えば2つ
ある場合、それぞれから吐出されるインクにおける第1
の顔料と第2の顔料との含有比は、いずれの吐出部も同
一であるが、これを変えてもよい。例えば、第1の顔料
と第2の顔料の比が、吐出部101Bk1が(1:1)
で、吐出部101Bk2が(9:1)であってもよい。
これとは逆に101Bk1が(9:1)で、吐出部10
1Bk2が(1:1)であってもよい。
【0146】(実施例3)本発明のさらに他の実施例で
は、例えば図7(a)に示すように、プリントヘッドも
しくは吐出部が配列したものである。すなわち、図7
(a)において吐出部101Bk1および101Bk2
からのブラックインクを吐出し、吐出部101Sから処
理液を吐出するものである。すなわち、インク、処理
液、インクの順で吐出が行われる。
【0147】本実施例では、各吐出部は600dpiの
密度で吐出口を配列し、その吐出量はそれぞれ約15p
lであり、各吐出部間隔は実施例2と同様、1/2イン
チである。また、吐出周波数は10kHz、プリント解
像度は副走査方向および主走査方向いずれも600dp
iである。これにより、インクと処理液の吐出間隔は3
0msecとなる。また、処理液は、アセチレノールE
H2%の高浸透性を有するものである。
【0148】以上の実施例の構成によれば、黒文字等の
プリントのOD値は約1.5以上の高いOD値を得るこ
とができ、また、処理液による反応物の流動化がほとん
どないため、「もや」やフェザリングの発生を防止でき
る。また、処理液について上述のように高浸透性のもの
を用いるので、より良好な定着性を実現できる。
【0149】(実施例4)図5に示した実施例を第1の
顔料及び第2の顔料を含むインクではなく、第1の顔料
及び第2の顔料を個々に吐出する形態のものに応用した
場合、記録ヘッド群101gの各プリントヘッドは、ブ
ラックの第1の顔料インク用ヘッド101Bk1、ブラ
ックの第2の顔料インク用ヘッド101Bk2、処理液
を吐出する処理液用ヘッド101S、カラーインク用各
ヘッド(シアンヘッド101C、マゼンタヘッド101
M、イエローヘッド101Y)が、記録紙103の搬送
方向Aに沿って図11に示す通りに配置される。そし
て、各プリントヘッドにより各色のインクと処理液を吐
出することでブラックの文字やカラーの画像のプリント
が可能になる。
【0150】本実施例では、ヘッド101Bk1および
101Bk2からそれぞれ吐出されるブラックの第1の
顔料インク及び第2の顔料インクについては、浸透速度
の遅い上乗せ系インクを用い、ヘッド101S、101
C、101M、101Y、からそれぞれ吐出される処理
液及びシアン、マゼンタ、イエローの各インクは浸透速
度の速いそれぞれ高浸透性インクを用いる。本実施例で
使用する第1、第2のインク及び処理液の組成は下記の
通りである。
【0151】
【表9】
【0152】
【表10】
【0153】
【表11】
【0154】なお、このブラックインク第1及び第2の
顔料インクのKa値は両者とも0.33(ml/m2・msec
1/2)であった。また、上記顔料分散液1および2は上
記実施例1−1で述べたものである。
【0155】以上示した本実施例によるブラックの第1
の顔料インクおよび第2の顔料インクを用いることによ
り、同極性を帯びた第1の顔料、第2の顔料および高分
子分散剤が混合され、かつ分散している液体の状態に対
して、異極性の化合物を含んだ処理液とが反応すること
になる。
【0156】本実施例では、顔料インクのヘッド101
Bk2と処理液のヘッド101Sとの間の距離Di(図
11参照)は、80mmであり、従って、ブラックの第
1或いは第2の顔料インクが吐出されてから、処理液が
吐出されるまでの時間は約0.48secとなる。な
お、各プリントヘッドの吐出量は、Bkヘッド以外は1
吐出当たり15plであり、各Bkヘッドは1吐出量当
たり約10plとした。従って、Bk1及びBk2のヘ
ッドで1画素を形成した場合にはBkインクは合計で約
20pl付与されることになる。
【0157】このような装置及びインクを用いて得られ
たプリント物を上記実施例1−1〜1−3と同様にして
評価したところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0158】(実施例5)図8は、本発明の第1の顔料
インクと第2の顔料インクとをプリント媒体上で混合さ
せた後、処理液と反応させるプロセスに用い得るシリア
ルタイプのプリント装置5の構成を示す概略斜視図であ
る。すなわち、かかるプロセスに用い得るプリント装置
は、上述のフルラインタイプのものに限らず、シリアル
タイプの装置にも適用できることは明らかである。な
お、図5に示した要素と同様の要素には、同一の符号を
記してその説明の詳細は省略する。
【0159】プリント媒体である記録紙103は、給紙
部105から挿入されプリント部126を経て排紙され
る。本実施例では、一般に広く用いられる安価な普通紙
を記録紙103として用いている。プリント部126に
おいて、キャリッジ107は、プリントヘッド101B
k1、101Bk2、101S、101C、101Mお
よび101Yを搭載し、不図示の駆動力によってガイド
レール109に沿って往復移動可能に構成されている。
プリントヘッド101Bk1は、ブラックインクの第1
の顔料インクを吐出し、プリントヘッド101Bk2は
ブラックの第2の顔料インクを吐出する。また、プリン
トヘッド101S、101C、101Yはそれぞれ処理
液、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクを
吐出するものであり、この順序で記録紙103にインク
又は処理液を吐出するよう駆動される。
【0160】各ヘッドにはそれぞれ対応するインクタン
ク108Bk1、108Bk2、108S、108C、
108M、108Yからインク又は処理液が供給され、
インク吐出時には各ヘッドの吐出毎に設けられている電
気熱変換体(ヒータ)に駆動信号が供給され、これによ
り、インク又は処理液に熱エネルギーを作用させて気泡
を発生させ、この発砲時の圧力を利用してインク又は処
理液の吐出が行われる。各ヘッドには、それぞれ360
dpiの密度で64個の吐出口が設けられ、これらは、
記録紙103の搬送方向Yとほぼ同方向、つまり、各ヘ
ッドによる走査方向とほぼ垂直に配列されている。そし
て、Bkインクの吐出口の吐出量は15pl、それ以外
のインク及び処理液の吐出口毎の吐出量は23plであ
る。
【0161】以上の構成において、各ヘッド間距離は1
/2インチであり、従って、ヘッド101Bk1と10
1Sとの距離は1/2インチとなり、また、走査方向の
プリント密度が720dpi、各ヘットの吐出周波数は
7.2kHzであることから、ヘッド101Bk1の顔
料インクが吐出されてから、ヘッド101Sの処理液が
吐出されるまでの時間は0.1secとなる。
【0162】(実施例6)本発明の更に他の実施例で
は、図8に示すシリアルタイプのインクジェットプリン
ト装置において、プリントヘッドの配列順序を変え、そ
れに応じてブラックの第1の顔料インクおよび第2の顔
料インクと処理液との付与順序とを異ならせたものであ
る。
【0163】すなわち、図8において、プリントヘッド
の配列順序をヘッド101Bk1、ヘッド105S、ヘ
ッド101Bk2とし(他のヘッドについては上記実施
例5と同一)、これにより、ブラックの第1の顔料イン
ク、処理液、ブラックの第二の顔料インクの順でそれぞ
れをプリント媒体に吐出する。各ヘッド間距離、各ヘッ
ドの吐出周波数等は上記実施例2と同様である。
【0164】この実施例によれば、インクと処理液との
反応物の流動化を第1の顔料インク、第2の顔料インク
が付与された後に処理液を付与する場合に比べ、より少
なくでき、もやの発生をさらに抑制することができる。
【0165】なお、上記説明では、ヘッド101Bk1
からブラックの第1の顔料インクを吐出し、ヘッド10
1Bk2からブラックの第2の顔料インクを吐出するも
のとしたが、これとは逆に、ヘッド101Bk1からブ
ラックの第2の顔料インクを吐出し、ヘッド101Bk
2からブラックの第1の顔料を吐出するようにしてもよ
く、この構成によっても上述と同様の効果を得ることが
できる。
【0166】(実施例7)図9は本発明の更に他の実施
例に係るフルラインタイプのプリント装置の概略構成を
示す側面図である。なお、図5に示した要素と同様の要
素には、同一の符を記してその説明の詳細は省略する。
【0167】記録ヘッド群101gの各プリントヘッド
は、上記実施形態で説明したブラックインクを吐出する
ヘッド101Bk、処理液組成を含むカラーインクを吐
出する各ヘッド(シアンヘッド101C、マゼンタヘッ
ド101M、イエローヘッド101Y)が、記録紙10
3の搬送方向Aに沿って図示の通りに配置されている。
そして、各プリントヘッドにより各色のインクを吐出す
ることでブラックの文字やカラー画像のプリントが可能
となる。
【0168】本実施例では、ヘッド101Bkから吐出
されるブラックのインクについては、上乗せ系インクを
用い、ヘッド101C、101M、101Yからそれぞ
れ吐出される処理液を含んだシアン、マゼンタ、イエロ
ーの各インクは高浸透性インクを用いた。
【0169】本実施例で使用する各インクの組成は次の
通りである。なお、各成分の割合は質量部で示したもの
である。
【0170】
【表12】
【0171】
【表13】
【0172】(上記構造式中、S=SO3Naである。)
【0173】
【表14】
【0174】
【表15】
【0175】なお、このブラックインクのKa値は0.
33(ml/m2・msec1/2)であった。また、上記顔料分散液
1および2は各々実施例1−1に述べたものである。
【0176】なお、各プリントヘッドの吐出量は、1吐
出当たり約15pl(ピコリットル)とした。なお、黒
文字などのブラックインクを付与した画素には、カラー
インクを後から付与した。そのカラーインクの付与量
は、ブラックインクに対し8%とした。すなわち、ブラ
ックインク100%に対し、シアンインク8%、マゼン
タインク8%、イエローインク8%とした。つまり、ブ
ラックインク100%に対し、シアンインク、マゼンタ
インク及びイエローインクの3インクの合計は24%で
ある。
【0177】本実施例のブラックの印字品位であるO
D、フェザリングおよびエッジシャープネス、耐水性発
現時間および定着性は、上記実施例1−3と同様の結果
が得られた。
【0178】(実施例8)図10は本発明の更に他の実
施例に係るフルラインタイプのプリント装置の概略構成
を示す側面図である。なお、図5に示した要素と同様の
要素には、同一の符号を記してその説明の詳細は省略す
る。記録ヘッド群101gの各プリントヘッドは、上記
実施形態で説明したブラックインクを吐出するヘッド1
01Bk、処理液組成を含むシアンインクよび処理液組
成を含まないマゼンタおよびイエローインクを吐出する
各ヘッド(シアンヘッド101C、マゼンタヘッド10
1M、イエローヘッド101Y)が、記録紙103の搬
送方向Aに沿って図示の通りに配置されている。そし
て、各プリントヘッドにより各色のインクを吐出するこ
とでブラックの文字やカラー画像のプリントが可能とな
る。
【0179】本実施例では、ヘッド101Bkから吐出
されるブラックのインクについては、上乗せ系インクを
用い、ヘッド101C、101M、101Yからそれぞ
れ吐出される処理液を含んだシアン、マゼンタ、イエロ
ーの各インクは高浸透性インクを用いた。本実施例で使
用する各インクの組成は次の通りである。なお、各成分
の割合は質量部で示したものである。
【0180】
【表16】
【0181】
【表17】
【0182】(上記構造式中、S=SO3Naである。)
【0183】
【表18】
【0184】
【表19】
【0185】なお、このブラックインクのKa値は0.
33(ml/m2・msec1/2)であった。また、上記顔料分散液
1および2は各々実施例1−1に述べたものである。
【0186】なお、各プリントヘッドの吐出量は、1吐
出当たり約15pl(ピコリットル)とした。なお、黒
文字などのブラックインクを付与した画素には、カラー
インクを後から付与した。シアンインクは、ブラックイ
ンクの上へ処理液の特性を発揮するために付与した。シ
アンインク単独の付与だけでも良いが、色調を整え、か
つより良い定着性を求めるために、マゼンタインクおよ
びイエローインクをも付与する。そのカラーインクの付
与量は、ブラックインクに対し8%とした。すなわち、
ブラックインク100%に対し、シアンインク8%、マ
ゼンタインク8%、イエローインク8%とした。つま
り、ブラックインク100%に対し、シアンインク、マ
ゼンタインク及びイエローインクの3インクの合計は2
4%である。
【0187】本実施例のブラックの印字品位であるO
D、フェザリングおよびエッジシャープネス、耐水性発
現時間および定着性は、上記実施例1−3と同様の結果
が得られた。
【0188】カラーの印字順を上記のシアン、マゼン
タ、イエローの順以外に変更するときには、ブラックの
次に印字するインクへ、多価金属塩または多価金属イオ
ンを加えると良い。その場合は、カラーの2番目および
3番目のインクへは多価金属塩またはイオンを加えなく
とも良い。
【0189】
【発明の効果】本発明によると、第1の顔料と第2の顔
料及び第2の顔料を高分子分散剤を含むインクと該イン
クと反応する処理液とを用い、該インクをプリント媒体
に先に付与し、引き続いて多価金属イオンもしくはその
塩を含む処理液をプリント媒体に、該処理液と該インク
とが液体状態で混合されるように付与することで、高い
ODを有し、エッジシャープネスに優れ、更に画像のプ
リント媒体への裏抜けの少ない画像を得ることができ
る。さらに従来の顔料インクの欠点とされていた遅い定
着速度および不十分な定着性をも大幅に改善することが
できる。
【0190】また、インクとして、浸透速度の遅いもの
を用いれば、次に処理液が付与されるまでの時間が長く
浸透する時間があっても、プリント媒体表層部に留まる
色材の量を多くでき、さらにOD値を増すことができ
る。さらに、浸透速度の遅いインクを用いること自体の
効果として、いわゆるフェザリングを抑制することもで
きる。
【0191】また、本発明によれば、画像ドット周辺に
「しみ出し」もしくは「もや」等が生じることを有効に
抑えることができる。
【0192】インクを付与した後、処理液を付与し、さ
らにインクを付与した場合には、特にOD値の向上、
「もや」あるいはフェザリングの抑制において特に顕著
となる。また、処理液を高浸透性のものとすれば、比較
的良好な定着性を得ることもできる。
【0193】浸透液の浸透速度を、ブリストウ法による
Ka値で5.0(ml/m2・msec1/2)以上にした
場合には、処理液が比較的高い浸透性のものとなり、定
着速度を速めることが可能となる。
【0194】第1のインク、第2のインク、処理液の順
で付与する場合、裏抜けが少ないという効果を得ること
ができる。
【0195】また、本発明にかかる第1の顔料と、第2
の顔料並びに第2の顔料の為の高分子分散剤とを、分け
て第1のインクと第2のインクとを調製し、該第1のイ
ンクまたは第2のインクをプリント媒体に付与した後、
処理液を付与し、更に第2のインクまたは第1のインク
を付与するように、処理液を第1のインクと第2のイン
クの間、もしくは第2のインクと第1のインクとの間で
付与した場合、プリント媒体上で第1の顔料と第2の顔
料及び処理液が混合されるので、画像ドットに「しみ出
し」等の現象が生ずるのを緩和することができる。この
結果、OD値が高く、エッジシャープネスの優れた高品
位のプリントを行うことができる。処理液に比較的高い
浸透性のものを用いることによって、第1、第2のイン
ク等と処理液との反応物も高い浸透性を示し、全体とし
て浸透速度を速めることが可能となる。この結果、定着
速度を増すことができ高速プリントを実現することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、インクと処理液を反応させたときの反
応物の「しみ出し」現象を推定的に説明する概念図であ
る。
【図2】図2は、本発明の一実施形態においてインクを
プリント媒体に付与した後、処理液とを反応させたとき
のドット形成を推定的に説明する概念図である。
【図3】図3(a)本発明にかかるインクがプリント媒
体表面に付与させた状態の概略説明図、図3(b)は従
来の顔料インクがプリント媒体表面に付与させた状態の
概略説明図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態において顔料イン
クと染料インクをプリント媒体で混合させた後、処理液
と反応させたときのドット形成を推定的に説明する概念
図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例に係るプリント装置
の概略構成を示す側面図である。
【図6】図6は、本発明の別な実施例に係るプリント装
置を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の実施例に係るプリ
ント装置のヘッド構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の別な実施例に係るプリント装
置を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明のさらに他の実施例に係るプリ
ント装置の概略構成を示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施例に係るプリン
ト装置の概略構成を示す側面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施態様に係るプリ
ント装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
Id 染料インク P プリント媒体 S 処理液 Ip 顔料インク Im インク v1 プリント媒体に対する顔料インクの浸透速度 v2 プリント媒体に対する染料インクの浸透速度 v3 プリント媒体に対する処理液の浸透速度 Ka 比例係数 t 経過時間 V 浸透量 tw ウエットタイム Di 顔料インクのヘッドと処理液のヘッドとの間の
距離 1 プリント装置 5 プリント装置 101g ヘッド群 101(Bk1、Bk2、S、C、M、Y、C1、C
2、M1、M2、Y1、Y2) プリントヘッド(吐
出部) 103 記録紙 104 プラテン 105 給紙部 107 キャリッジ 108(Bk、S、C、M、Y) インクタンク 109 ガイドレール 111 搬送ベルト 112、113 ローラ 114 レジストローラ 115 ガイド板 116 ストッカ 126 プリント部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪井 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA05 FA03 FC01 FC02 HA44 2H086 BA01 BA53 BA55 BA57 BA59 BA60 BA62 4J039 AD00 AD01 AD03 AD08 AD09 AD10 AD14 AD15 AE07 BA04 BA15 BA17 BA18 BA19 BE01 BE02 BE12 CA06

Claims (53)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリント媒体に対して、顔料を水性媒体
    中に分散状態で含むインクを付与するインク吐出部と、
    該インクと反応する処理液を付与する処理液吐出部と、
    該プリント媒体への該インクの付与後に該処理液を付与
    するための制御手段とを有するインクジェットプリント
    装置であって、 該インクは、水性媒体と、第1の顔料と、第2の顔料
    と、高分子分散剤とを含み、前記第1の顔料が、少なく
    とも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介
    して該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型顔
    料であり、該第2の顔料が該高分子分散剤によって該水
    性媒体に分散させることができる顔料であり、該高分子
    分散剤が第1の顔料の表面に結合されている基と同極性
    の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少な
    くとも一方であり、 該処理液は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一
    方を含み、プリント媒体上で該処理液と該インクとが液
    体状態で接するように付与されたときには、該インクに
    含まれる少なくとも一方の顔料を凝集させるものであ
    り、 前記制御手段が、前記インク吐出部と前記処理液吐出部
    のそれぞれに対して、これらの吐出部から前記インクと
    前記処理液とが別々にプリント媒体に付与され、該プリ
    ント媒体において該インクと該処理液とがそれぞれ液状
    で混合される制御を行うものであることを特徴とするイ
    ンクジェットプリント装置。
  2. 【請求項2】 プリント媒体に対して、顔料を水性媒体
    中に分散状態で含むインクを付与するインク吐出部と、
    該インクと反応する処理液を付与する処理液吐出部と、
    該プリント媒体への該インクの付与後に該処理液を付与
    するための制御手段とを有するインクジェットプリント
    装置であって、 該インクは、水性媒体と、第1の顔料と、第2の顔料
    と、高分子分散剤とを含み、前記第1の顔料が、少なく
    とも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介
    して該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型顔
    料であり、該第2の顔料が該高分子分散剤によって該水
    性媒体に分散させることができる顔料であり、該高分子
    分散剤が第1の顔料の表面に結合されている基と同極性
    の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少な
    くとも一方であり、 該処理液は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一
    方を含み、プリント媒体上で該処理液と該インクとが液
    体状態で接するように付与されたときには、該インクに
    含まれる少なくとも一方の顔料を凝集させるものであ
    り、 前記制御手段は、前記インク吐出部と前記処理液吐出部
    のそれぞれ対して、これらの吐出部から前記インクと前
    記処理液とが別々に前記プリント媒体に付与され、該プ
    リント媒体において該インクと該処理液とがそれぞれ液
    状で混合されるようにし、且つこれらの液状での混合状
    態に対して更に前記インクを液状で混合させる制御を行
    うものであることを特徴とするインクジェットプリント
    装置。
  3. 【請求項3】 プリント媒体に対して、顔料を水性媒体
    中に分散状態で含むインクを付与するインク吐出部と、
    該インクと反応する処理液を付与する処理液吐出部と、
    該インクの付与後に該処理液を付与するための制御手段
    とを有するインクジェットプリント装置であって、 該インクは、水性媒体と、第1の顔料と、第2の顔料
    と、高分子分散剤とを含み、前記第1の顔料が、少なく
    とも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介
    して該第1の顔料の表面に結合されている自己分散型顔
    料であり、該第2の顔料が該高分子分散剤によって該水
    性媒体に分散させることができる顔料であり、該高分子
    分散剤が第1の顔料の表面に結合されている基と同極性
    の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤の少な
    くとも一方であり、 該処理液は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一
    方を含み、プリント媒体上で該処理液と該インクとが液
    体状態で接するように付与されたときには、該インクに
    含まれる少なくとも一方の顔料を凝集させるものであ
    り、 前記インク吐出部が該インクを吐出する少なくとも1つ
    の顔料インク吐出部を有し、前記制御手段が、該顔料イ
    ンク吐出部と前記処理液吐出部とを所定の位置関係で配
    設する吐出部の配設手段と、該配設手段に配設される各
    吐出部とプリント媒体とを相対的に移動させるととも
    に、それぞれの吐出部から該インクおよび該処理液をそ
    れぞれ吐出させ、プリント媒体において該インクおよび
    該処理液を混合させる制御を行う吐出制御手段と、を具
    えたことを特徴とするインクジェットプリント装置。
  4. 【請求項4】 前記アニオン性基が、下記に示すアニオ
    ン性基の中から選択される少なくとも1つである請求項
    1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリント装
    置: −COOM、−SO3M、−PO3HM及び−PO32 (ここで、これらのMはそれぞれ独立して、水素原子
    か、アルカリ金属か、アンモニウムか、あるいは有機ア
    ンモニウムを表す)。
  5. 【請求項5】 前記他の原子団は、炭素数1〜12のア
    ルキレン基か、置換基を有しても良いフェニレン基か、
    あるいは置換基を有しても良いナフチレン基である請求
    項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリント装
    置。
  6. 【請求項6】 前記第1の顔料の粒子の約80%以上が
    粒径0.05〜0.3μmである請求項1〜3のいずれ
    かに記載のインクジェットプリント装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の顔料の粒子の約80%以上が
    粒径0.1〜0.25μmである請求項6に記載のイン
    クジェットプリント装置。
  8. 【請求項8】 前記第2の顔料がその表面に高分子分散
    剤を吸着することにより分散されている請求項1〜3の
    いずれかに記載のインクジェットプリント装置。
  9. 【請求項9】 前記高分子分散剤がスルホン酸系高分子
    分散剤およびカルボン酸系高分子分散剤の少なくとも一
    方である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェッ
    トプリント装置。
  10. 【請求項10】 前記第2の顔料が、すくなくとも構造
    の異なる2種類の顔料を含む請求項1〜3のいずれかに
    記載のインクジェットプリント装置。
  11. 【請求項11】 前記第1の顔料と第2の顔料との質量
    比率が5/95〜97/3の範囲である請求項1〜3の
    いずれかに記載のインクジェットプリント装置。
  12. 【請求項12】 前記第1の顔料と第2の顔料との質量
    比率が10/90〜95/5の範囲である請求項11に
    記載のインクジェットプリント装置。
  13. 【請求項13】 前記第1の顔料と第2の顔料との質量
    比率が9/1〜4/6の範囲である請求項12に記載の
    インクジェットプリント装置。
  14. 【請求項14】 前記第1の顔料を第2の顔料よりも多
    く含む請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット
    プリント装置。
  15. 【請求項15】 前記第1の顔料および第2の顔料の少
    なくとも一方はカーボンブラックである請求項1〜3の
    いずれかに記載のインクジェットプリント装置。
  16. 【請求項16】 該インクが更に該第1の顔料の表面に
    結合されている基と同一の極性の染料を含んでいる請求
    項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリント装
    置。
  17. 【請求項17】 該染料がアニオン性染料である請求項
    16に記載のインクジェットプリント装置。
  18. 【請求項18】 該アニオン染料が酸性染料、直接染料
    および反応性染料から選ばれる少なくとも一つである請
    求項17に記載のインクジェットプリント装置。
  19. 【請求項19】 該アニオン染料がジスアゾ骨格または
    トリスアゾ骨格を有する請求項18に記載のインクジェ
    ットプリント装置。
  20. 【請求項20】 該インクは、ブラックインクである請
    求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリント
    装置。
  21. 【請求項21】 前記配設手段は、所定方向において該
    顔料インク吐出部、処理液吐出部の順序で配置し、前記
    吐出制御手段は、前記各吐出部から該インク、該処理液
    の順にプリント媒体に吐出させて順次混合させるもので
    ある請求項3に記載のインクジェットプリント装置。
  22. 【請求項22】 前記配設手段は、所定方向において該
    顔料インク吐出部、処理液吐出部、該顔料インク吐出部
    の順序で配置し、前記吐出制御手段は、前記各吐出部か
    ら該インク、該処理液、該インクの順にプリント媒体に
    吐出させて順次混合させるものである請求項3に記載の
    インクジェットプリント装置。
  23. 【請求項23】 前記配設手段は、前記顔料インク吐出
    部および前記処理液吐出部の配設位置に続けて、シアン
    インクを吐出するシアンインク吐出部と、マゼンタイン
    クを吐出するマゼンタインク吐出部と、イエローインク
    を吐出するイエローインク吐出部とをさらに配設するも
    のである請求項3に記載のインクジェットプリント装
    置。
  24. 【請求項24】 前記処理液は、その浸透速度が、ブリ
    ストウ法によるKa値で5.0(ml/m2・msec
    1/2)以上である請求項1〜3のいずれかに記載のイン
    クジェットプリント装置。
  25. 【請求項25】 前記顔料インク吐出部および前記処理
    液吐出部は、前記相対的に移動するプリント媒体におけ
    るプリント領域の全幅に対応した範囲でそれぞれインク
    吐出口および処理液吐出口が配設されている請求項3に
    記載のインクジェットプリント装置。
  26. 【請求項26】 前記顔料インク吐出部および前記処理
    液吐出部を前記配設手段による位置関係を維持してプリ
    ント媒体に対して移動を行う駆動手段を更に具え、前記
    吐出制御手段は該駆動手段を制御することによりプリン
    ト媒体に対する各吐出部の走査を行って当該相対移動を
    行わせる請求項3に記載のインクジェットプリント装
    置。
  27. 【請求項27】 前記顔料インク吐出部および前記処理
    液吐出部は、熱エネルギーを利用してそれぞれインクお
    よび処理液に気泡を生じさせ、該気泡の圧力によってそ
    れぞれインクおよび処理液を吐出する請求項3に記載の
    インクジェットプリント装置。
  28. 【請求項28】 前記インクは、浸透速度が、ブリスト
    ウ法によるKa値で1.0(ml/m2・msec1/2
    未満である請求項24のいずれかに記載のインクジェッ
    トプリント装置。
  29. 【請求項29】 プリント媒体に対して、顔料を水性媒
    体中に分散状態で含むインクを付与するインク吐出部
    と、該インクと反応する処理液を付与する処理液吐出部
    と、該プリント媒体への該インクの付与後に該処理液を
    付与するための制御手段とを有するインクジェットプリ
    ント装置であって、該インクは、水性媒体と、第1の顔
    料と、第2の顔料と、高分子分散剤とを含み、前記第1
    の顔料が、少なくとも1つのアニオン性基が直接もしく
    は他の原子団を介して該第1の顔料の表面に結合されて
    いる自己分散型顔料であり、該第2の顔料が該高分子分
    散剤によって該水性媒体に分散させることができる顔料
    であり、該高分子分散剤が第1の顔料の表面に結合され
    ている基と同極性の高分子分散剤およびノニオン性の高
    分子分散剤の少なくとも一方であり、 該処理液はCa++、Cu++、Ni++、Mg++、Zn+++、Ba
    ++、Al+++、Fe+++、Cr+++、Co++、Fe++、La++、N
    +++及びY+++からなる群から選ばれる少なくとも1つ
    の多価金属陽イオン、またはその塩、または多価金属陽
    イオンとその塩の両方を含む処理液であり、 前記制御手段が、前記インク吐出部と前記処理液吐出部
    のそれぞれに対して、これらの吐出部から前記インクと
    前記処理液とが別々にプリント媒体に付与され、該プリ
    ント媒体において該インクと該処理液とがそれぞれ液状
    で混合される制御を行うものであることを特徴とするイ
    ンクジェットプリント装置。
  30. 【請求項30】 プリント媒体に対して、顔料を水性媒
    体中に分散状態で含むインクを付与するインク吐出部
    と、該インクと反応する処理液を付与する処理液吐出部
    と、該プリント媒体への該インクの付与後に該処理液を
    付与するための制御手段とを有するインクジェットプリ
    ント装置であって、 前記インクは、 少なくとも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子
    団を介して表面に結合されている自己分散型顔料を水性
    媒体中に含む第1のインクと、 水性媒体と、高分子分散剤によって該水性媒体に分散さ
    せることができる顔料と、該第1の顔料の表面に結合さ
    れている基と同極性の高分子分散剤およびノニオン性の
    高分子分散剤の少なくとも一方と、を含む第2のインク
    とを含み、 該処理液は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一
    方を含み、プリント媒体上で該処理液と該インクとが液
    体状態で接するように付与されたときには、該第1及び
    第2のインクに含まれる少なくとも一方の顔料を凝集さ
    せるものであり、 前記制御手段が、前記第1のインクと、前記第2のイン
    クと、前記処理液とをそれぞれ別々にプリント媒体に、
    該プリント媒体上で各々が液状で接触するように付与す
    る制御を行うものであることを特徴とするインクジェッ
    トプリント装置。
  31. 【請求項31】 プリント媒体上に画像を記録する工程
    を含むインクジェットプリント方法において、 インクをインクジェット記録方法を用いてプリント媒体
    上に付着させる第1の工程:および該インクとの反応性
    を有する処理液を該プリント媒体上に付着させる第2の
    工程:を含み、 該インクは、第1の顔料及び第2の顔料を水性媒体中に
    分散状態で含み、該第1の顔料が少なくとも1つのアニ
    オン性基が直接もしくは他の原子団を介して表面に結合
    されている自己分散型顔料であり、該第2の顔料が高分
    子分散剤によって該水性媒体に分散させることのできる
    顔料であり、該インクは更に該第1の顔料の表面に結合
    されている基と同極性の高分子分散剤およびノニオン性
    の高分子分散剤の少なくとも一方を含むインクであり、 該処理液は多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一
    方を含み、プリント媒体上で該処理液と該第1及び第2
    のインクとが液体状態で接するように付与されたときに
    は、該第1のインク及び該第2のインクの各々に含まれ
    ている顔料の少なくとも一方を凝集させるものであり、 また、該第2の工程は該第1の工程に引き続いて、もし
    くは実質的に同時に、該プリント媒体上で該インクと該
    処理液とが液体状態で接する様に行うことを特徴とする
    インクジェットプリント方法。
  32. 【請求項32】 前記第1及び第2の工程に引き続き、
    更に該インクを該プリント媒体上の該インクと該処理液
    との混合液に対して液体状態で混合される様に該プリン
    ト媒体上に付与する第3の工程を更に含む請求項31に
    記載のインクジェットプリント方法。
  33. 【請求項33】 前記処理液は、その浸透速度が、ブリ
    ストウ法によるKa値で5.0(ml/m2・msec
    1/2)以上である請求項31に記載のインクジェットプ
    リント方法。
  34. 【請求項34】 前記インクは、浸透速度が、ブリスト
    ウ法によるKa値で1.0(ml/m2・msec1/2
    未満である請求項31に記載のインクジェットプリント
    方法。
  35. 【請求項35】 前記アニオン性基が、下記に示すアニ
    オン性基の中から選択される少なくとも1つである請求
    項31に記載のインクジェットプリント方法: −COOM、−SO3M、−PO3HM及び−PO32 (ここで、これらのMはそれぞれ独立して、水素原子
    か、アルカリ金属か、アンモニウムか、あるいは有機ア
    ンモニウムを表す)。
  36. 【請求項36】 前記原子団は、炭素数1〜12のアル
    キレン基か、置換基を有しても良いフェニレン基か、あ
    るいは置換基を有しても良いナフチレン基である請求項
    31に記載のインクジェットプリント方法。
  37. 【請求項37】 前記第1の顔料の粒子の約80%以上
    が粒径0.05〜0.3μmである請求項31に記載の
    インクジェットプリント方法。
  38. 【請求項38】 前記第1の顔料の粒子の約80%以上
    が粒径0.1〜0.25μmである請求項31に記載の
    インクジェットプリント方法。
  39. 【請求項39】 前記第2の顔料がその表面に高分子分
    散剤を吸着することにより分散されている請求項31に
    記載のインクジェットプリント方法。
  40. 【請求項40】 前記高分子分散剤がスルホン酸系高分
    子分散剤およびカルボン酸系高分子分散剤の少なくとも
    一方である請求項31に記載のインクジェットプリント
    方法。
  41. 【請求項41】 前記第2の顔料が、すくなくとも構造
    の異なる2種類の顔料を含む請求項31に記載のインク
    ジェットプリント方法。
  42. 【請求項42】 前記第1の顔料と第2の顔料との質量
    比率が5/95〜97/3の範囲である請求項31に記
    載のインクジェットプリント方法。
  43. 【請求項43】 前記第1の顔料と第2の顔料との質量
    比率が10/90〜95/5の範囲である請求項42に
    記載のインクジェットプリント方法。
  44. 【請求項44】 前記第1の顔料と第2の顔料との質量
    比率が9/1〜4/6の範囲である請求項43に記載の
    インクジェットプリント方法。
  45. 【請求項45】 前記第1の顔料を第2の顔料よりも多
    く含む請求項31に記載のインクジェットプリント方
    法。
  46. 【請求項46】 前記第1の顔料および第2の顔料の少
    なくとも一方はカーボンブラックである請求項31に記
    載のインクジェットプリント方法。
  47. 【請求項47】 該インクが更に該第1の顔料の表面に
    結合されている基と同一の極性の染料を含んでいる請求
    項31に記載のインクジェットプリント方法。
  48. 【請求項48】 該染料がアニオン性染料である請求項
    47に記載のインクジェットプリント方法。
  49. 【請求項49】 該アニオン染料が酸性染料、直接染料
    および反応性染料から選ばれる少なくとも一つである請
    求項48に記載のインクジェットプリント方法。
  50. 【請求項50】 該アニオン染料がジスアゾ骨格または
    トリスアゾ骨格を有する請求項48に記載のインクジェ
    ットプリント方法。
  51. 【請求項51】 第1のインクと第2のインクと処理液
    とを各々プリント媒体上で互いが液体状態で接する様に
    付与する工程を含むプリント方法において、 該第1のインクが、少なくとも1つのアニオン性基が直
    接もしくは他の原子団を介して該第1の顔料の表面に結
    合されている自己分散型顔料を含んでいるものであり、 該第2のインクが、高分子分散剤によって該水性媒体に
    分散させることができる顔料と該第1の顔料の表面に結
    合されている基と同極性の高分子分散剤およびノニオン
    性の高分子分散剤の少なくとも一方とを含み、 該処理液が多価金属陽イオン及びその塩の少なくとも一
    方を含み、プリント媒体上で該処理液と該第1のインク
    及び該第2のインクとが液体状態で接するように付与さ
    れたときには、該インク中の該第1の顔料及び該第2の
    顔料の少なくとも一方の顔料を凝集させるものであり、 該第1のインクと該第2のインクの少なくとも一方を該
    プリント媒体に付与した後に該処理液を付与することを
    特徴とするインクジェットプリント方法。
  52. 【請求項52】 該第1のインク及び該第2のインクを
    該プリント媒体に付与した後に該処理液を付与する請求
    項51に記載のインクジェットプリント方法。
  53. 【請求項53】 該第1のインク及び該第2のインクの
    どちらか一方を該プリント媒体に付与し、ついで該処理
    液を付与し、次に該処理液の付与前に付与しなかったイ
    ンクを付与する工程を有する請求項51に記載のインク
    ジェットプリント方法。
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