JP2015175160A - 常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートの目粗し方法及びセメント硬化体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る目粗し方法は、繊維補強コンクリートの打込み面に対し、当該打込み面1m2あたり300〜1000gの液状の遅延剤を散布する工程と、遅延剤が散布された打込み面を乾燥防止用シートで覆う工程と、繊維補強コンクリートの養生を行う工程と、打込み面から乾燥防止用シートを剥離する工程と、養生後、繊維補強コンクリートの圧縮強度が40〜110N/mm2の範囲の値に到達した状態において打込み面に向けて水を噴射して打込み面を目粗しする工程とを備える。
【選択図】図1
Description
・繊維補強コンクリート製造工程
・繊維補強コンクリート打込み工程
・表面仕上げ工程
・遅延剤散布工程
・乾燥防止用シート配置工程
・養生工程
・脱枠工程
・目粗し工程
目粗し確認試験体及び圧縮強度試験用試験体の製造には以下の材料を用いた。
(1)常温硬化型超高強度繊維補強コンクリート用セメント
(2)シリカフューム(平均粒径:0.23μm)
(3)無機質微粉末(ブレーン比表面積:3850cm2/g)
(4)細骨材(粒径5mm以下,粗粒率:2.81)
(5)混和剤(ポリカルボン酸系高性能減水剤)
(6)水(上水道水)
(7)鋼繊維(密度7.85g/cm3)
セメント100質量部に対してシリカフュームを14質量部、細骨材を25質量部、無機質微粉末を26質量部、混和剤を2質量部、水を17質量部の割合で混合し、強制二軸ミキサで練混ぜてモルタルを製造した。なお,鋼繊維は練りあがったモルタルにほぐしながらセメント100質量部に対して12質量部添加した。
(実施例1)
目粗し確認用の試験体を作製するため、上記モルタルを10cm×10cm×40cmの型枠に流し込んだ。なお、後に散布する遅延剤が型枠から溢れないように、モルタルの打込み高さは型枠面よりも2〜3mm程度低くなるようにした。また、圧縮強度試験用の試験体を作製するため、上記モルタルを直径5cm×高さ10cmの型枠に流し込んだ。
上記恒温室から圧縮強度試験用試験体を回収し、その圧縮強度を測定したところ、58N/mm2であった。
圧縮強度試験用試験体の圧縮強度を確認した後、すぐに恒温室から目粗し確認用試験体を回収した。打込み面を覆っていた食品用ラップを剥がした後、高圧洗浄機を使用して打込み面の目粗しを行った。高圧洗浄機として、リョービ株式会社製AJP−1700VGQ(商品名、吐出圧力3〜7.5MPa、吐出水量3〜6.5L/min)を使用した。表2に評価結果を示す。目粗し確認用試験体の表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、斑は認められず、良好であった(評価A)。なお、表2に記載の「目粗し評価」のA〜DはAが最も高い評価であり、Dが最も低い評価を意味する。
養生後において圧縮強度試験用試験体の圧縮強度が36N/mm2であったことの他は、実施例1と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。目粗し確認用試験体の表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、表面に深く削れた部分があり、目粗しに斑があった(評価C)。これは硬化体の強度不足によるものと考えられる。図3の写真において楕円で囲った箇所が深く削られた部分である。
養生後において圧縮強度試験用試験体の圧縮強度が80N/mm2であったことの他は、実施例1と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。目粗し確認用試験体の表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、斑は認められず、良好であったが、実施例1と比較すると目粗しに時間を要した(評価B)。これは実施例1と比較すると硬化体の強度が高いことによるものと考えられる。
遅延剤の散布量を400g/cm2から500g/cm2に変更したことの他は、実施例2と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。目粗し確認用試験体の表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、図4に示すように斑は認められず、良好であった(評価A)。
遅延剤の散布量を400g/cm2から300g/cm2に変更するとともに打込み面を食品用ラップで覆うことなく養生を行ったことの他は、実施例2と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。本例では図5に示すように目粗しが全体的にできなかった(評価D)。これは遅延剤の散布量が少なく、また養生時に乾燥防止用シートを使用しなかったため、打込み面が乾燥して遅延剤の効果が小さかったことによるものと考えられる。
遅延剤の散布量を400g/cm2から300g/cm2に変更したことの他は、実施例2と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。本例では目粗しができない部分があった(評価C)。これは遅延剤の散布量が少なかったことによるものと考えられる。
打込み面を食品用ラップで覆うことなく養生を行ったことの他は、実施例3と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。本例では目粗しが全体的にできなかった(評価D)。これは養生時に乾燥防止用シートを使用しなかったため、打込み面が乾燥して遅延剤の効果が小さかったことによるものと考えられる。
養生後において圧縮強度試験用試験体の圧縮強度が91N/mm2であったことの他は、実施例3と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。目粗し確認用試験体の表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、斑は認められず、良好であった(評価A)。
養生後において圧縮強度試験用試験体の圧縮強度が108N/mm2であったことの他は、実施例3と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。目粗し確認用試験体の表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、斑は認められず、良好であったが、実施例1と比較すると目粗しに時間を要した(評価B)。これは実施例4と比較すると硬化体の強度が高いことによるものと考えられる。
養生後において圧縮強度試験用試験体の圧縮強度が120N/mm2であったことの他は、実施例3と同様にして目粗し確認用試験体の目粗しを行った。表2に評価結果を示す。本例では目粗しができない部分があった(評価C)。これは遅延剤の効果が不十分であったことによるものと考えられる。図6の写真において円で囲った箇所が目粗しできなかった部分である。
非特許文献1の第75−76頁に記載のせん断キー(専用シート)を用いて打込み面に凹凸を設けた。試験体の打込み面を目視にて観察したところ、多くの気泡が残存していた。これは打込み面にシートを貼り付けたことで、気泡が抜けにくくなったことに起因すると推察される。図7の写真において円で囲った箇所が気泡に起因した欠陥が存在する部分である。
実製造に係るパネル(1.5m×1.5m×厚さ0.05m程度)を製造する過程において打込み面の目粗しを行った(図8参照)。計11枚のパネルを製造した。表3に示すとおり、いずれのパネルも遅延剤散布量は400g/m2とし、打込み面をブルーシート(乾燥防止用シート)で覆った状態で養生を行った。養生後、目粗しする際のパネルの圧縮強度は60〜92N/mm2であった(表3参照)。なお、パネルの圧縮強度は各パネルについて別途準備した供試体の圧縮強度の測定値に基づくものである。実施例6〜16に係るパネルの表面における目粗し状況を目視にて確認したところ、いずれのパネルも斑は認められず、良好であった(評価A)。図9は実製造したパネルの目粗し後の表面を示す写真である。
Claims (5)
- 常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートの目粗し方法であって、
前記繊維補強コンクリートの打込み面に対し、当該打込み面1m2あたり300〜1000gの液状の遅延剤を散布する工程と、
前記遅延剤が散布された前記打込み面を乾燥防止用シートで覆う工程と、
前記乾燥防止用シートで覆った状態で前記繊維補強コンクリートの養生を行う工程と、
前記打込み面から前記乾燥防止用シートを剥離する工程と、
前記養生後、前記繊維補強コンクリートの圧縮強度が40〜110N/mm2の範囲の値に到達した状態において前記打込み面に向けて水を噴射して前記打込み面を目粗しする工程と、
を備える目粗し方法。 - 前記繊維補強コンクリートの打込み作業を実施する際、前記繊維補強コンクリートの供試体を準備する工程と、
前記供試体を前記打込み面と同じ雰囲気下に配置する工程と、
前記供試体の強度を測定する工程と、
を更に備える、請求項1に記載の目粗し方法。 - 前記繊維補強コンクリートは、セメントと、シリカフュームと、水と、減水剤と、消泡剤と、骨材と、高張力繊維とを含むセメント組成物であり、
前記セメントは、C3Sを40.0〜75.0質量%及びC3Aを2.7質量%未満含有する、請求項1又は2に記載の目粗し方法。 - 前記遅延剤は、オキシカルボン酸塩又はポリヒドロキシカルボン酸複合体を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の目粗し方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の目粗し方法によって目粗しされた面を有する常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートからなるセメント硬化体。
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