JP5863296B2 - 超高強度セメント系硬化体の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、自己収縮とは、セメントの水和により生じる体積減少をいい、特に、高強度セメント系硬化体を製造するためにセメントの配合割合を増大させ、かつ、高性能減水剤等の減水剤を使用して、水/セメント比を減少させた場合に大きな問題となる。
これらの体積変化を低減するために、膨張材や収縮低減効果を有する高性能減水剤が提案されている。
また、乾燥収縮を低減する効果を有する高性能減水剤として、特許文献2にはポリカルボン酸またはその塩の側鎖に、オリゴアルキレングリコール類および/または多価アルコール類とが化学的に結合したグラフトポリマーを含有する乾燥収縮低減型セメント分散剤が記載されている。さらに、特許文献3にはポリカルボン酸またはその塩の側鎖に収縮低減性を有する化合物の1種以上が化学的に結合したグラフトポリマーと、減水性を有する化合物の1種以上又は収縮低減性を有する化合物の1種以上とを含有してなる、乾燥収縮低減型セメント分散剤が記載されている。
一方、自己収縮を低減する効果を有する高性能減水剤も市販されている(例えば、BASFポゾリス社製のレオビルドSP−8HU(SR)等)。市販の収縮低減型高性能減水剤を使用した場合、標準養生した圧縮強度が150N/mm2程度の超高強度コンクリートにおいて、従来の収縮低減型ではない高性能減水剤を使用した場合と比較して自己収縮を15〜30%低減することができる。
そこで、本発明の目的は、収縮低減型高性能減水剤を使用した場合において、自己収縮を更に低減することができる超高強度セメント系硬化体の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の[1]を提供するものである。
[1]セメントと、BET比表面積が2〜25m2/gのポゾラン質微粉末と、石灰系膨張材と、収縮低減型高性能減水剤と、骨材と、水を含み、かつ、上記石灰系膨張材の配合量が上記セメント100質量部に対して2.5〜4質量部であるセメント組成物を混練し、該混練物を成形し、該成形体の温度が、5時間以上60℃以上となるように養生し、圧縮強度が160N/mm2以上である超高強度セメント系硬化体を得る、超高強度セメント系硬化体の製造方法であって、上記石灰系膨張材が、3CaO・SiO 2 −2CaO・SiO 2 −CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO 2 −CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO 2 −CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含み、ブレーン比表面積が4,000〜7,000cm 2 /gである膨張材であることを特徴とする超高強度セメント系硬化体の製造方法。
また、圧縮強度が160N/mm2以上の超高強度セメント系硬化体において、従来の収縮低減型ではない高性能減水剤を使用した場合と比較して、自己収縮を50%以上低減することができる。
本発明で用いられるセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、エコセメント、高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメントや、シリカフュームや石灰石粉末をポルトランドセメントとプレミックスしたプレミックスセメント等が挙げられる。
なお、ポゾラン質微粉末のBET比表面積は、セメント組成物の流動性等の観点から、好ましくは6〜17m2/g、より好ましくは7〜15m2/gである。
このような、収縮低減型高性能減水剤の市販品の例としては、「レオビルドSP8HU(SR)」(BASFポゾリス社製)等が挙げられる。
収縮低減型高性能減水剤を配合することによって、自己収縮が低減するとともに、セメント組成物の流動性や施工性、硬化後の緻密性や強度等が向上する。
収縮低減型高性能減水剤の配合量は、セメント(膨張材が含まれる場合にはセメントと膨張材の合計量)100質量部に対して固形分換算で0.1〜4.0質量部が好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましい。配合量が前記範囲外では、流動性が低下したり、硬化後の強度や静弾性係数等が低下する。
細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、各種軽量細骨材、各種スラグ細骨材、再生細骨材またはこれらの混合物等を使用することができる。粗骨材としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、各種軽量粗骨材、各種スラグ粗骨材、再生粗骨材またはこれらの混合物等を使用することができる。
骨材の配合量(細骨材と粗骨材を併用する場合はその合計量)は、セメント(膨張材が含まれる場合にはセメントと膨張材の合計量)100質量部に対して50〜250質量部が好ましく、70〜200質量部がより好ましい。該配合量が前記範囲外では、硬化後の強度等が低下したり、収縮率が大きくなる。
本発明で用いる膨張材(膨張性混和材)は、石灰系膨張材である。
石灰系膨張材の好適な例として、3CaO・SiO2−2CaO・SiO2−CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO2−CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO2−CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含み、ブレーン比表面積が4,000〜7,000cm2/gである膨張材(特開2008−266132号公報に記載されたもの;以下、「膨張材A」ともいう。)が挙げられる。
以下、この膨張材Aの例について詳しく説明する。
膨張材Aにおいて、「3CaO・SiO2−2CaO・SiO2−CaO−間隙物質系組成物」とは、0.5質量%以上のエーライト(3CaO・SiO2)と、0.5質量%以上のビーライト(2CaO・SiO2)と、CaO結晶と、間隙物質とを含有する組成物をいう。
「3CaO・SiO2−CaO−間隙物質系組成物」とは、0.5質量%以上のエーライト(3CaO・SiO2)と、CaO結晶と、間隙物質とを含有し、ビーライト(2CaO・SiO2)の含有率が0.5質量%未満の組成物をいう。
「2CaO・SiO2−CaO−間隙物質系組成物」とは、0.5質量%以上のビーライト(2CaO・SiO2)と、CaO結晶と、間隙物質とを含有し、エーライト(3CaO・SiO2)の含有率が0.5質量%未満の組成物をいう。
「CaO−間隙物質系組成物」とは、CaO結晶と間隙物質とを含有し、エーライト(3CaO・SiO2)とビーライト(2CaO・SiO2)の含有率がともに0.5質量%未満のものをいう。
膨張材Aにおいて、クリンカ組成物中のCaOの含有割合は、クリンカ組成物の全質量に対して50〜92質量%である。CaOの含有割合が50質量%未満であると、早期に強度を発現するのが困難となるおそれがあり、92質量%を超えると、相対的に間隙物質の含有量が減少し、硬化体の収縮を抑制するのが困難になるおそれがある。
膨張材Aのブレーン比表面積は、4,000〜7,000cm2/g、好ましくは4,200〜6,000cm2/gである。該値が4,000cm2/g未満であると、硬化体の異常膨張が生じるおそれがある。該値が7,000cm2/gを超えると、製造コストが増大するほか、流動性や施工性の低下を引き起こすことがある。
膨張材Aは、さらに生石灰を含むことが好ましい。この場合、生石灰が水和反応に伴って膨張するため、硬化体の収縮をさらに抑制することができる。また、この場合、膨張材Aは、前記クリンカ組成物と生石灰との合計100質量部中、前記クリンカ組成物を20質量部以上含むものであり、かつ前記クリンカ組成物と生石灰との合計100質量部に対して、石膏5〜50質量部を含むことが好ましい。
膨張材Aは、特開2008−266132号公報に記載された方法によって製造することができる。
膨張材Aの市販品の例としては、「太平洋N−EX」(太平洋マテリアル社製)等が挙げられる。
本発明において、セメントと膨張材の合計量100質量部に対する水の配合量は、5〜20質量部が好ましく、5〜17質量部がより好ましく、5〜15質量部が特に好ましい。
セメント組成物の混練方法は、特に限定されるものではない。また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
混練物の成形方法も特に限定されるものではなく、所定の型枠に、流し込み成形、振動成形、あるいは遠心成形等をすることができる。
成形体の温度を60℃以上に保持する時間は、5時間以上、より好ましくは8時間以上、特に好ましくは10時間以上である。該保持時間が5時間未満であると、自己収縮の低減効果が低くなる。
本発明において、成形体の温度を60℃以上となるようにする方法としては、成形体を加熱養生(例えば、蒸気養生、オートクレーブ養生、オーブンによる加熱養生等)する方法や、成形体に断熱材等を被覆して養生する方法等が挙げられる。なお、成形体の寸法によっては(例えば、一辺が50〜200cm程度の柱状体等)は、自己発熱だけで成形体の温度が60℃以上となるので、このような成形体では加熱養生を行うことや成形体に断熱材等を被覆することは必ずしも必要ではない。
図1に、本発明の製造方法の成形体の温度の温度履歴の一例を示す。
〔1.使用材料〕
以下の材料を使用した。
(1)セメント:中庸熱ポルトランドセメント100質量部とBET比表面積が10m2/gのシリカフューム10質量部を混合したもの
(2)減水剤A:BASFポゾリス社製のポリカルボン酸エーテル系化合物(高性能減水剤、商品名:レオビルドSP−8HU)
(3)減水剤B:BASFポゾリス社製のポリカルボン酸エーテル系化合物とグリコール系化合物の複合体(収縮低減型高性能減水剤、商品名:レオビルドSP−8HU(SR))
(4)膨張材:太平洋マテリアル社製の石灰系膨張材(商品名:太平洋N−EX、密度:3.19g/cm3、ブレーン比表面積4920cm2/g)
(5)収縮低減剤:太平洋マテリアル社製(商品名:テトラガートAS21)
(6)細骨材:山砂(表乾密度:2.56g/cm3)
(7)粗骨材:硬質砂岩砕石(表乾密度:2.64g/cm3、実績率:60%)
(8)水:水道水
表1に示された配合割合に従って、各材料を二軸練りミキサに投入し混練して、セメント組成物A−1〜A−3、B−1〜B−3、及びC−1〜C−2を得た。
得られたフレッシュコンクリート(セメント組成物A−1〜A−3、B−1〜B−3、及びC−1〜C−2)について、JIS−A1150に基づいてスランプフロー試験を行った。また、空気量の測定をJIS−A1128に準じて行った。
結果を表1に示す。
フレッシュコンクリート(セメント組成物A−1〜A−3、B−1〜B−3及びC−1)を材料として、JCI自己収縮研究委員会及びJCI超流動研究委員会の方法に準拠して、20℃環境下にて内部に埋め込みひずみ計(KM−100BT、東京測器研究所社製)を配置した100×100×400mmの供試体を1本作製し、20℃の一定養生、及び図1で示すような温度履歴(成形体の温度履歴、60℃以上を74時間保持)を与え、凝結始発時以降のひずみをそれぞれ計測した。
20℃の一定養生を行った供試体は材齢1日で、温度履歴養生を行った供試体は材齢7日で脱型し、供試体の全露出面をアルミ箔粘着テープ(厚さ0.1mm)でシールし、20℃の恒温室内で養生を継続した。
有効材齢40日における自己収縮のひずみの値、及び圧縮強度を表2に示す。
ここで有効材齢とは水和反応を捉えるにあたって温度と時間の影響を考慮するもので、セメント系硬化体の凝結時の温度と温度履歴から下記式(1)を用いて計算される。
例えば、温度が20℃で、実材齢が1日の場合の有効材齢は1日であり、温度が30℃で、実材齢が1日の場合の有効材齢は1.57日であり、温度が10℃で、実材齢が10日の場合の有効材齢は0.45日であり、温度が60℃で、実材齢が1日の場合の有効材齢は5.14日であり、温度が80℃で、実材齢が10日の場合の有効材齢は10.17日である。
同様に、参考例2と比較例2(減水剤Aを用いた以外は参考例2と同一条件)を比べた場合の低減率(60.0%)は、比較例7と比較例10(減水剤Aを用いた以外は比較例7と同一条件)を比べた場合の低減率(37.8%)より大きい。また、実施例1と比較例3(減水剤Aを用いた以外は実施例1と同一条件)を比べた場合の低減率(93.1%)も、比較例8と比較例11(減水剤Aを用いた以外は比較例8と同一条件)を比べた場合の低減率(63.3%)と比べて大きい。
以上のことより、収縮低減型高性能減水剤を用いた場合の自己収縮低減効果は、20℃で一定養生を行った場合よりも、温度履歴養生を行った場合に顕著に大きくなる。
また、収縮低減型高性能減水剤の代わりに、高性能減水剤と収縮低減剤を用いた場合、最高温度が90℃の温度履歴養生を行った実施例1と比較例5から、収縮低減型高性能減水剤は、収縮低減剤を添加する場合よりも優れた効果を有することがわかる。
Claims (1)
- セメントと、BET比表面積が2〜25m2/gのポゾラン質微粉末と、石灰系膨張材と、収縮低減型高性能減水剤と、骨材と、水を含み、かつ、上記石灰系膨張材の配合量が上記セメント100質量部に対して2.5〜4質量部であるセメント組成物を混練し、該混練物を成形し、該成形体の温度が、5時間以上60℃以上となるように養生し、圧縮強度が160N/mm2以上である超高強度セメント系硬化体を得る、超高強度セメント系硬化体の製造方法であって、
上記石灰系膨張材が、3CaO・SiO 2 −2CaO・SiO 2 −CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO 2 −CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO 2 −CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含み、ブレーン比表面積が4,000〜7,000cm 2 /gである膨張材であることを特徴とする超高強度セメント系硬化体の製造方法。
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