JP6245977B2 - モルタルまたはコンクリートの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に、高強度かつ高ワーカビリティを有するモルタルやコンクリートの製造に使用されるセメント組成物として、2CaO・SiO2含有量が30〜60質量%であるポルトランドセメントと、BET比表面積が5〜15m2/gのシリカフュームとからなるセメント組成物が記載されている。
しかし、近年、様々な要因により、BET比表面積が10m2/g程度の比較的粒径の大きいシリカフュームを入手することが困難になってきている。そのため、BET比表面積がより大きいシリカフューム(例えば、BET比表面積が13〜21m2/gのもの)を使用せざるを得ない状況になっている。そして、BET比表面積が大きいシリカフュームを使用した場合には、モルタルやコンクリートの流動性が低くなるという問題がある。
本発明の目的は、BET比表面積の大きいシリカフュームを使用した場合であっても、流動性を向上させることができるモルタルまたはコンクリートの製造方法を提供することである。
[1] ボーグ式を用いて算出した2CaO・SiO2の含有率が30〜60質量%であるポルトランドセメント及びBET比表面積が13〜21m2/gであるシリカフュームを含む結合材と、高性能減水剤と、細骨材と、水を含み、水結合材比が10〜25質量%であるモルタルの製造方法であって、上記結合材と、細骨材と、全水量の20〜100質量%の水を混練して、混練物を得る第一の混練工程と、第一の混練工程で得られた混練物と、残りの全材料を混練して、モルタルを得る第二の混練工程とを含むことを特徴とするモルタルの製造方法。
[2] 上記[1]に記載の製造方法によってモルタルを得た後、該モルタルと、粗骨材を混練して、コンクリートを得るコンクリートの製造方法。
また、本発明のコンクリートの製造方法は、上述の製造方法によってモルタルを得た後、該モルタルと、粗骨材を混練して、コンクリートを得るものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
C2Sの含有率が30〜60質量%であるポルトランドセメントとしては、例えば、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等が挙げられる。
ポルトランドセメント中のC2Sの含有率は、以下の計算式を用いて算出される。
C2S(質量%)=(2.87×SiO2(質量%))−(0.754×C3S(質量%))
ここで、ポルトランドセメント中のC3S(3CaO・SiO2;エーライト)の含有率は、以下の計算式を用いて算出される。
C3S(質量%)=(4.07×CaO(質量%))−(7.60×SiO2(質量%))−(6.72×Al2O3(質量%))−(1.43×Fe2O3(質量%))−(2.85×SO3(質量%))
他の無機粉末としては、石膏、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。
石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏が挙げられる。石膏の中でも、無水石膏が好ましい。
他の無機粉末のブレーン比表面積は、モルタル等の流動性や、結合材の強度発現性等の観点から、好ましくは5,000〜15,000cm2/g、より好ましくは6,000〜14,000cm2/gである。
他の無機粉末の配合量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。該配合量が50質量部を超えると、本発明の効果を十分に得ることができないことがあり、強度発現性に悪影響を及ぼすことがある。
高性能減水剤の配合量は、結合材100質量部に対して、好ましくは0.1〜3.0質量部、より好ましくは0.3〜2.5質量部、さらに好ましくは0.5〜2.2質量部、特に好ましくは0.8〜2.0質量部である。
本発明において、高性能減水剤以外の任意に用いられる混和剤として、空気量調整剤等が挙げられる。
細骨材の配合量は、モルタル等の流動性及び強度(例えば、圧縮強度)の観点から、結合材100質量部に対して、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは10〜150質量部、さらに好ましくは15〜120質量部、特に好ましくは20〜100質量部である。
第一の混練工程で用いられる水の量は、全水量(第一の混練工程及び第二の混練工程において用いられる水の合計量)の20〜100質量%、好ましくは30〜100質量%、特に好ましくは40〜100質量%である。該量が20質量%未満であると、モルタル等の流動性の向上の効果が低下する。
本発明における混練に用いられるミキサとしては、特に限定されるものではなく、パン型ミキサや二軸練りミキサ等を使用することができる。
本発明において、第二の混練工程の後に、得られたモルタルと、粗骨材を混練する工程を設けてもよい。モルタルと粗骨材を混練することによって、コンクリートを得ることができる。
粗骨材としては、川砂利、山砂利、海砂利、砕石等が挙げられる。これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
粗骨材の配合量は、コンクリートの流動性、強度等の観点から、結合材100質量部に対して、好ましくは10〜400質量部、より好ましくは30〜300質量部、さらに好ましくは40〜200質量部、特に好ましくは50〜150質量部である。
使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)セメント:中庸熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、C2Sの含有率:36質量%、密度:3.2g/cm3)
(2)シリカフューム1:金属シリコン系シリカフューム(BET比表面積:18.6m2/g、密度:2.3g/cm3)
(3)シリカフューム2:ジルコニア系シリカフューム(BET比表面積:10.0m2/g、密度2.3g/cm3)
(4)細骨材:砕砂(山梨県大月市産の安山岩、密度:2.6g/cm3)
(5)粗骨材:砕石2005(山梨県大月市産の安山岩、密度2.6g/cm3)
(6)高性能減水剤:BASF社製、商品名「マスターグレニウムSP8HU」
(7)空気量調整剤:BASF社製、商品名「マスターエア404」
上記材料を、表1に示す配合に従って、ホバートミキサ(容量:1リットル)を用いて混練して、モルタルを製造した。
各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、残りの全材料(二次水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して120秒間混練する方法(表1中、「ダブルミキシング」という。)を行った。
得られたモルタルについて、モルタルフロー値、材齢2日における圧縮強度、温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度を、以下の評価方法に従って測定した。結果を表2に示す。
(1)モルタルフロー値
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法) 11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。
(2)200mmフロー到達時間
上記(1)のフロー試験において、フロー値が200mmに達するまでの時間を測定した。
(3)材齢2日における圧縮強度
「2013年制定 コンクリート標準示方書[規準編]」の「土木学会規準」の「F.フレッシュコンクリート」の「16.プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(案)(JSCE−F 522−2013)」に準じて、ポリエチレン袋内の硬化体(φ50×100mm)を切り出して、材齢2日における圧縮強度を測定した。
(4)温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度
モルタルをφ50×100mmの型枠を用いて成型した後、最高温度80℃で168時間(7日間)の温度履歴養生を行った。温度履歴パターンは、20℃の条件下で24時間の前置きを行った後、5℃/時間の昇温速度で80℃まで温度を上昇させ、次いで、80℃の条件を12時間保持した後、0.5℃/時間の降温速度で温度が20℃になるまで降温させるものであった。上述した温度履歴養生を行った供試体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
表1に示すように、一次水と二次水の比率を定めた以外は実施例1と同様にして、モルタルを製造した。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
[比較例1、参考例1]
各材料の練り混ぜ方法として、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、残りの全材料(水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して180秒間混練する方法(表1中、「シングルミキシング」という。)を行い(比較例1、参考例1)、かつ、シリカフュームの種類を変えた(参考例1)以外は、実施例1と同様にしてモルタルを製造した。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
表1に示すように、材料の種類及び配合割合を定め、各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、残りの全材料(二次水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して300秒間混練する方法を行った。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
[比較例2、参考例2]
各材料の練り混ぜ方法として、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、残りの全材料(水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して360秒間混練する方法を行い(比較例2、参考例2)、かつ、シリカフュームの種類を変えた(参考例2)以外は、実施例5と同様にしてモルタルを製造した。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
上記材料を、表3に示す配合で、二軸練りミキサ(容量:60リットル)を用いて混練し、コンクリートを製造した。
各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、二次水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して120秒間混練し、さらに粗骨材を投入して60秒間混練する方法(表3中、「ダブルミキシング」という。)を行った。
得られたコンクリートについて、スランプフロー値、及び、500mmフロー到達時間を、以下の評価方法に従って測定した。結果を表4に示す。
なお、後述の実施例7、比較例3〜4、及び、参考例3では、温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度を、以下の評価方法に従って測定した。
(1)スランプフロー値
「JIS A 1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)」に準じて測定した。
(2)500mmフロー到達時間
上記(1)のスランプフロー試験において、フロー値が500mmに達するまでの時間を測定した。
(3)温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度
コンクリートをφ100×200mmの型枠を用いて成型した後、最高温度80℃で168時間(7日間)の温度履歴養生を行った。温度履歴パターンは、20℃の条件下で24時間の前置きを行った後、5℃/時間の昇温速度で80℃まで温度を上昇させ、次いで、80℃の条件を12時間保持した後、0.5℃/時間の降温速度で温度が20℃になるまで降温させるものであった。上述した温度履歴養生を行った供試体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
各材料の練り混ぜ方法として、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して180秒間混練し、次いで、粗骨材を投入して60秒間混練する方法(表3中、「シングルミキシング」という。)を行い(比較例3、参考例3)、かつ、シリカフュームの種類を変えた(参考例3)以外は、実施例6と同様にして、コンクリートを製造し、その物性を測定した。結果を表4に示す。
表3に示すように材料の配合割合を定め、各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、二次水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して300秒間混練し、さらに粗骨材を投入して90秒間混練する方法を行った。得られたコンクリートの物性について、実施例6と同様に測定した。結果を表4に示す。
[比較例4]
セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して300秒間混練し、次いで、粗骨材を投入して90秒間混練する方法を行った。得られたコンクリートの物性について、実施例6と同様に測定した。結果を表4に示す。
Claims (5)
- ボーグ式を用いて算出した2CaO・SiO2の含有率が30〜60質量%であるポルトランドセメント及びBET比表面積が13〜21m2/gであるシリカフュームを含む結合材と、高性能減水剤と、細骨材と、水を含み、水結合材比が10〜20質量%であるモルタルの製造方法であって、
上記結合材と、細骨材と、全水量の20〜100質量%の水を混練して、混練物を得る第一の混練工程と、
第一の混練工程で得られた混練物と、残りの全材料を混練して、モルタルを得る第二の混練工程と
を含むことを特徴とするモルタルの製造方法。 - 上記第一の混練工程の前に、上記結合材と上記細骨材を予め空練りする工程を含む請求項1に記載のモルタルの製造方法。
- 上記シリカフュームの配合量が、上記ポルトランドセメント100質量部に対して、5〜30質量部であり、上記高性能減水剤の配合量が、上記結合材100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であり、上記細骨材の配合量が、上記結合材100質量部に対して、5〜200質量部である請求項1又は2に記載のモルタルの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法によってモルタルを得た後、該モルタルと、粗骨材を混練して、コンクリートを得るコンクリートの製造方法。
- 上記コンクリートが、急結剤を含まない請求項4に記載のコンクリートの製造方法。
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