JP2020050568A - セメント組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビーライトの割合が50.0〜65.0質量%であり、アルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が1.0〜2.4質量%であるポルトランドセメントクリンカ粉末と、二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方と、II型無水石膏粉末、を含むセメント組成物であって、ポルトランドセメントクリンカ粉末と、二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方の合計量100質量%中のSO3の割合が1.5〜2.7質量%であり、セメント組成物中のII型無水石膏粉末の割合がSO3換算で0.1〜3.5質量%であるセメント組成物。
【選択図】なし
Description
セメント組成物の水和熱を小さくすることができる技術として、特許文献1には、C2S(ビーライト;2CaO・SiO2)100重量部に対して、C2AS(2CaO・Al2O3・SiO2)を10〜100重量部含有し、かつ、C3A(アルミネート相;3CaO・Al2O3)の含有量が20重量部以下であることを特徴とする焼成物が記載されている。また、特許文献1には、該焼成物を粉砕してなるセメント混和材が記載されている。
本発明の目的は、容易に製造することができ、強度発現性に優れ、かつ、水和熱の小さいセメント組成物(JISに規定する水和熱の基準を満たす点で、低熱ポルトランドセメントに相当するもの)を提供することである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供するものである。
[1] ビーライトの割合が50.0〜65.0質量%であり、アルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が1.0〜2.4質量%であるポルトランドセメントクリンカ粉末と、二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方と、II型無水石膏粉末、を含むセメント組成物であって、上記ポルトランドセメントクリンカ粉末と、上記二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方の合計量100質量%中のSO3の割合が1.5〜2.7質量%であり、上記セメント組成物中の上記II型無水石膏粉末の割合がSO3換算で0.1〜3.5質量%であることを特徴とするセメント組成物。
[2] 上記ポルトランドセメントクリンカ粉末中のアルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が、1.5〜2.0質量%である前記[1]に記載のセメント組成物。
[3] 前記[1]又は[2]に記載のセメント組成物を製造するための方法であって、上記ポルトランドセメントクリンカ粉末と、上記二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方を、上記ポルトランドセメントクリンカ粉末と上記二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方の合計量100質量%中のSO3の割合が1.5〜2.7質量%となる量で混合して、ポルトランドセメントを得る工程と、上記ポルトランドセメントと上記II型無水石膏粉末を、セメント組成物中の上記II型無水石膏粉末の割合がSO3換算で0.1〜3.5質量%となる量で混合して、セメント組成物を得る工程を含む、上記セメント組成物の製造方法。
本発明において、セメント組成物とは、ペースト、モルタルまたはコンクリートを調製するための他の材料(減水剤、消泡剤、収縮低減剤等の各種セメント混和剤や、細骨材、粗骨材、及び、水等)は含まれないものとする。
ポルトランドセメントクリンカ粉末中のアルミネート相の割合は、ポルトランドセメントクリンカの製造の容易性の観点からは、1.0質量%以上、好ましくは1.1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上である。また、上記割合は、水和熱を小さくする効果が向上する観点からは、2.4質量%以下、好ましくは2.3質量%以下、より好ましくは2.2質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
また、ポルトランドセメントクリンカ粉末中の4CaO・Al2O3・Fe2O3(フェライト相;以下、「C4AF」ともいう。)の割合は、ポルトランドセメントクリンカの製造の容易性等の観点から、好ましくは8.0〜10.0質量%、より好ましくは8.5〜9.5質量%、特に好ましくは8.7〜9.4質量%である。
C3S(質量%)=(4.07×CaO(質量%))−(7.60×SiO2(質量%))−(6.72×Al2O3(質量%))−(1.43×Fe2O3(質量%))
C2S(質量%)=(2.87×SiO2(質量%))−(0.754×C3S(質量%))
C3A(質量%)=(2.65×Al2O3(質量%))−(1.69×Fe2O3(質量%))
C4AF(質量%)=3.04×Fe2O3(質量%)
セメント組成物中の、半水石膏の量と、二水石膏及び半水石膏の合計量とのSO3換算の質量比(半水石膏のSO3換算の量/(二水石膏及び半水石膏の合計のSO3換算の量))は、セメント組成物の流動性及び強度発現性の観点から、好ましくは0.3〜0.95、より好ましくは0.4〜0.9、特に好ましくは0.5〜0.85である。
II型無水石膏粉末のブレーン比表面積は、好ましくは3,000〜6,000cm2/g、より好ましくは3,300〜5,000cm2/g、特に好ましくは3,500〜4,500cm2/gである。該ブレーン比表面積が3,000cm2/g以上であれば、セメント組成物の強度発現性がより向上する。該ブレーン比表面積が6,000cm2/g以下であれば、セメント組成物の流動性がより向上する。
なお、本発明では、無水石膏としてII型無水石膏を用いている。II型無水石膏以外の無水石膏として、可溶性無水石膏(III型無水石膏)があるが、可溶性無水石膏を用いた場合、水和熱を低減する効果は見られない。
また、本発明のセメント組成物の「JIS R 5203:2015(セメントの水和熱測定方法)」に準拠して測定した、材齢28日における水和熱は、好ましくは290J/g以下、より好ましくは285J/g以下、特に好ましくは280J/g以下である。
(i) 低熱ポルトランドセメントクリンカ粉砕物と、二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方を混合してなる低熱ポルトランドセメントであって、該低熱ポルトランドセメント中のSO3の割合が1.5〜2.7質量%である低熱ポルトランドセメントと、II型無水石膏粉末を混合してセメント組成物を得る、セメント組成物の製造方法
(ii) 低熱ポルトランドセメントクリンカと、二水石膏と、II型無水石膏を同時に混合しながら粉砕してセメント組成物を得る、セメント組成物の製造方法。
[使用材料]
(1)低熱ポルトランドセメントL1〜L2;低熱ポルトランドセメントクリンカ粉砕物と、半水石膏と二水石膏の混合物、半水石膏のSO3換算の量/(二水石膏及び半水石膏の合計のSO3換算の量):0.55、太平洋セメント社製、鉱物組成等の詳細は表1に示す。表1中、「鉱物組成(質量%)」は、低熱ポルトランドセメントクリンカ粉末の鉱物組成を意味し、「SO3(質量%)」は、低熱ポルトランドセメント中のSO3の割合を意味する。
(2)II型無水石膏粉末(表2〜3中、「無水石膏」と示す。);ブレーン比表面積:4,220cm2/g
(3)細骨材;「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に規定される標準砂
(4)水;水道水
[水和熱]
「JIS R 5203:2015(セメントの水和熱測定方法)」に準拠して、材齢7日、及び、材齢28日の水和熱を測定した。
[モルタル圧縮強さ]
「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に準拠して、材齢3日、材齢7日、及び、材齢28日におけるモルタル圧縮強さを測定した。
低熱ポルトランドセメントL1とII型無水石膏粉末を、セメント組成物中のII型無水石膏の割合(SO3換算)が表2に示す値となるように、ミキサーを用いて混合してセメント組成物を得た。得られたセメント組成物のブレーン比表面積は、3,510〜3,600cm2/gであった。
得られたセメント組成物の水和熱、及び、モルタル圧縮強さを測定した。結果を表2に示す。
低熱ポルトランドセメントL2とII型無水石膏粉末を、セメント組成物中のII型無水石膏の割合(SO3換算)が表3に示す値となるように、ミキサーを用いて混合してセメント組成物を得た。得られたセメント組成物のブレーン比表面積は、3,420〜3,500cm2/gであった。
得られたセメント組成物の水和熱、及び、モルタル圧縮強さを測定した。結果を表3に示す。
一方、比較例1のセメント組成物(II型無水石膏粉末の割合が0質量%であるもの)の、材齢7日のモルタル圧縮強さ(21.7N/mm2)及び材齢28日のモルタル圧縮強さ(61.6N/mm2)は、各々、実施例1〜4の材齢7日及び材齢28日のモルタル圧縮強さと同程度又は大きいことがわかる。しかし、比較例1の水和熱(材齢7日:214J/g、材齢28日:289J/g)は、実施例1〜4の各材齢における水和熱よりも大きいことがわかる。
また、比較例2のセメント組成物(II型無水石膏粉末の割合が4.0質量%であるもの)の、水和熱(材齢7日:185J/g、材齢28日:257J/g)は、実施例1〜4の各材齢における水和熱よりも小さいものの、モルタル圧縮強さ(材齢3日:12.4N/mm2、材齢7日:18.2N/mm2、材齢28日:54.5N/mm2)は、実施例1〜4の各材齢におけるモルタル圧縮強さよりも小さいことがわかる。
一方、比較例3のセメント組成物(II型無水石膏粉末の割合が0質量%であるもの)の、材齢7日のモルタル圧縮強さ(16.5N/mm2)及び材齢28日のモルタル圧縮強さ(55.4N/mm2)は、各々、実施例5〜8の材齢7日及び材齢28日のモルタル圧縮強さと同程度又は大きいことがわかる。しかし、比較例3の水和熱(材齢7日:199J/g、材齢28日:275J/g)は、実施例5〜8の各材齢における水和熱よりも大きいことがわかる。
また、比較例4のセメント組成物(II型無水石膏粉末の割合が4.0質量%であるもの)の、水和熱(材齢7日:172J/g、材齢28日:245J/g)は、実施例5〜8の各材齢における水和熱よりも小さいものの、モルタル圧縮強さ(材齢3日:9.7N/mm2、材齢7日:13.9N/mm2、材齢28日:48.8N/mm2)は、実施例5〜8の各材齢におけるモルタル圧縮強さよりも小さいことがわかる。
これらのことから、低熱ポルトランドセメントL1又はL2を用いたセメント組成物において、II無水石膏粉末の割合を0.1〜3.5質量%にすることで、モルタル圧縮強さの低下を抑制しつつ、水和熱を小さくしうることがわかる。
Claims (3)
- ビーライトの割合が50.0〜65.0質量%であり、アルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が1.0〜2.4質量%であるポルトランドセメントクリンカ粉末と、
二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方と、
II型無水石膏粉末、を含むセメント組成物であって、
上記ポルトランドセメントクリンカ粉末と、上記二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方の合計量100質量%中のSO3の割合が1.5〜2.7質量%であり、
上記セメント組成物中の上記II型無水石膏粉末の割合がSO3換算で0.1〜3.5 質量%であることを特徴とするセメント組成物。 - 上記ポルトランドセメントクリンカ粉末中のアルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が、1.5〜2.0質量%である請求項1に記載のセメント組成物。
- 請求項1又は2に記載のセメント組成物を製造するための方法であって、
上記ポルトランドセメントクリンカ粉末と、上記二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方を、上記ポルトランドセメントクリンカ粉末と上記二水石膏及び半水石膏の少なくともいずれか一方の合計量100質量%中のSO3の割合が1.5〜2.7質量%となる量で混合して、ポルトランドセメントを得る工程と、
上記ポルトランドセメントと上記II型無水石膏粉末を、セメント組成物中の上記II型無水石膏粉末の割合がSO3換算で0.1〜3.5質量%となる量で混合して、セメント組成物を得る工程を含む、上記セメント組成物の製造方法。
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