JP5494049B2 - セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体 - Google Patents

セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体 Download PDF

Info

Publication number
JP5494049B2
JP5494049B2 JP2010057304A JP2010057304A JP5494049B2 JP 5494049 B2 JP5494049 B2 JP 5494049B2 JP 2010057304 A JP2010057304 A JP 2010057304A JP 2010057304 A JP2010057304 A JP 2010057304A JP 5494049 B2 JP5494049 B2 JP 5494049B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
weight
parts
mortar
resin powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010057304A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011190141A (ja
Inventor
浩一 西村
靖彦 戸田
克彦 真崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2010057304A priority Critical patent/JP5494049B2/ja
Publication of JP2011190141A publication Critical patent/JP2011190141A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5494049B2 publication Critical patent/JP5494049B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/04Portland cements
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、タイル下地材、左官材、壁材などのコテ塗り用モルタルや、吹付け用のモルタル、構造物のタイル下地調整や補修などに用いることができるセメント組成物のプレミックス粉体、並びにこのプレミックス粉体と水とを混練して得られる水硬性モルタル硬化体に関する。
特許文献1にはセメント、砂、再乳化形樹脂粉末、粉末流動化剤、粉末消泡剤を含むことを特徴とする注入用一粉型ポリマーセメントモルタル組成物が開示されており、該ポリマーセメントモルタル組成物はプレミックスタイプで、施工現場でのポリマーの計量、混合をする必要がなく、消泡剤を加えたことで硬化体の強度低下を抑えることができることが開示されている。
厚塗り性の良好な断面修復材に関し、特許文献2にはセメント、粉末度5000cm/g以上の粉級フライアッシュ、繊維長3〜20mm、再乳化形樹脂粉末を含むことを特徴とするコンクリート断面修復材が開示され、該断面修復材はプレミックスタイプであり、施工現場でのポリマーの計量、混合をする必要がなく、粉末度5000cm/g以上の分級フライアッシュを加えたことで厚塗り性が向上することが開示されている。
また、コンクリート躯体に吹付けられるポリマーセメントモルタル組成物に関し、特許文献3には、ポルトランドセメント100重量部、珪砂50〜300重量部、再乳化形樹脂粉末5〜30重量部、粉末分散剤0.03〜3.0重量部及び消泡剤0.03〜3.0重量部を含有し、前記ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント及び/又は早強ポルトランドセメントからなるポリマーセメントモルタル組成物が開示されている。また、前記粉末分散剤が、非イオン系の粉末状界面活性剤であることが開示されている。
また、特許文献4には、セメント、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末、膨張材及び収縮低減剤を含むセメント組成物であって、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末は、樹脂粉末の1次粒子の平均粒子径が0.2〜0.8μmであり、樹脂粉末の1次粒子表面がポリビニルアルコールの水溶性保護コロイドで被覆されていることを特徴とするセメント組成物が開示されている。
特開平7−138062号公報 特開2001−322858号公報 特開2006−44949号公報 特開2009−102216号公報
本発明は、タイル下地材、左官材、壁材などのコテ塗り用モルタルや、吹付け用のモルタル、構造物のタイル下地調整や補修などに用いることができ、良好な作業性及び吹付け性を有し、硬化収縮量が少ないセメント組成物のプレミックス粉体を提供することを目的とする。
本発明は、水硬性成分と、細骨材と、再乳化形樹脂粉末と、軽量骨材と、凝結遅延剤と、増粘剤とを含むセメント組成物のプレミックス粉体であって、水硬性成分が、普通ポルトランドセメントからなり、再乳化形樹脂粉末が、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末及び/又はエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末である、プレミックス粉体である。セメント組成物がプレミックス粉体なので、施工現場にてポリマーの計量、混合をする必要がなく水との混合のみで水硬性モルタル又は水硬性スラリーの製造が可能であり、したがって、現場での作業性や品質管理がきわめて容易であり、硬化体の長さ変化の少ない水硬性モルタル硬化体を得ることができる。さらに本発明のプレミックス粉体を用いれば、良好な作業性を有し、コテ塗り作業性及び吹付け施工が可能な、水硬性モルタルを得ることができる。
本発明のプレミックス粉体の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)水硬性成分100重量部に対して、細骨材10〜200重量部、再乳化形樹脂粉末1〜10重量部、軽量骨材1〜20重量部及び凝結遅延剤0.01〜2重量部及び増粘剤0.01〜1重量部を含む。各成分の配合量が上述の範囲であることにより、より良好な作業性を有し、コテ塗り作業性及び吹付け施工が好適に可能な、水硬性モルタルを得ることができる。
(2)プレミックス粉体が、膨張材をさらに含む。膨張材を含むことにより、水硬性モルタルの硬化時の膨張性を制御することができる。
(3)軽量骨材が、パーライト、ゴムチップ及びポリプロピレン砕から選択される1種以上である。これらの軽量骨材を用いることにより、さらに施工時の作業性を向上することができる。
(4)プレミックス粉体が、収縮低減剤をさらに含む。収縮低減剤をさらに含むことにより、得られる水硬性モルタル硬化体の硬化収縮量を調節し、硬化収縮量がより小さい水硬性モルタル硬化体を得ることができる。
また、本発明は、上述のプレミックス粉体と、水とを混練して得られる水硬性モルタルである。本発明の水硬性モルタルは、良好な作業性を有し、コテ塗り作業性及び吹付け施工が可能な水硬性モルタルである。
また、本発明は、上述の水硬性モルタルを硬化して得られる、水硬性モルタル硬化体である。本発明の水硬性モルタル硬化体は、その施工の際、作業性が良好であり、硬化収縮量が少ない。
本発明によって、タイル下地材、左官材、壁材などのコテ塗り用モルタルや、吹付け用の水硬性モルタル、構造物のタイル下地調整や補修などに用いることができ、良好な作業性及び吹付け性を有し、水硬性モルタル硬化体の硬化収縮量が少ないセメント組成物のプレミックス粉体並びにそれを用いた水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体を得ることができる。
本発明は、水硬性成分と、細骨材と、再乳化形樹脂粉末と、軽量骨材と、凝結遅延剤と、増粘剤とを含むセメント組成物のプレミックス粉体である。本発明のセメント組成物のプレミックス粉体は、水硬性成分が、普通ポルトランドセメントからなり、再乳化形樹脂粉末が、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末及び/又はエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末であることに特徴がある。本発明のプレミックス粉体は、施工現場にてポリマーの計量、混合をする必要がなく水との混合のみで水硬性モルタル又は水硬性スラリーの製造との混合が可能であり、良好な施工性を得ることができる。以下、本発明のプレミックス粉体について説明する。
本発明で用いる水硬性成分は、普通ポルトランドセメントからなることが好ましい。なお、本発明において、水硬性成分として、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどの各種混合セメント、又はアルミナセメント、膨張セメントなどの特殊セメントなどの土木建築業界で一般に使用されるものを、普通ポルトランドセメントと共に用いることも可能である。しかしながら、施工性の良好なセメント組成物を得るためのプレミックス粉体を得るためには、水硬性成分は、普通ポルトランドセメントからなることが好ましい。
本発明のプレミックス粉体に含まれる細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、シリカ粉、FCC触媒などの各種無機系触媒の廃材、寒水石及び石灰類などから選択される1種又は2種以上の混合物を使用することができる。細骨材としては、2mm以下の粒子径の珪砂、川砂、海砂、シリカ粉、FCC触媒などの各種無機系触媒の廃材、寒水石及び石灰類などから選択して用いることが好ましい。2mm以下の粒子径の細骨材を用いることにより、良好なこて作業性(こて切れ、こて送り、こて伸び、こて離れ)を得ることができ、吹付け性が向上するため、施工現場において好適に用いることができる。なお、細骨材の粒子径は、JIS・Z−8801で規定される呼び寸法の異なる数個のふるいを用いて測定する。
細骨材は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。本発明のプレミックス粉体中の細骨材の添加量は、水硬性成分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜180重量部、さらに好ましくは40〜150重量部、特に好ましくは50〜100重量部とすることが、流動性及び硬化体強度発現性などのために好ましい。
本発明のプレミックス粉体は、再乳化形樹脂粉末を含む。本発明のプレミックス粉体は、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末及びエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末のうちの少なくとも一種のに再乳化形樹脂粉末を含むことができる。再乳化形樹脂粉末を含むことにより、プレミックス粉体をモルタルとした場合に、良好なこて作業性(こて切れ、こて送り、こて伸び、こて離れ)を得ることができる。
特に、エチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末を用いた場合には、得られる下地材の吸水量を低く抑制することができるのでタイル下地材として好適に用いることができる。
本発明のプレミックス粉体に用いることのできるアクリル共重合再乳化形樹脂粉末について説明する。本発明で用いるアクリル共重合再乳化形樹脂粉末は、特にその種類及び製造方法は限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができる。また樹脂粉末としては、ブロッキング防止剤を主に樹脂粉末の表面に付着しているものを好適に用いることができる。また樹脂粉末はとしては、水性ポリマーディスパージョンを噴霧やフリーズドライなどの方法で、溶媒を除去し乾燥した再乳化形の樹脂粉末を用いることができる。本発明では、樹脂粉末として保護コロイドアクリルエマルジョンから製造されたアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末を用いることができる。特に、保護コロイドアクリルエマルジョンから製造されたアクリル酸エステル/メタクリル酸エステル供重合体の再乳化形樹脂粉末を用いることができる。
アクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末の1次粒子(エマルジョン)の平均粒子径は、好ましくは0.2〜0.8μmの範囲であり、より好ましくは0.25〜0.75μmの範囲であり、さらに好ましくは0.3〜0.7μmの範囲であり、特に好ましくは0.35〜0.65μmの範囲のものを選択して用いることが好ましい。平均粒子径が上述の範囲であることにより、良好な施工性と、緻密なポリマーフィルムの形成によって得られる優れた接着性や耐久性・耐候性とを併せて得ることができる。
1次粒子の平均粒経が前記範囲のアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末を用いたセメント組成物では、土木建築構造物の補修、及び、土木建築構造物の補強などの断面修復材用の断面修復材として使用する場合に、こてを用いたモルタル施工の作業を行う過程で、良好なこて作業性(こて切れ、こて送り、こて伸び、こて離れ)を得ることができる。
樹脂粉末の1次粒子径の平均粒子径が前記範囲よりも大きい場合、土木建築構造物の補修及び、土木建築構造物の補強に用いる時のモルタルのこて作業性は良好なものの、セメント組成物の硬化体の接着耐久性が低下するため好ましくなく、樹脂粉末の1次粒子径の平均粒経が前記範囲よりも小さい場合、接着耐久性は良好なものの、モルタルのこて作業性が悪くなることから好ましくない。
本発明では、アクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末100重量%中に再乳化形樹脂粉末の1次粒子が、好ましくは0.1〜1μmの粒子を97質量%以上含み、さらに好ましくは0.15〜0.9μmの粒子を95%以上含み、より好ましくは0.2〜0.8μmの粒子を90質量%以上含み、特に好ましくは0.3〜0.7μmの粒子を75%質量%以上含むものを選択して用いることによって、良好な施工性と、緻密なポリマーフィルムの形成によって得られる優れた接着耐久性や耐久性・耐候性とを併せて得られることから好ましい。
前記範囲の粒子径の1次粒子を前記の範囲で含む場合、アクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末を用いたセメント組成物では、モルタルのこて作業を行う過程で、良好な作業性を得ることができる。
樹脂粉末の1次粒子径の平均粒子径が前記範囲よりも大きい場合、モルタルのこて作業性は良好なものの、接着耐久性が低下するため好ましくなく、樹脂粉末の1次粒子径の平均粒経が前記範囲よりも小さい場合、接着耐久性は良好なものの、こて作業性が悪くなることから好ましくない。
本発明で用いるアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末は、その1次粒子がポリビニルアルコールの水溶性保護コロイドで被覆されていることが好ましい。
再乳化形樹脂粉末の1次粒子表面が、ポリビニルアルコールの水溶性保護コロイドで被覆されていることによって、再乳化の過程で速やかにかつ均一にもとのエマルジョンの状態(樹脂粉末化前の1次粒子の状態)、すなわち、セメント組成物中に1次粒子が均一に分散した状態を実現することができる。
本発明で用いるアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末は、カチオン性、ノニオン性及びアニオン性のものを用いることができ、特に、モルタルとコンクリートとの接着耐久性をより高める効果がより高いことから、カチオン性であることが好ましい。また、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末にアンモニウム塩又は第4級アンモニウム基を導入することにより、カチオン性を付与されたカチオン系のアクリル共重合再乳化形樹脂粉末を用いることがより好ましい。カチオン系のアクリル共重合再乳化形樹脂粉末を用いた場合、カチオンに帯電した荷電ポリマー粒子が、水硬性成分、砂(細骨材)、及び被着体と静電的に引き合って、密着性が向上することにより、モルタルとコンクリートとの接着耐久性がより高まるものと推考される。
本発明では、前記範囲の1次粒子径を前記範囲で含み、かつ、1次粒子の表面がポリビニルアルコールの水溶性保護コロイドで被覆されたアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末を用いることによって、モルタルのこて作業を行う過程で良好な作業性、接着耐久性に優れた特性を併せて得ることができる。本発明では、特に、前記範囲の1次粒子径を前記範囲で含み、かつ、1次粒子の表面がポリビニルアルコールの水溶性保護コロイドで被覆され、さらに、カチオン性であるアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末を選択することによって、モルタルのこて作業を行う過程での作業性や、接着耐久性にさらに優れた特性を得ることができる。
本発明で用いるアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末は、噴霧乾燥やフリーズドライなどの方法で1次粒子中の溶媒を除去し乾燥した2次粒子の形態で用いられる。本発明で用いるアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末の2次粒子の粒子径は、好ましくは20〜100μmの範囲であり、より好ましくは30〜90μmの範囲であり、さらに好ましくは45〜85μmの範囲であり、特に好ましくは50〜80μmの範囲である。2次粒子の粒子径が前記範囲であることにより、再乳化形樹脂粉末を含むセメント組成物のプレミックス粉体と水とを混練してモルタルにする過程で、再乳化形樹脂粉末の2次粒子がセメント組成物に含まれている細骨材によって解砕されて容易に再分散し、1次粒子が均一に分散した状態になりやすい。また、樹脂粉末の2次粒子の粒子径が前記範囲よりも大きい場合、再乳化形樹脂粉末を含むセメント組成物と水とを混練してモルタルにする過程で、再乳化形樹脂粉末の2次粒子が再分散されにくくなり、1次粒子が均一に分散されにくくなる。また、樹脂粉末の2次粒子の粒子径が前記範囲よりも小さい場合、工場においてプレミックスしてセメント組成物を製造する際に、再乳化形樹脂粉末が飛散して作業環境が悪くなるなどのハンドリング性が悪くなる。そのため、本発明のプレミックス粉体には、前記範囲の2次粒子径の再乳化形樹脂粉末を用いることが好ましい。
次に、本発明のプレミックス粉体に用いることのできるエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末について説明する。本発明で用いるエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末は、特にその種類及び製造方法は限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができる。例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末は、エチレン−酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンをノズルから噴霧し、溶媒を乾燥させることによって得ることができる。なお、エチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末の1次粒子径及び2次粒子径は、上述のアクリル共重合系の再乳化形樹脂粉末と同様の粒子径とすることができる。
本発明のプレミックス粉体は、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末及び/又はエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末以外の、例えば、酢酸ビニル−バーサテイク酸ビニルエステル共重合体及び(メタ)アクリル酸エステルの共重合体等の再乳化形樹脂粉末をさらに含むことができる。
本発明で用いる再乳化形樹脂粉末は、水硬性成分100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜8重量部、さらに好ましくは3〜7重量部、特に好ましくは4〜6重量部の範囲で配合することによって、良好なこて作業性(こて切れ、こて送り、こて伸び、こて離れ)、接着耐久性に優れた特性を併せて得ることができる。再乳化形樹脂粉末の配合割合が、前記範囲よりも大きい場合、再乳化形樹脂粉末を含むセメント組成物と水とを混練してモルタルにする過程で、再乳化形樹脂粉末による巻き込みエアーが多くなるため硬化体の圧縮強度が低下し、また、こて作業性が悪くなる。また、再乳化形樹脂粉末の配合割合が、前記範囲よりも小さい場合、硬化体の圧縮強度は高くなるものの、接着耐久性が低下する。したがって、再乳化形樹脂粉末の配合割合は、前記範囲であることが好ましい。
本発明のプレミックス粉体は、軽量骨材を含む。本発明のプレミックス粉体に含まれる軽量骨材としては、パーライト、ゴムチップ及びポリプロピレン砕等から選択される1種以上を用いることができる。軽量骨材を添加することによりモルタルが軽量化され、吹付け作業及び鏝塗り作業において、圧送性や鏝滑り性が向上し、仕上がり面の平滑性などが改善されるという効果を得ることができる。
特に、ゴムチップ及びポリプロピレン砕等から選択される1種以上を用いた場合には、得られる下地材の吸水量を低く抑制することができるのでタイル下地材として好適に用いることができる。
本発明のプレミックス粉体に対する軽量骨材の添加量は、水硬性成分100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは2〜15重量部、さらに好ましくは4〜12重量部、特に好ましくは6〜10重量部の範囲で用いることができる。
本発明のプレミックス粉体は、凝結遅延剤を含む。本発明のプレミックス粉体に含まれる凝結遅延剤としては、公知の凝結遅延剤を用いることができる。凝結遅延剤の一例として、酒石酸類、リンゴ酸類、クエン酸類及びグルコン酸類などのオキシカルボン酸類を代表とする有機酸、並びに硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムなどの無機ナトリウム塩類などを挙げることができる。これらの凝結遅延剤を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。
オキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。本発明のプレミックス粉体に添加することができるオキシカルボン酸としては、例えばクエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸などの脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸等の芳香族オキシ酸等を挙げることができる。
オキシカルボン酸の塩としては、例えばオキシカルボン酸のアルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩など)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩など)などを挙げることができ、ナトリウム塩を用いることが好ましい。また、特に、重炭酸ナトリウム及び酒石酸一ナトリウムが、凝結遅延効果、入手容易性、価格の面から好ましく、これらを併用することが、さらに好ましい。
凝結遅延剤を1種又は2種以上を用いる場合、それぞれの凝結遅延剤の添加量の合計量は、水硬性成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜2.0重量部であり、より好ましくは0.02〜1.0重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部、特に好ましくは0.08〜0.2重量部の範囲で用いることができる。凝結遅延剤の添加量が上述の範囲の場合には、好適な流動性を得ることができる可使時間(ハンドリングタイム)を確保できることから好ましい。
本発明のプレミックス粉体は、増粘剤を含む。本発明のプレミックス粉体に含まれる増粘剤としては、ヒドロキシメチルセルロースを含むセルロース系、ラテックス系及び水溶性ポリマー系などの増粘剤を単独で、又は併用して使用することができる。本発明のプレミックス粉体に増粘剤を含むことにより、水硬性モルタルを施工するの際の厚付け性を向上させることができる。
本発明のプレミックス粉体に対する増粘剤は、本発明の特性を損なわない範囲の添加量で添加することができる。本発明のプレミックス粉体に対する増粘剤の添加量は、水硬性成分100重量部に対し、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1.5重量部、さらに好ましくは0.0075〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.8重量部含むことが好ましい。増粘剤の添加量が多くなると、モルタル粘度が増加して流動性の低下をするおそれがあるので、増粘剤の添加量は上述の範囲であることが好ましい。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体は、水硬性成分、細骨材、再乳化形樹脂粉末、軽量骨材、凝結遅延剤及び増粘剤の他に、膨張材及び/又は収縮低減剤を含むことができる。
本発明のプレミックス粉体は、膨張材を含むことができる。本発明で用いる膨張材は、金属粉、カルシウムサルフォアルミネート(CSA系)及びCaOを主成分とする石灰系などの膨張材を使用することができる。具体的には、本発明のプレミックス粉体において、金属粉、カルシウムサルフォアルミネート系及び石灰系の膨張材から選ばれる1種以上を併用して用いることができる。
カルシウムサルフォアルミネート系膨張材としては、アウインを挙げることができ、石灰系膨張材としては、生石灰、生石灰―石膏混合系及び仮焼ドロマイト等が挙げることができ、これらの1種又は2種以上の混合物として使用することができる。特に石灰系膨張材としては、生石灰及び/又は生石灰―石膏混合系を用いることが好ましい。
本発明のプレミックス粉体に対する膨張材の添加は、本発明の特性を損なわない範囲の添加量とすることができる。具体的には、本発明のプレミックス粉体に対する膨張材の添加量は、水硬性成分100重量部に対し、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは2.5〜18重量部、さらに好ましくは3〜16重量部、特に好ましくは4〜15重量部が好ましい。膨張材の添加量が少ないと膨張性に寄与せず、添加量が多いと過剰膨張するため、膨張材の添加量は上述の範囲であることが好ましい。
本発明のプレミックス粉体は、収縮低減剤を含むことができる。本発明のプレミックス粉体に含まれる収縮低減剤は、ポリオキシアルキレン誘導体を含むアルキレン類の重合体をエーテル化した有機系収縮低減剤を使用することができる。
収縮低減剤の添加は、本発明の特性を損なわない範囲の添加量で行うことができる。具体には、本発明のプレミックス粉体に対する収縮低減剤の添加量は、水硬性成分100重量部に対し、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは0.75〜6重量部、さらに好ましくは1〜5重量部、特に好ましくは1.2〜4重量部の範囲で添加することができる。収縮低減剤の添加量が前記範囲より少ないと収縮低減への寄与が小さくなり、添加量が前記範囲より多いと強度発現性が低下し、収縮低減効果が頭打ちになると共に、経済的でないため、収縮低減剤の添加量は上述の範囲であることが好ましい。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体は、上記の成分の他に、流動化剤、シリコーン系、アルコール系、ポリエーテル系などの合成物質又は鉱物油系、植物由来の天然物質など消泡剤、有機系繊維又は無機系繊維などの繊維成分並びに有機質顔料及び機質顔料などの着色成分などを適宜選択して用いることができる。
本発明では、水硬性成分と、細骨材と、再乳化形樹脂粉末と、軽量骨材と、凝結遅延剤と、増粘剤と、その他の任意成分とを混合機で混合して、セメント組成物のプレミックス粉体を得ることができる。セメント組成物をプレミックス粉体とすることにより、現場での水硬性スラリー又は水硬性モルタルの調製を簡単に行うことができる。
セメント組成物のプレミックス粉体を所定量の水と混合し、攪拌することによって、水硬性スラリー又は水硬性モルタルを製造することができる。得られた水硬性スラリー又は水硬性モルタルを硬化させることによって、水硬性モルタル硬化体を得ることができる。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体は、用途に応じて、プレミックス粉体に対する水の配合量を適宜選択することにより、水硬性スラリー又は水硬性モルタルのフロー(フロー値)を調整して用いることができる。本発明のセメント組成物のプレミックス粉体に対して水を配合し、混練することにより、水硬性スラリー又は水硬性モルタルとして用いることができる。本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を水と配合することによって、コテ塗り用や吹付け用に優れたスラリーやモルタルを得ることができる。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体において、水の配合量は、水硬性成分100重量部に対し、好ましくは10〜100重量部、よりに好ましくは15〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部、特に好ましくは30〜70重量部であることが好ましい。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体と水とを混合して、特にコテ塗り用として好適に用いることができる。コテ塗り用として用いる場合、水の配合量は、水硬性成分100重量部に対し、好ましくは、10〜100重量部、より好ましくは31〜60重量部、さらに好ましくは32〜55重量部、特に好ましくは33〜50重量部を加えて用いることが好ましい。10重量部未満では配合時の混練抵抗が増し、またコテ塗り作業性が低下するため適当でない。また、100重量部を超えると強度発現性が低下し、また施工時の厚付け性も困難になるため適当でない。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体と水との混合物は、コテ塗り用として好適に用いることができるので、タイル下地の調整や補修に好適である。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体と水とを混合して、特に吹付け用として用いる場合、水の配合量は、水硬性成分100重量部に対し、好ましくは、10〜100重量部、より好ましくは36〜65重量部、さらに好ましくは37〜60重量部、特に好ましくは38〜55重量部を加えて用いることが好ましい。10重量部未満では配合時の混練抵抗が増し、また圧送性が低下するため適当でない。また、100重量部を超えると強度発現性が低下し、また吹付け時の厚付け性も低下するため適当でない。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体は、混合する水量を調整することにより、吹付け用のモルタルとして好適に用いることができる。本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を水と配合し、混練することにより、吹付け時の吐出において脈動を起こしにくく、良好な吹付け作業性を有する水硬性モルタルを得ることができる。さらに、水硬性モルタルを吹付け施工することによって、均一に厚付けすることができ、吹付け後の水硬性モルタルはダレやブリージングが起こらない。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を用いた水硬性スラリー又は水硬性モルタルの施工に使用されるモルタルポンプは、特に限定されるものではなく、現在一般に使用されているモルタルポンプを適宜選択して用いることができる。特に、ホース内のモルタルの詰まりも少なく、均一な仕上がりが得られるスクイズ式モルタルポンプやスネーク式モルタルポンプを好適に用いることができる。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を用いた水硬性スラリー又は水硬性モルタルの施工に使用される吹付けガンは、特に限定されるものではなく、現在一般に使用されている建築用吹付けガンを、適宜選択して用いることができる。特に、均一に厚付けが可能なスプレーガンやリングガンを好適に用いることができる。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を用いて調製したモルタルを、壁面の1ヶ所約10cmの円形状に吹付けガンを用いて吹付けた場合、1回の吹付け操作により、好ましくは5〜20mm、より好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは7〜16mm、特に好ましくは8〜15mmの厚さに吹付けることができる。20mmを超えると剥落の可能性が高まるため適当でない。また、本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を用いて調製したモルタルを鏝塗りする場合、1回の鏝塗りにより、好ましくは4〜20mm、より好ましくは5〜15mm、さらに好ましくは6〜10mmの厚さに鏝塗りすることができる。20mmを超えると剥落の可能性が高まるため適当でない。
本発明では、本発明のセメント組成物のプレミックス粉体を用いて調製したモルタルを吹付けた1層目の上に、さらに吹付け処理を行って多層の吹付けモルタル層を形成することができる。多層の吹付けモルタルとすることにより、1層の吹付けモルタルより厚い水硬性モルタル硬化体を得ることができる。
本発明のセメント組成物のプレミックス粉体は、左官材、屋根材、床材、壁材及び防水材などのこて塗り用のモルタルや吹付け用のモルタル、土木構造物の補修や補強に用いる断面修復材やグラウト材などとして土木、建築及び建設分野に好適に使用することができる。
以下、本発明について実施例に基づいて詳細に説明する。但し、本発明は下記の実施例により制限されるものでない。
<曲げ強さ(N/mm)及び圧縮強さ(N/mm)>
水硬性モルタル硬化体の曲げ強さ及び圧縮強さを測定するための試験に用いた試験体の大きさは、断面が40mm平方、長さが160mmの角柱の試験体(4cm×4cm×16cm)であり、JIS R5201:1997に準じて材齢7日及び材齢28日の曲げ強さ並びに圧縮強さを測定した。
<透水量>
水硬性モルタルの透水量測定試験は、JIS A6916:2000の透水試験方法に準拠し、試験体寸法は200×200×10mmとし、材齢28日で実施した。
<吸水量>
水硬性モルタルの吸水量試験は、JIS A6916:2000及びNSKS−007(JIS A1404−1994)に準拠した。
JIS A 6916:2000の試験体は、70×70×20mmの基板に10mm厚でモルタル試料を塗り付け、10分間吸水を材齢7日で実施した。
NSKS 007の試験体は、40×40×160mmで、5時間吸水を材齢28日で実施した。
<長さ変化>
水硬性モルタル硬化体の長さ変化の測定試験については、JIS A1129−1:2001に規定するコンタクトゲージ法に準じて行った。
<使用材料>
セメント組成物は、以下の材料を使用して調製した。すなわち、下記の原材料を表1又は表2に示す配合割合で混合したセメント組成物を使用した。
・普通ポルトランドセメント : 宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積3300cm/g。
・細骨材A(寒水石) : A−50、日立寒水石社製。
・細骨材B(珪砂) : 5号珪砂、瓢屋社製。
・凝結遅延剤 : プラスエイド(A−1)、コンケム社製、リグニンスルフォン酸カルシウム
・増粘剤 : チローゼMH6002P4、クラリアントポリマー社製。
・再乳化形樹脂粉末A : アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体、1次粒子がポリビニアルコールの水溶性保護コロイドで被覆された再乳化形樹脂粉末、カチオンタイプ、日本合成化学社製、LDM7100P。
・再乳化形樹脂粉末B : エチレン/酢酸ビニル共重合体の再乳化形樹脂粉末、旭化成ケミカルズ社製、RE5044N。
・膨張材 : 石灰−石膏系、太平洋セメント社製、太平洋ジプカル。
・収縮低減剤 : ポリエーテル系収縮低減剤、日本油脂社製、シュドックスDSP−E40。
・軽量骨材 : 表3に示す成分・割合のものを用いた。
<水硬性モルタル調製>
表1に示す配合割合でセメント組成物のプレミックス粉体を調製した。実施例1〜13の場合には、プレミックス粉体1kgに対して240gの水を配合し、混練した。また、比較例1の場合には、プレミックス粉体1kgに対して260gのエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(宇部興産株式会社製「プライマー45」5倍希釈液)を配合し、混練した。混練は、実施例及び比較例共に、温度20℃、相対湿度65%の条件化で、ホバートミキサーを用いて低速で3分間行い、水硬性モルタルを調製した。
<結果>
得られた水硬性モルタル硬化体の曲げ強さ、圧縮強さ及び長さ変化試験等の評価を行った結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005494049
Figure 0005494049
Figure 0005494049
以上の実施例及び比較例の結果から、以下のことが明らかとなった。
(1)所定の成分を有し、所定の再乳化形樹脂粉末を含むプレミックス粉体を用いて調製した実施例1〜13の水硬性モルタルの場合には、材齢7日で−0.09以下、材齢28日で−0.18以下の長さ変化だった。また、再乳化形樹脂粉末を用いずに樹脂エマルジョンを用いて調製した比較例1の水硬性モルタルの長さ変化は、材齢7日で−0.06、材齢28日で−0.12だった。したがって、再乳化形樹脂粉末を含むプレミックス粉体を用いて調製した実施例1〜13の長さ変化(硬化収縮量)は、プレミックス粉体ではない比較例1と比較し同程度だったといえる。
(2)再乳化形樹脂粉末B(エチレン/酢酸ビニル共重合体の再乳化形樹脂粉末)を4.9重量部以下含むプレミックス粉体を用いて調製した実施例9〜12の場合には、膨張材を3.6〜7.3重量部程度添加することにより、水硬性モルタルの長さ変化(硬化収縮量)を小さくすることができた。例えば、実施例9の場合には、5.5重量部の膨張材を含むことにより、材齢7日で−0.07、材齢28日で−0.13という小さな長さ変化(硬化収縮量)を得ることができた。また、実施例9及び10と、実施例11及び12との比較から、再乳化形樹脂粉末Bを4.9重量部以下含むプレミックス粉体の場合には、収縮低減剤を添加した場合(実施例11及び12)より、膨張材を添加した場合(実施例9及び10)の方が、小さな長さ変化(硬化収縮量)を得ることができることが明らかとなった。
(3)再乳化形樹脂粉末Aを用いた実施例13の場合でも、再乳化形樹脂粉末Aを用いた実施例(例えば実施例9)と同様に、小さな長さ変化(硬化収縮量)を得ることができた。
(4)再乳化形樹脂粉末A(アクリル共重合再乳化形樹脂粉末)又は再乳化形樹脂粉末B(エチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末)を含むセメント組成物のプレミックス粉体を用いるならば、現場での混練が容易であり、かつ樹脂エマルジョンを混練の際に添加する従来の方法と比べて同様な長さ変化の水硬性モルタルを得ることができた。
(5)以上のことから、本発明の実施例であるプレミックス粉体を用いるならば、施工現場にてポリマーの計量、混合をする必要がなく水との混合のみで水硬性モルタルの製造が可能であることが明らかである。また、得られる水硬性モルタルも、従来の方法と比べて同等以上の性能を有するものであることが明らかである。

Claims (7)

  1. 水硬性成分と、細骨材と、再乳化形樹脂粉末と、軽量骨材と、凝結遅延剤と、増粘剤とを含むセメント組成物のプレミックス粉体であって、
    水硬性成分が、普通ポルトランドセメントからなり、
    再乳化形樹脂粉末が、アクリル共重合再乳化形樹脂粉末及び/又はエチレン/酢酸ビニル共重合体再乳化形樹脂粉末であり、
    軽量骨材が、パーライト及びポリプロピレン砕を含み、
    水硬性成分100重量部に対して、再乳化形樹脂粉末4〜6重量部、軽量骨材4〜12重量部、増粘剤0.0075〜1重量部である、プレミックス粉体。
  2. 水硬性成分100重量部に対して、細骨材50〜100重量部及び凝結遅延剤0.01〜2重量部を含む、請求項1記載のプレミックス粉体。
  3. プレミックス粉体が、生石灰−石膏混合系膨張材をさらに含水硬性成分100重量部に対して、生石灰−石膏混合系膨張材2〜20重量部である、請求項1又は2記載のプレミックス粉体。
  4. 軽量骨材が、ゴムチップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のプレミックス粉体。
  5. プレミックス粉体が、収縮低減剤をさらに含水硬性成分100重量部に対して、収縮低減剤0.5〜8重量部である、請求項1〜4のいずれか1項記載のプレミックス粉体。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載のプレミックス粉体と、水とを混練して得られる水硬性モルタル。
  7. 請求項記載の水硬性モルタルを硬化して得られる、水硬性モルタル硬化体。
JP2010057304A 2010-03-15 2010-03-15 セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体 Expired - Fee Related JP5494049B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010057304A JP5494049B2 (ja) 2010-03-15 2010-03-15 セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010057304A JP5494049B2 (ja) 2010-03-15 2010-03-15 セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011190141A JP2011190141A (ja) 2011-09-29
JP5494049B2 true JP5494049B2 (ja) 2014-05-14

Family

ID=44795453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010057304A Expired - Fee Related JP5494049B2 (ja) 2010-03-15 2010-03-15 セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5494049B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9574076B2 (en) * 2012-09-28 2017-02-21 Dow Global Technologies Llc Redispersible polymer powder mixtures for use in dry-mix formulations having improved properties
JP6107189B2 (ja) * 2013-02-08 2017-04-05 宇部興産株式会社 セメント組成物、モルタル組成物及びモルタル硬化体
JP6167655B2 (ja) * 2013-05-10 2017-07-26 日油株式会社 プレミックスセメント組成物
JP6783222B2 (ja) * 2017-12-22 2020-11-11 太平洋セメント株式会社 モルタルの製造方法および施工器

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004043207A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Mitsubishi Materials Corp スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体
JP4446270B2 (ja) * 2003-08-07 2010-04-07 昭和電工建材株式会社 窓枠空隙部充填用プレミックスモルタル
JP5114910B2 (ja) * 2006-09-29 2013-01-09 住友大阪セメント株式会社 Alc構造物の補修方法
JP2008273811A (ja) * 2007-03-30 2008-11-13 Ube Ind Ltd 水硬性組成物
JP5315853B2 (ja) * 2008-02-29 2013-10-16 宇部興産株式会社 水硬性組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011190141A (ja) 2011-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6223813B2 (ja) モルタル組成物
KR101034228B1 (ko) 콘크리트 조성물 및 이를 포함하는 인공폭포 또는 인공암, 및 인공폭포 또는 인공암의 시공방법
US20220153644A1 (en) Shrinkage reducer for mineral binder composition and its use
JP7234001B2 (ja) ポリマーセメントモルタル及び鉄筋コンクリートの補修方法
JP2009102216A (ja) セメント組成物
JP4770443B2 (ja) こて塗り用セメント組成物及びこれを配合して得られる硬化物
CN115151517A (zh) 炉渣基水硬性粘结剂、包含这种粘结剂的干砂浆组合物和炉渣基粘结剂的活化体系
JP2010084354A (ja) コンクリート構造体の補修方法
JP4709677B2 (ja) プレミクス高靭性ポリマーセメントモルタル材料及び高靭性ポリマーセメントモルタル
JP6271249B2 (ja) 吹付け用モルタル
JP5494049B2 (ja) セメント組成物のプレミックス粉体、水硬性モルタル及び水硬性モルタル硬化体
JP2008248554A (ja) コンクリート構造体の施工方法
JP2003306369A (ja) 吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法
JP3986709B2 (ja) グラウト材組成物、硬化物及びその施工方法
JP2023049713A (ja) セメント混和材、急硬モルタルコンクリート材料、急硬モルタルコンクリート組成物、及び硬化体
WO2021069285A1 (en) Process for the waterproofing of porous construction materials
CN109704693B (zh) 一种硫铝酸盐水泥基自密实砂浆及其使用方法
JP7350425B2 (ja) 高耐久性グラウト組成物
JP2009215136A (ja) 水硬性組成物
JP3976951B2 (ja) グラウト材組成物、硬化物及びその施工方法
JP6258033B2 (ja) 速硬性膨張セメント混練物の製造方法
JP5298676B2 (ja) 水硬性組成物及び構造体
JP2010018493A (ja) 水硬性組成物及びそれを用いた構造体
JP4827162B2 (ja) セメント系表面被覆材
JP2000086319A (ja) 急結性吹付セメントコンクリート及びそれを用いた吹付工法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5494049

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees