JP2004043207A - スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮強度並びに変形係数を満足する範囲で、優れた耐凍害性、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体の提供
【解決手段】本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とする。該プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%である。また該プレミックス粉体に、消泡剤、速硬材や砂に代えてゴムチップを含有する。更にスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上である。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とする。該プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%である。また該プレミックス粉体に、消泡剤、速硬材や砂に代えてゴムチップを含有する。更にスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に関するもので、更に詳しくは耐凍害性に優れ、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからない等の優れた効果を奏するスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スラブ軌道てん充材用モルタルは、軌道スラブとコンクリート路盤の間隙に填充することにより列車走行時の荷重、衝撃又は振動等を吸収分散させるために設けられている。この填充モルタルは、セメント、アスファルト乳剤、砂を主として混合したセメントアスファルトモルタル(CAモルタルと略称される)であり、年々改良され、今日に至っているが、このセメントアスファルトモルタル、即ちCAモルタルは、施工に際してセメント、アスファルト乳剤、砂を水と混合しているため、作業が煩わしく、また手間がかかった。更に耐凍結性も十分ではなかった。この点を改良したものに、特開2001−220189が公開されており、この公報には、具体的には、セメント、速硬性混和材、再乳化粉末樹脂、砂、粘土鉱物及び珪酸質粉末の混合物からなる軌道用グラウト材が開示されている。これにより耐久性や耐凍害性に優れたものが得られることが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の如き特開2001−220189に開示されている軌道用グラウト材は、▲1▼予め十分混合しておく(プレミックス化)ことにより均一な材料が得られ、耐久性や耐凍害性が得られる。▲2▼粉末型ポリマーを使用することによりプレミックス化が可能であり、予め工場設備で混合が可能である。ポリマーがマトリックスの空隙部に充填され空隙を塞ぎ、耐久性や耐凍害性が向上する。またポリマーがあることにより混合時に空気連行性が良好となり、耐凍害に有効な気泡が多く生成される。▲3▼速硬系のセメント系材料を使用することにより短時間で施工が可能であるため、鉄道用に適している。▲4▼砂を混合することにより粉体の混合を完全なものとすることができる点で好ましい。しかし、耐凍害性について考察してみると、変形係数が1000N/mm2 以下であり弾性面では優れているが、圧縮強度が5N/mm2 より小さい点で、耐凍害性の面では実用的に十分とはいえないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明者等は、上記の問題点である耐凍害性を向上させるべく種々検討したところ、変形係数は1000N/mm2 以下が好ましく、また圧縮強度は5〜7N/mm2 が最も好ましい。しかしながら、変形係数と圧縮強度はほぼ比例関係にあるので、両者を満足させることは困難であり、したがって、本発明では、変形係数が1000N/mm2 が実用上問題ない範囲(100〜1500N/mm2 )を有し、圧縮強度が5N/mm2 以上となり、しかも耐凍害性に遜色のない条件を探究し、その結果空気連行剤及び減水剤、及び/又は消泡剤を添加することにより耐凍害性に優れると共に所望の圧縮強度並びに変形係数が得られることを見出し、ここに本発明をなすに至った。
【0005】
したがって、本発明は、上記知見に基づきなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、圧縮強度並びに変形係数を満足する範囲で、優れた耐凍害性を有すると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以下の各発明によって達成される。
【0007】
(1)セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(2)セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(3)前記第1項又は第2項に記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(4)前記第1項乃至第3項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤を混合物に対して外割りでプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(5)前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することを特徴とする前記第1項乃至第4項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(6)前記砂に代えてゴムチップを用いたことを特徴とする前記第1項乃至第5項のいずれかにに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(7)前記第1項乃至第6項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
【0008】
上記第1項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするもので、このスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体中には、空気連行剤及び減水剤を含有することにより、凍結融解抵抗性(耐凍害性ともいう。)に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0009】
上記第2項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことにより、特に混合割合を上記のように限定したことにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0010】
上記第3項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記第1項又は第2項に記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また上記第4項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記第1項乃至第3項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤を混合物に対して外割りでプレミックスしたことにより、凍結融解抵抗性が極めて優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0011】
上記第5項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することにより、補修用に特に好ましく用いられ、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また上記第6項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記砂に代えてゴムチップを用いたことにより、全体的に軽量とすることができるばかりでなく、変形係数を小さくすることができ、その結果、耐凍害性に必要な強度の範囲で耐久性を増加することができる。
【0012】
上記第7項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記第1項乃至第6項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の発明の実施の形態を示すが、これに限定されるものではない。本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物(以下、これらからなる混合物を単に混合物と略記する。)に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をそれぞれ外割りでプレミックスしたことを特徴とするものであり、セメントとしては、(1)普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、これらの低アルカリ形のポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、(2)高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、シリカフュームセメント等の混合セメント、(3)カルシウムアルミネート系特殊セメント、アルミナセメント、超速硬セメント等の特殊セメント、(4)土質安定用セメント等が挙げられる。上記(1)〜(4)のセメントを単独で使用しても、複数種類併用してもよい。好ましくは普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントである。
【0014】
本発明に用いられる砂としては、特に限定されるものではなく、この技術分野において通常使用されるものでよく、珪砂又は珪酸質粉末がある。好ましくは珪砂がよい。また再乳化粉末樹脂としては、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂、酢酸ビニルバーサテート(VAVeoVa)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、スチレンアクリル酸エステル(SEA)、スチレン−ブタジエン系樹脂等の再乳化粉末樹脂が挙げられる。鉱物質微粉末混和材には、石灰石をブレーン値2000〜4000cm2 /gにしたものを用いることが好ましい。本発明では、これらのセメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材を予め混合して混合物とし、これに凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をそれぞれ外割りでプレミックスしてもよいし、またセメント、砂、再乳化粉末樹脂、鉱物質微粉末混和材、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤からなる全成分を配合した後、混合してもよい。本発明では、前記の混合物に凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤を添加してプレミックス粉体を形成する。
【0015】
本発明では、混合物に対して外割りで凝結調整剤を0.01〜3重量%を添加することが好ましい。この凝結調整剤としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸又はこれらのオキシカルボン酸の塩が好ましい。また本発明に用いられる空気連行剤は、混合物に対して外割りで0.01〜0.3重量%を添加する。この空気連行剤としては、アニオン系界面活性剤が好ましく、例えば、脂肪酸石けん、樹脂酸石けん等の石けん系、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルファートの高級アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。本発明では、この空気連行剤を加えることで、空気量を8〜13%含有することで凍結融解抵抗性が向上する。この際空気は、気泡間隔係数が150〜200μm、直径25〜250μmのエントレインドエアーが凍結融解抵抗性を良好にする。減水剤としては、ポリエチレングリコール基グラウト重合高性能減水剤が好ましく、この他のものとして、ナフタレンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられる。
【0016】
本発明において、混合物の組成は、セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部が好ましく、更にはセメント100重量部、砂100〜200重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部が好ましい。混合物の組成において、特に再乳化粉末樹脂は、2〜40重量部用いられるが、再乳化粉末樹脂が2重量部未満ではマトリックスの空隙を小さくし、変形係数を低くするという目的が達成できない。また再乳化粉末樹脂は、6重量部を越えると経済的観点からみてコスト面で不利となる。また鉱物質微粉末混和材は、1〜100重量部の範囲で添加することにより圧縮強度を5以上とすることができ、更に好ましくはセメントと速硬材の比率に対する混和材の比率を調整すること、即ちセメント及び速硬材の合計量を100重量部に対して混和材1〜100重量部を混合することにより適度な強度発現性とすることができる。更に本発明において、空気量は、空気連行剤を添加して8〜13%含有するようにすることが好ましい。空気量を8〜13%含有させるためには、空気連行剤の添加率は、硅砂を使用した材料の場合が、混合物の全体量に対して0.08〜0.20重量%、またゴムチップを使用した材料の場合が、混合物の全体量に対して0.04〜0.06重量%が適当である。この空気量が8%未満では、凍結融解抵抗性は、十分でなく、また空気量が13%を越えると凍結融解抵抗性は向上するが、圧縮強度が低下する。
【0017】
本発明では、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に空気連行剤を加えて、空気量として8〜13%含有させるが、好ましくは、更に消泡剤を添加することにより耐凍害性に有効な気泡間隔係数150〜200μm、直径25〜250μmのエントレインドエアーが連行され、凍結融解抵抗性を向上させることができる。消泡剤の添加量は、0.005〜0.05重量%が好ましい。本発明では、更に混合物に速硬材をセメント100重量部に対して1〜100重量部を含有することが好ましい。更に好ましくは速硬材の添加量は、セメント100重量部に対して30〜80重量部を含有するのがよい。このように速硬材を添加するこよにより材齢1時間の圧縮強度0.2N/m2 以上にすることができ、更には、新設工事の他、特に補修作業(これは列車間合いの2〜4時間で作業を終了させる必要がある。)にも使用することができる。好ましい速硬材としては、カルシウムアルミネート系(C12A7 及び/又はCA等)がある。
【0018】
本発明では、前記砂に代えてゴムチップを用いることができる。このゴムチップを用いることでスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を軽量化することができ、砂を使用したモルタル系に比べて同一強度における弾性係数を小さくすることができる。本発明に用いられるゴムチップは粒径が0.5mm以下であればよいが、下限は0.1mmが経済的許容範囲である。またゴムチップの粒径が0.5mmを越えると、グラウト材の流動性が悪くなる等グラウト材に悪影響を及ぼす。またゴムチップの量は、セメント及び混和材の全量に対して、あるいはセメント、速硬材及び混和材の全量に対して、30〜80重量%が好ましい。ゴムチップの量が30重量%未満の場合には、得られた材料の弾性が大きくなる。またゴムチップの量が80%を越えると、
【0019】
▲1▼材料の耐久性が悪くなる。
▲2▼圧縮強度の発現(5N/m2 以上が好ましい)という面で問題がある。
【0020】
本発明では、第1項〜第6項の発明で得られたスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を施工して得られた施工体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることが最も好ましい。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を示して更に詳しく説明するが、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。
【0022】
〔実施例1〕本発明の実施例1〜11および、比較例2〜12については、以下の表1に示す材料を使用し、表2に示す配合のとおりにセメント、砂等の材料を加え、ついでV型混合機で20分間混合し、プレミックス粉体とした。得られたスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、表2に示す水材料比で水を加え、ハンドミキサー(回転数1200rpm)を使用し、3分間混練した。一方、比較例1については、既存の補修用CAモルタル(ニチレキ社製。J材、R材、水およびJセッター)を混合し、ハンドミキサー(回転数1200rpm)を使用し、3分間混練した。該混合物の物性を測定した。物性の測定は以下のごとくである。
【0023】
1.供試体の作製 圧縮強度試験用の円柱供試体はJSCE−F506−1999に従い、φ5×10cmの型枠を用いて供試体を作製した。また凍結融解試験用の供試体はJISA1138、JISA1115及びJISA1132に従い、10×10×40cmの供試体を作製した。
【0024】
2.養生条件 材齢1時間の強度試験を行う供試体は、材齢直前に脱型し直ちに試験を行った。その他の供試体は成型1日後に脱型し、所定材齢まで標準養生(20±3℃、水中養生)を行った。
【0025】
3.試験方法
(1)可使時間 練り混ぜ開始からフロータイムの目標値(3〜7秒)を満足しなくなるまでの時間を可使時間とした。土木学会規準(JSCE−F541−1999)「充てんモルタルの流動性試験方法」に準じた試験を行い、練り混ぜ開始からの経過時間とフロータイム(流下時間)の関係図から算出した。漏斗はJ14漏斗を用いた。
【0026】
(2)フロータイム 土木学会規準(JSCE−F541−1999)「充てんモルタルの流動性試験方法」に準じた試験を行い、フロータイム(流下時間)を測定した。漏斗はJ14漏斗を用いた。
【0027】
(3)ブリーディング率 土木学会規準(JSCE−F522−1999)「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)」に準じた試験を行い、練り混ぜ開始から3時間経過したときのブリーディング率および20時間以上経過したときの最終ブリーディング率を測定した。
【0028】
(4)膨張率 土木学会規準(JSCE−F522−1999)「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)」に準じた試験を行い、練り混ぜ開始から20時間以上経過したときの膨張率を測定した。
【0029】
(5)空気量 単位容積質量(M)は400cc(V)の金属製容器に試料を採取し、容器中の試料の質量(W)を容積(V)で除して算出した(〔式1〕)。空気量は空気が全くないものとして計算した試料の単位容積質量(T)と算出した単位容積質量(M)の差を空気が全くないものとして計算した試料の単位容積質量(T)で除して算出した(〔式2〕)。
【0030】
【式1】
【0031】
【式2】
【0032】
(6)圧縮強度 土木学会規準(JSCE−F541−1999)「充てんモルタルの流動性試験方法」に準じた試験を行い、材齢1時間、材齢14日及び材齢28日の圧縮強度を測定した。
【0033】
(7)ヤング係数(変形係数) JISA1216(1998)「土の一軸圧縮強度試験方法」に準じた試験を行い、変形係数を算出し、その値を用いた。試験材齢は28日とした。
【0034】
(8)凍結融解試験 土木学会規準(JSCE−G501−1999)「コンクリートの凍結融解試験方法」に準じた試験を行い、300サイクル終了後のたわみ振動の一次共鳴振動数を測定し、相対動弾性係数を求め、この値を耐久性指数とした。供試体は寸法10×10×40cmの角柱供試体とした。なお、表2及び表3中の実は実施例の略であり、比は比較例の略である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】上記第1項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするもので、このスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体中には、空気連行剤及び減水剤を含有することにより、凍結融解抵抗性(耐凍害性ともいう。)に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0039】
本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤を混合物に対して外割りでプレミックスしたことにより、凍結融解抵抗性が極めて優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0040】
本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することにより、補修用に特に好ましく用いられ、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記砂に代えてゴムチップを用いたことにより、全体的に軽量とすることができるばかりでなく、変形係数を小さくすることができ、その結果、耐凍害性に必要な強度の範囲で耐久性を増加することができる。
【発明の属する技術分野】本発明は、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に関するもので、更に詳しくは耐凍害性に優れ、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからない等の優れた効果を奏するスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スラブ軌道てん充材用モルタルは、軌道スラブとコンクリート路盤の間隙に填充することにより列車走行時の荷重、衝撃又は振動等を吸収分散させるために設けられている。この填充モルタルは、セメント、アスファルト乳剤、砂を主として混合したセメントアスファルトモルタル(CAモルタルと略称される)であり、年々改良され、今日に至っているが、このセメントアスファルトモルタル、即ちCAモルタルは、施工に際してセメント、アスファルト乳剤、砂を水と混合しているため、作業が煩わしく、また手間がかかった。更に耐凍結性も十分ではなかった。この点を改良したものに、特開2001−220189が公開されており、この公報には、具体的には、セメント、速硬性混和材、再乳化粉末樹脂、砂、粘土鉱物及び珪酸質粉末の混合物からなる軌道用グラウト材が開示されている。これにより耐久性や耐凍害性に優れたものが得られることが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の如き特開2001−220189に開示されている軌道用グラウト材は、▲1▼予め十分混合しておく(プレミックス化)ことにより均一な材料が得られ、耐久性や耐凍害性が得られる。▲2▼粉末型ポリマーを使用することによりプレミックス化が可能であり、予め工場設備で混合が可能である。ポリマーがマトリックスの空隙部に充填され空隙を塞ぎ、耐久性や耐凍害性が向上する。またポリマーがあることにより混合時に空気連行性が良好となり、耐凍害に有効な気泡が多く生成される。▲3▼速硬系のセメント系材料を使用することにより短時間で施工が可能であるため、鉄道用に適している。▲4▼砂を混合することにより粉体の混合を完全なものとすることができる点で好ましい。しかし、耐凍害性について考察してみると、変形係数が1000N/mm2 以下であり弾性面では優れているが、圧縮強度が5N/mm2 より小さい点で、耐凍害性の面では実用的に十分とはいえないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明者等は、上記の問題点である耐凍害性を向上させるべく種々検討したところ、変形係数は1000N/mm2 以下が好ましく、また圧縮強度は5〜7N/mm2 が最も好ましい。しかしながら、変形係数と圧縮強度はほぼ比例関係にあるので、両者を満足させることは困難であり、したがって、本発明では、変形係数が1000N/mm2 が実用上問題ない範囲(100〜1500N/mm2 )を有し、圧縮強度が5N/mm2 以上となり、しかも耐凍害性に遜色のない条件を探究し、その結果空気連行剤及び減水剤、及び/又は消泡剤を添加することにより耐凍害性に優れると共に所望の圧縮強度並びに変形係数が得られることを見出し、ここに本発明をなすに至った。
【0005】
したがって、本発明は、上記知見に基づきなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、圧縮強度並びに変形係数を満足する範囲で、優れた耐凍害性を有すると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以下の各発明によって達成される。
【0007】
(1)セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(2)セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(3)前記第1項又は第2項に記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(4)前記第1項乃至第3項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤を混合物に対して外割りでプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(5)前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することを特徴とする前記第1項乃至第4項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(6)前記砂に代えてゴムチップを用いたことを特徴とする前記第1項乃至第5項のいずれかにに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
(7)前記第1項乃至第6項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
【0008】
上記第1項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするもので、このスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体中には、空気連行剤及び減水剤を含有することにより、凍結融解抵抗性(耐凍害性ともいう。)に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0009】
上記第2項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことにより、特に混合割合を上記のように限定したことにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0010】
上記第3項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記第1項又は第2項に記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また上記第4項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記第1項乃至第3項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤を混合物に対して外割りでプレミックスしたことにより、凍結融解抵抗性が極めて優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0011】
上記第5項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することにより、補修用に特に好ましく用いられ、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また上記第6項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記砂に代えてゴムチップを用いたことにより、全体的に軽量とすることができるばかりでなく、変形係数を小さくすることができ、その結果、耐凍害性に必要な強度の範囲で耐久性を増加することができる。
【0012】
上記第7項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記第1項乃至第6項のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の発明の実施の形態を示すが、これに限定されるものではない。本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物(以下、これらからなる混合物を単に混合物と略記する。)に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をそれぞれ外割りでプレミックスしたことを特徴とするものであり、セメントとしては、(1)普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、これらの低アルカリ形のポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、(2)高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、シリカフュームセメント等の混合セメント、(3)カルシウムアルミネート系特殊セメント、アルミナセメント、超速硬セメント等の特殊セメント、(4)土質安定用セメント等が挙げられる。上記(1)〜(4)のセメントを単独で使用しても、複数種類併用してもよい。好ましくは普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントである。
【0014】
本発明に用いられる砂としては、特に限定されるものではなく、この技術分野において通常使用されるものでよく、珪砂又は珪酸質粉末がある。好ましくは珪砂がよい。また再乳化粉末樹脂としては、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂、酢酸ビニルバーサテート(VAVeoVa)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、スチレンアクリル酸エステル(SEA)、スチレン−ブタジエン系樹脂等の再乳化粉末樹脂が挙げられる。鉱物質微粉末混和材には、石灰石をブレーン値2000〜4000cm2 /gにしたものを用いることが好ましい。本発明では、これらのセメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材を予め混合して混合物とし、これに凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をそれぞれ外割りでプレミックスしてもよいし、またセメント、砂、再乳化粉末樹脂、鉱物質微粉末混和材、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤からなる全成分を配合した後、混合してもよい。本発明では、前記の混合物に凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤を添加してプレミックス粉体を形成する。
【0015】
本発明では、混合物に対して外割りで凝結調整剤を0.01〜3重量%を添加することが好ましい。この凝結調整剤としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸又はこれらのオキシカルボン酸の塩が好ましい。また本発明に用いられる空気連行剤は、混合物に対して外割りで0.01〜0.3重量%を添加する。この空気連行剤としては、アニオン系界面活性剤が好ましく、例えば、脂肪酸石けん、樹脂酸石けん等の石けん系、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルファートの高級アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。本発明では、この空気連行剤を加えることで、空気量を8〜13%含有することで凍結融解抵抗性が向上する。この際空気は、気泡間隔係数が150〜200μm、直径25〜250μmのエントレインドエアーが凍結融解抵抗性を良好にする。減水剤としては、ポリエチレングリコール基グラウト重合高性能減水剤が好ましく、この他のものとして、ナフタレンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられる。
【0016】
本発明において、混合物の組成は、セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部が好ましく、更にはセメント100重量部、砂100〜200重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部が好ましい。混合物の組成において、特に再乳化粉末樹脂は、2〜40重量部用いられるが、再乳化粉末樹脂が2重量部未満ではマトリックスの空隙を小さくし、変形係数を低くするという目的が達成できない。また再乳化粉末樹脂は、6重量部を越えると経済的観点からみてコスト面で不利となる。また鉱物質微粉末混和材は、1〜100重量部の範囲で添加することにより圧縮強度を5以上とすることができ、更に好ましくはセメントと速硬材の比率に対する混和材の比率を調整すること、即ちセメント及び速硬材の合計量を100重量部に対して混和材1〜100重量部を混合することにより適度な強度発現性とすることができる。更に本発明において、空気量は、空気連行剤を添加して8〜13%含有するようにすることが好ましい。空気量を8〜13%含有させるためには、空気連行剤の添加率は、硅砂を使用した材料の場合が、混合物の全体量に対して0.08〜0.20重量%、またゴムチップを使用した材料の場合が、混合物の全体量に対して0.04〜0.06重量%が適当である。この空気量が8%未満では、凍結融解抵抗性は、十分でなく、また空気量が13%を越えると凍結融解抵抗性は向上するが、圧縮強度が低下する。
【0017】
本発明では、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に空気連行剤を加えて、空気量として8〜13%含有させるが、好ましくは、更に消泡剤を添加することにより耐凍害性に有効な気泡間隔係数150〜200μm、直径25〜250μmのエントレインドエアーが連行され、凍結融解抵抗性を向上させることができる。消泡剤の添加量は、0.005〜0.05重量%が好ましい。本発明では、更に混合物に速硬材をセメント100重量部に対して1〜100重量部を含有することが好ましい。更に好ましくは速硬材の添加量は、セメント100重量部に対して30〜80重量部を含有するのがよい。このように速硬材を添加するこよにより材齢1時間の圧縮強度0.2N/m2 以上にすることができ、更には、新設工事の他、特に補修作業(これは列車間合いの2〜4時間で作業を終了させる必要がある。)にも使用することができる。好ましい速硬材としては、カルシウムアルミネート系(C12A7 及び/又はCA等)がある。
【0018】
本発明では、前記砂に代えてゴムチップを用いることができる。このゴムチップを用いることでスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を軽量化することができ、砂を使用したモルタル系に比べて同一強度における弾性係数を小さくすることができる。本発明に用いられるゴムチップは粒径が0.5mm以下であればよいが、下限は0.1mmが経済的許容範囲である。またゴムチップの粒径が0.5mmを越えると、グラウト材の流動性が悪くなる等グラウト材に悪影響を及ぼす。またゴムチップの量は、セメント及び混和材の全量に対して、あるいはセメント、速硬材及び混和材の全量に対して、30〜80重量%が好ましい。ゴムチップの量が30重量%未満の場合には、得られた材料の弾性が大きくなる。またゴムチップの量が80%を越えると、
【0019】
▲1▼材料の耐久性が悪くなる。
▲2▼圧縮強度の発現(5N/m2 以上が好ましい)という面で問題がある。
【0020】
本発明では、第1項〜第6項の発明で得られたスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を施工して得られた施工体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることが最も好ましい。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を示して更に詳しく説明するが、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。
【0022】
〔実施例1〕本発明の実施例1〜11および、比較例2〜12については、以下の表1に示す材料を使用し、表2に示す配合のとおりにセメント、砂等の材料を加え、ついでV型混合機で20分間混合し、プレミックス粉体とした。得られたスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、表2に示す水材料比で水を加え、ハンドミキサー(回転数1200rpm)を使用し、3分間混練した。一方、比較例1については、既存の補修用CAモルタル(ニチレキ社製。J材、R材、水およびJセッター)を混合し、ハンドミキサー(回転数1200rpm)を使用し、3分間混練した。該混合物の物性を測定した。物性の測定は以下のごとくである。
【0023】
1.供試体の作製 圧縮強度試験用の円柱供試体はJSCE−F506−1999に従い、φ5×10cmの型枠を用いて供試体を作製した。また凍結融解試験用の供試体はJISA1138、JISA1115及びJISA1132に従い、10×10×40cmの供試体を作製した。
【0024】
2.養生条件 材齢1時間の強度試験を行う供試体は、材齢直前に脱型し直ちに試験を行った。その他の供試体は成型1日後に脱型し、所定材齢まで標準養生(20±3℃、水中養生)を行った。
【0025】
3.試験方法
(1)可使時間 練り混ぜ開始からフロータイムの目標値(3〜7秒)を満足しなくなるまでの時間を可使時間とした。土木学会規準(JSCE−F541−1999)「充てんモルタルの流動性試験方法」に準じた試験を行い、練り混ぜ開始からの経過時間とフロータイム(流下時間)の関係図から算出した。漏斗はJ14漏斗を用いた。
【0026】
(2)フロータイム 土木学会規準(JSCE−F541−1999)「充てんモルタルの流動性試験方法」に準じた試験を行い、フロータイム(流下時間)を測定した。漏斗はJ14漏斗を用いた。
【0027】
(3)ブリーディング率 土木学会規準(JSCE−F522−1999)「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)」に準じた試験を行い、練り混ぜ開始から3時間経過したときのブリーディング率および20時間以上経過したときの最終ブリーディング率を測定した。
【0028】
(4)膨張率 土木学会規準(JSCE−F522−1999)「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)」に準じた試験を行い、練り混ぜ開始から20時間以上経過したときの膨張率を測定した。
【0029】
(5)空気量 単位容積質量(M)は400cc(V)の金属製容器に試料を採取し、容器中の試料の質量(W)を容積(V)で除して算出した(〔式1〕)。空気量は空気が全くないものとして計算した試料の単位容積質量(T)と算出した単位容積質量(M)の差を空気が全くないものとして計算した試料の単位容積質量(T)で除して算出した(〔式2〕)。
【0030】
【式1】
【0031】
【式2】
【0032】
(6)圧縮強度 土木学会規準(JSCE−F541−1999)「充てんモルタルの流動性試験方法」に準じた試験を行い、材齢1時間、材齢14日及び材齢28日の圧縮強度を測定した。
【0033】
(7)ヤング係数(変形係数) JISA1216(1998)「土の一軸圧縮強度試験方法」に準じた試験を行い、変形係数を算出し、その値を用いた。試験材齢は28日とした。
【0034】
(8)凍結融解試験 土木学会規準(JSCE−G501−1999)「コンクリートの凍結融解試験方法」に準じた試験を行い、300サイクル終了後のたわみ振動の一次共鳴振動数を測定し、相対動弾性係数を求め、この値を耐久性指数とした。供試体は寸法10×10×40cmの角柱供試体とした。なお、表2及び表3中の実は実施例の略であり、比は比較例の略である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】上記第1項の発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするもので、このスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体中には、空気連行剤及び減水剤を含有することにより、凍結融解抵抗性(耐凍害性ともいう。)に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0039】
本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることにより、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、スラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤を混合物に対して外割りでプレミックスしたことにより、凍結融解抵抗性が極めて優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。
【0040】
本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することにより、補修用に特に好ましく用いられ、凍結融解抵抗性に優れたものが得られると共に、作業性がよく、簡単に混合ができ、手間がかからないという優れた効果を奏するものである。また本発明のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体は、前記砂に代えてゴムチップを用いたことにより、全体的に軽量とすることができるばかりでなく、変形係数を小さくすることができ、その結果、耐凍害性に必要な強度の範囲で耐久性を増加することができる。
Claims (7)
- セメント、砂、再乳化粉末樹脂及び鉱物質微粉末混和材の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
- セメント100重量部、砂50〜400重量部、再乳化粉末樹脂2〜40重量部及び鉱物質微粉末混和材1〜100重量部の混合物に対して、凝結調整剤、空気連行剤及び減水剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
- 請求項1又は請求項2に記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練してモルタルとしたときに、該モルタル中の空気量が8〜13%であることを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体に、消泡剤をプレミックスしたことを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
- 前記混合物に速硬材をセメントに対して1〜100重量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
- 前記砂に代えてゴムチップを用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかにに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体を水と混練したときの硬化体の変形係数が100〜1500N/mm2 (材齢28日)、相対動弾性係数(300サイクル終了後)が70%以上であることを特徴とするスラブ軌道てん充材用プレミックス粉体。
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