JPH0647725A - セメント系表面洗い出し製品とその製造方法 - Google Patents
セメント系表面洗い出し製品とその製造方法Info
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- JPH0647725A JPH0647725A JP20576492A JP20576492A JPH0647725A JP H0647725 A JPH0647725 A JP H0647725A JP 20576492 A JP20576492 A JP 20576492A JP 20576492 A JP20576492 A JP 20576492A JP H0647725 A JPH0647725 A JP H0647725A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 洗い出し部分にムラのないセメント系洗い出
し製品を提供するとともに、その製造に際して有害蒸気
を発生することのなく、しかも暑中と寒中との製造(養
生)条件の差に影響されることなく安定して洗い出し製
品を製造することのできるセメント系表面洗い出し製品
の製造方法を提供する。 【構成】 セメントの水和遅延剤および増粘剤を含有し
粘度が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整され
た処理水溶液を、成形用型枠の所定内面に塗布または噴
霧して付着せしめ、次に成形用型枠内に硬化前のモルタ
ルあるいはコンクリートを充填し、モルタルあるいはコ
ンクリートが硬化した後、硬化体を型枠より外して処理
水溶液を付着せしめた型枠の内面と対応する硬化体の表
面を洗い出すセメント系表面洗い出し製品の製造方法。
し製品を提供するとともに、その製造に際して有害蒸気
を発生することのなく、しかも暑中と寒中との製造(養
生)条件の差に影響されることなく安定して洗い出し製
品を製造することのできるセメント系表面洗い出し製品
の製造方法を提供する。 【構成】 セメントの水和遅延剤および増粘剤を含有し
粘度が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整され
た処理水溶液を、成形用型枠の所定内面に塗布または噴
霧して付着せしめ、次に成形用型枠内に硬化前のモルタ
ルあるいはコンクリートを充填し、モルタルあるいはコ
ンクリートが硬化した後、硬化体を型枠より外して処理
水溶液を付着せしめた型枠の内面と対応する硬化体の表
面を洗い出すセメント系表面洗い出し製品の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に骨材を露出させ
たことにより、自然な景観を呈するとともに、人の歩行
や車両の通行に際して滑り止め効果を発揮する、モルタ
ル、コンクリート製のブロックや舗装版などのセメント
系表面洗い出し製品とその製造方法に関する。
たことにより、自然な景観を呈するとともに、人の歩行
や車両の通行に際して滑り止め効果を発揮する、モルタ
ル、コンクリート製のブロックや舗装版などのセメント
系表面洗い出し製品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の構造物においては、コンク
リート面の無機的な、すなわち冷たい外観でなく、自然
な、すなわち暖かみのある外観(景観)を持たせるべ
く、骨材を表面に露出させたブロック等のセメント製品
が用いられつつある。また、道路等においても、人の歩
行や車両の通行に際して滑り止め効果を発揮するよう、
骨材を表面に露出させた舗装版などが用いられつつあ
る。ところで、このようなブロックや舗装版などは、通
常洗い出しといった処理が施されることによって製造さ
れる。この洗い出し処理の方法としては、一般に以下に
述べる二通りの方法によってなされる。
リート面の無機的な、すなわち冷たい外観でなく、自然
な、すなわち暖かみのある外観(景観)を持たせるべ
く、骨材を表面に露出させたブロック等のセメント製品
が用いられつつある。また、道路等においても、人の歩
行や車両の通行に際して滑り止め効果を発揮するよう、
骨材を表面に露出させた舗装版などが用いられつつあ
る。ところで、このようなブロックや舗装版などは、通
常洗い出しといった処理が施されることによって製造さ
れる。この洗い出し処理の方法としては、一般に以下に
述べる二通りの方法によってなされる。
【0003】第一の方法は、主に洗い出しブロックの製
造に用いられる方法であって、遅延紙を用いる方法であ
る。ここで遅延紙とは、セメントの水和遅延剤として知
られているオキシカルボン酸塩等を含浸させた厚紙であ
る。この遅延紙を用いて例えばブロックを製造するに
は、まず成形時にセメント成形物の洗い出し面に遅延紙
を付着させておく。そして、多くは翌日まで養生した
後、遅延紙をセメント硬化体から取り除く。すると、遅
延紙が付着していた部分(面)はセメントの硬化が遅れ
ているため、ブラシ洗い等により表面から数mmまでの
表層部を削りとることが可能になる。したがって、遅延
紙を取り除いた後ブラシ洗い等を行うことにより、骨材
が露出した洗い出しブロックを製造することができるの
である。
造に用いられる方法であって、遅延紙を用いる方法であ
る。ここで遅延紙とは、セメントの水和遅延剤として知
られているオキシカルボン酸塩等を含浸させた厚紙であ
る。この遅延紙を用いて例えばブロックを製造するに
は、まず成形時にセメント成形物の洗い出し面に遅延紙
を付着させておく。そして、多くは翌日まで養生した
後、遅延紙をセメント硬化体から取り除く。すると、遅
延紙が付着していた部分(面)はセメントの硬化が遅れ
ているため、ブラシ洗い等により表面から数mmまでの
表層部を削りとることが可能になる。したがって、遅延
紙を取り除いた後ブラシ洗い等を行うことにより、骨材
が露出した洗い出しブロックを製造することができるの
である。
【0004】第二の方法は、舗装版等一般的な洗い出し
製品の製造に用いられる方法であって、前記オキシカル
ボン酸塩等の水和遅延剤を分散させた塗料タイプのもの
を用いる方法である。この方法は、まずシンナー系溶媒
に前記オキシカルボン酸等の水和遅延剤を分散させて塗
料タイプの粘性液体を作製し、この液体を成形に用いる
型枠の所定の面、すなわち得られるセメント製品の洗い
出し面となる面と接触する型枠内面に塗布する。次に、
この溶液を乾燥・固化させた後、生コンクリートを型枠
内に打設する。そして、多くは翌日までに養生した後、
脱型する。すると、溶液が塗布された型枠内面と接触し
ていた部分(面)はセメントの硬化が遅れているため、
ブラシ洗い等により表面から数mmまでの表層部を削り
とることが可能になる。したがって、脱型後ブラシ洗い
等を行うことにより、骨材が露出した洗い出しセメント
製品を製造することができるのである。
製品の製造に用いられる方法であって、前記オキシカル
ボン酸塩等の水和遅延剤を分散させた塗料タイプのもの
を用いる方法である。この方法は、まずシンナー系溶媒
に前記オキシカルボン酸等の水和遅延剤を分散させて塗
料タイプの粘性液体を作製し、この液体を成形に用いる
型枠の所定の面、すなわち得られるセメント製品の洗い
出し面となる面と接触する型枠内面に塗布する。次に、
この溶液を乾燥・固化させた後、生コンクリートを型枠
内に打設する。そして、多くは翌日までに養生した後、
脱型する。すると、溶液が塗布された型枠内面と接触し
ていた部分(面)はセメントの硬化が遅れているため、
ブラシ洗い等により表面から数mmまでの表層部を削り
とることが可能になる。したがって、脱型後ブラシ洗い
等を行うことにより、骨材が露出した洗い出しセメント
製品を製造することができるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記方
法には以下に述べる不都合がある。前記二通りの方法で
は、水和遅延剤として主にオキシカルボン酸塩を用いて
いるが、このオキシカルボン酸塩は強い水和遅延力を有
しているものの、温度依存性が大きいことから安定した
遅延力が得られず、したがってこれを用いて前記方法を
実施した場合に、例えば暑中と寒中とでは遅延時間に大
きな差が現れてしまう。特に暑中では、打設後翌日まで
養生した後に洗い出し処理を行おうとしても、既に硬化
が進んでしまってブラシ洗い等では硬化体の表層部を削
りとることができず、結果的に洗い出し製品が得られな
いといった事態を招いてしまう恐れがある。
法には以下に述べる不都合がある。前記二通りの方法で
は、水和遅延剤として主にオキシカルボン酸塩を用いて
いるが、このオキシカルボン酸塩は強い水和遅延力を有
しているものの、温度依存性が大きいことから安定した
遅延力が得られず、したがってこれを用いて前記方法を
実施した場合に、例えば暑中と寒中とでは遅延時間に大
きな差が現れてしまう。特に暑中では、打設後翌日まで
養生した後に洗い出し処理を行おうとしても、既に硬化
が進んでしまってブラシ洗い等では硬化体の表層部を削
りとることができず、結果的に洗い出し製品が得られな
いといった事態を招いてしまう恐れがある。
【0006】また、塗料タイプの粘性溶液を使用する方
法では、主に刷毛塗りによって型枠内面に該粘性溶液を
塗布することから刷毛ムラや液のタレが生じやすく、こ
のため遅延剤付着量の部分的なムラが生じ、これによっ
て洗い出し面の仕上がり状態にも部分的なムラが生じて
しまう。そして、生じたムラが著しい場合には、得られ
た製品は不良品として処分しなくてはならなくなる。さ
らに、この塗料タイプの粘性溶液を使用する方法では、
該粘性溶液を作製するにあたってトルエン、キシレン等
の溶剤を使用するが、これら溶剤は気化することにより
有害蒸気となって作業環境内に拡散するため、作業に従
事する者の健康を損ねるおそれがあり、したがってその
対策に換気設備等を設けなければならない。また、これ
ら溶剤成分は、型枠の清掃時に廃液と共に排出される
が、当然これらの処理設備が必要となることから、結果
として製造コストの高騰化を招いてしまう。
法では、主に刷毛塗りによって型枠内面に該粘性溶液を
塗布することから刷毛ムラや液のタレが生じやすく、こ
のため遅延剤付着量の部分的なムラが生じ、これによっ
て洗い出し面の仕上がり状態にも部分的なムラが生じて
しまう。そして、生じたムラが著しい場合には、得られ
た製品は不良品として処分しなくてはならなくなる。さ
らに、この塗料タイプの粘性溶液を使用する方法では、
該粘性溶液を作製するにあたってトルエン、キシレン等
の溶剤を使用するが、これら溶剤は気化することにより
有害蒸気となって作業環境内に拡散するため、作業に従
事する者の健康を損ねるおそれがあり、したがってその
対策に換気設備等を設けなければならない。また、これ
ら溶剤成分は、型枠の清掃時に廃液と共に排出される
が、当然これらの処理設備が必要となることから、結果
として製造コストの高騰化を招いてしまう。
【0007】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、洗い出し部分にムラのな
いセメント系洗い出し製品を提供するとともに、その製
造に際して有害蒸気を発生することのなく、しかも暑中
と寒中との製造(養生)条件の差に影響されることなく
安定して洗い出し製品を製造することのできるセメント
系表面洗い出し製品の製造方法を提供することにある。
で、その目的とするところは、洗い出し部分にムラのな
いセメント系洗い出し製品を提供するとともに、その製
造に際して有害蒸気を発生することのなく、しかも暑中
と寒中との製造(養生)条件の差に影響されることなく
安定して洗い出し製品を製造することのできるセメント
系表面洗い出し製品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項
1、2記載のセメント系表面洗い出し製品およびその製
造方法では、セメントの水和遅延剤および増粘剤を含有
し粘度が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整さ
れた処理水溶液を、成形用型枠の所定内面に塗布または
噴霧して付着せしめ、次に該成形用型枠内に硬化前のモ
ルタルあるいはコンクリートを充填し、該モルタルある
いはコンクリートが硬化した後、硬化体を型枠より外し
て前記処理水溶液を付着せしめた型枠の内面と対応する
硬化体の表面を洗い出すこと、およびこのようにして得
られたものであることを前記課題の解決手段とした。
1、2記載のセメント系表面洗い出し製品およびその製
造方法では、セメントの水和遅延剤および増粘剤を含有
し粘度が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整さ
れた処理水溶液を、成形用型枠の所定内面に塗布または
噴霧して付着せしめ、次に該成形用型枠内に硬化前のモ
ルタルあるいはコンクリートを充填し、該モルタルある
いはコンクリートが硬化した後、硬化体を型枠より外し
て前記処理水溶液を付着せしめた型枠の内面と対応する
硬化体の表面を洗い出すこと、およびこのようにして得
られたものであることを前記課題の解決手段とした。
【0009】また、請求項7、8記載のセメント系表面
洗い出し製品およびその製造方法では、硬化前のモルタ
ルあるいはコンクリートを成形用型枠内に充填してこれ
を硬化成形し、直ちにこの成形体を脱型した後、該成形
体の被洗い出し部分に、セメントの水和遅延剤および増
粘剤を含有し粘度が増粘剤により5〜1000cpの範
囲に調整されてなる処理水溶液を塗布または噴霧して付
着せしめ、その後この処理水溶液付着部分を洗い出すこ
と、およびこのようにして得られたものであることを前
記課題の解決手段とした。
洗い出し製品およびその製造方法では、硬化前のモルタ
ルあるいはコンクリートを成形用型枠内に充填してこれ
を硬化成形し、直ちにこの成形体を脱型した後、該成形
体の被洗い出し部分に、セメントの水和遅延剤および増
粘剤を含有し粘度が増粘剤により5〜1000cpの範
囲に調整されてなる処理水溶液を塗布または噴霧して付
着せしめ、その後この処理水溶液付着部分を洗い出すこ
と、およびこのようにして得られたものであることを前
記課題の解決手段とした。
【0010】以下、本発明の一例を請求項2記載の製造
方法に基づいて詳しく説明する。まず、セメントの水和
遅延剤および増粘剤を含有し粘度が増粘剤により5〜1
000cpの範囲に調整された処理水溶液を用意する。
ここで、セメントの水和遅延剤としては、ポリヒドロキ
シカルボン酸エステルの水溶液が好適に用いられる。こ
のポリヒドロキシカルボン酸エステルは、後述するタン
ニン酸での実験例によっても示されるように、単にセメ
ントの水和を遅延させるだけでなく、温度が高いほどそ
の遅延効果が大きくなるものである。したがって、この
ようなエステルを遅延剤として用いることにより、セメ
ント水和反応系の温度に関わらず、セメントの硬化をほ
ぼ一定に安定して遅延させることができるのである。
方法に基づいて詳しく説明する。まず、セメントの水和
遅延剤および増粘剤を含有し粘度が増粘剤により5〜1
000cpの範囲に調整された処理水溶液を用意する。
ここで、セメントの水和遅延剤としては、ポリヒドロキ
シカルボン酸エステルの水溶液が好適に用いられる。こ
のポリヒドロキシカルボン酸エステルは、後述するタン
ニン酸での実験例によっても示されるように、単にセメ
ントの水和を遅延させるだけでなく、温度が高いほどそ
の遅延効果が大きくなるものである。したがって、この
ようなエステルを遅延剤として用いることにより、セメ
ント水和反応系の温度に関わらず、セメントの硬化をほ
ぼ一定に安定して遅延させることができるのである。
【0011】また、増粘剤としては、アルギン酸、ポリ
アクリル酸とそのアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸と
そのアルカリ金属塩などの、アルカリ性、Caの存在下
で沈澱し、粘性を低下する物質である。このような増粘
剤は、添加される対象である液に十分な粘度を付与し、
塗布時のタレを防ぐとともに、これによって増粘された
液がセメント水和反応系と接触した場合に、該反応系の
アルカリ性によってその粘度を減じ、躯体内部に液が浸
透し易くなるようにするものである。例えば、分子量数
万程度のポリアクリル酸はそれ自体が水溶性でかつ高粘
性な液体であるので、これを、前記水和遅延剤に水を加
えてなる水溶液に添加することにより、該水溶液の粘度
を容易に増すことができるのである。また、その添加量
を調整することにより、得られる処理水溶液の粘度を任
意に調整することができる。このような増粘作用は、水
溶液中に分散したポリアクリル酸の分子鎖が互いに絡ま
りあって生じる粘弾性的な力に起因する。そして、この
ような増粘剤が添加されることにより、水和遅延剤であ
る前記ポリヒドロキシカルボン酸エステル水溶液は、そ
の粘度が水の数百倍である高粘性液体となるのである。
アクリル酸とそのアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸と
そのアルカリ金属塩などの、アルカリ性、Caの存在下
で沈澱し、粘性を低下する物質である。このような増粘
剤は、添加される対象である液に十分な粘度を付与し、
塗布時のタレを防ぐとともに、これによって増粘された
液がセメント水和反応系と接触した場合に、該反応系の
アルカリ性によってその粘度を減じ、躯体内部に液が浸
透し易くなるようにするものである。例えば、分子量数
万程度のポリアクリル酸はそれ自体が水溶性でかつ高粘
性な液体であるので、これを、前記水和遅延剤に水を加
えてなる水溶液に添加することにより、該水溶液の粘度
を容易に増すことができるのである。また、その添加量
を調整することにより、得られる処理水溶液の粘度を任
意に調整することができる。このような増粘作用は、水
溶液中に分散したポリアクリル酸の分子鎖が互いに絡ま
りあって生じる粘弾性的な力に起因する。そして、この
ような増粘剤が添加されることにより、水和遅延剤であ
る前記ポリヒドロキシカルボン酸エステル水溶液は、そ
の粘度が水の数百倍である高粘性液体となるのである。
【0012】ここで、水和遅延剤であるポリヒドロキシ
カルボン酸エステルの、該遅延剤を含んだ水溶液中での
濃度については、概ね5〜50重量%程度とされる。な
ぜなら、5重量%未満では遅延剤の遅延効果が十分に発
揮されず、また50重量%を越えて配合してもそれ以上
の遅延効果の向上が望めないからである。また、この遅
延剤を含む水溶液への増粘剤の添加量については、遅延
剤の種類によっても異なるものの、添加によって増粘さ
れる水溶液の粘度が5〜1000cpとなるような量と
される。このように、増粘される水溶液の粘度を5〜1
000cpとしたのは、5cp未満では水溶液自体が十
分に増粘されたことにならず、依然刷毛塗りした際刷毛
ムラや液のタレが生じる可能性が高いからであり、一方
1000cpを越えると逆に粘度が高すぎて刷毛塗り等
の処理がしにくくなるからである。
カルボン酸エステルの、該遅延剤を含んだ水溶液中での
濃度については、概ね5〜50重量%程度とされる。な
ぜなら、5重量%未満では遅延剤の遅延効果が十分に発
揮されず、また50重量%を越えて配合してもそれ以上
の遅延効果の向上が望めないからである。また、この遅
延剤を含む水溶液への増粘剤の添加量については、遅延
剤の種類によっても異なるものの、添加によって増粘さ
れる水溶液の粘度が5〜1000cpとなるような量と
される。このように、増粘される水溶液の粘度を5〜1
000cpとしたのは、5cp未満では水溶液自体が十
分に増粘されたことにならず、依然刷毛塗りした際刷毛
ムラや液のタレが生じる可能性が高いからであり、一方
1000cpを越えると逆に粘度が高すぎて刷毛塗り等
の処理がしにくくなるからである。
【0013】また、このような増粘剤を添加した処理水
溶液に、さらに非イオン系のポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテルや、陰イオン系のアルキルスルホコハ
ク酸塩等の浸透性界面活性剤を加えてもよい。すなわ
ち、このような界面活性剤を添加すれば、処理水溶液の
表面張力が低下し、該処理水溶液のセメント成形体(硬
化体)への浸透性、浸透速度が増し、より深い洗い出し
が可能になるとともに、洗い出し深さの均一性の向上を
図ることができるからである。
溶液に、さらに非イオン系のポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテルや、陰イオン系のアルキルスルホコハ
ク酸塩等の浸透性界面活性剤を加えてもよい。すなわ
ち、このような界面活性剤を添加すれば、処理水溶液の
表面張力が低下し、該処理水溶液のセメント成形体(硬
化体)への浸透性、浸透速度が増し、より深い洗い出し
が可能になるとともに、洗い出し深さの均一性の向上を
図ることができるからである。
【0014】次に、このようにして用意された処理水溶
液を成形用型枠の所定内面に塗布または噴霧して付着せ
しめる。塗布法については、従来から行われてきた刷毛
塗り法などが採用され、また噴霧法についてはスプレー
法等の従来公知の方法が採用される。なお、スプレー法
を採用する場合には、特に散布ノズルとして均等扇形ノ
ズルや充角錘ノズルを使用するのが、散布(噴霧)パタ
ーンを均一にすることができ、よって仕上げムラを少な
くすることができ好ましい。このようにして処理水溶液
を塗布または噴霧すると、該処理水溶液は十分に高い粘
度を有していることから刷毛ムラや液のタレがなく、し
たがって塗布または噴霧したときの状態のままで成形用
型枠の所定内面に均一に付着したものとなる。また、処
理水溶液が増粘剤により増粘されているので、対象面に
対する固着性が向上し、タレやムラが生じないことか
ら、塗布または噴霧する対象面については成形用型枠の
垂直面であっても下方に向く面であってもよい。
液を成形用型枠の所定内面に塗布または噴霧して付着せ
しめる。塗布法については、従来から行われてきた刷毛
塗り法などが採用され、また噴霧法についてはスプレー
法等の従来公知の方法が採用される。なお、スプレー法
を採用する場合には、特に散布ノズルとして均等扇形ノ
ズルや充角錘ノズルを使用するのが、散布(噴霧)パタ
ーンを均一にすることができ、よって仕上げムラを少な
くすることができ好ましい。このようにして処理水溶液
を塗布または噴霧すると、該処理水溶液は十分に高い粘
度を有していることから刷毛ムラや液のタレがなく、し
たがって塗布または噴霧したときの状態のままで成形用
型枠の所定内面に均一に付着したものとなる。また、処
理水溶液が増粘剤により増粘されているので、対象面に
対する固着性が向上し、タレやムラが生じないことか
ら、塗布または噴霧する対象面については成形用型枠の
垂直面であっても下方に向く面であってもよい。
【0015】次いで、この成形用型枠内に、洗い出し面
に露出させる色玉石等の骨材を配合した硬化前のモルタ
ルあるいはコンクリートを充填し、所定時間養生して該
モルタルあるいはコンクリートを硬化せしめる。その
後、硬化体を型枠より外して前記処理水溶液を付着せし
めた型枠の内面と対応する硬化体の表面を、ブラシ洗い
等によって洗い出し、骨材が表面に露出した本発明にお
ける請求項1記載の洗い出し製品を得る。
に露出させる色玉石等の骨材を配合した硬化前のモルタ
ルあるいはコンクリートを充填し、所定時間養生して該
モルタルあるいはコンクリートを硬化せしめる。その
後、硬化体を型枠より外して前記処理水溶液を付着せし
めた型枠の内面と対応する硬化体の表面を、ブラシ洗い
等によって洗い出し、骨材が表面に露出した本発明にお
ける請求項1記載の洗い出し製品を得る。
【0016】次に、本発明の他の例を請求項8記載の製
造方法に基づいて説明する。まず、先の例で用いた硬化
前のモルタルあるいはコンクリートを、成形用型枠内に
充填してこれを硬化成形する。次に、型枠内にて硬化し
た成形体を直ちに脱型する。ここで、型枠による成形時
間については、充填したモルタルあるいはコンクリート
の配合によっても異なるものの、後述する洗い出しが可
能なよう十分に硬化が進む前に脱型しなくてはならない
ことから、概ね6〜48時間程度とされる。次いで、該
成形体の被洗い出し部分に、先の例で述べた処理水溶液
を塗布または噴霧して付着せしめ、さらにその後、この
処理水溶液付着部分(付着面)を洗い出し、骨材が表面
に露出した本発明における請求項7記載の洗い出し製品
を得る。
造方法に基づいて説明する。まず、先の例で用いた硬化
前のモルタルあるいはコンクリートを、成形用型枠内に
充填してこれを硬化成形する。次に、型枠内にて硬化し
た成形体を直ちに脱型する。ここで、型枠による成形時
間については、充填したモルタルあるいはコンクリート
の配合によっても異なるものの、後述する洗い出しが可
能なよう十分に硬化が進む前に脱型しなくてはならない
ことから、概ね6〜48時間程度とされる。次いで、該
成形体の被洗い出し部分に、先の例で述べた処理水溶液
を塗布または噴霧して付着せしめ、さらにその後、この
処理水溶液付着部分(付着面)を洗い出し、骨材が表面
に露出した本発明における請求項7記載の洗い出し製品
を得る。
【0017】
【作用】本発明における請求項1記載のセメント系洗い
出し製品によれば、セメントの水和遅延剤としてこれに
増粘剤を添加し、その粘度を5〜1000cpに調整し
た処理水溶液を用いているので、従来のごとく刷毛ムラ
や液タレによる成形用型枠内面への水和遅延剤の付着量
のバラツキが防止され、よって得られる洗い出し製品の
洗い出し面における仕上がり状態のムラが防止される。
また、請求項2記載のセメント系洗い出し製品の製造方
法によれば、セメントの水和遅延剤に増粘剤を添加した
処理水溶液を用い、従来のごとくトルエンやキシレンの
ような有機溶剤を使用しないことから、その有害な蒸気
に起因する前述した不都合が回避される。請求項3、4
記載の洗い出し製品およびその製造方法によれば、セメ
ント水和反応系の温度に大きな影響を受けることなく、
ほぼ一定のセメント水和反応の遅延効果を有するポリヒ
ドロキシカルボン酸エステルを用いているので、製造時
における環境温度に起因する洗い出し面の仕上がり状態
のムラが防止される。請求項7記載のセメント系洗い出
し製品によれば、粘度を5〜1000cpに調整した処
理水溶液を用いているので、成形体の被洗い出し部分に
対する水和遅延剤の付着量のバラツキが防止され、よっ
て得られる洗い出し製品の洗い出し面における仕上がり
状態のムラが防止される。
出し製品によれば、セメントの水和遅延剤としてこれに
増粘剤を添加し、その粘度を5〜1000cpに調整し
た処理水溶液を用いているので、従来のごとく刷毛ムラ
や液タレによる成形用型枠内面への水和遅延剤の付着量
のバラツキが防止され、よって得られる洗い出し製品の
洗い出し面における仕上がり状態のムラが防止される。
また、請求項2記載のセメント系洗い出し製品の製造方
法によれば、セメントの水和遅延剤に増粘剤を添加した
処理水溶液を用い、従来のごとくトルエンやキシレンの
ような有機溶剤を使用しないことから、その有害な蒸気
に起因する前述した不都合が回避される。請求項3、4
記載の洗い出し製品およびその製造方法によれば、セメ
ント水和反応系の温度に大きな影響を受けることなく、
ほぼ一定のセメント水和反応の遅延効果を有するポリヒ
ドロキシカルボン酸エステルを用いているので、製造時
における環境温度に起因する洗い出し面の仕上がり状態
のムラが防止される。請求項7記載のセメント系洗い出
し製品によれば、粘度を5〜1000cpに調整した処
理水溶液を用いているので、成形体の被洗い出し部分に
対する水和遅延剤の付着量のバラツキが防止され、よっ
て得られる洗い出し製品の洗い出し面における仕上がり
状態のムラが防止される。
【0018】
【実施例】図1は本発明における請求項7記載のセメン
ト系洗い出し製品を洗い出し平板ブロックに適用した場
合の一例を示すもので、この図において符号1は洗い出
し処理前の平板ブロック、2は洗い出し面、3は洗い出
し部分である。なお、この平板ブロックは、縦、横がそ
れぞれ30cm、厚さが10cmに成形されたものであ
り、また洗い出し部分3の厚さは約2cmに調整されて
いる。
ト系洗い出し製品を洗い出し平板ブロックに適用した場
合の一例を示すもので、この図において符号1は洗い出
し処理前の平板ブロック、2は洗い出し面、3は洗い出
し部分である。なお、この平板ブロックは、縦、横がそ
れぞれ30cm、厚さが10cmに成形されたものであ
り、また洗い出し部分3の厚さは約2cmに調整されて
いる。
【0019】このような平板ブロックを得るには、まず
水和遅延剤としてポリヒドロキシカルボン酸エステルで
あるタンニン酸粉末(試薬品)9重量部を水80重量部
に添加し、さらにこの水溶液に増粘剤としてポリアクリ
ル酸(分子量2万)10重量部、界面活性剤(非イオン
系)1重量部をそれぞれ添加してその粘度を30cpに
調整し、処理水溶液とした。また、これとは別に、洗い
出し部分を形成する材料として色玉石とセメントペース
トとの混合物を型枠内の洗い出し部分となる箇所に流し
込み、次いで直ちに、残りの部分に即脱モルタルを充填
してプレス成形した。ここで、洗い出し部分の配合はセ
メント/色玉石/水=1/2/0.5、即脱モルタルの
配合はセメント/砂/水/=1/3/0.25とし、成
形温度は25℃とした。
水和遅延剤としてポリヒドロキシカルボン酸エステルで
あるタンニン酸粉末(試薬品)9重量部を水80重量部
に添加し、さらにこの水溶液に増粘剤としてポリアクリ
ル酸(分子量2万)10重量部、界面活性剤(非イオン
系)1重量部をそれぞれ添加してその粘度を30cpに
調整し、処理水溶液とした。また、これとは別に、洗い
出し部分を形成する材料として色玉石とセメントペース
トとの混合物を型枠内の洗い出し部分となる箇所に流し
込み、次いで直ちに、残りの部分に即脱モルタルを充填
してプレス成形した。ここで、洗い出し部分の配合はセ
メント/色玉石/水=1/2/0.5、即脱モルタルの
配合はセメント/砂/水/=1/3/0.25とし、成
形温度は25℃とした。
【0020】さらに、成形後直ちに脱型してこれを鉛直
に立て、鉛直面となった洗い出し面に対して前記処理水
溶液をスプレー噴霧した。その後、脱型後約1日を経過
した時点で洗車ブラシにより表面洗い出しを行って図2
に示すような断面を有してなる平板ブロックを得た。こ
のようにして得られた洗い出し平板ブロックの洗い出し
部分を、均等な間隔で計9点の洗い出し深さを測定し、
その結果を表1に示す。
に立て、鉛直面となった洗い出し面に対して前記処理水
溶液をスプレー噴霧した。その後、脱型後約1日を経過
した時点で洗車ブラシにより表面洗い出しを行って図2
に示すような断面を有してなる平板ブロックを得た。こ
のようにして得られた洗い出し平板ブロックの洗い出し
部分を、均等な間隔で計9点の洗い出し深さを測定し、
その結果を表1に示す。
【0021】また、比較のため、従来の遅延紙による方
法とシンナー系塗料タイプのものを塗布する方法とで、
図2に示すような洗い出し平板ブロックを作製した。遅
延紙による方法では、型枠内にセメント材料を充填する
に先立ち、型枠底部内面にオキシカルボン酸塩を含浸さ
せた厚紙からなる遅延紙を敷いておき、その後洗い出し
部分を形成する色玉石を含む配合物を型枠内に充填し、
さらに即脱モルタルを充填した。成形後脱型し、約1日
を経過した時点で先の例と同様に洗車ブラシで表面洗い
出しを行い、洗い出し平板ブロックを得た。そして、こ
の平板ブロックについても先の例と同様に洗い出し深さ
を測定し、その結果を表1に併記する。
法とシンナー系塗料タイプのものを塗布する方法とで、
図2に示すような洗い出し平板ブロックを作製した。遅
延紙による方法では、型枠内にセメント材料を充填する
に先立ち、型枠底部内面にオキシカルボン酸塩を含浸さ
せた厚紙からなる遅延紙を敷いておき、その後洗い出し
部分を形成する色玉石を含む配合物を型枠内に充填し、
さらに即脱モルタルを充填した。成形後脱型し、約1日
を経過した時点で先の例と同様に洗車ブラシで表面洗い
出しを行い、洗い出し平板ブロックを得た。そして、こ
の平板ブロックについても先の例と同様に洗い出し深さ
を測定し、その結果を表1に併記する。
【0022】また、シンナー系塗料タイプのものを用い
る方法では、先の本発明の例と同様に各配合物を型枠内
に充填し、成形した後直ちに脱型してこれを鉛直に立
て、鉛直面となった洗い出し面に対してシンナー系塗料
タイプの処理液をスプレー噴霧した。ここで、シンナー
系塗料タイプの処理液としては、シンナーにオキシカル
ボン酸塩を分散溶解させたものを用いた。その後、脱型
後約1日を経過した時点で先の例と同様に洗車ブラシに
より表面洗い出しを行い、洗い出し平板ブロックを得
た。そして、この平板ブロックについても先の例と同様
に洗い出し深さを測定し、その結果を表1に併記する。
る方法では、先の本発明の例と同様に各配合物を型枠内
に充填し、成形した後直ちに脱型してこれを鉛直に立
て、鉛直面となった洗い出し面に対してシンナー系塗料
タイプの処理液をスプレー噴霧した。ここで、シンナー
系塗料タイプの処理液としては、シンナーにオキシカル
ボン酸塩を分散溶解させたものを用いた。その後、脱型
後約1日を経過した時点で先の例と同様に洗車ブラシに
より表面洗い出しを行い、洗い出し平板ブロックを得
た。そして、この平板ブロックについても先の例と同様
に洗い出し深さを測定し、その結果を表1に併記する。
【表1】 表1より、本発明品は比較例品(遅延紙、シンナー系塗
料タイプ)に比べ、洗い出し深さが深く、またそのバラ
ツキも小さいことが確認された。
料タイプ)に比べ、洗い出し深さが深く、またそのバラ
ツキも小さいことが確認された。
【0023】(実験例)ポルトランドセメントに水を添
加混練し、さらにこれにポリヒドロキシカルボン酸エス
テルとしてタンニン酸を0.1、0.2、0.3、0.4の
各重量%添加した。そして、得られたセメント配合物を
30℃と20℃の温度で養生し、その凝結始発時間を調
べた。得られた結果を図3に示す。
加混練し、さらにこれにポリヒドロキシカルボン酸エス
テルとしてタンニン酸を0.1、0.2、0.3、0.4の
各重量%添加した。そして、得られたセメント配合物を
30℃と20℃の温度で養生し、その凝結始発時間を調
べた。得られた結果を図3に示す。
【0024】また、比較のため、前記セメントと水の混
練物のみのものと、これに従来遅延剤として用いられて
いたグルコン酸ナトリウムを0.1、0.2、0.3、0.
4の各重量%添加したものとを作製し、先の例と同様に
凝結始発時間を調べてその結果を図3に併記した。図3
より、タンニン酸を添加したものでは、凝結始発時間が
養生温度に大きく影響されることがなく、したがって暑
中と寒中とで硬化時間に大きな差がないことが確認され
た。また、タンニン酸はグルコン酸ナトリウムに比べて
その水和遅延効果が高く、より水和遅延剤として優れて
いることが判明した。
練物のみのものと、これに従来遅延剤として用いられて
いたグルコン酸ナトリウムを0.1、0.2、0.3、0.
4の各重量%添加したものとを作製し、先の例と同様に
凝結始発時間を調べてその結果を図3に併記した。図3
より、タンニン酸を添加したものでは、凝結始発時間が
養生温度に大きく影響されることがなく、したがって暑
中と寒中とで硬化時間に大きな差がないことが確認され
た。また、タンニン酸はグルコン酸ナトリウムに比べて
その水和遅延効果が高く、より水和遅延剤として優れて
いることが判明した。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明における請求
項1記載のセメント系洗い出し製品は、セメントの水和
遅延剤としてこれに増粘剤を添加し、その粘度を5〜1
000cpに調整した処理水溶液を用いて得られたもの
であるから、従来のごとく刷毛ムラや液タレによる成形
用型枠内面への水和遅延剤の付着量のバラツキが防止さ
れ、よって洗い出し面における仕上がり状態にムラのな
いものとなる。また、請求項2記載のセメント系洗い出
し製品の製造方法は、セメントの水和遅延剤に増粘剤を
添加した処理水溶液を用い、従来のごとくトルエンやキ
シレンのような有機溶剤を使用しないことから、その有
害な蒸気に起因する不都合を回避することができる。請
求項3、4記載の洗い出し製品およびその製造方法は、
セメント水和反応系の温度に大きな影響を受けることな
く、ほぼ一定のセメント水和反応の遅延効果を有するポ
リヒドロキシカルボン酸エステルを用いているので、製
造時における環境温度に起因する洗い出し面の仕上がり
状態のムラが防止され、よって暑中、寒中の製造(養
生)条件に影響されることなく安定した洗い出し製品を
得ることができる。請求項7記載のセメント系洗い出し
製品は、粘度を5〜1000cpに調整した処理水溶液
を用いて得られたものであるから、成形体の被洗い出し
部分に対する水和遅延剤の付着量のバラツキが防止さ
れ、よって洗い出し面における仕上がり状態にムラのな
いものとなる。
項1記載のセメント系洗い出し製品は、セメントの水和
遅延剤としてこれに増粘剤を添加し、その粘度を5〜1
000cpに調整した処理水溶液を用いて得られたもの
であるから、従来のごとく刷毛ムラや液タレによる成形
用型枠内面への水和遅延剤の付着量のバラツキが防止さ
れ、よって洗い出し面における仕上がり状態にムラのな
いものとなる。また、請求項2記載のセメント系洗い出
し製品の製造方法は、セメントの水和遅延剤に増粘剤を
添加した処理水溶液を用い、従来のごとくトルエンやキ
シレンのような有機溶剤を使用しないことから、その有
害な蒸気に起因する不都合を回避することができる。請
求項3、4記載の洗い出し製品およびその製造方法は、
セメント水和反応系の温度に大きな影響を受けることな
く、ほぼ一定のセメント水和反応の遅延効果を有するポ
リヒドロキシカルボン酸エステルを用いているので、製
造時における環境温度に起因する洗い出し面の仕上がり
状態のムラが防止され、よって暑中、寒中の製造(養
生)条件に影響されることなく安定した洗い出し製品を
得ることができる。請求項7記載のセメント系洗い出し
製品は、粘度を5〜1000cpに調整した処理水溶液
を用いて得られたものであるから、成形体の被洗い出し
部分に対する水和遅延剤の付着量のバラツキが防止さ
れ、よって洗い出し面における仕上がり状態にムラのな
いものとなる。
【図1】洗い出し処理前の平板ブロックを示す斜視図。
【図2】洗い出し平板ブロックの側断面図。
【図3】各温度におけるタンニン酸とグルコン酸ナトリ
ウムの水和遅延特性を示すグラフ。
ウムの水和遅延特性を示すグラフ。
1 洗い出し処理前の平板ブロック 2 洗い出し面 3 洗い出し部分
Claims (12)
- 【請求項1】 セメントの水和遅延剤および増粘剤を含
有し粘度が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整
された処理水溶液が、成形用型枠の所定内面に塗布また
は噴霧されて付着せしめられ、該成形用型枠内に硬化前
のモルタルあるいはコンクリートが充填され、該モルタ
ルあるいはコンクリートが硬化した後、硬化体が型枠よ
り外されて前記処理水溶液が付着せしめられた型枠の内
面と対応する硬化体の表面が洗い出されてなるセメント
系表面洗い出し製品。 - 【請求項2】 セメントの水和遅延剤および増粘剤を含
有し粘度が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整
された処理水溶液を、成形用型枠の所定内面に塗布また
は噴霧して付着せしめ、次に該成形用型枠内に硬化前の
モルタルあるいはコンクリートを充填し、該モルタルあ
るいはコンクリートが硬化した後、硬化体を型枠より外
して前記処理水溶液を付着せしめた型枠の内面と対応す
る硬化体の表面を洗い出すことを特徴とするセメント系
表面洗い出し製品の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載のセメント系表面洗い出し
製品において、前記水和遅延剤がポリヒドロキシカルボ
ン酸エステルであるセメント系表面洗い出し製品。 - 【請求項4】 請求項2記載のセメント硬化体の表面洗
い出し方法において、前記水和遅延剤がポリヒドロキシ
カルボン酸エステルであるセメント系表面洗い出し製品
の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1又は3記載のセメント系表面洗
い出し製品において、前記増粘剤が、アルギン酸、ポリ
アクリル酸とそのアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸と
そのアルカリ金属塩などの、アルカリ性、Caの存在下
で沈澱し、粘性を低下する物質であるセメント系表面洗
い出し製品。 - 【請求項6】 請求項2又は4記載のセメント硬化体の
表面洗い出し方法において、前記増粘剤が、アルギン
酸、ポリアクリル酸とそのアルカリ金属塩、ポリメタク
リル酸とそのアルカリ金属塩などの、アルカリ性、Ca
の存在下で沈澱し、粘性を低下する物質であるセメント
系表面洗い出し製品の製造方法。 - 【請求項7】 硬化前のモルタルあるいはコンクリート
が成形用型枠内に充填されて硬化成形され、成形後直ち
にこの成形体が脱型された後、該成形体の被洗い出し部
分に、セメントの水和遅延剤および増粘剤を含有し粘度
が増粘剤により5〜1000cpの範囲に調整されてな
る処理水溶液が塗布または噴霧されて付着せしめられ、
その後この処理水溶液付着部分が洗い出されてなるセメ
ント系表面洗い出し製品。 - 【請求項8】 硬化前のモルタルあるいはコンクリート
を成形用型枠内に充填してこれを硬化成形し、直ちにこ
の成形体を脱型した後、該成形体の被洗い出し部分に、
セメントの水和遅延剤および増粘剤を含有し粘度が増粘
剤により5〜1000cpの範囲に調整されてなる処理
水溶液を塗布または噴霧して付着せしめ、その後この処
理水溶液付着部分を洗い出すことを特徴とするセメント
系表面洗い出し製品の製造方法。 - 【請求項9】 請求項7記載のセメント系表面洗い出し
製品において、前記水和遅延剤がポリヒドロキシカルボ
ン酸エステルであるセメント系表面洗い出し製品。 - 【請求項10】 請求項8記載のセメント硬化体の表面
洗い出し方法において、前記水和遅延剤がポリヒドロキ
シカルボン酸エステルであるセメント系表面洗い出し製
品の製造方法。 - 【請求項11】 請求項7又は9記載のセメント系表面
洗い出し製品において、前記増粘剤が、アルギン酸、ポ
リアクリル酸とそのアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸
とそのアルカリ金属塩などの、アルカリ性、Caの存在
下で沈澱し、粘性を低下する物質であるセメント系表面
洗い出し製品。 - 【請求項12】 請求項8又は10記載のセメント硬化
体の表面洗い出し方法において、前記増粘剤が、アルギ
ン酸、ポリアクリル酸とそのアルカリ金属塩、ポリメタ
クリル酸とそのアルカリ金属塩などの、アルカリ性、C
aの存在下で沈澱し、粘性を低下する物質であるセメン
ト系表面洗い出し製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20576492A JPH0647725A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | セメント系表面洗い出し製品とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20576492A JPH0647725A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | セメント系表面洗い出し製品とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0647725A true JPH0647725A (ja) | 1994-02-22 |
Family
ID=16512285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20576492A Pending JPH0647725A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | セメント系表面洗い出し製品とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0647725A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6077910A (en) * | 1996-08-06 | 2000-06-20 | Daicel-Huels Ltd. | Cement retarder and cement retardative sheet |
JP2001322110A (ja) * | 2000-05-15 | 2001-11-20 | Kuraray Co Ltd | 無機質成形体表面用凝結遅延剤および無機質成形体の製法 |
JP2005007667A (ja) * | 2003-06-17 | 2005-01-13 | Kagoshima Prefecture | シラスコンクリート装飾材及びその製造方法 |
JP2006192709A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd | ポリマー複合セメント板の製造方法 |
JP2008296404A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd | 建材の製造方法 |
JP2015175160A (ja) * | 2014-03-14 | 2015-10-05 | 株式会社大林組 | 常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートの目粗し方法及びセメント硬化体 |
JP2019218219A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 株式会社イー・エム・ディ | コンクリート表面洗い出し処理剤 |
-
1992
- 1992-07-31 JP JP20576492A patent/JPH0647725A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6077910A (en) * | 1996-08-06 | 2000-06-20 | Daicel-Huels Ltd. | Cement retarder and cement retardative sheet |
US6376580B1 (en) | 1996-08-06 | 2002-04-23 | Daicel-Huels Ltd. | Cement retarder and cement retardative sheet |
JP2001322110A (ja) * | 2000-05-15 | 2001-11-20 | Kuraray Co Ltd | 無機質成形体表面用凝結遅延剤および無機質成形体の製法 |
JP2005007667A (ja) * | 2003-06-17 | 2005-01-13 | Kagoshima Prefecture | シラスコンクリート装飾材及びその製造方法 |
JP2006192709A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd | ポリマー複合セメント板の製造方法 |
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JP2015175160A (ja) * | 2014-03-14 | 2015-10-05 | 株式会社大林組 | 常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートの目粗し方法及びセメント硬化体 |
JP2019218219A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 株式会社イー・エム・ディ | コンクリート表面洗い出し処理剤 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020702 |