JP3327209B2 - コンクリート製品の表面仕上げ用組成物 - Google Patents

コンクリート製品の表面仕上げ用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート製品
の表面仕上げ用組成物に関するものであり、特に養生、
脱型して得られたコンクリート製品の表面を、良好な作
業効率のもとに、洗い出し仕上げ可能ならしめるコンク
リート製品の表面仕上げ用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリート製品の表面化粧仕上げの一
手法として、骨材あらわし仕上げがある。
【0003】骨材あらわし仕上げは、モルタル又はコン
クリートの表面から、セメントペースト部分を洗い出し
て、骨材を露出させる方法であって、その具体的手段と
しては、 凝結遅延剤を用いる。 未硬化コンクリートを水洗いする。 硬化したコンクリートを酸洗いする。 などの方法がある。これらのうち、最近では凝結遅延剤
を用いる工法が多く採用されている。
【0004】凝結遅延剤による洗い出し仕上げは、型枠
面に予め遅延剤を塗布又は散布、あるいは、遅延剤を含
浸させた布やペーパーを張っておき、コンクリートを打
ち込み、所定の養生終了後脱型し、凝結硬化の遅延した
コンクリート表面を高圧水又はブラシなどで洗い、骨材
を露出させる方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、凝結遅延剤の遅延効果が不十分であるため、
高温常圧養生(以下「蒸気養生」と記す。)あるいは高
温高圧養生(以下「オートクレーブ養生」と記す。)等
の硬化促進養生を施した場合には、結遅延剤の塗布量
が著しく多くなり不経済となる。また、結遅延剤の塗
りムラが生じ易く、このため洗い出し面にもムラが出る
などの問題がある。
【0006】このため、通常は、コンクリート打設後、
気中養生を行い、母体のコンクリートが脱型しても欠損
を生じない程度の強度(脱型強度)に達したのを見計ら
って脱型し、洗い出し作業を行っているが、このような
方法では、製品の製造効率が悪く、特に強度発現の遅い
寒冷期には脱型強度を得るのに多く日を費やしてしまう
ため、製造日数が長くなるといった問題があった。
【0007】一方、特公平2−15519号に開示され
る超長時間結遅延剤(以下「超遅延剤」と記す。)
は、セメントの水和反応を一時的に停止させ、極めて長
時間にわたり、結を遅延させた後、再び反応が開始す
るような性質のものであるため、このような超遅延剤に
よれば、従来の結遅延剤に比べて優れた遅延効果を得
ることができることが判明した。しかしながら、この超
遅延剤は、流動性のある液体で粘度が低いため、これを
型枠面に塗布した場合、型枠表面が超遅延剤をはじいて
しまい、うまく塗布できないといった問題があった。
【0008】本発明は、上記従来の問題点、即ち、通常
結遅延剤を用いた場合には、蒸気養生等の促進養生
後における洗い出しが困難であること等の問題を解決
し、コンクリート表面に施すことにより、促進養生後の
任意の時期において、生成コンクリート製品の洗い出し
が可能となるコンクリート製品の表面仕上げ用組成物を
提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、超遅延剤と増粘材とを主成分とするコン
クリート製品の表面仕上げ用組成物であって、上記増粘
材が、微粉スラグ,フライアッシュ,炭酸カルシウムお
よびシリカヒュームからなる群から選ばれた少なくとも
一つの無機粉体であるコンクリート製品の表面仕上げ用
組成物をその要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。
【0011】本発明のコンクリート製品の表面仕上げ用
組成物は、超遅延剤と特定の増粘材とを主成分とする。
そして、このようなコンクリート製品の表面仕上げ用組
成物は、モルタル又はコンクリートと接する面に付着さ
せられ、その後、モルタル又はコンクリートが打設され
る。そして、上記モルタル,コンクリートを養生、脱型
して得られたコンクリート製品について、上記面(モル
タル,コンクリートと接する面)に当接しているコンク
リート製品の当接面を洗い出すことにより、未硬化のモ
ルタル,コンクリートが洗い落とされ、骨材等が部分的
に露出した仕上げ状態が形成される。
【0012】本発明に用いる上記超遅延剤は、ホスホン
酸誘導体、特に、カルシウムキレート剤として作用する
ことができ、ヒドロキシおよびアミノ基を含むホスホン
酸誘導体が挙げられる。具体的には、次のような化合物
が挙げられる。
【0013】アミノトリ(メチレンホスホン酸)、アミ
ノトリ(メチレンホスホン酸)五ナトリウム塩、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸四ナトリウム
塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、
エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)カルシ
ウムナトリウム塩、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メ
チレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ
(メチレンホスホン酸)カリウム塩、ジエチレントリア
ミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリア
ミンベンタ(メチレンホスホン酸)ナトリウム塩。
【0014】また、他の超遅延剤としては、ヒドロキシ
カルボン酸およびそれらの塩;クエン酸グルコン酸
酒石酸フマル酸イタコン酸マロン酸グルコヘプ
タノン酸等を含むポリカルボン酸およびそれらの塩
えば、ポリマレイン酸ポリフマル酸ポリアクリル
ポリメタクリル酸好ましくは低分子量ポリカルボ
ン酸酸化防止剤例えば、アスコルビン酸イソアス
コルビン酸ポリマー例えば、スルホン酸−アクリル
酸コポリマーポリヒドロキシシランポリアクリルア
ミド好ましくは低分子量ポリマー等が挙げられる。こ
れらのうちでは、ヒドロキシカルボン酸ポリカルボン
イソアスコルビン酸ポリヒドロキシシランが好適
である。
【0015】本発明においては、特に、少なくとも1種
の前記ホスホン酸タイプの超遅延剤と、少なくとも1種
の異なるタイプ、即ち、非ホスホン酸タイプの超遅延剤
との混合物として用いるのが好ましい。非ホスホン酸タ
イプの超遅延剤の多くは、滅水特性をも有するので、こ
れらは最終硬化コンクリートの圧縮強度を増加させる作
用をも有し、極めて有利である。
【0016】本発明において、特に好ましい超遅延剤
は、前記ホスホン酸タイプの超遅延剤とクエン酸との混
合物、とりわけ、アミノトリ(メチレンホスホン酸)と
クエン酸との混合物である。この場合、ホスホン酸タイ
プの超遅延剤とクエン酸との混合比は、1:1〜2:1
(重量比)とするのが好ましい。
【0017】一方、本発明において使用される特定の
粘材としては、微粉スラグ、フライアッシュ、炭酸カル
シウム、シリカヒューム(シリカの極微細粉末)等の無
機粉体があげられる。
【0018】なお、本発明において、前記超遅延剤およ
び上記増粘材は、いずれも各々1種を単独で用いても、
2種以上を混合して用いても良い。
【0019】超遅延剤と増粘材との混合比は、増粘材自
身の特性と混合液としての作業性等から適宜決定され
る。一般には、超遅延剤:増粘材=100:10〜30
0の範囲で、用いる増粘材の種類に応じて決定される。
混合比の一例は、後掲の実施例に示す通りであり、例え
ば、増粘材としてシリカヒュームを用いる場合、その混
合比は、超遅延剤:シリカヒューム=100:20〜1
00の範囲が好ましい。
【0020】超遅延剤と増粘材とを主成分とする、表面
仕上げ用組成物をモルタル,コンクリートに接する面に
付着させる方法としては、特に制限はなく、刷毛、ロー
ラー、ゴムべら等を用いて塗布する方法又は、スプレー
等により散布する方法等を採用することができる。しか
して、この付着量を調節することにより、得られる製品
の洗い出し深さを適当に調節することができる。通常の
場合、混合物付着量は30〜300g/m2 程度をする
のが好ましい。
【0021】超遅延剤および増粘材の混合物を、モルタ
ル,コンクリートと接する面に付着させた後、モルタ
ル,コンクリートを打ち込む。
【0022】モルタル,コンクリートを打ち込んだ後
は、所要の養生を行なう。本発明においては凝結遅延効
果の高い超遅延剤を用いるため、蒸気養生、オートクレ
ープ養生等の促進養生を行なうことができるが、気中養
生でも良いことはいうまでもない。
【0023】養生後は脱型し、適当な時期に高圧水又
は、ブラシなど用い、常法に従って洗い出しを行なう。
【0024】この洗い出しは、脱型後直ちに行なう必要
はなく、促進養生を行なった場合でも、脱型後、数日経
過した後に行なうことができる。この洗い出し条件、即
ち高圧水の圧力や洗い出し時期等によっても、洗い出し
深さを調節することできる。
【0025】なお、本発明において打設する、モルタ
ル,コンクリート配合には、特に制限はなく、従来一般
的に採用されているモルタル,コンクリート配合で良
い。
【0026】本発明においては、凝結遅延剤として超遅
延剤を用いるため、その優れた凝結遅延効果により、促
進養生後においても、任意の時期に、例えば、作業員の
手があいた時に洗い出しを行なうことが可能とされる。
【0027】しかも、超遅延剤のみでは、モルタル,コ
ンクリートと接する面に均一に付着させることが困難で
あるが、本発明においては超遅延剤と特定の増粘材とを
混合して用いるため、モルタル,コンクリートと接する
面に、容易に均一付着させることが可能となり、ムラの
ない良好な洗い出し面を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明する。
【0029】
【実施例1〜6,比較例1】超遅延剤としてアミノトリ
(メチレンホスホン酸)とクエン酸との1.5:1(重
量比)の混合物を用い、この超遅延剤と下記の表1に示
す増粘材とを下記の表1に示す混合比で混合した。
【0030】得られた混合物の流動性、作業性(モルタ
ル,コンクリートと接する面への付着作業の難易性)等
を調べ、下記の評価基準で評価し、結果を下記の表1に
併せて示した。なお、下記の表1において、「モルタ
ル,コンクリートと接する面」を「型枠面」と称する。評価基準 ◎:非常に良好 ○:良好 △:使用可
【0031】
【表1】
【0032】
【実施例7〜12】上記実施例1〜6および比較例1
用いたと同様の超遅延剤に、記の表2に示す増粘材
記の表2に示す混合比で混合してなる混合物を、モ
ルタル,コンクリートと接する面に、記の表2に示す
塗布量となるように塗布し、十分に乾燥させた後、上記
面に、下記配合の化粧モルタルを打ち込んだ。 化粧モルタル配合(重量比) セメント:1 細骨材:1 種 石:3
【0033】その後、記の表2に示す条件で養生した
後、脱型(打設の翌日)し、脱型後、記の表2に示す
条件で洗い出しを行った。
【0034】得られた製品の仕上げ面を観察し、結果を
記の表2に示した。
【0035】
【比較例2】増粘材を用いずに、記の表2に示す条件
にて、実施例7〜12と同様に行ない、結果を記の表
2に示した。
【0036】
【比較例3,4】凝結遅延材として、市販品(ルガゾー
ルF:日本シーカ社製)を用い、下記の表2に示す条件
にて、実施例7〜12と同様に行ない、結果を下記の表
2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】上記表2より明らかなように、本発明の方
法によれば、蒸気養生、あるいはオートクレーブ養生を
行なっても、気中養生と同様に、脱型後10日後におい
ても同等の洗い出し面を得ることができる。一方、増粘
材を用いない場合比較例2)には、モルタル,コンク
リートと接する面に超遅延剤がはじかれ、均一に塗布で
きないことから、洗い出し面にもムラが生じていた。
【0039】また、超遅延剤の代わりに市販の結遅延
剤(ルカゾール)を用いた場合には、蒸気養生を施すと
表面が硬化してしまい、洗い出しが不可能であった(比
較例)。更に、塗布量を増やした場合には、均一に塗
布できないことから、洗い出し面にかなりムラが生じて
いた(比較例)。なお、実施例の方法では、脱型後の
型枠清掃についても、従来に比べてはるかに容易に行な
うことができた。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明のコンクリート製
品の表面仕上げ用組成物は、超遅延剤の優れた結遅延
効果と、特定の増粘材を併用することによる、モルタ
ル,コンクリートに接する面への均一付着性向上効果に
より、 蒸気養生やオートクレーブ養生等の促進養生
を施した後でも充分洗い出しが可能であり、脱型直後の
みならず、脱型後10日経過後でも、洗い出しが可能で
ある。 上記 より、良好な作業性のもとに、最も
適当な時期に洗い出しを行うことが可能とされる。
洗い出し深さの調製も可能であり、均一でムラのない洗
い出し面を得ることができる。といった優れた効果が奏
され、高品質の製品を容易かつ効率的に得ることが可能
とされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 24/26 C04B 24/26 E // C04B 103:22 103:22 103:44 103:44 (72)発明者 清水 正弘 東京都豊島区池袋2丁目51番13号 菱和 コンクリート工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−233165(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 22/00 - 24/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超遅延剤と増粘材とを主成分とするコン
    クリート製品の表面仕上げ用組成物であって、上記増粘
    材が、微粉スラグ,フライアッシュ,炭酸カルシウムお
    よびシリカヒュームからなる群から選ばれた少なくとも
    一つの無機粉体であることを特徴とするコンクリート製
    品の表面仕上げ用組成物
  2. 【請求項2】 超遅延剤が、ホスホン酸誘導体,ヒドロ
    キシカルボン酸,ヒドロキシカルボン酸塩,ポリカルボ
    ン酸,ポリカルボン酸塩および酸化防止剤化合物からな
    る群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求
    項1記載のコンクリート製品の表面仕上げ用組成物。
  3. 【請求項3】 超遅延剤と増粘材との含有割合が、超遅
    延剤/増粘材=100:10〜300の範囲に設定され
    ている、請求項1または2記載のコンクリート製品の表
    面仕上げ用組成物。
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